説明

プロジェクタ、スクリーン、表示システムおよび表示方法

【課題】プロジェクタの状態に関する情報や設定に関する情報をより見やすく表示することが可能なプロジェクタ等を提供すること。
【解決手段】プロジェクタ100が、画像データに基づき、画像をスクリーンの対象領域に投写する投写部190と、ユーザーによる指示情報を入力する指示情報入力部110と、前記指示情報に基づき、プロジェクタ100の状態に関する状態画像または前記プロジェクタの設定に関する設定画像を表示させるための表示対象データを前記対象領域の外部に設けられた表示部へ向け送信する送信部120とを含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタ、スクリーン、表示システムおよび表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2004−85961号公報等に記載されているように、従来、プロジェクタの状態に関する情報や設定に関する情報は、OSD(On Screen Display)として表示され、元の画像に重ね合わせられる方式で表示されていた。このため、画像に歪みがある場合や焦点が合っていない場合には、ユーザーは、プロジェクタの状態等に関する情報を確認しづらかった。
【0003】
また、例えば、プロジェクタのランプが寿命になった場合、OSDを表示できないため、従来のプロジェクタでは筐体に設けられたLED(Light Emitting Diode)を発光させて通知していた。このため、ユーザーにとっては、ランプの寿命を判断しづらかった。
【0004】
このように、プロジェクタの状態や設定に関する情報を確認しやすくする技術が求められている。
【0005】
また、例えば、プロジェクタがDVDプレーヤーからのコンテンツデータに基づいて字幕を有する映画の映像等を投写する場合も、元の画像に字幕が重ね合わせられる方式で表示されていた。
【0006】
例えば、特開平6−82912号公報では、画像投写用光学系と、字幕投写用光学系を設け、字幕投写用光学系の前に偏光板を設け、さらに、鑑賞者が特殊な眼鏡を装着するかどうかによって字幕の表示有無を決定することが記載されている。
【特許文献1】特開2004−85961号公報
【特許文献2】特開平6−82912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特開平6−82912号公報の手法では、鑑賞者が眼鏡を装着した場合は字幕を見ることができず、鑑賞者が眼鏡を外した場合は元の画像に字幕が重ね合わせられて表示されてしまう。
【0008】
このため、字幕を見たい鑑賞者は、元の画像に字幕が重ね合わせられた状態でしか見ることができず、元の画像が見づらくなる。
【0009】
本発明の第1の目的は、プロジェクタの状態に関する情報や設定に関する情報をより見やすく表示することが可能なプロジェクタ、スクリーン、表示システムおよび表示方法を提供することであり、本発明の第2の目的は、映像データに付随する字幕等をより見やすく表示することが可能なプロジェクタ、スクリーン、表示システムおよび表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係るプロジェクタは、
画像データに基づき、画像をスクリーンの対象領域に投写する投写部と、
ユーザーによる指示情報を入力する指示情報入力部と、
前記指示情報に基づき、プロジェクタの状態に関する状態画像または前記プロジェクタの設定に関する設定画像を表示させるための表示対象データを前記対象領域の外部に設けられた表示部へ向け送信する送信部と、
を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るスクリーンは、
プロジェクタによって投写される画像を表示する対象領域と、
前記プロジェクタの状態に関する状態画像または前記プロジェクタの設定に関する設定画像を表示するための表示対象データを前記プロジェクタから受信する受信部と、
前記対象領域の外部に設けられ、前記表示対象データに基づく前記状態画像または前記設定画像を表示する表示部と、
を含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る表示システムは、上記プロジェクタと、上記スクリーンとを含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る表示方法は、
画像データに基づき、画像をスクリーンの対象領域に投写する投写部と、
ユーザーによる指示情報を入力する指示情報入力部と、
前記指示情報に基づき、プロジェクタの状態に関する状態画像または前記プロジェクタの設定に関する設定画像を表示させるための表示対象データを前記対象領域の外部に設けられた表示部へ向け送信する送信部と、
を含むプロジェクタと、
前記プロジェクタによって前記画像が投写される前記対象領域と、
