説明

プロゲステロン受容体モジュレータとしてのピロリジノンアニリン

本発明は次式:


で示される化合物もしくはその医薬上許容される塩またはその溶媒和物、あるいはその組み合わせに関するものであり、ここでR、RおよびXは本明細書中に定義されているとおりである。本発明の化合物はプロゲステロン受容体モジュレータとして有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプロゲステロン受容体モジュレータとして有用なピロリジノンアニリンに関する。
【背景技術】
【0002】
子宮内膜症は子宮内膜組織(病変と称される)が子宮外部位で成長することにより特徴付けられる疾患である。この病変の付着が、痛み、月経困難症、性交疼痛および不妊症をもたらしうる。慢性骨盤痛を示す患者の80%以上は、結局は、子宮内膜症と診断されるようである。該疾患の有病率は、家族性関連の危険が10倍高く、再生産年齢の女性の約7−10%である。最終診断は腹腔鏡検査によってのみ達せられるが、典型的には、該疾患の発症から最終的な診断まで約10年の歳月を要する。子宮の起源と一致して、子宮内膜病変は、ホルモン的には、エストロゲンに依存すると考えられ;その結果、エストロゲン産生または作用に機能的に拮抗する、プロゲステロン受容体(PR)モジュレータを含有する薬物などの、療法が症状の緩和に効果的である。現行の治療目的として、抗炎症剤を用いて痛みを和らげること、ホルモン調節薬を用いて卵巣周期を延期させることが挙げられる。
【0003】
エストロゲンにホルモン作用にて応答すると考えられるもう一つ別の疾患が子宮平滑筋腫(子宮筋腫)であり、主に再生産年齢の女性にて生じる良性子宮平滑筋腫瘍として現れる。子宮筋腫は20−25%の割合で生じ、子宮摘出のトップにある適応症である。最も一般的な徴候は、月経過多、骨盤痛/不快、膀胱および腸の圧迫症状、場合により不妊である。平滑筋腫の薬物療法は、子宮内膜症用に一般に処方されるものからなり、プロゲステロン受容体モジュレータ配合の療法が安全性、耐性、使用容易性および費用の点から最も一般的である。
【0004】
薬物開発の大部分は、プロゲステロン受容体の完全なアゴニスト作用またはアンタゴニスト作用によるモジュレーションに焦点を当てるものである。例えば、プロゲスチンは、プロゲステロン受容体と相互作用し、プロゲステロン様であると仮定される様式にて標的細胞での遺伝子発現を活性化または抑制する分子である。プロゲスチンは経口避妊薬、ホルモン療法ならびに子宮内膜症および平滑筋腫などの生殖障害の治療にて用いられるが、これらの薬物は、破綻出血、気分変調、アクネ、体重増および乳房の圧痛を含む、多数の副作用を惹起する。逆説的に、ミフェプリストンなどのプロゲステロン受容体アンタゴニストは潜在的な治療薬として示唆されているが、そのデータは少数の患者に限定されており、プラセボ対照の無作為実験もなされていない。
【0005】
D.DeMannoら(Steroids 68(2003)1019-1032)は、アソプリスニル(asoprisnil)がプロゲステロン受容体モジュレータであり、アゴニスト/アンタゴニストの複合的な活性を有すると報告している。該薬物の子宮内膜症または子宮筋腫の治療における効能は明確ではないが、健康な女性対象からの初期のデータは該試薬が子宮内膜萎縮および無月経を誘発し、そのことが優勢的にヒトにおけるプロゲステロン受容体アンタゴニスト作用を示唆するものである。残念ながら、RU−486などのPRアンタゴニストは堕胎薬である傾向にある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】D.DeMannoら、Steroids 69(2003)、1019−1032
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、現行のプロゲステロン受容体モジュレート療法に伴う全身的作用を減少させながら、エストロゲン依存性子宮内膜成長を抑制する一の方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一の態様において、本発明は、次式:
【化1】

[式中:
XはH、ハロゲンまたはCFであり;
はH、C−C−アルキル、C−C−アルコキシカルボニル−(CH−、C−C−アルキルカルボニルオキシ−(CH−、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル−(CH−、C−C−アルキル−ヘテロシクロアルキル−(CH−、−CHCF、C−C−アルキルカルボニル−(CH−、C−C−アルケニル、ナフチル、−(CH−ヘテロアリール−(Rまたは−(CH−フェニル−(R’)であり;
はC−C−アルキル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、C−C−アルキル−ヘテロシクロアルキル、C−C−アルケニル、ナフチル、ヘテロアリール−(Rまたはフェニル−(R’)であり;
ここで、mは0ないし6の整数であり;nは0ないし5の整数であり;oは1ないし6の整数であり;pは2ないし6の整数であり;ここで、Rは各々独立して、C−C−アルキル、F、Cl、Br、CF、C−C−アルコキシ、ジメチルアミノ、C−C−アルケニルまたはCNであるか、あるいは2個のR基がその結合するヘテロアリール環と一緒になって縮合環を形成し;ここでR’は各々独立して、C−C−アルキル、F、Cl、Br、CF、C−C−アルコキシ、ジメチルアミノ、C−C−アルケニルまたはCNであるか、あるいは2個のR’基がその結合するフェニル環と一緒になって縮合二環式環を形成する]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩を提供する。
【0009】
本発明の化合物はプロゲステロン受容体モジュレータとして有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、次式:
【化2】

[式中:
XはH、ハロゲンまたはCFであり;
はH、C−C−アルキル、C−C−アルコキシカルボニル−(CH−、C−C−アルキルカルボニルオキシ−(CH−、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル−(CH−、C−C−アルキル−ヘテロシクロアルキル−(CH−、−CHCF、C−C−アルキルカルボニル−(CH−、C−C−アルケニル、ナフチル、−(CH−ヘテロアリール−(Rまたは−(CH−フェニル−(R’)であり;
はC−C−アルキル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、C−C−アルキル−ヘテロシクロアルキル、C−C−アルケニル、ナフチル、−ヘテロアリール−(Rまたは−フェニル−(R’)であり;
ここで、mは0ないし6の整数であり;nは0ないし5の整数であり;oは1ないし6の整数であり;pは2ないし6の整数であり;ここでRは各々独立して、C−C−アルキル、F、Cl、Br、CF、C−C−アルコキシ、ジメチルアミノ、C−C−アルケニルまたはCNであるか、あるいは2個のR基がその結合するヘテロアリール環と一緒になって縮合環を形成し;ここでR’は各々独立して、C−C−アルキル、F、Cl、Br、CF、C−C−アルコキシ、ジメチルアミノ、C−C−アルケニルまたはCNであるか、あるいは2個のR’基がその結語するフェニル環と一緒になって縮合二環式環を形成する]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩を提供する。
【0011】
本明細書で用いる場合、「C−C−アルキル」は1個ないし6個の炭素原子の直鎖または分岐鎖基をいい、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびn−ヘキシルおよびその異性体を含む。
【0012】
適当なC−C−アルコキシ基の例として、メトキシおよびエトキシ基が挙げられる;適当なC−C−アルコキシカルボニル−(CH−基の例として、−C(CHC(O)OCHCHおよびCHCHC(O)O−t−ブチル基が挙げられる;適当なC−C−アルコキシ−C−C−アルキル基の一例がCHOCH−(メトキシメチル)であり;C−C−アルキルカルボニルオキシ−(CH基としてCHCHC(O)OCHCH−およびCHC(O)OCHCH−が挙げられる;適当なC−C−シクロアルキル基の例としてシクロペンチルおよびシクロヘキシル基が挙げられる;適当なC−C−シクロアルケニル基の一例がシクロヘキセニルである。
【0013】
本明細書で用いる場合、「ヘテロシクロアルキル」は、N、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する、3−6員環をいう。適当なヘテロシクロアルキル基の例として、ピペリジニル、ピロリジニル、ピラジニル、モルホリノおよび1,3−ジオキソラン−2−イル基が挙げられる。同様に、「C−C−アルキル−ヘテロシクロアルキル」はC−C−アルキル基で置換されたヘテロシクロアルキルをいう。C−C−アルキル−ヘテロシクロアルキル基の一例がN−メチルピペリジニルである。同様に、ヘテロシクロアルキル−(CH−基の一例がピペリジニル−CH−であり、C−C−アルキル−ヘテロシクロアルキル−(CH−基の一例がCH−ピペリジニル−CH−である。
【0014】
「ヘテロアリール」なる語は、本明細書中、N、OおよびSより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する芳香族基を記載するのに使用される。適当なヘテロアリール基の例として、ピリジニル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、ピロリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリミジニルおよびベンゾチアゾリル基が挙げられる。ヘテロアリールおよびフェニル基はまた、上記したように置換されていてもよい。ヘテロアリールはまた、1個より多くのヘテロアリール基、例えば、ピリジニルチエニルおよびメトキシピリジニルチエニル基を包含する。
【0015】
−C−アルケニルは、アリル、イソプロペニル、−CHCH=CHCHおよびCHCHCH=CH基をいう。
【0016】
がヘテロアリール−(Rまたはフェニル−(R’)であり、nが2または3である場合、2個のRまたはR’基は、その結合するそれぞれのヘテロアリールまたはフェニル基と一緒になって、縮合環を形成しうる。かかる縮合二環式基の例として、ベンゾジオキシニルおよびベンゾジオキソリル基が挙げられる。
【0017】
「IC50」なる語は、本明細書にて、Fluormone PL Redの50%がプロゲステロン受容体と結合することを阻害するのに必要とされる化合物のモル濃度をいうのに使用される。さらには、pIC50はIC50モル濃度の負の対数である。
【0018】
本発明の化合物の医薬上許容される塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸またはリン酸などの無機酸の添加により;あるいは酢酸、フマル酸、コハク酸、マレイン酸、クエン酸、安息香酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸または酒石酸などの有機酸の添加により形成される塩を包含する。
【0019】
本発明の化合物は、ジアステレオマーおよびエナンチオマー、ラセミ体混合物を含む、あらゆる割合の異性体の混合物を含む、光学異性体として存在しうる。実際、本発明の他の態様は、式:
【化3】

