プロジェクターおよび画像表示システム
【課題】設置の自由度が高く、立体画像や2種類の画像の観察が可能な光の投写を行うプロジェクターを提供する。
【解決手段】プロジェクターは、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し、右目用画像および左目用画像を時分割でスクリーンに投影する。プロジェクターは、変調した光を投写する投写レンズ36と、光軸36Cに直交する方向に投写レンズ36を移動させるレンズシフト機構7と、右目用画像と左目用画像との切り替えに同期する光信号を、スクリーンに向けて出力する発信装置5と、レンズシフト機構7に連動して発信装置5を移動させる連動機構6と、を備えている。
【解決手段】プロジェクターは、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し、右目用画像および左目用画像を時分割でスクリーンに投影する。プロジェクターは、変調した光を投写する投写レンズ36と、光軸36Cに直交する方向に投写レンズ36を移動させるレンズシフト機構7と、右目用画像と左目用画像との切り替えに同期する光信号を、スクリーンに向けて出力する発信装置5と、レンズシフト機構7に連動して発信装置5を移動させる連動機構6と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターおよび画像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し、変調した光をスクリーンに投写するプロジェクターが知られている。また、近年、右目用画像および左目用画像をスクリーンに投影し、専用の眼鏡を用いることで観察者に立体画像として認識させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されている多眼立体表示装置は、プロジェクターと赤外線発光機とを備えている。プロジェクターは、入力される映像信号に従って所定の映像をスクリーンに投影する。赤外線発光機は、プロジェクターに接続されてスクリーンの上方に配置され、発光によって映像信号に同期する赤外線信号を出力する。そして、専用の眼鏡(液晶シャッターメガネ)を装着した観察者は、左右のシャッターが赤外線信号に基づいて開閉することによって立体画像として認識する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−126501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1には、詳細な説明は記載されていないが、プロジェクターと赤外線発光機とがケーブル等を介して接続されていると考えられ、ケーブルの処理等によって多眼立体表示装置を設置することが煩わしいという課題がある。そこで、赤外線発光機をプロジェクターに内蔵し、赤外線信号をスクリーンで反射させて専用の眼鏡に到達させることが考えられる。しかしながら、赤外線発光機をプロジェクター内に収納すると、プロジェクターが大型化するという課題がある。さらに、投写レンズを移動させるレンズシフト機構を備えたプロジェクターにおいては、スクリーンに対するプロジェクターの相対的な位置が変更されて使用されるため、赤外線信号をスクリーンで安定して反射させることが難しいという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクターは、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し、第1画像および第2画像を時分割でスクリーンに投影するプロジェクターであって、変調した光を投写する投写レンズと、前記投写レンズの光軸に直交する方向に前記投写レンズを移動させるレンズシフト機構と、前記第1画像と前記第2画像との切り替えに同期する光信号を、前記スクリーンに向けて出力する発信装置と、前記レンズシフト機構に連動して前記発信装置を移動させる連動機構と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、プロジェクターは、第1画像および第2画像を時分割で投影可能に構成され、この両画像の切り替えに同期する光信号を、スクリーンに向けて出力する発信装置を備えている。これによって、光信号をスクリーンによって反射させ、スクリーンに投写される画像を観察する観察者に到達させることが可能となる。よって、観察者は、煩雑な作業をすることなく容易にプロジェクターを設置し、光信号を受信することによってシャッターが切り替えられる画像観察用眼鏡を装着することで、スクリーンに投写された画像を立体画像として認識したり、2種類の画像として観察したりすることが可能となる。
【0009】
そして、プロジェクターは、投写レンズを移動させるレンズシフト機構、およびレンズシフト機構に連動して発信装置を移動させる連動機構を備えている。これによって、プロジェクターは、スクリーンに対する相対的な位置が変更された場合にも、画像の投影が可能になると共に、発信装置から出力された光信号をこのスクリーンで確実に反射させることが可能となる。よって、設置の自由度が高く、立体画像や2種類の画像の観察が可能な光の投写を行うプロジェクターの提供が可能となる。
【0010】
[適用例2]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記連動機構は、前記レンズシフト機構に連動して、前記発信装置から出力される前記光信号が前記投写レンズの移動方向と同一方向に移動するように、前記光軸に対する前記発信装置の傾斜角を変えることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、連動機構は、レンズシフト機構に連動して光軸に対する発信装置の傾斜角を変えるように構成されている。つまり、連動機構は、レンズシフト機構に連動して発信装置から出力される光信号の方向を変えるように構成されている。これによって、発信装置をスライド移動させる構成に比べ、少ないスペースで光信号を大きく移動することが可能となる。よって、大型化を抑制し、投写レンズが移動される範囲内において、光信号を確実にスクリーンで反射させることが可能となる。
【0012】
[適用例3]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記レンズシフト機構は、前記光軸に直交する面内で互いに直交する2方向に前記投写レンズを移動可能に構成され、前記連動機構は、前記2方向において、前記レンズシフト機構に連動して前記発信装置を移動させることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、レンズシフト機構は、光軸に直交する面内で互いに直交する2方向(例えば、画像を観察する観察者から見て上下方向および左右方向の2方向)に投写レンズを移動可能に構成され、連動機構は、この2方向において、レンズシフト機構に連動して発信装置を移動させることができる。これによって、さらに設置の自由度が高く、立体画像や2種類の画像の観察が可能な光の投写を行うプロジェクターの提供が可能となる。
【0014】
[適用例4]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記レンズシフト機構は、前記光軸に直交する面内で互いに直交する2方向に前記投写レンズを移動可能に構成され、前記連動機構は、前記2方向のうち、いずれか一方の方向において前記レンズシフト機構に連動して前記発信装置を移動させるように構成されていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、連動機構は、2方向(例えば、上下方向および左右方向の2方向)のうち、いずれか一方の方向(例えば、上下方向)においてレンズシフト機構に連動して発信装置を移動させるように構成されている。これによって、簡単な構造で連動機構を構成し、使用頻度が多いと考えられる一方の方向において、光信号を確実にスクリーンで反射させ、観察者に装着された画像観察用眼鏡に到達させることが可能となる。
【0016】
[適用例5]本適用例に係る画像表示システムは、上記適用例に係るプロジェクターと、前記光信号を受信する受信部、および前記受信部で受信した前記光信号に対応して、光が通過する開放状態と光が遮蔽される遮光状態とが切り替えられるシャッターを有する画像観察用眼鏡と、を備えることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態のプロジェクターの外観を模式的に示す斜視図。
【図2】第1実施形態のプロジェクター内部の概略構成を示す模式図。
【図3】第1実施形態の投写レンズ、レンズシフト機構、発信装置および連動機構の斜視図。
【図4】第1実施形態のレンズシフト機構の斜視図。
【図5】第1実施形態の発信装置および連動機構の一部を示す断面図。
【図6】第1実施形態の連動機構の分解斜視図。
【図7】第1実施形態のシフト側支持部近傍の連動機構を示す断面図。
【図8】第1実施形態の基準状態における投写レンズ、第1移動部、連動機構および発信装置を示す図。
【図9】第1実施形態の投写レンズ、第1移動部、連動機構および発信装置を上方から見た図。
【図10】第1実施形態の投写レンズ、第1移動部、連動機構および発信装置を+X方向から見た図。
【図11】第1実施形態の画像観察用眼鏡の外観を模式的に示す斜視図。
【図12】第1実施形態の画像表示システムおよびスクリーンの模式図。
【図13】第2実施形態のフロントケース、発信装置および連動機構を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、第1施形態に係るプロジェクターおよび画像表示システムについて、図面を参照して説明する。
本実施形態のプロジェクターは、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調してスクリーンに拡大投写する。また、本実施形態のプロジェクターは、第1画像としての右目用画像、および第2画像としての左目用画像を時分割でスクリーンに投影することができ、この右目用画像と左目用画像との切り替えに同期した光信号をスクリーンに向けて出力するように構成されている。そして、スクリーンに投写された画像を観察する観察者は、専用の画像観察用眼鏡を装着することによって、画像観察用眼鏡がスクリーンから反射された光信号によって制御され、投写された画像を立体画像として認識することができる。
画像表示システムは、このプロジェクターおよび画像観察用眼鏡を備えて構成されている。
【0020】
〔プロジェクターの主な構成〕
図1は、本実施形態のプロジェクター1の外観を模式的に示す斜視図である。図2は、プロジェクター1内部の概略構成を示す模式図である。
プロジェクター1は、図1、図2に示すように、外装を構成する外装筐体2、制御部(図示省略)、光源装置31を有する光学ユニット3、電源装置4、発信装置5、および連動機構6等を備えている。
【0021】
なお、具体的な図示は省略したが、外装筐体2内には、プロジェクター1の内部を冷却するためのファンや空気を導くダクト等が配置されている。また、以下では、説明の便宜上、光源装置31から光束が射出される方向を+X方向、プロジェクター1から投写される光が射出される方向を+Y方向(前方向)、図1における上方向を+Z方向(上方向)として記載する。
【0022】
外装筐体2は、合成樹脂製であり、図1に示すように、アッパーケース21、ロアーケース22、およびフロントケース23等を備えており、これらは、ネジ等により固定されている。
【0023】
アッパーケース21は、図1に示すように、外装筐体2の上部を構成する。アッパーケース21の上面には、後方にプロジェクター1の各種指示を行うための操作パネル20が配置され、操作パネル20の前方には、後述する投写レンズ36に備えられたズームレバー361およびフォーカスレバー362が露出する開口部が設けられている。また、アッパーケース21の上面には、ズームレバー361の後方に、後述するレンズシフト機構7の第1ダイヤル771、第2ダイヤル781が露出する開口部が設けられている。
【0024】
ロアーケース22は、外装筐体2の下部を構成する。ロアーケース22の下方には、プロジェクター1が机上等に設置される際に設置面に当接する脚部(図示省略)が突出して設けられている。
【0025】
フロントケース23は、外装筐体2の前部を構成する。フロントケース23の中央部には、図1に示すように、前方から見て円形の開口部(投写用開口部231)が形成されており、この投写用開口部231から投写される光が通過する。
フロントケース23には、投写用開口部231の+X側に、外部の空気が取り込まれる吸気口232が設けられており、吸気口232の内側には、図示しない吸気用のダクトが配置されている。また、フロントケース23には、投写用開口部231の−X側に、外装筐体2内の温まった空気が外部に排出される排気口233が設けられており、排気口233の内側には、図示しない排気用のダクトが配置されている。
【0026】
また、フロントケース23には、投写用開口部231と吸気口232との間に、平面視矩形の開口部が形成されており、この開口部は、光学フィルター24によって閉塞されている。そして、光学フィルター24の後方には、光信号を出力する発信装置5が配置されている。
【0027】
光学フィルター24は、発信装置5から出力された光信号を透過し、光信号と異なる波長領域の可視光の透過を抑制するポリカーボネート樹脂が採用されており、プロジェクター1の外部から発信装置5が見えにくいように構成されている。なお、光学フィルター24は、発信装置5から出力された光信号を透過する材料であればポリカーボネート樹脂に限らず他の材料を用いてもよい。
【0028】
制御部は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、コンピューターとして機能するものであり、プロジェクター1の動作の制御を行う。
【0029】
光学ユニット3は、制御部による制御の下、光源311から射出された光束を光学的に処理して投写する。
光学ユニット3は、図2に示すように、光源装置31、インテグレーター照明光学系32、色分離光学系33、リレー光学系34、電気光学装置35、これらの部材31〜35を光路上の所定位置に配置する光学部品用筐体37、投写レンズ36、およびレンズシフト機構7を備える。
光学ユニット3は、図2に示すように平面視略L字状に形成され、一方の端部に光源装置31が着脱可能に配置され、他方の端部に投写レンズ36が配置される。
【0030】
光源装置31は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源311、リフレクター312および光透過部材としての平行化レンズ313等を備えている。光源装置31は、光源311から射出された光束をリフレクター312にて反射した後、平行化レンズ313よって射出方向を揃え、インテグレーター照明光学系32に向けて射出する。
【0031】
インテグレーター照明光学系32は、第1レンズアレイ321、第2レンズアレイ322、偏光変換素子323、および重畳レンズ324を備える。
第1レンズアレイ321は、光源装置31から射出された光束を複数の部分光束に分割する光学素子であり、光源装置31から射出された光束の光軸Cに対して略直交する面内にマトリクス状に配列される複数の小レンズを備えている。
【0032】
第2レンズアレイ322は、第1レンズアレイ321と略同様の構成を有しており、重畳レンズ324とともに、第1レンズアレイ321から射出された部分光束を後述する液晶ライトバルブ351の表面に重畳させる。
偏光変換素子323は、第2レンズアレイ322から射出されたランダム偏光光を液晶ライトバルブ351で利用可能な略1種類の偏光光に揃える機能を有する。
【0033】
