プローブ装置
【課題】検査精度を向上させるとともに、重量安定性の高い被検者への装着が容易なプローブ装置を提供する。
【解決手段】生体表面に光を照射する光照射部と、生体内部を通過して生体表面から出射する光を検出する光検出部とを備えるプローブ装置において、シート状のプローブ保持体200と、プローブ保持体に取り付けられる複数の発光プローブ300及び検出プローブ400と、プローブ保持体に取り付けられた基板保持部241と、基板保持部に取り付けられる電子基板1000と、プローブ保持体を頭部に保持するシート保持部500と、シート保持部を被検者に装着するための固定バンド部600とを含んで構成し、電子基板は、所定の領域内の複数の発光プローブ及び検出プローブのそれぞれの動作を制御する複数のプローブ制御基板243と、複数のプローブ制御基板を統括制御し、他の装置との通信等を行うメイン制御基板242とを含んで構成されている。
【解決手段】生体表面に光を照射する光照射部と、生体内部を通過して生体表面から出射する光を検出する光検出部とを備えるプローブ装置において、シート状のプローブ保持体200と、プローブ保持体に取り付けられる複数の発光プローブ300及び検出プローブ400と、プローブ保持体に取り付けられた基板保持部241と、基板保持部に取り付けられる電子基板1000と、プローブ保持体を頭部に保持するシート保持部500と、シート保持部を被検者に装着するための固定バンド部600とを含んで構成し、電子基板は、所定の領域内の複数の発光プローブ及び検出プローブのそれぞれの動作を制御する複数のプローブ制御基板243と、複数のプローブ制御基板を統括制御し、他の装置との通信等を行うメイン制御基板242とを含んで構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体光計測装置用のプローブ装置に係り、特に、生体内の局所的な血液動態変化を計測するために使用して好適な生体光計測装置用のプローブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体光計測装置として、光トポグラフ装置と呼ばれる計測装置が知られている。この装置は、光照射/検出部を持つプローブ本体を多数配置したプローブ装置を、各プローブ本体が計測部位、例えば、頭部に密着するように取り付けて、各プローブ本体から近赤外線を照射して計測を行うというものである。
【0003】
従来技術によるプローブ装置は被検者の頭部形状に合わせて椀形に形成されたシート材によるシェル部に、複数のプローブ本体を格子状に配置して構成されている。個々のプローブ本体は、シェル部から取り外し可能であり、プローブ本体が毛髪等により頭皮との接触が不完全であることがモニタ画面により確認された場合、その部分のプローブだけを装着し直すことが可能とされている。このように構成されるプローブ装置は、これを被検者の頭部に装着する場合、被験者の頭部形状の個人差や装着部位の違いにより、必ずしも頭部にフィットするとは限らないので、固定ベルトをあごに掛けてシェル部をしっかりと頭部に押し付けるようにして使用される。そして、計測に当っては、各光ファイバーを介して送られてくる近赤外線を発光用プローブ本体を介して頭部の皮下に向けて照射し、その
反射光を受光用プローブ本体で受け、光ファイバーを介して計測装置本体に送り返す構造を備えている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−286449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来技術のプローブ装置は、シェル部に対して光を照射する発光部と検出部が交互に格子状に配列されており、これら発光部と検出部にはそれぞれ光ファイバーを介して光を供給したり、あるいは検出した検出光を光ファイバを介して収集する構造を備えている。このため、このプローブ装置を頭部に装着した被検者は、頭部の周囲に複数のファイバーが取り付けられるため、被検者の行動の自由度を阻害したり、あるいは被検者に不安感を抱かせる課題がある。
【0006】
本発明の目的とするころは、制御基板の発熱の影響がない高精度な測定が可能で、且つ重量バランスが良好であり被検者への装着性が良好なプローブ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係るプローブ装置は、生体表面に光を照射する光照射部と、生体内部を通過して生体表面から出射する光を検出する光検出部とを備えるプローブ装置であって、シート状のプローブ保持体と、該プローブ保持体に所定の間隔で取り付けられる複数の発光プローブ及び複数の検出プローブと、前記プローブ保持体の所定の位置に取り付けられた基板保持部と、該基板保持部に取り付けられる電子基板と、前記プローブ保持体を被検者の頭部の所定の位置に保持するシート保持部と、該シート保持部を被検者に装着するための固定バンド部とを含んで構成し、前記電子基板は、所定の領域内の複数の発光プローブ及び検出プローブのそれぞれの動作を制御する複数のプローブ制御基板と、当該複数のプローブ制御基板を統括制御し、他の装置との通信等を行うメイン制御基板とを含んで構成され、前記基板保持部は、プローブ制御基板を取り付けるための第1基板保持部と、メイン制御基板を取り付けるための第2基板保持部とを含んでいる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、制御基板の発熱の影響がない高精度な測定が可能で、且つ重量バランスが良好であり被検者への装着性が良好なプローブ装置を提供すること
ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図1から図11を参照して、この実施の形態に係る生体光計測装置を具体的に説明する。この実施の形態に係る生体光計測装置は、脳のある部位が活動をすると、それに伴って、その部位に酸素を送る為の血液量が増大することを利用して、生体内の局所的な血液動態変化を計測する装置である。具体的には、頭皮上から近赤外光を照射し、この近赤外光が血液中のヘモグロビンによる散乱を計測することで、大脳の表面付近の血液量の変化を計測し、それを2次元的なマップ等に表わすなどして簡便に脳の働きを観察することができる。ここで、近赤外光とは、可視光より波長の長い領域の電磁波である。
【0010】
先ず、図1を参照して、この実施の形態に係る生体光計測装置のプローブ装置の概略構造を説明する。ここで、図1はこの実施の形態に係るプローブ装置の概略構成図であり、(a)図がプローブ装置の外観斜視図、(b)図が(a)図のA−A破線部の断面図を示している。
【0011】
図1において、この実施の形態に係るプローブ装置100は、シート状のプローブ保持体200と、このプローブ保持体200に所定の間隔で取り付けられる複数の発光プローブ300及び複数の検出プローブ400と、プローブ保持体200の所定の位置に取り付けられた基板保持部241と、この基板保持部241に取り付けられる電子基板1000と、前記プローブ保持体200を被検者の頭部(検査部位)の所定の位置に保持するシート保持部500と、このシート保持部500を被検者に装着するための固定バンド部600とを含んで構成される。
【0012】
前記電子基板1000は、所定の領域内の複数の発光プローブ300及び検出プローブ400のそれぞれの動作を制御する複数のプローブ制御基板243と、当該複数のプローブ制御基板243を統括制御し、他の装置との通信等を行うメイン制御基板242とを含んで構成され、これに伴って、前記基板保持部241は、プローブ制御基板243を取り付けるための第1基板保持部241aと、メイン制御基板242や図示しない電源部を取り付けるための第2基板保持部241bとが準備されている。ここで、前記複数のプローブ制御基板243と前記メイン制御基板242とはそれぞれ配線シート240により動作可能に接続される。
【0013】
この実施の形態では、横長形状のプローブ保持体200の下部に、複数の発光プローブ300及び複数の検出プローブ400を配置し、その上部に複数のプローブ制御基板243を備えた第1基板保持部241aを配置し、プローブ保持体200の両側にメイン制御基板242や他の電源部560(図2参照)を取り付けるための第2基板保持部241bを配置している。また、配線シート240は信号や電源の配線を包含する配線機能を有し、この配線シート240を積層部材の内部に組み込むことも可能である。
【0014】
前記プローブ保持体200は、複数のシート材を積層した積層部材であり、発光プローブ300と検出プローブ400の姿勢を維持できる柔軟性のある保持機能と、外光の頭部への進入を防ぐ遮光機能とを備えている。
【0015】
即ち、このプローブ保持体200は、その平面上に、発光プローブ300の両隣に検出プローブ400を位置するように、交互にかつマトリックス状に配置されるように複数の発光プローブ300と複数の検出プローブ400とを支持し、それらの上部位置において発光プローブ300、検出プローブ400をそれぞれ制御する基板が配置されている。また、このプローブ保持体200は、前記2種類のプローブの姿勢を保持する適度の柔軟性と強度を備えるとともに、検査部位への外光の侵入を防止し、かつ発汗に伴う通気性をも確保している。
【0016】
前記発光プローブ300と複数の検出プローブ400は、図1の下部右側の吹き出し内に示すように、同様な構造を備えている。ここでは、検出プローブ400の構造を中心に説明し、発光プローブ300については検出プローブ400との相違点を中心に説明する。
【0017】
図1の下部右側の吹き出し内に示すように、検出プローブ400は、検出ユニット411を備えた検出プローブ本体410と、この検出プローブ本体410をプローブ保持体200の前記所定の位置に取り付ける検出プローブ取付部450とから構成される。一方、発光プローブ300は、前記検出ユニット411と同様な構造を有する発光ユニット311を備えた発光プローブ本体310と、この発光プローブ本体310をプローブホルダ200の前記所定の位置に取り付ける発光プローブ取付部350とから構成される。さらに、検出プローブ本体410と発光プローブ本体310は、その露出面を覆う同じ構造を備えたキャップ部700が取り付けられる。なお、このキャップ部700は、その機能を識別するために異なる色彩を施すようにしてもよい。
【0018】
検出プローブ本体410と発光プローブ本体310は、いずれも、被検者側に主突起部412を備え、この主突起部412の先端と検出ユニット411または発光ユニット311とを連通する光フアイバー413が設けられている。そして、この実施の形態では、この主突起部412の周囲に複数のサブ突起部414を配置した構造を採用している。また、発光プローブ300も同様に被検者50との接触面60に照射用の光フアイバー413を備えた主突起部412を備え、この主突起部412の周囲に複数のサブ突起部414を配置した「複数の点からなる面接触」構造を採用している。
【0019】
また、検出プローブ本体410と発光プローブ本体310は、主突起部412を中心に回転可能に前記検出プローブ取付部450または発光プローブ取付部350に取り付けられている。この複数のサブ突起部414と回転構造によれば、被検者の毛髪の掻き分け機能と、プローブ自身の姿勢制御を図ることができる。
【0020】
また、基板保持部241は、電子基板1000を着脱可能に保持する基板保持部本体1100と、プローブ保持体200に取り付けられて、基板保持部本体1100を着脱可能に支持する基板取付部1101とを含んで構成される。
【0021】
そして、この実施の形態に係るプローブ装置の大きな特徴の1つは、シート状のプローブ保持体200の周囲を保持して、このプローブ保持体200と披検者の頭皮との間を所定の間隔に維持するとともに、プローブ保持体200と披検者の頭皮とで遮光された遮光空間501を確保するシート保持部500を採用した点にある。この遮光空間501を形成した実施の形態によれば、検出プローブ本体410と発光プローブ本体310の姿勢を変更するに十分な空間で、かつ、発汗に伴う通気性を確保するに十分な空間が確保される。しかも、このシート保持部500は、ゴムなどの軟質材料で形成されるため、被検者への装着が容易である。
【0022】
また、この実施の形態に係るプローブ装置の他の大きな特徴の1つは、プローブ装置100に電子基板1000や電源部560(図2参照)を設けた点にある。即ち、この実施の形態では、メイン制御基板242と、その反対側の側面に図2に示す電源機能を有する電子基板を有している。また、メイン制御基板242には差動増幅器とA/D変換器とプローブ通信部、制御部などを内蔵している。このため、プローブ装置を装着することでスタンバイ状態をとることができるので、相応性の向上を図ることができる。また、プローブ制御基板243やメイン制御基板242などの電子基板1000がプローブ保持部500の周囲を囲むように配置されているため、重量バランス均衡が図れ、装着性の良いプローブ装置が実現できる。
【0023】
また、この実施の形態に係るプローブ装置の他の大きな特徴の1つは、プローブ保持体200に対して、発光プローブ本体310や検出プローブ本体410及び電子基板1000などを着脱可能に取り付けた点にある。即ち、発光プローブ本体310や検出プローブ本体410及び電子基板1000は、発光プローブ取付部350や検出プローブ取付部450及び基板取付部1101を介して、プローブ保持体200に対して着脱可能に取り付けられている。特に、この実施の形態では、発光プローブ取付部350と検出プローブ取付部450に加えて基板取付部1101をこれらと同一形状の構造とし、更に、基板取付部1101の配列を発光プローブ取付部350と検出プローブ取付部450のマトリックス状配列の一部としている。
【0024】
したがって、この構造によれば、発光プローブ本体310または検出プローブ本体410に代えて基板保持部本体1100を取り付けて電子基板1000を取り付けることができる。もちろん、基板保持部本体1100を独自に設けるようにしても良い。
【0025】
以下、図2から図11を参照して、この実施の形態に係る検査装置をさらに詳細に説明する。なお、同一部位や矢印などは同一符号を以って示し、重複した説明を省略する。
【0026】
先ず、図2を参照して、この第1の実施の形態に係る生体光計測装置の概略構造を説明する。ここで、図2は生体光計測装置の概略構成図である。
【0027】
図2において、符号1で総括的に示す生体光計測装置は、被検者の頭部に装着するプローブ装置100と、このプローブ装置100から出力される電気信号を画像処理してマップ等の表示を行う生体光計測装置本体10とを含んで構成される。前記したように、この実施の形態に係るプローブ装置100は、シート状のプローブ保持体200と、このプローブ保持体200に所定の間隔で取り付けられる複数の発光プローブ300及び複数の検出プローブ400と、プローブ保持体200の所定の位置に取り付けられた基板保持部241と、この基板保持部241に取り付けられる電子基板1000と、前記プローブ保持体200を被検者の頭部(検査部位)の所定の位置に保持するシート保持部500と、このシート保持部500を被検者に装着するための固定バンド部600とを含んで構成される。また、前記電子基板1000は、所定の領域内の複数の発光プローブ300及び検出プローブ400のそれぞれの動作を制御する複数のプローブ制御基板243と、当該複数のプローブ制御基板243を統括制御し、他の装置との通信等を行うメイン制御基板242とから構成され、これに伴って、前記基板保持部241は、プローブ制御基板243を取り付けるための第1基板保持部241aと、メイン制御基板242や図示しない電源部を取り付けるための第2基板保持部241bとが準備されている。
