説明

プロリルヒドロキシラーゼ阻害剤

本発明は、式(I)の特定の二環式ヘテロ芳香族N−置換グリシン誘導体に関する。該誘導体は、HIFプロリルヒドロキシラーゼのアンタゴニストであり、この酵素の阻害が有益である、貧血を一例とする疾患の治療に有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HIFプロリルヒドロキシラーゼ(HIF prolyl hydroxylase)の阻害剤であり、したがって、この酵素の阻害が有益である、貧血を一例とする疾患の治療に有用な特定の二環式ヘテロ芳香族N−置換グリシン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
貧血は、赤血球の減少またはその異常がある場合に起こり、血中酸素濃度の低下を招く。貧血は、ガン患者、特に化学療法を受けている患者に起こることが多い。貧血は、高齢者、腎臓病患者、慢性疾患に関連する幅広い病態に見られることが多い。
【0003】
貧血の原因は、赤血球生成(赤血球の成熟)の防止につながる、エリスロポエチン(Epo)産生の減少であることが多い。Epo産生は、低酸素誘導因子(HIF)を制御するプロリルヒドロキシラ−ゼの阻害により増加させることができる。
【0004】
エリスロポエチン(Epo)産生を増加させる戦略の一つは、HIFの転写活性を安定化し、それにより転写活性を増加させることである。HIF−αサブユニット(HIF−1α、HIF−2α、およびHIF−3α)は、プロリルヒドロキシラ−ゼ(EGLN1、2、3)によるプロリン残基のヒドロキシル化と同時に正常酸素圧条件でプロテオソ−ムにより迅速に分解される。プロリンヒドロキシル化は、E3ユビキチンリガ−ゼの構成要素であるフォン・ヒッペル・リンドウ(VHL)タンパクとの相互作用を可能にする。これは、HIF−αのユビキチン化およびその後の分解につながる。低酸素条件下では、プロリルヒドロキシラ−ゼの阻害活性が抑制され、したがってHIF−αサブユニットが安定化され、Epoを含むHIF応答性遺伝子が転写される。このように、プロリルヒドロキシラ−ゼの阻害は、HIF−αのレベル増加およびEpo産生の増加をもたらす。
【0005】
本発明の化合物は、これらのヒドロキシラ−ゼを阻害し、Epo産生を増加させ、それにより貧血を治療する手段を提供する。虚血、脳卒中、および細胞保護も、これらの化合物の投与により利益を得る。
【発明の概要】
【0006】
第1に、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物に関する:
【0007】
【化1】

