ベルトスリップ計測方法、ベルトスリップ計測装置、画像形成装置、プログラム、及び記録媒体
【課題】 上述した誤差要因を踏まえた上で、これらに影響されず、高精度なベルトスリップ計測装置ならびに計測方法を提供することにある。また、それらベルトスリップ計測装置を搭載もしくは外部要因によるベルトスリップ量の情報をもってベルト駆動速度の調整を行い、ベルトスリップに起因する画像劣化を低減した高品質画像を形成し得る画像形成装置を提供する。
【解決手段】 駆動または従動である2つ以上のローラ8で駆動されるベルト7と前記ローラ8との間で発生するスリップを計測するベルトスリップ計測装置において、前記ベルト7上及び前記ローラ8上に磁気パターン9a、9bを形成し、駆動状態で前記ローラ8上及び前記ベルト7上の磁気パターン9a、9bを検出する磁気ヘッドユニット10と、前記磁気ヘッドユニット10にて取得した磁気パターンからベルト7のスリップ量をPC11により算出するようにした。
【解決手段】 駆動または従動である2つ以上のローラ8で駆動されるベルト7と前記ローラ8との間で発生するスリップを計測するベルトスリップ計測装置において、前記ベルト7上及び前記ローラ8上に磁気パターン9a、9bを形成し、駆動状態で前記ローラ8上及び前記ベルト7上の磁気パターン9a、9bを検出する磁気ヘッドユニット10と、前記磁気ヘッドユニット10にて取得した磁気パターンからベルト7のスリップ量をPC11により算出するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式による4連タンデムフルカラー画像形成装置などに備えられている中間転写ベルトの駆動制御に対する評価方法の1つであるベルトスリップ計測方法、ベルトスリップ計測装置、そのベルトスリップ計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置においては、中間転写ベルトの駆動制御、他に感光体ベルトの駆動制御や、紙搬送ベルトの駆動制御など、高精度な搬送速度の安定性が必要な構成要素を多く内包している。これらの要素は、一定にベルトが駆動されているのが理想的であるが、駆動ローラの回転速度変動や、従動ローラとベルトの幾何公差などにより、局所的にベルトとローラ間でスリップが発生することが知られている。
例えば、特許文献1にはベルトを駆動する駆動ローラ、もしくは従動ローラの速度変動と、これによって駆動されているベルトの速度変動を同時に計測し、両者の計測値から差分を算出して、ベルトのスリップ量と時間を求める方法が提案されている。そして、この場合は計測方法として非接触のレーザドップラ計測装置などを用いることで、ベルトへの負荷をかけることなく微小な変動を捉えるようにしている。
【特許文献1】特開2000−131055公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の計測方法では、スリップの有無と発生時間は特定できても、発生部位や発生範囲は特定できず、スリップ発生メカニズム解明のための情報は得られない。つまり、スリップを低減するためのパラメータ設計に必要なデータを得にくいという欠点があった。
また、本出願人が先に提案したベルトスリップ計測装置及び計測方法等が存在しているが、その研究は特に透明もしくは半透明の素材を用いたベルトを対象とし、画像検出により計測を行っているため、ベルトを通してローラ上の画像パターンを検出する必要がある。
特に、中間転写ベルトと、各ローラ間の間で発生するベルトスリップを計測対象としている場合は、ベルトスリップが発生することにより、4つの色の重ね合わせ位置が不定期にずれてしまう現象が生じてしまうことが知られている。これを押え込むための情報として、ベルトスリップそのもののメカニズムを正確に捉えることが重要である。このようなベルトスリップは微小時間で発生し、ベルトスリップ量もごく微量である。また、色合わせでは、μm単位での位置合わせが必要なことから、微量のベルトスリップも正確に捉える必要がある。
