説明

プロセスコントロール装置

【課題】冷却フアンの寿命を均等に延長させることで定期交換周期を延ばし、メンテナンス性が向上できるプロセスコントロール装置を実現する。
【解決手段】収納された電気部品を冷却する常時使用用の冷却ファンと、予備用の冷却ファンとを有するキャビネットを具備するプロセスコントロール装置において、前記常時使用用の冷却ファンと前記予備用の冷却ファンとの全ての冷却ファンの残り寿命時間がほぼ均等になるように前記全ての冷却ファンを所定時間ごとに順次切り替えて使用して前記予備用の冷却ファンの数だけ前記全ての前記冷却ファンを順次休止させるようにされた冷却ファン稼働停止制御装置を具備したことを特徴とするプロセスコントロール装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスコントロール装置に関するものである。
更に詳述すれば、冷却フアンの寿命を均等に延長させることで定期交換周期を延ばし、メンテナンス性が向上できるプロセスコントロール装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5は従来より一般に使用されている従来例の要部構成説明図である。
図において、キャビネット1に格納された電気機器2は、発熱による劣化や故障を避けるために冷却ファン3によって冷却されている。
予備の冷却ファン4は、冷却ファン3が偶発故障などにより使用できなくなった場合、代替品として稼動して機器の冷却を行う。
【0003】
この場合は、予備の冷却ファン4は、プロセスコントロール装置の重要性に鑑み、故障の冷却ファン3に直ちに取って代われるように、キャビネット1内に配置されている。
冷却ファン3の正常動作確認用として、キャビネット内のキャビネット監視装置5内に設置されたファン回転数監視回路6は、冷却ファン3の回転数7を監視して、回転数が一定値以下に下がるとファン回転数異常アラーム8を出力する。
【0004】
ファン回転数異常アラーム8を受け取ったアラーム表示装置9は、ユーザにファン回転数異常を知らせる。
冷却ファン3と予備の冷却ファン4とは、一般的に稼動時間の総和によって寿命が規定されており、例えば、寿命=30,000時間、3年間など、が規定されている。
したがって、寿命に達する前に交換が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−114553号公報
【特許文献2】特開平11−299757号公報
【特許文献3】特開2002−374086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような装置においては、以下の問題点がある。
冷却ファン3の寿命を3年間と仮定すると、予備の冷却ファン4を使用する・しないにかかわらず、必ず3年後に冷却ファン3の交換をしなければならない。
これは、キャビネット全体のメンテナンス定期周期に制限を与えることになる。
【0007】
冷却ファン3の故障で予備の冷却ファン4を使用した場合、途中で切り替えた予備の冷却ファン4が寿命に至る前に、他の冷却ファン3との関係で、全体として交換しなければならなくなる。
つまり、予備の冷却ファン4を代替品として使用した場合にも、未だ寿命のある予備の冷却フアン4の無駄が発生する。
【0008】
本発明の目的は、上記の課題を解決するもので、冷却フアンの寿命を均等に延長させることで定期交換周期を延ばし、メンテナンス性が向上できるプロセスコントロール装置を提供する。
冷却フアンが故障した場合でも、残った全てのフアンが寿命に至るまで使用可能にし、無駄を無くし、メンテナンス費が削減出来るプロセスコントロール装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を達成するために、本発明では、請求項1のプロセスコントロール装置においては、
収納された電気部品を冷却する常時使用用の冷却ファンと、予備用の冷却ファンとを有するキャビネットを具備するプロセスコントロール装置において、前記常時使用用の冷却ファンと前記予備用の冷却ファンとの全ての冷却ファンの残り寿命時間がほぼ均等になるように前記全ての冷却ファンを所定時間ごとに順次切り替えて使用して前記予備用の冷却ファンの数だけ前記全ての前記冷却ファンを順次休止させるようにされた冷却ファン稼働停止制御装置を具備したことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項2のプロセスコントロール装置においては、請求項1記載のプロセスコントロール装置において、
前記冷却ファン稼働停止制御装置は、前記冷却ファンの稼働をカウントするタイマーと、このタイマーからの信号により稼働する冷却ファンを決定する冷却ファンセレクタと、この冷却ファンセレクタからの信号に基づき前記冷却ファンの稼働停止を制御する冷却ファン稼働停止制御回路と、を具備したことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項3のプロセスコントロール装置においては、請求項1又は請求項2記載のプロセスコントロール装置において、
前記キャビネット監視装置に設けられ、冷却ファンの回転数から冷却ファンの稼働時間をカウントする稼働時間カウンターと、この稼働時間カウンターの信号に基づき前記冷却ファンの規定寿命に近づいたら前記冷却ファンの交換アラームを出力する交換アラーム回路と、を具備したことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項4の測定プローブにおいては、請求項1乃至請求項3の何れかに記載のプロセスコントロール装置において、
前記キャビネット監視装置に設けられ、冷却ファンの回転数から冷却ファンの稼働時間をカウントする稼働時間カウンターと、この稼働時間カウンターの信号と前記冷却ファンの規定寿命とから交換時までの残り時間を演算して残り時間の信号を出力する残り時間演算回路と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1によれば、次のような効果がある。