(上記式中、
は、−NRまたは−ORであり、
およびRは、それぞれ独立に、水素、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ニトロ、シアノ、ハロゲン、−C(O)R12、−C(O)OR12、−OR12、−SR12、−S(O)R12、−S(O)12、−NR1011、−CONR1011、−N(R10)C(O)R12、−N(R10)C(O)OR12、−OC(O)NR1011、−N(R10)C(O)NR1011、−P(O)(OR12、−SONR1011、−N(R10)SO12、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリール群からなる群から選択され、
は、Hまたはカチオンであるか、または、非置換であるかまたはC−Cシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から独立に選択される1つ以上の置換基により置換されているC−C10アルキルであり
10およびR11は、それぞれ独立に、水素、C−C10アルキル、C−Cシクロアルキル、C−C10アルキル−C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、C−C10アルキル−C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、C−C10アルキル−アリール、ヘテロアリール、C−C10アルキル−ヘテロアリール、−CO(C−Cアルキル)、−CO(C−Cシクロアルキル)、−CO(C−Cヘテロシクロアルキル)、−CO(アリール)、−CO(ヘテロアリール)、−SO(C−Cアルキル)からなる群から選択されるか、または、R10およびR11は、それらの結合している窒素とともに、酸素、窒素または硫黄である1つの他のヘテロ原子を所望により含む5員、6員、または7員飽和環を形成し、
各R12は、独立に、水素、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、C−C14アリール、C−C10アルキル−アリール、ヘテロアリール、およびC−C10アルキル−ヘテロアリールからなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11またはR12の任意の炭素またはヘテロ原子は非置換であるか、または可能な場合、C−Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、−OR12、−NR1011、シアノ、ニトロ、−C(O)R12、−C(O)OR12、−SR12、−S(O)R12、−S(O)12、−NR1011、−CONR1011、−N(R10)C(O)R12、−N(R10)C(O)OR12、−OC(O)NR1011、−N(R10)C(O)NR1011、−SONR1011、−N(R10)SO12、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールから独立に選択される1つ以上の置換基により置換されており、R10、R11、およびR12上記定義の通りである)。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、哺乳動物の療法、例えば貧血の治療に使用するための、式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物が提供される。この治療手段の一例は、HIFプロリルヒドロキシラーゼの阻害によるEpoの産生の増加により起こされる貧血を治療する方法であって、式(I)の化合物を、エリスロポエチン(Epo)産生を増加させるに十分な量で、ニートでまたはその薬学的に許容可能な賦形剤と混合して、それを必要とする患者に投与することを含んでなる方法である。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物、または類似物、および、1種以上のその薬学的に許容可能なキャリア、希釈剤、および賦形剤を含んでなる医薬組成物が提供される。
【0010】
第4の態様によれば、HIFプロリルヒドロキシラーゼの阻害により治療しうる、貧血のような、HIFプロリルヒドロキシラーゼの阻害により媒介される疾病の治療用医薬の製造における、式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の使用が提供される。
【発明の具体的説明】
【0011】
疑義を避けるため、特記されない限り、「置換された」という用語は、1つ以上の定義された基により置換されていることを意味する。いくつかの選択可能な基から複数の基を選択してよい場合、選択される基は同じでも異なっていてもよい。
【0012】
「独立に」という用語は、2つ以上の置換基がいくつかの可能な置換基から選択される場合、これらの置換基が同じでも異なっていてもよいことを表す。
【0013】
「有効量」は、例えば研究者または臨床医により求められている、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を惹起する薬剤または医薬品の量を意味する。さらに、「治療上有効な量」という用語は、そのような量を受け取っていない対応する被験者に比べ、疾患、障害、もしくは副作用の向上した治療、治癒、予防もしくは回復または疾患もしくは障害の進行速度の低下をもたらす量を意味する。この用語は、その範囲の中に、正常な生理機能を高めるのに有効な量も含む。
【0014】
本明細書での「アルキル」という用語は、明記された数の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素基を意味し、例えば、本明細書での「C−Cアルキル」または「C−C10アルキル」という用語は、それぞれ少なくとも1つから最大4または10の炭素原子を有するアルキル基を意味する。本発明に有用なそのような分岐鎖または直鎖アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、イソブチル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、およびn−デシルがあり、最後の5つのノルマルアルカンの分岐している類似体があるが、これらに限定されない。
【0015】
「アルケニル」(または「アルケニレン」)という用語が使用される場合、明記された数の炭素原子および少なくとも1つから最大5つの炭素−炭素二重結合を含む直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖を意味する。例には、エテニル(またはエテニレン)およびプロペニル(またはプロペニレン)がある。
【0016】
「アルキニル」(または「アルキニレン」)という用語が使用される場合、明記された数の炭素原子および少なくとも1つから最大5つの炭素−炭素三重結合を含む直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖を意味する。例には、エチニル(またはエチニレン)およびプロピニル(またはプロピニレン)がある。
【0017】
「シクロアルキル」が使用される場合、明記された数の炭素原子を含む非芳香族の飽和環状炭化水素環を意味する。そのため、例えば、「C−Cシクロアルキル」という用語は、3から8つの炭素原子を有する非芳香族の環状炭化水素環を意味する。本発明に有用な典型的な「C−Cシクロアルキル」基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルがあるが、これらに限定されない。
【0018】
「C−Cシクロアルケニル」という用語は、明記された数の炭素原子および最大で3つの炭素−炭素二重結合を有する非芳香族の単環カルボキシシクリック(carboxycyclic)環を意味する。「シクロアルケニル」には、例示としてはシクロペンテニルおよびシクロヘキセニルがある。
「C−Cヘテロシクロアルキル」が使用される場合、飽和または1以上の不飽和性を有する明記された数の環原子を含み、O、Sおよび/またはNから選択される1つ以上のヘテロ原子置換を含む非芳香族複素環を意味する。そのような環は、任意に1つ以上の他の「複素環(複数可)」またはシクロアルキル環(複数可)に縮合していてよい。「複素環」部の例には、アジリジン、チイラン、オキシラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、テトラヒドロフラン、ピラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、ピペリジン、ピペラジン、2,4−ピペラジンジオン、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、モルホリン、チオモルホリン、テトラヒドロチオピラン、テトラヒドロチオフェンなどがあるがこれらに限定されない。
【0019】
「アリール」は、6から14の炭素原子を有し、ヒュッケル則に従う少なくとも1つの芳香環を有する任意に置換された単環および多環炭素環式の非縮合または縮合した基を意味する。アリール基の例は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニルなどがある。
「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環がヒュッケル則に従い、明記された数の環原子を有し、その環がN、O、および/またはSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、任意に置換された芳香族の単環または多環炭素環式縮合環系を意味する。「ヘテロアリール」の例には、フラニル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキソピリジル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、およびインダゾリルがある。
【0020】
「所望により」という用語は、その次に記載される事象(複数可)が起こっても起こらなくてもよいことを意味し、起こる事象と起こらない事象の両方を含む。
【0021】
「溶媒和物」という用語は、溶質および溶媒により形成される、様々な化学量論の錯体を意味する。本発明の目的のためのそのような溶媒和物は、溶質の生物活性に干渉しないことがある。好適な溶媒の例には、水、メタノール、エタノール、および酢酸があるがこれらに限定されない。好ましくは、使用される溶媒は、その薬学的に許容可能な溶媒である。その薬学的に許容可能な好適な溶媒には、水、エタノール、および酢酸があるが限定されない。最も好ましくは、使用される溶媒は水である。
