説明

プロパルギル化アミノインダン誘導体の合成方法

式(V)の化合物又はその鏡像異性体の製造方法であって、下記の工程:(a) 塩基及び有機溶媒の存在下、25℃〜該溶媒の還流温度の範囲の温度で、ラセミの式(II)のアミノインダン又はその鏡像異性体をハロゲン化アリルと反応させて、式(III)の化合物を得ること、(b) 適当な有機溶媒中で、該化合物(III)をハロゲン化剤と反応させて、式(IV)のジハロ化合物を得ること、(c) 該ジハロ化合物(IV)を適当な塩基で処理して、化合物(V)を得ることを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、改良された、かつ工業的に安全なプロパルギル化アミノインダン誘導体の製造方法に関する。より具体的には、本発明は、(1R)-N-プロパ-2-イニル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-アミンに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ラサギリン又は(R)N-プロパルギルl-インダンアミンとも呼ばれる(1R)-N-プロパ-2-イニル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-アミン(I)は、早期パーキンソン病における単独療法として、又はより進行した症例における補助治療として使用される、モノアミンオキシダーゼの不可逆的阻害剤である。
【化1】

【0003】
ラセミのプロパルギル-1-アミノインダン塩酸塩が、GB1003676、GB1037014、US3513244に記載された。先行技術において、プロパルギル-1-アミノインダンのラセミ混合物は、1-クロロインダン又は1-ブロモインダンをプロパルギルアミンと反応させることによって製造された。
ラサギリンのR-鏡像異性体が、EP0436492及びEP0812190に記載された。それに開示された方法は、有機塩基又は無機塩基の存在下、及び任意に溶媒の存在下で、光学活性な1-アミノインダンのR-鏡像異性体を、臭化プロパルギル又は塩化プロパルギルと反応させることを含むものであった。
【0004】
US5532415には、ラサギリンR(+)-N-プロパルギル-1-アミノインダン、その製造、及び様々なその医薬として許容し得る塩が開示されている。US5532415は、プロパルギルアミノインダン誘導体のR-及びS-鏡像異性体のラセミ混合物の光学分割によって、鏡像異性的に純粋なアミノインダン誘導体を得ることができることを開示している。そのような分割は、当業者に周知である、任意の、従来の分割方法で達成できる。例えば、該分割は、キラルカラムを用いた分取クロマトグラフィーによって行うことができる。
【0005】
更にUS5532415には、どのようにして鏡像異性的に純粋なプロパルギルアミノインダンを、光学活性な1-アミノインダンのR-鏡像異性体から直接製造し得るかについても記載されており、これは、トリエチルアミン、ピリジン、アルカリ金属炭酸塩及び炭酸水素塩のような有機塩基又は無機塩基の存在下、並びに任意に、例えば、トルエン、塩化メチレン及びアセトニトリルから選択される適当な溶媒の存在下における、臭化プロパルギル又は塩化プロパルギル又はプロパルギルスルホン酸エステルとの反応による。
【0006】
該先行技術に記載されるアミノインダン誘導体の製造及び分離方法は、欠点を有する。クロマトグラフィーは、処理が困難な大量の溶媒を使用するので、規模の拡大が難しい。高沸点のアミノインダン誘導体の蒸留を行うことは、非常に困難である。更に、塩化プロパルギル又は臭化プロパルギルは、毒性の高い可燃性液体であるので、それらの使用は非常に困難である。それは、衝撃及び熱によって爆発的に分解するため、工業的な規模の拡大には適さない。
本発明の目標は、先行技術の方法に関連する欠点を克服するのに有用な、代替方法及び改良方法を提供することである。
【発明の概要】
【0007】
(発明の概要)
プロパルギル化アミノインダン誘導体及びその塩の合成のための改良方法を提供することが本発明の目的である。
毒性試薬の使用を排除した、工業的に安全な、ラサギリン又はその塩の製造方法を提供することが本発明の別の目的である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(発明の詳細な説明)
上記の目的は、本発明の様々な態様により達成される。
一態様により、本発明は、塩基及び有機溶媒の存在下で、好ましくは、25℃〜該溶媒の還流温度の範囲の温度で、ラセミの式(II)のアミノインダン又はその鏡像異性体を、ハロゲン化アリル、好ましくは、臭化アリル(allybromide)と反応させて、式(III)の化合物を与えることを含む方法を提供する。式(III)の化合物は、任意に、好ましくは、コハク酸、メタンスルホン酸、酒石酸、安息香酸、最も好ましくは、シュウ酸のような有機酸の酸付加塩として単離することができる。
【化2】

