説明

ヘアリンス組成物

【課題】シリコーン類を含有せず、髪なじみや指通りなどの使用時の感触に優れ、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができ、かつ染毛性、パーマネントウェーブや巻き髪などのスタイル形成に悪影響を与えないヘアリンス組成物を提供すること。
【解決手段】記(A)〜(C)成分を含有し、シリコーン類を含有しないことを特徴とするヘアリンス組成物。
(A)下記一般式(1)で表される脂肪酸アミドアミン
【化1】


(式中、Rは、直鎖又は分岐した炭素数13〜23の飽和もしくは不飽和脂肪酸残基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、mは1〜5の整数を示す。)
(B)炭素数14〜24の長鎖のアルキル基を有する高級アルコール
(C)シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、炭酸ジカプリル、ジオクチルシクロヘキサン、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸2−エチルヘキシル、ビバリン酸イソデシルから選ばれる一種以上

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアリンス組成物に関し、詳しくはシリコーン類を含有せず、髪なじみや指通りなどの使用時の感触に優れ、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができ、かつ染毛性、パーマネントウェーブや巻き髪などのスタイル形成に悪影響を与えないヘアリンス組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪に滑らかさや光沢を付与し、櫛通りをよくするという、いわゆるリンス効果を持つヘアリンス組成物は、一般にヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアパック等の名称で販売されている。これらのヘアリンス組成物には、通常ダメージケア効果や優れた滑らかさやすべり感などを毛髪に付与することを目的として、ジメチコンやアモジメチコンなどのシリコーン類が配合されている。シリコーンは摩擦力低減能、親延性などの特徴を有していることから多用されているが、これらシリコーンを含有したヘアリンス組成物を長期的に使用することによって、シリコーン類が毛髪に蓄積し、毛髪表面及びキューティクル間に皮膜を形成する。特に、近年、酸性染料を主体としたヘアーマニキュアや酸化染料を主体とした永久染毛料などを用いて、カラーリングを行うことが日常的となっており、染毛を行う際にこれらシリコーン類の油性皮膜が染料の浸透を妨害して、染毛性に悪影響を及ぼし、例えば、染まりにくい、染毛効果が持続しないなどの問題が生じている。また、染毛のみならず、ロッドやアイロンコテを用いて巻き髪スタイルを形成しようとしても、巻き髪スタイルが形成されない、パーマネントウェーブの施術を行った際、パーマ液の浸透性が悪くパーマネントウェーブがかかり難い、ウェーブが持続しない等の問題も発生している。その為、シリコーン類の油性皮膜を形成することなく、染毛、パーマネントウェーブ及び巻き髪等のスタイリング操作に悪影響を与えずに、しなやかでしっとりとした手触り感触の優れたヘアリンス組成物を期待するニーズが高まっている。
【0003】
ヘアリンス組成物にシリコーン類を配合することは、1980年代から始まり、特に近年では高重合タイプのジメチコンや吸着性の高いアモジメチコンなどが配合されている。一方、1980年代以前においてはシリコーン類が配合されていないヘアリンス組成物(例えば、特許文献1〜4参照。)が数多くあるが、これらシリコーン類を含有していないヘアリンス組成物においては、一般にカチオン界面活性剤として、ステアリルトリメチルアンモニウム塩やジステアリルジメチルアンモニウム塩などが用いられ、更に様々な油性成分を添加することにより、しなやかさやしっとり感を付与することが試みられてきた。しかしながら、これらのヘアリンス組成物は、現在の市販ヘアリンス組成物と比較した場合、しなやかさやしっとり感の効果が非常に弱く、特にヘアカラー等により傷んだ毛髪においては、全く満足できる感触ではない。このようにしなやかさやしっとり感等の感触面で劣っている理由は、配合しているカチオン界面活性剤の性能が不十分なこと、またカチオン界面活性剤、高級アルコールと油性成分からなるエマルションが、毛髪に残留しにくいことに原因があるものと考えられる。
【0004】
近年、アミドアミン化合物が毛髪に滑らかさや柔軟性を付与することが見出され、アミドアミン化合物又はその塩類を配合したヘアリンス組成物が提案されており、例えば、アミドアミン化合物とN−長鎖アシル塩基性アミノ酸低級アルキルエステル塩と高級アルコールを組み合わせることにより、滑らか感、しっとり感、柔軟性を付与した組成物(例えば、特許文献5参照。)や、アミドアミン化合物と特定のグリコールを組み合わせて、滑らかな感触と柔軟性を与える毛髪化粧料(例えば、特許文献6参照。)が提案されている。また、特定のアミドアミンと脂肪族アルコールを含有し、滑らか感、しっとり感を付与する毛髪化粧料が提案されている(例えば、特許文献7及び8参照。)。これらの技術は、
