説明

プローブ情報生成装置

【課題】 交通指標の算出に必要な情報を効率的に含むプローブ情報を生成することができるプローブ情報生成装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、道路を走行中の車両5のプローブ情報S3を生成して外部に送信するプローブ情報生成装置2に関する。この装置2は、走行中に車両5に生じる複数種類のイベントを選択的にプローブ情報S3に含めて記憶可能である。また、この装置2は、信号待ちによる停止である単独停止と、信号待ちによる停止ではない反復停止とを、別個の前記イベントとして判定し、単独停止については、その停止位置をプローブ情報S3に含めて当該プローブ情報S3を生成し、反復停止については、その停止位置をプローブ情報S3に含めずに当該プローブ情報S3を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通制御の入力情報となる交通指標を算出するのに利用可能なプローブ情報を生成して、外部に送信するプローブ情報生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交通管制センターが行う中央感応制御では、一般にプログラム選択制御が採用されているが、これには、パラメータの設計に多大な労力を要する、交通状況の経年変化で状況が変化した時の再設計が必要となる、評価指標(交通量と占有率の加重和)が曖昧である等の欠点がある。
そこで、中央感応制御として、交通状況に応じて信号制御パラメータを自動的に更新するプログラム形成制御が行われることがある。この制御方式は、MODERATO(Management by Origin-DEstination Related Adaptation for Traffic Optimization)制御と呼ばれている(非特許文献1参照)。
【0003】
一方、警察庁が進める高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)として、光ビーコンをキーデバイスとした新交通管理システム(UTMS:Universal Traffic Management Systems)がある。
かかるシステムでは、信号制御に未来の予測情報を用いて青時間を最適化することにより、更にリアルタイム性を高めたプロファイル制御が採用されている。このプロファイル制御の特徴は次の通りである(非特許文献2参照)。
【0004】
(1) 現在から1サイクル未来の交通需要の予測
(2) 車両の時間遅れの直接評価に基づいたリアルタイム制御の実現
(3) 分散型の制御意思決定:中央制御と連携するハイブリッド型または隣接交差点が強調して動作する自律型の制御モードが選択可能
【0005】
上記プロファイル制御では、車両が交差点の停止線に到着する予測交通量の時系列データである到着プロファイルを所定時間ごとに推定しており、この到着プロファイルと他の信号制御情報に基づいてシミュレーション演算を実行する。
上記シミュレーション演算は、具体的には、交差点全体の待ち行列台数の変動状況である遅れ時間(信号停止待ち時間)を求め、この遅れ時間に基づく評価値が最小となる青終了タイミングを探索し、最適な青終了タイミングを決定する(非特許文献2参照)。
【0006】
その他、交通管制センターの中央装置では、上記UTMSのサブシステムとして、交通情報提供システム(AIMS)、公共車両優先システム(PTPS)、車両運行管理システム(MOCS)、動的経路誘導システム(DRGS)、及び、交通公害低減システム(EPMS)などを実行する場合もある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「改訂 交通信号の手引き」 編集・発行 社団法人 交通工学研究会(16〜18頁、83〜87頁)
【非特許文献2】「次世代信号制御方式の開発と実証実験」 SEIテクニカルレビュー 2004年3月 第166号 51〜55頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記各種の交通制御に必要な交通指標として、待ち行列台数及び飽和交通流率がある。このうち、待ち行列台数は、交差点流入部において信号待ちしている車両の台数のことであり、待ち行列長さを平均車頭距離で割った値である。
また、飽和交通流率とは、交差点流入部において、交通需要が十分に存在する状態で、単位時間で1車線当たりに停止線を通過し得る最大の車両数のことである。通常は、青1時間当たりの通過台数(台/有効青1時間)で表される。
【0009】
上記交通指標のうち、待ち行列台数の場合は、通常、道路に設置した車両感知器の感知信号から待ち行列長さを推定し、これを平均車頭距離で割ることによって算出される。しかし、この算出方法では、停止線に最も近い車両感知器の下流側や、車両感知器同士の間で車両の流入や流出があると、待ち行列長さに誤差が生じ、交通制御の高精度化を阻害する要因となり得る。また、飽和交通流率は、固定の設定値を採用するのが一般的であり、実測するとしても、待ち行列台数が車両感知器の設置位置まで延伸していない場合には計測できない。
【0010】
そこで、道路を走行中の車両のプローブ情報を利用して、待ち行列台数や飽和交通流率等の交通指標をインフラ側で算出することが考えられる。
例えば、上記交通指標のうち、待ち行列台数については、信号待ち中の車両の停止位置をプローブ情報から求めることができれば、この停止位置から地図上の交差点位置までの距離に基づいて待ち行列長さを求められる。従って、これを平均車頭間隔で割れることにより、プローブ情報に基づく待ち行列台数を算出することができる。