前記表示対象データを前記プロジェクタから受信する受信部と、
前記表示対象データに基づく前記状態画像または前記設定画像を表示する表示部と、
を含むスクリーンとを用いた表示方法であって、
前記投写部は、前記画像を前記対象領域に投写し、
前記送信部は、前記表示対象データを前記表示部へ向け送信し、
前記受信部は、前記表示対象データを受信し、
前記表示部は、前記表示対象データに基づき、前記状態画像または前記設定画像を表示することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、画像が投写される対象領域の外部の表示部が、プロジェクタの状態に関する情報や設定に関する情報を表示することにより、プロジェクタ等は、これらの情報をより見やすく表示することができる。
【0015】
また、前記プロジェクタは、前記指示情報として前記設定に関する情報が入力された場合に当該情報に応じた設定を行う設定部を含み、
前記設定画像は、複数の設定対象から前記ユーザーによって選択された設定対象の項目および当該項目の設定を示す画像であって、
前記設定部は、前記項目の設定を変更することを示す前記指示情報が入力された場合に、当該設定を変更してもよい。
【0016】
これによれば、プロジェクタ等は、表示部の表示と設定部の設定を同期させて設定を行うことができる。
【0017】
また、前記送信部は、前記表示対象データとして、前記項目および前記設定を1行または1列の文字列で表示するためのデータを送信してもよい。
【0018】
これによれば、プロジェクタ等は、表示部に項目等を1行の文字列で表示させることにより、表示部の表示領域が狭い場合や、表示部の表示能力が低い場合であっても、項目等を見やすく表示することができる。
【0019】
また、本発明に係るプロジェクタは、
映像データに基づき、画像をスクリーンの対象領域に投写する投写部と、
前記映像データに付随する付随データを、当該付随データに基づく文字画像を表示させるために前記対象領域の外部に設けられた表示部へ向け送信する送信部と、
を含むことを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係るスクリーンは、
プロジェクタによって投写される画像を表示する対象領域と、
前記プロジェクタから送信される前記画像に付随する付随データを受信する受信部と、
前記対象領域の外部に設けられ、前記付随データに基づく文字画像を表示する表示部と、
を含むことを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る表示システムは、上記プロジェクタと、上記スクリーンとを含むことを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る表示方法は、
映像データに基づき、画像をスクリーンの対象領域に投写する投写部と、
前記映像データに付随する付随データを、当該付随データに基づく文字画像を表示させるために前記対象領域の外部に設けられた表示部へ向け送信する送信部と、
を含むプロジェクタと、
前記プロジェクタによって前記画像が投写される前記対象領域と、
前記付随データを受信する受信部と、
前記付随データに基づく前記文字画像を表示する表示部と、
を含むスクリーンとを用いた表示方法であって、
前記投写部は、前記画像を前記対象領域に投写し、
前記送信部は、前記付随データを前記表示部へ向け送信し、
前記受信部は、前記付随データを受信し、
前記表示部は、前記付随データに基づき、前記文字画像を表示することを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、プロジェクタ等は、画像が投写される対象領域の外部の表示部が、映像データに付随する字幕等を示す付随データを文字画像として表示することにより、より見やすく表示することができる。
【0024】
また、前記プロジェクタは、
前記映像データと、前記付随データとを含むコンテンツデータを入力するデータ入力部と、
前記コンテンツデータから前記映像データと前記付随データとを分離するデータ分離部と、
を含んでもよい。
【0025】
これによれば、プロジェクタ等は、映像データと付随データが混在している状態で入力された場合であっても、付随データを分離して表示部に表示させることができる。
【0026】
また、前記プロジェクタは、ユーザーによる字幕の表示有無を示す指示情報を入力する指示情報入力部を含み、
前記付随データは、前記字幕を表示するための字幕データを含み、
前記送信部は、前記指示情報が前記字幕を表示することを指示する情報である場合に前記付随データを前記表示部へ向け送信し、前記指示情報が前記字幕を表示しないことを指示する情報である場合に前記付随データを前記表示部へ向け送信しなくてもよい。
【0027】
