説明

プロジェクタ及び投写装置

【課題】投写される画像の高輝度化を図るとともに、簡易な構成により投写される画像のサイズや位置を変更することが可能なプロジェクタ及び投写装置を提供すること。
【解決手段】光源装置11と該光源装置11から射出された光を画像情報に応じて変調する空間光変調素子30R,30G,30Bとを有する複数の投写前光学系2,3と、複数の投写前光学系2,3の各空間光変調素子30R,30G,30Bにより変調された画像を投写する投写光学手段40とを備え、該投写光学手段40が、複数の投写前光学系2,3のそれぞれに対応して設けられ、複数の投写前光学系2,3の空間光変調素子30R,30G,30Bの像を所定の結像位置または所定の結像位置の近傍で重畳するように投写する複数の第1投写手段41と、該複数の第1投写手段41の結像位置または結像位置の近傍で重畳された像を被投写面50に投写する第2投写手段42とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタ及び投写装置に関するものであり、特に、空間光変調素子により変調された画像を投写して表示するプロジェクタ及び投写装置である。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクタを複数台用いて、同一表示画像を重ねてスクリーンに投写することで、画像の高輝度化や輝度ムラの補正をしたり、色彩表現を豊か(色再現領域の拡大)にして階調数や解像度を増やす方法が提案されている(例えば、特許文献1〜特許文献4参照。)。
【0003】
まず、特許文献1に記載の投射型液晶プロジェクタは、複数のプロジェクタを用いている。そして、各プロジェクタに設けられた液晶パネル及び投射レンズの傾き角度を調整する。これにより、複数のプロジェクタから投射された表示画像を正確に重ねて、画像の高輝度化を実現している。
次に、特許文献2に記載のプロジェクタシステムは、主画像を投射する第1プロジェクタと、副画像を投射する第2プロジェクタとを備えている。この第2プロジェクタからは、主画像に生じる第1の輝度ムラを相殺させる第2の輝度ムラが形成された副画像が投射される。これにより、第1プロジェクタからの主画像と、第2プロジェクタからの副画像とが合成されスクリーンに投射された結果、主画像の輝度ムラが副画像の輝度ムラによって相殺され高輝度な画像が投射される。
【0004】
そして、特許文献3に記載のビデオプロジェクタシステムは、第1の映像を生成する輝度変調手段を備えた第1のビデオプロジェクタと、第2の映像を生成する輝度変調手段を備えた第2のビデオプロジェクタとを備えている。この構成により、第1の映像と第2の映像とを重ね合わせると輝度の階調数が増えるため、輝度及び輝度階調を向上させることが可能となる。
また、特許文献4に記載の投射型表示装置は、投射レンズ及びライトバルブを備えた投射光学系を複数備え、それぞれの投射レンズの光軸を互いに平行になるように配置し、それぞれのライトバルブを該光軸に対して互いに逆方向に偏心させている。これにより、スクリーン上で均一な照度分布が得られるので、高品質、高輝度な画像を投射表示することができる。
【特許文献1】特開平5−107639号公報
【特許文献2】特開2005−167680号公報
【特許文献3】特開2004−23460号公報
【特許文献4】特開平5−333309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1〜特許文献4のいずれの技術もプロジェクタを複数備えてスクリーンに画像を投写するため、複数台のプロジェクタをスクリーン位置で同じ位置に同じ大きさで投写する必要が生じる。したがって、スクリーンに合わせて投写される画像の大きさを変えたり、投写する位置を変えたりする場合は、全てのプロジェクタのピントや表示の大きさや投写向きまでスクリーンに合わせる必要がある。そのため、投写される画像の調整に多くの手間や時間がかかってしまう。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、投写される画像の高輝度化を図るとともに、簡易な構成により投写される画像のサイズや位置を変更することが可能なプロジェクタ及び投写装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明のプロジェクタは、光を射出する光源装置と該光源装置から射出された光を画像情報に応じて変調する空間光変調素子とを有する複数の投写前光学系と、該複数の投写前光学系の各前記空間光変調素子により変調された画像を投写する投写光学手段とを備え、該投写光学手段が、前記複数の投写前光学系のそれぞれに対応して設けられ、前記複数の投写前光学系の空間光変調素子の像を所定の結像位置または所定の結像位置の近傍で重畳するように投写する複数の第1投写手段と、該複数の第1投写手段の結像位置または結像位置の近傍で重畳された像を被投写面に投写する第2投写手段とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明に係るプロジェクタでは、各投写前光学系の光源装置より射出された光は、各空間光変調素子に入射する。そして、各空間光変調素子により変調された像は、各第1投写手段により重畳される。重畳された像は、第2投写手段により被投写面に投写される。
このように、第1投写手段により各投写前光学系の空間光変調素子の像を重畳し画像を形成した後、この画像が第2投写手段により被投写面に投写される。したがって、本発明のプロジェクタは、複数の投写前光学系を備えているため、被投写面に投写される画像の高輝度化を図ることができる。そして同時に、複数の空間光変調素子の像を重畳したあとに被投写面に投写する構成であるので、複数の投写前光学系であっても一度に投写位置や投写向きを変えられる。さらに、そのときに複数の投写前光学系の空間光変調素子の像が全て揃った状態になるので、簡易に被投写面に像を調整することができる。