いずれもヘアリンス組成物としての一定の改善がなされているが、これらの技術においても実施例にシリコーン類が配合されており、シリコーン類を配合しないと充分満足できる優れた感触には至らず、結果的に染毛、パーマ及び巻き髪等のスタイリング操作に悪影響を与えるものである。
【0005】
【特許文献1】特開昭63−316712号公報
【特許文献2】特開昭58−116409号公報
【特許文献3】特開昭63−190812号公報
【特許文献4】特開平02−011505号公報
【特許文献5】特開平05−271035号公報
【特許文献6】特開2000−053537号公報
【特許文献7】特開2005−298447号公報
【特許文献8】特開2004−323495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、シリコーン類を含有せず、髪なじみや指通りなどの使用時の感触に優れ、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができ、かつ染毛性、パーマネントウェーブや巻き髪などのスタイル形成に悪影響を与えないヘアリンス組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、このような状況に鑑み、鋭意研究した結果、特定の脂肪酸アミドアミンと、高級アルコールと、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、炭酸ジカプリル、ジオクチルシクロヘキサン、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸2−エチルヘキシル、ビバリン酸イソデシルから選ばれる一種以上の油剤とを含有するヘアリンス組成物が、シリコーン類を含有せずとも上記の課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明のヘアリンス組成物は、下記(A)〜(C)成分を含有し、シリコーン類を含有しないことを特徴とする。
(A)下記一般式(1)で表される脂肪酸アミドアミン
【化1】

(式中、Rは、直鎖又は分岐した炭素数13〜23の飽和もしくは不飽和脂肪酸残基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、mは1〜5の整数を示す。)
(B)炭素数14〜24の長鎖のアルキル基を有する高級アルコール
(C)シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、炭酸ジカプリル、ジオクチルシクロヘキサン、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸2−エチルヘキシル、ビバリン酸イソデシルから選ばれる一種以上
【発明の効果】
【0009】
本発明のヘアリンス組成物は、シリコーン類による毛髪上に油性皮膜を形成せず、髪なじみや指通りなどの使用時の感触に優れ、染毛性、パーマネントウェーブや巻き髪などのスタイル形成に悪影響を与えることなく、しなやかでしっとりとした感触に優れた効果を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明における(A)成分の脂肪酸アミドアミンは、例えば、下記一般式(1)
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、Rは、直鎖又は分岐した炭素数13〜23の飽和もしくは不飽和脂肪酸残基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、mは1〜5の整数を示す。)で表され、具体例を示すと、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ヤシ脂肪酸ジメチルアミノプロピルアミド、パーム脂肪酸ジメチルアミノプロピルアミド、牛脂脂肪酸ジメチルアミノプロピルアミド、イソステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジエチルアミノエチルアミド、オレイン酸ジエチルアミノエチルアミド、ヤシ脂肪酸ジエチルアミノエチルアミド、パーム脂肪酸ジエチルアミノエチルアミド、牛脂脂肪酸ジエチルアミノエチルアミド、イソステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ラウリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジエチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ヤシ脂肪酸ジエチルアミノプロピルアミド、パーム脂肪酸ジエチルアミノプロピルアミド、牛脂脂肪酸ジエチルアミノプロピルアミド、イソステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド等の脂肪酸アミドアミンが挙げられる。