説明

ヘテロ環式GPCR作動薬

式(I):


(I)
の化合物、またはその医薬的に許容される塩はGPCR(GPR119)作動薬であり、糖尿病および肥満症の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はGタンパク質共役受容体(GPCR)アゴニストに関する。特に、本発明は肥満症の治療(例えば、満腹、メタボリックシンドロームの調節剤として)および糖尿病の治療に有用なGPR119のアゴニストに関する。
【背景技術】
【0002】
肥満症は、体の大きさに比して過剰の脂肪組織量が特徴である。臨床的には、体脂肪量は、肥満度指数(BMI;体重(kg)/身長(m)2)、またはウエスト周りで見積もられる。BMIが30より大きく、過体重である医学的結果が評価された場合、ヒトは肥満と考えられる。増加した体重が、特に腹部の体脂肪の結果としての増加した体重が、糖尿病、高血圧症、心臓病、および数多くの他の健康上の合併症、例えば、関節炎、脳卒中、胆汁膀胱疾患、筋肉および呼吸器の問題、腰痛およびある種の癌も含めた増加したリスクに関連しているということは、しばらくは受け入れられた医学的見地である。
【0003】
肥満症治療の薬理的アプローチは、エネルギー摂取と消費のバランスを改善することで脂肪量が減少することに主に関与している。多くの研究により、エネルギー恒常性の調節に関与する肥満と脳回路網とのリンクがはっきりと立証されている。直接的および間接的証拠により、セロトニン作動性、ドパミン作動性、アドレナリン作動性、コリン作動性、エンドカンナビノイド、オピオイド、およびヒスタミン作動性経路が、多くの神経ペプチド経路(例えば、神経ペプチドYおよびメラノコルチン類)と共に、エネルギー摂取と消費の中枢での制御に関係していることが示唆されている。視床下部の中枢も、体重の維持および肥満度に関連する末梢ホルモン類(例えば、インスリンおよびレプチン)、および脂肪組織由来のペプチド類を検知できる。
【0004】
インスリン依存性I型糖尿病およびインスリン非依存性II型糖尿病に関連する病態生理を狙った薬物は、多くの潜在的な副作用を有し、患者の高い割合において脂質代謝異常および高血糖症には十分に注力していない。治療はしばしば、食餌制限、運動、低血糖剤およびインスリンを用いて個々の患者のニーズに焦点が当てられているが、新規な抗糖尿病剤、特にほとんど副作用を伴わないより許容できる薬剤の継続的な要求がある。
【0005】
同様に、メタボリックシンドローム(シンドロームX)は、人々を冠動脈疾患の高い危険性に陥れ、それは危険因子の集合、例えば、中心性肥満(腹部における過剰な脂肪組織)、耐糖能障害、高トリグリセリドおよび低HDLコレステロール、並びに高血圧の特徴を有する。心筋の虚血および微小血管障害は、未処置のほとんど制御されていないメタボリックシンドロームに関連している確立された羅患である。
新規な抗肥満薬および抗糖尿病薬、特にほとんど副作用を伴わないよく許容される薬剤の継続的な要求がある。
【0006】
GPR119(以前はGPR116と称された)は、ヒトおよびラットの両方の受容体を開示したWO 00/50562でSNORF25として同定されたGPCRであり、米国特許第6,468,756号も、マウスの受容体を開示している(受け入れ番号:AAN95194(ヒト)、AAN95195(ラット)およびANN95196(マウス))。
ヒトにおいて、GPR119は膵臓、小腸、大腸および脂肪組織に発現される。ヒトGPR119受容体の発現プロファイルは、肥満症および糖尿病の治療のターゲットとして潜在的な利用可能性を示唆している。
【0007】
国際特許出願WO 2005/061489、WO 2006/070208およびWO 2006/067532によって、GPR119受容体アゴニストとしてヘテロ環誘導体が開示される。国際特許出願WO 2006/067531、WO 2007/003960、WO 2007/003961、WO 2007/003962およびWO 2007/003964、WO 2007/116230およびWO 2007/116229には、GPR119受容体アゴニストが開示される。
本発明は、糖尿病の治療、および満腹の末梢制御剤として、例えば肥満症およびメタボリックシンドロームの治療に有用なGPR119のアゴニストに関する。
【0008】
(発明の概要)
式(I):
【化1】

(I)
の化合物、またはその医薬的に許容される塩は、GPR119の作動薬であり、糖尿病および肥満の予防的または治療的処置に有用である。
【0009】
(発明の詳細な説明)
本発明は、式(I):
【化2】

(I)
[式中、
Zは、フェニル、またはO、NおよびSから選択される4つまでのヘテロ原子を含む5もしくは6員ヘテロアリール基であり、いずれも、ハロ、C1-4アルキル、C1-4フルオロアルキル、C1-4ヒドロキシアルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-7シクロアルキル、アリール、OR1、CN、NO2、−(CH2j−S(O)m1、−(CH2j−C(O)NR111、NR111、NR2C(O)R1、NR2C(O)NR111、NR2SO21、SO2NR111、C(O)R2、C(O)OR2、−P(O)(CH32、−(CH2j−(4〜7員ヘテロサイクリル)または−(CH2j−(5〜6員ヘテロアリール)から選択される1つ以上の置換基で適宜置換されていてもよく;
mは、0、1または2であり;
jは、0、1または2であり;
WおよびYは独立して、結合;ヒドロキシもしくはC1-3アルコキシで適宜置換されていてもよい非分枝鎖もしくは分枝鎖のC1-4アルキレン;または非分枝鎖もしくは分枝鎖のC2-4アルケニレンであり;
Xは、CH2、O、S、CH(OH)、CH(ハロゲン)、CF2、C(O)、C(O)O、C(O)S、SC(O)、C(O)CH2S、C(O)CH2C(OH)、C(OH)CH2C(O)、C(O)CH2C(O)、OC(O)、NR5、CH(NR555)、C(O)NR2、NR2C(O)、S(O)およびS(O)2から選択され;
xは、水素またはヒドロキシであり;
1およびR11は独立して、水素、あるいは、ハロ、ヒドロキシ、C1-4アルコキシ−、アリールオキシ−、アリールC1-4アルコキシ−、C1-4アルキルS(O)m−、C3-7ヘテロサイクリル、−C(O)OR7またはN(R22で適宜置換されていてもよいC1-5アルキルであるか;あるいは、R1およびR11は、C3-7シクロアルキルもしくはヘテロサイクリルであってもよく、その中で、該環状基は、ハロ、C1-4アルキル、C1-4フルオロアルキル、OR6、CN、SO2CH3、CH2OH、N(R22およびNO2から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく;あるいは、R1およびR11は一緒になって、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C1-4ヒドロキシアルキル、またはCH2NH2で適宜置換されていてもよく、かつOおよびNR2から選択されるさらなるヘテロ原子を適宜含んでいてもよい5もしくは6員ヘテロ環を形成してもよく;あるいは、R11はC1-4アルキルオキシ−であり;
2は独立して、水素またはC1-4アルキルであるか;あるいは、N(R22基は、OおよびNR2から選択されるさらなるヘテロ原子を適宜含んでいてもよい4〜7員ヘテロ環を形成してもよく;
3は、
【化3】

(式中、TおよびUの一方はOであり、かつ他方はNである)
であり;
4は、C1-3ヒドロキシアルキル、C1-3アルコキシC1-3アルキル、C1-3フルオロアルキル、−(C1-3アルキレン)k−N(R62、−(C1-3アルキレン)k−C3-6シクロアルキルまたは−(C1-3アルキレン)k−4〜6員ヘテロサイクリルであり、ここで、該シクロアルキルおよびヘテロサイクリル基は、1つ以上のC1-3アルキルまたはフッ素基で適宜置換されていてもよく;
kは、0または1であり;
5およびR55は独立して、水素またはC1-4アルキルであるか;あるいは、R5およびR55は一緒になって、5または6員ヘテロ環を形成してもよく;あるいは、NR5基は、NS(O)2−(2−NO2−C64)を表してもよく;
6は独立して、水素およびC1-3アルキルから選択され;
7は、水素またはC1-4アルキルであり;
dは、0、1、2または3であり;並びに
eは、1、2、3、4または5であるが、但し、d+eは、2、3、4または5である]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩に関する。
【0010】
式(I)の化合物の分子量は、好ましくは800未満、より好ましくは600未満、さらにより好ましくは500未満である。
好適には、Zは、O、NおよびSから選択される4個までのヘテロ原子を含有するフェニルまたは5員もしくは6員ヘテロアリール基を表し、これらのいずれも、ハロ、C1〜4アルキル、C1〜4フルオロアルキル、C1〜4ヒドロキシアルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C3〜7シクロアルキル、アリール、OR1、CN、NO2、S(O)m1、C(O)NR111、NR111、NR2C(O)R1、NR2SO21、SO2NR111、COR2、C(O)OR2、4員から7員ヘテロシクリル基または5員もしくは6員ヘテロアリール基から選択される1個または複数の置換基で適宜置換されていてもよい。より好適には、Zは、4個までのN原子を含有するフェニルまたは6員ヘテロアリール基を表す。
【0011】
本発明の一実施形態において、Zは、O、NおよびSから選択される4個までのヘテロ原子を含有するフェニルまたは5員もしくは6員ヘテロアリール基であり、これらのいずれも、ハロ、C1〜4アルキル、C1〜4フルオロアルキル、C1〜4ヒドロキシアルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、C3〜7シクロアルキル、アリール、OR1、CN、NO2、S(O)m1、C(O)NR111、NR111、NR2C(O)R1、NR2SO21、SO2NR111、C(O)R2、C(O)OR2、4員から7員ヘテロシクリルまたは5員から6員ヘテロアリールから選択される1個または複数の置換基で適宜置換されていてもよい。
【0012】
Zは、好ましくは、2個までのNヘテロ原子を含有するフェニルまたは6員ヘテロアリール基、例えば2−ピリジルであり、これらのいずれも、適宜置換されていてもよく、より好ましくは、適宜置換されたフェニルまたは2−ピリジルであり、特に置換されたフェニルである。Zヘテロアリール基の例には、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、ピリダジニルまたは2−ピリジルが含まれる。Zの好ましい置換基は、ハロ、C1〜4アルキル、C1〜4フルオロアルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、CN、S(O)m1、NR2C(O)NR111、C(O)NR111、SO2NR111、COR2、COOR2または5員もしくは6員ヘテロアリール基であり、特にハロ、例えばフルオロもしくはクロロ、C1〜4アルキル、C1〜4フルオロアルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、CN、S(O)m1、NR2C(O)NR111、C(O)NR111、SO2NR111または5員ヘテロアリール基であり、とりわけフルオロ、クロロ、メチル、S(O)m1、例えばmが1もしくは2であるもの、NR2C(O)NR111、C(O)NR111、SO2NR111または5員ヘテロアリール基である。
【0013】
一実施形態において、Zの好適な置換基は、ハロ、C1〜4アルキル、C1〜4フルオロアルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、CN、S(O)m1、C(O)NR111、SO2NR111、COR2、COOR2または5員もしくは6員ヘテロアリール基であり、特にハロ(例えばフルオロもしくはクロロ)、C1〜4アルキル、C1〜4フルオロアルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、CN、S(O)m1、C(O)NR111、SO2NR111であり、とりわけフルオロ、クロロ、メチル、S(O)m1(例えばmが1もしくは2であるもの)、C(O)NR111またはSO2NR111である。挙げることができる特定のZ基は、Zが、−SO2Meまたは−CONHRd、好ましくは−CONHRdで置換されたフェニルであるものであり、式中、Rdは、水素、5員ヘテロシクリル、C1〜3アルキル、あるいは、アミノおよび/または1個もしくは2個のヒドロキシ基で置換されたC2〜3アルキルであり、Zは、1個または2個のメチル基でさらに適宜置換されている。−SO2Meまたは−CONHRd置換基は、好ましくは、パラ位にある。
【0014】
好適には、jは、0または1である。本発明の一実施形態において、jは0を表す。本発明の第2の実施形態において、jは1を表す。
好適には、WおよびYは、独立して、結合、ヒドロキシで適宜置換された非分岐もしくは分岐C1〜4アルキレン、または非分岐もしくは分岐C2〜4アルケニレンである。
本発明の一実施形態において、WおよびYは、独立して、結合、非分岐もしくは分岐C1〜4アルキレン、または非分岐もしくは分岐C2〜4アルケニレンである。
好ましくは、WおよびYの両方が結合を表すことはない。
好ましくは、Wは結合である。
【0015】
好ましくは、Yは、ヒドロキシまたはC1〜3アルコキシで適宜置換された非分岐または分岐C3〜4アルキレン、例えば非置換の非分岐または分岐C3〜4アルキレンである。
本発明のある特定の実施形態において、−W−X−Y−は、2個から6個の原子の長さの鎖を表す。−W−X−Y−は、好ましくは、4原子または5原子鎖を表す。
WがC2〜3アルケニレンである場合、二重結合における立体化学は、好ましくは(E)である。
【0016】
好適には、Xは、CH2、O、S、CH(OH)、CH(ハロゲン)、CF2、C(O)、C(O)O、C(O)S、SC(O)、C(O)CH2S、C(O)CH2C(OH)、C(O)CH2C(O)、OC(O)、NR5、CH(NR555)、C(O)NR2、S(O)およびS(O)2から選択される。より好適には、Xは、CH2、O、S、CH(OH)、CH(ハロゲン)、C(O)、C(O)O、C(O)S、SC(O)、C(O)CH2S、C(O)CH2C(OH)、C(O)CH2C(O)、OC(O)、NR5、CH(NR555)、C(O)NR2、S(O)およびS(O)2から選択される。
Xは、好ましくは、CH2、CF2、OまたはNR5、例えばNHであり、特にCH2、OまたはNR5、とりわけOである。
−W−X−Y−で表現される好ましい基は、−O−CH2−CH2−CRy−であり、式中、Ryは、水素またはメチルである。
xは、好ましくは水素である。
【0017】
好適には、R1およびR11は、独立して、水素、ハロ、例えばフルオロで適宜置換されていてもよいC1〜4アルキル、ヒドロキシ、C1〜4アルキルオキシ−、アリールオキシ−、アリールC1〜4アルキルオキシ−、C1〜4アルキルS(O)m−、C3〜7ヘテロシクリルもしくはN(R22であり、または、C3〜7シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルもしくはヘテロアリールであってもよく、環式基は、ハロ、C1〜4アルキル、C1〜4フルオロアルキル、OR6、CN、SO2CH3、N(R22およびNO2から選択される1個もしくは複数の置換基で置換されていてもよく、または、R1およびR11は、一緒になって、所望によりOおよびNR2から選択されるさらなるヘテロ原子を含有する、5員もしくは6員ヘテロ環を形成してもよい。
【0018】
本発明の一実施形態において、R1およびR11は、独立して、水素、ハロ(例えばフルオロ)で適宜置換されていてもよいC1〜4アルキル、ヒドロキシ、C1〜4アルキルオキシ−、C1〜4アルキルチオ−C3〜7ヘテロシクリルもしくはN(R22であり、または、C3〜7シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルもしくはヘテロアリールであってもよく、環式基は、ハロ、C1〜4アルキル、C1〜4フルオロアルキル、OR6、CN、SO2CH3、N(R22およびNO2から選択される1個もしくは複数の置換基で置換されていてもよい。
好適には、R2は、水素、メチルまたはtert−ブチルである。
Tは、好ましくはOであり、Uは、好ましくはNである。
例示的なR4基には、実施例に記載されるものが含まれる。
【0019】
挙げることができる化合物の群は、R4が、C3〜6シクロアルキル、C1〜3ヒドロキシアルキル、C1〜3アルコキシC1〜3アルキル、−(CH2k−N(R62、または−(CH2k−5員から6員ヘテロシクリル(このヘテロシクリル基は、C1〜3アルキルで適宜置換されていてもよい)であり、kが、0または1である化合物である。
本発明の一実施形態において、d+eは、2、3、または4である。好適には、dは、1または2であり、eは、1または2である。本発明の好ましい実施形態において、dおよびeは、それぞれ1を表す。本発明のより好ましい実施形態において、dおよびeは、それぞれ2を表す。
【0020】
好適には、R5およびR55は、独立して、水素もしくはC1〜4アルキルであり、または、R5およびR55は、一緒になって、5員もしくは6員ヘテロ環を形成してもよく、特に、R5は、水素もしくはメチル、とりわけメチルを表す。
好適には、R6はC1〜4アルキルである。
【0021】
好ましい化合物の群は、式(Ia):
【化4】

