説明

プロテクタ

【課題】プロテクタ蓋にクランプを設けたものであっても、プロテクタ蓋がプロテクタ本体から外れてしまうことを抑制することができるプロテクタを提供すること。
【解決手段】少なくとも一部が開口するとともに、ワイヤハーネスWが内側に収容されるプロテクタ本体12と、プロテクタ本体12の開口を覆うようにプロテクタ本体12に組み付けられるプロテクタ蓋13と、を備え、プロテクタ蓋13は、プロテクタ本体12の開口を覆う蓋本体23と、プロテクタ本体12から離れる方向に蓋本体23から立設されたブラケット52と、ブラケット52が立設された方向とは交差する方向にブラケット52から突設されたクランプ53と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線を保護するプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプロテクタは、プロテクタ本体にクランプが設けられ、そのクランプを被配索材に設けられた孔に差し込んで、プロテクタを固定していた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−8922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロテクタに被配索材を配置する際、その被配索材の構造によってはプロテクタ本体にクランプを配置し難い場合がある。このため、プロテクタ蓋にクランプを設けることが考えられている。しかし、プロテクタ蓋にクランプを設けたプロテクタでは、例えばプロテクタが引っ張られクランプに引っ張り外力が作用した場合、プロテクタ蓋が変形し、プロテクタ蓋をプロテクタ本体に組み付けている係止部の係止が解除され、プロテクタ蓋がプロテクタ本体から外れてしまう虞がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、プロテクタ蓋にクランプを設けたものであっても、プロテクタ蓋がプロテクタ本体から外れてしまうことを抑制することができるプロテクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係るプロテクタは、下記(1)〜(7)を特徴としている。
(1) 少なくとも一部が開口するとともに、電線が内側に収容され、保持されるプロテクタ本体と、
前記プロテクタ本体の開口を覆うように該プロテクタ本体に組み付けられるプロテクタ蓋と、
を備え、
前記プロテクタ蓋は、前記プロテクタ本体の開口を覆う蓋本体と、前記プロテクタ本体から離れる方向に前記蓋本体から立設されたブラケットと、前記ブラケットから突設されたクランプと、を有し、
前記蓋本体は、該蓋本体の向かい合う端部にそれぞれ、少なくとも一つの係止部を有し、
前記プロテクタ本体は、該プロテクタ本体に前記プロテクタ蓋が組み付けられた際の前記蓋本体の係止部に対向する位置に、該蓋本体の係止部に係止する係止部を有し、
前記ブラケットは、該ブラケットの一部が前記蓋本体の向かい合う端部にそれぞれ位置する係止部を結ぶ線分上に位置している、
こと。
(2) 上記(1)の構成のプロテクタにおいて、
前記蓋本体は、該蓋本体の一方の端部に第1の係止部と第2の係止部が互いに離間して形成され、該蓋本体の他方の端部に第3の係止部と第4の係止部が互いに離間して形成され、さらに、前記第1の係止部と前記第3の係止部が前記蓋本体の長手方向の一方側に、前記第2の係止部と前記第4の係止部が前記蓋本体の長手方向の他方側に形成され、
前記ブラケットは、該ブラケットの一部が前記蓋本体の前記第1の係止部と前記第3の係止部を結ぶ線分上に位置し、該ブラケットの別の一部が前記蓋本体の前記第2の係止部と前記第4の係止部を結ぶ線分上に位置する、
こと。
(3) 上記(2)の構成のプロテクタにおいて、
前記ブラケットは、該ブラケットの一端が前記蓋本体の前記第1の係止部と前記第3の係止部を結ぶ線分上に位置し、該ブラケットの他端が前記蓋本体の前記第2の係止部と前記第4の係止部を結ぶ線分上に位置する、
こと。
