説明

プログラム、情報記憶媒体及びゲーム装置

【課題】プレーヤのタッチ操作によるキャラクタの移動を制御するための軌跡入力の便宜を図ること。
【解決手段】ゲームの進行中、進行中のゲームが一時停止されて仲間キャラクタの移動軌道を設定するための移動設定画面W5が表示される。移動設定画面W5では、ゲーム空間の俯瞰画像に、ゲーム空間に出現させることができる仲間キャラクタを表すキャラアイコン18が重畳表示されており、キャラアイコン18をタッチして、移動させたい経路に沿ってスライド操作を行う。そして、ゲーム進行が再開されてゲーム画面W3が再表示されると、スライド操作による入力軌跡22をもとに設定された移動軌道の始点に仲間キャラクタが出現し、該仲間キャラクタが該移動軌道に沿って移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル式のディスプレイを備え、所与の視点からゲーム空間を見たゲーム画像を表示制御して所定のゲームを進行制御するゲーム装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
表示画面上でタッチ操作入力を可能にするタッチパネルを搭載した携帯型ゲーム装置が知られている。こうしたタッチ操作入力を利用したゲームは、ボタン操作のみで操作入力するゲームに比べてより直感的な操作入力ができるとしてユーザから高い人気を得ている。タッチ操作入力を利用したゲームとして、例えば、表示画面上にラインを引く(描く)ことで、移動キャラクタの移動経路や移動方向に影響を与えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3770499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来のゲームにおける“ラインを引く”タッチ操作入力(軌跡入力)は、ゲーム進行中のゲーム画面において行うものである。また、一般的に、ゲーム画面は三次元空間であるゲーム空間の様子を所与の仮想視点から見た画像として表示されるが、視点の設定によっては、ゲーム画面における軌跡入力がしづらい場合がある。例えば、視点が横方向(或いは斜め方向)から見るように設定されている場合には、軌跡入力を行いたい範囲が他のオブジェクトなどに隠されてゲーム画面では見えないといったことが起こり得る。また、視点が操作対象のキャラクタに接近しているときには、ゲーム画面には該キャラクタの近傍範囲しか表示されないため、軌跡入力が可能な範囲が狭いという不都合もある。本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、プレーヤのタッチ操作によるキャラクタの移動を制御するための軌跡入力の便宜を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための第1の発明は、
タッチパネル式のディスプレイを備えたコンピュータに、プレーヤの操作入力に従って移動制御する第1視点(例えば、図4の仮想視点CM1)からゲーム空間を見たゲーム画像(例えば、図2(b)のゲーム画面W3)を生成させて所定のゲームを進行させるためのプログラム(例えば、図17のゲームプログラム410)であって、
前記ゲーム空間を俯瞰する位置であって、前記第1視点より撮影範囲が広い視点位置及び/又は画角に定められた第2視点(例えば、図4の仮想視点CM2)から前記ゲーム空間を俯瞰した俯瞰画像(例えば、図3の移動設定画面W5)を前記ディスプレイに表示制御する俯瞰画像表示制御手段(例えば、図17の移動設定部213)、
タッチ操作に従って前記俯瞰画像上に軌跡(例えば、図5の入力軌跡22)を描画する軌跡描画手段(例えば、図17の移動設定部213)、
前記軌跡に基づいて、所定のキャラクタ(例えば、図7の仲間キャラクタ12)が前記ゲーム空間中を移動する移動軌道(例えば、図7の移動軌道24)を設定する移動軌道設定手段(例えば、図17の移動設定部213)、
前記移動軌道に沿って前記キャラクタを移動制御させるキャラクタ制御手段(例えば、図17の仲間キャラ制御部212)、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0006】
また、他の発明として、
タッチパネル式のディスプレイを備え、プレーヤの操作入力に従って移動制御する第1視点からゲーム空間を見たゲーム画像を表示制御して所定のゲームを進行制御するゲーム装置(例えば、図1,図17の携帯型ゲーム装置1000)であって、
前記ゲーム空間を俯瞰する位置であって、前記第1視点より撮影範囲が広い視点位置及び/又は画角に定められた第2視点から前記ゲーム空間を俯瞰した俯瞰画像を前記ディスプレイに表示制御する俯瞰画像表示制御手段と、
タッチ操作に従って前記俯瞰画像上に軌跡を描画する軌跡描画手段と、
前記軌跡に基づいて、所定のキャラクタが前記ゲーム空間中を移動する移動軌道を設定する移動軌道設定手段と、
前記移動軌道に沿って前記キャラクタを移動制御させるキャラクタ制御手段と、
を備えたゲーム装置を構成しても良い。
【0007】
この第1の発明等によれば、タッチパネル式のディスプレイに第1視点からゲーム空間を見た画像が表示制御されて所定のゲームが進行制御されるが、ディスプレイには、第1視点とは異なる第2視点から俯瞰した俯瞰画像も表示される。そして、タッチ操作に従ってこの俯瞰画像上に軌跡が描画され、描画された軌跡に基づいて設定された移動軌道に沿ってキャラクタが移動制御される。ここで、第2視点は、第1視点よりも撮影範囲が広い視点位置及び/又は画角に定められている。つまり、ゲーム画像よりも広い範囲が撮影された俯瞰画像においてタッチ操作による軌跡の描画が行われるため、プレーヤにとっては、キャラクタの位置関係などのゲーム空間の様子をより把握でき、キャラクタの移動軌道を設定するための軌跡入力がし易くなる。
【0008】
第2の発明として、第1の発明のプログラムであって、
前記ディスプレイに表示する画像を、前記ゲーム画像及び前記俯瞰画像の何れかに切り替える画像切換制御手段(例えば、図17の移動設定部213)、
前記画像切換制御手段によって前記俯瞰画像に切り替えられている場合に前記ゲームの進行を一時停止し、前記ゲーム画像に切り替えられている場合に前記ゲームを進行させるゲーム進行制御手段(例えば、図17のゲーム演算部210)、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラムを構成しても良い。
【0009】
この第2の発明によれば、ディスプレイに表示する画像がゲーム画像及び俯瞰画像の何れかに切り替えられるとともに、俯瞰画像に切り替えられている場合には、ゲームの進行が一時停止される。つまり、ゲーム進行が一時停止されている状態での俯瞰画像において、タッチ操作による軌跡入力ができる。このため、軌跡入力が完了する前にキャラクタが予定外の移動をしてしまうといったことが起こらず、プレーヤにとっては、時間を気にすることなく、所望の形状の軌跡入力を確実に行うことができる。
