説明

ベッドの在床監視システム

【課題】ベッドの脚部が載置される載置板部の高さを低く抑えたベッドの荷重検出器を備えたベッドの在床監視システムを提供する。
【解決手段】荷重検出器1は、基板部2と、基板部2にベッド設置面55に対して上方に離間した状態で略水平に支持された片持ち梁部7の先端部に設けられ、ベッドの脚部としてのキャスタ51が載置される載置板部13と、片持ち梁部7に装着され、片持ち梁部7の歪みを検出して、ベッドの荷重の検出に用いられる信号を出力する歪み検出センサR1〜R4と、を備える。監視システムは、上記荷重検出器1と、荷重検出器1の歪み検出センサR1〜R4からの出力信号に基づいて、ベッド上に被験者が在床しているか否かを演算する演算手段21と、演算手段21の演算結果を表示する表示手段25と、演算手段21の演算結果に基づいて警報を発する警報手段26と、演算手段21の演算結果を送信する通信手段27と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッドの荷重検出器、ベッド上に被験者が在床しているか否かを検出するベッドの在床検出装置、ベッドの在床検出方法及びベッドの在床監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療施設、老人施設、介護施設等では、病人、乳幼児、高齢者、被介護者などの被験者の健康を把握するために、例えばベッド上に睡眠や休息等のために在床(滞在)している被験者の体動、呼吸数、脈拍数(心拍数)などの生体情報を計測する生体情報計測装置が開発されている。
【0003】
また、ベッド上に被験者が在床しているか否かを検出する装置として、ベッドの脚部にロードセルを付設し、このロードセルからの出力信号に基づいて被験者の在床・離床を検出するようにしたものが知られている(例えば特許文献1)。
【0004】
また、ベッドの脚部とベッド設置面との間に介在される、ベッドの荷重検出器として、基体の上面に、感歪抵抗体が装着されたセンサ基板を設置し、その上側に、ベッドの脚部の荷重を受けて感歪抵抗体を起歪させる荷重受け板を配置したものも知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−79585号公報
【特許文献2】特開2000−105884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ベッドの荷重検出器は、該荷重検出器に備えられた所定の載置部上にベッドの脚部が載置されることにより、ベッドの荷重を検出するものとなされているが、この荷重検出器によれば、載置部の高さが高いと、その分だけベッド寝床面のベッド設置面からの高さが高くなるので、被験者のベッド上への在床・離床が困難になる虞があるし、更には、ベッドの脚部を荷重検出器上に載せたり荷重検出器から降ろしたりする作業が困難になる。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ベッドの脚部が載置される載置板部の高さを低く抑えたベッドの荷重検出器、これを備えたベッドの在床検出装置、前記荷重検出器を用いたベッドの在床検出方法及び前記荷重検出器を備えたベッドの在床監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の手段を提供する。
【0009】
[1] ベッド設置面上に載置される基板部と、
前記基板部に前記ベッド設置面に対して上方に離間した状態で略水平に支持された片持ち梁部の先端部に設けられ、ベッドの脚部が載置される載置板部と、
前記片持ち梁部の歪みを検出し、ベッドの荷重の検出に用いられる信号を出力する歪み検出センサと、
を備えていることを特徴とするベッドの荷重検出器。
【0010】
[2] 前記基板部は、互いに離間して対向配置された一対の側辺部と、該両側辺部間に配置され、両側辺部の一端部同士を相互に連結した連結辺部と、を有し、
前記載置板部が前記両側辺部間で下降変位可能になるように、前記片持ち梁部が前記連結辺部に支持されている前項1記載のベッドの荷重検出器。
【0011】
[3] 前記基板部は、互いに離間して対向配置された一対の側辺部と、該両側辺部間に互いに離間して対向配置され、両側辺部の一端部同士及び他端部同士をそれぞれ相互に連結した一対の連結辺部と、を有し、
前記載置板部が前記両側辺部と前記両連結辺部との間で下降変位可能になるように、前記片持ち梁部が前記両連結辺部のうちいずれか一方の連結辺部に支持されている前項1記載のベッドの荷重検出器。
【0012】
[4] 前記ベッドの脚部はベッド移動用キャスタからなり、
前記両連結辺部のうち他方の連結辺部に、前記キャスタを前記ベッド設置面上から前記載置板部上へ案内するスロープ面が形成されている前項3記載のベッドの荷重検出器。
【0013】
[5] 前記載置板部に、前記ベッドの脚部の前記載置板部上からの落下を防止する脚部落下防止手段が施されている前項1〜4のいずれかに記載のベッドの荷重検出器。
【0014】
[6] 前記載置板部の基端縁部に、前記脚部落下防止手段として、前記載置板部の上面に対して立ち上がり状の脚部落下防止壁部が設けられている前項5記載のベッドの荷重検出器。
【0015】
[7] 前記載置板部の両側縁部に、前記脚部落下防止手段として、前記載置板部の上面に対して立ち上がり状の一対の脚部落下防止壁部が設けられている前項5又は6記載のベッドの荷重検出器。
【0016】
[8] 前記ベッドの脚部はベッド移動用キャスタからなり、
前記載置板部の上面の先端縁部に、前記キャスタが乗り越え可能な凸条部が前記先端縁部に沿って設けられており、
前記キャスタが前記凸条部を乗り越えることによりキャスタが前記載置板部上の正規の荷重検出位置に載置されるように構成されている前項7記載のベッドの荷重検出器。
【0017】
[9] 前記載置板部の基端縁部に、前記キャスタの前記載置板部上からの落下を防止する手段として、前記載置板部の上面に対して立ち上がり状のキャスタ落下防止壁部が設けられており、
前記載置板部の両側縁部に、前記キャスタの前記載置板部上からの落下を防止する手段として、前記載置板部の上面に対して立ち上がり状の一対のキャスタ落下防止壁部が設けられており、
前記載置板部の上面の先端縁部に、前記キャスタが乗り越え可能な凸条部が前記先端縁部に沿って設けられており、
前記キャスタが前記凸条部を乗り越えることによりキャスタが前記載置板部上の正規の荷重検出位置に載置されるように構成されており、
前記凸条部の前面は、前記キャスタを前記ベッド設置面上から前記載置板部上に載置する際のキャスタの走行方向において前記スロープ面の勾配よりも大きな上り勾配の斜面に形成されている前項4記載のベッドの荷重検出器。
【0018】
[10] 前記ベッドの脚部はベッド移動用キャスタからなり、
前記載置板部の両側縁部に、前記キャスタの前記載置板部上からの落下を防止する手段として、前記載置板部の上面に対して立ち上がり状の一対のキャスタ落下防止壁部が、前記キャスタを前記ベッド設置面上から前記載置板部上に載置する際のキャスタの走行方向とは反対方向において両者の間隔が広くなる状態に設けられ、
前記載置板部の基端縁部に、前記載置板部上の正規の荷重検出位置に到達したキャスタの走行を止める、前記載置板部の上面に対して立ち上がり状のストッパ壁部が設けられている前項3記載のベッドの荷重検出器。
【0019】
[11] 前記両連結辺部のうち他方の連結辺部に、前記キャスタを前記ベッド設置面上から前記載置板部上へ案内するスロープ面が形成されている前項10記載のベッドの荷重検出器。
【0020】
[12] 前記載置板部の上面の先端縁部に、前記キャスタが乗り越え可能な凸条部が前記先端縁部に沿って設けられており、
前記キャスタが前記凸条部を乗り越えることによりキャスタが前記載置板部上の正規の荷重検出位置に載置されるように構成されている前項10又は11記載のベッドの荷重検出器。
【0021】
[13] 前記載置板部の上面の先端縁部に、前記キャスタが乗り越え可能な凸条部が前記先端縁部に沿って設けられており、
前記キャスタが前記凸条部を乗り越えることによりキャスタが前記載置板部上の正規の荷重検出位置に載置されるように構成されており、
前記凸条部の前面は、前記キャスタの走行方向において前記スロープ面の勾配よりも大きな上り勾配の斜面に形成されている前項11記載のベッドの荷重検出器。
【0022】
[14] 前記載置板部の上面の少なくとも先端部が、該載置板部の先端縁部から基端側へ進む方向において下り勾配の斜面に形成されている前項1〜13のいずれかに記載のベッドの荷重検出器。
【0023】
[15] 前記載置板部の下面の少なくとも先端部が、前記載置板部の先端縁部から基端側へ進む方向において下り勾配の斜面に形成されている前項1〜14のいずれか1項記載のベッドの荷重検出器。
【0024】
[16] 前記ベッド設置面との接床面に設けられた凹部内に、弾性を有する滑り止め部材が前記接床面よりも下側にはみ出した状態に配置されており、
前記ベッド設置面上に載置された状態のもとで、
前記載置板部上に前記ベッドの脚部が載置されていない場合には、前記接床面が前記滑り止め部材により支持されて前記接床面が前記ベッド設置面に対して上方に離間する一方、
