説明

プロセス計器から得て安全に改ざん防止したデータを供給する方法

【解決手段】プロセス変数を計測するために用いられるフィールド機器40は、プロセスデータ及びこれに関連するタイムスタンプを保存することにより、データ履歴管理にも利用することができる。保存したプロセスデータに対する要求に応答し、フィールド機器40は、暗号及び秘密の手順を用い、プロセスデータとタイムスタンプとを含む非暗号化情報と共に供給される暗号化認証文字列を生成する。フィールド機器の保全データベース、並びにフィールド機器に関連付けられた暗号及び秘密の手順を維持管理する認証組織は、認証文字列を用いて非暗号化情報を認証することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取り扱いに慎重を要するプロセス情報の収集及び報告に関し、具体的には、工業プロセスを監視するために用いられる計器から得られたデータの認証に関する。
【背景技術】
【0002】
工業プロセス制御システムにおいては、圧力、温度、流量、液位、伝導度、ペーハーなどのようなプロセス変数を計測するセンサ或いは計器を有したフィールド機器を用いるのが一般的である。このようなフィールド機器は、計測されたプロセス変数の監視を行う制御室と、有線または無線通信リンクによって接続されている。
【0003】
フィールド機器による計測結果を示すデータを保存し、後で精査できるようにすることは一般的に行われている。例えば、時間と相関させて1つ以上のプロセス変数を示すために紙の図表を用いることがある。また、収集されたデータは、政府監督機関や業界の利害関係者(公益企業、商品消費者、政府機関により統制された化学薬品製造業者、並びに食品医薬品局及び環境保護局のような機関によって統制された顧客など)によって利用可能とされることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
得られたデータが示される図表を時間が経過してから使用する場合には、信頼性や正確性に関する問題が生じると共に、その図表に示されるデータについて改ざんの可能性が生じる。得られたプロセス情報を保存して報告するような電子システムにおいても、保存されたデータに対する機密保持及びデータの正確性についての認証を怠った場合には、同様の問題が生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
工場のフィールド機器にロードされた暗号を用いることにより、工業プロセス制御システムによって生成されたプロセスデータの認証が行われる。フィールド機器によって作成されるデータには、これと関連付けて前記暗号に基づきフィールド機器が生成する認証文字列(例えば、チェックサム或いは周期冗長検査コードのような暗号化検査コード)が含まれている。
【0006】
プロセスデータ及びこれと関連付けられた認証文字列は、フィールド機器毎に対応する暗号とフィールド機器とを関連付けるデータベースを用い、フィールド機器の製造業者のような第三者が認証することも可能である。プロセスデータ及び認証文字列のいずれかが変造されている場合(例えば、改変されていた場合或いは破損していた場合)、解読された認証文字列を変造の存在の確認に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】工業プロセスのフィールド機器が検出して保存したプロセスデータを認証するための方法及びシステムを例示する図である。
【図2】図1の方法及びシステムにおいて使用可能なフィールド機器を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、工業プロセスのフィールド機器或いは計器によって得られたプロセスデータを保存し、後に認証可能として、上記プロセスデータが改変やその他の改ざんを受けていないことを、当該データを必要とする当事者が確認するようにした方法を示している。処理手順10は、フィールド機器の製造時に開始される。製造業者は、フィールド機器の不揮発性メモリに秘密鍵または暗号をロードする。更に、フィールド機器は、不揮発性メモリに記憶された暗号体系がプログラムされており、この暗号体系により、現場で保存されるプロセスデータの認証文字列(または暗号化された検査コード)を生成する際の秘密の手順が規定されるようになっている。
【0009】
暗号は製造業者によって秘密が保持され、一般的にはランダムに生成された数字が使用される。製造業者は、フィールド機器の製造番号と当該フィールド機器用の暗号とを保全データベスに保存する(ステップ14)。
