説明

プロテインキナーゼ阻害能のあるチアゾロ−、オキサゾロ−、及びイミダゾロ−キナゾリン化合物

式1の化合物又は薬剤として許容されるその塩。


[式中、
Xは、S、O、又はNHであり、
「a」は、単結合であり、或いは
「a」は二重結合であり、R及びRの一方、またR及びRの一方は不在であり、
はHであり、或いはそれぞれが1個又は複数のヘテロ原子を含んでいてもよく、R及びRから選択される1個又は複数の基によって置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロアリール基、アラルキル基、CO−アルキル、SO−アルキル、CO13、及びアリール基から選択され、
は、H、R、又は1個又は複数のR基によって置換されていてもよいアルキル基であり、
、R、R、及びRは、H、R、アルキル基、及びアルケニル基からそれぞれ独立に選択され、前記アルキル基及びアルケニル基は、1個又は複数のR基によって置換されていてもよく、或いは
とR、及び/又はRとRは、まとまって=Oを表し、
は、H、R、NH(CH、CO(CH、NHCO(CH、O(CH、又はR及びRから選択される1個又は複数の基によってそれぞれが置換されていてもよいアルキル基若しくはフェニル基であり、
は、OR10、NR1011、ハロゲン、CF、NO、COR10、CN、COOR10、CONR1011、SO10、又はSONR1011であり、
は、N、O、及びSから選択される1個又は複数のヘテロ原子を含んでいてもよく、1個又は複数のR基によって置換されていてもよい飽和又は不飽和の5若しくは6員環状基であり、
10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立にH又はヒドロカルビル基であり、
nは、0、1、2又は3である。]本発明の別の態様は、式(1)の化合物を含む薬剤組成物、並びに増殖性障害、ウイルス障害、CNS障害、糖尿病、脳卒中、及び心血管障害の治療におけるその治療上の使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拘束されたチアゾロ−、オキサゾロ−、及びイミダゾロ−ピリミジン化合物、並びに治療でのその使用に関する。本発明は、1種又は複数のプロテインキナーゼを阻害することのできる化合物に関するが、それだけに限定されない。
【背景技術】
【0002】
真核生物では、DNAの複製、細胞周期の進行、エネルギー代謝、細胞の増殖及び分化を含むすべての生物学的機能が、タンパク質の可逆的なリン酸化によって調節される。タンパク質のリン酸化状態は、その機能、細胞下の分布、及び安定性だけでなく、それが結合する他のタンパク質又は細胞成分が何であるかも決定する。このように、全体としてのプロテオームでの特定のリン酸化のバランス、並びに生化学経路の個々のメンバーのバランスは、絶えず変化する環境に応じてホメオスタシスを維持する戦略として生物に使用されている。これらのリン酸化及び脱リン酸化のステップを遂行する酵素が、それぞれプロテインキナーゼ及びホスファターゼである。
【0003】
真核生物プロテインキナーゼファミリーは、ヒトゲノムで最も大きいものの1つであり、500程度の遺伝子を含む[1,2]。キナーゼの大多数は、保存的なコア構造を有する250〜300個のアミノ酸残基触媒ドメインを含む。このドメインは、キナーゼによってその高分子基質に共有結合を介して転移される末端リン酸基を有するATP(それほどはないがGTP)のための結合ポケットを備えている。リン酸の供与体は常に、複合体として二価イオン(通常はMg2+又はMn2+)と結合している。触媒ドメインのもう1つの重要な機能は、高分子基質にリン酸を転移するための結合及び方向付けである。大抵のキナーゼに存在する触媒ドメインは、だいたい相同的である。
【0004】
ATPの結合に拮抗作用を及ぼしてプロテインキナーゼの機能を阻害することのできる広範な種類の分子が、当業界で知られている[3〜7]。例として、本出願人は、以前に、特にサイクリン依存性キナーゼ(CDK)に対するキナーゼ阻害特性を有する2−アニリノ−4−ヘテロアリール−ピリミジン化合物を開示している[8〜12]。CDKは、様々なサイクリンサブユニットと結合するセリン/スレオニンプロテインキナーゼである。これらの複合体は、真核生物細胞周期の進行の調節のみならず、転写の調節にとっても重要である[13、14]。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ヘテロアリール置換基の自由な回転が妨げられている、いわゆる「拘束された」新規なヘテロアリール置換型ピリミジン誘導体を提供しようとするものである。より詳細には、本発明は、いくつかの異なる疾患の治療において広範な治療用途を有し、かつ/又は1種又は複数のタンパク質キナーゼを阻害することのできる4,5−ジヒドロ−チアゾロ−、オキサゾロ−、及びイミダゾロ−[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミンに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様は、式1の化合物又は薬剤として許容されるその塩に関する。
【0007】
【化1】

[式中、
Xは、S、O、又はNHであり、
「a」は、単結合であり、或いは
「a」は二重結合であり、R及びRの一方、またR及びRの一方は不在であり、
はHであり、或いはそれぞれが1個又は複数のヘテロ原子を含んでいてもよく、R及びRから選択される1個又は複数の基によって置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロアリール基、アラルキル基、CO−アルキル、SO−アルキル、CO13、及びアリール基から選択され、
は、H、R、又は1個又は複数のR基によって置換されていてもよいアルキル基であり、
、R、R、及びRは、H、R、アルキル基、及びアルケニル基からそれぞれ独立に選択され、前記アルキル基及びアルケニル基は、1個又は複数のR基によって置換されていてもよく、或いは
とR、及び/又はRとRは、まとまって=Oを表し、
は、H、R、NH(CH、CO(CH、NHCO(CH、O(CH、又はR及びRから選択される1個又は複数の基によってそれぞれが置換されていてもよいアルキル基若しくはフェニル基であり、
は、OR10、NR1011、ハロゲン、CF、NO、COR10、CN、COOR10、CONR1011、SO10、又はSONR1011であり、
は、N、O、及びSから選択される1個又は複数のヘテロ原子を含んでいてもよく、1個又は複数のR基によって置換されていてもよい飽和又は不飽和の5若しくは6員環状基であり、
10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立にH又はヒドロカルビル基であり、
nは、0、1、2又は3である。]
【0008】
本発明の第二の態様は、上で規定した1種又は複数の式1の化合物を薬剤として許容される希釈剤、賦形剤、又は担体と混和したものを含む薬剤組成物に関する。
【0009】
本発明の別の態様は、
増殖性障害、
ウイルス障害、
CNS障害、
糖尿病、
心血管障害、
脳卒中、及び
脱毛症
のうちの1種又は複数の状態を治療する医薬を調製する際の1種又は複数の式1の化合物の使用に関する。
【0010】
本発明のもう1つの態様は、上で規定した式1の化合物の調製方法に関する。
【0011】
本発明のさらにもう1つの態様は、サイクリン依存性キナーゼ、オーロラキナーゼ、GSK、及びPLK酵素のうちの1種又は複数を阻害することのできる更なる候補化合物を同定するアッセイにおける本発明による化合物の使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
化合物
第一の態様では、本発明は、上で規定した式1の4,5−ジヒドロ−チアゾロ−、オキサゾロ−、及びイミダゾロ−[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミンに関する。Fravoliniらは、構造上同類である化合物2−メチル−8−フェニル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリンを開示しているが[15]、しかし、この化合物の生物学的性質は解明されていない。
【0013】
本明細書では、用語「ヒドロカルビル」とは、1種又は複数の他の適切な置換基を含んでいてもよい、少なくともC及びHを含む飽和又は不飽和の、直鎖状、分枝状、又は環状の基を指す。その置換基の例として、ハロ、アルコキシ、ヒドロキシ、CF、CN、アミノ、ニトロ、又は環状の基を挙げることができる。置換基が環状の基になる可能性に加え、置換基が組み合わさって環状の基を形成することもある。ヒドロカルビル基がCを1個より多く含む場合、これらの炭素は、必ずしも互いに結合している必要はない。たとえば、少なくとも2個の炭素が、適切な元素又は基を介して結合していてもよい。したがって、ヒドロカルビル基は、ヘテロ原子を含んでいてよい。適切なヘテロ原子は、当業者に明らかとなるものであり、たとえば、硫黄、窒素、酸素、リン、及びケイ素が含まれよう。ヒドロカルビル基は、アリール基又はアルキル基であることが好ましい。
【0014】
本明細書では、用語「アルキル」には、(一若しくは多)置換型でも無置換でもよい直鎖状及び分枝状の飽和アルキル基が含まれる。アルキル基は、C1〜20アルキル基であることが好ましく、より好ましくはC1〜15、さらに好ましくはC1〜12アルキル基、さらに好ましくはC1〜6アルキル基、より好ましくはC1〜3アルキル基である。特に好ましいアルキル基には、たとえば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、及びヘキシルが含まれる。適切な置換基には、たとえば、上で規定したR及びRから選択される1種又は複数の基が含まれる。
【0015】
本明細書では、用語「シクロアルキル」とは、(一若しくは多)置換型でも無置換でもよい環状アルキル基を指す。シクロアルキル基は、C3〜12シクロアルキル基であることが好ましい。適切な置換基には、たとえば、上で規定したR及びRから選択される1種又は複数の基が含まれる。
【0016】
本明細書では、用語「アリール」とは、(一若しくは多)置換型でも無置換でもよいC6〜12芳香族基を指す。典型的な例には、フェニルやナフチルなどが含まれる。適切な置換基には、たとえば、上で規定したR及びRから選択される1種又は複数の基が含まれる。
【0017】
用語「アラルキル」は、上で示した用語アルキルとアリールの複合語として使用する。
【0018】
本明細書では、用語「ヘテロアリール」とは、1個又は複数のヘテロ原子を含む、(一若しくは多)置換型又は無置換のC3〜12芳香族基を指す。好ましいヘテロアリール基には、ピロール、ピラゾール、ピリミジン、ピラジン、ピリジン、キノリン、チオフェン、及びフランが含まれる。ここでも、適切な置換基には、たとえば、上で規定したR及びRから選択される1種又は複数の基が含まれる。
【0019】
本明細書では、用語「アルケニル」とは、分枝状でも非分枝状でもよく、(一若しくは多)置換型でも無置換でもよい、1個又は複数の炭素−炭素二重結合を含む基を指す。アルケニル基は、C2〜20アルケニル基であることが好ましく、より好ましくはC2〜15アルケニル基、さらに好ましくはC2〜12アルケニル基、好ましくはC2〜6アルケニル基、より好ましくはC2〜3アルケニル基である。適切な置換基には、たとえば、上で規定したR及びRから選択される1種又は複数の基が含まれる。
【0020】
本発明の好ましい一実施形態は、式1aの化合物又は薬剤として許容されるその塩に関する。
【0021】
【化2】