これによれば、プロジェクタ等は、ユーザーの指示に応じて字幕の表示有無を制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明をプロジェクタとスクリーンを含む表示システムに適用した場合を例に採り、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に示す実施例は、特許請求の範囲に記載された発明の内容を何ら限定するものではない。また、以下の実施例に示す構成の全てが、特許請求の範囲に記載された発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0029】
(システム全体の説明)
図1は、本実施例における表示システムの概略図である。
【0030】
表示システムは、プロジェクタ100と、スクリーン200とを含んで構成されている。また、スクリーン200は、プロジェクタ100から画像が投写される対象領域201と、プロジェクタの設定情報、状態情報、映画の字幕等を表示する表示領域202とを含んで構成されている。
【0031】
また、プロジェクタ100は、設定情報や状態情報を表示させるための表示対象データ、字幕等を表示させるための付随データ等をスクリーン200に送信する機能を有しており、スクリーン200は、表示対象データ等を受信して設定情報等を表示する機能を有している。
【0032】
以下、表示システムが、設定情報や状態情報を表示する場合と、字幕を表示する場合を例に採り説明する。
【0033】
(第1の実施例)
図2は、第1の実施例におけるメニュー情報の一例を示す図である。
【0034】
ユーザーは、リモコン(リモートコントローラ)を操作してプロジェクタ100のメニューで環境設定を選択した場合、図2に示すように、メニューの構造が木構造になっているため、多段階で選択を行う。
【0035】
例えば、ユーザーは、画質調整を行う場合、環境設定で、「画質調整」を選択し、「カラーモード」を選択し、「フォト」、「スポーツ」、「プレゼンテーション」、「シアター」、「ダイナミック」から所望のモードを選択する。
【0036】
本実施例の表示システムは、このような多段階の選択に対応してメニュー画像を表示領域202に表示する。
【0037】
図3は、第1の実施例におけるメニュー画像301〜303の遷移の一例を示す図である。
【0038】
プロジェクタ100は、リモコンからの指示情報に基づき、表示対象データをスクリーン200に送信し、スクリーン200は、表示対象データに基づき、メニュー画像301〜303を表示領域202に表示する。
【0039】
例えば、ユーザーが、環境設定を選択した場合、プロジェクタ100は、第1段階における最初の項目である「画質調整」を表示するための表示対象データをスクリーン200に送信する。これにより、スクリーン200は、表示領域202の左部分に「画質調整」を示すメニュー画像301を表示する。
【0040】
そして、ユーザーが、リモコンの下向き矢印キーを押した場合、プロジェクタ100は、第1段階における2番目の項目である「映像」を表示するための表示対象データをスクリーン200に送信する。これにより、スクリーン200は、表示領域202の左部分に「映像」を表示する。
【0041】
また、「画質調整」が表示された状態で、ユーザーが、リモコンの右向き矢印キーを押した場合、プロジェクタ100は、第2段階における最初の項目である「カラーモード」を表示するための表示対象データをスクリーン200に送信する。これにより、スクリーン200は、表示領域202の左部分に「画質調整」を示し、中央部分に「カラーモード」を示すメニュー画像302を表示する。
【0042】
さらに、「画質調整」および「カラーモード」が表示された状態で、ユーザーが、リモコンの右向き矢印キーを押した場合、プロジェクタ100は、第3段階における最初の項目である「フォト」を表示するための表示対象データをスクリーン200に送信する。これにより、スクリーン200は、表示領域202の左部分に「画質調整」を示し、中央部分に「カラーモード」を示し、右部分に「フォト」を示すメニュー画像303を表示する。
【0043】
なお、メニュー画像303が表示された状態で、ユーザーが、リモコンの左向き矢印キーを2回押した場合、表示領域202の表示は消え、変更内容が確定する。また、プロジェクタ100は、リモコンの決定キーが押された場合に変更内容を確定し、表示領域202の表示を消してもよい。
【0044】
以上のように、本実施例では、表示システムは、メニュー画像をOSDとして表示するのではなく、対象領域201の外側の表示領域202に文字列として表示する。
【0045】
次に、このような機能を実装するためのプロジェクタ100およびスクリーン200の機能ブロックについて説明する。
【0046】
図4は、第1の実施例におけるプロジェクタ100およびスクリーン200の機能ブロック図である。
【0047】