【0010】
第3の発明として、第1又は第2の発明のプログラムであって、
前記俯瞰画像上に所定の指示アイコン(例えば、図3のボタン表示20)を重畳的に表示制御する指示アイコン重畳表示制御手段(例えば、図17の移動設定部213)、
前記俯瞰画像上の前記指示アイコンがタッチ操作された場合に、当該指示アイコンに予め対応づけられた所定の処理を実行するアイコン指示処理実行手段(例えば、図17の移動設定部213)、
前記俯瞰画像中の前記指示アイコンの重畳表示部分以外の部分がタッチ操作された場合に、前記指示アイコンを消去する指示アイコン消去手段(例えば、図17の移動設定部213)、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラムを構成しても良い。
【0011】
この第3の発明によれば、俯瞰画像上には、予め所定の処理が対応付けられた指示アイコンが重畳的に表示制御されるが、指示アイコンの重畳表示部分以外の部分がタッチ操作された場合には、この指示アイコンが消去される。これにより、指示アイコンの背後の隠されている部分についても、タッチ操作による軌跡入力を行うことができる。また、指示アイコンがタッチされた場合には、該指示アイコンに対応付けられた所定の処理が実行される。
【0012】
第4の発明として、第1〜第3の何れかの発明のプログラムであって、
前記移動軌道設定手段が、前記軌跡に沿ったジグザグ状の軌道を前記移動軌道として設定し(例えば、図15の移動軌道24)、
前記キャラクタ制御手段が、前記キャラクタの移動制御中に、当該キャラクタに予め定められたサーチ範囲内に所定のオブジェクトが位置した場合に該オブジェクトに応じた所定の制御を前記キャラクタに適用する、
ように前記コンピュータを機能させるためのプログラムを構成しても良い。
【0013】
この第4の発明によれば、俯瞰画像上に描画された軌跡に沿ったジグザグ状の軌道がキャラクタの移動軌道として設定される。このように、キャラクタの移動軌道を、描画された軌跡そのものではなく、軌跡に沿ったジグザグ状の軌道とすることで、例えば描画された軌跡そのものを移動軌道とした場合に比較して、移動軌道に沿って移動したときのキャラクタのサーチ範囲を見かけ上広げたような効果を得ることができる。
【0014】
第5の発明として、第1〜第4の何れかの発明のプログラムであって、
前記キャラクタ制御手段が、
前記キャラクタの向きを変化させつつ移動制御する手段(例えば、図17の仲間キャラ制御部212)と、
前記キャラクタの移動制御中に、当該キャラクタに予め定められたサーチ範囲内に所定のオブジェクトが位置した場合に該オブジェクトに応じた所定の制御を前記キャラクタに適用する手段(例えば、図17の仲間キャラ制御部212)と、
を有するように前記コンピュータを機能させるためのプログラムを構成しても良い。
【0015】
この第5の発明によれば、キャラクタの向きを変化させつつ移動制御される。これにより、キャラクタのサーチ範囲がキャラクタの向きに依存する場合、キャラクタの向きを変化させつつ移動経路に沿って移動させることで、例えばキャラクタの向きを一定とする場合と比較して、移動軌道に沿って移動したときのキャラクタのサーチ範囲を見かけ上広げたような効果を得ることができる。
【0016】
第6の発明として、第1〜第5の何れかの発明のプログラムであって、
前記キャラクタ制御手段が、
前記移動軌道の始点に前記キャラクタを出現させる出現制御手段(例えば、図17の仲間キャラ制御部212)、
前記キャラクタの前記ゲーム空間中の存在時間を計時し、所与の存在可能時間に達した場合に、前記キャラクタを前記ゲーム空間から消去する消去制御手段(例えば、図17の仲間キャラ制御部212)、
として前記コンピュータを機能させ、
前記軌跡描画手段が、前記軌跡の長さが前記存在可能時間に応じた所与の描画可能長に達した場合に、当該描画可能長までの軌跡とするように前記コンピュータを機能させる、
ためのプログラムを構成しても良い。
【0017】
この第6の発明によれば、キャラクタは、移動軌道の始点に出現されるとともに、ゲーム空間中の存在時間が所与の存在可能時間に達するとゲーム空間から消去される。また、俯瞰画面上にタッチ操作により描画される軌跡が、キャラクタのゲーム空間での存在可能時間に応じた描画可能長までの軌跡とされる。つまり、タッチ操作による軌跡は、キャラクタの存在可能時間に応じた描画可能長までしか描画されない。これにより、プレーヤは、タッチ操作により描画される軌跡の長さによって、キャラクタが消去されるまでに移動可能な最大距離が把握できる。
【0018】
第7の発明として、第6の発明のプログラムであって、
前記軌跡描画手段が、前記キャラクタに定められた移動速度と前記存在可能時間とから前記描画可能長を決定する描画可能長決定手段を有するように前記コンピュータを機能させるためのプログラムを構成しても良い。
【0019】
この第7の発明によれば、キャラクタに定められた移動速度と存在可能時間とから描画可能長が決定される。
【0020】
第8の発明として、第1〜第7の何れかの発明のプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な情報記憶媒体(例えば、図17の記憶部400)を構成しても良い。ここでいう「情報記憶媒体」とは、例えば磁気ディスクや光学ディスク、ICメモリなどを含む。第8の発明によれば、情報記憶媒体に記憶されたプログラムをコンピュータに読み取らせて実行させることで、第1〜第7の何れかの発明と同様の作用効果を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】携帯型ゲーム装置の外観例。
【図2】プレイ中の表示画面例。
【図3】移動設定画面の一例。
【図4】仮想カメラの設定の説明図。
【図5】移動設定画面における軌跡入力の説明図。
【図6】移動設定画面における軌跡入力の説明図。
【図7】ゲーム画面の一例。
【図8】ゲーム画面の一例。
【図9】移動設定画面におけるボタン表示の消去の説明図。
【図10】移動設定画面におけるボタン表示の消去の説明図。
【図11】移動設定画面におけるボタン表示の消去の説明図。
【図12】移動設定画面におけるボタン表示の消去の説明図。
【図13】仲間キャラクタのサーチ範囲の設定例。
【図14】仲間キャラクタの制御の説明図。
【図15】入力軌跡に基づく移動軌道の設定の説明図。
【図16】移動軌道の違いによるサーチ範囲の変化の説明図。
【図17】携帯型ゲーム装置の機能構成図。
【図18】プレーヤキャラデータのデータ構成例。
【図19】仲間キャラデータのデータ構成例。
【図20】ゲーム処理のフローチャート。
【図21】ゲーム処理中に実行される移動設定処理のフローチャート。