【0022】
本明細書において、「その薬学的に許容可能な塩」という用語は、被験化合物の望ましい生物活性を維持し、望ましくない毒物学的効果が最低限である塩を意味する。このようなその薬学的に許容可能な塩は、化合物の最終的な単離および精製の間にインサイチュで製造してよいが、それとは別に遊離の酸または遊離の塩基形態の精製された化合物をそれぞれ好適な塩基または酸と反応させても製造できる。
【0023】
特定の態様によれば、式(I)の化合物は、塩を形成するのに十分酸性な酸性の官能基を含むことがある。典型的な塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、および亜鉛塩などのその薬学的に許容可能な金属塩;ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、および亜鉛などのその薬学的に許容可能な金属カチオンの炭酸塩および炭酸水素塩;メチルアミン、エチルアミン、2−ヒドロキシエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、およびシクロヘキシルアミンなどの脂肪族アミン、芳香族アミン、脂肪族ジアミン、およびヒドロキシアルキルアミンを含むその薬学的に許容可能な有機第一級、第二級、および第三級アミンがある。
【0024】
特定の態様によれば、式(I)の化合物は塩基性の官能基を含むことがあり、好適な酸との処理によりその薬学的に許容可能な酸付加塩を形成することができる。好適な酸には、その薬学的に許容可能な無機酸およびその薬学的に許容可能な有機酸がある。典型的なその薬学的に許容可能な酸付加塩には、塩酸塩、臭化水素塩、硝酸塩、硝酸メチル、硫酸塩、硫酸水素塩、スルファミン酸塩、リン酸塩、酢酸塩、ヒドロキシ酢酸塩、フェニル酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、イソ酪酸塩、吉草酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、アクリル酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、サリチル酸塩、p−アミノサリチル酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、ヘプタン酸塩、フタル酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、安息香酸、o−アセトキシ安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、マンデル酸塩、タンニン酸塩、ギ酸塩、ステアリン酸塩、アスコルビン酸塩、パルミチン酸塩、オレイン酸塩、ピルビン酸塩、パモ酸塩、マロン酸塩、ラウリン酸、グルタル酸塩、グルタミン酸塩、エストル酸塩、メタンスルホン酸塩(メシル酸塩)、エタンスルホン酸(エシル酸塩)、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベジル酸塩)、p−アミノベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩)、およびナフタレン−2−スルホン酸塩がある。
【0025】
特に興味のある化合物としては、
が−ORであり、
、R、RおよびRが、それぞれ独立に、水素、ニトロ、シアノ、ハロゲン、−C(O)R12、−C(O)OR12、−OR12、−SR12、−S(O)R12、−S(O)12、−NR1011、−CONR1011、−N(R10)C(O)R12、−N(R10)C(O)OR12、−OC(O)NR1011、−N(R10)C(O)NR1011、−P(O)(OR12、−SONR1011、−N(R10)SO12、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
が、Hまたはカチオンであるか、または、非置換であるかまたはC−Cシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から独立に選択される1つ以上の置換基により置換されているC−C10アルキルであり、
10およびR11が、それぞれ独立に、水素、C−C10アルキル、C−Cシクロアルキル、C−C10アルキル−C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、C−C10アルキル−C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、C−C10アルキル−アリール、ヘテロアリール、C−C10アルキル−ヘテロアリール、−CO(C−Cアルキル)、−CO(C−Cシクロアルキル)、−CO(C−Cヘテロシクロアルキル)、−CO(アリール)、−CO(ヘテロアリール)、−SO(C−Cアルキル)からなる群から選択されるか、または、R10およびR11は、それらの結合している窒素とともに、酸素、窒素または硫黄である1つの他のヘテロ原子を所望により含む5員、6員、または7員飽和環を形成し、
各R12が、独立に、水素、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、C−C14アリール、C−C10アルキル−アリール、ヘテロアリール、およびC−C10アルキル−ヘテロアリールからなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11またはR12の任意の炭素またはヘテロ原子が非置換であるか、または可能な場合、C−Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、−OR12、−NR1011、シアノ、ニトロ、−C(O)R12、−C(O)OR12、−SR12、−S(O)R12、−S(O)12、−NR1011、−CONR1011、−N(R10)C(O)R12、−N(R10)C(O)OR12、−OC(O)NR1011、−N(R10)C(O)NR1011、−SONR1011、−N(R10)SO12、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールから独立に選択される1つ以上の置換基により置換されており、R10、R11、およびR12は上記定義の通りである化合物か、またはその薬学的に許容可能な塩もしくはその溶媒和物である。
【0026】
さらに興味のある化合物としては、
が−ORであり、
、R、RおよびRが、それぞれ独立に、水素、ニトロ、シアノ、ハロゲン、−C(O)R12、−C(O)OR12、−OR12、−SR12、−S(O)R12、−S(O)12、−NR1011、−CONR1011、−N(R10)C(O)R12、−N(R10)C(O)OR12、−OC(O)NR1011、−N(R10)C(O)NR1011、−P(O)(OR12、−SONR1011、−N(R10)SO12、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
が、Hまたはカチオンであり、
10およびR11が、それぞれ独立に、水素、C−C10アルキル、C−Cシクロアルキル、C−C10アルキル−C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、C−C10アルキル−C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、C−C10アルキル−アリール、ヘテロアリール、C−C10アルキル−ヘテロアリール、−CO(C−Cアルキル)、−CO(C−Cシクロアルキル)、−CO(C−Cヘテロシクロアルキル)、−CO(アリール)、−CO(ヘテロアリール)、−SO(C−Cアルキル)からなる群から選択されるか、または、R10およびR11は、それらの結合している窒素とともに、酸素、窒素または硫黄である1つの他のヘテロ原子を所望により含む5員、6員、または7員飽和環を形成し、
各R12が、独立に、水素、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、C−C14アリール、C−C10アルキル−アリール、ヘテロアリール、およびC−C10アルキル−ヘテロアリールからなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11またはR12の任意の炭素またはヘテロ原子が非置換であるか、または可能な場合、C−Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、−OR12、−NR1011、シアノ、ニトロ、−C(O)R12、−C(O)OR12、−SR12、−S(O)R12、−S(O)12、−NR1011、−CONR1011、−N(R10)C(O)R12、−N(R10)C(O)OR12、−OC(O)NR1011、−N(R10)C(O)NR1011、−SONR1011、−N(R10)SO12、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールから独立に選択される1つ以上の置換基により置換されており、R10、R11、およびR12は上記定義の通りである化合物か、またはその薬学的に許容可能な塩もしくはその溶媒和物である。
【0027】
さらに興味のある化合物としては、
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−3−イル)カルボニル]グリシン、
N−({4−ヒドロキシ−9−[(1−メチルエチル)オキシ]−2−オキソ−2H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−3−イル}カルボニル)グリシン、
N−[(7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−3−イル)カルボニル]グリシン、
N−({4−ヒドロキシ−7−[(1−メチルエチル)オキシ]−2−オキソ−2H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−3−イル}カルボニル)グリシンがある。
【0028】
式(I)の化合物を製造する方法も本発明の範囲内である。例示すると、式(I)の化合物を製造する一つの方法は、
【化2】