実際、ベルトスリップはベルト全域に同時に発生するだけでなく、部分的、即ち局所的に発生するマイクロスリップ現象などがあると予想されている。つまり、ベルト端部でベルトとローラでの相対速度を検出すれば、発生しているスリップすべてを網羅できる訳ではない。そのため、スリップしている範囲・位置を正確に捉えることにより、ローラやベルトの幾何的なスリップメカニズム解明に繋がることが期待できる。
ベルトスリップ特性の計測にあたっては、その誤差要因として以下の項目が挙げられる。
1.ベルト駆動時の高さ変動
ベルト厚みの変動や、ローラ自体の偏芯などが発生すると、ローラ中心からベルト表面までの距離が変動することになる。
2.ローラの表面速度変動
ローラと同一速度で回っていればベルトはスリップしていない。しかしローラを駆動するモータの速度変動や、ローラ自体の偏芯などにより、ローラの表面速度は一定とはならない。つまり、ベルト表面速度だけを検出しても、特に微小なスリップは検出できず、あくまでローラとの相対的な速度、もしくは位置のずれからのみ検出できることになる。
3.ベルトの蛇行現象
ベルトは駆動による送り方向とは垂直方向に蛇行する。一般的に低い周波数ではあるが、微小な位置計測などには影響を及ぼす。
そこで、本発明は上述した実情を考慮して、上述した誤差要因を踏まえた上で、これらに影響されず、高精度なベルトスリップ計測装置及びその計測方法、プログラム、記録媒体を提供することを目的とする。また、ベルトスリップに起因する画像劣化を低減した高品質画像を形成し得る画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ローラにより駆動されるベルトと、前記ローラと前記ベルトとの間で発生するスリップを計測するベルトスリップ計測方法であって、前記ベルト上に形成した磁気パターンと前記ローラ上に形成した磁気パターンとから、前記ベルト及び前記ローラの速度を算出する速度算出工程と、該速度算出工程により得られる前記ベルトと前記ローラの速度差からスリップ時間とスリップ量を算出するスリップ算出工程と、からなるベルトスリップ計測方法を特徴とする。
また請求項2に記載の発明は、ローラにより駆動されるベルトと、前記ローラと前記ベルトとの間で発生するスリップを計測するベルトスリップ計測方法であって、前記ベルト上に形成した画像パターンと前記ローラ上に形成した磁気パターンとから、前記ベルト及び前記ローラの速度を算出する速度算出工程と、該速度算出工程により得られる前記ベルトと前記ローラの速度差からスリップ時間とスリップ量を算出するスリップ算出工程と、からなるベルトスリップ計測方法を特徴とする。
また請求項3に記載の発明は、ローラにより駆動されるベルトと、前記ローラと前記ベルトとの間で発生するスリップを計測するベルトスリップ計測装置であって、前記ベルト上に形成した磁気パターンと、前記ローラ上に形成した磁気パターンをそれぞれ検出する磁気検出手段と、該磁気検出手段により検出された磁気データに基づいて、前記ベルトのスリップ量を算出する算出手段と、を備えるベルトスリップ計測装置を特徴とする。
また請求項4に記載の発明は、ローラにより駆動されるベルトと、前記ローラと前記ベルトとの間で発生するスリップを計測するベルトスリップ計測装置であって、前記ベルト上に形成した画像パターンを検出する画像検出手段と、前記ローラ上に形成した磁気パターンを検出する磁気検出手段と、前記画像検出手段により検出された画像データと前記磁気検出手段により検出された磁気データに基づいて、前記ベルトのスリップ量を算出する算出手段と、を備えるベルトスリップ計測装置を特徴とする。
また請求項5に記載の発明は、前記ベルト及び前記ローラ上のローラ軸方向に、少なくとも2個所以上のパターンを形成し、前記算出手段により、前記ローラ上における前記ベルトの挙動を計測する請求項3または請求項4に記載のベルトスリップ計測装置を特徴とする。
【0005】
また請求項6に記載の発明は、前記磁気パターンは磁気テープ構造である請求項3乃至請求項5の何れか1項に記載のベルトスリップ計測装置を特徴とする。
また請求項7に記載の発明は、前記磁気パターンは、磁性インキによるインクジェットによって形成される請求項3乃至請求項5の何れか1項に記載のベルトスリップ計測装置を特徴とする。
