説明

プロジェクタシステム

【課題】投影画像であるコンテンツに対して変化を与えるとき、所定の操作を行うのみで、自動的にコンテンツに対して変化を与えるコンテンツを生成することができ、コンテンツの編集作業を簡略化することができるプロジェクタシステムを提供することを目的とする。また、複数のプロジェクタを通信可能に接続することで、プロジェクタごとの投影画像であるコンテンツを比較することにより、効果的な資料作成を行うことができるプロジェクタシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】複数のプロジェクタの投影画像ごとに、オブジェクトに所定の変化を与える制御手段を含み、制御手段は、所定の変化を与えたオブジェクトの内容が複数のプロジェクタの投影画像間において重ならないように制御するプロジェクタシステムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のプロジェクタを利用して、プロジェクタの投影画像ごとに、投影面に投影画像として投影されるコンテンツのオブジェクトに変化を与えたコンテンツにより、比較を行うことができるプロジェクタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の投影表示装置では、投影表示装置の操作者が所望するコンテンツに編集するために、アプリケーションソフトウェアを介して、データ編集された後のコンテンツを投影面に投影することにより、編集後のコンテンツ同士を比較するものがあった(例えば、特許文献1及び2参照)。これら従来のものは、単一の投影表示装置を用いて、操作者が所望するコンテンツと投影面に投影されるコンテンツのデータが編集された後のコンテンツとを比較することができ、その後、所定の編集処理を行うものであった。
【0003】
また、これら従来のものは、操作者が所望するコンテンツと投影面に投影されるコンテンツのデータが編集された後のコンテンツとを比較することができるものであるが、色に関する編集のみを対象としているため、コンテンツのデータに関する編集としては非常に限定されたものであった。
【0004】
【特許文献1】特開2004−139496
【特許文献2】特開2004−86662
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の投影表示装置(特許文献1、特許文献2)はいずれも、単一の投影表示装置を用いて、アプリケーションソフトウェアを介して投影面に投影されるコンテンツとして、操作者が所望するコンテンツと投影面に投影されるコンテンツのデータが編集された後のコンテンツとを比較できるものである。
【0006】
しかし、上述の装置を用いて、編集後のデータのコンテンツ、例えば、コンテンツに含まれる図形等のオブジェクトの色に変化を与える編集後のデータのコンテンツを投影し、操作者が所望するコンテンツと投影面に投影される編集後のコンテンツとを比較する場合、単一の投影表示装置を使用していることから、まず、操作者がコンテンツに含まれるオブジェクトの色を変化させる編集を行い、次いで、操作者の所望するコンテンツであるか否かを判断するために投影画像であるコンテンツを確認しなければならない。さらに、操作者が所望するコンテンツではない場合、オブジェクトの色を変化させる編集を行い、編集後のコンテンツを確認するという作業を繰り返す必要があり、非常に労力を要するという問題が生じていた。
【0007】
また、単一の投影表示装置を使用していることから、投影面に投影される単一のコンテンツのみしか確認することができないため、コンテンツを変化させる編集前後のコンテンツを比較することができない。従って、最適なコンテンツを見出すことは非常に困難であるとともに、労力を要するという問題も生じていた。
【0008】
さらに、上述の投影表示装置を使用してコンテンツに変化を与えるためには、コンテンツのデータを読み込み、投影画像であるコンテンツを生成するソフトウェアの機能に依存する。すなわち、アニメーション機能あるいは編集機能等のソフトウェアの機能を備えた従来の投影表示装置では、コンテンツに所定の変化を加える場合、その都度編集を行わなければならない。この結果、コンテンツに与えた変化を徐々に異ならせて、それぞれの投影画像として投影されるコンテンツを比較したいというユーザの要求を満足させることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、投影画像であるコンテンツに対して変化を与えるとき、所定の操作を行うのみで、自動的にコンテンツに対して変化を与えるコンテンツを生成することができ、結果として、コンテンツの編集作業を簡略化することができるプロジェクタシステムを提供することにある。
【0010】
また、複数のプロジェクタを通信可能に接続することで、プロジェクタごとに投影画像として変化が与えられたコンテンツを同時に投影することができ、プロジェクタごとの投影画像であるコンテンツを比較することにより、効果的な資料作成を行うことができるプロジェクタシステムを提供することにある。
【0011】
以上の目的を達成するために、本発明においては、複数のプロジェクタの投影画像ごとに、オブジェクトに所定の変化を与える制御手段を含み、制御手段は、所定の変化を与えたオブジェクトの内容が複数のプロジェクタの投影画像間において重ならないように制御する。
【0012】
具体的には、本発明に係るプロジェクタシステムは、
オブジェクトにより構成されるコンテンツを投影画像として投影面に投影する複数の通信可能なプロジェクタを有するプロジェクタシステムであって、
前記複数のプロジェクタの各々から投影された投影画像ごとに、前記オブジェクトに所定の変化を与える制御手段を含み、
前記制御手段は、前記所定の変化を与えたオブジェクトの内容が前記複数のプロジェクタの投影画像間において異なるように制御する、
ことを特徴とする。
【0013】
本発明に係るプロジェクタシステムの発明は、制御手段により所定の変化が与えられたオブジェクトを含む投影画像を、投影面に投影することができる。なお、制御手段は、投影画像のオブジェクトのうち、1つのオブジェクトに所定の変化を与えるだけでなく、2つ以上のオブジェクトに所定の変化を与えることができる。
【0014】
また、上記制御手段は、所定の変化を与えたオブジェクトの内容が複数のプロジェクタの投影画像間において異なるように制御することから、複数のプロジェクタにより、同時に変化させたオブジェクトを含むコンテンツの投影画像を投影することができる。従って、1台のプロジェクタにより、オブジェクトの変化を比較する必要がなくなり、作業の簡略化ができる。
【0015】
さらに、上記制御手段により、各プロジェクタに対応する投影画像を比較することができるため、少ない台数のプロジェクタで、所定の変化を与えたオブジェクトを含むコンテンツの投影画像を、効率よく比較できる。従って、効果的な資料作成が可能となる。
【0016】
ここで、「オブジェクト」とは、プロジェクタから投影される投影画像に含まれる、図形オブジェクト、文字オブジェクトあるいは背景オブジェクト等のオブジェクトに限定されず、投影画像の他の画像部分に影響を与えず、独立して変形可能な独立画像要素も含むものである。例えば、独立画像要素として、複数レイヤーの集合により構成される1つの画像オブジェクトに含まれるレイヤーオブジェクトや、文字オブジェクトの中でフォント・大きさ・色等が変更可能な特定文字列オブジェクト等が挙げられる。
【0017】
また、「所定の変化を与える」とは、複数のプロジェクタの各々から投影された投影画像ごとに、オブジェクトに所定の変化を与えることをいう。そして、「異なるように制御する」とは、制御手段により所定の変化が与えられたオブジェクトの内容が、複数のプロジェクタの投影画像間において異なるように、各プロジェクタに対して指示又は調整することをいう。
【0018】
なお、制御手段は、コンテンツのデータである画像データから、コンテンツを投影画像として生成する画像生成手段と、投影画像を生成する際に、画像データに基づくコンテンツのオブジェクトに所定の変化を与える編集手段とを備える。従って、画像生成手段はビューア機能を、編集手段は編集機能を備えるものである。
【0019】
本発明に係るプロジェクタシステムとして、オブジェクトと、オブジェクトの属性を示すエレメントと、オブジェクトのエレメントに所定の変化を与えるためのパラメータと、を指定する指定手段をさらに含むことが好ましい。
【0020】
上述した発明によれば、指定手段により、オブジェクトのエレメントに与える変化、すなわち、所定の変化が与えられるオブジェクトを指定した後、エレメントとパラメータとを指定することができる。従って、上述した制御手段により、オブジェクトの内容が複数のプロジェクタの投影画像間において異なるように、オブジェクトのエレメントに所定の変化を与える制御をすることができる。
【0021】
