説明

ヘアコンディショニング組成物

【課題】毛髪に均一に塗布しやすく、毛髪補修効果にも優れ、乾燥直後の仕上り時のコンディショニング効果とその持続性に優れるヘアコンディショニング組成物の提供。
【解決手段】(A)カチオン性界面活性剤 0.1〜5質量%、(B)ノニオン性界面活性剤 0.1〜5質量%、(C)高級アルコール 0.2〜10質量%、(D)分子内に水酸基が3以上ある多価アルコール 5〜50質量%、(E)油性成分 0.1〜20質量%、(F)水、(G)L−テアニン 0.001〜5%、(H)特定のN−アシルグルタミン酸リジン縮合物 0.001〜5質量%を配合したヘアコンディショニング組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘアコンディショニング組成物に関し、更に詳しくは、毛髪に均一に塗布することができ、毛髪補修成分を効率的に浸透させることができるため、毛髪補修効果に優れ、滑らかで柔らかくしっとりとした髪に仕上がる良好なコンディショニング効果を有し、その持続性にも優れる良好な使用感のヘアコンディショニング組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヘアコンディショニング組成物は、毛髪にコンディショニング効果を与えるものであり、剤型的には液状、乳液状、クリーム状、ミスト状、フォーム(泡沫)状等、種々の形態があり、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアクリーム、ヘアパック、ヘアエッセンス等のノンエアゾール製品や、ヘアコンディショニングフォーム、ヘアコンディショニングスプレー等のエアゾール製品等として、インバス用の製品(洗い流すタイプ)、アウトバス用の製品(毛髪付けたままにしておくタイプ)に広く用いられてきた。
【0003】
通常、ヘアリンス等のヘアコンディショニング組成物は、カチオン性界面活性剤、高級アルコールおよび水を組み合わせて液晶構造を有するゲルを形成させ、これに油性成分を添加して乳化することにより調製されるものであり、塗布後の毛髪表面に薄い油性の保護膜を形成させて滑らかさ等を付与することができるものである。そして、その製造方法は、カチオン性界面活性剤水溶液に高級アルコールと油性成分を添加し乳化する分散乳化法が一般的である(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
また、近年カラーリングやパーマにより毛髪にダメージを受ける人々が増加する中で、上記の成分に加えて、アミノ酸やタンパク質及びその誘導体等の毛髪補修成分が配合される傾向にある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ところが、このような従来のヘアコンディショニング組成物では毛髪表面に対するなじみが充分とはいえず、毛髪に均一に塗布しにくい場合があった。また、乾燥直後の仕上り時には毛髪に滑らかさや柔らかさが認められるものの、その後時間が経つにつれ毛髪が硬くなる傾向があり、例えば前日の夜にヘアコンディショニングをしても翌日にはその効果がなくなってしまうというように、コンディショニング効果が持続しない場合があった。そこで、より毛髪に均一に塗布しやすく、前日の夜にヘアコンディショニングをすれば翌日になっても充分なコンディショニング効果が残るような、コンディショニング効果の持続性に優れたヘアコンディショニング組成物の開発が望まれ、そのために、例えば常温液状の高級アルコールや高重合ポリエチレングリコール等、毛髪に特有の効果を有する特定化合物の配合が検討されてきた(例えば、特許文献2、3参照)。
【非特許文献1】新化粧品学(南山堂 光井武夫著)第422〜424頁
【特許文献1】特開平10−175824号公報
【特許文献2】特開平10−7532号公報
【特許文献3】特開平10−330226号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの方法では毛髪に対するコンディショニング効果を得る一方で、配合する上記特定化合物の特性により、不自然な膜感や洗い流し時のヌルヌル感などの不快感を感じる場合があった。
従って、本発明が解決しようとする課題は、このような特定化合物に由来する不快感を感じることなく、毛髪に均一に塗布しやすく、毛髪補修成分を効率的に毛髪に浸透させることができ、ハリやコシのあるつややかな髪にすることができ毛髪補修効果に優れ、滑らかで柔らかく、しっとりとした髪に仕上がる良好なコンディショニング効果を有し、更に時間が経った後も毛髪の滑らかさ、柔らかさ、しっとり感が感じられコンディショニング効果の持続するヘアコンディショニング組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる実情において、本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、高級アルコール、分子内に水酸基が3以上ある多価アルコール、油性成分、L−テアニン、特定のN−アシルグルタミン酸リジン縮合物を各々特定量と水とを組み合わせて配合することにより、良好な使用感で、毛髪に均一に塗布することができ、毛髪補修成分を効率的に浸透させ、ハリやコシのあるつややかな髪にすることのでき、乾燥後の仕上り時には、滑らかで柔らかく、しっとりとした髪になる良好なコンディショニング効果を有し、更に時間が経っても、柔らかでしっとりとしたコンディショニング効果が持続するヘアコンディショニング組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、次の成分(A)〜(H)、
(A)カチオン性界面活性剤 0.1〜5質量%
(B)ノニオン性界面活性剤 0.1〜5質量%
(C)高級アルコール 0.2〜10質量%
