説明

ヘッドアップディスプレイフロントガラス用の成形された中間層、およびその製造方法

【課題】HUDフロントガラスの製造に好適な接着シート材料の提供。
【解決手段】(a)外側端部間の中間点又はその付近で分割して、少なくとも20%の均一な厚さの領域をそれぞれが有する2枚のシートが得られる、均一な厚さプロファイルの2つの領域と、(b)不均一な厚さプロファイルの領域であって、前記ウェブの厚さが、前記ウェブの中央又はその付近から連続的に増加し、かつ前記ウェブの前記端部に沿った均一な厚さの前記領域の両端の方向に増加する領域とを含み、均一な厚さの領域が不均一な厚さの領域と接するそれぞれの接合点で頂点が形成され、かつ前記頂点は、前記頂点を物理的に検査しても鋭い端部が検出されないように湾曲している、ポリビニルブチラールの自立接着シートの連続ウェブ、及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2001年6月15に出願された米国特許出願第60/298,802号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
車両用ヘッドアップ装置ディスプレイ(HUD)は、車両の前方に向かって車両のフロントガラスの前方に位置すると見られる仮想映像を提供するために使用されている。運転者が外部を見ることから著しく注意をそらして機器を確認する必要がないので、これらのディスプレイによって安全性が増大するという利点が得られる。
【0003】
ほとんどの従来のフロントガラスは、ポリビニルブチラール(PVB)やポリウレタンなどの実質的に均一な厚さの接着剤層を2枚のガラスシートの間に配置し、こうしてはさまれた組立体をオートクレーブで積層することによって製造される。映像源がフロントガラスから離れた位置にある従来のHUDでは、映像源からの光は、フロントガラスで反射して観察者の方向に向かい、その観察者はフロントガラスの向こう側の空間に浮かぶ映像を見る。従来のフロントガラスが使用される場合、観察者は、フロントガラスの内面からの映像と、外面からの映像の2つの別々の映像を見る。観察者の視界においてこれらの2つの映像の位置がずれていると、ゴースト像が見えてしまい許容できる目視が妨害される。
【0004】
ゴースト像の問題を軽減する方法としては、所定のくさび角を有する中間層を有するフロントガラス内部に配置される接着中間層を使用することが挙げられる。ダッシュボードの表示装置から形成されフロントガラスの内面および外面から反射される複数の映像が、実質的に重なって、車両の運転者の目には実質的に1つの映像として見えるようにするため、このくさび角は、フロントガラスの予想される取り付け角、ガラスシートの厚さ、および投影される映像の入射角に応じて選択される。これらの方法の中では、特に、米国特許公報(特許文献1)、公開された(特許文献2)、および米国特許公報(特許文献3)に開示される方法が挙げられる。
【0005】
HUD投影装置のくさび角は、接着シートの端から端までの幅にわたって連続的に延在するくさび形の厚さプロファイルを有する接着シートを使用することによって形成される。このようなシートおよびそのシートの製造方法は米国特許公報(特許文献4)に開示されている。
【0006】
シートの幅全体にわたって連続的に延在するくさび形の厚さプロファイルを有するウェブを製造し輸送する場合に、ウェブの取り扱いの問題が発生する。ウェブのずれ(walking)とは、シーティングが運搬され加工されるときの横方向の移動を制御できないシート材料を表すために使用される用語である。竹の子状化(telescoping)とは、巻き取られたウェブの芯または個々の層に偏りが生じたり巻き取りが不均一となったりする場合に発生する現象を表すために使用される用語である。ウェブのずれおよび竹の子状化によってウェブが損傷し、フロントガラス製造にウェブを使用することは困難または不可能となる。これらの問題によって、ウェブの着色も制限される。さまざまな程度の成果が得られる特殊なウェブ取り扱い設備および方法を使用することができるが、これは高価であり、従来の接着シート材料の製造に使用される既存の設備の2倍の設備が必要となることが多い。