説明

プレス装置

【課題】金型に係る加圧力の均一性がより高いプレス装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るプレス装置は、支持台と、支持台に固定される複数の支持棒と、複数の支持棒に支持台と距離をおいて固定される上固定台と、支持台と上固定台の間に配置され、かつ、支持棒に拘束されつつ支持台と固定台の間を移動可能な可動台と、可動台の上固定台側に配置される可動側型圧縮板と、上固定台の可動台側に配置される固定側型圧縮板と、可動台の支持台側に接続されるメインロッドと、可動台の支持台側に接続され、かつ、メインロッドの接続位置を中心として対称に配置される複数のサブロッドと、メインロッド及び複数のサブロッドを上下させる駆動部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス装置に関し、より具体的には、金型を用いてプラスチックや樹脂、金属等の加工対象をプレスするためのプレス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プレス装置とは、プラスチックや樹脂等の加工対象を一対の金型の間に挟みこみ、この一対の金型の形状と同様の形状に加工するための装置であり、自動車産業をはじめ、極めて広い分野の製品の製造に用いられる。
【0003】
公知のプレス装置として、例えば下記特許文献1に、複数本の支柱に支持させた固定フレームと同じ支柱にガイドさせて上下動可能に設けた可動フレームとの間で金型に加圧力を与えるようになっているプレス装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07−276100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
確かに上記特許文献1に記載の技術では、複数の加圧作動体を可動フレームに埋め込むことで金型にかかる加圧力の均一性を保とうとしているが、この技術では、一本のロッドによって動かされる可動フレーム上に複数の加圧作動体が配置されるという二段階の構成となっているため、ロッドのずれが大きい場合加圧作動体による調整が困難となるといった課題があり、また可動フレームによる加圧力の吸収や、可動フレームと金型の位置ずれ等の不確定要素も多く発生してしまうといった課題があり、金型にかかる加圧力の均一性において未だ課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、金型に係る加圧力の均一性がより高いプレス装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の一観点に係るプレス装置は、支持台と、支持台に固定される複数の支持棒と、複数の支持棒に支持台と距離をおいて固定される上固定台と、支持台と上固定台の間に配置され、かつ、支持棒に拘束されつつ支持台と固定台の間を移動可能な可動台と、可動台の上固定台側に配置される可動側型圧縮板と、上固定台の前記可動台側に配置される固定側型圧縮板と、可動台の支持台側に接続されるメインロッドと、可動台の支持台側に接続され、かつ、メインロッドの接続位置を中心として対称に配置される複数のサブロッドと、メインロッド及び複数のサブロッドを上下させる駆動部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
以上、本発明によると、金型に係る加圧力の均一性がより高いプレス装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係るプレス装置の概略を示す図である。
【図2】実施形態に係る固定側型圧縮板の概略を示す図である。
【図3】実施形態に係る可動側型圧縮板の概略を示す図である。
【図4】実施形態においてメインロッドが接続される側から可動台を見た場合の図である。
【図5】実施形態に係るガイド部材を説明する図である。
【図6】可動台が変形した場合における貫通孔の接触を示す図である。
【図7】実施形態に係るガイド部材を説明する図である。
【図8】実施形態に係る可動部の概略を説明する図である。
【図9】実施形態に係る可動部の概略を示す図である。
【図10】実施形態に係る可動部の軸部材の設置方向の概略を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態の例示にのみ限定されるものではない。