[式中:
、RおよびXは上記の記載と同じ]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩である。
【0020】
もう一つ別の態様において、RはC−C−アルキルまたはベンジルであり;Rはフェニル−(R’)であり、ここでnは0ないし2の整数であり、Xはクロロである。
【0021】
もう一つ別の態様において、Rはメチル、エチルまたはイソプロピルであり;R’はクロロ、フルオロ、トリフルオロメチルまたはメチルであり、nは0、1、2または3である。
【0022】
さらにもう一つ別の態様において、本発明は、以下の構造式:
【化4】

[式中:nは0、1または2である]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩である。
【0023】
もう一つ別の態様において、本発明は:
2−クロロ−4−{[(3S)−1−メチル−5−オキソ−3−ピロリジニル][(2−メチルフェニル)メチル]アミノ}ベンゾニトリル;
2−クロロ−4−{[(2−フルオロフェニル)メチル][(3S)−1−メチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル;
2−クロロ−4−{[(2,4−ジフルオロフェニル)メチル][(3S)−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル;
2−クロロ−4−{[(2,3−ジフルオロフェニル)メチル][(3S)−1−メチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル;
2−クロロ−4−[[(3S)−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジニル](フェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル;
2−クロロ−4−{[(2,5−ジクロロフェニル)メチル][(3S)−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル;
2−クロロ−4−{[(2−クロロ−5−フルオロフェニル)メチル][(3S)−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル;
2−クロロ−4−{[(2−クロロフェニル)メチル][(3S)−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル;
2−クロロ−4−{[(3S)−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジニル][(2−メチルフェニル)メチル]アミノ}ベンゾニトリル;
2−クロロ−4−{[(2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル)メチル][(3S)−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル;
2−クロロ−4−{[(3S)−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジニル][(5−フルオロ−2−メチルフェニル)メチル]アミノ}ベンゾニトリル;
2−クロロ−4−{[(2−クロロフェニル)メチル][(3S)−1−(1−メチルエチル)−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル;および
2−クロロ−4−{[(2,5−ジクロロフェニル)メチル][(3S)−1−(1−メチルエチル)−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
からなる群より選択される、化合物またはその医薬上許容される塩である。
【0024】
本発明はまた、本発明の式で示される化合物およびそのための医薬上許容される担体を含む医薬組成物に関する。該組成物はいずれの経路により、例えば、経口、局所または非経口的に投与されるように処方されてもよい。該組成物は錠剤、カプセル、散剤、顆粒、ロゼンジ、クリームまたは液体製剤、例えば経口用または滅菌非経口用溶液または懸濁液の形態であってもよい。
【0025】
生物学的アッセイ
略語:
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチル
ウロニウムヘキサフルオロホスファート
DMA N,N−ジメチルアセトアミド
NMM N−メチルモルホリン
NMO N−メチルモルホリンオキシド
HMDS ヘキサメチルジシラザン
CDI カルボニルジイミダゾール
CBz COC(O)−
アクエスト/バイオシステムはマルチモードリーダー(FPリーダー)であり;CHAPSは3−コラミドプロピル−ジメチルアンモニオール−プロパンスルホナートをいい;DTTはジチオスレイトールをいう。
【0026】
PR結合アッセイ−
該アッセイは、製造業者のプロトコル(PR Competitor Assay Kit、Red−(Invitrogen、Carlsbad、CA−プロダクト番号P2962))に従い、多少の変更を加えて行われた。簡単には、40nM PR−リガンド結合ドメイン、2nM Fluormone PL Redおよび1mM DTTを、2mM CHAPSを補充したComplete PR RED緩衝液に溶かして混合した。10μLの混合物を、化合物を所定の濃度で含有する、Greiner低容量プレートの各ウェルに分配した。該プレートを200gで1分間スピンに付し、試薬を光から保護するためにカバーを掛け、ついで室温で約2時間インキュベートした。プレートを、530−25nm励起および580−10発光干渉フィルターならびに561nmの2色性ミラーを用い、Acquest(登録商標)Ultra High Throughput Screening Assay検出システム(LJL Biosystemsの登録商標、Sunnyvale、CA)上で読み取った。
【0027】
データ解析
すべてのデータを各プレートの16個の高コントロールおよび16個の低コントロールウェルの平均値に対して正規化した。ついで、以下のフォームの4種のパラメータフィット曲線:
【化5】

[式中:aは最低値、bはHill勾配、cはXC50、dは最大値である]を適用した。データをn回の実験の平均標準偏差との平均pIC50として表す。
【0028】
使用方法
本発明の化合物は、子宮内膜症、子宮筋腫、月経困難症、月経過多、早期陣痛、および不妊症に伴う疾患または症状の治療に有用でありうる。該化合物はまた、避妊薬として、あるいはホルモン療法に有用である可能性もある。
【0029】
したがって、本発明はさらに、患者の治療方法であって、該患者に有効量の式Iの化合物もしくはその医薬上許容される塩またはその溶媒和物あるいはそれらの組み合わせを投与し、子宮内膜症または子宮筋腫を治療する方法に関する。
【0030】
化合物の調製
本発明の化合物は種々の経路にて調製できる。例えば、第一の方法にて、アミノ酸1aはアミド1bに変換しうる(スキーム1)。1bをPで処理して所望のチオアミド1cを得る。チオアミド1cを選択的還元に付して対応する第二アミンとし、それをトルエン中で還流してピロリジノン1dに環化する。Boc−アミン1dを酸性切断に付し、第一アミン1eを得、ついでそれをフッ化アリール置換に供し、アニリン1fを形成させる。その後で1fをNaHおよび求電子剤(RCHY、Yは有利にはBrまたはIである)と反応させ、所望の1gを得る。
【化6】

【0031】
所望のピロリジノンを調製する第二の方法にて、アニリン2bはフッ化アリールをアミノ酸2aとの置換反応に付すことで調製され得る(スキーム2)。ついで、酸2bは示されるように2つの異なる操作を用いてアルコール2cに還元され得る。ついで、該アルコール2cはトシル化されて2dを形成され得る。2dをアジ化ナトリウムで処理してアジド2eを得、ついでそれを水素化条件下で還元し、所望の第一アミン2fを得ることができる。
【化7】

