説明

プーリ装置

【課題】合成樹脂製のプーリ1bと外輪15bとのクリープを防止でき、クリープ荷重を支承する部分に応力が集中してこのプーリ1bに亀裂等の損傷が発生する事を防止できる構造を実現する。
【解決手段】
外輪15bの外周面の軸方向の一部にローレット加工によりローレット目25aを形成する。そして、このローレット目25aの各凸部30、30の外径側円周方向両端縁にR面取り部32、33をそれぞれ形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製プーリに関し、例えば自動車用エンジンの補機或いはカムシャフトを駆動する為の無端ベルトやタイミングベルト(以下、単に「ベルト」とする。)に所望の張力を付与する為に、或いはベルトの巻き掛け角を確保すべくこのベルトを案内する為に使用するアイドラプーリとして利用するプーリ装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車用エンジンの補機或いはカムシャフトを駆動する為のベルトに所望の張力を付与する等の為のアイドラプーリとして、転がり軸受の外周側に、鋼板等の金属板にプレス加工を施して造ったものを、この転がり軸受を構成する外輪に外嵌固定する状態で設けた所謂プレスプーリが広く使用されている。又、転がり軸受を構成する外輪の周囲に、この外輪の外周寄り部分をその内周側にモールドした状態で一体的に固設した合成樹脂製プーリも使用されている。特に、近年は、この合成樹脂製プーリが、アイドラプーリの軽量化及び低コスト化を図れると言った理由により、その採用が増加しつつある。
【0003】
例えば、特許文献1には、図8〜11に示す様に、合成樹脂製のプーリ1を使用した張力付与装置2が記載されている。先ず、この張力付与装置2の構造に就いて、簡単に説明する。シリンダブロック等の固定の部分に結合固定するベースプレート3に形成した長孔4に沿う変位を自在とした支持軸5の基端部(図8の右端部)の頭部6に形成したねじ孔に、調整ボルト7の先端部を螺合させている。この調整ボルト7の基端部は、前記ベースプレート3の一端部(図8の上端部)に設けた折り曲げ板部8に形成した通孔9に挿通している。又、前記調整ボルト7の中間部でこの折り曲げ板部8よりも前記頭部6寄り部分には、調整ナット10とロックナット11とを螺合させている。
【0004】
又、前記支持軸5には、支持スリーブ12を介して、転がり軸受13の内輪14を支持している。単列深溝型のラジアル玉軸受であるこの転がり軸受13の外輪15の周囲には、合成樹脂製のプーリ1を固定している。このプーリ1は、互いに同心に設けられた内径側円筒部16及び外径側円筒部17を有する。この内径側円筒部16の中間部外周面と外径側円筒部17の中間部内周面とは、円輪状の連結部18により連結しており、この連結部18の両側面にそれぞれ複数本ずつの補強リブ19、19を、それぞれ放射状に設けている。
【0005】
この様なプーリ1は、前記内径側円筒部16を深溝型の転がり軸受13を構成する外輪15の周囲に、図11に示す様な射出成形用の金型20により、この外輪15の外周寄り部分をその内周側にモールドした状態で固設している。即ち、前記金型20内に設けた、前記プーリ1の外形に対応した内形を有するキャビティ21内に、図示しないゲートから溶融した熱可塑性樹脂を注入する。そして、この熱可塑性樹脂が冷却・固化した後に前記金型20を開いて、前記プーリ1を前記転がり軸受13と共に、前記キャビティ21内から取り出す。
【0006】
上述の様なプーリ1を含んで構成する、前記張力付与装置2により、ベルトに所望の張力を付与するには、このベルトを、前記プーリ1の一部で、前記調整ナット10と反対側周面(図8の下面)に掛け渡す。そして、前記調整ナット10を回転させる事により前記プーリ1の位置を変えて、このプーリ1により前記ベルトに付与する張力を調節する。そして、この張力が所望値になった状態で、前記ロックナット11を締め付け、前記プーリ1の位置を固定する。
【0007】
上述の様なプーリ1を構成する合成樹脂は、前記転がり軸受13の外輪15を構成する金属材料よりも線膨張係数が大きい。この為、プーリ装置の使用時の温度上昇により、前記プーリ1と前記外輪15との密着性が低下し、これらプーリ1と外輪15との間で相対的な滑り(クリープ)が発生する可能性がある。クリープが発生すると、前記プーリ1の内周面が摩耗し、このプーリ1が前記外輪15に対しがたついてしまう。この様な不都合の原因となるクリープを防止する為の技術として、例えば特許文献2に記載された技術がある。