また請求項8に記載の発明は、前記磁気パターンは、前記ベルト及び前記ローラの駆動速度に応じたパターンである請求項3乃至請求項7の何れか1項に記載のベルトスリップ計測装置を特徴とする。
また請求項9に記載の発明は、前記磁気パターンを前記ベルト及び前記ローラの駆動速度に応じた磁気パターンに記録し直す記録ヘッドを備える請求項3乃至請求項7の何れか1項に記載のベルトスリップ計測装置を特徴とする。
また請求項10に記載の発明は、請求項3乃至請求項9の何れか1項に記載のベルトスリップ計測装置と、該ベルトスリップ計測装置により計測されたベルトスリップ量に応じて前記ベルトの駆動速度を最適化する補正を行うベルト駆動速度補正手段とを備える画像形成装置を特徴とする。
また請求項11に記載の発明は、前記ベルト駆動速度補正手段は、許容範囲を超えるベルトスリップ量が計測された際には画像形成を停止して、当該ベルトスリップ量に応じて前記ベルトの駆動速度を最適化する請求項10に記載の画像形成装置を特徴とする。
また請求項12に記載の発明は、温湿度センサと、温湿度変化に対するベルトスリップ量の変化を補正情報として格納する格納手段と、を備え、前記ベルト駆動速度補正手段は、画像形成における温湿度変化と、前記格納手段に格納された補正情報により、ベルト駆動速度を適正化する請求項10に記載の画像形成装置を特徴とする。
【0006】
また請求項13に記載の発明は、用紙突入時におけるベルトスリップ量を補正情報として格納する格納手段と、前記ベルトへの用紙搬送時間を検出する用紙搬送時間検出センサと、を備え、前記ベルト駆動速度補正手段は、画像形成における用紙突入時に、前記格納手段に格納された補正情報により、ベルト駆動速度を適正化する請求項10に記載の画像形成装置を特徴とする。
また請求項14に記載の発明は、前記ベルト駆動速度補正手段が、前記ローラを駆動する駆動モータの指令信号を変化させて前記ベルト駆動速度を適正化する請求項10乃至請求項13のいずれか1項に記載の画像形成装置を特徴とする。
また請求項15に記載の発明は、前記ベルト駆動速度補正手段が、前記ローラの間隔を変化させて前記ベルトの張力を調整することにより、前記ベルト駆動速度を適正化する請求項10乃至請求項13のいずれか1項に記載の画像形成装置を特徴とする。
また請求項16に記載の発明は、前記ベルト駆動速度補正手段が、前記ベルトスリップ計測装置により計測されたベルトスリップ量に応じて感光体の駆動速度を変化させることにより相対的に前記ベルト駆動速度を適正化する請求項10乃至請求項13のいずれか1項に記載の画像形成装置を特徴とする。
また請求項17に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のベルトスリップ計測方法をコンピュータに実行させるプログラムであることを特徴とする。
また請求項18に記載の発明は、請求項17に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ローラとベルトに形成した磁気パターンを連続検出して、その磁気パターン検出の電流変化を解析することで、それぞれの速度変動を同時に検出し、さらにスリップ量とその範囲を正確に捉えることができるので、ローラやベルトの幾何的なスリップメカニズム解明に役立つ。
また、そこから得られたパラメータを適正化することで、スリップ現象の発生しない、もしくは小さい画像形成装置設計が可能となるという効果が期待できる。特に同一計測方法でローラとベルトの速度を同時計測することで、計測誤差や計測器誤差を低減できるという効果を強調できる。
本発明によれば、検出されたベルトとローラの速度変動からベルトのスリップ量を算出することで、ベルトのスリップ発生時間/スリップ量という特性値を取得でき、より一層スリップメカニズム解明に役立つという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は本実施形態の4連タンデム方式のフルカラー画像形成装置における作像・転写機構部を示す概略図である。
