説明

プログラマブルコントローラ

【課題】複数のカレントトランスの配置壁部への組み込みが容易で、しかも、カレントトランスと基板との半田付け部分にクラックが発生することを回避可能とする。
【解決手段】基板49A〜49Dにカレントトランス48A〜48Dを実装し、基板連結用ダンパ50A〜50Cにより基板49A〜49Dを連結することによりカレントトランスユニット47を構成する。基板連結用ダンパ50A〜50Cは、ばね用線材55から構成され、中央屈曲部55a、第1〜第4の線部55b〜55e、第1の連結用線部55f及び第2の連結用線部55g、第1〜第4の屈曲部K1〜K4を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のカレントトランスを備えたプログラマブルコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
入出力モジュールであるプログラマブルコントローラは、例えば工場設備等において、外部機器に対する入出力制御を行う装置として使用される。このプログラマブルコントローラに工場内の各部の電圧監視機能などを追加するために、複数のカレントトランスを当該プログラマブルコントローラに設けたいという要望がある。この場合、被検体である電線をカレントトランスに通しやすくするために、図20に示すように、プログラマブルコントローラ1の本体1aに配置壁部1bを突出形成し、この配置壁部1bに、図21及び図22で示すように複数の貫通型のカレントトランス2A〜2Dを配置する構成とすることが考えられている。
【0003】
そして、上述の複数のカレントトランス2A〜2Dは、各カレントトランスに対応して検出回路を形成した1枚の基板3に予め実装されており、これらカレントトランス2A〜2Dと基板3との一体物4を、前記配置壁部1bに形成された取付リブ5により当該配置壁部1bに配置し、その後、カバー6で、配置壁部1bを含む側面部を閉塞するようにしている。この場合、カレントトランス2A〜2Dを配置壁部1bへの組込む場合、基板3で一体化された一体物4を配置壁部1bへ組込めば良いから、組み込み作業が容易である。
【0004】
ここで上記各カレントトランス2A〜2Dは、いずれも同じ構成であり、カレントトランス2Aを代表して述べる。図21及び図22に示すように、このカレントトランス2Aは、カレントトランス本体21にその一面から他面へと貫通する電線挿通孔部22が形成され、平坦な下面から接続端子23が突出する構成である。このような構成のカレントトランス2A〜2Dの各接続端子23は、前記基板3のスルーホールにフロー半田により接続されている。
【0005】
ここで、図23に示すように、前記配置壁部1bには、各カレントトランス2A〜2Dの電線挿通孔部22に対向するように電線挿通孔部7A〜7Dが形成され、又、前記カバー6にも、図20に示すように、各カレントトランス2A〜2Dの電線挿通孔部22に対向するように電線挿通孔部8A〜8Dが夫々形成されている。
【0006】
そして、被検体である電線9A〜9Dのうち、電線9Aは、配置壁部1bの電線挿通孔部7A、カレントトランス2Aの電線挿通孔部22、カバー6の電線挿通孔部8Aに通されている。同様に、電線9B〜9Dも、夫々が対応する配置壁部1bの電線挿通孔部7B〜7D、カレントトランス2B〜2Dの電線挿通孔部22、カバー6の電線挿通孔部8B〜8Dに通されている。
【0007】
ここで、各カレントトランス2A〜2Dの電線挿通孔部22の径寸法は、プログラマブルコントローラで取り扱う電線9A〜9Dの電流検出を確実に行い得るようにできる限り小さく設定されている。これに対して、配置壁部1bの電線挿通孔部7A〜7D、カバー6の電線挿通孔部8A〜8Dは、各電線挿通孔部22の一方の開口端及び他方の開口端に対向する位置関係となることから、電線9A〜9Dを前記各電線挿通孔部22に通しやすく又出しやすくするために、これら各配置壁部1bの電線挿通孔部7A〜7D、カバー6の電線挿通孔部8A〜8Dの径寸法は、前記各電線挿通孔部22より大きく設定されている。
【0008】
上述の各電線挿通孔部22に通された電線9A〜9Dは、プログラマブルコントローラ1自体の設置姿勢や、このプログラマブルコントローラ1が設置された工場内の配線設備や各機器の配置に応じた引き回し形態とされる。例えば、図24に示すように、工場壁面Khにプログラマブルコントローラ1が設置されることもあり、このような場合に、例えば電線9C、9Dがプログラマブルコントローラ1から垂れ下がった形態で引き回し配線されてしまうと、図25で示すように、カレントトランス2C、2Dに電線9C、9Dの荷重が矢印W方向(基板3と略平行な方向)にかかってしまう。
【0009】
この場合、これらカレントトランス2A〜2Dと基板3との一体物4が若干動き得たとしても、前記配置壁部1bに配置されている以上、この一体物4のどこかの部位が動き止めされるから、上述の荷重が、当該カレントトランス2C、2Dの接続端子23と基板3との半田付け部分、又は、他のカレントトランス2A、2Bの接続端子23と基板3との半田付け部分に作用する。
【0010】
ここで、プログラマブルコントローラ1は、10年、20年と長期間使用されることも多く、本発明者の調査では、30年も使用された事例もあった。このように長年プログラマブルコントローラ1が使用されると、前記半田付け部分に上述の荷重が長時間作用するため、経年的な疲労によって半田付け部分にクラックが発生するおそれがある。
【0011】
なお、このように経年的な疲労によるクラック発生以外にも、例えば作業者が不用意に電線9A〜9Dに当たったり、作業者が物品や機器を移動させる際に当該物品や機器が電線9A〜9Dに当たったりする場合、つまり電線が何らかの衝撃を受けた場合でも、上述のクラックが発生することもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−329150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述したように、カレントトランスを備えたプログラマブルコントローラでは、複数のカレントトランスを一枚の基板で一体化することで、プログラマブルコントローラの配置壁部43へのカレントトランスの組み付けを容易となし得る反面、カレントトランスと基板との半田付け部分にクラックが発生するおそれがある。
