説明

プリント配線板及びその製造方法

【課題】基板表面の平坦化を容易に実現することが可能なプリント配線板を提供する。
【解決手段】第1の絶縁層11と、第1の絶縁層11の上面の一部に配置された第1の配線パターン21,22,23,24と、第1の絶縁層11の上面の他の一部に配置された第1の非導電性パターン30,31,32とを備える。第1の非導電性パターン30,31,32は、パターン密度が同一層内において均一になるように配置され、その上に形成される絶縁層の表面が平坦化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多層構造のプリント基板は、一般的に、配線設計が各層において異なり、同じ層においても対称なパターンというものは存在しない。よって、多層化が進むにつれ、配線の構造に起因する基板表面(各層の表面)の凹凸が顕著になるという問題があった。
【0003】
プリント基板の配線は、基板表面に搭載される電子部品により決定される。このため、多層基板の配線設計は多層化による平坦性を考慮したものとなるように施す必要があった。また、配線が長くなると伝送損失が増大してしまうため、伝送特性を考慮して設計する必要があった。
【0004】
また、基板表面の平坦化を図る方法として、凹凸を吸収できるような材料を選定することが知られている。しかしながら、電気的な信頼性の保証の必要性や、材料のコストの増大、あるいは数種類の材料を使用する必要性などの問題があった。
【0005】
また、基板表面の平坦化を図る他の方法として、配線間に配線の材料である銅を残す方法が知られている。しかしながら、エッチングにより銅の一部を除去して配線を形成するサブトラクト法の場合は比較的容易に製造できるが、めっきにより配線を形成するアディティブ法においては、配線間の銅は面積が大きくなり、結果として平坦にできなかったり、ラインを形成する場合ではマイグレーションなどの信頼性が低下するなどの懸念があった。
【0006】
また、基板表面の平坦化を図る他の方法として、多層化の時に配線間、スルーホール又はインタースティシャルビアホール(IVH)の樹脂埋めを行う方法、プレスなどで矯正する方法、及び研磨する方法が知られている(例えば、特許文献1〜4参照。)。しかしながら、これらの方法では、工程数の増大、複雑化、製造コストの増大等を引き起こすという問題があった。また、スルーホールの樹脂埋めに使用するペーストは、スルーホールの銅や層間材料等との熱膨張差を考慮した設計をする必要があり、図面上ではパッドオンビア(Pad on Via)設計、ビアオンビア(Via on Via)設計の自由度は上がるが、実際には信頼性を確保するために設計が制限され、ペースト材料の調整(材料開発)をしなければならないという問題があった。
【0007】
このように、多層構造のプリント配線板の製造工程において、従来の基板表面の平坦化を図る方法では、種々の問題が生じており、基板表面の平坦化を実現することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4012307号公報
【特許文献2】特許第3582704号公報
【特許文献3】特許第3443870号公報
【特許文献4】特許第3152225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、基板表面の平坦化を容易に実現することが可能なプリント配線板及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、第1の絶縁層と、第1の絶縁層の上面の一部に配置された第1の配線パターンと、第1の絶縁層の上面の他の一部に配置された第1の非導電性パターンとを備えるプリント配線板が提供される。
【0011】
本発明の他の態様によれば、第1の絶縁層の上面の一部に第1の配線パターンを形成する工程と、第1の絶縁層の上面の他の一部に第1の非導電性パターンを形成する工程とを含むプリント配線板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、基板表面の平坦化を容易に実現することが可能なプリント配線板及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1(a)は、本発明の実施の形態に係るプリント配線板の一例を示す上面図である。図1(b)は、図1(a)のA−A切断面の断面図である。図1(c)は、図1(a)のB−B切断面の断面図である。
【図2】図2(a)は、本発明の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を説明するための工程上面図である。図2(b)は、図2(a)のA−A切断面の工程断面図である。図2(c)は、図2(a)のB−B切断面の工程断面図である。