短いロールを製造することによってのみこれらの問題が軽減される。しかし短いロールでは、シート材料をフロントガラスに加工する顧客が、製造中にロールを頻繁に取り替えることが必要である。さらに、従来技術の方法によって得られる形状では、押し出されるときにウェブをさらにトリミングすることが必要である場合が多く、そのためトリミングにより発生する屑のため経済的損失が生じる。また、従来技術のある方法では、余分なトリミングのために、より幅広な押出ラインが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,013,134号明細書
【特許文献2】国際公開第91/06031号パンフレット
【特許文献3】米国特許第5,639,538号明細書
【特許文献4】米国特許第5,087,502号明細書
【特許文献5】米国特許第2,720,501号明細書
【特許文献6】米国特許第2,400,957号明細書
【特許文献7】米国特許第2,739,957号明細書
【特許文献8】米国特許第2,829,399号明細書
【特許文献9】米国特許第3,068,525号明細書
【特許文献10】米国特許第2,957,766号明細書
【特許文献11】米国特許第3,591,406号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、特殊なウェブ取り扱い設備および方法か、あるいは廃棄または再利用が必要な屑の発生を必要としない、HUDフロントガラスの製造に好適な接着シート材料を提供することが好都合である。押出時のウェブの形状が変化するのであれば、よりせまい押出ラインで製造することができ、それによって市場への供給が保証され、既存の製造施設の自由度が高まる。
【0009】
全体の厚さを減少させながら全体の機能的有用性は維持される形状であれば、材料が削減という点でさらなる経済的利点が得られる。非対称な形状であれば、せまいラインでより広い幅を形成することが可能になる。非対称な形状は、複数のくさび形を同時に作製するために使用することもでき、特定の用途に必要な複数の形状に到達するまでに長時間を要する頻度を最小限にすることによって別の経済的利点が得られる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様では、本発明は、透明な接着中間層(16)を製造するために有用な自立接着シートの連続ウェブ(10)であって、(a)ウェブの中央から始まり、ウェブの外端部に向かう両方の方向に続く、幅の少なくとも20%にわたる均一な厚さプロファイルの領域(AB)と、(b)ウェブの外端部からウェブの中央の均一な厚さの領域に向かって厚さが増加する、変動する厚さプロファイルを有する2つの領域とを含み、それによって、均一な厚さの部位(AB)でウェブを分割することによって、少なくとも20%の均一な厚さの領域をそれぞれが有する2枚のシートが得られる。変動する厚さプロファイルの2つの領域は、個別の製造および/または最終用途の要求に依存して一定または一定でない割合で増加してよい。
【0011】
別の態様では本発明は、透明な接着中間層を製造するために有用な自立接着シートの連続ウェブであって、(a)外端部の間の中間点付近でウェブを分割することにより、少なくとも20%の均一な厚さの領域をそれぞれが有する2枚のシートが得られるように、ウェブの端部から中央に向かって延在する、幅の少なくとも20%にわたる均一な厚さプロファイルの2つの領域と、(b)ウェブの中央から始まり、ウェブの端部に沿った均一な厚さの領域の両端の方向に一定または異なる勾配値で直線的に厚さが増加する、変動する厚さプロファイルの領域とを含み、均一な厚さの領域が変動する厚さの領域と接するそれぞれの接合点で頂点が形成され、これらの頂点は、湾曲した頂点を物理的に検査しても鋭い端部が検出されないように湾曲していてもよい。
【0012】