【0028】
この実施の形態では、プローブ装置100を、プローブ保持体200を略横長の長方形に形成し、このプローブ保持体200の周囲を厚み(奥行き)のあるシート保持部500で囲い、このシート保持部500の長手方向の両端に固定バンド部600を取り付けることにより、「ゴーグル形状」の外観を備えるようにしている。そして、この実施の形態によれば、前記プローブ保持体200の長手方向を被検者の頭部の横姿勢となる方向で被検者の頭部に押し当ててセットする。この姿勢であれば、前記プローブ保持体200は、シート保持部500を介して、被検者の頭部の所定の位置に、所定の隙間を以って、しかも遮光された遮光空間501を確保してセットされる。しかも、シート保持部500は柔軟性のある材料で形成されるので、ほぼ球体状の被検者の頭部の形状に合わせて湾曲する形状とすることができるから、このプローブ保持体200を被検者の頭部にフイットさせることができる。さらにまた、固定バンド部600は長さ調整可能な既存の構造を備えているので、被検者の体系に合わせてプローブ装置100を被検者の頭部の所定の位置にセットすることができる。
【0029】
また、このシート保持部500は、長手方向の片側側面に電子基板502と、その反対側側面にメイン制御基板242を備えている。即ち、図2の左下の吹き出し内に示すように、電子基板502は電源部560を備え、メイン制御基板242は差動増幅器550とA/D変換器551とプローブ通信部552と、制御部を少なくとも備えている。この実施の形態では、プローブ保持体200に積層されるようにメイン制御基板242、プローブ制御基板243、電子基板502とを接続する配線シート240が採用されている。この配線シート240は複数の帯状シートより構成されており、プローブ保持体200にマトリックス状に配置された孔部305に嵌合させてそれぞれ配列された発光プローブ300と検出プローブ400の間を這うように配線されている。そして、発光、受光プローブの各々には、それぞれが配列されるよりも上段の孔部305に取り付けられた第1基板保持部241aによって保持されたプローブ制御基板243から配線シート240が配線されように構成されている。
【0030】
この実施の形態では、配線シート240はプローブ保持体表面の縦方向に延びる中心線に対して、左右に分断された構造を備えて、プローブ制御基板243と発光プローブ300と検出プローブ400とが配線シート240により接続され、当該プローブ制御基板240と両側に配置される電子基板502、メイン制御基板242とが配線シート240により接続されている。このとき、配線シート240のプローブ制御基板243から、発光、受光それぞれのプローブまでの長さは、それに到達するだけの十分な長さを有していることはもちろんであるが、プローブ装置の着脱、被検体の動作等を考慮し、断線を防ぐために、プローブ制御基板243、メイン制御基板242に所謂遊びを持たせるように、長さに余裕を持たせ十分確保する必要がある。
【0031】
なお、この実施の形態では、マトリックス状に配置される発光プローブ300と検出プローブ400を上下に分け、これを上下一対の配線シート240でその更に上部近傍に配置されたプローブ制御基板243に配線しているが、これに限定されるものではない。例えば、発光プローブ300と検出プローブ400とを分けて、これを左右に配線する構造でもよく、あるいは、一行ごとに左右に分けて配線してもよい。また、検出・発光プローブが2行8列で形成された孔部にマトリクス上に配置された構成を採用しているが、これに限るものではなく、更に多数行、多数列の孔部に対応することも可能である。尚、プローブ制御基板についても、2行2列毎にプローブ制御基板243を順次配置する構成を採用しているが、基板数はこれに限定されるものではない。
【0032】
さらにまた、この実施の形態では電子基板502をシート保持部500に設けたが、電子基板502をコードを介して接続される別体のホルダ基板部に設けてもよい。
【0033】
一方、複数の発光プローブ300と検出プローブ400は、斜線で示した発光プローブ300の両隣に検出プローブ400を位置するように、交互にかつマトリックス状に配置される。このため、1つの発光プローブ3Aから照射された光は、X方向とY方向の両隣に配置される3個の検出プローブ4A、4B、4C、の検出部411で検出することができる。言い換えれば、1つの検出プローブ400は、X方向とY方向の両隣に配置される3個の発光プローブ300から照射された光を検出することができる。つまり、この実施の形態によれば、プローブ装置100が装着されている領域全体の血液動態変化を計測することができる。
ここで検出された信号はそれぞれのプローブが対応するプローブ制御部243内の信号処理部、制御部を介してメイン制御基板242に伝送され、このメイン制御基板242を介して本体10に伝送される。また、本体10からの入力信号についても上記のフローで信号が各プローブに伝達され、動作が制御されている。
【0034】
また、発光プローブ300と検出プローブ400は、図2の下部の吹き出し内に示すように、同様な構造を備えている。ここでは、検出プローブ400の構造を中心に説明し、発光プローブ300については検出プローブ400との相違点を中心に説明する。
【0035】
前記発光ユニット311は、図2の左上の吹き出し内に示した光源部315と外来起因の雑音を除去するために発振器316とを備えている。ここで、発光部311としては、半導体レーザ、チタンサファイアレーザ、発光ダイオード等を用いることができるが、この実施の形態では発光ダイオードを備えた発光部311を採用した発光プローブ本体310の事例で説明している。
【0036】
また、前記検出ユニット411は、図2の右上の吹き出し内に示した検出部415とロックアップ416と対数増幅器417とを備えている。ここで、検出部411としては、フォトダイオードや光電子増倍管等の光電変換素子を用いることができるが、この実施の形態ではフォトダイオードを備えた検出部411を採用した検出プローブ本体410の事例で説明している。
【0037】
他方、前記生体光計測装置本体10は、計算機11と、表示部12と、本体通信部13とを含んで構成される。この実施の形態では、この生体光計測装置本体10と前記プローブ装置100にそれぞれ本体通信部13とプローブ通信部552を設けることにより、この生体光計測装置本体10とプローブ装置100とをコードレスで電気的に接続することができる。このため、プローブ装置100を頭部に装着した被検者は、前記生体光計測装置本体10とコードを介して接続されること無く、電気的に接続されるため、このコード類による束縛を受けることなく、被検者の検査結果を前記生体光計測装置本体10で計測することができる。
また、本体側からの制御指令信号を制御基板内に有するプローブ通信部552より受信し、当該メイン制御基板242内の制御部より、各プローブ制御基板243に制御信号を送信し、当該制御信号に基づき、プローブ制御部243は各検出ユニット411、発光ユニット311を個別に制御する。
【0038】
この生体光計測装置1によれば、電子基板502の電源部560から電源供給を受けて光源部315から発せられる約1.5mWの弱い近赤外光(光)は、図示しないレンズ系を用いて光源部315内で集光されて、この光源部315の下部に設けられる突起部412の照射用の光ファイバー413を介して被検者50の頭部に照射される。光源部315から発せられる光は、外来起因の雑音を除去するために発振器316により100Hz〜10MHz程度の任意の周波数fで強度変調されている。
【0039】
用いる光の波長は、生体内の注目物質の分光特性によるが、血液内のHbとHbO2との濃度から酸素飽和度や血液量を計測する場合には600nm〜1400nmの波長範囲の光の中から1あるいは複数波長選択して用いる。被検者50の頭部に照射された光は、照射用の光ファイバー413の視野の領域を通過し、この領域内の血管等の局所的に血液動態が変化する領域を通過して、検出部411の下部に形成される突起部412の検出用の光ファイバー413を介して検出部415で検出される。
【0040】
検出用の光ファイバー413を介して検出部411で検出された光は、この検出部411で光電変換され、通過光の強度が電気信号の強度として出力される。複数の検出部411から出力された通過光強度を表わす電気信号は、それぞれのロックアンプ416により光源の光強度変調周波数成分のみが抽出され、それぞれの対数増幅器417で対数変換された後に配線シート240を介してプローブ制御部243からメイン制御基板242に収集される。
【0041】
複数の検出部411で収集された信号はメイン制御基板242の差動増幅器550に入力される。この差動増幅器14では、例えば、検出プローブ400aからの出力は負極に入力され、検出プローブ400bからの出力は正極に入力され、その結果として、異なる2ヵ所の位置での通過光強度の差分信号が、出力信号として出力される。この差動増幅器14からの出力信号は、逐次A/D変換器15でデジタル信号に変換され、プローブ通信部552を介して生体光計測装置本体10に送信される。
【0042】
本体通信部13を介して生体光計測装置本体10に受信した信号は計算機16に取り込まれて処理された後、表示装置17に時系列データとして表示される。ここで、この実施の形態では、本体通信部13とプローブ通信部552とを無線通信方式のものを採用しているが、赤外線や他の通信手段を介して信号の送受信を行うようにしても良い。もちろん、コードを介して接続してもよいが、その場合、被検者の行動の自由度が束縛されることになる。
【0043】
また、この実施の形態では、図2の下部の吹き出し内に図示するように、シート状のプローブ保持体200を、このプローブ保持体200の外表面に設けられる外シート221と、このプローブ保持体200の被検者の頭部側の内表面に設けられる内シート222と、外シート221と内シート222との間に設けられる遮光シート223とで構成している。この実施の形態では、前記外シート221と内シート222を、5mmから10mmの厚さの範囲で形成される樹脂繊維で形成される立体織物地で構成する。
【0044】
この立体織物地は、一般に、三次元織物とも呼ばれるものであり、縦、横、垂直の3方向に繊維材料(糸状)を立体的に組織した織物であり、連結糸の素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等から製造されるポリエステル系繊維、綿、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン、精製セルロース繊維等のセルロース系繊維、ナイロ6、ナイロン66等から製造されるポリアミド系繊維等、何れの繊維であってもよい。繊維の形態は、フィラメント糸やスパン糸の何れの繊維を採用してもよい。
【0045】
この実施の形態では、この立体織物地を採用することことにより、その適度な厚みで、前記発光プローブ取付部350または検出プローブ取付部450を軽量化を図りつつ、しっかり保持するとともに、この織物地内に形成される空間を介して被検者の発汗を良好なものとすることができる。
【0046】
一方、遮光シート223は、立体織物地で形成されるプローブ保持部220の遮光性の悪さを向上するものであり、この実施の形態では、黒色の樹脂繊維の布地を外シート221と内シート222間に挿入する。この遮光シート223の採用により、外光がプローブ保持部220内に進入することを防ぐとともに、頭皮から反射する反射光も吸収して測定性能を向上する効果も期待できる。
【0047】
また、この実施の形態では、配線シート240はプローブ保持体200に積層するように配置されているが、この積層構造の内部に組み込んでも良い。具体的には外シート221よりも内側の層に配置すれば、外乱による配線の切断等を防止することが可能となるため、この位置に配置するのが良い。このように、外シート221と内シート222の間に配置されることで配線シート240の不要な折れ曲がり等を防ぐことができ、断線防止にも繋がる。また、配線シート240として、例えば、薄い樹脂フイルムの表面に銅箔などを貼り付けた帯状のフレキシブルプリント配線板を採用している。これにより、プローブ保持部220の厚さムラを起こすことなく配線が施された積層構造を実現することができる。
【0048】
また、この実施の形態では、前記プローブ保持体200を熱圧着して、被検者の頭部の湾曲形状に合った湾曲した立体形状に形成している。
【0049】
また、この実施の形態では、検出プローブ本体410の主突起部412の周囲に複数のサブ突起部414を配置した「複数の点からなる面接触」構造を採用している。
【0050】
従来技術の発光プローブや検出プローブは、被検者50との接触面60に照射用または検出用ファイバーを直接または突起部で補強した構造を備えた「1点の点接触」方式を採用している。このため、プローブホルダに複数取り付けられる各プローブ本体の先端部に突出して設けられる光フアイバーの先端部を頭部皮下に対して垂直の姿勢に維持させることが難しいという課題を備えている。従来技術においては、微調整つまみを備えて、光ファイバーの先端部の姿勢を変更可能としたものがあるが、多くのプローブの垂直の姿勢を調整することに時間がかかるなどの課題を備えている。
【0051】
この実施の形態では、被検者50の生体表面(接触面60)との接触を、その軸心に前記光照射手段(発光部311)または光検出手段(検出部411)と外部を連通する光伝達手段(照射用ファイバー313または検出用ファイバー413)を備えた主突起部412と、この主突起部412の周囲に突出する長さが略同じ長さの複数のサブ突起部414を備えた構造としているので、前記光伝達手段を生体表面に垂直な姿勢で支持し易くすることができる。
【0052】
この実施の形態では、図2の下部吹き出しに図示したように、前記主突起部412の同心円P1、P2上に各4個のサブ突起部414を等間隔に設けることで、4方向の傾きを抑制することができるので、前記従来技術の課題を軽減することができる。
【0053】
特に、この実施の形態では、シート保持部500を介して、プローブ保持体200の上部への突出寸法を短く、プローブ保持体200と生体表面(接触面60)との間の距離を長く形成しているので、プローブ保持体200に保持される発光プローブ300と検出プローブ400は、主突起部412の先端を生体表面(接触面60)に密着しにくくなる。
この点、この実施の形態では、サブ突起部414により4方向の傾きを抑制することができるので、前記課題を解決することができる。
【0054】
なお、サブ突起部414は主突起部412の周囲に3個以上あれば、サブ突起部414を備えた検出プローブ本体410が垂直な姿勢で自立するので、前記同様な効果が期待できる。
【0055】