前記載置板部上に前記ベッドの脚部が載置された場合には、前記ベッドの脚部からの荷重により前記滑り止め部材が前記凹部の天面と前記ベッド設置面との間で圧縮されて前記接床面が前記ベッド設置面に当接するように構成されている前項1〜15のいずれかに記載のベッドの荷重検出器。
【0025】
[17] 前記凹部は、前記接床面における、前記載置板部上の正規の荷重検出位置の直下位置を包囲する3箇所以上に、それぞれ設けられるとともに、
前記各凹部内に前記滑り止め部材が配置されている前項16記載のベッドの荷重検出器。
【0026】
[18] 前記凹部の大きさは、前記滑り止め部材が前記凹部の天面と前記ベッド設置面との間で圧縮された状態において滑り止め部材全体を収容可能な大きさに設定されている前項16又は17記載のベッドの荷重検出器。
【0027】
[19] 前記滑り止め部材はゴム製である前項16〜18のいずれかに記載のベッドの荷重検出器。
【0028】
[20] 前記歪み検出センサとして歪みゲージが前記片持ち梁部に装着されている前項1〜19のいずれか1項記載のベッドの荷重検出器。
【0029】
[21] 前記歪みゲージが組み込まれたブリッジ回路からの電気的な出力信号が、ベッドの荷重の検出に用いられる前項20記載のベッドの荷重検出器。
【0030】
[22] 前記基板部、前記片持ち梁部及び前記載置板部のうち少なくとも一つが押出材で形成されている前項1〜21のいずれか1項記載のベッドの荷重検出器。
【0031】
[23] 前記基板部、前記片持ち梁部及び前記載置板部のうち少なくとも二つがアルミダイカストで一体形成されている前項1〜21のいずれか1項記載のベッドの荷重検出器。
【0032】
[24] 前項1〜23のいずれか1項記載のベッドの荷重検出器と、
前記荷重検出器の歪み検出センサからの出力信号に基づいて、ベッド上に被験者が在床しているか否かを演算する演算手段と、
を備えていることを特徴とするベッドの在床検出装置。
【0033】
[25] 更に、前記演算手段の演算結果を表示する表示手段を備えている前項24記載のベッドの在床検出装置。
【0034】
[26] 更に、前記演算手段の演算結果に基づいて警報を発する警報手段を備えている前項24又は25記載のベッドの在床検出装置。
【0035】
[27] 更に、前記演算手段による演算結果を送信する通信手段を備えている前項24〜26のいずれかに記載のベッドの在床検出装置。
【0036】
[28] 前項1〜23のいずれか1項記載のベッドの荷重検出器をベッド設置面上に載置するとともに、該荷重検出器の載置板部上にベッドの脚部を載置し、この状態で、前記荷重検出器の歪み検出センサからの出力信号を用いてベッド上に被験者が在床しているか否かを検出することを特徴とするベッドの在床検出方法。
【0037】
[29] 前項1〜23のいずれか1項記載のベッドの荷重検出器と、
前記荷重検出器の歪み検出センサからの出力信号に基づいて、ベッド上に被験者が在床しているか否かを演算する演算手段と、
前記演算手段の演算結果を表示する表示手段と、
前記演算手段の演算結果に基づいて警報を発する警報手段と、
前記演算手段の演算結果を送信する通信手段と、
を備えていることを特徴とするベッドの在床監視システム。
【発明の効果】
【0038】
本発明は以下の効果を奏する。
【0039】
[1]の発明では、簡素な構成の荷重検出器となり得、もって荷重検出器の載置板部の高さを低く抑えることができる。
【0040】
[2]の発明では、載置板部の下側には基板部が存在しておらず、よって載置板部の高さを更に低く設定することができる。
【0041】
[3]の発明では、上記[2]の発明と同様に、載置板部の下側には基板部が存在しておらず、よって載置板部の高さを更に低く設定することができる。
【0042】
さらに、基板部の両側辺部の一端部同士と他端部同士とがそれぞれ一対の連結辺部によって相互に連結されているから、基板部の安定性が高く、そのため、載置板部が正確に下降変位するものとなる。これにより、荷重を正確に検出することができる。
【0043】
[4]の発明では、ベッドの脚部としてのキャスタをベッド設置面上から載置板部上に載置する際に、該キャスタを他方の連結辺部のスロープ面上を通過させることにより、キャスタを載置板部上に容易に載置することができる。
【0044】
[5]の発明では、ベッドの脚部の載置板部上からの落下を防止することができる。
【0045】
[6]の発明では、ベッドの脚部の載置板部上からの落下を確実に防止することができる。
【0046】
[7]の発明では、ベッドの脚部の載置板部上からの落下を確実に防止することができる。
【0047】
[8]の発明では、ベッドの脚部としてのキャスタを載置板部上の正規の荷重検出位置に確実に載置できる。さらに、載置板部上に載置されたキャスタについて、載置板部の先端縁部からの不慮の落下をこの凸条部により防止できる。
【0048】
[9]の発明では、ベッドの脚部としてのキャスタの載置板部上からの落下を確実に防止することができる。さらに、キャスタを載置板部上の正規の荷重検出位置に確実に載置できる。さらに、載置板部上に載置されたキャスタについて、載置板部の先端縁部からの不慮の落下をこの凸条部により防止できる。
【0049】
さらに、凸条部の前面が、キャスタの走行方向においてスロープ面の勾配よりも大きな上り勾配の斜面に形成されているので、キャスタがスロープ面上から凸条部を乗り越えたか否かについて、すなわちキャスタが載置板部上の正規の荷重検出位置に載置されているか否かについて、ベッド移動作業者はベッドを押すのときの力の大きさに基づいて容易に判断することができる。
【0050】
[10]の発明では、載置板部の両側縁部に、一対のキャスタ落下防止壁部が設けられているから、ベッドの脚部としてのキャスタをベッド設置面上から載置板部上に載置する際に、キャスタの載置板部上からの落下を防止できる。
【0051】
さらに、両キャスタ落下防止壁部は、キャスタの走行方向とは反対方向において両者の間隔が広くなる状態に設けられている。したがって、キャスタを載置板部上に載置する際に、キャスタを載置板部上における両キャスタ落下防止壁部の間に容易に入れることができ、もって、キャスタの載置作業を容易に行うことができる。
【0052】
さらに、載置板部の基端縁部に、載置板部上の正規の荷重検出位置に到達したキャスタの走行を止めるストッパ壁部が設けられているので、キャスタを載置板部上の正規の荷重検出位置に確実に載置できる。
【0053】
[11]の発明では、キャスタをベッド設置面上から載置板部上に載置する際に、該キャスタを他方の連結辺部のスロープ面上を走行(通過)させることにより、キャスタを載置板部上に容易に載置することができる。
【0054】
[12]の発明では、キャスタを載置板部上の正規の荷重検出位置に確実に載置できる。さらに、載置板部上に載置されたキャスタについて、載置板部の先端縁部からの不慮の落下をこの凸条部により防止できる。
【0055】
[13]の発明では、キャスタを載置板部上の正規の荷重検出位置に確実に載置できる。さらに、載置板部上に載置されたキャスタについて、載置板部の先端縁部からの不慮の落下をこの凸条部により防止できる。
【0056】
さらに、凸条部の前面が、キャスタの走行方向においてスロープ面の勾配よりも大きな上り勾配の斜面に形成されている。したがって、キャスタが凸条部を乗り越えたか否かについて、すなわちキャスタが載置板部上の正規の荷重検出位置に載置されているか否かについて、ベッド移動作業者はベッドを押すのときの力の大きさに基づいて容易に判断することができる。
【0057】
[14]の発明では、ベッドの脚部の、載置板部の先端縁部からの落下を防止することができる。
【0058】
[15]の発明では、載置板部の先端縁部のベッド設置面からの距離を長くすることができる。そのため、載置板部が下降することによる該載置板部の先端縁部のベッド設置面への当接をできる限り防止することができる。
【0059】
[16]の発明では、荷重検出器がベッド設置面上に載置された状態のもとで、載置板部上にベッドの脚部が載置されていない場合には、荷重検出器の接床面が滑り止め部材により支持されて接床面がベッド設置面に対して上方に離間するように構成されている。したがって、載置板部上にベッドの脚部を載置する際に、ベッド設置面上における荷重検出器の滑りを滑り止め部材によって防止できる。
【0060】
さらに、載置板部上にベッドの脚部が載置された場合には、ベッドの脚部からの荷重により滑り止め部材が凹部の天面とベッド設置面との間で圧縮されて接床面がベッド設置面に当接するように構成されている。したがって、滑り止め部材の影響による荷重の検出精度の低下を防止できる。さらに、滑り止め部材をベッド設置面に押し付ける力が軽減されるので、もし仮に滑り止め部材がゴム製である場合であっても、滑り止め部材のベッド設置面への貼り付きを抑制することができる。
【0061】
[17]の発明では、載置板部上の正規の荷重検出位置にベッドの脚部を載置した状態において、荷重検出器の安定性が向上する。
【0062】
[18]の発明では、滑り止め部材が圧縮された場合に、該滑り止め部材が凹部内に確実に収容されるようになる。その結果、載置板部上にベッドの脚部が載置された場合において、荷重検出器の接床面をベッド設置面に確実に当接させることができる。