(D)1分子内に水酸基を3個以上有する多価アルコール 5〜50質量%
(E)油性成分 0.1〜20質量%
(F)水
(G)L−テアニン 0.001〜5質量%
(H)下記一般式(1)で示されるN−アシルグルタミン酸リジン縮合物 0.001〜5質量%
【化2】

【0009】
(式中、m、nはこれらのうち一方が2であり、他方が0である。p、qはm、nとは独立にこれらのうち一方が2であり、他方が0である。R−C(=O)−とR−C(=O)−はそれぞれ独立に炭素原子数2〜20の飽和又は不飽和の脂肪酸から誘導されるアシル基を示す。Mは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、有機アミン、塩基性アミノ酸又はアンモニウムを示す。)
を配合するヘアコンディショニング組成物を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、成分(A)〜(D)の混合物に成分(E)を加えて多価アルコール中油型乳化物を調製し、次いでこの多価アルコール中油型乳化物に成分(F)、(G)、(H)を加えて水中油型乳化物とする二段階乳化法により得られるヘアコンディショニング組成物を提供するものである。
また、さらに、本発明は、上記二段階乳化法により、均一な液晶構造が形成されることを特徴とする上記のヘアコンディショニング組成物を提供するものである。
そして、また、成分(A)と成分(B)の配合質量比(B)/(A)が1/10〜1/1の範囲にあることを特徴とする上記のヘアコンディショニング組成物を提供するものである。
更に、本発明は、成分(D)がグリセリン、ジグリセリンまたはこれらの混合物から選ばれる上記のヘアコンディショニング組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のヘアコンディショニング組成物は、毛髪になじみやすく均一に塗布でき、毛髪補修成分が効率的に浸透するため、ダメージを受けた毛髪に対し優れた毛髪補修効果を発現し、乾燥直後の仕上り時には滑らかで、柔らかく、しっとりとした髪にすることができるコンディショニング効果に優れたものであり、更に時間が経ってもその効果が持続するヘアコンディショニング組成物として優れた品質を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
【0013】
本発明に用いられる成分(A)のカチオン性界面活性剤は、毛髪への親和性および吸着性が良好で、毛髪に滑らかさや柔らかさを付与するはたらきがあり、通常コンディショニング効果の付与剤として毛髪用の化粧料等に使用される化合物である。毛髪になじみやすくさせ、毛髪表面への均一な塗布をしやすくすることができる。また、乾燥直後の良好な感触に加え、時間が経った後も毛髪の滑らかさと指通りの良さを持続させることができる。
特に、本発明のヘアコンディショニング組成物を二段階乳化で製造する場合においては、二段階乳化の第一段階の工程で、この成分(A)を他の成分(B)〜(D)と共存させて混合物とし、成分(E)を加えて多価アルコール中油型乳化物とした後、第二段階の工程で成分(F)を加えて水中油型乳化物とする配合方法をとることにより、より毛髪へのなじみを良くし、毛髪表面への均一な塗布をしやすくすることができるので、より、毛髪補修効果、コンディショニング効果が高まるため、重要な成分である。
本発明において成分(A)のカチオン性界面活性剤は、通常化粧料等に使用され、毛髪にコンディショニング効果を付与できるカチオン性界面活性剤であれば特に限定されず、使用可能であるが、例えばモノ長鎖アルキル型の第4級アンモニウム塩、ジ長鎖アルキル型の第4級アンモニウム塩またはエチレンオキサイド付加型の第4級アンモニウム塩が好ましい。具体的には塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジベヘニルジメチルアンモニウム、臭化ジベヘニルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、臭化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジラウリルジメチルアンモニウム、塩化ジポリオキシエチレン(15E.O.)ヤシ油アルキルメチルアンモニウム、塩化ジポリオキシエチレン(4E.O.)ラウリルエーテルジメチルアンモニウム、塩化ステアリン酸アミドプロピルトリメチルアンモニウム、ジココイルエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウム・メチル硫酸塩等を挙げることができる。これらのうち、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジベヘニルジメチルアンモニウムが、毛髪に滑らかさや柔らかさを付与し、持続性にも優れたコンディショニング効果を得る上で特に好ましい。
【0014】
本発明において、成分(A)のカチオン性界面活性剤は、必要に応じて1種を単独でまたは2種以上を併用して用いることができ、その配合量は全組成中0.1〜5質量%(以下、単に「%」と記す)、より好ましくは0.5〜3%である。この範囲内であればべたつきや重い感触がでることなく、毛髪に滑らかで、柔らかく、しっとりとした良好な感触を与え、時間が経った後も毛髪の滑らかさと指通りの良さが持続する優れたコンディショニング効果が十分得られる
【0015】