[Xは、S、O、又はNHであり、
は、H、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロアリール基、又はアリール基であり、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、又はアリールの各基は、1個又は複数のヘテロ原子を含んでいてもよく、またR及びRから選択される1個又は複数の基によって置換されていてもよく、
は、H、R、又は1個又は複数のR基によって置換されていてもよいアルキル基であり、
、R、R、及びRは、H、R、アルキル基、及びアルケニル基からそれぞれ独立に選択され、前記アルキル基及びアルケニル基は、1個又は複数のR基によって置換されていてもよく、或いは
とR、及び/又はRとRは、まとまって=Oを表し、
は、H、R、NH(CH、CO(CH、NHCO(CH、O(CH、又はR及びRから選択される1個又は複数の基によってそれぞれが置換されていてもよいアルキル基若しくはフェニル基であり、
は、OR10、NR1011、ハロゲン、CF、NO、COR10、CN、COOR10、CONR1011、SO10、又はSONR1011であり、
は、N、O、及びSから選択される1個又は複数のヘテロ原子を含んでいてもよく、かつ1個又は複数のR基によって置換されていてもよい飽和又は不飽和の5員若しくは6員環状基であり、
10及びR11は、それぞれ独立にH又はヒドロカルビル基であり、
nは、0、1、2、又は3である。]
【0022】
本発明の特に好ましい一実施形態では、XはSである。
【0023】
10、R11、及びR12は、それぞれ独立にH又はアルキルであることが好ましい。
【0024】
13は、アルキル又はアルケニルであることが好ましい。
【0025】
好ましい一実施形態では、Rは、H、C〜C12アルキル基、C〜C12シクロアルキル基、C〜C12アリール基、又はC3〜12ヘテロアリール基であり、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びアリールの各基は、N、O、又はSから選択される1個、2個、又は3個のヘテロ原子を含んでいてもよく、またR及びRから選択される1個、2個、又は3個の基によって置換されていてもよい。
【0026】
別の好ましい実施形態では、RはHであり、或いはCO13、C〜C12アルキル基、C〜C12シクロアルキル基、C〜C12アリール基、(C〜C12アルキル)−(C〜C12アリール)基、C3〜12ヘテロアリール基、SO−(C〜C12アリール)、及びCO−(C〜C12アリール)から選択され、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びアリールの各基は、N、O、又はSから選択される1個、2個、又は3個のヘテロ原子を含んでいてもよく、またR及びRから選択される1個、2個、又は3個の基によって置換されていてもよい。
【0027】
より好ましい実施形態では、Rは、R及びRから選択される1個又は複数の置換基によってそれぞれが置換されていてもよいフェニル、ピリジン−2−イル、又はピリジン−3−イルである。
【0028】
別の好ましい実施形態では、RはHであり、或いはR及びRから選択される1個又は複数の置換基によってそれぞれが置換されていてもよいフェニル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、CH−フェニル、CO−フェニル、SO−フェニル、CO−アルキル、及びCO−アルケニルから選択される。
【0029】
は、NO、CF、OH、モルホリノ、及びNMeから選択される1個又は複数の置換基によって置換されていてもよいフェニル基であることがより一層好ましい。
【0030】
別の好ましい実施形態では、RはHであり、或いはNO、CF、OH、モルホリノ、及びNMeから選択される1個又は複数の置換基によってそれぞれが置換されていてもよいフェニル基、CO−フェニル、SO−フェニル、CH−フェニル、及びCO−CHCHCH=CHから選択される。
【0031】
本発明の特別に好ましい一実施形態では、Rは、NO、CF、OH、モルホリノ、及びNMeから選択される置換基によって3位又は4位が置換されていてもよいフェニル基である。
【0032】
別の好ましい実施形態では、RはHであり、或いはNO、CF、OH、モルホリノ、及びNMeから選択される置換基によって3位又は4位が置換されていてもよいフェニル基であり、或いはRは、CO−フェニル、CH−フェニル、SO−フェニル、又はCO−CHCHCH=CHである。
【0033】
は、H、R、又は1個又は複数のR基によって置換されていてもよいC〜Cアルキル基であることが好ましい。
【0034】
特に好ましい一実施形態では、RはHである。
【0035】
、R、R、及びRは、H、R、1個又は複数のR基によって置換されていてもよいC〜Cアルキル基、及び1個又は複数のR基によって置換されていてもよいC〜Cアルケニル基からそれぞれ独立に選択されることが好ましい。
【0036】
、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、H、又は1個又は複数のヒドロキシ基によって置換されていてもよいC1〜3アルキルであることがより好ましい。
【0037】
特に好ましい一実施形態では、R、R、R、及びRは、H、CH、CHOH、及びCHCHOHからそれぞれ独立に選択される。
【0038】
本発明の特に好ましい一実施形態では、R、R、R、及びRはすべてHである。
【0039】
は、H、R、フェニル、NH(CH、CO(CH、NHCO(CH、O(CH、又はR及びRから選択される1個又は複数の基によって置換されていてもよいC〜Cアルキル基であることが好ましい。
【0040】
は、C1〜6アルキル又はRであることがより好ましい。
【0041】
特に好ましい一実施形態では、Rは、CH、NH、NHCH、OCH、及びOCHCHから選択される。
【0042】
本発明の特別に好ましい一実施形態では、Rは、NH又はCHである。
【0043】
は、OH、OMe、OEt、OPr、NH、NHMe、NMe、NHEt、NHPr、CF、F、Cl、Br、I、NO、COMe、COEt、COPr、CN、COOH、COOMe、CONH、CONHMe、CONMe、SOMe、又はSONHであることがより好ましい。
【0044】
は、OH、OMe、OEt、OPr、NH、NHMe、NMe、NHEt、NHPr、CF、又はNOであることがより一層好ましい。
【0045】
は、モルホリノであることがより好ましい。
【0046】
本発明の好ましい一実施形態では、「a」は単結合である。
【0047】
本発明の別の好ましい実施形態では、「a」は二重結合であり、R又はRの一方は、R又はRの一方と合わせて不在である。
【0048】
本発明の得に好ましい一実施形態では、式1の化合物は、
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(3−ニトロ−フェニル)−アミン;
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;
3−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミノ)−フェノール;
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミン;
4−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミノ)−フェノール;
N,N−ジメチル−N’−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−ベンゼン−1,4 ジアミン;
(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−アミン;
(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−アミン;
メチル−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(3−ニトロ−フェニル)−アミン;
メチル−(2−メチル−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(3−ニトロ−フェニル)−アミン;
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−フェニル−アミン;
(2−メチル−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−フェニル−アミン;
−フェニル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−2,8−ジアミン;
−(3−ニトロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−2,8−ジアミン;
2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミン;
N−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−ベンズアミド;
ベンジル−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−アミン;
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−カルバミン酸ブト−3−エニルエステル;及び
N−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−ベンゼンスルホンアミド
から選択される。
【0049】
本発明のより一層好ましい実施形態では、式1の化合物は、
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(3−ニトロ−フェニル)−アミン;
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;
3−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミノ)−フェノール;
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミン;
4−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミノ)−フェノール;
N,N−ジメチル−N’−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−ベンゼン−1,4−ジアミン;
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミン;
(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−アミン;
(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−アミン;
メチル−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(3−ニトロ−フェニル)−アミン;
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−フェニル−アミン;
(2−メチル−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−フェニル−アミン;
−フェニル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−2,8−ジアミン;及び
−(3−ニトロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−2,8−ジアミン
から選択される。
【0050】
非常に好ましい本発明の化合物は、
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(3−ニトロ−フェニル)−アミン、
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン、
3−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミノ)−フェノール、
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミン、
4−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミノ)−フェノール、及び
N,N−ジメチル−N’−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−ベンゼン−1,4−ジアミン
である。
【0051】
特に好ましい一実施形態では、本発明の化合物は、次のプロテインキナーゼ、すなわち、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK6、CDK7、CDK8、CDK9、グリコーゲン合成キナーゼ3、polo様キナーゼ、オーロラキナーゼのうちの1種又は複数を阻害することができる。化合物が、前述のプロテインキナーゼのうちの1種又は複数をμM以下のIC50値で阻害できることがより好ましい。
【0052】
治療への使用
式Iの化合物は、抗増殖活性を有することがわかっており、したがって癌、白血病、乾癬や再狭窄などの制御不能な細胞増殖に随伴する他の障害など、増殖性障害の治療での使用が考えられる。本明細書で規定するところでは、本発明の範囲内の抗増殖効果は、たとえばA549、HT29、又はSaos−2のいずれかの細胞系を使用するin vitro全細胞アッセイで細胞増殖を阻害し得るかどうかによって実証することができる。このようなアッセイを使用して、本発明においてどの化合物が抗増殖性であるか決定することができる。
【0053】
したがって、本発明の好ましい一実施形態は、増殖性障害を治療する医薬を調製する際の1種又は複数の式1の化合物の使用に関する。
【0054】
本明細書では、語句「医薬の調製」は、式1の化合物の医薬としての直接の使用に加え、別の治療薬のためのスクリーニングプログラム、又はそのような医薬の任意の製造段階におけるその使用も含む。
【0055】
増殖性障害は、癌又は白血病であることが好ましい。用語増殖性障害とは、本明細書では広い意味で使用されて、細胞周期の制御を必要とする任意の障害、たとえば、再狭窄、心筋症、心筋梗塞などの心血管障害、糸球体腎炎やリウマチ様関節炎などの自己免疫障害、乾癬などの皮膚障害、マラリア、肺気腫、脱毛症、慢性閉塞性肺障害などの抗炎症、抗真菌、駆虫の各障害を含む。これらの障害において、本発明の化合物は、アポトーシスを誘発し、又は所望の細胞内を必要に応じて静止したままにすることができる。
【0056】
本発明の化合物は、細胞周期のステップ又は段階のいずれか、たとえば、核膜の形成、細胞周期の静止期(G0)からの退去、G1の進行、染色体の脱凝縮、核膜の崩壊、スタート、DNA複製の開始、DNA複製の進行、DNA複製の終結、中心体の複製、G2の進行、有糸分裂若しくは減数分裂機能の活性化、染色体の凝縮、中心体の分離、微小管による核形成、紡錘体の形成及び機能、微小管モータータンパク質との相互作用、染色分体の分割及び分離、有糸分裂機能の不活性化、収縮環の形成、及び細胞質分裂の機能を阻害し得る。特に、本発明の化合物は、クロマチンの結合、複製複合体の形成、複製の許可、リン酸化若しくは他の二次的な修飾活動、タンパク質分解、微小管の結合、アクチンの結合、セプチンの結合、微小管がまとめ役となる中心での核形成活動、及び細胞周期シグナル伝達経路の成分の結合など、ある種の遺伝子機能に影響を及ぼすことができる。
【0057】
本発明の一実施形態では、少なくとも1種のCDK酵素の阻害に十分な量の式1の化合物を投与する。
【0058】
式1の化合物は、CDK2及び/又はCDK4のうちの少なくとも1種の阻害に十分な量で投与することが好ましい。
【0059】
本発明の別の態様は、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)など、ウイルス障害を治療する医薬を調製する際の式1の化合物の使用に関する。
【0060】
本発明のより好ましい実施形態では、ウイルスの複製に関与する宿主細胞CDK、すなわちCDK2、CDK7、CDK8、及びCDK9[23]のうちの1種又は複数の阻害に十分な量の式1の化合物を投与する。
【0061】
本明細書で規定するところでは、本発明の範囲内の抗ウイルス効果は、CDK2、CDK7、CDK8、又はCDK9を阻害できるかどうかによって実証することができる。
【0062】
特に好ましい実施形態では、本発明は、CDK依存性若しくは感受性のウイルス障害の治療における1種又は複数の式1の化合物の使用に関する。CDK依存性の障害は、1種又は複数のCDK酵素の正常レベルを上回る活性と関連付けられる。そのような障害は、CDK2、CDK7、CDK8、及び/又はCDK9の異常なレベルの活性と関連付けられることが好ましい。CDK感受性の障害は、CDKレベルの異常が主因ではなく、主として代謝の異常からくる障害である。この筋書では、CDK2、CDK7、CDK8、及び/又はCDK9は、感受性のある代謝経路の一部であるということができ、したがってCDK阻害剤は、そのような障害の治療において活性を持ち得る。
【0063】
本発明の別の態様は、糖尿病治療用の医薬の調製における式1の化合物又は薬剤として許容されるその塩の使用に関する。
【0064】
特に好ましい実施形態では、糖尿病はII型糖尿病である。
【0065】
GSK3は、グリコーゲン合成酵素(GS)をリン酸化する数種のプロテインキナーゼの1種である。骨格筋でのインスリンによるグリコーゲン合成の刺激は、GSが脱リン酸化及び活性化された結果として起こる。すなわち、GSK3がGSに作用すると、GSが非活性化され、したがって筋肉でのグルコースのグリコーゲンへの変換が抑制される。
【0066】
II型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)は、多数の要因からなる疾患である。高血糖症は、肝臓、筋肉、及び他の組織でのインスリン抵抗性が、インスリン分泌の減少と合わさることによって起こる。骨格筋は、インスリンによって刺激されるグルコース取込みの主要な部位であり、そこでグルコースが循環から取り除かれ、又はグリコーゲンに変換される。筋グリコーゲンの蓄積は、グルコースホメオスターシスの主要な決定要素であり、II型糖尿病患者は、筋グリコーゲンの貯蔵に欠陥がある。GSK3活性の増大がII型糖尿病において重要であるという証拠がある[24]。さらに、II型糖尿病患者の筋細胞ではGSK3が過剰発現されていること、並びに骨格筋のGSK3活性とインスリンの作用とに逆の相関があることが示されている[25]。
【0067】
したがって、特にII型の糖尿病、及び糖尿病性ニューロパシーの治療において、GSK3の阻害は、治療上意義のあるものである。
【0068】
GSK3は、GS以外にも多くの基質をリン酸化することがわかっており、したがって多様な生化学的経路の調節に関与していることは注目に値する。たとえば、GSKは、中枢及び末梢神経系で高度に発現される。
【0069】
したがって、本発明の別の態様は、CNS障害、たとえば神経変性障害を治療する医薬を調製する際の、式1の化合物又は薬剤として許容されるその塩の使用に関する。
【0070】
CNS障害は、アルツハイマー病であることが好ましい。
【0071】
tauは、アルツハイマー病の病因と関連付けられているGSK−3の基質である。健康な神経細胞では、tauは、チューブリンと共に集合して微小管となる。しかし、アルツハイマー病では、tauは、もつれたフィラメントを大量に形成し、これが神経細胞中の微小管の構造を破壊し、それによって栄養素の輸送、並びにニューロンによるメッセージの伝達が損なわれる。
【0072】
特定の理論に拘泥するものではないが、GSK3阻害剤は、アルツハイマー病、及び進行性核上麻痺、大脳皮質基底核変性症、ピック病など、他のいくつかの神経変性疾患の一定の特徴である、微小管結合タンパク質tauの異常な過剰リン酸化を防止し、かつ/又は逆転させることができるのではないかと考えられている。tau遺伝子の突然変異は、遺伝性の前頭側頭骨痴呆を引き起こし、tauタンパク質機能不全の神経変性の過程との関連性をさらに明白にしている[26]。
【0073】
本発明の別の態様は、双極性障害治療用の医薬を調製する際の、式1の化合物又は薬剤として許容されるその塩の使用に関する。
【0074】
本発明のさらに別の態様は、脳卒中治療用の医薬を調製する際の、式1の化合物又は薬剤として許容されるその塩の使用に関する。
【0075】
ニューロンアポトーシスの低減は、脳外傷、脳卒中、てんかん、及び運動ニューロン疾患では重要な治療目標である[27]。したがって、ニューロン細胞の副アポトーシス因子としてのGSK3のために、このプロテインキナーゼは、これら疾患を治療する阻害性薬物の設計にとって魅力ある治療ターゲットとなる。
【0076】
本発明のさらに別の態様は、脱毛症治療用の医薬を調製する際の、式1の化合物又は薬剤として許容されるその塩の使用に関する。
【0077】
毛髪の成長は、Wntシグナル伝達経路、特にWnt−3によって制御される。皮膚の組織培養モデル系では、β−カテニンの非分解性の突然変異体を発現させると、潜在的な増殖能力がより大きい推定上の幹細胞集団が劇的に増加する[28]。この幹細胞集団は、その高い潜在的増殖能力の一因となり得る、より高レベルの非カドヘリン結合型β−カテニンを発現させる[29]。さらに、皮膚中に切断型のβ−カテニンを過剰発現させるトランスジェニックマウスは、通常は胚形成の際にしか確立されない毛嚢形態形成を改めて経験する。したがって、GSK3阻害剤の異所的な適用は、禿頭症を治療する際に、また化学療法によって誘発された脱毛後に毛髪の成長を回復させる際に治療上有用となり得る。
【0078】
本発明の別の態様は、その必要のある対象に、GSK3の阻害に十分な量の、上で規定した式1の化合物又は薬剤として許容されるその塩を投与することを含む、GSK3に依存的な障害の治療方法に関する。
【0079】
式1の化合物又は薬剤として許容されるその塩は、GSK3βの阻害に十分な量で投与することが好ましい。
【0080】
本発明の一実施形態では、式1の化合物は、少なくとも1種のPLK酵素の阻害に十分な量で投与する。
【0081】
polo様キナーゼ(PLK)は、セリン/スレオニンプロテインキナーゼのファミリーの一員である。キイロショウジョウバエのpolo座位の有糸分裂突然変異体は、紡錘体の異常を示し[30]、poloは、有糸分裂キナーゼをコードしていることがわかっている[31]。ヒトでは、密接に関連した3種のPLKが存在する[32]。これらは、相同性の高い、触媒作用のあるアミノ末端側キナーゼドメインを含み、これらのカルボキシル末端は、2又は3箇所の保存領域、すなわちpoloボックスを含む。poloボックスの機能は、完全には理解されていないが、PLKの細胞下区画への送り込み[33、34]、他のタンパク質との相互作用の媒介[35]と関連付けられており、又は自己調節的なドメインの一部を構成しているかもしれない[36]。さらに、適正な中期/後期移行及び細胞質分裂には、poloボックス依存性のPLK1活性が必要である[37、38]。
【0082】
研究では、ヒトPLKが有糸分裂のある根本的な側面を調節することがわかっている[39、40]。特に、PLK1活性は、G2後期/前期初期の中心体の機能的成熟、及び後続の双極紡錘体の確立に必要であると考えられる。小型干渉性RNA(siRNA)技術による細胞性PLK1の除去でも、このタンパク質が、多様な有糸分裂の過程及び細胞質分裂の達成に必要であることが確認されている[41]。
【0083】
本発明のより好ましい実施形態では、式1の化合物は、PLK1の阻害に十分な量で投与する。
【0084】
3種のヒトPLKのうち、PLK1は、最もよく特徴付けがなされており、有糸分裂の開始[42、43]、DNA損傷チェックポイントの活性化[44、45]、後期促進複合体の調節[46〜48]、プロテアソームのリン酸化[49]、及び中心体の複製及び成熟[50]を含むいくつかの細胞分裂周期の現象を調節する。
【0085】
特に、有糸分裂の開始には、M期促進因子(MPF)、すなわちサイクリン依存性キナーゼCDK1とB型サイクリンからなる複合体の活性化が必要である[51]。後者は、細胞周期のS期及びG2期の間にたまり、WEE1、MIK1、及びMYT1の各キナーゼによるMPF複合体の阻害的リン酸化を促進する。G2期の終わりに、二重特異性ホスファターゼCDC25Cによる対応するリン酸化が、MPF活性化を誘発する[52]。間期では、サイクリンBは細胞質に集まり[53]、次いで前期の間にリン酸化され、この事象が核移動を引き起こす[54、55]。前期の間の活性MPFの蓄積は、M期の事象の開始にとって重要であると考えられている[56]。しかし、核MPFは、CDC25Cによって妨げられない限り、WEE1によって不活性のままとなる。ホスファターゼCDC25C自体は、間期の間細胞質に局在し、前期に核中にたまる[57〜59]。サイクリンB[60]及びCDC25C[61]の核への侵入は両方とも、PLK1によるリン酸化によって促進される[43]。このキナーゼは、M期開始の調節にとって重要である。