【0063】
[19]の発明では、ゴム製の滑り止め部材は一般に安価に入手可能なので、ゴム製の滑り止め部材を用いることにより、荷重検出器の製造コストを引き下げることができる。
【0064】
[20]の発明では、片持ち梁部の歪みを確実に検出することができる。
【0065】
[21]の発明では、片持ち梁部の歪みを精度良く検出することができる。
【0066】
[22]の発明では、基板部、片持ち梁部及び載置板部のうち少なくとも一つをコスト的に有利に製作することができる。
【0067】
[23]の発明では、基板部、片持ち梁部及び載置板部のうち少なくとも二つをコスト的に有利に製作することができるし、当該少なくとも二つの間の連結強度を向上させることができる。
【0068】
[24]の発明では、上記[1]〜[23]のいずれかの発明の効果を奏する上、更に、ベッド上に被験者が在床しているか否かを確実に検出することができる。
【0069】
[25]の発明では、演算手段の演算結果を確実に表示することができる。
【0070】
[26]の発明では、演算手段の演算結果が設定範囲外になった場合に看護師、介護者、監視者等に警報で知らせることができる。
【0071】
[27]の発明では、ベッド上に被験者が在床しているか否かについて遠隔地で検出することができる。
【0072】
[28]の発明では、上記[1]〜[23]のいずれかの発明の効果を奏する上、更に、ベッド上に被験者が在床しているか否かを確実に検出することができる。
【0073】
[29]の発明では、上記[1]〜[23]のいずれかの発明の効果を奏する上、更に、ベッド上に被験者が在床しているか否かについて確実に監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1実施形態に係るベッドの荷重検出器及び在床検出装置を使用状態で示す概略斜視図である。
【図2】図1中のA部分の拡大図である。
【図3】同荷重検出器の斜視図である。
【図4】同荷重検出器の平面図である。
【図5】図4中のX−X線断面図である。
【図6】同荷重検出器の分解斜視図である。
【図7】(A)は同荷重検出器の片持ち梁部の側面図、(B)は片持ち梁部の下面図である。
【図8】同荷重検出器のブリッジ回路を示す図である。
【図9】同在床検出装置のブロック図である。
【図10】同在床検出装置の在床検出処理を示すフローチャート図である。
【図11】同在床検出装置において在床判断の基準設定値と離床判断の基準設定値とを説明するための、時間と荷重の合計値との関係を示す図(グラフ)である。
【図12】本発明の第2実施形態に係るベッドの荷重検出器の斜視図である。
【図13】同荷重検出器の平面図である。
【図14】図13中のX−X線断面図である。
【図15】同荷重検出器の分解斜視図である。
【図16】本発明の第3実施形態に係るベッドの荷重検出器の斜視図である。
【図17】同荷重検出器の平面図である。
【図18】同荷重検出器の底面図である。
【図19】図17中のX−X線断面図である。
【図20】図19中のZ部分の拡大図である。
【図21】同荷重検出器の斜視図である。
【図22】ベッドのキャスタを荷重検出器の載置板部上に載置する前の状態の一部切欠き側面図である。
【図23】図22中のY部分の拡大図である。
【図24】ベッドのキャスタを荷重検出器の載置板部上に載置した状態の一部切欠き側面図である。
【図25】図24中のY部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
次に、本発明の幾つかの実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0076】
図1において、(1)は本発明の第1実施形態に係るベッドの荷重検出器、(20)は本発明の一実施形態に係るベッドの在床検出装置である。また、(50)はベッドである。
【0077】
ベッド(50)は、医療施設(例:病院)、高齢者施設、介護施設、一般家庭等で使用されるものであり、平面視四角形状に形成されている。このベッド(50)は複数個の脚部を有しており、具体的には、被験者(図示せず)の左頭部側の脚部と、右頭部側の脚部と、左脚部側の脚部と、右脚部側の脚部との合計4個の脚部を有している。本実施形態では、ベッド(50)の各脚部は、ベッド(50)の移動時にベッド設置面(55)上を走行する回転自在なベッド移動用キャスタ(51)から形成されている。
【0078】
このベッド(50)上には、被験者として、健康人、病人、乳幼児、高齢者、被介護者等が睡眠や休息等のために横臥姿勢等で在床する。
【0079】
なお本発明において、ベッド(50)としては、睡眠用や休息用ベッドに限定されず、その他に、例えば、診察台、検査台、ストレッチャー、ソファーであっても良い。
【0080】
ベッドの在床検出装置(20)は、ベッド(50)上に被験者が在床しているか否かを検出するためのものである。
【0081】
而して、本実施形態のベッドの荷重検出器(1)は、上記在床検出装置(20)に使用されるものであり、詳述すると、ベッド設置面(55)上においてベッド(50)の複数個の脚部としての4個のキャスタ(51)(51)(51)(51)の下にそれぞれ敷かれて使用されるものであり、すなわち、ベッド設置面(55)とベッド(50)の各キャスタ(51)との間に介在されて使用されるものである。なお、ベッド設置面(55)は、病室、診察室、検査室、寝室等の床面等からなる。
【0082】
ここで説明の便宜上、本実施形態では、荷重検出器(1)がベッド設置面(55)上に載置されて使用される状態において、ベッド(50)の長さ方向に沿う方向を、荷重検出器(1)やその構成部材の長さ方向といい、ベッド(50)の幅方向に沿う方向を、荷重検出器(1)やその構成部材の幅方向という。なお本発明では、最大2000N(200kgf)の荷重が1個の荷重検出器(1)に掛かることを想定している。また、図3及び図4には、この荷重検出器(1)の前後方向が矢印で示されている。
【0083】
荷重検出器(1)は、図1〜図7に示すように、基板部(2)と、片持ち梁部(7)と、載置板部(13)と、歪み検出センサとしての歪みゲージ(R1)(R2)(R3)(R4)とを備えている。
【0084】
基板部(2)は、アルミニウム(その合金を含む。以下同じ。)の押出材で形成されたもので、ベッド設置面(55)上に載置されるものである。
【0085】
この基板部(2)は、図3、図4及び図6に示すように、互いに離間して対向配置された一対の側辺部(3)(3)と、該両側辺部(3)(3)間に互いに離間して対向配置され、両側辺部(3)(3)の一端部同士及び他端部同士をそれぞれ相互に連結した一対の連結辺部(4)(4)とを有して平面視略ロ字状(ロ字状)に形成されている。本実施形態では、両側辺部(3)(3)は、基板部(2)の幅方向(即ちベッド(50)の幅方向)に離間して対向配置されている。両連結辺部(4)(4)は、基板部(2)の長さ方向(即ちベッド(50)の長さ方向)に離間して対向配置されている。
【0086】
また、図5において、(6)は、荷重検出器(1)の基板部(2)のベッド設置面(55)との接床面である。この接床面(6)は基板部(2)の下面からなる。
【0087】
図5に示すように、基板部(2)の連結辺部(4)の厚さaは、ベッド(50)のキャスタ(51)を載置した場合に基板部(2)が変形しないように断面係数等を考慮して決定されるものであり、またベッド(50)のキャスタ(51)以外の部位に干渉しないような高さであることが望ましく、例えば70mm以下(特に望ましくは40mm以下)に設定されるのが望ましい。ただし、本発明では、aはこの範囲であることに限定されるものではない。
【0088】
片持ち梁部(7)は、アルミニウムの押出材で形成されたもので、所定の長さを有する真直なものであり、弾性的に屈曲可能な起歪体として機能するものである。この片持ち梁部(7)は、基板部(2)に、ベッド設置面(55)に対して上方に僅かに離間し且つ両側辺部(3)(3)間において長さ方向に延びた状態で、略水平に片持ち梁状に支持されている。詳述すると、この片持ち梁部(7)の基端部(即ち固定端部)(7a)は基板部(2)の両連結辺部(4)(4)のうちいずれか一方の連結辺部(4)上に載置されるとともに、この載置状態で片持ち梁部(7)の基端部(7a)が連結辺部(4)に複数個(本実施形態では5個)の片持ち梁部固定用ボルト(17)(又はねじ)で固定されている。さらに、この固定状態において、片持ち梁部(7)は、両側辺部(3)(3)間において水平に配置されて連結辺部(4)に支持されている。
【0089】
なお図6において、(8)は、片持ち梁部(7)の基端部(7a)に設けられ、片持ち梁部固定用ボルト(17)(又はねじ)に対応するボルト挿通孔(又はねじ挿通孔)である。また、(5)は、連結辺部(4)に設けられ、片持ち梁部固定用ボルト(17)(又はねじ)に対応するボルト挿通孔(又はねじ挿通孔)である。(19)は、片持ち梁部固定用ボルト(17)に対応するねじ孔(19a)を有するねじ孔板である。このねじ孔板(19)は、図5に示すように連結辺部(4)の下面に設けられた凹部内に配置されている。