【0009】
また、本発明のプロジェクタは、前記第2投写手段が、前記被投写面に投写される像の大きさを調整するズーム機能と、焦点位置を調整するフォーカス機能とを有することが好ましい。
【0010】
本発明に係るプロジェクタでは、第2投写手段が、ズーム機能とフォーカス機能とを有するため、被投写面に投写される画像のサイズや焦点位置を容易に変更することができる。したがって、本発明のプロジェクタは、第2投写手段を調整するだけで、複数の第1投写手段により重畳された像を所望の状態で被投写面に投写させることが可能となる。
【0011】
また、本発明のプロジェクタは、前記第2投写手段を当該第2投写手段の光軸に対して平行に移動させる移動機構が設けられていることが好ましい。
本発明に係るプロジェクタでは、第2投写手段には移動機構が設けられているため、被投写面に投写された像の大きさの調整や焦点の調整が容易になる。
【0012】
また、本発明のプロジェクタは、前記複数の第1投写手段から投写された像は対称光学系で重畳されることが好ましい。
本発明に係るプロジェクタでは、複数の第1投写手段により投写される像を対称光学系で重畳させることにより、被投写面に投写される像の光量のバランスをより均一にすることが可能となる。
【0013】
また、本発明のプロジェクタは、前記空間光変調素子が液晶ライトバルブであり、前記複数の第1投写手段の結像位置、あるいは該結像位置の近傍に格子状の遮光部を有する遮光部像付与部材を備えることが好ましい。
【0014】
本発明に係るプロジェクタでは、光源装置より射出された光は、複数の投写前光学系の各液晶ライトバルブに入射する。そして、各液晶ライトバルブにより変調された像は、各第1投写手段により遮光部像付与部材、あるいは、遮光部像付与部材の近傍に結像される。結像された光は、第2投写手段により被投写面に投写される。これにより、液晶ライトバルブの像の解像度が多少劣化したり、液晶ライトバルブの像がずれたりしても、格子状の遮光部により液晶ライトバルブのドットマトリクス感を再現できる。したがって、第2投写手段は第1投写手段の投写した液晶ライトバルブの結像位置または結像位置の近傍の像を投写することで、ぼやけのような画像劣化の少ない像を投写することができる。これにより、第2投写手段と第1投写手段との位置のアライメント精度が、ある程度許容できるので、組み立てが容易になる効果が得られる。
【0015】
また、本発明のプロジェクタは、前記複数の第1投写手段により重畳された光を前記遮光部像付与部材の開口部に対応して集光させる光学素子を備えることが好ましい。
【0016】
本発明に係るプロジェクタでは、液晶ライトバルブにより変調され、第1投写手段により遮光部像付与部材に投写される光は、光学素子により集光される。このとき、光学素子が入射された光を遮光部像付与部材の開口部に対応して集光させるため、遮光部像付与部材の遮光部に光が照射されることを低減できる。したがって、第1投写手段により投写された光の光量を無駄にすることなく、遮光部像付与部材を通過させることができる。すなわち、遮光部像付与部材に入射した光の利用効率がより高くなるので、被投写面には明るい画像が投写される。
【0017】
また、本発明のプロジェクタは、前記複数の第1投写手段の結像位置、あるいは該結像位置の近傍に、他の空間光変調素子を備えることが好ましい。
本発明に係るプロジェクタでは、複数の投写前光学系の各空間光変調素子において変調された像を他の空間光変調素子によりさらに変調することで、表現できる階調数を増やすことができ、表現力に富んだ画像を投写することが可能となる。
【0018】
本発明の投写装置は、複数の物体面の像のそれぞれに対応して設けられ、前記複数の物体面の像を重畳するように投写する複数の第1投写手段と、前記複数の第1投写手段により重畳された像の結像位置または結像位置の近傍の像を被投写面に投写する第2投写手段とを備えることを特徴とする。
本発明に係る投写装置では、複数の物体面の像は、対応する第1投写手段により重畳された後、第2投写手段により被投写面に投写される。したがって、第2投写手段を調整するだけで、複数の物体面の像を所望の状態で被投写面に投写することができる。
また、複数の物体面の像に対して複数の投写装置を配置した従来の構成とは違い、複数の物体面の像を重畳したあとに被投写面に投写する構成であるので、複数の物体面の像に対して一つの投写装置として扱うことができる。したがって、投写装置を一つの構成として取り外し可能として、被投写面までの距離や投写する像の大きさや使用する環境に応じて投写装置を適宜選択することができるようになり、利便性に優れた構成となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明に係るプロジェクタ及び投写装置の実施形態について説明する。なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0020】
[第1実施形態]
本実施の形態のプロジェクタは、R(赤),G(緑),B(青)の異なる色光ごとに透過型液晶ライトバルブを備えた3板式の投写型カラー液晶プロジェクタであり、画像をスクリーンに投写させるものである。
図1は、本実施形態に係るプロジェクタの概略構成を示す平面図であり、図2は、プロジェクタに用いられる液晶表示素子の遮光部の一部を示す図であり、図3は、液晶ライトバルブから遮光部像付与部材までの光の光路を示す図であり、図4は、プロジェクタに用いられる遮光部像付与部材を示す斜視図であり、図5は、図4の遮光部像付与部材の遮光部を示す断面図である。
【0021】
また、本実施形態のプロジェクタ1は、筐体(図示略)内に第1,第2投写前光学系2,3と、第1,第2投写前光学系(投写前光学系)2,3により形成された画像を投写する投写光学系(投写光学手段,投写装置)40とを備えている。なお、ここで言う投写前光学系とは投写光学系40の前段までの光学系を指している。