(上記式中、R、R、R、RおよびRは、式(I)の上記定義と同様である)
エタノールまたは2−メトキシエタノールのような適切な溶媒中、通常の温度条件またはマイクロ波照射のいずれかの下で、式Aの化合物を、グリシンナトリウム塩またはグリシン、および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ナトリウムエトキシドまたは水素化ナトリウムのような適切な塩基で処理し、Rが−OHである式(I)の化合物を形成することを含んでなる方法である:
【化3】

(上記式中、R、R、RおよびRは式(I)中のそれらの基と同様であり、R’はエステルを形成する基である)。
【0029】
式(I)の化合物(式中、R、R、R、RおよびRは、式(I)の上記定義と同様である)を製造する第二の方法は、
1,2−ジクロロベンゼンのような適切な溶媒中、通常の温度条件またはマイクロ波照射のいずれかの下で、式Bの化合物を、式C、N−(3−[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]−2−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−3−オキソプロパノイル)グリシンで処理し、Rが−OHである式(I)の化合物を形成することを含んでなる方法である:
【化4】

(上記式中、R、R、RおよびRは式(I)中のそれらの基と同様である)。
【0030】
式(I)の化合物は、結晶形態にも非結晶形態にも製造でき、結晶の場合、水和物などのように任意に溶媒和されていてもよい。本発明は、化学量論的な溶媒和物(例えば水和物)および種々の量の溶媒(例えば水)を含む化合物を、その範囲内に含む。
【0031】
本明細書に記載される化合物のいくつかは、1つ以上のキラル炭素を含むことがあり、他の場合には2つのエナンチオマーとして存在できることがある。以下に特許請求される化合物は、エナンチオマーの混合物ならびに精製されたエナンチオマーまたはエナンチオ濃縮された混合物を含む。式(I)により表される、または以下に特許請求される化合物の個々の異性体ならびにその全体的または部分的に平衡に達している混合物も本発明の範囲に含まれる。本発明は、特許請求される化合物の個々の異性体を、1つ以上のキラル中心が反転している異性体の混合物としても網羅する。また、特許請求された化合物の互変異性体および互変異性体の混合物も、先に開示された、または以下に特許請求される式(I)の化合物の範囲内に含まれることが理解される。
【0032】
異なる異性体が存在する場合、それらは従来の方法により互いに分離または分割でき、あるいは従来の合成法または立体特異的合成もしくは不斉合成により任意の異性体を得ることができる。
【0033】
療法に使用するために式(I)の化合物ならびに塩、溶媒和物などを、ニートの調合物として、すなわち追加のキャリアなしに投与してもよいが、キャリアまたは希釈剤と調合された活性成分を提示することがより通常の慣習である。したがって、本発明は、式(I)の化合物および塩、溶媒和物などならびに1種以上のその薬学的に許容可能なキャリア、希釈剤、または賦形剤を含む、医薬組成物をさらに提供する。式(I)の化合物および塩、溶媒和物などは先に記載されている。キャリア(複数可)、希釈剤(複数可)、または賦形剤(複数可)は、製剤の他の成分に影響を及ぼさず、その受容者に有害でないという点で許容できなくてはならない。本発明の他の様態によると、式(I)の化合物または塩、溶媒和物などを1種以上のその薬学的に許容可能なキャリア、希釈剤、または賦形剤と混合する工程を含む、医薬製剤の製造方法も提供される。
【0034】
当業者には認識されるであろうが、式(I)の化合物の特定の保護された誘導体は、最終的な脱保護段階の前に作られることもあり、それ自体薬理活性を持たないことがあるが、特定の場合には経口または非経口で投与され、その後体内で代謝されて薬理活性を持つ本発明の化合物を形成できることがある。したがって、そのような誘導体は「プロドラッグ」と記載されることがある。さらに、本発明の特定の化合物は、本発明の他の化合物のプロドラッグとして作用することがある。本発明の化合物の保護された誘導体およびプロドラッグは全て本発明の範囲内に含まれる。本発明の化合物の好適なプロドラッグの例は、Drugs of Today, Volume 19, Number 9, 1983, pp 499 - 538 and in Topics in Chemistry, Chapter 31, pp 306 - 316 and in "Design of Prodrugs" by H. Bundgaard, Elsevier 1985, Chapter 1(その文書内の開示は参照により本明細書に取り込まれる)に記載されている。当業者にはさらに認識されるであろうが、「プロモイエティ」(pro-moieties)として当業者に知られる特定の部分、例えばH. Bundgaard in "Design of Prodrugs"(その文書内の開示は参照により本明細書に取り込まれる)に記載される部分を、適切な官能基が本発明の化合物中に存在する場合に、そのような官能基上に配置してよい。本発明の化合物のための好ましいプロドラッグには、エステル、炭酸エステル、半エステル、リン酸エステル、ニトロエステル、硫酸エステル、スルホキシド、アミド、カルバミン酸エステル、アゾ化合物、ホスファミド、グリコシド、エーテル、アセタール、およびケタールがある。
【0035】
医薬組成物は、投薬単位(unit dose)あたり所定量の活性成分を含む投薬単位形態で提示されてもよい。そのような単位は、治療される病態、投与経路、ならびに患者の年齢、体重、および病態によって、例えば0.5mgから1g、好ましくは1mgから700mg、より好ましくは5mgから100mgの式(I)の化合物を含んでよく、あるいは医薬組成物は、投薬単位あたり所定量の活性成分を含む投薬単位形態で提示されてよい。好ましい単位投与量組成物は、活性成分の本明細書で先に記載された一日量もしくは副用量(sub dose)またはそれを適当に分割したものを含むものである。さらに、そのような医薬組成物は、製剤分野に周知の方法のいずれにより製造してもよい。
【0036】
医薬組成物は、適切な投与経路、例えば、経口(口内または舌下を含む)、直腸、鼻内、局所(口内、舌下、または経皮を含む)、膣内、または非経口(皮下、筋肉内、静脈内、または皮内)経路による投与用に適合させることができる。そのような組成物は、製剤分野に公知の任意の方法により、例えば式(I)の化合物をキャリア(複数可)または賦形剤(複数可)と結合させて製造できる。
【0037】
経口投与用に適合された医薬組成物は、カプセルもしくは錠剤などの個別の単位;粉体もしくは顆粒;水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液;食用フォームもしくはホイップ;または水中油型液体エマルションもしくは油中水型液体エマルションとして呈することができる。
【0038】
カプセルは、先に記載のパウダー混合物を製造し、形成したゼラチン被覆に満たして作られる。コロイダルシリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、または固体のポリエチレングリコールなどの流動促進剤および滑沢剤を、充填操作の前にパウダー混合物に加えることができる。寒天、炭酸カルシウム、または炭酸ナトリウムなどの崩壊剤または可溶化剤を加えて、カプセルが摂取された時の医薬品の利用能を高めることもできる。
【0039】
さらに、望ましい場合または必要な場合、好適なバインダー、滑沢剤、崩壊剤、および着色剤を、混合物に混合してもよい。好適なバインダーには、デンプン、ゼラチン、グルコースまたはβラクトースなどの天然の糖、コーン甘味料(corn sweeteners)、アラビアゴム、トラガカント、またはアルギン酸ナトリウムなどの天然および合成ゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどがある。これらの剤形に使用される滑沢剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどがある。崩壊剤には、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどがあるがこれらに限定されない。錠剤は、例えば、パウダー混合物を製造し、粒状化またはスラッギング(slugging)し、滑沢剤および崩壊剤を加え、圧縮して錠剤にすることにより製剤される。パウダー混合物は、好適に粉砕された化合物を上述の希釈剤または基剤と混合し、任意にカルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、またはポリビニルピロリドンなどのバインダー、パラフィンなどの溶解遅延剤、第四級塩などの再吸収促進剤、および/またはベントナイト、カオリン、またはリン酸水素カルシウムなどの吸収剤と混合して製造される。ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク、または鉱油を添加して、錠剤成形ダイによりパウダー混合物を粒状化できる。次いで、なめらかになった混合物は、圧縮により錠剤にされる。本発明の化合物を自由流動性不活性キャリアと組み合わせて、粒状化またはスラッギング工程を経ずに直接圧縮して錠剤にすることもできる。シェラックのシール材からなる透明または不透明な保護コーティング、糖またはポリマー材料のコーティング、およびワックスのポリッシュコーティングを与えてもよい。このようなコーティングに染料を加え、異なる単位投与量を区別することができる。
【0040】
溶液、シロップ、およびエリキシルなどの経口流体は、ある量が所定量の式(I)の化合物を含むような単位投与量形態(dosage unit form)で製造できる。シロップは、好適に風味付けされた水溶液に化合物を溶解して製造されるが、エリキシルは非毒性アルコール性ビヒクルの使用により製造される。懸濁液は、化合物を非毒性ビヒクルに分散させて製剤される。エトキシ化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテルなどの可溶化剤および乳化剤、保存料、ペパーミントオイルなどの香料または天然甘味料またはサッカリンもしくは他の合成甘味料などを加えてよい。
【0041】
適切な場合には、経口投与用の投与量単位医薬組成物をマイクロカプセル化してよい。例えば、粒状材料をポリマー、ワックスなどで被覆するか、それらに埋め込んで、放出を延長または維持するように、製剤を製造することもできる。
【0042】
直腸投与用に適合された医薬組成物は、坐薬または浣腸剤として表すことができる。
膣内投与用に適合された医薬組成物は、膣坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、またはスプレー製剤として表すことができる。
【0043】
非経口投与用に適合された医薬組成物には、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、および意図される受容者の血液と組成物を等張にする溶質を含むことのある水性および非水性滅菌注射液;ならびに懸濁剤および増粘剤を含むことのある水性および非水性滅菌懸濁液がある。医薬組成物は、例えば密封したアンプルおよびバイアルなどの最小投薬単位容器または多用量容器に呈することができ、使用の直前に例えば注射用水などの滅菌液体キャリアを添加するだけでよいフリーズドライ(凍結乾燥)状態で貯蔵してもよい。即席の注射液および懸濁液を、滅菌パウダー、顆粒、および錠剤から製造できる。
【0044】
先に詳細に言及された成分に加え、医薬組成物は、対象とする製剤の種類に関連して当分野に通常使用される他の薬剤を含んでよく、例えば経口投与に好適なものは着香料を含んでよい。
【0045】
本発明の化合物の治療上有効な量は、例えば意図される受容者の年齢および体重、治療を要する正確な病態およびその重度、製剤の性質、ならびに投与経路を含む多くの因子により決まるであろうが、最終的には薬を処方する担当医の裁量によるであろう。しかし、貧血治療のための式(I)の化合物の有効な量は、一般的に1日あたり0.1から100mg/受容者の体重kgの範囲、より一般的には1日あたり1から10mg/体重kgの範囲であろう。したがって、体重70kgの成人哺乳動物では、1日あたりの実際の量は通常70から700mgになるだろう。この量を1日あたり1回量で与えてもよいが、より一般的には総1日量が同じになるように1日あたりいくつか(例えば2、3、4、5、または6)の副用量で与えてもよい。塩または溶媒和物などの有効量は、式(I)の化合物自体の有効量の比率として決定できる。上述の他の病態の治療には類似の投与量が適切であろうことが想定される。
【0046】
定義
DMSO−ジメチルスルホキシド
DBU−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
ODS−オクタデシルシラン
rp−HPLC−逆相高性能液体クロマトグラフィー
TFA−トリフルオロ酢酸
【0047】
化学的背景
本発明の化合物は、標準的な化学を含む種々の方法により製造することができる。先に定義された変数はすべて、特記されない限り、引き続き先に定義された意味を持つ。例証となる一般的な合成方法を以下に述べ、次いで製造される本発明の具体的な化合物を実施例に示す。
【0048】
一般式(I)の化合物は、以下の合成スキームで部分的に示される有機合成の分野に公知の方法により製造できる。以下に記載のスキームの全てにおいて、必要な場合、化学の一般原則に従い、不安定または反応性の基の保護基が使用されることが理解される。保護基は有機合成の標準的な方法に従い操作される(T. W. Green and P. G. M. Wuts (1991) Protecting Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons)。このような基は、当業者には明らかな方法を利用して、化合物合成の便利な段階で除去される。方法の選択ならびに反応条件およびその実施順序は、式(I)の化合物の製造に一貫するものとする。当業者は、式(I)の化合物に立体中心が存在するかどうかを認識するだろう。したがって、本発明は、可能性のある立体異性体の両方を含み、ラセミ化合物だけでなく個々のエナンチオマーも含む。化合物が単一のエナンチオマーであることが望ましい場合、立体特異性合成または最終生成物もしくは任意の便利な中間体の分割により得られる。最終生成物、中間体、または出発材料の分割は、当分野に公知の任意の好適な方法により実施できる。例えば、Stereochemistry of Organic Compounds by E. L. Eliel, S. H. Wilen, and L. N. Mander (Wiley-Interscience, 1994)を参照されたい。
【0049】
本明細書に記載の化合物は、市販の出発材料から製造できるか、公知の有機、無機、および/または酵素的な方法を利用して合成できる。
【0050】
例示的な製造方法
スキーム
化合物を合成するためのスキーム1−2による方法が本発明に含まれる。
【0051】
【化5】

