説明

プレス成形装置

【課題】 電動サーボプレスを用いて高速且つ高精度に熱転写プレス成型を行う。
【解決手段】 プレス成形装置1は、プレス成形するためのスタンパと、スタンパを加熱および冷却するための温度調節プレートと、スタンパを移動させるサーボモータ11、11と、サーボモータ11、11を駆動するコントローラ17とを備える。コントローラ17は、位置制御によりスタンパを熱可塑性の加工対象物2の表面に接触する直前の位置までサーボモータ11、11により移動させ、その後、スタンパが温度調節パネルによって加工対象物2が熱変形可能な温度まで加熱されている場合に、加圧力制御によりサーボモータ11、11を駆動してスタンパを加工対象物2に押し付けてプレス成型をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性の加工対象物をプレス成形するための装置に関し、特にサーボモータを用いたプレス成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1及び2のように、熱可塑性樹脂を材料として微細パターンを熱転写プレス成形する装置が知られている。このプレス成形装置は、例えば、液晶ディスプレイパネルで用いられる熱可塑性樹脂製の導光板の製造などに用いられる。そして、これらのプレス成形装置では、一般的に油圧プレスが用いられる。
【特許文献1】特開2003−1705号公報
【特許文献2】特開2004−102106号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、微細なパターン有するスタンパを熱可塑性樹脂板の表面に押付けて、熱可塑性樹脂板の表面にパターンを転写する成形に油圧プレスを使用すると、スタンパが取り付けられたスライドの移動速度が遅いため、生産速度を上げることが難しい。また、微細パターンの転写成形のような微細成形はクリーンルーム内で行われることが多く、油を使用する油圧プレスの使用は好ましくない。
【0004】
一方、サーボモータを用いた電動サーボプレスを用いると、上記の問題点は解消されるが、新たに以下のような問題を生じる。すなわち、精度の高い位置制御を用いてスライドの制御を行う場合、転写するパターンの凹凸が5〜25μmあるのに対して、材料となる熱可塑性樹脂(例えば、アクリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネートなど)板の板厚バラツキが50μm程度あるため、材料の厚みバラツキによってパターンの転写が不完全になる。
【0005】
また、熱転写プレス成形では、熱可塑性樹脂の軟化温度以上に加熱したスタンパを熱可塑性樹脂の表面に押付けてパターンを転写した後に、スタンパを熱可塑性樹脂の表面に押付けた状態を保持しつつ、スタンパの温度が熱可塑性樹脂の軟化温度以下になるまでスタンパを冷却し、熱可塑性樹脂の表面に転写したパターンの形状凍結を図る必要がある。しかし、スタンパの冷却時に、スライドを位置制御によって所定の位置に保持した場合、冷却に伴ってスタンパを取付けている金型が熱収縮で寸法が変化し、スタンパの熱可塑性樹脂板への押付け圧力が低下し、転写不良(未転写や皺模様)が生じることがある。
【0006】
一方、上記のような転写不良が起きないようにスタンパを押しつけていると、熱可塑性樹脂板の表面がスタンパに強固に張付いてしまう。この状態で無理にスタンパと成形された熱可塑性樹脂板を離型すると、スタンパがスライド側から剥がれてしまったり、転写したパターン形状が変形してしまったりという問題が発生する。
【0007】
そこで、本発明の目的は、電動サーボプレスを用いて高速且つ高精度に熱転写プレス成型を行うための技術を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、熱転写プレス成形後に、加工対象物表面に転写されたパターンを崩さず、且つ加工対象物をスタンパから容易に離型させるための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施態様に従うプレス成形装置は、熱可塑性の加工対象物をプレス成形するためのスタンパと、前記スタンパを加熱および冷却するための温度調節部と、前記スタンパを前記加工対象物に対して相対的に接近及び離反させ、且つ押しつけるための動力を発生させる電動機と、前記電動機を駆動するコントローラとを備えたプレス成形装置である。そして、前記コントローラは、位置制御により前記スタンパを前記加工対象物の表面に接触する直前の位置まで接近させ、その後、前記スタンパが前記温度調節部によって前記加工対象物が熱変形可能な温度まで加熱されている場合に、加圧力制御により前記電動機を駆動して前記スタンパを前記加工対象物に押し付けてプレス成型をする。