(Ia)
[式中、
3は、式(I)の化合物に関して上述された通りであり;
yは、水素またはメチルであり;
aおよびRbは独立して、水素およびメチルから選択され;
cは、−SO2Meまたは−CONHRdであり;
dは、水素、5員ヘテロサイクリル、C1-3アルキルであるか、あるいは、アミノまたは1つもしくは2つのヒドロキシ基で置換されたC2-3アルキルである]
の化合物、およびその医薬的に許容される塩である。
【0022】
式(Ia)の化合物の一実施形態において、Rcは−SO2Meであり、別の実施形態において、Rcは−CONHRdである。
cは、好ましくは−CONHRdである。
aおよびRbの一方または両方は、好ましくはメチルであり、より好ましくは、Raはメチルであり、Rbは水素である。
式(Ia)の化合物の一実施形態において、Ryは水素であり、別の実施形態において、Ryはメチルである。Ryは、好ましくは水素である。Ryがメチルである場合、形成される立体中心は、好ましくは(R)−配置を有する。
dは、好ましくは、水素、または1個もしくは2個のヒドロキシ基で置換されたC2〜3アルキルである。R6は、より好ましくは、1個または2個のヒドロキシ基で置換されたC2〜3アルキル、例えば2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル、2,3−ジヒドロキシプロピルまたは2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチルである。
【0023】
挙げることができる化合物の群は、式(Ib):
【化5】

(Ib)
[式中、
Zは、フェニル、またはO、NおよびSから選択される4つまでのヘテロ原子を含む5もしくは6員ヘテロアリール基であり、いずれも、ハロ、C1-4アルキル、C1-4フルオロアルキル、C1-4ヒドロキシアルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-7シクロアルキル、アリール、OR1、CN、NO2、−(CH2j−S(O)m1、−(CH2j−C(O)NR111、NR111、NR2C(O)R1、NR2C(O)NR111、NR2SO21、SO2NR111、C(O)R2、C(O)OR2、−P(O)(CH32、−(CH2j−(4〜7員ヘテロサイクリル)または−(CH2j−(5〜6員ヘテロアリール)から選択される1つ以上の置換基で適宜置換されていてもよく;
mは、0、1または2であり;
jは、0、1または2であり;
WおよびYは独立して、結合;ヒドロキシもしくはC1-3アルコキシで適宜置換されていてもよい非分枝鎖もしくは分枝鎖のC1-4アルキレン;または非分枝鎖もしくは分枝鎖のC2-4アルケニレンであり;
Xは、CH2、O、S、CH(OH)、CH(ハロゲン)、CF2、C(O)、C(O)O、C(O)S、SC(O)、C(O)CH2S、C(O)CH2C(OH)、C(OH)CH2C(O)、C(O)CH2C(O)、OC(O)、NR5、CH(NR555)、C(O)NR2、NR2C(O)、S(O)およびS(O)2から選択され;
xは、水素またはヒドロキシであり;
1およびR11は独立して、水素、あるいは、ハロ、ヒドロキシ、C1-4アルコキシ−、アリールオキシ−、アリールC1-4アルコキシ−、C1-4アルキルS(O)m−、C3-7ヘテロサイクリル、−C(O)OR7またはN(R22で適宜置換されていてもよいC1-4アルキルであるか;あるいは、R1およびR11は、C3-7シクロアルキルもしくはヘテロサイクリルであってもよく、その中で、該環状基は、ハロ、C1-4アルキル、C1-4フルオロアルキル、OR6、CN、SO2CH3、N(R22およびNO2から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく;あるいは、R1およびR11は一緒になって、ヒドロキシ、C1-4アルキルまたはC1-4ヒドロキシアルキルで適宜置換されていてもよく、かつOおよびNR2から選択されるさらなるヘテロ原子を適宜含んでいてもよい5もしくは6員ヘテロ環を形成してもよく;あるいは、R11はC1-4アルキルオキシ−であり;
2は独立して、水素またはC1-4アルキルであるか;あるいは、N(R22基は、OおよびNR2から選択されるさらなるヘテロ原子を適宜含んでいてもよい4〜7員ヘテロ環を形成してもよく;
3は、
【化6】

(式中、TおよびUの一方はOであり、かつ他方はNである)
であり;
4は、C3-6シクロアルキル、C1-3ヒドロキシアルキル、C1-3アルコキシC1-3アルキル、−(CH2k−N(R62、または−(CH2k−5〜6員ヘテロサイクリルであり、該ヘテロサイクリル基は、C1-3アルキルで適宜置換されていてもよく;
kは、0または1であり;
5およびR55は独立して、水素またはC1-4アルキルであるか;あるいは、R5およびR55は一緒になって、5または6員ヘテロ環を形成してもよく;あるいは、NR5基は、NS(O)2−(2−NO2−C64)を表してもよく;
6は独立して、水素およびC1-3アルキルから選択され;
7は、水素またはC1-4アルキルであり;
dは、0、1、2または3であり;並びに
eは、1、2、3、4または5であるが、但し、d+eは、2、3、4または5である]
の化合物、およびその医薬的に許容される塩である。
【0024】
本明細書において使用される場合、別段の指定がない限り、「アルキル」および接頭辞「アルク」を有するその他の基、例えば、アルキレン、アルケニル、アルキニル等は、直鎖または分岐鎖またはこれらの組合せであってもよい炭素鎖を意味する。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−およびtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル等が含まれる。「アルケニル」、「アルキニル」およびその他の類似の用語は、少なくとも1個の不飽和炭素間結合を有する炭素鎖を含む。
「フルオロアルキル」という用語は、1個または複数のフッ素原子で置換されたアルキル基、例えばCH2F、CHF2およびCF3を含む。
【0025】
「シクロアルキル」という用語は、ヘテロ原子を含まない炭素環を意味し、単環式および二環式飽和および部分飽和炭素環を含む。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが含まれる。部分飽和シクロアルキル基の例には、シクロヘキサンおよびインダンが含まれる。シクロアルキル基は、典型的には、全部で3個から10個(例えば3個から6個、または8個から10個)の環炭素原子を含有する。
「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素原子(特にフッ素または塩素)を含む。
「アリール」という用語は、フェニルおよびナフチル、特にフェニルを含む。
【0026】
別段の指定がない限り、「ヘテロシクリル」および「ヘテロ環」という用語は、N、OおよびSから選択される3個までのヘテロ原子を含有する、4員から10員単環式および二環式飽和環、例えば4員から7員単環式飽和環を含む。ヘテロ環の例には、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、オキセパン、オキソカン、チエタン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン、チエパン、チオカン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、アゾカン、[1,3]ジオキサン、オキサゾリジン、ピペラジン等が含まれる。ヘテロ環の他の例には、硫黄含有環の酸化形態が含まれる。したがって、テトラヒドロチオフェン1−オキシド、テトラヒドロチオフェン1,1−ジオキシド、テトラヒドロチオピラン1−オキシド、およびテトラヒドロチオピラン1,1−ジオキシドもまた、ヘテロ環とみなされる。
【0027】
別段の指定がない限り、「ヘテロアリール」という用語は、N、OおよびSから選択される4個までのヘテロ原子を含有する、単環式および二環式5員から10員、例えば単環式5員または6員ヘテロアリール環を含む。そのようなヘテロアリール環の例は、フリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびトリアジニルである。二環式ヘテロアリール基は、5員または6員ヘテロアリール環がフェニルまたは別のヘテロ芳香族基に融合した、二環式へテロ芳香族基を含む。そのような二環式へテロ芳香環の例は、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリンおよびプリンである。好ましいヘテロアリール基は、N、OおよびSから選択される4個までのヘテロ原子を含有する、単環式5員または6員ヘテロアリール環である。
【0028】
本明細書に記載される化合物は、1個または複数の不斉中心を含有してもよく、したがってジアステレオマーおよび光学異性体を生成し得る。本発明は、そのようなすべての可能なジアステレオマー、ならびにそのラセミ混合物、その実質的に純粋な分割された鏡像異性体、すべての可能な幾何異性体、およびその医薬的に許容される塩を含む。上記式(I)は、ある特定の位置での明確な立体化学なしに示されている。本発明は、式(I)のすべての立体異性体およびその医薬的に許容される塩を含む。さらに、立体異性体の混合物、および単離された特定の立体異性体もまた含まれる。そのような化合物の製造に使用される合成手順の間、または当業者に知られたラセミ化もしくはエピマー化手順の使用において、そのような手順の生成物は、立体異性体の混合物であり得る。
【0029】
式(I)の化合物の互変異性体が存在する場合、本発明は、具体的に図示される、または別段に指定される場合を除き、任意の可能な互変異性体およびその医薬的に許容される塩、ならびにそれらの混合物を含む。
式(I)の化合物およびその医薬的に許容される塩が、溶媒和物または多形体の形態で存在する場合、本発明は、任意の可能な溶媒和物および多形体を含む。溶媒和物を形成する溶媒の種類は、溶媒が薬理学的に許容される限り、特に限定されない。例えば、水、エタノール、プロパノール、アセトン等を使用することができる。
【0030】
「医薬的に許容される塩」という用語は、薬学的に許容される非毒性塩基または酸から製造される塩を指す。本発明の化合物が酸性である場合、その対応する塩は、無機塩基および有機塩基を含む薬学的に許容される非毒性塩基から便利に製造され得る。そのような無機塩基から得られる塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅(第二および第一)、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛および類似の塩を含む。特に好ましいのは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩である。薬学的に許容される有機非毒性塩基から得られる塩は、第1級、第2級、および第3級アミン、ならびに環式アミンおよび置換アミン、例えば天然に存在する置換アミンおよび合成置換アミンの塩を含む。塩を形成することができる他の薬学的に許容される有機非毒性塩基は、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N’,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等を含む。
【0031】
本発明の化合物が塩基性である場合、その対応する塩は、無機および有機酸を含む薬学的に許容される非毒性酸から便利に製造され得る。そのような酸は、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸等を含む。
【0032】
式(I)の化合物は、薬学的使用を意図しているため、好ましくは、実質的に純粋な形態で、例えば少なくとも60%の純度、より好適には少なくとも75%の純度、特に少なくとも98%の純度(%は重量基準である)で提供される。
式(I)の化合物は、後述のように製造することができ、式中、Z、d、e、W、XおよびYは上記と同義であり、並びに、GはNR3を表す。反応式は、Rxが水素である化合物を使用して示されており、Rxがヒドロキシである化合物は、類似の方法を使用して製造することができる。
【0033】
XがCO2、COSまたはCONR2である式(I)の化合物は、反応式1(式中、Eは、O、S、またはNR2である)に示されるように、そのような縮合反応に典型的な試薬、例えばEDCIを使用して、適切な酸(II)をアルコール、チオール、またはアミン(III)と縮合させることにより製造することができる(Pottorf, R. S.; Szeto, P. In Handbook of Reagents for Organic Synthesis: Activating Agents and Protecting Groups; Pearson, A. J., Roush, W. R., Eds.; Wiley: Chichester, 1999; pp 186-188)。酸(II)、ならびにアルコール、チオールおよびアミン(III)は、商業的に入手可能であるか、または既知の技術を使用して容易に製造される。
反応式1
【化7】

【0034】
XがSCOまたはOCOである式(I)の化合物は、反応式2(式中、Eは、SまたはOである)に示されるように、そのような反応をもたらすのに典型的に使用される試薬、例えばEDCIを使用して、適切なチオールまたはアルコール(IV)を適切な酸(V)と縮合させることにより製造することができる(Pottorf, R. S.; Szeto, P. In Handbook of Reagents for Organic Synthesis: Activating Agents and Protecting Groups; Pearson, A. J., Roush, W. R., Eds.; Wiley: Chichester, 1999; pp 186-188)。アルコールおよびチオール(IV)、ならびに酸(V)は、商業的に入手可能であるか、または既知の技術を使用して単純に製造される。
反応式2
【化8】

