説明

ヘマトクリットを推定するためのデバイス

電気インピーダンス測定によって患者のヘマトクリットを決定する技法が記述される。埋込み型デバイスが、心臓病の患者の体液状況を評価するために、この技法を使用するように構成されることが可能である。ヘマトクリットを決定するために、血液の電気インピーダンスが測定され、対応するヘマトクリット値にマッピング関数によってマッピングされる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
(優先権の主張)
優先権の利益が、参照によって本明細書に組み込まれている2004年8月2日に出願された米国特許出願第10/909926号に対して、本明細書によって主張される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、医療監視のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
心不全は、身体の要求を満たすのに十分な血液を心臓がポンピングすることができない状態を指す。これは、通常、心筋梗塞または心臓発作からなど、心臓自体のある損傷のためである。急性心不全が生じるとき、自律神経性循環反射が活動化され、身体が血圧の降下に対抗して防御しようとする際、心臓の収縮性を増大させ、かつ脈管構造を圧縮する。静脈狭窄は、静脈システムや肺システムの外に血液をポンピングする心臓の能力の低下(いわゆる後方心不全)と共に、心室の拡張期充満圧力を増大させる。前負荷(すなわち、拡張期の終了時に心室の血液の容積によって心室が伸張される程度)のこの増大により、収縮期中に1回心拍出量が増大する。これは、フランク−スターリングの原理として既知の現象である。心不全が過度に深刻ではない場合、この代償は、低減活動レベルで患者を支えるのに十分である。中程度の心不全が続くとき、心不全の慢性段階を特徴付ける他の代償機構が役割を果たす。これらのうち最も重要なのは、腎機能に対する低心拍出力の抑制効果である。腎臓に停留される体液の増大により、血液の容積が増大し、さらに心臓への静脈還流量が増大する。心臓のポンピング能力が損なわれている際でも、拡張期充満圧力を増大させる因子が心拍出量を通常レベルに維持することができるとき、代償性心不全の状態となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、代償性心不全は不安定な状態である。活動の増大もしくは疾患のために、心機能が悪化する場合、または、心拍出力の増大が必要である場合、代償は、通常の腎機能を維持するのに十分なレベルにおいて心拍出量を維持することができない可能性がある。したがって、体液が停留され続け、顕性うっ血性心不全を特徴付ける進行性の末梢性浮腫や肺浮腫を生じさせる。拡張期充満圧力はさらに増大し、これにより心臓はさらに拡張してむくむので、ポンピング機能は、よりいっそう悪化する。心不全が悪化し続けるこの状態は、代償障害性心不全である。これは、主に、結果として得られる肺のうっ血や呼吸困難から臨床的に検出することができ、すべての臨床医は、適切な治療が開始されない限り、迅速な死に至ることがあると認識している。臨床症状が明らかになる前に、早期段階において代償障害性心不全に至る生理学的変化を検出するために、患者の体液状況を監視することができる好都合な手段が存在するとすれば、有利である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
代償障害性心不全は、主に、腎臓が適切に機能し、かつ体液の均衡を維持するのに十分な血液を心臓がポンピングすることができないことの結果である。心拍出量が下がるとき、腎潅流は減少し、その結果、糸球体フィルタが低下し、尿の排出が低下する。腎臓への血流が低下することにより、レンニン‐アンギオテンシン・システムも活動化され、これにより、腎潅流がさらに低下し、腎管からの水や塩の再吸収が促進される。このプロセスの後の段階において、アンギオテンシンは、アルドステロンの分泌を促進し、それにより、ナトリウムの再吸収がさらに増大する。ナトリウム再吸収の増大により、血液の浸透圧が増大し、したがって、バソプレシンの分泌と水の尿細管再吸収の増大が誘起される。心不全の腎性代償によって生じた過度の体液停留は、血液に対する希釈効果を有する。したがって、心不全の患者の体液状況の悪化の1つの指標は、患者のヘマトクリットの減少である。ヘマトクリットは、血液における赤血球のパーセンテージとして定義される。本明細書において、電気測定から血液の細胞材料の濃度を決定することによって、患者の体液状況を監視する埋込み型デバイスが記述される。