この図1に示す作像・転写機構部は、感光体1、中間転写ベルト2、駆動ローラ4及び従動ローラ5を備えて構成される。
このような作像・転写機構部の動作としては、感光体1上に静電像が形成され、トナーによって可視像となる。このトナー像を感光体1と中間転写ベルト2の第1転写部3にて中間転写ベルト2に転写する。
中間転写ベルト2は駆動ローラ4及び従動ローラ5によって保持・駆動される。中間転写ベルト2に転写されたトナー像は移動して、第2転写部6にて用紙Pに転写され、用紙P上に画像を形成することになる。
図1の4連タンデムでは、感光体1が4つあり、各感光体1では異なる色画像を形成している(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)。この色画像が中間転写ベルト2上で重ね合わせられて、フルカラー画像を形成し、最終的に用紙Pに転写されることになる。
図2は第1の実施形態としてのベルトスリップ計測装置の概略構成を示す斜視図である。図2において、ベルトスリップ計測装置には計測対象のベルト7と、このベルト7を保持するローラ8を備え、ベルト7及びローラ8上にそれぞれ磁気パターン9a、9bを形成しておく。
さらに、ベルトスリップ計測装置はベルト7上及びローラ8上の各磁気パターン9a、9bを上方から検出する磁気ヘッドユニット(磁気検出手段)10を設置し、この磁気ヘッドユニット10から出力される磁気検出データを格納してベルト7のス六腑量を算出する情報処理装置(PC)11から構成されている。
【0009】
図3は磁気検出の原理を示す概略図である。図3に示すように、磁気パターン9が移動したときに、磁気ヘッドユニット10内のコア12に生じた磁界を打ち消すようにコイル13に流れる電流値を検出する。
図4はベルトスリップ計測装置の計測磁気パターンの第1例を示した模式図である。図5は図4の第1例における磁気ヘッドを流れる電流値変化を示す模式図である。図6はベルトスリップ計測装置の計測磁気パターンの第2例を示す模式図である。図7は図6の第2の例における磁気ヘッドを流れる電流値変化を示す模式図である。
図2及び図3を参照した場合、図4ないし図7において、ベルト7上の磁気パターン9とローラ8上の磁気パターン9の位置が合致していても、いなくとも、各々の電流変化位置は相関を持って変化する。このときの電流値が一定の変化をしていれば磁気パターン9が等速で動いていることを示し、不等速で動いた場合はこの電流値が変化する間隔が変わる。
磁気ヘッドユニット10には、コイル13としてベルト計測用コイルとローラ計測用コイルの2つが設けられている。また、情報処理11は、電流変化を電気的信号として入力可能な機能を付加させたパソコンなどを用いる。
図8はベルト/ローラ上の磁気パターンの検出例を示す概略図である。図8は、例えば、図2において、ベルト7がローラ8に対してスリップを起こし、ローラ8が先に進んでしまったような場合に前記電流値変化がどのように変化するかを示した例である。
点線で囲まれた部分においてベルト7上の磁気パターン9を検出した電流値変化がローラ8上のものより遅れており、すなわち、ローラ8上磁気パターン9の移動量よりもベルト7上磁気パターン9の移動量が遅いことを示している。
ローラ8及びベルト7上に形成する磁気パターン9は細かいほど、微小なスリップを検出することができる。 ローラ8及びベルト7上に形成する磁気パターン9は重ならず、一定間隔を空けて配置するようにして、各々の磁気の影響を受けないように考慮する必要がある。
【0010】
図9はベルトスリップ計測方法における流れを示したフローチャートである。
この場合、先ず、磁気パターン取り込み工程として、最初にスリップを検出する時間分、図2及び図3に示したベルト7とローラ8を駆動させた状態で、ベルト7及びローラ8に形成された磁気パターン9を連続して検出する(S1)。
磁気パターン取り込み工程にて取得したコア電流変化を対象に、磁気パターン位置抽出工程では、ベルト7及びローラ8上の磁気パターン位置を座標として抽出する(S2)。その位置座標を検出時間間隔で割ることで、各磁気パターンの移動速度をグラフ上にプロットする(図10参照)。本プロット工程を速度算出工程と呼ぶ(S3)。
