説明

プレッシャーウェーブ・スーパーチャージャーを有する内燃機関、および、内燃機関を運転する方法

プレッシャーウェーブ・スーパーチャージャー(2)を有する内燃機関(1)であって、プレッシャーウェーブ・スーパーチャージャー(2)により発生させられる加給気流内の空気量が、この手段において内燃機関(1)により取り入れ可能な空気量より多い、前記内燃機関において、加給気流(7)の、内燃機関(1)により取り入れられない部分が、内燃機関(1)の少なくとも一つのサブユニット(8,9,10,11)に供給されることを意図されているか、内燃機関(1)の部品を少なくとも間接的に冷却することを意図されていることが提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の特徴に従うプレッシャーウェーブ・スーパーチャージャーを有する内燃機関と、請求項6に記載の特徴に従う内燃機関のサブユニットを運転する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加給される内燃機関において、特にプレッシャーウェーブ・スーパーチャージャーを使用することにより、燃料消費を減少することが可能であることが知られている。さらに、プレッシャーウェーブ・スーパーチャージャーは、その高い効率に基づいて、基本的に、この手段においてエンジンにより燃焼空気として取り入れることができるよりも高い加給圧を発生することが知られている。過剰分の空気量は、適切な手段によりコントロールされなければならない。これは、例えば加給スロットルフラップ及び/又はウェイストゲートを用いて行われる(特許文献1)。目下、公知であるプレッシャーウェーブ・スーパーチャージャーにおいては、内燃機関の所定の作動ポイントのために必要な各空気量は、ローター回転数の調整、加給スロットルフラップ、ウェイストゲートおよびハウジング調節角度の調節によって、調節することができる。これによって排気ガス流中に含まれるエネルギーの大部分が、使用されずに排ガストレイン中に導き出されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許 第0885352号 明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、プレッシャーウェーブ・スーパーチャージャーを有する内燃機関の全体効率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有する内燃機関によって解決される。対応する方法は、請求項6に示されている。
【0006】
本発明の思想の有利な改良形は、従属請求項の主題である。
【0007】
本発明に係る内燃機関においては、加給気流の、内燃機関により取り入れられない部分が、内燃機関の少なくとも一つのサブユニットに供給されることを意図されているか、内燃機関の部品を少なくとも間接的に冷却することを意図されている。これは、プレッシャーウェーブ・スーパーチャージャーを、その最適な作動ポイントで運転することを可能とし、その際、プレッシャーウェーブ・スーパーチャージャーを駆動する排ガスの、最大可能なエネルギーポテンシャルを利用しつくすことが、過剰な空気量を排出することなく可能である。加給気流の、内燃機関により取り入れられない部分を利用可能とすることは、エネルギー損失の著しい減少へと通じ、特に、加給気流が、複数のサブユニットにとって利用されることが可能となる。サブユニットとは、本発明の意味においては、特にタービンの形式のコンプレッサーであると解される。このようなタービンは、電気発電機の駆動のために使用されるか、または、特にコンプレッサー、空調装置、もしくは操舵サポートポンプのポンプの駆動のためにも使用される。サブユニットはまた、ブレーキ力ブースターでもあり得る。
【0008】
さらに、加給気流の、内燃機関により取り入れられない部分は、内燃機関の排気ガス装置の熱い部品の冷却することを意図されることが可能である。
【0009】
本発明に係る内燃機関の利点は、向上された全体効率にあり、これは減少された燃料消費という結果となる、というのは、排気ガス中に含まれるエネルギーの大部分が利用し尽くされることが可能である。
【0010】
さらに本発明は、ローター回転数のゆっくりとした運転切替と、制御角のゆっくりとした移動が可能であるという利点をも有している。
【0011】
本発明の主題は、請求項6に記載の特徴を有する方法でもある。この方法において、プレッシャーウェーブ・スーパーチャージャーにより発生させられる加給気流は、この手段において、内燃機関により取り入れられるよりも多い。その際、加給気流の、内燃機関により取り入れられない部分は、内燃機関の少なくとも一つのサブユニットに供給されるか、または、内燃機関を、少なくとも間接的に冷却するために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るプレッシャーウェーブ・スーパーチャージャー2を有する内燃機関1の図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を、以下に、簡略的に表わした図中の実施例に基づき、詳細に説明する。
【0014】
図1は、前段接続されたプレッシャーウェーブ・スーパーチャージャー2を有する内燃機関1を示す。プレッシャーウェーブ・スーパーチャージャー2は、インレットパイプ3を介して、新気を吸入し、そしてこれを圧縮する。圧縮された加給気流4は、内燃機関1に供給される。内燃機関1からの排気ガス5は、排気ガス配管を介して、プレッシャーウェーブ・スーパーチャージャー2に供給され、これによってプレッシャーウェーブ・スーパーチャージャー2は、駆動される。排気ガス5は、その後、排気管6に供給される。
【0015】