【0006】
血液は、非細胞性血漿に懸濁された赤血球から主になり、血漿は、たんぱく質と、主にナトリウムと塩化物である電解質との溶液である。したがって、血液は、導電率と誘電率によって電気的に特徴付けることができる容積導体である。媒質の導電率と誘電率(または比誘電率)は、既知の電場が媒質において課される場合に得られる電流の密度および極性をそれぞれ決定する。電荷が血液中に注入される場合、血液は、導電率と誘電率の関数である注入電流に対するインピーダンスを示す。このインピーダンスに比例する信号が、2つの点を囲む血液の容積において既知の電流場を課し、次いで点間の電圧差を測定することによって生成されることが可能である。したがって、測定された電圧差は、血液インピーダンスの変化に調和して変化する。細胞材料は、電解質溶液より不十分な導体であるので、血液のインピーダンスは、ヘマトクリットと共に変化し、それにより、赤血球の濃度が減少する際、インピーダンスは減少する。したがって、血液の電気インピーダンスの測定は、ヘマトクリットを反映する。この技法の異なる実施形態が、例示的な埋込み型デバイスの記述に続いて、以下において記述される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
1.例示的な埋込み型デバイス
本明細書において記述される体液状況を監視する技法は、監視のみを実施するように構成された埋込み型デバイスにおいて、または、徐脈ペーシング、電気除細動/除細動治療、もしくは心臓再同期治療などの心臓治療をするようにも構成された心臓リズム管理デバイスにおいて、実施することが可能である。後者は、特に有用である可能性があるが、その理由は、体液状況の監視を必要とする心不全の患者が、より調整された方式で心室を収縮させることによって心機能を向上させる再同期ペーシングから利益を得ることも可能であるからである。そのようなデバイスの例が、Cardiac Pacemakers,Inc.に譲渡され、参照によって本明細書に完全に組み込まれている、米国特許第6574506号および米国特許出願10/195135において記載されている。
【0008】
ペースメーカや電気除細動器/除細動器などの埋込み型心臓リズム管理デバイスは、通常、患者の胸の上において皮下に埋め込まれ、上部静脈システムの血管を経て心臓にねじ込まれたリードによって電極に接続される電池を電源とするデバイスである。図1は、体液状況を評価するために必要な電気測定を実施するために内部に組み込まれた電極を有する埋込み型デバイス105と多導体リード110を示す。デバイス105は、たとえば、徐脈および/または反頻脈ペーシングを供給することができるペースメーカ、埋込み型電気除細動期/除細動器、組合せペースメーカ/除細動器、医薬品供給デバイス、あるいは体液状況監視専用デバイスとすることが可能である。したがって、デバイスは、心臓活動を感知するために、および/または電気刺激を心臓に供給するために、右心房または右心室あるいは心臓の静脈に配置される電極を備える1つまたは複数の他のリードを有することが可能である。リード110は、静脈システムのアクセス可能な位置において、または心室内においてなど、血管内に配置されるように適合される。デバイス105は、チタンなどの導電性金属から形成された気密封止ハウジング130を含む。ハウジング130(「ケース」または「カン」とも呼ばれる)は、「ケース」または「カン」電極と呼ばれる第3電極を形成するウィンドウ部を除いて、シリコン・ゴムなどの適切な絶縁体によって全表面にわたって実質的に覆うことが可能である。絶縁材料で形成されるヘッダ140が、リード110、または心臓感知または刺激に使用される他のリードなどのリードを受けるために、ハウジング130の上に取り付けられる。ハウジング130の内部には、本明細書において記述されるように、体液状況監視機能をデバイスに提供するための電気回路が含まれる。ペースメーカまたは電気除細動器/除細動器の場合、ハウジングは、心臓を感知し、刺激するための回路をも含む。