【0035】
XがSまたはOである式(I)の化合物は、反応式3(式中、Eは、SまたはOであり、LGは、クロロ、ブロモ、ヨード、アルカンスルホネート、またはアレーンスルホネートである)に示されるように、適切なチオールまたはアルコール(IV)を適切なハロゲン化アルキルまたはスルホン酸エステル(VI)でアルキル化することにより製造することができる。反応は、典型的には、塩基、例えばカリウムtert−ブトキシド等を使用して行われる(Hall, S. E., et al. J. Med. Chem. 1989, 32, 974-984)。アルコールおよびチオール(IV)、ならびにハロゲン化アルキルまたはスルホネート(VI)は、商業的に入手可能であるか、既知の技術を使用して容易に作製される。XがSOまたはSO2である式(I)の化合物は、XがSである式(I)の化合物から、例えばmCPBAでの酸化により容易に得ることができる(Fyfe, M. C. T. et al.、国際特許公開WO04/72031)。
反応式3
【化9】

【0036】
WがC2〜3アルケニレンである式(I)の化合物は、反応式4(式中、mは、1または2であり、nは、0または1であるが、ただしm+n<3である)に示されるように、適切なホスホニウム塩(VII)と適切なアルデヒド(VIII)との間のWittig反応により製造することができる。反応式4に記載される手法の代替として、WがC2〜3アルケニレンである式(I)の化合物は、反応式5(式中、qは、0または1であり、rは、1または2であるが、ただしq+r<3である)に示されるように、適切なアルデヒド(IX)と適切なホスホニウム塩(X)との間のWittig反応により製造することができる。反応は、好適な塩基、例えばNaOMeまたはLiHMDSの存在下で行われる(March, J. Advanced Organic Chemistry, 4th edn.; Wiley: New York, 1992; pp 956-963)。ホスホニウム塩(VII)および(X)、ならびにアルデヒド(VIII)および(IX)は、商業的に入手可能であるか、または既知の技術を使用して容易に作製される。WがC2〜3アルキレンである式(I)の化合物は、WがC2〜3アルケニレンである式(I)の化合物から、例えば木炭上パラジウムを触媒として使用した水素化反応により容易に合成することができる。
反応式4
【化10】

反応式5
【化11】

【0037】
Wが結合であり、XがSまたはOであり、基Zが置換されていない、またはCNで置換されている式(I)の化合物は、反応式6(式中、Halはハロゲンを表し、Eは、SまたはOである)に示されるように、適切なハロゲン化ヘテロアリール(XI)の適切なアルコールまたはチオール(III)との縮合により製造することができる。反応は、トリス(3,6−ジオキサヘプチル)アミンの存在下、好適な塩基系、例えば水酸化カリウムおよび炭酸カリウムの存在下で行われる(Ballesteros, P.; Claramunt, R. M.; Elguero, J. Tetrahedron 1987, 43, 2557-2564)。ハロゲン化ヘテロアリール(XI)およびアルコール/チオール(III)は、商業的に入手可能であるか、または既知の技術を使用して容易に作製される。
反応式6
【化12】

【0038】
式(I)の化合物は、反応式7に示されるように、アミン(XII)を式(XIV)の塩化ヘテロアリールと縮合させることによって製造されうる(Barillari, C. et al. Eur. J. Org. Chem. 2001, 4737-4741; Birch, A. M. et al. J. Med. Chem. 1999, 42, 3342-3355)。
反応式7
【化13】

【0039】
基ZがCNで置換された式(I)の化合物は、Reissert反応により、対応する非置換Z基から製造することができる(Fife, W. K. J. Org. Chem. 1983, 48, 1375-1377)。同様の反応を使用して、Zがハロゲンで置換された化合物を製造することができる(Walters, M. A.; Shay, J. J. Tetrahedron Lett. 1995, 36, 7575-7578)。Zがハロゲンで置換された化合物は、遷移金属触媒クロスカップリング反応により、ZがC1〜4アルキルで置換された対応する化合物に転換することができる(Fuerstner, A., et al. J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 13856-13863)。
【0040】
反応式8に示される経路で、かつ最近調査された方法(Curr. Org. Chem. 2008, 12, 850-898)を用いて、式(I)の化合物のオキサジアゾール環を製造してもよい。例えば、式(XII)のアミン類を臭化シアンで処理し、続いて生じたシアナミド(XV)を標準条件下で式(XVIII)の化合物と縮合させて、式(I)の化合物(式中、TはOであり、かつUはNである)を得る。式(XVIII)の化合物は市販品として入手可能であるか、またはよく知られている技術を用いて対応のカルボン酸類またはニトリル類から容易に製造される。あるいは、TがNであり、かつUがOである位置異性体のオキサジアゾールの合成は、式(XV)の化合物をヒドロキシルアミンとともに加熱して、式(XVI)のN−ヒドロキシグアニジン類を得て、それを適当な条件下で式(XVII)のカルボン酸と縮合させることによって達成されうる。式(XVII)の酸は市販品として入手可能である。
反応式8
【化14】

