説明

ヘルペス性角膜炎の治療のためのブリブジンを含む光安定性医薬品成物

活性成分としてのブリブジンならびにポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)およびポリアクリレート(PA)からなる群より選ばれる膜形成剤を含む、眼用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼球の炎症性症状、特に単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)または水痘帯状疱疹ヘルペスウイルス(VZV)によって引き起こされる間質性角膜炎の治療に役立つ、抗ウイルス性のブリブジンを含む医薬品成物に関する。組成物は、抗ウイルス剤を光防御して、ブリブジンの優れた耐久性および長期間送達を可能にする。
【0002】
背景技術
眼の炎症性疾患は、ウイルス、細菌、真菌、または寄生生物の感染により、および自己免疫により開始され得る。特に損傷性の眼球炎症症状の種類の一つは、HSV−1によって、またはそれよりは一般的でないがHSV2型によって引き起こされる角膜炎である。HSVによる角膜の炎症は特に重篤であり、治療してさえも何年も続く場合がある。HSV角膜炎は、角膜の外部上皮層に閉じ込められ(上皮角膜炎)、角膜のより深い構造に侵入することができる角膜潰瘍(間質性角膜炎)を引き起す可能性があり、それは角膜の壊死(壊死性間質性角膜炎)に至る可能性がある。共通の続発症は、角膜血管新生および瘢痕化である。水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)によって引き起こされる眼部帯状疱疹の眼球合併症は、非特異性結膜炎、樹枝状上皮または間質性角膜炎、前部角膜ぶどう膜炎、網膜出血または網膜炎を含み、さらに視神経も冒す可能性がある。
【0003】
現在、HSVによって引き起こされる上皮角膜炎は、抗ウイルス薬で治療され、一方でHSV間質性角膜炎は、抗ウイルス剤の掩護と共に局所的に与えられるコルチコステロイドによって治療される(例えば、Wilhelmus, K.R. et al., Ophthalmology. 101:1883, 1994を参照のこと)。しかし、コルチコステロイド治療法は、疾患を長引かせ、恐らく悪化させ、ならびに、ウイルス複製の促進、白内障、緑内障、角膜融解、二次感染およびコルチコステロイド依存症などの他の結果を導入する可能性がある(Liesegang, TJ., Mayo Clin. Proc. 63:1092, 1988を参照のこと)。
【0004】
眼球の局所療法のための、アシクロビルなどの抗ウイルス剤を含む医薬品成物が、いくつかの特許に記述されている:
【0005】
CN1342651(CAplus AN:2003:394238)は、特にガンシクロビル・ナトリウム二水和物を含む点眼薬製剤について記述する。
【0006】
RU2158591(CAplus、AN:2002:13230)は、ヘルペス性眼疾患、特にヘルペス性角膜炎の治療に、10mlラクリミン溶液中のアシクロビル0.1gにより、取り組む。
【0007】
WO2000004884では、アシクロビルおよびアデノシンを含むローション剤により、ヘルペス性角膜炎の局所治療法を達成した。
【0008】
JP10287552(Caplus、AN 1998:693384)は、アシクロビル懸濁液の点眼薬について記述する。
【0009】
WO96/24367は、第1成分として第四級アンモニウム化合物を含む、単純ヘルペスウイルス感染の治療用の医薬品成物に関する。
【0010】
ヘルペス性角膜炎の治療にさえも非常に有望であると思われる抗ウイルス剤が、ブリブジン、(E)−5−(2−ブロモビニル)−2’−デオキシウリジンである。それのVZVに対するインビトロの有効性は、アシクロビルおよびペンシクロビルの両方より優れている[13の臨床VZV株における平均IC50:0.001μg/ml(ブリブジン)、0.2μg/ml(アシクロビル)および0.91μg/ml(ペンシクロビル)](Andrei G., Snoeck R., Reymen D. Eur. J. Clin. Microbiol. Infect.; 14; 318-319; 1995)。
【0011】
さらに、ブリブジンは、アシクロビルおよびペンシクロビルと比較して優れたインビトロ有効性を有する、HSV−1複製の強力な阻害剤である:23の臨床HSV−1株の集団において、ブリブジンは、アシクロビルのほとんど2倍有効であることが判明した[平均IC50:0.52μg/ml(ブリブジン)対0.92μg/ml(アシクロビル)](Andrei G., Snoeck R., Goubau P. Eur. J. Clin. Microbiol. Infect.; 11; 143-151 ; 1992)。20の臨床分離株集団における2つの同様の分析では、ペンシクロビルは、0.6μg/mlおよび0.8μg/mlの平均IC50を示した(Weinberg A., Bate B.J., Masters H.B. Antimicrob. Agents Chemother.; 36; 2037-2038; 1992)。