【図3】図3(a)は、本発明の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を説明するための図2(a)に引き続く工程上面図である。図3(b)は、図3(a)のA−A切断面の工程断面図である。図3(c)は、図3(a)のB−B切断面の工程断面図である。
【図4】図4(a)は、本発明の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を説明するための図3(b)に引き続く工程断面図である。図4(b)は、本発明の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を説明するための図3(c)に引き続く工程断面図である。
【図5】図5(a)は、本発明の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を説明するための図4(a)に引き続く工程断面図である。図5(b)は、本発明の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を説明するための図4(b)に引き続く工程断面図である。
【図6】図6(a)は、本発明の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法の一例を説明するための工程上面図である。図6(b)は、図6(a)のA−A切断面の工程断面図である。図6(c)は、図6(a)のB−B切断面の工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0015】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0016】

(プリント配線板の構造)
本発明の実施の形態に係るプリント配線板は、図1(a)〜図1(c)に示すように、第1の絶縁層11と、第1の絶縁層11の上面の一部に配置された第1の配線パターン21,22,23,24と、第1の絶縁層11の上面の他の一部に配置された第1の非導電性パターン30,31,32と、第1の絶縁層11、第1の配線パターン21,22,23,24及び第1の非導電性パターン30,31,32上に配置された第2の絶縁層12と、第2の絶縁層12の上面の一部に配置された第2の配線パターン51,52,53,54,55,56,57と、第2の絶縁層12の上面の他の一部に配置された第2の非導電性パターン60,61,62,63,64,65,66,67と、第1の配線パターン21,22,23と第2の配線パターン51,52,53とを接続するビア41,42,43とを備える。
【0017】
図1(b)に示した第1の配線パターン21,22,23は、ビア41,42,43と接続するランド部分である。図1(c)に示した第1の配線パターン24は、第1の配線パターン21,22,23を接続する櫛歯状のパターンである。図1(a)及び図1(b)に示した第2の配線パターン51,52,53は、ビア41,42,43と接続するランドである。図1(a)及び図1(c)に示した第2の配線パターン54は、第2の配線パターン51,52,53を接続する櫛歯状のパターンである。図1(a)に示した第2の配線パターン55,56は、図示を省略したビアと接続するランドである。第2の配線パターン57は、第2の配線パターン55,56を接続するコ字状のパターンである。第2の配線パターン55,56,57の下層には、第2の配線パターン55,56,57のそれぞれと同じ形状を有する図示を省略した第1の配線パターンがそれぞれ存在する。
【0018】
図1(a)に示すように、第2の非導電性パターン60は、第2の配線パターン51,52,53,54,55,56,57を取り囲む枠状のパターンである。第2の非導電性パターン61,62,63,64,65は十字状のパターンである。第2の非導電性パターン66,67は、第2の非導電性パターン60と接続し、且つ第2の配線パターン54と接するラインパターンである。図1(b)及び図1(c)に示した第1の非導電性パターン30,31,32は、第2の非導電性パターン60,61,62と同じ形状を有する。第2の非導電性パターン63,64,65,66,67の下層には、第2の非導電性パターン63,64,65,66,67のそれぞれと同じ形状を有する図示を省略した第1の非導電性パターンがそれぞれ存在する。
【0019】
図1(b)及び図1(c)に示した第1の非導電性パターン30,31,32及び図示を省略した第1の非導電性パターンは、図1(b)及び図1(c)に示した第1の配線パターン21,22,23,24及び図示を省略した第1の配線パターンと同じ高さを有する。また、第1の非導電性パターン30,31,32及び図示を省略した第1の非導電性パターンは、第1の配線パターン21,22,23,24及び図示を省略した第1の配線パターンと第1の非導電性パターン30,31,32及び図示を省略した第1の非導電性パターンとを合わせたパターン密度が同一層内において全体で均一になるように配置されている。換言すれば、第1の配線パターン21,22,23,24及び図示を省略した第1の配線パターンと第1の非導電性パターン30,31,32及び図示を省略した第1の非導電性パターンとを合わせたパターン形成領域と、何も形成されていない領域との面積の割合が等しい。