また、第1,第2投写前光学系2,3は投写光学系40を挟んで左右対称の光学系で構成及び機能が同じであるため、第1投写前光学系2について説明する。
【0022】
[第1投写前光学系の全体構成]
第1投写前光学系2は、光源部10と、図1に示すように、色分離部(色分離手段)20と、液晶ライトバルブ30と、ダイクロイックプリズム(色合成手段)35とを備えている。
【0023】
[光源部]
光源部10は、光を射出する高圧水銀ランプ(光源装置)11と、高圧水銀ランプ11から射出された光の照度分布を均一化する第1,第2フライアレイレンズ12a,12bと、均一化された不定偏光状態の光を特定の偏光方向の光に変換する偏光変換素子13とを備えている。また、高圧水銀ランプ11は、赤色光(以下、「R光」という。)と緑色光(以下、「G光」という。)と青色光(以下、「B光」という。)とを含む白色光を射出するものである。
【0024】
[色分離部]
色分離部20は、高圧水銀ランプ11から射出された光のうち、R光を反射させ、G光及びB光を透過させるR光反射ダイクロイックミラー21と、G光を反射させ、B光を透過させるG光反射ダイクロイックミラー22とを備えている。
高圧水銀ランプ11から射出された光のうちR光は、R光反射ダイクロイックミラー21において光路が90度折り曲げられ、反射ミラー25に入射する。そして、R光は、反射ミラー25により光路が90度折り曲げられ、R光用液晶ライトバルブ(空間光変調素子)30Rに入射される。
【0025】
高圧水銀ランプ11から射出された光のうちG光は、R光反射ダイクロイックミラー21を透過し、G光反射ダイクロイックミラー22においてG光の光路が90度曲げられる。そして、G光はG光用液晶ライトバルブ(空間光変調素子)30Gに入射される。
高圧水銀ランプ11から射出された光のうちB光は、R光反射ダイクロイックミラー21及びG光反射ダイクロイックミラー22を透過し、リレーレンズ26を経由して反射ミラー27に入射する。反射ミラー27に入射したB光は、光路が90度曲げられ、リレーレンズ28を経由して反射ミラー29に入射する。反射ミラー29に入射した光は、光路が90度曲げられ、B光用液晶ライトバルブ(空間光変調素子)30Bに入射される。
【0026】
[液晶ライトバルブ及びダイクロイックプリズム]
液晶ライトバルブ30R,30G,30Bそれぞれは、入射したR光,G光,B光を画像信号に応じて変調するものであり、入射側偏光板31R,31G,31Bと、液晶パネル32R,32G,32Bと、射出側偏光板33R,33G,33Bとを備えている。
また、ダイクロイックプリズム(色合成手段)35は、2つのダイクロイック膜35a,35bがX字型に直交して配置された構成となっている。ダイクロイック膜35aは、B光を反射させ、R光,G光を透過させる。また、ダイクロイック膜35bは、R光を反射させ、G光,B光を透過させる。このように、ダイクロイックプリズム35は、液晶ライトバルブ30R,30G,30Bのそれぞれにおいて変調されたR光,G光及びB光を合成する。これにより、スクリーン50上でフルカラーの画像を得ることができる。
【0027】
[液晶パネル]
液晶パネル32R,32G,32Bは、変調する光の波長領域が異なるだけで、基本構成は同一であるため、液晶パネル32Rを例に挙げて説明する。
液晶パネル32Rの入射光側には、図2に示すように、隣接する画素32d間に遮光のためのブラックマトリックス(遮光部、以下「BM」と称す)32aが設けられている。このBM32aは、縦方向の幅がL1であり、横方向の幅がL2となっており、直交する方向に格子状に形成されている。また、隣接する画素32dの縦方向の縦画素ピッチはL3であり、横方向の横画素ピッチはL4である。
また、BM32aの格子状に区画された領域の右下の角部には、画素スイッチング用素子として薄膜トランジスタ,配線等が配置されたTFT形成領域を遮光するTFT遮光部32bが設けられている。このようなBM32aに囲まれた矩形状の領域は開口部32cとなっている。
すなわち、高圧水銀ランプ11から射出されたR光は、BM32aの開口部32cを透過し、画像信号に応じて変調され、ダイクロイックプリズム35に向かって射出される。このように、スクリーン50に投写された画像の画素部を形成するのは、開口部32cを透過して変調された光である。
【0028】
[投写レンズ]
投写光学系40は、図1に示すように、第1投写レンズ(第1投写手段)41と第2投写レンズ(第2投写手段)42とを備えている。また、第1投写レンズ41と第2投写レンズ42との光路の間には投写像中継部材(遮光部像付与部材)45が設けられている。なお、第1,第2投写レンズ41,42は、後述するように、レンズ群や曲面ミラーなどを含んで構成されている。
第1投写レンズ41は、液晶パネル32R,32G,32Bの像(物体面の像)を拡大、縮小、等倍のいずれかで投写するレンズである。
投写像中継部材45は、表示面45aが第1投写レンズ41の結像面(結像位置)の近傍に位置するように配置されている。ここで言う結像面の近傍とは、液晶パネル32Rの隣接する画素32dの像を観察者が区別して認識可能な程度、例えば、液晶パネル32Rの隣接する画素32dの像同士が画素ピッチの半分以上影響を与えない位置を指している。
また、投写像中継部材45とは、スクリーン50に投写される画像をスクリーン50に投写させる前に一旦投写される表示部を意味している。
【0029】
また、第2投写レンズ42は、ズーム機能、フォーカス機能、レンズシフト機能(移動機構)が付加されており、投写像中継部材45の表示面45aの像を所望の状態でスクリーン50に投写する。