【0012】
主にHSV−1実験室株での初期の研究は、ブリブジンのさらに低い0.004μg/ml〜0.2μg/ml(ウイルス株および細胞システムに依存して)のIC50を実証している(De Clercq E., Descamps J., Verhelst G., J. Infect. Dis.; 141 ; 563-574; 1980; De Clercq E., Antimicrob. Agents Chemother.; 21; 661-663; 1982)。
【0013】
いくつかの動物実験および臨床試験における眼球ウイルス疾患の治療のためのブリブジンの使用については、例えば、Antiviral Research (1984 oct) 4(5) 281-291; Current eye Research. 1991 10 suppl, 193-9に記載されたが、しかし、局所的な眼球への使用のための市販医薬品成物は、これまで市場に現われておらず、まだいくつかの問題が解決されていないことを示唆する。
【0014】
ブリブジンは、実際、局所製剤に通常用いられる条件では、特に不安定であることが判明している。それらの条件では、ブリブジンは、大幅に光分解を受け、それが、活性成分の濃度を低下させ、そして治療の最終効果を減少させ、そして医薬品成物を用いることを諦めさせることができる重大な局所刺激を引き起こすことが分かった。
【0015】
ヘルペス性角膜炎の治療のための有望な医薬品は、まだ入手できないので(例外はアシクロビルであるが、しかし上皮において有毒である)、短期用ブリブジン製剤が、選ばれた病院で用いられている(Krankenhauspharmazie 2002, 23, 174を参照のこと)、しかしまた、これらのブリブジン製剤は、活性物質の分解による迅速な活性喪失という特徴を有する。
【0016】
WO02/056913では、ブリブジンを含む局所用医薬品製剤(眼球使用のためではない)について記述されており:抗ウイルス剤を、ここでは高い割合の金属酸化物色素(好ましくはTiO2)で安定化させた。
【0017】
色素を医薬品製剤中で用いる場合は、色素は通常は、それぞれ油中水(W/O)、水中油(O/W)懸濁液または例外的にスラリーの一部であり;これらのシステム中で色素は固体のままである。
【0018】
ブリブジンの光保護には20%以上の量の色素が必要であるので、製剤の粘度は非常に高い。罹病した眼は外部の影響にはるかに敏感であることを考えると、この種の製剤の眼への使用は疼痛および苦痛を生ずるであろう。
【0019】
全く同様の方式で、WO03051375は、活性化合物であるブリブジンが光分解に対して、UVフィルターによって、特にo−ヒドロキシ−ベンゾフェノン誘導体の群より選択されるUVフィルターによって安定化させられた、他の局所用製剤について記述する。
【0020】
発明された溶液は、製剤内に化学的UVフィルターが溶解されているので、眼球用製剤には適していない。この形では、この物質は眼の刺激剤となると予想される。罹病した眼は著しく敏感であり、遮光剤の著しい防護効果が、5%を越える濃度で観察されるはずである。したがって、溶解した遮蔽剤の使用は回避するべきである。
【0021】
発明の詳細な説明
驚いたことに、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)およびポリアクリレート(PA)から選ばれる膜形成剤を含む眼用組成物は、ブリブジンの光分解を防止して、薬の優れた耐久性および長期間の局所送達を同時に可能にすることが見出された。
【0022】
特に本発明による膜形成剤は、アルギン酸塩、キサンタンガム、カラギーナン、アカシアゴム、グアーガム、セルロース誘導体、および寒天ゲルを含む他の増粘剤とは対照的に(最良の観察結果は、照射後のブリブジンの70%回収であった)、8.9J/cm2の照射の後に85%を超えるブリブジンの回収率を保証することが観察された(表1を参照のこと)。
【0023】
膜形成剤に基づく製剤は、一般に人工涙点滴薬として用いられている。それらは、一般的なまたは特別な悪い影響が報告されることなく、数十年来認可されている。薬剤製品の耐久性に対するブリブジンの影響を調査するために我々の行なった追加の研究では、医薬品特性の劣化は観察されなかった。これらの研究はまた、ブリブジンが眼球領域に、血液中へ体内吸収されずに、2時間を超えて残存することを示した。
【0024】
したがって、本発明は既知の製剤(安定化剤のない)と比較して、活性物質の低い含量および光誘起分解に対する顕著に増大した安定性を特徴とするブリブジンに基づく眼用製品を提供するという問題を解決する。活性物質に加えて、組成物は賦形剤、佐剤、担体、溶解剤、および特に保存剤を含んでもよい。
