説明

プロテインキナーゼインヒビターとしてのヘテロアリール誘導体

本発明の目的は、式Iの化合物、その医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、及びラセミ体、上記化合物の調製、これらを含む医薬とその製造、ならびに癌のような疾患の抑制又は予防における上記化合物の使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ヘテロアリール誘導体、その製造方法、これらを含有する医薬組成物、及びその製造方法と、薬剤活性物質としてのこれらの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プロテインキナーゼ(「PK」)は、タンパク質のチロシン、セリン、及びスレオニン上のヒドロキシ基のリン酸化を触媒する酵素である(Hunter, T., Cell 50 (1987) 823-829)。この一見単純な活性の結果は驚くべきものである:細胞の成長、分化、及び増殖、すなわち細胞の寿命のほとんどすべての面はなんらかの意味でPK活性に依存する。さらに、例えば乾癬のようにあまり生命に危険の無い疾患から神経膠芽細胞腫(脳の癌)のような極めて悪性の疾患までの多くの疾患に、異常なPK活性が関連している。
【0003】
PKは、便宜的にタンパク質チロシンキナーゼ(PTK)とセリン−スレオニンキナーゼ(STK)の2つのクラスに分類される。
【0004】
PTK活性の主要な面の1つは、増殖因子受容体への関与である。増殖因子受容体は細胞表面タンパク質である。増殖因子リガンドが結合すると、増殖因子受容体は細胞膜の内表面上のタンパク質と相互作用する活性型に変換される。これにより、受容体及び他のタンパク質のチロシン残基上でリン酸化が起き、種々の細胞質シグナル伝達分子との複合体が細胞内で生成され、これは次に、細胞分裂(増殖)、細胞分化、細胞成長、細胞外微小環境への代謝作用の発現などの無数の細胞応答を及ぼす。より完全な考察については、Schlessinger, J., and Ullrich, A., Neuron, 9 (1992) 383-391(これは参照することにより本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0005】
PTK活性を有する増殖因子受容体は、受容体チロシンキナーゼ(「RTK」)として知られている。これらは、多様な生物活性を有する膜貫通受容体の大きな群を含む。現在少なくとも19の異なるサブファミリーのRTKが同定されている。これらの一例は「HER」RTKと称されるサブファミリーであり、これにはEGFR(表皮増殖因子受容体)、HER2(ヒト表皮増殖因子受容体2)、HER3、及びHER4がある。これらのRTKは、細胞外グリコシル化リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内細胞質触媒性ドメイン(これはタンパク質上のチロシン残基をリン酸化することができる)からなる。
【0006】
別のRTKサブファミリーは、インスリン受容体(IR)、インスリン様増殖因子I受容体(ITF−1R)、及びインスリン受容体関連受容体(IRR)からなる。IRとIGF−1Rは、インスリン、IGF−I、及びIGF−IIと相互作用して、2つの完全に細胞外のグリコシル化αサブユニットと2つのβサブユニットのヘテロテトラマー(これは細胞膜を横切り、チロシンキナーゼドメインを含有する)を形成する。
【0007】
別のRTKサブファミリーは、血小板由来増殖因子受容体(「PDGFR」)群と呼ばれ、これは、PDGFRアルファ、PDGFRベータ、コロニー刺激因子1受容体(CSF−1R)、c−kit、及びflt−3を含む。これらの受容体は、5つの免疫グロブリン様ループからなるグリコシル化細胞外ドメインと細胞内ドメインからなり、ここでチロシンキナーゼドメインはキナーゼ挿入体ドメインにより中断される。
【0008】
PDGFRサブファミリーとの類似性のために、特に後者の群に包含される別の群は、胎児肝臓キナーゼ(「Flk」)受容体サブファミリーである。細胞外免疫グロブリンループを含有するこの群は、キナーゼ挿入体ドメイン−受容体胎児肝臓キナーゼ−1(KDR/Flk−1)、及びfins様チロシンキナーゼ1(Flt−1とFlt−4)から構成される。
【0009】
チロシンキナーゼ増殖因子受容体ファミリーのさらなるメンバーは、繊維芽細胞増殖因子(「FGF」)受容体サブグループである。この群は、4つの受容体(FGFR1〜4)と多くのリガンドからなる。多くの選択的スプライシングが存在するが、一般に受容体は、3つの免疫グロブリン様ループを含有するグリコシル化細胞外ドメインと細胞内ドメインからなり、ここでチロシンキナーゼ配列はキナーゼ挿入体ドメインにより中断される。
【0010】
チロシンキナーゼ増殖因子受容体ファミリーのさらに別のメンバーはMETであり、しばしばc−Metと呼ばれ、ヒト肝細胞増殖因子受容体チロシンキナーゼ(hHGFR)としても知られている。c−Metは、原発性腫瘍増殖と転移においてある役割を果たすと考えられている。
【0011】
公知のRTKサブファミリーのより完全なリストは、Plowman et al., DN&P, 7 (1994) 334-339(これは、そこに記載された図面を含めて、あたかも完全に記載されているように、参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0012】
RTK以外に、「非受容体チロシンキナーゼ」又は「細胞質チロシンキナーゼ」と呼ぶ完全に細胞内のPTKのファミリーも存在する。この後者の記載(「CTK」と略す)が本明細書で使用される。CTKは、細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインを含有しない。現在11のサブファミリー(Src、Frk、Btk、Csk、Abl、Zap70、Fes、Fak、Jak、LIMK、及びAck)中で24を超えるCTKが同定されている。SrcサブファミリーはCTKの最大のグループのようであり、Src、Yes、Fyn、Lyn、Lck、Blk、Hck、Fgr、及びYrkを含む。CTKのさらに重要なグループは、AblとArgとを含むAblファミリーである。CTKのより詳細な説明については、Bolen, J.B., Oncogene, 8 (1993) 2025-2031を参照されたい(これは参照することにより、あたかもその全体が記載されているように、本明細書に組み込まれる)。
【0013】
セリン/スレオニンキナーゼ(STK)はCTKのように、主に細胞内であるが、STK型のいくつかの受容体キナーゼがある。STKは最も一般的なサイトゾルキナーゼ、すなわち、細胞質の細胞小器官や細胞骨格以外の細胞質の部分でその機能を果たすキナーゼである。サイトゾルは、細胞の中間代謝活性や生合成活性のほとんどが起きる細胞内の領域であり、例えばリボゾーム上でタンパク質が合成されるのはサイトゾル内である。STKは、CDk2、Raf、キナーゼのZCファミリー、キナーゼのNEKファミリー、及びBUB1を含む。
【0014】
RTK、CTK、及びSTKはすべて、特に癌を含む多数の病態に関与するとされている。PTKに関連する他の病態には、特に限定されないが、乾癬、肝硬変、糖尿病、血管形成、繊維症、再狭窄、眼疾患、慢性関節リウマチ、及び他の炎症性疾患、免疫学的疾患(例えば自己免疫疾患)、心血管疾患(例えばアテローム性動脈硬化症)、及び種々の腎疾患がある。
【0015】
癌について、腫瘍を進行させる過度の細胞増殖を説明するために提唱されている2つの主要な仮説は、PKに制御されることが知られている機能に関する。すなわち、悪性の細胞増殖は、細胞分裂及び/又は分化を制御する機構中の破壊により生じることが示唆されている。多くの癌原遺伝子のタンパク質生成物は、細胞増殖と分化とを制御するシグナル伝達経路に関与することが証明されている。癌原遺伝子のこれらのタンパク質生成物には、上記の細胞外増殖因子、膜貫通増殖因子PTK受容体(RTK)、細胞質PTK(CTK)、及びサイトゾルSTKがある。
【0016】
PK関連細胞活性と多種類のヒトの疾患との明白な関連を考慮すると、PK活性を調節する方法を同定するために多大の努力がなされていることは驚くべきことではない。これらの一部は、PKインヒビターとして作用する小分子を同定するために行われている。WO2006/066913号は、イミダゾロピリジニルベンズアミド誘導体と関連化合物(例えばsrc及びlckキナーゼインヒビター)に関する。
【0017】
WO2004/024897号は、アレルギー疾患や増殖疾患の治療においてIgE免疫応答のモジュレーターとしてのイミダゾピリジン類に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、一般式Iのヘテロアリール誘導体:
【化1】