a)(EtOC)CH,PhMeまたは1,2−Cl,155−200℃,マイクロ波;b)グリシン,DBU,EtOH,160℃,マイクロ波またはグリシン,Na塩,MeO(CHOH,還流。
【0052】
【化6】

a)1,2−Cl,200℃,マイクロ波。
【実施例】
【0053】
実施例1
【化7】

N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−3−イル)カルボニル]グリシン
【0054】
2−アミノピリジン(0.100g、1.06mmol)、メタントリカルボン酸トリエチル(0.490mL、2.33mmol)およびトルエン(2mL)の混合物をマイクロ波反応槽で155℃で25分間撹拌した。冷却後、エーテル(〜2mL)を加え、沈殿物を濾過した。この沈殿物、グリシン(0.278g、3.71mmol)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(0.555mL、3.71mmol)およびエタノール(1.5mL)の混合物をマイクロ波反応槽で160℃で25分間撹拌した。冷却後、混合物を水(5mL)で希釈し、酢酸エチルで洗浄し、6M 塩酸でpH3−4に酸性化し、酢酸エチルで抽出した。抽出物を塩水で洗浄し、それから減圧下で蒸発した。残渣を分取rp−HPLC(ODS、10−90%アセトニトリル/水+0.1%トリフルオロ酢酸)で精製すると、標題化合物(0.032g、11%)を白色粉末として与えた。1H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm 4.13(d、J=5.56Hz、2H)7.40(td、J=6.95、1.26Hz、1H)7.56(d、J=8.59Hz、1H)8.11(ddd、J=8.72、6.95、1.77Hz、1H)8.95−9.00(m、1H)9.82(t、J=5.18Hz、1H)12.93(br.s.,1H)15.73(br.s.,1H)。
【0055】
実施例2
【化8】

2a)N−({4−ヒドロキシ−9−[(1−メチルエチル)オキシ]−2−オキソ−2H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−3−イル}カルボニル)グリシン
【0056】
4−ヒドロキシ−9−[(1−メチルエチル)オキシ]−2−オキソ−2H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−3−カルボン酸エチル。3−[(1−メチルエチル)オキシ]−2−ピリジンアミン(0.100g、0.657mmol)およびメタントリカルボン酸トリエチル(0.305g、1.31mmol)を1,2−ジクロロベンゼン(1mL)に溶かした溶液をマイクロ波反応槽で200℃で20分間加熱し、それから冷却し、クロマトグラフィー(シリカゲル、1−9%メタノール/ジクロロメタン)にかけると、標題化合物(0.118g、61%)を2つの互変異性体を含むゴム状物として与えた。主互変異性体(〜87%):1H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm 1.25(t、J=7.07Hz、3H)1.36(d、J=5.81Hz、6H)4.18(q、J=7.07Hz、2H)4.86(sept、J=6.06Hz、1H)7.29(t、J=7.45Hz、1H)7.71(d、J=7.83Hz、1H)8.52(dd、J=6.95、1.14Hz、1H)11.98(br.s.,1H)。副互変異性体(〜13%):1H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm 1.21(t、J=7.07Hz、3H)1.27(d、J=5.81Hz、6H)4.06(q、J=7.07Hz、1H)4.63(sept、J=6.08Hz、1H)7.15(dd、J=8.08、4.80Hz、1H)7.43(dd、J=8.21、1.39Hz、1H)7.89(dd、J=4.80、1.52Hz、1H)8.90(s、1H)。
【0057】
2b)N−({4−ヒドロキシ−9−[(1−メチルエチル)オキシ]−2−オキソ−2H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−3−イル}カルボニル)グリシン
グリシン、ナトリウム塩(0.116g、1.19mmol)を2−ヒドロキシ−9−[(1−メチルエチル)オキシ]−4−オキソ−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−3−カルボン酸エチル(0.116g、0.397mmol)を2−メトキシエタノール(5mL)に撹拌して溶かした溶液に加え、混合物を窒素下還流しながら2時間撹拌した。一晩冷却後、水(30mL)を加え、その後6M 塩酸でpH2にした。混合物を0.5時間撹拌し、それから沈殿物を濾過し、水で洗浄し乾燥すると、標題化合物(0.076g、60%)をクリーム状固体として与えた。1H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm 1.37(d、J=6.06Hz、6H)4.13(d、J=5.56Hz、2H)4.82(sept、J=6.00Hz、1H)7.29(dd、J=7.83、7.07Hz、1H)7.56(d、J=7.33Hz、1H)8.56(dd、J=7.07、1.26Hz、1H)9.83(t、J=5.43Hz、1H)12.94(br.s.,1H)15.62(s、1H)。
【0058】
実施例3
【化9】

3a)N−[(7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−3−イル)カルボニル]グリシン
【0059】
N−(3−[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]−2−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−3−オキソプロパノイル)グリシン。水素化ナトリウム(60%油状懸濁液0.407g、10.2mmol)をTHF(30mL)中、窒素下、マロン酸ジ−tert−ブチル(2.00g、9.25mmol)の撹拌されている氷冷された溶液に加えた。混合物を室温まで加温し、15分間撹拌すると、無色溶液を与えた。イソシアナト酢酸エチル(1.14mL、10.2mmol)を混合物に注入し、その混合物を室温で5分間、還流下1時間撹拌し、それから、冷却し氷冷/0.1M 塩酸(130mL)に注いだ。混合物を酢酸エチルで抽出し、抽出物を水、塩水で洗浄し、それから乾燥し(MgSO)、溶媒を減圧下で蒸発した。残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル、0−9%メタノール/ジクロロメタン)にかけると、中間体エステル(1.54g)を与えた。1M 水酸化ナトリウム水溶液(22mL)をエタノール(90mL)中、中間体の撹拌されている氷冷された溶液に滴下して加えた。4時間撹拌後、混合物を減圧下で約25mLまで濃縮し、水(100mL)で希釈し、濾過し、氷冷した1M 塩酸でpH2に酸性化し、酢酸エチルで抽出した。抽出物を水、塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を減圧下で蒸発した。残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル、1−9%メタノール/ジクロロメタン+0.5%酢酸)にかけると、標題化合物(0.722g、25%)を白色固体として与えた。1H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm 1.41(s、18H)3.82(d、J=5.56Hz、2H)4.31(s、1H)8.40(t、J=5.56Hz、1H)12.69(br.s.,1H)。
【0060】
3b)N−[(7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−3−イル)カルボニル]グリシン
2−アミノ−5−ブロモピリジン(0.120g、0.694mmol)、N−(3−[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]−2−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−3−オキソプロパノイル)グリシン(0.220g、0.694mmol)および1,2−ジクロロベンゼン(1.5mL)の混合物をマイクロ波反応槽で200℃で20分間加熱し、それから冷却した。沈殿物を濾過し、エーテルで洗浄し乾燥した。固体を1M 水酸化ナトリウム水溶液(5mL)、メタノール(15mL)および水(60mL)に溶解し、それから溶液を濾過し、6M 塩酸でpH1にゆっくりと再酸性化した。沈殿物を濾過し、水で洗浄し、乾燥すると標題化合物(0.116g、49%)を淡褐色固体として与えた。1H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm 4.13(d、J=5.56Hz、2H)7.52(dd、J=9.35、0.51Hz、1H)8.23(dd、J=9.35、2.27Hz、1H)9.00(dd、J=2.27、0.76Hz、1H)9.75(t、J=5.43Hz、1H)12.94(br.s.,1H)15.84(br.s.,1H)。
【0061】
実施例4
【化10】