【0025】
好ましい実施態様によれば、眼用医薬品製剤は、ブリブジンを0.05〜2重量%、膜形成剤を0.5〜10重量%、保存剤を0〜2.0重量%、および100重量%までの残量の薬学的に許容される賦形剤、佐剤、担体、溶解剤を含む。
【0026】
本発明の特に好ましい実施態様では、眼用製剤は、活性成分の他に、PVP、PVA、およびポリアクリレートからなる群より選ばれる膜形成剤、クロルヘキシジン、クロルブタノール、およびホウ酸からなる群より選ばれる保存剤、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸エステル、アスコルビン酸エステルおよびα−トコフェノールエステルからなる群より選ばれる酸化防止剤を含む。他の適切な賦形剤には、芳香剤、緩衝剤、界面活性剤、および共溶媒が含まれる。
【0027】
ブリブジン含量は、組成物の0.05〜2重量%、好ましくは0.05〜1重量%、より好ましくは0.05〜0.3重量%の範囲であってよい。
【0028】
膜形成剤の量は、組成物の好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%である。
【0029】
保存剤の量は、−存在する場合は−、組成物の好ましくは2重量%までであり、より好ましくは0.01〜1.5重量%である。
【0030】
酸化防止剤の量は、−存在する場合は−、組成物の好ましくは0.001〜1重量%、より好ましくは0.001〜0.1重量%である。
【0031】
本発明の製剤はさらに、水などの担体/促進剤および佐剤、エタノールなどの一価アルコール、着色剤、増粘剤、可塑剤、界面活性剤、多価アルコール、エステル、電解質、ゲル形成剤、極性・無極性の油、ポリマー、コポリマー、乳化剤、乳剤安定剤を含んでもよい。
【0032】
さらに、活性物質の送達を改善するために、リポソームを用いることができる。
【0033】
例えばビタミンAまたはビタミンA誘導体;ビタミンEまたはビタミンE誘導体;複合ビタミン、有色または無色の植物抽出物を含む、さらなる佐剤および活性物質が存在してもよい。
【0034】
本発明の製剤は、一回用量または複数回用量の容器に包装された、点眼薬、溶液、ゲル、または軟膏の形であり得る。
【0035】
本発明による典型的な眼球用製剤は、以下ものを含む(%w/w):
0.1〜0.3%のブリブジン
1〜7%の膜形成剤
0〜2%の1つ以上の保存剤
0〜2%の緩衝剤
0〜0.9%のNaCl
0〜4%の0.1N NaOH(5.5〜6.5までの範囲のpHになるまで)
0〜25%の界面活性剤
0〜0.003%の酸化防止剤
0.01〜0.05%のEDTAナトリウム
100%にするための水。
【0036】
製造は、無菌条件下の殺菌区域で行なう。製剤を、周知の方法(混合、撹拌、ホモジナイズ、濾過)を用いて、および周知の機器(例えば、Ultra Turrax, Silversonミキサーまたは類似の装置のようなホモジナイザー、細菌濾過器)によって調製する−例えば RemingtonのPharmaceutical Sciencesおよび米国薬局方ならびにVoigt, Rudolf, Pharmazeutische Technologie fur Studium und Beruf, 第7改訂版、Berlin (1993)を参照のこと。
【0037】
ブリブジンを含む眼用製剤を、いくつかの眼球病変を治療するために、特にHSV上皮角膜炎、HSV間質性角膜炎、眼部帯状疱疹の眼球合併症を治療するために用いることができる。
【0038】
活性成分の有効量は、治療するべき病状、病気の進行、患者の総合的な健康状態、投与の形式、経路および用量、ならびに副作用の重篤度のような因子に依存して変化する場合がある。本明細書で用いる句「治療上有効な用量」とは、眼球炎症の病状または徴候を改善するために十分な用量を意味する。適切な用量は、本技術分野で公知の方法を用いて、容易に決定することができる。
【0039】
適切な状況では、本発明による組成物を複合療法に用いることができる。好ましくは、複合製剤は、ブリブジン、ならびにステロイド(特に酢酸プレドニゾロンおよびフルオロメトロン)およびフルルビプロフェンなどの非ステロイド系抗炎症剤から選ばれる活性成分を、同時に、逐次的に、または別々に投与するために含むことになろう。
【0040】
本発明は、さらに以下の非限定的な実施例によって説明される。
【0041】
実施例
別段に明記しない限り、本特許明細書および実施例の全体にわたって言及される化合物のクラスまたはグループは以下のような意味を持つ:
【0042】
ポリビニルピロリドン:INCI名 1−エテニル−2−ピロリジノンホモポリマーおよびPVPならびに商品名コリドン(Kollidon)(BASF)によって公知の化合物、例えば、コリドン12(分子量約2,000〜3,000)、コリドン17(分子量約7,000〜11,000)、コリドン25(分子量約28,000〜34,000)、コリドン30(分子量約44,000〜54,000)、コリドン90(分子量約1,000,000〜1,500,000);すべての品質は薬剤の薬局方に対応する。ヨーロッパ薬局方01/2005:0685を参照のこと。