式中、Rは、H又は
【化3】

である。
【0009】
また、本発明は、新規の化合物である、式(III)及び式(IV)の化合物を提供する。
好ましくは、該塩基は、アルカリ金属の水酸化物又は炭酸塩、最も好ましくは、炭酸カリウムである。好ましくは、該有機溶媒は、C1〜C4アルコール、特に、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン又はアセトニトリルである。好ましい溶媒は、アセトニトリルである。
【0010】
更に、適当な有機溶媒中で、化合物(III)をハロゲン化剤、好ましくは、臭素と反応させて、式(IV)の二ハロゲン化合物が得られる。
該ハロゲン化は、必要に応じて、臭素以外のハロゲンを用いて行うことができる。
【化4】

該溶媒は、好ましくは、トルエン、キシレン、ジオキサン、又はジクロロメタン、最も好ましくは、ジクロロメタンである。
【0011】
該二ハロゲン化合物(IV)を、アルカリ若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、又はアルコキシドのような適当な塩基で処理して、化合物(V)が得られる。
【化5】

【0012】
好ましくは、二臭素化合物(IV)を処理するのに使用される塩基は、アルカリ若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、好ましくは、水酸化カリウムである。好ましくは、この反応は、C1〜C4アルコール又はC1〜C4アルコール-水の混合物から選択される溶媒の存在下で行われる。好ましくは、該C1〜C4アルコールは、イソプロピルアルコールである。式(V)の化合物は、医薬として許容し得る塩に変換することができる。
上記の3つの反応のそれぞれにおいて、該ラセミ化合物の代わりに、化合物(II)、(III)又は(IV)の鏡像異性体、特にR-鏡像異性体を用いることができる。
【0013】
本発明の別の態様により、(R)N-プロパルギル1-インダンアミン(I)の改善された、かつ安全な合成を提供する。それは、有機溶媒の存在下、好ましくは、25℃〜使用する溶媒の還流温度の範囲の温度で、塩基、好ましくは、アルカリ金属の水酸化物又は炭酸塩、最も好ましくは、炭酸カリウムを用いて、(R)1-アミノインダンを臭化アリルと反応させて、任意に、有機酸が付加した酸塩、好ましくは、シュウ酸塩として単離できるR-(-)N-アリル-1-アミノインダンを得ることを含む。好ましくは、該有機溶媒はC1〜C4アルコール、特に、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン又はアセトニトリルである。好ましい溶媒は、アセトニトリルである。塩化アリルを臭化アリルの代替物として使用することができる。
【0014】
更に、R-(-) N-アリル-1-アミノインダンを、適当な有機溶媒中で、臭素又は塩素と反応させて、R-(-)N-(2,3-ジブロモプロピル)-1-アミノインダンが得られる。該溶媒は、好ましくは、トルエン、キシレン、ジオキサン、又はジクロロメタン、より好ましくは、ジクロロメタンである。
【0015】
次いで、該R-(-)N-(2,3-ジブロモプロピル)-1-アミノインダンは、塩基が存在する適当な溶媒中で加熱されて、(R)-N-プロパルギル1-インダンアミン(I)が得られる。該(R)-N-プロパルギル1-インダンアミン(I)は、その塩に変換できる。好ましくは、該塩基は、アルカリ若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、好ましくは、水酸化カリウムである。好ましくは、該溶媒は、C1〜C4アルコール又はC1〜C4アルコール-水の混合物から選択される。好ましくは、該C1〜C4アルコールは、イソプロピルアルコールである。式(V)の化合物は、医薬として許容し得る塩に変換することができる。
【0016】
本発明のこの態様を、下記のスキームに表す。
【化6】