前工程にてベルト7及びローラ8の時系列での速度が判明することから、両者の差が大きく生じているところが、スリップが発生した時間であり、速度差が各経過時間内でのスリップ量となる(図11参照)。
結果的に図11のグラフ上の、ハッチング領域の面積がスリップ量となる。本算出工程をスリップ算出工程と呼ぶ(S4)。
本処理工程を経ることで、スリップの発生した時間と、スリップ量を特性値化することができる。
図10は磁気パターンの移動速度の変動を計測時間に関連してプロットしたグラフで示す図である。図11はベルトスリップ量を計測時間に関連してプロットしたグラフで示す図である。上述のごとく、図10及び図11において、ベルト及びローラの速度差が大きく生じているところが、スリップが発生した時間であり、速度差が各経過時間内でのスリップ量となる。
【0011】
図12は第2の実施形態としてのベルトスリップ計測装置の概略構成を示す斜視図である。図12に示すベルトスリップ計測装置は計測対象のベルト7に位置検出用パターン14を、ベルト7を保持するローラ8に、磁気パターン9をそれぞれ形成している。
ベルトスリップ計測装置は、さらに位置検出用パターン14を上方から検出する撮像装置15と、磁気パターン9を上方から検出する磁気ヘッドユニット10を設置し、撮像装置(情処理報装置)15から出力される画像データと、磁気ヘッドユニット10から出力される磁気検出データに基づいてベルト7のフリップ賞を算出する情処理報装置11から構成されている。
図13は撮像装置によるベルトの駆動状態を検出する計測パターン例を示す概略図である。図12を参照して、磁気検出によるローラ8の駆動状態を検出する方法は第1の実施の形態と同様である。撮像装置15によるベルトの駆動状態を検出する方法は、図13にあるような画像パターン(位置検出パターン)14が移動したときの撮像位置を取得することにより可能である。
【0012】
即ち、図12及び図13を参照して、任意の撮像時間間隔で取得された画像パターン14が一定のズレを示していれば、それはベルト7が等速で移動していることを示し、それが一定で無くなった場合はベルト7が速度変動を起こしたことを示している。
磁気パターン9による検出を行ったローラ8の移動速度結果と、画像パターン14による検出を行ったベルト7の移動速度結果に差異があれば、それがベルトスリップを起こしていることを示している。
ベルト7上に形成する画像パターン14は、前述した磁気パターンの場合と同様に、細かいほど微小なスリップを検出することができる。そのパターンは図13のような円形パターン以外でも、濃度分布として認識可能であれば良く、スリット状や色パターン等、多様な形式が考えられる。また、情処理報装置11は前述した機能に加え、画像情報を処理する機能が付加される。
本実施の形態は、ローラ8において形成した磁気パターン9とベルト7に形成した画像パターン14を連続検出して、それぞれのパターン変化を解析することで、それぞれの速度変動を同時に検出し、さらにスリップ量とその範囲を正確に捉えることができる。
そのため、ローラ8やベルト7の幾何的なスリップメカニズムの解明に役立ち、そこから得られたパラメータを適正化することで、スリップ現象の発生しない、もしくは小さい画像形成装置設計が可能となるという効果が期待できる。特に、同一計測方法でローラ8とベルト7の速度を同時計測することで、計測誤差や計測器誤差を低減できるという効果を強調できる。
【0013】
図14は第2の実施の形態によるベルトスリップ計測方法における流れを説明するフローチャートである。図12及び図14を参照して、ローラ8の移動速度とベルト7の移動速度が、各々同様の処理過程を経て、その結果を合わせてベルトスリップ量を算出する。
図12及び図14を参照して詳述すると、最初にスリップを検出する時間分、ベルト7とローラ8を駆動させた状態で、ベルト7上に及びローラ8上に形成された磁気パターン9及び位置検出パターン14を連続して検出する(磁気パターン取り込み工程)(S10及びS11)。
