説明

プロジェクター

【課題】3次元表示や高解像度化がさらに進んだ場合においても、高い精度を得ることができるプロジェクターを提供する。
【解決手段】同一部品33上に投射レンズ5と第1のプリズム4、2つの第2のプリズム30とを配置し、投射レンズ5と同じ軸上の第2プリズム30上に、画像表示素子31を調整して配置し、同様に投射レンズの軸から離れて位置する第2プリズム30上に、画像表示素子31を調整して配置する。したがって、高い精度のプロジェクターを生産することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像信号を持った複数色の光を合成する画像合成光学装置を備えた光学ユニットを2系統備えたプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプロジェクターは、光源から照射された光を、ダイクロイックミラーでRGBの3色に分離し、各色の分離光が各色の画像表示装置に投射し、画像信号に応じて変調し、変調した光をダイクロイックプリズムにて合成し、投射レンズよりスクリーン上へ投射される。
【0003】
近年、プロジェクターの3次元表示や高輝度化、高解像度化の要求が高まってきており、1つの装置内に調整可能な2つの画像投射装置の出力画像を偏光ビームスプリッター(PBS)等で合成して、投射レンズを介して投射することにより、ユーザーが簡単に設置できる装置を実現している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−192971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、3次元表示や高解像度化がさらに進み、より大画面で見る場合、高い精度で2つの画像を合成させなければならず、特許文献1に記載の光学調整装置では各画像投射装置の出力画像を合成するため、十分に補正出来ないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、高い精度を得ることができるプロジェクターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑み、本発明のプロジェクターは、光源から射出された光をダイクロイックミラーでRGBの3色に分離し、各色の光が各画像表示素子に投射され、画像信号に応じて変調した光を合成し投射する画像合成光学装置を2系統有し、2つの前記画像合成光学装置から射出される光を合成して、投射レンズより投射するプロジェクターであって、合成ベース上に、2つの前記画像合成光学装置から射出される光を合成する第1のプリズムと画像信号に応じて変調した各色の光を合成する2系統の第2のプリズムとを備え、各色の画像表示素子の位置を調整して固定していることを特徴とするプロジェクター。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、独立して画像表示素子を調整することができるため、プリズムの位置や性能特性に合わせて調整することができる。
【0009】
したがって、各画像投射装置の出力画像を調整したもの同士を、PBS等で合成した場合と比較して、より高い精度で調整することが可能となり、より高解像度の映像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るプロジェクターの概略構成図
【図2】本発明の第1、第2の実施の形態における光学調整構造の概略構成図
【図3】本発明の第3、第4の実施の形態における光学調整構造の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、プロジェクターの構成を示す概略図である。
【0013】
プロジェクターは、水銀ランプ等の光源10からなる2つの光学装置1と、光源10から投射された光をRGBの3色に分離する2つの光学装置1に対応した色分離光学装置2と、分離した各色の光の画像情報に応じて変調し、画像光を形成する2つの画像合成光学装置3があり、PBSプリズム4で2つの画像情報を合成し、投射レンズ5によりスクリーン上に映像を映し出す。
【0014】
光学装置1は、光源10とコリメートレンズ11と第1レンズアレイ12、第2レンズアレイ13、偏光変換素子14と重畳レンズ15とを備えて構成されており、光源10から射出した光を被照明領域で結像させるものである。光源10からでた光は、コリメートレンズにより、光を光軸と平行化し、第1レンズアレイ12に入射する。