【0014】
そこで本発明の目的は、複数のカレントトランスの配置壁部への組み込みが容易で、しかも、カレントトランスと基板との半田付け部分にクラックが発生することを回避可能なプログラマブルコントローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、次の点に着目してなされている。すなわち、従来においては、上述したように、一枚の基板に複数のカレントトランスを実装しているため、換言すると、複数のカレントトランスが一枚の基板で連結された形態であるため、一部のカレントトランスに、電線による継続的な荷重もしくは一時的に大きな荷重が作用すると、その荷重が、前記一枚の基板を介して、いずれかのカレントトランスと基板との半田付け部分にも作用し、このカレントトランスと基板との半田付け部分にクラックが発生する。
【0016】
これを改善するために、本発明者においては、図26に示すように、基板を、各カレントトランス2A〜2Dごとに分割した形態とする(分割形態の各基板を符号3A〜3Dで示す)ことを考えた。
【0017】
この場合、各カレントトランス2A〜2Dに通した電線9A〜9Dのいずれかに荷重がかかったとしても、各カレントトランス2A〜2Dの各基板3A〜3Dが相互に分離しているため、各カレントトランスにおける半田付け部分に上記荷重が波及することがない。
ところが、この構成の場合、基板3A〜3Dが分離しているため、カレントトランス2A〜2Dを一体物として取り扱うことができず、配置壁部1bへのこれらカレントトランス2A〜2Dの組付工数が増加してしまう不具合が生じる。
【0018】
上述した図26の改善策では、カレントトランスと基板との半田付け部分にクラックが発生することを防止できる反面、組立工数が増加してしまう。
本発明者では、さらに、この点を改善するために、基板を分割した構成をベースに、これら基板3A〜3D間を柔軟性あるいは弾性変形可能な連結部材により連結することを考えた。最初に、柔軟性あるいは弾性変形可能な連結部材として一般的に想起されるゴム材を採用してみた。
【0019】
この構成を図27に示す。この図27において、ゴム材10A〜10Cを各基板3A〜3D間に接着する構成とする。このような構成とすれば、複数のカレントトランス2A〜2Dを一体物として取り扱うことができ、組立性も良い。そして、いずれかのカレントトランス2A〜2Dに前述した荷重が作用したとしても、カレントトランス間の荷重の伝達をなくすことができるから、A〜2Dと各基板3A〜3Dとの半田付け部分に荷重がかかることがなくてクラック発生を回避できる。
【0020】
しかし、プログラマブルコントローラの使用環境下では、当該プログラマブルコントローラ自体が発熱するため、当該熱による前記ゴム材10A〜10Cの劣化(弾性劣化)が予測され、カレントトランス間の荷重伝達軽減効果が低減してしまう。又この場合、前記基板3A〜3Dも熱を発生し、その熱の放熱がゴム材10A〜10Cにより阻害されてしまい、電流検出性能も低下する問題が発生する。
【0021】
上述の問題が発生しないようにするために、上述の連結部材として、柔軟性もしくは弾性があって熱劣化が少なく且つ放熱を阻害しない連結部材を検討してみた。その検討中において、ばね用線材からなるダンパが上述の要望を満たす連結部材として有力であることが判った。ここでダンパを調査したところ、特許文献1に記載される構成のダンパがあった。しかし、このダンパは、蓋などの閉塞の際に一気に閉塞しないようにするためにコイルばねを用いた構成に過ぎず、そのままでは、基板3A〜3D間の連結には使用できない。
【0022】
そこで、発明者は、ばね用線材を用いた基板連結用ダンパの構成として、図28及び図29に示すダンパ11A〜11Cを試作してみた。このダンパ11A〜11Cは、ばね用線材Sの途中部(ほぼ中間部)を逆V状に屈曲し、この屈曲部11aの両側の線部11b、11cの端部に、この逆V状をなす屈曲部11aの頂部を通る仮想中心線CKとほぼ平行な連結用線部11d、11eを延出した構成とした。この場合矢印A方向及びB方向に弾性変形可能である。
【0023】
この場合、プログラマブルコントローラに搭載するカレントトランス2A〜2D及び基板3A〜3Dの大きさが小さいことから、このダンパ11A〜11Cも、比較的小さく形成している。又、連結対象である基板3A〜3Dには、図30に示すように、接続端子用スルーホール12の他に、ダンパ用スルーホール13、13を形成している。
【0024】
そして前記ダンパ11A〜11Cで前記各基板3A〜3Dを連結する場合、これらダンパ11A〜11Cを、基板3A〜3D各間に跨るように配置して各ダンパ11A〜11Cの連結用線部11d、11eを隣り合う基板のダンパ用スルーホール13に挿入し、挿入部分を半田付けすることで複数のカレントトランス2A〜2Dの基板3A〜3Dを連結し一体化する。
【0025】
ここで、上述のダンパ11A〜11Cの各連結用線部11d、11eを基板3A〜3Dの各ダンパ用スルーホール13に差し込む場合、作業者は、図31(a)に示すように、ダンパ11A〜11Cを手の指で挟み持つが、このダンパ11A〜11C自体が小さいことから、前記連結用線部11d、11eが、指からほとんど出ない。このままでは、連結用線部11d、11eをダンパ用スルーホール13に差し込み難いため、図13(b)に示すように、作業者は指でダンパ11A〜11Cを縮めることで、連結用線部11d、11eの先端を当該指から突出するように変形させる。
【0026】
しかし、これでも、連結用線部11d、11eが僅かにしか突出せず、ダンパ用スルーホール13への挿入がまだ行い難い。
この点を改善するために、さらに発明者は、上記ダンパ11A〜11Cに代わるダンパとして、図32に示すように、大きなダンパ11A´〜11C´を形成した。これによれば、作業者が指でダンパ11A´〜11C´を、図33(a)に示すように挟み持って、図33(b)に示すように縮めるように変形させたときに、連結用線部11d、11eをある程度指から突出させることができ、その後のダンパ用スルーホール13への挿入も容易となり、ダンパ11A´〜11C´の組み付け作業が容易となる。
【0027】