これらの中でもRが炭素数17〜21、Rがメチル基、mが3の整数であるベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドが特に好ましい。本発明では、これらの脂肪酸アミドアミンの中から1種又は2種以上を任意に用いることができ、その配合量は、好ましくは0.1〜10質量%(以下、特に記載のあるもの以外は、質量%を単に「%」で示す)、更に好ましくは、0.5〜5%の範囲である。この配合量の範囲であれば、毛髪に対して、べたつきや重さを感じることなく、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができるため好ましい。
【0014】
脂肪酸アミドアミンは、通常、酸を添加して中和して配合することが好ましく、中和により乳化剤としての機能がより発揮される。中和剤としては有機酸を用いることが好ましい。有機酸としては、例えば、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、グルコン酸、パントテン酸等のヒドロキシモノカルボン酸;リンゴ酸、酒石酸等のヒドロキシジカルボン酸;クエン酸等のヒドロキシトリカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸等のジカルボン酸;L−グルタミン酸、L−アスパラギン酸等の酸性アミノ酸;ピログルタミン酸、;安息香酸、p−トルエンスルホン酸等の芳香族酸等が挙げられる。これらの中でも、高級アルコールとのゲル形成能力や乳化能力の点から、ヒドロキモノカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸、ヒドロキシトリカルボン酸が好ましく、その中でも特に乳酸及びグリコール酸がより好ましい。脂肪酸アミドアミンと有機酸の中和は、乳化工程中で行っても、あるいはあらかじめ脂肪酸アミドアミンと有機酸の塩を形成させてか
ら配合しても良い。また、有機酸は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、脂肪酸アミドアミンに対して、好ましくは0.5〜2.0モル倍、更に好ましくは0.7〜1.2モル倍の範囲である。
【0015】
本発明における(B)成分は炭素数14〜24の長鎖のアルキル基を有する高級アルコールである。(B)成分の中でも好ましいものとしては、炭素数16〜22の長鎖高級アルコール、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、水添ナタネ油アルコール、ベヘニルアルコール等である。これらの高級アルコールは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、好ましくは1〜10%、更に好ましくは、3〜10%の範囲である。この配合量の範囲であれば、毛髪に対して、べたつきや重さを感じることなく、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができるため好ましい。
【0016】
本発明における(C)成分は、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、炭酸ジカプリル、ジオクチルシクロヘキサン、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸2−エチルヘキシル、ビバリン酸イソデシルから選ばれる一種以上である。これらの油剤は、平均摩擦係数が0.2以下であり、40℃における動粘度が50mm/s以下の特性を有している特性がある。市販品の具体例をあげると、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコールとしては、Neosolue−Aqulio(日本精化社製)、炭酸ジカプリルとしては、CETIOL CC(コグニス社製)、ジオクチルシクロヘキサンとしては、CETIOL S(コグニス社製)、イソノナン酸イソノニルとしては、KAK99(高級アルコール工業社製)、CETIOL ININ(コグニス社製)サラコス99(日清オイリオ社製)、イソノナン酸2−エチルヘキシルとしては、ES108109(高級アルコール工業社製)、ビバリン酸イソデシルとしては、ネオライト 100P(高級アルコール工業社製)等が例示される。これらの中でも、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、炭酸ジカプリル及びジオクチルシクロヘキサンが感触面で好ましい。本発明では、これらの中から1種又は2種以上を任意に用いることができ、その配合量は、好ましくは0.1〜20%、更に好ましくは、1〜10%の範囲である。この配合量の範囲であれば、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができるため好ましい。