図1では、第2投写レンズ42を1枚のレンズとして図示したが、実際には、第2投写レンズ42は、フォーカシング時にのみ移動する第1レンズ群、変倍時にのみ移動する第2レンズ群、変倍時に変動する像面位置を補正するために移動する第3レンズ群等により構成されている。これらズーム機能及びフォーカス機能を有するレンズ群は、プロジェクタ1を収納する筐体(図示略)内部や筐体外部に設けられたレンズシフト機能により、移動可能となっている。
【0030】
また、第1投写レンズ41は、図1に示すように、第1,第2投写前光学系2,3のそれぞれに対応した第1投写レンズ41Aと第1投写レンズ41Bとを備えている。なお、第1投写レンズ41Aの光軸B1と第1投写レンズ41Bの光軸B2とは一致しておらず、平行となっている。
また、第1投写レンズ41Aと第1投写レンズ41Bとは対称光学系となっているため、第1投写レンズ41Aについて説明する。
第1投写レンズ41Aは、図1に示すように、3枚の第1,第2,第3凸レンズ41a,41b,41cと、反射ミラー41dにより構成されている。すなわち、第1投写前光学系2から射出された光は、第1凸レンズ41aに入射し、反射ミラー41dにより光路が90度曲げられ、第2,第3凸レンズ41b,41cに入射する。
そして、第3凸レンズ41cから射出された光は投写像中継部材45に向かって射出される。また、投写像中継部材45は、第1投写レンズ41A及び第1投写レンズ41Bの中央部に位置して配置されている。
また、第2投写レンズ42の光軸O2は、高圧水銀ランプ11から射出され直進する光の光路O1と略平行となっている。
【0031】
第2投写レンズ42は、第1投写レンズ41の結像面(結像位置)または結像面の近傍の像をスクリーン50に投写するものである。
なお、本実施形態では、投写像中継部材45が第1投写レンズ41の結像位置の近傍に位置するように配置されており、第2投写レンズ42は投写像中継部材45の表示面45aの像をスクリーン50に投写する。また、投写像中継部材45が第1投写レンズ41の結像位置に配置されていても良い。
【0032】
[投写像中継部材での像の重畳]
第1投写レンズ41A及び第1投写レンズ41Bは、図1に示すように、第1投写前光学系2から射出された液晶パネル32R,32G,32Bの像と第2投写前光学系3から射出された液晶パネル32R,32G,32Bの像とを投写像中継部材45において重畳するように投写する。
次に、投写像中継部材45における像の重畳について、図3を用いて説明する。なお、図3は、投写像中継部材45での重畳を分かり易く説明するために、第1投写レンズ41A及び第1投写レンズ41Bを1枚のレンズ、各投写前光学系2,3の液晶ライトバルブを1つだけ取り上げ、直線配置として示している。
すなわち、第1投写前光学系2の液晶パネル32R,32G,32Bの像と、第2投写前光学系3の液晶パネル32R,32G,32Bの像とを重畳させるには、図3に示すように、第1投写前光学系2から射出される光の中心軸A1と、第1投写レンズ41Aの光軸B1とを平行に距離N1だけずらし、第2投写前光学系3から射出される光の中心軸A2と、第1投写レンズ41Bの光軸B2とを平行に距離N2だけずらす。
このようにして、第1投写前光学系2から射出された光は第1投写レンズ41Aを通過することにより、投写像中継部材45に到達する。同様に、第2投写前光学系3から射出された光は第1投写レンズ41Bを通過することにより、投写像中継部材45に到達する。したがって、第1投写レンズ41A及び第1投写レンズ41Bの中央部に配置された投写像中継部材45で、第1投写前光学系2及び第2投写前光学系3から射出された光が重畳され投写像が形成される。
【0033】
また、第1投写レンズ41A及び第1投写レンズ41Bにより、各第1投写前光学系2及び第2投写前光学系3から射出された光(像)を重畳させ画像を形成した後、第2投写レンズ42によりスクリーン50に像を投写するため、共通の投写手段として1つの第2投写レンズを用いるだけで良い。
なお、第1,第2投写前光学系2,3は投写光学系40を挟んで左右対称の光学系であるため、第1投写レンズ41Aにより投写される像と、第1投写レンズ41Bにより投写される像とは対称光学系で重畳されることになる。すなわち、同じ特性を有する光学部材(高圧水銀ランプ、液晶パネル等)を用いて左右対称の光学系にすることにより、仮に液晶ライトバルブに輝度分布のばらつきがあっても、投写像中継部材45において明暗分布が相殺されることになる。
【0034】
[投写像中継部材]
投写像中継部材45は、図4に示すように、ガラス板46と、ガラス板46上に形成された格子状の遮光部47とを備えている。なお、本実施形態ではガラス板46を用いたがこれに限らず光透過性を有するものであれば良い。
遮光部47は、金属クロム膜により形成されており、一般に用いられる液晶ライトバルブのBMと同様に、クロム膜がスパッタ法等によりガラス板46上に成膜されている。そして、フォトリソグラフィ技術によりマトリックス状にクロム膜のパターニングを施すことにより、遮光部47が形成される。このように、遮光部47を金属クロム膜で形成することにより、遮光部47に入射した光を吸収することが可能となる。
【0035】
遮光部47は、図5に示すように、縦方向の幅がM1であり、横方向の幅がM2となっており、直交する方向に格子状に形成されている。また、隣接する遮光部47の縦方向の縦開口部ピッチはM3であり、横方向の横開口部ピッチはM4である。この遮光部47に囲まれた矩形状の領域は開口部47aとなっている。したがって、投写像中継部材45に入射した光のうち遮光部47に入射した光は遮光され、投写像中継部材45から第2投写レンズ42側には射出されない。一方、開口部47aに入射した光は第2投写レンズ42に向かって射出される。また、開口部47aの一つ一つは、液晶パネル32Rの画素32dの一つ一つに対応して形成されている。
【0036】
[液晶ライトバルブのBMと投写像中継部材の遮光部との関係]