本発明に係る内燃機関においては、加給空気4の部分流7が、サブユニット8,9,10,11に供給される点が、重要である。サブユニットは、例えば、自動車の電気バッテリーを充電するための、例えば電気発電機8であり得る。サブユニット9は、空調装置のコンプレッサーであることが可能である。サブユニット10は、加給気流の部分7により駆動される操舵サポートポンプであることが可能である。サブユニット11は、ブレーキ力ブースターであることが可能である。詳細に表わされていない更なるサブユニットが、加給気流によって駆動可能である。本発明は、サブユニットの所定の構造形式に限定されない。本発明の意味におけるサブユニットとは、内燃機関によって間接的にエネルギーを供給され、そして加給空気による駆動に適している、自動車のあらゆるコンポーネントである。
【0016】
著しく簡略化された、本発明の思想は、これらにより、内燃機関によって取り入れられない部分流7が調整され、一または複数のサブユニット8−11に供給される、詳細に表わされていない制御手段および調整手段が設けられることを排除するものではない。もちろん本発明の枠内で、内燃機関1の取り入れられる加給気量が、詳細に表わされていない調節要素および調節要素によって変更されることが可能である(加給気フラップ、ウェイストゲート)。
【符号の説明】
【0017】
1 内燃機関
2 プレッシャーウェーブ・スーパーチャージャー
3 インレットパイプ
4 加給気流の取り入れられた部分
5 排気ガス
6 排気管
7 加給気流の取り入れられなかった部分
8 サブユニット
9 サブユニット
10 サブユニット
11 サブユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレッシャーウェーブ・スーパーチャージャー(2)を有する内燃機関(1)であって、プレッシャーウェーブ・スーパーチャージャー(2)により発生させられる加給気流内の空気量が、この手段において内燃機関(1)により取り入れ可能な空気量より多い、前記内燃機関において、
加給気流(7)の、内燃機関(1)により取り入れられない部分が、内燃機関(1)の少なくとも一つのサブユニット(8,9,10,11)に供給されることを意図されているか、内燃機関(1)の部品を少なくとも間接的に冷却することを意図されていることを特徴とする前記内燃機関(1)。
【請求項2】
サブユニット(8,9,10)が、電気発電気、ポンプ、特に空調装置のコンプレッサー、または操舵サポートポンプを駆動するためのタービンを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関(1)。
【請求項3】
サブユニット(11)が、ブレーキ力ブースターであることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関(1)。
【請求項4】
加給気流の取り入れられない部分が、内燃機関(1)の排気ガス装置の熱い部品を冷却することを意図されていることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関(1)。
【請求項5】
加給気フラップが、内燃機関により取り入れられない部分のコントロールのために設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の内燃機関(1)。
【請求項6】
プレッシャーウェーブ・スーパーチャージャー(2)と接続される内燃機関(1)のサブユニット(8,9,10,11)を運転するための方法において、
プレッシャーウェーブ・スーパーチャージャー(2)により発生させられる加給気流が、この手段において、内燃機関(1)により取り入れられるよりも多く、その際、加給気流の、内燃機関(1)により取り入れられない部分が、内燃機関(1)の少なくとも一つのサブユニット(8,9,10,11)に供給されるか、または、内燃機関(1)の部品を、少なくとも間接的に冷却することを特徴とする前記方法。
【請求項7】
サブユニット(8,9,10)が、電気発電機、ポンプ、特に空調装置のコンプレッサー、または操舵サポートポンプを駆動するタービン備え、その際、このタービンが、加給気流(7)の、内燃機関(1)により取り入れられない部分によって駆動されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
サブユニット(11)が、ブレーキ力ブースターであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
加給気流(7)の、取り入れられない部分により、内燃機関(1)の排気ガス装置の熱い部品が冷却されることを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
加給気流(7)の、内燃機関(1)により取り入れられない部分のコントロールが、加給気フラップにより行われることを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
加給気流の取り入れられない部分によって、エンジンルーム内の、電気および電子部品が冷却されることを特徴とする請求項6から10のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−505988(P2012−505988A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531348(P2011−531348)
【出願日】平成21年10月10日(2009.10.10)
【国際出願番号】PCT/DE2009/001413
【国際公開番号】WO2010/045918
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(504258871)ベンテラー アウトモビールテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (60)
【氏名又は名称原語表記】Benteler Automobiltechnik GmbH
【住所又は居所原語表記】Elsener Strasse 95, D−33102 Paderborn, Germany
【Fターム(参考)】