プロセスカートリッジの梱包方法及びプロセスカートリッジ梱包体
【課題】輸送時等の振動等による感光体と帯電ロールとが離れることを防止し、画像形成時の筋状等の欠陥の発生を抑制することができるプロセスカートリッジの梱包方法を提供する。
【解決手段】像保持体10と像保持体を帯電させる帯電ロール12とを有し、画像形成装置内に装着された状態において帯電ロールの回転軸芯位置が像保持体の回転軸芯位置より下方にあるプロセスカートリッジ1を、画像形成装置内に装着された状態とは上下逆にして梱包するプロセスカートリッジの梱包方法である。
【解決手段】像保持体10と像保持体を帯電させる帯電ロール12とを有し、画像形成装置内に装着された状態において帯電ロールの回転軸芯位置が像保持体の回転軸芯位置より下方にあるプロセスカートリッジ1を、画像形成装置内に装着された状態とは上下逆にして梱包するプロセスカートリッジの梱包方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスカートリッジの梱包方法及びプロセスカートリッジ梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真画像形成プロセスを用いた画像形成装置においては、電子写真感光体(以下、単に「感光体」と呼ぶ場合がある。)及び電子写真感光体に作用するプロセス手段を一体的にカートリッジ化して、このカートリッジを画像形成装置本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が採用されている。このプロセスカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスをサービスマンによらずにユーザ自身で行うことができるので、格段に操作性を向上させることができる。そこでこのプロセスカートリッジ方式は、画像形成装置において広く用いられている。
【0003】
プロセスカートリッジは、工場で組み立てが完了すると、通常、梱包袋、梱包材、梱包箱などを用いて梱包され、梱包体とされた後、倉庫に保管、あるいは出荷先に運搬される。プロセスカートリッジが輸送される場合、例えば、トラック、電車、飛行機、船などを用いた輸送手段が用いられる。
【0004】
感光体ドラムと感光体ドラムを帯電させる帯電ロールとを有し、画像形成装置本体に装着された状態で帯電ロールが感光体ドラムに接触して下方向にあるタイプのプロセスカートリッジは、通常プロセスカートリッジを画像形成装置に装着する状態、すなわち帯電ロールが感光体ドラムの下方向にある状態で梱包される。このように梱包された状態のプロセスカートリッジにおいて、輸送過程で運搬中の振動が梱包材を通じて伝わることで、プロセスカートリッジ内の感光体ドラムから帯電ロールが離脱したり接触したりを繰り返し、その結果、感光体と帯電ロールとの間で剥離放電が生じ、その履歴が感光体に記憶されることがある。画像形成装置にプロセスカートリッジを装着する際、感光体に放電履歴が残っていると、放電履歴残留部(帯電ロールが感光体ドラムに接触している部分)に対応して、高濃度の筋が感光体ドラムの周長ピッチで画像出力されることがある。そこで従来は、(1)画像形成装置が稼動する時点で帯電ロールが感光体ドラムと接触する機構を設ける、(2)帯電ロールと感光体ドラムが接触しないようにスペーサを設け、プロセスカートリッジの使用時に取り外す、(3)帯電ロールと感光体ドラムの間に導電性のシートを挟み込み、プロセスカートリッジの使用時に取り外す等の手段を採っていた。
【0005】
なお、特許文献1には、現像剤補給容器内での現像剤の撹拌搬送に要する回転トルクを低減するために、現像剤補給容器を、画像形成装置本体に対する脱着時の姿勢から180°反転させた姿勢で個装箱内に固定することが記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2000−199995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、輸送時等の振動等により感光体と帯電ロールとが離れることを防止し、画像形成時の筋状等の欠陥の発生を抑制することができるプロセスカートリッジの梱包方法及びプロセスカートリッジ梱包体である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、像保持体と前記像保持体を帯電させる帯電ロールとを有し、画像形成装置内に装着された状態において前記帯電ロールの回転軸芯位置が前記像保持体の回転軸芯位置より下方にあるプロセスカートリッジを、前記画像形成装置内に装着された状態とは上下逆にして梱包するプロセスカートリッジの梱包方法である。
【0009】
また、プロセスカートリッジの梱包方法において、前記プロセスカートリッジが、梱包状態において前記帯電ロールの回転軸芯位置が前記像保持体の回転軸芯位置の鉛直上方から+75度以上−75度以下に位置するように配置及び固定することが好ましい。
【0010】
また、本発明は、像保持体と前記像保持体を帯電させる帯電ロールとを有し、画像形成装置内に装着された状態において前記帯電ロールの回転軸芯位置が前記像保持体の回転軸芯位置より下方にあるプロセスカートリッジと、前記プロセスカートリッジを梱包する梱包箱と、を有し、前記プロセスカートリッジが、前記画像形成装置内に装着された状態とは上下逆にして前記梱包箱に梱包されているプロセスカートリッジ梱包体である。
【0011】
また、前記プロセスカートリッジ梱包体において、前記プロセスカートリッジは、梱包状態において前記帯電ロールの回転軸芯位置が前記像保持体の回転軸芯位置の鉛直上方から+75度以上−75度以下に位置するように配置及び固定されていることが好ましい。
【0012】
また、前記プロセスカートリッジ梱包体において、前記梱包箱は、前記プロセスカートリッジが梱包されたときの正立方向に商品名、型番、ケアーマークのうち少なくとも1つが印刷されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1によると、輸送時等の振動等による感光体と帯電ロールとが離れることを防止し、画像形成時の筋状等の欠陥の発生を抑制することができるプロセスカートリッジの梱包方法を提供することができる。
【0014】
本発明の請求項2によると、輸送時等の振動等による感光体と帯電ロールとが離れることを一定以上の加速度が加わるまで防止でき、画像形成時の筋状等の欠陥の発生をより抑制することができるプロセスカートリッジの梱包方法を提供することができる。
【0015】
本発明の請求項3によると、輸送時等の振動等による感光体と帯電ロールとが離れることを防止し、画像形成時の筋状等の欠陥の発生を抑制することができるプロセスカートリッジ梱包体を提供することができる。
【0016】
本発明の請求項4によると、輸送時等の振動等による感光体と帯電ロールとが離れることを一定以上の加速度が加わるまで防止でき、画像形成時の筋状等の欠陥の発生をより抑制することができるプロセスカートリッジ梱包体を提供することができる。
【0017】
本発明の請求項5によると、輸送や荷役の際に誤った方向にプロセスカートリッジが位置されることを防止できるプロセスカートリッジ梱包体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0019】
<プロセスカートリッジ>
プロセスカートリッジとは、像保持体と接触して像保持体を帯電する帯電ロールと、静電潜像が形成される像保持体としての電子写真感光体(感光体ドラム)と、さらに必要に応じて、像保持体の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する現像手段及びトナー画像の転写後に像保持体の表面に残存したトナーをクリーニングするクリーニング手段等のプロセス手段の少なくとも1つと、を一体的にカートリッジ化し、画像形成装置本体に対して着脱可能とするものである。
【0020】
本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジの一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。プロセスカートリッジ1は、静電潜像が形成される像保持体としての電子写真感光体(感光体ドラム)10と、電子写真感光体10の表面を接触帯電する接触帯電手段としての帯電ロール12と、電子写真感光体10の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する現像手段としての現像ロール14と、電子写真感光体10の表面に接触して、転写後に電子写真感光体10に残ったトナーをクリーニングするクリーニング手段としてのクリーニングブレード18とが一体に支持されており、画像形成装置に着脱自在である。画像形成装置に装着されたときには電子写真感光体10の周囲に、帯電ロール12、レーザ光あるいは原稿の反射光等により電子写真感光体10の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段としての露光装置22、現像ロール14、電子写真感光体10表面のトナー画像を被転写材である記録紙(記録用紙)20に転写処理する転写手段としての転写ロール16、クリーニングブレード18がこの順序で配置されるようになっている。なお、図1では、他の電子写真プロセスにおいて通常必要な機能ユニットは、その記載を省略してある。
【0021】
本実施形態に係るプロセスカートリッジ1は、画像形成装置内に装着された状態において帯電ロール12の回転軸芯位置が像保持体である電子写真感光体10の回転軸芯位置より下方にある。
【0022】
本実施形態に係るプロセスカートリッジ1の動作について説明する。
【0023】
まず、電子写真感光体10表面に接触された帯電ロール12に対して電圧を高圧電源装置(図示せず)から給電することによって、電子写真感光体10の表面を一様な電位に帯電する(接触帯電方式)。このとき電子写真感光体10及び帯電ロール12は図1の矢印方向にそれぞれ回転する。帯電後、電子写真感光体10表面に露光装置22により画像情報に応じた画像光(露光)24が照射されると、照射された部分は電位が低下する。画像光24は画像の黒/白等に応じた光量の分布であるため、画像光24の照射によって電子写真感光体10表面に記録画像に対応する電位分布、すなわち静電潜像が形成される。静電潜像が形成された部分が、現像ロール14を通過すると、その電位の高低に応じてトナーが付着し、静電潜像を可視化したトナー画像が形成される。トナー画像が形成された部分に、所定のタイミングでレジストロール(図示せず)により記録紙20が搬送され、電子写真感光体10表面のトナー画像と重なる。このトナー画像が、転写ロール16によって記録紙20に転写された後、記録紙20は、電子写真感光体10から分離される。分離された記録紙20は搬送経路を通って搬送され、定着手段としての定着ユニット(図示せず)によって、加熱加圧定着されたあと、機外へ排出される。
【0024】
プロセスカートリッジは、工場等で組み立てが完了すると、保護材、梱包袋、梱包材及び梱包箱等の梱包部材により梱包され、梱包体とされた状態で物流される。本実施形態では、画像形成装置内に装着された状態において帯電ロール12の回転軸芯位置が電子写真感光体10の回転軸芯位置より下方にあるプロセスカートリッジ1を、画像形成装置内に装着された状態とは上下逆にして梱包する。すなわち、梱包されて梱包体となったときは、プロセスカートリッジ1の帯電ロール12の回転軸芯位置が電子写真感光体10の回転軸芯位置より上方にある。
【0025】