【0010】
その後、フィールド機器はユーザに販売されて配送され、ユーザは工業プロセス監視/制御システムの一部として、このフィールド機器を設置する(ステップ16)。例えば、このフィールド機器は、二線式回線を介して制御室に接続されていてもよいし、有線のマルチドロップネットワークに接続されていてもよいし、無線メッシュネットワークのような無線デジタルネットワーク内に設置されてもよい。
【0011】
このような設置作業の一部として、特定の使用目的に応じ、ユーザがフィールド機器の環境設定を行う。例えば、フィールド機器によって検出されるプロセス変数の最大値及び最小値をユーザが規定することにより、プロセス変数が正常範囲を逸脱した場合に、フィールド機器が報知できるようにしてもよい。また、ユーザは、後の報告のため、フィールド機器が保存すべきプロセスデータや、データを保存する頻度を定義してもよい。但し、ユーザには、暗号へのアクセスもしくは暗号の変更、またはフィールド機器が認証処理の一部として認証文字列(または暗号化検査コード)を生成するために使用する暗号化方法を規定した暗号体系へのアクセスが許容されないようになっている。
【0012】
フィールド機器が設置されて作動すると、このフィールド機器は1つ以上のプロセス変数の計測を開始する(ステップ18)。プロセス変数は、例えば差圧、ゲージ圧力、絶対圧力、温度、流量、液位、伝導度、ペーハー等である。フィールド機器は、1つの一次プロセス変数(例えば圧力)と、計測された一次プロセス変数を補償するための1つ以上の二次プロセス変数(周囲温度など)を検出するようにしてもよい。
【0013】
フィールド機器は計測されたプロセス変数の情報を制御室に送信し、制御室ではプロセス変数の情報を表示したり、帯状記録紙記録計に記録したり、或いはプロセス変数の情報をプロセス制御システムの入力として用いたりすることができる。フィールド機器の出力は、プロセス変数に相関して例えば4mAから20mAまでの間で変化するようなアナログ信号の形式としてもよい。或いはこれに代えて、フィールド機器の出力を、例えばHARTプロトコルまたはファウンデーション・フィールドバス(Foundation Fieldbus)プロトコルを用いて送信されるようなデジタル信号の形式とすることもできる。
【0014】
フィールド機器は、プロセスデータを、これと関連するタイムスタンプと共に周期的に保存する(ステップ22)。プロセスデータは、1つまたは複数のプロセス変数を表すものとすることができ、プロセス変数が特定の範囲内にあるか否かを示すデータを含むようにしてもよい。また、フィールド機器の作動に関する診断データをプロセスデータの一部として保存するようにしてもよい。
【0015】
一般的に、タイムスタンプには時刻のほかに日付も含まれる。これらプロセスデータ及びタイムスタンプは、暗号化されずにフィールド機器の不揮発性メモリに保存される。プロセスデータを不揮発性メモリに保存することにより、万一フィールド機器に対して停電が生じた場合であっても、データを失わずにすむ。
【0016】
フィールド機器は、プロセス変数の計測を継続し、その出力を制御室に送信し、タイムスタンプと共にプロセスデータを周期的に保存する。フィールド機器の不揮発性メモリへのプロセスデータ及びタイムスタンプの保存は、保存されたプロセスデータに対する要求が発せられる(ステップ24)まで継続する。プロセスデータの要求は、ユーザ、ユーザの顧客、或いは政府監督機関が行うようにしてもよい。例えば、ユーザは、顧客もしくは政府機関からの要求に応じ、自身による品質管理処理のため、もしくは公的規制を遵守するべく自身による監視のためにプロセスデータの要求を行い、またはプロセスデータ及びタイムスタンプを後で認証可能な状態を維持しつつ、保存されたプロセスデータ及びタイムスタンプをフィールド機器から更に大きなデータベースに転送するためにプロセスデータの要求を行う。
【0017】
ユーザの顧客は、自身による品質保証プログラムのため、または顧客のためにユーザが行っている製造工程が公的規制に適合していることを確認するためにプロセスデータの要求を行うようにしてもよい。一般的に、顧客は、認証されたプロセスデータを得る作業を開始するために、ユーザに対してこのような要求を行う。
【0018】
政府監督機関は、ユーザを介してプロセスデータの要求を行うようにしてもよいし、政府監督機関がフィールド機器から直接データを取得するような査察を行うようにしてもよい。(顧客のみならず)政府監督機関によるこのような要求は、抜き打ちで行われるようにすることもできる。
【0019】