【0086】
特に好ましい一実施形態では、式1の化合物は、PLK1のATP拮抗阻害剤である。
【0087】
これに関して、ATP拮抗作用とは、阻害剤化合物が、ATP結合を弱め、又は無効にするような方法で酵素の活性部位に可逆的又は不可逆的に結合することによって、PLK触媒活性、すなわちATPから高分子PLK基質へのリン酸基転移を低減又は阻止する能力を指す。
【0088】
別の好ましい実施形態では、式1の化合物は、PLK2及び/又はPLK3の阻害に十分な量で投与する。
【0089】
哺乳動物PLK2(SNKとしても知られる)及びPLK3(PRK及びFNKとしても知られる)は、当初は前初期遺伝子産物であると示されていた。PLK3キナーゼ活性は、S期後期及びG2期の間に最高点に達すると思われる。また、DNA損傷チェックポイントの活性化及び重度の酸化ストレスの際に活性化される。PLK3は、細胞での微小管の原動力及び中心体の機能の調節においても重要な役割を担い、調節解除されたPLK3の発現は、細胞周期の停止及びアポトーシスをもたらす[62]。PLK2は、3種のPLKの中で最も解明されていない相同体である。PLK2及びPLK3は、追加の重要な有糸分裂後機能を有しているかもしれない[35]。
【0090】
好ましい一実施形態では、式1の化合物は、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK6、CDK7、CDK8、CDK9、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3、polo様キナーゼ、オーロラキナーゼの各プロテインキナーゼのうちの1種又は複数をμM以下のIC50値で阻害することができる。
【0091】
前記式1の化合物は、上記プロテインキナーゼの1種又は複数に対して0.1μM以下のIC50値を示すことがより好ましい。
【0092】
すなわち、好ましい一実施形態では、前記化合物は、
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(3−ニトロ−フェニル)−アミン;
3−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミノ)−フェノール;
4−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミノ)−フェノール;
N,N−ジメチル−N’−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−ベンゼン−1,4−ジアミン;
(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−アミン;
(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−アミン;
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−フェニル−アミン;
(2−メチル−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−フェニル−アミン;
−フェニル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−2,8−ジアミン;及び
−(3−ニトロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−2,8−ジアミン
から選択される。
【0093】
前記式1の化合物は、上記プロテインキナーゼの1種又は複数に対して0.01μM以下のIC50値を示すことがより一層好ましい。
【0094】
すなわち、好ましい一実施形態では、前記化合物は、
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(3−ニトロ−フェニル)−アミン;
3−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミノ)−フェノール;
4−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミノ)−フェノール;
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−フェニル−アミン;
−フェニル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−2,8−ジアミン;及び
−(3−ニトロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−2,8−ジアミン
から選択される。
【0095】
前記式1の化合物は、上記プロテインキナーゼの1種又は複数に対して0.001μM以下のIC50値を示すことがさらに一層好ましい。
【0096】
すなわち、好ましい一実施形態では、前記化合物は、N−フェニル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−2,8−ジアミンである。
【0097】
好ましい一実施形態では、式1の化合物は、標準の72h MTT細胞障害性アッセイで測定すると、ヒト細胞系で抗増殖効果を示し得る。
【0098】
式1の化合物は、10μM未満のIC50値を示すことが好ましい。
【0099】
すなわち、本発明の特に好ましい一実施形態では、式1の化合物は、
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(3−ニトロ−フェニル)−アミン;
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;
3−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミノ)−フェノール;
4−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミノ)−フェノール;
N,N−ジメチル−N’−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−ベンゼン−1,4−ジアミン;
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミン;
(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−アミン;及び
(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−アミン
から選択される。
【0100】
式1の化合物は、前記MTTアッセイで測定して、5μM未満のIC50値を示すことがより好ましく、1μM未満がさらに好ましい。
【0101】
すなわち、本発明の特に好ましい一実施形態では、式1の化合物は、(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(3−ニトロ−フェニル)−アミンである。
【0102】
薬剤組成物
本発明の別の態様は、上で規定した式1の化合物を1種又は複数の薬剤として許容される希釈剤、賦形剤、又は担体と混合したものを含む薬剤組成物に関する。本発明の化合物(その薬剤として許容される塩、エステル、及び薬剤として許容される溶媒和化合物を含む)は、単独で投与することもできるが、特にヒトの治療向けには、一般に薬剤用の担体、賦形剤、又は希釈剤と混和されて投与される。薬剤組成物は、ヒト及び動物用医薬におけるヒト又は動物の慣習に合わせたものでよい。
【0103】
本明細書に記載の薬剤組成物の種々の異なる形態に適するそうした賦形剤の例は、"Handbook of Pharmaceutical Excipients", 2nd Edition, (1994), Edited by A Wade and PJ Wellerの中に見ることができる。
【0104】
治療用途向けの許容される担体又は希釈剤は、製薬業界でよく知られており、たとえば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co. (A. R. Gennaro edit. 1985)に記載されている。
【0105】
適切な担体の例には、ラクトース、デンプン、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、ソルビトールなどが含まれる。適切な希釈剤の例には、エタノール、グリセロール、及び水が含まれる。
【0106】
薬剤用の担体、賦形剤、又は希釈剤の選択は、目的の投与経路及び標準の製薬学の慣行に即して行うことができる。薬剤組成物は、担体、賦形剤、若しくは希釈剤として、又はそれに加えて、適切な結合剤、滑沢剤、懸濁化剤、コーティング剤、可溶化剤を含んでも差し支えない。
【0107】
適切な結合剤の例には、デンプン、ゼラチン;グルコース、無水乳糖、易流動性乳糖(free-flow lactose)、β−ラクトース、トウモロコシ甘味料などの天然の糖;アカシア、トラガカント、アルギン酸ナトリウムなどの天然及び合成のゴム、カルボキシメチルセルロース、及びポリエチレングリコールが含まれる。
【0108】
適切な滑沢剤の例には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。
【0109】
保存剤、安定剤、染料、さらには着香剤を薬剤組成物中に提供してもよい。保存剤の例には、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、及びp−ヒドロキシ安息香酸のエステルが含まれる。抗酸化剤及び懸濁化剤を使用してもよい。
【0110】
塩/エステル
式1の化合物は、塩又はエステル、特に薬剤として許容される塩又はエステルとして存在することができる。
【0111】
本発明の化合物の薬剤として許容される塩には、適切なその酸付加塩又は塩基の塩が含まれる。適切な薬剤塩の総説は、Berge et al, J Pharm Sci, 66, 1-19 (1977)の中に見ることができる。塩は、たとえば、鉱酸などの無機強酸、たとえば硫酸、リン酸、ハロゲン化水素酸;酢酸などの、1〜4個の炭素原子からなる無置換若しくは(たとえばハロゲンによる)置換型アルカンカルボン酸など、強力な有機カルボン酸;飽和又は不飽和のジカルボン酸、たとえば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テレフタル酸;ヒドロカルボン酸、たとえば、アスコルビン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸;アミノ酸、たとえば、アスパラギン酸やグルタミン酸;安息香酸;又はメタンスルホン酸若しくはp−トルエンスルホン酸などの無置換若しくは(たとえばハロゲンによる)置換型(C〜C)アルキルスルホン酸若しくはアリールスルホン酸など、有機スルホン酸を相手に形成される。
【0112】
エステルは、エステル化を受ける官能基に応じて、有機酸又はアルコール/水酸化物を使用して生成される。有機酸には、酢酸など、1〜12個の炭素原子からなる無置換若しくは(たとえば、ハロゲンによる)置換型アルカンカルボン酸などのカルボン酸;飽和又は不飽和のジカルボン酸、たとえば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テレフタル酸;ヒドロカルボン酸、たとえば、アスコルビン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸;アミノ酸、たとえば、アスパラギン酸やグルタミン酸;安息香酸;又はメタンスルホン酸若しくはp−トルエンスルホン酸などの無置換若しくは(たとえばハロゲンによる)置換型(C〜C)アルキルスルホン酸若しくはアリールスルホン酸など、有機スルホン酸が含まれる。適切な水酸化物には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの無機水酸化物が含まれる。アルコールには、非置換でもたとえばハロゲンで置換されていてもよい1〜12個の炭素原子からなるアルカンアルコールが含まれる。
【0113】
鏡像異性体/互変異性体
これまでに論じた本発明のすべての態様で、本発明は、適切な場合、式1の化合物のすべての鏡像異性体及び互変異性体を含む。当業者ならば、光学的性質(1個又は複数のキラル炭素原子)又は互変異性の特性を有する化合物を見分けられよう。対応する鏡像異性体及び/又は互変異性体は、当業界で知られている方法によって単離/調製することができる。
【0114】
立体異性体及び幾何異性体
本発明の化合物の一部は、立体異性体及び/又は幾何異性体として存在することがある。たとえば、1箇所又は複数の不斉中心及び/又は幾何中心を有し、そうして2種以上の立体異性形態及び/又は幾何異性形態で存在することがある。本発明は、これら阻害薬剤の個々の全立体異性体及び幾何異性体、並びにその混合物の使用を企図する。請求項で使用する用語はこれらの形態を含むが、但し、前記形態は、(必ずしも同じ程度でないにせよ)妥当な機能活性を保持している。
【0115】
本発明は、本薬剤又は薬剤として許容されるその塩の適切なすべての同位体変形形態も含む。本発明の薬剤又は薬剤として許容されるその塩の同位体変形形態は、少なくとも1個の原子が、原子番号は同じであるが原子質量が自然界で通常見られる原子質量と異なっている原子と入れ替えられているものであると定義される。本薬剤及び薬剤として許容されるその塩に組み込むことのできる同位体の例には、H、H、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Clなど、それぞれ水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、及び塩素の同位体が含まれる。本薬剤及び薬剤として許容されるその塩のある種の同位体変形形態、たとえば、Hや14Cなどの放射性同位体が組み込まれている同位体変形形態は、薬物及び/又は基質の組織分布研究において有用である。トリチウム、すなわちH、及び炭素14、すなわち14Cの各異性体は、調製しやすく検出感度がよいので特に好ましい。さらに、重水素、すなわちHなどの異性体での置換を行うと、より高い代謝安定性、たとえばin vivo半減期の延長又は必要投与量の減少によってもたらされるある種の治療上の強みを得ることができ、したがってある状況において好ましいことがある。本発明の薬剤の同位体変形形態及び本発明の薬剤として許容されるその塩は、一般に、試薬の適切な同位体変形物を使用しながら従来の手順によって調製することができる。
【0116】
溶媒和化合物
本発明は、本発明の化合物の溶媒和化合物形態の使用も含む。請求項で使用する用語は、これらの形態を含む。
【0117】
多形
本発明はさらに、その様々な結晶形態、多形形態、及び(無水)水和物形態の本発明の化合物に関する。そのようないずれかの形態の化学化合物が、その化合物を合成により調製する際に使用する、溶媒からの精製及び/又は単離方法を若干変化させることによって単離できることは、製薬産業内で十分に定着している。
【0118】
プロドラッグ
本発明はさらに、プロドラッグ形態の本発明の化合物を含む。そのようなプロドラッグは、一般に、ヒト又は哺乳動物の対象に投与された後にその修飾が逆戻りし得るように1個又は複数の適切な基によって修飾されている式1の化合物である。そうした逆戻りは、通常、その対象の中に自然に存在する酵素によって行われるが、in vivoで逆戻りを実現するためにそのプロドラッグと一緒に投与される第二の薬剤でも可能である。そのような修飾の例には、エステラーゼなどによって逆戻りを行うことができるエステル(たとえば、上述のもののいずれか)が含まれる。他のそのような系が当業者によく知られていよう。
【0119】
投与
本発明の薬剤組成物は、経口、直腸、経膣、非経口、筋肉内、腹腔内、動脈内、くも膜下、気管支内、皮下、皮内、静脈内、経鼻、頬側、又は舌下の各投与経路に適合させることができる。
【0120】
経口投与では、特定の使用は、圧縮錠、丸剤、錠剤、ゲル(gellule)、滴剤、及びカプセル剤によってなされる。これらの組成物は、1用量あたり1〜250mg、より好ましくは10〜100mgの活性成分を含むことが好ましい。
【0121】
他の投与形態は、静脈内、動脈内、くも膜下、皮下、皮内、腹腔内、若しくは筋肉内に注射することができ、かつ無菌若しくは滅菌溶液から調製される溶液又は乳濁液を含む。本発明の薬剤組成物は、坐剤、ペッサリー、懸濁液、乳濁液、ローション、軟膏、クリーム、ゲル、スプレー、溶液、又は散粉剤の形でもよい。
【0122】
経皮投与の代替手段は、皮膚パッチの使用によるものである。たとえば、活性成分は、ポリエチレングリコール又は流動パラフィンの水性乳濁液からなるクリームに混ぜることができる。活性成分は、白ろう若しくは白色ワセリン基剤と、必要となり得る安定剤及び保存剤とからなる軟膏に、1〜10重量%の間の濃度で混ぜることもできる。
【0123】
注射形態は、1用量あたり10〜1000mg、好ましくは10〜250mgの活性成分を含有して差し支えない。
【0124】
組成物は、単位剤形、すなわち、1単位用量、複数単位用量、又は単位用量の細分単位を含有する別個の各部分に製剤することができる。
【0125】
投与量
当業者ならば、大掛かりな実験をせずとも、対象に投与する一当該組成物の適正な用量を容易に決定することができる。通常は、医師が、個々の患者に最も適する実際の投与量を決定し、それは、使用する特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用時間、年齢、体重、全身の健康、性別、食事、投与方式及び投与時期、排泄速度、薬物の併用、特定の状態の重傷度、及び施される個々の治療を含む様々な要因に応じて決められる。本明細書で開示する投与量は、例示となる平均的な事例である。当然、より多い又はより少ない投与量範囲が適性となる個々の例が存在することはあり、そうした例は、本発明の範囲内である。
【0126】
必要に応じて、本薬剤は、0.1〜10mg/kgなど、0.01〜30mg/体重kg、より好ましくは0.1〜1mg/体重kgの用量で投与して差し支えない。
【0127】
例示となる実施形態では、10〜150mg/日の用量を1又は複数回分患者に投与する。
【0128】
併用
特に好ましい実施形態では、1種又は複数の本発明の化合物を、1種又は複数の他の治療活性のある薬剤、たとえば、現存する市販の薬物と組み合わせて投与する。このような場合では、本発明の化合物は、1種又は複数の他の抗癌剤と継続して、同時に、又は連続して投与してよい。
【0129】
抗癌薬物は、一般に、組み合わせるとより効果的である。特に、併用療法は、主要な細胞障害性、作用機序、及び耐性の機序が重なり合うのを回避するために望ましい。さらにまた、大抵の薬物は、その投与間の間隔を最小限に抑えてその最大耐量を投与することが望ましい。化学療法薬物を併用する主な強みは、生化学的相互作用によって付加的な効果又は可能性のある相乗効果を増進することができ、またさもなければ単一薬剤での最初の化学療法に応答性になっているはずの初期腫瘍細胞における耐性の出現を低減することができる点である。薬物の組合せの選択において生化学的相互作用を使用する例は、5−フルオロウラシルの細胞内活性代謝産物のその目標物チミジル酸合成酵素への結合を増加させ、したがってその細胞障害効果を増大させるためのロイコボリンの投与によって明示される。
【0130】
数多くの組合せが癌及び白血病の現行の治療で使用されている。医療現場の慣行についてのより徹底的な総説は、"Oncologic Therapies" edited by E. E. Vokes and H. M. Golomb, published by Springerの中に見ることができる。
【0131】
有益な組合せは、もともとの特定の癌又はその癌に由来する細胞系の治療(処理)において価値があることがわかっており、又はそう推測される薬剤を加えた試験化合物の増殖抑制活性を調査することで示唆される。この手順を使用して、その薬剤の投与順序、すなわち、送達前、送達と同時、送達後のいずれであるかを決定することもできる。このようなスケジュール調整は、本明細書で同定するすべての周期作用型薬剤の特徴であると言ってよい。
【0132】
アッセイ
本発明の別の態様は、上で規定した本発明の化合物の、1種又は複数のプロテインキナーゼの活性に影響を及ぼす更なる候補化合物を同定するアッセイ法における使用に関する。
【0133】
アッセイ法は、CDK酵素、オーロラキナーゼ、GSK、又はPLK酵素のうちの1種又は複数を阻害することのできる候補化合物を同定できることが好ましい。
【0134】
アッセイ法は、競合結合アッセイであることがより好ましい。
【0135】
候補化合物は、本発明の化合物の従来のSAR修飾によって生成することが好ましい。
【0136】
本明細書では、用語「従来のSAR修飾」とは、化学的誘導体化を手段として所与の化合物を様々に変えることが当業界で知られている標準の方法を指す。
【0137】
すなわち、一態様では、同定された化合物は、他の化合物を開発するためのモデル(たとえば、テンプレート)として働き得る。このような試験で使用する化合物は、溶液中に遊離していても、固体担体に付着していても、細胞表面上に保持されていても、又は細胞内に位置していてもよい。活性の消滅、又は化合物と試験する薬剤からなる結合複合体の形成を測定することができる。
【0138】
本発明のアッセイは、いくつかの薬剤を試験するスクリーンでよい。一態様では、本発明のアッセイ方法は、高処理量スクリーンである。
【0139】
本発明はまた、化合物を結合することのできる中和抗体が、化合物に結合しようと試験化合物と特異的に競合する、競合薬物スクリーニングアッセイの使用を企図する。
【0140】
スクリーニングのための別の技術は、物質に対する適切な結合親和性を有する薬剤の高処理量スクリーニング(HTS)であり、WO84/03564に詳述されている方法に基づく。
【0141】
本発明のアッセイ法は、試験化合物の小規模及び大規模スクリーニングだけでなく、定量アッセイに適すると思われる。
【0142】
競合結合アッセイは、本発明の化合物とプロテインキナーゼとを、前記プロテインキナーゼの既知の基質の存在下で接触させるステップと、前記プロテインキナーゼと前記既知の基質との相互作用の変化を検出するステップとを含むことが好ましい。
【0143】
本発明の別の態様は、リガンドのキナーゼへの結合の検出方法を提供するが、前記方法は、
(i)リガンドとプロテインキナーゼとを、前記プロテインキナーゼの既知の基質の存在下で接触させるステップと、
(ii)前記プロテインキナーゼと前記既知の基質との相互作用の変化を検出するステップとを含み、
前記リガンドは、本発明の化合物である。
【0144】
本発明の一態様は、
(a)上述のアッセイ法を実施するステップと、
(b)リガンド結合ドメインに結合することのできる1種又は複数のリガンドを同定するステップと、
(c)前記1種又は複数のリガンドを多量に調製するステップと
を含む方法に関する。
【0145】
本発明の別の態様は、
(a)上述のアッセイ法を実施するステップと、
(b)リガンド結合ドメインに結合することのできる1種又は複数のリガンドを同定するステップと、
(c)前記1種又は複数のリガンドを含む薬剤組成物を調製するステップと
を含む方法を提供する。
【0146】
本発明の別の態様は、
(a)上述のアッセイ法を実施するステップと、
(b)リガンド結合ドメインに結合することのできる1種又は複数のリガンドを同定するステップと、
(c)リガンド結合ドメインに結合することのできる前記1種又は複数のリガンドを修飾するステップと、
(d)上述のアッセイ法を実施するステップと、
(e)任意選択の、前記1種又は複数のリガンドを含む薬剤組成物を調製するステップと
を含む方法を提供する。
【0147】
本発明はまた、上述の方法によって同定されたリガンドに関する。
【0148】
本発明のさらに別の態様は、上述の方法によって同定されたリガンドを含む薬剤組成物に関する。
【0149】
本発明の別の態様は、増殖性障害の治療で使用する薬剤組成物を調製する際の、上述の方法によって同定されたリガンドの使用に関する。
【0150】
上述の方法を使用して、1種又は複数のプロテインキナーゼの阻害剤として有用なリガンドを求めてのスクリーニングを行うことができる。
【0151】
合成
一般式1の化合物は、当業界で知られているどんな方法で調製してもよい。好都合な合成経路の概略を以下のスキーム1に示す。
【0152】
【化3】