(式中、
1とR2は、独立に水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメチル、又はジフルオロメトキシであり;
Lは、−NH−C(O)−又は−C(O)−NH−であり;
Qは、アルキレン、アルケニレン、又はシクロアルキレンであり;
nは、0又は1であり;
環Aは、アリール又はヘテロアリールであり、
3は、a)水素又はアルコキシ;
b)−V−フェニル(これは、フッ素、塩素、臭素、アルキル、アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、又は−Y−アルキレン−Zにより、1回又は数回任意に置換される);
c)ヘテロアリール(これは、フッ素、塩素、アルキル、アルコキシ、オキソ、トリフルオロメチル、又はトリフルオロメトキシにより、1回又は数回任意に置換される);又は
d)−T−ヘテロシクリル(これは、アルキル、−C(O)−アルキル、又は−S(O)2−アルキルにより、1回又は数回任意に置換される)であり;
4は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、又は−Y−アルキレン−Zであり;
5は、水素、アルキル、フッ素、塩素、アルコキシ、又はシアノであり;
Vは、単結合又は−O−であり;
Tは、単結合又はアルキレンであり;
Xは、N又はCHであり;
Yは、単結合、−O−、−NR−、−S−、又は−S(O)2−であり;
Zは、−OR、−NRR’、−C(O)−NRR’、シアノ、−NRR’−C(O)−アルキル、−S(O)2−アルキル、−S(O)2−NRR’、又は−NR−S(O)2−アルキルであり;
RとR’は、独立に水素又はアルキルである)、
及びそのすべての医薬的に許容される塩に関する。
【0019】
本発明の化合物は、プロテインキナーゼインヒビターとしての活性を示す。多くの疾患が、プロテインキナーゼ仲介事象により引き起こされる異常な細胞応答に関連している。これらの疾患には、自己免疫疾患、炎症性疾患、神経及び神経変性疾患、癌、心血管疾患、アレルギーと喘息、アルツハイマー病、又はホルモン関連疾患がある。従って、医化学分野で、治療薬として有効なプロテインキナーゼインヒビターを見つけるために多大な努力がなされている。
【0020】
本発明の化合物は、特にキナーゼインヒビターとしての活性を示し、特にSrcファミリーキナーゼインヒビター(例えば、Srcキナーゼインヒビター)、Ablファミリーキナーゼインヒビター(例えば、Ablキナーゼインヒビター)、PDGFRファミリーキナーゼキナーゼインヒビター(例えば、PDGFRベータ又はCSF−1Rキナーゼインヒビター)、及びEGFRキナーゼインヒビターとしての活性を示し、従って該キナーゼに仲介される疾患の治療に有用である。
【0021】
Src、Abl、又はPDGFRファミリーキナーゼ阻害、及びEGFR阻害は、腫瘍細胞株で抗増殖作用を示す。これは、Src、Abl、又はPDGFRファミリーキナーゼインヒビター及びEGFRインヒビターが、過剰増殖性疾患(例えば、癌、特に結腸直腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、膀胱癌、卵巣癌、黒色腫、神経芽腫、子宮頚癌、腎臓癌、白血病、又はリンパ腫)の治療に有用であることを示す。
【0022】
Srcファミリーキナーゼはさらに、種々の他の疾患状態に関与していることが知られている。本発明の化合物はSrcファミリーキナーゼインヒビターとして、特に例えば移植拒絶、炎症性腸症候群、慢性関節リウマチ、乾癬、再狭窄、アレルギー性喘息、アルツハイマー病、パーキンソン病、卒中、骨粗鬆症、及び良性腫瘍の予防と治療でSrcキナーゼインヒビターとして使用される。
【0023】
Ablファミリーキナーゼはさらに、種々の他の疾患状態に関与していることが知られている。本発明の化合物はさらにAblファミリーキナーゼインヒビターとして、特に例えば神経変性疾患、慢性関節リウマチ、及び糖尿病(I型及びII型糖尿病を含む)の予防と治療でAblキナーゼインヒビターとして使用される。
【0024】
PDGFRファミリーキナーゼはさらに、種々の他の疾患状態に関与していることが知られている。本発明の化合物はさらにPDGFRファミリーキナーゼインヒビターとして、特に例えば糖尿病(I型及びII型糖尿病を含む)、再狭窄(例えば、バルーン損傷誘導性再狭窄)、アテローム性動脈硬化症、又は肺繊維症の予防と治療でPDGFRキナーゼインヒビターとして使用される。
【0025】
本発明の目的は、式Iの化合物及びその互変異性体、医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、及びラセミ体、プロテインキナーゼインヒビターとしての、特にSrc、Abl、又はPDGFRファミリーキナーゼインヒビター、及びEGFRキナーゼインヒビターとしての使用、上記化合物の調製、これらを含む医薬もしくは医薬組成物、その製造、ならびに疾患、特に腫瘍もしくは癌(例えば、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、膀胱癌、卵巣癌、黒色腫、神経芽腫、子宮頚癌、腎臓癌、白血病、又はリンパ腫)のような上記疾患及び障害の治療、抑制、もしくは予防における、又は対応する医薬もしくは医薬組成物の製造における上記化合物の使用である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の詳細な説明
1.定義
本明細書において用語「アルキル」は、1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を含む飽和直鎖または分岐鎖の炭化水素を意味し、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、又はt−ブチルを意味する。
【0027】
本明細書において用語「アルコキシ」は、アルキルが上記のように定義されるアルキル−O−基、好ましくはメトキシを意味する。
【0028】
本明細書において用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素、好ましくはフッ素、塩素、又は臭素、さらに好ましくはフッ素又は塩素を意味する。
【0029】
本明細書において用語「アリール」は、6〜10個の炭素原子を有する単環式もしくは二環式芳香環を意味する。かかるアリール基の例は、フェニル、ナフチル、好ましくはナフチルである。
【0030】
本明細書において用語「ヘテロアリール」は、5〜10個の環原子を有し、好ましくは5〜6個の環原子を有する単環式もしくは二環式の完全にもしくは部分的に不飽和の環系を意味し、これは、N、O、又はSから独立に選択される最大3個のヘテロ原子、好ましくは1もしくは2個のヘテロ原子を含有し、残りの環原子は炭素原子である。好ましくはヘテロアリール基は完全に不飽和である。本発明のある実施態様においてヘテロアリール基は完全に不飽和であり、Lは−C(O)−NH−である。本発明の別の実施態様においてヘテロアリール基は、完全にもしくは部分的に不飽和であり、Lは−NH−C(O)−である。
【0031】
かかる完全に不飽和のヘテロアリール基には、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チエニル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、インドリル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、キノリル、イソキノリル、キナゾリニル、キノキサリニルなどがあり、好ましくはピラゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、キノリル、ピリジル、ピリダジニル、又はピリミジニルである。
【0032】
かかる不飽和ヘテロアリール基の例には、5,6,7,8−テトラヒドロ−キナゾリン−2−イル、2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−イル、2,3−ジヒドロ−1H−インドール−6−イル、3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]チアジン−7−イル、1,2,3,4−テトラヒドロ−キノリン−6−イル、1,2,3,4−テトラヒドロ−キノリン−7−イル、3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イル、3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−7−イルなどがあり、好ましくは3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イル、3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−7−イル、5,6,7,8−テトラヒドロ−キナゾリン−2−イル、2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−イル、又は3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]チアジン−7−イルである。
【0033】
好ましくは環Aのヘテロアリールは、ピラゾリル、イソキサゾリル、キノリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イル、3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−7−イル、5,6,7,8−テトラヒドロ−キナゾリン−2−イル、2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−イル、又は3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]チアジン−7−イルから選択される。
【0034】
好ましくはR3のヘテロアリールは、ピラゾリル又はオキサゾリルから選択される。
【0035】
本明細書において用語「ヘテロシクリル」は、5〜6個の環原子(これは、N、O、又はSから独立に選択される最大3個のヘテロ原子、好ましくは1もしくは2個のヘテロ原子を含有し、残りの環原子は炭素原子である)を有する飽和単環を意味する。好ましくは環の少なくとも1つのヘテロ原子はNであり、残りのヘテロ原子はN、O、又はSから独立に選択され、かかるヘテロシクリル基は好ましくは環N原子を介して結合される。かかる飽和ヘテロシクリル基の例には、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニルなどがあり、好ましくはモルホリニル又はピペラジニルであり、さらに好ましくはモルホリニルである。
【0036】
本明細書において用語「アルキレン」は、1〜5個の炭素原子、好ましくは1〜3個の炭素原子を含有する飽和、直鎖または分岐鎖の、好ましくは直鎖の炭化水素、例えばメチレン、エチレン、トリメチレン(1,3−プロピレン);テトラメチレン(ブチレン)、ペンタメチレン、メチル−メチレン、ジメチル−メチレン、エチル−メチレン、メチル−エチレン(1,2−プロピレン)、エチル−エチレン、プロピル−エチレン、1−メチル−トリメチレン、2−メチル−トリメチレン、1−エチル−トリメチレン、2−エチル−トリメチレンなど、好ましくは、メチレン、エチレン、トリメチレン、ジメチル−メチレン、又はメチル−メチレンを意味する。
【0037】
本明細書において用語「アケニレン」は、1つの2重結合と2〜5個の炭素原子、好ましくは2〜3個の炭素原子を含有する不飽和、直鎖または分岐鎖の、好ましくは直鎖の炭化水素を意味する。かかる「アルケニレン」の例は、ビニレン(エテニレン)、メチル−ビニレン1−プロペニレン、2−メチル−1−プロペニレン、1−ブテニレン、2−ブテニレン、3−ブテニレン、2−エチル−1−ブテニレン、2−ペンテニレン、3−ペンテニレン、4−ペンテニレン、4−メチル−3−ペンテニレンなど、好ましくはビニレン又はメチル−ビニレン、さらに好ましくはビニレンである。
【0038】
本明細書において用語「シクロアルキレン」は、3〜6個の環原子、好ましくは3〜5個の環原子を含有する単環式飽和炭化水素を意味する。かかるシクロアルキレンの例は、1,2−シクロプロピレン、1,1−シクロプロピレン、1,3−シクロブチレン、1,3−シクロペンチレンなど、好ましくは1,2−シクロプロピレン又は1,1−シクロプロピレン、さらに好ましくは1,2−シクロプロピレンである。
【0039】
本明細書において「医薬的に許容される担体」は、薬剤投与に適合する任意のかつすべての物質を含むものであり、溶媒、分散媒体、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤、及び薬剤投与に適合する他の物質と化合物を含む。従来の媒体又は物質が活性化合物と適合しない場合以外は、本発明の組成物におけるその使用は包含される。補助的活性化合物もまた、組成物に取り込むことができる。
【0040】
本明細書において化合物の用語「治療的有効量」は、疾患の症状を予防、緩和、又は改善するのに有効な、又は治療される対象者の生存を延長させるのに有効な化合物の量を意味する。治療的有効量の測定は、当該分野の範囲内である。
【0041】
本発明の化合物の治療的有効量又は用量は広範囲に変動し、当該分野で公知の方法により決定される。かかる用量は、各具体的な症例で個々の要件(投与される具体的な化合物、投与経路、治療される症状、ならびに治療される患者)について調整されるであろう。一般に体重約70Kgの成人への経口投与又は非経口投与の場合、1日用量は約10mg〜約10,000mg、好ましくは約200mg〜約1,000mgが適切なはずであるが、必要であれば上限を超えても良い。1日用量は単回用量で又は分割用量で投与することができるが、非経口投与では、連続的注入として投与してもよい。
【0042】
2.詳細な説明
1とR2は、互いに独立に、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメチル、又はジフルオロメトキシであり、好ましくは水素、フッ素、塩素、臭素、アルキル、アルコキシ、トリフルオロメチル、又はトリフルオロメトキシであり、さらに好ましくは水素、塩素、フッ素、又はメチルであり、さらに好ましくは水素、塩素、又はメチルである。好ましくはR1とR2の1つのみが水素である。
Lは、−NH−C(O)−又は−C(O)−NH−であり;
Qは、アルキレン、アルケニレン、又はシクロアルキレンであり、好ましくはアルケレン又はシクロアルキレンであり、さらに好ましくはアルケニレンである。
nは、0又は1、好ましくは0である。
【0043】
環Aは、アリール又はヘテロアリールであり、好ましくはフェニル、又はピラゾリル、イソキサゾリル、キノリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イル、3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−7−イル、5,6,7,8−テトラヒドロ−キナゾリン−2−イル、2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−イル、もしくは3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]チアジン−7−イルよりなる群から選択されるヘテロアリールである。
【0044】
3は、a)水素又はアルコキシ、好ましくは水素;
b)−V−フェニル(これは、フッ素、塩素、臭素、アルキル、アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、又は−Y−アルキレン−Z、好ましくは塩素又は−Y−アルキレン−Zにより、1回又は数回、好ましくは1回又は2回任意に置換される);
c)ヘテロアリール(これは、フッ素、塩素、アルキル、アルコキシ、オキソ、トリフルオロメチル、又はトリフルオロメトキシ、好ましくはアルキルにより、1回又は数回、好ましくは1回又は2回任意に置換される);又は
d)−T−ヘテロシクリル(これは、アルキル、−C(O)−アルキル、又は−S(O)2−アルキル、好ましくはアルキルにより、1回又は数回、好ましくは1回又は2回任意に置換される)である。
【0045】
4は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、又は−Y−アルキレン−Z、好ましくは水素、塩素、又はアルコキシである。
5は、水素、アルキル、フッ素、塩素、アルコキシ、又はシアノ、好ましくは水素である。
【0046】
Vは、単結合又は−O−、好ましくは単結合である。
Tは、単結合又はアルキレン、好ましくは単結合である。
Xは、N又はCH、好ましくはCHである。
Yは、単結合、−O−、−NR−、−S−、又は−S(O)2−、好ましくは単結合、−O−、−NR−、又は−S−、さらに好ましくは単結合、−O−、又は−S−である。
Zは、−OR、−NRR’、−C(O)−NRR’、シアノ、−NRR’−C(O)−アルキル、−S(O)2−アルキル、−S(O)2−NRR’、又は−NR−S(O)2−アルキル、好ましくは−OR、−NRR’又は−C(O)−NRR’、又はシアノ、さらに好ましくは−NRR’、−C(O)−NRR’又はシアノである。
RとR’は、独立に水素又はアルキルである。
【0047】
本発明の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
3は、a)水素;
b)−V−フェニル(これは、フッ素、塩素、臭素、アルキル、アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、又は−Y−アルキレン−Zにより、1回又は数回任意に置換される);
c)ヘテロアリール(これは、フッ素、塩素、アルキル、アルコキシ、オキソ、トリフルオロメチル、又はトリフルオロメトキシにより、1回又は数回任意に置換される);又は
d)−T−ヘテロシクリル(これは、アルキル、−C(O)−アルキル、又は−S(O)2−アルキルにより、1回又は数回任意に置換される)であり;そして
5は、水素、フッ素、塩素、アルコキシ、又はシアノである。
【0048】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
1とR2は、独立に水素、塩素、フッ素、又はメチルであり;
Qは、アルケニレン又はシクロアルキレンであり;
nは、0又は1であり;
環Aは、フェニル、又はピラゾリル、イソキサゾリル、キノリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イル、3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−7−イル、5,6,7,8−テトラヒドロ−キナゾリン−2−イル、2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−イル、もしくは3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]チアジン−7−イルよりなる群から選択されるヘテロアリールであり、
3は、a)水素又はアルコキシ;
b)−V−フェニル(これは、塩素、アルコキシ、又は−Y−アルキレン−Zにより、1回又は2回任意に置換される);
c)ピラゾリル又はオキサゾリルから選択されるヘテロアリール(これは、アルキルにより1回又は2回任意に置換される);又は
d)−T−モルホリニルであり;
4は、水素、塩素、アルキル、アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、又は−Y−アルキレン−Zであり;
5は、水素、アルキル、フッ素、塩素、アルコキシ、又はシアノであり;
Tは、単結合であり;
Xは、N又はCHであり;
Yは、単結合、−O−、−NR−、又は−S−であり;
Zは、−OR、−NRR’、−C(O)−NRR’、シアノであり;そして
RとR’は、独立に水素又はアルキルである。
【0049】
かかる化合物は、例えば以下よりなる群から選択される:
2−クロロ−5−(3−クロロ−4−フルオロ−ベンゾイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
1−(2−メトキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸[4−クロロ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
3,4,5−トリメトキシ−N−[4−メチル−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−ベンズアミド;
2,4,5−トリメトキシ−N−[4−メチル−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−ベンズアミド;
1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸[4−メチル−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
【0050】
2−メチル−5−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
5−tert−ブチル−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸[4−メチル−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
2−メチル−5−(3−モルホリン−4−イル−ベンゾイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
5−[(E)−3−(2−メトキシ−フェニル)−アクリロイルアミノ]−2−メチル−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
5−[(E)−3−(2,4−ジメトキシ−フェニル)−アクリロイルアミノ]−2−メチル−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
【0051】
4−メトキシ−キノリン−2−カルボン酸[4−メチル−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
2−メチル−5−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシ−ベンゾイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
3−(2−クロロ−フェニル)−イソキサゾール−5−カルボン酸[4−メチル−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
5−[(Z)−3−(2−メトキシ−フェニル)−アクリロイルアミノ]−2−メチル−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
2−クロロ−4−フルオロ−5−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシ−ベンゾイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
【0052】
1−フェニル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸[4−クロロ−2−フルオロ−5−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
4−メトキシ−キノリン−2−カルボン酸[4−クロロ−2−フルオロ−5−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
5−tert−ブチル−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸[4−クロロ−2−フルオロ−5−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
2−クロロ−4−フルオロ−5−(3−モルホリン−4−イル−ベンゾイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
2−クロロ−4−フルオロ−5−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
【0053】
2−クロロ−4−フルオロ−5−(2,4,5−トリメトキシ−ベンゾイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
2−クロロ−4−フルオロ−5−[(E)−3−(2−メトキシ−フェニル)−アクリロイルアミノ]−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
2−クロロ−4−フルオロ−5−(3,4,5−トリメトキシ−ベンゾイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
3−(2−クロロ−フェニル)−イソキサゾール−5−カルボン酸[4−クロロ−2−フルオロ−5−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
4−メチル−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−N1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−イソフタルアミド;
【0054】
1−(2−メトキシ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−4−メチル−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド;
4−メチル−N1−(2−フェニル−シクロプロピル)−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド;