磁気パターン取り込み工程にて取得したコア電流変化を対象に、磁気パターン位置抽出工程及び位置検出パターン(画像パターン)位置抽出工程では、ベルト7及びローラ8上の磁気パターン位置及び位置検出パターン位置を座標として抽出する(S12及びS13)。
次に、速度算出工程(S14及びS15)にてベルト7及びローラ8の時系列での速度が判明することから、スリップ量算出工程(S16)では、第1の実施形態の場合と同様に、ローラ速度とベルト速度の両者の差が大きく生じているところが、スリップが発生した時間であり、速度差が各経過時間内でのスリップ量となる(図11参照)。
結果的に同じように図11のグラフ上の、ハッチング領域の面積がスリップ量となる。本処理工程を経ることでも、スリップの発生した時間と、スリップ量を特性値化することができる。
検出されたベルト7とローラ8の速度変動からベルト7のスリップ量を算出することで、ベルト7のスリップ発生時間/スリップ量という特性値を取得でき、より一層スリップメカニズム解明に役立つという効果を有する。
【0014】
図15は第3の実施形態としてのベルトスリップ計測装置の概略構成を示す斜視図である。図15において、計測対象のローラ8及びベルト7の、ローラ8軸上で、両端に、磁気パターン9a、9aが形成されており、これを検出する磁気ヘッドユニット10がそれぞれに設けられている。
磁気ヘッドユニット10によって検出された電流変化データは、情処理報装置11に送られ、それを解析することによってスリップ量を算出する。この第3の実施形態のスリップ計測装置では、上記2個所以上の計測ポイントにおいて、前述した方法を用いてベルト7のスリップ量を算出すると同時に、各ポイントにおけるベルト速度差を算出する。
上記計測装置によって、ベルト7の一方にスリップが発生し、左右に速度差が生じたことが計測されれば、ベルト7がローラ8に対して曲って送られている状態を検出していることになる。
第3の実施形態によるベルトスリップ計測装置においては、複数のパターン形成と磁気ヘッドユニットを備えることによって、ベルト7及びローラ8のローラ軸上2個所以上での速度変動及びスリップを同時に計測することができるので、ベルトのスリップだけでなく、ローラ8上でのベルト7そのものの挙動(例えば、曲がりなど)を捉えることができる。結果的にベルトスリップのメカニズム解明に繋がる情報を取得できるという効果が得られる。
なお、本実施形態における磁気パターン9(9a、9b)は、磁気テープをシール部材とした貼り込みや、インクジェットなどの作像装置を用いることにより形成することができる。また磁気パターン9は、等間隔でローラ8やベルト7の送り方向に必要な領域に形成する必要がある。これによって、容易に規則正しい磁気パターン9を形成することを可能とし、正確なベルトスリップ計測を行える。
図16は駆動速度と計測に必要な分解能の関係をグラフで示す概略図である。
図1に示したような画像形成装置において、その画像品質に影響するベルトの速度変動は、ベルトの駆動速度によって変わってくる。
すなわち、本発明のベルトスリップ計測に必要な計測性能も変わってくるのは当然であり、図16に示すように、画像形成装置に必要なローラ/ベルトの駆動速度に比例して、計測に必要な分解能も変化する。高速駆動になればなるほど、高分解能でベルトスリップ計測を行う必要がある。
反対に、低速駆動の場合はその分解能が低くても十分に計測要件を満たすことがあり得る。すなわち、その駆動速度に応じた分解能の磁気パターンとすることで、オーバースペックにならず、ベルトの駆動速度によらない常に同一な条件での計測が可能となる。また、その磁気パターンを任意に形成可能とすることで、多様な駆動機構のベルトスリップ計測を最適な環境で行うことできる。
【0015】
図17は磁気パターンの記録原理を示す概略図である。図17において、記録ヘッド16のコイル17に流れる電流によってコア18が磁化され、ローラまたはベルト表面の磁性体が磁化される。
記録時における記録ヘッド16または記録対象物(ローラまたはベルト)の移動量を可変とすることで、任意の分解能を有する磁気パターンを形成することができる。