本発明に用いられる成分(B)のノニオン性界面活性剤は、本発明において乳化剤としてはたらき、良好な乳化によってヘアコンディショニング組成物を毛髪になじみやすくさせ、毛髪表面への均一な塗布をしやすくすると共に、組成物の経時安定性を向上させるためにも重要な成分である。本発明において成分(B)のノニオン性界面活性剤は、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されず、使用可能であるが、具体的にはポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、N−アルキルジメチルアミンオキシド、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等を例示することができる。これらのうち、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステルが、良好な乳化剤としてはたらくため、特に好ましい。
【0016】
本発明において成分(B)のノニオン性界面活性剤のHLBは、特に制限がないが、二段階乳化を用いて製造する場合において充分な乳化力と、乳化した組成物の良好な安定性を得る上で、HLBが6〜14の範囲ものが好ましい。このHLBの範囲は、例えば、この範囲を外れる高HLBのノニオン性界面活性剤と同低HLBのノニオン性界面活性剤とを組み合わせるような場合においても、その加重平均値が6〜14の範囲に入っていれば該当することを意味する。
【0017】
本発明において、成分(B)のノニオン性界面活性剤は、必要に応じて1種を単独でまたは2種以上を併用して用いることができ、その配合量は全組成中0.1〜5%、より好ましくは0.3〜3%である。この範囲内であれば組成物の乳化状態が良好で、毛髪になじみやすいため毛髪表面へ均一に塗布しやすく、また、べたつくこともなくヘアコンディショニング組成物としての使用性に優れ、経時安定性も良好なものが得られる。
【0018】
本発明に用いられる成分(C)の高級アルコールは、コンディショニング助剤として成分(A)のカチオン性界面活性剤との併用により、成分(F)の水の存在下液晶構造を有するゲルを形成し、その適度な粘性により手に取ったときに扱いやすく、良好な使用性(使い勝手)を与える。また、系の経時安定性も向上する。本発明において、成分(C)の高級アルコールは通常化粧料に使用できる高級アルコールであれば特に限定されず、使用可能であるが、直鎖または分岐鎖の炭化水素基を有する炭素数12〜22のものが好ましい。具体的にはミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール、ラノリンアルコール、水素添加ラノリンアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、2−オクチルドデカノール、ヘキサデシルアルコール、イソステアリルアルコール等を例示することができる。これらのうち、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが、良好なゲルを形成する上で特に好ましい。
【0019】
本発明において、成分(C)の高級アルコールは、必要に応じて1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は全組成中0.2〜10%、より好ましくは0.5〜8%である。この範囲内であれば、ゲルの形成が充分で組成物の粘度が安定しており、経時で増粘することもなく、使用後の毛髪に硬さを与えることもなく良好な感触で、経時でも良好な感触を持続することができ、コンディショニング効果に優れたものが得られる
【0020】
本発明に用いられる成分(D)は、1分子内に水酸基を3個以上有する多価アルコールであり、毛髪に対して湿潤作用を有し、乾燥直後の毛髪に柔らかさ、しっとり感を与え、良好な髪の感触を与えるものである。また、成分(D)は二段階乳化で本発明品を製造する工程途中において、多価アルコール中油型乳化物を調製するために必須の成分である。
本発明において、成分(D)の多価アルコールは、1分子に水酸基を3個以上有するものであれば特に限定されず使用可能である。具体的にはグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等を挙げることができるが、毛髪への柔らかさ、しっとり感の付与、また、二段階乳化のしやすさの点から、グリセリン、ジグリセリンが特に好ましい。
【0021】
本発明において、成分(D)の多価アルコールは、必要に応じて1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は全組成中5〜50%、より好ましくは10〜30%である。この範囲内であれば、毛髪を充分に湿潤し、毛髪に柔らかさやしっとり感を充分に付与し、髪の感触が良好なものとなり、優れたコンディショニング効果が得られる。
特に、二段階乳化の工程中において良好なゲルを形成することができるため、毛髪への効果がより一層高まる。
【0022】
本発明で使用される成分(E)の油性成分は、毛髪に光沢や、滑らかな感触、櫛通りの良さを与え、更にこれら効果の持続性を得る目的で配合される。また、本発明の二段階乳化で製造する場合において、成分(E)は、二段階乳化の第一段階で成分(A)〜(D)の混合物に加えられ、多価アルコール中油型乳化物を形成させるものである。
成分(E)の油性成分としては、通常化粧料等に使用される油性成分であれば特に限定されず、動物油、植物油、合成油等の起源や、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わない。成分(E)として、例えば炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、有機シリコーン類、フッ素系油剤類、ラノリン誘導体類等が使用可能であり、より具体的には流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、植物性スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、エチレンプロピレンコポリマー、モンタンワックス、フィッシュトロプスワックス等の炭化水素類、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油、カメリア油、ローズヒップ油、アボカド油等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、ホホバ油、2−エチルヘキサン酸酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、オレイン脂肪酸フィトステリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等の有機シリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体等を例示することができる。