4−メチル−N1−(3−オキサゾール−5−イル−フェニル)−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド;
1−(3−メトキシ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−4−メチル−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド;
4−メチル−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−N1−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−イソフタルアミド;
【0055】
1−(5−tert−ブチル−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メチル−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド;
4−メチル−N1−(3−モルホリン−4−イル−フェニル)−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド;
4−メチル−N1−(3−ピラゾール−1−イル−フェニル)−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド;及び
2−クロロ−5−[4−(2−ヒドロキシエチル)アミノ−3−クロロ−ベンゾイルアミノ]−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド。
【0056】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
1は、塩素又はアルキルであり;
2は、水素であり;
Lは、−C(O)−NH−であり;
Qは、アルケニレン又はシクロアルキレンであり;
nは、0又は1であり;
3は、a)水素;
b)−V−フェニル(これは、塩素、又は−Y−アルキレン−Zにより、1回又は数回任意に置換される);
c)ヘテロアリール;又は
d)−T−ヘテロシクリルであり;
4は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、−Y−アルキレン−Zであり;
5は、水素であり;
Tは、単結合であり;
Xは、CH又はN、好ましくはCHであり;
Yは、単結合、−O−、又は−S−であり;
Zは、−NRR’、−C(O)−NRR’、又はシアノであり;そして
RとR’は、独立に水素又はアルキルである。
【0057】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
Lは−C(O)−NH−である。
【0058】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
1とR2は、独立に水素、塩素、又はアルキルであり;
Lは、−C(O)−NH−であり;
Qは、アルケニレン又はシクロアルキレン、好ましくはアルケニレンであり;
nは、0又は1であり;
3は、a)水素;
b)−V−フェニル(これは、塩素、又は−Y−アルキレン−Zにより、1回又は数回任意に置換される);
c)ヘテロアリール;又は
d)−T−ヘテロシクリルであり;
4は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、又は−Y−アルキレン−Zであり;
5は、水素であり;
Vは、単結合であり;
Tは、単結合であり;
Yは、単結合、−O−、又は−S−であり;
Zは、−NRR’、−C(O)−NRR’、又はシアノであり;そして
RとR’は、独立に水素又はアルキルである。
【0059】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
XはCHである。
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
nは、0であり;そして
環Aは、アリールである。
【0060】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
1とR2は、独立に水素、塩素、又はアルキルであり;
Lは、−C(O)−NH−であり;
Qは、アルケニレン又はシクロアルキレン、好ましくはアルケニレンであり;
nは、0であり;
環Aは、アリールであり;
3は、a)水素;
b)−V−フェニル(これは、塩素、又は−Y−アルキレン−Zにより、1回又は数回任意に置換される);
c)ヘテロアリール;又は
d)−T−ヘテロシクリルであり;
4は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、又は−Y−アルキレン−Zであり;
5は、水素であり;
Vは、単結合であり;
Tは、単結合であり;
XはCHであり、
Yは、単結合、−O−、又は−S−であり;
Zは、−NRR’、−C(O)−NRR’、又はシアノであり;そして
RとR’は、独立に水素又はアルキルである。
【0061】
かかる化合物は、例えば以下よりなる群から選択される:
3’−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−ビフェニル−4−カルボン酸[4−クロロ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
3’−(1−カルバモイル−エチルスルファニル)−ビフェニル−4−カルボン酸[4−クロロ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
ビフェニル−3−カルボン酸[4−クロロ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
ビフェニル−4−カルボン酸[4−クロロ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
2−クロロ−5−(4−モルホリン−4−イル−ベンゾイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
【0062】
2−クロロ−5−[4−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ベンゾイルアミノ]−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−(3−モルホリン−4−イル−ベンゾイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
5−(4−tert−ブトキシ−ベンゾイルアミノ)−2−クロロ−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;及び
2−クロロ−5−[3−(シアノ−ジメチル−メチル)−ベンゾイルアミノ]−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド。
【0063】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
nは、0であり;そして
環Aは、ヘテロアリールである。
【0064】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
1とR2は、独立に水素、塩素、又はアルキルであり;
Lは、−C(O)−NH−であり;
Qは、アルケニレン又はシクロアルキレン、好ましくはアルケニレンであり;
nは、0であり;
環Aは、ヘテロアリールであり;
3は、a)水素;
b)−V−フェニル(これは、塩素、又は−Y−アルキレン−Zにより、1回又は数回任意に置換される);
c)ヘテロアリール;又は
d)−T−ヘテロシクリルであり;
4は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、又は−Y−アルキレン−Zであり;
5は、水素であり;
Vは、単結合であり;
Tは、単結合であり;
Xは、CHであり;
Yは、単結合、−O−、又は−S−であり;
Zは、−NRR’、−C(O)−NRR’、又はシアノであり;そして
RとR’は、独立に水素又はアルキルである。
【0065】
かかる化合物は、例えば以下よりなる群から選択される:
3−(2−クロロ−フェニル)−イソキサゾール−5−カルボン酸[4−クロロ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;及び
5−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸[4−クロロ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド。
【0066】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
nは、1であり;そして
環Aは、アリールである。
【0067】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
1とR2は、独立に水素、塩素、又はアルキルであり;
Lは、−C(O)−NH−であり;
Qは、アルケニレン又はシクロアルキレン、好ましくはアルケニレンであり;
nは、1であり;
環Aは、アリールであり;
3は、a)水素;
b)−V−フェニル(これは、塩素、又は−Y−アルキレン−Zにより、1回又は数回任意に置換される);
c)ヘテロアリール;又は
d)−T−ヘテロシクリルであり;
4は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、又は−Y−アルキレン−Zであり;
5は、水素であり;
Vは、単結合であり;
Tは、単結合であり;
Xは、CHであり;
Yは、単結合、−O−、又は−S−であり;
Zは、−NRR’、−C(O)−NRR’、又はシアノであり;そして
RとR’は、独立に水素又はアルキルである。
【0068】
かかる化合物は、例えば以下よりなる群から選択される:
2−クロロ−5−((E)−3−フェニル−ブト−2−エノイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−{3−[4−(3−ジメチルアミノ−プロポキシ)−フェニル]−アクリロイルアミノ}−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[3−(3−シアノ−フェニル)−2−メチル−アクリロイルアミノ]−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[(E)−3−(2−メトキシ−フェニル)−アクリロイルアミノ]−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;及び
2−クロロ−5−{[(1S,2S)−2−(4−メトキシ−フェニル)−シクロプロパンカルボニル]−アミノ}−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド。
【0069】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
nは、1であり;そして
環Aは、ヘテロアリールである。
【0070】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
1とR2は、独立に水素、塩素、又はアルキルであり;
Lは、−C(O)−NH−であり;
Qは、アルケニレン又はシクロアルキレン、好ましくはアルケニレンであり;
nは、1であり;
環Aは、ヘテロアリールであり;
3は、a)水素;
b)−V−フェニル(これは、塩素、又は−Y−アルキレン−Zにより、1回又は数回任意に置換される);
c)ヘテロアリール;又は
d)−T−ヘテロシクリルであり;
4は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、又は−Y−アルキレン−Zであり;
5は、水素であり;
Vは、単結合であり;
Tは、単結合であり;
Xは、CHであり;
Yは、単結合、−O−、又は−S−であり;
Zは、−NRR’、−C(O)−NRR’、又はシアノであり;そして
RとR’は、独立に水素又はアルキルである。
【0071】
かかる化合物は、例えば以下よりなる群から選択される:
2−クロロ−5−((E)−3−ピリミジン−5−イル−アクリロイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;及び
2−クロロ−5−((E)−3−ピリダジン−3−イル−アクリロイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド。
【0072】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
XはNである。
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
nは、0であり;そして
環Aは、アリールである。
【0073】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
1とR2は、独立に水素、塩素、又はアルキルであり;
Lは、−C(O)−NH−であり;
Qは、アルケニレン又はシクロアルキレン、好ましくはアルケニレンであり;
nは、0であり;
環Aは、アリールであり;
3は、a)水素;
b)−V−フェニル(これは、塩素、又は−Y−アルキレン−Zにより、1回又は数回任意に置換される);
c)ヘテロアリール;又は
d)−T−ヘテロシクリルであり;
4は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、−Y−アルキレン−Zであり;
5は、水素であり;
Vは、単結合であり;
Tは、単結合であり;
Xは、Nであり;
Yは、単結合、−O−、又は−S−であり;
Zは、−NRR’、−C(O)−NRR’、又はシアノであり;そして
RとR’は、独立に水素又はアルキルである。
【0074】
かかる化合物は、例えば以下よりなる群から選択される:
5−ベンゾイルアミノ−N−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル)−2−メチル−ベンズアミド;
ビフェニル−3−カルボン酸[3−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イルカルバモイル)−4−メチル−フェニル]−アミド;及び
ビフェニル−4−カルボン酸[3−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イルカルバモイル)−4−メチル−フェニル]−アミド。
【0075】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
nは、0であり;そして
環Aは、ヘテロアリールである。
【0076】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
1とR2は、独立に水素、塩素、又はアルキルであり;
Lは、−C(O)−NH−であり;
Qは、アルケニレン又はシクロアルキレン、好ましくはアルケニレンであり;
nは、0であり;
環Aは、ヘテロアリールであり;
3は、a)水素;
b)−V−フェニル(これは、塩素、又は−Y−アルキレン−Zにより、1回又は数回任意に置換される);
c)ヘテロアリール;又は
d)−T−ヘテロシクリルであり;
4は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、−Y−アルキレン−Zであり;
5は、水素であり;
Vは、単結合であり;
Tは、単結合であり;
Xは、Nであり;
Yは、単結合、−O−、又は−S−であり;
Zは、−NRR’、−C(O)−NRR’、又はシアノであり;そして
RとR’は、独立に水素又はアルキルである。
【0077】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
nは、1であり;そして
環Aは、アリールである。
【0078】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
1とR2は、独立に水素、塩素、又はアルキルであり;
Lは、−C(O)−NH−であり;
Qは、アルケニレン又はシクロアルキレン、好ましくはアルケニレンであり;
nは、1であり;
環Aは、アリールであり;
3は、a)水素;
b)−V−フェニル(これは、塩素、又は−Y−アルキレン−Zにより、1回又は数回任意に置換される);
c)ヘテロアリール;又は
d)−T−ヘテロシクリルであり;
4は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、−Y−アルキレン−Zであり;
5は、水素であり;
Vは、単結合であり;
Tは、単結合であり;
Xは、Nであり;
Yは、単結合、−O−、又は−S−であり;
Zは、−NRR’、−C(O)−NRR’、又はシアノであり;そして
RとR’は、独立に水素又はアルキルである。
【0079】
かかる化合物は、例えば以下である:
N−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル)−2−メチル−5−[(E)−(3−フェニル−アクリロイル)アミノ]−ベンズアミド。
【0080】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
nは、1であり;そして
環Aは、ヘテロアリールである。
【0081】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
1とR2は、独立に水素、塩素、又はアルキルであり;
Lは、−C(O)−NH−であり;
Qは、アルケニレン又はシクロアルキレン、好ましくはアルケニレンであり;
nは、1であり;
環Aは、ヘテロアリールであり;
3は、a)水素;
b)−V−フェニル(これは、塩素、又は−Y−アルキレン−Zにより、1回又は数回任意に置換される);
c)ヘテロアリール;又は
d)−T−ヘテロシクリルであり;
4は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、−Y−アルキレン−Zであり;
5は、水素であり;
Vは、単結合であり;
Tは、単結合であり;
Xは、Nであり;
Yは、単結合、−O−、又は−S−であり;
Zは、−NRR’、−C(O)−NRR’、又はシアノであり;そして
RとR’は、独立に水素又はアルキルである。
【0082】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
Lは、−NH−C(O)−である。
【0083】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
1とR2は、独立に塩素、又はアルキルであり;
Lは、−NH−C(O)−であり;
Qは、アルキレン又はシクロアルキレン、好ましくはシクロアルキレンであり;
nは、0又は1、好ましくは0であり;
3は、a)水素;
b)−V−フェニル(これは、塩素、又は−Y−アルキレン−Zにより、1回又は数回任意に置換される);
c)ヘテロアリール;又は
d)−T−ヘテロシクリルであり;
4は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、−Y−アルキレン−Zであり;
5は、水素であり;
Tは、単結合であり;
Yは、単結合、−O−、又は−S−であり;
Zは、−NRR’、−C(O)−NRR’、又はシアノであり;そして
RとR’は、独立に水素又はアルキルである。
【0084】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
1とR2は、独立に塩素、又はアルキルであり;
Lは、−NH−C(O)−であり;
Qは、アルキレン又はシクロアルキレン、好ましくはシクロアルキレンであり;
nは、0であり;
環Aは、アリールであり;
3は、a)水素;
b)−V−フェニル(これは、塩素、又は−Y−アルキレン−Zにより、1回又は数回任意に置換される);
c)ヘテロアリール;又は
d)−T−ヘテロシクリルであり;
4は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、−Y−アルキレン−Zであり;
5は、水素であり;
Tは、単結合であり;
Xは、CHであり;
Yは、単結合、−O−、又は−S−であり;
Zは、−NRR’、−C(O)−NRR’、又はシアノであり;そして
RとR’は、独立に水素又はアルキルである。
【0085】
かかる化合物は、例えば以下よりなる群から選択される:
4−クロロ−N1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド;
4−クロロ−N1−(3−モルホリン−4−イル−フェニル)−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド塩酸塩;
4−クロロ−N1−(3−ピラゾール−1−イル−フェニル)−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド塩酸塩;及び
4−クロロ−N1−[3−(シアノ−ジメチル−メチル)−フェニル]−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド塩酸塩。
【0086】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
1とR2は、独立に塩素、又はアルキルであり;
Lは、−NH−C(O)−であり;
Qは、アルキレン又はシクロアルキレン、好ましくはシクロアルキレンであり;
nは、0であり;
環Aは、ヘテロアリールであり;
3は、a)水素;
b)−V−フェニル(これは、塩素、又は−Y−アルキレン−Zにより、1回又は数回任意に置換される);
c)ヘテロアリール;又は
d)−T−ヘテロシクリルであり;
4は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、−Y−アルキレン−Zであり;
5は、水素であり;
Tは、単結合であり;
Xは、CHであり;
Yは、単結合、−O−、又は−S−であり;
Zは、−NRR’、−C(O)−NRR’、又はシアノであり;そして
RとR’は、独立に水素又はアルキルである。
【0087】
かかる化合物は、例えば以下よりなる群から選択される:
4−クロロ−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−N1−(4−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−キナゾリン−2−イル)−イソフタルアミド塩酸塩;
4−クロロ−N1−(6−フェノキシ−ピリジン−3−イル)−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド塩酸塩;
4−クロロ−N1−(1−エチル−3,3−ジメチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−イル)−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド塩酸塩;及び
4−クロロ−N1−(4−メチル−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]チアジン−7−イル)−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド塩酸塩。
【0088】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
1とR2は、独立に塩素、又はアルキルであり;
Lは、−NH−C(O)−であり;
Qは、アルキレン又はシクロアルキレン、好ましくはシクロアルキレンであり;
nは、1であり;
環Aは、アリールであり;
3は、a)水素;
b)−V−フェニル(これは、塩素、又は−Y−アルキレン−Zにより、1回又は数回任意に置換される);
c)ヘテロアリール;又は
d)−T−ヘテロシクリルであり;
4は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、−Y−アルキレン−Zであり;
5は、水素であり;
Tは、単結合であり;
Xは、CHであり;
Yは、単結合、−O−、又は−S−であり;
Zは、−NRR’、−C(O)−NRR’、又はシアノであり;そして
RとR’は、独立に水素又はアルキルである。
【0089】
かかる化合物は、例えば以下よりなる群から選択される:
4−クロロ−N1−((1S,2R)−2−フェニル−シクロプロピル)−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド;塩酸塩。
【0090】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
1とR2は、独立に塩素、又はアルキルであり;
Lは、−NH−C(O)−であり;
Qは、アルキレン又はシクロアルキレン、好ましくはシクロアルキレンであり;
nは、0であり;
3は、a)水素;
b)−V−フェニル(これは、塩素、又は−Y−アルキレン−Zにより、1回又は数回任意に置換される);
c)ヘテロアリール;又は
d)−T−ヘテロシクリルであり;
4は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、−Y−アルキレン−Zであり;
5は、水素であり;
Tは、単結合であり;
Xは、Nであり;
Yは、単結合、−O−、又は−S−であり;
Zは、−NRR’、−C(O)−NRR’、又はシアノであり;そして
RとR’は、独立に水素又はアルキルである。
【0091】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物であり、
ここで
Lは、−NH−C(O)−又は−C(O)−NH−であり;
Qは、アルキレン、アルケニレン、又はシクロアルキレンであり;
nは、0又は1であり;
ただし、Lが−NH−C(O)−である場合、Qはアルケニレンではない。
【0092】
本発明の別の実施態様は、以下の工程を含んでなる式Iの化合物の製造方法である:
a)式XIIIaの化合物
【化2】