【0041】
他の式(I)の化合物を、上記に類似する方法で、またはそれ自体知られている方法で製造してもよい。
式(I)の化合物の製造についてのさらなる詳細は実施例に見られる。
式(I)の化合物は、別々に、または少なくとも2個、例えば5〜1,000個の化合物で、より好ましくは10〜100個の式(I)の化合物を含む化合物のライブラリーとして製造してもよい。化合物のライブラリーは、当業者に公知の方法を用いて、溶液相または固相化学で、組み合わせられた「分離および混合」アプローチによって、または多様なパラレル合成によって製造してもよい。
【0042】
式(I)の化合物の合成中、中間体化合物中の不安定な官能基、例えば、ヒドロキシ、カルボキシおよびアミノ基は、保護してもよい。保護基は式(I)の化合物の合成のいずれの段階で除去してもよく、または最終の式(I)の化合物に存在してもよい。様々な不安定な官能基が保護され得る方法、および生じた保護された誘導体を除去する方法の包括的な議論は、例えば、書籍[Protective Groups in Organic Chemistry, T.W. Greene and P.G.M. Wuts, (1991) Wiley-Interscience, New York, 2nd edition]に記載される。
【0043】
いずれの新規な中間体、例えば上記で定義したものは、式(I)の化合物の合成に使用してもよく、そのため、例えばその塩または保護誘導体もまた、本発明の範囲に包含される。
上記の式(I)の化合物の製造方法もまた、本発明のさらなる態様を表す。
上記で述べたように、式(I)の化合物は、GPR119アゴニストとして、例えば、肥満症および糖尿病の治療および/または予防に有用である。そのような用途のために、式(I)の化合物は、医薬組成物の形態で一般的に投与される。
本発明はまた、医薬用途のために、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩も提供する。
【0044】
本発明はまた、医薬的に許容される担体と組み合わせて、式(I)の化合物を含む医薬組成物を提供する。
好ましくは、該組成物は、医薬的に許容される担体、および式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩の無毒性の治療上の有効量からなる。
更に、本発明はまた、医薬的に許容される担体、および無毒性の治療上の有効量の式(I)の化合物もしくはその医薬的に許容される塩を含む、GPR119を調節することで肥満症の予防的または治療的処置となる、例えば満腹を調整することによる疾患の治療用、または糖尿病の治療用医薬組成物も提供する。
【0045】
医薬組成物は他の治療成分または補助剤を適宜含んでいてもよい。いずれの所定の場合、最も適した経路は、特定の宿主、並びに活性成分が投与される症状の性質および重篤さによるが、該組成物には、経口、直腸、局所、および非経口(皮下、筋肉内、および静脈内を含む)投与に適した組成物が含まれる。医薬組成物は、製剤単位で都合よく提供され得、好ましくは医薬分野でよく知られたいずれかの方法で製造されうる。
【0046】
実際、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩は、通常の医薬化合技術に従い、医薬担体との密な混合物に、活性成分として混合され得る。担体は、投与、例えば、経口または(静脈内を含む)非経口のための目的の製剤形によって広く様々に用いられ得る。
【0047】
従って、医薬組成物は、活性成分のあらかじめ定められた量を各々含む、カプセル剤、カシュ剤または錠剤のような経口投与に適した分離した単位として提供されうる。更に、組成物は、散剤として、顆粒剤として、溶液として、懸濁液として、水系液体中、非水系液体として、油/水乳濁液として、または水/油液体乳濁液として提供されうる。上記で述べられた一般的な製剤に加えて、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩は、制御された放出方法および/または送達器具でも投与され得る。組成物はいずれかの薬学的方法で製造されうる。一般的に、かかる方法には、1またはそれ以上の必要な成分を構成する担体と共に活性成分を組み入れる工程を含む。一般的に、組成物は、活性成分を、液体担体もしくは微細に分割された固体担体、または両方と均一に、完全に混合して製造される。生成物は次いで、目的の表示に都合よく形成され得る。
【0048】
式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩はまた、1またはそれ以上の他の治療上の活性化合物と組み合わせた医薬組成物も含まれうる。
用いられる医薬担体は、例えば、固体、液体、または気体があり得る。固体担体の例には、乳糖、白土(terra alba)、ショ糖、タルク、ゼラチン、カンテン、パクチン、アラビアガム、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸が含まれる。液体担体の例は、糖シロップ、落花生油、オリーブ油、および水である。気体担体の例には、二酸化炭素および窒素が含まれる。
【0049】
経口製剤用の組成物の製造には、いずれの通常の医薬溶媒も用いられ得る。例えば、水、グリコール類、油、アルコール類、香料、保存剤、着色剤などは、懸濁液、エリキシル剤および溶液のような経口液体製剤を形成するのに用いられ得;一方、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような担体は、散剤、カプセル剤および錠剤のような経口固形製剤を形成するのに用いられ得る。投与のし易さから、錠剤およびカプセル剤は固形医薬担体が用いられる好ましい経口製剤である。適宜、錠剤は標準的な水系または非水系技術でコーティングしてもよい。
【0050】
本発明の組成物を含む錠剤は、圧縮成形または成形によって、適宜1またはそれ以上の補助的な成分または補助剤と共に製造され得る。圧縮成形される錠剤は、適当な機械で、活性成分を、適宜、結合剤、滑沢剤、不活性な希釈剤、界面活性剤または分散剤と混合して、散剤または顆粒剤のような流動性の形態に、圧縮して製造され得る。成形される錠剤は、適当な機械で、湿らされた粉末の化合物の混合物を、不活性な液体希釈剤と共に、成形して製造してもよい。各錠剤は、好ましくは約0.05mg〜約5gの活性成分を含み、各カシュ剤またはカプセル剤は好ましくは約0.05mg〜約5gの活性成分を含む。
【0051】
例えば、ヒトへの経口投与を意図された製剤は、全組成物の約5〜約95%に変化し得る適切で好ましい担体物質の量と化合される、約0.5mg〜約5gの活性剤を含み得る。単位製剤は一般的に、約1mg〜約2gの活性成分、典型的には25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg、または1000mg含まれる。
【0052】
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、活性化合物の水溶液または水懸濁液として製造してもよい。適当な界面活性剤には、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースが含まれうる。分散剤はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール中、およびそれの油中の混合物中に製造され得る。更に、保存剤が微生物の有害な成長を防ぐために含まれうる。
【0053】
注射用途に適した本発明の医薬組成物には、無菌水溶液または分散液が含まれる。更に、組成物は、無菌注射溶液または分散液の用時調製製剤用の無菌散剤の形態であり得る。
すべての場合において、最終的な注射用製剤は無菌でなければならず、容易に注入操作ができる効果的な流動性を有さなければならない。医薬組成物は製造および保存条件下安定でなければならず;したがって、好ましくは細菌および真菌のような微生物の汚染の作用に対して保護されるべきである。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、植物油、およびそれらの好ましい混合物を含む溶媒または分散溶媒であり得る。
【0054】
本発明の医薬組成物は、局所的な使用に適した形態、例えば、エアゾール、クリーム、軟膏剤、ローション、散布剤などであり得る。さらに、組成物は、経皮器具の使用に適した形態であり得る。これらの製剤は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を用いて、通常の製造方法を経由して製造してもよい。例として、クリーム剤または軟膏剤は、約5重量%〜約10重量%の化合物と共に親水性物質と水を混合して製造し、目的の濃度を有するクリーム剤または軟膏剤を生成する。
【0055】
本発明の医薬組成物は、担体が固体である直腸投与に適した形態であり得る。好ましくは、混合物が単位用量の坐剤を形成する。適当な担体には、ココアバターや当該技術分野で一般的に用いられる他の物質が含まれる。坐剤は最初、組成物を柔らかくするまたは溶ける担体と混ぜ、続いて鋳型中冷やして成形して、容易に形成され得る。
【0056】
前述の担体成分に加えて、上述の医薬製剤には、必要に応じて、1またはそれ以上の別の担体成分、例えば、希釈剤、緩衝剤、香料、結合剤、界面活性剤、増粘剤、滑沢剤、保存剤(抗酸化剤を含む)などが含まれうる。更に、他の補助剤は、製剤を意図された受給者の血液と等張にするように含まれうる。式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を含む組成物はまた、粉末または液体濃縮製剤に製造され得る。
【0057】
一般的に、1日あたり0.01mg/kg(体重)〜約150mg/kg(体重)の用量レベルが、上記の症状の治療に有用であり、あるいは1日あたり患者に約0.5mg〜約7gが有用である。例えば、肥満症は、1日あたり体重1kgあたりの化合物が約0.01〜50mgの投与により、あるいは1日あたり患者に約0.5mg〜約3.5gにより効果的に投与され得る。
【0058】
しかしながら、いずれの特定の患者の特定の用量は、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食餌、投与時間、投与経路、排泄時間、薬の組合せおよび治療を受ける特定の疾患の重篤さを含む様々なファクターによることは理解されるところである。
式(I)の化合物は、GPR119による疾患または症状の治療に用いられ得る。
【0059】
したがって、本発明はまた、有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を、治療が必要な患者に投与する段階を含む、GPR119による疾患または症状の治療方法も提供する。GPR119による疾患または症状には、肥満症および糖尿病が含まれる。本出願の文言上、肥満症の治療は、例えば、食欲および体重の減少、体重減少の維持による、肥満症および過剰の食物摂取に関連する他の摂食障害のような疾患または症状の治療、並びにリバウンドおよび糖尿病(1型および2型糖尿病、耐糖能障害、インスリン耐性、並びに、神経障害、腎障害、網膜症、白内障、心血管合併症および脂肪代謝異常のような糖尿病性合併症を含む)の予防を包含する意図である。機能性胃腸障害につながる経口摂取された脂肪への異常な感受性を有する患者の治療も意図される。本発明の化合物は、メタボリックシンドローム(シンドロームX)、耐糖能障害、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベル症(low HDL level)および高血圧症のような代謝疾患の治療にも用いられ得る。
【0060】
本発明の化合物は、β細胞の保護、cAMPおよびインスリン分泌の増加、並びに胃内容排出の遅延もまた提供しうるという点において、上述の障害の治療のために異なるメカニズムで作用する化合物に対して利点を提供しうる。
本発明の化合物はまた、骨量の減少の特徴を有する症状、例えば、骨減少症(asosteopenia)、骨粗鬆症、関節リウマチ、骨関節炎、歯周病、歯槽骨減少、骨切り術の骨減少(osteotomy bone loss)、小児突発性骨減少、パジェット病、転移性癌による骨減少、溶骨性病変、脊椎の湾曲および身長の低下の治療に用いられてもよい。
本発明はまた、有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を、治療が必要な患者に投与する段階を含む、満腹の制御方法も提供する。
本発明はまた、有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を、治療が必要な患者に投与する段階を含む、肥満症の治療方法も提供する。
【0061】
本発明はまた、有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を、治療が必要な患者に投与する段階を含む、1型および2型糖尿病(特に、2型糖尿病)を含む糖尿病の治療方法も提供する。
本発明はまた、有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を、治療が必要な患者に投与する段階を含む、メタボリックシンドローム(シンドロームX)、耐糖能障害、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベル症または高血圧症の治療方法も提供する。
【0062】
本発明はまた、上記で定義された症状の治療に使用される式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩も提供する。
本発明はまた、上記で定義された症状の治療剤の製造における、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩の使用も提供する。
本発明の方法の中で、用語「治療(処置)」には、治療的および予防的処置の両方が含まれている。
【0063】
式(I)の化合物は、公知のGPR119アゴニスト類と比較して有利な特性を示し、例えば、該化合物は、改善された効力(potency)もしくは安定性、または改善された溶解度(ひいては吸収特性の改善)およびバイオアベイラビリティ、または化合物が医薬品として用いられるための他の有利な特性を示しうる。
式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩は、単独で投与してもよく、または一つ以上の他の治療上活性な化合物と組み合わせて投与してもよい。他の治療上活性な化合物は、式(I)の化合物と同じ疾患もしくは症状の治療用、または異なる疾患もしくは症状の治療用であってもよい。治療上活性な化合物は、同時に、連続して、または別々に投与してもよい。
【0064】
式(I)の化合物は、肥満症および/または糖尿病の治療のための他の活性化合物、例えば、インスリンおよびインスリン類似化合物、胃リパーゼ阻害剤、膵臓リパーゼ阻害剤、スルホニル尿素および類似化合物、ビグアナイド、α2アゴニスト、グリタゾン、PPAR−γアゴニスト、混合PPAR−α/γアゴニスト、RXRアゴニスト、脂肪酸酸化阻害剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、GLP−1作動薬、例えばGLP−1類似体および模倣薬(mimetics)、β−アゴニスト、ホスホジエステラーゼ阻害剤、脂質低下剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、抗肥満薬、例えば、膵臓リパーゼ阻害剤、MCH−1アンタゴニストおよびCB−1アンタゴニスト(またはインバースアゴニスト)、アミリンアンタゴニスト、リポキシゲナーゼ阻害剤、ソモスタチン(somostatin)類似化合物、グルコキナーゼ活性化剤、グルカゴンアンタゴニスト、インスリン情報伝達アゴニスト、PTP1B阻害剤、糖新生阻害剤、抗脂肪分解剤、GSK阻害剤、ガラニン受容体アゴニスト、摂食障害剤、CCK受容体アゴニスト、レプチン、セロトニン作動性/ドパミン作動性抗肥満薬、再取り込み阻害剤、例えば、シブトラミン、CRFアンタゴニスト、CRF結合タンパク質、サイロミメティック化合物、アルドース還元酵素阻害剤、グルココルチコイド受容体アンタゴニスト、NHE−1阻害剤またはソルビトールデヒドロゲナーゼ阻害剤と共に投与してもよい。
【0065】
式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および少なくとも1つの他の抗肥満薬の投与からなる組合せ療法も、更なる本発明の態様を表す。
本発明はまた、有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および他の抗肥満薬を、治療が必要な哺乳動物に投与することを含む、ヒトのような哺乳動物における肥満症の治療方法も提供する。
【0066】
本発明はまた、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および肥満症治療用の別の抗肥満薬の使用を提供する。
本発明はまた、肥満症治療用の別の抗肥満薬と組み合わせた薬物の製造における、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩の使用を提供する。
式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および他の抗肥満薬は、共に投与、または連続してもしくは分離して投与してもよい。
【0067】
共投与には、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および別の抗肥満薬の両方を含んだ製剤の投与、または各剤の異なる製剤の同時もしくは別々の投与が含まれる。式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および他の抗肥満薬のプロファイルが許容するなら、その2つの薬剤の組合せが好ましい場合がある。
【0068】
本発明はまた、肥満症の治療用の薬物の製造における、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および別の抗肥満薬の使用を提供する。
本発明はまた、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および他の抗肥満薬、および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。本発明はまた、上述の方法におけるかかる組成物の使用を包含する。
GPR119アゴニストは、中枢性抗肥満薬と組み合わせた特異的な使用である。
【0069】
本発明のこの態様による組合せ両方に用いられる他の抗肥満薬は、好ましくは、CB−1修飾因子、例えば、CB−1アンタゴニストまたはインバースアゴニストである。CB−1修飾因子の例には、SR141716(リミナバン)およびSLV−319((4S)−(−)−3−(4−クロロフェニル)−N−メチル−N−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−カルボキサミド);並びにEP576357、EP656354、WO 03/018060、WO 03/020217、WO 03/020314、WO 03/026647、WO 03/026648、WO 03/027076、WO 03/040105、WO 03/051850、WO 03/051851、WO 03/053431、WO 03/063781、WO 03/075660、WO 03/077847、WO 03/078413、WO 03/082190、WO 03/082191、WO 03/082833、WO 03/084930、WO 03/084943、WO 03/086288、WO 03/087037、WO 03/088968、WO 04/012671、WO 04/013120、WO 04/026301、WO 04/029204、WO 04/034968、WO 04/035566、WO 04/037823 WO 04/052864、WO 04/058145、WO 04/058255、WO 04/060870、WO 04/060888、WO 04/069837、WO 04/069837、WO 04/072076、WO 04/072077、WO 04/078261およびWO 04/108728、並びにその中に開示される引例に開示される化合物が含まれる。
【0070】
GPR119によることが暗示される他の疾患または症状には、WO 00/50562およびUS6,468,756に記載される疾患または症状、例えば、心血管障害、高血圧症、呼吸器障害、妊娠異常、胃腸障害、免疫障害、筋骨格障害、うつ病、恐怖症、不安症、気分障害およびアルツハイマー病が含まれる。
【0071】
これらに限定されないが、本明細書に引用される特許および特許出願に含まれるすべての公開は、十分に述べられた本明細書の引例によって引用されるために、各個々が、特異的に個々に示されるように、引用される。
本発明は、詳述する目的で以下の例に関して記載するが、本発明の範囲を限定する趣旨ではない。
【0072】
(実施例)
物質および方法
特に断りがなければ、カラムクロマトグラフィをSiO2(40−63メッシュ)において実行した。LCMSデータを以下のように得た:220nmでのUV検出を用いて、0.1% HCO2Hを含有するH2O−CH3CN溶液で6分間溶離するアトランティス 3μ C18 カラム(3.0×20.0mm、流速=0.85 mL/分)。グラジエント情報:0.0〜0.3分 100% H2O; 0.3〜4.25分: 10% H2O−90% CH3CNまで勾配させ; 4.25〜4.4分: 100% CH3CNまで勾配させ; 4.4〜4.9分: 100% CH3CNで保持し; 4.9〜6.0分: 100% H2Oに戻す。陽(ES+)または陰(ES-)イオンモードでエレクトロスプレーイオン化源を用いて、質量スペクトルを得た;
【0073】
略語および頭字語: Ac: アセチル; Boc: tert−ブトキシカルボニル; t−Bu: tert−ブチル; DCE: 1,2−ジクロロエタン; DCM: ジクロロメタン; DEAD: アゾジカルボン酸ジエチル; DIAD: アゾジカルボン酸ジイソプロピル; DIPEA: N,N−ジイソプロピルエチルアミン; DMF: ジメチルホルムアミド;EDCI: 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩; Et: エチル; h: 時間; min: 分; HOBt: 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール; IH: イソヘキサン; Me: メチル; Ph: フェニル; RT: 保持時間; THF: テトラヒドロフラン。
【0074】
以下の化合物の合成は別の場所に記載している:(2R,3S)−2−アミノ−3−ヒドロキシブタン: 米国特許第5,834,261号; 4−(3−ヒドロキシプロピル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル: Tetrahedron 1999, 55, 11619-11639; 4−((E)−2−エトキシカルボニル−1−メチルビニル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル: 米国特許第6,518,423号。すべての他の化合物は商業的供給源から入手可能であった。
【0075】
製造例1:4−[3−(4−メトキシカルボニル−3−メチルフェノキシ)プロピル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化15】

DIAD(8.00mL、40.9mmol)を、周囲温度で、4−ヒドロキシ−2−メチル−安息香酸メチルエステル(6.00g、37.4mmol)、4−(3−ヒドロキシプロピル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(8.25g、34.0mmol)およびPPh3(10.71g、40.9mmol)の無水THF撹拌溶液(60mL)に加えた。7.5時間撹拌した後、溶媒を減圧留去し、残渣をEtOAcに溶解し、NaOH(2M、2×)および食塩水で洗浄した。有機層を乾燥(MgSO4)し、減圧濃縮し、残渣をIH−Et2Oでトリチュレートした。生成した固形物を濾過し、Et2Oで洗浄した。洗浄液および濾液を合わせて、減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィ(EtOAc−IH、1:9)で精製して、標題の化合物を得た:
RT = 4.48 分; m/z (ES+) = 392.3 [M + H]+.
【0076】
製造例2:4−[3−(1−シアノピペリジン−4−イル)プロポキシ]−2−メチル安息香酸メチルエステル
【化16】

4M HClのジオキサン溶液(7.7mL)を、周囲温度で、4−[3−(4−メトキシカルボニル−3−メチルフェノキシ)プロピル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造例1、4.00g、10.2mmol)のジオキサン撹拌溶液(10mL)に加えた。3時間後、混合物をEt2Oで希釈し、形成した固形生成物を濾過で集め、Et2Oで洗浄して、2−メチル−4−(3−ピペリジン−4−イルプロポキシ)−安息香酸メチルエステル塩酸塩を得た:
RT = 2.65 分; m/z (ES+) = 292.4 [M + H]+.
この化合物(10.77g、32.9mmol)のDCM撹拌溶液(140mL)に、0℃で、NaHCO3(8.30g、98.7mmol)のH2Oスラリー溶液(100mL)を加え、生じた混合物をBrCN(4.18g、39.5mmol)のDCM溶液(22mL)で処理した。反応混合物を周囲温度で3時間撹拌し、次いでH2OとDCMの間で分液した。有機相を分離し、乾燥(MgSO4)した。濾過および溶媒の蒸発によって、標題の化合物を得た:
RT = 3.87 分; m/z (ES+) = 317.20 [M + H]+.
【0077】
製造例3:4−((E)−2−カルボキシ−1−メチルビニル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【化17】

4−((E)−2−エトキシカルボニル−1−メチルビニル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(18.7g、62.9mmol)のMeOH(90mL)およびH2O(25mL)溶液を、NaOH(2M、94.5mL、189mmol)で処理した。反応液を16時間撹拌し、MeOHを減圧留去し、次いで残渣をEtOAcとH2Oの間で分液した。水層を分離し、HCl(12M)でpH 2に酸性化し、次いでEtOAc(2×)で抽出した。有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、濃縮し、次いで残渣をEtOAc−IHから再結晶して、標題の化合物を得た:
m/z (ES-) = 268.3 [M - H]-.
【0078】
製造例4:4−((R)−2−カルボキシ−1−メチルエチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【化18】

4−((E)−2−カルボキシ−1−メチルビニル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(製造例3、130.0g、0.483mol)をAr雰囲気下で水素化フラスコ内に入れ、次いで脱気したMeOH(400mL)を加えた。[Rh(ナルボルナジエン)2]BF4(1.80g、4.81mmol)および(S)−1−[(R)−2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセニル]エチルビス(2−メチルフェニル)ホスフィン(2.90g、5.08mmol)をAr下で分離(separate)シュレンク管内に入れ、次いで脱気したMeOH(200mL)で処理した。この触媒混合物を周囲温度で15分間撹拌し、次いで水素化フラスコ内にカニューレで移した。シュレンク管をさらなる脱気したMeOH(100mL)ですすいだ。これらの洗浄液を水素化フラスコに移し、次いでさらなる脱気したMeOH(300mL)を加えた。水素化フラスコを密封し、ArをH2で置換し、圧力を1.05バールに設定した。反応混合物を35℃に加熱し、撹拌/振とうを開始した。48時間後、反応を止め、反応混合物の代表サンプルをHPLCおよび1H NMRで分析した。以下のHPLC法で確認して、変換率は100%であり、クルードの(R)−酸のエナンチオマー純度は98.2%であった: カラム: CHIRALPAK AD−H (CF3CO2H含有溶媒とともに以前用いた) 4.6×250mm; 溶媒: C614-iPrOH(97:3 アイソクラチック); 温度: 20℃; 流速: 1mL/分; UV−検出 (210、230nm); サンプル: 1mL MeOHで溶かした100μl 反応溶液。保持時間: (S)−酸: 19.3分、(R)−酸: 20.6分、出発エン酸: 22.1分。単離手順:MeOHを蒸発させ、次いでクルードの水素化生成物をt−BuOMeに溶解し、NaOH水で抽出した。水相をHCl(1M)およびEtOAcの混合物に加えた。水相をEtOAcでさらに抽出し、次いで有機抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)した。濾過、および溶媒の完全な除去の後、標題の化合物を単離した。
【0079】
製造例5:4−((R)−3−ヒドロキシ−1−メチルプロピル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【化19】