プロセスカートリッジを梱包袋、梱包材、梱包箱等を用いて梱包する場合、例えば、図2のように、まずプロセスカートリッジ1を梱包袋(図示せず)に収納して包み、次にその梱包袋の上から、画像形成装置内に装着された状態とは上下逆にしてプロセスカートリッジ1に衝撃吸収等の目的で発泡スチロール等の樹脂製、金属製等の梱包材(緩衝材)26を左右から嵌め付けて保持し、プロセスカートリッジを保護する。そして梱包袋及び梱包材26により梱包されたプロセスカートリッジ1を梱包袋及び梱包材26と共に段ボール等の梱包箱28に収納し、封緘する。
【0026】
封緘後の状態を図3に示す。梱包箱28には、商品名、型番、天地無用等のケアーマーク等が印刷されており、プロセスカートリッジの帯電ロールの位置は梱包箱28の中で電子写真感光体の上方に位置している。このとき、梱包箱28には、プロセスカートリッジが梱包されたときの正立方向に商品名、型番、ケアーマークのうち少なくとも1つが印刷されていることが好ましい。
【0027】
図4は梱包箱をパレットに載せ、ストレッチフィルム等で固定された状態を示すもので、この状態でトラック荷台、またはコンテナ等に積載され、トラック、鉄道、船などで目的地まで運ばれる。この間、路面の凹凸、積み下ろし荷役作業などで振動を受ける。
【0028】
上述したように、従来のプロセスカートリッジ梱包体では、図5に示すように、輸送途中等での振動により、帯電ロール12が電子写真感光体10から離れたり、接触したりを繰り返す。離れる時に帯電ロール12はマイナスに、電子写真感光体10はプラスに剥離帯電し、瞬間的に高電圧が発生する。この時のプラス電荷の一部が電子写真感光体10の電荷輸送層内にトラップされ、この部分の見掛け上の感度が上昇して、他の部分より濃く現像される。なお、この現象は低湿環境(冬場)での発生が顕著である。また、一回の剥離帯電での影響は軽微であるが、繰り返しの剥離帯電によりその影響は累積され問題を発生させる。
【0029】
帯電ロール12はその表面にトナーなどの物質が付着すると、帯電性能及び均一帯電性を阻害し、画質障害となって現れる。帯電ロール12の表面を常に正常に保つことが望ましいため、帯電ロール12表面にウレタンフォーム部材、フェルト部材などを間欠的に、または連続的に接触させて異物をクリーニング手段が一般的に用いられている。
【0030】
しかし、これらの手段でも完全に異物を取り除くことは非常に困難である。そこで、帯電ロール12の表面にテトラフルオロエチレン系等の離型物質を分散させて、異物が帯電ロール12に付着しにくくしたり、一旦付着した異物がクリーニング手段で除去し易いようにしている。テトラフルオロエチレン系の離型物質はマイナスに強く帯電する。一方、電子写真感光体10の表面は通常ポリカーネート系の樹脂に電荷輸送物質となる物質を微量分散させたもので、テトラフルオロエチレン系の物質と摩擦、もしくは接触剥離させた場合には強くプラスに帯電する。
【0031】
図6に示すように、従来の梱包状態において帯電ロール12が電子写真感光体10の下方向にある場合、電子写真感光体10はプロセスカートリッジの筐体に固定されているが、帯電ロール12は帯電ロール12の両端部にあるバネ30等で電子写真感光体10に密着している。輸送中の振動(加速度)は上向き、下向き、横向きに大別され、下向きの加速度が最も大きく、且つこの時に接触圧が下がる方向に働く。そして、帯電ロール12が電子写真感光体10から離れる条件は、F2(帯電ロール12の自重)+F3(上向き加速度に対する反力)>F1(バネ30の力)となった時である。なお、実際には下から突き上げられる衝撃と落下及び着地した時の衝撃等が存在する。
【0032】
なお、F1を大(バネ定数を高くする)とすれば、帯電ロール12が電子写真感光体10から離れる確率は減るが、帯電ロール12と電子写真感光体10との接触圧が強くなり、帯電ロール12が塑性変形し、帯電ロール12の周長ピッチの筋が発生したり、帯電ロール12の両端と中央部とでニップ幅が変化して濃度むらが発生したりする等の2次障害が発生することがある。
【0033】
図7に示すように、梱包状態において帯電ロール12が電子写真感光体10の上方向にある場合、上向きの振動(加速度)が加わった時にはF1、F2、F3のすべてが帯電ロール12を電子写真感光体10に押し付ける方向に働くため、帯電ロール12が電子写真感光体10から離脱する回数が減る、または離れる距離が小さくなり、剥離帯電しにくくなる。
【0034】
また、下向き加速度は実際にはほぼゼロ(無重力)となるので帯電ロール12はバネの力F1で電子写真感光体10に密着している。なお、プロセスカートリッジを一定の高さ以上(例えば、30cm以上)から落下させた場合には帯電ロール12の慣性エネルギーを帯電ロール12が変形して吸収し、ついで放出する際に帯電ロール12が電子写真感光体10から離脱することは考えられる。この程度の落下は実際の物流荷役環境でしばしば発生するが、短時間に繰り返し発生することはほとんどないので、筋発生に至ることはほとんどない。
【0035】
ここで、本実施形態において、帯電ロール12の回転軸芯位置が電子写真感光体10の回転軸芯位置より上方にあればよいが、電子写真感光体10の回転軸芯位置の鉛直上方(図7の点線矢印方向)を0度とした場合、帯電ロール12の回転軸芯位置が電子写真感光体10の回転軸芯位置の鉛直上方から+90度超−90度未満にあればよい。このとき、帯電ロール12の回転軸芯位置が電子写真感光体10の回転軸芯位置の鉛直上方から+75度以上−75度以下に位置するように配置及び固定することが、輸送時等の振動等により電子写真感光体10と帯電ロール12とが離れることを一定以上の加速度が加わるまで防止できる点で好ましい。また、帯電ロール12の回転軸芯位置が電子写真感光体10の回転軸芯位置の鉛直上方から+45度以上−45度以下に位置するように配置及び固定することがより好ましく、+10度以上−10度以下に位置するように配置及び固定することがさらに好ましい。
【0036】
帯電ロール12は、従来から使用されているものと同様に、電子写真感光体10の画像形成領域全体に対応させて長いものとして構成し、電子写真感光体10に対して帯電ロール12を両側の軸に配置したバネ等の付勢手段を用いて、所定の押圧力で接触させ、電子写真感光体10の回転に追従させて、回転しながら電子写真感光体10の表面を帯電させるような動作を行う。帯電ロール12は、電子写真感光体10に接触させることにより特に駆動手段を有しなくとも電子写真感光体10と同じ周速度で回転し、帯電手段として機能する。しかし、ローラー部材に何らかの駆動手段を取り付け、電子写真感光体10とは異なる周速度で回転させ、帯電させても良い。
【0037】
帯電ロール12は、通常、外側から抵抗層とそれらを支持する弾性層と芯材から構成される。さらに必要に応じて抵抗層の外側に保護層を設けることができる。
【0038】
芯材の材質としては導電性を有するもので、一般には鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等が用いられる。またその他に導電性粒子等を分散した樹脂成形品等を用いることができる。
【0039】
弾性層の材質としては導電性あるいは半導電性を有するもので、一般にはゴム材に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散したものである。ゴム材としてはEPDM(エチレンプロピレンゴム)、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソブチレン、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、NBR(ニトリルゴム)、シリコンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンゴム)、熱可塑性エラストマ、ノルボーネンゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンオキシドゴム等が用いられる。
【0040】
導電性粒子あるいは半導電性粒子としてはカーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、Sb2O3、In2O3、ZnO、MgO等の金属酸化物が用いることができ、これらの材料は単独あるいは2種以上混合して用いても良い。
【0041】
抵抗層および保護層の材質としては結着樹脂に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散し、その抵抗を制御したもので、抵抗率としては103Ωcm以上1014Ωcm以下、好ましくは105Ωcm以上1012Ωcm以下、さらに好ましくは107Ωcm以上1012Ωcm以下がよい。また抵抗層および保護層のそれぞれの膜厚としては0.01μm以上1000μm以下、好ましくは0.1μm以上500μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上100μm以下がよい。
【0042】
結着樹脂としてはアクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂、PFA(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂等が用いられる。
【0043】
導電性粒子あるいは半導電性粒子としては弾性層と同様のカーボンブラック、金属、金属酸化物等が用いられる。また必要に応じてヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の酸化防止剤、クレー、カオリン等の充填剤や、シリコーンオイル等の潤滑剤等を添加することができる。
【0044】
これらの層を形成する手段としてはブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等を用いることができる。
【0045】
これらの帯電ロール12を用いて電子写真感光体10を帯電させる方法としては、導電性部材に電圧を印加する方法があるが、印加電圧は直流電圧、あるいは直流電圧に交流電圧を重畳したものが好ましい。電圧の範囲としては、直流電圧は要求される感光体の帯電電位に応じて正または負の50V以上2000V以下が好ましく、特に100V以上1500V以下が好ましい。交流電圧を重畳する場合は、ピーク間電圧が400V以上1800V以下、好ましくは800V以上1600V以下、さらに好ましくは1200V以上1600V以下が好ましい。交流電圧の周波数は50Hz以上20,000Hz以下、好ましくは100Hz以上5,000Hz以下である。
【0046】
電子写真感光体10としては光導電体が用いられ、少なくとも静電潜像(静電荷像)が形成される機能を有する。電子写真感光体は、円筒状の導電性の基体外周面に必要に応じて下引き層と、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とがこの順序で形成されたものである。電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は逆であってもよい。これらは、電荷発生物質と電荷輸送物質とを別個の層(電荷発生層、電荷輸送層)に含有させて積層した積層型感光体であるが、電荷発生物質と電荷輸送物質との双方を同一の層に含む単層型感光体であってもよく、好ましくは積層型感光体である。また、下引き層と感光層との間に中間層を有していてもよい。また、有機感光体に限らずアモルファスシリコン、アモルファスセレン、酸化亜鉛、酸化チタン感光膜等他の種類の感光層を使用してもよい。また感光体を搭載する形状としては例えばドラム状またはベルト状のものが用いられており、例えばドラムタイプの感光体にあっては、アルミ合金等のシリンダ上に光導電体の蒸着或いは塗工を行ったものである。