液晶パネル32RのBM32aの幅(L1,L2)÷画素ピッチ(L3,L4)>投写像中継部材45の遮光部47の幅(M1,M2)÷開口部ピッチ(M3,M4)の関係式が成り立つように各寸法が設定されている。また、図2に示すように、液晶パネル32Rの縦方向と横方向との画素32dのアスペクトが異なっていても、液晶パネル32RのBM32a及び投写像中継部材45の遮光部47の対応する縦方向同士、横方向同士でこの関係が成り立つように各寸法が設定されている。
すなわち、液晶パネル32Rの画素ピッチに対する液晶パネル32RのBM32aの幅の割合L1/L3はM1/M3より大きく、L2/L4はM2/M4より大きい。
そして、この関係式は、第1投写レンズ41が液晶パネル32Rの像を拡大、縮小、等倍のいずれの場合で投写しても成り立つ。なお、等倍で投写される場合は、画素ピッチL3,L4が開口部ピッチM3,M4と等しくなるため、BM32aの幅L1,L2よりも遮光部の幅M1,M2が小さくなるという関係になる。
【0037】
本実施形態に係るプロジェクタ1では、第1投写前光学系2及び第2投写前光学系3の2つの光学系を用いているため、スクリーン50に投写される画像の高輝度化を図ることができる。また、スクリーン50に投写される画像の投写位置を変える場合には、第2投写レンズ42のみを調整すれば良い。さらには、第2投写レンズ42は、ズーム機能、フォーカス機能が付いているので、スクリーンに投写される画像の大きさを変えたり投写する位置を変えたりする場合は、第2投写レンズ42を調整すれば良い。このように、本実施形態のプロジェクタ1は、従来のように各投写光学系の投写レンズの調整を行う必要がない。したがって、本発明のプロジェクタ1は、スクリーン50に合った像に簡単、かつ、精度良く調整することが可能となる。
つまり、本実施形態のプロジェクタ1は、投写される画像の高輝度化を図るとともに、簡易な構成により投写される画像のサイズや位置を変更することが可能となる。
【0038】
また、第1投写レンズ41Aにより投写される像と、第1投写レンズ41Bにより投写される像とは対称系で重畳されるため、スクリーンに投写される像の光量のバランスをより均一にすることが可能となる。
また、投写像中継部材45を備えることにより、液晶ライトバルブ30R,30G,30Bの像の解像度が多少劣化したり、液晶ライトバルブ30R,30G,30Bの像がずれたりしても、格子状の遮光部47により液晶パネル32R,32G,32Bのドットマトリクス感を再現できる。したがって、ぼやけのような画像劣化の少ない像を投写することができる。これにより、第2投写レンズ42と第1投写レンズ41との位置のアライメント精度が、ある程度許容できるので、プロジェクタ1の組み立てが容易になる効果が得られる。
【0039】
なお、遮光部47を金属クロム膜により形成し、入射した光を吸収したが、遮光部47を形成する材料はこれに限るものではない。すなわち、遮光部47を耐熱性を有する樹脂膜や、入射した光を反射させる材料として、例えば、アルミ膜で形成しても良い。さらには、ホログラムにより光を制御する材料などを用いても構わない。このように、ホログラムにより光透過領域と光遮光領域とを形成することによって、簡易な構成で、光の透過率を所望の状態に代えることが可能となる。
また、投写像中継部材45として、ガラス板46に遮光部47が形成された構成について説明したが、ガラス板46を用いず、少なくとも格子状の遮光部47を備えていれば良い。実際、遮光部47が薄い場合、遮光部47のみを配置するのは困難であるため、光透過性を有する基板に形成された構成であることが好ましい。
さらに、空間光変調素子として液晶パネル32R,32G,32Bを用いたが、反射型の液晶表示素子や複数の微小ミラーの角度を代えて画像を形成する素子でも構わない。この場合、投写光学系40の構成は、使用される空間光変調素子の種類によって適宜変更される。
【0040】
[第1実施形態の変形例1]
図1に示す第1実施形態では、1つの筐体内に、第1,第2投写前光学系2,3と、投写光学系40とが収納された構成であったが、1つの筐体内に第1,第2投写前光学系2,3が収納され、他の筐体(例えば、鏡筒)内に投写光学系(投写装置)40が収納された構成であっても良い。この構成により、投写光学系40の部分が独立した投写装置となり、筐体から投写装置を取り外し可能な構成にすることができるため、被投写面までの距離や投写する画像の大きさに応じて投写装置を変更することが可能となる。したがって、使用する環境に応じて投写装置を適宜代えることができるので、利便性に優れたプロジェクタを提供することが可能となる。
【0041】
[第1実施形態の変形例2]
図1に示す第1実施形態では、投写像中継部材45を設けて、観察者が適度にドットマトリクスを感じることが可能な構成にしたが、画素部の構造の見えにくいシームレスな像を表示させる場合や、第1投写レンズ41から第2投写レンズ42へ液晶ライトバルブ30R,30G,30Bの像を結像できる場合は、投写像中継部材45を設ける必要はない。この場合、投写像中継部材45が配置されていた位置が仮想的な結像面となり、ここで結像された画像が第2投写レンズ42によりスクリーン50に投写される。
また、投写像中継部材45に代えて液晶ライトバルブ(他の空間光変調素子)を用いても良い。第1投写前光学系2及び第2投写前光学系3の各液晶パネル32R,32G,32Bにおいて変調され合成された像をさらに他の液晶ライトバルブで変調することにより、表現できる階調数を増やすことができ、表現力に富んだ画像を投写することが可能となる。
【0042】
[第1実施形態の変形例3]
プロジェクタ55が、図6に示すように、第1投写レンズ41により投写された光を集光させる集光レンズ(光学素子)56を備えた構成であっても良い。また、図6は図1に示すプロジェクタ1のうち投写光学系40の部分のみを拡大視した図である。