色分離光学系33は、2枚のダイクロイックミラー331,332、および反射ミラー333を備え、インテグレーター照明光学系32から射出された光束を赤色光(以下「R光」という)、緑色光(以下「G光」という)、青色光(以下「B光」という)の3色の色光に分離する機能を有する。
【0034】
リレー光学系34は、入射側レンズ341、リレーレンズ343、および反射ミラー342,344を備え、色分離光学系33で分離されたR光をR光用の液晶ライトバルブ351Rまで導く機能を有する。なお、光学ユニット3は、リレー光学系34がR光を導く構成としているが、これに限らず、例えば、B光を導く構成としてもよい。
【0035】
電気光学装置35は、光変調装置としての液晶ライトバルブ351および色合成光学装置としてクロスダイクロイックプリズム352を備え、色分離光学系33で分離された各色光を、右目用および左目用の画像情報に応じて変調し、変調した各色光を合成する。
【0036】
液晶ライトバルブ351は、3色の色光毎に備えられており(R光用の液晶ライトバルブを351R、G光用の液晶ライトバルブを351G、B光用の液晶ライトバルブを351Bとする)、それぞれ透過型の液晶パネル、およびその両面に配置された入射側偏光板、射出側偏光板を有している。
【0037】
液晶ライトバルブ351は、図示しない微小画素がマトリクス状に形成された矩形状の画素領域を有し、各画素が画像情報に応じた光透過率に設定され、画素領域内に表示画像を形成する。そして、色分離光学系33で分離された各色光は、液晶ライトバルブ351にて変調された後、クロスダイクロイックプリズム352に射出される。
【0038】
クロスダイクロイックプリズム352は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、2つの誘電体多層膜が形成されている。クロスダイクロイックプリズム352は、誘電体多層膜が液晶ライトバルブ351R,351Bにて変調された色光を反射し、液晶ライトバルブ351Gにて変調された色光を透過して、各色光を合成する。そして、クロスダイクロイックプリズム352にて合成された光は、光軸35Cを有して投写レンズ36に射出される。
【0039】
投写レンズ36は、光軸36Cに沿って配置される複数のレンズ(図示省略)、ズームレバー361、フォーカスレバー362(いずれも図1参照)およびフランジ部(図示省略)を有して構成され、レンズシフト機構7に取り付けられる。投写レンズ36は、液晶ライトバルブ351にて変調され、クロスダイクロイックプリズム352にて合成された光をスクリーン上に拡大投写する。この結果、スクリーンには、左目用画像と右目用画像とがフレーム単位で交互に投影される。
【0040】
そして、投写レンズ36は、ズームレバー361が回転されることによって、ズーム調整に寄与するレンズが移動してズームが調整され、フォーカスレバー362が回転されることによって、フォーカス調整に寄与するレンズが移動してフォーカスが調整される。
【0041】
レンズシフト機構7は、投写レンズ36を移動可能に支持し、光学部品用筐体37に取り付けられている。具体的に、レンズシフト機構7は、光軸35Cと光軸36Cとが略一致する状態を基準状態として、光軸36Cに直交する面内で互いに直交する2方向(±X方向、および±Z方向)に投写レンズ36を移動可能に構成されている。レンズシフト機構7については、後で詳細に説明する。
【0042】
電源装置4は、詳細な説明は省略するが、電源ブロックおよび光源装置31を駆動する光源駆動ブロック(いずれも図示省略)を備え、制御部や光源311等の電子部品に電力を供給する。
【0043】
発信装置5は、フロントケース23の内側に配置され、前述したように、前方には、光学フィルター24(図1参照)が配置される。発信装置5は、複数の発光部52(図3参照)を有し、制御部の指示に基づいて、右目用画像と左目用画像との切り替えに同期する光信号をスクリーンに向けて出力する。
【0044】
連動機構6は、図2に示すように、レンズシフト機構7と発信装置5とを連結し、レンズシフト機構7に連動して発信装置5を移動させるように構成されている。つまり、レンズシフト機構7が駆動されると、スクリーンに投写される画像が移動すると共に、発信装置5から出力される光信号も移動する。なお、発信装置5および連動機構6については、後で詳細に説明する。
【0045】
〔レンズシフト機構の構成〕
ここで、レンズシフト機構7について説明する。
図3は、投写レンズ36、レンズシフト機構7、発信装置5および連動機構6の斜視図であり、(a)は、前方斜めから見た図、(b)は、後方斜めから見た図である。図4は、レンズシフト機構7の斜視図である。
【0046】
レンズシフト機構7は、図4に示すように、固定板71、第1移動部72、第2移動部73、補助板74、支持板75、上カバー76、第1駆動部77、および第2駆動部78を備えている。
固定板71、第1移動部72、第2移動部73および補助板74は、図4に示すように、後方から前方に向かって順次配置され、各部材には、投写レンズ36が挿通される開口部が設けられている。
【0047】
固定板71は、光学部品用筐体37に固定され、レンズシフト機構7全体を支持する部材である。
第1移動部72は、投写レンズ36が取り付けられる部材であり、固定板71に対し、投写レンズ36と共にX方向、および上下方向(Z方向)に移動可能に構成されている。
第1移動部72は、図4に示すように、投写レンズ36が取り付けられるレンズ保持部721、およびレンズ保持部721の+X側から+X方向に突出する突出部722を有している。
【0048】
レンズ保持部721には、複数のネジ穴が設けられており、投写レンズ36は、フランジ部がこのレンズ保持部721の+Y側にネジ固定されて第1移動部72に取り付けられる。
突出部722は、+X方向に延出し、Z方向に沿って並設された2つの円柱部、および2つの円柱部の先端に架橋するように形成された平面視トラック状の接続部を有している。突出部722の接続部は、連動機構6の後述するシフト側支持部63(図3参照)が取り付けられる部位であり、+X側の面には、複数のネジ穴722aが設けられている。
【0049】
第2移動部73は、図示しない係合部を有して形成され、第1移動部72の上下方向(Z方向)への移動を案内し、第1移動部72と共にX方向に移動可能に構成されている。
補助板74は、固定板71とで第1移動部72および第2移動部73を挟装する。補助板74は、図示しない係合部を有して形成され、第2移動部73のX方向への移動を案内する。
【0050】
支持板75は、図4に示すように、固定板71および補助板74の+Y側に配置される。支持板75には、開口部751が設けられており、第1移動部72の突出部722は、この開口部751から突出している。
【0051】
上カバー76は、図4に示すように、固定板71および補助板74の上側に配置され、第1駆動部77および第2駆動部78を支持する。上カバー76には、第1ダイヤル771、第2ダイヤル781のそれぞれ一部が露出する開口部761,762が設けられている。
【0052】
第1駆動部77は、第1ダイヤル771、および図示しない複数の歯車で構成された輪列部を備えている。第1ダイヤル771は、略円柱形状を有して形成され、図4に示すように、上側が上カバー76から露出し、X方向に沿う中心軸を中心に回転可能に配置される。
【0053】
そして、第1ダイヤル771が回転されると、第1移動部72は、第1駆動部77の輪列部によって第1ダイヤル771の回転が伝達されて移動する。具体的に、+X方向から見て第1ダイヤル771が時計回り(図4における1CW方向)に回転されると、第1移動部72は、上方(+Z方向)に移動し、第1ダイヤル771が反時計回り(図4における1CCW方向)に回転されると、下方(−Z方向)に移動する。また、第1移動部72の突出部722は、開口部751内を上下に移動することとなる。そして、第1移動部72に固定されている投写レンズ36は、第1移動部72と共に移動する。
【0054】
第2駆動部78は、第2ダイヤル781、および図示しない複数の歯車で構成された輪列部を備えている。第2ダイヤル781は、第1ダイヤル771と同様に、略円柱形状を有して形成され、図4に示すように、上側が上カバー76から露出し、Y方向に沿う中心軸を中心に回転可能に配置される。
【0055】
そして、第2ダイヤル781が回転されると、第2移動部73は、第2駆動部78の輪列部によって第2ダイヤル781の回転が伝達されて移動する。具体的に、+Y方向から見て第2ダイヤル781が時計回り(図4における2CW方向)に回転されると、第2移動部73は、+X方向に移動し、第2ダイヤル781が反時計回り(図4における2CCW方向)に回転されると、−X方向に移動する。また、第1移動部72の突出部722は、開口部751内からの突出長さが変わるように移動することとなる。そして、第2移動部73に係合している第1移動部72は、第2移動部73と共に移動する。つまり、第1移動部72に固定されている投写レンズ36も第2移動部73と共に移動する。
【0056】
〔発信装置の構成〕
次に、発信装置5について詳細に説明する。
発信装置5は、図3に示すように、連動機構6に支持され、投写レンズ36の+X側に配置される。発信装置5は、回路基板51および複数の発光部52を備えている。
【0057】
回路基板51は、図3に示すように、平面視矩形状に形成されている。
図5は、発信装置5および連動機構6の一部を示す断面図である。回路基板51は、図5に示すように、中央部にネジが挿通される丸孔511が形成され、丸孔511の近傍には、複数の位置決め用孔512が設けられている。
【0058】
複数の発光部52は、前方(+Y方向)に光信号を出力するように回路基板51の前側(+Y側)の面(実装面)に実装されている。また、複数の発光部52は、丸孔511の外側に環状に配置されている。本実施形態の発光部52は、赤外光を出力するLED(Light Emitting Diode)が採用されている。なお、発光部52は、赤外光を出力するLEDに限らず、他の波長領域の光信号を出力する光学素子であってもよい。
【0059】
発信装置5は、回路基板51が図示しないケーブルを介して制御部に接続され、制御部の指示に基づいて、複数の発光部52が光信号を出力する。
発信装置5は、連動機構6の後述する発信装置保持部65(図5参照)に保持され、基準状態において、実装面が光軸36Cに対して略直交するように配置される。そして、発信装置5は、レンズシフト機構7に連動して移動する発信装置保持部65と共に移動する。
【0060】
〔連動機構の構成〕
連動機構6は、レンズシフト機構7の第1移動部72と発信装置5とを連結する。そして、連動機構6は、第1移動部72の移動に連動して発信装置5を移動、具体的には、光軸36Cに対する傾斜角を変更するように構成されている。
連動機構6は、図3に示すように、投写レンズ36およびレンズシフト機構7の+X側で、発信装置5の後方に配置される。
図6は、連動機構6の分解斜視図であり、一部の部材を省略した図である。連動機構6は、図6に示すように、連結レバー61、レバー支持部62、シフト側支持部63、発信装置案内部64(図5参照)および発信装置保持部65を備えている。
【0061】
連結レバー61は、金属の板材から加工され、図3に示すように、レンズシフト機構7の側方から発信装置5の後方まで延出している。
具体的に、連結レバー61は、図6に示すように、レンズシフト機構7(図3参照)の側方に位置する平面視矩形状のシフト側連結部611、シフト側連結部611の端部から順次形成されるアーム部612、基部613、および発信側連結部614を有している。なお、連結レバー61は、金属に限らず合成樹脂等で形成してもよい。
【0062】
シフト側連結部611には、図6に示すように、カシメ等によって、+X方向に突出する円柱状の連結ピン1Pが設けられている。
アーム部612は、シフト側連結部611に対して−X側に屈曲された屈曲部615を介してシフト側連結部611に繋がっている。アーム部612は、この屈曲部615の端部から前側上方斜めに延出した後、前方向に延出して形成されている。
【0063】
基部613は、アーム部612に対して+X側に屈曲された屈曲部616を介してアーム部612に繋がっている。基部613はこの屈曲部616の端部から下方に延出した後、前方向に延出するように平面視L字状に形成されている。なお、アーム部612の下方およびアーム部612の+X側のスペースには、図示しないダクト等の部材が配置される。
【0064】
また、基部613には、図5、図6に示すように、カシメ等によって、+X方向に突出する円柱状のガイドピン2P、および−X方向に突出する支点ピン3Pが設けられている。ガイドピン2Pと支点ピン3Pとは、中心軸を同軸として形成されており、支点ピン3Pは、図5に示すように、先端側の径が基端側の径より小さなテーパーを有して形成されている。
【0065】
発信側連結部614は、図6に示すように、基部613の端部から+X方向に屈曲されて形成されており、カシメ等によって、前方に突出する作用ピン4Pが設けられている。
作用ピン4Pは、図5、図6に示すように、径が異なる2つの円柱状の部位が繋がる形状を有し、径が大きい側の作用部4Paが前方に位置するように発信側連結部614に取り付けられている。また、作用ピン4Pの縁周部は、曲面となるようにR面取り加工されている。
【0066】
レバー支持部62は、連結レバー61の基部613を支持するように構成されている。レバー支持部62は、図5、図6に示すように、ベース部621およびベース補助部622を備えている。
ベース部621は、X−Y平面に沿って形成された台座部6211、および台座部6211から上方に延出する延出部6212を有している。
台座部6211には、丸孔が形成されており、ベース部621は、この丸穴にネジが挿通されて、ロアーケース22に固定される部材(図示省略)に取り付けられる。
【0067】
延出部6212は、図6に示すように、基部613の−X側の面を案内するガイド面62A、およびガイド面62Aの下方に位置する保持部6213を有している。
ガイド面62Aは、図5に示すように、+X側に凸となる略球面状に形成されている。そして、このガイド面62Aの中央部には、X方向に貫通し、支点ピン3Pを支持する支持孔62Hが設けられている。
保持部6213には、ネジ穴6213a、および+X方向に突出する円柱状の突起6213bが形成されている。
【0068】
ベース補助部622は、図6に示すように、延出部6212のガイド面62Aおよび保持部6213に対向する形状を有して形成されている。具体的に、ベース補助部622は、基部613の+X側の面を案内するガイド面62B(図5参照)、およびガイド面62Bの下方に位置し、保持部6213に対向する取付部6221を有している。
【0069】
ガイド面62Bは、図5に示すように、−X側に凸となる略球面状に形成されている。そして、このガイド面62Bの中央部には、X方向に貫通し、ガイドピン2Pを支持するトラック孔62Tが設けられている。トラック孔62Tは、Z方向の内径よりY方向の内径が大きくなるように形成されている。つまり、ガイドピン2Pは、Y方向において摺動可能にトラック孔62Tに支持されることとなる。
【0070】
取付部6221には、保持部6213のネジ穴6213aに対向する位置に丸孔6221aが形成され、突起6213bに対向する位置に孔6221bが形成されている。
ベース補助部622は、ベース部621にネジ固定されることによって、ベース部621とで基部613を支持する。具体的に、レバー支持部62は、支持孔62H、トラック孔62Tで支点ピン3P、ガイドピン2Pをそれぞれ支持し、ガイド面62A,62Bで基部613の両面を支持する。そして、連結レバー61は、支点ピン3Pの中心軸を中心として、Y−Z平面内において回転可能に、また、支点ピン3Pと支持孔62Hとが当接する部位を支点としてY−Z平面に対する傾斜角が変更可能にレバー支持部62に支持されることとなる。