さらに、上述した発明によれば、指定手段は、オブジェクトと、エレメントと、パラメータとを指定することから、編集作業の要素がこれら3つの要素に整理され、編集作業を簡略化することができる。
【0022】
ここで、「エレメント」とは、オブジェクトの属性をいい、例えば、オブジェクトの色情報、サイズ情報、フォント情報、回転情報、位置情報、縦横比率情報、その他オブジェクトの変化可能な情報の一群から選択されるエレメントである。「パラメータ」とは、オブジェクトのエレメントに所定の変化を与えるためのものをいう。具体的には、図形オブジェクトの場合は、エレメントとして色情報を、パラメータとして赤系統を、文字オブジェクトの場合は、エレメントとしてフォントサイズ情報を、パラメータとして2ポイントずつサイズアップ等をいう。
【0023】
本発明に係るプロジェクタシステムとして、複数のプロジェクタは、一のプロジェクタと、一のプロジェクタと通信可能な少なくとも1つの他のプロジェクタとを含み、制御手段は、指定手段により指定されたオブジェクトとエレメントとパラメータとに基づく所定の変化を示す変化情報を決定し、変化情報を一のプロジェクタから他のプロジェクタに送信することが好ましい。
【0024】
上述した発明によれば、制御手段は、変化情報を一のプロジェクタから他のプロジェクタに送信することから、一のプロジェクタ(以下、「基準プロジェクタ」と称する)による所定の変化を与える制御ができる。
【0025】
ここで、「複数のプロジェクタは、一のプロジェクタと、一のプロジェクタと通信可能な少なくとも1つの他のプロジェクタとを含む」ことから、一のプロジェクタ(基準プロジェクタ)を中心として、その他プロジェクタ各々が基準プロジェクタと通信可能なスター状のネットワークを構成することができる。
【0026】
「変化情報」とは、制御手段により決定され、オブジェクトに所定の変化を与える情報であって、具体的には、プロジェクタの投影画像ごとに、オブジェクトと、エレメント(属性)と、所定の変化を与えるためのパラメータの具体的レベルとからなる情報を含む情報をいう。
【0027】
プロジェクタがスター状の関係にあるネットワークにおいて、各プロジェクタから所定の変化が与えられたオブジェクトを含むコンテンツを投影するためには、各プロジェクタにおいて、所定の変化が与えられる前の基準となる画像データと変化情報とが必要となる。従って、制御手段は、事前に画像データを送信し、変化情報を一のプロジェクタから他のプロジェクタに送信する。この結果、他のプロジェクタの制御手段は、編集手段により、画像データと変化情報とによりコンテンツのオブジェクトに変化を与え、画像生成手段により、コンテンツを投影画像として投影することができる。
【0028】
なお、変化情報を、変化後の投影画像データ自体とすることも可能である。この場合、基準プロジェクタにおいて、各プロジェクタの投影画像ごとに、所定の変化を与えた画像データを生成し、他のプロジェクタに送信する。従って、このような場合は、プロジェクタの制御手段に編集手段を備える必要はない。
【0029】
本発明に係るプロジェクタシステムとして、制御手段は、複数のプロジェクタの台数に基づき、変化情報を決定することが好ましい。
【0030】
上述した発明によれば、基準プロジェクタを中心として、その他プロジェクタ各々が基準プロジェクタと通信可能に構成されたネットワークにおいて、制御手段は、複数のプロジェクタの台数に基づき、変化情報を決定することから、プロジェクタの総台数を反映した変化情報を決定することができる。従って、所定の変化が与えられたオブジェクトを含む投影画像のバリエーションが広がり、より効率よく比較できるとともに、効果的な資料作成ができる。
【0031】
本発明に係るプロジェクタシステムとして、複数のプロジェクタは、上流のプロジェクタから下流のプロジェクタまで通信順序が定められ、複数のプロジェクタは各々、制御手段を含み、制御手段は、指定手段により指定されたオブジェクトとエレメントとパラメータとに基づく所定の変化を示す変化情報を、所定の変化を与えたオブジェクトの内容が自身と自身よりも上流のプロジェクタとの投影画像間において異なるように決定することが好ましい。
【0032】
上述した発明によれば、複数のプロジェクタの制御手段は変化情報を決定することから、プロジェクタの台数によらず、オブジェクトに所定の変化を与える制御ができる。
【0033】
「複数のプロジェクタは、上流のプロジェクタから下流のプロジェクタまで通信順序が定められている」ことから、通信可能なプロジェクタが直列状の関係にあるネットワークを構成することができる。
【0034】
なお、プロジェクタが直列状の関係にあるネットワークにおいて、各プロジェクタから所定の変化が与えられたオブジェクトを含むコンテンツを投影するためには、各プロジェクタにおいて、所定の変化が与えられる前の基準となる画像データと、変化情報と、自身及び自身のプロジェクタよりも上流のプロジェクタ全ての投影画像のオブジェクトのパラメータの具体的レベルからなる変化履歴情報とが必要となる。
【発明の効果】
【0035】
上述した発明によれば、制御手段により所定の変化が与えられたオブジェクトを含む投影画像を、投影面に投影することができる。また、制御手段は、所定の変化を与えたオブジェクトの内容が複数のプロジェクタの投影画像間において異なるように制御することから、複数のプロジェクタにより、同時に変化させたオブジェクトを含むコンテンツの投影画像を投影することができる。従って、1台のプロジェクタにより、オブジェクトの変化を比較する必要がなくなり、作業の簡略化ができる。
【0036】
さらに、制御手段により、各プロジェクタに対応する投影画像を比較することができるため、少ない台数のプロジェクタで、所定の変化を与えたオブジェクトを含むコンテンツの投影画像を、効率よく比較できる。従って、効果的な資料作成が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
<<<<第1実施形態>>>>
第1実施形態に係るプロジェクタシステム100を図1〜図14に基づいて説明する。第1実施形態に係るプロジェクタシステム100は、コンテンツを投影画像として投影面に投影する複数のプロジェクタ110が通信可能に接続されている。具体的には、図3に示すように、基準プロジェクタPJ1を中心として、その他プロジェクタ(PJ2、PJ3、PJ4)各々が基準プロジェクタPJ1と通信可能なスター状のネットワークを構成する。
【0038】
そして、基準プロジェクタPJ1は、複数のプロジェクタの投影画像間において、各プロジェクタから投影される投影画像に含まれるオブジェクトの内容が異なるように、オブジェクトに変化を与える。具体的には、まず、基準プロジェクタPJ1において、オブジェクトに所定の変化を与える変化情報をプロジェクタごとに生成し、生成した変化情報と、所定の変化が与えられる前の基準となる画像データとを、基準プロジェクタPJ1から他のプロジェクタ(PJ2、PJ3、PJ4)に送信する。なお、基準プロジェクタPJ1においては、プロジェクタが備えるビューア機能により、画像データに基づくコンテンツを投影画像として投影面に投影する。
【0039】
次いで、変化情報と画像データとを受信した各プロジェクタは、変化情報を利用して画像データに基づくコンテンツのオブジェクトに所定の変化を与える編集を行い、その後、プロジェクタが備えるビューア機能により、編集後のコンテンツを投影画像として投影面に投影し、各プロジェクタから投影される投影画像に含まれるオブジェクトの内容が異なるように制御される(ただし、変化情報の対象とならないオブジェクトは各投影画像で同一になるように制御される)。
【0040】
<<<プロジェクタ110の構成>>>
プロジェクタ110の外観図を図1に示す。図1に示すように、プロジェクタ110の筐体の正面には、投影レンズ111が設けられている。プロジェクタ110の筐体内部において、光源からの光が光変調素子により変調された映像光を投影レンズ111からスクリーン(投影面)140へ投影画像を投影する構成となっている。
【0041】
筐体上面には、プロジェクタ110を操作するための制御パネル116が設けられている。制御パネル116には、例えば、図示しないメニューボタン、上下左右の方向キー及び決定キー等が含まれている。操作者は、例えば、スクリーン140に投影されたメニュー画面を見ながら制御パネル116を操作して、投影画像の調整や設定等を行うことができる。
【0042】
筐体背面には、外部機器接続用のインターフェース122が設けられている。インターフェース122を介して、パーソナルコンピュータ、DVDプレーヤー、デジタルカメラ、ビデオゲーム機などの映像ソースを接続することができる。また、他のプロジェクタと通信を行うための通信部の接続コネクタも背面に設けられている。スター状の接続の場合は複数の接続コネクタが、また、直列状の接続の場合は2つの接続コネクタが設けられている。
【0043】