【0023】
本発明において、成分(E)の油性成分は必要に応じて1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は全組成中0.1〜20%、より好ましくは1〜10%である。この範囲であれば、べたつきや重い感触を与えることなく、毛髪に充分な光沢や、滑らかな感触、櫛通りの良さを与えることができる。
【0024】
本発明に用いられる成分(F)の水は、通常化粧料等に使用可能な水であれば特に限定されず、例えば精製水、蒸留水、温泉水、海洋深層水、ラベンダー花水等、種々の水を挙げることができ、必要に応じて、これらの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0025】
本発明に用いられる(G)成分であるL−テアニンは、下記一般式(2)で示されるアミノ酸の一種で、L−体の構造を有し、緑茶のうま味の一成分である水溶性の化合物である。
【化3】

【0026】
成分(G)のL−テアニンは、カフェインによる興奮作用に対して抑制効果があること等が知られており、また保湿効果を有することが特開平9−286715号公報に開示されているが、上記成分(A)〜(F)と組み合わせて、下記成分(H)と併用することにより、毛髪への均一な塗布がし易く、なじみが良くなり、優れた毛髪補修効果を発揮しコンディショニング効果が得られることや、また、そのコンディショニング効果が持続することは知られていなかった。本発明に用いられるL−テアニンは、天然品、合成品のいずれをも使用することができる。
【0027】
本発明において、成分(G)のL−テアニンは、L−テアニンの結晶粉末をそのまま直接添加配合しても良いが、一般にはL−テアニンを精製水等の適当な溶媒に溶解もしくは分散させ、必要に応じて乳化剤、分散剤、湿潤剤、安定剤等を添加して使用することができる。
【0028】
本発明において、成分(G)の配合量は全組成中0.001〜5%であり、より好ましくは0.1〜1%である。この範囲であれば、上記成分(A)〜(F)と組み合わせ、下記成分(H)のN−アシルグルタミン酸リジン縮合物と併用することによって、毛髪への均一な塗布がし易く、なじみが良くなり、毛髪補修成分が効率的に浸透し、傷んだ毛髪に、ハリ、コシ、つやを与え、高い毛髪補修効果を発揮し、滑らかで柔らかく、しっとりとした髪に仕上がり、良好なコンディショニング効果とその持続性に優れ、系の安定性にも優れたものが得られる。
乾燥後の仕上り時には
【0029】
本発明に用いられる成分(H)のN−アシルグルタミン酸リジン縮合物は、下記一般式(1)で示される、N−アシルグルタミン酸2分子とリジン1分子が縮合した化合物であり、アミノ酸の誘導体である(以下、単に「N−アシルグルタミン酸リジン縮合物」という場合がある)。
【化4】

【0030】
本発明の成分(H)は、例えば、特開2006−137686号公報において成分(A)として開示される化合物のうちの1つであり、1分子内に2個のN−脂肪酸アシル基と3個のカルボキシル基とを有する化合物である。本発明において成分(H)は毛髪にしっとり感を付与しダメージを受けた毛髪を改善する効果を有するが、更に前述の成分(G)のL−テアニンと併用することにより、柔かさや滑らかさを持続させ、経時的に毛髪が硬くなりにくくする毛髪コンディショニング持続効果を示す。
【0031】
上記一般式(1)において、m、nはこれらのうち一方が2であり、他方が0である。p、qはm、nとは独立にこれらのうち一方が2であり、他方が0である。即ち、本発明の成分(H)は少なくともエチレン基−(CH−の位置の違いに基づく複数の異性体を有するが、本発明においてはこれらのうち1種であっても2種以上の混合物であっても使用可能である。
【0032】
上記一般式(1)において、R−C(=O)−とR−C(=O)−はそれぞれ独立に炭素原子数2〜20の飽和又は不飽和の脂肪酸から誘導されるアシル基を示す。特に、R−C(=O)−とR−C(=O)−が炭素原子数8〜20の飽和又は不飽和の脂肪酸から誘導されるアシル基である場合、成分(H)はより良好な界面活性能を示し、多鎖多親水基型の界面活性剤としての機能も有する。本発明においては、毛髪のコンディショニング、ダメージ毛の改善の点でより良い効果を得るために、R−C(=O)−とR−C(=O)−が炭素原子数8〜20の飽和又は不飽和の脂肪酸から誘導されるアシル基であることが好ましい。
【0033】
上記アシル基R−C(=O)−及びR−C(=O)−はそれぞれ異なっても同一でも良く、また、直鎖状、分岐状あるいは環状の何れであっても良い。
具体的には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸等の直鎖脂肪酸;
【0034】