【0011】
図1は、本実施形態に係るプレス装置(以下「本装置」という。)1の概略を示す図である。
【0012】
本図で示すように、本装置1は、支持台2と、支持台2に固定される複数の支持棒3と、複数の支持棒3に支持台2と距離をおいて固定される上固定台4と、支持台2と上固定台4の間に配置され、かつ、支持棒3に拘束されつつ支持台2と上固定台4の間を移動可能な可動台5と、可動台5の上固定台側に配置される可動側型圧縮板51と、上固定台4の可動台側に配置される固定側型圧縮板41と、可動台の支持台側に接続されるメインロッド6と、可動台5の支持台側に接続され、かつ、メインロッド6の接続位置を中心として対称に配置される複数のサブロッド7と、メインロッド6及び複数のサブロッド7を上下させる駆動部8と、を有する。
【0013】
本装置1において、支持台2は、支持棒3を固定及び支持するためのものであり支持棒3を固定することで、上固定台4や可動台5等各種構成部材の位置を定めることができる。支持台2の材質としては、上記機能を有する限りにおいて限定されるわけではないが、例えば鉄等の金属又は合金を用いることが好適であり、より好ましくは歪みの生じにくいS40C〜S55C等の高強度の炭素鋼である。
【0014】
また本装置1において、支持棒3は、上記の通り支持台2に固定されており、上述の上固定台4を固定することのできるものである。支持棒3の本数は、上固定台を安定的に固定することができる限りにおいて限定されるわけではないが、例えば4本であることが好ましい。なお、支持棒3と支持台2の固定は、固定できる限りにおいて限定されるわけではないが、例えば、図1で示すように、支持台2に支持棒3が貫通する貫通孔を設けて支持棒3を貫通させる一方、支持棒3にネジ溝を形成し、このネジ溝に一対のナット21を用いて硬く締めることで固定することができる。なお、支持棒3の材質としても、上記支持台と同様、非常に硬い材質であることが好ましく、例えば鉄等の金属又は合金を用いることが好適であり、より好ましくは歪みの生じにくいS40C〜S55C等の高強度の炭素鋼である。
【0015】
また本装置1において、上固定台4は、上記の通り、支持棒3に支持台2と距離をおいて固定されるものであり、この一方の面に、固定側型圧縮板41が配置され、更にこの押圧台41上に金型の一方が配置される。上固定台4の材質としては、上記支持台2と同様、非常に硬い材質であることが好ましく、例えば鉄等の金属又は合金を用いることが好適であり、より好ましくは歪みの生じにくいS40C〜S55C等の高強度の炭素鋼である。なお、支持棒3と上固定台4の固定も、固定できる限りにおいて限定されるわけではないが、例えば、上固定台4に支持棒3が貫通する貫通孔を設けて支持棒3を貫通させる一方、支持棒3にネジ溝を形成し、このネジ溝に一対のナット21を用いて硬く締めることで固定することができる。
【0016】
また本装置1において、上固定台4の可動台側には固定側型圧縮板41が配置されている。図2は、固定側型圧縮板41の概略を示す図である。固定側型圧縮板41は、金型の一方を固定するための台であり、ボルトとナット等のネジ部材によって上固定台4に固定されている。固定側型圧縮板41の形状は限定されるわけではないが、一般的な金型の底形状に合わせることが好ましく、例えば多用する金型の底形状が四角形状であれば四角形状であることが好ましく、円形状であれば円形状であることが好ましい。なお固定側型圧縮板41には金型を加熱するためのヒーター42が埋め込まれていることが好ましく、このヒーター42によって温度調節が容易に可能となる。固定側型圧縮板41の材質としては、金型を保持し、かつ一対の金型に加圧を安定的に行なわせることができる限りにおいて限定されるわけではないが、例えば鉄等の金属又は合金を用いることが好適であり、より好ましくは表面に高周波焼入れ等の処理を施したものであることが好ましい。
【0017】