プロセスデータに対する要求に応答し、フィールド機器は、保存されているプロセスデータ及びタイムスタンプを、暗号化検査コードまたは暗号化認証文字列と共に供給する(ステップ26)。これらのプロセスデータ及びタイムスタンプは、暗号化されない状態で供給され、ユーザ、顧客、或いは政府監督機関がデータを読み取ることができるようにしている。また、供給される情報には、ユーザの名称の識別、フィールド機器が使用される特定のプロセスの識別、フィールド機器の様式、フィールド機器の型式または製造番号、及びプロセス変数の限界値といった設定情報を含めるようにしてもよい。また、供給される情報には、タイムスタンプ(日付及び時刻)、プロセス変数、並びにプロセス変数の状態(即ち、予め設定した限界値に基づき、プロセス変数が制限範囲内にあるか否か)も含まれるようにするのが一般的である。
【0020】
暗号化検査コードまたは暗号化認証文字列は、暗号または秘密鍵と、暗号化検査コードまたは暗号化認証文字列を生成するための秘密の手順とを用い、フィールド機器が生成する。例えば、フィールド機器は、報告された全ての情報を得た後、周期冗長検査(CRC)コードを生成する。次に、フィールド機器は、フィールド機器に保存されているフィールド機器毎に固有の暗号を用い、このCRCコードを暗号化する。秘密鍵または暗号、当該秘密鍵または暗号を用いる秘密の手順、及び暗号化されていない上記の情報を用いて、認証文字列または暗号化検査コードを生成する際には、別の手法を用いることも可能である。
【0021】
一実施形態では、制御室においてプロセスデータの要求が生成され、この要求が、フィールド機器と制御室との間で通信が行われる回線またはネットワークを通してフィールド機器に送られる。次に、プロセスデータ、タイムスタンプ、及び関連する情報が、認証文字列と共にフィールド機器によって制御室に送信される。
【0022】
別の実施形態として、フィールド機器への要求の送信と、フィールド機器からの暗号化されていない上記の情報及び暗号化検査コードの受信との両方に、フィールド機器と直接通信可能なハンドヘルド機器を用いるようにしてもよい。このハンドヘルド機器は、回線もしくはネットワーク、またはフィールド機器の接続端子に接続可能であってもよいし、無線によりフィールド機器と接続可能であってもよい。
【0023】
別の実施形態では、フィールド機器が、プロセスデータ及びタイムスタンプを保存可能な、フラッシュメモリーカードのような着脱式記憶素子を有している。ユーザ、顧客または政府監督機関がフィールド機器から着脱式記憶素子を取り外そうとすると、この着脱式記憶素子が取り外し可能となる前に、まず認証文字列が生成されて着脱式記憶素子に保存される。このようにして、着脱式記憶素子には、着脱式記憶素子に保存されている情報が改ざんされたり変造されたりしていないことを認証するために必要な認証文字列と共に、暗号化されていない上記の情報が格納される。
【0024】
フィールド機器に更なるプロセスデータを保存できる余地を得るためにユーザがプロセスデータの要求を行うと、データ及び暗号化認証文字列は、まずフィールド機器からデータベースに保存される(ステップ28)。これらデータ及び暗号化認証文字列は一緒に保存されるので、フィールド機器から更に大きなデータベースに移動した場合であっても、そのデータを後で認証することが可能となる。
【0025】
データの認証が必要になると、データ及び暗号化認証文字列が認証を受けるために製造業者または認証組織に送られる(ステップ30)。認証組織は、製造業者自身によって運用されていてもよいし、製造業者が製造したフィールド機器について保存されている製造番号及び暗号、並びに暗号化認証文字列の生成に用いられた秘密の手順に関する情報の提供を受けた独立の組織であってもよい。
【0026】
次に、製造業者または認証組織は、プロセスデータを生成した特定のフィールド機器の製造番号に関連付けられた暗号化認証文字列及び暗号を用いることにより、データの認証を行う。例えば、非暗号化データ、暗号化認証文字列、暗号、及び当該データを生成したフィールド機器が使用したのと同じ秘密の手順を用い、製造業者または認証組織は、当該データに与えられているものに合致する暗号化検査コードまたは認証文字列を生成しなければならない。或いは、これに代えて、製造業者または認証組織が、認証文字列を解読してCRCコードのような非暗号化検査コードを生成した後、非暗号化データに対してCRCを実行して合致が得られるか否かを確認することも可能である。次に、製造業者または認証組織は、ユーザ、顧客、或いは政府監督機関のような利害関係者に、そのデータが正当なものであるか否か、またはそのデータ及び認証文字列の少なくとも一方に対して改ざんが行われたか否かを報告する。