プロジェクタ110の機能の概略を示すブロック図を図2に示す。プロジェクタ110は、CPU112と、制御パネル116と、リモコン通信部118と、編集データ記憶部120と、インターフェース122と、通信部124と、ランプ制御回路126と、ランプ128と、画像処理回路130と、光変調素子ドライブ回路132と、照明光学系134と、光変調素子136、結像光学系138とを含む。
【0044】
<<CPU112(制御手段)>>
プロジェクタ110は、演算等を行うCPU(中央処理装置)112を含む。CPU112は、入出力バス114によって電気的に接続されており、データ信号やアドレス信号が入出力できるようになされている。また、CPU112は、後述する図4〜図5に示す制御用プログラムを実行する。なお、これらの制御用プログラムは、図示しないROMに予め記憶され、また、制御用プログラムが使用する変数の値や各種のデータは、図示しないRAMに記憶される。ROM及びRAMも、入出力バス114によって電気的に接続されている。
【0045】
<<制御パネル116>>
制御パネル116は、操作者がプロジェクタ110を操作するためのパネルである。例えば、制御パネル116は、プロジェクタ110の電源のオンオフなどを制御したり、通信条件を定めるための表示部や操作部等が形成されている。また、制御パネル116は、入出力バス114に電気的に接続されており、制御パネル116から発せられた制御信号は、プロジェクタ110を制御するために、CPU112に供給される。
【0046】
上述したコンテンツは、種々のアプリケーションソフトウェアにより作成されたデータ、例えば、文書作成ソフトウェアで作成されたデータ、表計算ソフトウェアで作成されたデータ、画像作成ソフトウェアやプレゼンテーションソフトウェアで作成されたデータ等のプレゼンテーションとして提示できる各種のデータであればよい。なお、上述したROMやRAMには、これらのコンテンツのデータを投影画像として表示するためのビューア等のアプリケーションソフトウェアも実行できるように予め記憶されている。
【0047】
<<リモコン通信部118及びリモコン装置(指定手段)>>
本実施形態に係るプロジェクタシステムは、投影面に投影画像として投影されたコンテンツのオブジェクトに変化を与えるため、オブジェクトと、エレメントと、パラメータとを操作者の操作により指定できるリモコン装置(図示せず)を含む。リモコン通信部118は、変化を与えるコンテンツのオブジェクトが指定されたときに、リモコン装置から送信されるデータ、すなわち、指定したオブジェクト、エレメント、パラメータ等のデータを表すリモコン信号を受信する。なお、リモコン装置とリモコン通信部118との間の通信は、赤外線通信など公知の通信方式を用いて行うことが好ましい。
【0048】
リモコン通信部118は、入出力バス114に電気的に接続されており、リモコン通信部118を介して供給されたオブジェクト等の制御データは、図示しないRAMに記憶され、コンテンツのオブジェクトに変化を与える変化情報等の生成処理の際に使用される。
【0049】
なお、オブジェクト等の指定は、リモコン通信部118を介するリモコン装置を用いた指定に限定されず、制御パネル116に設けられた操作部等により指定できるように変形することも可能である。また、インターフェース122を介して、プロジェクタと通信可能なパーソナルコンピュータによりオブジェクト等の指定できるように変形することもできる。
【0050】
<<編集データ記憶部120>>
編集データ記憶部120には、プロジェクタから投影されるコンテンツのオブジェクトに所定の変化を与える変化情報と、オブジェクトに変化が与えられる前の基準となる画像データとが記憶される。
【0051】
ここで、「変化情報」とは、各プロジェクタから投影されるコンテンツの投影画像に含まれるオブジェクトの内容が異なるようにオブジェクトに所定の変化を与えるための情報であって、プロジェクタの投影画像ごとに、“オブジェクト”と“エレメント(属性)”と“所定の変化を与えるためのパラメータの具体的レベル”とからなる情報を含む情報をいう。例えば、変化情報は、図形オブジェクトの色を赤系統に変化させる場合、オブジェクトとして図形オブジェクトを、エレメントとして色情報を、パラメータとして赤系統を、そして、パラメータの具体的レベルとして橙色を要素とする情報である。また、指定された10ポイントの文字オブジェクトに対して、文字オブジェクトのフォントサイズを2ポイントずつ大きく変化させる場合、オブジェクトとして文字オブジェクトを、エレメントとしてフォントサイズ情報を、パラメータとして2ポイントサイズアップを、そして、パラメータの具体的レベルとして12ポイントを要素とする情報である。なお、変化情報として、オブジェクトに変化を与えた後のコンテンツの画像データ自体とすることも可能である。
【0052】
また、「画像データ」とは、各プロジェクタから投影される投影画像であるコンテンツのオブジェクトに所定の変化を与える前の基準となるコンテンツのデータである。各プロジェクタは、編集機能とビューア機能とを備え、編集機能により、変化情報を利用して画像データに基づきコンテンツのオブジェクトに所定の変化を与える編集を行い、ビューア機能により、所定の変化が与えられたオブジェクトを含むコンテンツを投影画像として投影面に投影する。
【0053】
<<インターフェース122>>
インターフェース122は、プロジェクタ110の外部の制御装置や、記憶媒体等をプロジェクタ110に電気的に接続するためのものである。このインターフェース122を介して、コンテンツのデータがプロジェクタ110に供給される。例えば、インターフェース122には、USB(Universal Serial Bus)インターフェースや、IEEE(The Institute of Electrical and Electronic Engineers)インターフェース等がある。なお、プロジェクタシステム100が複数のプロジェクタ110からなる場合、複数のプロジェクタ110各々に外部の制御装置や記憶媒体等が接続される必要はなく、複数のプロジェクタ110のうちの何れか1台のプロジェクタ110に、外部の制御装置や、記憶媒体等が接続されていればよい。
【0054】
インターフェース122は、入出力バス114に電気的に接続されており、インターフェース122を介して供給されたコンテンツのデータは、後述する通信部124や、画像処理回路130に供給される。なお、インターフェース122を介して、プロジェクタ110間の通信を行うことも可能である。
【0055】
<<通信部124>>
通信部124は、自身のプロジェクタと他のプロジェクタとの通信を行うためのものである。後述するように、通信部124を介して、コンテンツのデータや、各種の制御コマンドの他、オブジェクトの内容が異なるようにオブジェクトに所定の変化を与えるための変化情報が送受信される。この通信部124によって、複数のプロジェクタ110が通信可能に接続されることにより、プロジェクタシステム100が構成される。さらに、通信部124を、プロジェクタ110の外部の制御装置との通信や、その他の記憶媒体等との通信に使用してもよい。
【0056】
<<ランプ制御回路126>>
ランプ制御回路126は、後述するランプ128を制御する。ランプ制御回路126も入出力バス114に電気的に接続されている。ランプ制御回路126には、ランプ128が電気的に接続されている。CPU112から発せられた制御信号がランプ制御回路126に供給されることによって、ランプ制御回路126は、供給された制御信号に応じて、ランプ128の点灯や、消灯や、発光強度などを制御する。
【0057】
<<ランプ128(光源)>>
ランプ128は、所定の波長で所定の強度の光を発するもの、例えば、ハロゲンランプからなる。このランプ128は、発せられた光が、プロジェクタ110の外に向かって発せられるように、プロジェクタ110の内部の所定の位置に配置されている。
【0058】
<<画像処理回路130、光変調素子ドライブ回路132>>
画像処理回路130は、表示用メモリ(図示せず)を含む。この表示用メモリには、上述したインターフェース122を介して供給された各種のコンテンツのデータが、CPU112から発せられた制御信号に応じて、表示用のデータに変換されて記憶される。
【0059】
画像処理回路130も入出力バス114に電気的に接続されている。画像処理回路130には、上述した表示用メモリと光変調素子ドライブ回路132とが電気的に接続されている。画像処理回路130は、上述したCPU112から発せられた制御信号に応じて、表示用メモリに記憶されているデータに基づいて、光変調素子ドライブ回路132を制御するための制御信号を光変調素子ドライブ回路132に発する。
【0060】