(式中、R1、R2、及びXは、上記の式Iについて定義した意味を有し、RG1は−NH2又は−C(O)OHである)に、式XIVaの化合物
【化3】

(式中、A、R3、R4、R5、Q、及びnは、上記の式Iについて定義した意味を有し、RG1が−NH2である場合、RG2は−C(O)OHであり、又はRG1が−C(O)OHである場合、RG2は−NH2である)を反応させて、式Iの化合物
【化4】

(式中、A、R1、R2、R3、R4、R5、Q、n、X、及びLは、上記の式Iについて定義した意味を有する)を得る工程;
b)式Iの化合物を単離する工程;及び
c)所望であれば、式Iの化合物をその医薬的に許容される塩に変換する工程。
【0093】
一般式Iの誘導体又はその医薬的に許容される塩は、当業者により化学的に関連する化合物の調製に適用できることが公知の任意の方法により調製される。かかる方法は、式Iの誘導体又はその医薬的に許容される塩を調製するために使用される時、本発明のさらなる特徴として提供され、以下の代表例のスキーム1と2で示され、ここで特に明記しない場合は、R1、R2、R3、R4、R5、Q、L、X、及びnは式Iについて前記した意味を有する。必要な出発物質は、有機化学の標準的方法により得られる。かかる出発物質の調製は実施例に記載されている。あるいは必要な出発物質は、有機化学者の技術の範囲内である例示した方法と類似の方法により得られる。
【0094】
式Iの化合物の調製はLの性質に依存する。Lが−C(O)−NH−である式Iの化合物は、例えば以下のスキーム1に従って調製され、Iaと呼ぶ。
【化5】

【0095】
スキーム1においてR1、R2、R3、R4、R5、Q、X、及びnは、式Iについて前記した意味を有し、Lは−NH−C(O)−である。
【0096】
工程1:トリメチルシリルエチン(III)は、いわゆるSonogashira反応の標準的条件下で、CuI又はCuClのような銅触媒、PdCl2(PPh32又はPdCl2(PhCN)2/PtBu3のようなパラジウム触媒、及びトリエチルアミン又はジイソプロピルアミンのような塩基を用いて、N−メチルピロリジノン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)、又はアセトニトリルのような不活性溶媒中で、2−アミノ−3−ブロモ−5−ニトロピリジンと結合させることができる。この反応は室温又はそれ以上の最大160℃までの温度で進行して、式IVの化合物を与える。
【0097】
工程2:文献で公知のアザインドールVへの化合物IVの環化は、NaOH、KOH、又はナトリウムエトキシド又はカリウムtert−ブトキシドのような塩基と、エタノール、DMSO、NMP、又はTHFのような溶媒中で、周囲温度〜170℃までの範囲の温度で処理することにより行うことができる。あるいはこの環化反応は、CuI又はCuClのような銅(I)塩により最大190℃までの高温で、NMP又はキノリンのような不活性溶媒中で触媒することができる。
【0098】
工程3:文献で公知のアミノ−アザインドールVIaを得るための化合物Vのニトロ基の還元は、Pt担持活性炭を触媒として用いてテトラヒドロフラン(THF)のような不活性溶媒中で室温で不均一水素化により行われる。あるいはPd触媒と蟻酸トリエチルアンモニウムを用いて、メタノールのような溶媒中で還元条件下で均一水素化を行ってもよい。還元はまた、酢酸又は塩酸のような酸性媒体中で鉄又はスズのような塩基性金属を用いて、室温〜120℃で行うこともできる。他の適当な還元剤は、硫化アンモニウムの水溶液もしくはメタノール液、又は塩化スズ(II)のジメチルホルムアミド(DMF)液もしくは塩酸液であろう。
【0099】
工程4:これは文献から公知であり、2−クロロ−3,5−ジニトロピリジン(IX)中の塩素のアミノ基による置換である。これは、エタノール中のアンモニアを用いて室温で行われる。
【0100】
工程5:2,3,5−トリアミノピリジン(IX)を得るための化合物VIIIの両方のニトロ基の同時還元は、標準条件下で行うことができる。工程3に記載の条件が適用されるか、又はより反応性の高い水素化触媒(例えばパラジウム担持活性炭)を使用することができる。
【0101】
工程6:文献で公知のイミダゾピリジンXへのトリアミノ化合物IXの環化は、アミノ基のホルミル化反応後に自然に環化してイミダゾール環が得られることにより行われる。蟻酸のような標準的ホルミル化試薬を最大150℃の高温で使用するか、又は蟻酸エチル又は蟻酸フェニルのような蟻酸エステルを使用することができる。
【0102】
工程7:化合物Xはn−ホルミル成分の単純な加水分解により、文献で公知のアミノ−イミダゾピリジンVIbに変換することができる。この変換の標準的条件は、メタノールもしくはエタノール又はこれらの水との混合液中の水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムによる塩基性加水分解、又は水とエタノールもしくはメタノールもしくはジオキサンの混合液中の塩酸もしくは硫酸による酸性触媒加水分解である。温度は周囲温度〜100℃で変化してもよい。
【0103】
工程8:式VIの化合物上のアミノ成分のアシル化は、適切なカルボン酸誘導体を用いて行うことができる。好ましくは式XIの単離された酸塩化物が使用される。あるいは2工程法で、対応するカルボン酸が最初に活性化される。この反応は、不活性溶媒もしくは希釈剤中、例えばジクロロメタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、又はN−メチルピロリドン(NMP)中で、活性化剤の存在下で行われる。適当な活性化剤には、例えば塩化オキサリルもしくは塩化チオニル、クロロギ酸イソブチル、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDC)、2−モルホリノ−エチル−イソシアニド(MEI)、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフロボレート(TBTU)などである。他の活性化剤もまた使用でき、当業者に公知である。時に活性化カルボン酸誘導体(例えば、式XIの酸塩化物)を中間体として単離することができる。しかしこの反応は、しばしば活性化カルボン酸中間体を単離しないワンポット法で行われる。第2工程で、式VIのアミンは適切な活性化カルボン酸と反応されて、式XIIの化合物を与える。この反応は、活性化工程と同じ溶媒中、又はピリジン中で、随時トリエチルアミンもしくはエチルジイソプロピルアミンのような塩基の存在下で行われ、特にN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)などにより触媒することができる。
【0104】
過剰の塩化ベンゾイル(XI)が使用される場合、XIIの複素環コア上の同時アシル化(例えばN−1(X=CH)、又はN−1もしくはN−3(X=N)上)が起きる。かかるビスアシル化中間体は次に水もしくはメタノール中のアンモニアで室温で処理することにより容易に切断されて、所望のモノアシル化化合物XIIにすることができる。
【0105】
工程9:ニトロ基の還元は、工程3に記載の条件下で行うことができる。
【0106】
工程10:中間体XIII中の遊離アミノ基のアシル化は、式XIVの適切なカルボン酸を用いて、工程8について記載した条件下で行われる。過剰の対応する酸塩化物が使用される場合、Iの複素環コア上の同時アシル化(例えばN−1(X=CH)、又はN−1もしくはN−3(X=N)上)が起きる。かかるビスアシル化中間体は次に水もしくはメタノール中のアンモニアで室温で処理することにより容易に切断されて、所望のモノアシル化化合物Iにすることができる。
【0107】
Lが−NH−C(O)−である式Iの化合物は、例えば以下のスキーム2に従って調製され、Ibと命名される。
【化6】

【0108】
スキーム2では、R1、R2、R3、R4、R5、Q、X、及びnは、式Iについて前記した意味を有し、Lは−NH−C(O)−である。
【0109】
工程11:式VIの化合物上のアミノ成分のアシル化は、適切な化合物誘導体を用いて行うことができる。好ましくは2工程法で、対応するカルボン酸XIVが最初に活性化される。この反応は、不活性溶媒もしくは希釈剤中、例えばジクロロメタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、又はN−メチルピロリドン(NMP)中で、活性化剤の存在下で行われる。適当な活性化剤には、例えばクロロギ酸イソブチル、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDC)、2−モルホリノ−エチル−イソシアニド(MEI)などである。他の活性化剤もまた使用でき、当業者に公知である。時に活性化カルボン酸誘導体を中間体として単離することができる。しかしこの反応は、しばしば活性化カルボン酸中間体を単離しないワンポット法で行われる。第2工程で、式VIのアミンは適切な活性化カルボン酸と反応されて、式XVIの化合物を与える。この反応は、活性化工程と同じ溶媒中、又はピリジン中で、随時トリエチルアミンもしくはエチルジイソプロピルアミンのような塩基の存在下で行われ、時にN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)などにより触媒することができる。
【0110】
過剰の塩化ベンゾイル(XIV)が使用される場合、XVIの複素環コア上の同時アシル化(例えばN−1(X=CH)、又はN−1もしくはN−3(X=N)上)が起きる。かかるビスアシル化中間体は次に水もしくはメタノール中のアンモニアで室温で処理することにより容易に切断されて、所望のモノアシル化化合物XVIにすることができる。
【0111】
工程12:遊離酸XVIIを得るための化合物XVI中のtert−ブチルエステル成分の加水分解は、標準的方法により、好ましくは酸性条件下で、ジクロロメタン、THF、又はジエチルエーテルのような不活性溶媒中で、随時水の存在下で行うことができる。かかる加水分解工程で使用される典型的な酸は、トリフルオロ酢酸、塩酸、又は硫酸である。トリフルオロ酢酸はまた溶媒として機能する。
【0112】
工程13:式Ibのアミド化合物へのカルボン酸中間体XVIIの変換は、まずカルボン酸成分を活性化し、次にこれを式XVIIIのアミン化合物と結合させることにより行われる。適当な条件は、スキーム1の工程8に記載したものである。
【0113】
基R3、R4、及びR5上のいくつかの置換基は、上記の合成経路の条件に対して不活性ではない場合があり、当該分野で公知の標準的保護基による保護が必要な場合がある。例えばアミノ基又はヒドロキシル基は、おそらくtert−ブトキシ誘導体として保護される。あるいはいくつかの置換基は反応経路の最後で他のものから得られることがある。例えばニトロ置換基を有する式Iの化合物が合成され、この置換基は最後に標準的方法によりアミノに変換される。
【0114】
式Iの化合物は1つまたは数個のキラル中心を含有することができ、従ってラセミ体、鏡像異性体、又はジアステレオ異性体型で存在することができる。ラセミ体は公知の方法に従って鏡像異性体に分離することができる。例えば結晶化により分離できるジアステレオ異性体塩は、光学活性のある酸(例えば、D−又はL−樟脳スルホン酸)との反応によりラセミ混合物から生成される。あるいは鏡像異性体の分離はまた、市販されているキラルHPLC相(HPLC:高速液体クロマトグラフィー)のクロマトグラフィーを使用して行われる。
【0115】
本発明の化合物又はその医薬的に許容される塩及び医薬的に許容される担体を含有する医薬組成物は、その製造法と同様に本発明の目的であり、この方法は、本発明の1又は複数の化合物及び/又は医薬的に許容される塩及び、所望であれば1又は複数の他の治療的に有効な物質とを、1又は複数の医薬的に許容される担体との投与製剤にすることを含む。
【0116】
本発明において本発明の化合物ならびにその医薬的に許容される塩は、疾患の制御又は予防に有用である。このプロテインキナーゼ活性(例えばSrc、Abl、又はPDGFRファミリーのキナーゼインヒビター、又はEGFRキナーゼインヒビター)に基づいて、及びこれらの抗増殖活性に基づき、該化合物はヒト又は動物の癌のような疾患の治療に、及び対応する医薬組成物の製造に、有用である。用量は、投与方法、種、年齢、及び/又は個々の健康状態のような種々の要因に依存する。
【0117】
本発明の実施態様は、医薬的に許容される担体とともに1又は複数の式Iの化合物を活性成分として含む医薬組成物である。
【0118】
本発明の別の実施態様は、Srcファミリーキナーゼ(例えばSrcキナーゼ)の不適切な活性化により仲介される疾患の治療のための、医薬的に許容される担体とともに1又は複数の式Iの化合物を活性成分として含む医薬組成物である。
【0119】
本発明の別の実施態様は、Ablファミリーキナーゼ(例えばAblキナーゼ)の不適切な活性化により仲介される疾患の治療のための、医薬的に許容される担体とともに1又は複数の式Iの化合物を活性成分として含む医薬組成物である。
【0120】
本発明の別の実施態様は、PDGFRファミリーキナーゼ(例えばPDGFRアルファ、PDGFRベータ、又はCSF−1Rキナーゼ)の不適切な活性化により仲介される疾患の治療のための、医薬的に許容される担体とともに1又は複数の式Iの化合物を活性成分として含む医薬組成物である。
本発明の別の実施態様は、EGFRキナーゼの不適切な活性化により仲介される疾患の治療のための、医薬的に許容される担体とともに1又は複数の式Iの化合物を活性成分として含む医薬組成物である。
【0121】
本発明の別の実施態様は、腫瘍増殖の阻害のための、1又は複数の式Iの化合物を活性成分として含む医薬組成物である。
【0122】
本発明の別の実施態様は、癌の治療のための、1又は複数の式Iの化合物を活性成分として含む医薬組成物である。
【0123】
本発明の別の実施態様は、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、膀胱癌、卵巣癌、黒色腫、神経芽腫、子宮頚癌、腎臓癌、白血病、又はリンパ腫の治療のための、医薬的に許容される担体とともに1又は複数の式Iの化合物を活性成分として含む医薬組成物である。
【0124】
本発明の別の実施態様は、腫瘍増殖の阻害用の対応する医薬組成物の製造のための、式Iの化合物の使用である。
【0125】
本発明の別の実施態様は、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、膀胱癌、卵巣癌、黒色腫、神経芽腫、子宮頚癌、腎臓癌、白血病、又はリンパ腫の治療用の、対応する医薬組成物の製造のための式Iの化合物の使用である。
【0126】
本発明の別の実施態様は、抗増殖剤としての式Iの化合物の使用である。
【0127】
本発明の別の実施態様は、癌の治療のための1又は複数の式Iの化合物の使用である。
【0128】
本発明の別の実施態様は、治療の必要な人に治療的有効量の式Iの化合物を投与することを含んでなる癌を治療する方法である。
【0129】
本発明の別の実施態様は、治療の必要な人に治療的有効量の式Iの化合物を投与することを含んでなる癌を治療する方法であって、ここで癌は、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、膀胱癌、卵巣癌、黒色腫、神経芽腫、子宮頚癌、腎臓癌、白血病、又はリンパ腫であることを特徴とする。
【0130】
本発明の化合物は、その医薬的に許容される塩の形で存在してもよい。用語「医薬的に許容される塩」は、式Iの化合物の生理学的有効性と性質とを保持し、適切な非毒性の有機又は無機酸から生成される従来の酸付加塩を意味する。酸付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、ヨー化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、及び硝酸のような無機酸から得られるもの、及びp−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、クエン酸、アスコルビン酸などの有機酸から得られるものがある。医薬組成物(すなわち薬物)の塩への化学修飾は、化合物の改良された物理的及び化学的安定性、吸湿性、流動性、及び溶解度を得るための、薬剤化学者に公知の方法である。例えばStahl, P.H., and Wermuth, G. (editors), Handbook of Pharmaceutical Salts, Verlag Helvetica Chimica Acta (VHCA), Zurich, (2002)、又はBastin, R.J., et al., Organic Proc. Res. Dev. 4 (2000) 427-435を参照されたい。
【0131】
薬理活性
式Iの化合物とその医薬的に許容される塩は、有用な薬理学的性質を有する。該化合物は、Src、Abl、及びPDGFRキナーゼのインヒビターとしての活性を示し、また抗増殖活性を示すことがわかっている。従って本発明の化合物はSrc、Abl、及びPDGFRキナーゼの過剰発現が知られている疾患の治療および/または予防、特に上記疾患の治療および/または予防に有用である。Src、Abl、及びPDGFRキナーゼiのインヒビターとしての本化合物の活性は、以下の生物学的アッセイにより証明される:
【0132】
SrcキナーゼのインヒビターのIC50測定
マウス完全長Srcタンパク質、フルオレセイン標識ペプチド基質(配列KVEKIGEGTYGVVYKを有する)を使用してSrcアッセイを行い、Molecular Devices' IMAP蛍光偏光技術により定量化した。化合物は、384ウェルプレートで連続希釈した濃度で試験した。キナーゼ反応は、KAB緩衝液(10mMヘペス、pH7、50mM NaCl、5mM MgCl2、1mM DTT、0.1mM NaVO4、0.02% BSA)中で、24μM ATPの存在下で、37℃で60分間インキュベートして行った。反応をIMAPビーズミックス(1:400希釈)により停止させた。室温で2時間インキュベート後、反応生成物をLJL Acquest(励起485nM、及び発光530nM)で分析した。
【0133】
FP読み値(mPで)を使用して反応速度を計算した。アッセイはTomtec Quadraワークステーションにより半自動化した。結果を表1に示す。
【0134】
【表1】