また、この実施の形態では、サブ突起部414を柔軟性のある樹脂材料やゴムやエラストマ等のやや軟質の材料により形成することで、被検者50に優しく、かつ、検出プローブ本体410の垂直姿勢をし易くすることができる。前記したように発光プローブ300も同様な構造を備えることで同様な作用効果を得ることができる。
【0056】
また、この実施の形態では、主突起部412と複数のサブ突起部414を主突起部412を中心に回転可能に支持している。この種の生体光計測装置においては、生体表面の毛髪が邪魔をして被検者50の生体表面に光フアイバーの先端を密着させ難い課題がある。しかし、従来技術においては、プローブと頭部皮下との接点が「1点接触」となっているため、この光フアイバーの先端部で毛髪を掻き分けて調節することとなるため、毛髪を掻き分けてながら多くのプローブの垂直の姿勢を調節することに時間がかかるとの課題を備えている。
【0057】
この実施の形態では、主突起部412とサブ突起部414を備えた発光プローブ本体310と検出プローブ本体410が主突起部412を中心に回転可能に支持されるので、このサブ突起部414を回転させることにより、サブ突起部414の先端が毛髪を掻き分けるから、検出用ファイバー413の先端部を生体表面に密着させ易くなる。しかも、サブ突起部414が主突起部412を中心に回転することにより、検出プローブ本体410の垂直な姿勢を取りやすくすることができる。
【0058】
更に、サブ突起部414を柔軟性のある材料で形成することで、検出用ファイバー413を軸心に備えることでサブ突起部414より強度のある主突起部412を中心に柔軟性のあるサブ突起部414が回転することで、毛髪の掻き分けや姿勢制御を容易に行うことができる。加えて、この実施の形態では、主突起部412の周囲に2段のサブ突起部414を備えることで、回転する範囲を少なくしても毛髪を掻き分けることができる。
【0059】
なお、前記したように発光プローブ300も同様な構造を備えることで同様な作用効果を得ることができる。
【0060】
また、この実施の形態では、発光プローブ本体310と検出プローブ本体410をプローブ保持体200の外表面に露出させ、この露出部にキャップ部700を取り付けることにより、このキャップ部700を介して、発光プローブ本体310と検出プローブ本体410を回転させることができる。これにより、プローブ装置100を被検者に取り付けた状態でもプローブ保持体200の外表面に露出したキャップ部700を指などで摘んで回転させることができるから、簡単に前記サブ突起部414を回転させることができるから、前記毛髪の掻き分けや姿勢の変更を簡単に行うことができる。
【0061】
また、この実施の形態では、発光プローブ本体310と検出プローブ本体410のキャップ部700で覆われる部分に、信号コネクタ418を設けている。これにより、キャップ部700の着脱により結線が容易となる。しかも、前記結線は、発光プローブ本体310と検出プローブ本体410の回転に影響されないので断線が少なく、また、その結線部はキャップ部700により隠蔽されるので、結線部の脱落がなく美観も向上する。
【0062】
また、この実施の形態では、発光プローブ本体310と検出プローブ本体410を、発光ユニット311または検出ユニット411を備えた第1筺体421と、この第1筺体421の周囲に回転可能に取り付けられる第2筺体422とで構成している。前記第1筺体421は、主突起部412とサブ突起部414が設けられ、前記第2筺体422は、発光プローブ取付部350または検出プローブ取付部450と着脱可能に取り付けられている。
【0063】
この構造によれば、前記主突起部412とサブ突起部414を備えた第1筺体421を回転させることができるし、また、第1筺体421と第2筺体422とからなる検出プローブ本体410を検出プローブ取付部450から着脱することができる。
また、前記第2筺体422は、バネ体423を備えているので、このバネ体423を介して第1筺体421を被検者方向にスライド移動させることができるので、被検者の頭部の凹凸に合わせて複数の点接触からなる面的接触の密着度を向上させることができる。
【0064】
次に、図3から図7を参照して検出プローブの周辺構造を更に詳細に説明する。図3は、検出プローブの周辺構造の展開図である。図4は検出プローブの周辺構造の展開図である。図5と図6は検出プローブの断面図である。図7が検出プローブの回転状態の説明図であり、(a)図が外観斜視図、(b)図が底面図である。ここで、前記したように、発光プローブ300は検出プローブ400と同様な構造を備えているため、ここでは説明を省略する。
【0065】
図3において、プローブ保持体200は、所定の位置に検出プローブ取付部450を取り付けるための複数の開口部224が設けられている。そして、このプローブ保持体200は、一対の外シート221と内シート222との間に、遮光シート223が設けられる積層構造を備えている。
【0066】
さて、この実施の形態では、検出プローブ取付部450を高さの低い筒状の外観を備え、その一端側に一対の外周に張り出したリング状のフランジ部454が設けられ、一対のフランジ部454の間に開口部224を嵌合して固定される。
【0067】
この実施の形態では、組み立てにあったっては、予め開口部224が形成された外シート221と内シート222と遮光シート223を準備し、この順番でしかも前記開口部224で位置合わせして熱圧着して接合する。また、この接合の際内シートと外シートの間に配線シート240を介在させる場合には、前記開口部224から配線シート240の結線端子を露出させて熱圧着することで、後の検出プローブ400との接合が容易となる。
【0068】
周囲を所定の大きさに切断されたプローブ保持体200は、その周囲端部をシート保持部500の内側に形成した接合溝503に挿入して接着剤などで固定する。この固定の際に、配線シート240の他端を電子基板502に接合させる。
【0069】
一方、プローブ保持体200の所定の位置に固定された検出プローブ取付部450(発光プローブ取付部350)には、検出プローブ本体410(発光プローブ本体310)が着脱可能に取り付けられる。そして、検出プローブ取付部450に取り付けられた検出プローブ本体410は、その上部に設けた信号コネクタ418に前記配線シート240の結線端子240aを接続する。
【0070】
また、前記検出プローブ本体410の上部には信号コネクタ418に隣接してキャップ取付穴419が設けてあり、このキャップ取付穴419にキャップ部700に形成した接続棒701(図5参照)を挿入してキャップ部700を取り付けることができる。
【0071】
次に、図4から図8を参照して、検出プローブ本体410の具体的な構造と検出プローブ取付部450との取り付け構造を説明する。図4において、検出プローブ本体410は円柱形状の第1筺体筒状421と、その周囲に配置される第2筺体422とから構成される。
【0072】
図4において、第1筺体筒状421は、円柱形状の上面に前記信号コネクタ418とキャップ取付穴419が設けられ、円柱形状の下面には主突起部412と複数のサブ突起部414が設けられている。更に、円柱形状の周側面の下端部には外側に張り出したフランジ424が形成され、周側面の上端部には対向する位置に1対の突起部425が設けられている。
【0073】
一方、第2筺体422は、筒状の外周筺体426とコイル状のバネ体423とから構成される。外周筺体426の上端部は対向する位置に一段低く形成される凹部427が形成され、凹部427と90度ずれた位置に外側と上方(中心軸方向)に張り出した把持部428が形成される。この把持部428は、検出プローブ本体410と検出プローブ取付部450との着脱にのための指摘み部として利用することができる。
【0074】
そして、第1筺体421と第2筺体422は、第1筺体421の外周にバネ体423が挿入され、次に外周筺体426が挿入されて、フランジ224と突起部425との間にバネ体423と外周筺体426とが挟まれて保持されるように組み立てられる。この構造によれば、バネ体423の一端はフランジ224に固定され、他端は外周筺体426を突起部425側に押し付けるように作用する。他方、外周筺体426は一端側は突起部425に阻止されて移動できないが、他端側へはバネ体423が伸縮するので第1筐体421をスライド移動させることができる。
【0075】
また、前記外周筺体426の外周には対向する位置に一対の固定突起429設けられる。一方、検出プローブ取付部450の内面には、上端から下方に伸び、更に横に伸びるL型の結合溝451が形成される。この構造によれば、組み立てられた検出プローブ本体410を、外周筺体426の固定突起429が検出プローブ取付部450の結合溝451に合うように挿入して、そして回転させれば、検出プローブ取付部450に検出プローブ本体410を固定することができる。
【0076】
このように、この実施の形態では、検出プローブ取付部450に対して検出プローブ本体410を簡単に着脱することができるので、検出プローブ本体410のメンテナンスが容易である。
【0077】
また、この実施の形態では、第1筺体421は、その周側面に設けた突起部425が外周筺体426の凹部427に填まり込み、突起部425が凹部427上を円周方向に移動することで検出プローブ本体410を回転することできる。したがって、検出プローブ本体410の回転は凹部427の円周方向の角度Θ1の範囲で揺動するように回転させることができる。これは、回転範囲を自由にすると、信号コネクタ418と結線端子を230aとの結線に障害が生じ、また、毛髪の掻き分け動作や検出プローブ本体410の姿勢変更は揺れる動作で十分目的を達成できることに起因する。
【0078】
図5において、筒状の検出プローブ取付部450は、内側に張り出したフランジ452をその内面の下端部に形成している。検出プローブ取付部450と検出プローブ本体410の固定は、外周筺体426が検出プローブ取付部450に固定されることで行われるので、外周筺体426に対してスライド移動する第1筺体421は、第1筺体421の下端を前記フランジ452に常に押し付けられるように作用している。
【0079】
これに対し、図6に示すように、被検者側から圧力Qが加わると、(b)図にようにバネ体423が伸びた状態から(c)図に示すようにバネ体423が縮むように作用する。これにより、(a)図に示すように、第1筺体421が上方に移動して、被検者側から圧力Qを吸収するように作用する。これにより、複数の検出プローブ本体410と発光プローブ本体310のそれぞれが被検者の頭部の凹凸に合わせ検出プローブ本体410及び発光プローブ本体310の主突起部412の先端を被検者の頭皮に密着させることができるので、結果として、それぞれの第1筺体421が検出プローブ取付部450に対してH1だけ上方に突出して圧力Qを吸収するから、前記プローブ装置100全体を被検者の頭部にフイットさせることができる。
【0080】
図5に戻り、第1筺体421は、検出ユニット411を備えた主筺体430と、主突起部412とサブ突起部414を備えたクッション材料部431とに分割されている。クッション材料部431は軟質材料から形成され、被検者の頭皮に痛みを与えることなく接触することができる。そして、クッション材料部431は接着材で主突起部412に取り付けられ、消耗品として交換可能である。
【0081】
また、図7(b)図に示すように、サブ突起部414は、頂点に丸みを持たせた逆円錐台形状に形成されるとともに、内側から外側に向かって開くように形成される。これにより、常に複数のサブ突起部414の先端を被検者の頭皮に密着させるように作用する。即ち、検出プローブ本体410を被検者の頭皮に対して自立するように作用させることができる。この自立は、検出プローブ本体410を回転させることで、より作用させることができる。なお、この実施の形態では、外側のサブ突起部414が、検出プローブ本体410の姿勢の制御に大きく貢献するので内側のサブ突起部414より太く形成している。また、内側のサブ突起部414は、外側のサブ突起部414と主突起部412の間を埋めるものであり、主突起部412とサブ突起部414とで「複数の点からなる面接触」構造としている。これにより、被検者に痛さを感じさせないで、検出プローブ本体410を自立させるとともに、この「面接触」内に存在する毛髪をサブ突起部414を回転させることで掻き分け効率を向上させて、主突起部412の先端を頭皮に密着させることができる。
【0082】
図5に戻り、キャップ部700は断面形状をドーム状に形成され、この内面から接続棒701が下方に垂れて形成される。これにより、キャップ部700を指で摘んで回転させると、その回転力は接続棒701とキャップ取付穴419との連結により、第1筺体421に設けたサブ突起部414を回転させることができる。なお、結線端子を230aはキャップ部700と検出プローブ本体410との隙間を介してキャップ部700内に取り込まれ信号コネクタ418に接続される。
【0083】
また、図7に示すように、キャップ部700は、第2筺体422に設けた一対の把持部428を回避するように、その両側に切欠部702が形成される。この切欠部702は、図4で説明したように、第2筺体422の凹部427の円周方向の角度Θ1と同じに形成される。そして、図7の(a)図に示すように、この角度Θ1の大きさを備えた切欠部702によれば、この一対の切欠部702を親指と人差し指でキャップ部700を摘むのに適した形状とすることができる。
【0084】
一方、キャップ部700に切欠部702を形成することにより、この切欠部702に嵌まり込んで配置される一対の把持部428を親指と人差し指で摘みやすくすることができるから、検出プローブ本体410を回転させて検出プローブ取付部450から簡単に着脱することができる。
【0085】
次に、図8を参照して、プローブ制御基板243やメイン制御基板242などの電子基板1000を保持する基板保持部241を構成する基板保持部本体1100の具体的構造について説明する。
【0086】
図8(a)はプローブ制御基板243を保持する第1基板保持部241aの基板保持部本体1100aの一例を示す図であり、紙面左から左側面図、正面図、裏面図を構成している。ここで、801は基板を保持するためのツメ部であり、これにより当該プローブ装置を被検体に装着しているときに、基板の落下や無駄な動きを防止する。ここでは、ツメ部801を有する構成としたが、接着剤等の粘着性のある部材を基板と保持部材の間に介在させることで当該基板を保持することももちろん可能である。
【0087】
また、802は基板取付部1101との接合部であり、基板取付部1101の孔部305(図9(c)図参照)に当該接合部802を嵌合させる構成としている。ここで803はプローブ保持体200に対し固定保持するための固定部材である。このように、この実施の形態では、基板取付部1101に基板保持部本体1100aを嵌合させることで、基板保持部本体1100aをしっかりとプローブ保持体200に固定することができ、電子基板1000を保持した状態でも当該プローブ装置100を安定して装着することが可能となる。
【0088】
このように、基板取付部1101に基板保持部本体1100を嵌合させることができるので、検査したい対象部位のある部分にのみ基板保持部241を装着することも可能であるし、図1の例では、基板保持部241を最も上段の列にそれぞれ順次配列した構造となっているが、下段ないし中段に配置することも可能である。