例えば、図15のベルトスリップ計測装置において、ベルトスリップ計測を可能とするソフトウエアを、情処理報装置11に記録媒体として搭載する。このようにすると、多数の計測システムを構築するような場合でもその構築を容易にする。
図18は本発明によるベルトスリップ計測装置の第4の実施形態の概略構成を示す斜視図である。図18に示す構成では、画像形成装置内にベルトスリップ計測装置を搭載したものである。
ベルト7上の磁気パターン9は画像形成上において問題とならない端部に生成し、ベルトスリップ計測装置は磁気ヘッドユニット10とスリップ量算出ユニット19から構成される。それらユニットは一体化されても良い。
【0016】
図19は本発明によるベルトスリップ計測装置を備えた画像形成装置の第1の実施形態を示す概略図である。図18の画像形成装置はこのような構成を有しており、ベルトスリップ計測装置にて得られたスリップ量から中間転写ベルトの駆動速度を安定すべく各種の補正情報が算出される。
ここで、画像形成装置は感光体1上に静電像が形成され、トナーによって可視像となる。このトナー像を感光体1と中間転写ベルト2の第1転写部3にて中間転写ベルト2に転写する。
中間転写ベルト2は駆動ローラ4及び従動ローラ5によって保持・駆動される。中間転写ベルト2に転写されたトナー像は移動して、第2転写部6にて用紙Pに転写され、用紙P上に画像を形成することになる。なお、図中10は磁気ヘッドユニット、20はスリップ量・ベルト駆動速度補正演算ユニット(ベルト駆動速度補正手段)を示している。
ベルトスリップが発生した場合には、そのスリップ量によるベルト駆動速度の変動を抑えるように機能し、画像形成する際にそのフィードバックを繰り返し行うことでベルト駆動速度の変動を最小限に留めることができる。
また、スリップによるベルト駆動速度の変動が画像品質上において許容し得ない場合には、画像形成装置を停止して出力エラーとしてユーザに示すとともに、ベルト駆動における設定を再設定する。
即ち、スリップ量が連続的に微小量増減していくような場合にはフィードバックを掛けながら許容値を超えないようにベルト駆動速度を調整し続ければ良いし、何らかの外的要因等で急激なスリップ量変化を発生して画像品質として問題であれば画像形成装置を停止して大幅な調整を行えば良い。
第1の実施形態の画像形成装置においては、画像形成を行う毎にベルトスリップによる駆動速度の変動を抑えることで、それに起因する色ずれ等の画像劣化を低減して高品質な画像形成を実現し得る効果を有する。
また、ベルトスリップによる許容不能な画像劣化をもたらした場合に、その状況を提示するとともにベルトスリップによる駆動速度の変動を抑えることで、それに起因する色ずれ等の画像劣化を低減して高品質な画像形成を実現し得る効果を有する。
【0017】
図20は温湿度センサを備えた本発明による画像形成装置の第2の実施形態を示す概略図である。図20の画像形成の部分は図19の画像形成の部分と同じであるので説明は省略する。
図20において、ベルトスリップ計測装置によって得られた温湿度変化に対するベルトスリップ量変化を補正情報として格納する格納手段としても機能するベルト駆動速度補正演算ユニット22と、温湿度センサ21とを備え、このベルト駆動速度補正演算ユニット22により画像形成における温湿度変化に応じて前記補正情報にてベルト駆動速度を適正化するようにしている。
ベルトスリップを発生させる外的要因の1つとして温湿度変化を想定した場合に、予め温湿度変化とスリップ量の関係を前述したベルトスリップ計測装置にて捉えておき、その情報を画像形成装置内に格納しておけば、図20に示すようにベルトスリップ計測装置を画像形成装置内に搭載しなくとも温湿度センサ21による情報と合わせて現状のスリップ量を予測してベルト駆動速度の調整を可能とし得る。
したがって、画像形成装置の第2の実施形態によれば、外的要因である温湿度変化で生じたベルトスリップの影響による色ずれ等の画像劣化を低減して高品質な画像形成を実現し得る効果を有する。
【0018】
図21は用紙搬送時間検出センサを備えた本発明による画像形成装置の第3の実施形態を示す概略図である。図21の画像形成の部分は図19の画像形成の部分と同じであるので説明は省略する。