BH3・THF(1M、15.7mL、15.7mmol)を、0℃で、4−((R)−2−カルボキシ−1−メチルエチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(製造例4、1.70g、6.30mmol)の無水THF撹拌溶液に5分間滴下して加えた。1時間後、反応液をEt2Oで処理し、次いでHCl(2M)で処理した。有機層を食塩水で洗浄し、次いで乾燥(Na2SO4)した。濾過、溶媒の蒸発、およびカラムクロマトグラフィ(EtOAc−CH2Cl2、1:3)によって、標題の化合物を得た:
RT = 3.17 分; m/z (ES+) = 258.1 [M + H]+.
【0080】
製造例6:4−[(R)−3−(4−メタンスルホニルフェノキシ)−1−メチルプロピル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化20】

DEAD(10.8mL、68.4mmol)を、0℃で、4−((R)−3−ヒドロキシ−1−メチルプロピル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(製造例5、8.00g、31.1mmol)、4−メタンスルホニルフェノール(5.63g、32.7mmol)およびPPh3(10.60g、40.4mmol)の無水THF撹拌溶液(300mL)に加えた。周囲温度で0.5時間撹拌した後、溶媒を減圧留去し、残渣をEtOAcに溶解して、溶液を得て、それをNaOH(2M、2×)および食塩水で洗浄した。有機層を乾燥(MgSO4)し、減圧濃縮し、残渣をIH−Et2Oでトリチュレートした。生成した固形物を濾過し、Et2Oで洗浄した。洗浄液および濾液を合わせて、減圧濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィ(EtOAc−IH、3:7)で精製して、標題の化合物を得た:
RT = 4.09 分; m/z (ES+) = 412.00 [M + H]+.
【0081】
製造例7:4−[(R)−3−(4−メタンスルホニルフェノキシ)−1−メチルプロピル]ピペリジン−1−カルボニトリル
【化21】

4−[(R)−3−(4−メタンスルホニルフェノキシ)−1−メチルプロピル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造例6、15.50g、37.7mmol)および4M HClのジオキサン混合溶液(150mL)を周囲温度で1時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、トルエン(2×)と共沸させて、4−[(R)−3−(4−メタンスルホニル−フェノキシ)−1−メチルプロピル]ピペリジン塩酸塩を得た:
RT = 2.19 分; m/z (ES+) = 311.93 [M + H]+.
この化合物(2.50g、7.20mmol)のDCM撹拌溶液(200mL)に、0℃で、NaHCO3(1.82g、21.7mmol)のH2Oスラリー溶液(100mL)を加え、生じた混合液をBrCN(917mg、8.70mmol)のDCM溶液(10mL)で処理した。反応混合物を0℃で0.5時間撹拌し、周囲温度で1時間撹拌し、次いでH2OとDCMの間で分液した。有機相を分離し、水、食塩水で洗浄し、次いで乾燥(MgSO4)した。濾過および溶媒の蒸発によって、標題の化合物を得た:
RT = 3.44 分; m/z (ES+) = 336.97 [M + H]+.
【0082】
製造例8:N−ヒドロキシ−4−[(R)−3−(4−メタンスルホニルフェノキシ)−1−メチルプロピル]ピペリジン−1−カルボキシアミジン
【化22】

ヒドロキシルアミン(50% 水溶液、146μl、4.80mmol)を、4−[(R)−3−(4−メタンスルホニルフェノキシ)−1−メチルプロピル]ピペリジン−1−カルボニトリル(製造例7、400mg、1.19mmol)のEtOH撹拌溶液(6mL)に加え、生じた混合物を64℃で1時間撹拌した。反応液を濃縮し、MeOH(2×)と共沸させ、標題の化合物を得た:
RT = 2.38 分; m/z (ES+) = 369.95 [M + H]+.
【0083】
製造例9:1−(3−クロロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4−[(R)−3−(4−メタンスルホニル−フェノキシ)−1−メチルプロピル]ピペリジン
【化23】

ZnCl2(1M Et2O溶液、3.94mL、3.94mmol)、続いて2−クロロ−N−ヒドロキシアセトアミジン(427mg、3.94mmol)を、4−[(R)−3−(4−メタンスルホニルフェノキシ)−1−メチルプロピル]ピペリジン−1−カルボニトリル(製造例7、1.10g、3.28mmol)のEtOAc撹拌溶液(20mL)に加え、生じた溶液を周囲温度で16時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、残渣をEtOH(20mL)およびHCl(12M、2mL)に溶解し、生じた溶液を75℃で7.5時間撹拌した。EtOHを減圧留去し、残渣を飽和NaHCO3水溶液でpH 7に調整した。混合物をEtOAc(2×)で抽出し、次いで抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)した。濾過、溶媒の除去およびカラムクロマトグラフィ(EtOAc−IH、4:1)による精製によって、標題の化合物を得た:
RT = 3.76 分; m/z (ES+) = 428.11 [M + H]+.
【0084】
製造例10:4−((R)−3−ヒドロキシ−1−メチルプロピル)ピペリジン−1−カルボニトリル
【化24】

4−((R)−3−ヒドロキシ−1−メチルプロピル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(製造例5、6.20g、14.9mmol)および4M HClのジオキサン混合溶液(10mL)を周囲温度で撹拌した。3時間後、溶媒を減圧留去して、(R)−3−ピペリジン−4−イル−ブタン−1−オール塩酸塩を得た:
δH ({CD3}2SO) 0.83 (d, 3H), 1.19-1.28 (m, 1H), 1.38-1.59 (m, 5H), 1.64-1.76 (m, 2H), 2.75-2.87 (m, 2H), 3.20-3.30 (m, 2H), 3.35-3.60 (m, 4H).
この化合物(930mg、4.8mmol)およびNaHCO3(1.61g、19.2mmol)のDCM−H2O撹拌混合溶液(4:1、15mL)を、0℃で、BrCN(610mg、5.8mmol)のDCM溶液(2mL)で処理した。反応液を周囲温度で2時間撹拌し、次いでH2OとDCMの間で分液した。有機相を分離し、乾燥(MgSO4)した。濾過、溶媒の蒸発、およびカラムクロマトグラフィ(EtOAc)によって、標題の化合物を得た:
RT = 2.45 分; m/z (ES+) = 183.1 [M + H]+.
【0085】
製造例11:N−ヒドロキシ−4−((R)−3−ヒドロキシ−1−メチルプロピル)ピペリジン−1−カルボキシアミジン
【化25】

ヒドロキシルアミン(50% 水溶液、1.88mL、28.5mmol)を、4−((R)−3−ヒドロキシ−1−メチルプロピル)ピペリジン−1−カルボニトリル(製造例10、1.30g、7.14mmol)のEtOH溶液(15mL)に加え、生じた溶液を45分間60℃で加熱した。EtOHを減圧留去して、標題の化合物を得た:
RT = 1.65 分; m/z (ES+) = 216.12 [M + H]+.
【0086】
製造例12:2−{3−[4−((R)−3−ヒドロキシ−1−メチルプロピル)ピペリジン−1−イル]−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル}ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化26】

HOBt(980mg、7.25mmol)、EDCI(1.39g、6.04mmol)およびDIPEA(3.16mL、18.1mmol)を、N−ヒドロキシ−4−((R)−3−ヒドロキシ−1−メチルプロピル)ピペリジン−1−カルボキシアミジン(製造例11、1.30g、6.04mmol)およびピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル(1.30g、6.04mmol)のDMF溶液(7mL)に加え、生じた溶液を周囲温度で72時間撹拌し、続いて5時間50℃で加熱した。DMFを減圧留去し、次いで残渣をH2Oに溶解し、EtOAc(2×)で抽出した。有機抽出物を合わせて、飽和NaHCO3水溶液および食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(EtOAc−IH、19:1)で精製して、標題の化合物を得た:
RT = 3.60 分; m/z (ES+) = 395.22 [M + H]+.
【0087】
製造例13:2−(3−{4−[(R)−3−(4−メタンスルホニルフェノキシ)−1−メチルプロピル]ピペリジン−1−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化27】

2−{3−[4−((R)−3−ヒドロキシ−1−メチルプロピル)ピペリジン−1−イル]−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造例12、500mg、1.27mmol)およびPPh3(501mg、1.91mmol)を、4−メタンスルホニルフェノール(237mg、1.39mmol)のTHF溶液(10mL)に加え、続いてDIAD(375μl、1.91mmol)を滴下して加えた。生じた反応混合液を周囲温度で1時間撹拌し、次いで減圧濃縮した。残渣をEtOAcに溶解し、NaOH(1M、2×50mL)および食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(EtOAc−IH、1:1)で精製して、標題の化合物を得た:
RT = 4.06 分; m/z (ES+) = 549.26 [M + H]+.
【0088】
製造例14:4−[3−(4−カルボキシ−3−メチルフェノキシ)プロピル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化28】

4−[3−(4−メトキシカルボニル−3−メチルフェノキシ)プロピル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造例1、6.00g、15.3mmol)のMeOH(200mL)およびH2O(20mL)溶液に、LiOH・H2O(6.43g、153.3mmol)を加え、生じた混合物を40℃で16時間撹拌した。MeOHを減圧蒸発させ、次いで残渣をH2O(200mL)に溶解し、EtOAcで洗浄し、HCl(2M)でpH 4に酸性化し、次いでEtOAc(2×)で抽出した。有機抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮して、標題の化合物を得た。
RT = 4.06 分; m/z (ES+) = 378.22 [M + H]+.
【0089】
製造例15:4−{3−[4−((S)−2,3−ジヒドロキシプロピルカルバモイル)−3−メチルフェノキシ]プロピル}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化29】

HOBtH2O(6.15g、45mmol)およびEDCI(8.71g、45mmol)のCH2Cl2溶液(140mL)を20℃で15分間撹拌し、次いで4−[3−(4−カルボキシ−3−メチルフェノキシ)プロピル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造例14、13.70g、36mmol)のCH2Cl2溶液(70mL)で30分かけて処理した。16時間後、(S)−3−アミノ−1,2−プロパンジオール(4.14g、45mmol)のMeOH溶液(15mL)を反応混合物にゆっくりと加え、続いてNEt3(2.94g、29mmol)のCH2Cl2溶液(4mL)を加えた。混合液をさらに22時間撹拌し、次いで減圧濃縮した。残渣をCH2Cl2(200mL)に溶解し、次いで溶液をNaOH水(2M、3×70mL)およびHCl水(1M、3×70mL)で洗浄した。CH2Cl2層を分離し、減圧蒸発させ、次いで残渣をEtOAc(200mL)に溶解した。EtOAc溶液を飽和NaHCO3水(50mL)および食塩水(50mL)で洗浄し、次いで乾燥(MgSO4)した。濾過および溶媒の蒸発によって、標題の化合物を得た:
RT = 3.37 分; m/z (ES+) = 451.30 [M + H]+.
【0090】
製造例16:4−[3−(1−シアノピペリジン−4−イル)プロポキシ]−N−((S)−2,3−ジヒドロキシプロピル)−2−メチルベンズアミド
【化30】

HClのジオキサン溶液を用いて、4−{3−[4−((S)−2,3−ジヒドロキシプロピルカルバモイル)−3−メチルフェノキシ]プロピル}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造例15)のtert−ブトキシカルボニル基を除去し、次いで製造例10に概説したものに類似する手順を用いて、生じたアミンをBrCNとカップリングさせて、標題の化合物を得た:
δH ({CD3}2SO) 1.15-1.25 (m, 2H), 1.35-1.50 (m, 3H), 1.68-1.80 (m, 5H), 2.36 (s, 3H), 2.95-3.05 (m, 2H), 3.12-3.21 (m, 1H), 3.30-3.40 (m, 4H), 3.59-3.63 (m, 1H), 3.94-4.01 (m, 2H), 4.56 (t, 1H), 4.77 (d, 1H), 6.76-6.81 (m, 2H), 7.35 (d, 1H), 7.97-8.00 (m, 1H).
【0091】
製造例17:N−((S)−2,3−ジヒドロキシプロピル)−4−{3−[1−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチルベンズアミド
【化31】

製造例11に詳しく説明したものに類似する手順を利用して、4−[3−(1−シアノピペリジン−4−イル)プロポキシ]−N−((S)−2,3−ジヒドロキシプロピル)−2−メチルベンズアミド(製造例16)をヒドロキシルアミンと反応させて、標題の化合物を得た:
RT = 2.18 分; m/z (ES+) = 409.20 [M + H]+.
【0092】
製造例18:4−{3−[4−((R)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチルカルバモイル)−3−メチルフェノキシ]プロピル}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化32】

製造例15に詳しく説明したものに類似する手順を用いて、4−[3−(4−カルボキシ−3−メチルフェノキシ)プロピル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造例14)を(R)−2−アミノプロパン−1−オールと縮合させて、標題の化合物を得た:
RT = 3.60 分; m/z (ES+) = 435.27 [M + H]+.
【0093】
製造例19:4−[3−(1−シアノピペリジン−4−イル)プロポキシ]−N−((R)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−メチルベンズアミド
【化33】

HClのジオキサン溶液を用いて、4−{3−[4−((R)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチルカルバモイル)−3−メチルフェノキシ]プロピル}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造例18)のtert−ブトキシカルボニル基を除去し、次いで製造例10に概説したものに類似する手順を用いて、生じたアミンをBrCNとカップリングさせて、標題の化合物を得た:
RT = 2.97 分; m/z (ES+) = 360.22 [M + H]+.
【0094】
製造例20:4−{3−[1−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−N−((R)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−メチルベンズアミド
【化34】