4a)N−({4−ヒドロキシ−7−[(1−メチルエチル)オキシ]−2−オキソ−2H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−3−イル}カルボニル)グリシン−5−[(1−メチルエチル)オキシ]−2−ピリジンアミン
【0062】
5−ブロモ−2−ピリジンアミン(1.00g、5.78mmol)、2,5−ヘキサンジオン(0.792g、6.94mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物(0.110g、0.578mmol)およびトルエン(6mL)の混合物をマイクロ波反応槽で150℃で0.5時間加熱し、冷却し、酢酸エチル(50mL)で希釈した。混合物を炭酸水素ナトリウムで洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を減圧下で蒸発すると、粗ピロールを褐色油状物として得た。水素化ナトリウム(60%油状懸濁液0.694g、17.3mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(3mL)および2−プロパノール(3mL)中、窒素下、粗ピロールの撹拌されている氷冷された溶液に一部ずつ加えた。混合物の泡立てを中止した後、ヨー化銅(I)(0.165g、0.867mmol)を加えた。混合物をマイクロ波反応槽で120℃で0.5時間加熱し、それから冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液(60mL)に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出物を5%アンモニア水、塩水で洗浄し、それから乾燥し(MgSO)、溶媒を蒸発すると、次の工程に十分な精製された褐色油状物を得た。この褐色油状物の混合物、ヒドロキシルアミン塩酸塩(2.61g、37.6mmol)、トリエチルアミン(1.61mL、11.6mmol)および2:1エタノール/水(12mL)を窒素下、還流しながら18時間撹拌し、それから冷却し、1M 塩酸(60mL)に注いだ。混合物をエーテルで洗浄し、pH10(6M 水酸化ナトリウム水溶液)に調整し、ジクロロメタンで抽出した。抽出物を乾燥し(NaSO)、ジクロロメタンを減圧下で蒸発した。残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル、1−9%メタノール/ジクロロメタン)にかけると、標題化合物(0.448g、51%)を油状物として与えた。1H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm 1.19(d、J=6.06Hz、6H)4.32(sept、J=6.06Hz、1H)5.46(br.s.,2H)6.40(d、J=8.84Hz、1H)7.09(dd、J=8.84、3.03Hz、1H)7.60(d、J=2.27Hz、1H)。
【0063】
4b)N−({4−ヒドロキシ−7−[(1−メチルエチル)オキシ]−2−オキソ−2H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−3−イル}カルボニル)グリシン
5−[(1−メチルエチル)オキシ]−2−ピリジンアミン(0.074g、0.486mmol)、N−(3−[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]−2−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−3−オキソプロパノイル)グリシン(0.130g、0.410mmol)および1,2−ジクロロベンゼン(2mL)の混合物をマイクロ波反応槽で200℃で0.5時間加熱し、それから冷却し、0.1M 水酸化ナトリウム水溶液(70mL)に注いだ。混合物をエーテルで洗浄し、それから6M 塩酸でpH1に酸性化し、酢酸エチルで抽出した。抽出物を塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)溶媒を減圧下で蒸発した。残渣を逆相分取HPLC(ODS、10−90%アセトニトリル/水+0.1%トリフルオロ酢酸)で精製すると、標題化合物(0.044g、33%)を固体として与えた。1H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm 1.35(d、J=6.06Hz、6H)4.14(d、J=5.56Hz、2H)4.75(sept、J=6.06Hz、1H)7.55(d、J=9.60Hz、1H)7.94(dd、J=9.60、2.78Hz、1H)8.44(d、J=2.78Hz、1H)9.88(t、J=5.18Hz、1H)12.95(br.s.,1H)15.47(br.s.,1H)。
【0064】
生物学的な背景
以下の参考文献は、標的酵素HIFプロリルヒドロキシラーゼ、ならびに小分子によるその阻害を測定する方法および材料に関しての情報を述べる。
M. Hirsila, P. Koivunen, V. Gunzler, K. I. Kivirikko, and J. Myllyharju "Characterization of the Human Prolyl 4-Hydroxylases That Modify the Hypoxia-inducible Factor" J. Biol. Chem., 2003, 278, 30772-30780.
C. Willam, L. G. Nicholls, P. J. Ratcliffe, C. W. Pugh, P. H. Maxwell "The prolyl hydroxylase enzymes that act as oxygen sensors regulating destruction of hypoxia-inducible factor <" Advan. Enzyme Regul., 2004, 44, 75-92
M. S. Wiesener, J. S. Jurgensen, C. Rosenberger, C. K. Scholze, J. H. Horstrup, C. Warnecke, S. Mandriota, I. Bechmann, U. A. Frei, C. W. Pugh, P. J. Ratcliffe, S. Bachmann, P. H. Maxwell, and K.-U. Eckardt "Widespread hypoxia-inducible expression of HIF-2α in distinct cell populations of different organs" FASEB J., 2003, 17, 271-273.
S. J. Klaus, C. J. Molineaux, T. B. Neff, V. Guenzler-Pukall, I. Lansetmo Parobok, T. W. Seeley, R. C. Stephenson "Use of hypoxia-inducible factorα(HIFα) stabilizers for enhancing erythropoiesis" PCT Int. Appl. (2004), WO 2004108121 A1
C. Warnecke, Z. Zaborowska, J. Kurreck, V. A. Erdmann, U. Frei, M. Wiesener, and K.-U. Eckardt "Differentiating the functional role of hypoxia-inducible factor (HIF)-1α and HIF-2α (EPAS-1) by the use of RNA interference: erythropoietin is a HIF-2α target gene in Hep3B and Kelly cells" FASEB J., 2004, 18, 1462-1464.
【0065】
EGLN3の発現には以下を参照されたい:
R. K. Bruick and S. L. McKnight "A Conserved Family of Prolyl-4-Hydroxylases That Modify HIF" Science, 2001, 294, 1337-1340.
【0066】
HIF2α-CODDの発現には以下を参照されたい:
a) P. Jaakkola, D. R. Mole, Y.-M. Tian, M. I. Wilson, J. Gielbert, S. J. Gaskell, A. von Kriegsheim, H. F. Hebestreit, M. Mukherji, C. J. Schofield, P. H. Maxwell, C. W. Pugh, P, J. Ratcliffe "Targeting of HIF-α to the von Hippel-Lindau Ubiquitylation Complex by O2-Regulated Prolyl Hydroxylation" Science, 2001, 292, 468-472.
b) M. Ivan, K. Kondo, H. Yang, W. Kim, J. Valiando, M. Ohh, A. Salic, J. M. Asara, W. S. Lane, W. G. Kaelin Jr. "HIFα Targeted for VHL-Mediated Destruction by Proline Hydroxylation: Implications for O2 Sensing" Science, 2001, 292, 464-468.
【0067】
VHL、エロンギンbおよびエロンギンcの発現には以下を参照されたい:
A. Pause, S. Lee, R. A. Worrell, D. Y. T. Chen, W. H. Burgess, W. M. Linehan, R. D. Klausner "The von Hippel-Lindau tumor-suppressor gene product forms a stable complex with human CUL-2, a member of the Cdc53 family of proteins" Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1997, 94, 2156-2161.
【0068】
生物アッセイ
EGLN3アッセイ
材料
His−MBP−EGLN3(6HisMBPAttB1EGLN3(1−239))を大腸菌に発現させ、アミラーゼアフィニティーカラムから精製した。ビオチン−VBC[6HisSumoCysVHL(2−213)、6HisSumoElonginB(1−118)、および6HisSumoElonginC(1−112)]ならびにHis−GB1−HIF2α−CODD(6HisGB1tevHIF2A(467−572))は大腸菌から発現した。
【0069】
方法
Cy5標識HIF2αCODDおよびビオチン標識VBC複合体を使用し、EGLN3阻害を測定した。Cy5CODD基質のEGLN3ヒドロキシル化は、ビオチン−VBCにより認識される。ユーロピウム/ストレプトアビジン(Eu/SA)キレートを添加すると、生成物中のEuとCy5の接近を引き起こすので、エネルギー遷移による検出が可能である。Eu発光に対するCy5の比率(LANCE比)は、Cy5発光のみより変動が著しく小さいので、この正規化パラメータは究極の読み取り値である。
【0070】
次いで、50nLの阻害剤DMSO溶液(またはDMSO対照)を、384ウェル低量CorningNBSプレートにスタンプし、次いで、2.5μLの酵素[50mL緩衝液(50mMのHEPES/50mMのKCl)+1mLの10mg/mLのBSA緩衝溶液+6.25μLの10mg/mLのFeCl水溶液+100μLの200mMアスコルビン酸水溶液+15.63μLのEGLN3]または対照[50mL緩衝液+1mLの10mg/mLのBSA緩衝溶液+6.25μLの10mg/mLのFeCl水溶液+100μLの200mMアスコルビン酸水溶液]を加えた。3分間インキュベートした後、2.5μLの基質[50mL緩衝液+68.6μLビオチン−VBC+70.4μLのEu(710μg/mLストック)+91.6μLのCy5CODD+50μLの20mMの2−オキソグルタル酸水溶液+0.3mMのCHAPS]を加え、30分間インキュベートした。イメージングのためにプレートをPerkinElmer Viewluxに取り付けた。用量反応実験では、正規化データは、ABASE/XC50により、方程式y=a+(b−a)/(1+(10/10)(前式において、aは最低%活性であり、bは最大%活性であり、cはpIC50であり、dはヒル勾配である)を用いてフィットさせた。
【0071】
例示された化合物のEGLN3アッセイでのIC50は、およそ3〜80ナノモルの範囲である。この範囲は、この最初の出願の提出時点で蓄積されたデータを表す。後の試験では、試薬の変動、条件、および本明細書で先に述べた方法からの利用された方法(複数可)の変動によるIC50データの変動を示すことがある。そのため、この範囲は、絶対的な数の組ではなく、例示として見なすべきである。
【0072】
ELISA法を利用するHep3Bセルラインにより産生されるEpoタンパクの測定
アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から得たHep3B細胞を、2×10細胞/ウェルで、96ウェルプレートのダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)+10%FBSに播種する。細胞を、37℃/5%CO/90%湿度(標準的な細胞培養インキュベーション条件)でインキュベートする。一晩付着の後、培地を除き、血清のない被験化合物含有DMEMまたはDMSO陰性対照に替える。48時間のインキュベーションの後、細胞培養培地を集め、ELISAによりアッセイして、Epoタンパクを定量する。
【0073】
例示された化合物のHep3BのELISAアッセイにおけるEC50は、先に概説された試薬を利用し概説された条件下で、約28マイクロモル〜アッセイの上限値である100マイクロモル超であった。この範囲は、この最初の出願の提出時点で蓄積されたデータを表す。後の試験では、試薬の変動、条件、および本明細書で先に述べた方法からの利用された方法(複数可)の変動によるEC50データの変動を示すことがある。そのため、この範囲は、絶対的な数の組ではなく、例示として見なすべきである。
【0074】
これらの化合物は、先に定義された療法に有用であると考えられ、許容される治療レジメンに従い使用される場合に許容できない効果も不都合な効果も持たないと考えられる。
【0075】
上記の実施例およびアッセイは本発明を説明するために示され、本発明を限定するものではない。発明者らに留保されているものは、請求項を参照して決定すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物:
【化1】