【図22】移動設定画面の他の例。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を適用した実施形態として、タッチパネルを備えた携帯型ゲーム装置で実行されるRPG(Role-Playing Game)において、タッチ操作による入力軌跡をプレーヤキャラクタの仲間キャラクタの移動制御に利用する例を説明する。
【0023】
[ゲーム装置の構成]
図1は、本実施形態における携帯型ゲーム装置1000の外観図である。図1によれば、携帯型ゲーム装置1000は、プレーヤがゲーム操作を入力するための方向入力キー1004及びボタンスイッチ1006と、第1液晶ディスプレイ1008と、第2液晶ディスプレイ1010と、スピーカ1016と、制御ユニット1020とを、ヒンジで開閉自在な折り畳み型の装置本体1002に備えている。そして、第1液晶ディスプレイ1008及び第2液晶ディスプレイ1010の表示面上には、スタイラスペン1040などで触れることによって表示画面の任意位置を接触入力することのできるタッチパネル1012,1014がそれぞれ装着されている。
【0024】
また、装置本体1002には、コンピュータ読み出し可能な情報記憶媒体であるメモリカード1030にデータを読み書きできるメモリカード読取装置1026が備えられている。メモリカード1030には、携帯型ゲーム装置1000の制御ユニット1020がゲームプレイにかかる各種演算処理を実行するために必要なプログラムや各種設定データが記憶されている。またその他、装置本体1002には図示されていない内蔵バッテリーや電源ボタン、音量調節ボタン等が設けられている。
【0025】
タッチパネル1012,1014は、表示画面を遮蔽することなくそれぞれ第1液晶ディスプレイ1008及び第2液晶ディスプレイ1010の表示画面のほぼ全域を被い、プレーヤがスタイラスペン1040(或いは指など)で触れる接触操作を行うと、左上を原点とする直交Xw,Yw軸座標系における接触位置座標を制御ユニット1020へ出力することができる。
【0026】
制御ユニット1020は、ゲーム装置の制御基板に相当し、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などの各種マイクロプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、VRAMやRAM,ROM等の各種ICメモリを搭載する。また、制御ユニット1020は、無線通信モジュール1022や、3軸加速度センサ1024、第1液晶ディスプレイ1008及び第2液晶ディスプレイ1010のドライバ回路、タッチパネル1012,1014のドライバ回路、方向入力キー1004及びボタンスイッチ1006からの信号を受信する回路、スピーカ1016へ音声信号を出力するためのアンプ回路、メモリカード読取装置1026への信号入出力回路といった所謂I/F回路(インターフェース回路)を搭載する。これら制御ユニット1020に搭載されている各要素は、それぞれバス回路を介して電気的に接続され、データの読み書きや信号の送受信が可能に接続されている。
【0027】
3軸加速度センサ1024は、携帯型ゲーム装置1000の姿勢変化や位置変化を検出するために直交するX,Y軸,Z軸の3軸方向の加速度を検出し、検出信号を制御ユニット1020へ出力する。尚、加速度センサの代わり、又は更なる機能追加としてジャイロセンサを備える構成としても良い。或いは地磁気を基準として位置や姿勢変化を検出する磁気センサを更に機能追加してもよい。
【0028】
そして、制御ユニット1020は、メモリカード読取装置1026によってメモリカード1030に格納されているプログラムやデータを読み出して、搭載するICメモリにこれらを一時記憶する。そして、読み出したプログラムを実行して演算処理を実行し、方向入力キー1004やボタンスイッチ1006、タッチパネル1012,1014からの操作入力に応じて携帯型ゲーム装置1000の各部を制御して所与のゲームを実行する。
【0029】
なお、本実施形態では、携帯型ゲーム装置1000は必要なプログラムや各種設定データをメモリカード1030から読み出す構成としているが、無線通信モジュール1022を介して、インターネットやLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などの有線/無線の通信回線Nに接続して外部の装置からダウンロードする構成としても良い。
【0030】
[ゲーム概要]
図2は、プレイ中の表示画面の一例である。図2(a)は、第1液晶ディスプレイ1008に表示される情報画面W1を示し、図2(b)は、第2液晶ディスプレイ1010に表示されるゲーム画面W3を示している。
【0031】
図2(a)に示すように、第1液晶ディスプレイ1008の情報画面W1には、現在のゲームステージの概略1や、このゲームステージにおけるプレーヤキャラクタ10の大凡の現在位置3、ゲームに登場するプレーヤキャラクタ10及び仲間キャラクタ12それぞれのステータス5などといった、ゲームプレイの参考となる各種情報が表示される。
【0032】
プレーヤキャラクタ10のステータス5aには、その似顔絵や名前、現在のレベル及び体力値が含まれる。各仲間キャラクタ12のステータス5bには、その似顔絵や名前、属性、持ち時間が含まれる。仲間キャラクタ12の「持ち時間」とは、該キャラクタがゲーム空間に存在し得る残り時間であり、キャラクタ毎に異なる上限値(存在可能時間)が定められている。すなわち、持ち時間は、該キャラクタがゲーム空間中に出現しているときには時間経過とともに減少し、ゼロになると該キャラクタはゲーム空間から消失する。但し、この持ち時間は、該キャラクタがゲーム空間に出現していないときは、時間経過とともに増加(回復)してゆく。
【0033】
また、図2(b)に示すように、第2液晶ディスプレイ1010のゲーム画面W3には、プレーヤキャラクタ10を中心としたゲームステージの様子が表示される。このゲーム画面W3は、ゲーム空間の様子を所与の仮想視点(仮想カメラ)から見た3DCGによるゲーム画像に、その時々のゲーム状況に応じた各種のボタン表示20などが重畳的に合成されて生成される。仮想視点はプレーヤキャラクタ10に追従するように設定されており、ゲーム画面W3では、プレーヤキャラクタ10が常にそのほぼ中心に位置するように表示される。
【0034】
プレーヤは、これらの表示画面を見ながら、方向入力キー1004やボタンスイッチ1006、タッチパネル1012,1014を用いた操作を行って、プレーヤキャラクタ10を移動させたり敵キャラクタ14と戦闘させたりしながら、ゲームステージに定められたゴール地点を目指す。制限時間内にゴール地点に到達できればゲームクリアとなり、制限時間内に到達できない場合や敵キャラクタの攻撃を受けて体力値(HP)がゼロになった場合にはゲームオーバーとなる。
【0035】