【0015】
第1レンズアレイ12と第2レンズアレイ13は、マトリクス状に配列された小レンズによって構成されており、光源10より入射した光をスクリーン面上での明るさを均一にし、ムラを少なくする。
【0016】
第2レンズアレイ13を透過した光源10からの光は、偏光変換素子14によって、1方向の偏光方向の直線偏光に変換される。また、投射レンズ5と直交する方向よりPBSプリズム4に入射される光の光学装置1における偏光変換素子14にて変換される直線偏光は、投射レンズ5と平行する方向よりPBSプリズム4に入射される光の光学装置1における偏光変換素子14にて変換される直線偏光とは異なる種類の偏光方向を有する。
【0017】
色分離光学装置2は、第1、第2のダイクロイックミラー21、22と3つの反射ミラー23、第1と第2のリレーレンズ24、25より構成される。
【0018】
まず、第1のダイクロイックミラー21により、赤成分の光が反射され、緑、青成分の光が透過する。反射した赤成分の光は、反射ミラー23で反射され、フィールドレンズ26へ入射される。第1のダイクロイックミラー21を透過した緑と青成分の光は第2ダイクロイックミラー22により緑成分を反射し、青成分の光が透過される。反射した緑成分の光は、フィールドレンズ26へ入射される。また、第2のダイクロイックミラー22を透過した青成分の光は、第1、第2のリレーレンズ24、25や2つの反射ミラー23を介して、フィールドレンズ26へ入射される。青成分の光の光路が、他の2色の光よりも長いため光の拡散等による光の利用効率の低下を防止するために、第1、第2のリレーレンズ24、25が用いられている。この構成では、青成分の光の光路長が長い構成としているが、赤成分の光の光路長が長い構成としても良い。
【0019】
次に画像合成光学装置3は、入射した各色の光をそれぞれの画像情報に応じて変調し、画像を形成し、画像を合成するものである。これは、3つの液晶パネル31と各液晶パネル31の入射側に配置される、3つの入射偏光板27と、各液晶パネル31の出射側に配置される3つの出射偏光板32と、3つの出射偏光板32を透過した画像光を合成するクロスダイクロイックプリズム30とを備えて構成している。
【0020】
3つの入射偏光板27は、色分離光学装置2で分離された各色の光において偏光変換素子14によって揃えられた偏光方向と同一の偏光方向のみを透過させ、その他の光は吸収し、熱に変える。
【0021】
入射偏光板27を通ったそれぞれの光は、各色に対応した液晶パネル31に入射され、入力される画像情報に応じて液晶の配光状態が制御されることで光の偏光方向を変調する。
【0022】
液晶パネル31を透過した各色の光はそれぞれ、出射偏光板32により一方方向の偏光方向のみを透過し、その他の光を吸収し、熱に変える。
【0023】
ダイクロイックプリズム30は、各出射偏光板32より出射された各色の光を合成して画像を形成する。このクロスダイクロイックプリズム30は、4つの直角プリズムを貼り合わせて形成されており、直角プリズム同士を張り合わせた境界面は、誘電体多層膜が形成されている。境界面において、緑成分の光に対応した液晶パネル31と出射偏光板32を透過した光に対しては透過し、青成分及び赤成分の光に対応した液晶パネル31と出射偏光板32を透過した光に対しては反射する。これにより、合成した光が出射される。
【0024】
2つのダイクロイックプリズム30より出射された光は、PBSプリズム4と投射レンズ5を介してスクリーン上へ投射される。
【0025】
PBSプリズム4は2つの直角プリズムを貼り合わせて構成され、各直角プリズムを貼り合せた境界面に形成された誘電体偏光膜にて、一方の偏光方向を透過、もう一方を反射させて2つより出射された光を合成する。本形態においては、投射レンズ5と平行にダイクロイックプリズム30を配置した光学ユニット0Aから出射される光を透過し、投射レンズ5と直交してダイクロイックプリズム30を配置した光学ユニット0Bから出射される光を反射する。PBSプリズム4を透過した光は、投射レンズ5によりスクリーン上に拡大投射する。
【0026】
次にプロジェクターの光学調整方法について説明する。図2は、実施の形態1における光学調整構造の概略構成を示す図である。本説明では、合成ベース33に配置される画像合成光学装置3、PBSプリズム4、投射レンズ5における位置、姿勢の調整方法を説明する。投射レンズ5に対して平行して配置される色分離光学装置2の各部品を平行側とし、投射レンズ5に対して直交して配置される色分離光学装置2の各部品を直交側とする。また、合成ベース33はアルミダイキャスト等の剛性のある材料を使用する。