【0010】
好適な実施形態では、前記スタンパを前記熱変形可能温度で前記加工対象物に押し付けた状態で所定時間が経過すると、前記コントローラが引き続き加圧力制御を行っている間、前記温度調節部が前記スタンパを冷却するようにしてもよい。
【0011】
好適な実施形態では、前記プレス成形により成型された前記加工対象物が前記スタンパから離型された後、前記コントローラは位置制御により前記スタンパを前記加工対象物から離反させるように前記電動機を駆動するようにしてもよい。
【0012】
好適な実施形態では、前記コントローラは、前記加圧力制御において、前記スタンパを前記熱変形可能温度でプレス成型可能な第1の加圧力で、前記加工対象物に対して押し付けるように前記電動機を駆動し、その後、前記温度調節部により前記スタンパを冷却しながら前記第1の加圧力よりも小さい第2の加圧力で前記スタンパを押し付けるように前記電動機を駆動することもできる。
【0013】
好適な実施形態では、前記加工対象物と前記スタンパとの接触面に対してエアブローを吹き出すためのブロワをさらに備える。そして、前記コントローラは、前記加圧力制御において、前記加工対象物に対して前記第2の加圧力で前記スタンパを所定時間押し付けるように前記サーボモータを駆動した後、前記加工対象物に対する加圧力がゼロになるように制御し、前記加圧力がゼロであるときに、前記ブロワは前記加工対象物と前記スタンパとの接触面に対してエアブローを吹き出すようにしてもよい。
【0014】
好適な実施形態では、前記スタンパが前記加工対象物の表面に接触する直前の位置にあるとき、前記スタンパ及び加工対象物を内部に収納した真空チャンバが形成されている。さらに、前記プレス成形装置は、前記真空チャンバ内の圧力を検出する圧力センサを備える。そして、前記コントローラは、前記圧力センサによって検出される前記真空チャンバ内の圧力が所定値以下になると、前記スタンパを前記加工対象物に押し付けるように前記サーボモータを駆動するようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係るプレス成形装置について、図面を用いて説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係るプレス成形装置1の概略構成を示す図である。プレス成形装置1は、同図に示すように加工対象物2をプレスするプレス部30と、プレス部30を制御するための構成とを備える。プレス部30を制御するための構成は、スライド21を上下運動させるための電動機であるサーボモータ11、11と、サーボモータ11、11の回転をスライド21の直線運動に変換する動力変換機構(プーリ12、12、タイミングベルト13、13、ボールスクリュー14、14)と、サーボモータ11、11を駆動するコントローラ17とを備える。コントローラ17は、スライド位置検出手段23、23の出力に基づいて、位置制御によりサーボモータ11、11を駆動するための制御信号を出力し、加圧力検出手段24、24の出力に基づいて、加圧力制御によりサーボモータ11、11を駆動するための制御信号を出力する。コントローラ17が出力する制御信号の詳細については、後述する。サーボアンプ16、16がコントローラ17から制御信号を受け付けると、この制御信号とエンコーダ15、15の出力に基づいてサーボモータ11、11に対して出力する電流を制御する。すなわち、コントローラ17からの指示によりサーボモータ11が動作し、スライド21に取り付けられた後述するスタンパが加工対象物2に接近及び離反する。さらに、コントローラ17の指示によりスタンパが加工対象物2に押しつけられて、加工対象物2がプレス成形される。
【0017】