しかしながら、この場合、図34に示すように、ダンパ11A´〜11C´が基板3A〜3Dから高くなって電線挿通孔部22に近くなるため、電線9A〜9Dが引っ掛かるおそれがあるという新たな問題が発生する。
【0028】
そこで発明者は、さらなる改善を試みて、請求項1の構成を案出した。これによれば、以下に述べるように、複数のカレントトランスの配置面部への組み込みが容易で、しかも、カレントトランスと基板との半田付け部分にクラックが発生することを回避可能であり、さらに上述した新たな問題も解決できた。
【0029】
すなわち、請求項1においては、理解を容易にするために、図6、図13〜図17を参照して説明すると、基板連結用ダンパ(50A〜50D)は、一本の金属製のばね用線材(55)から一体に形成され、このばね用線材(55)の中間部が直角以上で180度未満の開き角度(α1)をなして屈曲され、この屈曲部(55a)の両側にあって直線状に延び相互に次第に離間する第1の線部(55b)及び第2の線部(55c)を有し、これら第1の線部(55b)及び第2の線部(55c)の各延出端部から直角以下の開き角度(α2)で且つ相互に接近する方向へ延びるように屈曲され、この延び方向の途中で交差し、さらにその先の部分で相互に遠ざかる形態となる直線状の第3の線部(55d)及び第4の線部(55e)を有し、この第3の線部(55d)及び第4の線部(55e)の延出端部から前記屈曲部(55a)に対して遠ざかる方向で且つ相互に略平行となる向きに屈曲された直線状をなす第1の連結用線部(55f)及び第2の連結用線部(55g)を有する。
【0030】
この基板連結用ダンパ(50A〜50C)において、中央の前記屈曲部(55a)を中央屈曲部(55a)と称し、第1の線部(55b)と第3の線部(55d)とによる屈曲部を第1の屈曲部(K1)と称し、第2の線部(55c)と第4の線部(55e)とによる屈曲部を第2の屈曲部(K2)と称し、第4の線部(55e)と第1の連結用線部(55f)とによる屈曲部を第3の屈曲部(K3)と称し、第3の線部(55d)と第2の連結用線部(55g)とによる屈曲部を第4の屈曲部(K4)と称する。
【0031】
この基板連結用ダンパ(50A〜50C)は、作業者が、第1の屈曲部(K1)と、第2の屈曲部(K2)とを指で挟んで、相互に近づける方向(図15の矢印C方向)へ変形させると、第1の連結用線部(55f)及び第2の連結用線部(55g)が相互に拡がる方向(矢印D方向)に変位しようとするが、この第1の連結用線部(55f)及び第2の連結用線部(55g)は、前記矢印C方向へ力を及ぼしている指により、拡がりが阻止される。このように第1の連結用線部(55f)及び第2の連結用線部(55g)の拡がりが阻止された状態で、第1の屈曲部(K1)及び第2の屈曲部(K2)がさらに矢印C方向へ押圧されると、中央屈曲部(55a)の屈曲角度(α1)が小さくなると共に、第1の屈曲部(K1)の屈曲角度(α2)及び第2の屈曲部(K2)の屈曲角度(α2)が大きくなる。すると、第1の連結用線部(55f)及び第2の連結用線部(55g)が両指よりも突出する。
【0032】
ここで、前述した図32及び図33のダンパ11A´〜11C´では、中央の屈曲角度α3が小さく(直角以下の角度)、しかも屈曲部が中央1か所しかない。この構成では、図33(b)の突出長さLを得ようとすれば、全体高さを大きくするよりない。これに対して、請求項1の基板連結用ダンパ(50A〜50C)は、中央屈曲部(55a)の屈曲角度が、直角以上で180度未満の開き角度(α1)と大きくて、当該中央屈曲部(55a)はさらに閉じ方向に十分に屈曲可能である。しかも、中央屈曲部(55a)の他に、第1の屈曲部(K1)及び第2の屈曲部(K2)を有し、さらにこれら第1の屈曲部(K1)及び第2の屈曲部(K2)が、夫々直角以下の開き角度(α2)であるから、これら第1の屈曲部(K1)及び第2の屈曲部(K2)が、前記中央屈曲部(55a)の閉じ方向への屈曲に伴い、拡がる方向に十分屈曲可能である。
【0033】
この結果、第1の屈曲部(K1)及び第2の屈曲部(K2)を相互に近づけるように押圧した際に、当該中央屈曲部(55a)はさらに閉じ方向に十分に屈曲し、且つ第1の屈曲部(K1)及び第2の屈曲部(K2)が十分に拡がり、もって、第1の線部(55b)〜第4の線部(55e)が十分に伸長し、第1の連結用線部(55f)及び第2の連結用線部(55g)が大きく突出するようになる。もって、第1の連結用線部(55f)及び第2の連結用線部(55g)以外の部分の高さをさほど高くしなくとも、十分な突出長さを得ることができる。
【0034】
従って、この突出長を、図33(b)と同様の突出長さにする場合には、この図33のダンパ11A´〜11D´よりも高さを低くできる。この結果、本請求項1においては、これら複数のカレントトランス(48A〜48D)、基板(49A〜49D)及び基板連結用ダンパ(50A〜50C)が一体となったカレントトランスユニット(47)の状態では、基板連結用ダンパ50A〜50Cの基板49A〜49Dからの高さが低くなり、当該基板連結用ダンパ(50A〜50C)と電線挿通孔部(52)とが近くなることがなく、電線(9A〜9D)がこの基板連結用ダンパ(50A〜50C)に引っ掛かるおそれも回避できる。
【0035】
そして、上述した各カレントトランス(48A〜48D)及び各基板(49A〜49D)が一体化されたカレントトランスユニット(47)を前記配置壁部(43)に配置することで、各カレントトランス(48A〜48D)を各配置面部(46A〜46D)に一度に配置することができ、複数のカレントトランス(48A〜48D)の配置壁部(43)への組み込みが容易である。
上記カレントトランスユニット47において、各基板連結用ダンパ50A〜50Cの第1の連結用線部55fと第2の連結用線部55gとの間は、拡開及び縮小可能であり、つまり弾性変形可能である。
【0036】