【0020】
図1(a)〜図1(c)に示した第2の非導電性パターン60,61,62,63,64,65,66,67は、第2の配線パターン51,52,53,54,55,56,57と同じ高さを有する。また、第2の非導電性パターン60,61,62,63,64,65,66,67は、第2の配線パターン51,52,53,54,55,56,57と第2の非導電性パターン60,61,62,63,64,65,66,67とを合わせたパターン密度が同一層内において全体で均一になるように配置されている。換言すれば、第2の配線パターン51,52,53,54,55,56,57と第2の非導電性パターン60,61,62,63,64,65,66,67とを合わせたパターン形成領域と、何も形成されていない領域との面積の割合が等しい。
【0021】
第1の絶縁層11及び第2の絶縁層12としては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂が使用可能である。第1の絶縁層11及び第2の絶縁層12としては、互いに同じ材料を用いても良く、異なる材料を用いても良い。
【0022】
第1の配線パターン21,22,23,24、第2の配線パターン51,52,53,54,55,56,57及びビア41,42,43の材料としては、銅(Cu)や銀(Ag)等の導電性材料が使用可能である。また、第1の配線パターン21,22,23,24及び第2の配線パターン51,52,53,54,55,56,57としては、互いに同じ材料を用いても良く、異なる材料を用いても良い。
【0023】
第1の非導電性パターン30,31,32及び第2の非導電性パターン60,61,62,63,64,65,66,67の材料としては、例えば熱硬化エポキシ樹脂等のパターン印刷型の材料、又はフォトレジスト等の写真現像型の材料が使用可能である。第1の非導電性パターン30,31,32及び第2の非導電性パターン60,61,62,63,64,65,66,67としては、互いに同じ材料を用いても良く、異なる材料を用いても良い。
【0024】
本発明の実施の形態に係るプリント配線板によれば、第1の絶縁層11の上面に第1の非導電性パターン30,31,32及び図示を省略した第1の非導電性パターンを有することにより、第1の配線パターン21,22,23,24及び図示を省略した第1の配線パターンと第1の非導電性パターン30,31,32及び図示を省略した第1の非導電性パターンとを合わせたパターン密度を同一層内において増大させている。この結果、第1の絶縁層11の上面の凹凸が低減されているので、第2の絶縁層12の上面(基板表面)の平坦性を向上させることができる。
【0025】
更に、第1の非導電性パターン30,31,32及び図示を省略した第1の非導電性パターンは、第1の配線パターン21,22,23,24及び図示を省略した第1の配線パターンと同じ高さを有し、且つ第1の配線パターン21,22,23,24及び図示を省略した第1の配線パターンと第1の非導電性パターン30,31,32及び図示を省略した第1の非導電性パターンとを合わせたパターン密度が同一層内の全体で均一になるように配置されているので、第2の絶縁層12の上面の平坦性をより向上させることができる。
【0026】
更に、第1の非導電性パターン30,31,32及び図示を省略した第1の非導電性パターンと同様に、第2の絶縁層12の上面に第2の非導電性パターン60,61,62,63,64,65,66,67を有することにより、第2の配線パターン51,52,53,54,55,56,57と第2の非導電性パターン60,61,62,63,64,65,66,67とを合わせたパターン密度を同一層内において増大させている。この結果、第2の絶縁層12の上面の凹凸が低下されるため、第2の絶縁層12の上面に絶縁層を積層する場合には、積層する絶縁層の上面の平坦性を向上させることができる。
【0027】

(プリント配線板の製造方法)
次に、本発明の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法を説明する。なお、以下に示す製造方法は一例であり特に限定されるものではない。本発明の実施の形態に係るプリント配線板は種々の製造方法により製造することが可能である。
【0028】