集光レンズ56は、図6に示すように、複数の微小レンズ56aを有しており、投写像中継部材45のガラス板46の入射端面46a側に設けられている。具体的には、微小レンズ56aは遮光部47の開口部47aの大きさと略同等の有効径のレンズとなっており、ガラス板46の入射端面46aに接触し、開口部47aに対応して個々に設けられている。これにより、微小レンズ56aは、第1投写レンズ41により投写された光すべてが開口部47aを通過するように集光させる。
【0043】
本実施形態に係るプロジェクタ55では、第1実施形態のプロジェクタ1と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態のプロジェクタ55では、第1投写レンズ41より投写された光は、集光レンズ56によって投写像中継部材45の遮光部47に照射されることはない。したがって、第1投写レンズ41により投写された光の光量を無駄にすることなく、投写像中継部材45を通過させることができる。すなわち、投写像中継部材45に入射した光の利用効率がより高くなるので、スクリーン50には明るい画像が投写される。
なお、本実施形態では、開口部47aに対応して個々に微小レンズ56aを設けた構成としたが、微小レンズ56aが一体的に形成されたマイクロレンズアレイであっても良い。
【0044】
[第2実施形態]
次に、本発明に係る第2実施形態について、図7から図10を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態において、上述した第1実施形態に係るプロジェクタ1と構成を共通とする箇所には同一符号を付けて、説明を省略することにする。
第1実施形態のプロジェクタ1は、第1投写前光学系2から射出された像と、第2投写前光学系3から射出された像とを重畳させるために、第1投写レンズ41Aの光軸B1及び第1投写レンズ41Bの光軸B2を第1投写前光学系2の中心軸A1及び第2投写前光学系3の中心軸A2からずらしたが、本実施形態に係るプロジェクタ60では、第1投写前光学系2から射出された像と、第2投写前光学系3から射出された像とを重畳させる方法が第1実施形態と異なるのでこの点のみを説明する。
【0045】
第1投写前光学系2及び第2投写前光学系3は、図7に示すように、全体的に傾斜している。具体的には、高圧水銀ランプ11から射出された光の光路O1は、第2投写レンズ42の光軸O2に対して非平行となっている。また、第1,第2投写前光学系2,3から射出され第1投写レンズ41の反射ミラー41dにおいて反射した光の中心軸K1も第2投写レンズ42の光軸O2に対して非平行となっている。ここで、第1投写前光学系2及び投写光学系40は、光路O1と中心軸K1とが平行となるように傾斜している。なお、第2投写前光学系3及び第1投写レンズ41Bも同様に傾斜している。
【0046】
[投写像中継部材での像の重畳]
第1投写レンズ41A及び第1投写レンズ41Bは、図7に示すように、第1投写前光学系2から射出された像と第2投写前光学系3から射出された像とを投写像中継部材45で重畳するように投写する。
なお、図8は、投写像中継部材45での重畳を分かり易く説明するために、第1投写レンズ41A及び第1投写レンズ41Bを1枚のレンズ、各投写前光学系2,3の液晶ライトバルブを1つだけ取り上げ、直線配置として示している。
すなわち、第1投写前光学系2の液晶パネル32R,32G,32Bの像と、第2投写前光学系3の液晶パネル32R,32G,32Bの像とを重畳させるには、図8に示すように、第1,第2投写前光学系2,3のそれぞれの液晶パネル32R,32G,32Bの像が投写像中継部材45に対して斜め方向から入射する構成となっている。すなわち、第1投写前光学系2から射出される光の中心軸A3と、第1投写レンズ41Aの光軸B3とを一致させ、第2投写前光学系3から射出される光の中心軸A4と、第1投写レンズ41Bの光軸B4とを一致させる。言い換えれば、すべての光学部材は、図7に示すように、高圧水銀ランプ11から射出された光の中心軸O上に配置されている。
【0047】
ここで、第1,第2投写前光学系2,3のそれぞれから射出された像が投写像中継部材45に対して斜め方向から入射する構成となっている。これにより、図9に示すように、第1投写前光学系2からの液晶パネル32R,32G,32Bの像Z1及び第2投写前光学系3からの液晶パネル32R,32G,32Bの像Z2が、投写像中継部材45の表示面45a上を包含するように歪む。そこで、この歪みを補正するために、電気信号的に液晶ライトバルブの表示領域を歪ませて、投写像中継部材45の有効領域で矩形に表示する。
【0048】
本実施形態に係るプロジェクタ60では、第1実施形態のプロジェクタ1と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態のプロジェクタ60では、第1,第2投写前光学系2,3を傾斜させているため、第1投写前光学系2の中心軸A3と、第1投写レンズ41Aの光軸B3とを一致させ、第2投写前光学系3の中心軸A4と、第1投写レンズ41Bの光軸B4とを一致させることにより液晶パネル32R,32G,32Bの像が重畳される。したがって、すべての光学部材を高圧水銀ランプ11から射出された光の中心軸O上に配置すれば良いため、プロジェクタ60全体の組み立てが容易となる。
【0049】
なお、歪みを補正する方法としては、上記の他に、あらかじめ液晶ライトバルブの形自体を台形等の歪ませた形にする方法でも同様のことが実現できる。
さらに、投写像中継部材45に対して斜め方向から液晶パネル32R,32G,32Bの像が投写されても像を歪ませない方法としては、シャインプルーフの法則を用いる方法が挙げられる。この法則は、図10に示すように、第1投写前光学系2の液晶パネル32R,32G,32Bと第1投写レンズ41Aと投写像中継部材45とを適切な角度及び位置に配置するものである。具体的には、液晶パネル32Rの表示面と、第1投写レンズ41Aの主面と、投写像中継部材45の表示面45aとの延長された各面が1箇所で交わるように配置されている。なお、第2投写前光学系3側についても同様である。