【0027】
図2はフィールド機器40を例示するブロック図であって、このフィルド機器40は、図1に示す方法10について使用することが可能なフィールド機器の一例である。フィールド機器40は、センサ50、信号処理回路52、中央処理ユニット(CPU)54、不揮発性メモリ56、ランダムアクセスメモリ(RAM)58、フラッシュメモリ60、アクセスコントロール部62及び通信インタフェース64を有している。
【0028】
センサ50は、1つ以上のプロセスパラメータ(即ちプロセス変数)を検出し、信号処理回路52に検出信号を供給する。検出信号には、一次プロセス変数(例えば圧力)と二次プロセス変数(例えば温度)とが含まれていてもよい。この二次プロセス変数は、一次プロセス変数を表す検出信号を補正または補償するために、CPU54が用いるようにしてもよい。
【0029】
一般的に、信号処理回路52には、CPU54が使用可能な形式に検出信号を変換するため、フィルタリングやその他の信号処理に加え、アナログ・デジタル変換回路を有している。例えば、信号処理回路52は、デジタル化されて濾過された検出信号をCPU54に供給するための、1つ以上のシグマ・デルタ型アナログ・デジタル変換器及びデジタルフィルタを有していてもよい。
【0030】
CPU54はフィールド機器40の作動を制御する。CPU54は、受け取ったデータを処理し、センサ50及び信号処理回路52が発した検出信号を受け取って保存し、フィールド機器40から送信しようとする通信に含めるべきデータを生成し選択する。また、CPU54は、保存されたプロセスデータ及びこれに関連する(CRCコードのような)情報のための検査コードを生成するのに用いる秘密の手順を実行し、この検査コードを暗号化して暗号化認証文字列を生成する。一般的にCPU54は、不揮発性メモリ56、ランダムアクセスメモリ58及びフラッシュメモリ60のようなメモリと組み合わせて用いられるマイクロプロセッサである。
【0031】
不揮発性メモリ56は、認証文字列の生成に使用する秘密の手順を含め、CPU54が用いるアプリケーションプログラムを保存している。また、不揮発性メモリ56は、フィールド機器40用に保存されている設定データ、及び補正データのほか、暗号を含め、フィールド機器40の作動を制御するためにCPU54が要求する情報を取得する。一実施形態では、フィールド機器40の全ての設定データを保存するためのEEPROM記憶素子が不揮発性メモリ56に含まれる。この設定データは、設定処理の際にフィールド機器40にアップロードされるようにすることも可能であり、フィールド機器40からダウンロードされるようにすることも可能である。但し、記憶されている暗号、及び秘密の手順に関する暗号体系については、これら暗号及び秘密の手順のいずれに対しても権限なくアクセスすることができないようにするため、ダウンロードすることができないようになっている。
【0032】
フラッシュメモリ60には、上述したような着脱式メモリカードを含めることも可能である。このような実施形態の場合、フラッシュメモリ60は、このメモリカードを取り外そうとすると、これをCPU54に通知するアクセスコントロール部62を有している。このときCPU54は、メモリカードが取り外される前に、認証文字列を生成してメモリカードに保存する。
【0033】
通信インタフェース64は、フィールド機器40と回線またはネットワークとのインタフェースとして機能する。通信インタフェース64は、デジタル出力に加え、アナログ出力も行うようにすることが可能であり、フィールド機器40が無線ネットワークの一部を構成する場合には、無線トランシーバを有していてもよい。通信インタフェースは、回線またはネットワークから(認証しようとするプロセスデータの要求を含む)通信を受け取り、この通信をCPU54に送る。
【0034】
上記のデータ認証方法においては、フィールド機器40をデータ履歴管理に利用する。フィールド機器が正常に作動している間は、ユーザが設定可能な時間間隔でプロセスデータ及びこれに関連するタイムスタンプが保存されていく。データを収集して保存する頻度は、監視しようとするプロセスの内容、監視するプロセス変数の変動性、並びに適用されうるあらゆる公的規制に加えユーザ及び顧客による特定のプロセス・品質管理要求に応じて選定することが可能である。
【0035】