(イ)図2(a)〜図2(c)に示すような第1の絶縁層11を用意する。サブトラクティブ法又はアディティブ法を用いて、図2(a)〜図2(c)に示すように第1の絶縁層11の上面の一部に第1の配線パターン21,22,23,24,25,26,27を形成する。例えば、アディティブ法では、第1の絶縁層11の上面にレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いてレジスト膜をパターニングする。パターニングしたレジスト膜をマスクとして用いて電解めっき又は無電解めっきを行うことにより銅(Cu)等からなる第1の配線パターン21,22,23,24,25,26,27を形成する。或いは、第1の絶縁層11の上面に刷版を用いて導電性ペーストを印刷し、焼結することにより、第1の配線パターン21,22,23,24,25,26,27を形成しても良い。第1の配線パターン21,22,23,24,25,26,27は、図1(a)に示した第2の配線パターン51,52,53,54,55,56,57と同じ平面パターン形状をそれぞれ有する。
【0029】
(ロ)図3(a)〜図3(c)に示すように、スクリーン印刷等により第1の絶縁層11の上面の他の一部に第1の非導電性パターン30,31,32を形成する。第1の非導電性パターン30,31,32,33,34,35,36,37は、第1の配線パターン21,22,23,24,25,26,27と同じ高さで、且つ第1の非導電性パターン30,31,32,33,34,35,36,37及び第1の配線パターン21,22,23,24,25,26,27を合わせたパターン密度が同一層内の全体で均一となるように形成される。第1の非導電性パターン30,31,32,33,34,35,36,37の材料としては、例えば熱硬化エポキシ樹脂等のパターン印刷型の材料、又はフォトレジスト等の写真現像型の材料が使用可能である。また、第1の非導電性パターン30,31,32,33,34,35,36,37の材料として、熱硬化エポキシ樹脂等の有機高分子材料を主成分とする非導電性ペースト、又は熱硬化エポキシ樹脂等のバインダー樹脂中に銅粉等の金属フィラーを分散させた非導電性金属ペーストが使用可能である。金属フィラーを含有する高剛性の非導電性金属ペーストを使用することにより、より強固な基板を製造することが可能となる。第1の非導電性パターン30,31,32,33,34,35,36,37は、図1(a)に示した第2の非導電性パターン60,61,62,63,64,65,66,67と同じ平面パターンをそれぞれ有する。
【0030】
(ハ)図4(a)及び図4(b)に示すように、第1の絶縁層11の上面に第2の絶縁層12を積層する。このとき、第1の絶縁層11の上面に第1の非導電性パターン30,31,32,33,34,35,36,37が形成されているので、第1の非導電性パターン30,31,32,33,34,35,36,37及び第1の配線パターン21,22,23,24,25,26,27を合わせたパターン密度が増大している。この結果、第1の絶縁層11の上面の凹凸が低減され、第2の絶縁層12の上面を平坦化することができる。
【0031】
(ニ)第2の絶縁層12の上面にレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いてレジスト膜をパターニングする。図5(a)及び図5(b)に示すように、パターニングされたレジスト膜70をマスクとして用いて、エッチングにより第2の絶縁層12の一部を選択的に除去する。この結果、第1の配線パターン21,22,23の上面を露出する開口部71,72,73が形成される。その後、残存したレジスト膜70をレジストリムーバ等を用いて除去する。なお、開口部71,72,73を形成するために、フォトリソグラフィ技術を用いる代わりに、エキシマレーザー又は炭酸ガスレーザー等を用いて第2の絶縁層12にレーザー加工を施したり、或いは突起を有する金型を第2の絶縁層12の上面から圧入しても良い。
【0032】
(ホ)図6(a)〜図6(c)に示すように、サブトラクティブ法又はアディティブ法を用いて、第2の絶縁層12の開口部71,72,73に銅(Cu)等を充填して第1の配線パターン21,22,23と接続するビア41,42,43を形成するとともに、第2の絶縁層12の上面に第2の配線パターン51,52,53,54,55,56,57を形成する。例えば、アディティブ法では、第2の絶縁層12の上面にレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いてレジスト膜をパターニングする。パターニングしたレジスト膜をマスクとして用いて電解めっき又は無電解めっき等を行うことにより銅(Cu)等からなるビア41,42,43及び第2の配線パターン51,52,53,54,55,56,57を形成する。或いは、第2の絶縁層12の上面に刷版を用いて導電性ペーストを印刷し、焼結することにより、ビア41,42,43及び第2の配線パターン51,52,53,54,55,56,57を形成しても良い。また、ビア41,42,43と第2の配線パターン51,52,53,54,55,56,57とを別個に形成しても良い。
【0033】