エノール化可能なメチルケトン2、若しくはメチルケトン2由来のエノラートと活性型アルケン3(Zは、CHO、COOR、CONH、CN、NO、SOR、SORなどの電子受容性基である)とのMichael反応によってケトン4が得られ、そのZ基がカルボン酸エステル基(たとえば、R=Me)に変換されて、1,5−ジカルボニル化合物5になる。次いで、塩基性条件下でこれらの閉環を行って、シクロヘキサン−1,3−ジオン6とする[16〜18]。臭素化すると、2−ブロモ−シクロヘキサン−1,3−ジオン7が得られ[19、20]、その後これをカルボキサミド(8、X=0)、チオアミド(8、X=S)、又はアミジン(8、X=NH)と反応させて、それぞれ5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾオキサゾール−7−オン(9、X=0)、5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾチアゾール−7−オン(9、R=S)、及び3,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾイミダゾール−4−オン(9、R=NH)を得る。次いで、これらの化合物を、カルボニル化合物10(Xは、Clなどの脱離基である)によってアシル化して、1,3−ジカルボニル化合物11とする。たとえば、5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾチアゾール−7−オンのホルミル化(R=H)が文献に記載されている[21]。アシル誘導体11は、アミジン[15]又はグアニジン13と直接に縮合させることができる。或いは、アシル誘導体11をまずエナミノン12に変換し[22]、これから4,5−ジヒドロ−オキサゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミン(1、X=0)、4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミン(1、X=S)、及び4,5−ジヒドロ−イミダゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミン(1、X=NH)を得ることができる。グアニル化した後、アミノピリジンN−H官能基は、1のRの種類に応じてアシル化、アルキル化、又はアリール化することができる。Rがアリール基である場合では、ヘテロアリールアミン基のPdを触媒とするN−アリール化が、記載されているとおりに実現できる[63]。完全に芳香化された1の類似体、すなわち構造14の化合物は、酸化を経て得ることができる。
【0153】
したがって、本発明の別の態様は、式1の化合物の調製方法に関するものであり、前記方法は、
(i)式7の化合物と式8の化合物とを反応させて、式9の化合物を生成するステップと、
【0154】
【化4】