また、本実施形態のゲームでは、プレーヤが操作入力によってその制御に関与できるキャラクタとして、プレーヤキャラクタ10のほかに仲間キャラクタ12が登場する。
【0036】
図2(b)のゲーム画面W3は、仲間キャラクタ12が出現していないときの様子を示している。プレーヤは、この仲間キャラクタ12に対する操作入力として、該キャラクタが移動することとなる経路(移動軌道)を設定することができる。具体的には、ゲーム画面W3において、仲間キャラクタ12の移動設定を開始させる「なかま」のボタン表示20aをタッチして選択する。すると、ゲーム進行が一時停止し、第2液晶ディスプレイ1010の表示画面がゲーム画面W3から移動設定画面W5に切り替わる。
【0037】
図3は、移動設定画面W5の一例を示す図である。図3に示すように、移動設定画面W5では、ゲーム画面W3とは異なる視点から見たゲーム空間の様子が表示される。すなわち、図4に示すように、ゲーム画面用の仮想視点CM1(第1視点)は、プレーヤキャラクタ10を斜め上方から見下ろすように設定され、移動設定画面用の仮想視点CM2(第2視点)は、プレーヤキャラクタ10を上方から俯瞰するように設定される。また、仮想視点CM2のほうが、仮想視点CM1よりもプレーヤキャラクタ10から遠い位置に配置されている(D1<D2)。つまり、仮想視点CM2は仮想視点CM1よりも引いた視点であり、移動設定画面W5においては、ゲーム画面W3では映らない画面外の様子も映されることになる。なお、ゲーム進行が一時停止しているため、仮想視点CM2に基づく画像(俯瞰画像)は静止画像となる。
【0038】
そして、この仮想視点CM2から見たゲーム空間の画像(俯瞰画像)に、プレーヤの操作入力のための各種のボタン表示20b,20cや、仲間キャラクタ12を表すキャラアイコン18が重畳的に表示されて、移動設定画面W5が生成される。
【0039】
移動設定画面W5では、現時点でゲーム空間に出現していない仲間キャラクタ12についての移動設定が可能であり、この移動設定が可能なキャラクタについてのキャラアイコン18が表示される。また、キャラアイコン18はプレーヤキャラクタ10の近傍に表示され、その表示位置が該当する仲間キャラクタ12のゲーム空間での出現位置となる。
【0040】
この移動設定画面W5において、プレーヤは、ゲーム空間に出現(登場)させる仲間キャラクタの選択や、その移動軌道を入力する移動設定を行う。具体的には、図5に示すように、出現させたい仲間キャラクタ12のキャラアイコン18をスタイラスペン1040でタッチして選択し、タッチしたまま、移動させたい経路を描くようなスライド操作を行う。ここで、「スライド操作」とは、表示画面上をタッチしたまま移動させる操作である。また、表示画面へのタッチを開始する操作を「タッチイン」といい、表示画面から離す操作を「タッチアウト」という。すると、スライド操作に伴うタッチ位置の軌跡(入力軌跡)22が表示(描画)される。この入力軌跡22は、図6に示すように、タッチアウトしても表示されたままである。図6では、キャラアイコン18aから敵キャラクタ14aに向かう入力軌跡22が表示されている。
【0041】
軌跡入力を完了した後、仲間キャラクタ12の移動設定を完了する「とつげき!」のボタン表示20bをタッチして選択する。すると、第2液晶ディスプレイ1010の表示画面が、移動設定画面W5から、図7に示すゲーム画面W7に切り替えられるとともに、一時停止されていたゲーム進行が再開される。
【0042】
ゲーム進行再開直後のゲーム画面W7では、移動設定画面W5において選択したキャラアイコン18に対応する仲間キャラクタ12が、該アイコン18の表示位置に相当する位置に出現する。そして、図8に示すように、この仲間キャラクタ12が、移動設定画面W5において入力した入力軌跡22に相当する移動軌道24に沿って移動する。移動軌道24は、移動設定画面W5において描かれた二次元の入力軌跡22を、ゲーム空間中の三次元の軌道に変換したものである。なお、この移動軌道24は、ゲーム画面W7においては表示されないが、説明の便宜上図示している。
【0043】
また、移動設定画面W5においては、一度描画された入力軌跡22を描画し直すことができる。すなわち、例えば図6に示す移動設定画面W5のように、既に入力軌跡22が描画されているキャラアイコン18aを再度タッチして選択すると、該キャラアイコン18aを始点として描画された入力軌跡22が消去(クリア)されるので、そのままスライド操作を行うことで、新たな入力軌跡22を描画させることができる。
【0044】
ところで、図3に示した移動設定画面W5においてキャラアイコン18をタッチすると、図9に示すように、ボタン表示20b,20cが画面の外方に移動するように(或いは、徐々に薄くなるように)消去される(スライドオフ)。これにより、ボタン表示20b、20cで隠れている部分についても軌跡入力ができるようになる。消去されたボタン表示20b,20cは、図10に示すように、タッチアウトすると再表示される。なお、このボタン表示20b,20cの消去/再表示は、該ボタン表示20b,20c以外の部分をタッチした場合に行われるものであり、例えば、図11に示すように、キャラアイコン18以外の部分をタッチした場合も同様にボタン表示20b,20cが消去され、タッチアウトすると再表示される。
【0045】
また、図8のゲーム画面W7に示すように仲間キャラクタ12が既に出現している状態で「なかま」のボタン表示20aを選択すると、続いて表示される移動設定画面W11では、図12に示すように、ゲーム空間に出現していない仲間キャラクタ12のみのキャラアイコン18が表示される。つまり、この場合、ゲーム空間に出現していない仲間キャラクタ12のみが、移動設定が可能となっている。
【0046】
このような出現中の仲間キャラクタ12に対する移動設定を行いたい場合には、出現中の仲間キャラクタ12を消失させて指示可能とさせる「もどれ!」のボタン表示20cを選択する。すると、ゲーム空間に出現している仲間キャラクタ12が消失して移動設定が可能となり、該キャラクタに対応するキャラアイコン18が表示される。
【0047】
上述のように、仲間キャラクタ12は、設定された移動軌道24に沿って移動するよう制御される。また、図13(a)に示すように、仲間キャラクタ12には、該キャラクタを中心とする円形状のサーチ範囲30が定められている。そして、図14に示すように、このサーチ範囲30内に所定のオブジェクト(例えば、敵キャラクタ14などのキャラクタや、宝箱16などのアイテム)が位置する場合、該オブジェクトに対する所定処理(例えば、敵キャラクタ14との戦闘や、宝箱16を開ける動作)を行うように制御される。
【0048】
すなわち、仲間キャラクタ12は、基本的には、移動軌道24に沿って移動するが、移動中、該キャラクタに定められたサーチ範囲30内に所定オブジェクトが位置すると、移動軌道24に沿った移動を一旦中断してそのオブジェクトに対する所定処理を行い、終了すると、移動軌道24に沿った移動を再開するように制御される。この移動及び動作の制御は、AI制御と呼ばれる公知のNPCの自動制御技術によって実現される。