【0032】
第一アミン2fはスキーム3に従って置換され得る。例えば、バリエーションAにて、2fは、シアノヒドリン(ここで、R’およびR”は、各々独立して、C−C−アルキルであり、RはCHR’R”である)と、NaBHの存在下で反応して3aを形成し得る。化合物3aはまた、2fをアルデヒドおよびNaB(OAc)Hで還元アミノ化に付すことで調製することもできる。
【0033】
2fのアミノ基は、バリエーションC(まず、2fをスルホンアミド3bに変換する)に従って、Rと置換することができる。該スルホンアミドをアルキル化して3c(Y=脱離基)を形成し、それを所望の第二アミン3aに変換し得る。
【0034】
【化8】

【0035】
第二アミン3aは、例えば、スキーム4に示されるように、種々の方法により所望のピロリジノンに変換され得る。例えば、t−ブチルエステル3aは酸性条件下で切断されてTFAを形成し、ついでそれをHCl塩4aに変換し得る。4aを加熱条件下でヘキサメチルジシラザンと反応させて環化ピロリジノン1fを得ることができ、その後でそれをNaHおよび電子求引基で処理し、(スキーム1に示されるように)所望の生成物1gを得ることができる。別法として、3aを酸性条件下で切断し、ついでメチルエステル4bに直接変換することもできる。メチルエステル4bを異なる塩基性条件下で環化して1fを形成することができ、それは(スキーム1に示されるように)1gに変換され得る。
【0036】
【化9】

【0037】
アリル置換ピロリジノン5aはOsOおよびNMOを介して5bに変換され得る。ついで、5bをアルデヒド5cに切断し、それを所望のアルコール5dに直接還元することができる。さらには、5aをボラン−THFで処理し、アルコール5eを得る。
【0038】
【化10】

【0039】
ピロリジノン核に至るもう一つ別の経路をスキーム6に記載する。アミノコハク酸6aをCbz基で保護し、ついで無水物6bに縮合することができる。該無水物6bはメチルアミンおよび無水酢酸と反応させることでイミド6cに変換され得る。イミド6cは選択的還元を介してピロリドノン6dに変換することができ、それを水素化条件下で脱保護し、ついでピロリジノン6eの安息香酸塩に変換し得る。ピロリジノン塩6eは、スキーム1に示されるように、本発明の化合物に変換され得る。
【0040】
【化11】

【0041】
実験
以下の実施例は例示を目的とするのみであり、発明の範囲を限定することを意図とするものではない。上記のアッセイを用いて、これらの実施例に記載の化合物はすべて、10μM以下のIC50を示す。
【0042】
プロトン核磁気共鳴(H NMR)スペクトルを400MHzで記録し、化学シフトを内部標準物質テトラメチルシラン(TMS)からダウンフィールドした百万分の一(ppm)の単位で報告する。NMRデータの略語は以下のとおりである:s=一重項、d=二重項、t=三重項、q=四重項、m=多重項、dd=二重項の二重項、dt=三重項の二重項、app=みかけ、br=ブロードを意味する。JはHertで表したNMRカップリング定数を意味する。CDClは重水素クロロホルムであり、DMSO−dはヘキサ重水素ジメチルスルホキシドであり、CDODまたはd−CHOHはテトラ重水素メタノールである。マススペクトルは電子噴射(ES)または大気圧化学イオン化(APCI)法を用いて得られた。E. Merck Silica Gel 60 F - 254薄層プレートを薄層クロマトグラフィーについて用いた。フラッシュクロマトグラフィーを、予め充填したシリカゲルカートリッジを用いる、E. Merck Kieselgel 60(230−400メッシュ)シリカゲルまたはISCO Combi - フラッシュ精製システムで行った。分取HPLCは、30x100mm Xterra Prep RPカラムを用い、40mL/分の流速でGilsonクロマトグラフィーシステムを用いて行った。使用溶媒系は18%ないし90%アセトニトリル/水の可変勾配であり、0.1%TFAまたは水酸化アンモニウムのいずれかを用いてpHを10に調整したものである。セライト(登録商標)は酸洗浄した珪藻質シリカからなる濾過助剤であり、コロラド州、デンバー、Manville Corp.の登録商標である。
【0043】
中間体1:2−クロロ−4−{[(3S)−1−メチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
【化12】