【0008】
図12〜13は、この特許文献2に記載されている、クリープを防止する為の従来構造の1例を示している。転がり軸受13(図8〜11参照)を構成する外輪15aの外周面に係止溝22を設けており、この係止溝22の底面に、ローレット加工による凹部23、23と凸部24、24とを全周に亙って交互に配置して成る、平目のローレット目25を形成している。そして、前記外輪15aの係止溝22の底面に形成した凹部23、23に、プーリ1aを構成する合成樹脂の一部を進入・固化させる事で、このプーリ1aの内周面に、それぞれが軸方向に長い突条26、26を形成している。これら各突条26、26と前記外輪15aのローレット目25との係合により、前記プーリ1aとこの外輪15aとの間でクリープが発生する事を防止している。
【0009】
上述の様な特許文献2に記載された構造では、前記各突条26、26と前記外輪15aの外周面に形成されたローレット目25との係合によりクリープが防止される。このクリープを防止する為、前記各突条26、26の基端部で、前記プーリ1aと前記外輪15aとの間に加わるトルク(クリープ荷重)を支承する。前記特許文献2に記載された構造の場合、前記ローレット目25の各凸部24、24の外径側円周方向両端縁の曲率半径rが小さい(曲率が大きい)為、前記各突条26、26の基端部に応力が集中する。そして、この応力が大きくなると、前記各突条26、26の基端部に亀裂等の損傷が発生する可能性がある。
【0010】
又、前記特許文献2に記載された構造では、前記ローレット目25を前記外輪15aの外周面のうち、軸方向中間部2箇所位置に設けている。この外輪15aの軸方向中間部は、内周面に外輪軌道27(図10参照)を形成している為、肉薄となっている。この為、前記ローレット目25の凹部23、23の径方向の深さ寸法を確保する事が難しく、使用時の温度上昇の程度によっては、前記各突条26、26と前記ローレット目25との係合が外れ、前記プーリ1と前記外輪15とのクリープを防止できなくなる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10−122339号公報
【特許文献2】特開平11−148550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、使用時の温度上昇によってプーリと転がり軸受の外輪との密着性が低下しても、これらプーリと外輪との間のクリープ発生を防止できる構造に於いて、このプーリの一部にクリープ荷重による応力が集中してこのプーリが破損する事を防止できるプーリ装置を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のプーリ装置は、プーリと転がり軸受とを備える。
このうちのプーリは、合成樹脂製で外周面にベルトを掛け渡す。
又、前記転がり軸受は、前記プーリの内径側に保持されており、外周面に単列深溝型の内輪軌道を有する内輪と、内周面に単列深溝型の外輪軌道を有する外輪と、これら内輪軌道と外輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の玉とを備える。そして、前記外輪を前記プーリの内径側に、このプーリの射出成型時にモールドする事で、保持固定している。
【0014】
特に、本発明のプーリ装置に於いては、前記転がり軸受の外輪の外周面の軸方向の一部に、ローレット加工による凹部と凸部とを全周に亙って交互に配置して成る平目のローレット目を形成している。そして、これら各凸部の外径側円周方向両端縁に、断面円弧形(R状)の面取り部を形成している。
【発明の効果】
【0015】
上述の様に構成する本発明のプーリ装置の場合には、使用時の温度上昇により、プーリと転がり軸受の外輪との密着性が低下しても、このプーリの内周面とこの外輪の外周面に形成されたローレット目との係合により、これらプーリと外輪との間のクリープを防止できる。
又、各凸部の外径側円周方向両端縁に断面円弧形の面取り部を設けている為、使用時に、前記プーリの内周面のうち、クリープ荷重を支承する部分である、前記各凸部の基端部に加わる応力を緩和して、これら各凸部の基端部に亀裂等の損傷が発生する事を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す、外輪のみを径方向から見た部分正面図。