【0090】
なお本発明では、片持ち梁部(7)の基板部(2)への固定手段は、ボルト(17)であることに限定されるものではなく、その他に、例えば、ねじ、リベット、溶接、摩擦撹拌接合、ろう付等であっても良い。
【0091】
載置板部(13)は、アルミニウムの押出材で形成されたもので、該載置板部(13)の上面(13a)にベッド(50)の脚部としてのキャスタ(51)が載置されるものである。この載置板部(13)は、片持ち梁部(7)の先端部(即ち自由端部)(7b)に略水平状に取り付けられている。詳述すると、この載置板部(13)の基端縁部には、キャスタ(51)(即ちベッドの脚部)の載置板部(13)上からの落下を防止するキャスタ落下防止手段(即ち脚部落下防止手段)として、載置板部(13)の上面(13a)に対して立ち上がり状のキャスタ落下防止壁部(14A)(即ち脚部落下防止壁部)が固定状態に設けられている。このキャスタ落下防止壁部(14A)は、ベッド設置面(55)上から載置板部(13)上の正規の荷重検出位置に到達したキャスタ(51)の走行を止めるストッパ壁部としての機能も有している。したがって、このキャスタ落下防止壁部(14A)はストッパ壁部として捉えることもできる。
【0092】
また、載置板部(13)の左右両側縁部には、キャスタ落下防止手段(即ち脚部落下防止手段)として、載置板部(13)の上面(13a)に対して立ち上がり状の左右一対のキャスタ落下防止壁部(14B)(14B)(即ち脚部落下防止壁部)が固定状態に設けられている。本第1実施形態では、両キャスタ落下防止壁部(14B)(14B)は互いに平行に配置されている。一方、この載置板部(13)の先端縁部にはこのようなキャスタ落下防止壁部は設けられていない。
【0093】
なお図3及び図4において、(C)は、キャスタ(51)をベッド設置面(55)上から載置板部(13)上に載置する際のキャスタ(51)の走行方向である。
【0094】
そして、この載置板部(13)では、図5に示すように、片持ち梁部(7)の先端部(7b)の鉛直面からなる先端面に、この載置板部(13)の基端縁部のキャスタ落下防止壁部(14A)が、載置板部(13)の下面(13b)が片持ち梁部(7)の下面よりも若干下側に位置した状態で重ね合わされている。そして、この重合せ状態で片持ち梁部(7)の先端面に該キャスタ落下防止壁部(14A)が複数個(本実施形態では4個)の載置板部固定用ねじ(18)で固定されることにより、片持ち梁部(7)の先端部(7b)に載置板部(13)が、基板部(2)の両側辺部(3)(3)と両連結辺部(4)(4)との間においてベッド設置面(55)に対して上方に僅かに離間した状態で略水平状に取り付けられている。
【0095】
以上により、載置板部(13)が基板部(2)の両側辺部(3)(3)と両連結辺部(4)(4)との間で下降変位可能になるように、片持ち梁部(7)が連結辺部(4)に支持されている。
【0096】
なお、図6において(15)は、載置板部(13)の基端縁部のキャスタ落下防止壁部(14A)に設けられ、載置板部固定用ねじ(18)に対応するねじ挿通孔である。また、(9)は、片持ち梁部(7)の先端部(7b)の先端面に設けられ、載置板部固定用ねじ(18)に対応するねじ孔である。
【0097】
なお本発明では、載置板部(13)の片持ち梁部(7)への取付け手段は、ねじ(18)であることに限定されるものではなく、その他に、例えば、ボルト、リベット、溶接、摩擦撹拌接合、ろう付等であっても良い。
【0098】
さらに、図5に示すように、この載置板部(13)の上面(13a)全体は、該載置板部(13)の先端縁部から基端側へ進む方向において、即ち、キャスタ(51)をベッド設置面(55)上から載置板部(13)上に載置する際のキャスタ(51)の走行方向(C)において、僅かに下り勾配の斜面に形成されている。また、この載置板部(13)の下面(13b)全体は、該載置板部(13)の先端縁部から基端側へ進む方向において僅かに下り勾配の斜面に形成されている。したがって、基板部(2)をベッド設置面(55)上に載置した状態において、載置板部(13)の下面(13a)の先端縁部のベッド設置面(55)からの距離bは、載置板部(13)の下面(13b)が斜面に形成されていない場合、即ち載置板部(13)の下面(13b)が水平である場合に比べて、長くなっている。この距離bは1〜10mm以下(特に好ましくは1〜5mm以下)に設定されるのが望ましい。ただし本発明では、この距離bがこのような範囲であることに限定されるものではない。また、載置板部(13)の下面(13b)の基端縁部のベッド設置面(55)からの距離cは1〜9mm(特に好ましくは1〜4mm)の範囲に設定されるのが望ましい。ただし本発明では、この距離cがこのような範囲であることに限定されるものではない。こうすることにより、キャスタ(51)の載置板部(13)上からの落下防止を図ることができる。
【0099】
載置板部(13)の上面(13a)の水平面(ベッド設置面(55))に対する傾斜角(即ち勾配)は、0.1〜2°(特に好ましくは0.5〜1°)の範囲に設定されていることが望ましい。また、載置板部(13)の下面(13a)の水平面(ベッド設置面(55))に対する傾斜角(即ち勾配)は、0.1〜2°(特に好ましくは0.5〜1°)の範囲に設定されていることが望ましい。ただし本発明では、これらの傾斜角がこのような範囲であることに限定されるものではない。
【0100】
なお本発明では、載置板部(13)の上面(13a)全体ではなく、例えば該上面(13)の先端部だけが斜面に形成されていても良い。また、載置板部(13)の下面(13b)全体ではなく、例えば該下面(13b)の先端部だけが斜面に形成されていても良い。
【0101】
また、載置板部(13)の肉厚は3〜20mm以下(特に好ましくは3〜10mm以下)に設定されるのが望ましい。ただし本発明では、載置板部(13)の肉厚がこのような範囲であることに限定されるものではない。
【0102】
また、載置板部(13)の先端縁部は、基板部(2)の両連結辺部(4)(4)のうち他方の連結辺部(4)の内側縁部の近傍に位置している。
【0103】
なお本発明では、載置板部(13)の上面(13a)の一部又は全体に、キャスタ(51)が滑らないようにエンボス加工が施されていても良い。
【0104】
一方、基板部(2)の当該他方の連結辺部(4)には、ベッド(50)のキャスタ(51)を載置板部(13)上へ案内するスロープ面(4a)が形成されており、つまり、当該他方の連結辺部(4)の上面が載置板部(13)側に進む方向において上り勾配のスロープ面(4a)に形成されている。キャスタ(51)はこのスロープ面(4a)上を通過(走行)して載置板部(13)上へ載置される。スロープ面(4a)のベッド設置面(55)に対する勾配は、例えば2〜10°(特に好ましくは2〜6°)の範囲であることが望ましい。ただし本発明では、勾配がこの範囲であることに限定されるものではない。
【0105】
歪み検出センサとしての4個の歪みゲージ(R1)(R2)(R3)(R4)は、片持ち梁部(7)に装着されており、ベッド(50)上に被験者が在床することにより生じる片持ち梁部(7)の歪みを検出し、これにより、被験者が在床している状態のベッド(50)の荷重や被験者が在床していない状態のベッド(50)の荷重の検出に用いられる電気的な信号を出力するものである。なお、この出力信号は、後述する演算手段(21)において、ベッド上(50)上に被験者が在床しているか否かについての検出に用いられる。
【0106】
一方、図7に示すように、片持ち梁部(7)には断面略メガネ状の中空孔(10)が幅方向に貫通して設けられている。そして、この片持ち梁部(7)の下面における、中空孔(10)の2個の大径孔部(10a)(10a)のうち片持ち梁部先端(自由端)側の大径孔部(10a)の下側の位置に、4個の歪みゲージ(R1)(R2)(R3)(R4)のうち2個の歪みゲージ(R1)(R3)が引張り側歪みゲージとして幅方向に並んで接着剤にて貼り付けられて装着されている。一方、この片持ち梁部(7)の下面における、中空孔(10)の片持ち梁部基端(固定端)側の大径孔部(10a)の下側の位置に、残りの2個の歪みゲージ(R2)(R4)が圧縮側歪みゲージとして幅方向に並んで接着剤にて貼り付けられて装着されている。
【0107】
そして、これら4個の歪みゲージ(R1)(R2)(R3)(R4)は、図8に示すように電気的に接続されてホイートストンブリッジ回路(16)が形成されている。本実施形態では、このブリッジ回路(16)からの電気的な出力信号としての出力電圧が、ベッド(50)上に被験者が在床しているか否かについての検出に用いられる。
【0108】
また、本実施形態では、載置板部(13)上のどの部分にキャスタ(51)を載置しても正確に歪みを検出することができる。
【0109】
而して、本実施形態のベッドの在床検出装置(20)は、図1に示すように、上記4個の荷重検出器(1)(1)(1)(1)と、演算手段(21)と、表示手段(25)と、警報手段(26)と、通信手段(27)とを備えている。
【0110】