【0047】
本実施形態に係るプロセスカートリッジの梱包方法及びプロセスカートリッジ梱包体は、電子写真感光体10の感光体がポリカーネート系樹脂を含み、かつ帯電ロール12の抵抗層または保護層がテトラフルオロエチレン系樹脂を含む場合に、上述したとおり剥離帯電が起きやすく、電荷のトラップが起こりやすいので、特に有効である。
【0048】
露光装置22としては、特に制限はなく、例えば、電子写真感光体10表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光源を、所望の像様に露光できるレーザ光学系、LEDアレイなどの光学系機器等が挙げられる。
【0049】
現像手段は、電子写真感光体10上に形成された静電潜像を静電荷像現像用トナーを含む一成分現像剤あるいは二成分現像剤により現像してトナー画像を形成する機能を有する。そのような現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、トナー層が電子写真感光体10に接触する方式のものでも、接触しない方式のものでもよい。例えば、図1のように静電荷像現像用トナーを現像ロール14を用いて電子写真感光体10に付着させる機能を有する現像器、あるいはブラシ等を用いてトナーを電子写真感光体に付着させる機能を有する現像器等、公知の現像器等が挙げられる。現像剤担時体には、通常直流電圧が使用されるが、更に交流電圧を重畳させて使用してもよい。
【0050】
現像方法としても、2成分磁気ブラシ現像法、カスケード現像法、タッチダウン現像法、クラウド現像法等の種々の現像法を用いることが可能である。
【0051】
感光体に残存するトナーのクリーニング手段としては、ブレード、ファーブラシ、磁気ブラシなど用いてクリーニング手段を構成することができる。
【0052】
転写手段としては、紙等に直接転写する方式のものでも、中間転写体を介して転写する方式のものでもよい。例えば、図1に示すような記録紙20の表面に記録紙20を介して直接接触して転写する導電性又は半導電性のロール等を用いた転写ロール16及び転写ロール押圧装置(図示せず)を用いることができる。また、記録紙20の裏側からトナーとは逆極性の電荷を記録紙20に与え、静電気力によりトナー画像を記録紙20に転写するものを用いてもよい。転写ロール16には、電子写真感光体10に付与する転写電流として、直流電流を印加してもよいし、交流電流を重畳させて印加してもよい。転写ロール16は、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、プロセススピード(周速)等により、任意に設定することができる。また、低コスト化のため、転写ロール16として単層の発泡ロール等が好適に用いられる。
【0053】
定着手段としての定着ユニットとしては、記録紙20に転写されたトナー画像を加熱、加圧あるいは加熱加圧により定着するものであれば特に制限はない。
【0054】
トナー画像を転写する記録媒体である記録紙20としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、転写材の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
【0055】
プロセスカートリッジにはカートリッジ情報を記憶する通信機構を有してもよい。
【0056】
また、プロセスカートリッジは単色画像を形成するものだけではなく、複数色の画像(例えば2色画像、3色画像あるいはフルカラー等)を形成するものであってもよい。
【0057】
図8は本実施形態に係るプロセスカートリッジが適用される画像形成装置の全体構成の一例を示した図であり、所謂タンデム型のデジタルカラープリンタを示している。図8に示す画像形成装置は、本体50に、各色の階調データに対応して画像形成を行う画像形成部52、記録用紙(シート)を搬送するシート搬送系54、例えばパーソナルコンピュータや画像読み取り装置等に接続され、受信された画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理装置56とを備えている。
【0058】
画像形成部52は、水平方向に一定の間隔を置いて並列的に配置される複数のエンジンであるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット58Y,58M,58C,58K、この画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kの電子写真感光体10に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト60上に多重転写させる転写ユニット62、画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kに対してレーザ光を照射する光学系ユニット64を備えている。また本体50には、転写ユニット62によって二次転写された記録用紙(シート)上の画像を、熱および圧力を用いて記録用紙に定着させる定着器66を備えている。更に、画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kに対して各色のトナーを供給するためのトナーカートリッジ68Y,68M,68C,68Kが設けられている。
【0059】
転写ユニット62は、中間転写体である中間転写ベルト60を駆動する駆動ロール70、中間転写ベルト60に一定の張力を付与する張力付与ロール71、重畳された各色のトナー像を記録用紙に二次転写するためのバックアップロール72、中間転写ベルト60上に存在する残留トナー等を除去するクリーニング装置73を備えている。中間転写ベルト60は、この駆動ロール70と張力付与ロール71およびバックアップロール72との間に一定の張力で掛け回されており、定速性に優れた専用の駆動モータ(図示せず)によって回転駆動される駆動ロール70により、矢印方向に所定の速度で循環駆動される。この中間転写ベルト60は、例えば、電荷蓄積を起こさないベルト素材(ゴムまたは樹脂)にて抵抗調整されたものが使用されている。クリーニング装置73は、クリーニングブラシ73aおよびクリーニングブレード73bを備えており、トナー像の転写工程が終了した後の中間転写ベルト60の表面から残留トナーや紙粉等を除去して、次の画像形成プロセスに備えるように構成されている。
【0060】
シート搬送系54は、画像が記録される記録用紙(シート)を積載して供給する給紙装置77、給紙装置77から1枚ずつに分離された記録用紙を画像転写部に向けて搬送する搬送路80を備えている。また、搬送路80を介して搬送された記録用紙に対し、二次転写位置に設けられバックアップロール72に圧接して記録用紙上に画像を二次転写する二次転写ロール82を備えている。更に、定着器66によってトナー画像が定着された記録用紙を本体50の機外に排出する排出ロール83、排出ロール83によって排出された記録紙を積載する排出受け84を有する。
【0061】
次に、図8に示す画像形成装置の動作について説明する。図示しない原稿読み取り装置によって読み取られた原稿の色材反射光像や、図示しないパーソナルコンピュータ等にて形成された色材画像データは、画像処理装置56に入力される。画像処理装置56では、入力されたデータに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色のデータに変換され、光学系ユニット64に出力される。
【0062】
光学系ユニット64では、入力されたデータに応じて、半導体レーザ(図示せず)から出射されたレーザ光(LB−Y,LB−M,LB−C,LB−K)を、画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kの電子写真感光体10に照射している。画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kの電子写真感光体10では、帯電された表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kにて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。
【0063】
画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kの電子写真感光体10上に形成されたトナー像は、中間転写体である中間転写ベルト60上に多重転写される。このとき、黒色のトナー像を形成する黒の画像形成ユニット58Kは、中間転写ベルト60の移動方向の最下流側に設けられ、黒色のトナー像は、中間転写ベルト60に対して最後に一次転写される。
【0064】
一方、シート搬送系54では、画像形成のタイミングに合わせて給紙装置77から所定サイズの記録用紙が供給される。その後、トナー像が形成された中間転写ベルト60の移動タイミングに合わせて、記録用紙は、バックアップロール72および二次転写ロール82によって形成される二次転写位置に搬送される。二次転写位置にて下方から上方に向けて搬送される記録用紙には、圧接力および所定の電界を用いて、4色が多重されているトナー像が副走査方向に順次、転写される。そして、各色のトナー像が転写された記録用紙は、定着器66によって熱および圧力で定着処理を受けた後、排出ロール83によって本体50の上部に設けられた排出受け84に排出される。
【0065】
次に、画像形成部52における画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kについて詳述する。
【0066】
図9は、本実施形態に係るプロセスカートリッジ1を備える画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kの構成を説明するための図であり、ここでは、イエロー(Y)の画像形成ユニット58Yとマゼンタ(M)の画像形成ユニット58Mとが示されている。他の画像形成ユニット58C,58Kもほぼ同様に構成されている。
【0067】
画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kは、トナー像を保持させる像保持体としての電子写真感光体10、帯電部材である帯電ロール12を用いて電子写真感光体10を帯電させる帯電器86、帯電器86によって帯電され、光学系ユニット64からのレーザ光(LB−Y,LB−M,LB−C,LB−K)によって電子写真感光体10上に形成された静電潜像を現像ロール14によって現像する現像器87、中間転写ベルト60を挟んで電子写真感光体10に対向して設けられ、電子写真感光体10上に現像されたトナー像を中間転写ベルト60上に転写する一次転写ロール88、転写後に電子写真感光体10上に残った残留トナーを除去するクリーニング装置73を備えている。
【0068】
更に、前述した実施形態では、電子写真画像形成装置としてレーザービームプリンタを例示したが、これに限定する必要はなく、例えば、電子写真複写機、ファクシミリ装置、或いはワードプロセッサ等の電子写真画像形成装置に使用することも可能である。
【実施例】
【0069】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0070】
<電子写真感光体の準備>
(下引層の作製)