【0043】
ポリビニルアルコール:INCI名 エテノールホモポリマー、PVA、および商品名例えば、コリコート(Kollicoat)(登録商標)プロテクト(Protect)(BASF)によって公知の化合物;例えばPVA72,000、またはPVA145,000;すべての用いられる品質は薬剤の薬局方に対応する。ヨーロッパ薬局方01/2005:1961を参照のこと。
【0044】
ポリアクリレート:INCI名 ポリアクリル酸および商品名、例えばカルボポール934P、941、971、940および980、またはカルボポールETD2001、2020、および2050のそれぞれ、ノベオン(Noveon)AA−1、によって公知の化合物;すべての用いられた品質は薬剤の薬局方に対応する。ヨーロッパ薬局方01/2005:1299を参照のこと。
【0045】
ポロキサマー:エチレンオキシドとプロピレンオキシドの合成ブロックコポリマー。原則として、ヨーロッパ薬局方(P124、188、237、338、および407)に記載のポロキサマーをすべて用いることができる。以下の型が特に有用であることが判明した:ポロキサマー407(平均分子量:9840〜14600)およびポロキサマー188(平均分子量:7680〜9510)、ヨーロッパ薬局方01/2005:1464を参照のこと。
【0046】
実施例1
次の点眼薬製剤を、無菌状態下、温度20℃で2時間、成分を混合し、次いで穏やかな混合下で、最初に活性物質を、続いて保存剤を加えて調製した。最後に、溶液を、無菌的に0.2μmのフィルターを通して濾過する。一次包装は、例えば複数回用量のための無菌ボトルである:
ブリブジン 0.1%
コリドン25 2%
ホウ酸 1.5%
酢酸クロルヘキシジン 0.03%
0.1N NaOH pH=6.5になるまで
EDTAナトリウム 0.01%
適量の水 100%にするため
【0047】
実施例2
点眼薬製剤を実施例1と同様の手順にしたがって調製した。
ブリブジン 0.1%
ポビドンK25 5%
NaCl 0.7%
クロルブタノール 0.5%
0.1N NaOH pH=5.5になるまで
EDTAナトリウム 0.01%
没食子酸プロピル 0.002%
適量の水 100%にするため
【0048】
実施例3
点眼薬製剤を実施例1と同様の手順にしたがって調製した。
ブリブジン 0.1%
ポリビニルアルコール72000 0.3%
ホウ酸 1.8%
酢酸クロルヘキシジン 0.02%
クロルブタノール 0.3%
0.1N NaOH pH=5.5になるまで
EDTAナトリウム 0.01%
ブチル化ヒドロキシトルエン 0.001%
適量の水 100%にするため
【0049】
実施例4
点眼薬製剤を実施例1と同様の手順にしたがって調製した。
ブリブジン 0.1%
カルボメール980 6%
ホウ酸 1.8%
酢酸クロルヘキシジン 0.02%
クロルブタノール 0.3%
0.1N NaOH pH=5.5になるまで
EDTAナトリウム 0.01%
適量の水 100%にするため
【0050】
実施例5
点眼薬製剤を実施例1と同様の手順にしたがって調製した;この場合(保存製剤でない)の一次包装は一回量容器である。
ブリブジン 0.1%
ポビドンK25 1.4%
Na2HPO4 0.65%
NaH2PO4 0.18%
NaCl 0.23%
EDTAナトリウム 0.01%
適量の水 100%にするため
【0051】
実施例6
点眼薬製剤を実施例1と同様の手順にしたがって調製した。
ブリブジン 0.3%
ポビドンK25 2%
ポロキサマー407 10%
ポロキサマー188 15%
ホウ酸 1.5%
酢酸クロルヘキシジン 0.03%
0.1N NaOH pH=6.5になるまで
EDTAナトリウム 0.01%
適量の水 100%にするため
【0052】
実施例7
光安定性テスト
【0053】
【表1】

【0054】
表1は、膜形成剤存在下および不存在下における、照射時間に依存する製剤中のブリブジン量を示す。膜形成剤を含まない場合は、1時間照射の後に出発量のブリブジンの33.4%のみが回収されることがここで観察できる。
【0055】
しかし、膜形成剤が、光誘起分解に対する有意な安定化を引き起こすことを見ることができる。
【0056】
光安定度性テストそれ自体を、SUNTEST CPS+Atlas社の機器を用いて行なった。適用した照射エネルギーを以下に示す:
照射エネルギー(時間):1.3J/cm2(10分間)、2.6J/cm2(20分間)、4.0J/cm2(30分間)、8.9J/cm2(67分間)、26.7J/cm2(201分間)
波長範囲:320〜800nm
【0057】
表2は、2%の膜形成剤を含むいくつかの代表的な製剤と膜形成剤なしの製剤の間の直接の比較を報告する。丁度およそ1時間後に、保護された製剤は、非保護の薬剤より50%多くのブリブジンを含む。