【0071】
シフト側支持部63は、図3に示すように、レンズシフト機構7の突出部722に固定され、連結レバー61のシフト側連結部611を支持する。
シフト側支持部63は、図6に示すように、上下方向に延出する取付部631、および取付部631の+X側の面から+X方向および+Y方向に突出する突起部632を有している。取付部631の上下の端部近傍には、丸孔が設けられ、シフト側支持部63は、この丸孔にネジが挿通されて突出部722に固定される。
【0072】
図7は、シフト側支持部63近傍の連動機構6を示す断面図である。
突起部632の+Y方向に突出する部位には、図7に示すように、上下方向に貫通する案内溝63Gが形成されている。案内溝63Gの対向する内面(ガイド面63A)は、それぞれ略球面状に凸面となるように形成されている。
【0073】
そして、このガイド面63Aの中央部には、X方向に貫通し、連結ピン1Pを支持するトラック孔63Tが形成されている。トラック孔63Tは、Z方向の内径よりY方向の内径が大きく形成されている。つまり、連結ピン1Pは、Y方向において摺動可能にトラック孔63Tに支持されることとなる。
【0074】
シフト側支持部63は、図7に示すように、案内溝63Gにシフト側連結部611が挿入され、トラック孔63Tに連結ピン1Pが挿入されてシフト側連結部611を支持する。具体的に、シフト側支持部63は、トラック孔63Tで連結ピン1Pを支持し、対向する2つのガイド面63Aでシフト側連結部611の両面を支持する。
【0075】
そして、シフト側支持部63は、第1移動部72が上下方向に移動されると、連結レバー61をY−Z平面内において回転させ、第1移動部72がX方向に移動されると、Y−Z平面に対する連結レバー61の傾斜角を変更させる。
【0076】
発信装置案内部64は、図3、図5に示すように、発信装置5と連結レバー61との間に配置され、発信装置保持部65を回転可能に支持する。
発信装置案内部64は、板金で形成され、図5に示すように、X−Z平面に沿うように配置される。発信装置案内部64は、前面が凹状の略球面、後面が凸状の略球面となるガイド部64Gを有し、ガイド部64Gの中央部には、前後方向に貫通する孔641が設けられている。発信装置案内部64は、図示しない部材を介してロアーケース22に固定される。
【0077】
発信装置保持部65は、発信装置5を保持し、発信装置案内部64に回転可能に支持される。発信装置保持部65は、図5に示すように、基板保持部651および回転案内部652を備えている。
基板保持部651は、外形が球状の略半分に切断されたような形状の半球状部6511、および半球状部6511の球面側の中央部から突出し、筒状に形成された筒状部6512を有している。
【0078】
半球状部6511は、球面側がガイド部64Gの凹面を滑らかに回転可能な形状に形成され、球面側の反対側には、ネジ穴6511aおよび複数の突起部6511bが設けられている。ネジ穴6511aは、発信装置5の回路基板51の丸孔511に対応する位置に形成され、複数の突起部6511bは、回路基板51の複数の位置決め用孔512に挿通されるように形成されている。
【0079】
筒状部6512は、図5に示すように、後方に開口する円柱状の凹部6512aが設けられており、この凹部6512aには、作用ピン4Pの作用部4Paが挿入される。また、筒状部6512は、半球状部6511側の径が先端側の径より小さい段差を有して形成されている。
【0080】
回路基板51は、位置決め用孔512に突起部6511bが挿通されて位置決めされ、丸孔511にネジSCが挿通されて半球状部6511に固定される。そして、回路基板51が取り付けられた基板保持部651は、図5に示すように、半球状部6511の球面側がガイド部64Gの凹面に対向し、筒状部6512が孔641に挿通されて配置される。
【0081】
回転案内部652は、発信装置保持部65がガイド部64Gに対して回転可能となるように、半球状部6511とでガイド部64Gを挟持する。
回転案内部652は、図5に示すように、ガイド部64Gの凸面に対向する凹状の略球面(凹部652A)を有し、この凹部652Aの中央部には、挿通孔652Hが設けられている。
回転案内部652は、挿通孔652Hに挿通された筒状部6512の段差部に係止されて固定され、発信装置保持部65は、ガイド部64Gに回転可能に支持される。
【0082】
〔連動機構の動作〕
ここで、連動機構6の動作について説明する。
連動機構6は、前述したように、レンズシフト機構7の第1移動部72に連動して発信装置5の傾斜角を変える。
図8は、基準状態における投写レンズ36、第1移動部72、連動機構6および発信装置5を示す図であり、(a)は、上方から見た図、(b)は、+X方向から見た図である。
【0083】
図8に示すように、基準状態において、連結レバー61は、アーム部612がY−Z平面に沿い、L字状の基部613が上下方向(Z方向)および前後方向(Y方向)に沿うような状態となる。この基準状態において、投写レンズ36から投写される光は、光軸36Cを中心として射出される。そして、発信装置5は、回路基板51の実装面が投写レンズ36の光軸36Cに対して略直交するように配置され、発光部52から出力される光信号5Sは、光軸36Cに沿う方向に射出される。
【0084】
先ず、投写レンズ36が基準状態からX方向に移動された場合の連動機構6の動作について説明する。図9は、投写レンズ36、第1移動部72、連動機構6および発信装置5を上方から見た図であり、(a)は、投写レンズ36が基準状態から+X方向に移動された状態の図、(b)は、投写レンズ36が基準状態から−X方向に移動された状態の図である。
【0085】
前述したように、投写レンズ36は、レンズシフト機構7の第2ダイヤル781が時計回り(図4における2CW方向)に回転されると、+X方向に移動する。そして、投写レンズ36が基準状態から+X方向、つまり発信装置5に近づく方向に移動されると、図9(a)に示すように、投写レンズ36から投写される光は、光軸36Cに対して+X側に傾斜して射出される。
【0086】
投写レンズ36が基準状態から+X方向に移動されると、図9(a)に示すように、第1移動部72に固定されているシフト側支持部63も+X方向に移動する。シフト側支持部63が+X方向に移動すると、シフト側支持部63に支持されているシフト側連結部611が+X方向に移動することによって、連結レバー61は、レバー支持部62に支持されている基部613を支点とし、上方から見て時計回り(図9(a)における3CW方向)に回転する。
【0087】
連結レバー61が3CW方向に回転すると、作用ピン4Pは、図9(a)に示すように、基準状態に対して−X方向に移動することとなる。また、連結レバー61は、基部613がシフト側連結部611より発信側連結部614に近い位置に形成されているので、連結レバー61の回転による移動量は、シフト側連結部611より作用ピン4Pの方が小さくなる。
【0088】
そして、作用ピン4Pが−X方向に移動すると、作用部4Paが凹部6512a(図5参照)に挿入されている発信装置保持部65は、発信装置案内部64のガイド部64Gに案内され、上方から見て反時計回り(図9(a)における4CCW方向)、つまり、連結レバー61の回転方向と反対方向に回転する。そして、発信装置保持部65に保持されている発信装置5は、発信装置保持部65と共に4CCW方向に回転する。すなわち、発信装置5は、−X側が+X側より前方に位置するように回転し、光軸36Cに対する傾斜角が変更される。
【0089】
そして、発光部52から出力される光信号5Sは、光軸36Cに対して+X側に傾斜、つまり、投写レンズ36から射出される光の傾斜方向と同一の方向に傾斜して出力される。すなわち、発信装置5は、光信号5Sが投写レンズ36の移動方向と同一の方向に移動するように傾斜角が変更される。また、発信装置5は、投写レンズ36が移動される量が大きい程、光軸36Cに対する傾斜角が大きくなり、光信号5Sは、移動される画像に追従するように移動する。
【0090】
一方、前述したように、投写レンズ36は、レンズシフト機構7の第2ダイヤル781が反時計回り(図4における2CCW方向)に回転されると、−X方向に移動する。そして、投写レンズ36が基準状態から−X方向、つまり発信装置5から遠ざかる方向に移動されると、図9(b)に示すように、投写レンズ36から投写される光は、光軸36Cに対して−X側に傾斜して射出される。
【0091】
投写レンズ36が基準状態から−X方向に移動されると、連動機構6は、投写レンズ36が+X方向に移動された場合と反対方向に動作する。
すなわち、投写レンズ36が基準状態から−X方向に移動されると、図9(b)に示すように、連結レバー61は、基部613を支点とし、上方から見て反時計回り(3CCW方向)に回転する。そして、発信装置保持部65に保持されている発信装置5は、ガイド部64Gに案内され、上方から見て時計回り(図9(b)における4CW方向)に回転する。すなわち、発信装置5は、+X側が−X側より前方に位置するように回転し、光軸36Cに対する傾斜角が変更される。
【0092】
そして、発光部52から出力される光信号5Sは、光軸36Cに対して−X側に傾斜、つまり、投写レンズ36から射出される光の傾斜方向と同一の方向に傾斜して出力される。すなわち、光信号5Sは、投写レンズ36が基準状態より−X方向に移動された場合にも、投写レンズ36が+X方向に移動された場合と同様に、移動される画像に追従するように移動する。
【0093】
次に、投写レンズ36が基準状態から上下方向(Z方向)に移動された場合の連動機構6の動作について説明する。図10は、投写レンズ36、第1移動部72、連動機構6および発信装置5を+X方向から見た図であり、(a)は、投写レンズ36が基準状態から上方(+Z方向)に移動された状態の図、(b)は、投写レンズ36が基準状態から下方(−Z方向)に移動された状態の図である。
【0094】
前述したように、投写レンズ36は、第1ダイヤル771が時計回り(図4における1CW方向)に回転されると、上方に移動する。そして、投写レンズ36が基準状態から上方に移動されると、図10(a)に示すように、投写レンズ36から投写される光は、光軸36Cに対して上方に傾斜して射出される。
【0095】
投写レンズ36が基準状態から上方に移動されると、図10(a)に示すように、第1移動部72に固定されているシフト側支持部63も上方に移動する。シフト側支持部63が上方に移動すると、シフト側支持部63に支持されているシフト側連結部611が上方に移動することによって、連結レバー61は、基部613を支点とし、+X方向から見て反時計回り(図10(a)における5CCW方向)に回転する。
【0096】
連結レバー61が5CCW方向に回転すると、作用ピン4Pは、図10(a)に示すように、基準状態に対して下方に移動することとなる。作用ピン4Pが下方に移動すると、作用部4Paが凹部6512a(図5参照)に挿入されている発信装置保持部65は、ガイド部64Gに案内され、+X方向から見て時計回り(図10(a)における6CW方向)、つまり、連結レバー61の回転方向と反対方向に回転する。
【0097】
そして、発信装置保持部65に保持されている発信装置5は、発信装置保持部65と共に6CW方向に回転する。すなわち、発信装置5は、下側が上側より前方に位置するように回転し、光軸36Cに対する傾斜角が変更される。そして、発光部52から出力される光信号5Sは、光軸36Cに対して上側に傾斜、つまり、投写レンズ36から射出される光の傾斜方向と同一の方向に傾斜して出力される。
【0098】
一方、前述したように、投写レンズ36は、第1ダイヤル771が反時計回り(図4における1CCW方向)に回転されると、下方に移動する。そして、投写レンズ36が基準状態から下方に移動されると、図10(b)に示すように、投写レンズ36から投写される光は、光軸36Cに対して下方に傾斜して射出される。
【0099】
投写レンズ36が基準状態から下方に移動されると、連動機構6は、投写レンズ36が上方に移動された場合と反対方向に動作する。
すなわち、投写レンズ36が基準状態から下方に移動されると、図10(b)に示すように、連結レバー61は、基部613を支点とし、+X方向から見て時計回り(5CW方向)に回転する。そして、発信装置保持部65に保持されている発信装置5は、ガイド部64Gに案内され、+X方向から見て反時計回り(図10(b)における6CCW方向)に回転する。すなわち、発信装置5は、上側が下側より前方に位置するように回転し、光軸36Cに対する傾斜角が変更される。
【0100】
そして、発光部52から出力される光信号5Sは、光軸36Cに対して下側に傾斜、つまり、投写レンズ36から射出される光の傾斜方向と同一の方向に傾斜して出力される。すなわち、光信号5Sは、投写レンズ36が基準状態より上下方向に移動された場合にも、投写レンズ36がX方向に移動された場合と同様に、移動される画像に追従するように移動する。
【0101】
このように、連動機構6は、レンズシフト機構7に連動して、発信装置5から出力される光信号5Sが投写レンズ36の移動方向と同一方向に移動するように、光軸36Cに対する発信装置5の傾斜角を変える。
【0102】
〔画像表示システムの主な構成〕
画像表示システムは、前述したように、プロジェクター1および画像観察用眼鏡を備えて構成されている。
図11は、本実施形態の画像観察用眼鏡10の外観を模式的に示す斜視図である。
画像観察用眼鏡10は、図11に示すように、装着される観察者にとって右目の前方に位置する右目用のシャッター(液晶シャッター11R)、左目の前方に位置する左目用のシャッター(液晶シャッター11L)、光信号5Sを受信する受信部12、および液晶シャッター11R,11Lを駆動する駆動部(図示省略)を備えている。
【0103】
液晶シャッター11R,11Lは、それぞれ液晶パネルの表裏両側に偏光板が貼り付けられた構成を有している。液晶シャッター11Rは、駆動部の駆動により右目に入射する光を、透過させる(通過させる)開放状態と遮蔽する遮光状態とが切り替えられる。同様に、液晶シャッター11Lは、駆動部の駆動により左目に入射する光を、透過させる(通過させる)開放状態と遮蔽する遮光状態とが切り替えられる。そして、画像観察用眼鏡10は、光信号5Sに対応して駆動部が駆動することによって、左右の液晶シャッター11R,11Lが交互に開放状態と遮光状態とが切り替えられる。
【0104】
〔光信号の光路〕
ここで、発信装置5から出力された光信号5Sの光路について説明する。
発信装置5から出力された光信号5Sは、前述したように光学フィルター24(図1参照)を透過してプロジェクター1の外部に射出された後、スクリーンにて反射され、投写された画像を観察する観察者に装着された画像観察用眼鏡10に受信される。
【0105】
図12は、本実施形態の画像表示システム100およびスクリーンSCの模式図である。具体的に、図12(a)は、プロジェクター1とスクリーンSCとが正対して設置される場合の図、図12(b)は、スクリーンSCがプロジェクター1に正対する位置に対して上方に位置して設置された場合の図である。
【0106】
プロジェクター1とスクリーンSCとが正対して設置される場合、投写レンズ36を基準状態にすることで、投写される光は、光軸36Cを中心として射出され、図12(a)に示すように、このスクリーンSCに画像が投影される。
【0107】
この基準状態において、発信装置5から出力された光信号5Sは、前述したように、光軸36Cに沿う方向に射出されるので、スクリーンSCに投写された画像の領域内に到達する。なお、光信号5Sは、赤外光なので、画像の領域内に達しても画像の品質を劣化させることがない。
【0108】
スクリーンSCに到達した光信号5Sは、スクリーンSCにて拡散反射される。そして、スクリーンSCにて拡散反射された光信号5Sの一部は、スクリーンSCに投写された画像を観察する観察者に向かう。つまり、スクリーンSCにて拡散反射された光信号5Sの一部は、観察者に装着されている画像観察用眼鏡10の受信部12(図11参照)に入射する。