演算手段(21)は、荷重検出器(1)の歪み検出センサからの出力信号に基づいて、ベッド(50)上に被験者が在床しているか否かを演算するものであり、CPU、ROM、RAMその他のメモリー等を有するコンピュータからなる。本実施形態では、荷重検出器(1)の歪み検出センサからの出力信号として、ブリッジ回路(16)からの出力電圧が用いられる。
【0111】
表示手段(25)は、演算手段(21)の演算結果を表示するものであり、CRT、液晶ディスプレイ等を有している。
【0112】
警報手段(26)は、演算手段(21)の演算結果に基づいて警報を発するものであり、スピーカ、ランプ等を有している。
【0113】
通信手段(27)は、演算手段(21)の演算結果を送信するものである。
【0114】
演算手段(21)では、図9に示すように、各荷重検出器(1)のブリッジ回路(16)(16)(16)(16)からの出力信号としての出力電圧が増幅部(22)において増幅されたのち、A/D変換部(アナログ/デジタル変換部)(23)においてデジタル信号に変換される。そして、この信号がコンピュータ等の中央演算処理部(24)に送信される。中央演算処理部(24)では、この送信されたデジタル信号に基づいて所定のプログラムに従ってベッド(50)上に被験者が在床しているか否かを演算する。
【0115】
なお本発明では、演算手段(21)の中央演算処理部(24)では、更に、ベッド(50)上における被験者の重心位置(即ち被験者の在床位置)を演算したり、被験者のベッド(50)からの落下について事前に予知することを演算したりしても良い。
【0116】
表示手段(25)では、演算手段(21)による演算結果として、ベッド(50)上に被験者が在床しているか否かに関する情報が、所定のモニタテレビ等のディスプレイにリアルタイムに表示される。
【0117】
通信手段(27)では、演算手段(21)による演算結果として、ベッド(50)上に被験者が在床しているか否かに関する情報が、電話回線網、インターネット、有線LAN、無線LAN等の所定の有線通信網又は無線通信網を介して遠隔地として看護センタ等の監視室や携帯電話(PHSを含む。)へ送信される。
【0118】
警報手段(26)では、演算手段(21)による演算結果として、ベッド(50)上に被験者が在床しているか否かに関する情報が設定範囲外になった場合、例えばベッド(50)上に在床していた被験者が離床した場合に、警報が看護師、介護者、監視者等に対して発せられる。
【0119】
次に、上記荷重検出器(1)及び上記在床検出装置(20)を用いて遂行されるベッドの在床検出方法について、以下に説明する。
【0120】
まず図1に示すように、ベッド設置面(55)上における、ベッド(50)の4個のキャスタ(51)(51)(51)(51)に対応する位置に、それぞれ、荷重検出器(1)を載置する。次いで、ベッド(50)の各キャスタ(51)を、ベッド設置面(55)上から対応する荷重検出器(1)の載置板部(13)上に載置する。この際に、キャスタ(51)を、荷重検出器(1)の基板部(2)の連結辺部(4)のスロープ面(4a)上を通過(走行)させることにより、該キャスタ(51)を載置板部(13)上に容易に載置することができる。
【0121】
次いで、ベッド(50)上に被験者が在床して横臥姿勢等になる。こうしてベッド(50)上に被験者が在床することにより、各荷重検出器(1)の載置板部(13)が、対応するキャスタ(51)を介してベッド(50)の荷重を受けて基板部(2)の両側辺部(3)(3)と連結辺部(4)(4)との間で下降変位するとともに、これに伴い片持ち梁部(7)が下方へ弾性的に僅かに屈曲して歪む。この歪みが、歪み検出センサとしての4個の歪みゲージ(R1)(R2)(R3)(R4)が組み込まれて形成されたブリッジ回路(16)により検出される。そして、各ブリッジ回路(16)からの電気的な出力信号としての出力電圧が、信号線(28)を介して演算手段(21)に送信される。この送信された出力電圧に基づいて演算手段(21)によりベッド(50)上に被験者が在床しているか否かが演算される。
【0122】
演算手段(21)の演算結果、即ちベッド(50)上に被験者が在床しているか否かの情報は、表示手段(25)により表示されるとともに、通信手段(27)により所定の遠隔地や携帯電話へ送信される。また、ベッド(50)上に在床していた被験者が離床した場合には、警報手段(26)により警報が発せられる。
【0123】
次に、演算手段(21)の中央演算処理部(24)で実行される処理について、図10を参照して以下に説明する。
【0124】
ステップS1では、運転開始直後において、4個の荷重検出器(1)(1)(1)(1)のブリッジ回路(16)(16)(16)(16)からの出力電圧が正常か否かについて判定が行われる。正常と判定された場合には、「Yes」としてステップS3へ進む。一方、異常と判定された場合には、「No」としてステップS2へ進み、異常発生警報が警報手段(26)により発せられる。
【0125】
ステップS3では、各ブリッジ回路(16)(16)(16)(16)からの出力電圧に基づいて荷重の合計値Wを計算する。次いで、ステップS4へ進む。なお、荷重の合計値Wは、次式(i)で導出される。
【0126】
W=W1+W2+W3+W4 …(i)
上記式(i)において、W1〜W4は、それぞれ各ブリッジ回路(16)(16)(16)(16)からの出力電圧に対応する荷重であり、それぞれ次式で導出される。すなわち、W1=A1×V1+B1、W2=A2×V2+B2、W3=A3×V3+B3、W4=A4×V4+B4である。なお、V1〜V4はそれぞれ各ブリッジ回路(16)(16)(16)(16)からの出力電圧である。また、A1〜A4及びB1〜B4は、それぞれ予め決定された値である。
【0127】
ステップS4では、ベッド(50)上に被験者が在床していない状態で風袋処理が行われ、被験者のみの荷重(体重)が計測される。次いで、ステップS5へ進む。
【0128】
ステップS5では、荷重の合計値Wが、ベッド(50)上に被験者が在床していると判断する基準の設定値WU(これを「在床判断の基準設定値WU」という。)以上であるか否かについて判定が行われる。つまり、図11に示すように、荷重の合計値Wが在床判断の基準設定値WU以上(即ちW≧WU)であると判定された場合には、「Yes」としてS7へ進み、在床中として判断されて表示手段(25)により所定の在床情報が表示される。一方、荷重の合計値Wが在床判断の基準設定値WU未満(即ちW<WU)であると判定された場合には、「No」としてステップS6に進み、不在中として判断されてステップS4に戻る。なお、在床判断の基準設定値WUは、演算手段(21)に備えられた記憶部(図示せず)に予め設定記憶されている。
【0129】
ステップS8では、荷重の合計値Wが、ベッド(50)上に在床している被験者がベッド(50)から離床したと判断する基準の設定値WD(これを「離床判断の基準設定値WD」という。)以下か否かについて判定が行われる。つまり、図11に示すように、荷重の合計値Wが離床判断の基準設定値WD以下(即ちW≦WD)であると判定された場合には、「Yes」としてステップS9へ進み、離床と判断されてステップS4へ戻るとともに、ステップS10へ進み、該ステップS10で警報手段(26)により離床警報が発せられる。この警報をもとに被験者の起床や被験者のベッド(50)からの不慮の落下を知ることができる。一方、荷重の合計値Wが離床判断の基準設定値WDを超えている(即ちW>WD)と判定された場合には、「No」としてステップS7へ戻る。なお、離床判断の基準設定値WDは、演算手段(21)に備えられた記憶部に予め設定記憶されている。
【0130】
而して、本第1実施形態のベッドの荷重検出器(1)は、次の利点がある。
【0131】
すなわち、この荷重検出器(1)は、基板部(2)に水平に支持された片持ち梁部(7)の先端部(7b)に載置板部(13)が設けられるとともに、片持ち梁部(7)に歪み検出センサとしての歪みゲージ(R1〜R4)が装着されたものなので、荷重検出器(1)の構造の簡素化を図ることができ、もって荷重検出器(1)の載置板部(13)のベッド設置面(55)からの高さを低く抑えることができる。したがって、この荷重検出器(1)の載置板部(13)上にベッド(50)のキャスタ(51)を載置した場合において、該ベッド(50)の低床化を図ることができ、そのため、ベッド(50)のキャスタ(51)を荷重検出器(1)の載置板部(13)上に容易に載置することができるし、更に載置板部(13)上からキャスタ(51)を容易に降ろしたりことができる。
【0132】
また、荷重検出器(1)の載置板部(13)は、平面視で基板部(2)の両側辺部(3)(3)と両連結辺部(4)(4)との間に配置されるとともに、両側辺部(3)(3)と両連結辺部(4)(4)との間で下降変位可能であることから、載置板部(13)の下側には基板部(2)が存在しておらず、よって載置板部(13)の高さを更に低く設定することができる。
【0133】
さらに、基板部(2)の両側辺部(3)(3)の一端部同士と他端部同士とがそれぞれ一対の連結辺部(4)(4)によって相互に連結されているから、基板部(2)の安定性が高い。そのため、載置板部(13)が正確に下降変位するものとなる。
【0134】