本装置1において、可動台5は、上記の通り、支持台2と上固定台4の間に配置され、かつ、支持棒3に拘束されつつ支持台2と上固定台4の間を移動可能なものであり、この上には上固定台4側に可動側型圧縮板51が配置されている。そして、この可動側型圧縮板51に配置される金型と固定側型圧縮板41に配置される金型とをかみ合わせることで、この間に配置する金属板等を加工することができる。可動台5の材質としては、金型を保持し、かつ一対の金型に加圧を安定的に行なわせることができる限りにおいて限定されるわけではないが、例えば鉄等の金属又は合金を用いることが好適であり、上記支持台2及び上固定台4よりもやわらかく変形する材質であることがより好ましく、例えば一般構造用圧延鋼(SS材)を例示することができる。本装置1では、可動台5を支持台2及び上固定台4よりもやわらかく変形する材質とすることで、後述のように、金型に挟まれた加工対象に均等に加圧力を与えることができるようになる。なお材質の硬さ、やわらかさについては限定されるわけではないが、例えばビッカーズ硬さ等の指標を用いて判断することができる。
【0018】
また本装置1において可動側型圧縮板51は、上記の通り金型の一方を配置するための台であり、可動台5の上固定台側に配置される。図3に可動側型圧縮板51の概略を示しておく。そして本装置1において可動側型圧縮板51は、中間部材511と、中間部材511よりも硬い外台部材512と、が可動台上に順次積層されたものとなっている。このようにすることで、後述のように可動側型圧縮板51の一部にサブロッドによる強い圧力が加えられ可動側型圧縮板51が変形した場合であっても、圧力を解除した場合に元の状態に戻るための反発力を得ることができるようになる。なお、上記機能を有する限りにおいて限定されるわけではないが中間部材511の材質としては、可動台5及び外台部材512よりもやわらかく変形する一方、元の形状に安定的に復元する材料であることが好ましい。また外台部材512の材質としては、固定側型圧縮板41の材質と同様、金型を保持し、かつ一対の金型に加圧を安定的に行なわせることができるものである限りにおいて限定されるわけではないが、例えば鉄等の金属又は合金を用いることが好適であり、より好ましくは表面に高周波焼入れ等の処理を施したものであることが好ましい。なお、可動側型圧縮板51においても上記固定側型圧縮板41と同様、金型の温度調節のためのヒーター513を入れておくことが好ましい。この場合、ヒーター513を配置するのは上記外台部材512がより好ましい。本実施形態では、中間部材511を設けることで反発材として機能させ、可動台5が変形した場合であっても素早く安定的にもとの状態に戻らせることが可能となる。
【0019】
また本装置1において、可動側型圧縮板51は、ボルトとナット等のネジ部材514によって可動台5に固定されている。ただし、本実施形態においてネジ部材514は、複数のサブロッド7により囲まれる領域(サブロッド(好ましくはこの中心)同士を直線で結んで形成される領域)内に設けておくが好ましく、メインロッド6とサブロッド7を結ぶ直線上に設けておくことがより好ましい。図4に、メインロッド6が接続される側から可動台5を見た場合の図を示しておく。本装置1では後述するように、可動台5及び可動台押圧台51が変形する場合があるため、ねじ部材514をサブロッド7により囲まれる領域外におくと、可動側型圧縮板51と可動台5の変形を抑えてしまうことになる。そのため、複数のサブロッド7により囲まれる領域内、より好ましくはメインロッド6とサブロッド7を結ぶ直線上に設けておくことで、十分な変形に対応することができサブロッド7による加圧力の調節をより効率的に行なうことができる。
【0020】
また本装置1において、可動台5は上記の通り、支持棒3に拘束されつつ支持台2と上固定台4の間を移動可能なものである。この機能を有する限りにおいて限定されるわけではないが、本実施形態において可動台5には、複数の支持棒3を貫通させる貫通孔52が形成されており、支持棒3がこの貫通孔52を貫通している。そして更に、可動台5の貫通孔52のそれぞれに対応してガイド部材53が配置されている。図5は、ガイド部材53の説明をするための概略断面図である。
【0021】
本実施形態においてガイド部材53は、可動台5を支持棒3にそって上下動させるために用いられるものである。本装置1では、後述するとおり可動台の一部が変形することを前提としているため、この変形があった場合であっても可動台5の位置の正確性を確保するために用いられるものである。具体的に説明すると、貫通孔52のみで可動台5をガイドさせようとすると、金型の噛み合わせ位置の正確性確保のため貫通孔52の径を支持棒3の径とほぼ同じにすることで実現できる一方、可動台5が変形すると、この変形した位置に近い貫通孔52の方向もずれることとなる。この結果、可動台5の貫通孔近傍の縁部分と支持棒3とが接触することとなり、ひどい場合は可動台5が動かなくなってしまう(例えば図6参照)。一方で、貫通孔52を支持棒の径より十分大きくすると、上固定台4に固定される金型との位置調整の正確性が損なわれてしまうこととなる。