【0011】
しかし、走行中の車両の停止現象に着目すると、信号待ちが原因である単独停止の場合の他に、車両が渋滞区間を走行中に停止と発進を繰り返す(Stop & go )反復停止の場合がある。また、インフラ側で必要な交通指標について着目すると、例えば、待ち行列台数や飽和交通流率を算出するためには、単独停止の停止位置やそこからの発進時刻が必要となるが、反復停止の場合にはそれらの情報は不要である。
【0012】
このため、単独停止と反復停止を区別せずに、停止位置その他の情報を一律にプローブ情報に含めることは非効率であり、プローブ情報の記憶や送信のためのデータ量が無駄に消費されることになる。
また、車両の停止回数が多くなるほどプローブ情報のデータ量が膨大になるので、システムの高コスト化を招くことになる。特に、光ビーコンのアップリンクでプローブ情報を送信する場合には、そもそもアップリンクのデータ量(例えば、58バイト)が少ないため、プローブ情報を送信できなくなる。
【0013】
一方、走行中の車両の停止現象として、上記の他に、右折時における交差点内での停止である右折停止と、単路での方位変更中の停止である単路停止とがある。
このうち、単路停止の場合には、待ち行列台数や飽和交通流率を算出するのに有用であるが、右折停止の場合には、交差点内での停止であるため信号待ちとは無関係であり、待ち行列台数や飽和交通流率の算出には不要である。
【0014】
このため、右折停止と単路停止とを区別しないで同じ停止イベントとし、これを一律にプローブ情報に含めることは非効率であり、プローブ情報の記憶や送信のためのデータ量が無駄に消費されることになる。
本発明は、このような実情に鑑み、交通指標の算出に必要な情報を効率的に含むプローブ情報を生成することができるプローブ情報生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1) 本発明のプローブ情報生成装置は、道路を走行中の車両のプローブ情報を生成して外部に送信するプローブ情報生成装置であって、走行中に前記車両に生じる複数種類のイベントを選択的に前記プローブ情報に含めて記憶可能な情報記憶手段と、信号待ちによる停止である単独停止と、信号待ちによる停止ではない反復停止とを、別個の前記イベントとして判定するイベント判定手段と、前記単独停止については、その停止位置を前記プローブ情報に含めて当該プローブ情報を生成し、前記反復停止については、その停止位置を前記プローブ情報に含めずに当該プローブ情報を生成する情報生成手段と、を備えていることを特徴とする。
【0016】
本発明のプローブ情報生成装置によれば、イベント判定手段が、信号待ちによる停止である単独停止と、信号待ちによる停止ではない反復停止(すなわち渋滞中の Stop & Go)とを、別個のイベントとして判定し、情報生成手段が、単独停止については、その停止位置をプローブ情報に含めて当該プローブ情報を生成し、反復停止については、その停止位置をプローブ情報に含めずに当該プローブ情報を生成するので、待ち行列台数や飽和交通流率等の交通指標の算出のために必要な情報(この場合は、単独停止の停止位置)を、効率的に含むプローブ情報を生成することができる。
【0017】
(2) 本発明のプローブ情報生成装置において、具体的には、前記イベント判定手段は、前記車両の速度が所定の第1閾値を超えた状態から減少して当該車両が停止した場合に、これを前記単独停止と判定することができる。
また、前記イベント判定手段は、前記停止状態から再発進した後、前記第1閾値未満の範囲で前記車両の速度が増減してから当該車両が停止した場合に、これを前記反復停止と判定することができる。
【0018】
(3) 本発明のプローブ情報生成装置において、前記情報生成手段は、前記単独停止及び前記反復停止のいずれのイベントの場合も、その停止回数を前記プローブ情報に含めて当該プローブ情報を生成することが好ましい。
その理由は、例えば、前記MOCSで停止回数を使ってCO2の排出量推定をインフラ側で実行する場合には、単独停止と反復停止の双方の停止回数が必要であり、また、停止回数自体はデータ量が比較的小さいため、これをプローブ情報に含めても特に差し支えないからである。
【0019】
(4) また、インフラ側で必要な交通指標に飽和交通流率が含まれる場合には、これを算出するために単独停止の再発進時刻が必要となるので、前記情報生成手段は、前記単独停止については、その停止位置に加えて更にその再発進時刻を前記プローブ情報に含めて当該プローブ情報を生成することが好ましい。
【0020】
(5) 本発明のプローブ情報作成装置において、前記イベント判定手段は、前記車両の速度が所定の第2閾値(車両の停止を判定するための閾値)を下回った時点の位置を前記停止位置と判定することが好ましい。
その理由は、待ち行列台数の算出に使用する停止位置の場合には、その台数を多めに見積もる方が好ましいため、最も上流側の時点である第2閾値を下回った時点の位置を停止位置として選択すべきだからである。
【0021】
(6) また、本発明のプローブ情報生成装置において、前記情報生成手段は、前記単独停止が複数回発生した場合には、その複数回の前記単独停止と前記反復停止の回数との間の前後関係が判別可能となるように、前記プローブ情報を生成することが好ましい。
このようにすれば、反復停止の停止位置自体をプローブ情報に含めなくても、単独停止の停止位置との前後関係を利用して、反復停止の回数が発生した位置を概ね特定することができる。