2−エチルヘキサン酸、2−ブチル−5−メチルペンタン酸、2−イソブチル−5−メチルペンタン酸、ジメチルオクタン酸、ジメチルノナン酸、2−ブチル−5−メチルヘキサン酸、メチルウンデカン酸、ジメチルデカン酸、2−エチル−3−メチルノナン酸、2,2−ジメチル−4−エチルオクタン酸、メチルドコサン酸、2−プロピル−3−メチルノナン酸、メチルトリデカン酸、ジメチルドデカン酸、2−ブチル−3−メチルノナン酸、メチルテトラデカン酸、エチルトリデカン酸、プロピルドデカン酸、ブチルウンデカン酸、ペンチルデカン酸、ヘキシルノナン酸、2−(3−メチルブチル)−3−メチルノナン酸、2−(2−メチルブチル)−3−メチルノナン酸、ブチルエチルノナン酸、メチルペンタデカン酸、エチルテトラデカン酸、プロピルトリデカン酸、ブチルドデカン酸、ペンチルウンデカン酸、ヘキシルデカン酸、ヘプチルノナン酸、ジメチルテトラデカン酸、ブチルペンチルヘプタン酸、トリメチルトリデカン酸、メチルヘキサデカン酸、エチルペンタデカン酸、プロピルテトラデカン酸、ブチルトリデカン酸、ペンチルドデカン酸、ヘキシルウンデカン酸、ヘプチルデカン酸、メチルヘプチルノナン酸、ジペンチルヘプタン酸、メチルヘプタデカン酸、エチルヘキサデカン酸、エチルヘキサデカン酸、プロピルペンタデカン酸、ブチルテトラデカン酸、ペンチルトリデカン酸、ヘキシルドデカン酸、ヘプチルウンデカン酸、オクチルデカン酸、ジメチルヘキサデカン酸、メチルオクチルノナン酸、メチルオクタデカン酸、エチルヘプタデカン酸、ジメチルヘプタデカン酸、メチルオクチルデカン酸、メチルノナデカン酸、メチルノナデカン酸、ジメチルオクタデカン酸、ブチルヘプチルノナン酸等の分岐脂肪酸;
【0035】
オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、カプロレイン酸、ウンデシレン酸、リンデル酸、トウハク酸、ラウロレイン酸、トリデセン酸、ツズ酸、ミリストレイン酸、ペンタデセン酸、ヘキセデセン酸、パルミトレイン酸、ヘプタデセン酸、オクタデセン酸、オレイン酸、ノナデセン酸、ゴンドイン酸等の直鎖モノエン酸;
メチルヘプテン酸、メチルノネン酸、メチルウンデセン酸、ジメチルデセン酸、メチルドデセン酸、メチルトリデセン酸、ジメチルドデセン酸、ジメチルトリデセン酸、メチルオクタデセン酸、ジメチルヘプタデセン酸、エチルオクタデセン酸等の分岐モノエン酸;
リノール酸、リノエライジン酸、エレオステアリン酸、リノレン酸、リノレンエライジン酸、プソイドエレオステアリン酸、パリナリン酸、アラキドン酸等のジ又はトリエン酸;
【0036】
オクチン酸、ノニン酸、デシン酸、ウンデシン酸、ドデシン酸、トリデシン酸、テトラデシン酸、ペンタデシン酸、ヘプタデシン酸、オクタデシン酸、ノナデシン酸、ジメチルオクタデシン酸等のアセチレン酸;
メチレンオクタデセン酸、メチレンオクタデカン酸、アレプロール酸、アレプレスチン酸、アレプリル酸、アレプリン酸、ヒドノカルプン酸、ショールムーグリン酸、ゴルリン酸、α−シクロペンチル酸、α−シクロヘキシル酸、α−シクロペンチルエチル酸等の環状酸から誘導されるアシル基を例示することができる。
【0037】
また、天然油脂から得られる脂肪酸由来のアシル基でも良く、特に上記の炭素原子数2〜20の飽和又は不飽和脂肪酸を80%以上含む混合脂肪酸由来のアシル基が好ましい。具体的には、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、ツバキ油脂肪酸、菜種油脂肪酸、パーム核油脂肪酸等から誘導されるアシル基を例示することができる。
【0038】
本発明においては、成分(H)として上記一般式(1)におけるR−C(=O)−及びR−C(=O)−がそれぞれ独立に炭素原子数8〜20の直鎖状飽和脂肪酸、又は炭素原子数8〜20の直鎖状飽和脂肪酸を80%以上含む混合脂肪酸由来のアシル基が好ましく、とりわけラウリン酸又はヤシ油脂肪酸由来のアシル基が好ましい。
【0039】
上記一般式(1)において、Mは水素原子;ナトリウム原子、カリウム原子、リチウム原子等のアルカリ金属原子;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子;トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール等の有機アミン;L−アルギニン、L−リジン等の塩基性アミノ酸;アンモニウムを示す。本発明においては、とりわけナトリウム原子、カリウム原子等のアルカリ金属原子が好ましい。
【0040】
本発明における成分(H)のN−アシルグルタミン酸リジン縮合物としては、例えば「ぺリセア L−30」(旭化成ケミカルズ社製 ジN−ラウロイルグルタミン酸リジンナトリウム水溶液)等の市販品を好適に使用することができる。
【0041】
本発明において、成分(H)のN−アシルグルタミン酸リジン縮合物は、必要に応じて1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は全組成中0.001〜5%であり、より好ましくは0.1〜2%である。この範囲であれば、上記成分(A)〜(F)との組み合わせて、成分(G)のL−テアニンと併用することにより、毛髪への均一な塗布がし易く、なじみが良くなるため、毛髪補修成分が効率的に浸透し、傷んだ毛髪に、ハリ、コシ、つやを与え、極めて高い毛髪補修効果を発揮し、滑らかで柔らかく、しっとりとした髪に仕上がる良好なコンディショニング効果とその持続性に優れ、系の安定性にも優れたものが得られる。
【0042】
本発明のヘアコンディショニング組成物は、通常ヘアコンディショニング組成物を製造する方法により製造することができる。例えば、水相に油相を添加して乳化する分散乳化法により製造することができるが、上記(A)〜(D)の混合物に成分(E)を加えて多価アルコール中油型乳化物を調製する第一段階と、次いでこの多価アルコール中油型乳化物に成分(F)を加えて水中油型乳化物とする第二段階からなる二段階乳化法により製造することにより、通常の製造方法で製造したものに比べ、高級アルコールが部分的に析出することもなく、均一な液晶構造を形成させることができ、より毛髪に均一に塗布しやすく、毛髪になじみやすく、毛髪補修成分の効率的な浸透を促進させることができるため、優れた毛髪補修効果を発揮し、仕上がり時の毛髪の感触が滑らかで柔らかくしっとりし、より優れたコンディショニング効果を発現し、さらにはその効果を持続できる。また、毛髪表面に均一に塗布されているため、摩擦等による塗布膜の剥離も起きにくく、時間が経った後も毛髪の滑らかさと指通りの良さを持続させることができる。