【0017】
さらに本発明においては使用時のぬめり感や乾燥後の潤い効果を高める目的で、(D)成分のヒドロキシエーテル型カチオンを含有することがより好ましい。ヒドロキシエーテル型カチオンは、例えば、下記一般式(2)
【0018】
【化3】

【0019】
(式中、Rは、直鎖又は分岐した炭素数12〜24の飽和もしくは不飽和アルキル基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、pは1〜5の整数、Xはハロゲン原子又は炭素数1〜3のアルキル硫酸基を示す。)で表され、具体例を示すと、ラウリルPGトリモニウムクロリド、ミリスチルPGトリモニウムクロリド、パルミチルPGトリモニウムクロリド、セチルPGトリモニウムクロリド、セトステアリルPGトリモニウムクロリド、ステアリルPGトリモニウムクロリド、アラキルPGトリモニウムクロリド、ベヘニルPGトリモニウムクロリド、カルナービルPGトリモニウムクロリド、オレイルPGトリモニウムクロリド、エライジルPGトリモニウムクロリド、リノレイルPGトリモニウムクロリド、
リノレニルPGトリモニウムクロリド、ラウリルPGトリモニウムブロミド、ミリスチルPGトリモニウムブロミド、パルミチルPGトリモニウムブロミド、セチルPGトリモニウムブロミド、セトステアリルPGトリモニウムブロミド、ステアリルPGトリモニウムブロミド、アラキルPGトリモニウムブロミド、ベヘニルPGトリモニウムブロミド、カルナービルPGトリモニウムブロミド、オレイルPGトリモニウムブロミド、エライジルPGトリモニウムブロミド、リノレイルPGトリモニウムブロミド、リノレニルPGトリモニウムブロミド、ラウリルPGトリモニウムエトサルフェート、ミリスチルPGトリモニウムエトサルフェート、パルミチルPGトリモニウムエトサルフェート、セチルPGトリモニウムエトサルフェート、セトステアリルPGトリモニウムエトサルフェート、ステアリルPGトリモニウムエトサルフェート、アラキルPGトリモニウムエトサルフェート、ベヘニルPGトリモニウムエトサルフェート、カルナービルPGトリモニウムエトサルフェート、オレイルPGトリモニウムエトサルフェート、エライジルPGトリモニウムエトサルフェート、リノレイルPGトリモニウムエトサルフェート、リノレニルPGトリモニウムエトサルフェート、ラウリルPGトリモニウムメトサルフェート、ミリスチルPGトリモニウムメトサルフェート、パルミチルPGトリモニウムメトサルフェート、セチルPGトリモニウムメトサルフェート、セトステアリルPGトリモニウムメトサルフェート、ステアリルPGトリモニウムメトサルフェート、アラキルPGトリモニウムメトサルフェート、ベヘニルPGトリモニウムメトサルフェート、カルナービルPGトリモニウムメトサルフェート、オレイルPGトリモニウムメトサルフェート、エライジルPGトリモニウムメトサルフェート、リノレイルPGトリモニウムメトサルフェート、リノレニルPGトリモニウムメトサルフェート等のヒドロキシエーテル型カチオンが挙げられる。これらの中でもRが炭素数22のベヘニル基、Rがメチル基、Xが塩素であるべヘニルPGトリモニウムクロリドが特に好ましい。本発明では、これらのヒドロキシエーテル型カチオンの中から1種又は2種以上を任意に用いることができ、その配合量は、好ましくは0.1〜10%、更に好ましくは、0.5〜5%の範囲である。この配合量の範囲であれば、毛髪に対して、使用時のぬめり感や乾燥後の潤い効果を与えることができるため好ましい。
【0020】
本発明において含有しないシリコーン類とは、非水溶性のシリコーン及びその誘導体であり、具体例としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーンなどであり、例えば以下の(a)〜(g)等が挙げられる。
(a)ジメチルポリシロキサン:メチルシロキサン構造を持ち、25℃における粘度が6〜100,000mPa・sである重合度ものが挙げられる。
(b)環状シリコーン:環状のメチルポリシロキサン構造を持つシリコーン油であり、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、環状シリコーン樹脂等が挙げられる。
(c)高重合ジメチルポリシロキサン:メチルシロキサン構造を持ち、25℃における粘度が50,000〜20,000,000mPa・sであるものが挙げられる。
(d)アミノ変性シリコーン:N−(2−アミノエチル)アミノプロピル基又はN−(2−アミノエチル)アミノイソブチル基を持つシリコーン油である。
(e)ポリエーテル変性シリコーン:ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン・メチル(ポリオキプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキプロピレン)シロキサン共重合体等が挙げられる。