酸化亜鉛(平均粒子径70nm、テイカ社製、比表面積値15m2/g)100質量部をテトラヒドロフラン500質量部と撹拌混合し、シランカップリング剤(KBM503、信越化学社製)1.3質量部を添加し、2時間撹拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
【0071】
前記表面処理を施した酸化亜鉛110質量部を500質量部のテトラヒドロフランと撹拌混合し、アリザリン0.6質量部を50質量部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間撹拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、さらに60℃で減圧乾燥を行いアリザリン付与酸化亜鉛を得た。
【0072】
このアリザリン付与酸化亜鉛60質量部と硬化剤(ブロック化イソシアネート、スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部とブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学社製)15質量部をメチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部とメチルエチルケトン25質量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。
【0073】
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)40質量部を添加し、下引層塗布用液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、肉厚1mmのアルミニウム円筒基材上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ18μmの下引層を得た。
【0074】
(電荷発生層の作製)
電荷発生物質としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10質量部、n−酢酸ブチル200質量部を含む混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn−酢酸ブチル175質量部、メチルエチルケトン180質量部を添加し、撹拌して電荷発生層用の塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、25℃で乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0075】
(電荷輸送層の作製)
感光体の電荷輸送層をN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン45質量部及びビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:4万)55質量部をクロルベンゼン800質量部に加えて溶解し、電荷輸送層用塗布液を得た。この塗布液を電荷発生層上に塗布し、130℃、45分の乾燥を行って、膜厚が24μmの電荷輸送層を形成し電子写真感光体Aを得た。
【0076】
<帯電ロールの準備>
(弾性層の形成)
下記混合物をオープンロールで混練りし、SUS303からなる直径9mmの導電性支持体表面に接着層を介してプレス成形機を用いて直径15mmのロールを形成、その後研磨により直径14mmの導電性弾性ロールAを得た。
ゴム材(エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、Gechron3106、日本ゼオン社製) 100質量部
導電剤(カーボンブラック、アサヒサーマル、旭カーボン社製) 15質量部
導電剤(ケッチェンブラックEC、ライオン社製) 5質量部
イオン導電剤(過塩素酸リチウム) 1質量部
加硫剤(硫黄、200メッシュ、鶴見化学工業社製) 1質量部
加硫促進剤(ノクセラーDM、大内新興化学工業社製) 2.0質量部
加硫促進剤(ノクセラーTT、大内新興化学工業社製) 0.5質量部
加硫促進助剤(酸化亜鉛、酸化亜鉛1種、正同化学工業社製) 3質量部
ステアリン酸 1.5質量部
【0077】
(表面層の形成)
下記混合物をビーズミルにて分散し得られた分散液Aを、メチルエチルケトンで希釈し、前記導電性弾性ロールAの表面に浸漬塗布した後、180℃で30分間加熱乾燥し、厚さ7μmの表面層を形成し、帯電ロールAを得た。
高分子材料(飽和共重合ポリエステル樹脂溶液、バイロン30SS、東洋紡績社製) 100質量部
硬化剤(アミノ樹脂溶液、スーパーベッカミンG−821−60、大日本インキ化学工業社製) 26.3質量部
導電剤(カーボンブラック、MONARCH1000、キャボット社製) 10質量部
【0078】
<実施例及び比較例>
電子写真感光体Aと帯電ロールAとを有し、画像形成装置内に装着された状態において帯電ロールの回転軸芯位置が電子写真感光体の回転軸芯位置より下方にあるプロセスカートリッジを、画像形成装置内に装着された状態とは上下逆にして、左右から発砲スチロール製の梱包材(緩衝材)で保持した状態で梱包箱(個装箱)に収納して封緘し、プロセスカートリッジ梱包体を70個作製した。ここで、この70個のプロセスカートリッジ梱包体は、プロセスカートリッジの梱包状態において、帯電ロールの回転軸芯位置がフロント側から見て電子写真感光体の回転軸芯位置の鉛直上方から0度(実施例1)、+10度(実施例2)、+45度(実施例3)、+75度(実施例4)、+90度(比較例1)、+135度(比較例2)、+190度(比較例3)となるようにそれぞれ10個ずつプロセスカートリッジ梱包体を作製した。
【0079】
これらのプロセスカートリッジ梱包体70個を振動試験機(株式会社振研社製G−9223LS型)にセットし、輸送振動をシミューレートしたランダム振動の国際基準であるASTM D4728の以下の表1及び図10に示したトラック輸送条件にてそれぞれのプロセスカートリッジ梱包体について15分間の振動を与えた。なお、パワースペクトル密度は各周波数単位のエネルギー分布を、オーバーオール実効値は全周波数にわたって積分し求めた値である。
【0080】
【表1】
【0081】
その後、振動試験を行った各プロセスカートリッジを画像形成装置(富士ゼロックス製、DocuCentre f450)に装着し、22℃30%RHの条件で最も筋が検出しやすい30%ハーフトーンの画像を1枚形成し、次いで1枚文字画像を形成して、形成した画像を目視により評価して筋の発生レベルを判定した。判定基準は以下の通りである。10個のうちレベルA〜Cが90%以上を合格とした。結果を表2に示す。なお、発生した筋状欠陥の例を図11に示す。図11からわかるように、感光体ドラム1周分の周期で1mm〜1.5mmの筋状の欠陥が発生していることがわかる。
【0082】
レベルA:筋が未発生
レベルB:注視すると微かに筋の存在が見られる
レベルC:ハーフトーンの画像において筋状の画像の存在が微かに確認できるが実用上問題にはならない
レベルD:ハーフトーンの画像において筋状の画像の存在が確認できるが、文字画像では検出できない
レベルE:ハーフトーンの画像ではっきりと筋状の画像の存在が識別でき、文字画像でも微かに筋の存在が分かる
レベルF:ハーフトーンの画像及び文字画像で筋の存在がはっきりと分かる
【0083】
【表2】
【0084】
このように、振動試験の結果、実施例1〜4の梱包体では、電子写真感光体と帯電ロールそれぞれの共振によって、電子写真感光体と帯電ロールが離脱及び接触して、静電メモリが発生することを抑制できることが、本試験で証明できた。他の対策では多大なコストが発生するのに対し、ほとんど費用を掛けずに静電メモリ筋の発生を抑制することができた。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジの構成の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジ梱包体の構成の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジ梱包体の封緘後の状態の一例を示す概略外観図である。
【図4】本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジ梱包体をパレットに載せた状態を示す概略外観図である。
【図5】本発明の実施形態における、帯電ロールと電子写真感光体との間の剥離放電の様子を示す概略図である。
【図6】従来のプロセスカートリッジ梱包体における、帯電ロールが電子写真感光体の下方にある場合の力の掛かり方を示す概略図である。
【図7】本実施形態に係るプロセスカートリッジ梱包体における、帯電ロールが電子写真感光体の上方にある場合の力の掛かり方を示す概略図である。
【図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。
【図9】本発明の実施形態に係る画像形成ユニットの構成の一例を示す概略図である。
【図10】本発明の実施例及び比較例におけるトラック輸送条件を示す図である。
【図11】本発明の比較例において振動試験後に形成した画像の筋状欠陥の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0086】
1 プロセスカートリッジ、10 電子写真感光体、12 帯電ロール、14 現像ロール、16 転写ロール、18 クリーニングブレード、20 記録紙、22 露光装置、24 画像光、26 梱包材、28 梱包箱、30 ばね、50 本体、52 画像形成部、54 シート搬送系、56 画像処理装置、58Y,58M,58C,58K 画像形成ユニット、60 中間転写ベルト、62 転写ユニット、64 光学系ユニット、66 定着器、68Y,68M,68C,68K トナーカートリッジ、70 駆動ロール、71 張力付与ロール、72 バックアップロール、73 クリーニング装置、73a クリーニングブラシ、73b クリーニングブレード、77 給紙装置、80 搬送路、82 二次転写ロール、83 排出ロール、84 排出受け、86 帯電器、87 現像器、88 一次転写ロール。
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスカートリッジの梱包方法及びプロセスカートリッジ梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真画像形成プロセスを用いた画像形成装置においては、電子写真感光体(以下、単に「感光体」と呼ぶ場合がある。)及び電子写真感光体に作用するプロセス手段を一体的にカートリッジ化して、このカートリッジを画像形成装置本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が採用されている。このプロセスカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスをサービスマンによらずにユーザ自身で行うことができるので、格段に操作性を向上させることができる。そこでこのプロセスカートリッジ方式は、画像形成装置において広く用いられている。
【0003】
プロセスカートリッジは、工場で組み立てが完了すると、通常、梱包袋、梱包材、梱包箱などを用いて梱包され、梱包体とされた後、倉庫に保管、あるいは出荷先に運搬される。プロセスカートリッジが輸送される場合、例えば、トラック、電車、飛行機、船などを用いた輸送手段が用いられる。
【0004】