プロジェクタ100は、PC(Personal Computer)等から画像データを入力するデータ入力部150と、画像データに基づき、画像を生成する画像生成部180と、画像を対象領域201に投写する投写部190とを含んで構成されている。
【0048】
また、プロジェクタ100は、ユーザーによる指示情報を入力する指示情報入力部110と、指示情報に応じた設定を行う設定部130と、記憶部140と、表示対象データ144を送信する送信部120とを含んで構成されている。
【0049】
また、記憶部140は、メニュー画像の遷移等を示すメニューデータ142、設定部130によって設定される表示対象データ144等を記憶している。
【0050】
また、スクリーン200は、プロジェクタ100から表示対象データ144を受信する受信部210と、表示対象データ144に基づき、画像を表示する表示部220とを含んで構成されている。
【0051】
なお、これらの各部の機能を実装するためのハードウェアとしては、例えば、以下のものを採用してもよい。例えば、指示情報入力部110としては、リモコンからの赤外光を受光する赤外受信ユニット、操作ボタン等、設定部130としてはCPU等、記憶部140としてはRAM、ROM等、データ入力部150としては画像入力端子等、画像生成部180としては画像処理回路等、投写部190としては液晶パネル、ランプ、レンズ等、送信部120、受信部210としては無線通信ユニット、CPU等、表示部220としては液晶パネル、LED(Light Emitting Diode)等を採用してもよい。
【0052】
次に、これらの各部を用いた情報表示処理の流れについて説明する。
【0053】
図5は、第1の実施例における情報表示処理の流れを示すフローチャートである。
【0054】
設定部130は、指示情報入力部110からの情報に基づき、ユーザーからの指示があるかどうかを判定する(ステップP1)。
【0055】
指示があった場合、設定部130は、当該指示が設定指示であるかどうかを判定する(ステップP2)。なお、実際には種々の指示が入力されるが、ここでは、指示の種類は、プロジェクタ100のカラーモード等の設定を行うための設定指示と、プロジェクタ100のランプ等の状態を表示するための状態表示指示の2種類であるものとする。
【0056】
設定指示である場合、設定部130は、現在の段階が設定段階(上述した第3段階)であるかどうかを判定する(ステップP3)。
【0057】
設定段階である場合、設定部130は、通常の設定と同様にプロジェクタ100のカラーモード等の設定を行う(ステップP4)。なお、設定段階ではない場合は設定(ステップP4)は行われない。
【0058】
そして、設定部130は、現在の状態に応じて表示対象データ144を設定する(ステップP5)。具体的には、例えば、設定部130は、環境設定が選択された直後であれば、「画質調整」を表示させるための表示対象データ144を設定し、「画質調整」が表示された直後の状態であれば、「画質調整」および「カラーモード」を表示させるための表示対象データ144を設定する。
【0059】
なお、設定部130は、例えば、メニューデータ142と、指示の履歴に基づき、現在の状態を把握することができる。
【0060】
受信部210は、一定時間(例えば、1秒等)ごとまたは設定部130から送信指示を受けた場合に表示対象データ144をスクリーン200へ向け送信する(ステップP8)。なお、表示対象データ144は、画像データ、文字データ、表示制御データのいずれであってもよい。また、送信部120は、表示対象データ144を送信する場合、パケット化、ヘッダの付加、分割、圧縮等を行ってもよい。
【0061】
スクリーン200の受信部210は、プロジェクタ100から表示対象データ144を受信する(ステップS1)。なお、受信部210は、表示対象データ144が圧縮等されている場合、表示対象データ144を元の状態に復元する。
【0062】
そして、スクリーン200の表示部220は、表示対象データ144に基づき、メニュー画像301等を表示領域202に表示する(ステップS2)。
【0063】
以上の手順により、ユーザーは、表示領域202に表示されるメニュー画像301等によって設定項目や設定内容を確認しながらプロジェクタ100の設定を行うことができる。
【0064】
一方、ユーザーの指示内容が状態表示指示であった場合、設定部130は、表示対象の状態を示す情報を取得する(ステップP6)。例えば、ユーザーがランプの稼働時間の表示指示を行った場合、設定部130は、記憶部140内のランプの稼働時間を示すデータを取得する。
【0065】
そして、設定部130は、取得した情報に基づき、表示対象データ144を設定する(ステップP7)。
【0066】
なお、表示対象データ144の送信(ステップP8)以降は設定指示の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0067】