【0089】
しかし、図1のように、最も上段に基板を配置することによって、電子基板1000自体から生じる熱を効率よく逃がすことができ、検出プローブ400の熱におけるノイズの影響を防ぐことができるため、少なくとも検出プローブ400よりも上部に電子基板1000を配置することが望ましい。
【0090】
また、基板取付部1101に基板保持部本体1100を嵌合配置することで、電子基板1000をプローブに重ねて配置する場合に比べ、厚みを少なくすることが可能となる。更に、本実施例では、プローブ制御基板243を保持する第1基板保持部241aをひとつ置きに規則的に配置しているため重量バランスも保たれることになり、装着性も向上する。このように装着性が向上することで、本体のぐらつきを抑制でき、測定の安定性を確保することができる。
【0091】
図8(b)はメイン制御基板242を保持する第2基板保持部241bである。これについても図8(a)と同様の構成であるが、メイン制御基板242はプローブ制御基板243に比して大きいため、プローブ保持体200の側面に配置させるのが良い。そのため、プローブ保持体200に形成されたマトリクス状の孔部305の内、末端の孔部305に勘合するように着脱可能に接続させる。あるいは、マトリクス状に配置される発光プローブ取付部350または検出プローブ取付部450の末端の前記取付部に勘合するように着脱可能に接続させるようにしてもよい。そして接合部から横方向にメイン制御基板242を保持する部分を形成させ、更に図8(a)と同様なツメ部801を備えている。
【0092】
また、図示していないが、基板保持部241の接合部802の先端にはサブ突起部414を取り付けることができる。このサブ突起部414を取り付けることで、被検体の頭皮により密着した固定ができるため、安定性も向上する。
【0093】
図9は、プローブ装置100に装着されたプローブ及び基板を保護するための保護カバー900の一例を示す図である。図9(a)はプローブ装置100に保護カバー900を装着したときの側面図である。この保護カバーは柔軟性のある立体織物構造ないし網目状に形成されたゴム状、プラスチック等の部材で形成されている。また、910は保護カバー枠であり、これによって外部からの光を遮断することが可能となる。この保護カバー枠910とプローブ装置100との接合は、プローブ装置側100ないし保護カバー枠910側に凹凸をそれぞれ形成しておき、嵌合させる構造でも良いし、保護カバー910自体を嵌め込み可能な凹部をプローブ装置に形成しておき嵌合させるような構成を採っても良い。また、マジックテープ、螺子、接着剤等で着脱可能に固定することも可能である。
【0094】
図9(b)は保護カバー900をプローブ装置100に装着した状態の正面図であり、図9(c)は図9(b)のA−A断面図である。図9(c)は保護カバー900をプローブ装置100に装着した状態の断面図であり、孔部305には上段から基板保持部241aに保持されたプローブ制御基板243と、その中段には受光部400、その下段には発光部300が取り付けられている。
【0095】
このように、保護カバー900を設けることにより、外乱要素のひとつである、外部からの衝撃や、基板、プローブの落下による破損を防ぐことができる。
更に、保護カバーを装着することで、外光を遮断することができることになるため、検出感度も向上する。
【0096】
次に、図10、図11を参照して、この実施の形態に係るプローブ装置100の他の応用例を説明する。図11は光源として光フアイバを使用した状態の説明図であり、(a)図が使用状態の側面図、(b)図が部分拡大図である。図11は、他の配線シートの応用例を示す外観図であり、(a)図が配線シートの外観図、(b)図が配線シートの組み状態の説明図である。
【0097】
先ず、図10において、前記した実施の形態では、発光プローブ300は発光ダイオードを備えた発光部311を採用したもので説明したが、この発光部311を備えた発光プローブ本体310に代えて、外部で生成した光源を伝達する光フアイバが接続される図示しない発光プローブ本体を取り付けるようにしてもよい。この場合、結線端子を230a(図5(a)図参照)に代えて光フアイバ1200を配線することで、他の構造を大きく変更する必要はない。しかし、各発光プローブ300に光フアイバ1200を導く課題があるが、この場合、図10に示すように、締付アダプタ650を準備し、光フアイバ1200を取り付けるようにすれば、光フアイバを整理して配線することができる。
【0098】
ここで、図10を参照して、このプローブ装置100において光ファイバ1200が配線された状態の構造について説明する。(b)図に示すように、この実施の形態では、扁平なリング状のワッシャ部材651の両端に光ファイバ保持突起部652を備えた締付アダプタ650を準備し、これをプローブ保持体200とともに前記フランジ部454に取り付けたり、あるいはキャップ部700を取り付ける際に中段の発光プローブ300と検出プローブ400を取り付ける。また、ベルト601を取り付けるシート保持部500に光ファイバ取付部653を設け、光ファイバ取付部653を通した光ファイバ654を、この光ファイバ取付部653に取り付けるようにする。
【0099】
また、この実施の形態では、シート保持部500に対してベルト601の一端をやや下方に取り付ける構造としている。これにより、ベルト固定部602を被検者の首の後ろに位置させることで、シート保持部500の装着性を向上させている。また、この実施の形態では、このプローブ装置100の装着性を一層向上する手段として、第2の固定バンド部610をシート保持部500に対してやや上方に取り付けることができる(破線部参照)。この第2の固定バンド部610によれば、被検者の頭部の上方でプローブ装置100を固定することができる。したがって、この2つの固定バンド部を取り付ければ、被検者の頭部を囲む3点、即ち、シート保持部500による頭部前部と、固定バンド部600による首の後部と、第2の固定バンド部610による頭部後部上方とを介してプローブ装置
100を確り保持させることができるの、脱落の危険性のある動作時の検査に有効である。
【0100】
また、図11において、この実施の形態に係る配線シート240aは、プローブ装置100の外部で生成した光源を光フアイバを介して発光プローブ300に導くタイプのプローブ装置のための配線シート240である。
【0101】
外部光源を使用する発光プローブ本体を常時使用する場合、プローブ保持体200の上段に取り付けられたプローブ制御基板243から配線された配線シート240は不要である。そこで、図11の(a)図に示す検出プローブ400専用に配線する配線シート240を採用するとよい。
【0102】
このとき、プローブ制御基板243は不要となるため、第1基板保持部241aをプローブ保持体200から取り外し、新たに検出プローブ400と発光プローブをマトリクス状配置になるように取り付ければ、測定対象範囲が広がり、広範囲計測が可能となる。また、メイン制御基板242を保持する基板保持部241は取り外さずに、対応する電子基板1000を新たに装着するか、転用可能な電子基板1000であれば配線シート240を電子基板502及びメイン制御基板242に配線シート240を装着するだけでよい。
【0103】
このように、発光プローブ300は発光ダイオードを用いる形態と、光ファイバを用いる形態との両方を同一のプローブ保持体を用いることができるため、用途に応じて最適な条件にて計測を行うことが可能となる。
【0104】
また、前記第1の実施の形態で採用した配線シート240とこの配線シート240aは、湾曲して形成されるプローブ保持体200に整合するように、予め球面に沿って形成される。ここでの説明は、配線シート240で説明するが、この構造は配線シート240aでも採用することができる。
【0105】
この実施の形態に係るプローブ装置100は、被検者の球状の頭部形状にフイットするように湾曲して形成される。特に、プローブ保持体200は積層構造をもって湾曲して形成するために工夫が必要である。そこで、この実施の形態では、(a)図に示すように、予め球面に沿って形成される配線シート240を採用している。
【0106】
この配線シート240aは、前記配線シート240と同様に左右1対の構造を備えて形成される。この配線シート240aは、端部に形成されるベース材261から帯状の枝材262を数本引き出して、この枝材262が更に枝分かれする構造となっている。この枝分かれした端部263は、短冊状に形成され、プローブ保持体200の開口部224から露出するように形成される。
【0107】
この実施の形態によれば、予め湾曲した図示しない金型を準備し、この金型に内シート222、遮光シート223、配線シート240、外シート221の順で、かつ、開口部224を介して位置あわせするとともに、この配線シート240の端部242が開口部224から露出するように積層して、熱圧着して成型する。この成型の際、内シート222と遮光シート223と外シート221は織物地であるので、フラットなシート状の織物地から立体的な織物地への変形が容易であるが、配線が施された通常の配線シートは、この成型に対応できず、しわがよったりする成型不良を生じる課題がある。
【0108】
しかし、この実施の形態に係る配線シート240aは事前に球面に合わせて成型され、しかも、複数の枝分かれ構造となっているので、(b)図に示すように、開口部224から端部242が露出した成型物250を形成することができる。この成型物250は、周囲を切り取ることでプローブ保持体200を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】プローブ装置の概略構成図である。
【図2】生体光計測装置の概略構成図である。
【図3】検出プローブの周辺構造の展開図である。
【図4】検出プローブの周辺構造の展開図である。
【図5】検出プローブの断面図である。
【図6】検出プローブの伸縮機構の説明図である。
【図7】検出プローブの回転状態の説明図である。
【図8】基板保持部材の一例を示す図である。
【図9】保護カバーをプローブ装置に装着したときの外観図である。
【図10】プローブ装置の光ファイバ束ね構造を示す図である。
【図11】配線シートの応用例を示す図である。
【符号の説明】
【0110】
1…生体光計測装置、10…生体光計測装置本体、11…計算機、12…表示部、13…本体通信部、100…プローブ装置、200…プローブ保持体、221…外シート、222…内シート、223…遮光シート、224…開口部、240…配線シート、241…基板保持部、第1基板保持部241a、第2基板保持部241b、242…メイン制御基板、243…プローブ制御基板、250…成型物、261…ベース材、262…枝材、263…端部、300…発光プローブ、305…孔部、310…発光プローブ本体、311…発光ユニット、315…光源部、316…発振器、350…発光プローブ取付部、400…検出プローブ、410…検出プローブ本体、411…検出ユニット、412…主突起部、413…光フアイバー、414…サブ突起部、415…検出部、416…ロックアンプ、417…対数増幅器、418…信号コネクタ、419…キャップ取付穴、421…第1筺体、422…第2筺体、423…バネ体、424…フランジ、425…突起部、426…外周筺体、427…凹部、428…把持部、429…固定突起、430…主筺体、431…クッション材料部、450…検出プローブ取付部、451…結合溝、454…フランジ部、500…シート保持部、501…遮光空間、502…電子基板配置、503…接合溝、550…差動増幅器、551…A/D変換器、552…プローブ通信部、560…電源部、600…固定バンド部、601…ベルト、602…ベルト固定部、610…第2の固定バンド部、650…締付アダプタ、651…ワッシャ部材、652…光ファイバ保持突起部、653…光ファイバ取付部、654…光ファイバ、700…キャップ部、701…接続棒、702…切欠部、801…ツメ部、802…接合部、803…固定保持部、900…保護カバー、910…保護カバー枠、1000…電子基板、1100…基板保持部本体、1101…基板取付部、1200…光ファイバ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体光計測装置用のプローブ装置に係り、特に、生体内の局所的な血液動態変化を計測するために使用して好適な生体光計測装置用のプローブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体光計測装置として、光トポグラフ装置と呼ばれる計測装置が知られている。この装置は、光照射/検出部を持つプローブ本体を多数配置したプローブ装置を、各プローブ本体が計測部位、例えば、頭部に密着するように取り付けて、各プローブ本体から近赤外線を照射して計測を行うというものである。
【0003】
従来技術によるプローブ装置は被検者の頭部形状に合わせて椀形に形成されたシート材によるシェル部に、複数のプローブ本体を格子状に配置して構成されている。個々のプローブ本体は、シェル部から取り外し可能であり、プローブ本体が毛髪等により頭皮との接触が不完全であることがモニタ画面により確認された場合、その部分のプローブだけを装着し直すことが可能とされている。このように構成されるプローブ装置は、これを被検者の頭部に装着する場合、被験者の頭部形状の個人差や装着部位の違いにより、必ずしも頭部にフィットするとは限らないので、固定ベルトをあごに掛けてシェル部をしっかりと頭部に押し付けるようにして使用される。そして、計測に当っては、各光ファイバーを介して送られてくる近赤外線を発光用プローブ本体を介して頭部の皮下に向けて照射し、その
反射光を受光用プローブ本体で受け、光ファイバーを介して計測装置本体に送り返す構造を備えている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−286449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来技術のプローブ装置は、シェル部に対して光を照射する発光部と検出部が交互に格子状に配列されており、これら発光部と検出部にはそれぞれ光ファイバーを介して光を供給したり、あるいは検出した検出光を光ファイバを介して収集する構造を備えている。このため、このプローブ装置を頭部に装着した被検者は、頭部の周囲に複数のファイバーが取り付けられるため、被検者の行動の自由度を阻害したり、あるいは被検者に不安感を抱かせる課題がある。
【0006】