また、基板部(2)の両連結辺部(4)(4)のうち所定の連結辺部(4)に、キャスタ(51)を載置板部(13)上へ案内するスロープ面(4a)が形成されているので、キャスタ(51)を載置板部(13)上に載置する際に、該キャスタ(51)を連結辺部(4)のスロープ面(4a)上を通過させることにより、キャスタ(51)を載置板部(13)上に容易に載置することができる。また、キャスタ(51)を載置板部(13)から降ろす際にも、該キャスタ(51)を連結辺部(4)のスロープ面(4a)上を通過させることにより、キャスタ(51)を載置板部(13)から容易に降ろすことができる。
【0135】
また、載置板部(13)の基端縁部と両側縁部とに、それぞれ、キャスタ落下防止手段として、キャスタ落下防止壁部(14A)(14B)(14B)が設けられているので、キャスタ(51)の載置板部(13)上からの落下を確実に防止することができる。
【0136】
また、載置板部(13)の上面(13a)が、該載置板部(13)の先端縁部から基端側へ進む方向において下り勾配の斜面に形成されていることから、載置板部(13)上に載置されたキャスタ(51)は、自ら載置板部(13)の基端側へ移動するようになるため、キャスタ(51)の、載置板部(13)の先端縁部からの落下を防止することができる。
【0137】
また、載置板部(13)の下面(13b)が、該載置板部(13)の先端縁部から基端側へ進む方向において下り勾配の斜面に形成されていることから、載置板部(13)の先端縁部のベッド設置面(55)からの距離bを長くすることができる。そのため、載置板部(13)が下降することによる該載置板部(13)の先端縁部のベッド設置面(55)への当接をできる限り防止することができる。
【0138】
また、歪み検出センサとして歪みゲージ(R1)(R2)(R3)(R4)が片持ち梁部(7)の所定位置に装着されているので、片持ち梁部(7)の歪みを確実に検出することができる。
【0139】
また、4個の歪みゲージ(R1)(R2)(R3)(R4)が組み込まれたブリッジ回路(16)からの出力電圧が、ベッド(50)の荷重の検出に用いられているので、片持ち梁部(7)の歪みを精度良く検出することができる。
【0140】
また、基板部(2)、片持ち梁部(7)及び載置板部(13)のいずれもが押出材で形成されているので、これらをコスト的に有利に製作することができる。
【0141】
本実施形態のベッドの在床検出装置(20)は、次の利点がある。
【0142】
すなわち、在床検出装置(20)は、上記荷重検出器(1)を備えているので、該荷重検出器(1)による上記利点を有する上、更に、演算装置(21)と表示装置(25)と警報装置(26)と通信装置(27)とを備えているので、ベッド(50)上に被験者が在床しているか否かを確実に検出することができるし、演算手段(21)の演算結果を確実に表示することができるし、演算手段(21)の演算結果が設定範囲外になった場合、例えば、被験者が離床したり被験者がベッド(50)上から不慮に落下した場合に、看護師、介護者、監視者等に警報で知らせることができるし、ベッド(50)上に被験者が在床しているか否かについて遠隔地で検出することができる。
【0143】
また、本発明の第1実施形態に係るベッドの在床検出システムは、上記在床検出装置(20)における荷重検出器(1)、演算手段(21)、表示手段(25)、警報手段(26)及び通信手段(27)を備えている。したがって、この監視システムによれば、在床検出装置(20)による上記利点を有する上、更に、ベッド(50)上に被験者が在床しているか否かを確実に遠隔地等で監視することができる。
【0144】
図12〜図15は、本発明の第2実施形態に係るベッドの荷重検出器を説明する図である。これらの図には、上記第1実施形態の荷重検出器(1)の要素と同一の要素には同一の符号が付されている。
【0145】
この荷重検出器(1)では、片持ち梁部(7)と載置板部(13)とがアルミダイカストで一体形成されたものである。
【0146】
この荷重検出器(1)の他の構成は上記第1実施形態と同じである。
【0147】
この荷重検出器(1)によれば、片持ち梁部(7)と載置板部(13)とがアルミダイカストで一体形成されているから、片持ち梁部(7)と載置板部(13)とをコスト的に有利に製作することができるし、更に両者間の連結強度を大幅に向上させることができる。もとより、両者を連結するためのねじ等の連結部材を用いる必要がないという利点がある。
【0148】
図16〜図25は、本発明の第3実施形態に係るベッドの荷重検出器を説明する図である。これらの図には、上記第1実施形態の荷重検出器(1)の要素と同一の要素には同一の符号が付されている。
【0149】
この荷重検出器(1)では、片持ち梁部(7)と載置板部(13)とがアルミニウムダイカストで一体形成されている。また、載置板部(13)上に載置されるベッド(50)の脚部は、ベッド移動用キャスタ(51)からなる。
【0150】
図16において、(S)は、この荷重検出器(1)における、載置板部(13)の上面(13a)の正規の荷重検出位置(詳述すると正規の荷重検出領域)である。また、(C)は、第1実施形態で上述したように、キャスタ(51)をベッド設置面(55)上から載置板部(13)上に載置する際のキャスタ(51)の走行方向を示している(図22及び図24参照)。
【0151】
載置板部(13)の基端縁部には、ベッド設置面(55)上から載置板部(13)上の正規の荷重検出位置(S)に到達したキャスタ(51)の走行を止める、載置板部(13)の上面(13a)に対して立ち上がり状のストッパ壁部(14A)が一体形成されている。このストッパ壁部(14A)は、キャスタ(51)の載置板部(13)上からの落下を防止するキャスタ落下防止壁部(即ち脚部落下防止壁部)としての機能も有している。したがって、このストッパ壁部(14A)は、キャスタ落下防止壁部(脚部落下防止壁部)として捉えることもできる。このストッパ壁部(14a)の断面形状は、図19に示すように略円弧状である。
【0152】
また、載置板部(13)の両側縁部には、キャスタ落下防止手段(即ち脚部落下防止手段)として、載置板部(13)の上面(13a)に対して立ち上がり状の一対のキャスタ落下防止壁部(14B)(14B)(即ち脚部落下防止壁部)が一体形成されている。本第3実施形態では、図17に示すように、両キャスタ落下防止壁部(14B)(14B)は、キャスタ(51)の走行方向(C)とは反対方向において両者の間隔が漸次広くなる状態に、換言すると、キャスタ(51)の走行方向(C)において両者の間隔が漸次狭くなる状態に、載置板部(13)の両側縁部に一体形成されている。両キャスタ落下防止壁部(14B)(14B)の後端部の間隔は、例えば70〜100mmの範囲に設定されており、両キャスタ落下防止壁部(14B)(14B)の前端部の間隔は、例えば120〜200mmの範囲に設定されている。ただし本発明では、両キャスタ落下防止壁部(14B)(14B)の前端部の間隔及び後端部の間隔は上述の範囲であることに限定されるものではない。
【0153】
また、図16に示すように、載置板部(13)の上面(13a)の先端縁部には、キャスタ(51)が乗り越え可能な凸条部(31)が先端縁部に沿って一体に延設されている。凸条部(31)の断面形状は、図20に示すように山形状(三角形状)又は逆V字状である。そして、キャスタ(51)がこの凸条部(31)を乗り越えることにより、キャスタ(51)が載置板部(13)上の正規の荷重検出位置(S)に載置されるように構成されている。
【0154】
この凸条部(31)の、載置板部(13)の上面(13a)に対する突出高さは、例えば2〜6mmの範囲に設定されている。また、図20に示すように、この凸条部(31)の前面(31a)は、キャスタ(51)の走行方向(C)においてスロープ面(4a)よりも大きな上り勾配の斜面に形成されている。また、この凸条部(31)の前面(15a)のベッド設置面(55)に対する勾配は、10〜20°の範囲に設定されていることが望ましい。なお、スロープ面(4a)のベッド設置面(55)に対する勾配は、上述したように、例えば2〜10°(特に好ましくは2〜6°)の範囲であることが望ましい。さらに、スロープ面(4a)の上端部の高さ位置は、載置板部(13)の先端縁部の高さ位置と同じ又は略同じになるように設定されている。ただし本発明では、凸条部(31)の突出高さ及び凸条部(31)の前面(31a)の勾配は上記の範囲であることに限定されるものではない。
【0155】
この凸条部(31)は、更に、載置板部(13)の撓みを抑制するための梁の役割も果たしており、これにより、荷重の検出精度の向上を図ることができるし、更に、載置板部(13)の厚さを薄くすることが可能となり、もって荷重検出器(1)の軽量化を図り得る。
【0156】