(f)アルコール変性シリコーン:ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部をアルコキシ基に置き換えた構造を有し、ステアロキシメチルポリシロキサン、セトキシメチルポリシロキサン等が挙げられる。
(g)アルキル変性シリコーン:ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部を長鎖アルキル基に置き換えた構造を有し、アルキル基の置換率及び大きさにより、液体からワックス
状の性状を有するものが挙げられる。
(h)アミノフェニル変性シリコーン:N−(2−アミノエチル)アミノプロピル基又はN−(2−アミノエチル)アミノイソブチル基とフェニル基を持つシリコーン油。
【0021】
本発明のヘアリンス組成物は、上記の脂肪酸アミドアミンと、高級アルコールと、特定の油剤を必須成分とし、これらを水又は水に適宜な溶剤などを加えた液に含有させることによって調製されるが、これらの必須成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で通常ヘアリンス組成物に一般的に配合される他の成分を目的に応じて配合することができる。
【0022】
そのような成分としては、例えば、ラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルーテル硫酸塩、ラウリルベンゼンスルホン酸塩、ラウロイルメチ−β−アラニンナトリウム等のアニオン性界面活性剤;2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油アルキルN−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤;カチオン化セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)、高重合ポリエチレングリコール等の高分子化合物;グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の湿潤剤;ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;ミリスチン酸イソプロピル等のエステル油;流動イソパラフィン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素;ジメチルポリシロキサン、高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等のシリコン類;ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム等の抗フケ成分;エタノール、メタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;L−アスパラギン酸、L−アスパラギン酸ナトリウム、DL−アラニン、L−アルギニン、グリシン、L−グルタミン酸、L−システイン、Lスレオニン等のアミノ酸;その他紫外線吸収剤、防腐剤、糖類、香料、色剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、各種薬剤等が挙げられる。
【0023】
本発明のヘアリンス組成物は、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアクリーム、リーブオントリートメント等に用いることができる。
【実施例】
【0024】
次に実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。実施例に先立ち、各実施例で採用した試験法、評価法を説明する。
【0025】
(1)使用時の感触試験法
20名のパネルが本発明の実施例及び比較例の試料を使用し、使用時の髪なじみ、指通りについて「良い」、「普通」、「悪い」の3段階で判定し、判定結果を「良い」と回答した人数により判断した。判断基準は以下の通りである。
◎:大変優れている・・・「良い」と答えた試験対象者の数が16名以上
○:優れている ・・・「良い」と答えた試験対象者の数が11〜15名
△:劣っている ・・・「良い」と答えた試験対象者の数が6〜10名
×:大変劣っている・・・「良い」と答えた試験対象者の数が5名以下
【0026】
(2)使用後の毛髪の仕上がり感試験法
20名のパネルが本発明の実施例及び比較例の試料を使用し、使用後の毛髪のしっとり感、しなやかさについて「良い」、「普通」、「悪い」の3段階で判定し、判定結果を「良い」と回答した人数により判断した。判断基準は以下の通りである。
◎:大変優れている・・・「良い」と答えた試験対象者の数が16名以上
○:優れている ・・・「良い」と答えた試験対象者の数が11〜15名
△:劣っている ・・・「良い」と答えた試験対象者の数が6〜10名
×:大変劣っている・・・「良い」と答えた試験対象者の数が5名以下
【0027】
(3)染毛への影響試験法
(i)染毛効果