製造例11に詳しく説明したものに類似する手順を利用して、4−[3−(1−シアノピペリジン−4−イル)プロポキシ]−N−((R)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−メチルベンズアミド(製造例19)をヒドロキシルアミンと反応させて、標題の化合物を得た:
RT = 2.17 分; m/z (ES+) = 393.20 [M + H]+.
【0095】
製造例21:4−{3−[1−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸メチルエステル
【化35】

NH2OH水溶液(50重量%、3.7mL)およびEtOH(50mL)の混合液を、4−[3−(1−シアノピペリジン−4−イル)プロポキシ]−2−メチル安息香酸メチルエステル(製造例2、9.48g、30.0mmol)のEtOH撹拌溶液(50mL)に2時間かけて加えた。周囲温度で18時間撹拌した後、溶媒を除去し、残渣をPhMeから繰り返し濃縮することによってさらに乾燥して、標題の化合物を得た:
RT = 2.59 分; m/z (ES+) = 350.18 [M + H]+.
【0096】
製造例22:2,2−ジフルオロ−N−ヒドロキシアセトアミジン
【化36】

ジフルオロアセトニトリル(2.21g、28.7mmol)のEtOH撹拌溶液(5mL)を50重量% ヒドロキシルアミンのH2O溶液(2.08g、31.6mmol)で注意して処理した。混合液をさらに16時間撹拌し、次いで減圧濃縮した。残渣をPhMeから繰り返し濃縮することによって乾燥し、次いで残存する油をEtOAcとH2Oの間で分液した。水相をEtOAc(2×)でさらに抽出し、次いで有機抽出物を合わせて、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、濃縮して、標題の化合物を得た:
m/z (ES+) = 111.02 [M + H]+.
【0097】
製造例23:2,2−ジフルオロ−N−ヒドロキシプロピオンアミジン
【化37】

製造例22に概説したものに類似する手順を用いて、2,2−ジフルオロプロピオニトリルをヒドロキシルアミンと反応させて、標題の化合物を得た:
m/z (ES+) = 125.03
[M + H]+.
【0098】
実施例1:4−{3−[1−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸メチルエステル
【化38】

ZnCl2(1M Et2O溶液、34.3mL、34.3mmol)を、4−[3−(1−シアノピペリジン−4−イル)プロポキシ]−2−メチル安息香酸メチルエステル(製造例2、9.06g、28.6mmol)およびN−ヒドロキシシクロプロパンカルボキシアミジン(3.47g、34.3mmol)のEtOAc撹拌溶液(145mL)にゆっくりと加え、生じた溶液を60℃で16時間撹拌した。反応液を周囲温度に冷却し、形成されていた白色沈澱を集め、EtOAcで洗浄した。この沈澱をMeOH(135mL)およびHCl(12M、13.5mL)に溶解し、次いで溶液を65℃で5時間撹拌した。MeOHを減圧留去し、残渣を飽和NaHCO3水溶液でpH 7に調整した。混合物をEtOAc(3×)で抽出し、次いで抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)した。濾過、溶媒の除去およびカラムクロマトグラフィ(IH−EtOAc、3:1)による精製によって、標題の化合物を得た:
RT = 4.27 分; m/z (ES+) = 400.23 [M + H]+.
【0099】
実施例2:4−{3−[1−(3−シクロブチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル−安息香酸メチルエステル
【化39】

ZnCl2(1M Et2O溶液、6.65mL、6.65mmol)を、4−[3−(1−シアノピペリジン−4−イル)プロポキシ]−2−メチル安息香酸メチルエステル(製造例2、1.00g、3.16mmol)およびN−ヒドロキシシクロブタンカルボキシアミジン(760mg、6.65mmol)のEtOAc撹拌溶液(50mL)にゆっくりと加え、生じた溶液を35℃で16時間撹拌した。反応液を周囲温度に冷却し、形成されていた白色沈澱を集め、Et2Oで洗浄した。この沈澱をMeOH(50mL)およびHCl(12M、6mL)に溶解し、次いで溶液を60℃で16時間撹拌した。MeOHを減圧留去し、残渣を飽和NaHCO3水溶液でpH 7に調整した。混合物をDCM(3×)で抽出し、次いで抽出物を合わせて、乾燥(MgSO4)した。濾過および溶媒の除去によって、標題の化合物を得た:
RT = 4.32 分; m/z (ES+) = 414.19 [M + H]+.
【0100】
実施例3:4−{3−[1−(3−メトキシメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸メチルエステル
【化40】

実施例2に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、4−[3−(1−シアノピペリジン−4−イル)プロポキシ]−2−メチル安息香酸メチルエステル(製造例2)およびN−ヒドロキシ−2−メトキシアセトアミジンから合成した:
RT = 3.98 分; m/z (ES+) = 404.20 [M + H]+.
【0101】
実施例4:4−(3−{1−[5−(1−フルオロ−1−メチルエチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]ピペリジン−4−イル}−プロポキシ)−2−メチル安息香酸メチルエステル
【化41】

4−{3−[1−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸メチルエステル(製造例21、2.44g、7.0mmol)および2−フルオロイソ酪酸(742mg、7.0mmol)のDMF溶液(20mL)に、HOBt(107mg、0.70mmol)、EDCI(1.74g、9.1mmol)およびNEt3(2.2mL、16.1mmol)を加えた。周囲温度で18時間撹拌した後、溶媒を減圧留去し、残渣をEtOAc(400mL)に再溶解した。該EtOAc溶液を、HCl溶液(1M)、NaOH溶液(1M)および食塩水で洗浄し、次いで乾燥(MgSO4)し、濾過し、濃縮して、残渣を得て、それをカラムクロマトグラフィ(IH−EtOAc、3:1)で精製して、標題の化合物を得た:
RT = 4.84 分; m/z (ES+) = 420.19 [M + H]+.
【0102】
実施例5:4−(3−{1−[5−(1,1−ジフルオロエチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]ピペリジン−4−イル}プロポキシ)−2−メチル安息香酸メチルエステル
【化42】

実施例4に概説したものに類似する方法を利用して、4−{3−[1−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸メチルエステル(製造例21)を2,2−ジフルオロプロピオン酸と反応させて、標題の化合物を得た:
RT = 4.52 分; m/z (ES+) = 424.23 [M + H]+.
【0103】
実施例6:4−{3−[1−(3−ジフルオロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸メチルエステル
【化43】

実施例2に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、4−[3−(1−シアノピペリジン−4−イル)プロポキシ]−2−メチル安息香酸メチルエステル(製造例2)および2,2−ジフルオロ−N−ヒドロキシアセトアミジン(製造例22)から合成した:
RT = 4.50 分; m/z (ES+) = 410.16 [M + H]+.
【0104】
実施例7:4−(3−{1−[3−(1,1−ジフルオロエチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]ピペリジン−4−イル}プロポキシ)−2−メチル安息香酸メチルエステル
【化44】

実施例2に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、4−[3−(1−シアノピペリジン−4−イル)プロポキシ]−2−メチル安息香酸メチルエステル(製造例2)および2,2−ジフルオロ−N−ヒドロキシプロピオンアミジン(製造例23)から合成した:
RT = 4.59 分; m/z (ES+) = 424.21 [M + H]+.
【0105】
実施例8:4−{3−[1−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル−安息香酸
【化45】

LiOH・H2O(7.92g、189mmol)および4−{3−[1−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸メチルエステル(実施例1、7.41g、18.9mmol)のMeOH(220mL)およびH2O(22mL)混合溶液を50℃で38時間加熱した。MeOHを減圧留去し、次いで残渣をNaOH(2M)とEtOAcの間で分液した。水相をHCl(2M)でpH 1に酸性化し、次いでEtOAc(3×)で抽出した。有機抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮して、標題の化合物を得た:
RT = 3.86 分; m/z (ES+) = 386.22 [M + H]+.
【0106】
実施例9:4−{3−[1−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルベンズアミド
【化46】

HOBtH2O(822mg、6.08mmol)を、4−{3−[1−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸(実施例8、1.75g、4.60mmol)およびEDCI(1.17g、6.08mmol)のTHF撹拌溶液(110mL)に加えた。15分後、2−アミノ−エタノール(570mg、9.35mmol)を加え、生じた混合物を16時間40℃で加熱した。THFを減圧留去し、残渣をEtOAcとNaOH(2M)の間で分液した。有機相を分離し、NaOH(2M)、HCl(1M)および食塩水で洗浄し、次いで乾燥(MgSO4)した。濾過、溶媒の蒸発、およびカラムクロマトグラフィ(EtOAc−MeOH、97:3)による精製によって、標題の化合物を得た:
δH (CDCl3) 0.93-1.03 (m, 4H), 1.22-1.36 (m, 2H), 1.43-1.52 (m, 2H), 1.53-1.60 (m, 1H), 1.78-1.94 (m, 5H), 2.47-2.57 (m, 4H), 2.99-3.10 (m, 2H), 3.61-3.67 (m, 2H), 3.84-3.90 (m, 2H), 4.0 (t, 2H), 4.09-4.17 (m, 2H), 6.15-6.24 (m, 1H), 6.70-6.75 (m, 1H), 6.75-6.79 (m, 1H), 7.40 (d, 1H); RT = 3.38 分; m/z (ES+) = 429.31 [M + H]+.
【0107】
実施例9に概説したものに類似する手順を用いて、4−{3−[1−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸(実施例8)を適当なアミンと縮合させることによって、表1に列挙されるアミドを合成した。
表1
【表1】

【0108】
実施例14:4−{3−[1−(3−シクロブチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル−安息香酸
【化47】

実施例8に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、4−{3−[1−(3−シクロプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸メチルエステル(実施例2、1.27g、3.07mmol)から合成した:
RT = 3.88 分; m/z (ES+) = 400.17 [M + H]+.
【0109】
実施例15:4−{3−[1−(3−シクロブチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−N−(2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル)−2−メチルベンズアミド
【化48】

実施例9に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、4−{3−[1−(3−シクロブチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸(実施例14、100mg、249μmol)および2−アミノ−プロパン−1,3−ジオール(34.0mg、374μmol)から合成した:
RT = 3.24 分; m/z (ES+) = 473.14 [M + H]+.
【0110】
実施例16:4−{3−[1−(3−シクロブチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル−ベンズアミド
【化49】

実施例9に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、4−{3−[1−(3−シクロブチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸(実施例14、100mg、249μmol)および塩化アンモニウム(20.0mg、374μmol)から合成した:
RT = 3.54 分; m/z (ES+) = 399.17 [M + H]+.
【0111】
実施例17:4−{3−[1−(3−メトキシメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸
【化50】

実施例8に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、4−{3−[1−(3−メトキシメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸メチルエステル(実施例3)から合成した:
RT = 3.47 分; m/z (ES+) = 390.15 [M + H]+.
【0112】
実施例18:N−(2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル)−4−{3−[1−(3−メトキシメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチルベンズアミド
【化51】

実施例9に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、4−{3−[1−(3−メトキシメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸(実施例17、100mg、257μmol)および2−アミノプロパン−1,3−ジオール(35.0mg、386μmol)から合成した:
RT = 2.97 分; m/z (ES+) = 463.21 [M + H]+.
【0113】
実施例19:4−{3−[1−(3−メトキシメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチルベンズアミド
【化52】

実施例9に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、4−{3−[1−(3−メトキシメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸(実施例17、50.0mg、125μmol)および塩化アンモニウム(20.0mg、374μmol)から合成した:
RT = 3.20 分; m/z (ES+) = 389.16 [M + H]+.
【0114】
実施例20:N−((R)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−4−{3−[1−(3−メトキシメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イルプロポキシ}−2−メチルベンズアミド
【化53】

実施例9に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、4−{3−[1−(3−メトキシメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸(実施例17、100mg、257μmol)および(R)−2−アミノプロパン−1−オール(35.0mg、386μmol)から合成した:
RT = 3.17 分; m/z (ES+) = 447.21 [M + H]+.
【0115】
実施例21:4−(3−{1−[5−(1−フルオロ−1−メチルエチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]ピペリジン−4−イル}−プロポキシ)−2−メチル安息香酸
【化54】

4−(3−{1−[5−(1−フルオロ−1−メチルエチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]ピペリジン−4−イル}プロポキシ)−2−メチル安息香酸メチルエステル(実施例4、1.59g、3.79mmol)のMeOH(100mL)およびH2O(20mL)溶液に、LiOH・H2O(1.61g、38.4mmol)を加え、混合液を50℃で12時間撹拌した。大部分のMeOHを減圧留去し、次いでさらにH2O(100mL)を加え、混合物をHCl溶液(1M)でpH 3に酸性化した。沈澱をEtOAc中に抽出し、次いでEtOAc抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)した。濾過および溶媒の除去によって、標題の化合物を得た:
RT = 4.22 分; m/z (ES+) = 406.20 [M + H]+.
【0116】
実施例22:4−(3−{1−[5−(1,1−ジフルオロエチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]ピペリジン−4−イル}プロポキシ)−2−メチル安息香酸
【化55】

実施例21に概説したものに類似する方法を用いて、4−(3−{1−[5−(1,1−ジフルオロエチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]ピペリジン−4−イル}−プロポキシ)−2−メチル安息香酸メチルエステル(実施例5)のけん化によって、標題の化合物を得た:
RT = 4.25 分; m/z (ES+) = 410.18 [M + H]+.
【0117】
実施例23:4−{3−[1−(3−ジフルオロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−2−メチル安息香酸
【化56】

実施例21に概説したものに類似する方法を用いて、4−{3−[1−(3−ジフルオロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン−4−イル]−プロポキシ}−2−メチル安息香酸メチルエステル(実施例6)のけん化によって、標題の化合物を得た:
RT = 3.95 分; m/z (ES+) = 396.14 [M + H]+.
【0118】
実施例24:4−(3−{1−[3−(1,1−ジフルオロエチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]ピペリジン−4−イル}プロポキシ)−2−メチル安息香酸
【化57】

実施例21に概説したものに類似する方法を用いて、4−(3−{1−[3−(1,1−ジフルオロエチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル]ピペリジン−4−イル}−プロポキシ)−2−メチル安息香酸メチルエステル(実施例7)のけん化によって、標題の化合物を得た:
RT = 4.03 分; m/z (ES+) = 410.19 [M + H]+.
【0119】
実施例9に概説したものに類似する手順を用いて、適当な酸を適当なアミンと縮合させることによって、表2に列挙されるアミドを合成した。
表2
【表2】