本発明の目的とするころは、制御基板の発熱の影響がない高精度な測定が可能で、且つ重量バランスが良好であり被検者への装着性が良好なプローブ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係るプローブ装置は、生体表面に光を照射する光照射部と、生体内部を通過して生体表面から出射する光を検出する光検出部とを備えるプローブ装置であって、シート状のプローブ保持体と、該プローブ保持体に所定の間隔で取り付けられる複数の発光プローブ及び複数の検出プローブと、前記プローブ保持体の所定の位置に取り付けられた基板保持部と、該基板保持部に取り付けられる電子基板と、前記プローブ保持体を被検者の頭部の所定の位置に保持するシート保持部と、該シート保持部を被検者に装着するための固定バンド部とを含んで構成し、前記電子基板は、所定の領域内の複数の発光プローブ及び検出プローブのそれぞれの動作を制御する複数のプローブ制御基板と、当該複数のプローブ制御基板を統括制御し、他の装置との通信等を行うメイン制御基板とを含んで構成され、前記基板保持部は、プローブ制御基板を取り付けるための第1基板保持部と、メイン制御基板を取り付けるための第2基板保持部とを含んでいる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、制御基板の発熱の影響がない高精度な測定が可能で、且つ重量バランスが良好であり被検者への装着性が良好なプローブ装置を提供すること
ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図1から図11を参照して、この実施の形態に係る生体光計測装置を具体的に説明する。この実施の形態に係る生体光計測装置は、脳のある部位が活動をすると、それに伴って、その部位に酸素を送る為の血液量が増大することを利用して、生体内の局所的な血液動態変化を計測する装置である。具体的には、頭皮上から近赤外光を照射し、この近赤外光が血液中のヘモグロビンによる散乱を計測することで、大脳の表面付近の血液量の変化を計測し、それを2次元的なマップ等に表わすなどして簡便に脳の働きを観察することができる。ここで、近赤外光とは、可視光より波長の長い領域の電磁波である。
【0010】
先ず、図1を参照して、この実施の形態に係る生体光計測装置のプローブ装置の概略構造を説明する。ここで、図1はこの実施の形態に係るプローブ装置の概略構成図であり、(a)図がプローブ装置の外観斜視図、(b)図が(a)図のA−A破線部の断面図を示している。
【0011】
図1において、この実施の形態に係るプローブ装置100は、シート状のプローブ保持体200と、このプローブ保持体200に所定の間隔で取り付けられる複数の発光プローブ300及び複数の検出プローブ400と、プローブ保持体200の所定の位置に取り付けられた基板保持部241と、この基板保持部241に取り付けられる電子基板1000と、前記プローブ保持体200を被検者の頭部(検査部位)の所定の位置に保持するシート保持部500と、このシート保持部500を被検者に装着するための固定バンド部600とを含んで構成される。
【0012】
前記電子基板1000は、所定の領域内の複数の発光プローブ300及び検出プローブ400のそれぞれの動作を制御する複数のプローブ制御基板243と、当該複数のプローブ制御基板243を統括制御し、他の装置との通信等を行うメイン制御基板242とを含んで構成され、これに伴って、前記基板保持部241は、プローブ制御基板243を取り付けるための第1基板保持部241aと、メイン制御基板242や図示しない電源部を取り付けるための第2基板保持部241bとが準備されている。ここで、前記複数のプローブ制御基板243と前記メイン制御基板242とはそれぞれ配線シート240により動作可能に接続される。
【0013】
この実施の形態では、横長形状のプローブ保持体200の下部に、複数の発光プローブ300及び複数の検出プローブ400を配置し、その上部に複数のプローブ制御基板243を備えた第1基板保持部241aを配置し、プローブ保持体200の両側にメイン制御基板242や他の電源部560(図2参照)を取り付けるための第2基板保持部241bを配置している。また、配線シート240は信号や電源の配線を包含する配線機能を有し、この配線シート240を積層部材の内部に組み込むことも可能である。
【0014】
前記プローブ保持体200は、複数のシート材を積層した積層部材であり、発光プローブ300と検出プローブ400の姿勢を維持できる柔軟性のある保持機能と、外光の頭部への進入を防ぐ遮光機能とを備えている。
【0015】
即ち、このプローブ保持体200は、その平面上に、発光プローブ300の両隣に検出プローブ400を位置するように、交互にかつマトリックス状に配置されるように複数の発光プローブ300と複数の検出プローブ400とを支持し、それらの上部位置において発光プローブ300、検出プローブ400をそれぞれ制御する基板が配置されている。また、このプローブ保持体200は、前記2種類のプローブの姿勢を保持する適度の柔軟性と強度を備えるとともに、検査部位への外光の侵入を防止し、かつ発汗に伴う通気性をも確保している。
【0016】
前記発光プローブ300と複数の検出プローブ400は、図1の下部右側の吹き出し内に示すように、同様な構造を備えている。ここでは、検出プローブ400の構造を中心に説明し、発光プローブ300については検出プローブ400との相違点を中心に説明する。
【0017】
図1の下部右側の吹き出し内に示すように、検出プローブ400は、検出ユニット411を備えた検出プローブ本体410と、この検出プローブ本体410をプローブ保持体200の前記所定の位置に取り付ける検出プローブ取付部450とから構成される。一方、発光プローブ300は、前記検出ユニット411と同様な構造を有する発光ユニット311を備えた発光プローブ本体310と、この発光プローブ本体310をプローブホルダ200の前記所定の位置に取り付ける発光プローブ取付部350とから構成される。さらに、検出プローブ本体410と発光プローブ本体310は、その露出面を覆う同じ構造を備えたキャップ部700が取り付けられる。なお、このキャップ部700は、その機能を識別するために異なる色彩を施すようにしてもよい。
【0018】
検出プローブ本体410と発光プローブ本体310は、いずれも、被検者側に主突起部412を備え、この主突起部412の先端と検出ユニット411または発光ユニット311とを連通する光フアイバー413が設けられている。そして、この実施の形態では、この主突起部412の周囲に複数のサブ突起部414を配置した構造を採用している。また、発光プローブ300も同様に被検者50との接触面60に照射用の光フアイバー413を備えた主突起部412を備え、この主突起部412の周囲に複数のサブ突起部414を配置した「複数の点からなる面接触」構造を採用している。
【0019】
また、検出プローブ本体410と発光プローブ本体310は、主突起部412を中心に回転可能に前記検出プローブ取付部450または発光プローブ取付部350に取り付けられている。この複数のサブ突起部414と回転構造によれば、被検者の毛髪の掻き分け機能と、プローブ自身の姿勢制御を図ることができる。
【0020】
また、基板保持部241は、電子基板1000を着脱可能に保持する基板保持部本体1100と、プローブ保持体200に取り付けられて、基板保持部本体1100を着脱可能に支持する基板取付部1101とを含んで構成される。
【0021】
そして、この実施の形態に係るプローブ装置の大きな特徴の1つは、シート状のプローブ保持体200の周囲を保持して、このプローブ保持体200と披検者の頭皮との間を所定の間隔に維持するとともに、プローブ保持体200と披検者の頭皮とで遮光された遮光空間501を確保するシート保持部500を採用した点にある。この遮光空間501を形成した実施の形態によれば、検出プローブ本体410と発光プローブ本体310の姿勢を変更するに十分な空間で、かつ、発汗に伴う通気性を確保するに十分な空間が確保される。しかも、このシート保持部500は、ゴムなどの軟質材料で形成されるため、被検者への装着が容易である。
【0022】
また、この実施の形態に係るプローブ装置の他の大きな特徴の1つは、プローブ装置100に電子基板1000や電源部560(図2参照)を設けた点にある。即ち、この実施の形態では、メイン制御基板242と、その反対側の側面に図2に示す電源機能を有する電子基板を有している。また、メイン制御基板242には差動増幅器とA/D変換器とプローブ通信部、制御部などを内蔵している。このため、プローブ装置を装着することでスタンバイ状態をとることができるので、相応性の向上を図ることができる。また、プローブ制御基板243やメイン制御基板242などの電子基板1000がプローブ保持部500の周囲を囲むように配置されているため、重量バランス均衡が図れ、装着性の良いプローブ装置が実現できる。
【0023】
また、この実施の形態に係るプローブ装置の他の大きな特徴の1つは、プローブ保持体200に対して、発光プローブ本体310や検出プローブ本体410及び電子基板1000などを着脱可能に取り付けた点にある。即ち、発光プローブ本体310や検出プローブ本体410及び電子基板1000は、発光プローブ取付部350や検出プローブ取付部450及び基板取付部1101を介して、プローブ保持体200に対して着脱可能に取り付けられている。特に、この実施の形態では、発光プローブ取付部350と検出プローブ取付部450に加えて基板取付部1101をこれらと同一形状の構造とし、更に、基板取付部1101の配列を発光プローブ取付部350と検出プローブ取付部450のマトリックス状配列の一部としている。
【0024】
したがって、この構造によれば、発光プローブ本体310または検出プローブ本体410に代えて基板保持部本体1100を取り付けて電子基板1000を取り付けることができる。もちろん、基板保持部本体1100を独自に設けるようにしても良い。
【0025】
以下、図2から図11を参照して、この実施の形態に係る検査装置をさらに詳細に説明する。なお、同一部位や矢印などは同一符号を以って示し、重複した説明を省略する。
【0026】
先ず、図2を参照して、この第1の実施の形態に係る生体光計測装置の概略構造を説明する。ここで、図2は生体光計測装置の概略構成図である。
【0027】
図2において、符号1で総括的に示す生体光計測装置は、被検者の頭部に装着するプローブ装置100と、このプローブ装置100から出力される電気信号を画像処理してマップ等の表示を行う生体光計測装置本体10とを含んで構成される。前記したように、この実施の形態に係るプローブ装置100は、シート状のプローブ保持体200と、このプローブ保持体200に所定の間隔で取り付けられる複数の発光プローブ300及び複数の検出プローブ400と、プローブ保持体200の所定の位置に取り付けられた基板保持部241と、この基板保持部241に取り付けられる電子基板1000と、前記プローブ保持体200を被検者の頭部(検査部位)の所定の位置に保持するシート保持部500と、このシート保持部500を被検者に装着するための固定バンド部600とを含んで構成される。また、前記電子基板1000は、所定の領域内の複数の発光プローブ300及び検出プローブ400のそれぞれの動作を制御する複数のプローブ制御基板243と、当該複数のプローブ制御基板243を統括制御し、他の装置との通信等を行うメイン制御基板242とから構成され、これに伴って、前記基板保持部241は、プローブ制御基板243を取り付けるための第1基板保持部241aと、メイン制御基板242や図示しない電源部を取り付けるための第2基板保持部241bとが準備されている。
【0028】
この実施の形態では、プローブ装置100を、プローブ保持体200を略横長の長方形に形成し、このプローブ保持体200の周囲を厚み(奥行き)のあるシート保持部500で囲い、このシート保持部500の長手方向の両端に固定バンド部600を取り付けることにより、「ゴーグル形状」の外観を備えるようにしている。そして、この実施の形態によれば、前記プローブ保持体200の長手方向を被検者の頭部の横姿勢となる方向で被検者の頭部に押し当ててセットする。この姿勢であれば、前記プローブ保持体200は、シート保持部500を介して、被検者の頭部の所定の位置に、所定の隙間を以って、しかも遮光された遮光空間501を確保してセットされる。しかも、シート保持部500は柔軟性のある材料で形成されるので、ほぼ球体状の被検者の頭部の形状に合わせて湾曲する形状とすることができるから、このプローブ保持体200を被検者の頭部にフイットさせることができる。さらにまた、固定バンド部600は長さ調整可能な既存の構造を備えているので、被検者の体系に合わせてプローブ装置100を被検者の頭部の所定の位置にセットすることができる。
【0029】
また、このシート保持部500は、長手方向の片側側面に電子基板502と、その反対側側面にメイン制御基板242を備えている。即ち、図2の左下の吹き出し内に示すように、電子基板502は電源部560を備え、メイン制御基板242は差動増幅器550とA/D変換器551とプローブ通信部552と、制御部を少なくとも備えている。この実施の形態では、プローブ保持体200に積層されるようにメイン制御基板242、プローブ制御基板243、電子基板502とを接続する配線シート240が採用されている。この配線シート240は複数の帯状シートより構成されており、プローブ保持体200にマトリックス状に配置された孔部305に嵌合させてそれぞれ配列された発光プローブ300と検出プローブ400の間を這うように配線されている。そして、発光、受光プローブの各々には、それぞれが配列されるよりも上段の孔部305に取り付けられた第1基板保持部241aによって保持されたプローブ制御基板243から配線シート240が配線されように構成されている。
【0030】
この実施の形態では、配線シート240はプローブ保持体表面の縦方向に延びる中心線に対して、左右に分断された構造を備えて、プローブ制御基板243と発光プローブ300と検出プローブ400とが配線シート240により接続され、当該プローブ制御基板240と両側に配置される電子基板502、メイン制御基板242とが配線シート240により接続されている。このとき、配線シート240のプローブ制御基板243から、発光、受光それぞれのプローブまでの長さは、それに到達するだけの十分な長さを有していることはもちろんであるが、プローブ装置の着脱、被検体の動作等を考慮し、断線を防ぐために、プローブ制御基板243、メイン制御基板242に所謂遊びを持たせるように、長さに余裕を持たせ十分確保する必要がある。
【0031】
なお、この実施の形態では、マトリックス状に配置される発光プローブ300と検出プローブ400を上下に分け、これを上下一対の配線シート240でその更に上部近傍に配置されたプローブ制御基板243に配線しているが、これに限定されるものではない。例えば、発光プローブ300と検出プローブ400とを分けて、これを左右に配線する構造でもよく、あるいは、一行ごとに左右に分けて配線してもよい。また、検出・発光プローブが2行8列で形成された孔部にマトリクス上に配置された構成を採用しているが、これに限るものではなく、更に多数行、多数列の孔部に対応することも可能である。尚、プローブ制御基板についても、2行2列毎にプローブ制御基板243を順次配置する構成を採用しているが、基板数はこれに限定されるものではない。
【0032】
さらにまた、この実施の形態では電子基板502をシート保持部500に設けたが、電子基板502をコードを介して接続される別体のホルダ基板部に設けてもよい。
【0033】
一方、複数の発光プローブ300と検出プローブ400は、斜線で示した発光プローブ300の両隣に検出プローブ400を位置するように、交互にかつマトリックス状に配置される。このため、1つの発光プローブ3Aから照射された光は、X方向とY方向の両隣に配置される3個の検出プローブ4A、4B、4C、の検出部411で検出することができる。言い換えれば、1つの検出プローブ400は、X方向とY方向の両隣に配置される3個の発光プローブ300から照射された光を検出することができる。つまり、この実施の形態によれば、プローブ装置100が装着されている領域全体の血液動態変化を計測することができる。