図2は、プレス部30の詳細な構成を示す断面図である。プレス部30は、スライド21に結合している上ケース31とボルスター22に結合している下ケース32とを有する。スライド21の上下動にあわせて、上ケース31が上下に移動する。そして、上ケース31と下ケース32が接する部分には、それぞれ真空パッキン39、39、39、39が取り付けられている。そして、上ケース31が下降して上ケース31に取り付けられている真空パッキン39、39と下ケース32に取り付けられている真空パッキン39、39とが接すると、上ケース31及び下ケース32の内部に密閉された空間(真空チャンバ)が形成される。
【0018】
上ケース31は、エアブローを生成するブロワ41、41と、エアブローを吹き出すノズル42、42とを備える。このエアブローは、プレス成形後に、スタンパ35から加工対象物2を離型するために、スタンパ35と加工対象物2の接触面付近に吹き付けられる。エアブローを吹き付けるタイミング等については後述する。
【0019】
下ケース32には、真空吸引口37が設けられていて、ポンプ40で空気が吸引されると、真空チャンバ内を真空または減圧状態にすることができる。また、下ケース32には、真空チャンバ内の圧力を検出するための圧力センサ36が取り付けられている。
【0020】
上ケース31および下ケース32のそれぞれの内側には、外側から内側へ向かって断熱板33、33と、板状の温度調節容器(以下、温度調節プレートという)34、34と、所定の凹凸パターンを加工対象物2に転写するためのスタンパ35、35とが、この順序で積層されて構成されている。温度調節プレート34、34には、温度調節プレートの温度を検出するための温度センサ38、38が設けられている。
【0021】
温度調節プレート34、34は、内部に液体または気体などの流体が流れるための流路が設けられている。そして、この流路に所定の温度の流体を流すことにより、スタンパ35、35の加熱及び冷却を行う。このとき、コントローラ17が温度調節プレート34、34内の流路に流す流体の温度を制御することにより、温度調節プレート34、34の加熱温度及び冷却温度を定めることができる。
【0022】
このように温度調節部には、温度調節プレート34,34と温度センサ38,38を備えている。また、好ましくはさらに断熱版33を備えている。
【0023】
加工対象物2は、熱可塑性樹脂製の板、例えば、アクリル製またはポリカーボネート製の導光板用の板である。スタンパ35、35は、それぞれ、例えば導光板の表面に形成されるべき凹凸形状を表面に有したニッケル製の、0.2〜0.5mm程度の厚さを有する薄膜である。
【0024】
次に、図3〜図8を用いて、本実施形態に係るプレス成形装置1の動作の1サイクルについて説明する。図3は、プレス成形装置の1周期における上下方向のスライド位置の時間変化を示す図である。図4は、1周期におけるプレス成形装置の主な動作に関するタイムテーブルである。図5は、プレス部30の1周期の動作の様子を模式的に示す図である。図6〜8は、1周期の動作を示すフローチャートである。
【0025】
まず、スライド21が上限位置で停止した状態で(A)、温度調節プレート34、34の加熱が開始される(a〜f)。このときの加熱温度は、加工対象物2が熱変形可能な温度である。なお、この時点では、図4に示すように、コントローラ17等によるスライドモーションの制御は、位置制御で行われている(a〜d)(S101、102)。
【0026】
この状態で、加工対象物2がプレス部30内に搬入される(b)。このとき、下側のスタンパ35上の所定位置に加工対象物2を乗せてもよいし、図示しない加工対象物の保持装置によりスタンパ35、35に接触しないように加工対象物2を保持してもよい(S103)。
【0027】
加工対象物2がプレス部30内に搬入されると、図示しない加工対象物の検出手段が、加工対象物2が所定位置にあることを確認する(B)。そして、コントローラ17は、スライド21を高速で下降させるための制御指令を出力する(c)。すなわち、サーボアンプ16、16がコントローラ17からの制御指令に基づいてサーボモータ11、11に出力する電流を制御し、サーボモータ11、11の回転方向及び速度を制御する。このとき、コントローラ17は、スライド位置検出手段23が出力するスライドの現在位置と、位置制御の目標位置であるスライドの待機位置とが一致するように制御指令を出力する。ここで、スライドの待機位置は、上下ケース31、32が閉じ、上側のスタンパ35が加工対象物2の表面に接触する直前の位置である(S104、105)。