光変調素子ドライブ回路132は、画像処理回路130から発せられた制御信号に応じて、光変調素子136を駆動するための駆動信号を光変調素子136に発する。光変調素子136は、光変調素子ドライブ回路132から供給された駆動信号に応じて、光変調素子136に至った光を、通過させる動作又は遮断する動作をする。このようにすることで、各種のコンテンツを投影画像として投影することができる。
【0061】
<<照明光学系134>>
図2に示すように、ランプ制御回路126によって制御されるランプ128から発せられた光は、照明光学系134に導かれる。照明光学系134は、例えば、反射鏡(図示せず)や、フィルター(図示せず)や、レンズ(図示せず)等を含む。これらの反射鏡やフィルターやレンズは、プロジェクタ110の内部の所定の位置に設けられている。
【0062】
照明光学系134は、ランプ128から発せられた光を平行光に近づけると共に、その強度を均一に近づけて、後述する光変調素子136に導く。なお、照明光学系134に含まれるレンズの形状や数については、ランプ128から発せられた光を光変調素子136に入射させるために好ましい光に変換できるものであればよく、適宜定めることができる。
【0063】
<反射鏡>
ランプ128の周囲には、反射鏡が設けられている。反射鏡の反射面は、所定の曲面形状、例えば、放物面形状や楕円面形状を有する。反射鏡は、反射鏡の反射面の焦点の位置が、ランプ128のフィラメントの位置とおおよそ一致するように配置されている。反射鏡は、ランプ128から発せられた光を、反射面で反射させて集光し、後述する光変調素子136に向かうように導く。
【0064】
<フィルター>
反射鏡によって反射された光の進行方向には、フィルターが配置されている。フィルターは、ランプ128から発せられた光のうち、光変調素子136を傷める可能性のある波長の光や、人体等に影響を及ぼす可能性のある波長の光を予め遮断する。
【0065】
<<光変調素子136>>
照明光学系134に導かれた光は、所望する変換がされて、光変調素子ドライブ回路132によって制御される光変調素子136に導かれる。
【0066】
照明光学系134を通過した光の進行方向には、光変調素子136、例えば、液晶素子が配置されている。この光変調素子136は、上述したように、光変調素子ドライブ回路132から発せられる駆動信号によって制御される。光変調素子136は、この駆動信号に応じて、光変調素子136に至った光を通過させたり遮断したりする動作をする。
【0067】
この光変調素子136の動作によって光変調素子136を通過した光が、所望する投影画像として、スクリーン140等の投影面(図示せず)に形成される。
【0068】
なお、光変調素子136は、上述した液晶素子だけでなく、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)等、ランプ128から発せられた光の進行を制御できるものであればよい。
【0069】
<他の光学素子>
また、ランプ128から発せられた光の強度をより均一に近づけて光変調素子136に照射させるためのロッド等の光学素子を、照明光学系134にさらに加えてもよい。
【0070】
<<結像光学系138>
光変調素子136に導かれた光は変調されて、結像光学系138に導かれる。なお、図2においては、ランプ128から発せられて、結像光学系138に至り、プロジェクタ110から発せられる光を破線で示した。
【0071】
<投影レンズ>
上述した光変調素子136を通過した光の進行方向には、投影レンズ(図示せず)が設けられている。上述したように、投影レンズは、光変調素子136を通過した光を、所定の方向に向かって拡がるように変換する。この投影レンズによって、投影像を所望する大きさにして投影することができる。
【0072】
スクリーン140等の投影面に投影させるために好ましい光に変換するものであればよく、投影レンズの形状や数については、適宜定めればよい。
【0073】
<ズーム機能>
さらに、結像光学系138に、可動レンズ群を設けて、ズーム機能を有するようにしてもよい。このようにすることで、投影像を所望する大きさに拡大又は縮小することができる。なお、ズーム機能は、可動レンズ群のように光学的に拡大又は縮小するようにしても、上述したCPU112や画像処理回路130の演算処理によって行ってもよい。
【0074】
<投影像の補正>
また、光変調素子136を通過した光は、投影面に斜めに投影される場合もあり、投影される投影像が歪む可能性がある。このような歪みを補正するための機構や方法は、補正するための光学素子を結像光学系138に設けて光学的に行っても、上述したCPU112や画像処理回路130の演算処理によって行ってもよい。
【0075】
<<<プロジェクタシステム100の構成及び制御処理>>>
<<プロジェクタPJ1〜PJ4>>
第1実施形態に係るプロジェクタシステム100の構成の概略図を図3に示す。プロジェクタシステム100は、4台のプロジェクタが通信可能に接続し、さらに、一方のプロジェクタにパーソナルコンピュータ等の制御装置PCが通信可能に接続されたシステムである。以下では、制御装置PCが接続されたプロジェクタPJ1を基準プロジェクタと、他のプロジェクタをPJ2、PJ3、PJ4と称する。従って、第1実施形態に係るプロジェクタシステムは、基準プロジェクタPJ1を中心として、プロジェクタPJ2〜PJ4各々が基準プロジェクタPJ1と通信可能なスター状のネットワークを構成する。
【0076】
<基準プロジェクタPJ1>
第1実施形態に係るプロジェクタシステム100では、基準プロジェクタPJ1が、複数のプロジェクタの投影画像間において、各プロジェクタから投影される投影画像に含まれるオブジェクトの内容が異なるように、オブジェクトに変化を与える制御を行う。従って、基準プロジェクタPJ1には、制御装置PC等により作成されたコンテンツの画像データが編集データ記憶部120に記憶されている。
【0077】
オブジェクトに変化を与えるため、基準プロジェクタPJ1は、オブジェクトに所定の変化を与える変化情報をプロジェクタごとに生成し、生成した変化情報と、所定の変化が与えられる前の基準となる画像データとを、基準プロジェクタPJ1から他のプロジェクタ(PJ2、PJ3、PJ4)に送信する。なお、基準プロジェクタPJ1においては、プロジェクタが備えるビューア機能により、画像データに基づくコンテンツを投影画像として投影面に投影する。
【0078】
<プロジェクタPJ2〜PJ4>
プロジェクタPJ2〜PJ4の各々は、変化情報と画像データとを受信すると、変化情報を利用して画像データに基づくコンテンツのオブジェクトに所定の変化を与える編集を行う。編集した後、プロジェクタが備えるビューア機能により、編集後のコンテンツを投影画像として投影面に投影する。この結果、各プロジェクタから投影される投影画像に含まれるオブジェクトの内容が異なるように制御される。
【0079】
具体的には、オブジェクトに変化を与えた前後において、基準プロジェクタPJ1から、基準プロジェクタPJ1の編集データ記憶部120に記憶された画像データ自体に基づく(変化が与えられていないオブジェクトを含む)コンテンツの投影画像が投影される。一方、プロジェクタPJ2〜PJ4から、変化情報を利用して画像データに基づくコンテンツのオブジェクトに所定の変化が与えられたコンテンツの投影画像が投影される。
【0080】
第1実施形態に係るプロジェクタシステムにおいては、変化情報を基準プロジェクタPJ1から他のプロジェクタPJ2〜PJ4に送信することから、基準プロジェクタPJ1による所定の変化を与える制御ができる。また、スター状のネットワークにおいて、ネットワークを構成するプロジェクタの台数に基づき、変化情報を決定することから、プロジェクタの総台数を反映した変化情報を決定することができる。従って、所定の変化が与えられたオブジェクトを含む投影画像のバリエーションが広がり、より効率よく比較できるとともに、効果的な資料作成ができる。
【0081】
<<制御処理>>
図4〜図10を用いて、第1実施形態に係るプロジェクタシステム100の制御処理を説明する。図4及び図5は、第1実施形態に係るプロジェクタシステム100の制御処理を実行するためのフローチャートである。なお、図4及び図5において、基準プロジェクタPJ1以外のプロジェクタPJ2〜PJ4における処理は同一であることから、説明を簡単にするため、プロジェクタPJ3に関する処理は省略した。図6〜図10は、図形オブジェクトに変化を与える制御処理を説明するため、各プロジェクタからの投影画像を示した状態図である。
【0082】
なお、本実施形態の「コンテンツ」は、データがアプリケーションソフトウェアにより視認可能に投影画像として表示されるように変換されたものである。具体的には、画像作成ソフトウェアやプレゼンテーションソフトウェアで作成されたデータに限定されず、文書作成ソフトウェアで作成されたデータ、表計算ソフトウェアで作成されたデータ等のプレゼンテーションとして提示できる各種のデータを、アプリケーションソフトウェアにより視認可能に投影画像として表示されるように変換されたものも含まれる。