【0027】
投射レンズ5は、合成ベース33にネジ等により固定する。次にこの投射レンズ5に対して合成ベース33上にて、PBSプリズム4を回転させて位置及び姿勢を調整する。PBSプリズムの固定方法は、UV接着等により合成ベース33上に固着される。このPBSプリズム4に合わせて平行側及び直交側ダイクロイックプリズム30を配置する。ダイクロイックプリズム30は、合成ベース33上にUV接着等により固定される。この平行側及び直交側のダイクロイックプリズム30についても、投射レンズ5に対して回転させて位置及び姿勢を調整する。また、平行側及び直交側ダイクロイックプリズム30は各色の液晶パネル31を取り付けることが出来るように、各面に対して2つ以上のピンのあるダイクロイックプリズムホルダー34と固定されている。このダイクロイックプリズムホルダー34は、PBT等の抜き勾配が少なく精度良い樹脂の材料で出来ており、分割していても良い。また、ダイクロイックプリズム30とダイクロイックプリズムホルダー34とは、UV接着等により固着して固定され、各出射偏光板32についても、ダイクロイックプリズムホルダー34側に両面テープ等により固定されている。
【0028】
次に各色の液晶パネル31の調整について説明する。液晶パネルの調整は、各色の液晶パネル31の位置、姿勢を調整するために、各色の液晶パネル31の画素情報によりXYZ軸とそのXYZ軸を中心とする角回転角のΦ、θ、Ψの6軸調整を行う。投射レンズ5に対するフォーカス特性にて、Z、Φ、θ軸を調整し、コンバーゼンス特性にてX、Y、θ軸を調整する。
【0029】
まず、平行側のダイクロイックプリズム30上にて、緑の液晶パネル31について、投射レンズ5上に投射される映像を見ながら、フォーカス特性について調整を行う。それに合わせて、平行側のダイクロイックプリズム30上にて、赤及び青の液晶パネル31についてフォーカス特性及びコンバーゼンス特性の調整を行う。
【0030】
次に直交側のダイクロイックプリズム30上にて、先ほど調整した平行側の液晶パネル31の画像上に合わせて、緑の液晶パネル31についてフォーカス特性及びコンバーゼンス特性の調整を行い、同様に直交側のダイクロイックプリズム30にて赤及び青の液晶パネル31についてフォーカス及びコンバーゼンス特性の調整を行う。
【0031】
以上により、1つの部品である合成ベース33上に2つの画像合成光学装置3、PBSプリズム4と投射レンズ5が配置されることにより各部品の誤差を液晶パネル31のアライメント調整にて補正することができ、高い精度の映像が提供できる。
【0032】
(実施の形態2)
以下に、第2の実施の形態における光学調整方法について説明する。第1の実施の形態にて説明したプロジェクターの構成については同じであるため、詳細は省略する。
【0033】
図2は、実施の形態2における光学調整構造の概略構成を示す図である。本説明では、合成ベース33に配置される画像合成光学装置3、PBSプリズム4、投射レンズ5における位置、姿勢の調整方法を説明する。投射レンズ5に対して平行して配置される色分離光学装置2の各部品を平行側とし、投射レンズ5に対して直交して配置される色分離光学装置2の各部品を直交側とする。また、合成ベース33はアルミダイキャスト等の剛性のある材料を使用する。
【0034】
投射レンズ5は、合成ベース33にネジ等により固定する。次にこの投射レンズ5に対して合成ベース33上にて、PBSプリズム4を回転させて位置及び姿勢を調整する。PBSプリズムの固定方法は、UV接着等により合成ベース33上に固着される。このPBSプリズム4に合わせて平行側及び直交側ダイクロイックプリズム30を配置する。ダイクロイックプリズム30は、合成ベース33上にUV接着等により固定される。この平行側及び直交側のダイクロイックプリズム30についても、投射レンズ5に対して回転させて位置及び姿勢を調整する。また、平行側及び直交側ダイクロイックプリズム30は各色の液晶パネル31を取り付けることが出来るように、各面に対して2つ以上のピンのあるダイクロイックプリズムホルダー34と固定されている。このダイクロイックプリズムホルダー34は、PBT等の抜き勾配が少なく精度良い樹脂の材料で出来ており、分割していても良い。また、ダイクロイックプリズム30とダイクロイックプリズムホルダー34とは、UV接着等により固着して固定され、各出射偏光板32についても、ダイクロイックプリズムホルダー34側に両面テープ等により固定されている。