また、基板部(2)の連結辺部(4)のスロープ面(4a)の両側縁部には、図16及び図17に示すように、キャスタ(51)をベッド設置面(55)上から載置板部(13)上に向かう方向に案内する、スロープ面(4a)に対して立ち上がり状の一対の案内壁部(32)(32)が設けられている。本第3実施形態では、両案内壁部(32)(32)は、キャスタ(51)の走行方向(C)において両者の間隔が漸次狭くなる状態に、換言すると、キャスタ(C)の走行方向(C)とは反対方向において両者の間隔が漸次広くなる状態に、スロープ面(4a)に一体形成されている。さらに、両案内壁部(32)(32)の後端部が両キャスタ落下防止壁部(14B)(14B)の前端部に対応する位置に配置されており、詳述すると、両案内壁部(32)(32)は、図17に示すように平面視において両キャスタ落下防止壁部(14B)(14B)に沿って前方へ延長した仮想線(詳述すると仮想直線)上に沿うように配置されている。
【0157】
歪み検出センサとしての4個の歪みゲージ(R1)(R2)(R3)(R4)は、片持ち梁部(7)の上面における、中空孔(10)の上側の位置に、接着剤にて貼り付けられて装着されている。これら4個の歪みゲージ(R1)(R2)(R3)(R4)は、図8に示すように電気的に接続されてホイートストンブリッジ回路(16)が形成されている。
【0158】
さらに、本第3実施形態の荷重検出器(1)は、制御部等を搭載した制御基板(35)を備えている。この制御基板(35)には、歪みゲージ(R1)(R2)(R3)(R4)が組み込まれたブリッジ回路(16)の入力信号線(詳述すると入力電圧線)及び出力信号線(詳述すると出力電圧線)(39)が電気的に接続されている。
【0159】
なお図21において、(33)及び(34)は、片持ち梁部固定用ボルト(17)と螺合したナット及びワッシャである。また、図18において(33a)は、基板部(2)の連結辺部(4)の下面に設けられた、ナット(33)を収容する窪み部である。また、(36)は、基板部(2)の下面に設けられた、荷重検出器(1)の軽量化を図るための凹所である。
【0160】
また、図18、図22及び図23に示すように、荷重検出器(1)の基板部(2)のベッド設置面(55)との接床面(6)における、載置板部(13)上の正規の荷重検出位置(S)の直下位置(S1)を包囲する3箇所には(図18参照)、それぞれ、底面視長円状の凹部(40)が設けられている。
【0161】
さらに、各凹部(40)内には、それぞれ、ゴムシート片からなる弾性を有する滑り止め部材(45)が、図23に示すように、接床面(6)よりも下側にはみ出した状態に配置されている。本第3実施形態では、滑り止め部材(45)は、凹部(40)の天面(40a)に接着剤等にて接着されて凹部(40)内に配置されている。この滑り止め部材(45)は、荷重検出器(1)がベッド設置面(55)上を不慮に滑るのを防止するためのものである。この滑り止め部材(45)は、天然ゴム、シリコーンゴム等のゴム製である。
【0162】
そして、この荷重検出器(1)は、図22及び図23に示すように、ベッド設置面(55)上に載置された状態のもとで、載置板部(13)上にベッドのキャスタ(51)が載置されていない場合には、接床面(6)が滑り止め部材(45)により支持されて該接床面(6)がベッド設置面(55)に対して上方に僅かに離間するように構成されている。この状態において、接床面(6)とベッド設置面(55)との間の隙間は、0.2〜2mmの範囲に設定されることが望ましい。ただし本発明では、この隙間が上記の範囲であることに限定されるものではない。
【0163】
さらに、この荷重検出器(1)は、図24及び図25に示すように、ベッド設置面(55)上に載置された状態のもとで、載置板部(13)上にベッドのキャスタ(51)が載置された場合には、ベッドのキャスタ(51)からの荷重により滑り止め部材(45)が凹部(40)の天面(40a)とベッド設置面(55)との間で圧縮されて接床面(6)がベッド設置面(55)に当接(詳述すると圧接)するように構成されている。
【0164】
滑り止め部材(45)の大きさは、例えば、長さ10〜40mm(詳述すると28mm等)、幅5〜30mm(詳述すると8mm等)、厚さ0.5〜6mm(詳述すると2mm等)の範囲に設定されることが望ましい。
【0165】
凹部(40)の大きさは、例えば、長さ12〜42mm(詳述すると30mm等)、幅7〜32mm(詳述すると10mm等)、深さ0.3〜4mm(詳述すると1.8mm等)の範囲に設定されることが望ましい。
【0166】
さらに、凹部(40)の大きさは、図25に示すように、滑り止め部材(45)が凹部(40)の天面(40a)とベッド設置面(55)との間で圧縮された状態において該滑り止め部材(45)全体を収容可能な大きさに設定されている。
【0167】
ただし本発明では、滑り止め部材(45)の大きさや凹部(40)の大きさは上記の範囲であることに限定されるものではない。
【0168】
なお本発明では、凹部(40)の個数は3個に限定されるものではない。例えば、接床面(6)における、載置板部(13)上の正規の荷重検出位置(S)の直下位置(S1)を包囲する4箇所や5箇所以上に、それぞれ凹部(40)が設けられるとともに、各凹部(40)内にそれぞれ滑り止め部材(6)が配置されていても良い。
【0169】
次に、本第3実施形態の荷重検出器(1)の使用方法について以下に説明する。
【0170】
まず、図22に示すように、ベッド設置面(55)上に、ベッドの脚部としてのキャスタ(51)のピッチに対応する間隔をおいて載置する。
【0171】
すると、図23に示すように、各荷重検出器(1)は、接床面(6)が3個の滑り止め部材(45)(45)(45)により支持されてベッド設置面(55)に対して上方に僅かに離間して配置される。したがって、この状態では、荷重検出器(1)は、3個の滑り止め部材(45)(45)(45)だけがベッド設置面(55)に当接しており、すなわち、3個の滑り止め部材(45)(45)(45)だけで荷重検出器(1)が支持されている。
【0172】
次いで、ベッド移動作業者(即ちベッド設置作業者)(図示せず)がベッドを押すことにより、ベッドの各キャスタ(51)を、ベッド設置面(55)上から対応する荷重検出器(1)の載置板部(13)上に向かってスロープ面(4a)上を走行させ、更に、凸条部(31)を乗り越えさせる。
【0173】
キャスタ(51)が凸条部(31)を乗り越えることにより、図24に示すように、キャスタ(51)が載置板部(13)上の正規の荷重検出位置(S)に載置されるとともに、更に、キャスタ(51)が凸条部(31)を乗り越えることにより生じた勢いと、載置板部(13)の上面(13a)が傾斜していることによる重力の作用とによって、キャスタ(51)が載置板部(13)上をストッパ壁部(14A)に向かって僅かに走行して該ストッパ壁部(14A)に衝合する。これにより、キャスタ(51)の走行が止められ、もってキャスタ(51)がストッパ壁部(14A)に当接(衝合)した状態で載置板部(13)上の正規の荷重検出位置(S)に載置される。
【0174】
この状態において、図25に示すように、荷重検出器(1)は、ベッドのキャスタ(51)からの荷重により滑り止め部材(45)が凹部(40)の天面(40a)とベッド設置面(55)との間で下方向に圧縮されてその厚さが薄くなる結果、接床面(6)がベッド設置面(55)に当接(詳述すると圧接)して配置される。このとき、滑り止め部材(45)全体は、上述したように、圧縮状態で凹部(40)内に収容されている。
【0175】
以上の手順により、ベッドのキャスタ(51)が荷重検出器(1)の載置板部(13)上に載置される。なお、ベッドのキャスタ(51)を荷重検出器(1)の載置板部(13)上からベッド設置面(55)上に降ろす作業は、上述した手順とは逆の手順により行われる。
【0176】
この荷重検出器(1)を用いたベッドの在床検出方法は、上記第1実施形態と同じであり、その説明を省略する。
【0177】
而して、第3実施形態の荷重検出器(1)は、上記第1実施形態の荷重検出器と同じ利点がある上、更に次の利点がある。
【0178】
この荷重検出器(1)は、載置板部(13)の両側縁部に、一対のキャスタ落下防止壁部(14B)(14B)が、キャスタ(51)の走行方向(C)とは反対方向において両者の間隔が広くなる状態に設けられている。したがって、キャスタ(51)をベッド設置面(55)上から載置板部(13)上に載置する際に、キャスタ(51)の載置板部(13)上からの落下を防止できる上、更に、キャスタ(51)を載置板部(13)上における両キャスタ落下防止壁部(14B)(14B)の間に容易に入れることができ、もって、キャスタ(51)の載置作業を容易に行うことができる。その上、キャスタ(51)の載置板部(13)上への載置操作の途中でもし仮にキャスタ(51)がキャスタ落下防止壁部(14B)に当接した場合であっても、ストッパ壁部(14A)に向かう方向にキャスタ(51)をキャスタ落下防止壁部(14B)に沿って案内することができる。
【0179】
さらに、載置板部(13)の基端縁部に、載置板部(13)上の正規の荷重検出位置(S)に到達したキャスタ(51)の走行を止めるストッパ壁部(14A)が設けられているので、キャスタ(51)を載置板部(13)上の正規の荷重検出位置(S)に確実に載置できる。したがって、キャスタ(51)が載置板部(13)上の正規の荷重検出位置(S)からずれた位置に載置されることによる荷重の検出精度の低下を防止できる。
【0180】