【0009】
図1に示されるように、デバイス105はコントローラ165を含むが、これは、離散的な回路要素で作成されてもよいが、プログラムやデータ記憶のための関連するメモリを共に有するマイクロプロセッサなどの処理要素であることが好ましい。コントローラは、以下において記述される体液状況を監視するためのアルゴリズムを実施するようにプログラムされる。コントローラ165にエキサイタ150がインタフェースとして設けられている。エキサイタ150はリード110に組み込まれる励起電流電極125と126の間に励起電流を供給する。エキサイタ150は、電流周波数、電流振幅、電流波形タイプ(たとえば、方形波、正弦波)を含むコントローラによって指示されるパラメータに従って励起電流を供給する。例示的な実施形態では、エキサイタは、励起電流波形IEを生成するように電圧信号VEによって駆動される電圧制御定電流源を含む。また、リード110には、励起電流電極間に配置され、電圧感知回路170に接続される電圧感知電極120、121も組み込まれる。電圧感知回路170は、コントローラにインタフェースされ、電極120、121によって生成された電圧差信号を処理するための増幅回路、フィルタ回路、アナログ・デジタル変換回路を含む。
【0010】
また、コントローラ165には、外部プログラマまたは遠隔監視デバイス190と通信することができる遠隔測定トランシーバ185もインタフェースされる。外部プログラマが、デバイス105と無線通信し、臨床医がデータを受信して、コントローラのプログラミングを修正することを可能にする。遠隔監視デバイス190は、同様にデバイス105と通信し、遠隔位置にある臨床担当者がデバイスからデータを受信することを可能にする患者管理ネットワークにさらにインタフェースされる(たとえば、インターネット接続を介して)。
【0011】
2.インピーダンス測定からのヘマトクリットの推定
上記で留意したように、血液の電気インピーダンスはヘマトクリットと共に変化する。定電流源から血液に浸漬された2つの電極間に電流場を加え、次いでその間の電圧差を測定することによって、血液のインピーダンスに比例する信号が生成される。図1に示されたデバイスでは、エキサイタが、リード110の励起電流電極125と126の間に所定の量の電流を供給し、電圧感知電極120、121が、双方の励起電流電極125と126の間に配置されている(他の実施形態が、異なるリードに組み込まれた電極を使用することが可能であり、または、電極としてカンを使用することも可能である)。したがって、電圧感知電極120、121の間で測定された電圧差は、血液の電気インピーダンスに比例する。特定の測定電圧差Vmが、マッピング関数Fによって推定ヘマトクリット値Hctestにマッピングされる。
Hctest=F(Vm
マッピング関数Fは、対応するヘマトクリット値に対する電圧測定の特定の値に関係し、一般的には、励起電極によって生成された特定の電流場、電圧感知電極の物理的位置、電圧感知電極が浸漬される血液の容積に依存する。したがって、マッピング関数は、実際の条件またはシミュレーション条件の下で経験的に決定し、連続関数または離散関数として表すことが可能であり、後者は、たとえば、ルックアップ表として実現される(以下で記述されるように、そのような経験的に決定されたマッピング関数は、他の測定または導出パラメータを推定ヘマトクリット値にマッピングするように構築することも可能である)。また、電圧感知電極と励起電流電極の物理的構成は、電極を囲む血液以外の組織のインピーダンスの変化による電圧測定信号Vmの変化を最小限に抑えるように作られる。電圧感知電極が十分に接近して配置される場合、電極間のインピーダンスは、ほぼ完全に、電極を囲む血液の容積による。同様に、励起電流電極が、電圧感知電極に接近してまたいでいる場合、電極によって生成される電流場は、周囲の組織のインピーダンスの変化に対して知覚できるほどの変化はない。
【0012】
図2は、血液の容積中におけるAおよびBと名称付けされた2つの任意点を示す。2点間の電流に対するインピーダンスは、血液の誘電率に比例する等価キャパシタンスCと並列な血液の導電率に比例する等価抵抗Rとしてモデリングすることができる。したがって、血液における2つの点AとBとの間のインピーダンスZは、以下のようになる。
Z=R/(1+jω'CR)