ここで検出された信号はそれぞれのプローブが対応するプローブ制御部243内の信号処理部、制御部を介してメイン制御基板242に伝送され、このメイン制御基板242を介して本体10に伝送される。また、本体10からの入力信号についても上記のフローで信号が各プローブに伝達され、動作が制御されている。
【0034】
また、発光プローブ300と検出プローブ400は、図2の下部の吹き出し内に示すように、同様な構造を備えている。ここでは、検出プローブ400の構造を中心に説明し、発光プローブ300については検出プローブ400との相違点を中心に説明する。
【0035】
前記発光ユニット311は、図2の左上の吹き出し内に示した光源部315と外来起因の雑音を除去するために発振器316とを備えている。ここで、発光部311としては、半導体レーザ、チタンサファイアレーザ、発光ダイオード等を用いることができるが、この実施の形態では発光ダイオードを備えた発光部311を採用した発光プローブ本体310の事例で説明している。
【0036】
また、前記検出ユニット411は、図2の右上の吹き出し内に示した検出部415とロックアップ416と対数増幅器417とを備えている。ここで、検出部411としては、フォトダイオードや光電子増倍管等の光電変換素子を用いることができるが、この実施の形態ではフォトダイオードを備えた検出部411を採用した検出プローブ本体410の事例で説明している。
【0037】
他方、前記生体光計測装置本体10は、計算機11と、表示部12と、本体通信部13とを含んで構成される。この実施の形態では、この生体光計測装置本体10と前記プローブ装置100にそれぞれ本体通信部13とプローブ通信部552を設けることにより、この生体光計測装置本体10とプローブ装置100とをコードレスで電気的に接続することができる。このため、プローブ装置100を頭部に装着した被検者は、前記生体光計測装置本体10とコードを介して接続されること無く、電気的に接続されるため、このコード類による束縛を受けることなく、被検者の検査結果を前記生体光計測装置本体10で計測することができる。
また、本体側からの制御指令信号を制御基板内に有するプローブ通信部552より受信し、当該メイン制御基板242内の制御部より、各プローブ制御基板243に制御信号を送信し、当該制御信号に基づき、プローブ制御部243は各検出ユニット411、発光ユニット311を個別に制御する。
【0038】
この生体光計測装置1によれば、電子基板502の電源部560から電源供給を受けて光源部315から発せられる約1.5mWの弱い近赤外光(光)は、図示しないレンズ系を用いて光源部315内で集光されて、この光源部315の下部に設けられる突起部412の照射用の光ファイバー413を介して被検者50の頭部に照射される。光源部315から発せられる光は、外来起因の雑音を除去するために発振器316により100Hz〜10MHz程度の任意の周波数fで強度変調されている。
【0039】
用いる光の波長は、生体内の注目物質の分光特性によるが、血液内のHbとHbO2との濃度から酸素飽和度や血液量を計測する場合には600nm〜1400nmの波長範囲の光の中から1あるいは複数波長選択して用いる。被検者50の頭部に照射された光は、照射用の光ファイバー413の視野の領域を通過し、この領域内の血管等の局所的に血液動態が変化する領域を通過して、検出部411の下部に形成される突起部412の検出用の光ファイバー413を介して検出部415で検出される。
【0040】
検出用の光ファイバー413を介して検出部411で検出された光は、この検出部411で光電変換され、通過光の強度が電気信号の強度として出力される。複数の検出部411から出力された通過光強度を表わす電気信号は、それぞれのロックアンプ416により光源の光強度変調周波数成分のみが抽出され、それぞれの対数増幅器417で対数変換された後に配線シート240を介してプローブ制御部243からメイン制御基板242に収集される。
【0041】
複数の検出部411で収集された信号はメイン制御基板242の差動増幅器550に入力される。この差動増幅器14では、例えば、検出プローブ400aからの出力は負極に入力され、検出プローブ400bからの出力は正極に入力され、その結果として、異なる2ヵ所の位置での通過光強度の差分信号が、出力信号として出力される。この差動増幅器14からの出力信号は、逐次A/D変換器15でデジタル信号に変換され、プローブ通信部552を介して生体光計測装置本体10に送信される。
【0042】
本体通信部13を介して生体光計測装置本体10に受信した信号は計算機16に取り込まれて処理された後、表示装置17に時系列データとして表示される。ここで、この実施の形態では、本体通信部13とプローブ通信部552とを無線通信方式のものを採用しているが、赤外線や他の通信手段を介して信号の送受信を行うようにしても良い。もちろん、コードを介して接続してもよいが、その場合、被検者の行動の自由度が束縛されることになる。
【0043】
また、この実施の形態では、図2の下部の吹き出し内に図示するように、シート状のプローブ保持体200を、このプローブ保持体200の外表面に設けられる外シート221と、このプローブ保持体200の被検者の頭部側の内表面に設けられる内シート222と、外シート221と内シート222との間に設けられる遮光シート223とで構成している。この実施の形態では、前記外シート221と内シート222を、5mmから10mmの厚さの範囲で形成される樹脂繊維で形成される立体織物地で構成する。
【0044】
この立体織物地は、一般に、三次元織物とも呼ばれるものであり、縦、横、垂直の3方向に繊維材料(糸状)を立体的に組織した織物であり、連結糸の素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等から製造されるポリエステル系繊維、綿、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン、精製セルロース繊維等のセルロース系繊維、ナイロ6、ナイロン66等から製造されるポリアミド系繊維等、何れの繊維であってもよい。繊維の形態は、フィラメント糸やスパン糸の何れの繊維を採用してもよい。
【0045】
この実施の形態では、この立体織物地を採用することことにより、その適度な厚みで、前記発光プローブ取付部350または検出プローブ取付部450を軽量化を図りつつ、しっかり保持するとともに、この織物地内に形成される空間を介して被検者の発汗を良好なものとすることができる。
【0046】
一方、遮光シート223は、立体織物地で形成されるプローブ保持部220の遮光性の悪さを向上するものであり、この実施の形態では、黒色の樹脂繊維の布地を外シート221と内シート222間に挿入する。この遮光シート223の採用により、外光がプローブ保持部220内に進入することを防ぐとともに、頭皮から反射する反射光も吸収して測定性能を向上する効果も期待できる。
【0047】
また、この実施の形態では、配線シート240はプローブ保持体200に積層するように配置されているが、この積層構造の内部に組み込んでも良い。具体的には外シート221よりも内側の層に配置すれば、外乱による配線の切断等を防止することが可能となるため、この位置に配置するのが良い。このように、外シート221と内シート222の間に配置されることで配線シート240の不要な折れ曲がり等を防ぐことができ、断線防止にも繋がる。また、配線シート240として、例えば、薄い樹脂フイルムの表面に銅箔などを貼り付けた帯状のフレキシブルプリント配線板を採用している。これにより、プローブ保持部220の厚さムラを起こすことなく配線が施された積層構造を実現することができる。
【0048】
また、この実施の形態では、前記プローブ保持体200を熱圧着して、被検者の頭部の湾曲形状に合った湾曲した立体形状に形成している。
【0049】
また、この実施の形態では、検出プローブ本体410の主突起部412の周囲に複数のサブ突起部414を配置した「複数の点からなる面接触」構造を採用している。
【0050】
従来技術の発光プローブや検出プローブは、被検者50との接触面60に照射用または検出用ファイバーを直接または突起部で補強した構造を備えた「1点の点接触」方式を採用している。このため、プローブホルダに複数取り付けられる各プローブ本体の先端部に突出して設けられる光フアイバーの先端部を頭部皮下に対して垂直の姿勢に維持させることが難しいという課題を備えている。従来技術においては、微調整つまみを備えて、光ファイバーの先端部の姿勢を変更可能としたものがあるが、多くのプローブの垂直の姿勢を調整することに時間がかかるなどの課題を備えている。
【0051】
この実施の形態では、被検者50の生体表面(接触面60)との接触を、その軸心に前記光照射手段(発光部311)または光検出手段(検出部411)と外部を連通する光伝達手段(照射用ファイバー313または検出用ファイバー413)を備えた主突起部412と、この主突起部412の周囲に突出する長さが略同じ長さの複数のサブ突起部414を備えた構造としているので、前記光伝達手段を生体表面に垂直な姿勢で支持し易くすることができる。
【0052】
この実施の形態では、図2の下部吹き出しに図示したように、前記主突起部412の同心円P1、P2上に各4個のサブ突起部414を等間隔に設けることで、4方向の傾きを抑制することができるので、前記従来技術の課題を軽減することができる。
【0053】
特に、この実施の形態では、シート保持部500を介して、プローブ保持体200の上部への突出寸法を短く、プローブ保持体200と生体表面(接触面60)との間の距離を長く形成しているので、プローブ保持体200に保持される発光プローブ300と検出プローブ400は、主突起部412の先端を生体表面(接触面60)に密着しにくくなる。
この点、この実施の形態では、サブ突起部414により4方向の傾きを抑制することができるので、前記課題を解決することができる。
【0054】
なお、サブ突起部414は主突起部412の周囲に3個以上あれば、サブ突起部414を備えた検出プローブ本体410が垂直な姿勢で自立するので、前記同様な効果が期待できる。
【0055】
また、この実施の形態では、サブ突起部414を柔軟性のある樹脂材料やゴムやエラストマ等のやや軟質の材料により形成することで、被検者50に優しく、かつ、検出プローブ本体410の垂直姿勢をし易くすることができる。前記したように発光プローブ300も同様な構造を備えることで同様な作用効果を得ることができる。
【0056】
また、この実施の形態では、主突起部412と複数のサブ突起部414を主突起部412を中心に回転可能に支持している。この種の生体光計測装置においては、生体表面の毛髪が邪魔をして被検者50の生体表面に光フアイバーの先端を密着させ難い課題がある。しかし、従来技術においては、プローブと頭部皮下との接点が「1点接触」となっているため、この光フアイバーの先端部で毛髪を掻き分けて調節することとなるため、毛髪を掻き分けてながら多くのプローブの垂直の姿勢を調節することに時間がかかるとの課題を備えている。
【0057】
この実施の形態では、主突起部412とサブ突起部414を備えた発光プローブ本体310と検出プローブ本体410が主突起部412を中心に回転可能に支持されるので、このサブ突起部414を回転させることにより、サブ突起部414の先端が毛髪を掻き分けるから、検出用ファイバー413の先端部を生体表面に密着させ易くなる。しかも、サブ突起部414が主突起部412を中心に回転することにより、検出プローブ本体410の垂直な姿勢を取りやすくすることができる。
【0058】
更に、サブ突起部414を柔軟性のある材料で形成することで、検出用ファイバー413を軸心に備えることでサブ突起部414より強度のある主突起部412を中心に柔軟性のあるサブ突起部414が回転することで、毛髪の掻き分けや姿勢制御を容易に行うことができる。加えて、この実施の形態では、主突起部412の周囲に2段のサブ突起部414を備えることで、回転する範囲を少なくしても毛髪を掻き分けることができる。
【0059】
なお、前記したように発光プローブ300も同様な構造を備えることで同様な作用効果を得ることができる。
【0060】
また、この実施の形態では、発光プローブ本体310と検出プローブ本体410をプローブ保持体200の外表面に露出させ、この露出部にキャップ部700を取り付けることにより、このキャップ部700を介して、発光プローブ本体310と検出プローブ本体410を回転させることができる。これにより、プローブ装置100を被検者に取り付けた状態でもプローブ保持体200の外表面に露出したキャップ部700を指などで摘んで回転させることができるから、簡単に前記サブ突起部414を回転させることができるから、前記毛髪の掻き分けや姿勢の変更を簡単に行うことができる。
【0061】
また、この実施の形態では、発光プローブ本体310と検出プローブ本体410のキャップ部700で覆われる部分に、信号コネクタ418を設けている。これにより、キャップ部700の着脱により結線が容易となる。しかも、前記結線は、発光プローブ本体310と検出プローブ本体410の回転に影響されないので断線が少なく、また、その結線部はキャップ部700により隠蔽されるので、結線部の脱落がなく美観も向上する。
【0062】
また、この実施の形態では、発光プローブ本体310と検出プローブ本体410を、発光ユニット311または検出ユニット411を備えた第1筺体421と、この第1筺体421の周囲に回転可能に取り付けられる第2筺体422とで構成している。前記第1筺体421は、主突起部412とサブ突起部414が設けられ、前記第2筺体422は、発光プローブ取付部350または検出プローブ取付部450と着脱可能に取り付けられている。
【0063】
この構造によれば、前記主突起部412とサブ突起部414を備えた第1筺体421を回転させることができるし、また、第1筺体421と第2筺体422とからなる検出プローブ本体410を検出プローブ取付部450から着脱することができる。
また、前記第2筺体422は、バネ体423を備えているので、このバネ体423を介して第1筺体421を被検者方向にスライド移動させることができるので、被検者の頭部の凹凸に合わせて複数の点接触からなる面的接触の密着度を向上させることができる。
【0064】
次に、図3から図7を参照して検出プローブの周辺構造を更に詳細に説明する。図3は、検出プローブの周辺構造の展開図である。図4は検出プローブの周辺構造の展開図である。図5と図6は検出プローブの断面図である。図7が検出プローブの回転状態の説明図であり、(a)図が外観斜視図、(b)図が底面図である。ここで、前記したように、発光プローブ300は検出プローブ400と同様な構造を備えているため、ここでは説明を省略する。
【0065】
図3において、プローブ保持体200は、所定の位置に検出プローブ取付部450を取り付けるための複数の開口部224が設けられている。そして、このプローブ保持体200は、一対の外シート221と内シート222との間に、遮光シート223が設けられる積層構造を備えている。