さらに、各カレントトランス(48A〜48D)を搭載した基板(49A〜49D)が、上述の弾性変形可能な基板連結用ダンパ(50A〜50C)で連結されているため、いずれかのカレントトランス(48A〜48D)に電線(9A〜9D)による経年的な荷重もしくは作業者が電線(9A〜9D)にぶつかったこと等による瞬間的な衝撃(以下、これら荷重及び衝撃を外力と称する)が作用しても、この外力が他の基板への伝達することが軽減され、もって他の基板に外力が波及することを回避でき、もってカレントトランス(48A〜48D)と基板(49A〜49D)との半田付け部分にクラックが発生することを回避できる。なお、当該電線からの外力を直接受けているカレントトランス自体において当該カレントトランスを実装した基板の半田付け部分でクラックが発生することが懸念されるが、外力を直接受けているカレントトランスが、配置面部(46A〜46D)で若干動いたとしても各カレントトランスを実装した基板も追随するため、半田付け部分に外力が作用することがなくもしくは極めて小さく、クラックの発生を回避することが可能となる。
【0037】
さらには、基板(49A〜49D)のダンパ用スルーホール(53e、53f)への基板連結用ダンパ(50A〜50C)の挿入に際して、当該基板連結用ダンパ(50A〜50C)の連結用線部(55f、55g)を十分に突出させることができ、ダンパ用スルーホール(53e、53f)への挿入作業を簡単化を図ることが可能である。
【0038】
ところで、カレントトランス(48A〜48D)の接続ピン(51d〜51g)と基板(49A〜49D)の接続ピン用スルーホール(53a〜53d)との半田付けは、フロー半田によりなされる。ここで、請求項1では、基板(49A〜49D)にはダンパ用スルーホール(53e、53f)を形成し、基板連結用ダンパ(50A〜50C)の連結用線部(55f、55g)をこのダンパ用スルーホール(53e、53f)に挿入し半田付けするから、上述のカレントトランス(48A〜48D)と基板(49A〜49D)とのフロー半田工程においてこの基板連結用ダンパ(50A〜50C)及び基板(49A〜49D)も同時にフロー半田付けすることができ、基板連結用ダンパ(50A〜50C)の基板(49A〜49D)への取付け工程を別途設けずに済む。
【0039】
そして、この基板連結用ダンパ(50A〜50C)は金属製のばね用線材から構成されているため、基板(49A〜49D)の放熱にも寄与でき、さらにプログラマブルコントローラ41や基板(49A〜49D)の発熱により劣化することが少なく、10年〜30年と長期にわたって使用されるプログラマブルコントローラの使用寿命の長期化に寄与できる。
【0040】
このように請求項1によれば、上述した各カレントトランス(48A〜48D)及び各基板(49A〜49D)並びに基板連結用ダンパ(50A〜50)の一体物であるカレントトランスユニット(47)を前記配置壁部(43)に配置することで、各カレントトランス(48A〜48D)を各配置面部(46A〜46D)に一度に配置することができ、複数のカレントトランス(48A〜48D)の配置面部(46A〜46D)への組み込みが容易となる。
【0041】
しかも、カレントトランス(48A〜48D)と基板(49A〜49D)との半田付け部分にクラックが発生することを回避可能で、さらには、当該基板連結用ダンパ(50A〜50C)の基板(49A〜49D)のダンパ用スルーホール(53e、53f)への挿入作業性の容易化、及び、当該基板連結用ダンパ(50A〜50C)の基板(49A〜49D)への半田付け作業の容易化、基板連結用ダンパ(50A〜50C)に対する電線(9A〜9D)の引っ掛かりの低減化、放熱性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態によるプログラマブルコントローラの斜視図
【図2】カバーを取り外した状態のプログラマブルコントローラ本体の斜視図
【図3】配置壁部部分の正面図
【図4】カレントトランスユニットを取り付けた配置壁部部分の斜視図
【図5】カレントトランスユニットを取り付けた配置壁部部分の正面図
【図6】配置壁部、カレントトランスユニット、カバーの分解斜視図
【図7】カレントトランスの平面図
【図8】カレントトランスの正面図
【図9】基板の平面図
【図10】カレントトランスを実装した基板の平面図
【図11】図1の切断線X11−X11による断面図
【図12】図1の切断線X12−X12による断面図
【図13】基板連結用ダンパの正面図
【図14】基板連結用ダンパの挿入作業の様子を示す斜視図
【図15】(a)は基板連結用ダンパを摘まみ持った状態の正面図、(b)は基板連結用ダンパを伸長させた状態の正面図
【図16】カレントトランス、基板及び基板連結用ダンパの半田付け前の状態の斜視図
【図17】フロー半田の様子を示す正面図
【図18】プログラマブルコントローラの別の設置例を示す斜視図
【図19】図18の状態におけるカレントトランスユニット部分の正面図
【図20】従来例を示すプログラマブルコントローラの斜視図
【図21】カレントトランスと基板との一体物を取り付けた配置壁部部分の斜視図
【図22】同正面図
【図23】配置壁部部分の正面図
【図24】プログラマブルコントローラの別の設置例を示す斜視図
【図25】図24の状態におけるカレントトランス部分の斜視図
【図26】第1の参考例を示す図21相当図
【図27】第2の参考例を示すカレントトランス及び基板の一体物の斜視図
【図28】第3の参考例を示す図27相当図
【図29】基板連結用ダンパの正面図
【図30】基板の平面図
【図31】(a)は基板連結用ダンパを摘まみ持った状態の正面図、(b)は基板連結用ダンパを伸長させた状態の正面図
【図32】第4の参考例を示す基板連結用ダンパの正面図
【図33】(a)は基板連結用ダンパを摘まみ持った状態の正面図、(b)は基板連結用ダンパを伸長させた状態の正面図
【図34】カレントトランスと基板との一体物を取り付けた配置壁部部分の正面図
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施形態について、図1ないし図19を参照して説明する。図1には、プログラマブルコントローラ41の外観を示している。このプログラマブルコントローラ41は、例えば工場設備等において使用され、外部機器(例えば、モータ、ベルトコンベア、電磁弁、表示装置、ランプ等)に対する入出力制御を行うものである。この入出力制御を行うために、箱状のプログラマブルコントローラ本体42の内部には、電子部品等を実装し且つ制御回路等を形成した回路基板(図示せず)等を設けている。
【0044】