【0049】
なお、サーチ範囲30の形状は円形状に限らず、例えば、図13(b)に示すような、仲間キャラクタ12の正面方向を中心とする扇形状としても良い。この場合、移動軌道24に沿って移動させる際に、仲間キャラクタ12の向きを、移動方向(移動軌道24に沿った方向)とは異なる向きに変化させつつ(例えば、首振り動作をしながら移動するかのように正面方向を左右に変化させながら)、移動させることにしても良い。
【0050】
また、上述のように、仲間キャラクタ12の移動軌道24は、移動設定画面W5における入力軌跡22をもとに設定されるが、設定される移動軌道24は入力軌跡22にほぼ一致する軌道ではなく、図15に示すように、入力軌跡22に沿ったジグザグ状の軌道(すなわち、入力軌跡22に周期的に近づいたり離れたりを繰り返す軌道)として設定される。これにより、見かけ上のサーチ範囲30を広げることができる。
【0051】
すなわち、図16(a)に示すようなゲーム場面において、移動軌道24を入力軌跡22にほぼ一致する軌道とした場合、敵キャラクタ14は、入力軌跡22から仲間キャラクタ12のサーチ範囲30の半径Rより離れた位置にいるため、移動軌道24に沿って移動する該仲間キャラクタ12のサーチ範囲30内に位置することがない。しかし、図16(b)に示すように、移動軌道を入力軌跡22に沿ったジグザグ状の軌道とした場合には、該キャラクタのサーチ範囲30に敵キャラクタが位置し得ることになる。なお、移動軌道24は入力軌跡22の始点から終点に至る軌道とされる。
【0052】
[機能構成]
図17は、携帯型ゲーム装置1000の機能構成を示すブロック図である。図17によれば、携帯型ゲーム装置1000は、機能的には、操作入力部100と、処理部200と、画像表示部320と、音出力部330と、通信部340と、記憶部400とを備えて構成される。
【0053】
操作入力部100は、プレーヤによる操作入力を受け付け、操作に応じた操作信号を処理部200に出力する。この機能は、操作入力部100は、ボタンスイッチやジョイスティック、タッチパッド、トラックボール、加速度センサユニット、傾斜センサユニットなどによって実現される。図1では、方向入力キー1004やボタンスイッチ1006がこれに該当する。
【0054】
また、操作入力部100は、タッチ位置検出部110を含む。タッチ位置検出部110は、表示画面範囲への接触位置(タッチ位置)を検出し、検出した接触位置を、例えば、表示画面の左上を原点Oとする直交Xw,Yw座標系で表現された座標値(Xt,Yt)として出力する。図1では、タッチパネル1012,1014がこれに該当する。
【0055】
処理部200は、例えばCPUやGPU等のマイクロプロセッサや、ASIC(特定用途向け集積回路)、ICメモリなどの電子部品によって実現され、操作入力部100や記憶部400を含む携帯型ゲーム装置1000の各機能部との間でデータの入出力を行う。そして、所定のプログラムやデータ、操作入力部100からの操作入力信号に基づいて各種の演算処理を実行して、携帯型ゲーム装置1000の動作を制御する。図1では制御ユニット1020がこれに該当する。また、処理部200は、主にゲームの実行に係る演算処理を行うゲーム演算部210と、ゲーム演算部210の処理によって求められたデータに基づきゲーム画像を生成する画像生成部220と、効果音やBGM等のゲーム音を生成する音生成部230とを含む。
【0056】
ゲーム演算部210は、プレーヤキャラ制御部211と、仲間キャラ制御部212と、移動設定部213とを含み、ゲームプログラム410に従ったゲーム処理を実行する。
【0057】
プレーヤキャラ制御部211は、操作入力部100からのプレーヤの操作入力に従ってプレーヤキャラクタ10を制御する。
【0058】
ここで、プレーヤキャラクタ10についてのデータは、プレーヤキャラデータ430として記憶されている。図18は、プレーヤキャラデータ430のデータ構成の一例を示す図である。図18に示すように、プレーヤキャラデータ430は、プレーヤキャラクタ10の名称431と、現在のレベル432、体力値433及び位置434と、モデルデータ435と、モーションデータなどの制御データ436とを格納している。
【0059】
仲間キャラ制御部212は、仲間キャラクタ12を制御する。
【0060】
ここで、仲間キャラクタ12についてのデータは、仲間キャラデータ440として記憶されている。図19は、仲間キャラデータ440のデータ構成の一例を示す図である。図19に示すように、仲間キャラデータ440は、ゲームに登場する仲間キャラクタ12毎に生成され、該当する仲間キャラクタ12の名称441と、属性442と、移動速度443と、サーチ範囲444と、軌道設定パラメータ445と、現在位置446と、現在の持ち時間447と、出現中フラグ448と、移動軌道データ449と、モデルデータ450と、モーションデータ等の制御データ451とを格納している。
【0061】
サーチ範囲444は、例えば、図13(a)に示すように、仲間キャラクタ12を中心とする円形状の場合には、該円形状の半径Rが設定される。軌道設定パラメータ445は、該キャラクタに設定する移動軌道24の形状を決めるパラメータである。具体的には、図15に示すように、移動軌道24が入力軌跡22に沿ったジグザグ形状の軌道の場合には、このジグザグ形状を周期的な三角波とみなしたときの振幅H及び周期Wが設定される。出現中フラグ448は、ゲーム空間に出現しているか否かを表すフラグである。移動軌道データ449は、該キャラクタに設定された移動軌道24である。
【0062】
仲間キャラ制御部212は、移動設定部213により新たに出現させるとして選択された仲間キャラクタ12を、該キャラクタに設定されている移動軌道24の始点位置に出現させる。そして、この仲間キャラクタを、該キャラクタに設定されている移動軌道24に沿って移動するように制御する。また、移動中、該キャラクタに定められているサーチ範囲30内に所定のオブジェクト(例えば、敵キャラクタ14などのキャラクタや、宝箱16などのアイテム)が位置する場合には、該オブジェクトの種類に応じた所定の処理(例えば、敵キャラクタ14との戦闘や、宝箱を開ける動作など)を行う。この際、所定のオブジェクトを検知したときの該キャラクタの位置を記憶しておく。そして、その処理が終了すると、該処理を開始した際に記憶したキャラクタの位置に移動する軌道復帰移動を行った後、移動軌道24に沿った移動を再開させる。この移動及び動作の制御は、AI制御と呼ばれる公知のNPCの自動制御技術によって実現される。
【0063】