プロセスデータ及びタイムスタンプではなく認証文字列のみを暗号化することにより、ユーザは、プロセスデータを精査して品質及び規制事項が満たされていることを確認することが可能となる。この認証文字列によって、ユーザ、顧客、或いは政府監督機関は、提供された非暗号化データが改ざんされていないとの認証を得ることが可能となる。
【0036】
暗号及び秘密の手順は製造業者(或いは認証組織)のみに知らされ、ユーザには知らされないので、上述した方法により、プロセスデータを電子的に保存してプロセスデータの履歴またはアーカイブを形成しておき、後に顧客や政府監督機関との間で万一争いが生じたとしても、この履歴またはアーカイブを利用してプロセスデータを認証することが可能となる。
【0037】
データの認証処理は、製造業者またはデータ認証組織にある保全データベースに保存されている情報を用いて行われる。この結果、データ及び暗号化認証文字列を製造業者または認証組織に電子的に送信することより、迅速に認証処理を行うことが可能となる。従って、オンラインによるデータ認証も可能である。
【0038】
フィールド機器は、タイムスタンプと共にプロセスデータを継続的に保存するので、政府監督機関が監査または検査を行う対象として選定したときにはいつでも、ユーザがプロセスデータにアクセスすることが可能である。データ及び暗号化認証文字列を、更に大きなデータベースに保存できるようにすることで、ユーザは、フィールド機器が収集したデータを長期にわたって維持しつつ、必要なときにはいつでもデータを認証することが可能となる。
【0039】
上述した方法は、公的規定により円グラフ記録器を使用するように求められている場合であっても有用である。円グラフ記録器のインクがなくなってしまったり、その他の不具合により、万一ある期間にわたって円グラフを使用できなくなった場合であっても、上述した方法によれば、重要なプロセスデータについて信頼性のあるバックアップを得ることができる。
【0040】
好ましい実施形態に基づき本発明を説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく形状や詳細構造を変更してもよいことが判るであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ認証用の暗号及び秘密の手順を保存して有するフィールド機器を用い、前記工業プロセスのプロセス変数を検出する工程と、
前記プロセス変数を示すフィールド機器データを周期的に保存する工程と、
データ要求に応答し、前記保存したフィールド機器データ、前記暗号、及び前記秘密の手順を用いて前記フィールド機器が生成した暗号化認証文字列と共に、前記保存したフィールド機器データを提供する工程と、
前記保存したフィールド機器データを前記認証文字列に基づいて認証するため、前記フィールド機器が用いた前記暗号及び秘密の手順を知らされている第三者の認証者に対し、前記保存したフィールド機器データ及び前記認証文字列を提供する工程と
を備えることを特徴とする、工業プロセスに関する認証データの供給方法。
【請求項2】
前記保存したフィールド機器データは、前記プロセス変数を示すプロセスデータと、これに関連するタイムスタンプとを含むことを特徴とする請求項1に記載の工業プロセスに関する認証データの供給方法。
【請求項3】
前記保存したフィールド機器データは、前記プロセス変数が特定の範囲内にあったか否かを示すデータを更に含むことを特徴とする請求項2に記載の工業プロセスに関する認証データの供給方法。
【請求項4】
前記フィールド機器は、前記フィールド機器内に有する不揮発性メモリに前記フィールド機器データを保存することを特徴とする請求項1に記載の工業プロセスに関する認証データの供給方法。
【請求項5】
前記保存したフィールド機器データは、前記フィールド機器を識別するデータを含むことを特徴とする請求項1に記載の工業プロセスに関する認証データの供給方法。
【請求項6】
フィールド機器と暗号とを関連付ける保全データベースを維持する工程を更に備えることを特徴とする請求項5に記載の工業プロセスに関する認証データの供給方法。
【請求項7】
前記暗号化認証文字列の生成は、
前記保存されたフィールド機器データに基づく周期冗長検査(CRC)コードを生成する工程と、前記暗号を用いて前記周期冗長検査(CRC)コードを暗号化する工程とを備えることを特徴とする請求項1に記載の工業プロセスに関する認証データの供給方法。
【請求項8】
フィールド機器が作成したプロセスデータの履歴を前記フィールド機器内に保存する工程と、
要求に応答し、前記プロセスデータ、前記フィールド機器に保存された暗号、及び前記フィールド機器内にプログラムされた秘密の手順に基づき、暗号化認証文字列を生成する工程と、