(4) 上記(1)〜(3)のいずれか一つの構成のプロテクタにおいて、
前記ブラケットは、該ブラケットの一部が前記蓋本体の向かい合う端部にそれぞれ位置する係止部の略中間に位置している、
こと。
(5) 上記(1)〜(4)のいずれか一つの構成のプロテクタにおいて、
前記蓋本体は、平板形状であって、
前記ブラケットは、前記蓋本体に対して直交するように該蓋本体から立設され、
前記クランプは、前記ブラケットに対して直交するように該ブラケットから突設されている、
こと。
(6) 上記(4)の構成のプロテクタにおいて、
前記クランプは、係止羽根を両側に有する両羽根クランプであって、
前記ブラケットは、前記両羽根クランプの係止羽根に対向する位置に凸部を有する、
こと。
(7) 上記(6)の構成のプロテクタにおいて、
前記ブラケットの凸部は、凸条形状であり、
前記蓋本体から立設された少なくとも二つの前記ブラケットはそれぞれ、前記凸部を有し、
それぞれの前記ブラケットに形成された前記凸部は、凸条形状の延びる方向が異なる、 こと。
【0007】
上記(1)の構成のプロテクタによれば、電線を収容保持させ、プロテクタ蓋のクランプを車両等の被配索材の孔へ挿し込むことにより、電線を被配索材へ容易に保持させることができる。また、ブラケットに強度が備わっているためブラケット自身は撓み難く、そのブラケットが形成された蓋本体もまた、ブラケットが強度を補強する役割を果たすことによって撓み難い。この結果、蓋本体の変形が抑えられるため、プロテクタ蓋の係止部がプロテクタ本体の係止部から不用意に取り外れることを防止することができる。ところで、蓋本体に外力が作用して仮に蓋本体が僅かながらにでも撓むとした場合、蓋本体のうち係止部の近辺は変形が少ないが、他方係止部から離れるにつれて大きく変形する。本発明では、ブラケットの一部が蓋本体の向かい合う端部にそれぞれ位置する係止部を結ぶ線分上に位置することによって、ブラケットは係止部の近辺に位置することになり、従って、蓋本体の変形を極力抑えることができる。
上記(2)の構成のプロテクタによれば、4つの係止部それぞれによって、より一層蓋本体の変形を極力抑えることができる。
上記(3)の構成のプロテクタによれば、蓋本体の強度を補強する役割を最も果たすブラケットの端部が蓋本体の向かい合う端部にそれぞれ位置する係止部を結ぶ線分上に位置することによって、より一層蓋本体の変形を極力抑えることができる。
上記(4)の構成のプロテクタによれば、ブラケットの一部が、蓋本体の互いに向かい合う端部にそれぞれ形成された係止部の略中間に位置することによって、それぞれの係止部に作用する外力が均一化される。この結果、過度な外力が一方の係止部に作用して、その係止部によるプロテクタ本体の係止部との係止が外れてしまうことを防止することができる。
上記(5)の構成のプロテクタによれば、プロテクタが配置される被配索材の端部が略直角のエッジを有する場合、蓋本体とブラケットによって形成される隅にそのエッジを嵌め込むようにプロテクタを被配索材に配置すれば、プロテクタをより被配索材に密着させて確実に固定させることができ、プロテクタの振動を抑えることができる。
上記(6)の構成のプロテクタによれば、クランプの係止羽根とブラケットの凸部とによって、その間に位置する被配索材を強固に挟みこむことができるため、プロテクタをより強固に被配索材に固定することができる。
上記(7)の構成のプロテクタによれば、二つのブラケットの凸条形状の凸部の延びる方向が異なるように形成されているので、ブラケットに対して異なる向きに作用する振動が、それぞれの凸部によって確実に抑制され、この結果、プロテクタの振動をさらに抑制することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プロテクタ蓋にクランプを設けたものであっても、プロテクタ蓋がプロテクタ本体から外れてしまうことを抑制することができるプロテクタを提供できる。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係るプロテクタの斜視図である。