【0017】
別の態様において、本発明の方法で製造されたラセミのN-プロパルギル1-インダンアミンを、適当な分割剤、好ましくは、L-酒石酸を用いて分割することによって、(R)N-プロパルギル1-インダンアミンが製造できる。典型的に、本発明のこの態様において、(R)N-プロパルギル1-インダンアミン(I)は、上記の方法によって製造される。より具体的には、有機溶媒、好ましくは、アセトニトリルの存在下、25℃〜使用する溶媒の還流温度の範囲の温度で、塩基、好ましくは、炭酸カリウムを使用して、1-アミノインダンを臭化アリルと反応させて、N-アリル-1-アミノインダンが得られ、これは、任意に有機酸の付加した酸塩、好ましくは、シュウ酸塩として単離できる。更に、N-アリル-1-アミノインダンは、適当な有機溶媒、好ましくは、ジクロロメタン中、臭素と反応して、N-(2,3-ジブロモプロピル)-1-アミノインダンが得られる。次いで、これは、塩基が存在する適当な溶媒中で加熱されて、ラセミのN-プロパルギル1-インダンアミンが得られ、これを、適当な分割剤、好ましくは、L-酒石酸を使用して分割して、(R)N-プロパルギル1-インダンアミンが得られる。該(R)N-プロパルギル1-インダンアミンは、その医薬として許容し得る塩に変換できる。
【0018】
別の態様において、本発明は、酒石酸、ジパラトルイル酒石酸、カンファースルホン酸、マンデル酸などの対応するキラル酸から選択されるキラル分割剤を用いる、ラセミの中間体(III)及び(IV)の分割方法を提供する。
【0019】
本発明の別の態様は、ラサギリンの合成の代替方法を提供することである。該方法は、下記のスキームに示すように、1-アミノインダンをハロアセトンと反応させて、式(VI)の化合物が得られ、これを、ブロム化して、式(VII)のジブロモ中間体が得られ、更にこれを塩基で処理した場合に、ラサギリンが得られることを含む。
【化7】

【0020】
酒石酸、ジパラトルイル酒石酸、カンファースルホン酸、マンデル酸などの対応するキラル酸から選択されるキラル分割剤を用いる、式(VI)及び式(VII)の中間体を分割すること、及び更に、それを対応するラサギリンの鏡像異性体に変換することは、本発明の別の態様を形成する。
【0021】
更に別の態様において、本発明は、N-エチル-N-メチルカルバミン酸3(R)-(2-プロピルアミノ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イルエステルL-タルトラート(I)の合成の改良方法を提供し、該方法は、下記のスキームに示されるように下記の工程を含む。
【化8】

【0022】
本発明の別の態様により、下記のスキームに従って、式(II)の化合物を臭化アリル又は他のハロゲン化アリルと反応させることによって、式(III)の化合物を製造する方法を提供する。
【化9】

式中、Rは、H又は
【化10】

である。
【0023】
本発明の別の態様により、下記のスキームに従って、式(III)の化合物を臭素又は他のハロゲンと反応させることによって、式(IV)の化合物を製造する方法を提供する。
【化11】

【0024】
本発明の別の態様により、下記のスキームに従って、式(IV)の化合物を適当な塩基で処理することによって、式(V)の化合物を製造する方法を提供する。
【化12】