さらに、基板部(2)の連結辺部(4)のスロープ面(4a)の両側縁部に、一対の案内壁部(32)(32)が、キャスタ(51)の走行方向(C)において両者の間隔が狭くなる状態に設けられている。したがって、キャスタ(51)がスロープ面(4a)上を走行する際に、もし仮にキャスタ(51)が案内壁部(32)が当接した場合であっても、キャスタ(51)が案内壁部(32)によって載置板部(13)上に向かう方向に案内されるため、キャスタ(51)の載置作業を更に容易に行うことができる。
【0181】
さらに、載置板部(13)の上面の先端縁部に凸条部(31)が先端縁部に沿って設けられており、キャスタ(51)がこの凸条部(31)を乗り越えることによりキャスタ(51)が載置板部(13)上の正規の荷重検出位置(S)に載置されるように構成されている。したがって、キャスタ(51)を載置板部(13)上の正規の荷重検出位置(S)に確実に載置できる。さらに、載置板部(13)上に載置されたキャスタ(51)について、載置板部(13)の先端縁部からの不慮の落下をこの凸条部(31)によって防止できる。
【0182】
さらに、この凸条部(31)は、載置板部(13)の撓みを抑制するための梁の役割も果たしているので、検出精度の向上を図ることができるし、更に、載置板部(13)の厚さを薄くすることが可能となる。
【0183】
さらに、この凸条部(31)の前面(31a)は、キャスタ(51)の走行方向(C)においてスロープ面(4a)の勾配よりも大きな上り勾配の斜面に形成されている。したがって、キャスタ(51)がスロープ面(4a)上から凸条部(31)を乗り越えたか否かについて、すなわちキャスタ(51)が載置板部(13)上の正規の荷重検出位置(S)に載置されているか否かについて、ベッド移動作業者はベッドを押すときの力に大きさに基づいて容易に判断することができる。
【0184】
さらに、この荷重検出器(1)は、ベッド設置面(55)上に載置された状態のもとで、載置板部(13)上にベッドのキャスタ(51)が載置されていない場合には、接床面(6)が滑り止め部材(45)によって支持されて接床面(6)がベッド設置面(55)に対して上方に離間するように構成されている。したがって、ベッドのキャスタ(51)を載置板部(13)上に載置する際に、ベッド設置面(55)上における荷重検出器(1)の滑りを滑り防止部材(45)によって防止できる。そのため、キャスタ(51)の載置作業を更に容易に行うことができる。
【0185】
さらに、この荷重検出器(1)は、載置板部(13)上にベッドのキャスタ(51)が載置された場合には、ベッドのキャスタ(51)からの荷重により滑り止め部材(45)が凹部(40)の天面(40a)とベッド設置面(55)との間で圧縮されて接床面(6)がベッド設置面(55)に当接するように構成されている。したがって、滑り止め部材(45)の影響による荷重の検出精度の低下を防止できる。さらに、滑り止め部材(45)をベッド設置面(55)に押し付ける力が軽減されるので、もし仮に滑り止め部材(45)がゴム製である場合であっても、滑り止め部材(45)のベッド設置面(55)への貼り付きを抑制することができる。そのため、荷重検出器(1)が不要となった場合に、荷重検出器(1)をベッド設置面(55)上から容易に取り外すことができる。
【0186】
さらに、荷重検出器(1)の接床面(6)における、載置板部(13)上の正規の荷重検出位置(S)の直下位置を包囲する3箇所に、それぞれ凹部(40)が設けられるとともに、各凹部(40)内に滑り止め部材(45)が配置されている。したがって、載置板部(13)上の正規の荷重検出位置(S)にベッドのキャスタ(51)を載置した状態において、荷重検出器(1)の安定性が向上する。
【0187】
さらに、凹部(40)の大きさは、滑り止め部材(45)が凹部(40)の天面(40a)とベッド設置面(55)との間で圧縮された状態において滑り止め部材(45)全体を収容可能な大きさに設定されている。したがって、滑り止め部材(45)が圧縮された場合に、該滑り止め部材(45)が凹部(40)内に確実に収容されるようになる。その結果、載置板部(13)上にベッドのキャスタ(51)が載置された場合において、接床面(6)をベッド設置面(55)に確実に当接させることができる。
【0188】
さらに、滑り止め部材(6)はゴム製であるから安価に入手することができる。そのため、荷重検出器(1)の製造コストを引き下げることができる。
【0189】
以上で、本発明の幾つかの実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に示したものに限定されるものではなく、様々に設定変更可能である。
【0190】
例えば、上記実施形態では、荷重検出器(1)の基板部(2)は、平面視略ロ字状のものであるが、本発明では、基板部(2)は、互いに離間して対向配置された一対の側辺部(3)(3)と、該両側辺部(3)(3)間に配置され、両側辺部(3)(3)の一端部同士を相互に連結した連結辺部(4)とを有して平面視略コ字状(コ字状)(U字状を含む。)に形成されたものであっても良い。
【0191】
また本発明では、基板部(2)、片持ち梁部(7)及び載置板部(13)の材質は、アルミニウム以外の金属(例えばステンレス鋼)であっても良いし、繊維強化プラスチック等のプラスチックであっても良い。
【0192】
また本発明では、片持ち梁部(7)と載置板部(13)とがアルミダイカストで一体形成されていても良いし、基板部(2)と片持ち梁部(7)と載置板部(13)とがアルミダイカストで一体形成されていても良い。
【0193】
また本発明では、歪みゲージ(R1〜R4)の片持ち梁部(7)への取付け手段としては、接着剤による貼付けに限定されるものではなく、その他に、カシメ、ねじ止め、リベット止め、溶接(例:スポット溶接)、ろう付等であっても良い。
【0194】
また本発明では、歪み検出センサとして1個の歪みゲージが片持ち梁部(7)に装着されていても良いし、2個や3個以上の歪みゲージが片持ち梁部(7)に装着されていても良い。また、ブリッジ回路(16)は、本実施形態では4個の歪みゲージ(R1)(R2)(R3)(R4)が組み込まれて形成されたものであるが、本発明では、5個や6個以上の歪みゲージが組み込まれて形成されたものであっても良いし、1個以上の歪みゲージと1個以上の固定抵抗(ダミー抵抗)とが組み込まれて形成されたものであっても良い。
【0195】
また本発明では、歪み検出センサは、歪みゲージ以外のセンサ、例えば、導電エラストマーセンサ(導電性ゴムセンサや導電性樹脂センサ等)、電歪デバイスセンサ、圧電デバイスセンサ、磁歪デバイスセンサであっても良いし、これらのセンサからなる群から選択される1種又は2種以上のセンサであっても良い。
【0196】
また、本発明では、ベッド(50)の脚部にベッド移動用キャスタが設けられていなくても良い。
【産業上の利用可能性】
【0197】
本発明は、ベッドの荷重検出器、ベッド上に被験者が在床しているか否かを検出するベッドの在床検出装置、ベッドの在床検出方法及びベッドの在床監視システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0198】
1…荷重検出器
2…基板部
3…側辺部
4…連結辺部
4a…スロープ面
6…接床面
7…片持ち梁部
7a…基端部
7b…先端部
13…載置板部
13a…上面
13b…下面
14A…キャスタ落下防止壁部(脚部落下防止壁部、ストッパ壁部)
14B…キャスタ落下防止壁部
16…ブリッジ回路
R1〜R4…歪みゲージ(歪み検出センサ)
20…在床検出装置
21…演算手段
25…表示手段
26…警報手段
27…通信手段
28…信号線
31…凸条部
31a…前面
32…案内壁部
40…凹部
40a…天面
45…滑り止め部材
50…ベッド
51…キャスタ(脚部)
55…ベッド設置面
S…正規の荷重検出位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッド設置面上に載置される基板部と、
前記基板部に前記ベッド設置面に対して上方に離間した状態で略水平に支持された片持ち梁部の先端部に設けられ、ベッドの脚部が載置される載置板部と、
前記片持ち梁部の歪みを検出し、ベッドの荷重の検出に用いられる信号を出力する歪み検出センサと、
を備えているベッドの荷重検出器と、
前記荷重検出器の歪み検出センサからの出力信号に基づいて、ベッド上に被験者が在床しているか否かを演算する演算手段と、
前記演算手段の演算結果を表示する表示手段と、
前記演算手段の演算結果に基づいて警報を発する警報手段と、
前記演算手段の演算結果を送信する通信手段と、
を備えていることを特徴とするベッドの在床監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−154715(P2011−154715A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87290(P2011−87290)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【分割の表示】特願2006−81924(P2006−81924)の分割
【原出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】