また、第1投写レンズ41A,41Bを高圧水銀ランプ11から射出された光の中心軸Oに対して傾けて配置することにより、歪みを補正しても構わない。
【0050】
[第3実施形態]
次に、本発明に係る第3実施形態について、図11を参照して説明する。
本実施形態に係るプロジェクタ70では、図11に示すように、投写前光学系が9個設けられた構成となっている点において第1実施形態と異なる。すなわち、第1,第2実施形態のプロジェクタ1では投写前光学系を2つ用いた構成であったが、個数はこれに限るものではない。なお、本実施形態で示す投写前光学系の台数は一例に過ぎない。
【0051】
プロジェクタ70は、図11に示すように、縦に3列、横に3列配置され合計9個の投写前光学系71を備えている。また、9個の投写前光学系71の後段には、それぞれに対応して第1投写レンズ72が設けられている。さらに、9個の投写前光学系71のうち中央に配置された投写前光学系に対向する位置に投写像中継部材45が配置されている。そして、投写前光学系71の各液晶パネル32R,32G,32Bにより変調され合成された像が投写像中継部材45において重畳するようになっている。
【0052】
本実施形態に係るプロジェクタ70では、第1実施形態のプロジェクタ1と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態のプロジェクタ70では、9個の第1投写レンズ72の光軸を一致させる必要がないため、複数の投写前光学系71から射出された像を重畳させ易い。また、本実施形態では、投写前光学系71を3台以上備えるなど、より多くの像が投写像中継部材45において重畳できるため、投写される画像の輝度を高めることが可能となる。
【0053】
また、本実施形態では、各投写前光学系71は透過型の液晶パネル32R,32G,32Bの3つ用いた構成であったが、各投写前光学系71に備えられる液晶パネル32R,32G,32Bの個数や種類はこれに限るものではない。例えば、空間光変調素子として、反射型の液晶表示素子や、複数の微小ミラーの角度を代えて画像を形成する素子を用いたものでも構わない。ここで、複数の微小ミラーを用いた構成の場合、カラーホイールを用いてフィールドカラーシーケンシャルで画像を表示する光学系を投写前光学系に適用した場合、例えば、9つの投写前光学系のうち3つは赤、青、緑の順に、そして、もう3つは青、緑、赤の順に、そして残りの3つは、緑、赤、青の順に色を変えると良い。つまり、異なる色の組み合わせがほぼ同じバランスで同時に出現することで色のちらつきを抑えることが可能となる。
なお、空間光変調素子として、反射型の液晶表示素子や、複数の微小ミラーを用いた場合、投写光学系40の構成は適宜変更される。
さらに、第1投写レンズ72から投写される液晶パネルの像は、上下、左右、対角が対称光学系で重畳させることが好ましい。これにより、上下、左右、対角での光量のバランスをより均一にすることが可能となる。
【0054】
[第4実施形態]
次に、本発明に係る第4実施形態について、図12を参照して説明する。
本実施形態に係るプロジェクタ80では、図12に示すように、第1投写レンズ41A,第1投写レンズ41Bと投写像中継部材45との間に重畳レンズ81が備えられている点において第2実施形態と異なる。
【0055】
プロジェクタ80の第1投写前光学系2及び第2投写前光学系3は、図7に示すプロジェクタ60のように第2投写レンズ42の光軸O2に対して傾斜していない。具体的には、第2投写レンズ42の光軸O2と第1投写レンズ41の中心軸K1と高圧水銀ランプ11から射出された光の光路O1とが平行になっている。また、第2投写前光学系3側も同様である。
また、重畳レンズ81は、第1投写レンズ41A及び第1投写レンズ41Bから投写された像を投写像中継部材45において重畳させるレンズである。
【0056】
本実施形態に係るプロジェクタ80では、第1実施形態や第2実施形態のプロジェクタ60と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態のプロジェクタ80では、重畳レンズ81を備えることにより、第2実施形態のように第1,第2投写前光学系2,3を傾斜させなくて良いため、第1投写前光学系2から射出された光の中心軸A3と第1投写レンズ41Aの光軸B3との合わせ込み及び第2投写前光学系3から射出された光の中心軸A4と第1投写レンズ41Bの光軸B4との合わせ込みが容易となる。
【0057】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、空間光変調素子の個数や種類はこれに限るものではない。また、空間光変調素子が単板の投写前光学系を複数台配置したものや、投写前光学系の個数も上記で説明した個数に限るものではない。すなわち、第1実施形態〜第4実施形態においては、赤色、緑色、青色という3色のそれぞれについて3枚の液晶ライトバルブを備えた3板式のプロジェクタを例に挙げて説明したが、カラーホイール等を用いて、時分割で赤色、緑色、青色を生成し、これらを1枚の液晶ライトバルブへ照射する単板式のプロジェクタなどでも良い。
【0058】
また、上記各実施形態において、回路的な制御や光学系の変更により、高輝度以外に輝度ムラ補正や色彩表現を豊か(色再現領域の拡大)にして階調数や解像度を増やす方法も実現することができる。
さらに、反射型のスクリーン以外に、透過型のスクリーンと組み合わせた背面型投写装置と組み合わせても構わない。