【0025】
上記の3つの反応のそれぞれにおいて、該ラセミ化合物の代わりに、化合物(II)、(III)又は(IV)の鏡像異性体、特にR-鏡像異性体を用いることができる。該反応の条件は、上記と同じものが好ましい。
本発明は、下記の実施例によって更に理解されるであろう。しかし、実施例を例示するが、それは本発明の範囲を限定するものではない。論じられる特定の方法及び結果は、下記の特許請求の範囲に記載される、本発明の単なる例示であることが、当業者には容易に理解できるであろう。
【実施例】
【0026】
(実施例-1)
1000mlのアセトニトリル中の(R)-1-アミノインダン(100gm)の撹拌溶液に、100gmの炭酸カリウムを添加した。得られた懸濁液を60℃〜70℃で撹拌した。該反応塊(reaction mass)に臭化アリル(60gm)を60〜70℃で滴加した。撹拌した反応塊を還流温度で約12〜13時間、更に撹拌した。次いで、該反応塊を、2.5litの水中で反応停止させた後に、500mlの酢酸エチルで抽出した。該有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。125gmのシュウ酸を該酢酸エチル層に25〜30℃で添加した。得られた沈殿物を25〜30℃、2時間で濾過した。メタノールから固形物を再結晶化して、100gmのR(-)N-アリル-1-アミノインダンオキサラートを生成した。
【0027】
(実施例-2)
R-(-)N-アリル-1-アミノインダンシュウ酸塩(100gm)を1000mlのジクロロメタンに懸濁し、500mlの10%NaOH溶液を該懸濁液にゆっくりと添加した。該有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で約500mlまで濃縮した。該有機相に臭素(250mlのジクロロメタンに60gm溶解した。)を0〜5℃で滴加した。添加完了後、該反応塊を25〜30℃で約1時間撹拌した。該反応塊を2.5litの水で反応停止させた。有機相を分離し、250mlの10%NaOH溶液で洗浄した。該有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、残渣まで濃縮して、R-(-)N-(2,3ジブロモプロピル)-1-アミノインダン(115gm)を生成した。
【0028】
(実施例-3)
R-(-)N-(2,3ジブロモプロピル)-1-アミノインダン(115gm)を500mlの変性工業用アルコールに溶解させ、100mlの水を添加し、続いて100gmの水酸化カリウムを添加した。該混合物を80〜90℃で5時間加熱した。該反応塊を2.5litの水で反応停止させ、250mlの酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、約500mlまで濃縮した。25〜30℃で撹拌しながら100gmのシュウ酸を該酢酸エチル濃縮物に添加し、1時間撹拌した。得られた沈殿物を濾過により単離して、50gmの(R)-N-プロパルギル1-インダンアミンオキサラートを生成した。
【0029】
(実施例4)
1-アミノインダン(100gm)を1000mlのアセトニトリル中で撹拌した。100gmの炭酸カリウムを添加し、60℃〜70℃で撹拌した。臭化アリル(60gm)を該反応塊に60〜70℃でゆっくりと添加した。該反応塊を約12〜13時間還流した。次いで、該反応塊を2.5litの水で反応停止し、後に500mlの酢酸エチルで抽出した。該有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。125gmのシュウ酸を該酢酸エチル層に25〜30℃で添加した。得られた沈殿物を25〜30℃、2時間で濾過した。メタノールから固形物を再結晶化して、100gmのN-アリル-1-アミノインダンオキサラートが生成された。
【0030】
(実施例-5)
N-アリル-1-アミノインダンシュウ酸塩(100gm)を1000mlのジクロロメタンに懸濁し、500mlの10%NaOH溶液を該懸濁液にゆっくりと添加した。該有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、約500mlまで真空下で濃縮した。該有機層に臭素(250mlのジクロロメタンに60gm溶解した)を0〜5℃で滴加した。添加完了後、該反応塊を25〜30℃で約1時間撹拌した。該反応塊を2.5litの水で反応停止させた。有機相を分離し、250mlの10%NaOH溶液で洗浄した。該有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、残渣まで濃縮して、N-(2,3ジブロモプロピル)-1-アミノインダン(115gm)が生成された。
【0031】
(実施例-6)
N-(2,3ジブロモプロピル)-1-アミノインダン(100gms)をイソプロピルアルコール(200ml)に25〜30℃で溶解した。250mlの水に溶解させたL-酒石酸(20gm)を25〜30℃で添加し、該反応塊を60℃で30分間加熱し、撹拌しながら25〜30℃まで冷却した。得られた懸濁液を濾過した。この固形物を、メタノール:イソプロピルアルコールが1:1の混合物(500ml)中で撹拌しながら還流した。該スラリーを0〜5℃で冷却し、濾過して、酒石酸塩としてR-(-)N-(2,3ジブロモプロピル)-1-アミノインダンを得た。
【0032】
(実施例-7)
N-アリル-1-アミノインダン(10gms)をイソプロピルアルコール(50ml)に25〜30℃で溶解した。5.5mlの水に溶解させたL-酒石酸(3.6gm)を25〜30℃で添加し、該反応塊を60℃で30分間加熱し、撹拌しながら25〜30℃まで冷却した。得られた懸濁液を濾過した。この固形物を、メタノール:イソプロピルアルコールが1:1の混合物(500ml)中で撹拌しながら還流した。該スラリーを0〜5℃で冷却し、濾過してR-(-) N-アリル-1-アミノインダンタルトラートを得た。
【0033】
(実施例-8)