【0035】
次に各色の液晶パネル31の調整について説明する。液晶パネルの調整は、各色の液晶パネル31の位置、姿勢を調整するために、各色の液晶パネル31の画素情報によりXYZ軸とそのXYZ軸を中心とする角回転角のΦ、θ、Ψの6軸調整を行う。投射レンズ5に対するフォーカス特性にて、Z、Φ、θ軸を調整し、コンバーゼンス特性にてX、Y、θ軸を調整する。
【0036】
まず、平行側のダイクロイックプリズム30上にて、緑の液晶パネル31について、投射レンズ5上に投射される映像を見ながら、フォーカス特性について調整を行う。それに合わせて、直交側のダイクロイックプリズム30上にて、先ほど調整した平行側の緑の液晶パネル31の画像上に合わせて、直交側の緑の液晶パネル31についてフォーカス特性及びコンバーゼンス特性の調整を行う。
【0037】
次に平行側のダイクロイックプリズム30上にて、赤及び青の液晶パネル31についてフォーカス特性及びコンバーゼンス特性の調整を行う。同様に直交側のダイクロイックプリズム30にて赤及び青の液晶パネル31についてフォーカス及びコンバーゼンス特性の調整を行う。
【0038】
そうすることで、1つの部品である合成ベース33上に2つの画像合成光学装置3、PBSプリズム4と投射レンズ5が配置されることにより各部品の誤差を液晶パネル31のアライメント調整にて補正することができ、高い精度の映像が提供できる。
【0039】
(実施の形態3)
以下に、第3の実施の形態における光学調整方法について説明する。第1の実施の形態にて説明したプロジェクターの構成については同じであるため、詳細は省略する。
【0040】
図3は、実施の形態3における光学調整構造の概略構成を示す図である。本説明では、合成ベース33に配置される画像合成光学装置3、PBSプリズム4、投射レンズ5における位置、姿勢の調整方法を説明する。画像合成光学装置3は、合成ベース33とは別部品のダイクロイックプリズムベース35に固定される。投射レンズ5に対して平行して配置される色分離光学装置2の各部品を平行側とし、投射レンズ5に対して直交して配置される色分離光学装置2の各部品を直交側とする。また、合成ベース33はアルミダイキャスト等の剛性のある材料を使用する。
【0041】
投射レンズ5は、合成ベース33にネジ等により固定する。次にダイクロイックプリズム30を固定するため、合成ベース33上にダイクロイックプリズムベース35をネジ等により固定する。次に投射レンズ5に対して合成ベース33上にて、PBSプリズム4を回転させて位置及び姿勢を調整する。PBSプリズムの固定方法は、UV接着等により合成ベース33上に固着される。このPBSプリズム4に合わせて平行側及び直交側ダイクロイックプリズム30を配置する。ダイクロイックプリズム30は、ダイクロイックプリズムベース35上にUV接着等により固定される。この平行側及び直交側のダイクロイックプリズム30についても、投射レンズ5に対して回転させて位置及び姿勢を調整する。また、平行側及び直交側ダイクロイックプリズム30は各色の液晶パネル31を取り付けることが出来るように、各面に対して2つ以上のピンのあるダイクロイックプリズムホルダー34と固定されている。このダイクロイックプリズムホルダー34は、PBT等の抜き勾配が少なく精度良い樹脂の材料で出来ており、分割していても良い。また、ダイクロイックプリズム30とダイクロイックプリズムホルダー34とは、UV接着等により固着して固定され、各出射偏光板32についても、ダイクロイックプリズムホルダー34側に両面テープ等により固定されている。
【0042】
次に各色の液晶パネル31の調整について説明する。液晶パネルの調整は、各色の液晶パネル31の位置、姿勢を調整するために、各色の液晶パネル31の画素情報によりXYZ軸とそのXYZ軸を中心とする角回転角のΦ、θ、Ψの6軸調整を行う。投射レンズ5に対するフォーカス特性にて、Z、Φ、θ軸を調整し、コンバーゼンス特性にてX、Y、θ軸を調整する。
【0043】
まず、平行側のダイクロイックプリズム30上にて、緑の液晶パネル31について、投射レンズ5上に投射される映像を見ながら、フォーカス特性について調整を行う。それに合わせて、平行側のダイクロイックプリズム30上にて、赤及び青の液晶パネル31についてフォーカス特性及びコンバーゼンス特性の調整を行う。
【0044】
次に直交側のダイクロイックプリズム30上にて、先ほど調整した平行側の液晶パネル31の画像上に合わせて、緑の液晶パネル31についてフォーカス特性及びコンバーゼンス特性の調整を行い、同様に直交側のダイクロイックプリズム30にて赤及び青の液晶パネル31についてフォーカス及びコンバーゼンス特性の調整を行う。