【0043】
即ち、例えば、組成が同じヘアコンディショニング組成物であっても、本発明の二段階乳化法により製造したものは、通常の分散乳化法により製造したものと比較して、その品質においてより優れたものができる。加えて、二段階乳化法によるものはその均一な液晶構造の形成により、組成物の粘度も低くなる傾向があり、このことは、毛髪表面への均一な塗布をよりしやすくし、毛髪へのなじみをよくすることに寄与する。なお、上記二段階乳化法の第一段階において、成分(A)〜(D)の混合物には成分(D)以外の多価アルコールを任意成分として加えておいても良い。しかし、その添加量は本発明の効果を損なわないようにするために、全多価アルコール中50%以下であることが好ましい。
【0044】
更に、本発明のヘアコンディショニング組成物においては、成分(A)と成分(B)の配合質量比(B)/(A)が1/10〜1/1の範囲にあることが好ましい。この範囲内であれば、本発明のより顕著な効果を得ることができ、特に、二段階乳化で製造する場合には、より均一な液晶構造のゲルを形成することができ、本発明の効果がより顕著なものとなる。
【0045】
本発明のヘアコンディショニング組成物には、上記の必須成分(A)〜(H)の他に、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲において、毛髪用の化粧品において通常配合されるエチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の成分(D)以外の多価アルコール類、ソルビトール、マルチトール、ショ糖、果糖、でんぷん糖、ラクチトール等の糖類、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アルキル化カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、リン酸またはそれらの塩等のpH調整剤、エデト酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸またはそれらの塩等のキレート剤、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム等の無機塩類、グリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、L−システイン、アセチルシステイン、L−セリン、L−アルギニン、L−グルタミン酸、L−アスパラギン酸、トリメチルグリシン、ピロリドンカルボン酸またはその塩等のアミノ酸類、アロエベラ、ウィッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出物、水溶性ビタミンCまたはその誘導体、ビタミンEまたはその誘導体等のビタミン類、コラーゲン、ゼラチン等のタンパク質やその誘導体またはそれらの塩、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸またはそのナトリウム塩等の紫外線吸収剤、真珠末、パール顔料、着色パール顔料、ラメ剤、酸化鉄、酸化チタン、マイカ、カオリン、モンモリロナイト、ナイロン末、シリコーン樹脂粉体等の粉体、タール色素、天然色素等の色素類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等の酸化防止剤、パラベン類、イソプロピルメチルフェノール、フェノキシエタノール等の殺菌・防腐剤、香料等を配合することができる。
【0046】
本発明のヘアコンディショニング組成物は、他の成分との併用や容器の機構により、液状、乳液状、クリーム状、ミスト状、フォーム状等、種々の形態にて実施することができ、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアクリーム、ヘアパック、ヘアエッセンス等として実施することができる。また、本発明の効果を損なわない量的、質的範囲において液化石油ガス、窒素ガス、炭酸ガス、ジメチルエーテル等の各種噴射剤またはそれらの混合物を加え、エアゾール容器に充填して、ヘアフォーム、ヘアスプレーフォーム等のエアゾール製品としても実施することができる。本発明のヘアコンディショニング組成物は、インバス用の製品においても、またアウトバス用の製品においても、良好な効果を示し、実施可能である。
【0047】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【実施例1】
【0048】
本発明品1〜6および比較品1〜9ヘアコンディショナー(洗い流しタイプ)
表1に示す組成および下記製法にてヘアコンディショナーを調製し、下記の評価項目について、以下に示す評価方法及び判断基準により評価した。これらの結果を表1に併記する。
【0049】
【表1】

【0050】
(製法)
A.成分(1)〜(7)を75℃にて加熱溶解し均一に混合する。
B.成分(8)を75℃に加熱する。
C.AにBを添加して均一に乳化混合し、多価アルコール中油型乳化物を得る。
D.成分(11)を75℃に加熱する。
E.CにD、(9)、(10)を添加して均一に乳化混合したのち、ヘアコンディショナーを得た。
【0051】
(評価項目)
〔官能検査〕
<1>毛髪への均一な塗布のし易さ(毛髪への均一な伸び、なじみやすさ)
<2>仕上り時のコンディショニング効果
(仕上り時の毛髪の感触(滑らかさ、柔らかさ、しっとり感))