【0022】
(7) 更に、本発明のプローブ情報生成装置において、前記情報生成手段は、前記単独停止と前記反復停止以外の他の前記イベントを含む前記プローブ情報を生成する場合には、前記単独停止及び他の前記イベントと前記反復停止の回数との間の前後関係が判別可能となるように、前記プローブ情報を生成することが好ましい。
このようにすれば、反復停止の停止位置自体をプローブ情報に含めなくても、他のイベントが生じた位置との前後関係を利用して、反復停止の回数が発生した位置を概ね特定することができる。
【0023】
(8) また、本発明のプローブ情報生成装置は、道路を走行中の車両のプローブ情報を生成して外部に送信するプローブ情報生成装置であって、走行中に前記車両に生じる複数種類のイベントを選択的に前記プローブ情報に含めて記憶可能な情報記憶手段と、右折時における交差点内での停止である右折停止と、単路での方位変更中の停止である単路停止とを、別個の前記イベントとして判定するイベント判定手段と、前記右折停止については、前記プローブ情報に含めない停止イベントとし、前記単路停止については、前記プローブ情報に含めない停止イベントとする情報生成手段と、を備えていることを特徴とする。
【0024】
本発明のプローブ情報生成装置によれば、イベント判定手段が、右折時における交差点内での停止である右折停止と、単路での方位変更中の停止である単路停止とを、別個のイベントとして判定し、情報生成手段が、右折停止については、プローブ情報に含めない停止イベントとし、単路停止については、プローブ情報に含める停止イベントとするので、待ち行列台数や飽和交通流率等の交通指標の算出のために必要な情報(この場合は、停止イベントとその関連情報)を、効率的に含むプローブ情報を生成することができる。
【0025】
(9) なお、本発明のプローブ情報生成装置において、前記情報記憶手段は道路地図情報を記憶していることが好ましい。
この場合、前記イベント判定手段は、前記車両の走行位置が前記道路地図情報におけるどの位置であるかに基づいて、方位変更中の前記車両の停止が前記右折停止か前記単路停止かを判別することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上の通り、本発明のプローブ情報生成装置によれば、交通指標の算出のために必要な情報を効率的に含むプローブ情報を生成することができるので、プローブ情報の記憶や送信のためのデータ量を効率的に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明が適用可能な交通制御システムを示す道路平面図である。
【図2】交通制御のアプリケーション、交通指標及びプローブ情報の関係を示す表である。
【図3】待ち行列台数と飽和交通流率の算出方法を示す道路平面図である。
【図4】車載装置の内部構成を示す機能ブロック図である。
【図5】停止イベントの判定方法を示すグラフである。
【図6】方向変動イベントの例を示す道路平面図である。
【図7】停止位置と再発進時刻の判定方法を示すグラフである。
【図8】プローブ情報のフレームフォーマットを示す表である。
【図9】プローブ情報に記す各種情報のビット割り当てを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔システムの全体構成〕
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明が適用可能な交通制御システムの一例を示す道路平面図である。
図1に示すように、本実施形態の交通制御システムは、交通信号機1、車載装置2、車両感知器3、中央装置4、車載装置2を搭載したプローブ車両5(以下、単に車両5という場合がある。)、及び光ビーコン6等を含む。
【0029】
このうち、交通信号機1は、主道路RM1,RM2及び従道路RS1,RS2のそれぞれに設置された4つの信号灯器1bと、この信号灯器1bと通信回線を介して接続された交通信号制御機1aとを備えている。
交通信号制御機1aは、電話回線等の通信回線を介して交通管制センター内の中央装置4に接続されており、中央装置4は、自身の管轄エリア内にある各交差点Cの交通信号制御機1aとネットワークを構成している。
【0030】
従って、中央装置4は、交通信号制御機1aとそれぞれ双方向通信が可能であり、交通信号制御機1aは他の交差点の同制御機1aとも双方向通信が可能である。なお、中央装置4は、交通管制センターではなく道路上に設置してもよい。
交通信号制御機1aは、MODERATO等の交通制御を行った結果の出力である信号制御指令S1を中央装置4から受信し、この信号制御指令S1に基づいて、各信号灯器1bに含まれる信号灯の点灯、消灯及び点滅を制御する。
【0031】
また、交通信号制御機1aは、光ビーコン6とも通信回線で繋がっており、中央装置4から受信した渋滞情報や旅行時間等を含む交通情報S2を光ビーコン6に送信する。
光ビーコン6は、車載装置4を搭載したプローブ車両5と光信号での双方向通信が可能であり、上記交通情報S2をダウンリンクDLに含めて送信する。また、車載装置4が光ビーコン6に送信するアップリンクULには、後述のプローブ情報S3が含まれている。このプローブ情報S3は、交通信号制御機1aを介して中央装置4に転送される。
【0032】
車両感知器3は、交差点Cに流入する車両台数をカウントするために、対応する交差点Cの上流側に設置されている。交通信号制御機1aは、通信回線を介して車両感知器3とも繋がっており、車両感知器5からの感知信号S4を受信すると、これを中央装置4に転送する。