感光体ドラムと感光体ドラムを帯電させる帯電ロールとを有し、画像形成装置本体に装着された状態で帯電ロールが感光体ドラムに接触して下方向にあるタイプのプロセスカートリッジは、通常プロセスカートリッジを画像形成装置に装着する状態、すなわち帯電ロールが感光体ドラムの下方向にある状態で梱包される。このように梱包された状態のプロセスカートリッジにおいて、輸送過程で運搬中の振動が梱包材を通じて伝わることで、プロセスカートリッジ内の感光体ドラムから帯電ロールが離脱したり接触したりを繰り返し、その結果、感光体と帯電ロールとの間で剥離放電が生じ、その履歴が感光体に記憶されることがある。画像形成装置にプロセスカートリッジを装着する際、感光体に放電履歴が残っていると、放電履歴残留部(帯電ロールが感光体ドラムに接触している部分)に対応して、高濃度の筋が感光体ドラムの周長ピッチで画像出力されることがある。そこで従来は、(1)画像形成装置が稼動する時点で帯電ロールが感光体ドラムと接触する機構を設ける、(2)帯電ロールと感光体ドラムが接触しないようにスペーサを設け、プロセスカートリッジの使用時に取り外す、(3)帯電ロールと感光体ドラムの間に導電性のシートを挟み込み、プロセスカートリッジの使用時に取り外す等の手段を採っていた。
【0005】
なお、特許文献1には、現像剤補給容器内での現像剤の撹拌搬送に要する回転トルクを低減するために、現像剤補給容器を、画像形成装置本体に対する脱着時の姿勢から180°反転させた姿勢で個装箱内に固定することが記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2000−199995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、輸送時等の振動等により感光体と帯電ロールとが離れることを防止し、画像形成時の筋状等の欠陥の発生を抑制することができるプロセスカートリッジの梱包方法及びプロセスカートリッジ梱包体である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、像保持体と前記像保持体を帯電させる帯電ロールとを有し、画像形成装置内に装着された状態において前記帯電ロールの回転軸芯位置が前記像保持体の回転軸芯位置より下方にあるプロセスカートリッジを、前記画像形成装置内に装着された状態とは上下逆にして梱包するプロセスカートリッジの梱包方法である。
【0009】
また、プロセスカートリッジの梱包方法において、前記プロセスカートリッジが、梱包状態において前記帯電ロールの回転軸芯位置が前記像保持体の回転軸芯位置の鉛直上方から+75度以上−75度以下に位置するように配置及び固定することが好ましい。
【0010】
また、本発明は、像保持体と前記像保持体を帯電させる帯電ロールとを有し、画像形成装置内に装着された状態において前記帯電ロールの回転軸芯位置が前記像保持体の回転軸芯位置より下方にあるプロセスカートリッジと、前記プロセスカートリッジを梱包する梱包箱と、を有し、前記プロセスカートリッジが、前記画像形成装置内に装着された状態とは上下逆にして前記梱包箱に梱包されているプロセスカートリッジ梱包体である。
【0011】
また、前記プロセスカートリッジ梱包体において、前記プロセスカートリッジは、梱包状態において前記帯電ロールの回転軸芯位置が前記像保持体の回転軸芯位置の鉛直上方から+75度以上−75度以下に位置するように配置及び固定されていることが好ましい。
【0012】
また、前記プロセスカートリッジ梱包体において、前記梱包箱は、前記プロセスカートリッジが梱包されたときの正立方向に商品名、型番、ケアーマークのうち少なくとも1つが印刷されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1によると、輸送時等の振動等による感光体と帯電ロールとが離れることを防止し、画像形成時の筋状等の欠陥の発生を抑制することができるプロセスカートリッジの梱包方法を提供することができる。
【0014】
本発明の請求項2によると、輸送時等の振動等による感光体と帯電ロールとが離れることを一定以上の加速度が加わるまで防止でき、画像形成時の筋状等の欠陥の発生をより抑制することができるプロセスカートリッジの梱包方法を提供することができる。
【0015】
本発明の請求項3によると、輸送時等の振動等による感光体と帯電ロールとが離れることを防止し、画像形成時の筋状等の欠陥の発生を抑制することができるプロセスカートリッジ梱包体を提供することができる。
【0016】
本発明の請求項4によると、輸送時等の振動等による感光体と帯電ロールとが離れることを一定以上の加速度が加わるまで防止でき、画像形成時の筋状等の欠陥の発生をより抑制することができるプロセスカートリッジ梱包体を提供することができる。
【0017】
本発明の請求項5によると、輸送や荷役の際に誤った方向にプロセスカートリッジが位置されることを防止できるプロセスカートリッジ梱包体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0019】
<プロセスカートリッジ>
プロセスカートリッジとは、像保持体と接触して像保持体を帯電する帯電ロールと、静電潜像が形成される像保持体としての電子写真感光体(感光体ドラム)と、さらに必要に応じて、像保持体の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する現像手段及びトナー画像の転写後に像保持体の表面に残存したトナーをクリーニングするクリーニング手段等のプロセス手段の少なくとも1つと、を一体的にカートリッジ化し、画像形成装置本体に対して着脱可能とするものである。
【0020】
本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジの一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。プロセスカートリッジ1は、静電潜像が形成される像保持体としての電子写真感光体(感光体ドラム)10と、電子写真感光体10の表面を接触帯電する接触帯電手段としての帯電ロール12と、電子写真感光体10の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する現像手段としての現像ロール14と、電子写真感光体10の表面に接触して、転写後に電子写真感光体10に残ったトナーをクリーニングするクリーニング手段としてのクリーニングブレード18とが一体に支持されており、画像形成装置に着脱自在である。画像形成装置に装着されたときには電子写真感光体10の周囲に、帯電ロール12、レーザ光あるいは原稿の反射光等により電子写真感光体10の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段としての露光装置22、現像ロール14、電子写真感光体10表面のトナー画像を被転写材である記録紙(記録用紙)20に転写処理する転写手段としての転写ロール16、クリーニングブレード18がこの順序で配置されるようになっている。なお、図1では、他の電子写真プロセスにおいて通常必要な機能ユニットは、その記載を省略してある。
【0021】
本実施形態に係るプロセスカートリッジ1は、画像形成装置内に装着された状態において帯電ロール12の回転軸芯位置が像保持体である電子写真感光体10の回転軸芯位置より下方にある。
【0022】
本実施形態に係るプロセスカートリッジ1の動作について説明する。
【0023】
まず、電子写真感光体10表面に接触された帯電ロール12に対して電圧を高圧電源装置(図示せず)から給電することによって、電子写真感光体10の表面を一様な電位に帯電する(接触帯電方式)。このとき電子写真感光体10及び帯電ロール12は図1の矢印方向にそれぞれ回転する。帯電後、電子写真感光体10表面に露光装置22により画像情報に応じた画像光(露光)24が照射されると、照射された部分は電位が低下する。画像光24は画像の黒/白等に応じた光量の分布であるため、画像光24の照射によって電子写真感光体10表面に記録画像に対応する電位分布、すなわち静電潜像が形成される。静電潜像が形成された部分が、現像ロール14を通過すると、その電位の高低に応じてトナーが付着し、静電潜像を可視化したトナー画像が形成される。トナー画像が形成された部分に、所定のタイミングでレジストロール(図示せず)により記録紙20が搬送され、電子写真感光体10表面のトナー画像と重なる。このトナー画像が、転写ロール16によって記録紙20に転写された後、記録紙20は、電子写真感光体10から分離される。分離された記録紙20は搬送経路を通って搬送され、定着手段としての定着ユニット(図示せず)によって、加熱加圧定着されたあと、機外へ排出される。
【0024】
プロセスカートリッジは、工場等で組み立てが完了すると、保護材、梱包袋、梱包材及び梱包箱等の梱包部材により梱包され、梱包体とされた状態で物流される。本実施形態では、画像形成装置内に装着された状態において帯電ロール12の回転軸芯位置が電子写真感光体10の回転軸芯位置より下方にあるプロセスカートリッジ1を、画像形成装置内に装着された状態とは上下逆にして梱包する。すなわち、梱包されて梱包体となったときは、プロセスカートリッジ1の帯電ロール12の回転軸芯位置が電子写真感光体10の回転軸芯位置より上方にある。
【0025】
プロセスカートリッジを梱包袋、梱包材、梱包箱等を用いて梱包する場合、例えば、図2のように、まずプロセスカートリッジ1を梱包袋(図示せず)に収納して包み、次にその梱包袋の上から、画像形成装置内に装着された状態とは上下逆にしてプロセスカートリッジ1に衝撃吸収等の目的で発泡スチロール等の樹脂製、金属製等の梱包材(緩衝材)26を左右から嵌め付けて保持し、プロセスカートリッジを保護する。そして梱包袋及び梱包材26により梱包されたプロセスカートリッジ1を梱包袋及び梱包材26と共に段ボール等の梱包箱28に収納し、封緘する。
【0026】
封緘後の状態を図3に示す。梱包箱28には、商品名、型番、天地無用等のケアーマーク等が印刷されており、プロセスカートリッジの帯電ロールの位置は梱包箱28の中で電子写真感光体の上方に位置している。このとき、梱包箱28には、プロセスカートリッジが梱包されたときの正立方向に商品名、型番、ケアーマークのうち少なくとも1つが印刷されていることが好ましい。
【0027】
図4は梱包箱をパレットに載せ、ストレッチフィルム等で固定された状態を示すもので、この状態でトラック荷台、またはコンテナ等に積載され、トラック、鉄道、船などで目的地まで運ばれる。この間、路面の凹凸、積み下ろし荷役作業などで振動を受ける。
【0028】
上述したように、従来のプロセスカートリッジ梱包体では、図5に示すように、輸送途中等での振動により、帯電ロール12が電子写真感光体10から離れたり、接触したりを繰り返す。離れる時に帯電ロール12はマイナスに、電子写真感光体10はプラスに剥離帯電し、瞬間的に高電圧が発生する。この時のプラス電荷の一部が電子写真感光体10の電荷輸送層内にトラップされ、この部分の見掛け上の感度が上昇して、他の部分より濃く現像される。なお、この現象は低湿環境(冬場)での発生が顕著である。また、一回の剥離帯電での影響は軽微であるが、繰り返しの剥離帯電によりその影響は累積され問題を発生させる。
【0029】
帯電ロール12はその表面にトナーなどの物質が付着すると、帯電性能及び均一帯電性を阻害し、画質障害となって現れる。帯電ロール12の表面を常に正常に保つことが望ましいため、帯電ロール12表面にウレタンフォーム部材、フェルト部材などを間欠的に、または連続的に接触させて異物をクリーニング手段が一般的に用いられている。
【0030】