【図2】実施形態に係るプロテクタの分解斜視図である。
【図3】実施形態に係るプロテクタを示す図であって、図3(a)は平面図、図3(b)は側面図、図3(c)は図3(b)と反対側の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態の例を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は実施形態に係るプロテクタの斜視図、図2は実施形態に係るプロテクタの分解斜視図、図3は実施形態に係るプロテクタを示す図であって、図3(a)は平面図、図3(b)は側面図、図3(c)は図3(b)と反対側の側面図である。
【0013】
図1から図3(c)に示すように、本実施形態に係るプロテクタ11は、車両等のフレーム(被配索材)71にワイヤハーネス(電線)Wを支持させるもので、プロテクタ本体12と、このプロテクタ本体12の上部に組み付けられるプロテクタ蓋13とを有している。これらのプロテクタ本体12及びプロテクタ蓋13は、いずれも合成樹脂によって形成されている。
【0014】
プロテクタ本体12は、底壁21と、この底壁21の両側部に起立して設けられた側壁22とを有する上方側が開放された断面視凹状に形成されている。そして、このプロテクタ本体12の底壁21と側壁22とから形成された凹状部分が、ワイヤハーネスWの収容部Sとされている。プロテクタ蓋13は、プロテクタ本体12の収容部Sの開口部分を覆う蓋本体23を備えている。
【0015】
このプロテクタ本体12の収容部Sに収容されるワイヤハーネスWは、例えば、難燃性ポリプロピレンなどから形成された蛇腹状のコルゲートチューブによって覆われて保護されている。
【0016】
プロテクタ本体12の両側壁22とプロテクタ蓋13の蓋本体23の向かい合う端部にはそれぞれ、複数の係止機構31が設けられている。これらの係止機構31は、プロテクタ本体12の側壁22に形成された本体側係止部(係止部)32と、プロテクタ蓋13の蓋本体23に形成された蓋側係止部(係止部)33とを有している。本体側係止部32と蓋側係止部33は、プロテクタ本体12にプロテクタ蓋13が組み付けられた際、互いに対向する位置にある。本体側係止部32は、上下に沿って形成された挿通孔34を有している。また、挿通孔34を形成する外壁部35には、窓部35aが形成されている。
【0017】
蓋側係止部33は、プロテクタ本体12側へ突出する係止片41を有しており、この係止片41には、その外面側に、係止爪42が形成されている。そして、この蓋側係止部33の係止片41を本体側係止部32の挿通孔34へ挿し込むと、係止片41の係止爪42が、本体側係止部32の窓部35aの縁部に係止し、よって、プロテクタ本体12とプロテクタ蓋13とが係止機構31で係止される。
【0018】
また、プロテクタ蓋13には、蓋本体23の上面側に、二つの支持機構51が設けられている。この支持機構51は、プロテクタ本体12から離れる方向に蓋本体23から立設されたブラケット52と、このブラケット52が立設された方向と交差する方向にブラケット52から突設されたクランプ53とを有している。尚、クランプ53が突設される方向は、プロテクタ本体12及びプロテクタ蓋13の形状に応じて適宜、設計される。
【0019】
それぞれの支持機構51のブラケット52は、平板形状に形成されており、蓋本体23に対して直交するように蓋本体23から立設されている。そして、クランプ53は、ブラケット52に対して直交するようにブラケット52から突設されている。
【0020】
ブラケット52は、蓋本体23の幅方向の中央位置に配置されており、これにより、このブラケット52は、その一部が蓋本体23の向かい合う端部にそれぞれ形成された蓋側係止部33の線分上、特に略中間、に位置している。これにより、ブラケット52は、その一部がこれらの蓋側係止部33の近傍に配置されている。
【0021】