【0033】
〔中央装置の交通制御〕
中央装置4は、ワークステーション(WS)等を内部に含み、交通信号制御機1aからの各種の交通情報の収集・処理(演算)・記録、信号制御及び情報提供を統括的に行う。
すなわち、中央装置4は、自身の管轄エリアに属する交通信号制御機1aに対して、同一道路上の交通信号機1群を調整する系統制御や、この系統制御を道路網に拡張した広域制御(面制御)を行うものであり、例えば、前記MODERATO制御やプロファイル制御等を含む複数種の交通制御を実行することができる。
【0034】
図2は、本実施形態の中央装置4が実行する交通制御のアプリケーションと、それに必要な入力情報である交通指標と、その交通指標の算出のために必要となるプローブ情報との関係を示す表である。
例えば、信号制御の高度化にために実施されるMODERATO制御やプロファイル制御に必要な交通指標(交通制御に対する入力情報)は、待ち行列台数と飽和交通流率であり、迂回路優先制御に必要な交通指標は、旅行時間と走行経路である。
【0035】
また、交通流分析のために実施されるボトルネック位置の検出に必要な交通指標は、走行中の車両5の停止回数である。
更に、MOCSで行われるCO2排出量の推定には、車両5の停止回数(なお、この場合には、後述する反復停止と単独停止の区別が必要。)が必要であり、MOCSで行われる動態管理に必要な交通指標は、車両5の走行経路である。
【0036】
図3は、中央装置4が行う待ち行列台数と飽和交通流率の算出方法を示す道路平面図である。
図3(a)は、プローブ車両5が信号待ちによって交差点Cの上流側で停止している場合を示しており、図3(b)は、その後、信号が青になり、プローブ車両5が流出部にある光ビーコン6にアップリンクを送信した状態を示している。なお、図3において、ハッチングありの車両がプローブ車両5である。
【0037】
ここで、プローブ車両5からのプローブ情報に、信号待ちの場合の停止位置と、その停止位置からの再発進時刻が含まれているとすると、中央装置4は、そのプローブ情報に含まれる停止位置を用いて、そこから地図データベース上における交差点Cのノードまでの距離L1を求める。
また、中央装置4は、上記距離L1に対して、停止線からノードまでの距離L2(定数)を減じることによって待ち行列長さLを求め、その待ち行列長さLを所定の平均車頭間隔で割ることにより、待ち行列台数を算出する。
【0038】
一方、中央装置4は、プローブ情報に含まれる停止位置から、流出部に設置されている光ビーコン6までの距離を求め、プローブ情報に含まれる再発進時刻とアップリンク受信時刻とを用いて、その停止位置から流出部までの所要時間を求める。
そして、中央装置4は、流出部までの距離をその所要時間で割って交差点Cの通過速度を求め、この通過速度を平均車頭間隔で割ることにより、飽和交通流率を算出する。
【0039】
〔車載装置〕
図4は、プローブ車両5の車載装置2の内部構成を示す機能ブロック図である。
この車載装置2は、光ビーコン6との間で双方向の光通信を行う路車間通信機能と、搭乗者が設定した目的地に案内するナビゲーション機能を有する。
図4に示すように、車載装置2は、GPS処理部201、方位センサ202、車速取得部203、光通信部204、記憶部205、操作部206、表示部207、音声出力部208及び制御部209等を含む。
【0040】
GPS処理部201は、GPS衛星からのGPS信号を受信し、GPS信号に含まれる時刻情報、GPS衛星の軌道、測位補正情報等に基づいて、プローブ車両5の位置(緯度、経度及び高度)を計測する。
方位センサ202は、光ファイバジャイロなどで構成されており、プローブ車両5の方位及び角速度を計測する。車速取得部203は、車速センサ(図示せず)が車輪の角速度を検出することにより計測したプローブ車両5の速度データを取得する。
【0041】
車載装置2の光通信部204は、道路上の所定位置に設定された光ビーコン6の通信領域において、アップリンクULとダウンリンクULを送受信する。すなわち、車載装置2の光通信部204は、交差点Cを流出したプローブ車両5が光ビーコン10の通信領域に入ると、交通情報S2を含むダウンリンクDLを受信し、自身のプローブ情報S3を含むアップリンクULを光ビーコン10に送信する。
車載装置2の記憶部205は、ハードディスクや半導体メモリ等から構成され、ダウンリンクDLに含まれる交通情報S2や、アップリンクULに含めるプローブ情報S3等の各種情報を記憶するための記憶領域を有する。
【0042】
また、記憶部205は、道路地図データも記憶している。
この道路地図データには、交差点IDと交差点の位置とを対応付けた交差点データ、リンクIDと、リンクの始点・終点・補間点(道路が折れ曲がる地点に対応)それぞれの位置と、リンクの始点に接続するリンクのリンクIDと、リンクの終点に接続するリンクのリンクIDと、リンクコストとを対応付けたリンクデータなどから構成されている。
【0043】
上記リンクコストは、例えば、リンクとその終点に接続するリンクの組み合わせの数だけ用意されており、リンクの始点に進入してから当該リンクの終点を退出し、次に接続するリンクの始点に進入するまでに要する時間が設定されている。
すなわち、リンクコストには、リンクの始点から終点までを走行するのに要するコスト(時間)と、リンクの終点から次のリンクの始点までを走行するのに要するコスト(時間)、つまり、交差点を通過するのに要するコストが含まれている。
【0044】