しかし、これらの手段でも完全に異物を取り除くことは非常に困難である。そこで、帯電ロール12の表面にテトラフルオロエチレン系等の離型物質を分散させて、異物が帯電ロール12に付着しにくくしたり、一旦付着した異物がクリーニング手段で除去し易いようにしている。テトラフルオロエチレン系の離型物質はマイナスに強く帯電する。一方、電子写真感光体10の表面は通常ポリカーネート系の樹脂に電荷輸送物質となる物質を微量分散させたもので、テトラフルオロエチレン系の物質と摩擦、もしくは接触剥離させた場合には強くプラスに帯電する。
【0031】
図6に示すように、従来の梱包状態において帯電ロール12が電子写真感光体10の下方向にある場合、電子写真感光体10はプロセスカートリッジの筐体に固定されているが、帯電ロール12は帯電ロール12の両端部にあるバネ30等で電子写真感光体10に密着している。輸送中の振動(加速度)は上向き、下向き、横向きに大別され、下向きの加速度が最も大きく、且つこの時に接触圧が下がる方向に働く。そして、帯電ロール12が電子写真感光体10から離れる条件は、F2(帯電ロール12の自重)+F3(上向き加速度に対する反力)>F1(バネ30の力)となった時である。なお、実際には下から突き上げられる衝撃と落下及び着地した時の衝撃等が存在する。
【0032】
なお、F1を大(バネ定数を高くする)とすれば、帯電ロール12が電子写真感光体10から離れる確率は減るが、帯電ロール12と電子写真感光体10との接触圧が強くなり、帯電ロール12が塑性変形し、帯電ロール12の周長ピッチの筋が発生したり、帯電ロール12の両端と中央部とでニップ幅が変化して濃度むらが発生したりする等の2次障害が発生することがある。
【0033】
図7に示すように、梱包状態において帯電ロール12が電子写真感光体10の上方向にある場合、上向きの振動(加速度)が加わった時にはF1、F2、F3のすべてが帯電ロール12を電子写真感光体10に押し付ける方向に働くため、帯電ロール12が電子写真感光体10から離脱する回数が減る、または離れる距離が小さくなり、剥離帯電しにくくなる。
【0034】
また、下向き加速度は実際にはほぼゼロ(無重力)となるので帯電ロール12はバネの力F1で電子写真感光体10に密着している。なお、プロセスカートリッジを一定の高さ以上(例えば、30cm以上)から落下させた場合には帯電ロール12の慣性エネルギーを帯電ロール12が変形して吸収し、ついで放出する際に帯電ロール12が電子写真感光体10から離脱することは考えられる。この程度の落下は実際の物流荷役環境でしばしば発生するが、短時間に繰り返し発生することはほとんどないので、筋発生に至ることはほとんどない。
【0035】
ここで、本実施形態において、帯電ロール12の回転軸芯位置が電子写真感光体10の回転軸芯位置より上方にあればよいが、電子写真感光体10の回転軸芯位置の鉛直上方(図7の点線矢印方向)を0度とした場合、帯電ロール12の回転軸芯位置が電子写真感光体10の回転軸芯位置の鉛直上方から+90度超−90度未満にあればよい。このとき、帯電ロール12の回転軸芯位置が電子写真感光体10の回転軸芯位置の鉛直上方から+75度以上−75度以下に位置するように配置及び固定することが、輸送時等の振動等により電子写真感光体10と帯電ロール12とが離れることを一定以上の加速度が加わるまで防止できる点で好ましい。また、帯電ロール12の回転軸芯位置が電子写真感光体10の回転軸芯位置の鉛直上方から+45度以上−45度以下に位置するように配置及び固定することがより好ましく、+10度以上−10度以下に位置するように配置及び固定することがさらに好ましい。
【0036】
帯電ロール12は、従来から使用されているものと同様に、電子写真感光体10の画像形成領域全体に対応させて長いものとして構成し、電子写真感光体10に対して帯電ロール12を両側の軸に配置したバネ等の付勢手段を用いて、所定の押圧力で接触させ、電子写真感光体10の回転に追従させて、回転しながら電子写真感光体10の表面を帯電させるような動作を行う。帯電ロール12は、電子写真感光体10に接触させることにより特に駆動手段を有しなくとも電子写真感光体10と同じ周速度で回転し、帯電手段として機能する。しかし、ローラー部材に何らかの駆動手段を取り付け、電子写真感光体10とは異なる周速度で回転させ、帯電させても良い。
【0037】
帯電ロール12は、通常、外側から抵抗層とそれらを支持する弾性層と芯材から構成される。さらに必要に応じて抵抗層の外側に保護層を設けることができる。
【0038】
芯材の材質としては導電性を有するもので、一般には鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等が用いられる。またその他に導電性粒子等を分散した樹脂成形品等を用いることができる。
【0039】
弾性層の材質としては導電性あるいは半導電性を有するもので、一般にはゴム材に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散したものである。ゴム材としてはEPDM(エチレンプロピレンゴム)、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソブチレン、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、NBR(ニトリルゴム)、シリコンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンゴム)、熱可塑性エラストマ、ノルボーネンゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンオキシドゴム等が用いられる。
【0040】
導電性粒子あるいは半導電性粒子としてはカーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、Sb2O3、In2O3、ZnO、MgO等の金属酸化物が用いることができ、これらの材料は単独あるいは2種以上混合して用いても良い。
【0041】
抵抗層および保護層の材質としては結着樹脂に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散し、その抵抗を制御したもので、抵抗率としては103Ωcm以上1014Ωcm以下、好ましくは105Ωcm以上1012Ωcm以下、さらに好ましくは107Ωcm以上1012Ωcm以下がよい。また抵抗層および保護層のそれぞれの膜厚としては0.01μm以上1000μm以下、好ましくは0.1μm以上500μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上100μm以下がよい。
【0042】
結着樹脂としてはアクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂、PFA(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂等が用いられる。
【0043】
導電性粒子あるいは半導電性粒子としては弾性層と同様のカーボンブラック、金属、金属酸化物等が用いられる。また必要に応じてヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の酸化防止剤、クレー、カオリン等の充填剤や、シリコーンオイル等の潤滑剤等を添加することができる。
【0044】
これらの層を形成する手段としてはブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等を用いることができる。
【0045】
これらの帯電ロール12を用いて電子写真感光体10を帯電させる方法としては、導電性部材に電圧を印加する方法があるが、印加電圧は直流電圧、あるいは直流電圧に交流電圧を重畳したものが好ましい。電圧の範囲としては、直流電圧は要求される感光体の帯電電位に応じて正または負の50V以上2000V以下が好ましく、特に100V以上1500V以下が好ましい。交流電圧を重畳する場合は、ピーク間電圧が400V以上1800V以下、好ましくは800V以上1600V以下、さらに好ましくは1200V以上1600V以下が好ましい。交流電圧の周波数は50Hz以上20,000Hz以下、好ましくは100Hz以上5,000Hz以下である。
【0046】
電子写真感光体10としては光導電体が用いられ、少なくとも静電潜像(静電荷像)が形成される機能を有する。電子写真感光体は、円筒状の導電性の基体外周面に必要に応じて下引き層と、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とがこの順序で形成されたものである。電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は逆であってもよい。これらは、電荷発生物質と電荷輸送物質とを別個の層(電荷発生層、電荷輸送層)に含有させて積層した積層型感光体であるが、電荷発生物質と電荷輸送物質との双方を同一の層に含む単層型感光体であってもよく、好ましくは積層型感光体である。また、下引き層と感光層との間に中間層を有していてもよい。また、有機感光体に限らずアモルファスシリコン、アモルファスセレン、酸化亜鉛、酸化チタン感光膜等他の種類の感光層を使用してもよい。また感光体を搭載する形状としては例えばドラム状またはベルト状のものが用いられており、例えばドラムタイプの感光体にあっては、アルミ合金等のシリンダ上に光導電体の蒸着或いは塗工を行ったものである。
【0047】
本実施形態に係るプロセスカートリッジの梱包方法及びプロセスカートリッジ梱包体は、電子写真感光体10の感光体がポリカーネート系樹脂を含み、かつ帯電ロール12の抵抗層または保護層がテトラフルオロエチレン系樹脂を含む場合に、上述したとおり剥離帯電が起きやすく、電荷のトラップが起こりやすいので、特に有効である。
【0048】
露光装置22としては、特に制限はなく、例えば、電子写真感光体10表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光源を、所望の像様に露光できるレーザ光学系、LEDアレイなどの光学系機器等が挙げられる。
【0049】
現像手段は、電子写真感光体10上に形成された静電潜像を静電荷像現像用トナーを含む一成分現像剤あるいは二成分現像剤により現像してトナー画像を形成する機能を有する。そのような現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、トナー層が電子写真感光体10に接触する方式のものでも、接触しない方式のものでもよい。例えば、図1のように静電荷像現像用トナーを現像ロール14を用いて電子写真感光体10に付着させる機能を有する現像器、あるいはブラシ等を用いてトナーを電子写真感光体に付着させる機能を有する現像器等、公知の現像器等が挙げられる。現像剤担時体には、通常直流電圧が使用されるが、更に交流電圧を重畳させて使用してもよい。
【0050】
現像方法としても、2成分磁気ブラシ現像法、カスケード現像法、タッチダウン現像法、クラウド現像法等の種々の現像法を用いることが可能である。
【0051】
感光体に残存するトナーのクリーニング手段としては、ブレード、ファーブラシ、磁気ブラシなど用いてクリーニング手段を構成することができる。
【0052】