以上の手順により、ユーザーは、要求したプロジェクタ100の状態に関する情報を表示領域202で確認することができる。
【0068】
以上のように、本実施例によれば、表示システムは、画像が投写される対象領域201の外部の表示領域202に、プロジェクタの状態に関する情報や設定に関する情報を表示することにより、対象領域201に投写される画像と、表示領域202に表示される画像が重ならないため、これらの情報をより見やすく表示することができる。
【0069】
また、本実施例によれば、例えば、プロジェクタ100のランプが寿命になった場合や、画像処理回路が故障してプロジェクタ100が投写できない状態になった場合であっても、送信部120が状態を示す表示対象データ144を送信し、表示部220が当該状態を示す情報を表示することができるため、プロジェクタ100は、より確実かつ適切にユーザーに状態を通知することができる。
【0070】
また、本実施例によれば、プロジェクタ100の焦点が対象領域201に合っていない場合や、投写画像が対象領域201からはみ出して歪んでいる場合であっても、表示部220が焦点や歪みの状態を示す情報を表示することができるため、プロジェクタ100は、より確実かつ適切にユーザーに状態を通知することができる。また、ユーザーは、メニュー画像を見るために、焦点や歪みを合わせる必要がなくなるため、表示システムは、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0071】
また、本実施例によれば、表示システムは、プロジェクタ100の設定を行う場合に、表示領域202の表示と設定部130による設定を同期させて設定を行うことができる。
【0072】
また、本実施例によれば、表示システムは、表示領域202に項目等を1行の文字列で表示することにより、表示領域202が狭い場合や、表示部220の表示能力が低い場合であっても、項目等を見やすく表示することができる。
【0073】
また、本実施例によれば、表示領域202に表示される画像は、文字画像等のデータ量の少ない画像であるため、送受信時の負荷が少なく、表示システムは、確実かつ高速に送受信することができる。
【0074】
(第2の実施例)
次に、字幕表示について説明する。
【0075】
図6は、第2の実施例における字幕表示の一例を示す図である。
【0076】
字幕を表示する場合、対象領域201に映画の1シーンの画像(映像)が表示され、表示領域202に字幕(例えば、出演者の台詞等)が表示される。このように、本実施例では、表示システムは、映像と重ねない状態で字幕を表示する。
【0077】
次に、このような機能を実装するためのプロジェクタ100およびスクリーン200の機能ブロックについて説明する。
【0078】
図7は、第2の実施例におけるプロジェクタ100およびスクリーン200の機能ブロック図である。
【0079】
プロジェクタ100は、DVDプレーヤー等からコンテンツデータ等を入力するデータ入力部150と、コンテンツデータから映像データと当該映像データに付随する付随データを分離するデータ分離部160と、映像データに基づき、画像を生成する画像生成部180と、画像を対象領域201に投写する投写部190とを含んで構成されている。
【0080】
また、プロジェクタ100は、ユーザーによる指示情報を入力する指示情報入力部110と、記憶部140と、付随データ146を送信する送信部120とを含んで構成されている。
【0081】
また、記憶部140は、データ分離部160によって分離された付随データ146等を記憶している。
【0082】
また、スクリーン200は、プロジェクタ100から付随データ146を受信する受信部210と、付随データ146に基づき、画像を表示する表示部220とを含んで構成されている。
【0083】
なお、これらの各部の機能を実装するためのハードウェアとしては、例えば、以下のものを採用してもよい。例えば、指示情報入力部110としては、リモコンからの赤外光を受光する赤外受信ユニット、操作ボタン等、記憶部140としてはRAM、ROM等、データ入力部150としては画像入力端子等、データ分離部160としてはCPU、RAM、デコーダ等、画像生成部180としては画像処理回路等、投写部190としては液晶パネル、ランプ、レンズ等、送信部120、受信部210としては無線通信ユニット、CPU等、表示部220としては液晶パネル、LED等を採用してもよい。
【0084】
次に、これらの各部を用いた字幕表示処理の流れについて説明する。
【0085】
図8は、第2の実施例における字幕表示処理の流れを示すフローチャートである。
【0086】
データ入力部150は、DVDプレーヤー等からコンテンツデータを入力する(ステップP11)。
【0087】