【0044】
a)(2S)−2−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]−4−オキソブタン酸
DMSO(70mL)およびHO(10mL)中の2−クロロ−4−フルオロベンゾニトリル(2.13g、13.8ミリモル)、(2S)−2−アミノ−4−[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]−4−オキソブタン酸(2.6g、13.8ミリモル)およびNaHCO(3.5g、41.4ミリモル)を95℃で一五時間攪拌した。冷却後、該反応混合物をHO(100mL)で希釈し、EtO(100mL)で洗浄した。HO層をCongo Red中点まで酸性化し、EtO(2x)で抽出した。合した有機抽出液をHOで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮させて標記生成物(3.59g、80%)を泡沫体として得た。H−NMR(CDCl)δ:1.45(9H,s)、2.89(2H,m)、3.54(1H,m)、4.42(1H,m)、6.55(1H,d,J=8.8Hz)、6.70(1H,s)、7.43(1H,d,J=8.4Hz)。LC−MS(ES) m/e 325.4(M+H)
【0045】
b)1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−ヒドロキシブタノアート
イソブチルクロロホルマート(2.01g、14.8ミリモル)のTHF(5mL)中溶液を、(2S)−2−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]−4−オキソブタン酸(4.57g、14.1ミリモル)およびNMM(1.56g、15.5ミリモル)の−10℃でのTHF(50mL)中溶液に滴下した。三〇分攪拌した後、反応物をセライトパッドを介して濾過し、濾液を−10℃に冷却した。その冷却濾液に、NaBH(0.80g、21ミリモル)のHO(10mL)中溶液をゆっくりと加え、該反応溶液を−10℃で15分間、ついで室温で45分間攪拌した。反応物を水性NHClでクエンチし、EtO(2x)で抽出した。有機抽出液を5%NaCO、冷0.1N HClおよびHOで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して濃縮した。残渣を0%MeOH/CHClから3%MeOH/CHClの勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して精製し、標記生成物(2.83g、64%)を固体として得た。H−NMR(CDCl)δ:1.45(9H,s)、2.61(2H,m)、3.79(2H,d,J=4.4Hz)、3.93(1H,m)、6.55(1H,dd,J=8Hz、4Hz)、6.72(1H,d,J=2Hz)、7.41(1H,d,J=8.8Hz)。LC−MS(ES) m/e 311.5(M+H)
【0046】
c)1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−{[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ}ブタノアート
p−トルエンスルホニルクロリド(18.2g、96ミリモル)を、1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−ヒドロキシブタノアート(27.0g、87ミリモル)のピリジン(75mL)中氷冷溶液に少しづつ添加した。0℃で15分間攪拌した後、氷浴を取り外し、該反応物を室温で2.5時間攪拌した。該反応物を攪拌した氷/HO(400mL)中に注いだ。生成物が固化したならば、それを濾過し、該固体をHOでよく洗浄した。固体をEtOAc(350mL)に溶かし、HO、水性クエン酸、およびHOで連続的に洗浄した。EtOAc溶液をチャコールで処理し、乾燥(MgSO)させ、濾過し、溶媒を蒸発させた。粗生成物をEtO(150mL)および石油エーテル(50mL)でトリチュレートし、純粋な生成物(35.0g、87%)を得た。H−NMR(CDCl)δ:1.42(9H,s)、2.47(3H,s)、2.60(2H,m)、4.04(1H,m)、4.22(2H,m)、6.45(1H,dd,J=8Hz,4Hz)、6.56(1H,d,J=2.4Hz)、7.35(3H,m)、7.75(2H,d,J=8.4Hz)。LC−MS(ES) m/e 465.3(M+H)
【0047】
d)1,1−ジメチルエチル(3S)−4−アジド−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]ブタノアート
DMF(150mL)中の1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−{[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ}ブタノアート(35.0g、76ミリモル)およびアジ化ナトリウム(9.83g、150ミリモル)を65℃で2.25時間攪拌した。冷却後、該反応物を冷HO(500mL)で希釈し、EtO(3x)で抽出した。合した有機抽出液をHO(3x)で抽出し、チャコールで処理し、乾燥させ(MgSO)、濾過して溶媒を蒸発させた。残渣を少量のEtOに溶かし、シリカゲルのショートプラグを介して濾過した。濾液を蒸発させて標記化合物(26.9g、>100%)を油状物として得た。H−NMR(CDCl)δ:1.46(9H,s)、2.58(2H,m)、3.56(2H,d,J=5.2Hz)、3.99(1H,m)、6.54(1H,d,J=8Hz)、6.99(1H,s)、7.43(1H,d,J=8.8Hz)。LC−MS(ES) m/e 336.3(M+H)
【0048】
e)1,1−ジメチルエチル(3S)−4−アミノ−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]ブタノアート
EtOH(100mL)中のPtO(0.98g)をパール振盪器上で20分間H(40psi)で還元した。この混合物に、1,1−ジメチルエチル(3S)−4−アジド−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]ブタノアート(25.5g、76ミリモル)のEtOH(100mL)中溶液を添加し、反応物をパール振盪器上で2.5時間H(35psi)の下で振盪させた。該反応混合物をセライトパッドを介して濾過して濃縮した。残渣をCHClに溶かし、HOで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過して溶媒を除去した。残渣をEtO(75mL)でトリチュレートし、冷却し、濾過して標記生成物(19.8g、84%)を得た。H−NMR(CDOD)δ:1.39(9H,s)、2.39(1H,m)、2.58(1H,m)、2.73(1H,m)、2.79(1H,m)、3.97(1H,m)、6.68(1H,d,J=8Hz)、6.84(1H,s)、7.44(1H,d,J=8.8Hz)。LC−MS(ES) m/e 310.6(M+H)
【0049】
f)1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−{[(2−ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}ブタノアート
2−ニトロベンゼンスルホニルクロリド(14.15g、64ミリモル)のCHCl(50mL)中溶液を、1,1−ジメチルエチル(3S)−4−アミノ−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]ブタノアート(19.8g、64ミリモル)およびEtN(6.5g、64ミリモル)のCHCl(150mL)中氷冷溶液に滴下し、反応物を室温で30分間攪拌した。該反応物をHOおよび冷0.1N HClで洗浄した。有機層をCaCl上で乾燥させ、濾過して濃縮した。粗生成物を次工程にそのまま使用した。
【0050】
g)1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−{メチル[(2−ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}ブタノアート
上記工程からの粗1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−{[(2−ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}ブタノアート、MeI(18.2g、128ミリモル)およびKCO(325メッシュ、17.7g、128ミリモル)のDMF(100mL)中混合物を室温で70分間攪拌した。該反応物をHO(200mL)で希釈し、EtO(3x)で抽出した。有機抽出液をHO(2x)で洗浄し、CaClで乾燥させ、濾過して濃縮した。粗生成物を次工程にそのまま使用した。
【0051】
h)1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(メチルアミノ)ブタノアート
DMF(100mL)中の上記工程からの粗1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−{メチル[(2−ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}ブタノアート(31.8g)、フェニルヒドロスルフィド(1.5当量、10.32g、94ミリモル)およびKCO(325メッシュ、3当量、25.9g、188ミリモル)を室温で30分間攪拌した。該反応混合物をHO(300mL)で希釈し、EtO(4x)で抽出した。有機抽出液をHOおよび10%水性NaCOで洗浄し、乾燥させ、濃縮させて、2−ニトロフェニル フェニルスルフィド副生成物(31.7g)で汚染されている標記生成物を得た。この汚染された生成物を次工程にそのまま使用した。
【0052】
i)メチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(メチルアミノ)ブタノアート・塩酸塩
上記工程からの1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(メチルアミノ)ブタノアート(31.4g)をMeOH(100mL)および4N HCl/ジオキサン(30mL)に溶かし、60℃に1.25時間加熱した。溶媒をスラリーにまで濃縮し、EtO(200mL)を添加し、固体を濾過し、EtOでよく洗浄し、標記化合物(15.6g)を得た。
【0053】
j)2−クロロ−4−{[(3S)−1−メチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
メチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(メチルアミノ)ブタノアート・塩酸塩(15.6g、49ミリモル)およびKCO(325メッシュ、15.0g、110ミリモル)のMeCN(120mL)およびMeOH(30mL)中混合物を攪拌しながら68℃で20分間加熱した。溶媒を蒸発させ、残渣をEtOAcとHOの間に分配した。水層をEtOAc(2x)で抽出し、合したEtOAc抽出液をHOおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、溶媒を蒸発させた。粗生成物(10.3g)をEtOでトリチュレートし、冷却し、固体を濾過して標記化合物(9.93g、81%)を得た。LC−MS(ES) m/e 250(M+H)
【0054】
中間体1:2−クロロ−4−{[(3S)−1−メチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリルに至る別の経路
【化13】

【0055】
a)フェニルメチルN−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−N−メチル−L−α−アスパラギナート
N,N−ジイソプロピルエチルアミン(15.10g、116.8ミリモル)およびHATU(10.77g、28.34ミリモル)を、Boc−Asp−(OBzl)−OH(7.61g、23.54ミリモル)およびメチルアミン塩酸塩(5.03g、74.50ミリモル)のDMA(31mL)中懸濁液に添加した。室温で18時間攪拌した後、反応混合物をCHClで希釈し、飽和NaHCOで洗浄した。有機層をHOで数回洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して濃縮した。残渣を0%MeOH/CHClから4%MeOH/CHClまでの勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーを介して精製し、標記生成物(6.2g、78%)を白色固体として得た。H−NMR(CDCl)δ:1.471(9H,s)、2.730(1H,m)、2.818(3H,d,J=4.8Hz)、3.120(1H,m)、4.520(1H,s)、5.156(2H,m)、5.660(1H,s)、6.430(1H,s)、7.378(5H,m)。LC−MS(ES) m/e 337.2(M+H)
【0056】
b)フェニルメチル(3S)−3−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−4−(メチルアミノ)−4−チオキソブタノアート
フェニルメチルN−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−N−メチル−L−α−アスパラギナート(4.20g、12.48ミリモル)および五硫化リン(3.33g、7.49ミリモル)をTHF(105mL)に溶かし、該試薬を室温で四時間攪拌した。飽和NaHCOを添加し、反応物をEtOAcで抽出した。有機層を濃縮し、残渣をCHCl:EtO(1:1)に溶かし、ウェルパックのシリカゲルカラムを通して濾過し、標記生成物(3.3g、75%)を白色固体として得た。H−NMR(CDCl)δ:1.461(9H,s)、2.960(1H,m)、3.149(3H,d,J=5.2Hz)、3.270(1H,m)、4.820(1H,s)、5.137(2H,m)、5.770(1H,s)、7.374(5H,m)、8.380(1H,s)。LC−MS(ES) m/e 353.6(M+H)
【0057】
c)1,1−ジメチルエチル[(3S)−1−メチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]カルバマート
NaBH(2.7g、74.23ミリモル)をフェニルメチル(3S)−3−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−4−(メチルアミノ)−4−チオキソブタノアート(3.3g、9.36ミリモル)およびNiCl・6HO(5.1g、21.62ミリモル)のTHF(50mL)およびEtOH(50mL)中氷冷溶液に少しづつ添加し、該反応混合物を室温で2.5日間攪拌した。ついで、得られた黒色混合物をセライトパッドを介して濾過し、濾液を濃縮した。この残渣に、トルエン(15mL)を加え、該溶液を12時間還流した。室温に冷却した後、該反応物を濃縮し、0%MeOH/CHClから10%MeOH/CHClまでの勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーを介して精製し、標記生成物(0.96g、48%)を白色固体として得た。H−NMR(CDCl)δ:1.466(9H,s)、2.270(1H,dd,J=16Hz,4Hz)、2.770(1H,m)、2.874(3H,s)、3.260(1H,dd,J=8Hz,4Hz)、3.720(1H,m)、4.310(1H,s)、4.820(1H,s)。LC−MS(ES) m/e 215.2(M+H)
【0058】
d)2−クロロ−4−{[(3S)−1−メチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
1,1−ジメチルエチル[(3S)−1−メチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]カルバマート(0.96g、4.5ミリモル)を4N HCl/ジオキサン(3mL)に懸濁させ、該混合物を室温で12時間攪拌した。溶媒を除去し、残渣をDMSO(27mL)およびHO(3mL)に溶かした。この溶液に、2−クロロ−4−フルオロベンゾニトリル(0.77g、4.90ミリモル)およびNaHCO(1.89g、22.5ミリモル)を加え、反応混合物を75℃で18時間攪拌した。室温に冷却した後、該反応混合物をHOとEtOAcの間に分配し、有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過して濃縮した。残渣を0%MeOH/CHClから5%MeOH/CHClまでの勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、標記生成物(0.598g、53%)を白色固体として得た。H−NMR(CDCl)δ:2.350(1H,m)、2.914(4H,m)、3.305(1H,m)、3.825(1H,m)、4.200(1H,m)、4.835(1H,d,J=6.8Hz)、6.492(1H,dd,J=8.4Hz,2.4Hz)、6.626(1H,d,J=2.4Hz)、7.454(1H,d,J=8.4Hz)。LC−MS(ES) m/e 250.0(M+H)
【0059】
中間体2:2−クロロ−4−{[(3S)−1−(1−メチルエチル)−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
【化14】