白髪毛髪(5g,10cm、ビューラックス社製)を用いて、10%濃度のラウレス硫酸ナトリウム溶液2gでシャンプー洗浄し、お湯で充分に洗い流した後、本発明のヘアリンス組成物2gを塗布し、お湯で充分に洗い流し、タオルドライを行い、室温にて1昼夜乾燥させた。この操作を10回繰り返した後、市販のヘアカラー(プロスタイル ヘアカラーNBK、クラシエホームプロダクツ社製)を用いて染色を行い、染色前後の毛髪の測色を色彩色差計(コニカミノルタセンシング社製)を用いて行った。染毛後の明度と染毛前の明度の差からΔL値を算出した。尚、ΔLの値が大きいほど、染色効果が高いことを示し、以下の判定基準に従って判断した。
◎:大変優れている・・・ΔL値が60以上
○:優れている ・・・ΔL値が50以上60未満
△:劣っている ・・・ΔL値が40以上50未満
×:大変劣っている・・・「ΔL値が40未満
【0028】
(ii)染色持続性
次に、60℃に加温した2%濃度のラウレス硫酸ナトリウム溶液100mLに浸漬し、1時間放置し、室温で一昼夜乾燥させ、再び測色を行った。浸漬前後の明度の差からΔLを算出した。尚、ΔL値が小さいほど染色持続効果が高いことを示し、以下の判定基準に従って判断した。
◎:大変優れている・・・ΔL値が5未満
○:優れている ・・・ΔL値が5以上10未満
△:劣っている ・・・ΔL値が10以上15未満
×:大変劣っている・・・ΔL値が15以上
【0029】
(4)巻き髪への影響試験法
日本人黒髪毛髪(5g,15cm、ビューラックス社製)を用いて、10%濃度のラウレス硫酸ナトリウム溶液2gでシャンプー洗浄し、お湯で充分に洗い流した後、本発明のヘアリンス組成物2gを塗布し、お湯で充分に洗い流し、タオルドライを行い、室温にて1昼夜乾燥させた。この操作を5回繰り返した後、毛束に水を噴霧しながら市販のカール用ロッド(10cm×12φ)に毛髪を巻き、1昼夜乾燥させた。ついでロッドから毛束をはずし、カールの直径を5ケ所について計測し、平均値を算出した。尚、カールの直径が小さいほど巻き髪が作りやすいということを示し、以下の判定基準に従って判断した。
◎:大変優れている・・・カール直径が2cm未満
○:優れている ・・・カール直径が2cm以上2.5cm未満
△:劣っている ・・・カール直径が2.5cm以上3cm未満
×:大変劣っている・・・カール直径が32cm以上
【0030】
実施例1〜9及び比較例1〜8(ヘアリンス)
表1〜2に記載の配合組成によるヘアリンスを調製し、使用時の髪なじみ、指通り、使用後の毛髪のしっとり感、しなやかさ、染毛への影響、巻き髪への影響について調べ、その結果を併せて表1〜2に示した。
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
表1〜2より明らかなように、本発明によるヘアリンス組成物は比較例の組成物に比べて、使用時の髪なじみ、指通り、使用後の毛髪のしっとり感、しなやかさ、染毛への影響、巻き髪への影響等の項目について優れた性能を示していた。
【0034】
以下、本発明ヘアリンス組成物のその他の処方例を実施例として挙げる。なお、これらの実施例のヘアリンス組成物についても、上記の毛髪の使用時の髪なじみ、指通り、使用後の毛髪のしっとり感、しなやかさ、染毛への影響、巻き髪への影響の各項目を検討したところ、いずれの実施例においても、優れた特性を有しており良好であった。
【0035】
実施例10 ヘアコンディショナー
配合量(%)
(1)ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド 2.5
(カチナールBMPA、東邦化学工業社製)
(2)ステアリルアルコール 6.5
(3)シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール 2.0
(4)炭酸ジカプリル 1.0
(5)ジオクチルシクロヘキサン 1.0
(6)乳酸 0.6
(7)ベヘニルPGトリモニウムクロリド 1.0
(8)ジプロピレングリコール 1.0
(9)コメヌカ抽出液 0.5
(10)ヒオウギエキス 1.0
(11)フェノキシエタノール 0.2
(12)香料 0.5
(13)精製水 全量を100とする
【0036】
(製法)(1)〜(8)を80℃にて均一に混合溶解し、80℃に加温した(13)にプロペラで攪拌しながら加えて乳化する。徐々に冷却を行い、60℃にて(9)〜(12)を添加し、室温まで冷却して、ヘアコンディショナーを調製した。
【0037】
実施例11 ヘアトリートメント
配合量(%)
(1)ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド 3.0
(カチナールBMPA、東邦化学工業社製)
(2)セトステアリルアルコール 9.0
(3)シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール 4.0
(4)炭酸ジカプリル 1.0
(5)乳酸 0.8
(6)パラフィン 2.0
(7)ベヘニルPGトリモニウムクロリド 1.0
(8)グリセリン 3.0