より具体的にブラケット52について図3を参照して説明する。図3(a)中の左側のブラケット52は、ブラケット52の一部が蓋本体23の第1の係止機構31aと第3の係止機構31cを結ぶ線分上に位置し、ブラケット52の別の一部が蓋本体23の第2の係止機構31bと第4の係止機構31dを結ぶ線分上に位置している。第1の係止機構31aと第2の係止機構31bは、蓋本体23の一方の端部に互いに離間して形成され、第3の係止機構31cと第4の係止機構31dは、蓋本体23の他方の端部に互いに離間して形成されている。さらに、第1の係止機構31aと第3の係止機構31cが蓋本体23の長手方向の一方側(図3(a)中左方)に、第2の係止機構31bと第4の係止機構31dが蓋本体23の長手方向の他方側(図3(a)中右方)に形成されている。
【0022】
支持機構51を構成するクランプ53は、支柱部61と、この支柱部61の両側に形成された一対の係止羽根62とを有している。係止羽根62は、支柱部61の先端近傍で連結され、支柱部61の後端側へ向かって次第に支柱部61から離間されている。このように、支持機構51を構成するクランプ53は、一対の係止羽根62を備えた両羽根クランプである。
【0023】
また、ブラケット52は、クランプ53の突設側の面におけるクランプ53のそれぞれの係止羽根62に対向する位置に、凸部63を有している。これらの凸部63は、クランプ53を挟んで互いに平行に形成された凸条形状とされている。これらの凸条形状とされた凸部63の延びる方向は、各クランプ53毎に異なる方向とされている。つまり、凸部63の向きは、一方のクランプ53では、蓋本体23の上面に対して直交方向とされ、他方のクランプ53では、蓋本体23の上面に対して平行方向とされている。
【0024】
支持機構51を有するプロテクタ蓋13は、車両等のフレーム71に固定される。このフレーム71には、二つの係止孔72を有しており、これらの係止孔72に、支持機構51が係止される。具体的には、支持機構51のクランプ53を挿し込む。すると、クランプ53の係止羽根62が係止孔72によって一旦窄められ、その後、フレーム71の裏面側で係止羽根62が開くこととなる。これにより、フレーム71の裏面側にそれぞれの係止羽根62が係止することとなり、よって、支持機構51が係止孔72に係止し、フレーム71にプロテクタ蓋13が固定される。
【0025】
また、プロテクタ蓋13が固定されるフレーム71は、略直角の断面視L字状に形成されたエッジ部分を有しており、フレーム71にプロテクタ蓋13を固定すると、蓋本体23とブラケット52とによって形成される隅にフレーム71のエッジが嵌め込まれ、フレーム71の一部が蓋本体23の上面に当接される。これにより、プロテクタ蓋13は、フレーム71に対してがたつきなく安定的に固定される。尚、上述したフレーム71の形状は、一例であり、プロテクタ本体12及びプロテクタ蓋13の形状は、そのフレーム71の形状に応じて適宜、設計される。
【0026】
また、プロテクタ本体12には、その一端側に、係止蓋81が設けられている。この係止蓋81は、その一側部が、一方側の側壁22に連結されており、この側壁22との連結箇所からなるヒンジ部82で回動可能とされている。また、係止蓋81の他側部と他方側の側壁22との間には、係止機構31が設けられ、係止蓋81と側壁22とが係止可能とされている。係止蓋81をプロテクタ本体12に係止させることによって、係止蓋81とプロテクタ本体12によって囲まれる空間にワイヤハーネス(電線)Wを収容させ、支持させる。このため、係止蓋81は電線保持部としても機能する。尚、ワイヤハーネス(電線)Wをプロテクタ本体12に支持するに当たっては、ワイヤハーネス(電線)Wを周回させた結束バンドによってプロテクタ本体12に保持させる構造や、ワイヤハーネス(電線)Wを周回させたテープをプロテクタ本体12の一部をも周回させて貼り付ける構造、なども適用することができる。
【0027】
上記のプロテクタ11にワイヤハーネスWを保持させ、車両のフレーム71に固定する場合について説明する。
【0028】
まず、プロテクタ蓋13を外し、係止蓋81を開いた状態で、プロテクタ本体12の収容部SにワイヤハーネスWを収容し、係止蓋81を回動させてプロテクタ本体12の上部を覆い、係止機構31で係止蓋81をプロテクタ本体12に係止させる。