このプログラマブルコントローラ本体42は、ほぼ直方体をなしており、図1における前側には、カバー54が取り付けられている。このプログラマブルコントローラ本体42の6つの外面部は、図1において上向きの面部である第1の外面部42aと、左向きの面である第2の外面部42bと、右向きの面である第3の外面部42cと、下面である第4の外面部42dと、前記カバー54で閉塞された前側の面である第5の外面部42e(図2参照)と、後側の面である第6の外面部42fとで構成されている。
【0045】
このプログラマブルコントローラ本体42における一つの面である前記第5の外面部42eは、図1における上端部に上方へ張り出した配置壁部43を有している。
前記配置壁部43を含む第5の外面部42eは、周縁部に、図2における前方向へ若干突出する突出壁部42e1を有しており、もって当該外面部42eは配置壁部43も含めて若干凹状に形成されている。
【0046】
前記配置壁部43には、図2及び図3に示すように、同図において上下方向となるリブ44a〜44c、左右方向となるリブ45a〜45dが形成されており、リブ44aと、45aと、突出壁部42e1とで囲まれた領域を配置面部46Aとし、リブ44a、44bと、45bと、突出壁部42e1とで囲まれた領域を配置面部46Bとし、リブ44bと、リブ44cと、リブ45cと、突出壁部42e1とで囲まれた領域を配置面部46Cとし、リブ44cと、リブ45dと、突出壁部42e1とで囲まれた領域を配置面部46Dとしている。
【0047】
前記各配置面部46A〜46Dの中央部には、配置壁部43を貫通する配置部側電線挿通孔部46Aa〜46Daが形成されている。
又、図6に示すように、前記カバー54には前記配置部側電線挿通孔部46Aa〜46Daと夫々対向するようにカバー側電線挿通孔部54a〜54dが形成されている。
【0048】
図4、図5、図6に示すように、前記配置壁部43の各配置面部46A〜46Dには、カレントトランスユニット47の各カレントトランス48A〜48Dが配置されている。
上記カレントトランスユニット47について説明する。このカレントトランスユニット47は、カレントトランス48A〜48Dと、基板49A〜49Dと、基板連結用ダンパ50A〜50Cとを有して構成されている。カレントトランス48A〜48Dは同じ構成であるので、カレントトランス48Aを代表して説明する。
【0049】
図7及び図8に示すように、カレントトランス48Aは、カレントトランス本体51を備え、このカレントトランス本体51には、一面51a側からこれと反対の他面51b側へ貫通した電線挿通孔部52が形成されている。さらにこのカレントトランス本体51において前記電線挿通孔部52の無い外周面の一面には、平坦面51cが形成され、該平坦面51cから接続ピン51d〜51gが突出している。なお、上記カレントトランス本体51の内部には、電流検出用コイルが設けられている。
【0050】
前記基板49A〜49Dは、前記カレントトランス48A〜48Dと同数(この場合4つ)有り、いずれも同じ構成であるので、基板49Aを参照して説明する。
図9及び図10に示すように、基板49Aは、四角形状の基板本体53を有し、この基板本体53には、電流検出用回路などが形成されている。さらに、この基板本体53には、前記接続ピン51d〜51gが挿入される接続ピン用スルーホール53a〜53dが形成されていると共に、両端部にダンパ用スルーホール53e〜53fが形成されている。
【0051】
ここで、図11及び図12に示すように、カレントトランス48A〜48Dの電線挿通孔部52の径寸法は、プログラマブルコントローラで取り扱う電線9A〜9Dの電流検出を確実に行い得るようにできる限り小さく設定されている。これに対して、配置壁部43の配置部側電線挿通孔部46Aa〜46Da、カバー54のカバー側電線挿通孔部54a〜54dは、各電線挿通孔部52の一方の開口端及び他方の開口端に対向する位置関係となることから、電線9A〜9Dを前記各電線挿通孔部52に通しやすく又出しやすくするために、これら各配置部側電線挿通孔部46Aa〜46Da、カバー側電線挿通孔部54a〜54dの径寸法は、前記各電線挿通孔部52よりやや大きめに設定されている。
【0052】
前述の図4〜図6に示す前記基板連結用ダンパ50A〜50Cはいずれも同じ構成であるので、基板連結用ダンパ50Aを代表して説明する。図13に示すように、基板連結用ダンパ50Aは、一本の金属製のばね用線材55から一体に形成されている。このばね用線材55としては、ばね鋼鋼材、硬鋼線、ピアノ線、オイルテンパー線、ばね用ステンレス鋼線などがある。このばね用線材55の中間部は、直角以上で180度未満の開き角度α1をなして屈曲された屈曲部55aをなし、この屈曲部(以下、中央屈曲部という)55aの両側には、直線状に延び相互に次第に離間する第1の線部55b及び第2の線部55cを有する。そして、これら第1の線部55b及び第2の線部55cの各延出端部から、直角以下の開き角度α2で且つ相互に接近する方向へ延びるように屈曲され、この延び方向の途中で交差し、さらにその先の部分で相互に遠ざかる形態となる直線状の第3の線部55d及び第4の線部55eを有する。さらに、この第3の線部55d及び第4の線部55eの延出端部から前記中央屈曲部55aに対して遠ざかる方向で且つ相互に略平行となる向きに屈曲された直線状をなす第1の連結用線部55f及び第2の連結用線部55gを有する。前記第1の線部55bと第3の線部55dと第2の連結用線部55gとが連続し、前記第2の線部55cと第4の線部55eと第1の連結用線部55fとが連続する。
【0053】
なお、上記基板連結用ダンパ50A〜50Cにおいて、第1の線部55bと第3の線部55dとによる屈曲部を第1の屈曲部K1と称し、第2の線部55cと第4の線部55eとによる屈曲部を第2の屈曲部K2と称し、第4の線部55eと第1の連結用線部55fとによる屈曲部を第3の屈曲部K3と称し、第3の線部55dと第2の連結用線部55gとによる屈曲部を第4の屈曲部K4と称する。
【0054】
前述したカレントトランス48A〜48Dと、基板49A〜49Dと、基板連結用ダンパ50A〜50Cとは次に述べる手順を経て一体化されており、この一体化によってカレントトランスユニット47が構成されている。