【0060】
a)1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(1−メチルエチル)アミノ]ブタノアート
1,1−ジメチルエチル(3S)−4−アミノ−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]ブタノアート(0.309g、1ミリモル)、アセトンシアノヒドリン(0.1g、1.18ミリモル)およびクラッシュした4ÅモレキュラーシーブのEtOH(5mL)中混合物を60℃で6時間攪拌した。冷却後、該反応混合物を濾過した。濾液をNaBH(過剰量)で処理し、2.5時間攪拌した。反応物をHOで希釈し、EtO(2x)で抽出した。有機抽出液をHO(2x)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮させて標記生成物(0.33g、94%)を得た。LC−MS(ES) m/e 352.5(M+H)
【0061】
b)(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(1−メチルエチル)アミノ]ブタン酸・塩酸塩
1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(1−メチルエチル)アミノ]ブタノアート(0.33g、0.94ミリモル)のCHCl(2mL)中溶液をTFA(1mL)で1.5時間処理し、反応物を完全に蒸発させた。残渣を4N HCl/ジオキサン(4mL)で処理し、ついで濃縮(この工程を2回行った)し、該粗生成物を次の工程にそのまま使用した。
【0062】
c)2−クロロ−4−{[(3S)−1−(1−メチルエチル)−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
粗(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(1−メチルエチル)アミノ]ブタン酸・塩酸塩をMeCN(20mL)に溶かし、HMDS(4mL)で処理し、反応物を60℃で15時間攪拌した。冷却した後、該反応物をHOで希釈し、EtO(2x)で希釈した。合した有機抽出液をHO(2x)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮し、25%EtOAc/ヘキサンから100%EtOAc/ヘキサンまでの勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して精製し、標記生成物(0.13g、49%)を得た。LC−MS(ES) m/e 277.9(M+H)
【0063】
中間体3:2−クロロ−4−{[(3S)−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
【化15】

【0064】
a)フェニルメチルN−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−N−エチル−L−a−アスパラギナート
メチルアミン塩酸塩の代わりにエチルアミン塩酸塩を用いる以外、中間体1に至る別の経路の一般的操作(パートa)に従ってこの化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 351.4(M+H)
【0065】
b)フェニルメチル(3S)−3−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−4−(エチルアミノ)−4−チオキソブタノアート
フェニルメチルN−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−N−メチル−L−α−アスパラギナートの代わりにフェニルメチルN−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−N−エチル−L−α−アスパラギナートを用いる以外、中間体1に至る別の経路の一般的操作(パートb)に従ってこの化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 311.2(M−56)+。
【0066】
c)1,1−ジメチルエチル[(3S)−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]カルバマート
フェニルメチル(3S)−3−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−4−(メチルアミノ)−4−チオキソブタノアートの代わりにフェニルメチル(3S)−3−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−4−(エチルアミノ)−4−チオキソブタノアートを用いる以外、中間体1に至る別の経路の一般的操作(パートc)に従ってこの化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 229.4(M+H)
【0067】
d)2−クロロ−4−{[(3S)−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
1,1−ジメチルエチル [(3S)−1−メチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]カルバマートの代わりに1,1−ジメチルエチル [(3S)−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]カルバマートを用いる以外、中間体1に至る別の経路の一般的操作(パートd)に従ってこの化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 264.0(M+H)
【0068】
中間体3:2−クロロ−4−{[(3S)−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリルに至る別の経路
【化16】

【0069】
(a)1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(エチルアミノ)ブタノアート
アセトンシアノヒドリンの代わりに2−ヒドロキシプロパンニトリルを用いる以外、中間体2と同様の操作(パートa)を用いてこの化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 337.9(M+H)
【0070】
b)2−クロロ−4−{[(3S)−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(エチルアミノ)ブタノアート(5.66g、16.8ミリモル)、HCl(ジオキサン中4M、40mL)およびMeOH(100mL)の溶液を65℃で2時間攪拌した。冷却後、該反応物を濃縮した。該残渣に、KCO(325メッシュ、6.6g、47.5ミリモル)およびMeOH(150mL)を加え、該反応物を65℃で1時間攪拌した。溶媒を除去し、残渣をEtOAcとHOの間に分配した。有機層をMgSO上で乾燥させ、濃縮させて生成物を白色固体として得た(2.4g、54%)。LC−MS(ES) m/e 264.4(M+H)
【0071】
中間体3:2−クロロ−4−{[(3S)−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリルに至る別の経路
【化17】

【0072】
a)1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−{エチル[(2−ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}ブタノアート
上記した工程からの粗1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−{[(2−ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}ブタノアート、ヨウ化エチル(2.59mL、32.4ミリモル)およびKCO(325メッシュ、6.71g、48.6ミリモル)のDMF(93mL)中混合物を室温で60分間攪拌した。該反応物をHO(200mL)で希釈し、EtO(3x)で抽出した。該有機抽出液をHO(2x)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して濃縮した。該粗生成物を次の工程にそのまま使用した。
【0073】
b)1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(エチルアミノ)ブタノアート
DMF(60mL)中の上記した工程から由来の粗1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−{エチル[(2−ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}ブタノアート(16.2ミリモル)、フェニルヒドロスルフィド(1.0当量、1.78g、16.2ミリモル)およびKCO(325メッシュ、3当量、6.71g、48.6ミリモル)を室温で90分間攪拌した。該反応混合物をHO(200mL)で希釈し、EtO(3x)で抽出した。該有機抽出液をHOおよび10%水性NaCOで洗浄し、乾燥させ、濃縮させて、副生成物として2−ニトロフェニルフェニルスルフィドで汚染されている、標記生成物を得た。この汚染された生成物を次の工程にそのまま使用した.
【0074】
e)メチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(エチルアミノ)ブタノアート・塩酸塩
上記した工程からの1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(エチルアミノ)ブタノアートをMeOH(150mL)と4N HCl/ジオキサン(20mL)の混合液に溶かし、60℃で3時間加熱した。溶媒をスラリーになるまで濃縮し、EtO(200mL)を添加し、その固体を濾過し、EtOで充分に洗浄して標記化合物(4.0g)を得た。
【0075】
d)2−クロロ−4−{[(3S)−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
メチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(エチルアミノ)ブタノアート・塩酸塩(4.0g.、13.5ミリモル)を酢酸エチル(50mL)に再度溶かした。水(50mL)を加え、10%炭酸水素ナトリウムを攪拌しながら添加し、そのpHを8.5にした。有機層を濃縮し、ベンゼン(120mL)に再び溶解させた。該溶液を攪拌しながら75℃で6時間加熱した。溶媒を蒸発させた。粗生成物をEtOでトリチュレートし、冷却し、固体を濾過して標記化合物(3.0g、84%)を得た。LC−MS(ES) m/e 263(M+H)
【0076】
中間体4:2−クロロ−4−{[(3S)−5−オキソ−1−(フェニルメチル)−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
【化18】