【0022】
そこで、本実施形態では、貫通孔52近傍にガイド部材53を設けることで、この問題を解決している。上記の通り図5は本ガイド部材の概略断面図である。本図で示すように、ガイド部材53は、中空環状部材531と、中空環状部材531と可動台5の間に反発力を発生させるための反発部材532と、中空環状部材531と可動台5の距離を制限する引掛部材533と、を有して構成されている。なおこの場合において、反発部材531と引掛部材533は組で構成されており、しかもこの組が複数配置されていることが好ましい。
【0023】
本実施形態において、中空環状部材531は、支持棒3が貫通する程度で支持棒3の径とほぼ同程度(好ましくは0.01mm以上0.1mm以下)の中空環状部分を有する部材であり、この中空環状部分に支持棒3が貫通している。なおこの場合において、可動台5の貫通孔52の径は支持棒3の径より比較的大きく(3mm以上10mm以下)形成されている。図7は、中空環状部材531の概略斜視図である。
【0024】
本実施形態において、反発部材532は、上記の通り、中空環状部材531と可動台5の間に反発力を発生させるための部材である。この効果を有する限りにおいて限定されるわけではないが、バネであることが好ましく、より好ましくは引掛部材533を内部に配置することができるコイル状のバネであることが好ましい。なお反発部材532は、中空環状部材531の中空環状部分の周囲に複数が均等に配置されている。
【0025】
本実施形態において、引掛部材533は、反発部材532により発生する反発力によって可動台5と中空環状部材531が分離してしまうことを防止するために、中空環状部材531と可動台5の距離を制限するための部材である。引掛部材533は、この機能を有する限りにおいて限定されるわけではないが、ボルトとナットにより構成されることは好ましい一例である。この場合、可動台5及び中空環状部材531にそれぞれ貫通孔を設け、可動台5の中空環状部材531と反対側にボルトの頭部又はナットを配置し、中空環状部材531の可動台5と反対側にボルトの頭部又はナットを配置することで実現できる。なお引掛部材533は、反発部材532に対応して複数設けられていることが好ましい。
【0026】
この結果、ガイド部材53は、可動台5が変形したとしても確実に可動台5を摺動させることができる。図5、8を用いて具体的に説明すると、まず通常状態において、中空環状部材531は反発部材532によって反発力を加えられている一方、引掛部材533によりその距離を制限されている。この関係は全ての反発部材532と引掛部材533に組において同様となっている(図5)。ところが、可動台5が一部変形した場合、可動台5の貫通孔52の向きが変わった場合、反発部材532と引掛部材533の一つの組においては、反発部材532が圧縮し、中空環状部材531と可動台5の距離が近くなり、引掛部材533が解放される。この結果、中空環状部材531は中空環状部分を常時支持棒3の軸方向に合わせることが可能となり、確実に可動台5を上下に摺動させることができる(図8)。なおこの場合において、可動台5の貫通孔52は、この変形においても支持棒と接触しない程度に大きくしておくことが好ましい。
【0027】
また本装置1において、可動台5の支持台2側には棒状のメインロッド6が接続されている。メインロッド6は、駆動部8に接続されており、駆動部8の動作によって可動台5を支持台2と上固定台4の間において移動させることができる。メインロッド6の接続位置としては、限定されるわけではないが、可動台5の支持台2側であって、可動側型圧縮板51の中央近傍付近であることが好ましい(例えば図4参照)。これは、可動側型圧縮板51上に加工対象をプレスするため、初期の状態からできる限り均一に力を加えることができるようにするためである。具体的には、金型が四角形であれば対向する頂点同士を結ぶ直線の交点及びその近傍、円であればその中心点及びその近傍であることが好ましい。
【0028】
また本装置1において、可動台5の支持台2側には複数の棒状のサブロッド7が接続されている。本装置1においてサブロッド7は、メインロッド8の加圧力を補助するものであって、駆動部8に接続され、上記メインロッドと同様、駆動部8の動作によって可動台5を支持台2と上固定台4の間において移動させることを可能とする。