(9)グルコシルトレハロース・水添デンプン分解物 2.0
(10)加水分解大豆抽出液 1.0
(11)ピロクトンオラミン 0.3
(12)ポリクオタニウム−64 1.0
(LIPIDURE−C、日油社製)
(13)防腐剤(ケーソンCG) 0.1
(14)香料 0.5
(15)精製水 全量を100とする
【0038】
(製法)(1)〜(7)を80℃にて均一に混合溶解し、60℃に加温した(8)、(9)及び(15)加えて乳化し、ホモミキサーを用いて均一に混合する。混合しながら徐々に冷却を行い、60℃にて(10)〜(14)を添加し、室温まで冷却して、ヘアトリートメントを調製した。
【0039】
実施例12 ヘアマスク
配合量(%)
(1)ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド 2.0
(カチナールBMPA、東邦化学工業社製)
(2)ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド 1.0
(3)セチルアルコール 5.0
(4)シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール 5.0
(5)ビバリン酸イソデシル 1.0
(6)ベヘニルPGトリモニウムクロリド 0.5
(7)ステアリルPGトリモニウムクロリド 0.5
(8)1,3−ブチレングリコール 2.0
(9)セバシン酸ジグリセリル混合脂肪酸エステル 3.0
(混合脂肪酸:カプリル酸、カプリン酸、イソステアリン酸、
ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸)
(10)アルギニン誘導体(アミセーフLMA−60、味の素社製) 1.0
(11)加水分解シルク液 1.0
(12)乳酸 0.2
(13)グリコール酸 0.2
(14)ジンクピリチオン液(50%) 0.6
(15)香料 微 量
(16)精製水 全量を100とする
【0040】
(製法)(1)〜(9)を80℃にて均一に混合溶解させ、(10)〜(13)及び(16)を65℃にて混合したものを加えながらホモミキサーで混合分散を行い、50℃にて(14)及び(15)を加え、更にホモミキサーにて混合しながら室温まで冷却して、ヘアマスクを調製した。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上記載のごとく、本発明は、シリコーン類を含有しなくても、髪なじみや指通りなどの使用時の感触に優れ、しなやかでしっとりとした仕上がり感を与えることができ、かつ染毛性、パーマネントウェーブや巻き髪などのスタイル形成に悪影響を与えないヘアリンス組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(C)成分を含有し、シリコーン類を含有しないことを特徴とするヘアリンス組成物。
(A)下記一般式(1)で表される脂肪酸アミドアミン
【化1】

(式中、Rは、直鎖又は分岐した炭素数13〜23の飽和もしくは不飽和脂肪酸残基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、mは1〜5の整数を示す。)
(B)炭素数14〜24の長鎖のアルキル基を有する高級アルコール
(C)シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、炭酸ジカプリル、ジオクチルシクロヘキサン、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸2−エチルヘキシル、ビバリン酸イソデシルから選ばれる一種以上
【請求項2】
(A)成分の脂肪酸アミドアミンが、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド及びステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドから選ばれる一種以上である請求項1記載のヘアリンス組成物。
【請求項3】
更に(D)下記一般式(2)で表されるヒドロキシエーテル型カチオン
【化2】

(式中、Rは、直鎖又は分岐した炭素数12〜24の飽和もしくは不飽和アルキル基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、pは1〜5の整数、Xはハロゲン原子又は炭素数1〜3のアルキル硫酸基を示す。)を含有することを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項記載のヘアリンス組成物。

【公開番号】特開2010−24169(P2010−24169A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185940(P2008−185940)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(306018365)クラシエホームプロダクツ株式会社 (188)
【Fターム(参考)】