(上記式中、
は、−NRまたは−ORであり、
およびRは、それぞれ独立に、水素、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ニトロ、シアノ、ハロゲン、−C(O)R12、−C(O)OR12、−OR12、−SR12、−S(O)R12、−S(O)12、−NR1011、−CONR1011、−N(R10)C(O)R12、−N(R10)C(O)OR12、−OC(O)NR1011、−N(R10)C(O)NR1011、−P(O)(OR12、−SONR1011、−N(R10)SO12、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリール群からなる群から選択され、
は、Hまたはカチオンであるか、または、非置換であるかまたはC−Cシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から独立に選択される1つ以上の置換基により置換されているC−C10アルキルであり、
10およびR11は、それぞれ独立に、水素、C−C10アルキル、C−Cシクロアルキル、C−C10アルキル−C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、C−C10アルキル−C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、C−C10アルキル−アリール、ヘテロアリール、C−C10アルキル−ヘテロアリール、−CO(C−Cアルキル)、−CO(C−Cシクロアルキル)、−CO(C−Cヘテロシクロアルキル)、−CO(アリール)、−CO(ヘテロアリール)、−SO(C−Cアルキル)からなる群から選択されるか、または、R10およびR11は、それらの結合している窒素とともに、酸素、窒素または硫黄である1つの他のヘテロ原子を所望により含む5員、6員、または7員飽和環を形成し、
各R12は、独立に、水素、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、C−C14アリール、C−C10アルキル−アリール、ヘテロアリール、およびC−C10アルキル−ヘテロアリールからなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11またはR12の任意の炭素またはヘテロ原子は非置換であるか、または可能な場合、C−Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、−OR12、−NR1011、シアノ、ニトロ、−C(O)R12、−C(O)OR12、−SR12、−S(O)R12、−S(O)12、−NR1011、−CONR1011、−N(R10)C(O)R12、−N(R10)C(O)OR12、−OC(O)NR1011、−N(R10)C(O)NR1011、−SONR1011、−N(R10)SO12、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールから独立に選択される1つ以上の置換基により置換されており、R10、R11、およびR12は上記定義の通りである)。
【請求項2】
が−ORであり、
、R、RおよびRが、それぞれ独立に、水素、ニトロ、シアノ、ハロゲン、−C(O)R12、−C(O)OR12、−OR12、−SR12、−S(O)R12、−S(O)12、−NR1011、−CONR1011、−N(R10)C(O)R12、−N(R10)C(O)OR12、−OC(O)NR1011、−N(R10)C(O)NR1011、−P(O)(OR12、−SONR1011、−N(R10)SO12、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
が、Hまたはカチオンであるか、または、非置換であるかまたはC−Cシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から独立に選択される1つ以上の置換基により置換されているC−C10アルキルであり、
10およびR11が、それぞれ独立に、水素、C−C10アルキル、C−Cシクロアルキル、C−C10アルキル−C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、C−C10アルキル−C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、C−C10アルキル−アリール、ヘテロアリール、C−C10アルキル−ヘテロアリール、−CO(C−Cアルキル)、−CO(C−Cシクロアルキル)、−CO(C−Cヘテロシクロアルキル)、−CO(アリール)、−CO(ヘテロアリール)、−SO(C−Cアルキル)からなる群から選択されるか、または、R10およびR11が、それらの結合している窒素とともに、酸素、窒素または硫黄である1つの他のヘテロ原子を所望により含む5員、6員、または7員飽和環を形成し、
各R12が、独立に、水素、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、C−C14アリール、C−C10アルキル−アリール、ヘテロアリール、およびC−C10アルキル−ヘテロアリールからなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11またはR12の任意の炭素またはヘテロ原子が、非置換であるか、または可能な場合、C−Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、−OR12、−NR1011、シアノ、ニトロ、−C(O)R12、−C(O)OR12、−SR12、−S(O)R12、−S(O)12、−NR1011、−CONR1011、−N(R10)C(O)R12、−N(R10)C(O)OR12、−OC(O)NR1011、−N(R10)C(O)NR1011、−SONR1011、−N(R10)SO12、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールから独立に選択される1つ以上の置換基により置換されており、R10、R11、およびR12上記定義の通りである、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項3】
が−ORであり、
、R、RおよびRが、それぞれ独立に、水素、ニトロ、シアノ、ハロゲン、−C(O)R12、−C(O)OR12、−OR12、−SR12、−S(O)R12、−S(O)12、−NR1011、−CONR1011、−N(R10)C(O)R12、−N(R10)C(O)OR12、−OC(O)NR1011、−N(R10)C(O)NR1011、−P(O)(OR12、−SONR1011、−N(R10)SO12、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
が、Hまたはカチオンであり、
10およびR11が、それぞれ独立に、水素、C−C10アルキル、C−Cシクロアルキル、C−C10アルキル−C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、C−C10アルキル−C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、C−C10アルキル−アリール、ヘテロアリール、C−C10アルキル−ヘテロアリール、−CO(C−Cアルキル)、−CO(C−Cシクロアルキル)、−CO(C−Cヘテロシクロアルキル)、−CO(アリール)、−CO(ヘテロアリール)、−SO(C−Cアルキル)からなる群から選択されるか、または、R10およびR11が、それらの結合している窒素とともに、酸素、窒素または硫黄である1つの他のヘテロ原子を所望により含む5員、6員、または7員飽和環を形成し、
各R12が、独立に、水素、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、C−C14アリール、C−C10アルキル−アリール、ヘテロアリール、およびC−C10アルキル−ヘテロアリールからなる群から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11またはR12の任意の炭素またはヘテロ原子が、非置換であるか、または可能な場合、C−Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、−OR12、−NR1011、シアノ、ニトロ、−C(O)R12、−C(O)OR12、−SR12、−S(O)R12、−S(O)12、−NR1011、−CONR1011、−N(R10)C(O)R12、−N(R10)C(O)OR12、−OC(O)NR1011、−N(R10)C(O)NR1011、−SONR1011、−N(R10)SO12、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール群から独立に選択される1つ以上の置換基により置換されており、R10、R11、およびR12が上記定義の通りである、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項4】
N−[(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−3−イル)カルボニル]グリシン、
N−({4−ヒドロキシ−9−[(1−メチルエチル)オキシ]−2−オキソ−2H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−3−イル}カルボニル)グリシン、
N−[(7−ブロモ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−2H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−3−イル)カルボニル]グリシン、
N−({4−ヒドロキシ−7−[(1−メチルエチル)オキシ]−2−オキソ−2H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−3−イル}カルボニル)グリシン
である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項5】
HIFプロリルヒドロキシラーゼの阻害により治療しうる貧血を患っている哺乳動物に、請求項1に記載の式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の有効量を投与することを含んでなる、哺乳動物の貧血を治療する方法。
【請求項6】
請求項1に記載の式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物、および、1種以上のその薬学的に許容可能なキャリア、希釈剤および賦形剤を含んでなる、医薬組成物。
【請求項7】
式(I)の化合物を製造する方法であって、
【化2】