【0066】
さて、この実施の形態では、検出プローブ取付部450を高さの低い筒状の外観を備え、その一端側に一対の外周に張り出したリング状のフランジ部454が設けられ、一対のフランジ部454の間に開口部224を嵌合して固定される。
【0067】
この実施の形態では、組み立てにあったっては、予め開口部224が形成された外シート221と内シート222と遮光シート223を準備し、この順番でしかも前記開口部224で位置合わせして熱圧着して接合する。また、この接合の際内シートと外シートの間に配線シート240を介在させる場合には、前記開口部224から配線シート240の結線端子を露出させて熱圧着することで、後の検出プローブ400との接合が容易となる。
【0068】
周囲を所定の大きさに切断されたプローブ保持体200は、その周囲端部をシート保持部500の内側に形成した接合溝503に挿入して接着剤などで固定する。この固定の際に、配線シート240の他端を電子基板502に接合させる。
【0069】
一方、プローブ保持体200の所定の位置に固定された検出プローブ取付部450(発光プローブ取付部350)には、検出プローブ本体410(発光プローブ本体310)が着脱可能に取り付けられる。そして、検出プローブ取付部450に取り付けられた検出プローブ本体410は、その上部に設けた信号コネクタ418に前記配線シート240の結線端子240aを接続する。
【0070】
また、前記検出プローブ本体410の上部には信号コネクタ418に隣接してキャップ取付穴419が設けてあり、このキャップ取付穴419にキャップ部700に形成した接続棒701(図5参照)を挿入してキャップ部700を取り付けることができる。
【0071】
次に、図4から図8を参照して、検出プローブ本体410の具体的な構造と検出プローブ取付部450との取り付け構造を説明する。図4において、検出プローブ本体410は円柱形状の第1筺体筒状421と、その周囲に配置される第2筺体422とから構成される。
【0072】
図4において、第1筺体筒状421は、円柱形状の上面に前記信号コネクタ418とキャップ取付穴419が設けられ、円柱形状の下面には主突起部412と複数のサブ突起部414が設けられている。更に、円柱形状の周側面の下端部には外側に張り出したフランジ424が形成され、周側面の上端部には対向する位置に1対の突起部425が設けられている。
【0073】
一方、第2筺体422は、筒状の外周筺体426とコイル状のバネ体423とから構成される。外周筺体426の上端部は対向する位置に一段低く形成される凹部427が形成され、凹部427と90度ずれた位置に外側と上方(中心軸方向)に張り出した把持部428が形成される。この把持部428は、検出プローブ本体410と検出プローブ取付部450との着脱にのための指摘み部として利用することができる。
【0074】
そして、第1筺体421と第2筺体422は、第1筺体421の外周にバネ体423が挿入され、次に外周筺体426が挿入されて、フランジ224と突起部425との間にバネ体423と外周筺体426とが挟まれて保持されるように組み立てられる。この構造によれば、バネ体423の一端はフランジ224に固定され、他端は外周筺体426を突起部425側に押し付けるように作用する。他方、外周筺体426は一端側は突起部425に阻止されて移動できないが、他端側へはバネ体423が伸縮するので第1筐体421をスライド移動させることができる。
【0075】
また、前記外周筺体426の外周には対向する位置に一対の固定突起429設けられる。一方、検出プローブ取付部450の内面には、上端から下方に伸び、更に横に伸びるL型の結合溝451が形成される。この構造によれば、組み立てられた検出プローブ本体410を、外周筺体426の固定突起429が検出プローブ取付部450の結合溝451に合うように挿入して、そして回転させれば、検出プローブ取付部450に検出プローブ本体410を固定することができる。
【0076】
このように、この実施の形態では、検出プローブ取付部450に対して検出プローブ本体410を簡単に着脱することができるので、検出プローブ本体410のメンテナンスが容易である。
【0077】
また、この実施の形態では、第1筺体421は、その周側面に設けた突起部425が外周筺体426の凹部427に填まり込み、突起部425が凹部427上を円周方向に移動することで検出プローブ本体410を回転することできる。したがって、検出プローブ本体410の回転は凹部427の円周方向の角度Θ1の範囲で揺動するように回転させることができる。これは、回転範囲を自由にすると、信号コネクタ418と結線端子を230aとの結線に障害が生じ、また、毛髪の掻き分け動作や検出プローブ本体410の姿勢変更は揺れる動作で十分目的を達成できることに起因する。
【0078】
図5において、筒状の検出プローブ取付部450は、内側に張り出したフランジ452をその内面の下端部に形成している。検出プローブ取付部450と検出プローブ本体410の固定は、外周筺体426が検出プローブ取付部450に固定されることで行われるので、外周筺体426に対してスライド移動する第1筺体421は、第1筺体421の下端を前記フランジ452に常に押し付けられるように作用している。
【0079】
これに対し、図6に示すように、被検者側から圧力Qが加わると、(b)図にようにバネ体423が伸びた状態から(c)図に示すようにバネ体423が縮むように作用する。これにより、(a)図に示すように、第1筺体421が上方に移動して、被検者側から圧力Qを吸収するように作用する。これにより、複数の検出プローブ本体410と発光プローブ本体310のそれぞれが被検者の頭部の凹凸に合わせ検出プローブ本体410及び発光プローブ本体310の主突起部412の先端を被検者の頭皮に密着させることができるので、結果として、それぞれの第1筺体421が検出プローブ取付部450に対してH1だけ上方に突出して圧力Qを吸収するから、前記プローブ装置100全体を被検者の頭部にフイットさせることができる。
【0080】
図5に戻り、第1筺体421は、検出ユニット411を備えた主筺体430と、主突起部412とサブ突起部414を備えたクッション材料部431とに分割されている。クッション材料部431は軟質材料から形成され、被検者の頭皮に痛みを与えることなく接触することができる。そして、クッション材料部431は接着材で主突起部412に取り付けられ、消耗品として交換可能である。
【0081】
また、図7(b)図に示すように、サブ突起部414は、頂点に丸みを持たせた逆円錐台形状に形成されるとともに、内側から外側に向かって開くように形成される。これにより、常に複数のサブ突起部414の先端を被検者の頭皮に密着させるように作用する。即ち、検出プローブ本体410を被検者の頭皮に対して自立するように作用させることができる。この自立は、検出プローブ本体410を回転させることで、より作用させることができる。なお、この実施の形態では、外側のサブ突起部414が、検出プローブ本体410の姿勢の制御に大きく貢献するので内側のサブ突起部414より太く形成している。また、内側のサブ突起部414は、外側のサブ突起部414と主突起部412の間を埋めるものであり、主突起部412とサブ突起部414とで「複数の点からなる面接触」構造としている。これにより、被検者に痛さを感じさせないで、検出プローブ本体410を自立させるとともに、この「面接触」内に存在する毛髪をサブ突起部414を回転させることで掻き分け効率を向上させて、主突起部412の先端を頭皮に密着させることができる。
【0082】
図5に戻り、キャップ部700は断面形状をドーム状に形成され、この内面から接続棒701が下方に垂れて形成される。これにより、キャップ部700を指で摘んで回転させると、その回転力は接続棒701とキャップ取付穴419との連結により、第1筺体421に設けたサブ突起部414を回転させることができる。なお、結線端子を230aはキャップ部700と検出プローブ本体410との隙間を介してキャップ部700内に取り込まれ信号コネクタ418に接続される。
【0083】
また、図7に示すように、キャップ部700は、第2筺体422に設けた一対の把持部428を回避するように、その両側に切欠部702が形成される。この切欠部702は、図4で説明したように、第2筺体422の凹部427の円周方向の角度Θ1と同じに形成される。そして、図7の(a)図に示すように、この角度Θ1の大きさを備えた切欠部702によれば、この一対の切欠部702を親指と人差し指でキャップ部700を摘むのに適した形状とすることができる。
【0084】
一方、キャップ部700に切欠部702を形成することにより、この切欠部702に嵌まり込んで配置される一対の把持部428を親指と人差し指で摘みやすくすることができるから、検出プローブ本体410を回転させて検出プローブ取付部450から簡単に着脱することができる。
【0085】
次に、図8を参照して、プローブ制御基板243やメイン制御基板242などの電子基板1000を保持する基板保持部241を構成する基板保持部本体1100の具体的構造について説明する。
【0086】
図8(a)はプローブ制御基板243を保持する第1基板保持部241aの基板保持部本体1100aの一例を示す図であり、紙面左から左側面図、正面図、裏面図を構成している。ここで、801は基板を保持するためのツメ部であり、これにより当該プローブ装置を被検体に装着しているときに、基板の落下や無駄な動きを防止する。ここでは、ツメ部801を有する構成としたが、接着剤等の粘着性のある部材を基板と保持部材の間に介在させることで当該基板を保持することももちろん可能である。
【0087】
また、802は基板取付部1101との接合部であり、基板取付部1101の孔部305(図9(c)図参照)に当該接合部802を嵌合させる構成としている。ここで803はプローブ保持体200に対し固定保持するための固定部材である。このように、この実施の形態では、基板取付部1101に基板保持部本体1100aを嵌合させることで、基板保持部本体1100aをしっかりとプローブ保持体200に固定することができ、電子基板1000を保持した状態でも当該プローブ装置100を安定して装着することが可能となる。
【0088】
このように、基板取付部1101に基板保持部本体1100を嵌合させることができるので、検査したい対象部位のある部分にのみ基板保持部241を装着することも可能であるし、図1の例では、基板保持部241を最も上段の列にそれぞれ順次配列した構造となっているが、下段ないし中段に配置することも可能である。
【0089】
しかし、図1のように、最も上段に基板を配置することによって、電子基板1000自体から生じる熱を効率よく逃がすことができ、検出プローブ400の熱におけるノイズの影響を防ぐことができるため、少なくとも検出プローブ400よりも上部に電子基板1000を配置することが望ましい。
【0090】
また、基板取付部1101に基板保持部本体1100を嵌合配置することで、電子基板1000をプローブに重ねて配置する場合に比べ、厚みを少なくすることが可能となる。更に、本実施例では、プローブ制御基板243を保持する第1基板保持部241aをひとつ置きに規則的に配置しているため重量バランスも保たれることになり、装着性も向上する。このように装着性が向上することで、本体のぐらつきを抑制でき、測定の安定性を確保することができる。
【0091】
図8(b)はメイン制御基板242を保持する第2基板保持部241bである。これについても図8(a)と同様の構成であるが、メイン制御基板242はプローブ制御基板243に比して大きいため、プローブ保持体200の側面に配置させるのが良い。そのため、プローブ保持体200に形成されたマトリクス状の孔部305の内、末端の孔部305に勘合するように着脱可能に接続させる。あるいは、マトリクス状に配置される発光プローブ取付部350または検出プローブ取付部450の末端の前記取付部に勘合するように着脱可能に接続させるようにしてもよい。そして接合部から横方向にメイン制御基板242を保持する部分を形成させ、更に図8(a)と同様なツメ部801を備えている。
【0092】
また、図示していないが、基板保持部241の接合部802の先端にはサブ突起部414を取り付けることができる。このサブ突起部414を取り付けることで、被検体の頭皮により密着した固定ができるため、安定性も向上する。
【0093】
図9は、プローブ装置100に装着されたプローブ及び基板を保護するための保護カバー900の一例を示す図である。図9(a)はプローブ装置100に保護カバー900を装着したときの側面図である。この保護カバーは柔軟性のある立体織物構造ないし網目状に形成されたゴム状、プラスチック等の部材で形成されている。また、910は保護カバー枠であり、これによって外部からの光を遮断することが可能となる。この保護カバー枠910とプローブ装置100との接合は、プローブ装置側100ないし保護カバー枠910側に凹凸をそれぞれ形成しておき、嵌合させる構造でも良いし、保護カバー910自体を嵌め込み可能な凹部をプローブ装置に形成しておき嵌合させるような構成を採っても良い。また、マジックテープ、螺子、接着剤等で着脱可能に固定することも可能である。
【0094】
図9(b)は保護カバー900をプローブ装置100に装着した状態の正面図であり、図9(c)は図9(b)のA−A断面図である。図9(c)は保護カバー900をプローブ装置100に装着した状態の断面図であり、孔部305には上段から基板保持部241aに保持されたプローブ制御基板243と、その中段には受光部400、その下段には発光部300が取り付けられている。
【0095】
このように、保護カバー900を設けることにより、外乱要素のひとつである、外部からの衝撃や、基板、プローブの落下による破損を防ぐことができる。
更に、保護カバーを装着することで、外光を遮断することができることになるため、検出感度も向上する。
【0096】
次に、図10、図11を参照して、この実施の形態に係るプローブ装置100の他の応用例を説明する。図11は光源として光フアイバを使用した状態の説明図であり、(a)図が使用状態の側面図、(b)図が部分拡大図である。図11は、他の配線シートの応用例を示す外観図であり、(a)図が配線シートの外観図、(b)図が配線シートの組み状態の説明図である。
【0097】
先ず、図10において、前記した実施の形態では、発光プローブ300は発光ダイオードを備えた発光部311を採用したもので説明したが、この発光部311を備えた発光プローブ本体310に代えて、外部で生成した光源を伝達する光フアイバが接続される図示しない発光プローブ本体を取り付けるようにしてもよい。この場合、結線端子を230a(図5(a)図参照)に代えて光フアイバ1200を配線することで、他の構造を大きく変更する必要はない。しかし、各発光プローブ300に光フアイバ1200を導く課題があるが、この場合、図10に示すように、締付アダプタ650を準備し、光フアイバ1200を取り付けるようにすれば、光フアイバを整理して配線することができる。
【0098】