データ分離部160は、コンテンツデータを映像データと付随データ146に分離し(ステップP12)、付随データ146を記憶部140に記憶する(ステップP13)。例えば、コンテンツデータのフォーマットがDVD-Video形式である場合、1GB単位で映像、音声、字幕が入っているが、データ分離部160は、Srt形式、idx+sub形式等で字幕の情報を取り出すことができる。また、コンテンツデータのフォーマットがクローズド・キャプション形式である場合、データ分離部160は、SAMI(Synchronized Accessible Media Interface)形式、SMIL形式等で字幕の情報を取り出すことができる。また、付随データ146は、画像データ、文字データのいずれでもよい。また、データ分離部160が、取り出した字幕の情報に基づいて表示制御データを生成し、当該表示制御データを付随データ146として記憶部140に記憶してもよい。
【0088】
送信部120は、付随データ146をスクリーン200へ向け送信する(ステップP14)。
【0089】
また、画像生成部180は、データ分離部160によって分離された映像データに基づき、画像を生成し(ステップP15)、投写部190は、画像を投写する(ステップP16)。なお、プロジェクタ100は、ステップP13、P14と、ステップP15、P16を並列的に実行することが可能である。また、プロジェクタ100は、ステップP11〜P16の処理を終了するまで(ステップP17)、繰り返し実行する。
【0090】
一方、スクリーン200の受信部210は、プロジェクタ100から付随データ146を受信する(ステップS11)。なお、受信部210は、付随データ146が圧縮等されている場合、付随データ146を元の状態に復元する。
【0091】
そして、スクリーン200の表示部220は、付随データ146に基づき、字幕等を表示領域202に表示する(ステップS12)。
【0092】
以上のように、本実施例によれば、表示システムは、画像が投写される対象領域201の外部の表示領域202に、映像データに付随する字幕等を示す付随データを文字画像として表示することにより、より見やすく表示することができる。
【0093】
また、本実施例によれば、表示システムは、映像データと付随データが混在している状態で入力された場合であっても、データ分離部160を用いて付随データを分離して表示部220に表示させることができる。
【0094】
また、本実施例によれば、表示システムは、字幕を映像から切り離して表示することができるため、映像の画質が劣化している場合であっても、字幕を見やすく表示することができる。
【0095】
また、本実施例によれば、表示領域202は、プロジェクタ100とスクリーン200との距離、プロジェクタ100のランプ輝度低下等の影響を受けないため、表示システムは、字幕を見やすく表示することができる。
【0096】
なお、指示情報入力部110は、ユーザーによる字幕の表示有無を示す指示情報を入力してもよい。データ分離部160は、字幕の表示指示があった場合に字幕を示す付随データ146を記憶部140に記憶し、字幕の非表示指示があった場合に付随データ146を記憶部140に記憶しない。
【0097】
これによれば、表示システムは、ユーザーの指示に応じて字幕の表示有無を制御することができる。特に、字幕の表示部分は映像とは独立しているため、ユーザーは、字幕の有無を簡単に選択することができる。
【0098】
(第3の実施例)
次に、複数のプロジェクタ100を用いて画像を投写する場合について説明する。
【0099】
図9は、第3の実施例における字幕表示状態の一例を示す図である。
【0100】
例えば、映画館で、4台のプロジェクタ100−1〜100−4がそれぞれ領域を分担して1つの画像を大画面の対象領域201に投写する場合を例に採って説明する。
【0101】
従来の方式では、字幕を画像と重ねて投写していた。このため、図9に示すように、複数のプロジェクタ100が領域を分担して1つの画像を投写する場合には字幕を適切に表示することはできなかった。
【0102】
これに対し、本実施例によれば、字幕を独立させて表示領域202に表示することにより、複数のプロジェクタ100が領域を分担して1つの画像を投写する場合であっても、字幕を適切に表示することができる。
【0103】
(第4の実施例)
次に、表示領域202をスクリーン200と着脱可能な表示ユニットとして形成する場合について説明する。
【0104】
図10は、第4の実施例における表示状態の一例を示す図である。
【0105】
例えば、家庭でプロジェクタ100を使用する場合、大型のスクリーン200を設置する余裕がなかったり、スクリーン200の上下に空きスペースがなかったり、ユーザーの好みで字幕等を縦方向に表示したかったりする場合がある。
【0106】
このような場合に対応するため、表示ユニット203は、対象領域201を有するスクリーン200の外部のいずれか1辺にユーザーが取り付け可能に形成されている。
【0107】
ここで、表示ユニット203は、上述した受信部210、表示部220に加え、3次元センサーを有しているものとする。
【0108】