また、仲間キャラ制御部212は、ゲーム空間に出現中の仲間キャラクタ12それぞれの持ち時間を時間経過に伴って減少させてゆく。そして、持ち時間がゼロとなった仲間キャラクタ12については、ゲーム空間から消失させる。また、ゲーム空間に出現していない仲間キャラクタ12については、その持ち時間を時間経過に伴って回復させる。
【0064】
移動設定部213は、操作入力部100からのプレーヤの操作入力に従って、仲間キャラクタ12の移動設定を行う。
【0065】
具体的には、ゲーム進行中、ゲーム画面W3における「なかま」のボタン表示20aの選択による仲間キャラクタ12に対する移動設定の開始操作がなされると、ゲーム進行を一時停止させる。そして、現時点でゲーム空間に出現していない仲間キャラクタ12を、移動設定が可能なキャラクタとする。次いで、ゲーム画面W3から移動設定画面W5に表示を切り替える。すなわち、視点を仮想視点CM1から仮想視点CM2に切り替えて仮想視点CM2に基づくゲーム空間の画像(俯瞰画像)を生成し、この俯瞰画像に、各種のボタン表示20や、移動設定が可能な仲間キャラクタ12それぞれに対応するキャラアイコン18を重畳して移動設定画面W5を生成する。このとき、キャラアイコン18は、プレーヤキャラクタ10の近傍に配置する。
【0066】
続いて、移動設定画面W5においてキャラアイコン18がタッチされると、そのタッチされたキャラアイコン18に対応する仲間キャラクタ12を、ゲーム空間に新たに出現させるキャラクタとする。そして、そのタッチに続いてなされたスライド操作による入力軌跡22をゲーム空間における三次元の軌道に変換し、該キャラクタの移動軌道24として設定する。このとき、移動軌道24は、図15に示したように、入力軌跡22に沿ったジグザグ状の軌道として設定する。このジグザグ形状を決める振幅H及び周期Wは、該当する仲間キャラデータ440において軌道設定パラメータ445として定められている。
【0067】
そして、「とつげき!」のボタン表示20bの選択による移動設定の完了操作がなされると、移動設定画面からゲーム画面に表示を切り替えるとともに、一時停止させていたゲーム進行を再開させる。
【0068】
更に、移動設定部213は、移動設定画面W5においてボタン表示20以外の部分がタッチされた場合、該ボタン表示20を消去させる。その後、タッチアウトが検出されると、消去したボタン表示20を再表示させる。
【0069】
画像生成部220は、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)などのプロセッサ、ビデオ信号IC、ビデオコーデック、フレームバッファ等の描画フレーム用ICメモリ等によって実現される。画像生成部220は、ゲーム演算部210による処理結果に基づいて1フレーム時間(例えば1/60秒)で1枚のゲーム画像を生成し、生成したゲーム画像の画像信号を画像表示部320に出力する。
【0070】
画像表示部320は、画像生成部220から入力される画像信号に基づいて各種ゲーム画像を表示する。例えば、フラットパネルディスプレイやブラウン管(CRT)といった画像表示装置によって実現できる。図1では、第1液晶ディスプレイ1008及び第2液晶ディスプレイ1010がこれに該当する。
【0071】
音生成部230は、例えばデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、音声合成ICなどのプロセッサや、音声ファイル再生可能なオーディオコーデックによって実現され、ゲーム演算部210による処理結果に基づいてゲームに係る効果音やBGM、各種操作音の音信号を生成し、音出力部330に出力する。
【0072】
音出力部330は、音生成部230から入力される音信号に基づいて効果音やBGM等を音出力する装置によって実現される。図1では、スピーカ1016がこれに該当する。
【0073】
通信部340は、通信回線Nと接続して通信を実現する。例えば、無線通信機、モデム、TA(ターミナルアダプタ)、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等によって実現され、図1の無線通信モジュール1022がこれに該当する。
【0074】
記憶部400は、処理部200に携帯型ゲーム装置1000を統合的に制御させるための諸機能を実現するためのシステムプログラムや、ゲームを実行させるために必要なゲームプログラム、各種データ等を記憶する。また、処理部200の作業領域として用いられ、処理部200が各種プログラムに従って実行した演算結果や操作入力部100から入力される入力データ等を一時的に記憶する。この機能は、例えばRAMやROMなどのICメモリ、ハードディスク等の磁気ディスク、CD−ROMやDVDなどの光学ディスクなどによって実現される。図1では制御ユニット1020が搭載するICメモリやメモリカード1030がこれに該当する。本実施形態では、記憶部400は、プログラムとしてゲームプログラム410が記憶されるとともに、データとして、ステージデータ420と、プレーヤキャラデータ430と、仲間キャラデータ440とが記憶される。ステージデータ420は、ゲームステージを構築するためのデータであり、該ゲームステージに配置される敵キャラクタなどのデータを含んでいる。
【0075】
[処理の流れ]
図20は、ゲーム処理の流れを説明するフローチャートである。図20によれば、ゲーム演算部210は、先ず、初期設定としてステージデータ420に基づくゲーム空間の構築を行う(ステップA1)。そして、ゲームの進行を開始させる(ステップA3)。続いて、仮想視点CM1に基づくゲーム画面を生成・表示させる(ステップA5)。また、プレーヤキャラ制御部211が、プレーヤによる操作入力に従って、プレーヤキャラクタ10の移動や動作などを制御する(ステップA7)。
【0076】
そして、ゲーム進行中、「なかま」のボタン表示20aが選択されて仲間キャラクタの移動設定の開始操作がなされたならば(ステップA9:YES)、ゲーム進行を一時停止させた後(ステップA11)、移動設定部213が移動設定処理を行う(ステップA13)。
【0077】
図21は、移動設定処理を説明するフローチャートである。図21によれば、移動設定部213は、先ず、現時点でゲーム空間に出現していない仲間キャラクタ12を、移動軌道の設定可能キャラクタとする(ステップB1)。次いで、視点を仮想視点CM1から仮想視点CM2に切り替え、この仮想視点CM2に基づくゲーム空間の画像(俯瞰画像)に設定可能キャラクタのキャラアイコン18や各種のボタン表示を重畳させた移動設定画面を生成し、ゲーム画面からこの移動設定画面に表示を切り替える(ステップB3)。
【0078】
続いて、移動設定画面に対するタッチインが検出されたならば(ステップB5:YES)、そのタッチ位置がボタン表示20の表示部分であるか否か、すなわちボタン表示20がタッチされたか否かを判断し、ボタン表示20以外の部分へのタッチならば(ステップB7:NO)、ボタン表示20を画面外へ向かって消去させるスライドアウトを行う(ステップB9)。