上式で、ω'は、印加された励起電流の周波数である。赤血球の導電率と誘電率の両方を表すキャパシタンスに直列の抵抗と並列の血漿導電率を表す抵抗など、血液インピーダンスの他のモデルを使用することもできる。しかし、分析は、以下において述べられるものと同様である。
【0013】
図2の点AとBの物理的位置やZの値に関係なく、電圧感知電極間の電位差として導出された電圧測定信号Vmは、血液の導電率および/または誘電率の変化により生じるZのあらゆる変化に調和して変化する。したがって、電圧測定信号は、仮想インピーダンス測定Zmと見なすことができる(インピーダンスZmは、ある距離に間隔をおいて配置される、血液の容積内の2つの点間のインピーダンスであり、それにより、点間の単位振幅の注入電流が、Vmに等しい電圧差を生成する)。仮想インピーダンスZmは、抵抗成分Rmとリアクタンスまたはキャパシタンス成分1/ω'Cmからなる。
m=R/(1+jω'Cmm
血液の赤血球の濃度を増大させることにより、Rmは増大するが、その理由は、細胞材料が、血漿を作成する電解質の溶液より不十分な導体であるからである。赤血球により、電荷の分離が存在し、したがって、赤血球の濃度が増大する際に増大する分散キャパシタンス(すなわち誘電率)を構成することも可能になる。
【0014】
mおよびCmの両方とも、赤血球の濃度が増大する際に増大するが、インピーダンスのキャパシタンス成分は、抵抗成分と比較して小さく、それにより、インピーダンス全体は、ヘマトクリットの増大と共に増大する。したがって、非常に高い励起電流周波数を除いて、Zmの大きさが以下のように定義される場合、
|Zm|=R/(1+jω'2(Cmm21/2
ヘマトクリットの増大により、Zmの大きさは増大する。一実施形態では、マッピング関数Fは、血液インピーダンスの大きさを推定ヘマトクリット値にマッピングするように構成される。|Vm|と示される電圧測定信号Vmの振幅は、|Zm|に等しく、マッピング関数FZによってヘマトクリット値にマッピングすることが可能である。
Hctest=FZ(|Zm|)
血液インピーダンス|Z|の大きさは、励起電流の周波数に依存するので、マッピング関数FZは、選択励起電流周波数においてのみ確定され、または周波数依存性とされる。後者の場合、マッピング関数FZは、インピーダンスZmの無効部分が、全インピーダンスを減少させる傾向がある励起電流周波数の増大と共に増大することを考慮に入れる。
【0015】
上記で留意したように、キャパシタンスCmは、ほぼ完全に、血液における赤血球の存在による。他の実施形態では、マッピング関数FCが構築され、血液のキャパシタンスCmの値をヘマトリクット値にマッピングする。
Hctest=FC(Cm
mの値は、電圧差Vmの測定から導出することが可能である。励起電流が、DCにおいて、または比較的低い周波数において印加されるとき、Vmはインピーダンスの抵抗部分のみを反映し、それにより、VmがRmに等しくなる。Rmがこのようにして見つけられた後、Cmは、インピーダンスZmのキャパシタンス成分が明らかである場合、励起電流周波数ω'1における励起電流波形と電圧測定信号波形との間の位相角を検出することによって導出することが可能である。図3は、電圧測定信号Vm、およびエキサイタ150を駆動するために使用され、励起電流と同相にある信号VEcosω'1tが、位相角検出器300に入力される場合のこの技法を示す。位相角検出器は、離散ハードウエア、またはコントローラによって実行されるコードとして実施することが可能である。位相角検出器の出力は、以下のようにCmを導出するために使用することが可能である位相角Φ1である。
m=Rm/ω'1tanΦ1
代替として、Zmの大きさは、Cmの値でω'1の励起電流周波数において測定することが可能であり、Cmの値は、
m=(((Rm/|Zm|)2−1)1/2)/ω'1m
としてインピーダンスの式から計算される。上式で、大きさ|Zm|は、ω'1の励起電流周波数におけるVmの振幅として測定される。
【0016】
ヘマトクリットの関数であることに加えて、血液インピーダンスZmは、血液における電解質の濃度にも依存する。血液における電解質は、主にナトリウムと塩化物からなり、より少量の他の塩や帯電たんぱく質を有する。血漿におけるこれらの電解質の濃度は、個々の患者において異なる可能性があり、したがって、血液の測定インピーダンスに影響を与える。これを考慮に入れるために、測定インピーダンスZm(たとえば、電圧差信号Vmの振幅)と測定電解質濃度の両方を推定ヘマトリクット値にマッピングするマッピング関数が構築されることが可能である。