【0135】
AblキナーゼのインヒビターのIC50測定
マウスAbl(27-end)に対応する融合タンパク質、フルオレセイン標識ペプチド基質(配列EAIYAAPFAKKKを有する)を使用してAblアッセイを行い、Molecular Devices' IMAP蛍光偏光技術により定量化した。化合物は、384ウェルプレートで連続希釈した濃度で試験した。キナーゼ反応は、KAB緩衝液(10mMヘペス、pH7、50mM NaCl、5mM MgCl2、1mM DTT、0.1mM NaVO4、0.02% BSA)中で、22.8μM ATPの存在下で、37℃で60分間インキュベートして行った。反応をIMAPビーズミックス(1:400希釈)により停止させた。室温で3時間インキュベート後、反応生成物をLJL Acquest(励起485nM、及び発光530nM)で分析した。
【0136】
FP読み値(mPで)を使用して反応速度を計算した。アッセイはTomtec Quadraワークステーションにより半自動化した。結果を表2に示す。
【0137】
【表2】

【0138】
PDGFRキナーゼのインヒビターのIC50測定
アッセイ原理
ヒト組換えPDGFRベータ、フルオレセイン標識ペプチド基質(配列ALTSNQEYLDLSMPLを有する)、及び試験化合物(連続希釈)を用いて、384ウェルプレートを使用してPDGFRアッセイを行った。キナーゼ反応は、MOPS緩衝液(20mM MOPS、pH7.1、5mM 酢酸ナトリウム、6.25mM MgCl2、0.5mM EDTA、1mM DTT、0.04mM NaVO4、0.02% BSA)中で、48μM ATPの存在下で、室温で60分間インキュベートして行った。反応をIMAP Bead Binding System(Molecular Devices)により停止させた。室温で2時間インキュベート後、反応生成物をLJL Acquestで分析した。
【0139】
FP読み値(mPで)を使用して反応速度を計算した。アッセイはTomtec Quadraワークステーションにより半自動化した。結果を表3に示す。
【0140】
【表3】

【0141】
抗増殖活性
抗増殖剤としての本化合物の活性は、以下の生物学的アッセイにより証明される:
【0142】
HCT116細胞中のCellTiter-Glo(登録商標)アッセイ
CellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存活性アッセイ(Promega)は、代謝活性細胞の存在の特徴であるATPの存在の定量に基づく培養物中の生存活性細胞の数を測定する均一法である。
【0143】
HCT116細胞(ヒト結腸癌、ATCC−No.CCl−247)を、GlutaMAX(登録商標)I(Invitrogen, カタログ番号61870−010)、5%胎児牛血清(FCS、Sigma カタログ番号F4135(FBS));100単位/mlペニシリン/100μg/mlストレプトマイシン(=Invitrogen, カタログ番号15140からのPen/Strep)を有するRPMI1640培地中で培養した。アッセイのために細胞を384ウェルプレート中に、同じ培地中で1000細胞/ウェルで接種した。翌日、30μM〜0.0015μMの範囲の種々の濃度(10濃度、1:3希釈)の試験化合物を加えた。5日後、製造業者(CellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存活性アッセイ、Promegaから)の説明書に従って、CellTiter-Glo(登録商標)アッセイを行った。簡単に説明すると:細胞プレートを約30分間室温に平衡化させ、次にCellTiter-Glo(登録商標)試薬を加えた。内容物を注意深く15分間混合して細胞溶解を誘導した。45分後、発光シグナルをVictor 2(走査マルチウェル分光光度計、Wallac)で測定した。
【0144】
詳細:
1日目:
− 培地:GlutaMAX(登録商標)I(Invitrogen, カタログ番号61870)、5%胎児牛血清(FCS、Sigma カタログ番号F4135)、Pen/Strep(Invitrogen, カタログ番号15140)を有するRPMI1640
− HCT116(ATCC−No.CCl−247):384ウェルプレートのウェル当たり60μl中に1000細胞(Greiner 781098、μClear-plate white)
− 接種後、プレートを37℃、5%CO2で24時間インキュベート
【0145】
2日目:誘導(化合物による処理、10濃度):
最高濃度として30μMの最終濃度を得るために、化合物の10mMストック溶液3.5μlを、直接163μlの培地に加えた。次に後述の希釈操作の工程e)を行った。
【0146】
2番目に高い濃度から最低濃度までを得るために、以下の操作(a〜e)に従って1:3の希釈段階で連続希釈を行った:
a)2番目に高い濃度のために、化合物の10mMストック溶液10μlを20μlのジメチルスルホキシド(DMSO)に加える
b)このDMSO希釈列で8回1:3希釈(いつも10μlを20μlのDMSOに)(3333.3μMから0.51μMまでの濃度の9つのウェルが得られる)
c)各濃度を1:47.6希釈(3.5μlの化合物を163μlの培地に希釈)
d)各濃度10μlを細胞プレート中の60μlの培地に加えて、各ウェルで最終濃度のDMSO:0.3%を得て、30μM〜0.0015μMの範囲の10個の最終濃度の化合物を得る。
− 各化合物を三重測定で試験する。
− 37℃、5%CO2で120時間(5日間)インキュベート
【0147】
分析:
− ウェル当たり30μlのCellTiter-Glo(登録商標)試薬(Promegaから購入したCellTiter-Glo(登録商標)緩衝液とCellTiter-Glo(登録商標)基質(凍結乾燥)から調製した)を加える
− 室温で15分間振盪する
− 振盪せずに室温で45分間さらにインキュベートする
【0148】
測定:
− Victor 2走査マルチウェル分光光度計(Wallac)、発光モード(0.5秒/読み、477nm)
− 非線形曲線フィット(XLfitソフトウェア(ID Business Solution Ltd., Guilford, Surrey, UK))を使用してIC50を測定する
【0149】
すべての化合物で、HCT116細胞の生存活性の有意な阻害が検出され、これは表4に示す化合物で示される。
【0150】
【表4】

【0151】
本発明の化合物とその医薬的に許容される塩は、医薬として、例えば医薬組成物の形で使用することができる。医薬組成物は、経口的に、例えば錠剤、被覆錠剤、糖衣錠、硬ゼラチンカプセル及び軟ゼラチンカプセル、液剤、エマルジョン剤、又は懸濁剤の形で投与することができる。しかしこの投与はまた、例えば坐剤の形で直腸投与、又は注射溶液の形で非経口投与することもできる。
【0152】
上記医薬組成物は、本発明の化合物を医薬的に不活性な無機又は有機担体で処理することにより得られる。乳糖、コーンスターチ、又はこれらの誘導体、タルク、ステアリン酸、又はその塩などを、例えば錠剤、被覆錠剤、糖衣錠、及び硬ゼラチンカプセルの担体として使用することができる。軟ゼラチンカプセルの適切な担体は、例えば植物油、蝋、脂肪、半固体、及び液体ポリオールなどである。しかし活性成分の性質によっては、軟ゼラチンカプセルの場合に担体は必要無い。液剤やシロップ剤の製造のための適切な担体は、例えば水、ポリオール、グリセロール、植物油などである。坐剤の適切な担体は、例えば天然油又は硬化油、蝋、脂肪、半液体もしくは液体ポリオールなどである。
【0153】
さらに医薬組成物は、保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、香味剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、マスキング剤、又は抗酸化剤を含有することができる。これらはまた、さらに別の治療的有効物質を含有することができる。
【0154】
医薬組成物は例えば以下を含む:
a)錠剤(湿式造粒);
【表5】

【0155】
製造法:
1. 品目1、2、3、及び4を混合し、精製水で顆粒化する。
2. 顆粒を50℃で乾燥する。
3. 顆粒を適当な粉砕装置に通す。
4. 品目5を加え、3分間混合する;適当なプレスで圧縮する。
【0156】
b)カプセル剤:
【表6】