【0120】
実施例9に概説したものに類似する手順を用いて、適当な酸を適当なラセミ体のアミンと縮合させ、続いて生じたラセミ体を分取キラルHPLCで分割することによって、表3に列挙されるホモエナンチオマーのアミド類を合成した。該分取キラルHPLC分離は、ダイセル Chiralpack IA カラム(250×20mm、5μm)、流速15mL/分でのIH:iPrOH(3:2)の溶離液、および250nmでのUV検出を用いて行った。
表3
【表3】



【0121】
実施例9に概説したものに類似する手順を用いて、適当な酸を適当なBoc−アミノ含有アミンと縮合させ、続いて製造例2に概説したものに類似する手順を用いて、HClのジオキサン溶液でBoc脱保護して、表4に列挙されるアミノ含有アミド類を合成した。
表4
【表4】









【0122】
表4に列挙した化合物に用いたものに類似する手順を用いるが、流速15mL/分でのIH/CHCl3/iPrOH(7:2:1)の溶離液、および250nmでのUV検出を用い、ダイセル Chiralpak IAカラム(250×20mm、5μm)を用いた分取キラルHPLCによって、Boc保護中間体の個々のエナンチオマーを分離して、エナンチオマー的に純粋な形態で表5に列挙されるアミドを得た。
表5
【表5】



【0123】
実施例81:(3−{4−[(R)−3−(4−メタンスルホニルフェノキシ)−1−メチルプロピル]ピペリジン−1−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメチル)ジメチルアミン
【化58】

HOBtH2O(81.0mg、600μmol)、EDCI(114mg、600μmol)およびDIPEA(78.0mg、600μmol)を、ジメチルアミノ酢酸(56.0mg、542μmol)のDMF撹拌溶液(2mL)に加えた。周囲温度で15分間撹拌した後、N−ヒドロキシ−4−[(R)−3−(4−メタンスルホニルフェノキシ)−1−メチルプロピル]ピペリジン−1−カルボキシアミジン(製造例8、200mg、542μmol)を加え、生じた混合物を周囲温度で38時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、残渣をEtOAcで希釈し、飽和Na2CO3水溶液、水および食塩水で洗浄し、次いで乾燥(MgSO4)した。濾過、溶媒の蒸発およびカラムクロマトグラフィ(EtOAc)による精製によって、標題の化合物を得た:
RT = 2.56 分; m/z (ES+) = 436.96 [M + H]+.
【0124】
実施例81に概説したものに類似する手順を用いて、適当な酸をN−ヒドロキシ−4−[(R)−3−(4−メタンスルホニルフェノキシ)−1−メチルプロピル]ピペリジン−1−カルボキシアミジン(製造例8)と縮合させることによって、表6に列挙される化合物を合成した。
表6
【表6】

【0125】
実施例87:4−[(R)−3−(4−メタンスルホニルフェノキシ)−1−メチルプロピル]−1−(3−メトキシメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン
【化59】

ZnCl2(1M Et2O溶液、357μl、357μmol)を、4−[(R)−3−(4−メタンスルホニルフェノキシ)−1−メチルプロピル]ピペリジン−1−カルボニトリル(製造例7、100mg、297μmol)およびN−ヒドロキシ−2−メトキシアセトアミジン(37.0mg、357μmol)のEtOAc(3mL)およびTHF(3mL)撹拌溶液に加えた。反応混合物を周囲温度で72時間撹拌し、次いで溶媒を減圧留去した。残渣をEtOH(10mL)およびHCl(12M、1mL)に溶解し、次いで70℃で16時間加熱した。反応混合物を最初の容積の半分に濃縮し、飽和NaHCO3水溶液でpH 8に調整した。混合物をEt2O(3×)で抽出し、有機抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)した。濾過、溶媒の蒸発およびカラムクロマトグラフィ(EtOAc−IH、1:1〜7:3)による精製によって、標題の化合物を得た:
RT = 3.52 分; m/z (ES+) = 423.94 [M + H]+.
【0126】
実施例88:2−(5−{4−[(R)−3−(4−メタンスルホニルフェノキシ)−1−メチルプロピル]ピペリジン−1−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)エタノール
【化60】

実施例87に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、4−[(R)−3−(4−メタンスルホニルフェノキシ)−1−メチル−プロピル]ピペリジン−1−カルボニトリル(製造例7、100mg、297μmol)および3,N−ジヒドロキシ−プロピオンアミジン(37.0mg、357μmol)から製造した:
RT = 3.19 分; m/z (ES+) = 423.94 [M + H]+.
【0127】
実施例89:4−[(R)−3−(4−メタンスルホニルフェノキシ)−1−メチルプロピル]−1−(3−ピロリジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピペリジン
【化61】

ピロリジン(77.0μl、920μmol)を、1−(3−クロロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4−[(R)−3−(4−メタンスルホニルフェノキシ)−1−メチルプロピル]ピペリジン(製造例9、113mg、260μmol)のDMF撹拌溶液(1mL)に加え、生じた溶液を周囲温度で72時間撹拌した。さらにピロリジン(22.0μl、260μmol)を加え、溶液を1時間40℃で加熱した。反応混合液をH2O(50mL)に注ぎ、EtOAc(2×100mL)で抽出し、次いで有機抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(EtOAc−MeOH−NEt3、93:6:1)で精製して、標題の化合物を得た:
RT = 2.75 分; m/z (ES+) = 463.15 [M + H]+.
【0128】
実施例90:(5−{4−[(R)−3−(4−メタンスルホニルフェノキシ)−1−メチルプロピル]ピペリジン−1−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメチル)ジメチルアミン
【化62】

実施例89に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、1−(3−クロロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−4−[(R)−3−(4−メタンスルホニルフェノキシ)−1−メチルプロピル]ピペリジン(製造例9、208mg、490μmol)およびジメチルアミン(2.44mL、4.86mmol)から合成した:
RT = 2.88 分; m/z (ES+) = 437.11 [M + H]+.
【0129】
実施例91:4−[(R)−3−(4−メタンスルホニルフェノキシ)−1−メチルプロピル]−1−(5−ピロリジン−2−イル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)ピペリジン
【化63】

2−(3−{4−[(R)−3−(4−メタンスルホニルフェノキシ)−1−メチルプロピル]ピペリジン−1−イル}−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造例13、815mg、1.49mmol)の4M HClのジオキサン溶液を周囲温度で1時間撹拌し、次いで反応混合物を減圧濃縮した。残渣をDCM(100mL)と飽和NaHCO3水溶液(100mL)の間で分液した。有機層を分離し、飽和NaHCO3水溶液(2×50mL)および食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィで精製して、標題の化合物を得た:
RT = 2.63 分; m/z (ES+) = 449.16 [M + H]+.
【0130】
実施例92:4−{3−[1−(5−シクロブチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−N−((R)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−メチルベンズアミド
【化64】

シクロブタンカルボニルクロリド(32.6mg、275μmol)、4−{3−[1−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−N−((R)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−メチル−ベンズアミド(製造例20、100mg、255μmol)、およびNEt3(52μl、375μmol)のDCE溶液(4mL)を20℃で2時間撹拌し、次いで2.5時間80℃に加熱した。冷却して、反応液をCH2Cl2(8mL)およびH2O(8mL)の間で分液した。水相をCH2Cl2(2mL)でさらに抽出し、次いで有機抽出物を合わせて、MP−カーボネート樹脂とともに振とうした。該樹脂を次いで濾去し、CH2Cl2(2×2mL)で洗浄し、次いで濾液を濃縮し、残渣を分取HPLCで精製して、標題の化合物を得た:
RT = 3.73 分; m/z (ES+) = 457.21 [M + H]+.
【0131】
実施例92に概説したものに類似する手順を用いて、適当なカルボン酸を適当なアミドキシムと縮合させることによって、表7に列挙される化合物を合成した。
表7
【表7】



【0132】
実施例102:4−{3−[1−(5−シクロプロピルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−N−((R)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−メチルベンズアミド
【化65】

HOBtH2O(44mg、288μmol)のDMF溶液(1mL)を、シクロプロピル酢酸(27.5mg、275μmol)および4−{3−[1−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)ピペリジン−4−イル]プロポキシ}−N−((R)−2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−メチル−ベンズアミド(製造例20、100mg、255μmol)のDMF撹拌溶液(2mL)に加えた。混合液をEDCI(62mg、325μmol)のDMF溶液(1.5mL)で処理し、次いで20℃で3時間撹拌し続け、次いで3時間80℃で加熱した。冷却して、反応液をCH2Cl2(9mL)とH2O(9mL)の間で分液した。水相をCH2Cl2(3mL)でさらに抽出し、次いで有機抽出物を合わせて、濃縮し、残渣を分取HPLCで精製して、標題の化合物を得た:
RT = 3.68 分; m/z (ES+) = 457.26 [M + H]+.
【0133】
実施例102に概説したものに類似する手順を用いて、適当なカルボン酸を適当なアミドキシムと縮合させることによって、表8に列挙される化合物を合成した。
表8
【表8】