【0077】
a)1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(フェニルメチル)アミノ]ブタノアート
EtOH(4mL)中の1,1−ジメチルエチル(3S)−4−アミノ−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]ブタノアート(0.355g、1.15ミリモル)、ベンズアルデヒド(0.12g、1.15ミリモル)および4Åモレキュラーシーブを室温で3時間攪拌した。この混合物に、NaBH(過剰量)を加え、該反応物をさらに1時間攪拌した。該反応物を濾過した。濾液をHOで希釈し、EtO(2x)で抽出した。該有機抽出液をHOで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮し、0%MeOH/CHClから5%MeOH/CHClまでの勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーを介して精製し、標記生成物(0.27g、59%)を白色固体として得た。LC−MS(ES) m/e 400.3(M+H)
【0078】
b)(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(フェニルメチル)アミノ]ブタン酸・塩酸塩
1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(1−メチルエチル)アミノ]ブタノアートの代わりに1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(フェニルメチル)アミノ]ブタノアートを用いる以外、中間体2(パートb)と同様の操作を用いて、この化合物を製造した。
【0079】
c)2−クロロ−4−{[(3S)−5−オキソ−1−(フェニルメチル)−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(1−メチルエチル)アミノ]ブタン酸・塩酸塩の代わりに(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(フェニルメチル)アミノ]ブタン酸・塩酸塩を用いる以外、中間体2(パートc)と同様の操作を用いてこの化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 326.6(M+H)
【0080】
中間体5:2−クロロ−4−{[(3S)−1−(2,2−ジメチルプロピル)−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
【化19】

【0081】
a)1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(2,2−ジメチルプロピル)アミノ]ブタノアート
NaBH(OAc)3(0.5g、2.32ミリモル)を、1,1−ジメチルエチル(3S)−4−アミノ−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]ブタノアート(0.48g、1.55モル)およびトリメチルアセトアルデヒド(0.14g、1.60ミリモル)のCHCl(35mL)中溶液に添加した。室温で2時間攪拌した後、該反応物をCHCl(35mL)で希釈し、飽和NaHCOで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮させて標記生成物(0.575g、98%)を油状物として得た。LC−MS(ES) m/e 380.6(M+H)
【0082】
b)(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(2,2−ジメチルプロピル)アミノ]ブタン酸・塩酸塩
1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(1−メチルエチル)アミノ]ブタノアートの代わりに1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(2,2−ジメチルプロピル)アミノ]ブタノアートを用いる以外、中間体2(パートb)と同様な操作を用いてこの化合物を製造した。
【0083】
c)2−クロロ−4−{[(3S)−1−(2,2−ジメチルプロピル)−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(1−メチルエチル)アミノ]ブタン酸・塩酸塩の代わりに(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(2,2−ジメチルプロピル)アミノ]ブタン酸・塩酸塩を用いる以外、中間体2(パートc)と同様な操作を用いてこの化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 306(M+H)
【0084】
中間体6:2−クロロ−4−{[(3S)−1−(1−メチルプロピル)−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
【化20】

【0085】
a)1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(1−メチルプロピル)アミノ]ブタノアート
トリメチルアセトアルデヒドの代わりに2−ブタノン、およびCHClの代わりに1,2−ジクロロエタンを用いる以外、中間体5(パートa)の操作に従って、この化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 366.6(M+H)
【0086】
b)メチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(1−メチルプロピル)アミノ]ブタノアート・塩酸塩
1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(メチルアミノ)ブタノアートの代わりに1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(1−メチルプロピル)アミノ]ブタノアートを用いる以外、中間体1(パートi)と同様の操作を用いて、この化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 323.9(M+H)
【0087】
c)2−クロロ−4−{[(3S)−1−(1−メチルプロピル)−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
メチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(メチルアミノ)ブタノアート・塩酸塩の代わりにメチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(1−メチルプロピル)アミノ]ブタノアート・塩酸塩を用い、該反応物を6時間攪拌する以外、中間体1(パートj)と同様の操作を用いてこの化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 291.9(M+H)
【0088】
中間体7:2−クロロ−4−{[(3S)−1−(1−エチルプロピル)−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
【化21】

【0089】
a)1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(1−エチルプロピル)アミノ]ブタノアート
トリメチルアセトアルデヒドの代わりに3−ペンタノンを、CHClの代わりに1,2−ジクロロエタンを用いる以外、中間体5(パートa)と同様の操作を用いてこの化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 380.6(M+H)
【0090】
b)メチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(1−エチルプロピル)アミノ]ブタノアート・塩酸塩
1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(メチルアミノ)ブタノアートの代わりに1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(1−エチルプロピル)アミノ]ブタノアートを用い、反応物を65℃で攪拌する以外、中間体1と同様の操作(パートi)を用いてこの化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 339.9(M+H)
【0091】
c)2−クロロ−4−{[(3S)−1−(1−エチルプロピル)−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
メチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(メチルアミノ)ブタノアート・塩酸塩の代わりにメチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(1−エチルプロピル)アミノ]ブタノアート・塩酸塩を用い、反応物を24時間攪拌する以外、中間体1と同様の操作(パートj)を用いてこの化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 305.9(M+H)
【0092】
中間体8:2−クロロ−4−{[(3S)−5−オキソ−1−プロピル−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
【化22】

【0093】
a)1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[[(2−ニトロフェニル)スルホニル](プロピル)アミノ]ブタノアート
MeIの代わりに1−ブロモブタンを用いる以外、中間体1と同様の操作(パートg)を用いてこの化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 537.2(M+H)
【0094】
b)1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(プロピルアミノ)ブタノアート
1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−{メチル[(2−ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}ブタノアートの代わりに1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[[(2−ニトロフェニル)スルホニル](プロピル)アミノ]ブタノアートを用いる以外、中間体1と同様の操作(パートh)を用いてこの化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 352.6(M+H)
【0095】
c)メチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(プロピルアミノ)ブタノアート・塩酸塩
1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(メチルアミノ)ブタノアートの代わりに1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(プロピルアミノ)ブタノアートを用いる以外、中間体1と同様の操作(パートi)を用いてこの化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 310.5(M+H)
【0096】
d)2−クロロ−4−{[(3S)−5−オキソ−1−プロピル−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
メチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(メチルアミノ)ブタノアート・塩酸塩の代わりにメチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(プロピルアミノ)ブタノアート・塩酸塩を用いる以外、中間体1と同様の操作(パートj)を用いてこの化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 278.5(M+H)
【0097】
中間体9:2−クロロ−4−({(3S)−1−[2−(メチルオキシ)エチル]−5−オキソ−3−ピロリジニル}アミノ)ベンゾニトリル
【化23】

【0098】
a)1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−{[2−(メチルオキシ)エチル][(2−ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}ブタノアート
MeIの代わりに2−ブロモエチルメチルエーテルを用いる以外、中間体1と同様の操作(パートg)を用いてこの化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 553.3(M+H)
【0099】
b)1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−{[2−(メチルオキシ)エチル]アミノ}ブタノアート
1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−{メチル[(2−ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}ブタノアートの代わりに1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−{[2−(メチルオキシ)エチル][(2−ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}ブタノアートを用いる以外、中間体1と同様の操作(パートh)を用いてこの化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 368.7(M+H)
【0100】
c)メチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−{[2−(メチルオキシ)エチル]アミノ}ブタノアート・塩酸塩
1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(メチルアミノ)ブタノアートの代わりに1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−{[2−(メチルオキシ)エチル]アミノ}ブタノアートを用いる以外、中間体1と同様の操作(パートi)を用いてこの化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 326.6(M+H)
【0101】
d)2−クロロ−4−({(3S)−1−[2−(メチルオキシ)エチル]−5−オキソ−3−ピロリジニル}アミノ)ベンゾニトリル
メチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(メチルアミノ)ブタノアート・塩酸塩の代わりにメチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−{[2−(メチルオキシ)エチル]アミノ}ブタノアート・塩酸塩を用いる以外、中間体1と同様の操作(パートj)を用いてこの化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 294.5(M+H)
【0102】
中間体10:2−クロロ−4−{[(3S)−5−オキソ−1−(2−プロペン−1−イル)−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
【化24】