【0109】
左右の液晶シャッター11R,11Lは、受信部12にて受信された光信号5Sに応じて、開放状態と遮光状態とが切り替えられる。そして、画像観察用眼鏡10を装着している観察者は、スクリーンSCに投写された左目用画像を左目のみで観察し、右目用画像を右目のみで観察し、立体画像として認識する。
【0110】
次に、スクリーンSCがプロジェクター1に正対する位置に対して上方に位置して設置された場合、投写レンズ36を基準状態から上方に移動することで、投写される光が光軸36Cに対して上方に傾斜し、図12(b)に示すように、このスクリーンSCに画像が投影される。
【0111】
この投写レンズ36が基準状態から上方に移動され場合、発信装置5は、前述したように上方に傾斜し(図9(b)参照)、発信装置5から出力された光信号5Sは、スクリーンSCに投写された画像の領域内に到達する。そして、スクリーンSCに到達した光信号5Sは、拡散反射され、その一部が観察者に装着されている画像観察用眼鏡10の受信部12(図11参照)に入射する。なお、連動機構6を有しないプロジェクターであれば、発信装置5から出力された光信号5Sは、スクリーンSCから外れ、画像観察用眼鏡10の受信部12に到達しないこととなる。
【0112】
詳細な説明は省略するが、投写レンズ36が基準状態に対して、下方や±X方向に移動された際にも、スクリーンSCに画像が投影されるようにプロジェクター1が設置されていれば、発信装置5から出力された光信号5Sは、スクリーンSCに到達して反射される。
【0113】
また、投写レンズ36は、基準状態から移動された位置において、ズームが調整されると、投写される光の光軸36Cに対する傾斜角が変わるが、連動機構6は、このズーム調整範囲内において、光信号5Sが投写される画像の領域内に達するように発信装置5の傾斜角を変えるように構成されている。
【0114】
このように、プロジェクター1は、スクリーンSCに対する相対的な位置が変更された場合にも、スクリーンSCに画像が投影されるように投写レンズ36の位置が設定されていれば、光信号5SをスクリーンSCで反射させ、観察者に装着された画像観察用眼鏡10に到達させることができる。
【0115】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1および画像表示システム100によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)プロジェクター1は、右目用画像および左目用画像の切り替えに同期する光信号5Sを、スクリーンSCに向けて出力する発信装置5を備えている。これによって、光信号5SをスクリーンSCによって反射させ、スクリーンSCに投写される画像を観察する観察者に到達させることが可能となる。よって、観察者は、スクリーンSCに画像が投写されるようにプロジェクター1を設置し、画像観察用眼鏡10を装着することで、容易にスクリーンSCに投写された画像を立体画像として認識することが可能となる。
また、発光部52は、複数設けられているので、スクリーンSCに反射される光信号5Sの強度を高め、より広範囲に位置する観察者に到達させることが可能となる。よって、観察者は、スクリーンSCに投写された画像をより確実に立体画像として認識することが可能となる。
【0116】
(2)プロジェクター1は、レンズシフト機構7および連動機構6を備えているので、スクリーンSCに対する相対的な位置が変更された場合にも、画像の投影が可能になると共に、発信装置5から出力された光信号5SをこのスクリーンSCで確実に反射させることが可能となる。よって、設置の自由度が高く、立体画像の観察が可能な光の投写を行うプロジェクター1の提供が可能となる。
【0117】
(3)連動機構6は、レンズシフト機構7に連動して光軸36Cに対する発信装置5の傾斜角を変えるように構成されている。つまり、連動機構6は、レンズシフト機構7に連動して発信装置5から出力される光信号5Sの方向を変えるように構成されている。これによって、発信装置5をスライド移動させる構成に比べ、少ないスペースで光信号5Sを大きく移動することが可能となる。よって、大型化を抑制し、投写レンズ36が移動される範囲内において、光信号5Sを確実にスクリーンSCで反射させることが可能となる。
【0118】
(4)レンズシフト機構7は、上下方向(Z方向)およびX方向の2方向において投写レンズ36を移動可能に構成され、連動機構6は、この2方向において、レンズシフト機構7に連動して発信装置5を移動させることができる。これによって、さらに設置の自由度が高く、立体画像の観察が可能な光の投写を行うプロジェクター1の提供が可能となる。
【0119】
(5)画像表示システム100は、プロジェクター1および画像観察用眼鏡10を備えているので、観察者は、設置の自由度が高く、容易に立体画像の観察が可能となる。
【0120】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照して説明する。以下の説明では、第1実施形態のプロジェクター1と同様の構造および同様の部材には、同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
【0121】
本実施形態のプロジェクターは、第1実施形態の発信装置5および連動機構6と構成の異なる発信装置8および連動機構9を備えている。また、本実施形態のプロジェクターは、発信装置8を支持する支持部材123を備えている。そして、本実施形態の連動機構9は、レンズシフト機構7の第1移動部72の上下方向の移動に連動して発信装置8を移動(傾斜角を変更)させ、第1移動部72のX方向の移動に対しては、発信装置8を移動させないように構成されている。
【0122】
図13は、支持部材123、発信装置8、および連動機構9を示す斜視図であり、(a)は、前方斜めから見た図、(b)は後方斜めから見た図である。
支持部材123には、投写レンズ36から射出される光が通過する投写用開口部124が形成され、投写用開口部124の+X側には、発信装置8を回転可能に支持する発信装置支持部125が設けられている。
【0123】
発信装置支持部125は、図13に示すように、前後方向に貫通する平面視矩形状の孔が設けられ、枠状に形成されている。発信装置支持部125には、+X側および−X側の壁部に、X方向に貫通する軸受が形成されている。
【0124】
発信装置8は、図13に示すように、回路基板81、複数の発光部52および基板保持部82を備えている。
回路基板81は、図13(a)に示すように、平面視矩形状に形成されている。複数の発光部52は、第1実施形態と同様に、前方(+Y方向)に光信号5Sを出力するように回路基板81の前側(+Y側)の面に実装されている。また、複数の発光部52は、前方から見て、縦横に整列されて配置されている。
【0125】
基板保持部82は、合成樹脂で形成され、回路基板81を後方から保持するように形成されている。基板保持部82は、枠部821、一対のピンガイド部822および一対の軸部823(一方の軸部823は図示省略)を有している。
【0126】
枠部821は、回路基板81の実装面とは反対側の面を覆うように形成され、回路基板81は、この枠部821に位置決めされてネジ固定される。
一対のピンガイド部822は、枠部821の後側中央部から突出し、上下方向において所定の距離隔てて形成されている。この一対のピンガイド部822の対向する2つの面(ガイド面822A)は、平坦に形成されている。
【0127】
一対の軸部823は、枠部821の+X側および−X側からそれぞれ突出し、X方向に沿う回転軸を中心とする円柱状に形成されている。
発信装置8は、一対の軸部823が発信装置支持部125の軸受に挿入されて支持部材123に回転可能に支持される。
【0128】
連動機構9は、第1実施形態の連動機構6の発信装置案内部64および発信装置保持部65(図5参照)が削除された構成を有している。連動機構9は、第1実施形態の連動機構6と共通のレバー支持部62およびシフト側支持部63(図6参照)に加え、第1実施形態の連結レバー61と形状が異なる連結レバー91を備えている。
【0129】
連結レバー91は、図13に示すように、第1実施形態の連結レバー61に対し、発信側連結部614(図6参照)が削除されたような形状を有している。具体的に、連結レバー91は、レンズシフト機構7(図3参照)の側方に位置するシフト側連結部911、シフト側連結部911の端部から屈曲部を介して順次形成されるアーム部912、および基部913を有している。
【0130】
そして、連結レバー91には、第1実施形態の連結レバー61と同様に、シフト側連結部911に連結ピン1Pが設けられ、基部913にガイドピン2Pが設けられている。
また、基部913の前側端部近傍には、+X方向に突出する円柱状の作用ピン5Pが設けられている。作用ピン5Pは、図13(b)に示すように、軸部823の後方で、基板保持部82の一対のピンガイド部822の間に挿入される。
【0131】
ここで、図示は省略するが、連動機構9の動作について説明する。
連結レバー91は、投写レンズ36が上下方向に移動された場合、第1実施形態の連結レバー61と同様に、+X方向からみて時計回り、反時計回りに回転する。そして、作用ピン5Pは、連結レバー91の回転によって上下に移動することとなる。
【0132】
ピンガイド部822に挿入されている作用ピン5Pが上下に移動すると、基板保持部82は、軸部823を中心に回転する。そして、基板保持部82に保持されている発信装置8は、基板保持部82と共に連結レバー91の回転方向と反対方向に回転し、光軸36Cに対する傾斜角が変わる。
【0133】
一方、連結レバー91は、投写レンズ36がX方向に移動された場合、第1実施形態の連結レバー61と同様に、上方からみて時計回り、反時計回りに回転する。そして、作用ピン5Pは、連結レバー91の回転によって+X方向や−X方向に移動することとなる。作用ピン5Pは、X方向において、基板保持部82と係合されていないので、基板保持部82のガイド面822AをX方向に摺動することとなる。そして、基板保持部82に保持されている発信装置8は、移動(回転)せず、光軸36Cに対する傾斜角は変更されない。
【0134】
このように、第2実施形態の連動機構9は、上下方向およびX方向の2方向のうち、上下方向においてレンズシフト機構7に連動して発信装置8を移動(傾斜角を変更)させるように構成されている。
【0135】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクターによれば、第1実施形態の効果(1)〜(3)、(5)に加えて、以下の効果を得ることができる。
連動機構9は、上下方向およびX方向の2方向のうち、上下方向においてレンズシフト機構7に連動して発信装置5を移動させるように構成されている。これによって、簡単な構造で連動機構9を構成し、使用頻度が多いと考えられる上下方向において、光信号5Sを確実にスクリーンSCで反射させ、観察者に装着された画像観察用眼鏡10に到達させることが可能となる。
【0136】
(変形例)
なお、前記実施形態は、以下のように変更してもよい。
投写レンズ36が1方向(例えば上下方向)にのみ移動可能となるようにレンズシフト機構を構成し、この1方向においてのみレンズシフト機構に連動して発信装置5を移動させる連動機構を構成してもよい。
【0137】
前記実施形態では、連動機構6,9は、光軸36Cに対する傾斜角を変えることで発信装置5を移動させるように構成されているが、第1移動部72および発信装置5に固定される部材を設け、発信装置5が第1移動部72と共にスライド移動するように構成してもよい。
【0138】
前記実施形態のレンズシフト機構7は、手動式で構成されているが、モーター等を備えた電動式で構成してもよい。
【0139】
第2実施形態の連動機構9は、上下方向およびX方向の2方向のうち、上下方向において、レンズシフト機構7に連動して発信装置5を移動させるように構成されているが、2方向のうち、X方向において、レンズシフト機構7に連動して発信装置5を移動させるように構成してもよい。
【0140】
前記実施形態のプロジェクター1は、第1画像としての右目用画像、および第2画像としての左目用画像を時分割でスクリーンSCに投影できるように構成されているが、右目用画像、左目用画像に限らず、表示される内容等が異なる第1画像および第2画像を時分割でスクリーンSCに投影できるように構成してもよい。そして、前記実施形態の画像観察用眼鏡10は、左右の液晶シャッター11R,11Lが交互に開放状態と遮光状態とが切り替えられるように構成されているが、左右の液晶シャッター11R,11Lが揃って開放状態および遮光状態となるように構成してもよい。そして、このプロジェクター1と、光信号に対応して開放状態に切り替えられるタイミングが異なる複数の画像観察用眼鏡10とを備える画像表示システム100を構成してもよい。これによって、開放状態に切り替えられるタイミングが異なる画像観察用眼鏡10を装着する複数の観察者に、スクリーンSCに投写された画像を第1画像、第2画像としてそれぞれ観察させることが可能となる。
【0141】
前記実施形態の画像観察用眼鏡10に備えられた左右のシャッターは、液晶パネルを用いて構成されているが、この構成に限らず他の方式によるシャッターで構成してもよい。
【0142】
前記実施形態のプロジェクター1は、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブ351を用いているが、反射型液晶ライトバルブを利用したものであってもよい。
【0143】
光源311は放電型のランプに限らず、その他の方式のランプや発光ダイオード等の固体光源で構成してもよい。
【符号の説明】
【0144】
1…プロジェクター、2…外装筐体、5,8…発信装置、5S…光信号、6,9…連動機構、7…レンズシフト機構、10…画像観察用眼鏡、11L,11R…液晶シャッター、12…受信部、24…光学フィルター、31…光源装置、36…投写レンズ、36C…光軸、52…発光部、61,91…連結レバー、100…画像表示システム、311…光源、SC…スクリーン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターおよび画像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し、変調した光をスクリーンに投写するプロジェクターが知られている。また、近年、右目用画像および左目用画像をスクリーンに投影し、専用の眼鏡を用いることで観察者に立体画像として認識させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されている多眼立体表示装置は、プロジェクターと赤外線発光機とを備えている。プロジェクターは、入力される映像信号に従って所定の映像をスクリーンに投影する。赤外線発光機は、プロジェクターに接続されてスクリーンの上方に配置され、発光によって映像信号に同期する赤外線信号を出力する。そして、専用の眼鏡(液晶シャッターメガネ)を装着した観察者は、左右のシャッターが赤外線信号に基づいて開閉することによって立体画像として認識する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−126501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1には、詳細な説明は記載されていないが、プロジェクターと赤外線発光機とがケーブル等を介して接続されていると考えられ、ケーブルの処理等によって多眼立体表示装置を設置することが煩わしいという課題がある。そこで、赤外線発光機をプロジェクターに内蔵し、赤外線信号をスクリーンで反射させて専用の眼鏡に到達させることが考えられる。しかしながら、赤外線発光機をプロジェクター内に収納すると、プロジェクターが大型化するという課題がある。さらに、投写レンズを移動させるレンズシフト機構を備えたプロジェクターにおいては、スクリーンに対するプロジェクターの相対的な位置が変更されて使用されるため、赤外線信号をスクリーンで安定して反射させることが難しいという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクターは、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し、第1画像および第2画像を時分割でスクリーンに投影するプロジェクターであって、変調した光を投写する投写レンズと、前記投写レンズの光軸に直交する方向に前記投写レンズを移動させるレンズシフト機構と、前記第1画像と前記第2画像との切り替えに同期する光信号を、前記スクリーンに向けて出力する発信装置と、前記レンズシフト機構に連動して前記発信装置を移動させる連動機構と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、プロジェクターは、第1画像および第2画像を時分割で投影可能に構成され、この両画像の切り替えに同期する光信号を、スクリーンに向けて出力する発信装置を備えている。これによって、光信号をスクリーンによって反射させ、スクリーンに投写される画像を観察する観察者に到達させることが可能となる。よって、観察者は、煩雑な作業をすることなく容易にプロジェクターを設置し、光信号を受信することによってシャッターが切り替えられる画像観察用眼鏡を装着することで、スクリーンに投写された画像を立体画像として認識したり、2種類の画像として観察したりすることが可能となる。