【0083】
<基準画像投影処理>
まず、基準プロジェクタPJ1は、編集データ記憶部120に記憶された画像データ(「基準画像データ」と称する)のコンテンツを投影画像としてスクリーンに投影する基準画像投影処理を実行する(ステップS11)。基準画像投影処理が実行された状態図を図6に示す。図6は、文字オブジェクトである「あいうえお」と、図形オブジェクトである赤色に塗りつぶされた「円」、青色に塗りつぶされた「三角形」並びに緑色に塗りつぶされた「四角形」と、それ以外の無色の背景オブジェクトとからなるコンテンツの投影画像が基準プロジェクタPJ1から投影されている状態図を示している。なお、図6〜図10において、赤色を右肩上がりの平行斜線パターンで、青色をドットパターンで、そして、緑色を右肩下がりの平行斜線パターンで表した。
【0084】
また、基準プロジェクタPJ1の投影画像から順に、右方向にプロジェクタPJ2、PJ3そしてPJ4の投影画像が示されるが、基準画像投影処理(ステップS11)では基準プロジェクタPJ1以外のプロジェクタからは画像は投影されないことを示している。
【0085】
図示しないリモコン装置又は基準プロジェクタPJ1の制御パネル116に設けられたメニュースイッチが操作されると、投影画像としてメニューバーを模したコンテンツが投影画像として投影され、投影画像のオブジェクトに変化を与える変更指定がリモコン装置等によって行うことができる入力可能状態となる。
【0086】
そして、オブジェクトに変化を与える変更指定が行われたか否かを判断する(ステップS12)。ステップS12において、基準プロジェクタPJ1により変更指定が行われない(NO)と判別したときは、ステップS12の処理を繰り返す。一方、ステップS12において、変更指定が行われた(YES)と判別したときは、基準プロジェクタPJ1の投影画像であるコンテンツの基準画像データを、基準プロジェクタPJ1から他のプロジェクタPJ2〜PJ4に送信する基準画像データ送信処理を実行する(ステップS13)。具体的には、基準画像データ送信処理(ステップS13)は、操作者が基準プロジェクタPJ1の投影画像のメニューバーから「画像調整」項目を選択することにより実行され、基準プロジェクタPJ1からそれ以外のプロジェクタに、編集データ記憶部120に記憶された基準画像データを送信する。
【0087】
基準画像データ受信処理(ステップS31,S41)により、画像データを受信した基準プロジェクタPJ1以外のプロジェクタPJ2〜PJ4は、各プロジェクタのスクリーンに画像データのコンテンツを投影画像として投影する基準画像投影処理を実行する(ステップS32,S42)。基準画像投影処理が実行された状態図を図7に示す。図7に示すように、基準画像投影処理(ステップS31,S41)が実行された結果、プロジェクPJ1〜PJ4各々から、同一の投影画像(基準画像)が投影される。
【0088】
<オブジェクト選択処理(オブジェクト受付処理)>
基準画像データ送信処理(ステップS13)が実行された基準プロジェクタPJ1では、変化を与えるオブジェクトの選択をリモコン装置等によって行うオブジェクト受付処理が実行できる入力可能状態となる(ステップS14)。具体的には、基準画像データからコンテンツのオブジェクトの情報を取得し、スクリーンに投影されたメニューバーの「画像調整」項目に関連付けられた「オブジェクト選択」に、取得したオブジェクトを、例えば、ダウンドロップ方式により示すことにより、オブジェクト受付処理を実行する。図8に、オブジェクト受付処理が実行されている状態図を示す。
【0089】
図7に示すように、メニューバーの「オブジェクト選択」項目には、基準画像データから取得されたオブジェクト名、すなわち、「図形1」、「図形2」、「図形3」、「文字1」そして「背景」というオブジェクト名が、ダウンドロップ方式により表示されている。従って、操作者は、リモコン装置等によって、変化を与えるオブジェクトの選択を行うことができる。
【0090】
なお、メニューバーの「オブジェクト選択」項目に表示されるオブジェクト名は、基準画像データから自動的に取得されることから、基準プロジェクタPJ1の編集データ記憶部120に記憶される基準画像データを編集することにより、オブジェクトの追加・削除・修正を行うことができ、メニューバーの「オブジェクト選択」項目の内容に反映させることができる。
【0091】
そして、オブジェクトの指定が行われたか否かを判断する(ステップS15)。ステップS15において、基準プロジェクタPJ1によりオブジェクトの指定が行われない(NO)と判別したときは、ステップS15の処理を繰り返す。一方、ステップS15において、オブジェクトの指定が行われた(YES)と判別したときは、変化を与えるオブジェクトを決定するオブジェクト決定処理を実行する(ステップS16)。上述の図8は、オブジェクト決定処理が実行されて、図形1オブジェクトが指定された状態図である。基準プロジェクタPJ1の投影画像中の図形1オブジェクト、すなわち、「円」が指定されたことを操作者に明示するため、図形1オブジェクトの輪郭を破線で示している。なお、指定されたオブジェクトの輪郭を破線で示すことに限らず、点滅させること等により、指定されたオブジェクトを明示することも好ましい。
【0092】
<オブジェクト選択処理(エレメント受付処理)>
オブジェクト決定処理(ステップS16)が実行された基準プロジェクタPJ1では、変化を与えるオブジェクトのエレメントの選択をリモコン装置等によって行うエレメント受付処理が実行できる入力可能状態となる(ステップS17)。具体的には、基準画像データからコンテンツのオブジェクトに関連付けられたエレメントの情報を取得し、スクリーンに投影されたメニューバーの「図形1」等の各オブジェクトに関連付けられた「エレメント選択」に、取得したエレメントを、例えば、ダウンドロップ方式により示すことにより、エレメント受付処理を実行する。
【0093】
そして、エレメントの指定が行われたか否かを判断する(ステップS18)。ステップS18において、基準プロジェクタPJ1によりエレメントの指定が行われない(NO)と判別したときは、ステップS18の処理を繰り返す。一方、ステップS18において、エレメントの指定が行われた(YES)と判別したときは、エレメントを決定するエレメント決定処理を実行する(ステップS19)。
【0094】
<オブジェクト選択処理(パラメータ受付処理)>
エレメント決定処理(ステップS19)が実行された基準プロジェクタPJ1では、変化を与えるオブジェクトのエレメントのパラメータの選択をリモコン装置等によって行うパラメータ受付処理が実行できる入力可能状態となる(ステップS20)。そして、パラメータの指定が行われたか否かを判断する(ステップS21)。ステップS21において、基準プロジェクタPJ1によりパラメータの指定が行われない(NO)と判別したときは、ステップS21の処理を繰り返す。一方、ステップS21において、パラメータの指定が行われた(YES)と判別したときは、パラメータを決定するパラメータ決定処理を実行する(ステップS22)。
【0095】
従って、オブジェクトのエレメントに与える変化、すなわち、所定の変化が与えられるオブジェクトを指定した後、エレメントとパラメータとを指定することから、オブジェクトの内容が複数のプロジェクタの投影画像間において異なるように、オブジェクトのエレメントに所定の変化を与える制御をすることができる。
【0096】
図9に、オブジェクト決定処理により「図形1」オブジェクト(「円」オブジェクト)を、エレメント決定処理により「色」エレメントを、パラメータ決定処理により「赤系統」を選択・決定した状態図を示す。図9に示すように、オブジェクトの属性であるエレメントは、例えば、図形1オブジェクト(「円」オブジェクト)に対して、オブジェクトの色、大きさ(サイズ)、縦横比、回転の項目の一群から選択されるものである。オブジェクトのエレメントに変化を与えるためのパラメータは、例えば、図形1オブジェクト(「円」オブジェクト)の色エレメントに対して、赤系統、青系統、緑系統そして、色の系統によらず色を変化させるランダムの項目の一群から選択されるものである。
【0097】
なお、オブジェクト名と同様、エレメント名及びパラメータ名も、基準画像データから自動的に取得されることから、基準プロジェクタPJ1の編集データ記憶部120に記憶される基準画像データを編集することにより、追加・削除・修正を行うことができ、メニューバーの各項目の内容に反映させることができる。
【0098】
さらに、オブジェクトと、エレメントと、パラメータとを指定することから、編集作業の要素がこれら3つの要素に整理され、編集作業を簡略化することができる。
【0099】
<変化情報決定・記憶処理>