【0029】
次に、プロテクタ本体12の上部にプロテクタ蓋13を被せ、係止機構31でプロテクタ蓋13をプロテクタ本体12に係止させる。
【0030】
このようにすると、プロテクタ本体12の収容部Sに収容されたワイヤハーネスWが、係止蓋81及びプロテクタ蓋13によって収容部S内に確実に保持される。
【0031】
上記のように、ワイヤハーネスWをプロテクタ11に保持させたら、フレーム71の係止孔72へプロテクタ蓋13の支持機構51のクランプ53を挿し込み、フレーム71に係止羽根62を係止させる。
【0032】
このようにすると、プロテクタ11がフレーム71に固定され、よって、このプロテクタ11に保持させたワイヤハーネスWがフレーム71に確実に保持される。
【0033】
以上、説明したように、本実施形態に係るプロテクタによれば、ワイヤハーネスWを収容部Sへ保持させ、プロテクタ蓋13の支持機構51のクランプ53を車両等のフレーム71の係止孔72へ挿し込むことにより、ワイヤハーネスWをフレーム71へ容易に保持させることができる。また、ブラケット52に強度が備わっているためブラケット52自身は撓み難く、そのブラケット52が形成された蓋本体23もまた、ブラケット52が強度を補強する役割を果たすことによって撓み難い。この結果、蓋本体23の変形が抑えられるため、プロテクタ蓋13の蓋側係止部33がプロテクタ本体12の本体側係止部32から不用意に取り外れることを防止することができる。
【0034】
ところで、蓋本体23に外力が作用して仮に蓋本体23が僅かながらにでも撓むとした場合、蓋本体23のうち蓋側係止部33の近辺は変形が少ないが、他方蓋側係止部33から離れるにつれて大きく変形する。本発明では、ブラケット52の一部が蓋本体23の向かい合う端部にそれぞれ位置する蓋側係止部33を結ぶ線分上に位置することによって、ブラケット52は蓋側係止部33の近辺に位置することになり、従って、蓋本体の変形を極力抑えることができる。
【0035】
さらに、本発明では、蓋本体23の強度を補強する役割を最も果たすブラケット52の端部が、蓋本体23の向かい合う端部にそれぞれ位置する係止部を結ぶ線分上に位置することによって、より一層蓋本体の変形を極力抑えることができる。クランプ53がブラケット52の長手方向の中央付近に位置する場合は、ブラケット52の両端部に均等に外力が作用し、それぞれの蓋側係止部33に作用する外力が均一化される。この結果、過度な外力が一方の蓋側係止部33に作用して、その蓋側係止部33による本体側係止部32との係止が外れてしまうことを防止することができる。
【0036】
しかも、ブラケット52の一部が、蓋本体23の互いに向かい合う端部にそれぞれ形成された蓋側係止部33の略中間に位置することによって、それぞれの蓋側係止部33に作用する外力が均一化される。この結果、過度な外力が一方の蓋側係止部33に作用して、その蓋側係止部33による本体側係止部32との係止が外れてしまうことを防止することができる。
【0037】
また、ブラケット52は、平板形状であるので、プロテクタ蓋13の成形の容易化を図ることができ、また、蓋本体23の変形を抑制する補強材としてブラケット52を効果的に機能させることができる。
【0038】
また、プロテクタ11が配置されるフレーム71の端部が略直角のエッジを有する場合、蓋本体23とブラケット52によって形成される隅にそのエッジを嵌め込むようにプロテクタ11をフレーム71に配置すれば、プロテクタ11をよりフレーム71に密着させて確実に固定させることができ、プロテクタ11の振動を抑えることができる。
【0039】
また、クランプ53の係止羽根62とブラケット52の凸部63とによって、その間に位置するフレーム71の板を強固に挟みこむことができるため、プロテクタ11をより強固にフレーム71に固定することができる。
【0040】
また、二つのブラケット52の凸条形状の凸部63の延びる方向が異なるように形成されているので、ブラケット52に対して異なる向きに作用する振動が、それぞれの凸部63によって確実に抑制され、この結果、プロテクタ11の振動をさらに抑制することができる。