ここで、図10を参照して、このプローブ装置100において光ファイバ1200が配線された状態の構造について説明する。(b)図に示すように、この実施の形態では、扁平なリング状のワッシャ部材651の両端に光ファイバ保持突起部652を備えた締付アダプタ650を準備し、これをプローブ保持体200とともに前記フランジ部454に取り付けたり、あるいはキャップ部700を取り付ける際に中段の発光プローブ300と検出プローブ400を取り付ける。また、ベルト601を取り付けるシート保持部500に光ファイバ取付部653を設け、光ファイバ取付部653を通した光ファイバ654を、この光ファイバ取付部653に取り付けるようにする。
【0099】
また、この実施の形態では、シート保持部500に対してベルト601の一端をやや下方に取り付ける構造としている。これにより、ベルト固定部602を被検者の首の後ろに位置させることで、シート保持部500の装着性を向上させている。また、この実施の形態では、このプローブ装置100の装着性を一層向上する手段として、第2の固定バンド部610をシート保持部500に対してやや上方に取り付けることができる(破線部参照)。この第2の固定バンド部610によれば、被検者の頭部の上方でプローブ装置100を固定することができる。したがって、この2つの固定バンド部を取り付ければ、被検者の頭部を囲む3点、即ち、シート保持部500による頭部前部と、固定バンド部600による首の後部と、第2の固定バンド部610による頭部後部上方とを介してプローブ装置
100を確り保持させることができるの、脱落の危険性のある動作時の検査に有効である。
【0100】
また、図11において、この実施の形態に係る配線シート240aは、プローブ装置100の外部で生成した光源を光フアイバを介して発光プローブ300に導くタイプのプローブ装置のための配線シート240である。
【0101】
外部光源を使用する発光プローブ本体を常時使用する場合、プローブ保持体200の上段に取り付けられたプローブ制御基板243から配線された配線シート240は不要である。そこで、図11の(a)図に示す検出プローブ400専用に配線する配線シート240を採用するとよい。
【0102】
このとき、プローブ制御基板243は不要となるため、第1基板保持部241aをプローブ保持体200から取り外し、新たに検出プローブ400と発光プローブをマトリクス状配置になるように取り付ければ、測定対象範囲が広がり、広範囲計測が可能となる。また、メイン制御基板242を保持する基板保持部241は取り外さずに、対応する電子基板1000を新たに装着するか、転用可能な電子基板1000であれば配線シート240を電子基板502及びメイン制御基板242に配線シート240を装着するだけでよい。
【0103】
このように、発光プローブ300は発光ダイオードを用いる形態と、光ファイバを用いる形態との両方を同一のプローブ保持体を用いることができるため、用途に応じて最適な条件にて計測を行うことが可能となる。
【0104】
また、前記第1の実施の形態で採用した配線シート240とこの配線シート240aは、湾曲して形成されるプローブ保持体200に整合するように、予め球面に沿って形成される。ここでの説明は、配線シート240で説明するが、この構造は配線シート240aでも採用することができる。
【0105】
この実施の形態に係るプローブ装置100は、被検者の球状の頭部形状にフイットするように湾曲して形成される。特に、プローブ保持体200は積層構造をもって湾曲して形成するために工夫が必要である。そこで、この実施の形態では、(a)図に示すように、予め球面に沿って形成される配線シート240を採用している。
【0106】
この配線シート240aは、前記配線シート240と同様に左右1対の構造を備えて形成される。この配線シート240aは、端部に形成されるベース材261から帯状の枝材262を数本引き出して、この枝材262が更に枝分かれする構造となっている。この枝分かれした端部263は、短冊状に形成され、プローブ保持体200の開口部224から露出するように形成される。
【0107】
この実施の形態によれば、予め湾曲した図示しない金型を準備し、この金型に内シート222、遮光シート223、配線シート240、外シート221の順で、かつ、開口部224を介して位置あわせするとともに、この配線シート240の端部242が開口部224から露出するように積層して、熱圧着して成型する。この成型の際、内シート222と遮光シート223と外シート221は織物地であるので、フラットなシート状の織物地から立体的な織物地への変形が容易であるが、配線が施された通常の配線シートは、この成型に対応できず、しわがよったりする成型不良を生じる課題がある。
【0108】
しかし、この実施の形態に係る配線シート240aは事前に球面に合わせて成型され、しかも、複数の枝分かれ構造となっているので、(b)図に示すように、開口部224から端部242が露出した成型物250を形成することができる。この成型物250は、周囲を切り取ることでプローブ保持体200を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】プローブ装置の概略構成図である。
【図2】生体光計測装置の概略構成図である。
【図3】検出プローブの周辺構造の展開図である。
【図4】検出プローブの周辺構造の展開図である。
【図5】検出プローブの断面図である。
【図6】検出プローブの伸縮機構の説明図である。
【図7】検出プローブの回転状態の説明図である。
【図8】基板保持部材の一例を示す図である。
【図9】保護カバーをプローブ装置に装着したときの外観図である。
【図10】プローブ装置の光ファイバ束ね構造を示す図である。
【図11】配線シートの応用例を示す図である。
【符号の説明】
【0110】
1…生体光計測装置、10…生体光計測装置本体、11…計算機、12…表示部、13…本体通信部、100…プローブ装置、200…プローブ保持体、221…外シート、222…内シート、223…遮光シート、224…開口部、240…配線シート、241…基板保持部、第1基板保持部241a、第2基板保持部241b、242…メイン制御基板、243…プローブ制御基板、250…成型物、261…ベース材、262…枝材、263…端部、300…発光プローブ、305…孔部、310…発光プローブ本体、311…発光ユニット、315…光源部、316…発振器、350…発光プローブ取付部、400…検出プローブ、410…検出プローブ本体、411…検出ユニット、412…主突起部、413…光フアイバー、414…サブ突起部、415…検出部、416…ロックアンプ、417…対数増幅器、418…信号コネクタ、419…キャップ取付穴、421…第1筺体、422…第2筺体、423…バネ体、424…フランジ、425…突起部、426…外周筺体、427…凹部、428…把持部、429…固定突起、430…主筺体、431…クッション材料部、450…検出プローブ取付部、451…結合溝、454…フランジ部、500…シート保持部、501…遮光空間、502…電子基板配置、503…接合溝、550…差動増幅器、551…A/D変換器、552…プローブ通信部、560…電源部、600…固定バンド部、601…ベルト、602…ベルト固定部、610…第2の固定バンド部、650…締付アダプタ、651…ワッシャ部材、652…光ファイバ保持突起部、653…光ファイバ取付部、654…光ファイバ、700…キャップ部、701…接続棒、702…切欠部、801…ツメ部、802…接合部、803…固定保持部、900…保護カバー、910…保護カバー枠、1000…電子基板、1100…基板保持部本体、1101…基板取付部、1200…光ファイバ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体表面に光を照射する光照射部と、生体内部を通過して生体表面から出射する光を検出する光検出部とを備えるプローブ装置において、
シート状のプローブ保持体と、
該プローブ保持体に所定の間隔で取り付けられる複数の発光プローブ及び複数の検出プローブと、前記プローブ保持体の所定の位置に取り付けられた基板保持部と、該基板保持部に取り付けられる電子基板と、前記プローブ保持体を被検者の頭部の所定の位置に保持するシート保持部と、該シート保持部を被検者に装着するための固定バンド部とを含んで構成し、前記電子基板は、所定の領域内の複数の発光プローブ及び検出プローブのそれぞれの動作を制御する複数のプローブ制御基板と、当該複数のプローブ制御基板を統括制御し、他の装置との通信等を行うメイン制御基板とを含んで構成され、
前記基板保持部は、プローブ制御基板を取り付けるための第1基板保持部と、メイン制御基板を取り付けるための第2基板保持部とを含んでいる
ことを特徴とするプローブ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプローブ装置において、
前記プローブ保持体は、所定の間隔毎に形成された孔部を備え、
前記発光プローブ、検出プローブ及び基板保持部は、当該孔部に着脱可能に嵌合されていることを特徴とするプローブ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のプローブ装置において、
前記メイン制御基板は、前記プローブ装置から出力される電気信号を画像処理してマップ等の表示を行う生体光計測装置本体と無線通信を可能とする通信手段を有する
ことを特徴とするプローブ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のプローブ装置において、
前記メイン制御基板は前記プローブ保持体の端部に設けられる
ことを特徴とするプローブ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のプローブ装置において、
前記プローブ装置に電源を供給する電源部を有する電子基板を備える
ことを特徴とするプローブ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のプローブ装置において、
前記メイン制御基板と前記電子基板は、それぞれ対向して配置されている
ことを特徴とするプローブ装置。
【請求項7】
請求項1に記載のプローブ装置において、
前記プローブ保持体を生体表面の所定の位置に保持するシート保持部を有し、
当該シート保持部は、前記プローブ保持体の周囲を囲み、該プローブ保持体と生体表面との間に所定の隙間を備えて遮光される遮蔽空間を形成する
ことを特徴とするプローブ装置。
【請求項8】
請求項1に記載のプローブ装置において、
前記複数の発光プローブ及び前記複数の検出プローブは、発光ユニットまたは検出ユニットを備えたプローブ本体と、該プローブ本体を前記プローブ保持体の所定の位置に着脱可能に取り付けるプローブ取付部とを備え、
前記プローブ取付部は、前記主突起部と前記サブ突起部を備えた一端を前記遮蔽空間に露出させ、他の一端をプローブ保持体の外側に露出させるように、前記プローブ本体を前記主突起部を中心に回転可能に保持される
ことを特徴とするプローブ装置。
【請求項9】
請求項1に記載のプローブ装置において、
前記配線シートは前記プローブ保持体に積層されるように配置され、
前記プローブ制御基板、前記制御基板及び前記配線シートが取り付けられた状態で、前記プローブ保持体を覆う保護カバーを備える
ことを特徴とするプローブ装置。
【請求項1】
生体表面に光を照射する光照射部と、生体内部を通過して生体表面から出射する光を検出する光検出部とを備えるプローブ装置において、
シート状のプローブ保持体と、
該プローブ保持体に所定の間隔で取り付けられる複数の発光プローブ及び複数の検出プローブと、前記プローブ保持体の所定の位置に取り付けられた基板保持部と、該基板保持部に取り付けられる電子基板と、前記プローブ保持体を被検者の頭部の所定の位置に保持するシート保持部と、該シート保持部を被検者に装着するための固定バンド部とを含んで構成し、前記電子基板は、所定の領域内の複数の発光プローブ及び検出プローブのそれぞれの動作を制御する複数のプローブ制御基板と、当該複数のプローブ制御基板を統括制御し、他の装置との通信等を行うメイン制御基板とを含んで構成され、
前記基板保持部は、プローブ制御基板を取り付けるための第1基板保持部と、メイン制御基板を取り付けるための第2基板保持部とを含んでいる
ことを特徴とするプローブ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプローブ装置において、
前記プローブ保持体は、所定の間隔毎に形成された孔部を備え、
前記発光プローブ、検出プローブ及び基板保持部は、当該孔部に着脱可能に嵌合されていることを特徴とするプローブ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のプローブ装置において、
前記メイン制御基板は、前記プローブ装置から出力される電気信号を画像処理してマップ等の表示を行う生体光計測装置本体と無線通信を可能とする通信手段を有する
ことを特徴とするプローブ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のプローブ装置において、
前記メイン制御基板は前記プローブ保持体の端部に設けられる
ことを特徴とするプローブ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のプローブ装置において、
前記プローブ装置に電源を供給する電源部を有する電子基板を備える
ことを特徴とするプローブ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のプローブ装置において、
前記メイン制御基板と前記電子基板は、それぞれ対向して配置されている
ことを特徴とするプローブ装置。
【請求項7】
請求項1に記載のプローブ装置において、
前記プローブ保持体を生体表面の所定の位置に保持するシート保持部を有し、
当該シート保持部は、前記プローブ保持体の周囲を囲み、該プローブ保持体と生体表面との間に所定の隙間を備えて遮光される遮蔽空間を形成する
ことを特徴とするプローブ装置。
【請求項8】
請求項1に記載のプローブ装置において、
前記複数の発光プローブ及び前記複数の検出プローブは、発光ユニットまたは検出ユニットを備えたプローブ本体と、該プローブ本体を前記プローブ保持体の所定の位置に着脱可能に取り付けるプローブ取付部とを備え、
前記プローブ取付部は、前記主突起部と前記サブ突起部を備えた一端を前記遮蔽空間に露出させ、他の一端をプローブ保持体の外側に露出させるように、前記プローブ本体を前記主突起部を中心に回転可能に保持される
ことを特徴とするプローブ装置。
【請求項9】
請求項1に記載のプローブ装置において、
前記配線シートは前記プローブ保持体に積層されるように配置され、
前記プローブ制御基板、前記制御基板及び前記配線シートが取り付けられた状態で、前記プローブ保持体を覆う保護カバーを備える
ことを特徴とするプローブ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−240454(P2009−240454A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−89135(P2008−89135)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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