車載装置2の操作部206は、タッチパネルやボタン等から構成されており、ドライバを含む車両5の搭乗者が目的地の設定等を行えるようになっている。
車載装置2の表示部207は、車両5のダッシュボード部分に取り付けられたモニタ装置(図示せず)よりなり、制御部209が後述する感応要求処理において作成した画像データを搭乗者に表示する。
また、音声出力部208は、制御部209が作成した音声データをスピーカー(図示せず)から出力する。
【0045】
車載装置2の制御部209は、マイクロコンピュータ等から構成され、GPS処理部201、方位センサ202、車速取得部203、光通信部204、記憶部205、操作部206、表示部207、音声出力部208での各処理を制御する。
また、車載装置2の制御部209は、GPS処理部201が計測した車両5の位置、方位センサ202が計測した車両5の方位及び角速度、車速取得部203が取得した車両5の速度の各データ、記憶部205に記憶している道路地図データに基づいてマップマッチング処理を行い、道路地図データのリンク上におけるプローブ車両5の位置を算出することができる。
【0046】
更に、本実施形態の制御部209は、プローブ車両5の走行中に生じる各種のイベントの発生を判定するイベント判定処理と、その各種のイベントの性質に応じて、当該イベントとその関連情報のうちのどれをプローブ情報S3に含めるか否かを決定し、当該プローブ情報S3をイベントごとに生成する情報生成処理とを実行する。以下、車載装置2の制御部209が行う上記各処理について説明する。
なお、本実施形態では、インフラ側へのプローブ情報S3送信手段として光ビーコン6を利用しているので、車載装置2の制御部209は、光ビーコン6,6間の走行中に生じた各種イベントとその関連情報を記載したプローブ情報S3を生成する。
【0047】
〔停止イベントに関する処理内容〕
図5は、停止イベントの判定方法を示すグラフである。
図5のグラフにおいて、横軸は車両5の走行距離であり、縦軸は速度である。
また、図5の第1閾値V1は、車両5の停止が反復停止か単独停止かを判別するための閾値であり、例えば30km/hに設定されている。第2閾値V2は、これ未満の速度の場合に実質的に停止と見なせる値であり、例えば5km/hに設定されている。
【0048】
ここで、単独停止とは、信号待ちが原因で車両5が停止する場合のイベントであり、反復停止とは、渋滞等のために車両5が停止と発進を繰り返す場合(Stop & Go )のイベントである。
例えば、図5の点A及び点Bのように、車両5の速度が、第1閾値V1を超えた状態から単調減少し、その速度が第2閾値V2を下回って当該車両5が停止したと判断される場合には、単独停止と判定される。
【0049】
一方、図5の点Cのように、車両5の速度が、第1閾値V1未満の範囲内において増減してから、その速度が第2閾値V2を下回って当該車両5が停止したと判断される場合には、反復停止と判定される。以上の判定条件の下で、制御部209は、次の各処理(1)〜(6)を実行する。
(1) まず、制御部209は、起動時に、反復停止の回数、単独停止の回数、再発進時刻と停止位置、及び、高速走行フラグをすべてクリアする。
【0050】
(2) 次に、制御部209は、予め設定された所定時間(例えば、1秒)ごとに車両5の速度を監視しており、この速度が第1閾値V1以上になれば、高速走行フラグをオンに設定する。
(3) 次に、制御部209は、速度が第2閾値V2未満の状態が、一定秒数(定数設定:例えば5秒)継続した場合には、車両5が停止したと判定する。
この場合、高速走行フラグがオンの場合は、車両5が図5の点A又は点Bの状態であると見なせるので、単独停止の回数をインクリメントし、高速フラグがオフの場合は、図5の点Cの状態であるともなせるので、反復停止の回数をインクリメントする。
【0051】
(4) また、制御部209は、車両5の停止を判定した後、速度が第2閾値V2を超えた場合には、車両5が再発進したと判定する。このとき、高速走行フラグがオンの場合は、単独停止の場合に該当するので、その再発進時刻、停止位置及び停止時間を記憶部205に記憶させる。
ただし、制御部209は、単独停止の回数が一定回数(定数設定:例えば3回)を越える場合は、最も古いデータに上書きする。また、制御部209は、最後に高速走行フラグをオフに設定する。
【0052】
(5) 制御部209は、次の光ビーコン6との通信が発生するまで、上記(2)〜(4)の処理を繰り返す。
(6) また、制御部209は、次の光ビーコン6の通信領域を通過するまでに、次の情報a)及びb)を含むプローブ情報S3を生成し、その通過時に、当該プローブ情報S3を含むアップリンクULを光通信部204に送信させる。
a) 単独停止イベント:停止回数、停止位置、再発進時刻及び停止時間
b) 反復停止イベント:停止回数のみ
【0053】
このように、制御部209は、停止イベントが単独停止の場合には、その停止位置、再発進時刻及び停止時間を、光ビーコン6に通知するプローブ情報S3に含めるが、反復停止の場合には、それらの情報をプローブ情報S3に含めない。
また、制御部209は、停止回数については、単独停止と反復停止のそれぞれの停止イベントについての回数をプローブ情報S3に含める。
なお、制御部209は、アップリンクULを送信した後は、反復停止の回数、単独停止についてはその停止回数、停止位置、再発進時刻及び停止時間をすべてクリアする。
なお、本実施形態では、前回アップリンクから今回アップリンクまでの停止回数が求められることになるが、さらに細かい単位で停止回数を求めるために、イベント(単独停止、方向変動、一定距離走行)ごとに停止回数を求めても良い。