【0009】
そして、プロジェクターは、投写レンズを移動させるレンズシフト機構、およびレンズシフト機構に連動して発信装置を移動させる連動機構を備えている。これによって、プロジェクターは、スクリーンに対する相対的な位置が変更された場合にも、画像の投影が可能になると共に、発信装置から出力された光信号をこのスクリーンで確実に反射させることが可能となる。よって、設置の自由度が高く、立体画像や2種類の画像の観察が可能な光の投写を行うプロジェクターの提供が可能となる。
【0010】
[適用例2]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記連動機構は、前記レンズシフト機構に連動して、前記発信装置から出力される前記光信号が前記投写レンズの移動方向と同一方向に移動するように、前記光軸に対する前記発信装置の傾斜角を変えることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、連動機構は、レンズシフト機構に連動して光軸に対する発信装置の傾斜角を変えるように構成されている。つまり、連動機構は、レンズシフト機構に連動して発信装置から出力される光信号の方向を変えるように構成されている。これによって、発信装置をスライド移動させる構成に比べ、少ないスペースで光信号を大きく移動することが可能となる。よって、大型化を抑制し、投写レンズが移動される範囲内において、光信号を確実にスクリーンで反射させることが可能となる。
【0012】
[適用例3]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記レンズシフト機構は、前記光軸に直交する面内で互いに直交する2方向に前記投写レンズを移動可能に構成され、前記連動機構は、前記2方向において、前記レンズシフト機構に連動して前記発信装置を移動させることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、レンズシフト機構は、光軸に直交する面内で互いに直交する2方向(例えば、画像を観察する観察者から見て上下方向および左右方向の2方向)に投写レンズを移動可能に構成され、連動機構は、この2方向において、レンズシフト機構に連動して発信装置を移動させることができる。これによって、さらに設置の自由度が高く、立体画像や2種類の画像の観察が可能な光の投写を行うプロジェクターの提供が可能となる。
【0014】
[適用例4]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記レンズシフト機構は、前記光軸に直交する面内で互いに直交する2方向に前記投写レンズを移動可能に構成され、前記連動機構は、前記2方向のうち、いずれか一方の方向において前記レンズシフト機構に連動して前記発信装置を移動させるように構成されていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、連動機構は、2方向(例えば、上下方向および左右方向の2方向)のうち、いずれか一方の方向(例えば、上下方向)においてレンズシフト機構に連動して発信装置を移動させるように構成されている。これによって、簡単な構造で連動機構を構成し、使用頻度が多いと考えられる一方の方向において、光信号を確実にスクリーンで反射させ、観察者に装着された画像観察用眼鏡に到達させることが可能となる。
【0016】
[適用例5]本適用例に係る画像表示システムは、上記適用例に係るプロジェクターと、前記光信号を受信する受信部、および前記受信部で受信した前記光信号に対応して、光が通過する開放状態と光が遮蔽される遮光状態とが切り替えられるシャッターを有する画像観察用眼鏡と、を備えることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態のプロジェクターの外観を模式的に示す斜視図。
【図2】第1実施形態のプロジェクター内部の概略構成を示す模式図。
【図3】第1実施形態の投写レンズ、レンズシフト機構、発信装置および連動機構の斜視図。
【図4】第1実施形態のレンズシフト機構の斜視図。
【図5】第1実施形態の発信装置および連動機構の一部を示す断面図。
【図6】第1実施形態の連動機構の分解斜視図。
【図7】第1実施形態のシフト側支持部近傍の連動機構を示す断面図。
【図8】第1実施形態の基準状態における投写レンズ、第1移動部、連動機構および発信装置を示す図。
【図9】第1実施形態の投写レンズ、第1移動部、連動機構および発信装置を上方から見た図。
【図10】第1実施形態の投写レンズ、第1移動部、連動機構および発信装置を+X方向から見た図。
【図11】第1実施形態の画像観察用眼鏡の外観を模式的に示す斜視図。
【図12】第1実施形態の画像表示システムおよびスクリーンの模式図。
【図13】第2実施形態のフロントケース、発信装置および連動機構を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、第1施形態に係るプロジェクターおよび画像表示システムについて、図面を参照して説明する。
本実施形態のプロジェクターは、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調してスクリーンに拡大投写する。また、本実施形態のプロジェクターは、第1画像としての右目用画像、および第2画像としての左目用画像を時分割でスクリーンに投影することができ、この右目用画像と左目用画像との切り替えに同期した光信号をスクリーンに向けて出力するように構成されている。そして、スクリーンに投写された画像を観察する観察者は、専用の画像観察用眼鏡を装着することによって、画像観察用眼鏡がスクリーンから反射された光信号によって制御され、投写された画像を立体画像として認識することができる。
画像表示システムは、このプロジェクターおよび画像観察用眼鏡を備えて構成されている。
【0020】
〔プロジェクターの主な構成〕
図1は、本実施形態のプロジェクター1の外観を模式的に示す斜視図である。図2は、プロジェクター1内部の概略構成を示す模式図である。
プロジェクター1は、図1、図2に示すように、外装を構成する外装筐体2、制御部(図示省略)、光源装置31を有する光学ユニット3、電源装置4、発信装置5、および連動機構6等を備えている。
【0021】
なお、具体的な図示は省略したが、外装筐体2内には、プロジェクター1の内部を冷却するためのファンや空気を導くダクト等が配置されている。また、以下では、説明の便宜上、光源装置31から光束が射出される方向を+X方向、プロジェクター1から投写される光が射出される方向を+Y方向(前方向)、図1における上方向を+Z方向(上方向)として記載する。
【0022】
外装筐体2は、合成樹脂製であり、図1に示すように、アッパーケース21、ロアーケース22、およびフロントケース23等を備えており、これらは、ネジ等により固定されている。
【0023】
アッパーケース21は、図1に示すように、外装筐体2の上部を構成する。アッパーケース21の上面には、後方にプロジェクター1の各種指示を行うための操作パネル20が配置され、操作パネル20の前方には、後述する投写レンズ36に備えられたズームレバー361およびフォーカスレバー362が露出する開口部が設けられている。また、アッパーケース21の上面には、ズームレバー361の後方に、後述するレンズシフト機構7の第1ダイヤル771、第2ダイヤル781が露出する開口部が設けられている。
【0024】
ロアーケース22は、外装筐体2の下部を構成する。ロアーケース22の下方には、プロジェクター1が机上等に設置される際に設置面に当接する脚部(図示省略)が突出して設けられている。
【0025】
フロントケース23は、外装筐体2の前部を構成する。フロントケース23の中央部には、図1に示すように、前方から見て円形の開口部(投写用開口部231)が形成されており、この投写用開口部231から投写される光が通過する。
フロントケース23には、投写用開口部231の+X側に、外部の空気が取り込まれる吸気口232が設けられており、吸気口232の内側には、図示しない吸気用のダクトが配置されている。また、フロントケース23には、投写用開口部231の−X側に、外装筐体2内の温まった空気が外部に排出される排気口233が設けられており、排気口233の内側には、図示しない排気用のダクトが配置されている。
【0026】
また、フロントケース23には、投写用開口部231と吸気口232との間に、平面視矩形の開口部が形成されており、この開口部は、光学フィルター24によって閉塞されている。そして、光学フィルター24の後方には、光信号を出力する発信装置5が配置されている。
【0027】
光学フィルター24は、発信装置5から出力された光信号を透過し、光信号と異なる波長領域の可視光の透過を抑制するポリカーボネート樹脂が採用されており、プロジェクター1の外部から発信装置5が見えにくいように構成されている。なお、光学フィルター24は、発信装置5から出力された光信号を透過する材料であればポリカーボネート樹脂に限らず他の材料を用いてもよい。
【0028】
制御部は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、コンピューターとして機能するものであり、プロジェクター1の動作の制御を行う。
【0029】
光学ユニット3は、制御部による制御の下、光源311から射出された光束を光学的に処理して投写する。
光学ユニット3は、図2に示すように、光源装置31、インテグレーター照明光学系32、色分離光学系33、リレー光学系34、電気光学装置35、これらの部材31〜35を光路上の所定位置に配置する光学部品用筐体37、投写レンズ36、およびレンズシフト機構7を備える。
光学ユニット3は、図2に示すように平面視略L字状に形成され、一方の端部に光源装置31が着脱可能に配置され、他方の端部に投写レンズ36が配置される。
【0030】
光源装置31は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源311、リフレクター312および光透過部材としての平行化レンズ313等を備えている。光源装置31は、光源311から射出された光束をリフレクター312にて反射した後、平行化レンズ313よって射出方向を揃え、インテグレーター照明光学系32に向けて射出する。
【0031】
インテグレーター照明光学系32は、第1レンズアレイ321、第2レンズアレイ322、偏光変換素子323、および重畳レンズ324を備える。
第1レンズアレイ321は、光源装置31から射出された光束を複数の部分光束に分割する光学素子であり、光源装置31から射出された光束の光軸Cに対して略直交する面内にマトリクス状に配列される複数の小レンズを備えている。
【0032】
第2レンズアレイ322は、第1レンズアレイ321と略同様の構成を有しており、重畳レンズ324とともに、第1レンズアレイ321から射出された部分光束を後述する液晶ライトバルブ351の表面に重畳させる。
偏光変換素子323は、第2レンズアレイ322から射出されたランダム偏光光を液晶ライトバルブ351で利用可能な略1種類の偏光光に揃える機能を有する。
【0033】
色分離光学系33は、2枚のダイクロイックミラー331,332、および反射ミラー333を備え、インテグレーター照明光学系32から射出された光束を赤色光(以下「R光」という)、緑色光(以下「G光」という)、青色光(以下「B光」という)の3色の色光に分離する機能を有する。
【0034】
リレー光学系34は、入射側レンズ341、リレーレンズ343、および反射ミラー342,344を備え、色分離光学系33で分離されたR光をR光用の液晶ライトバルブ351Rまで導く機能を有する。なお、光学ユニット3は、リレー光学系34がR光を導く構成としているが、これに限らず、例えば、B光を導く構成としてもよい。
【0035】
電気光学装置35は、光変調装置としての液晶ライトバルブ351および色合成光学装置としてクロスダイクロイックプリズム352を備え、色分離光学系33で分離された各色光を、右目用および左目用の画像情報に応じて変調し、変調した各色光を合成する。
【0036】
液晶ライトバルブ351は、3色の色光毎に備えられており(R光用の液晶ライトバルブを351R、G光用の液晶ライトバルブを351G、B光用の液晶ライトバルブを351Bとする)、それぞれ透過型の液晶パネル、およびその両面に配置された入射側偏光板、射出側偏光板を有している。
【0037】
液晶ライトバルブ351は、図示しない微小画素がマトリクス状に形成された矩形状の画素領域を有し、各画素が画像情報に応じた光透過率に設定され、画素領域内に表示画像を形成する。そして、色分離光学系33で分離された各色光は、液晶ライトバルブ351にて変調された後、クロスダイクロイックプリズム352に射出される。
【0038】
クロスダイクロイックプリズム352は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、2つの誘電体多層膜が形成されている。クロスダイクロイックプリズム352は、誘電体多層膜が液晶ライトバルブ351R,351Bにて変調された色光を反射し、液晶ライトバルブ351Gにて変調された色光を透過して、各色光を合成する。そして、クロスダイクロイックプリズム352にて合成された光は、光軸35Cを有して投写レンズ36に射出される。
【0039】
投写レンズ36は、光軸36Cに沿って配置される複数のレンズ(図示省略)、ズームレバー361、フォーカスレバー362(いずれも図1参照)およびフランジ部(図示省略)を有して構成され、レンズシフト機構7に取り付けられる。投写レンズ36は、液晶ライトバルブ351にて変調され、クロスダイクロイックプリズム352にて合成された光をスクリーン上に拡大投写する。この結果、スクリーンには、左目用画像と右目用画像とがフレーム単位で交互に投影される。
【0040】
そして、投写レンズ36は、ズームレバー361が回転されることによって、ズーム調整に寄与するレンズが移動してズームが調整され、フォーカスレバー362が回転されることによって、フォーカス調整に寄与するレンズが移動してフォーカスが調整される。