(ヘ)図1(a)〜図1(c)に示すように、非導電性ペーストを用いたスクリーン印刷等により、第2の絶縁層12の上面の他の一部に第2の非導電性パターン60,61,62,63,64,65,66,67を形成する。第2の非導電性パターン60,61,62,63,64,65,66,67は、第2の配線パターン51,52,53,54,55,56,57と同じ高さで、且つ第2の非導電性パターン60,61,62,63,64,65,66,67及び第2の配線パターン51,52,53,54,55,56,57を合わせたパターン密度が同一層内の全体で均一となるように形成される。
【0034】
本発明の実施の形態に係るプリント配線板の製造方法によれば、第1の非導電性パターン30,31,32,33,34,35,36,37及び第2の非導電性パターン60,61,62,63,64,65,66,67を形成することにより、各層のパターン密度を増大させることができ、基板表面を平坦化することができる。よって、多層配線の配線設計を平坦性や伝送特性を考慮した設計をする付加が低減され、任意の配線を自由に設計することができる。更に、多層化時にスルーホールを樹脂埋めする方法において問題となっていた樹脂埋めに使用するペースト材料の調整(材料開発)することが不要となる。更に、基板表面の凹凸を低減するような材料を選定する必要がなくなり、既存の構成材料で製造可能となるので、信頼性が保証され、材料コストを抑制できる。更に、配線間を樹脂埋めする方法において問題となっていた樹脂埋め後の研磨工程が必要となることはない。
【0035】
更に、スクリーン印刷法により第1の非導電性パターン30,31,32,33,34,35,36,37及び第2の非導電性パターン60,61,62,63,64,65,66,67をそれぞれ形成することができるので、既存の工程で使用される設備を流用することが可能となり、多層化時の配線間、スルーホール若しくはIVHの樹脂埋め、プレス等による矯正又は研磨といった特殊且つ複雑な工程や設備が不要となる。
【0036】
また、第1の非導電性パターン30,31,32,33,34,35,36,37及び第2の非導電性パターン60,61,62,63,64,65,66,67の材料として、非導電性ペーストを用いることにより、配線間に配線材料の銅を残す方法において問題となっていたマイグレーション等による信頼性の低下を生じさせることなく、配線に密着したパターンを形成することが可能である。
【0037】
また、第1の非導電性パターン30,31,32,33,34,35,36,37及び第2の非導電性パターン60,61,62,63,64,65,66,67の材料として、有機高分子材料を主成分とする材料を用いることにより、配線間に配線材料の銅を残す方法と比較して、有機高分子材料を主成分とする層間接着剤又は絶縁材との親和性が良く、接着力が強いので密着信頼性が向上する。
【0038】
また、第1の非導電性パターン30,31,32,33,34,35,36,37及び第2の非導電性パターン60,61,62,63,64,65,66,67の材料として用いる非導電性ペーストの種類を変更したり、硬化物物性を変化させることで、各層毎に凹凸を制御することが可能となる。更に、同一層内においても、第1の非導電性パターン30,31,32,33,34,35,36,37及び第2の非導電性パターン60,61,62,63,64,65,66,67のそれぞれの一部と他の部分とで、非導電性ペーストの種類を変更したり、硬化物物性を変化させることも可能である。
【0039】

(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0040】
本発明の実施の形態では、第1の配線パターン21,22,23,24,25,26,27及び第2の配線パターン51,52,53,54,55,56,57を説明したが、各層の配線の形状はこれに限定されるものではないのは勿論である。また、第1の配線パターン21,22,23,24,25,26,27及び第2の配線パターン51,52,53,54,55,56,57は同じパターン形状を有するが、各層毎に異なるパターン形状であって構わない。
【0041】
また、本発明の実施の形態では、第1の非導電性パターン30,31,32,33,34,35,36,37は、第1の配線パターン21,22,23,24と同じ高さを有する場合を説明したが、第1の配線パターン21,22,23,24,25,26,27と異なる高さに形成することも可能である。
【0042】
また、第1の配線パターン21,22,23,24,25,26,27及び第1の非導電性パターン30,31,32,33,34,35,36,37を合わせたパターン密度が均一になるように配置されているが、パターン密度を均一としない任意の位置に配置しても良い。
【0043】
また、本発明の実施の形態の説明においては、第1の絶縁層11及び第2の絶縁層12の2層構造のプリント基板を示したが、本発明は3層以上の多層構造のプリント基板にも適用することができるのは勿論である。