例えば、図10に示すように、表示ユニット203がスクリーン200の右側に縦方向に取り付けられた場合、受信部210は、3次元センサーによって表示ユニット203が縦方向に取り付けられたことを把握し、字幕等の表示位置や表示方向を変更(例えば、横書きの字幕を縦書きに変更等)して表示部220に表示させる。
【0109】
これにより、表示ユニット203は、字幕やプロジェクタ100の状態等を示す情報を縦方向に表示することができる。
【0110】
このように、スクリーン200は、表示領域202として機能する表示ユニット203を有するスクリーンとして形成されてもよい。
【0111】
(その他の実施例)
なお、本発明の適用は上述した実施例に限定されず、種々の変形が可能である。
【0112】
例えば、指示情報入力部110は、表示領域202に表示する文字の字体を指示する指示情報を入力してもよい。この場合、設定部130やデータ分離部160は、指示された字体に応じて表示対象データ144や付随データ146の文字の字体を変形してもよい。
【0113】
これによれば、ユーザーは、自分の好みの字体で字幕等を表示することができる。
【0114】
また、表示領域202に表示する情報は、文字列には限定されず、図形を有する画像(例えば、ロゴマーク、商標、広告等)であってもよい。
【0115】
また、付随データ146は、字幕を示すデータには限定されず、タイトル、サブタイトル、出演者、オーディオの説明等を示すデータであってもよい。
【0116】
また、DVDプレーヤー等から映像データと付随データ146が分離した状態で入力される場合、データ分離部160は不要であり、データ入力部150は、入力した付随データ146をそのまま記憶部140に記憶してもよい。
【0117】
また、プロジェクタ100は、液晶パネルを用いたプロジェクタには限定されず、例えば、米国テキサス・インスツルメンツ社が開発したDMD(Digital Micromirror Device)を用いたプロジェクタ等であってもよい。
【0118】
また、プロジェクタ100やスクリーン200の機能を複数の装置に分散して実装してもよい。例えば、プロジェクタ100の機能をPCとプロジェクタに分散して実装してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本実施例における表示システムの概略図である。
【図2】第1の実施例におけるメニュー情報の一例を示す図である。
【図3】第1の実施例におけるメニュー画像の遷移の一例を示す図である。
【図4】第1の実施例におけるプロジェクタおよびスクリーンの機能ブロック図である。
【図5】第1の実施例における情報表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】第2の実施例における字幕表示の一例を示す図である。
【図7】第2の実施例におけるプロジェクタおよびスクリーンの機能ブロック図である。
【図8】第2の実施例における字幕表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】第3の実施例における字幕表示状態の一例を示す図である。
【図10】第4の実施例における表示状態の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0120】
100 プロジェクタ、110 指示情報入力部、120 送信部、130 設定部、140 記憶部、142 メニューデータ、144 表示対象データ、146 付随データ、150 データ入力部、160 データ分離部、180 画像生成部、190 投写部、200 スクリーン、201 対象領域、202 表示領域、203 表示ユニット、210 受信部、220 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づき、画像をスクリーンの対象領域に投写する投写部と、
ユーザーによる指示情報を入力する指示情報入力部と、
前記指示情報に基づき、プロジェクタの状態に関する状態画像または前記プロジェクタの設定に関する設定画像を表示させるための表示対象データを前記対象領域の外部に設けられた表示部へ向け送信する送信部と、
を含むことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
前記指示情報として前記設定に関する情報が入力された場合に当該情報に応じた設定を行う設定部を含み、
前記設定画像は、複数の設定対象から前記ユーザーによって選択された設定対象の項目および当該項目の設定を示す画像であって、
前記設定部は、前記項目の設定を変更することを示す前記指示情報が入力された場合に、当該設定を変更することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のプロジェクタにおいて、