転写手段としては、紙等に直接転写する方式のものでも、中間転写体を介して転写する方式のものでもよい。例えば、図1に示すような記録紙20の表面に記録紙20を介して直接接触して転写する導電性又は半導電性のロール等を用いた転写ロール16及び転写ロール押圧装置(図示せず)を用いることができる。また、記録紙20の裏側からトナーとは逆極性の電荷を記録紙20に与え、静電気力によりトナー画像を記録紙20に転写するものを用いてもよい。転写ロール16には、電子写真感光体10に付与する転写電流として、直流電流を印加してもよいし、交流電流を重畳させて印加してもよい。転写ロール16は、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、プロセススピード(周速)等により、任意に設定することができる。また、低コスト化のため、転写ロール16として単層の発泡ロール等が好適に用いられる。
【0053】
定着手段としての定着ユニットとしては、記録紙20に転写されたトナー画像を加熱、加圧あるいは加熱加圧により定着するものであれば特に制限はない。
【0054】
トナー画像を転写する記録媒体である記録紙20としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、転写材の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
【0055】
プロセスカートリッジにはカートリッジ情報を記憶する通信機構を有してもよい。
【0056】
また、プロセスカートリッジは単色画像を形成するものだけではなく、複数色の画像(例えば2色画像、3色画像あるいはフルカラー等)を形成するものであってもよい。
【0057】
図8は本実施形態に係るプロセスカートリッジが適用される画像形成装置の全体構成の一例を示した図であり、所謂タンデム型のデジタルカラープリンタを示している。図8に示す画像形成装置は、本体50に、各色の階調データに対応して画像形成を行う画像形成部52、記録用紙(シート)を搬送するシート搬送系54、例えばパーソナルコンピュータや画像読み取り装置等に接続され、受信された画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理装置56とを備えている。
【0058】
画像形成部52は、水平方向に一定の間隔を置いて並列的に配置される複数のエンジンであるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット58Y,58M,58C,58K、この画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kの電子写真感光体10に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト60上に多重転写させる転写ユニット62、画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kに対してレーザ光を照射する光学系ユニット64を備えている。また本体50には、転写ユニット62によって二次転写された記録用紙(シート)上の画像を、熱および圧力を用いて記録用紙に定着させる定着器66を備えている。更に、画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kに対して各色のトナーを供給するためのトナーカートリッジ68Y,68M,68C,68Kが設けられている。
【0059】
転写ユニット62は、中間転写体である中間転写ベルト60を駆動する駆動ロール70、中間転写ベルト60に一定の張力を付与する張力付与ロール71、重畳された各色のトナー像を記録用紙に二次転写するためのバックアップロール72、中間転写ベルト60上に存在する残留トナー等を除去するクリーニング装置73を備えている。中間転写ベルト60は、この駆動ロール70と張力付与ロール71およびバックアップロール72との間に一定の張力で掛け回されており、定速性に優れた専用の駆動モータ(図示せず)によって回転駆動される駆動ロール70により、矢印方向に所定の速度で循環駆動される。この中間転写ベルト60は、例えば、電荷蓄積を起こさないベルト素材(ゴムまたは樹脂)にて抵抗調整されたものが使用されている。クリーニング装置73は、クリーニングブラシ73aおよびクリーニングブレード73bを備えており、トナー像の転写工程が終了した後の中間転写ベルト60の表面から残留トナーや紙粉等を除去して、次の画像形成プロセスに備えるように構成されている。
【0060】
シート搬送系54は、画像が記録される記録用紙(シート)を積載して供給する給紙装置77、給紙装置77から1枚ずつに分離された記録用紙を画像転写部に向けて搬送する搬送路80を備えている。また、搬送路80を介して搬送された記録用紙に対し、二次転写位置に設けられバックアップロール72に圧接して記録用紙上に画像を二次転写する二次転写ロール82を備えている。更に、定着器66によってトナー画像が定着された記録用紙を本体50の機外に排出する排出ロール83、排出ロール83によって排出された記録紙を積載する排出受け84を有する。
【0061】
次に、図8に示す画像形成装置の動作について説明する。図示しない原稿読み取り装置によって読み取られた原稿の色材反射光像や、図示しないパーソナルコンピュータ等にて形成された色材画像データは、画像処理装置56に入力される。画像処理装置56では、入力されたデータに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色のデータに変換され、光学系ユニット64に出力される。
【0062】
光学系ユニット64では、入力されたデータに応じて、半導体レーザ(図示せず)から出射されたレーザ光(LB−Y,LB−M,LB−C,LB−K)を、画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kの電子写真感光体10に照射している。画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kの電子写真感光体10では、帯電された表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kにて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。
【0063】
画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kの電子写真感光体10上に形成されたトナー像は、中間転写体である中間転写ベルト60上に多重転写される。このとき、黒色のトナー像を形成する黒の画像形成ユニット58Kは、中間転写ベルト60の移動方向の最下流側に設けられ、黒色のトナー像は、中間転写ベルト60に対して最後に一次転写される。
【0064】
一方、シート搬送系54では、画像形成のタイミングに合わせて給紙装置77から所定サイズの記録用紙が供給される。その後、トナー像が形成された中間転写ベルト60の移動タイミングに合わせて、記録用紙は、バックアップロール72および二次転写ロール82によって形成される二次転写位置に搬送される。二次転写位置にて下方から上方に向けて搬送される記録用紙には、圧接力および所定の電界を用いて、4色が多重されているトナー像が副走査方向に順次、転写される。そして、各色のトナー像が転写された記録用紙は、定着器66によって熱および圧力で定着処理を受けた後、排出ロール83によって本体50の上部に設けられた排出受け84に排出される。
【0065】
次に、画像形成部52における画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kについて詳述する。
【0066】
図9は、本実施形態に係るプロセスカートリッジ1を備える画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kの構成を説明するための図であり、ここでは、イエロー(Y)の画像形成ユニット58Yとマゼンタ(M)の画像形成ユニット58Mとが示されている。他の画像形成ユニット58C,58Kもほぼ同様に構成されている。
【0067】
画像形成ユニット58Y,58M,58C,58Kは、トナー像を保持させる像保持体としての電子写真感光体10、帯電部材である帯電ロール12を用いて電子写真感光体10を帯電させる帯電器86、帯電器86によって帯電され、光学系ユニット64からのレーザ光(LB−Y,LB−M,LB−C,LB−K)によって電子写真感光体10上に形成された静電潜像を現像ロール14によって現像する現像器87、中間転写ベルト60を挟んで電子写真感光体10に対向して設けられ、電子写真感光体10上に現像されたトナー像を中間転写ベルト60上に転写する一次転写ロール88、転写後に電子写真感光体10上に残った残留トナーを除去するクリーニング装置73を備えている。
【0068】
更に、前述した実施形態では、電子写真画像形成装置としてレーザービームプリンタを例示したが、これに限定する必要はなく、例えば、電子写真複写機、ファクシミリ装置、或いはワードプロセッサ等の電子写真画像形成装置に使用することも可能である。
【実施例】
【0069】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0070】
<電子写真感光体の準備>
(下引層の作製)
酸化亜鉛(平均粒子径70nm、テイカ社製、比表面積値15m2/g)100質量部をテトラヒドロフラン500質量部と撹拌混合し、シランカップリング剤(KBM503、信越化学社製)1.3質量部を添加し、2時間撹拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
【0071】
前記表面処理を施した酸化亜鉛110質量部を500質量部のテトラヒドロフランと撹拌混合し、アリザリン0.6質量部を50質量部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間撹拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、さらに60℃で減圧乾燥を行いアリザリン付与酸化亜鉛を得た。
【0072】
このアリザリン付与酸化亜鉛60質量部と硬化剤(ブロック化イソシアネート、スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部とブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学社製)15質量部をメチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部とメチルエチルケトン25質量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。
【0073】
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)40質量部を添加し、下引層塗布用液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、肉厚1mmのアルミニウム円筒基材上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ18μmの下引層を得た。
【0074】
(電荷発生層の作製)
電荷発生物質としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10質量部、n−酢酸ブチル200質量部を含む混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn−酢酸ブチル175質量部、メチルエチルケトン180質量部を添加し、撹拌して電荷発生層用の塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、25℃で乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0075】