【0044】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0045】
11…第1の絶縁層
12…第2の絶縁層
21,22,23,24,25,26,27…第1の配線パターン
30,31,32,33,34,35,36,37…第1の非導電性パターン
41,42,43…ビア
51,52,53,54,55,56,57…第2の配線パターン
60,61,62,63,64,65,66,67…第2の非導電性パターン
70…レジスト膜
71,72,73…開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層の上面の一部に配置された第1の配線パターンと、
前記第1の絶縁層の上面の他の一部に配置された第1の非導電性パターン
とを備えることを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
前記第1の非導電性パターンは、前記第1の配線パターン及び前記第1の非導電性パターンを合わせたパターン密度が均一になるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項3】
前記第1の非導電性パターンは、前記第1の配線パターンと同じ高さを有することを特徴とする請求項1又は2記載のプリント配線板。
【請求項4】
第1の絶縁層の上面の一部に第1の配線パターンを形成する工程と、
前記第1の絶縁層の上面の他の一部に第1の非導電性パターンを形成する工程
とを含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
前記第1の非導電性パターンを形成する工程は、前記第1の配線パターン及び前記第1の非導電性パターンを合わせたパターン密度が均一になるように前記第1の非導電性パターンを形成することを特徴とする請求項4に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項6】
前記第1の非導電性パターンを形成する工程は、前記第1の配線パターンと同じ高さを有するように前記第1の非導電性パターンを形成することを特徴とする請求項4又は5に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項7】
前記第1の非導電性パターンを形成する工程は、スクリーン印刷法により前記非導電性パターンを形成することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項8】
前記第1の非導電性パターンを形成する工程は、前記第1の非導電性パターンの材料として前記パターン印刷型の材料又は写真現像型の材料を用いることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項9】
前記第1の非導電性パターンを形成する工程は、前記非導電性パターンの材料として非導電性ペーストを用いることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項10】
前記第1の非導電性パターンを形成する工程は、前記非導電性パターンの材料として非導電性の金属フィラーを含有する非導電性金属ペーストを用いることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項11】
前記第1の非導電性パターンを形成する工程は、前記第1の非導電性パターンの異なる部分に、互いに異なる硬化物物性を有するペーストをそれぞれ用いることを特徴とする請求項4〜10のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項12】
前記第1の非導電性パターンを形成する工程の後に、
前記第1の絶縁層、前記第1の配線パターン及び前記第1の非導電性パターン上に第2の絶縁層を積層する工程と、
前記第2の絶縁層に、前記第1の配線パターンの一部を露出する開口部を形成する工程と、
前記開口部に導電材料を充填することにより前記第1の配線パターンと接続するビアを形成する工程と、
前記第2の絶縁層の上面の一部に前記ビアと接続する第2の配線パターンを形成する工程と、
前記第2の絶縁層の上面の他の一部に第2の非導電性パターンを形成する工程
とを更に含むことを特徴とする請求項4〜11のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−238753(P2011−238753A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108435(P2010−108435)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】