(ii)前記式9の化合物を式1の化合物に変換するステップとを含む。
【0155】
方法は、
【0156】
【化5】

(i)前記式9の化合物と式10の化合物とを反応させて、式11の化合物を生成するステップ、
(ii)前記式11の化合物を式12の化合物に変換するステップ、
(iii)前記式12の化合物と式13の化合物とを反応させて、式1aの化合物を生成するステップ
をさらに含むことが好ましい。
【0157】
好ましい一実施形態では、本発明の方法は、前記式1aの化合物を酸化させて、式14の化合物を生成するステップをさらに含む。
【0158】
【化6】

【0159】
本発明を以下の実施例によってさらに説明する。
【実施例】
【0160】
略語
NMRとは核磁気共鳴分光法、r.t.とは室温、DMSOとはジメチルスルホキシドである。
【0161】
選択した本発明の化合物を表2に示す。
【0162】
一般原理
化学薬品及び溶媒は、市販品を購入し、別段の記述がない限り、そのまま使用した。THF及びEtOは、N中でナトリウム−ベンゾフェノンと共に加熱還流して乾燥させ、蒸留によって収集した。トルエンは、N中、ナトリウム上で加熱還流して乾燥させた。CHClは、N中、CaH上で加熱還流して乾燥させた。使用したマイクロ波発生装置は、試験管にマイクロ波放射の焦点を合わせる、円形単式キャビティーデザインのCEM社製「Discover」モデルであった。TLC(薄層クロマトグラフィー)は、シリカゲルG60(0.25cm)でコートされたガラスプレートを使用して実施した。展開を行ったプレートを風乾し、UVランプ(254/365nm)下で分析した。別段の記述がない限り、無水MgSOを有機溶液用の標準の乾燥剤として使用した。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、Fluorochem社製シリカゲル(35〜70μm)を使用して実施した。融点(mp)は、Electrothermal社製9100毛細管融点装置によって測定し、補正は行わなかった。略語(dec)は、分解点を表す。H−NMRスペクトルは、すべての場合において重水素化溶媒をロックとして、残りの溶媒を内部標準として使用しながら、Bruker Avance 300(300.1MHz)又はVarian Gemini 2000(300MHz)の各分光計で記録した。PENDANT配列を使用する13C−NMRスペクトルは、Bruker Avance 300(75.5MHz)分光計で記録した。他のすべての13C−スペクトルは、複合パルスHのデカップリングを使用しながら、Varian Gemini 2000(75.5MHz)分光計で記録した。結合定数(J)は、最も近い0.1Hzに対して値を付けた。以下の略語を使用した。すなわち、sは一重項、dは二重項、tは三重項、qは四重項、quは五重項、mは多重項、brはブロードである。成分の微量分析は、英国University of St.Andrews、Purdie Building、School of ChemistryのS. Williamson女史に依頼した。得られた結果は、計算値の0.4%の範囲内であった。エレクトロスプレー質量スペクトル(ESI)は、Waters社製2975 HPLCに連結したMicromass社製LCT質量分析計で記録した。分析RP−HPLCは、Dionex社製P580ポンプに連結したDionex社製ASI−100自動サンプル注入装置を使用して実施した。温度を25℃に保ったPhenomenex社製カラム(150×4.60mm、Synergi 4μhydro-RP80Å)を分析の目的で使用した。このHPLCユニットは、Chromeleonソフトウェアを使用して制御した。HO/MeCN系(0.1%のCFCOOHを含む)を使用して、流速1mL/分で線形勾配溶離を実施した。クロマトグラムの積分によって純度を評価した(λ=254nm)。
【0163】
2−ブロモ−シクロヘキサン−1,3−ジオン
【0164】
【化7】

1,3−シクロヘキサンジオン(50g、0.45モル)のCHCl(111mL)溶液を5℃で攪拌した。臭素(18mL、56.3g、0.35モル)の入ったCHCl(17mL)を5〜10分間かけて滴下した。反応混合物を室温で1時間攪拌した。生成した褐色の沈殿を濾過によって収集し、CHCl/トルエン(100mL)で洗浄し、風乾した後、HOから結晶化して、表題化合物を淡黄色の結晶(42.6g、50%)として得た。mp167〜168℃。分析RP−HPLC:t7.9分(0〜60%MeCN、純度100%)。H−NMR(DMSO−d):δ2.49(t,4H,J 6.1,2×CH)、1.85(qu,2H,J 6.1,CH)。MS(ESI):m/z 190.90/188.90(M−H)
【0165】
2−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾチアゾール−7−オン
【0166】
【化8】

2−ブロモ−シクロヘキサン−1,3−ジオン(20g、0.105モル)のピリジン(150mL)溶液にチオアセトアミド(7.9g、0.105モル)を加え、混合物を50℃で攪拌した。16時間後、減圧下で溶媒を除去した。10%のNaCl水溶液(150mL)を加え、生成物をCHCl(4×100mL)での抽出にかけた。有機抽出物を追加の10%NaCl水溶液(2×100mL)で洗浄した後、乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られる暗色の粘性の油を、Kugelrohr蒸留ユニットを使用して精製すると、生成物が黄色の油(6.97g、40%)として得られた。H−NMR(CDCI3):δ3.02(t,2H,J 6.1,CH)、2.75(s,3H,CH)、2.61(t,2H,J 6.1,CH)、2.21(qu,2H,J 6.1,CH)。13C−NMR(CDCl):δ192.1、173.3、166.8、130.9、37.8、27.1、23.1、20.0。MS(ESI):m/z 168.03(M+H)
【0167】
2−アミノ−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾチアゾール−7−オン
【0168】
【化9】

2−ブロモ−シクロヘキサン−1,3−ジオン(1.0g、5.2ミリモル)及びチオ尿素(0.4g、5.2ミリモル)の無水EtOH(7mL)溶液を3時間加熱還流した。反応混合物を冷却し、減圧下で濃縮し、EtO(20mL)で洗浄した。残渣をHO(10mL)に溶解させ、6MのNHOH水溶液(4mL)を滴下した。黄色の沈殿物を収集し、乾燥させ、EtOHから結晶化して、表題化合物を黄色の結晶(0.41g、47%)として得た。mp280〜282℃。分析RP−HPLC:t7.2分(0〜60%MeCN、純度100%)。H−NMR(DMSO−d):δ8.10(s,2H,NH)、2.65(t,2H,J 6.1,CH)、2.34(t,2H,J 6.1,CH)、1.97(qu,2H,J 6.1,CH)。13C NMR(DMSO−d):δ189.8、173.8、168.5、118.8、37.1、27.0、22.8。MS:(ESI)m/z 166.99(M−H)
【0169】
2−メチルアミノ−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾチアゾール−7−オン
【0170】
【化10】

2−ブロモ−シクロヘキサン−1,3−ジオン(8.0g、41.9ミリモル)及びメチルチオ尿素(3.77g、41.9ミリモル)のピリジン(63mL)溶液を室温で16時間攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、CHCl/10%NaCl水溶液での抽出にかけ、乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。EtOAcから結晶化すると、表題化合物が黄色の結晶(3.26g、43%)として得られた。mp180〜182℃。分析RP−HPLC:t8.4分(0〜60%MeCN、純度100%)。H−NMR(CDCl):δ7.90(s,1H,NH)、2.99(s,3H,CH)、2.72(t,2H,J 6.1,CH)、2.49(t,2H,J 6.1,CH)、2.10(qu,2H,J 6.1,CH)。13C−NMR(CDCl):δ191.0、176.6、168.0、120.0、37.5、32.5、27.7、23.2。MS:(ESI)m/z 183.07(M+H)
【0171】
2−メチル−7−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール−6−カルバルデヒド
【0172】
【化11】

ヘキサンで洗浄したNaH(1.1g、44.8ミリモル)の無水EtO(70mL)溶液に無水MeOH(6.1mL)を加えた。Hの発生が収まった後、新たに蒸留したギ酸エチル(7.3mL、6.7g、89.7ミリモル)を加えてから、2−メチル−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾチアゾール−7−オン(3.0g、17.9ミリモル)の入った乾燥EtO(12mL)を加えた。反応混合物を室温で16時間攪拌した。10%のHCl水溶液(150mL)を加え、生成物をEtOAc(5×150mL)での抽出にかけた。有機抽出物を合わせて乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮すると、褐色油状の粗生成物が残った。フラッシュカラムクロマトグラフィー(20%EtOAc:ヘキサン)によって精製すると、純粋な表題生成物が黄色の固体(2.30g、66%)として得られた。mp107〜108℃。分析RP−HPLC:t12.6分(0〜60%MeCN、純度100%)。H−NMR(CDCl):δ9.90(s,CHO)、7.20(s,1H,CH)、2.91(t,2H,J 7.1,CH)、2.67(s,3H,CH)、2.58(t,2H,J 7.1,CH)。13C−NMR(CDCl):δ198.6、186.3、174.2、165.7、162.6、131.0、108.4、27.0、24.5、20.7。MS:(ESI)m/z 193.98(M−H)
【0173】
2−メチル−6−モルホリン−4−イルメチレン−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾチアゾール−7−オン
【0174】
【化12】

2−メチル−7−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール−6−カルバルデヒド(2.0g、10.2ミリモル)の無水トルエン(8.1mL)溶液に、モルホリン(1.0mL、1.0g、11.3ミリモル)を加えた。反応混合物を2時間加熱還流した。冷却すると、褐色の沈殿が生成した。減圧下で溶媒を除去し、褐色の固体残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(20%EtOAc:ヘキサン)によって分配すると、黄色の固体が残り、これをEtOHからの結晶化によってさらに精製して、純粋な表題生成物が黄色の結晶(2.4g、87%)として得られた。mp186〜187℃。分析RP−HPLC:t12.7分(0〜60%MeCN、純度100%)。H−NMR(CDCl):δ7.50(s,1H,CH)、3.80(t,4H,J 4.6)、3.55(t,4H,J 4.6)、3.00(m,4H,CH−CH)、2.80(s,3H,CH)。13C−NMR(CDCl):δ182.0、171.6、162.3、147.9、133.2、103.3、67.0、51.4、26.7、24.9、20.2。MS(ESI):m/z 287.05(M+Na)、265.07(M+H)。元素分析(C1316S)C,H,N。
【0175】
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(3−ニトロフェニル)−アミン
【0176】
【化13】

2−メチル−7−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール−6−カルバルデヒド(200mg、1ミリモル)、硝酸m−ニトロ−フェニルグアニジン(248mg、1)、NaOH(41mg、1ミリモル)、及び2−メトキシエタノール(2mL)からなる混合物を16時間加熱還流した。反応混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(20%EtOAc:ヘキサン)にかけると、表題化合物が黄色の固体(18mg、5%)として得られた。mp227〜228℃。分析RP−HPLC:t21.9分(0〜60%MeCN、純度100%)。H−NMR(DMSO−d):δ10.00(s,1H,NH)、8.89(t,1H,J 2.3,Ph−H)、8.30(s,1H,Py−H)、7.92(ddd,1H,J 8.3,2.3,0.7,Ph−H)、7.66(ddd,1H,J 8.3,2.3,0.7,Ph−H)、7.44(t,1H,J 8.3,Ph−H)、2.90(m,4H,CH−CH)、2.66(s,3H,CH)。13C−NMR(DMSO−d):δ169.16、159.27、158.42、156.05、155.39、148.04、142.02、129.57、127.56、124.22、117.13、115.16、111.91、24.56、23.06、19.48。MS(ESI):m/z 337.94(M−H)
【0177】
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン
【0178】
【化14】