前記送信部は、前記表示対象データとして、前記項目および前記設定を1行または1列の文字列で表示するためのデータを送信することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項4】
映像データに基づき、画像をスクリーンの対象領域に投写する投写部と、
前記映像データに付随する付随データを、当該付随データに基づく文字画像を表示させるために前記対象領域の外部に設けられた表示部へ向け送信する送信部と、
を含むことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項5】
請求項4に記載のプロジェクタにおいて、
前記映像データと、前記付随データとを含むコンテンツデータを入力するデータ入力部と、
前記コンテンツデータから前記映像データと前記付随データとを分離するデータ分離部と、
を含むことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項6】
請求項4、5のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
ユーザーによる字幕の表示有無を示す指示情報を入力する指示情報入力部を含み、
前記付随データは、前記字幕を表示するための字幕データを含み、
前記送信部は、前記指示情報が前記字幕を表示することを指示する情報である場合に前記付随データを前記表示部へ向け送信し、前記指示情報が前記字幕を表示しないことを指示する情報である場合に前記付随データを前記表示部へ向け送信しないことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項7】
プロジェクタによって投写される画像を表示する対象領域と、
前記プロジェクタの状態に関する状態画像または前記プロジェクタの設定に関する設定画像を表示するための表示対象データを前記プロジェクタから受信する受信部と、
前記対象領域の外部に設けられ、前記表示対象データに基づく前記状態画像または前記設定画像を表示する表示部と、
を含むことを特徴とするスクリーン。
【請求項8】
プロジェクタによって投写される画像を表示する対象領域と、
前記プロジェクタから送信される前記画像に付随する付随データを受信する受信部と、
前記対象領域の外部に設けられ、前記付随データに基づく文字画像を表示する表示部と、
を含むことを特徴とするスクリーン。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれかに記載の前記プロジェクタと、請求項7に記載の前記スクリーンとを含む表示システム。
【請求項10】
請求項4〜6のいずれかに記載の前記プロジェクタと、請求項8に記載の前記スクリーンとを含む表示システム。
【請求項11】
画像データに基づき、画像をスクリーンの対象領域に投写する投写部と、
ユーザーによる指示情報を入力する指示情報入力部と、
前記指示情報に基づき、プロジェクタの状態に関する状態画像または前記プロジェクタの設定に関する設定画像を表示させるための表示対象データを前記対象領域の外部に設けられた表示部へ向け送信する送信部と、
を含むプロジェクタと、
前記プロジェクタによって前記画像が投写される前記対象領域と、
前記表示対象データを前記プロジェクタから受信する受信部と、
前記表示対象データに基づく前記状態画像または前記設定画像を表示する表示部と、
を含むスクリーンとを用いた表示方法であって、
前記投写部は、前記画像を前記対象領域に投写し、
前記送信部は、前記表示対象データを前記表示部へ向け送信し、
前記受信部は、前記表示対象データを受信し、
前記表示部は、前記表示対象データに基づき、前記状態画像または前記設定画像を表示することを特徴とする表示方法。
【請求項12】
映像データに基づき、画像をスクリーンの対象領域に投写する投写部と、
前記映像データに付随する付随データを、当該付随データに基づく文字画像を表示させるために前記対象領域の外部に設けられた表示部へ向け送信する送信部と、
を含むプロジェクタと、
前記プロジェクタによって前記画像が投写される前記対象領域と、
前記付随データを受信する受信部と、
前記付随データに基づく前記文字画像を表示する表示部と、
を含むスクリーンとを用いた表示方法であって、
前記投写部は、前記画像を前記対象領域に投写し、
前記送信部は、前記付随データを前記表示部へ向け送信し、
前記受信部は、前記付随データを受信し、
前記表示部は、前記付随データに基づき、前記文字画像を表示することを特徴とする表示方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−116706(P2008−116706A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300053(P2006−300053)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】