【0103】
a)1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[[(2−ニトロフェニル)スルホニル](2−プロペン−1−イル)アミノ]ブタノアート
MeIno代わりに3−ブロモ−1−プロペンを用いる以外、中間体1と同様の操作(パートg)を用いてこの化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 535.8(M+H)
【0104】
b)1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(2−プロペン−1−イルアミノ)ブタノアート
1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−{メチル[(2−ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}ブタノアートの代わりに1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[[(2−ニトロフェニル)スルホニル](2−プロペン−1−イル)アミノ]ブタノアートを用いる以外、中間体1と同様の操作(パートh)を用いてこの化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 350.4(M+H)
【0105】
c)メチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(2−プロペン−1−イルアミノ)ブタノアート・塩酸塩
1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(メチルアミノ)ブタノアートの代わりに1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(2−プロペン−1−イルアミノ)ブタノアートを用いる以外、中間体1と同様の操作(パートi)を用いてこの化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 308.5(M+H)
【0106】
d)2−クロロ−4−{[(3S)−5−オキソ−1−(2−プロペン−1−イル)−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
メチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(メチルアミノ)ブタノアート・塩酸塩の代わりにメチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−(2−プロペン−1−イルアミノ)ブタノアート・塩酸塩を用いる以外、中間体1と同様の操作(パートj)を用いてこの化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 276.5(M+H)
【0107】
1,1−ジメチルエチル(3S)−3−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−ヒドロキシブタノアートの別の製法
【化25】

【0108】
(2S)−2−[(3−クロロ−4−シアノフェニル)アミノ]−4−[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]−4−オキソブタン酸(115.0g、0.35モル)のTHF(300mL)中、ドライアイス/アセトン浴にて−65℃に冷却した溶液に、温度を維持または下げるような速度で、カルボニルジイミダゾール(68.9g、0.43モル)を少しづつ添加した。添加終了後、反応物をさらに1時間攪拌した。この溶液をジャケット付きの滴下漏斗に移し、そのジャケットの中にドライアイスを入れ、溶液の温度を−70℃に維持し、ついでNaBH(16.1g、0.43モル)、氷(600mL)およびTHF(100mL)の混合物に加える(該溶液のNaBH混合物への添加はその添加の間に温度が0℃を越えない速度でなされる)。得られた反応混合物を0℃でさらに1時間攪拌した。該反応混合物を外界温度にまで加温させ、その後でEtOAc(400mL)およびHO(400mL)を添加した。ついで、該混合物を2N HCl(約800mL)でpH2.5まで酸性にした。該有機層を分け、水相をEtOAc(400mL)で2回抽出した。合した有機層をHO(400mL)、水性NaHCO(400mL)およびブライン(400mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、ついで濾過して溶媒を真空下で除去した。得られた固体をCHCl(200mL)に溶かし、ついでヘキサン(400mL)を該溶液に加え、生成物を沈殿させた。得られたスラリーを濾過し、集めた固体をオーブン中外界温度で真空下に置き、所望の生成物を得た:109.8g(99.8%)。LC−MS(ES) m/e 311.5(M+H)
【0109】
実施例1:2−クロロ−4−{[(2−クロロフェニル)メチル][(3S)−1−メチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
【化26】

【0110】
NaH(鉱油中60%、0.010g、0.26ミリモル)を、N雰囲気下、0℃での2−クロロ−4−{[(3S)−1−メチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル(0.06g、0.24ミリモル)のDMF(2mL)中溶液に添加した。10分間攪拌した後、1−(ブロモメチル)−2−クロロベンゼン(0.054g、0.26ミリモル)を加え、該反応混合物を0℃で15分間攪拌した。該反応物をHOでクエンチし、ついでEtOAcとHOの間に分配した。有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過して濃縮した。残渣を5%EtOAc/ヘキサンから100%EtOAc/ヘキサンの勾配で溶出するカラムクロマトグラフィーを介して精製し、標記化合物(0.03g、37%)を透明な油として得た。H−NMR(CDCl)δ:2.486(1H,m)、2.797(1H,m)、2.866(3H,s)、3.383(1H,m)、3.785(1H,m)、4.563(2H,m)、4.281(1H,m)、6.519(1H,dd,J=8.8Hz,2.8Hz)、6.717(1H,d,J=2.8Hz)、6.757(1H,dd,J=7.6Hz,1.2Hz)、7.264(2H,m)、7.420(2H,m)。LC−MS(ES) m/e 374.2(M+H)
【0111】
実施例2:2−クロロ−4−{[(3S)−1−メチル−5−オキソ−3−ピロリジニル][(2−メチルフェニル)メチル]アミノ}ベンゾニトリル
【化27】

【0112】
NaH(鉱油中60%、0.857g、21.4ミリモル)を石油エーテル(pet ether)(3x)で洗浄し、DMF(50mL)に懸濁させ、0℃に冷却した。この懸濁液に、2−クロロ−4−{[(3S)−1−メチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル(5.08g、20.0ミリモル)およびDMF(25mL)の溶液を20分間にわたって滴下した。0℃で30分間攪拌した後、この溶液を1−(ヨードメチル)−2−メチルベンゼン(7.0g、30.0ミリモル)の予め冷却した(0℃)DMF(75mL)中溶液に30分間にわたって滴下した。該反応物を0℃でさらに20分間攪拌し、ついで水性NHCl(300mL)およびジエチルエーテル(300mL)の溶液に注いだ。層を分離し、水層をEtO(2x300mL)で抽出した。有機抽出液をHO、水性NaHSOで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過して濃縮した。該油状物をイソプロパノール(1mL)およびジエチルエーテル(75mL)でトリチュレートし、固体を濾過して標記化合物(5.4g.、76%)を白色固体として得た。LC−MS(ES) m/e 354.5(M+H)
【0113】
実施例3:2−クロロ−4−{[(2−フルオロフェニル)メチル][(3S)−1−(1−メチルエチル)−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
【化28】

【0114】
NaH(鉱油中60%、0.026g、0.65ミリモル)を鉱油がないように洗浄し、ついでDMF(3mL)に懸濁させ、−20℃に冷却した。この懸濁液に、2−クロロ−4−{[(3S)−1−(1−メチルエチル)−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル(0.120g、0.43ミリモル)の溶液を添加した。−20℃で20分間攪拌した後、1−(ブロモメチル)−2−フルオロベンゼン(0.12g、0.65ミリモル)/DMF(2mL)を加え、該反応物を−20℃で5分間、ついで0℃で5分間攪拌した。反応物を水性NHClでクエンチし、HOで希釈し、EtO(2x)で抽出した。該有機抽出液をHOで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して濃縮した。残渣を25%EtOAc/ヘキサンから100%EtOAc/ヘキサンまでの勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して精製し、生成物(0.13g、79%)を白色固体として得た。H−NMR(CDCl)δ:1.137(6H,dd,J=16.8Hz,6.8Hz)、2.547(1H,m)、2.842(1H,m)、3.349(1H,m)、3.749(1H,m)、4.465(1H,m)、4.588(2H,m)、4.755(1H,m)、6.566(1H,d,J=8.8Hz)、6.747(1H,s)、7.031(1H,m)、7.130(2H,m)、7.325(1H,m)、7.455(1H,d,J=8.8Hz)。LC−MS(ES) m/e 386.4(M+H)
【0115】
実施例4:2−クロロ−4−{[(3S)−1−(2−ヒドロキシエチル)−5−オキソ−3−ピロリジニル][(2−メチルフェニル)メチル]アミノ}ベンゾニトリル
【化29】