ステップS14〜S22により、変化を与えるオブジェクト、エレメント及びパラメータが決定されると、基準プロジェクタPJ1は、プロジェクタPJ2〜PJ4から投影されるコンテンツのオブジェクトに変化を与えるため、変化情報を生成し、生成した変化情報を基準プロジェクタPJ1の編集データ記憶部120に記憶する変化情報決定・記憶処理を実行する(ステップS23)。プロジェクタごとに生成された変化情報は、オブジェクトに変化を与えるものであるが、変化を与えたオブジェクトの内容が基準プロジェクタPJ1を含む全てのプロジェクタの投影画像間において異なるように生成される。
【0100】
ここで、変化情報は、決定されたオブジェクト、エレメント及びパラメータに基づいて生成される情報であって、プロジェクタの投影画像ごとに、オブジェクトと、エレメントと、所定の変化を与えるためのパラメータの具体的レベルと、からなる情報を含む情報である。
<変化情報に基づく画像投影処理>
変化情報決定・記憶処理(ステップS23)によりプロジェクタごとに生成された変化情報は、基準プロジェクタPJ1の変化情報送信処理(ステップS24)により、基準プロジェクタPJ1から他のプロジェクタごとに送信される(ステップS24)。そして、送信された変化情報は、プロジェクタPJ2〜PJ4の変化情報受信処理により受信される(ステップS33,43)。基準プロジェクタPJ1以外のプロジェクタPJ2〜PJ4では、自身の編集データ記憶部に記憶された基準画像データと、受信した変化情報とに基づき、画像データの編集を行う変化情報に基づく画像データ生成処理を実行する(ステップS34,S44)。そして、画像データ生成処理を実行した後、プロジェクタが備えるビューア機能により、編集後の画像データのコンテンツを投影画像としてスクリーンに投影する生成画像投影処理を実行する(ステップS35,S45)。
【0101】
図9の状態図では、図形1オブジェクト(「円」オブジェクト)の色エレメントを、パラメータ「赤系統」により変化を与えた各プロジェクタからの投影画像を示している。具体的には、図形1オブジェクトの色が、プロジェクタPJ1からPJ4へ順に、「赤」、「うすいオレンジ」、「ベージュ」そして「オレンジ」と変化させている(図9では、平行斜線の密度により、色の変化を示した)。従って、変化情報に含まれるパラメータのレベルとして、プロジェクタPJ2、PJ3そしてPJ4には、「うすいオレンジ」、「ベージュ」そして「オレンジ」が送信される。
【0102】
このように、所定の変化を与えたオブジェクトの内容がプロジェクタPJ1〜PJ4の投影画像間において異なるように制御されることから、複数のプロジェクタPJ1〜PJ4により、同時に変化させたオブジェクトを含むコンテンツの投影画像を投影することができる。従って、所望の投影画像を選択するまでに同じ作業を繰り返す必要があり、変化後の画像をユーザの記憶を頼りに比較する1台のプロジェクタの場合とは異なり、本実施形態に係るプロジェクタシステムにおいては、オブジェクトが変化している各プロジェクタからの投影画像を記憶に頼ることなく実際に見ながら比較するだけで、オブジェクトの変化を一括して把握することができ、同じ作業を繰り返すことなく、また、変化前の画像の印象をユーザが自分で記憶しておく必要がなくなり、作業の簡略化ができる。すなわち、オブジェクトのパラメータを変化させた画像を並べて投影でき、実際に見比べながら最良の画像となるパラメータを選択できるので、効果的な資料作成を効率的に進めることができる。最良の画像となるパラメータで作成された画像の選択方法は後述する。
【0103】
さらに、各プロジェクタに対応する投影画像を比較することができるため、少ない台数のプロジェクタで、所定の変化を与えたオブジェクトを含むコンテンツの投影画像を、効率よく比較できる。従って、効果的な資料作成が可能となる。
【0104】
<画像選択処理>
変化情報に基づく画像投影処理が実行されると、基準プロジェクタPJ1では、プロジェクタPJ1〜PJ4から投影された投影画像の中から何れかの画像の選択をリモコン装置等によって行う画像選択指定処理が実行できる入力可能状態となり、画像選択の指定が行われたか否かを判断する(ステップS25)。ステップS25において、基準プロジェクタPJ1により画像選択の指定が行われない(NO)と判別したときは、ステップS25の処理を繰り返す。一方、ステップS25において、画像選択の指定が行われた(YES)と判別したときは、選択した画像に対応する変化情報と基準画像データとから選択画像データを生成するとともに編集データ記憶部120に記憶する選択画像データ生成処理を実行した後(ステップS26)、基準プロジェクタPJ1の投影画像として、選択画像データのコンテンツを投影画像としてスクリーンに投影させる選択画像投影処理を実行する(ステップS27)。
【0105】
そして、基準プロジェクタPJ1は、プロジェクタPJ2〜PJ4に対して投影画像の投影を終了させる終了信号を送信する終了信号送信処理を実行する(ステップS28)。プロジェクタPJ2〜PJ4においては、基準プロジェクタPJ1から送信された終了信号を、終了信号受信処理を実行することにより受信する(ステップS36,46)。終了信号を受信したプロジェクタPJ2〜PJ4は、生成画像投影処理(ステップS35,45)により投影された投影画像の投影を終了する投影画像消去処理を実行する(ステップS37,47)。
【0106】
図10に、図9の状態図において、プロジェクタPJ4の画像4が選択され、画像選択処理が実行された状態図を示す。基準プロジェクタPJ1の投影画像として、図形1オブジェクト(「円」オブジェクト)の色エレメントが「オレンジ」に決定された画像が投影され、プロジェクタPJ2〜PJ4の画像データに基づくコンテンツの投影画像はスクリーンから消去されている。
【0107】
以上により、基準プロジェクタPJ1と、それ以外のプロジェクタPJ2〜PJ4とを用いて、投影画像のオブジェクトの内容がプロジェクタの投影画像間において異なるように制御する制御処理を終了する。
【0108】
なお、再度、オブジェクトに変化を与えたい場合は、上述の制御処理を繰り返すことにより実現でき、操作者が所望する画像を選択することができる。
【0109】
<その他のオブジェクトの変化例>
(複数オブジェクトの選択)
本実施形態においては、オブジェクトのエレメントとパラメータとが共通する場合、上述した制御処理により、複数のオブジェクトに対して同時に変化を与えることができる。複数のオブジェクトに変化を与える制御処理を実行した状態図を図11に示す。図11(A)は、図形1オブジェクト(「円」オブジェクト)と図形2オブジェクト(「四角形」オブジェクト)とを選択した状態図である。図11(B)は、エレメントとして「大きさ」を、パラメータとして「15mmずつ縮小」を選択し、両オブジェクトに変化を与えた状態図である。そして、図11(C)は、プロジェクタPJ2から投影された画像2を選択した状態図である。
【0110】
(文字オブジェクトの選択1)
本実施形態においては、文字オブジェクトに対して変化を与えることができる。文字オブジェクトに変化を与える制御処理を実行した状態図を図12に示す。図12(A)は、文字1オブジェクト(文字列「あいうえお」オブジェクト)を選択した状態図である。図12(B)は、エレメントとして「フォントサイズ」を、パラメータとして「2ポイントずつ拡大」を選択し、文字1オブジェクトに変化を与えた状態図である。そして、図12(C)は、プロジェクタPJ1から投影された画像1を選択した状態図である。
【0111】
(文字オブジェクトの選択2)
さらに、文字オブジェクトに対して変化をランダムに与えることもできる。文字オブジェクトに変化をランダムに与える制御処理を実行した状態図を図13に示す。図13(A)は、文字1オブジェクトを選択した状態図である。図13(B)は、エレメントとして「字体」を、パラメータとして「ランダム」を選択し、文字1オブジェクトに変化をランダムに与えた状態図である。そして、図13(C)は、プロジェクタPJ3から投影された画像3を選択した状態図である。
【0112】
(背景オブジェクトの選択)
さらに、背景オブジェクトに対して変化を与えることもできる。背景オブジェクトに変化を与える制御処理を実行した状態図を図14に示す。図14(A)は、背景オブジェクトを選択した状態図である。図14(B)は、エレメントとして「色」を、パラメータとして「ランダム」を選択し、背景オブジェクトに変化をランダムに与えた状態図である。そして、図14(C)は、プロジェクタPJ2から投影された画像2を選択した状態図である。
【0113】
<<<<第2実施形態>>>>
第2実施形態に係るプロジェクタシステム200を図15〜図18に基づいて説明する。第2実施形態に係るプロジェクタシステム200は、コンテンツを投影画像として投影面に投影する複数のプロジェクタ110が通信可能に接続されているが、図15に示すように、基準プロジェクタPJ1からPJ2、PJ3そしてPJ4の順に、上流のプロジェクタから下流のプロジェクタまで通信順序が予め設定された、通信可能な直列状のネットワークを構成する。