前記暗号化認証文字列と共に、前記プロセスデータの履歴を含む情報を暗号化せずに提供する工程と
を備えることを特徴とする、認証プロセスデータ履歴の供給方法。
【請求項9】
前記認証文字列に基づき前記情報を認証するために、前記情報及び前記暗号化認証文字列を提供する工程を更に備えることを特徴とする請求項8に記載の認証プロセスデータ履歴の供給方法。
【請求項10】
前記認証文字列を生成したフィールド機器を識別する工程と、
識別された前記フィールド機器と関連付けられた暗号を判別する工程と、
前記認証文字列及び識別された前記フィールド機器と関連付けられた前記暗号を用い、前記情報が正当なものであるか否かを判定する工程と
を更に備えることを特徴とする請求項9に記載の認証プロセスデータ履歴の供給方法。
【請求項11】
フィールド機器に暗号を保存する工程と、
プロセスデータを周期的に保存し、保存したプロセスデータに対する要求に応答して、前記保存したプロセスデータと前記暗号とを用いて暗号化認証文字列を生成し、前記保存したプロセスデータと前記フィールド機器の識別とを暗号化せずに前記暗号化認証文字列と共に送出するよう前記フィールド機器をプログラムする工程と、
前記フィールド機器と前記暗号とを関連付けて保全データベースに保存する工程と、
前記暗号化認証文字列及び前記フィールド機器の識別と共に、認証のためのプロセスデータを受け取る工程と、
前記保全データベースにおいて前記識別されたフィールド機器に関連付けられている前記暗号及び前記認証文字列を用い、前記プロセスデータが変造された否かを判定する工程と
を備えることを特徴とする、フィールド機器が保存したプロセスデータの認証方法。
【請求項12】
前記暗号化認証文字列を生成する秘密の手順を実行する命令を前記フィールド機器に保存する工程を更に備えることを特徴とする請求項11に記載のフィールド機器が保存したプロセスデータの認証方法。
【請求項13】
検出したプロセス変数に相関する検出信号を供給するセンサと、
前記検出信号を処理してプロセスデータを生成する信号処理回路と、
プロセスデータ、暗号、及び前記暗号を用いて認証文字列を生成する命令を保存する不揮発性メモリと、
周期的にプロセスデータを不揮発性メモリに保存し、要求に応答して、前記プロセスデータを含む非暗号化情報と、前記暗号及び前記非暗号化情報に基づく暗号化認証文字列とを作成するプロセッサと
を備えることを特徴とするフィールド機器。
【請求項14】
プロセスデータを送信し、前記非暗号化情報及び前記暗号化認証文字列を送信し、前記要求を受信する通信インタフェースを更に備えることを特徴とする請求項13に記載のフィールド機器。
【請求項15】
前記非暗号化情報及び前記暗号化認証文字列を保存する着脱式記憶素子を更に備えることを特徴とする請求項13に記載のフィールド機器。
【請求項16】
前記着脱式記憶素子が前記フィールド機器から取り外される前に、前記暗号化認証文字列を生成して前記着脱式記憶素子に保存するよう前記プロセッサに信号を送出するアクセスコントロール部を更に備えることを特徴とする請求項15に記載のフィールド機器。
【請求項17】
前記非暗号化情報は、前記フィールド機器の識別を含むことを特徴とする請求項13に記載のフィールド機器。
【請求項18】
前記非暗号化情報は、前記プロセスデータと、これに関連するタイムスタンプとを含むことを特徴とする請求項13に記載のフィールド機器。
【請求項19】
前記非暗号化情報は、予め設定された限界値に対するプロセス変数の状態を含むことを特徴とする請求項18に記載のフィールド機器。
【請求項20】
前記暗号及び前記命令は、前記不揮発性メモリ内において、前記フィールド機器のユーザがアクセスすることができない記憶場所に保存されていることを特徴とする請求項13に記載のフィールド機器。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−527806(P2011−527806A)
【公表日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517675(P2011−517675)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/050394
【国際公開番号】WO2010/006331
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(597115727)ローズマウント インコーポレイテッド (240)
【Fターム(参考)】