Hctest=FZ,E(Zm,E)
Z,Eマッピング関数と共に使用される電解質の濃度Eを決定するために、血液血漿の抵抗RPが、患者の血漿のサンプルに浸漬される電圧感知電極を使用して決定される。図4は、修正リード110'を示し、これは、電圧感知電極120'、121'が、血液細胞に対して不浸透性であるが、血液血漿の成分に対して浸透性である材料(たとえば、ゴアテックス)で作成されたスリーブ401によって囲まれる場合、この目的に使用することが可能である。励起電流電極125'、126'が、スリーブ401の内部に封入されることも可能である。電極120'、121'、125'、126'は、図1に示されたプライムなしの相当物と同様の方式でデバイス105に接続される。電圧感知電極120'、121'との間のインピーダンス測定は、血漿抵抗値RPを導出するために上述されたように実施され、RPは、次いで、経験的に決定されたマッピング関数FEによって、推定された電解質濃度Eにマッピングすることができる。
E=FE(RP
次いで、推定された電解質濃度は、上述されたように、FZ,Eマッピング関数を使用してヘマトクリットを推定するために、全血液のインピーダンス測定と組み合わせて使用される。他の修正では、温度センサが、血管内リードに含まれ、血液の温度を測定するために埋込み型デバイスによって使用されることが可能であり、この温度測定は、次いで、インピーダンス測定を推定ヘマトクリット値にマッピングするためのマッピング関数に組み込まれる。
【0017】
推定されたヘマトクリット値Hctestは、プログラムされた間隔において、または外部プログラマなどの外部デバイスからコマンドを受信する際、デバイスによって計算することが可能である。前者の場合、ヘマトクリットによって決定される体液状況の変化は、時間にわたって傾向付け、臨床医による後の分析のために記憶される。推定ヘマトクリットは、ヘマトクリットが限定範囲より上または下にあり、それぞれ体液の損失または体液の保持を表す場合、警告フラグがデバイスによって内的に設定されるように、特定の限定範囲と比較することも可能である。警告フラグを設定することにより、患者管理ネットワークにわたって臨床担当者にさらに通信されることが可能である遠隔監視デバイスに警告メッセージを送信する埋込み型デバイスを得ることも可能である。
【0018】
ヘマトクリットを推定するために使用されることに加えて、血液インピーダンスの測定は、埋込み型デバイスが持つであろう他のインピーダンス感知モダリティを調節するために使用することも可能である。たとえば、埋込み型デバイスは、分時換気または心臓1回心拍出量を計算するために、インピーダンス測定を使用することが可能である。そのような計算は、上述されたように測定された血液のインピーダンスを考慮に入れるように修正することが可能である。
【0019】
本発明は、以上の特定の実施形態に関連して記述されたが、多くの代替、変更、および修正が、当業者には明らかであろう。そのような代替、変更、修正は、以下の添付の請求項の範囲内にあることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】例示的な埋込み型デバイスを示す図である。
【図2】血液インピーダンスの回路モデルを示す図である。
【図3】電圧差信号を処理するための位相角検出器を示す図である。
【図4】血漿のインピーダンスを決定するための修正リードを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起電流波形を出力し、一対の励起電流電極間に電流場を与えるためのエキサイタと、
患者の血液の中および前記電流場の中に配置された一対の電圧感知電極間において電圧差信号を感知するための電圧感知回路と、
前記電圧差信号から患者のヘマトクリットを推定するようにプログラムされる、前記電圧感知回路にインタフェースされたコントローラと