<3>毛髪補修効果(仕上り時の髪のハリ・コシ、つや)
<4>12時間後のコンディショニング効果の持続性
〔安定性試験〕
<5>高温安定性(組成物の安定性、使用性の評価)
<6>低温安定性(組成物の安定性、使用性の評価)
【0052】
(評価、判定方法)
<1>〜<4>の官能検査
15名の専門パネルに市販の通常タイプのシャンプーにて洗髪してもらい、その後直ちに本発明品1〜6および比較品1〜9のヘアコンディショナーの各試料を毛髪に塗布してもらった。5分たった後にこれを洗い流してもらい、ヘアドライヤーにて乾燥した後、12時間後まで毛髪の感触について評価してもらった。以上の過程において上記<1>〜<4>の各評価項目について、下記(イ)7段階評価基準を用いて評価してもらい、各試料の評点の平均値を更に下記(ロ)4段階判定基準を用いて判定した。
【0053】
(イ)7段階評価基準
(評点) :(評価)
6 : 非常に良い
5 : 良い
4 : やや良い
3 : 普通
2 : やや悪い
1 : 悪い
0 : 非常に悪い
(ロ)4段階判定基準
(評点の平均値) :(判定)
5.0以上 : ◎
3.0以上、5.0未満: ○
1.5以上、3.0未満: △
1.5未満 : ×
【0054】
〔安定性試験〕
<5>高温安定性の判定方法
本発明品1〜6および比較品1〜9の各試料を50℃の条件下に静置して30日後に肉眼にて観察し、下記の(ハ)判定基準を用いて高温安定性を判定した。
(ハ)判定基準
(判定) : (観察結果)
◎ : 異常なし
○ : 上層部と下層部で若干色の違いが見られるが分離はしておらず、ほとんど問題なし
△ : やや分離が認められる
× : 著しい分離が認められる
<6>低温安定性の判定方法
本発明品1〜6および比較品1〜9の各試料を5℃の条件下に静置し、30日後に肉眼にて乳化物のキメを外観として観察した。そして更に、室温に戻した後、静置前より粘度が上昇して高くなりすぎ、毛髪に適用しにくいなど、製品としての使用性(使い勝手の良さ)に問題があるか否か、またその程度について評価した。これらを総合し、低温安定性として下記の(ニ)判定基準を用いて判定した。
(ニ)判定基準
(判定) : (結果)
◎ : 外観に異常なく、使用性に問題なし
○ : 外観にやや変化はあるが粘度上昇せず、ほとんど問題なし
△ : やや粘度の上昇が認められ、使用性にやや問題がある
× : 著しい粘度上昇が認められ、使用性に問題がある
【0055】
表1の結果から明らかなように、本発明品1〜6のヘアコンディショナーは毛髪になじみやすく均一に塗布しやすい。また、乾燥直後の仕上り時には毛髪に滑らかで、柔らかく、しっとりとした良好な感触を与え、更に、時間が経った後も毛髪の滑らかさと指通りの良さが持続する、優れたコンディショニング効果を有するものであることが実証された。
一方、比較品1〜9は全ての項目において満足〜ほぼ満足できるものは得られず、成分(A)のカチオン性界面活性剤を配合していない比較品1は、特に仕上り時の髪の滑らかさ、柔らかさ、しっとり感等毛髪の感触に劣り、コンディショニング効果も毛髪補修効果も感じられず、逆に、カチオン性界面活性剤を過多に配合した比較品2は、コンディショニング効果はあるものの、均一な塗布性に劣り、また、すすぎ時にぬるつきが感じられるものであった。
また、成分(B)のノニオン性界面活性剤を配合していない比較品3は毛髪への均一な塗布のし易さと高温安定性が特に劣り、逆にノニオン性界面活性剤過多の比較品4は仕上り後の毛髪の感触が劣っていた。また、成分(D)のグリセリン量を少なくし他の多価アルコールに置きかえた比較品5は、毛髪への均一な塗布性に劣り、コンディショニング効果、毛髪補修効果、安定性に劣るものであった。更に成分(E)の油性を配合していない比較品6はいずれの項目も劣るものであったが、特に仕上り時のコンディショニング効果に欠けるものであった。
そして、成分(G)を配合しない代わりに成分(H)を多く配合した比較品7、逆に成分(H)を配合しない代わりに成分(G)を多く配合した比較品8では、共に毛髪補修効果、コンディショニング効果の持続性が十分でなく、更に、成分(G)、(H)の両方とも配合していない比較品9は、毛髪補修効果がなく、髪のハリ・コシやコンディショニングの持続性に欠けるものであった。
【実施例2】
【0056】
ヘアトリートメントフォーム(アウトバスタイプ)
下記に示す組成および製法にて、泡沫エアゾールタイプのヘアトリートメントフォームを調製した。
(原液組成)
(成分) (%)
(1)セトステアリルアルコール 0.5
(2)グリセリン 7
(3)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.O.) 1
(4)塩化アルキル(C20−22)トリメチルアンモニウム 0.5
(5)トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 1
(6)2−オクチルドデカノール 0.1
(7)アミノ変性シリコーン(注2) 0.1
(8)メチルパラベン 0.1
(9)香料 0.1
(10)L−テアニン 3
(11)N−アシルグルタミン酸リジン縮合物 (注1) 5
(12)精製水 残量
(注2)SM8702C 東レ・ダウコーニング社製(アミノ変性シリコーン純分で記載)
【0057】
(製法)
A.成分(1)〜(6)、(8)を75℃にて加熱溶解する。
B.成分(12)を75℃にて加熱溶解する。
C.BにAを添加して均一に乳化混合する。
D.冷却後に成分(7)、(9)〜(11)を添加して原液とする。
E.Dの原液95質量部に、噴射剤として液化石油ガス5質量部をエアゾール缶に充填し、ヘアトリートメントムースを得る。
【0058】