N-(2,3ジブロモプロピル)-1-アミノインダン(115gm)を500mlの変性工業用アルコールに溶解させ、100mlの水を添加し、続いて100gmの水酸化カリウムを添加した。該混合物を80〜90℃で5時間加熱した。該反応塊を2.5litの水で反応停止させ、250mlの酢酸エチルで抽出した。該有機相を乾燥させ、残渣まで濃縮した。該残渣を25〜30℃でイソプロピルアルコール(160ml)に溶解した。20mlの水に溶解させたL-酒石酸(13.5gm)を25〜30℃で添加し、該反応塊を60℃で30分間加熱し、撹拌しながら25〜30℃まで冷却した。得られた懸濁液を濾過した。この固形物を、メタノール:イソプロピルアルコールが1:1の混合物(300ml)中で撹拌しながら還流した。該スラリーを0〜5℃で冷却し、濾過した。更にこの固形物を10%水酸化ナトリウム溶液で撹拌し、ジクロロメタン(250ml)で抽出した。該有機層を分離し、乾燥し、真空下で残渣まで濃縮した。該残渣をイソプロピルアルコールに溶解し、25〜30℃で5.7mlのメタンスルホン酸を滴加した。得られた懸濁液を0〜5℃まで冷却し、濾過した。更に該固形物をイソプロピルアルコールから再結晶化して、10gmsの(R)N-プロパルギル1-インダンアミンメシラート(HPLC(99.8%)、キラル純度(99.5%))を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N-プロパルギル1-インダンアミン又はその鏡像異性体の製造方法であって、下記の工程:
(a) 塩基の存在下で、ラセミの1-アミノインダン又はその鏡像異性体を、ハロゲン化アリル(allyhalide)と反応させて、N-アリル-1-アミノインダン又はその鏡像異性体を得ること;
(b) 適当な有機溶媒中で、該N-アリル-1-アミノインダン又はその鏡像異性体を、ハロゲン化剤でハロゲン化して、N-(2,3ジハロプロピル)-1-アミノインダン又はその鏡像異性体を得ること;及び
(c) 該N-(2,3-ジハロプロピル)-1-アミノインダン又はその鏡像異性体を、適当な塩基で処理して、N-プロパルギル1-インダンアミン又はその鏡像異性体を得ること;を含む、前記製造方法。
【請求項2】
工程(a)に使用される塩基が、アルカリ金属炭酸塩である、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
工程(a)に使用される塩基が、炭酸カリウムである、請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
工程(a)に使用される有機溶媒が、C1〜C4アルコール、テトラヒドロフラン又はアセトニトリルである、請求項1、2又は3記載の製造方法。
【請求項5】
工程(b)に使用される有機溶媒が、トルエン、キシレン、ジオキサン、又はジクロロメタンである、請求項1〜4のいずれか一項記載の製造方法。
【請求項6】
工程(c)に使用される塩基が、アルカリ若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、又はアルコキシドである、請求項1〜5のいずれか一項記載の製造方法。
【請求項7】
工程(c)に使用される塩基が、水酸化カリウムである、請求項1〜6のいずれか一項記載の製造方法。
【請求項8】
工程(c)が、C1〜C4アルコール又はC1〜C4アルコール-水混合物から選択される溶媒の存在下で行われる、請求項1〜7のいずれか一項記載の製造方法。
【請求項9】
前記ハロゲン化アリルが、臭化アリルである、請求項1〜8のいずれか一項記載の製造方法。
【請求項10】
工程(b)に使用されるハロゲンが、臭素である、請求項1〜9のいずれか一項記載の製造方法。
【請求項11】
工程(a)が、25℃〜最大で工程(a)に使用される溶媒の還流温度までの温度で行われる、請求項1〜10のいずれか一項記載の製造方法。
【請求項12】
N-アリル-1-アミノインダンが、その酸付加塩として形成される、請求項1〜11のいずれか一項記載の製造方法。
【請求項13】
前記1-アミノインダンが、そのR-鏡像異性体である、請求項1〜12のいずれか一項記載の製造方法。
【請求項14】
前記1-アミノインダンが、ラセミ化合物であり、かつ工程(c)で生成されるラセミのN-プロパルギル1-インダンアミンを適当な分割剤で処理して、(R)-N-プロパルギル1-インダンアミンを生成することを更に含む、請求項1〜12のいずれか一項記載の製造方法。
【請求項15】
前記分割剤が、L-酒石酸である、請求項14記載の製造方法。
【請求項16】
ラセミのN-アリル-1-アミノインダンの分割方法であって、該ラセミのN-アリル-1-アミノインダンを、酒石酸、ジパラトルイル酒石酸、カンファースルホン酸、マンデル酸などの対応するキラル酸から選択されるキラル分割剤で処理することを含む、前記方法。
【請求項17】
ラセミのN-(2,3ジハロプロピル)-1-アミノインダンの分割方法であって、該N-(2,3ジハロプロピル)-1-アミノインダンを、酒石酸、ジパラトルイル酒石酸、カンファースルホン酸、マンデル酸などの対応するキラル酸から選択されるキラル分割剤で処理することを含む、前記方法。
【請求項18】
N-(2,3ジハロプロピル)-1-アミノインダン又はその鏡像異性体。
【請求項19】
本実施例を参照して実質的に本明細書中に記載される、N-(2,3ジハロプロピル)-1-アミノインダン。
【請求項20】
本実施例を参照して実質的に本明細書中に記載される、ラサギリンの製造方法。

【公表番号】特表2011−507939(P2011−507939A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540170(P2010−540170)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【国際出願番号】PCT/GB2008/004239
【国際公開番号】WO2009/081148
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(501312451)シプラ・リミテッド (56)
【Fターム(参考)】