【0114】
そして、各プロジェクタは、プロジェクタの投影画像間において、上流のプロジェクタから下流のプロジェクタまでの各プロジェクタから投影される投影画像に含まれるオブジェクトの内容が異なるように、オブジェクトに変化を与える。従って、プロジェクタの台数によらず、オブジェクトに所定の変化を与える制御ができる。
【0115】
具体的には、まず、プロジェクタPJ1において、プロジェクタPJ2のコンテンツのオブジェクトに所定の変化を与える変化情報を生成し、生成した変化情報と、所定の変化が与えられる前の基準となる画像データと、所定の変化が与えられるプロジェクタPJ1のオブジェクトのパラメータの具体的レベルが設定された変化履歴情報とを、基準プロジェクタPJ1からプロジェクタPJ2に送信する。なお、基準プロジェクタPJ1においては、プロジェクタが備えるビューア機能により、画像データに基づくコンテンツを投影画像として投影面に投影する。
【0116】
次いで、変化情報と画像データとを受信したプロジェクタPJ2は、変化情報を利用して画像データに基づくコンテンツのオブジェクトに所定の変化を与える編集を行い、その後、プロジェクタが備えるビューア機能により、編集後のコンテンツを投影画像として投影面に投影し、プロジェクタPJ1とPJ2とから投影される投影画像に含まれるオブジェクトの内容が異なるように制御される。さらに、プロジェクタPJ2は、自身及び自身のプロジェクタPJ2よりも上流のプロジェクタPJ1のコンテンツに含まれるオブジェクトのパラメータの具体的レベルである変化履歴情報と、プロジェクタPJ3のコンテンツのオブジェクトに所定の変化を与える変化情報とを生成し、生成した変化情報及び変化履歴情報と、画像データとをプロジェクタPJ3に送信する。
【0117】
さらに、変化情報と、変化履歴情報と、画像データとを受信したプロジェクタPJ3は、変化情報及び変化履歴情報を利用して画像データに基づくコンテンツのオブジェクトに所定の変化を与える編集を行い、その後、プロジェクタが備えるビューア機能により、編集後のコンテンツを投影画像として投影面に投影し、プロジェクタPJ1〜PJ3から投影される投影画像に含まれるオブジェクトの内容が異なるように制御される。さらに、プロジェクタPJ3は、自身PJ3及び自身のプロジェクタPJ3よりも上流のプロジェクタPJ1〜PJ2のコンテンツに含まれるオブジェクトのパラメータの具体的レベルである変化履歴情報と、プロジェクタPJ4のコンテンツのオブジェクトに所定の変化を与える変化情報とを生成し、生成した変化情報及び変化履歴情報と、画像データとをプロジェクタPJ4に送信する。
【0118】
そして、変化情報と、変化履歴情報と、画像データとを受信したプロジェクタPJ4も、変化情報及び変化履歴情報を利用して画像データに基づくコンテンツのオブジェクトに所定の変化を与える編集を行い、その後、編集後のコンテンツを投影画像として投影面に投影し、プロジェクタPJ1〜PJ4から投影される投影画像に含まれるオブジェクトの内容が異なるように制御される。
【0119】
<<<プロジェクタ210の構成>>>
第2実施形態に係るプロジェクタシステム200は、第1実施形態に係るプロジェクタシステムのプロジェクタ110に代えて、プロジェクタ110に変化履歴記憶部121を備えるプロジェクタ210により構成される。図16に、第2実施形態に係るプロジェクタシステム200のプロジェクタ210の機能の概略を示すブロック図を示す。以下に、プロジェクタ210がプロジェクタ110と異なる変化履歴記憶部121について説明する。
【0120】
<<変化履歴記憶部121>>
第2実施形態に係るプロジェクタシステム200においては、基準プロジェクタPJ1からPJ2、PJ3そしてPJ4の順に、上流のプロジェクタから下流のプロジェクタまで通信順序が予め設定された、通信可能な直列状のネットワークを構成する。そして、各プロジェクタは、プロジェクタの投影画像間において、上流のプロジェクタから下流のプロジェクタまでの各プロジェクタから投影される投影画像に含まれるオブジェクトの内容が異なるように、オブジェクトに変化を与える。
【0121】
そのため、各プロジェクタでは、自身よりも上流のプロジェクタ全てにおいて生成された画像データの変化履歴情報を記憶することにより、自身及び自身より上流のプロジェクタから投影される投影画像のオブジェクトの内容が複数のプロジェクタの投影画像間において重ならないようにオブジェクトに対して変化を与える。従って、変化履歴情報を変化履歴記憶部121に記憶する。
【0122】
ここで、変化履歴情報は、自身及び自身のプロジェクタよりも上流のプロジェクタ全ての投影画像のオブジェクトのパラメータの具体的レベルから構成される情報である。例えば、プロジェクタPJ1ではオブジェクトに変化が与えられないため、プロジェクタPJ1の投影画像のパラメータの具体的レベルが変化履歴として設定される。一方、プロジェクタPJ2では、プロジェクタPJ1からの変化履歴情報に含まれるプロジェクタPJ1の投影画像のパラメータの具体的レベルと、プロジェクタPJ2の投影画像のパラメータの具体的レベルが変化履歴情報として設定される。同様に、プロジェクタPJ3では、プロジェクタPJ1〜PJ3の投影画像のパラメータの具体的レベルが変化履歴情報として設定され、プロジェクタPJ4では、プロジェクタPJ1〜PJ4の投影画像のパラメータの具体的レベルが変化履歴情報として設定される。
【0123】
<<制御処理>>
図17〜図18を用いて、第2実施形態に係るプロジェクタシステム200の制御処理を説明する。図17及び図18は、第2実施形態に係るプロジェクタシステム200において実行される制御処理を実行するためのフローチャートである。なお、図17及び図18において、プロジェクタPJ2とPJ3との処理は重複することから、説明を簡単にするため、プロジェクタPJ3に関する処理は省略した。
【0124】
<基準画像投影処理>
まず、プロジェクタPJ1は、編集データ記憶部120に記憶された画像データ(「基準画像データ」と称する)のコンテンツを投影画像としてスクリーンに投影し(ステップS111)、図示しないリモコン装置によって、投影画像のオブジェクトに変化を与える変更指定が行うことができる入力可能状態となる。
【0125】
そして、オブジェクトに変化を与える変更指定が行われたか否かを判断した後(ステップS112)、変更指定が行われた(YES)と判別したときは、プロジェクタPJ1の投影画像であるコンテンツの基準画像データを、プロジェクタPJ1からプロジェクタPJ1に通信可能なプロジェクタPJ2に送信する。基準画像データ受信処理(ステップS131)により、基準画像データを受信したプロジェクタPJ2は、スクリーンに画像データのコンテンツを投影画像として投影するとともに(ステップS132)、プロジェクタPJ3に基準画像データを送信する。
【0126】
同様に、プロジェクタPJ3においても、基準画像データのコンテンツを投影画像として投影するとともに、プロジェクタPJ4に基準画像データを送信する。そして、プロジェクタPJ4においても、基準画像データのコンテンツを投影画像として投影する(ステップS142)。基準画像投影処理(ステップS132,S142)が実行された結果、プロジェクPJ1〜PJ4各々から、同一の投影画像(基準画像)が投影される。
【0127】
<オブジェクト選択処理>
第2実施形態においても、オブジェクト選択処理(ステップS114〜S122)が実行される。第2実施形態のオブジェクト選択処理は、第1実施形態のオブジェクト選択処理(ステップS14〜S22)と同様の処理が実行される。
【0128】
<プロジェクタPJ1の変化情報決定・記憶処理>
ステップS114〜S122により、変化を与えるオブジェクト、エレメント及びパラメータが決定されると、プロジェクタPJ1は、プロジェクタPJ2から投影されるコンテンツのオブジェクトに変化を与えるため、プロジェクタPJ1の投影画像のパラメータの具体的レベルである変化履歴情報を生成し、生成した変化履歴情報を変化履歴記憶部121に、さらに、変化情報を生成し、生成した変化情報をプロジェクタPJ1の編集データ記憶部120に記憶する(ステップS123)。プロジェクタごとに生成された変化情報は、オブジェクトに変化を与えるものであるが、変化を与えたオブジェクトの内容がプロジェクタPJ1とプロジェクタPJ2の投影画像間において異なるように生成される。
【0129】
なお、第2実施形態の変化情報も、第1実施形態の変化情報と同様、決定されたオブジェクト、エレメント及びパラメータに基づいて生成される情報であって、プロジェクタの投影画像ごとに、オブジェクトと、エレメントと、所定の変化を与えるためのパラメータの具体的レベルと、からなる情報を含む情報である。
【0130】
<プロジェクタPJ2・PJ3の画像投影処理>