【0028】
スライド21が待機位置まで下降すると(C)、上下ケース31、32の内側に真空チャンバが形成されるので、ポンプ40により真空吸引口37を介して真空引が開始される(d〜f)(S106)。
【0029】
ここで、コントローラ17は、圧力センサ36の出力により真空チャンバ内の空気圧、温度センサ38の出力により温度調節プレート34の温度を計測する。そして、真空チャンバ内の空気圧が熱転写成形に必要な所定の空気圧に到達し、かつ温度調節プレート34の温度が転写成形に必要な所定の温度に到達すると(S107)、コントローラ17は、スライドモーションを加圧力制御に切り替える(e〜h)。すなわち、コントローラ17は、加圧力検出手段24によって得られるスライド21の加圧力が、所定の加圧力になるようにサーボモータ11、11の制御指令を出力する。これにより、スライド21が下降して、加工対象物2に対してスタンパ35による熱転写成型が行われる(e)(S110)。
【0030】
なお、スライド21が待機位置に到達した時点から所定時間内に、温度調節プレート34、34の温度と、真空チャンバ内の真空度が所定値に達しない場合は、プレス成形装置1を停止するようにしてもよい(S108)。
【0031】
ここで、スライド21を駆動するサーボモータ11を複数台備えた複数ポイントのプレス成型装置の場合、加圧力検出手段23によって得られるスライド21の加圧力は、スライド全体にかかる総加圧力として得られる。これに対して、スライド21を上下動させたときのスライド21の位置は、各ポイント近傍に設けられたスライド位置検出手段23によって、各ポイント毎にスライドの位置が独立に検出される。そして、スライド21の加圧力が設定された加圧力になるように加圧力制御によってスライドを上下動させる場合(区間e〜h)であっても、各ポイント毎のスライド位置情報に基づいて、スライド下面の平行度が保たれるように、各ポイント毎のサーボモータの回転は独立に制御される。よって、本実施形態のように、1台のプレス成形装置でサーボモータ11を多数個取り付けて成形する場合も、加工対象物2の板厚のバラツキに関わらず、成形品の成形面の平行度が保たれる。さらに、複数の加工対象物を同時に成形する多数個取り成形の場合でも、加工対象物間の板厚のバラツキに関わらず、成型品の成形面の平行度が保たれる。
【0032】
なお、スライド21を加圧力制御する場合は、常にスライド21の位置が所定の下限位置から上限位置の範囲内にあるかをチェックし、この範囲から外れた場合はプレス成形装置1を停止するようにしてもよい。ここで、スライド21の上限位置(上死点)は材料、成形品の搬入搬出が容易に行える高さに設定され、スライド21の下限位置は上下のスタンパが接触して破損をしない高さに設定する(S111)。
【0033】
加圧力制御を行っている間は、コントローラ17は加圧力検出手段24の出力に基づいて加圧力を監視する。そして、スライド21の加圧力が熱転写成型に必要な所定の転写加圧力になるよう、加圧力を増加する(e)。そして、加圧力が転写加圧力に到達したら(D)、コントローラ17は、所定の保持時間の間、スライド21の加圧力が転写加圧力に保持されるように加圧力を制御する(f)。この保持時間は、転写精度を向上させるために設定するものである。従って、転写精度上問題がなければ、保持時間はゼロであってもよい(S113、S114)。
【0034】
転写加圧力での転写が保持時間だけ保持されると、温度調節プレート34の冷却が開始されるとともに、真空チャンバは大気開放される(g〜j)(S115、116)。そして、コントローラ17は、加圧力検出手段24の出力によって計測されるスライド21の加圧力が所定の保持加圧力になるように制御指令を出力する。このとき、保持加圧力は転写加圧力よりも小さくてよいので、スライド21がやや上昇する(E)(S117)。保持加圧力は、例えば、転写加圧力の1/4〜1/2程度でよい。保持加圧力を転写加圧力よりも小さく設定することで、サーボモータの消費電力の低減を図れると共に、プレス成形装置1の最大加圧能力の低減も可能になり、設備コストの低減も図れる。