【0041】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0042】
11 プロテクタ
12 プロテクタ本体
13 プロテクタ蓋
23 蓋本体
32 本体側係止部(係止部)
33 蓋側係止部(係止部)
52 ブラケット
53 クランプ
62 係止羽根
63 凸部
W ワイヤハーネス(電線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が開口するとともに、電線が内側に収容され、保持されるプロテクタ本体と、
前記プロテクタ本体の開口を覆うように該プロテクタ本体に組み付けられるプロテクタ蓋と、
を備え、
前記プロテクタ蓋は、前記プロテクタ本体の開口を覆う蓋本体と、前記プロテクタ本体から離れる方向に前記蓋本体から立設されたブラケットと、前記ブラケットから突設されたクランプと、を有し、
前記蓋本体は、該蓋本体の向かい合う端部にそれぞれ、少なくとも一つの係止部を有し、
前記プロテクタ本体は、該プロテクタ本体に前記プロテクタ蓋が組み付けられた際の前記蓋本体の係止部に対向する位置に、該蓋本体の係止部に係止する係止部を有し、
前記ブラケットは、該ブラケットの一部が前記蓋本体の向かい合う端部にそれぞれ位置する係止部を結ぶ線分上に位置している、
ことを特徴とするプロテクタ。
【請求項2】
前記蓋本体は、該蓋本体の一方の端部に第1の係止部と第2の係止部が互いに離間して形成され、該蓋本体の他方の端部に第3の係止部と第4の係止部が互いに離間して形成され、さらに、前記第1の係止部と前記第3の係止部が前記蓋本体の長手方向の一方側に、前記第2の係止部と前記第4の係止部が前記蓋本体の長手方向の他方側に形成され、
前記ブラケットは、該ブラケットの一部が前記蓋本体の前記第1の係止部と前記第3の係止部を結ぶ線分上に位置し、該ブラケットの別の一部が前記蓋本体の前記第2の係止部と前記第4の係止部を結ぶ線分上に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項3】
前記ブラケットは、該ブラケットの一端が前記蓋本体の前記第1の係止部と前記第3の係止部を結ぶ線分上に位置し、該ブラケットの他端が前記蓋本体の前記第2の係止部と前記第4の係止部を結ぶ線分上に位置する、
ことを特徴とする請求項2に記載のプロテクタ。
【請求項4】
前記ブラケットは、該ブラケットの一部が前記蓋本体の向かい合う端部にそれぞれ位置する係止部の略中間に位置している、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロテクタ。
【請求項5】
前記蓋本体は、平板形状であって、
前記ブラケットは、前記蓋本体に対して直交するように該蓋本体から立設され、
前記クランプは、前記ブラケットに対して直交するように該ブラケットから突設されている、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロテクタ。
【請求項6】
前記クランプは、係止羽根を両側に有する両羽根クランプであって、
前記ブラケットは、前記両羽根クランプの係止羽根に対向する位置に凸部を有する、
ことを特徴とする請求項5に記載のプロテクタ。
【請求項7】
前記ブラケットの凸部は、凸条形状であり、
前記蓋本体から立設された少なくとも二つの前記ブラケットはそれぞれ、前記凸部を有し、
それぞれの前記ブラケットに形成された前記凸部は、凸条形状の延びる方向が異なる、
ことを特徴とする請求項6に記載のプロテクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−205413(P2012−205413A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68348(P2011−68348)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】