【0054】
本実施形態の車載装置2によれば、制御部209が、信号待ちによる停止である単独停止と、信号待ちによる停止ではない反復停止とを、別個のイベントとして判定し、単独停止については、停止位置等の必要な情報をプローブ情報S3に含めて当該プローブ情報S3を生成する。
また、制御部209は、反復停止については、その停止回数をプローブ情報S3に含めるが、停止位置、再発進時刻及び停止時間を含まないプローブ情報S3を生成する。
【0055】
このように、待ち行列台数や飽和交通流率等の交通指標の算出に必要十分なデータ量のプローブ情報S3が生成されるので、プローブ情報の記憶や送信のためのデータ量を効率的に使用することができる。
また、停止回数については、単独停止と反復停止の判別が可能なプローブ情報S3を生成するので、中央装置4は、そのプローブ情報S3を利用してMOCSで停止回数を用いたCO2の排出量推定を実行することができる。
【0056】
〔方向変動イベントに関する処理内容〕
図6は、方向変動イベントの例を示す道路平面図である。
図6(a)は、交差点での右折(ただし、左折でもよい。)に生じる方向変動イベントを示し、図6(b)は、比較的急カーブの単路で生じる方向変動イベントを示している。
車載装置2の制御部209は、図6に示すような、曲率半径が小さくて角度変動が大きい方向変動をイベントとして抽出し、これに関するプローブ情報S3を生成するため、次の各処理(1)〜(5)を実行する。
【0057】
(1) まず、制御部209は、一定時間(定数設定:例えば1秒)ごとに、車両2の走行軌跡を監視しており、記憶部205に前回記憶させた前回軌跡から、車両5が一定距離(定数設定:例えば10m)以上走行すれば、その位置(緯度経度)及び方位(ない場合は前回との相対位置から求める。)を今回軌跡として記憶部205に記憶させる。
(2) 次に、制御部209は、前回軌跡と今回軌跡との方位差が一定(定数設定:例えば5度)以上あれば、方位変化が開始されたと見なす。
【0058】
(3) 更に、制御部209は、前回軌跡と今回軌跡との間の方位差が、一定(定数設定:例えば5度)未満の状態が一定回数(定数設定:例えば2回)になれば、方位変化が終了したとみなす。
【0059】
(4) 次に、制御部209は、方位変化の開始時点の方位と、方位変化の終了時点の方位との差が一定(定数設定:例えば30度)以上であれば、方向変動イベントが発生したとみなし、その方位変化の終了時点での時刻、位置及び方位を記憶部205に記憶させる。
ただし、制御部209は、前回のアップリンクから方位変化イベントと一定距離走行イベントが合わせて一定回数(定数設定:例えば2回)以上あれば、最も古いデータに上書きする。
【0060】
(5) 制御部209は、次の光ビーコン6の通信領域を通過するまでに、次の情報a)を含むプローブ情報S3を生成し、その通過時に、そのプローブ情報S3を含むアップリンクULを光通信部204に送信させる。
a) 方向変動イベント:方位変化の終了時刻、終了位置及び絶対方位
なお、制御部209は、アップリンクULを送信した後は、方向変動イベントの方位変化終了時刻、位置及び絶対方位をすべてクリアする。
【0061】
〔一定距離走行イベントに関する処理内容〕
また、車載装置2の制御部209は、車両5が十分に長い一定距離だけ走行したか否かをイベントとして判定し、これに関するプローブ情報S3を生成するため、次の処理(1)〜(4)を実行する。
【0062】
(1) まず、制御部209は、前記停止イベント又は方向変動イベントのいずれかが発生した時に、累積走行距離をクリアする。
(2) 次に、制御部209は、一定時間(定数設定:例えば1秒)ごとに走行軌跡を監視し、前回のイベントからの走行距離を積算して行く。
【0063】
(3) また、制御部209は、累積走行距離が一定距離(定数設定:例えば500m)を越えれば、一定距離走行イベントが発生したと見なし、時刻、位置および方位を記憶部205に記憶させる。
ただし、前回アップリンクから方位変化イベントと一定距離走行イベントが合わせて一定回数(定数設定:例えば2回)以上あれば、最も古いデータに上書きする。更に、累積走行距離をクリアする。
【0064】
(4) 制御部209は、次の光ビーコン6の通信領域を通過するまでに、次の情報a)を含むプローブ情報S3を生成し、その通過時に、そのプローブ情報S3を含むアップリンクULを光通信部204に送信させる。
a) 一定距離走行イベント:その終了時刻、位置および累積走行距離
なお、制御部209は、累積走行距離が一定距離(定数設定:例えば500m)を越える前に、前記方位変化イベントが発生した場合は、累積走行距離をクリアする。
【0065】
〔停止イベントに関する例外処理〕
ところで、図6(a)の点Pは、右折時における交差点内の停止位置を示している。ここで、右折車線に先行車両がない場合には、走行中の車両5が点Pにおいて第2閾値V2未満まで減速し、当該点Pにおいて単独停止又は反復停止が生じる場合がある。
しかし、交差点内の点Pは、信号待ちとは無関係であり、前記待ち行列台数や飽和交通流率の算出には不要であるため、これを停止イベントとして採用すると、無駄なプローブ情報S3を含むアップリンクULがインフラ側に送出されることになる。
【0066】