【0157】
製造法:
1. 品目1、2、及び3を適切なミキサーで30分間混合する。
2. 品目4と5を加え、3分間混合する。
3. 適当なカプセルに充填する。
【0158】
c)微小懸濁物:
1. 4.0gのガラスビーズを特注のチューブGL25.4cmに量り取る(チューブの半分までビーズを充填)。
2. 50mgの化合物を加え、スパテラで分散させ、ボルテックス混合する。
3. 2mlのゼラチン溶液を加え(重量ビーズ:ゼラチン溶液=2.1)、ボルテックス混合する。
4. キャップをし、アルミニウム箔でラップして光を遮る。
5. ミルの釣合重りを準備する。
6. Retschミルで20/sで4時間粉砕する(物質によっては30/sで最大24時間)。
7. 受容バイアルに連結したフィルターホルダー上の2層のフィルター(100μm)を用いて、400gで2分間遠心分離して、ビーズから懸濁物を取り出す。
8. 抽出物を計量シリンダーに移す。
9. 最終容量に達するまで又は抽出物が透明になるまで、少量(ここでは1mlずつ)で洗浄を繰り返す。
10. ゼラチンで最終容量まで満たし、ホモジナイズする。
【0159】
以下の例は本発明の理解を助けるためであり、その真の範囲は添付の特許請求の範囲により示される。本発明の精神を逸脱することなく、記載の方法に変更が可能であることは理解されるであろう。
【実施例】
【0160】
実験操作
出発物質
実施例a
5−ニトロ−3−トリメチルシラニルエチニル−ピリジン−2−イルアミン
12.0gの2−アミノ−3−ブロモ−5−ニトロピリジン、1.93gのジクロロビス(トリフェニル−ホスフィン)パラジウム(II)、及び0.524gのヨウ化銅(I)を、窒素下で60mlの無水テトラヒドロフラン(THF)に分散した。7.03gのトリメチルシリルアセチレンと16.71gのトリエチルアミンを加え、混合物を室温(RT)で16時間攪拌した。混合物をろ過し、ろ液から溶媒を留去し、残渣をシリカのクロマトグラフィーにより酢酸エチル/ヘプタン混合液で精製した。
収率 12.2g
【0161】
実施例b
5−ニトロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
4mlのエタノール中の500mgの5−ニトロ−3−トリメチルシラニルエチニル−ピリジン−2−イルアミンの溶液に、93.5mgの水酸化ナトリウムを加え、混合液をマイクロ波オーブン中で照射しながら140℃で30分間(min)攪拌した。この種の20の等しいバッチを一緒にし、溶媒を留去した。残渣を100mlの濃塩酸に溶解し、室温で30分間攪拌した。ここから再度溶媒を留去し、残渣をTHFで30分間還流した。不溶性部分をろ過して除去し、ろ液から溶媒を留去し、残渣をシリカのクロマトグラフィーにより酢酸エチル/ヘプタン混合液で精製した。
収率 2.30g
【0162】
実施例c
1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルアミン
200mlのTHF中の2.675gの5−ニトロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを1.0gのパラジウム担持活性炭で大気圧、室温で3時間水素化した(薄層クロマトグラフィー(TLC)対照を用いて)。ろ過して触媒を除去し、ろ液から溶媒を留去し、残渣をシリカのクロマトグラフィーにより酢酸エチル/ヘプタン混合液で精製した。
収率 1.84g
【0163】
実施例d
2−クロロ−5−ニトロ−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド
60mlの無水ピリジン中の1.87gの1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルアミンを、室温で10mlのジクロロメタン中の6.79gの塩化2−クロロ−5−ニトロベンゾイルの溶液を滴下して処理した。攪拌を一晩続けた。混合液から溶媒を留去し、残渣を25mlのメタノールと10mlの濃アンモニアで室温で2時間処理した。再度溶媒を留去し、残渣を水に分散した。ろ過して粗生成物を単離し、水とジエチルエーテルで完全に洗浄した。
収率 3.85g
【0164】
実施例e
5−アミノ−2−クロロ−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド
600mlのTHF中の3.85gの2−クロロ−5−ニトロ−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミドを、2.5gのパラジウム担持活性炭で大気圧、室温で一晩水素化した。ろ過して触媒を除去し、ろ液から溶媒を留去した。残渣をシリカのクロマトグラフィーにより、まず酢酸エチルで最後に酢酸エチル/ヘプタン混合液で溶出して精製した。
収率 2.06g
【0165】
実施例f
2−アミノ−3,5−ジニトロピリジン
190mlのエタノール中の25gの2−クロロ−3,5−ジニトロピリジンの溶液に、室温で75mlの濃アンモニアを滴下して加えた。1時間(hr)攪拌後、混合物を氷浴で冷却した。ろ過して生成物を単離し、冷水で洗浄した。
収率 22.1gの表題の生成物
【0166】
実施例g
2,3,5−トリアミノピリジン
66mlのメタノールと33mlのTHFの混合液中の5gの2−アミノ−3,5−ジニトロピリジンを、800mgの10%パラジウム担持活性炭で室温、大気圧で水素化した。計算量の水素が消費された後、触媒をろ過して除去し、ろ液を真空下で濃縮して3.31gの粗生成物を得て、これはさらに精製することなく次の工程のために使用した。
【0167】
実施例h
N−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル)−ホルムアミド
150mlの蟻酸中の3.1gの2,3,5−トリアミノピリジンを110℃で16時間攪拌した。混合物を真空下で蒸発乾固して4.17gの表題の粗生成物を得た。
【0168】
実施例i
3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イルアミン塩酸塩
100mlのメタノールと100mlの濃塩酸中の4.17gのN−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル)−ホルムアミドを60℃で1時間攪拌した。溶媒を留去し、残渣を乾燥して4.3gの表題の生成物を得た。
【0169】
実施例j
N−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル)−2−メチル−5−ニトロ−ベンズアミド
10mlの無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)と2mlの無水ピリジン中の1.0gの3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イルアミン塩酸塩を、室温で2.34gの塩化2−メチル−5−ニトロベンゾイルを滴下して処理した。3時間後、真空下で溶媒を留去し、残渣を10mlのメタノールと10mlの濃アンモニアの混合液中で1時間攪拌した。20mlの水を加え、混合物を40℃で真空下で濃縮した。生成物が沈殿し、ろ過して集め、希アンモニアで洗浄した。
収率 乾燥後750mg
【0170】
実施例k
5−アミノN−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル)−2−メチル−ベンズアミド
20mlのメタノール中の0.75gのN−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル)−2−メチル−5−ニトロ−ベンズアミドを、10%パラジウム担持活性炭で室温、大気圧で水素化した。3時間後、HPLC/MSにより判定すると変換は完全であり、触媒をろ過して除去した。ろ液から溶媒を留去し、残渣をさらに精製することなく次の工程のために使用した。
収率 0.51g
【0171】
実施例l
4−クロロ−イソフタル酸1−tert−ブチルエステル
60mlの無水THF中の5.34gの3−ブロモ−4−クロロ安息香酸tert−ブチルエステルを−78℃に冷却した。ヘキサン中の1.6M n−ブチルリチウム溶液12.59ml(1.1当量)をゆっくり加え、−78℃で30分間攪拌を続けた。20gの二酸化炭素を迅速に破砕し、混合物に加えた。冷却をさらに30分間続けた後、混合物を室温まで加温した。室温で1時間後、水と酢酸エチルを加え、有機相を分離した。水相を酢酸エチルで抽出し、一緒にした有機相から溶媒を留去し、シリカのクロマトグラフィーによりヘプタン/酢酸エチル勾配で精製した。
収率 2.82gの表題の生成物
【0172】
実施例m
4−クロロ−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド酸tert−ブチルエステル
10mlの無水DMF中の4.16gの4−クロロ−イソフタル酸1−tert−ブチルエステルを2.63gのカルボニルジイミダゾールと室温で1時間攪拌した。1.80gの1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルアミンと10mgの4−ジメチルアミノピリジンを加え、混合物を60℃に加熱した。4時間後、真空下で溶媒を留去し、残渣を5mlのメタノールと5mlの濃アンモニアの混合液に溶解した。室温で20分間攪拌後、混合液から再度溶媒を留去し、残渣をシリカのクロマトグラフィーにより酢酸エチル/ヘプタン混合液で精製した。
収率 3.00gの表題の生成物
【0173】
実施例n
4−クロロ−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド酸
1mlのジクロロメタン中の45mgの4−クロロ−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド酸tert−ブチルエステルに、室温で1mlのトリフルオロ酢酸を加えた。攪拌を2時間続けて、混合液から真空下で溶媒を留去して、28mgの表題の生成物を得た。
市販されていない置換カルボン酸XIVは以下の操作に従って調製した:
【0174】
実施例o
2−(3−ブロモ−フェスルファニル)−プロピオンアミド
50mlのDMF中の5.0gの3−ブロモベンゼンチオールと5.96gの炭酸カリウムの混合物に、室温で3.86gの2−ブロモプロピオンアミドを加えた。混合物を加温し、70℃で3.5時間攪拌した。冷却後、200mlの水を加え、混合物をジクロロメタンで3回抽出した。有機相の乾燥と蒸発により、6.5gの表題の生成物を得て、これをさらに精製することなく使用した。
【0175】
実施例p−1
3’−(1−カルバモイル−エチルスルファニル)−ビフェニル−4−カルボン酸
3.0gの2−(3−ブロモ−フェニルスルファニル)−プロピオンアミド、1.95gの4−カルボキシベンゼン−ボロン酸、及び8.05gの炭酸カリウムを、25mlのジオキサンと25mlの水の混合液中で攪拌した。1.35gのテトラキス−トリフェニルホスフィノ−パラジウムを窒素雰囲気下で加え、混合液を85℃で14時間加熱した。混合液を40mlの水で希釈し、ろ過した。ろ液を濃塩酸でpH2に調整し、沈殿した生成物をろ過して単離した。
収率 2.8g
【0176】
実施例p−2
3’−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−ビフェニル−4−カルボン酸
3’−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−ビフェニル−4−カルボン酸を、実施例p−1と同様に[2−(3−ブロモ−フェノキシ)−エチル]−ジメチル−アミンから出発して調製した。
【0177】
実施例q
1−(3−ブロモ−ベンジル)−4−メチル−ピペラジン
2mlのTHF中の0.30gの1−メチルピペラジンを、3mlのTHF中の0.5gの3−ブロモベンジルブロミドの溶液を室温で滴下して加えて処理した。2時間攪拌後、混合物を60℃で30分間加熱した。溶媒を留去し、残渣をヘプタン/ヘプタン/ジクロロメタン/濃アンモニア(4/6/0.5)の勾配を使用してシリカのクロマトグラフィーを行った。
収率 0.16gの表題の生成物
【0178】
実施例r
3’−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ビフェニル−4−カルボン酸
98mgの4−カルボキシベンゼンボロン酸、159mgの1−(3−ブロモ−ベンジル)−4−メチル−ピペラジン、410mgの炭酸カリウム、及び69mgのテトラキス−トリフェニルホスフィノ−パラジウムを、アルゴン雰囲気下で1mlのジオキサンと1mlの水の混合液中で85℃で16時間攪拌した。混合物を室温に冷却し、100mlの水で希釈し、ろ過した。生成物が沈殿するまで、ろ液を注意深く濃塩酸で処理した。残渣のろ過と乾燥により、190mgの表題の生成物が得られた。
【0179】
実施例s
3’−(1−カルバモイル−エチルスルファニル)−ビフェニル−4−カルボン酸
1.0gの2−(3−ブロモ−フェノキシ)−エチル]−ジメチル−アミン、0.694gの4−カルボキシ−ベンゼンボロン酸、及び2.86gの炭酸カリウムを、5mlのジオキサンと5mlの水の混合液中で攪拌した。窒素雰囲気下で0.478gのテトラキス−トリフェニルホスフィノ−パラジウムを加え、混合物を85℃で14時間加熱した。混合物を15mlの水で希釈し、ろ過した。ろ液を濃塩酸でpH2に調整し、沈殿した生成物をろ過して単離した。
収率 1.06g
【0180】
実施例t
3−(1−シアノ−エチル)−安息香酸エチルエステル
20mlのジクロロメタン中の700mgの3−(1−シアノ−エチル)−安息香酸の溶液に、610mgの塩化オキサリルと2滴のDMFを室温で滴下して加えた。1時間攪拌後、10mlのエタノールを加え、さらに1時間攪拌を続けた。溶媒を留去し、残渣をジクロロメタンに溶解し、重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。ジクロロメタン相を乾燥し、溶媒を留去し、残渣をシリカのクロマトグラフィーで酢酸エチル/ヘプタン混合液で精製した。
収率 570mg
【0181】
実施例u
3−(1−シアノ−1−メチル−エチル)−安息香酸エチルエステル
3−(1−シアノ−エチル)−安息香酸エチルエステルを、4mlの無水DMFに溶解した。窒素雰囲気下で、138mgの60%水素化ナトリウムと423mgのヨウ化メチルを室温で加えた。混合液を16時間攪拌し、次に1mlのメタノールを加えてクエンチし、溶媒を留去した。残渣をシリカのクロマトグラフィーで酢酸エチル/ヘプタン混合液で精製した。
収率 300mg
【0182】
実施例v
3−(1−シアノ−1−メチル−エチル)−安息香酸
1mlのエタノールと0.5mlの水中の300mgの3−(1−シアノ−メチル−エチル)−安息香酸エチルエステルと165mgの水酸化ナトリウムの混合物を、室温で2時間攪拌した。20mlの水を加え、濃塩酸を加えてpHを1〜2に調整した。沈殿した表題の生成物をろ過して単離し、水で洗浄し、乾燥して、184mgを得た。
【0183】
実施例w
3−ピリミジン−5−イル−アクリル酸
4.25gの5−ブロモピリミジン、8.83gのtert−ブチルアクリレート、900mgの酢酸パラジウム(II)、1.79gのトリフェニルホスファン、及び351mgのトリエチルアミンを、閉じたガラスバイアルに充填し、攪拌しながら80℃に一晩加熱した。混合物から真空下で溶媒を留去し、残渣を酢酸エチルに溶解し、シリカパッドでろ過した。ろ液から溶媒を留去して、2.0gの粗3−ピリミジン−5−イル−アクリル酸tert−ブチルエステルを得た。
粗tert−ブチルエステルを20mlのジクロロメタンに溶解し、室温で10mlのトリフルオロ酢酸を加えた。一晩攪拌後、混合物から真空下で溶媒を留去し、残渣をシリカのクロマトグラフィーで酢酸エチルとメタノールの勾配で精製した。
収率 143mgの表題の生成物
市販されていない置換アミンXVIIIは調製した:
【0184】
実施例x
2−(3−ブロモ−フェニル)−2−メチル−プロピオニトリル
257mgの95%水素化ナトリウムを、25mlの無水DMF中で室温で窒素雰囲気下で攪拌した。10mlの無水ジエチルエーテル中の1gの3−ブロモフェニルアセトニトリルと1.593gのヨードメタンの溶液を、30℃以下でゆっくり加えた。混合物を室温で一晩攪拌し、次に少量の水を加えてクエンチした。真空下で溶媒を留去して、残渣をシリカのクロマトグラフィーでヘプタン/酢酸エチル勾配で精製した。
収率 0.97gの表題の生成物
【0185】
実施例y
2−(3−アミノ−フェニル)−2−メチル−プロピオニトリル
1.0gの2−(3−ブロモ−フェニル)−2−メチル−プロピオニトリル、204mgのトリス(ジベンジリデン−アセトン)ジパラジウム(0)、及び156mgの(ビフェニル−2−イル)ジシクロヘキシルホスフィンを10mlの無水THFに溶解し、完全に脱気し、窒素をパージした。THF中の10.7mlの1M リチウムビス(トリメチルシリル)アミド溶液を加え、混合物を65℃で18時間攪拌した。水と酢酸エチルを加え、有機相を分離した。水相を酢酸エチルで抽出し、一緒にした有機相を乾燥し、溶媒を留去し、シリカのクロマトグラフィーでヘプタン/酢酸エチル勾配で精製した。
収率 481mgの表題の生成物
【0186】
実施例z
5−アミノ−1−エチル−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン
をWO91/06545とMerterns, A., et al., J. Med. Chem. 30 (1987) 1279-1287に記載のように調製した。
【0187】
実施例z−a
7−アミノ−4−メチル−4H−ベンゾ[1,4]チアジン−3−オン
をWO2004/041823に記載のように調製した。
【0188】
最終生成物
実施例1−1
3’−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−ビフェニル−4−カルボン酸[4−クロロ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド
4mlの無水DMF中の150mgの3’−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−ビフェニル−4−カルボン酸に、114mgのN’−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩と60mgの4−ジメチルアミノピリジンを加えた。混合物を50℃で30分間攪拌し、次に室温に冷却した。2mlのDMF中の158mgの5−アミノ−2−クロロ−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド(実施例eから)を加え、混合物を再度50℃に一晩加熱した。溶媒を留去し、残渣を少量のメタノールに溶解し、逆相C−18シリカのクロマトグラフィーにより水メタノール勾配で精製した。
収率 12mgの表題の生成物。
【0189】
1H-NMR (400 MHz, D6-DMSO): δ = 11.62 (br, IH), 10.57 (s, 2H), 8.40 (d, 2H), 8.07 (d, 3H), 7.99 (d, 1H), 7.88 (d, 2H), 7.58 (d, 1H), 7.48 (m, 1H), 7.41 (m, 1H), 2.36-7.25 (m, 2H), 7.01 (d, 1H), 6.47 (d, 1H), 4.15 (t, 2H), 2.65 (t, 2H), 2.23 (s, 6H)
MS (ESI-): m/z = 552.24
【0190】
実施例1−2
以下の例は、適切な出発物質を使用して実施例1−1について記載した方法と同様にして調製した。
【0191】
【表7】

【0192】
実施例2−1
ビフェニル−3−カルボン酸[4−クロロ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド
500mgのビフェニル−3−カルボン酸を10mlのジクロロメタンに溶解し、1滴のDMFを加えた。385mgの塩化オキサリルを室温で滴下して加え、攪拌を2時間続けた。溶媒を留去し、166mgの上記残渣を2mlの無水ピリジン中の100mgの5−アミノ−2−クロロ−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド(実施例eから)の溶液に室温で加えた。混合物を一晩攪拌し、溶媒を留去し、残渣を3mlのメタノールと1mlの濃アンモニアに取った。室温で1時間攪拌後、再度溶媒を留去し、残渣を水に分散した。生成物をろ過して単離し、水で完全に洗浄し、次にジエチルエーテルで洗浄した。
収率 84mgの表題の生成物。
【0193】
1H-NMR (400 MHz, D6-DMSO): δ = 11.62 (br, 1H), 10.58 (br, 2H), 8.40 (d, 2H), 8.26 (s, 1H), 8.11-7.85 (m, 4H), 7.78 (m, 2H), 7.70-7.37 (m, 6H), 6.48 (s, 1H)
MS (ESI+): m/z = 467.25
【0194】
実施例2−2〜2−8
以下の例は、適切な出発物質を使用して実施例2−1について記載した方法と同様にして調製した。
【0195】
【表8】