(電荷輸送層の作製)
感光体の電荷輸送層をN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン45質量部及びビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:4万)55質量部をクロルベンゼン800質量部に加えて溶解し、電荷輸送層用塗布液を得た。この塗布液を電荷発生層上に塗布し、130℃、45分の乾燥を行って、膜厚が24μmの電荷輸送層を形成し電子写真感光体Aを得た。
【0076】
<帯電ロールの準備>
(弾性層の形成)
下記混合物をオープンロールで混練りし、SUS303からなる直径9mmの導電性支持体表面に接着層を介してプレス成形機を用いて直径15mmのロールを形成、その後研磨により直径14mmの導電性弾性ロールAを得た。
ゴム材(エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、Gechron3106、日本ゼオン社製) 100質量部
導電剤(カーボンブラック、アサヒサーマル、旭カーボン社製) 15質量部
導電剤(ケッチェンブラックEC、ライオン社製) 5質量部
イオン導電剤(過塩素酸リチウム) 1質量部
加硫剤(硫黄、200メッシュ、鶴見化学工業社製) 1質量部
加硫促進剤(ノクセラーDM、大内新興化学工業社製) 2.0質量部
加硫促進剤(ノクセラーTT、大内新興化学工業社製) 0.5質量部
加硫促進助剤(酸化亜鉛、酸化亜鉛1種、正同化学工業社製) 3質量部
ステアリン酸 1.5質量部
【0077】
(表面層の形成)
下記混合物をビーズミルにて分散し得られた分散液Aを、メチルエチルケトンで希釈し、前記導電性弾性ロールAの表面に浸漬塗布した後、180℃で30分間加熱乾燥し、厚さ7μmの表面層を形成し、帯電ロールAを得た。
高分子材料(飽和共重合ポリエステル樹脂溶液、バイロン30SS、東洋紡績社製) 100質量部
硬化剤(アミノ樹脂溶液、スーパーベッカミンG−821−60、大日本インキ化学工業社製) 26.3質量部
導電剤(カーボンブラック、MONARCH1000、キャボット社製) 10質量部
【0078】
<実施例及び比較例>
電子写真感光体Aと帯電ロールAとを有し、画像形成装置内に装着された状態において帯電ロールの回転軸芯位置が電子写真感光体の回転軸芯位置より下方にあるプロセスカートリッジを、画像形成装置内に装着された状態とは上下逆にして、左右から発砲スチロール製の梱包材(緩衝材)で保持した状態で梱包箱(個装箱)に収納して封緘し、プロセスカートリッジ梱包体を70個作製した。ここで、この70個のプロセスカートリッジ梱包体は、プロセスカートリッジの梱包状態において、帯電ロールの回転軸芯位置がフロント側から見て電子写真感光体の回転軸芯位置の鉛直上方から0度(実施例1)、+10度(実施例2)、+45度(実施例3)、+75度(実施例4)、+90度(比較例1)、+135度(比較例2)、+190度(比較例3)となるようにそれぞれ10個ずつプロセスカートリッジ梱包体を作製した。
【0079】
これらのプロセスカートリッジ梱包体70個を振動試験機(株式会社振研社製G−9223LS型)にセットし、輸送振動をシミューレートしたランダム振動の国際基準であるASTM D4728の以下の表1及び図10に示したトラック輸送条件にてそれぞれのプロセスカートリッジ梱包体について15分間の振動を与えた。なお、パワースペクトル密度は各周波数単位のエネルギー分布を、オーバーオール実効値は全周波数にわたって積分し求めた値である。
【0080】
【表1】
【0081】
その後、振動試験を行った各プロセスカートリッジを画像形成装置(富士ゼロックス製、DocuCentre f450)に装着し、22℃30%RHの条件で最も筋が検出しやすい30%ハーフトーンの画像を1枚形成し、次いで1枚文字画像を形成して、形成した画像を目視により評価して筋の発生レベルを判定した。判定基準は以下の通りである。10個のうちレベルA〜Cが90%以上を合格とした。結果を表2に示す。なお、発生した筋状欠陥の例を図11に示す。図11からわかるように、感光体ドラム1周分の周期で1mm〜1.5mmの筋状の欠陥が発生していることがわかる。
【0082】
レベルA:筋が未発生
レベルB:注視すると微かに筋の存在が見られる
レベルC:ハーフトーンの画像において筋状の画像の存在が微かに確認できるが実用上問題にはならない
レベルD:ハーフトーンの画像において筋状の画像の存在が確認できるが、文字画像では検出できない
レベルE:ハーフトーンの画像ではっきりと筋状の画像の存在が識別でき、文字画像でも微かに筋の存在が分かる
レベルF:ハーフトーンの画像及び文字画像で筋の存在がはっきりと分かる
【0083】
【表2】
【0084】
このように、振動試験の結果、実施例1〜4の梱包体では、電子写真感光体と帯電ロールそれぞれの共振によって、電子写真感光体と帯電ロールが離脱及び接触して、静電メモリが発生することを抑制できることが、本試験で証明できた。他の対策では多大なコストが発生するのに対し、ほとんど費用を掛けずに静電メモリ筋の発生を抑制することができた。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジの構成の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジ梱包体の構成の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジ梱包体の封緘後の状態の一例を示す概略外観図である。
【図4】本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジ梱包体をパレットに載せた状態を示す概略外観図である。
【図5】本発明の実施形態における、帯電ロールと電子写真感光体との間の剥離放電の様子を示す概略図である。
【図6】従来のプロセスカートリッジ梱包体における、帯電ロールが電子写真感光体の下方にある場合の力の掛かり方を示す概略図である。
【図7】本実施形態に係るプロセスカートリッジ梱包体における、帯電ロールが電子写真感光体の上方にある場合の力の掛かり方を示す概略図である。
【図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。
【図9】本発明の実施形態に係る画像形成ユニットの構成の一例を示す概略図である。
【図10】本発明の実施例及び比較例におけるトラック輸送条件を示す図である。
【図11】本発明の比較例において振動試験後に形成した画像の筋状欠陥の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0086】
1 プロセスカートリッジ、10 電子写真感光体、12 帯電ロール、14 現像ロール、16 転写ロール、18 クリーニングブレード、20 記録紙、22 露光装置、24 画像光、26 梱包材、28 梱包箱、30 ばね、50 本体、52 画像形成部、54 シート搬送系、56 画像処理装置、58Y,58M,58C,58K 画像形成ユニット、60 中間転写ベルト、62 転写ユニット、64 光学系ユニット、66 定着器、68Y,68M,68C,68K トナーカートリッジ、70 駆動ロール、71 張力付与ロール、72 バックアップロール、73 クリーニング装置、73a クリーニングブラシ、73b クリーニングブレード、77 給紙装置、80 搬送路、82 二次転写ロール、83 排出ロール、84 排出受け、86 帯電器、87 現像器、88 一次転写ロール。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像保持体と前記像保持体を帯電させる帯電ロールとを有し、画像形成装置内に装着された状態において前記帯電ロールの回転軸芯位置が前記像保持体の回転軸芯位置より下方にあるプロセスカートリッジを、前記画像形成装置内に装着された状態とは上下逆にして梱包することを特徴とするプロセスカートリッジの梱包方法。
【請求項2】
前記プロセスカートリッジが、梱包状態において前記帯電ロールの回転軸芯位置が前記像保持体の回転軸芯位置の鉛直上方から+75度以上−75度以下に位置するように配置及び固定することを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジの梱包方法。
【請求項3】
像保持体と前記像保持体を帯電させる帯電ロールとを有し、画像形成装置内に装着された状態において前記帯電ロールの回転軸芯位置が前記像保持体の回転軸芯位置より下方にあるプロセスカートリッジと、
前記プロセスカートリッジを梱包する梱包箱と、
を有し、
前記プロセスカートリッジが、前記画像形成装置内に装着された状態とは上下逆にして前記梱包箱に梱包されていることを特徴とするプロセスカートリッジ梱包体。
【請求項4】
前記プロセスカートリッジは、梱包状態において前記帯電ロールの回転軸芯位置が前記像保持体の回転軸芯位置の鉛直上方から+75度以上−75度以下に位置するように配置及び固定されていることを特徴とする請求項3に記載のプロセスカートリッジ梱包体。
【請求項5】
前記梱包箱は、前記プロセスカートリッジが梱包されたときの正立方向に商品名、型番、ケアーマークのうち少なくとも1つが印刷されていることを特徴とする請求項3または4に記載のプロセスカートリッジ梱包体。
【請求項1】
像保持体と前記像保持体を帯電させる帯電ロールとを有し、画像形成装置内に装着された状態において前記帯電ロールの回転軸芯位置が前記像保持体の回転軸芯位置より下方にあるプロセスカートリッジを、前記画像形成装置内に装着された状態とは上下逆にして梱包することを特徴とするプロセスカートリッジの梱包方法。
【請求項2】
前記プロセスカートリッジが、梱包状態において前記帯電ロールの回転軸芯位置が前記像保持体の回転軸芯位置の鉛直上方から+75度以上−75度以下に位置するように配置及び固定することを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジの梱包方法。
【請求項3】
像保持体と前記像保持体を帯電させる帯電ロールとを有し、画像形成装置内に装着された状態において前記帯電ロールの回転軸芯位置が前記像保持体の回転軸芯位置より下方にあるプロセスカートリッジと、
前記プロセスカートリッジを梱包する梱包箱と、
を有し、
前記プロセスカートリッジが、前記画像形成装置内に装着された状態とは上下逆にして前記梱包箱に梱包されていることを特徴とするプロセスカートリッジ梱包体。
【請求項4】
前記プロセスカートリッジは、梱包状態において前記帯電ロールの回転軸芯位置が前記像保持体の回転軸芯位置の鉛直上方から+75度以上−75度以下に位置するように配置及び固定されていることを特徴とする請求項3に記載のプロセスカートリッジ梱包体。
【請求項5】
前記梱包箱は、前記プロセスカートリッジが梱包されたときの正立方向に商品名、型番、ケアーマークのうち少なくとも1つが印刷されていることを特徴とする請求項3または4に記載のプロセスカートリッジ梱包体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−281858(P2008−281858A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127068(P2007−127068)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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