そこで、車載装置2の制御部209は、記憶部205に含まれる道路地図データを参照することにより、車両5の走行位置が道路地図データにおけるどの位置であるかに基づいて、方位変更中の車両5の停止イベントが、図6(a)の点Pに示すような、右折時における交差点内での停止である右折停止か否かを判定し、当該右折停止の場合には、これを前記単独停止や反復停止としては採用しない。
すなわち、制御部209は、上記右折停止については、これをプローブ情報S3に含めない停止イベントとして処理する。
【0067】
これに対して、図6(b)の点Qは、比較的急カーブの単路での方位変更中における車両5の停止位置を示している。ここで、単路の下流側にある交差点の信号が赤になっている場合には、走行中の車両5が点Qにおいて第2閾値V2未満まで減速し、当該点Qにおいて単独停止或いは反復停止が生じる場合がある。
従って、このような単路での方位変更中の点Qでの停止は、図6(a)の右折時とは異なり、待ち行列台数や飽和交通流率の算出に必要であると考えられるため、プローブ情報S3に含める停止イベントとすべきである。
【0068】
そこで、車載装置2の制御部209は、記憶部205に含まれる道路地図データを参照することにより、車両5の走行位置が道路地図データにおけるどの位置であるかに基づいて、方向変更中の車両5の停止イベントが、図6(b)の点Qに示すような、単路での方位変更中の停止である単路停止か否かを判定し、当該単路停止の場合には、これを単独停止又は反復停止として採用する。
すなわち、制御部209は、上記単路停止については、これをプローブ情報S3に含める停止イベントとして処理する。
【0069】
〔停止位置と再発進時刻の判定方法〕
図7は、停止位置と再発進時刻の判定方法を示すグラフである。
図7のグラフは、図5のグラフにおける単独停止の点Aの近傍を拡大したものである。
前記した通り、本実施形態では、速度が第2閾値V2未満となったことで車両5の停止を判定するので、速度が第2閾値V2を下回った時の位置A1から、その後、速度が第2閾値V2を超えた時の位置A2までのどこかで単独停止が発生したことは分かるが、その位置A1〜A2の範囲内で生じた実際の単独停止の位置は特定できない。
【0070】
そこで、単独停止の停止位置やその後の再発進時刻を抽出するには、上記範囲内のどこの位置を採用するかを決定する必要があるが、待ち行列台数の算出に使用する停止位置の場合には、その台数を多めに見積もる方が交通制御の際に好ましいので、位置A1〜A2の範囲内で最も上流側の位置A1での時点を選択すべきである。
また、飽和交通流率の算出に使用する再発進時刻の場合には、飽和交通流率を小さめに見積もる方が交通制御の際に好ましいため、位置A1〜A2の範囲内で最も下流側の位置A2での時点を選択すべきである。
【0071】
このため、本実施形態の制御部209では、車両5の速度が第2閾値V2を下回った時点の位置A1を、単独停止の停止位置と判定し、その後に車両5の速度が第2閾値を超えた位置A2の時点を、単独停止後の再発進時刻と判定するようになっている。
なお、単独停止後の再発進時刻については、上流側の停止時刻(位置Aでの停止時刻)と停止時間(停止してから再発進するまでの時間)をプローブ情報S3に含めておき、これらに基づいて、中央装置4側で再発進時刻を求めるようにしても良い。
【0072】
〔プローブ情報のフレーム内容〕
図8は、車載装置2の制御部209が生成するプローブ情報S3のフレームフォーマットを示す表である。
図8に示すように、プローブ情報S3のデータ領域には、ヘッダ、基本項目及び属性種別が含まれており、ヘッダには、単独停止の回数と反復停止の回数とを記載することができる。
【0073】
また、基本項目には、位置と計測時刻の記載領域が含まれており、位置は、緯度と軽度で記載され、計測時刻は時分秒で記載される。
更に、属性項目には、イベント種別とイベント値の記載領域が含まれている。イベント種別には、その種別或いはフラグが記載され、イベント値には、イベント種別に応じた値として、方位、停止時間及び走行距離のうちの少なくとも1つが記載される。
【0074】
なお、車載装置2の制御部209が生成するプローブ情報S3は、単独停止が複数回発生した場合には、その複数回の単独停止と反復停止の回数との間の前後関係が判別可能となるように、複数回発生した各単独停止のイベント間で、それぞれ何回ずつ反復停止イベントが起きたかを記録するようなフォーマットにしても良い。
具体的には、プローブ情報S3の記載情報の収集を開始した地点から、最初の単独停止の検出までに発生した反復停止の回数、N回目の単独停止とN+1回目の単独停止の間に発生した反復停止の回数、および、最後の単独停止が検知されてからプローブ情報S3を送信するまでの間に発生した反復停止の回数が、それぞれ区別可能なように、プローブ情報S3を生成することにしても良い。
【0075】
また、単独停止だけではなく、方向変動や一定距離走行といった反復停止以外の各イベントと反復停止の回数との間の前後関係が判別可能となるように、プローブ情報S3を生成するようにしても良い。
例えば、車載装置2の制御部209は、単独停止の後で方向変動イベントが発生したのであれば、その間に何回の反復停止が発生したかをプローブ情報S3に記載する。
このように、反復停止以外の各イベント(単独停止、方向変動、一定距離走行)が記録される間に何回反復停止が発生したかを記録する場合のプローブ情報S3のフォーマットとしては、例えば、ヘッダだけでなく、属性項目ごとに停止回数を設定する方法を採用することができる。
【0076】
〔プローブ情報のビット割り当て〕
図9は、プローブ情報S3に記す各種情報のビット割り当てを示す表である。