すなわち、基板49A〜49Dを、各ダンパ用スルーホール53e、53fがほぼ直線状に並ぶように配列し、この配列状態の基板49A〜49Dを図示しない基板保持具により保持する。この基板保持具はこの場合4つの基板49A〜49Dを同時に掴んで保持できると共に、保持したまま、後述のフローチャート半田工程でのフロー半田槽に移動させることができるものである。
【0055】
そして、各基板49A〜49Dの接続ピン用スルーホール53a〜53dに、各カレントトランス48A〜48Dの接続ピン51d〜51gを挿入する(図14参照)。さらに、基板49Aのダンパ用スルーホール53fと、この基板49Aの隣の基板49Bのダンパ用スルーホール53eに基板連結用ダンパ50Aの第1の連結用線部55f、55gを挿入する。
【0056】
この基板連結用ダンパ50Aの挿入作業は次のように行なうと良い。図15(a)に示すように、作業者が、基板連結用ダンパ50Aにおける第1の屈曲部K1と、第2の屈曲部K2とを指で挟む。この基板連結用ダンパ50Aは小さいから、単に挟んだ状態では、第1の連結用線部55f及び第2の連結用線部55gは、指からさほど突出しておらず、そのままでは、これら第1の連結用線部55f及び第2の連結用線部55gを基板49Aのダンパ用スルーホール53f及び基板49Bのダンパ用スルーホール53eに挿入し難い。そこで、基板連結用ダンパ50Aの第1の屈曲部K1と、第2の屈曲部K2とを相互に近づける方向(矢印C方向)へ変形させる。
【0057】
すると、第1の連結用線部55f及び第2の連結用線部55gが相互に拡がる方向(矢印D方向)に変位しようとするが、この第1の連結用線部55f及び第2の連結用線部55gは、前記矢印C方向へ力を及ぼしている指により、拡がりが阻止される。
【0058】
そして、このように第1の連結用線部55f及び第2の連結用線部55gの拡がりが阻止された状態で、第1の屈曲部K1及び第2の屈曲部K2がさらに矢印C方向へ押圧されると、中央屈曲部55aの屈曲角度が小さくなると共に、第1の屈曲部K1の屈曲角度及び第2の屈曲部K2の屈曲角度が大きくなる。すると、第1の連結用線部55f及び第2の連結用線部55gが両指よりも突出することになる(図15(b)参照)。
【0059】
そして、この突出した第1の連結用線部55f及び第2の連結用線部55gを、基板49Aのダンパ用スルーホール53f及び基板49Bのダンパ用スルーホール53eに、夫々挿入する。同様に、基板連結用ダンパ50Bの第1の連結用線部55f及び第2の連結用線部55gを突出させて、基板49Bのダンパ用スルーホール53f及び基板49Cのダンパ用スルーホール53eに挿入し、同様にして基板連結用ダンパ50Cの第1の連結用線部55f及び第2の連結用線部55gを基板49Cのダンパ用スルーホール53f及び基板49Dのダンパ用スルーホール53eに挿入する(図16参照)。
【0060】
この後、図17に示すように、基板49A〜49Dを、フロー半田槽の溶融半田Fyに浸漬することにより、カレントトランス48A〜48Dの各接続ピン51d〜51gと各基板49A〜49Dの接続ピン用スルーホール53a〜53dとを判断付けすると共に、各基板連結用ダンパ50A〜50Cの各第1の連結用線部55f及び第2の連結用線部55gを各基板49A〜49Dのダンパ用スルーホール53f及び53eに半田付けする。
【0061】
これにより、各基板49A〜49Dへのカレントトランス48A〜48Dの電気的及び機械的接続と、基板49A〜49Dと基板連結用ダンパ50A〜50Cとの機械的接続が一度になされ、もって、各基板49A〜49D、カレントトランス2A〜2D、基板連結用ダンパ50A〜50Cが一体化されたカレントトランスユニット47が構成される。この半田付けの後、図示しない前記基板保持具を取り外す。
このようにして前述したカレントトランス48A〜48Dと、基板49A〜49Dと、基板連結用ダンパ50A〜50Cとが一体化され、この一体物によってカレントトランスユニット47が構成される(図6参照)。
【0062】
この図6におけるカレントトランスユニット47では、基板連結用ダンパ50A〜50Cが自由状態にある状態を示しており、この場合、自由状態における基板連結用ダンパ50A〜50Cの第1の連結用線部55fと第2の連結用線部55gとの間の寸法Hcは、このカレントトランスユニット47におけるカレントトランス48A〜48Dの間隔寸法Haが、配置壁部43における配置部側電線挿通孔部46Aa〜46Daの間隔寸法(配置面部46A〜46Dの中心部間寸法)Hbと同じとなるように定めている。
【0063】
そして、カレントトランス48A〜48Dを前記配置壁部43の各配置面部46A〜46Dに配置する場合、カレントトランス48A〜48Dが基板49A〜49D及び基板連結用ダンパ50A〜50Cを介して繋がれた状態のカレントトランスユニット47を、作業者が持って、各カレントトランス48A〜48Dを配置面部46A〜46Dに配置する。このように各配置面部46A〜46Dへの各カレントトランス48A〜48Dの配置が一度に済む。なお、この組み込み状態で、図11に示すように、カレントトランス48A〜48Dの一面51aが配置面部46A〜46Dに対向し、各カレントトランス48A〜48Dの電線挿通孔部52の一方の開口(一面51a側の開口)が配置部側電線挿通孔部46Aa〜46Daに対向する。
【0064】
又、配置壁部43に配置されたカレントトランスユニット47のカレントトランス48A〜48Dの間隔寸法Haと、配置面部46A〜46Dの中心部間寸法Hbと同じであるから、基板連結用ダンパ50A〜50Cは自由状態のままであり、各カレントトランス48A〜48D間に、この基板連結用ダンパ50A〜50Cよる引っ張り方向及び圧縮方向のいずれのばね力も作用していない。
【0065】
この後、カバー54によりプログラマブルコントローラ本体42の第5の外面部42eを閉塞する。このカバー54は、カレントトランスユニット47の脱落防止用の部材としても機能する。そして、カレントトランス48A〜48Dの各電線挿通孔部52の他方の開口(他面51b側の開口)がカバー54のカバー側電線挿通孔部54a〜54dと対向する。
【0066】
上述のように構成されたプログラマブルコントローラ41は、図1に示すように、第1の外面部42aが上面、第5の外面部42e(カバー54)が前面となる向きで工場等の床面に設置されることもあれば、図18に示すように、第2の外面部42bが上面、第5の外面部42e(カバー54)が前面となる向きで工場の壁等に配置されることもある。