2−メチル−7−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール−6−カルバルデヒド(200mg、1.02ミリモル)、硝酸N−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−グアニジン(273mg、1.02ミリモル)、NaOH(41mg、1.02ミリモル)、及び2−メトキシエタノール(1.25mL)からなる混合物を16時間加熱還流した。反応混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(20%EtOAc:ヘキサン)にかけた後、EtOAcから結晶化すると、純粋な表題化合物が白色の結晶性固体(30mg、8%)として得られた。mp212〜213℃。分析RP−HPLC:t21.8分(10〜70%MeCN、純度95%)。H−NMR(CDCl):δ8.17(s,1H,Py−H)、7.71(d,2H,J 8.4,Ph−H)、7.52(d,2H,J 8.4,Ph−H)、7.16(s,1H,NH)、3.04(t,2H,J 6.6,CH)、2.94(t,2H,J 6.6,CH)、2.72(s,3H,CH)。MS(ESI):m/z 360.95(M−H)
【0179】
3−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミノ)フェノール
【0180】
【化15】

2−メチル−6−モルホリン−4−イルメチレン−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾチアゾール−7−オン(210mg、7.94ミリモル)、硝酸N−(3−ヒドロキシ−フェニル)−グアニジン(170mg、7.94ミリモル)、NaOH(32mg、7.94ミリモル)、及び2−メトキシエタノール(2mL)からなる混合物を16時間加熱還流した。反応混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(10%MeOH:EtOAc)にかけると、純粋な表題生成物が黄色の固体(20mg、8%)として得られた。mp310℃(dec)。分析RP−HPLC:t10.3分(0〜60%MeCN、純度92%)。H−NMR(DMSO−d):δ9.50(s,1H,OH/NH)、9.28(s,1H,OH/NH)、8.38(s,1H,Py−H)、7.37(t,1H,J 2.3,Ph−H)、7.27(ddd,1H,J 8.3,2.3,0.7,Ph−H)、7.08(t,1H,J 8.3,Ph−H)、6.40(ddd,1H,J 8.3,2.3,0.7,Ph−H)、3.05(m,4H,CH−CH)、2.78(s,3H,CH)。13C−NMR(DMSO−d):δ168.71、159.05、158.88、157.42、155.97、155.20、141.75、128.81、127.83、115.89、109.69、108.35、105.87、24.72、23.09、19.38。MS(ESI):m/z 311.06(M+H)
【0181】
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミン
【0182】
【化16】

2−メチル−6−モルホリン−4−イルメチレン−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾチアゾール−7−オン(200mg、7.6ミリモル)、硝酸N−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−グアニジン(215mg、7.6ミリモル)、NaOH(30mg、7.6ミリモル)、及び2−メトキシエタノール(2mL)からなる混合物を20時間加熱還流した。反応混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(5%MeOH:CHCl)にかけた後、EtOAcから結晶化すると、純粋な表題生成物が暗橙色の結晶(60mg、21%)として得られた。mp236〜237℃。分析RP−HPLC:t13.4分(0〜60%MeCN、純度100%)。H−NMR(DMSO−d):δ9.26(s,1H,NH)、8.20(s,1H,Py−H)、7.58(d,2H,J 9.2,Ph−H)、6.84(d,2H,J 9.2,Ph−H)、3.70(t,4H,J 4.8,2×CH)、2.99(t,4H,J 4.8,2×CH)、2.90(m,4H,CH−CH)、2.66(s,3H,CH)。13C−NMR(DMSO−d):δ168.99、159.53、159.19、155.75、146.24、133.60、120.14、115.97、115.6I、66.52、49.67、25.12、23.45、19.80。MS(ESI):m/z 380.10(M+H)
【0183】
4−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミノ)−フェノール
【0184】
【化17】

2−メチル−6−モルホリン−4−イルメチレン−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾチアゾール−7−オン(200mg、7.6ミリモル)、硝酸N−(4−ヒドロキシ−フェニル)−グアニジン(163mg、7.6ミリモル)、NaOH(30mg、7.6ミリモル)、及び2−メトキシエタノール(2mL)からなる混合物を120℃で24時間加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(20%EtOAc:ヘキサン)にかけると、表題生成物が黄色の固体(70mg、30%)として得られた。mp268〜269℃。分析RP−HPLC:t12.4分(10〜70%MeCN、純度95%)。H−NMR(DMSO−d):δ9.28(s,1H,OH/NH)、9.07(s,1H,OH/NH)、8.30(s,1H,Py−H)、7.58(d,2H,J 8.9,Ph−H)、6.75(d,2H,J 8.9,Ph−H)、3.02(m,4H,CH−CH)、2.80(s,3H,CH)。13C−NMR(DMSO−d):δ168.94、159.64、159.13、156.26、155.73、152.35、132.70、120.94、115.44、115.19、25.13、23.45、19.79。MS(ESI):m/z 311.06(M+H)
【0185】
N,N−ジメチル−N’−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−ベンゼン−1,4−ジアミン
【0186】
【化18】

2−メチル−6−モルホリン−4−イルメチレン−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾチアゾール−7−オン(119mg、4.5ミリモル)、硝酸N−(4−ジメチルアミノ−フェニル)−グアニジン(137mg、4.5ミリモル)、NaOH(18mg、4.5ミリモル)、及び2−メトキシエタノール(2mL)からなる混合物を100℃で5時間加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(20%EtOAc:ヘキサン)にかけると、表題生成物が暗黄色の固体(140mg、92%)として得られた。mp176〜177℃。分析RP−HPLC:t11.9分(0〜60%MeCN、純度100%)。H−NMR(DMSO−d):δ9.23(s,1H,NH)、8.28(s,1H,Py−H)、7.60(d,2H,J 9.2,Ph−H)、6.75(d,2H,J 9.2,Ph−H)、3.02(m,4H,CH−CH)、2.88(s,6H,NMe)、2.75(s,3H,CH)。13C−NMR(DMSO−d):δ168.90、159.67、159.08、155.77、146.32、131.16、120.65、115.25、113.32、41.14、25.15、23.45、19.79。MS(ESI):m/z 338.10(M+H)
【0187】
(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−アミン
【0188】
【化19】

2−メチル−6−モルホリン−4−イルメチレン−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾチアゾール−7−オン(200mg、0.76ミリモル)、硝酸N−(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−グアニジン(196mg、0.84ミリモル)、NaOH(34mg、0.84ミリモル)、及び2−メトキシエタノール(2mL)からなる混合物を100℃で24時間加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(20%EtOAc:ヘキサン)にかけると、純粋な表題生成物が白色の固体(40mg、16%)として得られた。mp252〜253℃。分析RP−HPLC:t16.8分(10〜70%MeCN、純度92%)。H−NMR(DMSO−d)δ9.98(s,1H,NH)、8.90(d,1H,J 2.9,Ph−H)、8.44(s,1H,Py−H)、8.29(dd,1H,J 8.7,2.4,Ph−H)、7.50(d,1H,J 8.7,Ph−H)、3.10(m,4H,CH−CH)、2.82(s,3H,CH)。13C−NMR(DMSO−d):δ169.08、159.26、158.47、156.22、155.35、141.23、139.69、137.05、128.55、127.52、123.55、117.05、24.60、23.07、19.39。MS(ESI):m/z 330.06(M+H)
【0189】
(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−アミン
【0190】
【化20】

2−メチル−6−モルホリン−4−イルメチレン−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾチアゾール−7−オン(200mg、0.76ミリモル)、硝酸N−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−グアニジン(192mg、0.84ミリモル)、NaOH(34mg、0.84ミリモル)、及び2−メトキシエタノール(2mL)からなる混合物を100℃で24時間加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(20%EtOAc:ヘキサン)にかけると、表題生成物が白色の固体(20mg、8%)として得られた。mp210〜211℃。分析RP−HPLC:t11.6分(10〜70%MeCN、純度93%)。H−NMR(CDCl):δ8.42(d,1H,J 2.4,Ph−H)、8.26(s,1H,Py−H)、8.08(dd,1H,J 9.1,2.9,Ph−H)、7.19(brs,1H,NH)、6.86(d,1H,J 9.1,Ph−H)、4.04(s,3H,OMe)、3.13(m,4H,CH−CH)、2.87(s,3H,CH)。13C−NMR(CDCl):δ169.47、159.97、159.38、159.12、157.10、155.16、137.95、131.90、130.45、128.62、116.48、110.33、53.49、25.29、23.92、19.84。MS(ESI):m/z 326.08(M+H)
【0191】
メチル−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(3−ニトロ−フェニル)−アミン
【0192】
【化21】

(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(3−ニトロ−フェニル)−アミン(100mg、0.3ミリモル)の無水DMF(2mL)溶液に、無水条件下でNaH(7.8mg、0.3ミリモル)を加えた。H2の放出が止んだなら、ヨードメタン(22μL、50mg、0.4ミリモル)を滴下し、混合物を室温で終夜攪拌した。次いで、これを減圧下で濃縮し、HO(20mL)を加えた。生成物をCHCl(3×30mL)での抽出にかけた。抽出物を合わせて乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(10%EtOAc:ヘキサン)にかけると、純粋な表題生成物が黄色の固体(40mg、38%)として得られた。mp203〜204℃。分析RP−HPLC:t17.1分(10〜70%MeCN、純度85%)。H−NMR(CDCl):δ8.30(t,1H,J 2.3,Ph−H)、8.11(s,1H,Py−H)、7.95(ddd,1H,J 8.2,2.3,1.0,Ph−H)、7.65(ddd,1H,J 8.2,2.3,1.0,Ph−H)、7.44(t,1H,J 8.2,Ph−H)、3.58(s,3H,N−CH)、2.98(m,4H,CH−CH)、2.69(s,3H,CH)。13C−NMR(CDCl):δ169.86、160.70、159.30、157.05、155.27、148.71、146.74、131.42、129.33、120.81、119.36、116.63、38.18、25.68、24.22、20.17。MS(ESI):m/z 354.09(M+H)
【0193】
メチル−(2−メチル−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(3−ニトロ−フェニル)−アミン
【0194】
【化22】

無水条件下で、メチル−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(3−ニトロ−フェニル)−アミン(16mg、0.045ミリモル)と2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)(10.2mg、0.045ミリモル)の無水トルエン(2mL)中混合物を16時間加熱還流した。減圧下で溶媒を蒸発させ、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(10%EtOAc:ヘキサン)によって精製して、表題生成物を黄色の固体(10mg、68%)として得た。mp209〜210℃。分析RP−HPLC:t23.4分(10〜70%MeCN、純度98%)。H−NMR(CDCl):δ9.09(s,1H,Py−H)、8.41(t,1H,J 2.3,Ph−H)、8.09(ddd,1H,J 8.2,2.3,1.0,Ph−H)、7.85(d,1H,J 8.7,Ph−H)、7.79(ddd,1H,J 8.2,2.3,1.0,Ph−H)、7.72(d,1H,J 8.7,Ph−H)、7.58(t,1H,J 8.2,Ph−H)、3.78(s,3H,N−CH)、2.94(s,3H,Me)。13C−NMR(CDCl):δ171.04、161.09、158.53、157.16、148.54、148.04、146.25、131.74、129.31、125.29、121.01、119.85、119.30、116.97、38.39、20.48、4重線シグナルが1本欠如。MS(ESI):m/z 352.08(M+H)
【0195】
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−フェニル−アミン
【0196】
【化23】

2−メチル−6−モルホリン−4−イルメチレン−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾチアゾール−7−オン(300mg、1.1ミリモル)、硝酸N−フェニル−グアニジン(449mg、2.3ミリモル)、NaOH(109mg、2.7ミリモル)、及び2−メトキシエタノール(5mL)からなる混合物を100℃で8時間加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(20%EtOAc:ヘキサン)にかけた後、EtOHから結晶化すると、表題生成物が白色の固体(154mg、46%)として得られた。mp223〜224℃。分析RP−HPLC:t17.1分(0〜60%MeCN、純度100%)。H−NMR(CDCl):δ8.19(s,1H,Py−H)、7.64(d,2H,J 7.4,Ph−H)、7.33(t,2H,J 7.4,Ph−H)、7.27(brs,1H,NH)、7.02(t,1H,J 7.4,Ph−H)、3.02(m,4H,CH−CH)、2.76(s,3H,CH)。13C−NMR(CDCl):δ169.47、159.20、159.10、157.05、155.22、139.82、128.96、128.84、122.22、118.89、116.57、25.38、24.03、19.93。MS(ESI):m/z 295.08(M+H)
【0197】
(2−メチル−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−フェニル−アミン
【0198】
【化24】

トルエン(10mL)中の(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−フェニル−アミン(52mg、0.18ミリモル)及びDDQ(48mg、0.21ミリモル)を、無水条件を使用して16時間加熱還流した。反応混合物をEtOAcで希釈し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(20%EtOAc:ヘキサン)によって精製すると、表題生成物が黄色の固体(22mg、43%)として得られた。mp216℃(dec)。分析RP−HPLC:t15.1分(0〜60%MeCN、純度100%)。H−NMR(DMSO−d):δ10.11(s,1H,NH)、9.38(s,1H,Py−H)、7.98(d,2H,J 7.7,Ph−H)、7.93(d,1H,J 8.7,CH)、7.84(d,1H,J 8.7,CH)、7.36(t,2H,J 7.7,Ph−H)、7.02(t,1H,J 7.7,Ph−H)、2.91(s,3H,CH)。MS(ESI):m/z 293.07(M+H)
【0199】
N’−(6−ジメチルアミノメチレン−7−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール−2−イル)−N,N−ジメチルホルムアミジン
【0200】
【化25】