別の態様では、本発明は、透明な接着中間層を製造するために有用な自立接着シートの連続ウェブであって、(a)不均一な厚さの部位でウェブを分割することにより、少なくとも20%の均一な厚さの領域をそれぞれが有する2枚のシートが得られるように、ウェブの端部から中央に向かって延在する、幅の少なくとも20%にわたる均一な厚さプロファイルの2つの領域と、(b)ウェブの中央から始まり連続的かつ非直線的に厚さが増加し、かつ均一な厚さの領域に向かって両端の方向に厚さが増加する、変動する厚さプロファイルの領域とを含み、均一な厚さの領域が変動する厚さの領域と接するそれぞれの接合点で頂点が形成され、これらの頂点は、湾曲した頂点を物理的に検査しても鋭い端部が検出されないように湾曲していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】自立接着ウェブの幅全体の概略断面図であり、厚さプロファイルが示されている。
【図2】透明な積層体の概略部分断面図であり、積層体に組み込まれた図1の接着ウェブの半分のシートの厚さプロファイルが示されている。
【図3】自立接着ウェブの幅全体の概略断面図であり、その厚さプロファイルが示されており、ウェブの外側部分は均一な厚さの領域であり、ウェブの中央部分は最小厚さの領域までテーパーを有する。
【図4】自立接着ウェブの幅全体の概略断面図であり、その厚さプロファイルが示されており、ウェブの外側部分は均一な厚さの領域であり、ウェブの中央部分は最小厚さの領域までテーパーを有し、最小厚さの領域は丸みを帯びたまたは平滑な厚さプロファイルを有する。
【図5】自立接着ウェブの幅全体の概略断面図であり、その厚さプロファイルが示されており、ウェブの外側部分は厚さが減少するテーパー領域であり、ウェブの中央部分は最小厚さの領域までテーパーを有し、最小厚さの領域は丸みを帯びたまたは平滑な厚さプロファイルを有する。
【図6】自立接着ウェブの幅全体の概略断面図であり、その厚さプロファイルが示されており、ウェブの外側部分は、ウェブの中央部分の減少する厚さプロファイルの領域に移行する変わり目で丸みを帯びたまたは平滑な厚さプロファイルを有する均一な厚さの領域であり、ウェブの中央部分は、丸みを帯びたまたは平滑な厚さプロファイルを有する最小厚さの領域までテーパーを有する。
【図7】図7aは自立接着ウェブの幅全体の概略断面図であり、その厚さプロファイルが示されており、ウェブの外側部分は、ウェブの中央部分における均一な最小厚さの領域に向かってテーパーを有する均一な厚さの領域である。図7bは自立接着ウェブの幅全体の概略断面図であり、その厚さプロファイルが示されており、ウェブの外側部分は、ウェブの中央部分における均一な最大厚さの領域に向かってテーパーを有する均一な最小厚さの領域である。
【図8】自立接着ウェブの幅全体の概略断面図であり、その厚さプロファイルが示されており、ウェブの外側部分は均一な厚さの領域であり、ウェブの中央に向かってウェブの厚さが増加し、続いてウェブの中央部分に向かって厚さが減少し、均一な厚さの外側の領域の厚さよりも厚い均一な厚さを中央部分は有する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のウェブシートは、フロントガラスに使用すると好適な長さ、または完成した供給ロールに好適な長さを含めた長さまでのあらゆる長さを有する、完成した幅のビニル材料である。本発明において、「くさび形領域」は、ウェブシートの厚さが変化する領域、すなわち一定でない、または不均一である領域である。本出願の目的のため、くさび形領域は、本明細書では不均一な厚さの領域または変動する厚さの領域と呼ぶこともできる。本出願に記載されるあらゆるウェブに関して、個別の製造および/または最終用途の要求に依存して、変動する厚さプロファイルの領域は、ウェブの中心線に対して対称または非対称に増加することができる。本明細書に記載される場合、ウェブの厚さプロファイルは、ウェブの断面の厚さを意味する。
【0015】