稼動させる冷却フアンを順番に切り替えることで全てのフアンの寿命を均等に延長することが出来るプロセスコントロール装置が得られる。
フアンが故障した場合でも、残った全てのフアンが寿命に至るまで使用可能にし、無駄を無くすことが出来るプロセスコントロール装置が得られる。
【0014】
具体的な効果として、
ファンの交換周期を延長させて、キャビネット全体のメンテナンス性を向上させることが出来る。この結果、メンテナンスを行うサービスエンジニアの作業費の削減や、メンテナンスのためのシステム制約(メンテナンス中システムはストップさせる等)の緩和が期待できるプロセスコントロール装置が得られる。
【0015】
例えば、他の機器の交換周期が5年であったとしても、ファンの交換周期である3年にあわせてメンテナンス周期を調整しなければならないなどの問題を解決することが可能となるプロセスコントロール装置が得られる。
予備用ファンの有効活用が出来るプロセスコントロール装置が得られる。
【0016】
本発明の請求項2によれば、次のような効果がある。
冷却ファン稼働停止制御装置は、冷却ファンの稼働をカウントするタイマーと、このタイマーからの信号により稼働する冷却ファンを決定する冷却ファンセレクタと、この冷却ファンセレクタからの信号に基づき冷却ファンの稼働停止を制御する冷却ファン稼働停止制御回路とが設けられたので、簡潔に構成出来、安価なプロセスコントロール装置が得られる。
【0017】
本発明の請求項3によれば、次のような効果がある。キャビネット監視装置に設けられ、冷却ファンの回転数から冷却ファンの稼働時間をカウントする稼働時間カウンターと、
この稼働時間カウンターの信号に基づき、冷却ファンの規定寿命に近づいたら、冷却ファンの交換アラームを出力する交換アラーム回路と、が設けられたので、冷却ファンの交換時期を確実に知ることが出来るプロセスコントロール装置が得られる。
【0018】
本発明の請求項4によれば、次のような効果がある。
前記キャビネット監視装置に設けられ、冷却ファンの回転数から冷却ファンの稼働時間をカウントする稼働時間カウンターと、
この稼働時間カウンターの信号と前記冷却ファンの規定寿命とから交換時までの残り時間を演算して残り時間の信号を出力する残り時間演算回路と、が設けられたので、確実に、冷却ファンの交換準備があらかじめ余裕をもって出来るプロセスコントロール装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例の要部構成説明図である。
【図2】図1の動作説明図である。
【図3】本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
【図4】本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
【図5】従来より一般に使用されている従来例の要部構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下本発明を図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例の要部構成説明図、図2は図1の動作説明図である。
図において、図5と同一記号の構成は同一機能を表す。
以下、図5との相違部分のみ説明する。
【0021】
図1において、冷却ファン稼働停止制御装置21は、キャビネット監視装置20に設けられ、常時使用用の冷却ファン3と予備用の冷却ファン4との全ての冷却ファンの残り寿命時間がほぼ均等になるように、全ての冷却ファン3,4を、所定時間ごとに順次切り替えて使用して、予備用の冷却ファンの数だけ、全ての冷却ファン3,4を順次休止させるようにされている。
【0022】
この場合は、冷却ファン稼働停止制御装置21は、冷却ファンの稼働をカウントするタイマー211と、このタイマー211からの信号により稼働する冷却ファン3,4を決定する冷却ファンセレクタ212と、この冷却ファンセレクタ212からの信号に基づき冷却ファンの稼働停止を制御する冷却ファン稼働停止制御回路213とが設けられている。
【0023】
以上の構成において、常時必要な台数は稼動を維持しながら稼動させるフアンを一定時間ごとに切り替え、全てのフアンの稼動時間が等しくなるように制御を行う。
【0024】
この結果、キャビネット全体の稼動時間に対して冷却ファン3,4の1個あたりの稼動時間を短くすることができ、フアンの寿命を均等に延長することが可能となる。
即ち、稼動させる冷却フアン3,4を順番に切り替えることで全てのフアン3,4の寿命を均等に延長することが出来るプロセスコントロール装置が得られる。
【0025】
なお、冷却ファン3,4の中で、偶発故障などにより使用不可のフアンが発生したら、それを除く残りの冷却ファン3,4で上記の切り替え稼動動作を継続する。
したがって、冷却ファン3,4が故障した場合でも、残った全ての冷却ファン3,4が寿命に至るまで使用可能にし、無駄を無くすことが出来るプロセスコントロール装置が得られる。
【0026】
より具体的に示す例を図2に示し、稼動フアン切り替の概要を示す。
図2では例として、4個の冷却ファンを実装している構成で、3個の冷却フアンを常時稼動させる必要がある場合を示す。
図3の上下方向は経過年数を示す。矢印の付いている冷却ファン3,4は稼働している冷却ファンを示す。
この場合は、停止させるフアン1個を0.5年ずつ切り替えており、フアン単体では3年の寿命だったのが、4個トータルとして4年に延びていることが分かる。
【0027】
具体的な効果として、
冷却ファン3,4の交換周期を延長させて、キャビネット全体のメンテナンス性を向上させることが出来る。この結果、メンテナンスを行うサービスエンジニアの作業費の削減や、メンテナンスのためのシステム制約(メンテナンス中システムはストップさせる等)の緩和が期待できるプロセスコントロール装置が得られる。