【0134】
本発明の化合物の生物活性を、以下のアッセイ系で試験してもよい:
酵母レポーターアッセイ
酵母細胞に基づくレポーターアッセイは、先に文献に記載されている(例えば、Miret J. J.ら, 2002, J. Biol. Chem., 277:6881-6887;Campbell R.M.ら, 1999, Bioorg. Med. Chem. Lett., 9:2413-2418;King K.ら, 1990, Science, 250:121-123;WO 99/14344;WO 00/12704;およびUS 6,100,042を参照)。簡単に言えば、内在性酵母G−アルファ(GPA1)が欠失され、複数の技術を用いて作成されるG−タンパク質キメラで置換されているように、酵母細胞は改変されている。また、内在性酵母GPCRであるSte3は欠失されて、最適な哺乳類GPCRの非相同的発現を可能にしている。酵母において、真核細胞で保存される(例えば、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ経路)フェロモンシグナル伝達経路の要素は、Fus1の発現を促進する。Fus1プロモーター(Fus1p)の制御下でβ−ガラクトシダーゼ(LacZ)を置換することによってシステムが開発されており、それによって受容体の活性化が酵素の読み取りにつながる。
【0135】
酵母細胞は、Agatepらに記載された酢酸リチウム法の適応によって形質転換された(Agatep, R.ら, 1998, Transformation of Saccharomyces cerevisiae by the lithium acetate/single-stranded carrier DNA/polyethylene glycol (LiAc/ss-DNA/PEG) protocol. Technical Tips Online, Trends Journals, Elsevier)。簡単に言えば、酵母細胞を酵母トリプトンプレート(yeast tryptone plate)(YT)上で終夜培養した。キャリアの一本鎖DNA(10μg)、2つのFus1p−LacZレポータープラスミド(URA選択マーカーを有するものとTRPを有するもの、それぞれ2μg)、酵母発現ベクター(2μg 複製起点)におけるGPR119(ヒトまたはマウス受容体)(2μg)、並びに酢酸リチウム/ポリエチレングリコール/TE緩衝液を、エッペンドルフチューブの中にピペットで移した。受容体を含む酵母発現プラスミド/受容体を含まない対照酵母発現プラスミドは、LEUマーカーを有する。酵母細胞をこの混合物の中に播種し、反応は30℃で60分間進行する。酵母細胞に、次いで42℃で15分間熱ショックを与えた。次いで細胞を洗浄し、選択プレート上に広げた。選択プレートは、LEU、URAおよびTRPのない合成酵母培地(SD−LUT)である。30℃で2〜3日間インキュベートした後、選択プレート上で生育するコロニーを、次いでLacZアッセイにおいて試験した。
【0136】
β−ガラクトシダーゼについての蛍光定量的酵素アッセイを行うために、ヒトまたはマウスGPR119受容体を有する酵母細胞を、液体SD−LUT培地中で不飽和濃度まで終夜培養した(すなわち、細胞はまだ分裂しており、まだ定常期に達していなかった)。これらを、調製してすぐの培地中に最適アッセイ濃度まで希釈して、酵母細胞(90μl)を96ウェルブラックポリスチレンプレート(コースター(Costar))に加える。化合物(DMSOに溶解し、10× 濃度まで10% DMSO溶液に希釈した)をプレートに加え、プレートを30℃で4時間置いた。4時間後、β−ガラクトシダーゼの基質を各ウェルに加えた。これらの実験において、フルオレセイン ジ(β−D−ガラクトピラノシド)(FDG)、すなわちフルオレセインを放出する酵素の基質を用い、これは蛍光定量的読み取りを可能にする。1ウェルあたり20μlの500μM FDG/2.5% トリトンX100を加えた(細胞を透過性にするために界面活性剤が必要であった)。60分間の基質による細胞のインキュベーション後、1ウェルあたり20μlの1M 炭酸ナトリウムを加えて反応を終了し、蛍光シグナルを増強した。次いでプレートを蛍光光度計において485/535nmで読み取った。
【0137】
本発明の化合物によって、背景シグナル(すなわち、化合物なしで1% DMSOの存在下で得られるシグナル)の少なくとも〜1.5倍のシグナルで、蛍光シグナルにおける増加が得られる。少なくとも5倍の増加を与える本発明の化合物が好ましい。
【0138】
cAMPアッセイ
組換えヒトGPR119を発現する安定な細胞株を確立し、この細胞株を用いて、環状AMP(cAMP)の細胞内濃度における本発明の化合物の効果を調査してもよい。細胞単層をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、刺激用緩衝液(stimulation buffer)における様々な濃度の化合物に1% DMSOを加えたもので、37℃で30分間刺激する。次いで細胞を溶解し、パーキンエルマー アルファスクリーン(AlphaScreen)(登録商標)(増幅ルミネッセンス近接ホモジニアスアッセイ(Amplified Luminescent Proximity Homogeneous Assay))cAMPキットを用いて、cAMP量を決定する。緩衝液およびアッセイ条件は、製造業者のプロトコールに記載されているようにする。
【0139】
インビボフィード試験(In vivo feeding study)
体重並びに餌および水の摂取における本発明の化合物の効果は、逆相照明(reverse-phase lighting)上に維持した自由にフィードされる雄のスプラーグドーリーラットにおいて試験されうる。試験化合物および対照化合物を適当な投与経路(例えば腹腔内または経口)で投与し、測定を次の24時間かけて行う。21±4℃の温度、55±20% 湿度で、金属グリッドの床を有するポリプロピレンケージの中に、ラットを個々に入れる。ケージパッドを有するポリプロピレントレイを各ケージの下において、いずれのこぼれた餌も検出する。動物を逆相明暗サイクル(09.30〜17.30の8時間は電気を消す)上に維持し、その時間、部屋を赤色光で照した。動物は、二週間の順化期間に、標準的な粉末状のラットの餌および生水を自由に得ることができる。餌を、アルミニウム蓋を有するガラスフィード瓶(feeding jar)の中に入れる。各蓋は、その中に3〜4cmのウェルを有しており、餌を得ることができた。暗期開始時に動物、フィード瓶および採水瓶の重さ(0.1gの位まで)を量る。続いて、本発明の化合物を動物に投与する1、2、4、6および24時間後に、フィード瓶および採水瓶の重さを量り、ベヒクル処置したコントロールと比較して、ベースラインでの処置群間のいずれの有意差も測定する。
【0140】
膵ベータ細胞(HIT−T15)のインビトロモデルにおける本発明の化合物の抗糖尿病効果
細胞培養
HIT−T15細胞(60継代)はATCCから入手され、10% ウシ胎児血清および30nM 亜セレン酸ナトリウムを補充したRPMI1640培地中で培養された。全ての実験は、文献に従って70継代未満での細胞で行われ、その文献には、81超の継代数でこの細胞株の変化した特性が記載されている(Zhang HJ, Walseth TF, Robertson RP. Insulin secretion and cAMP metabolism in HIT cells. ReciProcal and serial passage-dependent relationships. Diabetes. 1989 Jan;38(1):44-8)。
【0141】
cAMPアッセイ
HIT−T15細胞を、96ウェルプレートにおいて、100,000細胞/0.1ml/ウェルで、標準的な培地中に蒔き(プレートし)、24時間培養し、次いで培地を廃棄した。細胞を、100μl 刺激用緩衝液(ハンクス緩衝塩類溶液(Hanks buffered salt solution)、5mM ヘペス、0.5mM IBMX、0.1% BSA、pH 7.4)を用いて、室温で15分間インキュベートした。これを廃棄し、0.5% DMSOの存在下、刺激用緩衝液中、0.001、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30μMの範囲にわたる化合物希釈液と取り替えた。細胞を室温で30分間インキュベートした。次いで1ウェルあたり75μl 溶解緩衝液(5mM ヘペス、0.3% ツイーン−20(Tween-20)、0.1% BSA、pH 7.4)を加え、プレートを900rpmで20分間振とうした。粒子状物質を遠心分離によって3000rpmで5分間除去し、次いでサンプルを384ウェルプレートに移したものを2つ作成し、パーキンエルマー アルファスクリーンcAMPアッセイキットの指示書に従って処理した。簡単に言えば、最終的な反応成分の濃度がキットの説明書に記載されたものと同じになるように、サンプル(8μl)、アクセプタービーズ混合物(acceptor bead mix)(5μl)および検出混合物(detection mix)(12μl)を含む反応物(25μl)を用意した。反応を室温で150分間インキュベートし、プレートをパッカード融合装置(Packard Fusion instrument)を用いて読み取った。cAMPについての測定を、公知のcAMP量(0.01、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30、100、300、1000nM)の検量線と比較して、測定値を絶対cAMP量に変換した。データをXLfit 3 ソフトウェアを用いて解析した。
【0142】
本発明の代表的な化合物は、10μM未満のEC50でcAMPを増大させることが分かった。cAMPアッセイにおいて1μM未満のEC50を示す化合物が好ましい。
【0143】
インスリン分泌アッセイ
HIT−T15細胞を、12ウェルプレートにおいて、106細胞/1ml/ウェルで、標準的な培地中に蒔き(プレートし)、3日間培養し、次いで培地を廃棄する。NaCl(119mM)、KCl(4.74mM)、CaCl2(2.54mM)、MgSO4(1.19mM)、KH2PO4(1.19mM)、NaHCO3(25mM)、pH 7.4でのヘペス(10mM)および0.1% ウシ血清アルブミンを含有する補充したクレブス・リンガー緩衝液(KRB)で、細胞を洗浄する(×2)。細胞を、37℃で30分間、KRB(1ml)でインキュベートし、次いでそれを廃棄する。これに続いて30分間、KRBで第2のインキュベーションを行い、それを回収し、各ウェルの基礎インスリン分泌量を測定するのに用いる。次いで化合物の希釈液(0、0.1、0.3、1、3、10μM)を、グルコース(5.6mM)で補充したKRB(1ml)に加えて、ウェルを2つ作成する。37℃で30分のインキュベーション後、インスリン量の決定のため、サンプルを取り除く。メルコディア(Mercodia) ラット インスリン ELISAキットを用い、製造者の指示書に従って、公知のインスリン濃度の検量線を用いてインスリンの測定を行う。各ウェルについて、インスリン量は、グルコース不存在下でのプレインキュベーションからの基礎分泌量を差し引くことによって訂正する。データをXLfit 3 ソフトウェアを用いて解析した。
【0144】
経口グルコース耐性試験
本発明の化合物が経口グルコース(Glc)耐性に及ぼす効果を雄スプレーグドーリーラットで評価した。Glcを投与する16時間前に食物を断ち、試験中はずっと絶食を維持した。試験中、ラットには水を自由に摂取させた。動物の尾に切開を施し、Glc負荷を投与する60分前の基礎Glcレベルを測定するために、血液(1滴)を採取した。次に、ラットを体重測定して、試験化合物または賦形剤(20%ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン水溶液)を経口投与し、その45分後に、追加血液試料の採取と、Glc負荷(2g kg-1p.o.)による処置を行った。次に、Gcl投与の5、15、30、60、120、および180分後に、尾の切開端から血液試料を採取した。血中グルコースレベルは、市販のグルコース計(LifescanのOneTouch(登録商標)Ultra(商標))を使って、収集直後に測定した。代表的な本発明の化合物は、≦10mg kg-1の用量で、Glcエクスカーション(Glc excursion)を統計的に減少させた。
【0145】
経口グルコース(Glc)耐性についての本発明の化合物の効果はまた、雄のC57Bl/6または雄のob/obマウスにおいても評価されうる。Glcの投与の5時間前に餌を引き上げ、本研究の間、引き上げたままにする。マウスは本研究の間、自由に水を得られる。Glc負荷の投与の45分前に基礎Glc量を測定するために、動物の尾に切れ目を入れ、次いで血液(20μL)を除去する。次いでマウスの重さを量り、試験化合物またはベヒクル(20% ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン水溶液または25%ゲルーシア(Gelucire) 44/14水溶液)を経口投与し、30分後に別の血液サンプル(20μL)を除去し、Glc負荷(2〜5g kg-1 経口)で処置する。次いで血液サンプル(20μL)を、Glc投与の25、50、80、120、および180分後に採る。Glc量の測定用血液サンプル(20μL)を、尾の切れ目の先(cut tip)から使い捨てのマイクロピペット(デイド・ダイアグノスティクス社(Dade Diagnostics Inc.)、プエルトリコ)の中に取り、サンプルを溶血試薬(480μL)に加える。次いで希釈して溶血した血液アリコート(20μL)の一対を、96ウェルアッセイプレートにおいてトリンダーズ グルコース試薬(Trinders glucose reagent)(シグマ 酵素(トリンダー(Trinder))比色法)(180μL)に加える。混合した後、サンプルを室温で30分間放置し、次いでGlcスタンダード(シグマ グルコース/尿素 窒素 複合標準セット(glucose/urea nitrogen combined standard set))に対して読み取る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(I)
[式中、
Zは、フェニル、またはO、NおよびSから選択される4つまでのヘテロ原子を含む5もしくは6員ヘテロアリール基であり、いずれも、ハロ、C1-4アルキル、C1-4フルオロアルキル、C1-4ヒドロキシアルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C3-7シクロアルキル、アリール、OR1、CN、NO2、−(CH2j−S(O)m1、−(CH2j−C(O)NR111、NR111、NR2C(O)R1、NR2C(O)NR111、NR2SO21、SO2NR111、C(O)R2、C(O)OR2、−P(O)(CH32、−(CH2j−(4〜7員ヘテロサイクリル)または−(CH2j−(5〜6員ヘテロアリール)から選択される1つ以上の置換基で適宜置換されていてもよく;
mは、0、1または2であり;
jは、0、1または2であり;
WおよびYは独立して、結合;ヒドロキシもしくはC1-3アルコキシで適宜置換されていてもよい非分枝鎖もしくは分枝鎖のC1-4アルキレン;または非分枝鎖もしくは分枝鎖のC2-4アルケニレンであり;
Xは、CH2、O、S、CH(OH)、CH(ハロゲン)、CF2、C(O)、C(O)O、C(O)S、SC(O)、C(O)CH2S、C(O)CH2C(OH)、C(OH)CH2C(O)、C(O)CH2C(O)、OC(O)、NR5、CH(NR555)、C(O)NR2、NR2C(O)、S(O)およびS(O)2から選択され;
xは、水素またはヒドロキシであり;
1およびR11は独立して、水素、あるいは、ハロ、ヒドロキシ、C1-4アルコキシ−、アリールオキシ−、アリールC1-4アルコキシ−、C1-4アルキルS(O)m−、C3-7ヘテロサイクリル、−C(O)OR7またはN(R22で適宜置換されていてもよいC1-5アルキルであるか;あるいは、R1およびR11は、C3-7シクロアルキルもしくはヘテロサイクリルであってもよく、その中で、該環状基は、ハロ、C1-4アルキル、C1-4フルオロアルキル、OR6、CN、SO2CH3、CH2OH、N(R22およびNO2から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく;あるいは、R1およびR11は一緒になって、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C1-4ヒドロキシアルキル、またはCH2NH2で適宜置換されていてもよく、かつOおよびNR2から選択されるさらなるヘテロ原子を適宜含んでいてもよい5もしくは6員ヘテロ環を形成してもよく;あるいは、R11はC1-4アルキルオキシ−であり;
2は独立して、水素またはC1-4アルキルであるか;あるいは、N(R22基は、OおよびNR2から選択されるさらなるヘテロ原子を適宜含んでいてもよい4〜7員ヘテロ環を形成してもよく;
3は、
【化2】

(式中、TおよびUの一方はOであり、かつ他方はNである)
であり;
4は、C1-3ヒドロキシアルキル、C1-3アルコキシC1-3アルキル、C1-3フルオロアルキル、−(C1-3アルキレン)k−N(R62、−(C1-3アルキレン)k−C3-6シクロアルキルまたは−(C1-3アルキレン)k−4〜6員ヘテロサイクリルであり、ここで、該シクロアルキルおよびヘテロサイクリル基は、1つ以上のC1-3アルキルまたはフッ素基で適宜置換されていてもよく;
kは、0または1であり;
5およびR55は独立して、水素またはC1-4アルキルであるか;あるいは、R5およびR55は一緒になって、5または6員ヘテロ環を形成してもよく;あるいは、NR5基は、NS(O)2−(2−NO2−C64)を表してもよく;
6は独立して、水素およびC1-3アルキルから選択され;
7は、水素またはC1-4アルキルであり;
dは、0、1、2または3であり;並びに
eは、1、2、3、4または5であるが、但し、d+eは、2、3、4または5である]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
Zが、フェニルを表すか、または請求項1で定義されるように置換された2つまでのNヘテロ原子を含む6員ヘテロアリール基を表す、請求項1の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
Zが、請求項1で定義されるように置換されたフェニルを表す、請求項2の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
Zが、−SO2Meまたは−CONHRdで置換されており、その中で、Rdは、水素、5員ヘテロサイクリル、C1-3アルキルであるか、あるいは、アミノまたは1つもしくは2つのヒドロキシ基で置換されたC2-3アルキルであり、並びに、Zは、1つまたは2つのメチル基で適宜さらに置換されていてもよい、請求項3の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項5】
−W−X−Y−が−O−CH2−CH2−CRy−(Ryは、水素またはメチルである)である、請求項1〜4のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項6】
dおよびeが2を表す、請求項1〜5のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項7】
xが水素である、請求項1〜6のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項8】
4がC2-5アルキルである、請求項1〜7のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項9】
式(Ia):
【化3】

(Ia)
[式中、
3は、請求項1と同義であり;
yは、水素またはメチルであり;
aおよびRbは独立して、水素およびメチルから選択され;
cは、−SO2Meまたは−CONHRdであり;
dは、水素、5員ヘテロサイクリル、C1-3アルキルであるか、あるいは、アミノまたは1つもしくは2つのヒドロキシ基で置換されたC2-3アルキルである]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項10】
実施例1〜142のいずれか一つで定義される式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩、並びに医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩の有効量を治療が必要な患者に投与する段階を含むことを特徴とする、GPR119が役割を果たす疾患または症状の治療方法。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩の有効量を治療が必要な患者に投与する段階を含むことを特徴とする、満腹の調節方法。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩の有効量を治療が必要な患者に投与する段階を含むことを特徴とする、肥満症の治療方法。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩の有効量を治療が必要な患者に投与する段階を含むことを特徴とする、糖尿病の治療方法。
【請求項16】
請求項1〜10のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩の有効量を治療が必要な患者に投与する段階を含むことを特徴とする、メタボリックシンドローム(シンドロームX)、耐糖能障害、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベルまたは高血圧症の治療方法。
【請求項17】
薬剤として使用するための、請求項1〜10のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項18】
請求項12〜16のいずれか一つで定義される疾患または症状の治療剤または予防剤の製造における、請求項1〜10のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩の使用。
【請求項19】
請求項12〜16のいずれか一つで定義される疾患または症状の治療または予防に使用するための、請求項1〜10のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。

【公表番号】特表2011−527335(P2011−527335A)
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517249(P2011−517249)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050831
【国際公開番号】WO2010/004348
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(504326837)プロシディオン・リミテッド (53)
【氏名又は名称原語表記】Prosidion Limited
【Fターム(参考)】