ここで図面を参照すると、ウェブ幅の少なくとも20%にわたる領域AおよびBで示される均一な厚さプロファイルと、領域CおよびDのくさび形の厚さプロファイルとを有する自立接着ウェブ10が図1に示されている。図2に示されるように、積層体は、接着中間層16がその間にはさまれたガラスシート12および14を含む。中間層16は、端部18から位置20まで延在する均一な厚さプロファイルと、位置20から端部22まで延在するくさび形の厚さプロファイルとを有する。この中間層は、図1のウェブ10を中心線またはその付近で横方向に切断され、その切断されたウェブをシートに切断し、フロントガラス、風防、窓、観測点、またはそれを通して周囲環境を見ることができるその他のあらゆる透明な積層体(自動車やその他の陸上の車両のフロントガラス、または航空機の風防などを挙げることができる)に組み込むことによって作製される。巻き取れらたロールからのウェブは、米国特許公報(特許文献4)に開示されているような公知の方法によって延伸することができる。驚くべきことに、厚さプロファイルが均一からくさび形に移行する場合には、ウェブを大型ロールに巻き取る場合に 特殊なウェブ取り扱い設備または方法は必要とせず、ライン方向に沿ったフロントガラスに目視で観察できる不均等が実質的に存在しない。上記の積層体は、ガラス、ポリカーボネートやアクリル樹脂などのプラスチック、またはその他の透明な材料で構成されうる。
【0016】
一実施態様では、「単一切断」のくさび形は製造ラインから直接得ることができ、この単一切断のくさび形は、中間点またはその付近で本発明のくさび形を切断した後に得られるくさび形と同じ形状を有する。単一切断のくさび形は、単一切断製造ライン上にウェブを流すことによって、二重のくさび形を切断する必要なしに得ることができる。
【0017】
本発明の接着ウェブは、HUDを備えるフロントガラスの製造の中間層として有用である。中間層は、フロントガラス内部に配置され、そのくさび形は横方向に延在し、映像領域を含むヘッドアップディスプレイの観察領域の上部から下部に向かって内側にテーパーを有する。
【0018】
図2を参照すると、映像領域は、位置20と端部22との間のフロントガラスの部位にある。位置20から端部22までの中間層16の形状はくさび形として画定され、すなわち、ガラスシート12および14の内面の間の距離は、位置20から端部22までの種々の位置で測定すると減少する。このくさび形は、中間層16の第1および第2の表面と平行な面が交わることによって形成されるくさび角によって表現される。くさび角は非常に小さい。一般に0.1〜1.0ミリラジアンのくさび角が使用される。
【0019】
ダッシュボードの表示装置から形成され外側の板のシートの内面および外面から反射される複数の映像が、実質的に重なって、車両の運転者の目には実質的に1つの映像として見えるようにするため、中間層のくさび角は、フロントガラスの予想される取り付け角、透明シート材料の厚さ、および投影される映像の入射角に応じて選択される。
【0020】
くさび形部分は、直線的に厚さが増加してもよいし、または連続的であるが非直線的に厚さが増加してもよい。「連続的であるが非直線的」とは、中間層のくさび形部分の全体の厚さは減少せずに常に増加するが(連続的に増加)、増加の割合は直線状でなくてもよく、増加は直線状の後に非直線状となってもよく、増加が直線的な部位と、増加が非直線的な他の部位とが存在してもよいことを意味する。非直線的に増加する部位としては、曲線の式に従って勾配が増加する部位、またはウェブの表面に沿って面の勾配が変動する部位、または複数のパターンの組み合わせを挙げることができ、そのため、直線の式に従って厚さの増加を予測することは不可能である。本出願では、上記の議論はウェブの厚さが増加する場合または減少すると表現される場合のいずれにも適用され、出発参照位置の厚さに対してウェブの厚さが増加するか減少するかによって、厚さが「増加」または「減少」すると表現されることに注意されたい。
【0021】