以上のようにして得られた実施例2のヘアトリートメントフォームは、均一に塗布しやすく、毛髪になじみやすいものであった。また、乾燥直後の仕上り時の毛髪は、柔らかく、しっとりとしてコンディショニング効果が高く、ハリ、コシがあり、滑らかでつややかな髪にすることのできる高い毛髪補修効果の得られるものであり、翌日になってもそのコンディショニング効果や指通りの良さが持続し、ハリやコシのあるつややかな髪にすることのできる良好なものであった。
【実施例3】
【0059】
ヘアトリートメントミスト(アウトバスタイプ)
下記に示す組成および製法にて、ヘアトリートメントミストを調製した。
(組成)
(成分) (%)
(1)塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 0.1
(2)ポリオキシエチレン(60)硬化ひまし油 0.1
(3)セトステアリルアルコール 0.2
(4)グリセリン 5.0
(5)ソルビトール 0.5
(6)メチルフェニルポリシロキサン 0.3
(7)ヘキシレングリコール 0.5
(8)高重合変性シリコーン(注3) 0.05
(9)L−テアニン 0.01
(10)N−アシルグルタミン酸リジン縮合物 (注1) 0.01
(11)エタノール 5
(12)精製水 残量
(注3)BY−22−050A(東レ・ダウコーニング社製)
【0060】
(製法)
A.成分(1)〜(7)を加熱溶解する。
B.成分(12)を加熱溶解する
C.BにAを添加して均一に乳化混合する。
D.冷却後に成分(8)〜(11)を添加して、ヘアトリートメントミストを得る。
【0061】
以上のようにして得られた実施例3のヘアトリートメントミストは、毛髪に均一に塗布することができ、乾燥後の仕上り時において毛髪に優れたコンディショニング効果を与え、時間が経ってもその持続性に優れ、また、ハリやコシのあるつややかな髪にすることのできる高い毛髪補修効果を有する使用感も良好なものであった。
【実施例4】
【0062】
ヘアパック
下記に示す組成および製法で、ヘアパックを調製した。
(成分) (%)
(1)塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 2
(2)塩化ジポリオキシエチレン(15E.O.)
ヤシ油アルキルメチルアンモニウム 3
(3)ポリオキシエチレン(10)フィトステリルエーテル 1
(4)セトステアリルアルコール 5
(5)ステアリルアルコール 2
(6)ジグリセリン 10
(7)グリセリン 20
(8)プロピレングリコール 5
(9)オクチルドデカノール 0.5
(10)フェノキシエタノール 1
(11)香料 0.3
(12)高重合変性シリコーン(注3) 5.5
(13)L−テアニン 1
(14)N−アシルグルタミン酸リジン縮合物 (注1) 1
(15)精製水 残量
【0063】
(製法)
A.成分(1)〜(8)を加熱溶解する。
B.成分(9)を加熱溶解する。
C.AにBを添加して均一に乳化混合する。
D.成分(15)を加熱溶解する。
E.CにDを添加して均一に乳化混合し、冷却後に成分(10)〜(14)を添加し、ヘアパックを得る。
【0064】
以上のようにして得られた実施例4のヘアパックは毛髪に均一に塗布することができ、乾燥後の仕上り時において優れたコンディショニング効果を有し、その持続性にも優れ、ハリやコシのあるつややかな髪にすることのできる毛髪補修効果の高い使用感も良好なものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(H)、
(A)カチオン性界面活性剤 0.1〜5質量%
(B)ノニオン性界面活性剤 0.1〜5質量%
(C)高級アルコール 0.2〜10質量%
(D)1分子内に水酸基を3個以上有する多価アルコール 5〜50質量%
(E)油性成分 0.1〜20質量%
(F)水
(G)L−テアニン 0.001〜5質量%
(H)下記一般式(1)で示されるN−アシルグルタミン酸リジン縮合物 0.001〜5質量%
【化1】

(式中、m、nはこれらのうち一方が2であり、他方が0である。p、qはm、nとは独立にこれらのうち一方が2であり、他方が0である。R−C(=O)−とR−C(=O)−はそれぞれ独立に炭素原子数2〜20の飽和又は不飽和の脂肪酸から誘導されるアシル基を示す。Mは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、有機アミン、塩基性アミノ酸又はアンモニウムを示す。)
を配合したことを特徴とするヘアコンディショニング組成物。
【請求項2】
上記成分(A)〜(D)の混合物に成分(E)を加えて多価アルコール中油型乳化物を調製し、次いでこの多価アルコール中油型乳化物に成分(F)、(G)、(H)を加えて水中油型乳化物とする二段階乳化法により得られることを特徴とする請求項第1項に記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項3】
二段階乳化法により、均一な液晶構造が形成されることを特徴とする請求項第2項に記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項4】
成分(A)と成分(B)の配合質量比(B)/(A)が1/10〜1/1の範囲にあることを特徴とする請求項第1項ないし第3項の何れかの項に記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項5】
成分(D)がグリセリン、ジグリセリンまたはこれらの混合物から選ばれることを特徴とする請求項第1項ないし第4項の何れかの項に記載のヘアコンディショニング組成物。

【公開番号】特開2008−231035(P2008−231035A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−73651(P2007−73651)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】