プロジェクタPJ1の変化情報決定・記憶処理(ステップS123)により生成された変化情報及び変化履歴情報は、プロジェクタPJ1の変化情報送信処理により、プロジェクタPJ1からプロジェクタ2に送信される(ステップS124)。そして、送信された変化情報及び変化履歴情報は、プロジェクタPJ2の変化情報受信処理により受信される(ステップS133)。プロジェクタPJ2では、自身の編集データ記憶部に記憶された基準画像データと、受信した変化情報及び変化履歴情報に基づき、画像データの編集を行う画像データ生成処理を実行する(ステップS134)。
【0131】
そして、当該画像データ生成処理を実行した後、受信した変化情報と変化履歴情報とからオブジェクトに変化を与える変化情報を生成し、プロジェクタPJ2の編集データ記憶部120に記憶し、さらに、受信した変化履歴情報に、自身であるプロジェクタPJ2の生成された画像データからオブジェクトのパラメータの具体的レベルを追加して新たな変化履歴情報を生成し、プロジェクタPJ2の変化履歴記憶部121に記憶する変化履歴情報生成・記憶処理(ステップS135)を実行する。その後、プロジェクタが備えるビューア機能により、編集後の画像データのコンテンツをプロジェクタPJ2の投影画像としてスクリーンに投影する生成画像投影処理を実行する(ステップS136)。
【0132】
生成画像投影処理を実行した後(ステップS136)、プロジェクタPJ2の変化情報・変化履歴情報生成・記憶処理(ステップS135)により生成された変化情報及び変化履歴情報は、プロジェクタPJ2の変化情報・変化履歴情報送信処理により、プロジェクタPJ2からプロジェクタ3に送信される(ステップS137)。
【0133】
プロジェクタPJ2からプロジェクタPJ3に送信された変化情報及び変化履歴情報は、プロジェクタPJ3の変化情報受信処理により受信され、プロジェクタPJ2と同様、自身の編集データ記憶部に記憶された基準画像データと、受信した変化情報及び変化履歴情報に基づき、画像データの編集を行う画像データ生成処理が実行される。そして、受信した変化情報と変化履歴情報とからオブジェクトに変化を与える変化情報と変化履歴情報とを生成し、プロジェクタPJ3の編集データ記憶部120と変化履歴記憶部121に記憶する。その後、プロジェクタが備えるビューア機能により、編集後の画像データのコンテンツをプロジェクタPJ3の投影画像としてスクリーンに投影する。最後に、プロジェクタPJ3では、プロジェクタPJ3により生成された変化情報及び変化履歴情報をプロジェクタ4に送信する。
【0134】
<プロジェクタPJ4の画像投影処理>
プロジェクタPJ3からプロジェクタPJ4に送信された変化情報及び変化履歴情報は、プロジェクタPJ4の変化情報受信処理により受信される(ステップS143)。プロジェクタPJ4では、自身の編集データ記憶部に記憶された基準画像データと、受信した変化情報及び変化履歴情報に基づき、画像データの編集を行う画像データ生成処理を実行する(ステップS144)。その後、プロジェクタが備えるビューア機能により、編集後の画像データのコンテンツをプロジェクタPJ4の投影画像としてスクリーンに投影する生成画像投影処理を実行する(ステップS145)。
【0135】
<画像選択処理>
第2実施形態においても、画像選択処理(ステップS125〜S128,S138〜S139,S146〜S147)が実行される。第1実施形態においては、終了信号がプロジェクタPJ1からプロジェクタPJ2〜PJ4各々に送信されるのに対して、第2実施形態においては、プロジェクタPJ1からプロジェクタPJ2に、次いで、プロジェクタPJ2からプロジェクタPJ3に、その後、プロジェクタPJ3からプロジェクタPJ4に、優先順位に従って送信され、プロジェクタPJ2〜PJ4で生成された投影画像の投影処理を終了する。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】プロジェクタ110の外観を説明するための図である。
【図2】プロジェクタ110の機能の概略を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態に係るプロジェクタシステム100の構成を示す概略図である。
【図4】第1実施形態に係るプロジェクタシステム100において実行される制御処理を実行するためのフローチャートである。
【図5】第1実施形態に係るプロジェクタシステム100において実行される制御処理を実行するためのフローチャートである。
【図6】図形オブジェクトに変化を与える制御処理を説明する図であって、変更指示前の状態図である。
【図7】図形オブジェクトに変化を与える制御処理を説明する図であって、変更指示後の状態図である。
【図8】図形オブジェクトに変化を与える制御処理を説明する図であって、オブジェクト選択時の状態図である。
【図9】図形オブジェクトに変化を与える制御処理を説明する図であって、オブジェクトを変化させた状態図である。
【図10】図形オブジェクトに変化を与える制御処理を説明する図であって、画像を選択した状態図である。
【図11】他の図形オブジェクトに変化を与える制御処理を説明する図である。
【図12】文字オブジェクトに変化を与える制御処理を説明する図である。
【図13】他の文字オブジェクトに変化を与える制御処理を説明する図である。
【図14】背景オブジェクトに変化を与える制御処理を説明する図である。
【図15】第2実施形態に係るプロジェクタシステム200の構成を示す概略図である。
【図16】第2実施形態に係るプロジェクタ210の機能の概略を示すブロック図である。
【図17】第2実施形態に係るプロジェクタシステム200において実行される制御処理を実行するためのフローチャートである。
【図18】第2実施形態に係るプロジェクタシステム200において実行される制御処理を実行するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0137】
100,200 プロジェクタシステム
110,210 プロジェクタ
112 CPU(制御手段)
116 制御パネル
118 リモコン通信部
120 編集データ記憶部
121 変化履歴記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトにより構成されるコンテンツを投影画像として投影面に投影する複数の通信可能なプロジェクタを有するプロジェクタシステムであって、
前記複数のプロジェクタの各々から投影された投影画像ごとに、前記オブジェクトに所定の変化を与える制御手段を含み、
前記制御手段は、前記所定の変化を与えたオブジェクトの内容が前記複数のプロジェクタの投影画像間において異なるように制御する、
プロジェクタシステム。
【請求項2】
前記オブジェクトと、
前記オブジェクトの属性を示すエレメントと、
前記オブジェクトのエレメントに前記所定の変化を与えるためのパラメータと、
を指定する指定手段をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1記載のプロジェクタシステム。
【請求項3】
前記複数のプロジェクタは、一のプロジェクタと、前記一のプロジェクタと通信可能な少なくとも1つの他のプロジェクタとを含み、
前記制御手段は、
前記指定手段により指定されたオブジェクトとエレメントとパラメータとに基づく前記所定の変化を示す変化情報を決定し、
前記変化情報を前記一のプロジェクタから前記他のプロジェクタに送信する、
ことを特徴とする請求項2記載のプロジェクタシステム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記複数のプロジェクタの台数に基づき、前記変化情報を決定する、
ことを特徴とする請求項3記載のプロジェクタシステム。
【請求項5】
前記複数のプロジェクタは、上流のプロジェクタから下流のプロジェクタまで通信順序が定められ、
前記複数のプロジェクタは各々、前記制御手段を含み、
前記制御手段は、前記指定手段により指定されたオブジェクトとエレメントとパラメータとに基づく前記所定の変化を示す変化情報を、前記所定の変化を与えたオブジェクトの内容が自身と自身よりも上流のプロジェクタとの投影画像間において異なるように決定する、
ことを特徴とする請求項2記載のプロジェクタシステム。
【請求項6】
前記エレメントは、オブジェクトの色情報、サイズ情報、フォント情報、回転情報、位置情報、縦横比率情報、その他オブジェクトの変化可能な情報の一群から選択されるエレメントである、
ことを特徴とする請求項2〜5の何れか一項記載のプロジェクタシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−129411(P2009−129411A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−307131(P2007−307131)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】