均一な厚さの領域の幅、厚さ、およびくさび形領域の厚さプロファイルは、プラスチック材料を押出成形するための公知の装置を使用して制御することができる。これは、平板押出ダイのリップを手動または自動のいずれかで調整することによって実施することができる。均一な厚さの領域は、380〜2286μmの厚さを有することができ、所望のくさび角が得られるようにくさび形領域はテーパーをつけることができる。本出願では、押出工程におけるダイリップ設定点の正常なばらつきが発生することがあり、それにより得られるウェブ厚さの正常なばらつきによってウェブ厚さが「不均一」になることはない。たとえば、本発明のシートは、400μmの均一な厚さを有するように設定することができる。しかし、均一な厚さの領域の所与の位置での厚さは意図せず変動しうる。いかなる正常なばらつきが所与の押出工程で発生するかに関する数値的な特異性は知られていないが、押出工程中にシートの厚さを変化させようとする作業者の意図がなければ、あらゆる厚さのばらつきを「正常なばらつき」として本明細書では定義する。くさび形の領域は、映像領域に適応するために十分は幅を有する必要があるが、ウェブの均一な厚さの領域がウェブの全領域の少なくとも20%であれば、他の点では領域の寸法は重要ではない。
【0022】
本発明の中間層に好ましい材料は、たとえば米国特許公報(特許文献5)、(特許文献6)、および(特許文献7)に記載されるような当業者に公知の方法のよって調製することができる可塑化ポリビニルブチラールである。このような可塑化ポリビニルブチラール材料は、たとえば本願特許出願人によって商標ブタサイト(Butacite)(登録商標)で市販されている。その他の有用な材料としては、可塑化ポリ塩化ビニル、ポリエステル、およびポリウレタンが挙げられる。
【0023】
本発明の可塑化ポリビニルブチラール構造は、米国特許公報(特許文献8)に記載されるような方法で溶融押出されることが好ましい。好ましくは、たとえば米国特許公報(特許文献9)に記載されるような方法で、押し出されたフィルムは水浴で冷却され、寸法安定化される。フィルムは、米国特許公報(特許文献10)または(特許文献11)のいずれかに記載されるような段階的着色帯を使用して印刷することができる。フィルムは好ましくは最大3.50mの幅で押し出され、中央またはその付近で切断され、2つのロールとして巻き上げられる。次に各ロールは、均一な厚さを有する長手方向の端部に沿ってグラデーションが付けられた帯を形成するために、オフラインで着色される。ウェブ領域の少なくとも20%が均一な厚さプロファイルを有するのであれば、ウェブの取り扱いの問題は発生しない。
【0024】
図7aおよび7bに示されるくさび形のプロファイルは、丸みを帯びたまたは平滑な頂点を有することができる。頂点が丸みを帯びるかまたは平滑であることは、製造工程において好都合となり、フロントガラスに機能的な利点も付与することができる。
【実施例】
【0025】
実施例1
PVB(ポリビニルブチラール)溶融ポリマーを、スロット型平板押出ダイから押し出して、ヘッドアップディスプレイ(HUD)システムに使用するためのシート材料を作製する。このスロット型平板押出ダイは、HUDシステムに使用されるシート材料を製造するために調整されたスロット幅まで実質的に平行な2つのダイリップを有する。これらのリップの一方または両方は、ダイスロットの対向するリップの間の幅を変化させるために調整可能である。
【0026】
ダイのスロット幅を調整することによって、横方向のシート材料厚さが調整され制御され、シート材料がロールに巻き取られる押出ラインの終了位置で所望の厚さプロファイルが形成される。完成シート材料厚さの目標値が、平板押出ダイのスロット幅を調整するようにプログラムされた自動横方向厚さ制御システムに入力される。特定のHUDシート材料の厚さプロファイルに望まれる慣性シート材料厚さの目標値を設定することによって、個別の用途における必要条件およびHUDシステムの要求に適合させるための種々の厚さプロファイルが得られる。
【0027】
実施例2
実施例1に記載の方法を使用して、表1によってさらに規定されるくさび角とを有し図Aに示す厚さプロファイルを有するPVBウェブを作製した。このウェブを内部切断位置で切断し、巻き取って2つの独立したロールを得た。これらの独立したロールは、内部切断位置に対して非対称であり、A1およびA2の幅および平均厚さ、平坦部位、B1およびB2の幅および平均厚さ、くさび形部位、C1およびC2の幅、平均厚さ、およびくさび角に関して全体的に区別された。
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】
本明細書に記載の発明につき以下に列記する。
1.