【0028】
例えば、他の機器の交換周期が5年であったとしても、ファンの交換周期である3年にあわせてメンテナンス周期を調整しなければならないなどの問題を解決することが可能となるプロセスコントロール装置が得られる。
予備用ファンの有効活用が出来るプロセスコントロール装置が得られる。
【0029】
冷却ファン稼働停止制御装置21は、冷却ファンの稼働をカウントするタイマー211と、このタイマー211からの信号により稼働する冷却ファン3,4を決定する冷却ファンセレクタ212と、この冷却ファンセレクタ212からの信号に基づき冷却ファン3,4の稼働停止を制御する冷却ファン稼働停止制御回路213とが設けられたので、簡潔に構成出来、安価なプロセスコントロール装置が得られる。
【0030】
図3は、本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
図3において、稼働時間カウンター31は、キャビネット監視装置30に設けられ、冷却ファン3,4の回転数から冷却ファン3,4の稼働時間をカウントする。
交換アラーム回路32は、この稼働時間カウンター31の信号に基づき、冷却ファン3,4の規定寿命に近づいたら冷却ファン3,4の交換アラーム33を出力する。
交換アラーム表示装置34は、交換アラーム回路32からの交換アラーム33を表示する。
この場合は、交換アラーム表示装置34は、アラーム表示装置9が兼用されている。
【0031】
この結果、冷却ファンの交換時期を、確実に知ることが出来るプロセスコントロール装置が得られる。
【0032】
図4は、本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
図4において、稼働時間カウンター31は、キャビネット監視装置40に設けられ、冷却ファン3,4の回転数から冷却ファン3,4の稼働時間をカウントする。
残り時間演算回路41は、この稼働時間カウンター31の信号と冷却ファン3,4の規定寿命とから、交換時までの残り時間を演算して残り時間信号42を出力する。
この場合は、残り時間表示装置43は、残り時間演算回路41からの残り時間信号42を表示する。
この場合は、残り時間表示装置43は、アラーム表示装置9が兼用されている。
【0033】
この結果、確実に、あらかじめ冷却ファンの交換準備が余裕をもって出来るプロセスコントロール装置が得られる。
【0034】
なお、以上の説明は、本発明の説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。
したがって本発明は、上記実施例に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で更に多くの変更、変形をも含むものである。
【符号の説明】
【0035】
1 キャビネット
2 電気機器
3 冷却ファン
4 予備の冷却ファン
5 キャビネット監視装置
6 ファン回転数監視回路
7 回転数
8 ファン回転数異常アラーム
9 アラーム表示装置
20 キャビネット監視装置
21 冷却ファン稼働停止制御装置
211 タイマー
212 冷却ファンセレクタ
213 冷却ファン稼働停止制御回路
30 キャビネット監視装置
31 稼働時間カウンター
32 交換アラーム回路
33 交換アラーム
34 交換アラーム表示装置
40 キャビネット監視装置
41 残り時間演算回路
42 残り時間信号
43 残り時間表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納された電気部品を冷却する常時使用用の冷却ファンと、予備用の冷却ファンとを有するキャビネットを具備するプロセスコントロール装置において、
前記常時使用用の冷却ファンと前記予備用の冷却ファンとの全ての冷却ファンの残り寿命時間がほぼ均等になるように前記全ての冷却ファンを所定時間ごとに順次切り替えて使用して前記予備用の冷却ファンの数だけ前記全ての前記冷却ファンを順次休止させるようにされた冷却ファン稼働停止制御装置
を具備したことを特徴とするプロセスコントロール装置。
【請求項2】
前記冷却ファン稼働停止制御装置は、前記冷却ファンの稼働をカウントするタイマーと、
このタイマーからの信号により稼働する冷却ファンを決定する冷却ファンセレクタと、
この冷却ファンセレクタからの信号に基づき前記冷却ファンの稼働停止を制御する冷却ファン稼働停止制御回路と、
を具備したことを特徴とする請求項1記載のプロセスコントロール装置。
【請求項3】
前記キャビネット監視装置に設けられ、冷却ファンの回転数から冷却ファンの稼働時間をカウントする稼働時間カウンターと、
この稼働時間カウンターの信号に基づき前記冷却ファンの規定寿命に近づいたら前記冷却ファンの交換アラームを出力する交換アラーム回路と、
を具備したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のプロセスコントロール装置。
【請求項4】
前記キャビネット監視装置に設けられ、冷却ファンの回転数から冷却ファンの稼働時間をカウントする稼働時間カウンターと、
この稼働時間カウンターの信号と前記冷却ファンの規定寿命とから交換時までの残り時間を演算して残り時間の信号を出力する残り時間演算回路と、
を具備したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のプロセスコントロール装置。

【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−109471(P2012−109471A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258445(P2010−258445)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】