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記励起電流電極と前記電圧感知電極を組み込むリードをさらに備え、前記電圧感知電極が、前記励起電流電極間に配置される請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記コントローラが、前記電圧差信号の振幅をヘマトクリット値にマッピングするマッピング機能で前記患者のヘマトクリットを推定するようにプログラムされる請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記コントローラが、前記電圧差信号から導出されたキャパシタンス値をヘマトクリット値にマッピングするマッピング機能で、前記患者のヘマトクリットを推定するようにプログラムされる請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記コントローラが、第1励起周波数において前記電圧差信号から抵抗値を導出し、第2励起周波数において前記励起電流波形と前記電圧差信号との間の位相角を測定することによって、前記電圧差信号からキャパシタンス値を導出するようにプログラムされる請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記コントローラが、第1励起周波数において前記電圧差信号から抵抗値を導出し、第2励起周波数において前記電圧差信号の前記振幅を測定することによって、前記電圧差信号からキャパシタンス値を導出するようにプログラムされる請求項4に記載のデバイス。
【請求項7】
患者の血漿の抵抗を測定する手段をさらに備え、前記コントローラが、前記電圧差信号の前記振幅と前記患者の血漿の前記抵抗とをヘマトクリット値にマッピングするマッピング機能で、前記患者のヘマトクリットを推定するようにプログラムされる請求項1から6のいずれかに記載のデバイス。
【請求項8】
前記コントローラが、記憶され、ある時間にわたって傾向付けられる前記患者のヘマトクリットを周期的に推定するようにプログラムされる請求項1から7のいずれかに記載のデバイス。
【請求項9】
前記コントローラが、推定されたヘマトクリット値を特定の限界範囲と比較し、前記推定されたヘマトクリット値が前記特定の限界範囲外にある場合、警告フラグを設定するようにプログラムされる請求項1から8のいずれかに記載のデバイス。
【請求項10】
外部プログラマまたは遠隔監視ユニットと通信するための遠隔測定トランシーバをさらに備える請求項1から9のいずれかに記載のデバイス。
【請求項11】
前記コントローラが、前記警告フラグが設定される場合、警告メッセージを遠隔監視デバイスに送信するようにプログラムされる請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記抵抗測定手段が、前記患者の血漿のサンプルに浸漬された電圧感知電極を備える請求項7に記載のデバイス。
【請求項13】
前記抵抗測定手段が、電圧感知電極を囲むスリーブを有する血管内リードを備え、前記スリーブが、赤血球には不浸透性であるが、血漿には浸透性である材料で構築される請求項7に記載のデバイス。
【請求項14】
温度を測定するための温度センサをさらに備え、温度測定が、インピーダンス測定を推定ヘマトクリット値にマッピングするための前記マッピング機能に組み込まれる請求項11から13のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記コントローラが、時間にわたって前記患者のヘマトクリットの傾向をコンピュータ計算するようにプログラムされる請求項1から14のいずれか1項に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−508078(P2008−508078A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524890(P2007−524890)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/027277
【国際公開番号】WO2006/017446
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(505003528)カーディアック・ペースメーカーズ・インコーポレーテッド (466)
【Fターム(参考)】