透明な接着中間層(16)を製造するために有用な自立接着シートの連続ウェブ(10)であって、(a)前記ウェブの中央から始まり、前記ウェブの外端部に向かう両方の方向に続く、その幅の少なくとも20%にわたる均一な厚さプロファイルの領域と、(b)前記ウェブの外端部から前記ウェブの中央の均一な厚さの前記領域に向かって厚さが増加する、変動する厚さプロファイルを有する2つの領域とを含み、それによって、前記均一な厚さの領域で前記ウェブを分割することにより少なくとも20%の均一な厚さの領域をそれぞれが有する2枚のシートが得られることを特徴とする自立接着シートの連続ウェブ (10)。
2.
前記材料がポリビニルブチラールであることを特徴とする、前記1.に記載の自立接着シート材料の連続ウェブ。
3.
前記くさび形の厚さプロファイルが、0.1〜1.0ミリラジアンのくさび角を有することを特徴とする、前記2.に記載の自立接着シート材料の連続ウェブ。
4.
前記均一な厚さが380〜2286μmであることを特徴とする、前記2.に記載の自立接着シート材料の連続ウェブ。
5.
ヘッドアップディスプレイ(HUD)システムのための車両フロントガラスであって、透明な接着中間層(16)が間にはさまれた外側(12)および内側(14)のガラスシートを含み、前記中間層の上端部から始まり前記ディスプレイの映像領域まで延在する領域の少なくとも20%にわたる均一な厚さプロファイル(18,20)と、前記映像領域から前記中間層の底端部まで延在する所定のくさび形の厚さプロファイル(20,22)とをさらに有することを特徴とする、車両フロントガラス。
6.
前記中間層(16)がポリビニルブチラールであることを特徴とする、前記5.に記載のフロントガラス。
7.
前記くさび形の厚さプロファイル(22,22)が0.1〜1.0ミリラジアンのくさび角を有することを特徴とする、前記6.に記載のフロントガラス。
8.
透明な接着中間層(16)の製造方法であって、
(a)可塑化ポリビニルブチラール組成物を調整可能な押出ダイから押し出して、接着シート材料のウェブ(10)を得る工程と、
(b)前記ウェブ(10)を冷却する工程とを含み、
(c)中間点またはその付近で前記ウェブ(10)を切断する工程と、
(d)前記切断したウェブを別々のロール上に巻き取る工程と、をさらに含み、前記ダイが、前記ウェブの中央に沿って延在する前記ウェブの領域の少なくとも20%にわたる均一な厚さプロファイルと、均一な厚さの前記領域から前記ウェブの端部まで厚さが減少するくさび形の厚さプロファイルとを有する自立材料の連続ウェブを提供することを特徴とする、製造方法。
9.
前記くさび形の厚さプロファイルが0.1〜1.0ミリラジアンのくさび角を有することを特徴とする、前記8.に記載の方法。
10.
前記均一な厚さが380〜2286μmであることを特徴とする、前記8.に記載の方法。
11.
透明な接着中間層を製造するために有用な自立接着シートの連続ウェブであって、(a)前記ウェブが不均一な厚さの領域を含み、不均一な厚さの前記領域で前記ウェブを分割することにより、少なくとも20%の均一な厚さの領域をそれぞれが有する2枚のシートが得られるように、前記ウェブの端部から中央に向かって延在する、その幅の少なくとも20%にわたる均一な厚さプロファイルの2つの領域と、(b)前記ウェブの厚さが、前記ウェブの中央またはその付近から連続的に増加し、かつ前記ウェブの前記端部に沿った均一な厚さの前記領域の両端の方向に直線的に増加する不均一な厚さプロファイルの領域とを含み、均一な厚さの領域が不均一な厚さの領域と接するそれぞれの接合点で頂点が形成され、かつ前記頂点は、前記頂点を物理的に検査しても鋭い端部が検出されないように湾曲していてもよいことを特徴とする、自立接着シートの連続ウェブ。
12.
非対称なウェブ厚さプロファイルが得られるように異なる割合で、前記ウェブの前記中央から前記端部に向かって前記ウェブの前記厚さが増加することを特徴とする、前記11.に記載の連続ウェブ。
13.