【図2】外輪の周囲に合成樹脂製のプーリを装着した状態で示す、図1の部分拡大a−a断面図。
【図3】合成樹脂製のプーリを未装着の状態で示す、図1の部分拡大b−b断面図。
【図4】本発明の実施の形態の第2例を示す、図1と同様の図。
【図5】外輪の周囲に合成樹脂製のプーリを装着した状態で示す、図4の部分拡大c−c断面図。
【図6】合成樹脂製のプーリを未装着の状態で示す、図4の部分拡大d−d断面図。
【図7】本発明の実施の形態の第3例を示す、図1と同様の図。
【図8】プーリ装置を組み込んだ張力付与装置を示す断面図。
【図9】プーリ装置を取り出して図8の側方から見た状態で示す正面図。
【図10】同じく部分切断斜視図。
【図11】プーリを射出成形する金型を、補強リブから外れた部分で切断した状態で示す部分断面図(A)と、補強リブ部分で切断した状態で示す部分断面図(B)。
【図12】従来構造に係るプーリ装置の要部断面図。
【図13】図12のe−e断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施の形態の第1例]
図1〜3は、請求項1、2に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例を含めて、本発明の特徴は、プーリと外輪とのクリープを確実に防止すると共に、このプーリの一部にクリープ荷重による応力が集中してこのプーリが破損する事の防止を図れるプーリ装置を実現する点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図5〜8に示した構造を含め、従来から知られているプーリ装置と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は、省略又は簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
【0018】
本例の場合、転がり軸受13(図8〜11参照)を構成する外輪15bの外周面のうち、内周面に外輪軌道27aを形成した部分から軸方向に外れた肉厚部28に、全周に亙って係止溝22aを設けている。そして、この係止溝22aの底面に、ローレット加工による第一凹部29、29と凸部30、30と第二凹部31、31とを全周に亙って繰り返し順番に(第一凹部29→凸部30→第二凹部31→凸部30の順番で繰り返し)配置して成る、平目のローレット目25aを形成している。尚、図示の例では、前記各部29、30、31を繰り返し順番に配置しているが、必ずしもこの様に配置する必要はない。
このローレット目25aの第二凹部31の径方向の深さ寸法h31は、第一凹部29の径方向の深さ寸法h29よりも大きく(h31>h29)、1.2〜2.5倍(1.2≦h31/h29≦2.5)としている。前記深さ寸法h31が、前記深さ寸法h29の1.2倍よりも小さい場合には、使用時の温度上昇によるクリープ防止効果を十分に得る事ができない。又、前記深さ寸法h31が、前記深さ寸法h29の2.5倍よりも大きい場合には、前記ローレット目25aをローレット加工により形成する事が難しくなる。
【0019】
又、前記各凸部30、30の外径側円周方向両端縁のうち、前記各第一凹部29、29側端縁には、断面円弧形のR面取り部32を、前記各第二凹部31、31側端縁には、同じくR面取り部33を、それぞれ設けている。前記第一、第二各凹部29、31の径方向の深さ寸法h29、h31に対する前記各R面取り部32、33の断面の曲率半径r32、r33の割合は、それぞれ前記各凹部29、31の径方向の深さ寸法h29、h31の25〜50%(0.25≦r32/h29≦0.5、0.25≦r33/h31≦0.5)としている。前記各曲率半径r32、r33が、それぞれ前記各深さ寸法h29、h31の25%よりも小さい場合には、前記プーリ1bが前記外輪15bに対し相対回転(クリープ)する傾向になった時、このプーリ1bのうち、後述する第一、第二各突条34、35の基端部に応力が集中し、亀裂等の損傷が発生する事を十分に防止できない。前記各曲率半径r32、r33が、それぞれ前記各深さ寸法h29、h31の50%よりも大きい場合には、前記各R面取り部32、33部分で前記外輪15bに対して前記プーリ1bが滑り易くなり、クリープ防止効果を十分に得る事ができない。