【0029】
また本装置1において、複数のサブロッド7は、メインロッド6が接続されている位置を中心として対称に配置されている。メインロッド6を中心に対称に配置することで、メインロッド6を中心として加工対象に加えられる加圧力の均一性を保つことが容易にできるようになる(例えば図4参照)。またサブロッド7は、可動台5の反対側に配置される可動側型圧縮板51の領域内に配置、接続されていることが好ましい。このようにすることで、金型に確実に加圧力を加えることができる。
【0030】
また本装置1において、サブロッド7の本数は、限定されることはないが、少なくとも2本以上あることが必要であり、好ましくは本実施形態で示すように4本である。4本とすることで可動側型圧縮板51を一般的な金型形状に合わせた四角形状とし、この四角形状の内部の頂点近傍に配置させることで、金型が加圧対象に加える加圧力の均一性を高めることができる。
【0031】
また本装置1において、サブロッド7は、可動台5との間に可動部54を有しており、この可動部54を介して可動台5に接続されている。図9は、可動部54の概略を示す図である。
【0032】
本装置1において、可動部54は、限定されるわけではないが、サブロッド7の移動方向(サブロッドの軸方向)と、可動台5との接続角度を調整することができるものである。具体的な例について説明すると、本実施形態に係る可動部54は、本図で示すように、可動台5側に固定される受け部材541と、サブロッド7側に形成される受け部材542とを有し、この一対の受け部材542を貫通し回転可能に接続する軸部材543と、を有して構成されている。このようにすることで、サブロッド7と可動台5とは、軸部材543を軸中心として所望の角度だけ回転可能となる。本装置1では、このようにすると、例えば一のサブロッド7を独立に駆動して可動台5の一部を強く押圧することとした場合、可動台5がこの押圧によって一部変形することとなるが、可動部54を配置することで、この変形が起こったとしても、サブロッド7の移動方向を変えるおそれが極めて少なくなり安定的な上下摺動を可能とする。なおこの場合において、メインロッド6とこのサブロッド7とを結ぶ直線と、軸部材543が略垂直となっていることが好ましい。これはサブロッド7を独立に駆動することでメインロッド6を軸とする変形が生じるため、この変形に効率的に対応できるようにするためである。図10に、この軸部材543とシリンダとの関係を示しておく。なおここで「略垂直」とは完全な垂直を含むものではあるが、90度に5度程度の誤差を含む概念であり、具体的には85度以上95度以下の範囲をいう。
【0033】
また本装置1において、上記の通りメインロッド6及びサブロッド7は、駆動部8に接続されている。駆動部8は、上記の記載から明らかなように、メインロッド6とサブロッド7を独立して上下動させることができる。なおサブロッド7の駆動はメインロッド6の駆動と独立している必要があるが、複数のサブロッド7については全て同じ駆動動作としてもよいが、加工対象に加えられる加圧力の均一性をより高めるため、複数のサブロッド各々を別駆動としておくことが好ましい。駆動部8の構成としては、上記機能を有する限りにおいて限定されるわけではないが、油圧ポンプとこれに接続された油圧シリンダにより構成され、上記メインロッド6又はサブロッド7と組み合わされ、油圧ポンプの駆動によりメインロッド6又はサブロッド7を摺動可能とする構成であることが好ましく、この場合、上記メインロッド6とサブロッド7には別々の油圧ポンプ及び油圧シリンダが設けられている。もちろん、複数のサブロッド7が独立した駆動となっている場合は、各々のサブロッド7にも別々の油圧ポンプ及び油圧シリンダが取り付けられていることが好ましい。なお駆動部8としては、上記油圧ポンプのほか電動モーター等を用いた、電動シリンダから構成されていてもよく、メインロッド6及びサブロッド7の各々を独立に駆動できるようにしておくことも好ましい。
【0034】
また本装置1には、加圧力をモニターするための検圧装置91が付されていることが必要であり、この機能を有する限りにおいて限定されるわけではないが、ロードセルであることが好ましく、この場合、メインロッド6、サブロッド7及び可動台4の間に配置することが好ましい。このようにすることで、シリンダ各々に対して加えられている圧力を検出することができるようになり、加圧力の均一性を高めることができるようになる。また、検圧装置91の配置としては、例えば金型と固定側圧縮板の間や、固定側圧縮板と上固定台の間に設けておくことが好ましい。