【0041】
レンズシフト機構7は、投写レンズ36を移動可能に支持し、光学部品用筐体37に取り付けられている。具体的に、レンズシフト機構7は、光軸35Cと光軸36Cとが略一致する状態を基準状態として、光軸36Cに直交する面内で互いに直交する2方向(±X方向、および±Z方向)に投写レンズ36を移動可能に構成されている。レンズシフト機構7については、後で詳細に説明する。
【0042】
電源装置4は、詳細な説明は省略するが、電源ブロックおよび光源装置31を駆動する光源駆動ブロック(いずれも図示省略)を備え、制御部や光源311等の電子部品に電力を供給する。
【0043】
発信装置5は、フロントケース23の内側に配置され、前述したように、前方には、光学フィルター24(図1参照)が配置される。発信装置5は、複数の発光部52(図3参照)を有し、制御部の指示に基づいて、右目用画像と左目用画像との切り替えに同期する光信号をスクリーンに向けて出力する。
【0044】
連動機構6は、図2に示すように、レンズシフト機構7と発信装置5とを連結し、レンズシフト機構7に連動して発信装置5を移動させるように構成されている。つまり、レンズシフト機構7が駆動されると、スクリーンに投写される画像が移動すると共に、発信装置5から出力される光信号も移動する。なお、発信装置5および連動機構6については、後で詳細に説明する。
【0045】
〔レンズシフト機構の構成〕
ここで、レンズシフト機構7について説明する。
図3は、投写レンズ36、レンズシフト機構7、発信装置5および連動機構6の斜視図であり、(a)は、前方斜めから見た図、(b)は、後方斜めから見た図である。図4は、レンズシフト機構7の斜視図である。
【0046】
レンズシフト機構7は、図4に示すように、固定板71、第1移動部72、第2移動部73、補助板74、支持板75、上カバー76、第1駆動部77、および第2駆動部78を備えている。
固定板71、第1移動部72、第2移動部73および補助板74は、図4に示すように、後方から前方に向かって順次配置され、各部材には、投写レンズ36が挿通される開口部が設けられている。
【0047】
固定板71は、光学部品用筐体37に固定され、レンズシフト機構7全体を支持する部材である。
第1移動部72は、投写レンズ36が取り付けられる部材であり、固定板71に対し、投写レンズ36と共にX方向、および上下方向(Z方向)に移動可能に構成されている。
第1移動部72は、図4に示すように、投写レンズ36が取り付けられるレンズ保持部721、およびレンズ保持部721の+X側から+X方向に突出する突出部722を有している。
【0048】
レンズ保持部721には、複数のネジ穴が設けられており、投写レンズ36は、フランジ部がこのレンズ保持部721の+Y側にネジ固定されて第1移動部72に取り付けられる。
突出部722は、+X方向に延出し、Z方向に沿って並設された2つの円柱部、および2つの円柱部の先端に架橋するように形成された平面視トラック状の接続部を有している。突出部722の接続部は、連動機構6の後述するシフト側支持部63(図3参照)が取り付けられる部位であり、+X側の面には、複数のネジ穴722aが設けられている。
【0049】
第2移動部73は、図示しない係合部を有して形成され、第1移動部72の上下方向(Z方向)への移動を案内し、第1移動部72と共にX方向に移動可能に構成されている。
補助板74は、固定板71とで第1移動部72および第2移動部73を挟装する。補助板74は、図示しない係合部を有して形成され、第2移動部73のX方向への移動を案内する。
【0050】
支持板75は、図4に示すように、固定板71および補助板74の+Y側に配置される。支持板75には、開口部751が設けられており、第1移動部72の突出部722は、この開口部751から突出している。
【0051】
上カバー76は、図4に示すように、固定板71および補助板74の上側に配置され、第1駆動部77および第2駆動部78を支持する。上カバー76には、第1ダイヤル771、第2ダイヤル781のそれぞれ一部が露出する開口部761,762が設けられている。
【0052】
第1駆動部77は、第1ダイヤル771、および図示しない複数の歯車で構成された輪列部を備えている。第1ダイヤル771は、略円柱形状を有して形成され、図4に示すように、上側が上カバー76から露出し、X方向に沿う中心軸を中心に回転可能に配置される。
【0053】
そして、第1ダイヤル771が回転されると、第1移動部72は、第1駆動部77の輪列部によって第1ダイヤル771の回転が伝達されて移動する。具体的に、+X方向から見て第1ダイヤル771が時計回り(図4における1CW方向)に回転されると、第1移動部72は、上方(+Z方向)に移動し、第1ダイヤル771が反時計回り(図4における1CCW方向)に回転されると、下方(−Z方向)に移動する。また、第1移動部72の突出部722は、開口部751内を上下に移動することとなる。そして、第1移動部72に固定されている投写レンズ36は、第1移動部72と共に移動する。
【0054】
第2駆動部78は、第2ダイヤル781、および図示しない複数の歯車で構成された輪列部を備えている。第2ダイヤル781は、第1ダイヤル771と同様に、略円柱形状を有して形成され、図4に示すように、上側が上カバー76から露出し、Y方向に沿う中心軸を中心に回転可能に配置される。
【0055】
そして、第2ダイヤル781が回転されると、第2移動部73は、第2駆動部78の輪列部によって第2ダイヤル781の回転が伝達されて移動する。具体的に、+Y方向から見て第2ダイヤル781が時計回り(図4における2CW方向)に回転されると、第2移動部73は、+X方向に移動し、第2ダイヤル781が反時計回り(図4における2CCW方向)に回転されると、−X方向に移動する。また、第1移動部72の突出部722は、開口部751内からの突出長さが変わるように移動することとなる。そして、第2移動部73に係合している第1移動部72は、第2移動部73と共に移動する。つまり、第1移動部72に固定されている投写レンズ36も第2移動部73と共に移動する。
【0056】
〔発信装置の構成〕
次に、発信装置5について詳細に説明する。
発信装置5は、図3に示すように、連動機構6に支持され、投写レンズ36の+X側に配置される。発信装置5は、回路基板51および複数の発光部52を備えている。
【0057】
回路基板51は、図3に示すように、平面視矩形状に形成されている。
図5は、発信装置5および連動機構6の一部を示す断面図である。回路基板51は、図5に示すように、中央部にネジが挿通される丸孔511が形成され、丸孔511の近傍には、複数の位置決め用孔512が設けられている。
【0058】
複数の発光部52は、前方(+Y方向)に光信号を出力するように回路基板51の前側(+Y側)の面(実装面)に実装されている。また、複数の発光部52は、丸孔511の外側に環状に配置されている。本実施形態の発光部52は、赤外光を出力するLED(Light Emitting Diode)が採用されている。なお、発光部52は、赤外光を出力するLEDに限らず、他の波長領域の光信号を出力する光学素子であってもよい。
【0059】
発信装置5は、回路基板51が図示しないケーブルを介して制御部に接続され、制御部の指示に基づいて、複数の発光部52が光信号を出力する。
発信装置5は、連動機構6の後述する発信装置保持部65(図5参照)に保持され、基準状態において、実装面が光軸36Cに対して略直交するように配置される。そして、発信装置5は、レンズシフト機構7に連動して移動する発信装置保持部65と共に移動する。
【0060】
〔連動機構の構成〕
連動機構6は、レンズシフト機構7の第1移動部72と発信装置5とを連結する。そして、連動機構6は、第1移動部72の移動に連動して発信装置5を移動、具体的には、光軸36Cに対する傾斜角を変更するように構成されている。
連動機構6は、図3に示すように、投写レンズ36およびレンズシフト機構7の+X側で、発信装置5の後方に配置される。
図6は、連動機構6の分解斜視図であり、一部の部材を省略した図である。連動機構6は、図6に示すように、連結レバー61、レバー支持部62、シフト側支持部63、発信装置案内部64(図5参照)および発信装置保持部65を備えている。
【0061】
連結レバー61は、金属の板材から加工され、図3に示すように、レンズシフト機構7の側方から発信装置5の後方まで延出している。
具体的に、連結レバー61は、図6に示すように、レンズシフト機構7(図3参照)の側方に位置する平面視矩形状のシフト側連結部611、シフト側連結部611の端部から順次形成されるアーム部612、基部613、および発信側連結部614を有している。なお、連結レバー61は、金属に限らず合成樹脂等で形成してもよい。
【0062】
シフト側連結部611には、図6に示すように、カシメ等によって、+X方向に突出する円柱状の連結ピン1Pが設けられている。
アーム部612は、シフト側連結部611に対して−X側に屈曲された屈曲部615を介してシフト側連結部611に繋がっている。アーム部612は、この屈曲部615の端部から前側上方斜めに延出した後、前方向に延出して形成されている。
【0063】
基部613は、アーム部612に対して+X側に屈曲された屈曲部616を介してアーム部612に繋がっている。基部613はこの屈曲部616の端部から下方に延出した後、前方向に延出するように平面視L字状に形成されている。なお、アーム部612の下方およびアーム部612の+X側のスペースには、図示しないダクト等の部材が配置される。
【0064】
また、基部613には、図5、図6に示すように、カシメ等によって、+X方向に突出する円柱状のガイドピン2P、および−X方向に突出する支点ピン3Pが設けられている。ガイドピン2Pと支点ピン3Pとは、中心軸を同軸として形成されており、支点ピン3Pは、図5に示すように、先端側の径が基端側の径より小さなテーパーを有して形成されている。
【0065】
発信側連結部614は、図6に示すように、基部613の端部から+X方向に屈曲されて形成されており、カシメ等によって、前方に突出する作用ピン4Pが設けられている。
作用ピン4Pは、図5、図6に示すように、径が異なる2つの円柱状の部位が繋がる形状を有し、径が大きい側の作用部4Paが前方に位置するように発信側連結部614に取り付けられている。また、作用ピン4Pの縁周部は、曲面となるようにR面取り加工されている。
【0066】
レバー支持部62は、連結レバー61の基部613を支持するように構成されている。レバー支持部62は、図5、図6に示すように、ベース部621およびベース補助部622を備えている。
ベース部621は、X−Y平面に沿って形成された台座部6211、および台座部6211から上方に延出する延出部6212を有している。
台座部6211には、丸孔が形成されており、ベース部621は、この丸穴にネジが挿通されて、ロアーケース22に固定される部材(図示省略)に取り付けられる。
【0067】
延出部6212は、図6に示すように、基部613の−X側の面を案内するガイド面62A、およびガイド面62Aの下方に位置する保持部6213を有している。
ガイド面62Aは、図5に示すように、+X側に凸となる略球面状に形成されている。そして、このガイド面62Aの中央部には、X方向に貫通し、支点ピン3Pを支持する支持孔62Hが設けられている。
保持部6213には、ネジ穴6213a、および+X方向に突出する円柱状の突起6213bが形成されている。
【0068】
ベース補助部622は、図6に示すように、延出部6212のガイド面62Aおよび保持部6213に対向する形状を有して形成されている。具体的に、ベース補助部622は、基部613の+X側の面を案内するガイド面62B(図5参照)、およびガイド面62Bの下方に位置し、保持部6213に対向する取付部6221を有している。
【0069】
ガイド面62Bは、図5に示すように、−X側に凸となる略球面状に形成されている。そして、このガイド面62Bの中央部には、X方向に貫通し、ガイドピン2Pを支持するトラック孔62Tが設けられている。トラック孔62Tは、Z方向の内径よりY方向の内径が大きくなるように形成されている。つまり、ガイドピン2Pは、Y方向において摺動可能にトラック孔62Tに支持されることとなる。
【0070】
取付部6221には、保持部6213のネジ穴6213aに対向する位置に丸孔6221aが形成され、突起6213bに対向する位置に孔6221bが形成されている。
ベース補助部622は、ベース部621にネジ固定されることによって、ベース部621とで基部613を支持する。具体的に、レバー支持部62は、支持孔62H、トラック孔62Tで支点ピン3P、ガイドピン2Pをそれぞれ支持し、ガイド面62A,62Bで基部613の両面を支持する。そして、連結レバー61は、支点ピン3Pの中心軸を中心として、Y−Z平面内において回転可能に、また、支点ピン3Pと支持孔62Hとが当接する部位を支点としてY−Z平面に対する傾斜角が変更可能にレバー支持部62に支持されることとなる。
【0071】
シフト側支持部63は、図3に示すように、レンズシフト機構7の突出部722に固定され、連結レバー61のシフト側連結部611を支持する。
シフト側支持部63は、図6に示すように、上下方向に延出する取付部631、および取付部631の+X側の面から+X方向および+Y方向に突出する突起部632を有している。取付部631の上下の端部近傍には、丸孔が設けられ、シフト側支持部63は、この丸孔にネジが挿通されて突出部722に固定される。
【0072】
図7は、シフト側支持部63近傍の連動機構6を示す断面図である。
突起部632の+Y方向に突出する部位には、図7に示すように、上下方向に貫通する案内溝63Gが形成されている。案内溝63Gの対向する内面(ガイド面63A)は、それぞれ略球面状に凸面となるように形成されている。
【0073】
そして、このガイド面63Aの中央部には、X方向に貫通し、連結ピン1Pを支持するトラック孔63Tが形成されている。トラック孔63Tは、Z方向の内径よりY方向の内径が大きく形成されている。つまり、連結ピン1Pは、Y方向において摺動可能にトラック孔63Tに支持されることとなる。
【0074】
シフト側支持部63は、図7に示すように、案内溝63Gにシフト側連結部611が挿入され、トラック孔63Tに連結ピン1Pが挿入されてシフト側連結部611を支持する。具体的に、シフト側支持部63は、トラック孔63Tで連結ピン1Pを支持し、対向する2つのガイド面63Aでシフト側連結部611の両面を支持する。
【0075】
そして、シフト側支持部63は、第1移動部72が上下方向に移動されると、連結レバー61をY−Z平面内において回転させ、第1移動部72がX方向に移動されると、Y−Z平面に対する連結レバー61の傾斜角を変更させる。
【0076】
発信装置案内部64は、図3、図5に示すように、発信装置5と連結レバー61との間に配置され、発信装置保持部65を回転可能に支持する。
発信装置案内部64は、板金で形成され、図5に示すように、X−Z平面に沿うように配置される。発信装置案内部64は、前面が凹状の略球面、後面が凸状の略球面となるガイド部64Gを有し、ガイド部64Gの中央部には、前後方向に貫通する孔641が設けられている。発信装置案内部64は、図示しない部材を介してロアーケース22に固定される。
【0077】
発信装置保持部65は、発信装置5を保持し、発信装置案内部64に回転可能に支持される。発信装置保持部65は、図5に示すように、基板保持部651および回転案内部652を備えている。
基板保持部651は、外形が球状の略半分に切断されたような形状の半球状部6511、および半球状部6511の球面側の中央部から突出し、筒状に形成された筒状部6512を有している。
【0078】
半球状部6511は、球面側がガイド部64Gの凹面を滑らかに回転可能な形状に形成され、球面側の反対側には、ネジ穴6511aおよび複数の突起部6511bが設けられている。ネジ穴6511aは、発信装置5の回路基板51の丸孔511に対応する位置に形成され、複数の突起部6511bは、回路基板51の複数の位置決め用孔512に挿通されるように形成されている。