【0116】
a)2−クロロ−4−{[(2−メチルフェニル)メチル][(3S)−5−オキソ−1−(2−プロペン−1−イル)−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
2−クロロ−4−{[(3S)−1−メチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリルの代わりに2−クロロ−4−{[(3S)−5−オキソ−1−(2−プロペン−1−イル)−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル(中間体10)を用いる以外、実施例2と同様の操作を用いてこの化合物を製造した。LC−MS(ES) m/e 380.6(M+H)
【0117】
b)2−クロロ−4−{[(3S)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−5−オキソ−3−ピロリジニル][(2−メチルフェニル)メチル]アミノ}ベンゾニトリル
2−クロロ−4−{[(2−メチルフェニル)メチル][(3S)−5−オキソ−1−(2−プロペン−1−イル)−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル(30.0mg、0.08ミリモル)および4−メチル モルホリンオキシド(37.5mg、0.16ミリモル)をTHF/t−BuOH/HO(0.5mL/0.2mL/0.1mL)の混合液に溶かした。この溶液に、四酸化オスミウム/2−メチル−2−プロパノール溶液(2.5重量%、81.3mg、0.008ミリモル)を添加し、該混合物を室温で18時間攪拌した。反応混合物を5%NaHSO(2mL)でクエンチし、有機層を分離し、濃縮させて所望の生成物を白色固体として得た(12.0mg、收率37%)。LC−MS(ES) m/e 413.7(M+H)
【0118】
c)2−クロロ−4−{[(2−メチルフェニル)メチル][(3S)−5−オキソ−1−(2−オキソエチル)−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
過ヨウ素酸ナトリウム(HO中0.25M、12.8mg、0.06ミリモル)水溶液を2−クロロ−4−{[(3S)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−5−オキソ−3−ピロリジニル][(2−メチルフェニル)メチル]アミノ}ベンゾニトリル(25.0mg、0.06ミリモル)のTHF中溶液に添加した。室温で30分間攪拌した後、該反応混合物を酢酸エチル(5mL)で3回抽出した。有機物を無水MgSO上で乾燥させ、濃縮して標記化合物を白色泡沫体として得た。該粗物質を次工程にそのまま使用した。
【0119】
d)2−クロロ−4−{[(3S)−1−(2−ヒドロキシエチル)−5−オキソ−3−ピロリジニル][(2−メチルフェニル)メチル]アミノ}ベンゾニトリル
上記工程からの2−クロロ−4−{[(2−メチルフェニル)メチル][(3S)−5−オキソ−1−(2−オキソエチル)−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリルをTHFに溶かし、NaBH(1.2当量)を添加した。室温で2時間攪拌した後、反応混合物をHOでクエンチし、酢酸エチル(5mL)で3回抽出した。有機物を無水MgSO上で乾燥させ、濃縮して標記化合物を白色固体として得た(3.5g、2工程で33%)。LC−MS(ES) m/e 384.6(M+H)
【0120】
実施例5:2−クロロ−4−{[(3S)−1−(3−ヒドロキシプロピル)−5−オキソ−3−ピロリジニル][(2−メチルフェニル)メチル]アミノ}ベンゾニトリル
【化30】

【0121】
ボラン−THF(1.0M、0.25mL、0.25ミリモル)を、2−クロロ−4−{[(2−メチルフェニル)メチル][(3S)−5−オキソ−1−(2−プロペン−1−イル)−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル(20.0mg、0.05ミリモル)の溶液に添加し、該反応混合物を室温で一夜攪拌した。出発物質の消費が完了すれば、該反合物をTHF(5mL)で希釈し、HO(1.0mL、2.6ミリモル)を0℃で滴下した。ついで、該混合物を30分にわたって室温に加温した。過酸化水素(HO中30重量%、36.2mg、0.32ミリモル)および2N NaOH(0.06mL、0.12ミリモル)を0℃で添加し、得られた混合物を25℃で1時間、そして60℃で2時間攪拌した。該反応混合物を冷却し、EtOAcで2回抽出した。合した有機抽出液をNaSO上で乾燥させ、濃縮して所望の末端アルコールおよび第二アルコールのラセミ化合物の粗混合物を得た。HPLC(30x100 Xterra Prep、水(溶媒A)およびアセトニトリル(溶媒B)、TFA不含;17分にわたって40から100%(溶媒B)に、流速30mL/分)精製に付すことで、標記化合物(3.0mg、收率14%)が白色固体として単離された。LC−MS(ES) m/e 398.7(M+H)
【0122】
以下の表は、指摘する操作に従って調製される化合物を説明するものである。(Intは利用される中間体であり;procedは適当な求電子剤を用いて一般に実施される実施例番号である)
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表1−6】

【表1−7】

【表1−8】

【表1−9】

【表1−10】

【表1−11】

【表1−12】

【表1−13】

【表1−14】

【表1−15】

【表1−16】

【表1−17】

【表1−18】

【表1−19】

【表1−20】

【表1−21】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式:
【化1】

[式中:
XはH、ハロゲンまたはCFであり;
はH、C−C−アルキル、C−C−アルコキシカルボニル−(CH−、C−C−アルキルカルボニルオキシ−(CH−、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル−(CH−、C−C−アルキル−ヘテロシクロアルキル−(CH−、−CHCF、C−C−アルキルカルボニル−(CH−、C−C−アルケニル、ナフチル、−(CH−ヘテロアリール−(Rまたは−(CH−フェニル−(R’)であり;
はC−C−アルキル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、C−C−アルキル−ヘテロシクロアルキル、C−C−アルケニル、ナフチル、ヘテロアリール−(Rまたはフェニル−(R’)であり;
ここで、mは0ないし6の整数であり;nは0ないし5の整数であり;oは1ないし6の整数であり;pは2ないし6の整数であり;ここで、Rは各々独立して、C−C−アルキル、F、Cl、Br、CF、C−C−アルコキシ、ジメチルアミノ、C−C−アルケニル、オキソまたはCNであるか、あるいは2個のR基がその結合するヘテロアリール環と一緒になって縮合環を形成し;ここでR’は各々独立して、C−C−アルキル、F、Cl、Br、CF、C−C−アルコキシ、ジメチルアミノ、C−C−アルケニルまたはCNであるか、あるいは2個のR’基がその結合するフェニル環と一緒になって縮合二環式環を形成する]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項2】
がC−C−アルキルまたはベンジルであり;Rがフェニル−(R’)であり、ここでnが0ないし2の整数であり;Xがクロロである、請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項3】
がメチル、エチルまたはイソプロピルであり;R’がクロロ、フルオロ、トリフルオロメチルまたはメチルであり;nが0、1、2または3である、請求項1または2記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項4】
次式:
【化2】

[式中、nは0、1または2である]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩である、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項5】
2−クロロ−4−{[(3S)−1−メチル−5−オキソ−3−ピロリジニル][(2−メチルフェニル)メチル]アミノ}ベンゾニトリル;
2−クロロ−4−{[(2−フルオロフェニル)メチル][(3S)−1−メチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル;
2−クロロ−4−{[(2,4−ジフルオロフェニル)メチル][(3S)−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル;
2−クロロ−4−{[(2,3−ジフルオロフェニル)メチル][(3S)−1−メチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル;
2−クロロ−4−[[(3S)−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジニル](フェニルメチル)アミノ]ベンゾニトリル;
2−クロロ−4−{[(2,5−ジクロロフェニル)メチル][(3S)−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル;
2−クロロ−4−{[(2−クロロ−5−フルオロフェニル)メチル][(3S)−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル;
2−クロロ−4−{[(2−クロロフェニル)メチル][(3S)−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル;
2−クロロ−4−{[(3S)−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジニル][(2−メチルフェニル)メチル]アミノ}ベンゾニトリル;
2−クロロ−4−{[(2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル)メチル][(3S)−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル;
2−クロロ−4−{[(3S)−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジニル][(5−フルオロ−2−メチルフェニル)メチル]アミノ}ベンゾニトリル;
2−クロロ−4−{[(2−クロロフェニル)メチル][(3S)−1−(1−メチルエチル)−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル;および
2−クロロ−4−{[(2,5−ジクロロフェニル)メチル][(3S)−1−(1−メチルエチル)−5−オキソ−3−ピロリジニル]アミノ}ベンゾニトリル
からなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
請求項5に記載の化合物の医薬上許容される塩。
【請求項7】
a)請求項1ないし5のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬上許容される塩;およびb)医薬上許容される担体、を含む組成物。
【請求項8】
有効量の請求項1ないし5のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬上許容される塩をその必要とする患者に投与し、子宮内膜症、子宮筋腫、月経困難症、月経過多、早期陣痛または不妊症を治療することを含む、方法。
【請求項9】
有効量の請求項1ないし5のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬上許容される塩をその必要とする患者に投与し、避妊またはホルモン療法を提供することを含む、方法。

【公表番号】特表2010−500366(P2010−500366A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523938(P2009−523938)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/075304
【国際公開番号】WO2008/021796
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(591002957)スミスクライン・ビーチャム・コーポレイション (341)
【氏名又は名称原語表記】SMITHKLINE BEECHAM CORPORATION
【Fターム(参考)】