【0079】
また、タッチ位置がキャラアイコン18の表示部分であるか否か、すなわちキャラアイコン18がタッチされたか否かを判断し、キャラアイコン18がタッチされたならば(ステップB11:YES)、そのタッチされたキャラアイコン18に対応する仲間キャラクタ12を、新たに出現させるキャラクタとする(ステップB13)。
【0080】
そして、タッチアウトが検出されるまでの間(ステップB17:NO)、タッチ位置の軌跡を入力軌跡22として描画する(ステップB15)。タッチアウトが検出されると(ステップB17:YES)、この入力軌跡22をもとに、該仲間キャラクタ12の移動軌道を設定する(ステップB19)。それとともに、ボタン表示20を再表示するスライドインを行う(ステップB23)。その後、ステップB5に戻り、同様の処理を行う。
【0081】
一方、タッチ位置がボタン表示20の表示部分でもキャラアイコン18の表示部分でもないならば(ステップB11:NO)、タッチアウトの検出を待機し、タッチアウトが検出されると(ステップB21:YES)、ボタン表示20を再表示するスライドインを行う(ステップB23)。その後、ステップB5に戻り、同様の処理を行う。
【0082】
一方、ボタン表示20へのタッチならば(ステップB7:YES)、タッチされたボタン表示20に応じた処理を行う。すなわち、「もどれ!」のボタン表示20bがタッチされたならば(ステップB25:「もどれ!」)、ゲーム空間に出現している全ての仲間キャラクタ12を消失させ(ステップB27)、これら消失させた仲間キャラクタ12に設定されている移動軌道24をクリアする(ステップB29)。そして、消失させたこれらの仲間キャラクタ12を移動軌道の設定可能キャラクタとし、対応するキャラアイコン18を、移動設定画面に表示させる(ステップB31)。その後、ステップB5に戻り、同様の処理を行う。
【0083】
一方、「とつげき!」のボタン表示20がタッチされて移動設定の終了操作が入力されたならば(ステップB25:「とつげき!」)、始点を仮想視点CM2から仮想視点CM1に切り替え、移動設定画面からゲーム画面に表示を切り替える(ステップB33)。以上の処理を行うと、移動設定部213は移動設定処理を終了する。
【0084】
移動設定処理が終了すると、ゲーム演算部210は、一時停止中のゲーム進行を再開させる(ステップA15)。次いで、仲間キャラ制御部212が、この移動設定処理において新たに出現させるとして選択された仲間キャラクタ12それぞれを、該キャラクタに設定されている移動軌道24の始点位置に出現させる(ステップA17)。そして、出現させた仲間キャラクタ12それぞれについて、その持ち時間のカウントダウンを開始する(ステップA19)。
【0085】
続いて、仲間キャラ制御部212は、ゲーム空間に出現している仲間キャラクタ12それぞれを対象としたループAの処理を行う。ループAでは、設定されている移動軌道24に沿った移動制御や、サーチ範囲30内に位置する所定オブジェクトに対する所定処理を含む、対象の仲間キャラクタ12に対するAI制御を行う(ステップA23)。また、対象の仲間キャラクタ12の持ち時間を判断し、持ち時間がゼロになったならば(ステップA25:YES)、該仲間キャラクタ12をゲーム空間から消失させる(ステップA27)。そして、該キャラクタに設定されている移動軌道24をクリアする(ステップA29)。ループAの処理はこのように行われる。
【0086】
そして、ゲーム空間に存在している全ての仲間キャラクタ12それぞれを対象としたループAが終了すると、ゲーム演算部210は、ゲームの終了条件を満たすか否かを判断し、満たさないならば(ステップA31:NO)、ステップA5に戻り同様の処理を行う。一方、ゲームの終了条件を満たすならば(ステップA31:YES)、進行中のゲームを終了させて本ゲーム処理を終了する。
【0087】
[作用・効果]
このように、本実施形態によれば、ゲーム画面W3において「なかま」のボタン表示20aをタッチして選択すると、進行中のゲームが一時停止されて、仲間キャラクタ12の移動軌道24を設定するための移動設定画面W5が表示される。移動設定画面W5では、ゲーム空間の俯瞰画像に、ゲーム空間に出現させることができる仲間キャラクタを表すキャラアイコン18が重畳表示されており、キャラアイコン18をタッチし移動させたい経路に沿ったスライド操作を行う。そして、ゲーム進行が再開されてゲーム画面W3が再表示されると、スライド操作による入力軌跡22をもとに設定された移動軌道24の始点に仲間キャラクタ12が出現し、該仲間キャラクタ12が該移動軌道24に沿って移動する。
【0088】
移動設定画面W5では、ゲーム画面W3よりも広いゲーム空間の範囲が表示される。また、ゲーム画面W3から移動設定画面W5に表示が切り替わる際には、ゲーム進行が一時停止される。つまり、移動設定画面W5では、ゲーム空間の静止画像となっている。これにより、移動設定画面W5におけるタッチ操作による軌跡入力がし易くなる。
【0089】
[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0090】
(A)入力軌跡22の描画
例えば、移動設定画面W5において、スライド操作によって描画される入力軌跡22を有限長としても良い。すなわち、仲間キャラクタ12には、ゲーム空間での移動速度及び持ち時間が定められている。つまり、仲間キャラクタ12には、ゲーム空間に出現してから消失するまでの間に移動できる距離には上限があり、この最大移動距離Lmは、移動速度Vに持ち時間Tを乗じた値として算出される。
【0091】
このため、スライド操作による入力軌跡22の長さが、対応する仲間キャラクタ12の最大移動距離Lmに相当する長さに達すると、それ以降の該スライド操作による入力軌跡22の描画を行わず、描画される入力軌跡22の始点からの長さが、最大移動距離Lmに相当する長さを超えないようにする。
【0092】
(B)仲間キャラクタ12の移動設定
また、上述の実施形態では、切り替え直後の移動設定画面W5においては、ゲーム空間に出現していない仲間キャラクタ12のキャラアイコン18のみを表示し、これらの仲間キャラクタ12に対する移動設定が可能であるとしたが、これを、図22の移動設定画面W11に示すように、ゲーム空間に出現している/出現していないに関わらず、全ての仲間キャラクタ12のキャラアイコン18を表示させることにしても良い。
【0093】
この場合、ゲーム空間に出現している仲間キャラクタ12aのキャラアイコン18aがタッチされると、該キャラアイコン18aに対応する仲間キャラクタ12をゲーム空間から消失させて移動設定を改めて可能とする。なお、この場合も「もどれ!」のボタン表示20cをタッチして選択することで、ゲーム空間に出現中の全ての仲間キャラクタ12を一括して消失させて移動設定が可能となる。これにより、ゲーム空間に複数の仲間キャラクタ12が出現している場合に、1体ずつ移動設定を行う仲間キャラクタ12を選択できるようになる。