透明な接着中間層を製造するために有用な自立接着シートの連続ウェブであって、(a)外端部の間の中間点またはその付近で前記ウェブを分割することにより、少なくとも20%の均一な厚さの領域をそれぞれが有する2枚のシートが得られるように、前記ウェブの端部から中央に向かって延在する、その幅の少なくとも20%にわたる均一な厚さプロファイルの2つの領域と、(b)前記ウェブの厚さが、前記ウェブの中央またはその付近から始まり非直線的にかつ連続的に増加し、かつ均一な厚さの前記領域に向かって両端の方向に増加する、不均一な厚さプロファイルの領域とを含み、均一な厚さの領域が不均一な厚さの領域と接するそれぞれの接合点および前記ウェブが最も薄いところの接合点で頂点が形成され、かつ前記頂点は、前記頂点を物理的に検査しても鋭い端部が検出されないように湾曲していてもよいことを特徴とする、自立接着シートの連続ウェブ。
14.
透明な接着中間層を製造するために有用な自立接着シートの連続単一切断ウェブであって、(a)前記ウェブの一端から中央に向かって延在する、その幅の少なくとも20%にわたる均一な厚さプロファイルの領域と、(b)前記ウェブの反対側の端部から始まり、かつ均一な厚さの前記領域の方向に厚さが増加する、不均一な厚さプロファイルの領域とを含むことを特徴とする、自立接着シートの連続単一切断ウェブ。
15.
前記シート材料が、均一な厚さの前記領域内にグラデーションが付けられたシェードバンドを有することを特徴とする、前記4.に記載の連続ウェブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明なポリビニルブチラールの接着中間層を製造するために有用なポリビニルブチラールの自立接着シートの連続ウェブであって、
(a)前記ウェブの端部から中心へと延在する、その幅の少なくとも20%にわたる均一な厚さプロファイルの2つの領域であって、前記ウェブをその外側端部間の中間点又はその付近で分割して、少なくとも20%の均一な厚さの領域をそれぞれが有する2枚のシートが得られる領域と、
(b)不均一な厚さプロファイルの領域であって、前記ウェブの厚さが、前記ウェブの中央又はその付近から連続的に増加し、かつ前記ウェブの前記端部に沿った均一な厚さの前記領域の両端の方向に増加する領域と
を含み、
均一な厚さの領域が不均一な厚さの領域と接するそれぞれの接合点で頂点が形成され、かつ前記頂点は、前記頂点を物理的に検査しても鋭い端部が検出されないように湾曲していることを特徴とする、ポリビニルブチラールの自立接着シートの連続ウェブ。
【請求項2】
透明なポリビニルブチラールの接着中間層の製造方法であって、
a.ポリビニルブチラールの自立接着シートの連続ウェブを提供する工程と、
b.前記ウェブをその中間点又はその付近で分割して、2つのスリットウェブを形成する工程と、
c.前記スリットウェブを別々のロールに巻き取る工程と、
を含み
ポリビニルブチラールの自立接着シート材料の連続ウェブが、
(i)前記ウェブの端部から中心へと延在する、その幅の少なくとも20%にわたる均一な厚さプロファイルの2つの領域であって、前記ウェブをその外側端部間の中間点又はその付近で分割して、少なくとも20%の均一な厚さの領域をそれぞれが有する2枚のシートが得られる領域と、
(ii)不均一な厚さプロファイルの領域であって、前記ウェブの厚さが、前記ウェブの中央又はその付近から連続的に増加し、かつ前記ウェブの前記端部に沿った均一な厚さの前記領域の両端の方向に増加する領域と
を含み、
均一な厚さの領域が不均一な厚さの領域と接するそれぞれの接合点で頂点が形成され、かつ前記頂点は、前記頂点を物理的に検査しても鋭い端部が検出されないように湾曲していることを特徴とする、透明なポリビニルブチラールの接着中間層の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−24138(P2010−24138A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−235080(P2009−235080)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【分割の表示】特願2003−505693(P2003−505693)の分割
【原出願日】平成14年6月17日(2002.6.17)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】