【表9】

【0196】
実施例3−1
2−クロロ−5−[4−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ベンゾイルアミノ]−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド
200mgの4−(2−カルボキシフェニル)−3,5−ジメチルピラゾール(Fluorochemから購入した)を2mlの無水DMFに溶解した。225mgのN−メチルモルホリンを加え、混合物を0℃に冷却した。278mgのクロロ蟻酸イソブチルをゆっくり加え、混合物を室温まで戻した。さらに2時間攪拌を続け、次に真空下で溶媒を除去して680mgの残渣を得た。320mgのこの残渣を1mlの無水DMFに溶解し、1mlの無水DMF中の100mgの1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルアミンの溶液に室温で加えた。一晩攪拌を続けた後、数mlの水を加え、混合物から真空下で溶媒を留去した。残渣を5mlのメタノールに溶解し、1mlの濃アンモニアで室温で1時間攪拌して、ビスアシル化反応生成物を切断した。これを再度蒸発乾固し、残渣をC−18逆相シリカのクロマトグラフィーにより水/メタノール勾配で精製した。最初の溶出生成物は2−クロロ−5−[4−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ベンゾイルアミノ]−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド(3mg)であり、2番目は[4−クロロ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−カルバミン酸イソブチルエステル(8mg)であった。
【0197】
1H-NMR (400 MHz, D6-DMSO): δ = 12.14 (br, 1H), 11.60 (br, 1H), 10.52 (br, 1H), 10.24 (br, 1H), 8.39 (d, 1H), 8.35 (d, 1H), 7.84 (d, 1H), 7.69-7.50 (m, 2H), 7.57-7.43 (m, 4H), 7.27 (d, 1H), 6.45 (m, 1H), 2.07 (br, 3H), 2.01 (br, 3H)
MS (ESI-): m/z = 483.40
【0198】
実施例4−1
3−(2−クロロ−フェニル)−イソキサゾール−5−カルボン酸[4−クロロ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド
2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩(TBTU)(0.084g,0.26ミリモル)とトリエチルアミン(50μl,0.35ミリモル)を、DMF(1ml)中の3−(2−クロロ−フェニル)−2,3−ジヒドロ−イソキサゾール−5−カルボン酸(0.058g,0.26ミリモル)の溶液に加え、反応物を室温で10分間攪拌した。5−アミノ−2−クロロ−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド(0.05Og,0.175ミリモル)を反応混合物に加え、さらに24時間攪拌した。減圧下で溶媒を留去し、次にメタノール(3ml)と水酸化アンモニウム(1ml)を残渣に加え、混合物をさらに3時間攪拌した。減圧下で溶媒を留去し、得られた固体をアセトニトリル:水(1:1,5ml)で粉砕した。固体をろ過して3−(2−クロロ−フェニル)−イソキサゾール−5−カルボン酸[4−クロロ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド 0.033g(37%収率)を得た。
【0199】
1H-NMR (400 MHz, D6-DMSO): δ = 11.57 (br, 1H), 11.06 (br, 1H), 10.54 (br, 1H), 8.43 (d, 1H), 8.37 (m, 1H), 8.03 (d, 1H), 7.96 (m, 1H), 7.80 (m, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.71 (m, 1H), 7.65-7.59 (m, 2H), 7.55 (m, 1H), 7.48 (m, 1H), 6.48 (m, 1H)。
【0200】
実施例4−2〜4−7
以下の例は、適切な出発物質を使用して実施例4−1について記載した方法と同様にして調製した。
【0201】
【表10】

【表11】

【0202】
実施例5−1
2−クロロ−5−((E)−3−ピリミジン−5−イル−アクリロイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド
TBTU(0.225g,0.70ミリモル)とトリエチルアミン(64μl,0.45ミリモル)を、DMF(2ml)中の(E)−3−ピリミジン−2−イル−アクリル酸(0.079g,0.53ミリモル)の溶液に加え、反応物を室温で10分間攪拌した。5−アミノ−2−クロロ−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド(0.1g,0.35ミリモル)を反応混合物に加え、70℃でさらに24時間攪拌した。減圧下で溶媒を留去し、次にメタノール(5ml)と水酸化アンモニウム(2ml)を残渣に加え、混合物をさらに3時間攪拌した。減圧下で溶媒を留去し、固体をアセトニトリル:水(1:1,5ml)で粉砕した。固体をろ過して3−(2−クロロ−フェニル)−イソキサゾール−5−カルボン酸[4−クロロ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド 0.065g(44%収率)を得た。
【0203】
実施例5−2
以下の例は、適切な出発物質を使用して実施例5−1について記載した方法と同様にして調製した。
【0204】
【表12】

【0205】
実施例6−1
5−ベンゾイルアミノ−N−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル)−2−メチル−ベンズアミド
50mgの5−アミノ−N−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル)−2−メチル−ベンズアミド(実施例kから)を0.5mlの無水DMFと0.5mlのピリジンに溶解し、66mgの塩化ベンゾイルを室温で滴下して処理した。16時間後、真空下で溶媒を留去し、残渣を2mlのメタノールと1mlの濃アンモニアの混合物中で室温で1時間攪拌した。真空下で溶媒を留去し、残渣をHPLC/MSによりメタノール/水/酢酸で精製した。生成物を含む画分をプールし、真空下で濃縮した。沈殿した生成物をろ過して集め、希アンモニアで洗浄して、11mgの表題の生成物を得た。
【0206】
1H-NMR (400 MHz, D6-DMSO): δ = 13.05 と 12.59 (s, IH, 互変異性体), 10.62 と 10.51 (s, 1H, 互変異性体), 10.36 (s, 1H), 8.65-8.45 (m, 2H, 互変異性体), 8.41 (s, 1H), 8.03-7.92 (m, 3H), 7.85 (m, 1H), 7.64-7.51 (m, 3H), 7.32 (d, 1H), 2.39 (s, 3H)
MS (ESI+): m/z = 372.3
【0207】
実施例6−2〜6−4
以下の例は、適切な出発物質を使用して実施例6−1について記載した方法と同様にして調製した。
【0208】
【表13】

【0209】
実施例7−1
4−クロロ−N1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド
1mlの無水DMF中の100mgの4−クロロ−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミドを56.5mgのカルボニルジイミダゾールで処理し、室温で1時間攪拌した。69mgの4−モルホリノ−アニリンと10mgの4−ジメチルアミノピリジンを加え、混合物を室温で3時間攪拌した。真空下で溶媒を留去し、残渣を3mlのメタノールと0.5mlの濃アンモニアに溶解した。室温で20分間攪拌後、溶媒を除去し、残渣を分取HPLC/MSにより精製した。
収率 55mgの表題の生成物。
【0210】
実施例8−1
4−クロロ−N1−(6−フェノキシ−ピリジン−3−イル)−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド塩酸塩
塩化チオニル(0.170g,1.43ミリモル)とDMF(1滴)をTHF(8ml)中の4−クロロ−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド酸(0.15g,0.48ミリモル)の溶液に加え、反応物を50℃で16時間攪拌した。反応物を減圧下で濃縮して粗酸塩化物を得て、これをさらに精製することなく使用した。
【0211】
6−フェノキシ−ピリジン−3−イルアミン(0.078g,0.42ミリモル)をDCM(5ml)中の塩化4−クロロ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−ベンゾイルの溶液に加え、反応物を室温で2時間攪拌した。減圧下で溶媒を留去し、粗生成物をアセトニトリル:水(1:1,10ml)で粉砕した。2工程で固体をろ過して4−クロロ−N1−(6−フェノキシ−ピリジン−3−イル)−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミドを塩酸塩として得た、0.086g,(37%収率)。
【0212】
実施例8−2〜8−8
以下の例は、適切な出発物質を使用して実施例8−1について記載した方法と同様にして調製した。
【0213】
【表14】

【表15】

【0214】
実施例9−1〜9−12
実施例d−1
2−メチル−5−ニトロ−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド
ベンゼン(40ml)中の2−メチル−4−ニトロ安息香酸(2g,11ミリモル)の溶液に塩化チオニル(2ml)を加え、3時間還流した。反応混合物を濃縮し、無水アセトニトリル(20ml)で希釈した。この溶液に、無水K2CO3(2g,14ミリモル)次にアセトニトリル(20ml)中の1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルアミン(実施例c),1.4g,11ミリモル)の溶液を加え、反応混合物を室温で16時間攪拌した。減圧下で溶媒を留去し、水で希釈し、15分間攪拌し、ろ過した。固体残渣を酢酸エチルで洗浄して、2.4gの表題の粗生成物を得た。LC−MS:(m/z297)。
【0215】
実施例e−1
5−アミノ−2−メチル−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド
メタノール(50ml)中の実施例d−1からの粗生成物(2.4g)の溶液にZn末(2g)と塩化アンモニウム(3g)水溶液を加え、反応混合物を1時間還流した。反応混合物を冷却し、ろ過し、減圧下で濃縮し、水で希釈し、15分間攪拌し、ろ過し、高真空下で乾燥した。粗塊体をアンモニウム水中で一晩攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、メタノールで洗浄して、1.3g(46.4%、2工程)の表題の生成物を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): 2.21 (s, 3H), 5.08 (bs, 2H), 6.42-6.43 (m, 1H), 6.57-6.59 (m, 1H), 6.69 (d, J = 2 Hz, 1H), 6.92 (d, J = 8.12 Hz, 1H), 7.43 (t, J = 2.68 Hz, 1H), 8.36-8.42 (dd, J = 1.88 Hz, 22.4 Hz, 2H), 10.18 (s, 1H), 11.56 (s, 1H)。
【0216】
実施例9−1〜9−12の一般的調製:
実施例9−1〜9−12を、下記の2つの方法の1つにより調製した:
(i)CH3CN(5ml)とK2CO3(2ミリモル)中の5−アミノ−2−メチル−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド(0.5ミリモル)の溶液に、適切な酸塩化物(0.5ミリモル)[酸とSOCl2とから無水ベンゼン中で3時間還流して調製した]を加え、室温で一晩攪拌した。溶媒を濃縮し、水で洗浄し、再結晶化又は分取HPLCで精製して純粋な9−1〜9−12を得た。
(ii)DMF(5ml)中の5−アミノ−2−メチル−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド(0.5ミリモル)の溶液に、適切な酸(0.5ミリモル)、HBTU(0.5ミリモル)、HOBT(0.5ミリモル)、及びヒューニッヒ塩基(0.6ミリモル)を加え、室温で一晩攪拌した。溶媒を濃縮し、水で洗浄し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー又は分取HPLCにより精製して純粋な9−1〜9−12を得た。
【0217】
以下の例は、適切な出発物質を使用して上記2つの方法と同様にして調製した。
【0218】
【表16】

【0219】
実施例10−1〜10−12
実施例d−2
2−クロロ−4−フルオロ−5−ニトロ安息香酸
濃硫酸(259ml)中の2−クロロ4−フルオロ−安息香酸(50g,28.6ミリモル)の攪拌溶液に、硝化酸混液(103ml,濃硫酸−発煙硝酸,1:1)を0℃で滴下ロートからゆっくり加えた。反応塊体を0℃で1時間攪拌した。これを2時間攪拌して室温まで加温した。反応塊体を粉砕した氷中に注いだ。固体をろ過し、乾燥した。粗物質を酢酸エチルから再結晶化して表題の生成物を白色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.04 (d, 1H, J = 11.08 Hz), 8.55 (d, J = 8.16 Hz). FIA MS: (m/z 119)。
【0220】
実施例d−3
2−クロロ−4−フルオロ−5−ニトロ−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド
ベンゼン(40ml)中の実施例d−2からの2−クロロ−4−フルオロ−5−ニトロ安息香酸(2g,9.1ミリモル)の溶液に塩化チオニル(2ml)を加え、3時間還流した。反応混合物を濃縮し、無水アセトニトリル(20ml)で希釈した。この溶液にK2CO3(2g,14ミリモル)を加え、次にアセトニトリル(20ml)中の1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルアミン(実施例c),1.2g,9.1ミリモル)の溶液を加え、反応混合物を室温で16時間攪拌した。反応混合物をcintered faunalでろ過した。残渣を無水アセトニトリルで数回洗浄した。減圧下で溶媒を留去し、2.8gの表題の粗生成物を得た。LC−MS:(m/z 335)。
【0221】
実施例e−2
5−アミノ−2−クロロ−4−フルオロ−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド
酢酸エチル(50ml)中の実施例d−3からの粗生成物(2.8g)の攪拌溶液に、SnCl2(7.5g)を加えた。反応混合物を16時間攪拌した。反応混合物を1(N)NaOHでクエンチし、セライトパッドでろ過した。有機層を分離した。水層を酢酸エチルで抽出した(3×50ml)。有機物を減圧下で濃縮し、Et2Oで洗浄して1.1g(40.4%,2工程)の表題の生成物を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 5.56 (bs, 2H), 6.43-6.44 (m, 1H), 6.94-6.96 (d, J = 9.36 Hz, 1H), 7.27 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 7.45 (t, J = 2.92 Hz, 1H), 8.33 (d, J = 2.16 Hz, 1H), 8.38 (d, J = 2.32 Hz, 1H), 10.39 (s, 1H), 11.60 (s, 1H)。
【0222】
実施例10−1〜10−10の一般的調製
実施例10−1〜10−12を、下記の3つの方法の1つにより調製した:
i)CH3CN(5ml)中の5−アミノ−2−クロロ−4−フルオロ−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド(0.5ミリモル)の溶液に、Cs2CO3(2.5ミリモル)と適切な酸塩化物(0.5ミリモル)[酸とSOCl2とから無水ベンゼン中で3時間還流して調製した]を加え、室温で一晩攪拌した。溶媒を濃縮し、酢酸エチル(10ml)で希釈し、水(2×5ml)で洗浄した。有機物を濃縮し、粗物質を再結晶化又は分取HPLCで精製して純粋な10−1〜10−10を得た。
【0223】
ii)DMF(5ml)中の5−アミノ−2−クロロ−4−フルオロ−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド(0.5ミリモル)の溶液に、適切な酸(0.5ミリモル)、HBTU(0.5ミリモル)、HOBT(0.5ミリモル)、及びヒューニッヒ塩基(0.6ミリモル)を加え、室温で一晩攪拌した。溶媒を濃縮し、酢酸エチル(10ml)で希釈し、水(2×5ml)で洗浄した。有機物を濃縮し、粗物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー又は分取HPLCで精製して純粋な10−1〜10−10を得た。
【0224】
iii)THF(3ml)中のNaH(0.5ミリモル)の懸濁物に、5−アミノ−2−クロロ−4−フルオロ−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド(0.5ミリモル)を0℃で加え、室温で1時間攪拌した。THF(2ml)に溶解した適切な酸塩化物を9の攪拌溶液に0℃で加え、反応混合物を室温まで加温し、一晩攪拌した。反応物を塩化アンモニウム飽和溶液でクエンチした。反応塊体を50ml酢酸エチルで希釈し、水(2×25ml)で洗浄した。有機物を濃縮し、粗物質を分取HPLCで精製して純粋な10−1〜10−10を得た。
【0225】
以下の例は、適切な出発物質を使用して上記3つの方法の1つと同様にして調製した。
【0226】
【表17】