また、第1投写レンズは独立した構成に限らず、共通の部品を有していても良い。例えば、第4実施形態の重畳レンズも第1投写手段と考えても良い。また、第1投写レンズ、投写像中継部材及び第2投写レンズなどを一体化したレンズの鏡筒などで固定するなど、見かけ上は一体化しても機能的に本発明と同じであれば本発明を逸脱しない。
また、本発明は複数の空間光変調素子の像を重畳するように投写する場合において、複数の投写前光学系におけるそれぞれの主軸が一致して重なるのではなく、平行または交差するようになっている。したがって、上記各実施形態のプロジェクタは、複数の投写前光学系を並べて配置することで、複数の液晶ライトバルブの像を容易に重畳させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプロジェクタの概略構成を示す平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態のプロジェクタに備えられた空間光変調素子の遮光部を示す断面図である。
【図3】本発明のプロジェクタの空間光変調素子から遮光部像付与部材までの光の光路を示す図である。
【図4】本発明のプロジェクタに備えられた遮光部像付与部材を示す斜視図である。
【図5】本発明のプロジェクタの遮光部像付与部材の遮光部を示す断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るプロジェクタの変形例を示す平面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るプロジェクタの概略構成を示す平面図である。
【図8】本発明の第2実施形態のプロジェクタの空間光変調素子から遮光部像付与部材までの光の光路を示す図である。
【図9】本発明のプロジェクタの遮光部像付与部材の照明領域を示す模式図である。
【図10】本発明の第2実施形態のプロジェクタの空間光変調素子から遮光部像付与部材までの光の光路の変形例を示す図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係るプロジェクタの概略構成を示す平面図である。
【図12】本発明の第4実施形態に係るプロジェクタの概略構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0060】
1,55,60,70,80…プロジェクタ、2…第1投写前光学系(投写前光学系)、3…第2投写前光学系(投写前光学系)、30R,30G,30B…液晶ライトバルブ(空間光変調素子)、32a…ブラックマトリックス(液晶ライトバルブの遮光部)、35…ダイクロイックプリズム(色合成手段)、40…投写光学系(投写光学手段,投写装置)、41…第1投写レンズ(第1投写手段)、42…第2投写レンズ(第2投写手段)、45…投写像中継部材(遮光部像付与部材)、50…スクリーン(被投写面)、71…投写前光学系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を射出する光源装置と該光源装置から射出された光を画像情報に応じて変調する空間光変調素子とを有する複数の投写前光学系と、
該複数の投写前光学系の各前記空間光変調素子により変調された画像を投写する投写光学手段とを備え、
該投写光学手段が、前記複数の投写前光学系のそれぞれに対応して設けられ、前記複数の投写前光学系の空間光変調素子の像を所定の結像位置または所定の結像位置の近傍で重畳するように投写する複数の第1投写手段と、
該複数の第1投写手段の結像位置または結像位置の近傍で重畳された像を被投写面に投写する第2投写手段とを有することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
前記第2投写手段が、前記被投写面に投写される像の大きさを調整するズーム機能と、焦点位置を調整するフォーカス機能とを有することを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ。
【請求項3】
前記第2投写手段を当該第2投写手段の光軸に対して平行に移動させる移動機構が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプロジェクタ。
【請求項4】
前記複数の第1投写手段から投写された像は対称光学系で重畳されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプロジェクタ。
【請求項5】
前記空間光変調素子が液晶ライトバルブであり、
前記複数の第1投写手段の結像位置、あるいは該結像位置の近傍に格子状の遮光部を有する遮光部像付与部材を備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプロジェクタ。
【請求項6】
前記複数の第1投写手段により重畳された光を前記遮光部像付与部材の開口部に対応して集光させる光学素子を備えることを特徴とする請求項5に記載のプロジェクタ。
【請求項7】
前記複数の第1投写手段の結像位置、あるいは該結像位置の近傍に、他の空間光変調素子を備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のプロジェクタ。
【請求項8】
複数の物体面の像のそれぞれに対応して設けられ、前記複数の物体面の像を重畳するように投写する複数の第1投写手段と、
前記複数の第1投写手段により重畳された像の結像位置または結像位置の近傍の像を被投写面に投写する第2投写手段とを備えることを特徴とする投写装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−76642(P2008−76642A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−254504(P2006−254504)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】