【0067】
特に上記図18の場合、電線9A〜9Dが、配置部側電線挿通孔部46Aa〜46Da、各カレントトランス48A〜48Dの電線挿通孔部52、カバー側電線挿通孔部54a〜54dに通された場合に、この電線9A〜9Dのうち例えば電線9C、9Dが、プログラマブルコントローラ1から垂れ下がった形態で引き回し配線されてしまうと、前述したように、電線挿通孔部52の径寸法が小で、配置部側電線挿通孔部46Aa〜46Da及びカバー側電線挿通孔部54a〜54dの径寸法が大の関係にあるから、図19で示すように、カレントトランス48Cや48Dに電線9Cや9Dの荷重である外力が矢印W方向(基板3と略平行な方向、つまり接続ピン51d〜51gに対するせん断方向)にかかってしまうおそれがある。
【0068】
しかし、本実施形態によれば、いずれの基板49A〜49Dも、弾性変形可能(第1の連結用線部55f及び第2の連結用線部55g間が拡開可能及び縮小可能)な基板連結用ダンパ50A〜50Cにより連結されているため、上記カレントトランス48C又は48Dの外力が他の基板49A、49Bへ伝達されることがほとんどなく、もって外力が他の基板49A、49Bに波及することを回避でき、もって、カレントトランス48Aと基板49Aとの半田付け部分、カレントトランス48Bと基板49Bとの半田付け部分にクラックが発生することを回避できる。なお、当該外力が直接作用するカレントトランス48C、48Dでは、それぞれの基板49C、49Dとの半田付け部分でクラックが発生することが懸念されるが、外力が直接作用するカレントトランス49C、49Dが、配置面部46C、46Dで若干動いたとしても当該基板49C、49Dも追随するため、半田付け部分に外力が作用することがなくもしくは極めて小さく、クラックの発生を回避することが可能となり、総じて、各カレントトランス48A〜48D及び基板49A〜49Dの半田付け部分でのクラック発生を回避することが可能である。
【0069】
又、図1の設置形態において、作業者が例えば電線9Aにぶつかって矢印H方向又はその逆方向の外力が一時的にカレントトランス48Aに作用することがあっても、この場合も、上述したように、各基板49A〜49D間を連結している基板連結用ダンパ50A〜50Cが弾性変形可能であるから、各カレントトランス48A〜48Dと各基板49A〜49Dとの半田付け部分にクラックが発生することがない。
【0070】
なお、外力が図18の矢印Wで示す方向とは逆方向に作用しても、上述と同様の作用効果を得ることができる。
又、本実施形態によれば、中央屈曲部55a両側の第1の線部55b及び第2の線部55cの各延出端部からさらに第3の線部55d及び第4の線部55eがクロスする形態で屈曲された形状であって、しかも中央屈曲部55aが直角以上で180度未満の開き角度α1で、且つ第1の屈曲部K1及び第2の屈曲部K2が、夫々直角以下の開き角度α2であるから、中央屈曲部55aが閉じ方向へ十分に変形可能であると共に第1の屈曲部K1及び第2の屈曲部K2が拡がり方向へ十分に変形可能であり、第1の線部55b〜第4の線部55eが横からの指の押圧操作で、十分に縦方向へ伸長し、第1の連結用線部55f及び第2の連結用線部55gが大きく突出するようになり、もって、第1の連結用線部55f及び第2の連結用線部55g以外の部分の高さ(自由状態での高さ)をさほど高くしなくとも、十分な突出長さを得ることができる。従って、この突出長を、図33(b)と同様の突出長さにする場合には、この図33の基板連結用ダンパ11A´〜11C´よりも高さを低くできる。
【0071】
この結果、本実施形態によれば、これら複数のカレントトランス48A〜48D、基板49A〜49D及び基板連結用ダンパ50A〜50Cが一体となったカレントトランスユニット47の状態では、基板49A〜49Dからの基板連結用ダンパ50A〜50Cの高さが低くなり、当該基板連結用ダンパ50A〜50Cと電線挿通孔部52とが近くなることがなく、電線9A〜9Dがこの基板連結用ダンパ50A〜50Cに引っ掛かるおそれも回避できる。
【0072】
そして、上述した各カレントトランス48A〜48D及び各基板49A〜49D並びに基板連結用ダンパ50A〜50の一体物であるカレントトランスユニット47を前記配置壁部43に配置することで、各カレントトランス48A〜48Dを各配置面部46A〜46Dに一度に配置することができ、複数のカレントトランス48A〜48Dの配置面部46A〜46Dへの組み込みが容易である。
【0073】
さらには、基板49A〜49Dのダンパ用スルーホール53e、53fに対して基板連結用ダンパ50A〜50Cの第1の連結用線部55f及び第2の連結用線部55gを挿入させる場合に、上述したように、当該基板連結用ダンパ50A〜50Cの各第1の連結用線部55f及び第2の連結用線部55gを十分に突出させることができ、ダンパ用スルーホール53e、53fへの挿入作業を簡単化を図ることが可能である。
【0074】
さらに本実施形態においては、カレントトランス48A〜48Dと基板49A〜49Dとのフロー半田工程において基板連結用ダンパ50A〜50C及び基板49A〜49Dも同時にフロー半田付けすることができ、基板49A〜49Dへの基板連結用ダンパ50A〜50Cの取付け工程を別途設けずに済む。
【0075】
そして、この基板連結用ダンパ50A〜50Cを、金属製のばね用線材55から構成したから、基板49A〜49Dの放熱にも寄与でき、さらにプログラマブルコントローラ1や基板49A〜49Dの発熱により劣化することが少なく、10年〜30年と長期にわたって使用されるプログラマブルコントローラ1の使用寿命の長期化に寄与できる。
【0076】
なお、上記実施形態では、図6に示したように、自由状態におけるカレントトランスユニット47でのカレントトランス48A〜48D離間寸法Haが配置面部46A〜46Dの中心部間寸法Hbと同じとなるように基板連結用ダンパ50A〜50Cの第1の連結用線部55fと第2の連結用線部55gとの離間寸法Hcを設定したことで、カレントトランスユニット47をそのまま配置壁部43に配置すれば、各カレントトランス48A〜48Dを各配置面部46A〜46Dに位置させることができる。
【0077】