【表18】

【0227】
実施例11−1〜11−9
実施例l−1
4−メチル−イソフタル酸1−tert−ブチルエステル
トリフルオロホウ酸中の溶液を0℃で攪拌して、3−アミノ−4−メチル安息香酸をジアゾ化した。NaNO2をゆっくり加え、同じ温度で1時間攪拌した。白色の固体をろ過した。固体を冷却水で洗浄し、次にEt2Oで洗浄した。粗ジアゾニウム塩を空気乾燥し、凍結保存した。
【0228】
上記ジアゾニウム塩をメタノール溶液中でカルボニル化した。溶液にアルゴンを15分間通過させた。アルゴン雰囲気下で室温でPd(OAc)2を反応混合物に加えた。室温で攪拌しながら溶液に一酸化炭素を1時間通過させた。反応混合物をセライトベッドでろ過した。有機物を濃縮し、粗物質をカラムクロマトグラフィーにより精製して4−メチル−イソフタル酸3−メチルエステルを得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ 2.58 (3H, s), 3.85 (3H, s), 7.47 (1H, d, J = 7.97 Hz), 8.01 (1H, dd, J = 1.64 Hz, J = 7.88 Hz), 8.37 (1H, d, J = 1.48 Hz), 13.19 (1H, bs)。FIA MS: (m/z 194)。
【0229】
THF中の上記モノエステルの攪拌溶液に、4−DMAPを0℃でゆっくり加えた。(BOC)2Oをゆっくり反応混合物に加え、室温で一晩攪拌した。反応塊体を濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製して4−メチル−イソフタル酸1−tert−ブチルエステル3−メチルエステルを得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ 1.57 (9H, s), 2.50 (3H, s), 3.85 (3H, s), 7.46 (1H, d, J = 8.04 Hz), 7.96 (lH,dd, J = 1.84 Hz, J = 7.96 Hz), 8.30 (1H, d, J = 1.8 Hz)。FIA MS: (m/z 250)。
【0230】
DMF−H2O中の上記混合メチル−(tert−ブチル)エステルの攪拌溶液に、NaOHを加えた。反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応の完了後、反応物のpHを1(N)HClを使用して中性に調整した。反応塊体を酢酸エチルで抽出した。有機物を濃縮した;残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して4−メチル−イソフタル酸1−tert−ブチルエステルを白色の固体として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ 1.54 (9H, s), 2.53 (3H, s), 7.43 (1H, d, J = 8 Hz), 7.93 (1H, dd, J = 1.68 Hz, J = 7.96 Hz), 8.31 (1H, d, J = 1.44 Hz), 13.15 (1H, bs)。 FIA MS: (m/z 236)。
【0231】
実施例m−1
4−メチル−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド酸tert−ブチルエステル
ii)THF(5ml)中の1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルアミン(実施例c),0.5ミリモル)と実施例l−1からの4−メチル−イソフタル酸1−tert−ブチルエステル(0.5ミリモル)の溶液に、TBTU(0.5ミリモル)、HOBT(0.5ミリモル)、及びヒューニッヒ塩基(0.6ミリモル)を加え、室温で一晩攪拌した。溶媒を濃縮し、酢酸エチル( )で希釈し、1(N)NaOHで洗浄した。有機物を濃縮して2.8gの表題の粗生成物を得た。LC−MS:(m/z 352)。
【0232】
実施例n−1
4−メチル−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド酸
TFA(5ml)中の実施例m−1)からの粗生成物(2.8g)の溶液を室温で2時間攪拌した。TFAを完全に除去して表題の生成物を得た。LC−MS(m/z 296)。
【0233】
実施例11−1〜11−9の一般的調製
実施例11−1〜11−9を、下記の方法により調製した:
DMF(5ml)中の4−メチル−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド酸(0.5ミリモル)の溶液に、適切なアミン(0.5ミリモル)、HBTU(0.5ミリモル)、HOBT(0.5ミリモル)、及びヒューニッヒ塩基(0.6ミリモル)を加え、室温で一晩攪拌した。溶媒を濃縮し、水で洗浄し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー又は分取HPLCにより精製して純粋な11−1〜11−9を得た。
【0234】
以下の例は、適切な出発物質を使用して上記の方法と同様にして調製した。
【0235】
【表19】

【0236】
実施例12
2−クロロ−5−[4−(2−ヒドロキシエチル)アミノ−3−クロロ−ベンゾイルアミノ]−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド
実施例2−7からの50mgの2−クロロ−5−(3−クロロ−4−フルオロ−ベンゾイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミドと1gの2−アミノエタノールを、140℃で1時間加熱した。高真空下で混合物を濃縮し、残渣を少量のメタノールに取り、水を添加して粗生成物を沈殿させた。シリカのクロマトグラフィーで酢酸エチルにより18.9mgの表題の生成物を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】

(式中、
1とR2は、独立に水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメチル、又はジフルオロメトキシであり;
Lは、−NH−C(O)−又は−C(O)−NH−であり;
Qは、アルキレン、アルケニレン、又はシクロアルキレンであり;
nは、0又は1であり;
環Aは、アリール又はヘテロアリールであり、
3は、a)水素又はアルコキシ;
b)−V−フェニル(これは、フッ素、塩素、臭素、アルキル、アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、又は−Y−アルキレン−Zにより、1回又は数回任意に置換される);
c)ヘテロアリール(これは、フッ素、塩素、アルキル、アルコキシ、オキソ、トリフルオロメチル、又はトリフルオロメトキシにより、1回又は数回任意に置換される);又は
d)−T−ヘテロシクリル(これは、アルキル、−C(O)−アルキル、又は−S(O)2−アルキルにより、1回又は数回任意に置換される)であり;
4は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、又は−Y−アルキレン−Zであり;
5は、水素、アルキル、フッ素、塩素、アルコキシ、又はシアノであり;
Vは、単結合又は−O−であり;
Tは、単結合又はアルキレンであり;
Xは、N又はCHであり;
Yは、単結合、−O−、−NR−、−S−、又は−S(O)2−であり;
Zは、−OR、−NRR’、−C(O)−NRR’、シアノ、−NRR’−C(O)−アルキル、−S(O)2−アルキル、−S(O)2−NRR’、又は−NR−S(O)2−アルキルであり;
RとR’は、独立に水素又はアルキルである)、
及びそのすべての医薬的に許容される塩。
【請求項2】
前記式中、
1とR2は、独立に水素、塩素、フッ素、又はメチルであり;
Qは、アルケニレン又はシクロアルキレンであり;
nは、0又は1であり;
環Aは、フェニル、又はピラゾリル、イソキサゾリル、キノリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−6−イル、3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−7−イル、5,6,7,8−テトラヒドロ−キナゾリン−2−イル、2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−イル、もしくは3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]チアジン−7−イルよりなる群から選択されるヘテロアリールであり、
3は、a)水素又はアルコキシ;
b)−V−フェニル(これは、塩素、アルコキシ、又は−Y−アルキレン−Zにより、1回又は2回任意に置換される);
c)ピラゾリル又はオキサゾリルから選択されるヘテロアリール(これは、アルキルシにより1回又は2回任意に置換される);又は
d)−T−モルホリニルであり;
4は、水素、塩素、アルキル、アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、又は−Y−アルキレン−Zであり;
5は、水素、アルキル、フッ素、塩素、アルコキシ、又はシアノであり;
Tは、単結合であり;
Xは、N又はCHであり;
Yは、単結合、−O−、−NR−、又は−S−であり;
Zは、−OR、−NRR’、−C(O)−NRR’、シアノであり;そして
RとR’は、独立に水素又はアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記式中、Lは−C(O)−NH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記式中、Lは−NH−C(O)−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記式中、XはCHである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
前記式中、XはNである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
以下よりなる群から選択される請求項1の化合物:
3’−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−ビフェニル−4−カルボン酸[4−クロロ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
3’−(1−カルバモイル−エチルスルファニル)−ビフェニル−4−カルボン酸[4−クロロ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
ビフェニル−3−カルボン酸[4−クロロ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
ビフェニル−4−カルボン酸[4−クロロ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
2−クロロ−5−(4−モルホリン−4−イル−ベンゾイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[4−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ベンゾイルアミノ]−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−(3−モルホリン−4−イル−ベンゾイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
5−(4−tert−ブトキシ−ベンゾイルアミノ)−2−クロロ−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[3−(シアノ−ジメチル−メチル)−ベンゾイルアミノ]−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
3−(2−クロロ−フェニル)−イソキサゾール−5−カルボン酸[4−クロロ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
5−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸[4−クロロ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド:
2−クロロ−5−((E)−3−フェニル−ブト−2−エノイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−{3−[4−(3−ジメチルアミノ−プロポキシ)−フェニル]−アクリロイルアミノ}−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[3−(3−シアノ−フェニル)−2−メチル−アクリロイルアミノ]−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−[(E)−3−(2−メトキシ−フェニル)−アクリロイルアミノ]−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−{[(1S,2S)−2−(4−メトキシ−フェニル)−シクロプロパンカルボニル]−アミノ}−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−((E)−3−ピリミジン−5−イル−アクリロイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
2−クロロ−5−((E)−3−ピリダジン−3−イル−アクリロイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
5−ベンゾイルアミノ−N−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル)−2−メチル−ベンズアミド;
ビフェニル−3−カルボン酸[3−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イルカルバモイル)−4−メチル−フェニル]−アミド;
ビフェニル−4−カルボン酸[3−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イルカルバモイル)−4−メチル−フェニル]−アミド;
N−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル)−2−メチル−5−[(E)−(3−フェニル−アクリロイル)アミノ]−ベンズアミド;
4−クロロ−N1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド;
4−クロロ−N1−(3−モルホリン−4−イル−フェニル)−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド塩酸塩;
4−クロロ−N1−(3−ピラゾール−1−イル−フェニル)−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド塩酸塩;
4−クロロ−N1−[3−(シアノ−ジメチル−メチル)−フェニル]−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド塩酸塩;
4−クロロ−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−N1−(4−トリフルオロメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−キナゾリン−2−イル)−イソフタルアミド塩酸塩;
4−クロロ−N1−(6−フェノキシ−ピリジン−3−イル)−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド塩酸塩;
4−クロロ−N1−(1−エチル−3,3−ジメチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−イル)−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド塩酸塩;
4−クロロ−N1−(4−メチル−3−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]チアジン−7−イル)−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド塩酸塩;
4−クロロ−N1−((1S,2R)−2−フェニル−シクロプロピル)−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド;塩酸塩;
2−クロロ−5−(3−クロロ−4−フルオロ−ベンゾイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
1−(2−メトキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸[4−クロロ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
3,4,5−トリメトキシ−N−[4−メチル−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−ベンズアミド;
2,4,5−トリメトキシ−N−[4−メチル−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−ベンズアミド;
1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸[4−メチル−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
2−メチル−5−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
5−tert−ブチル−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸[4−メチル−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
2−メチル−5−(3−モルホリン−4−イル−ベンゾイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
5−[(E)−3−(2−メトキシ−フェニル)−アクリロイルアミノ]−2−メチル−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
5−[(E)−3−(2,4−ジメトキシ−フェニル)−アクリロイルアミノ]−2−メチル−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
4−メトキシ−キノリン−2−カルボン酸[4−メチル−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
2−メチル−5−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシ−ベンゾイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
3−(2−クロロ−フェニル)−イソキサゾール−5−カルボン酸[4−メチル−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
5−[(Z)−3−(2−メトキシ−フェニル)−アクリロイルアミノ]−2−メチル−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
2−クロロ−4−フルオロ−5−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシ−ベンゾイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
1−フェニル−1H−ピラゾール−S−カルボン酸[4−クロロ−2−フルオロ−5−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
4−メトキシ−キノリン−2−カルボン酸[4−クロロ−2−フルオロ−5−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
5−tert−ブチル−2−メチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸[4−クロロ−2−フルオロ−5−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
2−クロロ−4−フルオロ−5−(3−モルホリン−4−イル−ベンゾイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
2−クロロ−4−フルオロ−5−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンゾイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
2−クロロ−4−フルオロ−5−(2,4,5−トリメトキシ−ベンゾイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
2−クロロ−4−フルオロ−5−[(E)−3−(2−メトキシ−フェニル)−アクリロイルアミノ]−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
2−クロロ−4−フルオロ−5−(3,4,5−トリメトキシ−ベンゾイルアミノ)−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド;
3−(2−クロロ−フェニル)−イソキサゾール−5−カルボン酸[4−クロロ−2−フルオロ−5−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルカルバモイル)−フェニル]−アミド;
4−メチル−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−N1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−イソフタルアミド;
1−(2−メトキシ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−4−メチル−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド;
4−メチル−N1−(2−フェニル−シクロプロピル)−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド;
4−メチル−N1−(3−オキサゾール−5−イル−フェニル)−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド;
1−(3−メトキシ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−4−メチル−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド;
4−メチル−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−N1−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−イソフタルアミド;
1−(5−tert−ブチル−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−4−メチル−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド;
4−メチル−N1−(3−モルホリン−4−イル−フェニル)−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド;
4−メチル−N1−(3−ピラゾール−1−イル−フェニル)−N3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−イソフタルアミド;及び
2−クロロ−5−[4−(2−ヒドロキシエチル)アミノ−3−クロロ−ベンゾイルアミノ]−N−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−ベンズアミド。
【請求項8】
請求項1に記載の式Iの化合物の製造方法であって、
a)式XIIIaの化合物
【化2】

(式中、R1、R2、及びXは、請求項1の式Iについて定義した意味を有し、RG1は−NH2又は−C(O)OHである)に、式XIVaの化合物
【化3】

(式中、A、R3、R4、R5、Q、及びnは、請求項1の式Iについて定義した意味を有し、RG1が−NH2である場合、RG2は−C(O)OHであり、又はRG1が−C(O)OHである場合、RG2は−NH2である)を反応させて、式Iの化合物
【化4】

(式中、A、R1、R2、R3、R4、R5、Q、n、X、及びLは、請求項1の式Iについて定義した意味を有する)を得る工程;
b)式Iの化合物を単離する工程;及び
c)所望であれば、式Iの化合物をその医薬的に許容される塩に変換する工程、
を含んでなる方法。
【請求項9】
医薬的に許容される担体と一緒に、活性成分として1又は複数の請求項1〜7に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項10】
癌の治療のための請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
癌の治療のための請求項1〜7に記載の1又は複数の化合物の使用。
【請求項12】
癌の治療用の医薬の製造のための、請求項1〜7に記載の1又は複数の化合物の使用。

【公表番号】特表2010−502660(P2010−502660A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527045(P2009−527045)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【国際出願番号】PCT/EP2007/007691
【国際公開番号】WO2008/028617
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】