【0045】
そうすることで、1つの部品である合成ベース33上に2つの画像合成光学装置3、PBSプリズム4と投射レンズ5が配置されることにより各部品の誤差を液晶パネル31のアライメント調整にて補正することができ、高い精度の映像が提供できる。
【0046】
また、2つの画像合成光学装置3が合成ベース33とは別のダイクロイックプリズムベース35上に固定しているため、各色の液晶パネル31が故障しても、全体ではなく、ダイクロイックプリズムベース35上の1つの画像合成光学装置3のみを交換することができ、メンテナンス性が向上する。
【0047】
(実施の形態4)
以下に、第4の実施の形態における光学調整方法について説明する。第1の実施の形態にて説明したプロジェクターの構成については同じであるため、詳細は省略する。
【0048】
図3は、実施の形態4における光学調整構造の概略構成を示す図である。本説明では、合成ベース33に配置される画像合成光学装置3、PBSプリズム4、投射レンズ5における位置、姿勢の調整方法を説明する。画像合成光学装置3は、合成ベース33とは別部品のダイクロイックプリズムベース35に固定される。投射レンズ5に対して平行して配置される色分離光学装置2の各部品を平行側とし、投射レンズ5に対して直交して配置される色分離光学装置2の各部品を直交側とする。また、合成ベース33はアルミダイキャスト等の剛性のある材料を使用する。
【0049】
投射レンズ5は、合成ベース33にネジ等により固定する。次にダイクロイックプリズム30を固定するため、合成ベース33上にダイクロイックプリズムベース35をネジ等により固定する。次に投射レンズ5に対して合成ベース33上にて、PBSプリズム4を回転させて位置及び姿勢を調整する。PBSプリズムの固定方法は、UV接着等により合成ベース33上に固着される。このPBSプリズム4に合わせて平行側及び直交側ダイクロイックプリズム30を配置する。ダイクロイックプリズム30は、ダイクロイックプリズムベース35上にUV接着等により固定される。この平行側及び直交側のダイクロイックプリズム30についても、投射レンズ5に対して回転させて位置及び姿勢を調整する。また、平行側及び直交側ダイクロイックプリズム30は各色の液晶パネル31を取り付けることが出来るように、各面に対して2つ以上のピンのあるダイクロイックプリズムホルダー34と固定されている。このダイクロイックプリズムホルダー34は、PBT等の抜き勾配が少なく精度良い樹脂の材料で出来ており、分割していても良い。また、ダイクロイックプリズム30とダイクロイックプリズムホルダー34とは、UV接着等により固着して固定され、各出射偏光板32についても、ダイクロイックプリズムホルダー34側に両面テープ等により固定されている。
【0050】
次に各色の液晶パネル31の調整について説明する。液晶パネルの調整は、各色の液晶パネル31の位置、姿勢を調整するために、各色の液晶パネル31の画素情報によりXYZ軸とそのXYZ軸を中心とする角回転角のΦ、θ、Ψの6軸調整を行う。投射レンズ5に対するフォーカス特性にて、Z、Φ、θ軸を調整し、コンバーゼンス特性にてX、Y、θ軸を調整する。
【0051】
まず、平行側のダイクロイックプリズム30上にて、緑の液晶パネル31について、投射レンズ5上に投射される映像を見ながら、フォーカス特性について調整を行う。それに合わせて、直交側のダイクロイックプリズム30上にて、先ほど調整した平行側の緑の液晶パネル31の画像上に合わせて、直交側の緑の液晶パネル31についてフォーカス特性及びコンバーゼンス特性の調整を行う。
【0052】
次に平行側のダイクロイックプリズム30上にて、赤及び青の液晶パネル31についてフォーカス特性及びコンバーゼンス特性の調整を行う。同様に直交側のダイクロイックプリズム30にて赤及び青の液晶パネル31についてフォーカス及びコンバーゼンス特性の調整を行う。
【0053】
そうすることで、1つの部品である合成ベース33上に2つの画像合成光学装置3、PBSプリズム4と投射レンズ5が配置されることにより各部品の誤差を液晶パネル31のアライメント調整にて補正することができ、高い精度の映像が提供できる。
【0054】