2−アミノ−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾチアゾール−7−オン(0.5g、3ミリモル)及びN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(1.96mL、1.76g、14.8ミリモル)のEtOH(2mL)中混合物を、マイクロ波の照射(300W、150℃)によって30分間加熱した。混合物を減圧下で濃縮した後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(50%EtOAc:ヘキサン)によって精製して、表題生成物を黄褐色の固体(0.49g、59%)として得た。mp185〜186℃。分析RP−HPLC:t9.3分(0〜60%MeCN、純度100%)。H−NMR(CDCl):δ8.23(s,1H,CH)、7.44(s,1H,CH)、3.13(s,3H,CH)、3.11(s,3H,CH)、3.08(s,6H,N(CH)、3.00(t,2H,J 6.6,CH)、2.83(t,2H,J 6.6,CH)。MS(ESI):m/z 279.15(M+H)
【0201】
−フェニル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−2,8−ジアミン
【0202】
【化26】

N’−(6−ジメチルアミノメチレン−7−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール−2−イル)−N,N−ジメチル−ホルムアミジン(200mg、0.72ミリモル)、硝酸N−フェニル−グアニジン(142mg、0.72ミリモル)、NaOH(57mg、1.44ミリモル)、及び2−メトキシエタノール(4mL)からなる混合物を、マイクロ波の照射(300W、100℃)によって30分間加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(20%EtOAc:ヘキサン)にかけると、表題生成物が暗黄色の固体(16mg、8%)として得られた。mp240℃(dec)。H−NMR(DMSO−d):δ9.42(s,1H,NH)、8.23(s,1H,Py−H)、7.77(d,2H,J 7.7,Ph−H)、7.26(t,2H,J 7.7,Ph−H)、6.91(t,1H,J 7.2,Ph−H)、2.93(s,4H,CH−CH)。MS(ESI):m/z 296.07(M+H)
【0203】
−(3−ニトロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−2,8−ジアミン
【0204】
【化27】

N’−(6−ジメチルアミノメチレン−7−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール−2−イル)−N,N−ジメチル−ホルムアミジン(188mg、0.68ミリモル)、硝酸m−ニトロ−フェニルグアニジン(328mg、1.35ミリモル)、NaOH(54mg、1.35ミリモル)、及び2−メトキシエタノール(5mL)からなる混合物を24時間加熱還流した。反応混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(20%EtOAc:ヘキサン)にかけると、純粋な生成物が暗黄色の固体(25mg、11%)として得られた。mp320℃(dec)。分析RP−HPLC:t14.7分(0〜60%MeCN、純度100%)。H−NMR(DMSO−d):δ9.86(s,1H,NH)、8.99(t,1H,J 2.3,Ph−H)、8.14(s,1H,Py−H)、8.00(ddd,1H,J 8.2,2.3,0.7,Ph−H)、7.86(brs,2H,NH)、7.73(ddd,1H,J 8.2,2.3,0.7,Ph−H)、7.51(t,1H,J 8.2,Ph−H)、2.82(m,4H,CH−CH)。13C−NMR(DMSO−d):δ171.80、159.94、158.36、157.39、152.89、148.11、142.40、129.49、124.08、115.88、114.81、114.59、111.77、25.22、23.02。MS(ESI):m/z 340.94(M+H)
【0205】
2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミン
【0206】
【化28】

2−メチル−6−モルホリン−4−イルメチレン−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾチアゾール−7−オン(2.24g、8.47モル)、グアニジン塩酸塩(0.89g、9.32モル)、及びNaOH(0.37g、9.32モル)のEtOH(150mL)中混合物を4時間加熱還流した。反応混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(50%EtOAc:ヘキサン)にかけると、表題生成物が黄色の固体(1.66g、90%)として得られた。mp241〜243℃。分析RP−HPLC:t8.7分(0〜60%MeCN、純度100%)。H−NMR(CDCl):δ8.06(s,1H,Py−H)、5.01(brs,2H,NH)、2.99(m,4H,CH−CH)、2.76(s,3H,CH)。MS(ESI):m/z 219.02(M+H)
【0207】
N−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−ベンズアミド
【0208】
【化29】

2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミン(0.2g、0.92ミリモル)の入ったピリジン(7mL)に塩化ベンゾイル(117μL、142mg、1ミリモル)を加えた。混合物を室温で2時間攪拌した。水(100mL)を加え、生成物をEtOAc(3×50mL)での抽出にかけた。有機抽出物を合わせ、乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(50%EtOAc:ヘキサン)にかけた後、EtOHから結晶化すると、表題生成物が黄色の結晶(173mg、59%)として得られた。mp229〜231℃。分析RP−HPLC:t13.5分(0〜60%MeCN、純度100%)。H−NMR(CDCl):δ8.59(s,1H,NH)、8.44(s,1H,Py−H)、7.95(m,2H,Ph−H)、7.54(m,3H,Ph−H)、3.09(m,4H,CH−CH)、2.77(s,3H,CH)。13C−NMR(CDCl):δ170.70、165.50、160.05、158.04、157.02、155.77、134.89、132.66、129.15、128.92、127.89、121.44、25.39、24.50、20.31。MS(ESI):m/z 323.05(M+H)。元素分析(C1714OS)C,H,N。
【0209】
ベンジル−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−アミン
【0210】
【化30】

2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミン(100mg、0.46ミリモル)の入った無水THF(10mL)を−78℃に冷却したものに、LiHMDS(458μL、0.46ミリモル)を加えた。混合物を15分間攪拌した後、臭化ベンジル(65μL、94mg、0.55ミリモル)を加えた。溶液を−78℃で攪拌し、16時間かけて室温に温めた。塩化アンモニウム溶液(100mL)を加え、生成物をCHCl(3×50mL)での抽出にかけた。有機抽出物を合わせ、乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(20%EtOAc:ヘキサン)にかけた後、EtOHから結晶化すると、表題生成物が橙色の結晶(28mg、20%)として得られた。mp152〜154℃。H−NMR(CDCl):δ8.07(s,1H,Py−H)、7.40−7.25(m,5H,Ph−H)、5.47(brs,1H,NH)、4.64(d,2H,J 5.8,CH)、2.98(m,4H,CH−CH)、2.75(s,3H,CH)。MS(ESI):m/z 309.11(M+H)。元素分析(C1716S)C,H,N。
【0211】
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−カルバミン酸ブテ−3−エニル(but-3-enyl)エステル
【0212】
【化31】

2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミン(100mg、0.46ミリモル)の入ったピリジン(3mL)に、クロロギ酸3−ブテニル(68μL、74mg、0.55ミリモル)を加えた。混合物を室温で16時間攪拌した。塩化アンモニウム溶液(50mL)を加え、生成物をCHCl(3×50mL)での抽出にかけた。有機抽出物を合わせ、乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、黄色の固体を得た。EtOAcから結晶化すると、純粋な表題生成物が黄色の結晶(122mg、84%)として得られた。mp204℃(dec)。分析RP−HPLC:t14.1分(0〜60%MeCN、純度100%)。H−NMR(CDCl):δ8.36(s,1H,Py−H)、7.49(brs,1H,NH)、5.90〜5.75(m,1H,CH)、5.19〜5.07(m,2H,CH)、4.27(t,2H,J 6.6,CH)、3.06(m,4H,CH−CH)、2.77(s,3H,CH)、2.45(m,2H,CH)。MS(ESI):m/z 339.00(M+Na)
【0213】
N−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−ベンゼンスルホンアミド
【0214】
【化32】

無水条件下、2−メチル−4,5−ジヒドロチアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミン(148mg、0.68ミリモル)にピリジン(5mL)を加えた。混合物を60℃で1時間攪拌した後、塩化ベンゼンスルホニル(121μL、168mg、0.95ミリモル)を加えた。16時間後、混合物を冷却し、蒸発乾燥した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(20%EtOAc:ヘキサン)にかけると、表題生成物が黄褐色の固体(86mg、35%)として得られた。mp265℃(dec)。分析RP−HPLC:t15.5分(0〜60%MeCN、純度100%)。H−NMR(DMSO−d):δ8.25(s,1H,Py−H)、8.03〜7.98(m,2H,Ph−H)、7.62〜7.55(m,3H,Ph−H)、2.92(m,4H,CH−CH)、2.73(s,3H,CH)。13C−NMR(DMSO−d):δ170.15、160.04、156.92、155.66、153.95、140.76、132.51、128.60、127.70、126.97、118.96、24.35、22.94、19.51。MS(ESI):m/z 380.97(M+Na)
【0215】
生物学的活性
化合物は、以前に記載されているように、サイクリン−CDKキナーゼアッセイ及びヒト腫瘍細胞系に対する細胞障害性アッセイ(72−h MTTアッセイ)で試験した[9]。結果を以下の表1にまとめて示す。
【0216】
当業者には、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、記載した本発明の態様の様々な変更形態及び変形形態が明らかとなろう。本発明を特に好ましい実施形態に即して述べてきたが、特許を請求する本発明は、そのような特定の実施形態に不当に限定されるべきでない。実際、記載した本発明の実施モードの当業者に明らかな様々な変形形態は、以下の請求項の範囲内にあるものとする。
[参考文献]
1. Manning, G.; Whyte, D. B.; Martinez, R.; Hunter, T.; Sudarsanam, S. The protein kinase complement of the human genome. Science 2002, 298, 1912-1934.
2. Kostich, M.; English, J.; Madison, V.; Gheyas, F.; Wang, L. et al. Human members of the eukaryotic protein kinase family. Genome Biology 2002, 3, research0043.0041-0043.0012.
3. Dancey, J.; Sausville, E. A. Issues and progress with protein kinase inhibitors for cancer treatment. Nat. Rev. Drug Disc. 2003, 2, 296-313.
4. Cockerill, G. S.; Lackey, K. E. Small molecule inhibitors of the class 1 receptor tyrosine kinase family. Current Topics in Medicinal Chemistry 2002, 2, 1001-1010.
5. Fabbro, D.; Ruetz, S.; Buchdunger, E.; Cowan-Jacob, S. W.; Fendrich, G. et al. Protein kinases as targets for anticancer agents: from inhibitors to useful drugs. Pharmacol.Ther. 2002, 93, 79-98.
6. Cohen, P. Protein kinases - the major drug targets of the twenty-first century? Nat. Rev. Drug Disc. 2002, 1, 309-315.
7. Bridges, A. J. Chemical inhibitors of protein kinases. Chem.Rev. 2001, 101(8), 2541-2571.
8. Wang, S.; Meades, C.; Wood, G.; Osnowski, A.; Fischer, P. M. N-(4-(4-methylthiazol-5-yl) pyrimidin-2-yl)-N-phenylamines as antiproliferative compounds. PCT Intl. Patent Appl. Publ. WO 2003029248; Cyclacel Limited, UK.
9. Wu, S. Y.; McNae, I.; Kontopidis, G.; McClue, S. J.; McInnes, C. et al. Discovery of a Novel Family of CDK Inhibitors with the Program LIDAEUS: Structural Basis for Ligand-Induced Disordering of the Activation Loop. Structure 2003, 11, 399-410.
10. Fischer, P. M.; Wang, S.; Wood, G. Inhibitors of cyclin dependent kinases as anti-cancer agent. PCT Intl. Patent Appl. Publ. WO 02/079193; Cyclacel Limited, UK,.
11. Wang, S.; Fischer, P. M. Anti-cancer compounds. US Patent Appl. Publ. 2002/0019404.
12. Fischer, P. M.; Wang, S. 2-substituted 4-heteroaryl-pyrimidines and their use in the treatmetn of proliferative disorders. PCT Intl. Patent Appl. Publ. WO 2001072745; Cyclacel Limited, UK.
13. Knockaert, M.; Greengard, P.; Meijer, L. Pharmacological inhibitors of cyclin-dependent kinases. Trends Pharmacol. Sci. 2002, 23, 417 -425.
14. Fischer, P. M.; Endicott, J.; Meijer, L. Cyclin-dependent kinase inhibitors. Progress in Cell Cycle Research; Editions de la Station Biologique de Roscoff: Roscoff, France, 2003; pp 235-248.
15. Fravolini, A.; Grandolini, G.; Martani, A. New heterocyclic ring systems from a-hydroxymethylene ketones. V. Reaction of 2-methyl-6-hydroxymethylene-4,5,6,7-tetrahydrobenzothiazol-7-one with amines and amidines. Gazz. Chim. Ital. 1973, 103, 1063-1071.
16. Cleaver, L.; Croft, J. A.; Ritchie, E.; Taylor, W. C. Chemical studies of the Proteaceae. IX. Synthesis of 5-alkylresorcinols from aliphatic precursors. Aust. J. Chem. 1976, 29, 1989-2001.
17. Fadda, A. A.; El-Houssini, M. S. Synthesis of cyclic ketones by activated nitriles. J. Ind. Chem. Soc. 1990, 67, 915-917.
18. Kost, A. N.; Ovseneva, L. G. Synthesis of 4-substituted dihydroresorcinols. Zh. Obshch. Khim 1962, 32, 3983-3986.
19. Lehmann, G.; Luecke, B.; Schick, H.; Hilgetag, G. 2-Substituted 7-oxo-4,5,6,7-tetrahydrobenzothiazoles. Z. Chem. 1967, 7, 422.
20. Bell, R. P.; Davis, G. G. Kinetics of the bromination of some enols and their anions. J. Chem. Soc 1965, 353-361.
21. Fravolini, A.; Grandolini, G.; Martani, A. New heterocyclic ring systems from a-hydroxymethylene ketones. III. Pyrazolobenzothiazoles and thiazolo-benzoisoxazoles. Gazz. Chim. Ital. 1973, 103, 755-769.
22. Bredereck, H.; Effenberger, F.; Botsch, H. Acid amide reactions. XLV. Reactivity of formamidines, dimethylformamide diethyl acetal (amide acetal), and bis(dimethylamino)methoxymethane (aminal ester). Chem. Ber. 1964, 97, 3397-3406.
23. Wang D, De la Fuente C, Deng L, Wang L, Zilberman I, Eadie C, Healey M, Stein D, Denny T, Harrison LE, Meijer L, Kashanchi F. Inhibition of human immunodeficiency virus type 1 transcription by chemical cyclin-dependent kinase inhibitors. J. Virol. 2001; 75: 7266-7279.
24. Chen, Y.H.; Hansen, L.; Chen, M.X.; Bjorbaek, C.; Vestergaard, H.; Hansen, T.; Cohen, P.T.; Pedersen, O. Diabetes, 1994, 43, 1234.
25. Nikoulina, S.E.; Ciaraldi, T.P.; Mudaliar, S.; Mohideen, P.; Carter, L.; Henry, R.R. Diabetes, 2000, 49, 263.
26. Goedert, M. Curr. Opin. Gen. Dev., 2001, 11, 343.
27. Mattson, M.P. Nat. Rev. Mol. Cell. Biol., 2000, 1, 120.
28. Zhu, A.J.; Watt, F.M. Development, 1999, 126, 2285.
29. DasGupta, R.; Fuchs, E. Development, 1999, 126, 4557.
30. Sunkel et al., J. Cell Sci., 1988, 89, 25.
31. Llamazares et al., Genes Dev., 1991, 5, 2153.
32. Glover et al., Genes Dev., 1998, 12, 3777.
33. Lee et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1998, 95, 9301.
34. Leung et al., Nat. Struct. Biol., 2002, 9, 719.
35. Kauselmann et al., EMBO J., 1999, 18, 5528.
36. Nigg, Curr. Opin. Cell Biol., 1998, 10, 776.
37. Yuan et al., Cancer Res., 2002, 62, 4186.
38. Seong et al., J. Biol. Chem., 2002, 277, 32282.
39. Lane et al., J. Cell. Biol., 1996, 135, 1701.
40. Cogswell et al., Cell Growth Differ., 2000, 11, 615.
41. Liu et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2002, 99, 8672.
42. Toyoshima-Morimoto et al., Nature, 2001, 410, 215.
43. Roshak et al., Cell. Signalling, 2000, 12, 405.
44. Smits et al., Nat. Cell Biol., 2000, 2, 672.
45. van Vugt et al., J. Biol. Chem., 2001, 276, 41656.
46. Sumara et al., Mol. Cell, 2002, 9, 515.
47. Golan et al., J. Biol. Chem., 2002, 277, 15552.
48. Kotani et al., Mol. Cell, 1998, 1, 371.
49. Feng et al., Cell Growth Differ., 2001, 12, 29.
50. Dai et al., Oncogene, 2002, 21, 6195.
51. Nurse, Nature, 1990, 344, 503.
52. Nigg, Nat. Rev. Mol. Cell Biol., 2001, 2, 21.
53. Hagting et al., EMBO J., 1998, 17, 4127.
54. Hagting et al., Curr. Biol., 1999, 9, 680.
55. Yang et al., J. Biol. Chem., 2001, 276, 3604.
56. Takizawa et al., Curr. Opin. Cell Biol., 2000, 12, 658.
57. Seki et al., Mol. Biol. Cell, 1992, 3, 1373.
58. Heald et al., Cell, 1993, 74, 463.
59. Dalal et al., Mol. Cell. Biol., 1999, 19, 4465.
60. Toyoshima-Morimoto et al., Nature, 2001, 410, 215.
61. Toyoshima-Morimoto et al., EMBO Rep., 2002, 3, 341.
62. Wang et al., Mol. Cell. Biol., 2002, 22, 3450.
63. Yin, J.; Zhao, M.M.; Huffman, M.A.; McNamara, J.M. Org. Lett. 2002, 4, 3481.
【0217】
【表1】