(上記式中、
は、−NRまたは−ORであり、
およびRは、それぞれ独立に、水素、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ニトロ、シアノ、ハロゲン、−C(O)R12、−C(O)OR12、−OR12、−SR12、−S(O)R12、−S(O)12、−NR1011、−CONR1011、−N(R10)C(O)R12、−N(R10)C(O)OR12、−OC(O)NR1011、−N(R10)C(O)NR1011、−P(O)(OR12、−SONR1011、−N(R10)SO12、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
10およびR11は、それぞれ独立に、水素、C−C10アルキル、C−Cシクロアルキル、C−C10アルキル−C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、C−C10アルキル−C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、C−C10アルキル−アリール、ヘテロアリール、C−C10アルキル−ヘテロアリール、−CO(C−Cアルキル)、−CO(C−Cシクロアルキル)、−CO(C−Cヘテロシクロアルキル)、−CO(アリール)、−CO(ヘテロアリール)、−SO(C−Cアルキル)からなる群から選択されるか、または、R10およびR11は、それらの結合している窒素とともに、酸素、窒素または硫黄である1つの他のヘテロ原子を所望により含む5員、6員、または7員飽和環を形成し、
各R12は、独立に、水素、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、C−C14アリール、C−C10アルキル−アリール、ヘテロアリール、およびC−C10アルキル−ヘテロアリールからなる群から選択され、
はHまたはカチオンであるか、または、非置換であるかまたはC−Cシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から独立に選択される1つ以上の置換基により置換されているC−C10アルキルであり、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11またはR12の任意の炭素またはヘテロ原子は非置換であるか、または可能な場合、C−Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、−OR12、−NR1011、シアノ、ニトロ、−C(O)R12、−C(O)OR12、−SR12、−S(O)R12、−S(O)12、−NR1011、−CONR1011、−N(R10)C(O)R12、−N(R10)C(O)OR12、−OC(O)NR1011、−N(R10)C(O)NR1011、−SONR1011、−N(R10)SO12、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールから独立に選択される1つ以上の置換基により置換されており、R10、R11、およびR12は上記定義の通りである)
エタノールまたは2−メトキシエタノールのような適切な溶媒中、通常の温度条件またはマイクロ波照射のいずれかの下で、式Aの化合物を、グリシンナトリウム塩またはグリシン、および、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ナトリウムエトキシドまたは水素化ナトリウムのような適切な塩基で処理し、Rが−OHである式(I)の化合物を形成すること
を含んでなる、方法:
【化3】

(上記式中、R、R、RおよびRは、式(I)中のそれらの基と同様であり、R’はエステルを形成する基である)、あるいは、
式(I)の化合物(式中、R、R、R、RおよびRは、式(I)における上記定義と同様である)の製造方法であって、
1,2−ジクロロベンゼンのような適切な溶媒中、通常の温度条件またはマイクロ波照射のいずれかの下で、式Bの化合物を、式Cの化合物、N−(3−[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]−2−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−3−オキソプロパノイル)グリシンで処理し、Rが−OHである式(I)の化合物を形成すること
を含んでなる、方法:
【化4】

(上記式中、R、R、RおよびRは、式(I)中のそれらの基と同様である)。

【公表番号】特表2012−500802(P2012−500802A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524020(P2011−524020)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/054573
【国際公開番号】WO2010/022307
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(591002957)グラクソスミスクライン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (341)
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline LLC
【Fターム(参考)】