又、図示は省略するが、前記ローレット目25aの表面には、ディンプル加工により多数の微小凹部を形成している。
【0020】
本例のプーリ装置では、前記外輪15bの径方向外側に合成樹脂製のプーリ1bを射出成形により設けた(モールド成形した)状態で、前記係止溝22aの底面に形成した前記各第一凹部29、29と前記各第二凹部31、31とに、前記プーリ1bを構成する合成樹脂の一部が進入・固化する。そして、このプーリ1bの内周面に、第一突条34、34及び第二突条35、35をそれぞれ形成している。又、前記合成樹脂の一部は、前記ローレット目25aの表面に形成した微小凹部にも進入・固化する事で、前記プーリ1bの内周面の一部に微小凸部を形成している。
【0021】
上述の様に構成する本例のプーリ装置の場合には、前記ローレット目25aの各第一凹部29、29と前記プーリ1bの第一突条34、34との係合により、前記外輪15bとこのプーリ1bとのクリープを防止できる。更に、この外輪15bのローレット目25aの表面に形成された微小凹部と前記プーリ1bの内周面のうち一部の表面に形成された微小凹部との係合によってもクリープを防止できる。
【0022】
又、前記ローレット目25aの凸部30、30の外径側円周方向両端縁に、断面円弧状のR面取り部32、33をそれぞれ形成している。即ち、前述の特許文献2に記載された構造よりも前記各凸部30、30の外径側円周方向両端縁の曲率半径r32、r33を大きく(曲率が小さく)している。従って、前記プーリ1bが前記外輪15bに対し相対回転(クリープ)する傾向になり、前記各突条34、35に、円周方向の力が加わった場合でも、これら各突条34、35の基端部に応力が集中する事を防止できる。この結果、前記円周方向の力が大きくなっても、前記各突条34、35の基端部に亀裂等の損傷が発生する事を防止できる。
【0023】
又、本例の構造の場合、前記ローレット目25aの第二凹部31の径方向の深さ寸法h31は、前記第一凹部29の同寸法h29よりも大きい。この為、使用時の温度上昇が大きくなり、前記プーリ1bの各第一突条34、34と前記ローレット目25aの各第一凹部29、29との係合によっては、前記プーリ1bと前記外輪15bとのクリープが防止できなくなった場合にも、このプーリ1bの各第二突条35、35と前記ローレット目25aの各第二凹部31、31との係合により、前記プーリ1bと前記外輪15bとのクリープを防止できる。
【0024】
[実施の形態の第2例]
図4〜6は、請求項1〜3に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合、転がり軸受13(図8〜11参照)を構成する外輪15cの外周面に設けた係止溝22bの軸方向寸法を、上述した実施の形態の第1例よりも大きくしている。即ち、前記外輪15cのうち、内周面に外輪軌道27aを形成した部分から軸方向に外れた肉厚部28だけでなく、この内周面に外輪軌道27aを形成した部分である肉薄部36の端部にも、前記係止溝22bの一部を形成している。
【0025】
そして、前記係止溝22bの底面のうち、前記肉薄部36に形成された部分に、ローレット加工による第一凹部29a、29aと第一凸部37、37とを全周に亙って交互に配置して成る、平目の第一ローレット目38を形成している。更に、前記係止溝22bの軸方向のうち、前記肉厚部28に形成された部分にだけ、ローレット加工による第一凹部29a、29aと第二凸部39、39と第二凹部31a、31aとを全周に亙って繰り返し順番に(第一凹部29a→第二凸部39→第二凹部31a→第二凸部39の順番で繰り返し)配置して成る、平目の第二ローレット目40を形成している。尚、図示の例では、前記各部29a、39、31aを繰り返し順番に配置しているが、必ずしもこの様に配置する必要はない。
【0026】
上述の様に構成する本例の場合、前述した実施の形態の第1例の構造よりも前記第一凹部29a、29aの軸方向寸法を大きくしている。この結果、温度上昇の程度が小さい、低温状態での使用時に、前記外輪15cの第一凹部29a、29aとプーリ1cの内周面に形成された突条34a、34aとの係合により、前記外輪15cとこのプーリ1cのクリープをより確実に防止できる。その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略する。