図9に示すように、単独停止の場合の停止時間は8ビットで表され、当初ビットの値で秒と分の場合に区分し、残りの7ビットで時間を表すようになっている。このため、1秒を最小単位として、16進数で0x01(1秒)から0xff(127分)までの時間を割り当てることができる。
【0077】
また、方向変動の場合の絶対方位は、北を「1」とし、時計回りに16単位として割り当てられている。
更に、一定距離走行や方向変動の場合の、前回イベントからの走行距離には8ビットが割り当てられており、1ビットが5m単位になっている。この場合、16進数で0x01(5m)から0xff(1275m)までの走行距離を割り当てることができる。
【0078】
〔その他の変形例〕
上記実施形態は例示であって本発明の範囲を制限するものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の構成と均等の範囲内のすべての変更が本発明に含まれる。
【0079】
例えば、上記実施形態では、プローブ情報S3を光ビーコン6との光通信でアップリンクしているが、プローブ情報S3は、携帯電話機等を含む電波による無線通信手段によってインフラ側に送信することもできる。
また、本発明は、中央装置4が広域制御を行う場合に限らず、LANに含まれる複数の交通信号制御機1aが、中央装置4による制御とは別個のグループ単位での系統制御又は広域制御を行う場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 交通信号機
1a 交通信号制御機
1b 信号灯器
2 車載装置(プローブ情報生成装置)
3 車両感知器
4 中央装置
5 プローブ車両
6 光ビーコン
204 光通信部
205 記憶部(情報記憶手段)
209 制御部(イベント判定手段、情報生成手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を走行中の車両のプローブ情報を生成して外部に送信するプローブ情報生成装置であって、
走行中に前記車両に生じる複数種類のイベントを選択的に前記プローブ情報に含めて記憶可能な情報記憶手段と、
信号待ちによる停止である単独停止と、信号待ちによる停止ではない反復停止とを、別個の前記イベントとして判定するイベント判定手段と、
前記単独停止については、その停止位置を前記プローブ情報に含めて当該プローブ情報を生成し、前記反復停止については、その停止位置を前記プローブ情報に含めずに当該プローブ情報を生成する情報生成手段と、
を備えていることを特徴とするプローブ情報作成装置。
【請求項2】
前記イベント判定手段は、前記車両の速度が所定の第1閾値を超えた状態から減少して当該車両が停止した場合を、前記単独停止と判定し、
前記車両が停止状態から再発進した後、前記第1閾値未満の範囲で前記車両の速度が増減してから当該車両が停止した場合を、前記反復停止と判定する請求項1に記載のプローブ情報作成装置。
【請求項3】
前記情報生成手段は、前記単独停止及び前記反復停止のいずれのイベントの場合も、その停止回数を前記プローブ情報に含めて当該プローブ情報を生成する請求項1又は2に記載のプローブ情報作成装置。
【請求項4】
前記情報生成手段は、前記単独停止については、その停止位置に加えて更にその再発進時刻を前記プローブ情報に含めて当該プローブ情報を生成する請求項1〜3のいずれか1項に記載のプローブ情報生成装置。
【請求項5】
前記イベント判定手段は、前記車両の速度が所定の第2閾値を下回った時点の位置を前記停止位置と判定する請求項1〜4のいずれか1項に記載のプローブ情報作成装置。
【請求項6】
前記情報生成手段は、前記単独停止が複数回発生した場合には、その複数回の前記単独停止と前記反復停止の回数との間の前後関係が判別可能となるように、前記プローブ情報を生成する請求項1〜5のいずれか1項に記載のプローブ情報生成装置。
【請求項7】
前記情報生成手段は、前記単独停止と前記反復停止以外の他の前記イベントを含む前記プローブ情報を生成する場合には、前記単独停止及び他の前記イベントと前記反復停止の回数との間の前後関係が判別可能となるように、前記プローブ情報を生成する請求項1〜6のいずれか1項に記載のプローブ情報生成装置。
【請求項8】
道路を走行中の車両のプローブ情報を生成して外部に送信するプローブ情報生成装置であって、
走行中に前記車両に生じる複数種類のイベントを選択的に前記プローブ情報に含めて記憶可能な情報記憶手段と、
右折時における交差点内での停止である右折停止と、単路での方位変更中の停止である単路停止とを、別個の前記イベントとして判定するイベント判定手段と、
前記右折停止については、前記プローブ情報に含めない停止イベントとし、前記単路停止については、前記プローブ情報に含めない停止イベントとする情報生成手段と、
を備えていることを特徴とするプローブ情報生成装置。
【請求項9】
前記情報記憶手段は道路地図情報を記憶しており、
前記イベント判定手段は、前記車両の走行位置が前記道路地図情報におけるどの位置であるかに基づいて、方位変更中の前記車両の停止が前記右折停止か前記単路停止かを判別する請求項8に記載のプローブ情報生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−244315(P2010−244315A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−92647(P2009−92647)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】