【0035】
また本装置1においては、上記駆動部8を制御するための制御部9を有していることも好ましい。制御部10を有することで、検圧装置91による結果に基づき、メインロッド6及び複数のシリンダ8の駆動を調節し、加工対象に対して精密且つ容易に加圧を行なうことができるようになる。
【0036】
ここで、本装置1を用いたプレス方法について説明する。まず、使用者は、固定台4の固定側型圧縮板41に金型の一方を、可動台5の可動側型圧縮板51に他方の金型を設置し、その間に加工対象となる材料を配置する。なおここで加工対象はプレスによって成形できるものである限りにおいて特に制限はなく、例えば樹脂やプラスチック、金属等を対象とすることができる。
【0037】
ついで、駆動部8を駆動し、メインロッド6及び複数のサブロッド7を上昇させて固定台4を支持棒3に沿って摺動させ、固定台4と可動台5の距離を近づけ、加工対象のプレスを開始する。
【0038】
プレスが開始された後、使用者は検圧装置91によって金型に加えられている圧力を計測、観測し、金型の全体にわたって均一に圧力がかかっているか確認を行い、不均一な部分、例えば圧力の弱い部分が存在している場合、この部分を担当するサブロッド7を駆動部8により独立に駆動し、加圧する。この結果、金型全体にわたって均一に圧力を掛けることができる。なおこの際、上記ガイド部材53のところで説明したとおり、ガイド部材53を用いているため、一つのサブロッド7を独立に駆動させたとしても、可動台5の摺動が妨げられることもない。
【0039】
この結果、金型に係る加圧力の均一性がより高いプレス装置となる。なお本実施形態では、金型に係る加圧力の均一性を達成することができる旨述べているが、逆に、金型に係る圧力に領域の不均一性を任意に実現することができる。即ち、本装置を用いることで、
金型の一部領域にだけ強く圧力をかけたい場合があったとしても、適用が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、プレス装置として産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0041】
1…プレス装置、2…支持台、3…支持棒、4…上固定台、5…可動台、6…メインロッド、7…サブロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持台と、
前記支持台に固定される複数の支持棒と、
前記複数の支持棒に前記支持台と距離をおいて固定される上固定台と、
前記支持台と前記上固定台の間に配置され、かつ、前記支持棒に拘束されつつ前記支持台と前記固定台の間を移動可能な可動台と、
前記可動台の前記上固定台側に配置される可動側型圧縮板と、
前記上固定台の前記可動台側に配置される固定側型圧縮板と、
前記可動台の前記支持台側に接続されるメインロッドと、
前記可動台の前記支持台側に接続され、かつ、前記メインロッドの接続位置を中心として対称に配置される複数のサブロッドと、
前記メインロッド及び前記複数のサブロッドを上下させる駆動部と、を有するプレス装置。
【請求項2】
前記サブロッドは4本である請求項1記載のプレス装置。
【請求項3】
前記サブロッドは、可動部を有する請求項1記載のプレス装置。
【請求項4】
前記可動台には前記支持棒を貫通させる貫通孔が形成され、前記支持棒は前記貫通孔を貫通しており、かつ、前記支持棒が内部を摺動するよう前記貫通孔に対応して前記可動台に配置されるガイド部材を有する請求項1記載のプレス装置。
【請求項5】
前記可動側型圧縮板は、中間部材と、前記中間部材よりも硬い外台部材と、が前記可動台上に積層されたものである請求項1記載のプレス装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−78786(P2013−78786A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220555(P2011−220555)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(511240553)有限会社 渡辺機械 (1)
【Fターム(参考)】