また、2つの画像合成光学装置3が合成ベース33とは別のダイクロイックプリズムベース35上に固定しているため、各色の液晶パネル31が故障しても、全体ではなく、ダイクロイックプリズムベース35上の1つの画像合成光学装置3のみを交換することができ、メンテナンス性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明にかかる画像表示素子の調整方法は、プロジェクターにおいて2系統の画像を合成する方法に利用できる。
【符号の説明】
【0056】
1 光学装置
2 色分離光学装置
3 画像合成光学装置
4 PBSプリズム
5 投射レンズ
10 光源(ランプ)
11 コリメートレンズ
12 第1レンズアレイ
13 第2レンズアレイ
14 偏光変換素子
15 重畳レンズ
21 第1ダイクロイックミラー
22 第2ダイクロイックミラー
23 反射ミラー
24 第1リレーレンズ
25 第2リレーレンズ
26 フィールドレンズ
27 入射偏光板
30 ダイクロイックプリズム
31 液晶パネル(画像表示素子)
32 出射偏光板
33 合成ベース
34 ダイクロイックプリズムホルダー
35 ダイクロイックプリズムベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から射出された光をダイクロイックミラーでRGB3色の光に分離し前記RGB各色の光をそれぞれ画像表示素子に照射し画像信号が入力される前記画像表示素子によって変調した前記RGB各色の光を合成する画像合成光学装置を2系統有し、前記2系統の画像合成光学装置から射出される光を合成して投射レンズより投射するプロジェクターであって、
合成ベース上に、前記2系統の画像合成光学装置から射出される光を合成する第1のプリズムと前記2系統の画像合成装置それぞれにおいて前記RGB各色の光を合成する第2のプリズムとを備え、前記画像表示素子の位置を調整して固定することを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、投射レンズと直交に配置されている第2のプリズムに対して、RGBそれぞれの画像表示装置の位置を調整して固定したのちに、前記投射レンズと平行に配置されている第2のプリズムに対して、RGB各色の画像表示素子の位置を調整して固定していることを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、投射レンズと直交に配置されている第2のプリズムに対して、1色の画像表示素子の位置を調整して固定したのち、前記投射レンズと平行に配置されている第2のプリズムに対して、同じ色の画像表示装置の位置を調整して固定したのち、前記投射レンズと直交に配置されている第2のプリズムの残りの2色の画像表示素子の位置を調整して固定し、前記投射レンズと平行に配置されている第2のプリズムの残りの2色の画像表示素子の位置を調整して固定していることを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、2つの第2のプリズムが、それぞれプリズムベース上に固定され、2つの前記第2のプリズムを固定した前記プリズムベースが合成ベース上に固定され、2つの前記第2のプリズムを固定した2つの前記プリズムベースの着脱を容易にしたことを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
請求項4に記載のプロジェクターにおいて、投射レンズと直交に配置されている第2のプリズムに対して、RGBそれぞれの画像表示装置の位置を調整して固定したのちに、前記投射レンズと平行に配置されている第2のプリズムに対して、RGB各色の画像表示素子の位置を調整して固定していることを特徴とするプロジェクター。
【請求項6】
請求項4に記載のプロジェクターにおいて、投射レンズと直交に配置されている第2のプリズムに対して、1色の画像表示素子の位置を調整して固定したのち、前記投射レンズと平行に配置されている前記第2のプリズムに対して、同じ色の画像表示装置の位置を調整して固定したのち、前記第2のプリズムの残りの2色の画像表示素子の位置を調整して固定し、前記第2のプリズムの残りの2色の画像表示素子の位置を調整して固定していることを特徴とするプロジェクター。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−118173(P2012−118173A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266146(P2010−266146)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】