【0035】
保持加圧力で加圧している間、コントローラ17は、圧力センサ36の出力に基づいて真空チャンバ内の圧力を監視し、温度センサ38の出力に基づいて温度調節プレート34の温度を監視している(S118〜S122)。そして、真空チャンバ内の圧力が大気圧になり、かつ温度調節プレート34の温度が離型に適した温度になると、このときに、スタンパ35、35から成形された加工対象物2の離型を促進するために、スタンパ35、35と加工対象物2との接触面付近に、ノズル42、42を介してブロワ41、41が生成するエアブローを吹き付ける(h)(S123)。このエアブローにより加工対象物2とスタンパ35、35との間に空気が入り、離型しやすくなる。また、エアブローにより加工対象物2及びスタンパ35、35の温度がわずかに下がるので、この瞬間に加工対象物2が収縮し、スタンパ35との間に空気が入りやすくなる。
【0036】
エアブローを吹き出しているときに、コントローラ17は、加圧力検出手段24の出力に基づいて、スライド21の加圧力がゼロになるように制御する。これにより、スライド21が上昇し、加圧力がゼロになるか、あるいは、加工対象物2とスタンパ35、35との間にわずかに隙間ができる状態となる(F)(S124〜S128)。
【0037】
エアブローを用いて離型促進をすることにより、より高温での加工対象物2とスタンパ35との離型が可能になり、スタンパ35の冷却温度を高めに設定することが可能になる。つまり、例えば加工対象物2がアクリル板であるとき、熱変形可能な軟化温度よりわずかに低い温度(例えば80℃くらい)まで冷却すればアクリル板は硬化して成形が完了するが、この温度では離型しづらい。一方、軟化温度よりもさらに低い温度(例えば60℃くらい)まで冷却すると、容易に離型できるが、次の加工対象物を加工するために再加熱することを考慮すると好ましくない。これらの問題がエアブローにより解決される。
【0038】
上述の通り、エアブローによりスタンパ35の冷却温度を加工対象物の軟化温度よりわずかに低い温度に設定することができる。この結果、スタンパ35の加熱温度と冷却温度との温度差を小さくでき、温度調節プレートの昇温、冷却に要する時間の短縮することができ、生産性を向上することができる。また、昇温に要する熱量も小さくなり、スタンパの温調のためのランニングコストの低減できる。
【0039】
図示しない検出手段で加工対象物2がスタンパ35、35から離型したことを確認するとエアブローを終了し、コントローラ17は、スライドモーションを位置制御に変換して、スライド21をスライド上限まで高速で上昇させて停止させる(i、G)。そして、成形された加工対象物2をプレス部30から搬出する(j)。ここで、加工対象物2の搬出が確認されると、1サイクルが終了する(H)(S129〜S133)。
【0040】
本実施形態によれば、電動サーボモータを用いたプレス成形装置であるから、クリーンルーム内での使用に適するとともに、生産速度の向上及び成形品の品質の向上の両立を図れる。
【0041】
また、電動サーボモータを用いると、スライドの移動速度が速いので、スライドの移動距離(ストローク長)を長くしても生産性を低下させることがない。そして、スライドのストローク長を長くすると、材料の搬入搬出の自動化装置との連動が容易になり、さらに生産性が向上する。
【0042】
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【0043】
例えば、エアブローによる離型の促進は、油圧プレスを用いたプレス成形装置においても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態に係るプレス成形装置1の概略構成を示す図である。
【図2】プレス部30の詳細な構成を示す断面図である。
【図3】プレス成形装置の1周期における上下方向のスライド位置の時間変化を示す図である。
【図4】1周期におけるプレス成形装置の主な動作に関するタイムテーブルである。
【図5】プレス部30の1周期の動作の様子を模式的に示す図である。