【0218】
【表2】





【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1の化合物又は薬剤として許容されるその塩。
【化1】

[式中、
Xは、S、O、又はNHであり、
「a」は、単結合であり、或いは
「a」は二重結合であり、R及びRの一方、またR及びRの一方は不在であり、
はHであり、或いはそれぞれが1個又は複数のヘテロ原子を含んでいてもよく、R及びRから選択される1個又は複数の基によって置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロアリール基、アラルキル基、CO−アルキル、SO−アルキル、CO13、及びアリール基から選択され、
は、H、R、又は1個又は複数のR基によって置換されていてもよいアルキル基であり、
、R、R、及びRは、H、R、アルキル基、及びアルケニル基からそれぞれ独立に選択され、前記アルキル基及びアルケニル基は、1個又は複数のR基によって置換されていてもよく、或いは
とR、及び/又はRとRは、まとまって=Oを表し、
は、H、R、NH(CH、CO(CH、NHCO(CH、O(CH、又はR及びRから選択される1個又は複数の基によってそれぞれが置換されていてもよいアルキル基若しくはフェニル基であり、
は、OR10、NR1011、ハロゲン、CF、NO、COR10、CN、COOR10、CONR1011、SO10、又はSONR1011であり、
は、N、O、及びSから選択される1個又は複数のヘテロ原子を含んでいてもよく、1個又は複数のR基によって置換されていてもよい飽和又は不飽和の5若しくは6員環状基であり、
10、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立にH又はヒドロカルビル基であり、
nは、0、1、2又は3である。]
【請求項2】
XがSである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
10及びR11がそれぞれ独立にH又はアルキルであり、R13がアルキル又はアルケニルである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
がHであり、或いはCO13、C〜C12アルキル基、C〜C12シクロアルキル基、C〜C12アリール基、C3〜12ヘテロアリール基、(C〜C12アルキル)−(C〜C12アリール)基、SO−(C〜C12アリール)、及びCO−(C〜C12アリール)から選択され、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びアリールの各基は、N、O、又はSから選択される1個、2個、又は3個のヘテロ原子を含んでいてもよく、またR及びRから選択される1個、2個、又は3個の基によって置換されていてもよく、
が、H、R、又は1個又は複数のR基によって置換されていてもよいC〜Cアルキル基であり、
、R、R、及びRが、H、R、1個又は複数のR基によって置換されていてもよいC〜Cアルキル基、及び1個又は複数のR基によって置換されていてもよいC〜Cアルケニル基からそれぞれ独立に選択され、
が、H、R、フェニル、NH(CH、CO(CH、NHCO(CH、O(CH、又はR及びRから選択される1個又は複数の基によって置換されていてもよいC〜Cアルキル基である、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
がHであり、或いはR及びRから選択される1個又は複数の置換基によってそれぞれが置換されていてもよいフェニル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、CO−フェニル、CH−フェニル、SO−フェニル、CO−アルキル、及びCO−アルケニルから選択され、
、R、R、R、及びRが、それぞれ独立に、H、又は1個又は複数のヒドロキシ基によって置換されていてもよいC1〜3アルキルであり、
が、C1〜6アルキル又はRであり、
が、OH、OMe、OEt、OPr、NH、NHMe、NMe、NHEt、NHPr、CF、F、Cl、Br、I、NO、COMe、COEt、COPr、CN、COOH、COOMe、CONH、CONHMe、CONMe、SOMe、又はSONHである、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
が、OH、OMe、OEt、OPr、NH、NHMe、NMe、NHEt、NHPr、CF、又はNOであり、Rがモルホリノである、請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
がHであり、或いはNO、CF、OH、モルホリノ、及びNMeから選択される1個又は複数の置換基によってそれぞれが置換されていてもよいフェニル基、CO−フェニル、SO−フェニル、CH−フェニル、及びCO−CHCHCH=CHから選択され、
がHであり、
、R、R、及びRが、H、CH、CHOH、及びCHCHOHからそれぞれ独立に選択され、
が、CH、NH、NHCH、OCH、及びOCHCHから選択される、請求項1から6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
がHであり、或いはNO、CF、OH、モルホリノ、及びNMeから選択される置換基によって3位又は4位が置換されていてもよいフェニル基であり、或いはRは、CO−フェニル、CH−フェニル、SO−フェニル、又はCO−CHCHCH=CHであり、
がHであり、
、R、R、及びRがすべてHであり、
がNH又はCHである、請求項1から7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(3−ニトロ−フェニル)−アミン;
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;
3−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミノ)−フェノール;
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミン;
4−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミノ)−フェノール;
N,N−ジメチル−N’−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−ベンゼン−1,4 ジアミン;
(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−アミン;
(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−アミン;
メチル−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(3−ニトロ−フェニル)−アミン;
メチル−(2−メチル−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(3−ニトロ−フェニル)−アミン;
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−フェニル−アミン;
(2−メチル−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−フェニル−アミン;
−フェニル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−2,8−ジアミン;
−(3−ニトロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−2,8−ジアミン;
2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミン;
N−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−ベンズアミド;
ベンジル−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−アミン;
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−カルバミン酸ブテ−3−エニル(but-3-enyl)エステル;及び
N−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−ベンゼンスルホンアミド
から選択される、請求項1から8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(3−ニトロ−フェニル)−アミン;
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;
3−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミノ)−フェノール;
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミン;
4−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イルアミノ)−フェノール;
N,N−ジメチル−N’−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−ベンゼン−1,4−ジアミン;
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミン;
(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−アミン;
(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−アミン;
メチル−(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−(3−ニトロ−フェニル)−アミン;
(2−メチル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−フェニル−アミン;
(2−メチル−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−8−イル)−フェニル−アミン;
−フェニル−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−2,8−ジアミン;及び
−(3−ニトロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−チアゾロ[4,5−h]キナゾリン−2,8−ジアミン
から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物を薬剤として許容される希釈剤、賦形剤、又は担体と混合したものを含む薬剤組成物。
【請求項12】
増殖性障害を治療する医薬の製造における請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項13】
増殖性障害が癌又は白血病である、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
増殖性障害が、糸球体腎炎、リウマチ様関節炎、乾癬、慢性閉塞性肺障害である、請求項12に記載の使用。
【請求項15】
ウイルス障害を治療する医薬の製造における請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項16】
ウイルス障害が、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)、及び水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)から選択される、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
CNS障害を治療する医薬の製造における請求項1から10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
CNS障害が、アルツハイマー病又は双極性障害である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
脱毛症を治療する医薬の製造における請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項20】
脳卒中を治療するための医薬の製造における請求項1から10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項21】
式1の化合物を、少なくとも1種のPLK酵素の阻害に十分な量で投与する、請求項12から20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項22】
PLK酵素がPLK1である、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
式1の化合物を、少なくとも1種のCDK酵素の阻害に十分な量で投与する、請求項12から20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項24】
CDK酵素が、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK6、CDK7、CDK8、及び/又はCDK9である、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
式1の化合物を、オーロラキナーゼの阻害に十分な量で投与する、請求項12から20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
糖尿病を治療する医薬の製造における請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項27】
糖尿病がII型糖尿病である、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
式1の化合物を、GSKの阻害に十分な量で投与する、請求項26又は27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
式Iの化合物を、GSK3βの阻害に十分な量で投与する、請求項26に記載の使用。
【請求項30】
請求項1で定義した式1の化合物の調製方法であって、
(i)式7の化合物と式8の化合物とを反応させて、式9の化合物を生成するステップと、
【化2】

(iii)前記式9の化合物を式1の化合物に変換するステップとを含む方法。
【請求項31】
【化3】

(i)前記式9の化合物と式10の化合物とを反応させて、式11の化合物を生成するステップ、
(ii)前記式11の化合物を式12の化合物に変換するステップ、
(iii)前記式12の化合物と式13の化合物とを反応させて、式1aの化合物を生成するステップ
をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記式1aの化合物を酸化させて、式14の化合物を生成するステップをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【化4】

【請求項33】
サイクリン依存性キナーゼ、オーロラキナーゼ、GSK、及びPLK酵素のうちの1種又は複数を阻害することのできる更なる候補化合物を同定するアッセイにおける請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項34】
前記アッセイが競合結合アッセイである、請求項33に記載の使用。

【公表番号】特表2007−516202(P2007−516202A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518353(P2006−518353)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002935
【国際公開番号】WO2005/005438
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(598059000)サイクラセル・リミテッド (15)
【氏名又は名称原語表記】Cyclacel Limited
【Fターム(参考)】