【0094】
(C)移動設定画面W5の表示
また、上述の実施形態では、同一の表示画面(第2液晶ディスプレイ1010)に、ゲーム画面W3と移動設定画面W5とが切り替えて表示されることにしたが、異なる画面に表示されることにしても良い。具体的には、例えば携帯型ゲーム装置1000においては、第2液晶ディスプレイ1010にゲーム画面W3を表示したままとし、第1液晶ディスプレイ1008に移動設定画面W5を表示する。また、第2液晶ディスプレイ1010の表示画面を二分割し、一方にゲーム画面W3を表示し、他方に移動設定画面W5を表示するようにしても良い。
【0095】
(D)ゲーム装置
また、上述の実施形態では、携帯型ゲーム装置1000の場合を説明したが、家庭用ゲーム装置や業務用ゲーム装置など、タッチパネル式のディスプレイを備えたコンピュータに相当する装置であれば、同様に実施可能である。
【符号の説明】
【0096】
1000 携帯型ゲーム装置
100 操作入力部、110 タッチ位置検出部
200 処理部
210 ゲーム演算部
211 プレーヤキャラ制御部、212 仲間キャラ制御部
213 移動設定部
400 記憶部
410 ゲームプログラム、420 ステージデータ
430 プレーヤキャラデータ、440 仲間キャラデータ
W1 情報画面
W3,W7 ゲーム画面
10 プレーヤキャラクタ
12 仲間キャラクタ、30 サーチ範囲
14 敵キャラクタ
20 ボタン表示
24 移動軌道
W5,W9 移動設定画面
18 キャラアイコン
22 入力軌跡
CM1,CM2 仮想カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネル式のディスプレイを備えたコンピュータに、プレーヤの操作入力に従って移動制御する第1視点からゲーム空間を見たゲーム画像を生成させて所定のゲームを進行させるためのプログラムであって、
前記ゲーム空間を俯瞰する位置であって、前記第1視点より撮影範囲が広い視点位置及び/又は画角に定められた第2視点から前記ゲーム空間を俯瞰した俯瞰画像を前記ディスプレイに表示制御する俯瞰画像表示制御手段、
タッチ操作に従って前記俯瞰画像上に軌跡を描画する軌跡描画手段、
前記軌跡に基づいて、所定のキャラクタが前記ゲーム空間中を移動する移動軌道を設定する移動軌道設定手段、
前記移動軌道に沿って前記キャラクタを移動制御させるキャラクタ制御手段、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項2】
前記ディスプレイに表示する画像を、前記ゲーム画像及び前記俯瞰画像の何れかに切り替える画像切換制御手段、
前記画像切換制御手段によって前記俯瞰画像に切り替えられている場合に前記ゲームの進行を一時停止し、前記ゲーム画像に切り替えられている場合に前記ゲームを進行させるゲーム進行制御手段、
として前記コンピュータを機能させるための請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記俯瞰画像上に所定の指示アイコンを重畳的に表示制御する指示アイコン重畳表示制御手段、
前記俯瞰画像上の前記指示アイコンがタッチ操作された場合に、当該指示アイコンに予め対応づけられた所定の処理を実行するアイコン指示処理実行手段、
前記俯瞰画像中の前記指示アイコンの重畳表示部分以外の部分がタッチ操作された場合に、前記指示アイコンを消去する指示アイコン消去手段、
として前記コンピュータを機能させるための請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記移動軌道設定手段が、前記軌跡に沿ったジグザグ状の軌道を前記移動軌道として設定し、
前記キャラクタ制御手段が、前記キャラクタの移動制御中に、当該キャラクタに予め定められたサーチ範囲内に所定のオブジェクトが位置した場合に該オブジェクトに応じた所定の制御を前記キャラクタに適用する、
ように前記コンピュータを機能させるための請求項1〜3の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記キャラクタ制御手段が、
前記キャラクタの向きを変化させつつ移動制御する手段と、
前記キャラクタの移動制御中に、当該キャラクタに予め定められたサーチ範囲内に所定のオブジェクトが位置した場合に該オブジェクトに応じた所定の制御を前記キャラクタに適用する手段と、
を有するように前記コンピュータを機能させるための請求項1〜4の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記キャラクタ制御手段が、
前記移動軌道の始点に前記キャラクタを出現させる出現制御手段、
前記キャラクタの前記ゲーム空間中の存在時間を計時し、所与の存在可能時間に達した場合に、前記キャラクタを前記ゲーム空間から消去する消去制御手段、
として前記コンピュータを機能させ、
前記軌跡描画手段が、前記軌跡の長さが前記存在可能時間に応じた所与の描画可能長に達した場合に、当該描画可能長までの軌跡とするように前記コンピュータを機能させる、
ための請求項1〜5の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記軌跡描画手段が、前記キャラクタに定められた移動速度と前記存在可能時間とから前記描画可能長を決定する描画可能長決定手段を有するように前記コンピュータを機能させるための請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な情報記憶媒体。
【請求項9】
タッチパネル式のディスプレイを備え、プレーヤの操作入力に従って移動制御する第1視点からゲーム空間を見たゲーム画像を表示制御して所定のゲームを進行制御するゲーム装置であって、
前記ゲーム空間を俯瞰する位置であって、前記第1視点より撮影範囲が広い視点位置及び/又は画角に定められた第2視点から前記ゲーム空間を俯瞰した俯瞰画像を前記ディスプレイに表示制御する俯瞰画像表示制御手段と、
タッチ操作に従って前記俯瞰画像上に軌跡を描画する軌跡描画手段と、
前記軌跡に基づいて、所定のキャラクタが前記ゲーム空間中を移動する移動軌道を設定する移動軌道設定手段と、
前記移動軌道に沿って前記キャラクタを移動制御させるキャラクタ制御手段と、
を備えたゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−273841(P2010−273841A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128821(P2009−128821)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)
【Fターム(参考)】