【図6】プレス成形装置の動作を示すフローチャート(1)である。
【図7】プレス成形装置の動作を示すフローチャート(2)である。
【図8】プレス成形装置の動作を示すフローチャート(3)である。
【符号の説明】
【0045】
1 プレス成形装置
2 加工対象物
11 サーボモータ
12 プーリ
13 タイミングベルト
14 ボールスクリュー
15 エンコーダ
16 サーボアンプ
17 コントローラ
21 スライド
22 ボルスター
23 スライド位置検出手段
23 加圧力検出手段
24 加圧力検出手段
30 プレス部
31 上ケース
32 下ケース
33 断熱板
34 温度調節プレート
35 スタンパ
36 圧力センサ
37 真空吸引口
38 温度センサ
39 真空パッキン
40 ポンプ
41 ブロワ
42 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性の加工対象物をプレス成形するためのスタンパと、
前記スタンパを加熱および冷却するための温度調節部と、
前記スタンパを前記加工対象物に対して相対的に接近及び離反させ、且つ押しつけるための動力を発生させる電動機と、
前記電動機を駆動するコントローラとを備えたプレス成形装置であって、
前記コントローラは、位置制御により前記スタンパを前記加工対象物の表面に接触する直前の位置まで接近させ、その後、前記スタンパが前記温度調節部によって前記加工対象物が熱変形可能な温度まで加熱されている場合に、加圧力制御により前記電動機を駆動して前記スタンパを前記加工対象物に押し付けてプレス成型をするプレス成形装置。
【請求項2】
前記スタンパを前記熱変形可能温度で前記加工対象物に押し付けた状態で所定時間が経過すると、
前記コントローラが引き続き加圧力制御を行っている間、前記温度調節部が前記スタンパを冷却する請求項1に記載のプレス成形装置。
【請求項3】
前記プレス成形により成型された前記加工対象物が前記スタンパから離型された後、前記コントローラは位置制御により前記スタンパを前記加工対象物から離反させるように前記電動機を駆動する請求項2に記載のプレス成形装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記加圧力制御において、前記スタンパを前記熱変形可能温度でプレス成型可能な第1の加圧力で、前記加工対象物に対して押し付けるように前記電動機を駆動し、その後、前記温度調節部により前記スタンパを冷却しながら前記第1の加圧力よりも小さい第2の加圧力で前記スタンパを押し付けるように前記電動機を駆動する請求項1に記載のプレス成形装置。
【請求項5】
前記加工対象物と前記スタンパとの接触面に対してエアブローを吹き出すためのブロワをさらに備え、
前記コントローラは、前記加圧力制御において、前記加工対象物に対して前記第2の加圧力で前記スタンパを所定時間押し付けるように前記電動機を駆動した後、前記加工対象物に対する加圧力がゼロになるように制御し、
前記加圧力がゼロであるときに、前記ブロワは前記加工対象物と前記スタンパとの接触面に対してエアブローを吹き出す請求項4に記載のプレス成形装置。
【請求項6】
前記スタンパが前記加工対象物の表面に接触する直前の位置にあるとき、前記スタンパ及び加工対象物を内部に収納した真空チャンバが形成されていて、
前記プレス成形装置は、前記真空チャンバ内の圧力を検出する圧力センサをさらに備え、
前記コントローラは、前記圧力センサによって検出される前記真空チャンバ内の圧力が所定値以下になると、前記スタンパを前記加工対象物に押し付けるように前記電動機を駆動する請求項1に記載のプレス成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−167788(P2006−167788A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−367021(P2004−367021)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(394019082)コマツ産機株式会社 (103)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】