【0079】
筒状部6512は、図5に示すように、後方に開口する円柱状の凹部6512aが設けられており、この凹部6512aには、作用ピン4Pの作用部4Paが挿入される。また、筒状部6512は、半球状部6511側の径が先端側の径より小さい段差を有して形成されている。
【0080】
回路基板51は、位置決め用孔512に突起部6511bが挿通されて位置決めされ、丸孔511にネジSCが挿通されて半球状部6511に固定される。そして、回路基板51が取り付けられた基板保持部651は、図5に示すように、半球状部6511の球面側がガイド部64Gの凹面に対向し、筒状部6512が孔641に挿通されて配置される。
【0081】
回転案内部652は、発信装置保持部65がガイド部64Gに対して回転可能となるように、半球状部6511とでガイド部64Gを挟持する。
回転案内部652は、図5に示すように、ガイド部64Gの凸面に対向する凹状の略球面(凹部652A)を有し、この凹部652Aの中央部には、挿通孔652Hが設けられている。
回転案内部652は、挿通孔652Hに挿通された筒状部6512の段差部に係止されて固定され、発信装置保持部65は、ガイド部64Gに回転可能に支持される。
【0082】
〔連動機構の動作〕
ここで、連動機構6の動作について説明する。
連動機構6は、前述したように、レンズシフト機構7の第1移動部72に連動して発信装置5の傾斜角を変える。
図8は、基準状態における投写レンズ36、第1移動部72、連動機構6および発信装置5を示す図であり、(a)は、上方から見た図、(b)は、+X方向から見た図である。
【0083】
図8に示すように、基準状態において、連結レバー61は、アーム部612がY−Z平面に沿い、L字状の基部613が上下方向(Z方向)および前後方向(Y方向)に沿うような状態となる。この基準状態において、投写レンズ36から投写される光は、光軸36Cを中心として射出される。そして、発信装置5は、回路基板51の実装面が投写レンズ36の光軸36Cに対して略直交するように配置され、発光部52から出力される光信号5Sは、光軸36Cに沿う方向に射出される。
【0084】
先ず、投写レンズ36が基準状態からX方向に移動された場合の連動機構6の動作について説明する。図9は、投写レンズ36、第1移動部72、連動機構6および発信装置5を上方から見た図であり、(a)は、投写レンズ36が基準状態から+X方向に移動された状態の図、(b)は、投写レンズ36が基準状態から−X方向に移動された状態の図である。
【0085】
前述したように、投写レンズ36は、レンズシフト機構7の第2ダイヤル781が時計回り(図4における2CW方向)に回転されると、+X方向に移動する。そして、投写レンズ36が基準状態から+X方向、つまり発信装置5に近づく方向に移動されると、図9(a)に示すように、投写レンズ36から投写される光は、光軸36Cに対して+X側に傾斜して射出される。
【0086】
投写レンズ36が基準状態から+X方向に移動されると、図9(a)に示すように、第1移動部72に固定されているシフト側支持部63も+X方向に移動する。シフト側支持部63が+X方向に移動すると、シフト側支持部63に支持されているシフト側連結部611が+X方向に移動することによって、連結レバー61は、レバー支持部62に支持されている基部613を支点とし、上方から見て時計回り(図9(a)における3CW方向)に回転する。
【0087】
連結レバー61が3CW方向に回転すると、作用ピン4Pは、図9(a)に示すように、基準状態に対して−X方向に移動することとなる。また、連結レバー61は、基部613がシフト側連結部611より発信側連結部614に近い位置に形成されているので、連結レバー61の回転による移動量は、シフト側連結部611より作用ピン4Pの方が小さくなる。
【0088】
そして、作用ピン4Pが−X方向に移動すると、作用部4Paが凹部6512a(図5参照)に挿入されている発信装置保持部65は、発信装置案内部64のガイド部64Gに案内され、上方から見て反時計回り(図9(a)における4CCW方向)、つまり、連結レバー61の回転方向と反対方向に回転する。そして、発信装置保持部65に保持されている発信装置5は、発信装置保持部65と共に4CCW方向に回転する。すなわち、発信装置5は、−X側が+X側より前方に位置するように回転し、光軸36Cに対する傾斜角が変更される。
【0089】
そして、発光部52から出力される光信号5Sは、光軸36Cに対して+X側に傾斜、つまり、投写レンズ36から射出される光の傾斜方向と同一の方向に傾斜して出力される。すなわち、発信装置5は、光信号5Sが投写レンズ36の移動方向と同一の方向に移動するように傾斜角が変更される。また、発信装置5は、投写レンズ36が移動される量が大きい程、光軸36Cに対する傾斜角が大きくなり、光信号5Sは、移動される画像に追従するように移動する。
【0090】
一方、前述したように、投写レンズ36は、レンズシフト機構7の第2ダイヤル781が反時計回り(図4における2CCW方向)に回転されると、−X方向に移動する。そして、投写レンズ36が基準状態から−X方向、つまり発信装置5から遠ざかる方向に移動されると、図9(b)に示すように、投写レンズ36から投写される光は、光軸36Cに対して−X側に傾斜して射出される。
【0091】
投写レンズ36が基準状態から−X方向に移動されると、連動機構6は、投写レンズ36が+X方向に移動された場合と反対方向に動作する。
すなわち、投写レンズ36が基準状態から−X方向に移動されると、図9(b)に示すように、連結レバー61は、基部613を支点とし、上方から見て反時計回り(3CCW方向)に回転する。そして、発信装置保持部65に保持されている発信装置5は、ガイド部64Gに案内され、上方から見て時計回り(図9(b)における4CW方向)に回転する。すなわち、発信装置5は、+X側が−X側より前方に位置するように回転し、光軸36Cに対する傾斜角が変更される。
【0092】
そして、発光部52から出力される光信号5Sは、光軸36Cに対して−X側に傾斜、つまり、投写レンズ36から射出される光の傾斜方向と同一の方向に傾斜して出力される。すなわち、光信号5Sは、投写レンズ36が基準状態より−X方向に移動された場合にも、投写レンズ36が+X方向に移動された場合と同様に、移動される画像に追従するように移動する。
【0093】
次に、投写レンズ36が基準状態から上下方向(Z方向)に移動された場合の連動機構6の動作について説明する。図10は、投写レンズ36、第1移動部72、連動機構6および発信装置5を+X方向から見た図であり、(a)は、投写レンズ36が基準状態から上方(+Z方向)に移動された状態の図、(b)は、投写レンズ36が基準状態から下方(−Z方向)に移動された状態の図である。
【0094】
前述したように、投写レンズ36は、第1ダイヤル771が時計回り(図4における1CW方向)に回転されると、上方に移動する。そして、投写レンズ36が基準状態から上方に移動されると、図10(a)に示すように、投写レンズ36から投写される光は、光軸36Cに対して上方に傾斜して射出される。
【0095】
投写レンズ36が基準状態から上方に移動されると、図10(a)に示すように、第1移動部72に固定されているシフト側支持部63も上方に移動する。シフト側支持部63が上方に移動すると、シフト側支持部63に支持されているシフト側連結部611が上方に移動することによって、連結レバー61は、基部613を支点とし、+X方向から見て反時計回り(図10(a)における5CCW方向)に回転する。
【0096】
連結レバー61が5CCW方向に回転すると、作用ピン4Pは、図10(a)に示すように、基準状態に対して下方に移動することとなる。作用ピン4Pが下方に移動すると、作用部4Paが凹部6512a(図5参照)に挿入されている発信装置保持部65は、ガイド部64Gに案内され、+X方向から見て時計回り(図10(a)における6CW方向)、つまり、連結レバー61の回転方向と反対方向に回転する。
【0097】
そして、発信装置保持部65に保持されている発信装置5は、発信装置保持部65と共に6CW方向に回転する。すなわち、発信装置5は、下側が上側より前方に位置するように回転し、光軸36Cに対する傾斜角が変更される。そして、発光部52から出力される光信号5Sは、光軸36Cに対して上側に傾斜、つまり、投写レンズ36から射出される光の傾斜方向と同一の方向に傾斜して出力される。
【0098】
一方、前述したように、投写レンズ36は、第1ダイヤル771が反時計回り(図4における1CCW方向)に回転されると、下方に移動する。そして、投写レンズ36が基準状態から下方に移動されると、図10(b)に示すように、投写レンズ36から投写される光は、光軸36Cに対して下方に傾斜して射出される。
【0099】
投写レンズ36が基準状態から下方に移動されると、連動機構6は、投写レンズ36が上方に移動された場合と反対方向に動作する。
すなわち、投写レンズ36が基準状態から下方に移動されると、図10(b)に示すように、連結レバー61は、基部613を支点とし、+X方向から見て時計回り(5CW方向)に回転する。そして、発信装置保持部65に保持されている発信装置5は、ガイド部64Gに案内され、+X方向から見て反時計回り(図10(b)における6CCW方向)に回転する。すなわち、発信装置5は、上側が下側より前方に位置するように回転し、光軸36Cに対する傾斜角が変更される。
【0100】
そして、発光部52から出力される光信号5Sは、光軸36Cに対して下側に傾斜、つまり、投写レンズ36から射出される光の傾斜方向と同一の方向に傾斜して出力される。すなわち、光信号5Sは、投写レンズ36が基準状態より上下方向に移動された場合にも、投写レンズ36がX方向に移動された場合と同様に、移動される画像に追従するように移動する。
【0101】
このように、連動機構6は、レンズシフト機構7に連動して、発信装置5から出力される光信号5Sが投写レンズ36の移動方向と同一方向に移動するように、光軸36Cに対する発信装置5の傾斜角を変える。
【0102】
〔画像表示システムの主な構成〕
画像表示システムは、前述したように、プロジェクター1および画像観察用眼鏡を備えて構成されている。
図11は、本実施形態の画像観察用眼鏡10の外観を模式的に示す斜視図である。
画像観察用眼鏡10は、図11に示すように、装着される観察者にとって右目の前方に位置する右目用のシャッター(液晶シャッター11R)、左目の前方に位置する左目用のシャッター(液晶シャッター11L)、光信号5Sを受信する受信部12、および液晶シャッター11R,11Lを駆動する駆動部(図示省略)を備えている。
【0103】
液晶シャッター11R,11Lは、それぞれ液晶パネルの表裏両側に偏光板が貼り付けられた構成を有している。液晶シャッター11Rは、駆動部の駆動により右目に入射する光を、透過させる(通過させる)開放状態と遮蔽する遮光状態とが切り替えられる。同様に、液晶シャッター11Lは、駆動部の駆動により左目に入射する光を、透過させる(通過させる)開放状態と遮蔽する遮光状態とが切り替えられる。そして、画像観察用眼鏡10は、光信号5Sに対応して駆動部が駆動することによって、左右の液晶シャッター11R,11Lが交互に開放状態と遮光状態とが切り替えられる。
【0104】
〔光信号の光路〕
ここで、発信装置5から出力された光信号5Sの光路について説明する。
発信装置5から出力された光信号5Sは、前述したように光学フィルター24(図1参照)を透過してプロジェクター1の外部に射出された後、スクリーンにて反射され、投写された画像を観察する観察者に装着された画像観察用眼鏡10に受信される。
【0105】
図12は、本実施形態の画像表示システム100およびスクリーンSCの模式図である。具体的に、図12(a)は、プロジェクター1とスクリーンSCとが正対して設置される場合の図、図12(b)は、スクリーンSCがプロジェクター1に正対する位置に対して上方に位置して設置された場合の図である。
【0106】
プロジェクター1とスクリーンSCとが正対して設置される場合、投写レンズ36を基準状態にすることで、投写される光は、光軸36Cを中心として射出され、図12(a)に示すように、このスクリーンSCに画像が投影される。
【0107】
この基準状態において、発信装置5から出力された光信号5Sは、前述したように、光軸36Cに沿う方向に射出されるので、スクリーンSCに投写された画像の領域内に到達する。なお、光信号5Sは、赤外光なので、画像の領域内に達しても画像の品質を劣化させることがない。
【0108】
スクリーンSCに到達した光信号5Sは、スクリーンSCにて拡散反射される。そして、スクリーンSCにて拡散反射された光信号5Sの一部は、スクリーンSCに投写された画像を観察する観察者に向かう。つまり、スクリーンSCにて拡散反射された光信号5Sの一部は、観察者に装着されている画像観察用眼鏡10の受信部12(図11参照)に入射する。
【0109】
左右の液晶シャッター11R,11Lは、受信部12にて受信された光信号5Sに応じて、開放状態と遮光状態とが切り替えられる。そして、画像観察用眼鏡10を装着している観察者は、スクリーンSCに投写された左目用画像を左目のみで観察し、右目用画像を右目のみで観察し、立体画像として認識する。
【0110】
次に、スクリーンSCがプロジェクター1に正対する位置に対して上方に位置して設置された場合、投写レンズ36を基準状態から上方に移動することで、投写される光が光軸36Cに対して上方に傾斜し、図12(b)に示すように、このスクリーンSCに画像が投影される。
【0111】
この投写レンズ36が基準状態から上方に移動され場合、発信装置5は、前述したように上方に傾斜し(図9(b)参照)、発信装置5から出力された光信号5Sは、スクリーンSCに投写された画像の領域内に到達する。そして、スクリーンSCに到達した光信号5Sは、拡散反射され、その一部が観察者に装着されている画像観察用眼鏡10の受信部12(図11参照)に入射する。なお、連動機構6を有しないプロジェクターであれば、発信装置5から出力された光信号5Sは、スクリーンSCから外れ、画像観察用眼鏡10の受信部12に到達しないこととなる。
【0112】
詳細な説明は省略するが、投写レンズ36が基準状態に対して、下方や±X方向に移動された際にも、スクリーンSCに画像が投影されるようにプロジェクター1が設置されていれば、発信装置5から出力された光信号5Sは、スクリーンSCに到達して反射される。
【0113】
また、投写レンズ36は、基準状態から移動された位置において、ズームが調整されると、投写される光の光軸36Cに対する傾斜角が変わるが、連動機構6は、このズーム調整範囲内において、光信号5Sが投写される画像の領域内に達するように発信装置5の傾斜角を変えるように構成されている。
【0114】
このように、プロジェクター1は、スクリーンSCに対する相対的な位置が変更された場合にも、スクリーンSCに画像が投影されるように投写レンズ36の位置が設定されていれば、光信号5SをスクリーンSCで反射させ、観察者に装着された画像観察用眼鏡10に到達させることができる。
【0115】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1および画像表示システム100によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)プロジェクター1は、右目用画像および左目用画像の切り替えに同期する光信号5Sを、スクリーンSCに向けて出力する発信装置5を備えている。これによって、光信号5SをスクリーンSCによって反射させ、スクリーンSCに投写される画像を観察する観察者に到達させることが可能となる。よって、観察者は、スクリーンSCに画像が投写されるようにプロジェクター1を設置し、画像観察用眼鏡10を装着することで、容易にスクリーンSCに投写された画像を立体画像として認識することが可能となる。