ここで、上記基板連結用ダンパ50A〜50Cの第1の連結用線部55fと第2の連結用線部55gとの離間寸法を上述の離間寸法Hcよりやや小さく定めておけば、カレントトランスユニット47の配置壁部43への配置状態で、各基板連結用ダンパ50A〜50Cが各基板49A〜49Dを接近させる方向へ予めばね力を作用させておくことができ、基板49A〜49D相互間のがたつきをなくすことができる。このときの上記ばね力は、がたつき防止を図る程度の小さいばね力とすると良い。
【0078】
上記した各基板連結用ダンパ50A〜50Cは、これら各ダンパ50A〜50Dが塑性変形しない程度に各基板49A〜49Dを一体物として連結し且つ各基板49A〜49D間の外力伝達を低減するという条件を満足すれば良く、従って、第1の連結用線部55fと第2の連結用線部55gと離間方向、又拡開方向のばね定数(いわゆる弾性変形の強弱度合)や、ダンパの線の太さは、自ずと上述の条件を満足するように設定される。
【0079】
なお、上記配置面部はカレントトランスの配置領域を特定するものであり、前記実施形態では、当該配置面部を特定するためにリブを用いる構成を例示したが、リブに代えてピン状の小突起でも良い。
その他、本発明の実施形態は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適宜変更して適用可能である。
【符号の説明】
【0080】
図面中、電線9A〜9D、41はプログラマブルコントローラ、42はプログラマブルコントローラ本体、42a〜42fは第1〜第6の外面部、43は配置壁部、44a〜44c及び45a〜45dはリブ、46A〜46Dは配置面部、46Aa〜46Daは配置部側電線挿通孔部、47はカレントトランスユニット、48A〜48Dはカレントトランス、49A〜49Dは基板、50A〜50Cは基板連結用ダンパ、51はカレントトランス本体、51aは一面、51bは他面、51d〜51gは接続ピン、52は電線挿通孔部、53は基板本体、53a〜53dは接続ピン用スルーホール、53e〜53fはダンパ用スルーホール、55はばね用線材、55aは中央屈曲部、55bは第1の線部、55cは第2の線部、55dは第3の線部、55eは第4の線部、55fは第1の連結用線部、55gは第2の連結用線部、K1は第1の屈曲部、K2は第2の屈曲部、K4は第4の屈曲部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カレントトランス本体(51)に一面側からこれと反対の他面側へ貫通した電線挿通孔部(52)を有し且つ該カレントトランス本体(51)の前記電線挿通孔部(52)の無い外周面の一面から接続ピン(51d〜51g)が突出して構成された複数のカレントトランス(48A〜48D)と、
前記複数のカレントトランス(48A〜48D)と同数であって、夫々四角形状の基板本体(53)を有し、この基板本体(53)に接続ピン用スルーホール(53a〜53d)を有すると共に、両端部にダンパ用スルーホール(53e、53f)を有する基板(49A〜49D)と、
プログラマブルコントローラ本体(42)に設けられ、前記各カレントトランス(48A〜48D)の前記一面側が配置される配置面部(46A〜46D)を、並んで複数有し、各配置面部(46A〜46D)に前記カレントトランス(48A〜48D)の前記電線挿通孔部(52)と対向し且つ当該電線貫通孔部(52)よりは大きい配置部側電線挿通孔部(46Aa〜46Da)を夫々形成した配置壁部(43)と、
一本の金属製のばね用線材(55)から一体に形成され、このばね用線材(55)の中間部が直角以上で180度未満の開き角度をなして屈曲された屈曲部(55a)をなし、この屈曲部(55a)の両側にあって直線状に延び相互に次第に離間する第1の線部(55b)及び第2の線部(55c)を有し、これら第1の線部(55b)及び第2の線部(55c)の各延出端部から直角以下の開き角度で且つ相互に接近する方向へ延びるように屈曲され、この延び方向の途中で交差し、さらにその先の部分で相互に遠ざかる形態となる直線状の第3の線部(55d)及び第4の線部(55e)を有し、この第3の線部(55d)及び第4の線部(55e)の各延出端部から前記屈曲部(55a)に対して遠ざかる方向で且つ相互に略平行となる向きに屈曲された直線状をなす第1の連結用線部(55f)及び第2の連結用線部(55g)を有し、前記第1の線部(55b)と第3の線部(55d)と第2の連結用線部(55g)とが連続し、前記第2の線部(55c)と第4の線部(55e)と第1の連結用線部(55f)とが連続する基板連結用ダンパ(50A〜50C)と
を備え、
前記各基板(49A〜49D)の接続ピン用スルーホール(53a〜53d)に、前記各カレントトランス(48A〜48D)の接続ピン(51d〜51g)を挿入し、且つ前記複数の基板(49A〜49D)の前記ダンパ用スルーホール(53e、53f)同士が並ぶように当該複数の基板(49A〜49D)を配列し、配列された隣り合う基板(49A〜49D)同士のダンパ用スルーホール(53e、53f)に前記基板連結用ダンパ(50A〜50C)の第1の連結用線部(55f)及び第2の連結用線部(55g)の端部を挿入し、前記各接続ピン用スルーホール(53a〜53d)と各接続ピン(51d〜51g)を半田付けすると共に、各ダンパ用スルーホール(53e、53f)と前記基板連結用ダンパ(50A〜50C)の第1の連結用線部(55f)及び第2の連結用線部(55g)を半田付けすることにより、これら複数のカレントトランス(48A〜48D)、基板(49A〜49D)及び基板連結用ダンパ(50A〜50C)が一体となったカレントトランスユニット(47)を構成し、このカレントトランスユニット(47)における各カレントトランス(48A〜48D)及びこれと一体の各基板(49A〜49D)を前記配置壁部(43)の各配置面部(46A〜46D)に配置したことを特徴とするプログラマブルコントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2013−65182(P2013−65182A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203130(P2011−203130)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】