【0027】
[実施の形態の第3例]
図7は、全ての請求項に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合、転がり軸受13(図8〜11参照)を構成する外輪15dの外周面に、図7に梨地で示す様に、ショットブラスト処理或いはバレル加工等によって微細な凹凸(ディンプル)を設けて、前記外周面の表面粗さをRa0.1以上としている。そして、プーリと前記外輪15dとを接合する為の接着剤による接合力を向上させている。その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例及び上述した実施の形態の第2例と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略する。
【符号の説明】
【0028】
1、1a〜1c プーリ
2 張力付与装置
3 ベースプレート
4 長孔
5 支持軸
6 頭部
7 調整ボルト
8 折り曲げ板部
9 通孔
10 調整ナット
11 ロックナット
12 支持スリーブ
13 転がり軸受
14 内輪
15、15a〜15d 外輪
16 内径側円筒部
17 外径側円筒部
18 連結部
19 補強リブ
20 金型
21 キャビティ
22、22a 係止溝
23 凹部
24 凸部
25、25a ローレット目
26 突条
27、27a 外輪軌道
28 肉厚部
29、29a 第一凹部
30 凸部
31、31a 第二凹部
32 R面取り部
33 R面取り部
34 第一突条
35 第二突条
36 肉薄部
37 第一凸部
38 第一ローレット目
39 第二凸部
40 第二ローレット目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面にベルトを掛け渡すプーリと、このプーリの内径側に保持された転がり軸受とを備え、この転がり軸受は、外周面に単列深溝型の内輪軌道を有する内輪と、内周面に単列深溝型の外輪軌道を有する外輪と、これら内輪軌道と外輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の玉とを備えたものであり、前記外輪を前記プーリの内径側に、このプーリの射出成型時にモールドする事で保持固定しているプーリ装置に於いて、前記外輪の外周面の軸方向の一部にローレット加工による凹部と凸部とを全周に亙って交互に配置して成る平目のローレット目を形成しており、これら各凸部の外径側円周方向両端縁に面取り部を形成した事を特徴とするプーリ装置。
【請求項2】
ローレット目を構成する凹部が、複数の第一凹部と、これら各第一凹部から円周方向に外れた位置に設けられて、これら各第一凹部よりも大きな深さ寸法を有する、少なくとも1個の第二凹部とを備えたものである、請求項1に記載したプーリ装置。
【請求項3】
ローレット目が、外輪の外周面の軸方向の一部に形成された第一ローレット目と、この外輪の外周面のうち、内周面に外輪軌道を形成した部分から軸方向に外れた肉厚部に形成された第二ローレット目とから成り、凸部が、前記外輪の外周面の軸方向の一部に形成された第一凸部と、前記肉厚部に形成された第二凸部とから成り、前記第一ローレット目は、それぞれ複数ずつの第一凹部と前記第一凸部とを、円周方向に関して交互に配置したものであり、前記第二ローレット目は、それぞれ複数の前記第一凹部と前記第二凸部と、これら各第一凹部から円周方向に外れた位置に設けられて、これら各第一凹部よりも大きな深さ寸法を有する、少なくとも1個の第二凹部とを備えたものである、請求項2に記載したプーリ装置。
【請求項4】
外輪の外周面のうち、少なくともローレット目が形成された部分に多数の微小凹部を形成した事を特徴とする請求項1〜3のうち何れか1項に記載したプーリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−219936(P2012−219936A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87210(P2011−87210)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】