また、発光部52は、複数設けられているので、スクリーンSCに反射される光信号5Sの強度を高め、より広範囲に位置する観察者に到達させることが可能となる。よって、観察者は、スクリーンSCに投写された画像をより確実に立体画像として認識することが可能となる。
【0116】
(2)プロジェクター1は、レンズシフト機構7および連動機構6を備えているので、スクリーンSCに対する相対的な位置が変更された場合にも、画像の投影が可能になると共に、発信装置5から出力された光信号5SをこのスクリーンSCで確実に反射させることが可能となる。よって、設置の自由度が高く、立体画像の観察が可能な光の投写を行うプロジェクター1の提供が可能となる。
【0117】
(3)連動機構6は、レンズシフト機構7に連動して光軸36Cに対する発信装置5の傾斜角を変えるように構成されている。つまり、連動機構6は、レンズシフト機構7に連動して発信装置5から出力される光信号5Sの方向を変えるように構成されている。これによって、発信装置5をスライド移動させる構成に比べ、少ないスペースで光信号5Sを大きく移動することが可能となる。よって、大型化を抑制し、投写レンズ36が移動される範囲内において、光信号5Sを確実にスクリーンSCで反射させることが可能となる。
【0118】
(4)レンズシフト機構7は、上下方向(Z方向)およびX方向の2方向において投写レンズ36を移動可能に構成され、連動機構6は、この2方向において、レンズシフト機構7に連動して発信装置5を移動させることができる。これによって、さらに設置の自由度が高く、立体画像の観察が可能な光の投写を行うプロジェクター1の提供が可能となる。
【0119】
(5)画像表示システム100は、プロジェクター1および画像観察用眼鏡10を備えているので、観察者は、設置の自由度が高く、容易に立体画像の観察が可能となる。
【0120】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照して説明する。以下の説明では、第1実施形態のプロジェクター1と同様の構造および同様の部材には、同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
【0121】
本実施形態のプロジェクターは、第1実施形態の発信装置5および連動機構6と構成の異なる発信装置8および連動機構9を備えている。また、本実施形態のプロジェクターは、発信装置8を支持する支持部材123を備えている。そして、本実施形態の連動機構9は、レンズシフト機構7の第1移動部72の上下方向の移動に連動して発信装置8を移動(傾斜角を変更)させ、第1移動部72のX方向の移動に対しては、発信装置8を移動させないように構成されている。
【0122】
図13は、支持部材123、発信装置8、および連動機構9を示す斜視図であり、(a)は、前方斜めから見た図、(b)は後方斜めから見た図である。
支持部材123には、投写レンズ36から射出される光が通過する投写用開口部124が形成され、投写用開口部124の+X側には、発信装置8を回転可能に支持する発信装置支持部125が設けられている。
【0123】
発信装置支持部125は、図13に示すように、前後方向に貫通する平面視矩形状の孔が設けられ、枠状に形成されている。発信装置支持部125には、+X側および−X側の壁部に、X方向に貫通する軸受が形成されている。
【0124】
発信装置8は、図13に示すように、回路基板81、複数の発光部52および基板保持部82を備えている。
回路基板81は、図13(a)に示すように、平面視矩形状に形成されている。複数の発光部52は、第1実施形態と同様に、前方(+Y方向)に光信号5Sを出力するように回路基板81の前側(+Y側)の面に実装されている。また、複数の発光部52は、前方から見て、縦横に整列されて配置されている。
【0125】
基板保持部82は、合成樹脂で形成され、回路基板81を後方から保持するように形成されている。基板保持部82は、枠部821、一対のピンガイド部822および一対の軸部823(一方の軸部823は図示省略)を有している。
【0126】
枠部821は、回路基板81の実装面とは反対側の面を覆うように形成され、回路基板81は、この枠部821に位置決めされてネジ固定される。
一対のピンガイド部822は、枠部821の後側中央部から突出し、上下方向において所定の距離隔てて形成されている。この一対のピンガイド部822の対向する2つの面(ガイド面822A)は、平坦に形成されている。
【0127】
一対の軸部823は、枠部821の+X側および−X側からそれぞれ突出し、X方向に沿う回転軸を中心とする円柱状に形成されている。
発信装置8は、一対の軸部823が発信装置支持部125の軸受に挿入されて支持部材123に回転可能に支持される。
【0128】
連動機構9は、第1実施形態の連動機構6の発信装置案内部64および発信装置保持部65(図5参照)が削除された構成を有している。連動機構9は、第1実施形態の連動機構6と共通のレバー支持部62およびシフト側支持部63(図6参照)に加え、第1実施形態の連結レバー61と形状が異なる連結レバー91を備えている。
【0129】
連結レバー91は、図13に示すように、第1実施形態の連結レバー61に対し、発信側連結部614(図6参照)が削除されたような形状を有している。具体的に、連結レバー91は、レンズシフト機構7(図3参照)の側方に位置するシフト側連結部911、シフト側連結部911の端部から屈曲部を介して順次形成されるアーム部912、および基部913を有している。
【0130】
そして、連結レバー91には、第1実施形態の連結レバー61と同様に、シフト側連結部911に連結ピン1Pが設けられ、基部913にガイドピン2Pが設けられている。
また、基部913の前側端部近傍には、+X方向に突出する円柱状の作用ピン5Pが設けられている。作用ピン5Pは、図13(b)に示すように、軸部823の後方で、基板保持部82の一対のピンガイド部822の間に挿入される。
【0131】
ここで、図示は省略するが、連動機構9の動作について説明する。
連結レバー91は、投写レンズ36が上下方向に移動された場合、第1実施形態の連結レバー61と同様に、+X方向からみて時計回り、反時計回りに回転する。そして、作用ピン5Pは、連結レバー91の回転によって上下に移動することとなる。
【0132】
ピンガイド部822に挿入されている作用ピン5Pが上下に移動すると、基板保持部82は、軸部823を中心に回転する。そして、基板保持部82に保持されている発信装置8は、基板保持部82と共に連結レバー91の回転方向と反対方向に回転し、光軸36Cに対する傾斜角が変わる。
【0133】
一方、連結レバー91は、投写レンズ36がX方向に移動された場合、第1実施形態の連結レバー61と同様に、上方からみて時計回り、反時計回りに回転する。そして、作用ピン5Pは、連結レバー91の回転によって+X方向や−X方向に移動することとなる。作用ピン5Pは、X方向において、基板保持部82と係合されていないので、基板保持部82のガイド面822AをX方向に摺動することとなる。そして、基板保持部82に保持されている発信装置8は、移動(回転)せず、光軸36Cに対する傾斜角は変更されない。
【0134】
このように、第2実施形態の連動機構9は、上下方向およびX方向の2方向のうち、上下方向においてレンズシフト機構7に連動して発信装置8を移動(傾斜角を変更)させるように構成されている。
【0135】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクターによれば、第1実施形態の効果(1)〜(3)、(5)に加えて、以下の効果を得ることができる。
連動機構9は、上下方向およびX方向の2方向のうち、上下方向においてレンズシフト機構7に連動して発信装置5を移動させるように構成されている。これによって、簡単な構造で連動機構9を構成し、使用頻度が多いと考えられる上下方向において、光信号5Sを確実にスクリーンSCで反射させ、観察者に装着された画像観察用眼鏡10に到達させることが可能となる。
【0136】
(変形例)
なお、前記実施形態は、以下のように変更してもよい。
投写レンズ36が1方向(例えば上下方向)にのみ移動可能となるようにレンズシフト機構を構成し、この1方向においてのみレンズシフト機構に連動して発信装置5を移動させる連動機構を構成してもよい。
【0137】
前記実施形態では、連動機構6,9は、光軸36Cに対する傾斜角を変えることで発信装置5を移動させるように構成されているが、第1移動部72および発信装置5に固定される部材を設け、発信装置5が第1移動部72と共にスライド移動するように構成してもよい。
【0138】
前記実施形態のレンズシフト機構7は、手動式で構成されているが、モーター等を備えた電動式で構成してもよい。
【0139】
第2実施形態の連動機構9は、上下方向およびX方向の2方向のうち、上下方向において、レンズシフト機構7に連動して発信装置5を移動させるように構成されているが、2方向のうち、X方向において、レンズシフト機構7に連動して発信装置5を移動させるように構成してもよい。
【0140】
前記実施形態のプロジェクター1は、第1画像としての右目用画像、および第2画像としての左目用画像を時分割でスクリーンSCに投影できるように構成されているが、右目用画像、左目用画像に限らず、表示される内容等が異なる第1画像および第2画像を時分割でスクリーンSCに投影できるように構成してもよい。そして、前記実施形態の画像観察用眼鏡10は、左右の液晶シャッター11R,11Lが交互に開放状態と遮光状態とが切り替えられるように構成されているが、左右の液晶シャッター11R,11Lが揃って開放状態および遮光状態となるように構成してもよい。そして、このプロジェクター1と、光信号に対応して開放状態に切り替えられるタイミングが異なる複数の画像観察用眼鏡10とを備える画像表示システム100を構成してもよい。これによって、開放状態に切り替えられるタイミングが異なる画像観察用眼鏡10を装着する複数の観察者に、スクリーンSCに投写された画像を第1画像、第2画像としてそれぞれ観察させることが可能となる。
【0141】
前記実施形態の画像観察用眼鏡10に備えられた左右のシャッターは、液晶パネルを用いて構成されているが、この構成に限らず他の方式によるシャッターで構成してもよい。
【0142】
前記実施形態のプロジェクター1は、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブ351を用いているが、反射型液晶ライトバルブを利用したものであってもよい。
【0143】
光源311は放電型のランプに限らず、その他の方式のランプや発光ダイオード等の固体光源で構成してもよい。
【符号の説明】
【0144】
1…プロジェクター、2…外装筐体、5,8…発信装置、5S…光信号、6,9…連動機構、7…レンズシフト機構、10…画像観察用眼鏡、11L,11R…液晶シャッター、12…受信部、24…光学フィルター、31…光源装置、36…投写レンズ、36C…光軸、52…発光部、61,91…連結レバー、100…画像表示システム、311…光源、SC…スクリーン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し、第1画像および第2画像を時分割でスクリーンに投影するプロジェクターであって、
変調した光を投写する投写レンズと、
前記投写レンズの光軸に直交する方向に前記投写レンズを移動させるレンズシフト機構と、
前記第1画像と前記第2画像との切り替えに同期する光信号を、前記スクリーンに向けて出力する発信装置と、
前記レンズシフト機構に連動して前記発信装置を移動させる連動機構と、
を備えることを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記連動機構は、前記レンズシフト機構に連動して、前記発信装置から出力される前記光信号が前記投写レンズの移動方向と同一方向に移動するように、前記光軸に対する前記発信装置の傾斜角を変えることを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプロジェクターであって、
前記レンズシフト機構は、前記光軸に直交する面内で互いに直交する2方向に前記投写レンズを移動可能に構成され、
前記連動機構は、前記2方向において、前記レンズシフト機構に連動して前記発信装置を移動させることを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のプロジェクターであって、
前記レンズシフト機構は、前記光軸に直交する面内で互いに直交する2方向に前記投写レンズを移動可能に構成され、
前記連動機構は、前記2方向のうち、いずれか一方の方向において前記レンズシフト機構に連動して前記発信装置を移動させるように構成されていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のプロジェクターと、
前記光信号を受信する受信部、および前記受信部で受信した前記光信号に対応して、光が通過する開放状態と光が遮蔽される遮光状態とが切り替えられるシャッターを有する画像観察用眼鏡と、
を備えることを特徴とする画像表示システム。
【請求項1】
光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し、第1画像および第2画像を時分割でスクリーンに投影するプロジェクターであって、
変調した光を投写する投写レンズと、
前記投写レンズの光軸に直交する方向に前記投写レンズを移動させるレンズシフト機構と、
前記第1画像と前記第2画像との切り替えに同期する光信号を、前記スクリーンに向けて出力する発信装置と、
前記レンズシフト機構に連動して前記発信装置を移動させる連動機構と、
を備えることを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記連動機構は、前記レンズシフト機構に連動して、前記発信装置から出力される前記光信号が前記投写レンズの移動方向と同一方向に移動するように、前記光軸に対する前記発信装置の傾斜角を変えることを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプロジェクターであって、
前記レンズシフト機構は、前記光軸に直交する面内で互いに直交する2方向に前記投写レンズを移動可能に構成され、
前記連動機構は、前記2方向において、前記レンズシフト機構に連動して前記発信装置を移動させることを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のプロジェクターであって、
前記レンズシフト機構は、前記光軸に直交する面内で互いに直交する2方向に前記投写レンズを移動可能に構成され、
前記連動機構は、前記2方向のうち、いずれか一方の方向において前記レンズシフト機構に連動して前記発信装置を移動させるように構成されていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のプロジェクターと、
前記光信号を受信する受信部、および前記受信部で受信した前記光信号に対応して、光が通過する開放状態と光が遮蔽される遮光状態とが切り替えられるシャッターを有する画像観察用眼鏡と、
を備えることを特徴とする画像表示システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−189761(P2012−189761A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52618(P2011−52618)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]