【0058】
表3に、別の膜形成剤を含む製剤におけるブリブジンの回収率を示す:これらの膜形成剤は、本発明についての満足な解決とは思われなかった。
【0059】
最後に、表4は、ウサギにおける眼球内バイオアベイラビリティ研究の結果を報告する。6時間後でさえ、角膜中に活性成分の存在が観察された。対照的に、活性物質は血液中には全く見出されなかった。
【0060】
この研究結果は、製剤を毎日4〜5回のみ投与するべきであり、また活性物質は全身には吸収されないことを示す。
【0061】
【表2】

【0062】
【表3】

【0063】
動物実験
【0064】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分としてのブリブジンならびにポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)およびポリアクリレート(PA)からなる群より選ばれる膜形成剤を含む、眼用組成物。
【請求項2】
ブリブジンの量が0.05〜2%w/wの範囲である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記の量が0.05〜1%w/wの範囲である、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
前記が0.05〜0.3%w/wの範囲である、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
膜形成剤の量が0.5〜10%w/wの範囲である、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記の量が1〜5%w/wの範囲である、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
2%w/wまでの量の保存剤をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
前記の量が0.01〜1.5%w/wの範囲である、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
0.001〜12重量%の量の酸化防止剤をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
前記の量が0.001〜0.1%w/wである、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
点眼薬、溶液、ゲル、軟膏の形をしている、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
一回用量または複数回用量の容器に包装されている、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
0.1〜0.3%w/wのブリブジン;1〜7%w/wの膜形成剤;0〜2%w/wの保存剤;0〜2%の緩衝剤;0〜0.9%のNaCl;5.5〜6.5の範囲のpHを与えるための0〜4%の0.1N NaOH;0〜25%の界面活性剤;0〜0.003%の酸化防止剤;0.01〜0.05%のEDTAナトリウム;100%になるように加える水を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
眼球疾患の治療において同時に、逐次的に、または別々に使用するための、請求項1〜13のいずれか1項記載の眼用組成物およびステロイド系または非ステロイド系抗炎症剤を含む複合製剤。
【請求項15】
ステロイドが酢酸プレドニゾロンまたはフルオロメトロンであり、非ステロイド系抗炎症剤がフルルビプロフェンである、請求項14記載の複合製剤。
【請求項16】
HSV上皮角膜炎、HSV間質性角膜炎、眼部帯状疱疹の眼球合併症の治療用薬物の調製のための、請求項1〜13に記載の眼用組成物の使用。
【請求項17】
活性成分としてのブリブジンを含む眼用組成物の調製のための、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリレート(PA)からなる群より選ばれる膜形成剤の使用。

【公表番号】特表2009−509993(P2009−509993A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532659(P2008−532659)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009383
【国際公開番号】WO2007/039201
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(503254467)ベルリン−ヒェミー・アーゲー (1)
【氏名又は名称原語表記】BERLIN−CHEMIE AG
【Fターム(参考)】