図21では、ベルトスリップ計測装置によって得られた用紙突入時におけるベルトスリップ量を補正情報として格納する格納手段としても機能するベルト駆動速度補正演算ユニット22と、前記ベルトへの用紙搬送時間を検出する用紙搬送時間検出センサ23を備え、画像形成における用紙突入時に前記補正情報にてベルト駆動速度を適正化する。
ベルトスリップを発生させる外的要因の1つとして用紙突入におけるショックジターを想定した場合に、予め用紙突入時のスリップ量を前述したベルトスリップ計測装置にて捉えておき、その情報を画像形成装置内に格納しておく。
これによって、図21に示すようにベルトスリップ計測装置を画像形成装置内に搭載しなくとも、第2転写部6から所定の距離に配置された用紙搬送時間を検出する用紙搬送時間検出センサ22で用紙通過を把握することで用紙突入までの時間を予測することが可能であり、その情報と合わせて現状のスリップ量を予測してベルト駆動速度の調整を可能とし得る。
【0019】
図22はベルトスリップに起因するベルト駆動速度の調整をどのように行うかを概念的に示す概略図である。図22には画像形成装置内のどの部分を調整してベルトスリップに起因するベルト駆動速度の調整を行うかを概念的に示している。画像形成装置の構成は図19の画像形成部分と同じであるので全体構成の説明は省略する。
その調整方法として、第1に駆動ローラ4を回転させる駆動モータ(図示せず)の速度指令値を調整することが挙げられる。スリップが発生することによって生じるベルト駆動速度の低下を、モータ回転速度を上げて調整するものである。
第2に、例えば所定の従動ローラ5の位置を変化させてベルト張力を調整することが挙げられる。ベルトの張り具合を変化させてその駆動速度を変えてやるものであるが、この場合には予めローラ位置とベルト駆動速度の関係を把握しておくことが必要である。ローラの位置変化量は微小と考えられるため、PZT(圧電変換器)等の手段により高精度に行うことが可能である。
第3に、感光体1の駆動速度を調整することが挙げられる。感光体1を駆動している駆動モータ(図示せず)の回転速度を変化させて実施する。これは、ベルト駆動速度がスリップの影響で変動したままであるが、ベルト2との相対的な速度が一定であるように感光体1の駆動速度を変化させて第1転写部3で色ずれを発生させないようにするものである。
ただし、このさいには全ての感光体1の駆動速度を正確に変化させる必要がある。この画像形成装置においては、ベルトスリップによる駆動速度の変動を、感光体駆動速度を調整することでベルト上におけるトナー位置への影響を低減し、色ずれ等の画像劣化を低減した高品質な画像形成を実現し得る効果を有する。
本発明は画像形成装置の中間転写ベルトと、この駆動ローラ及び従動ローラに関連して説明したが、本発明は全般的なベルトのスリップ状態の検出手段及びその低減手段としても応用可能である。
【0020】
なお、本発明は、上述した実施形態の各機能をプログラム化し、予めROMのような記録媒体に書き込んでおくようにする。そして、ネットワーク対応周辺機器や外部認証サーバにROMを装着して、そのプログラムをマイクロプロセッサで実行することによって、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
また、この場合、記録媒体から読み出されて実行された状態が上述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体も本発明を構成することになる。
また、上記したようなベルトスリップ計測方法を実行するプログラムは、半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリ等)、光媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD等)、磁気媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等いずれの形態の記録媒体で提供されてもよい。あるいは、ネットワーク等の通信網を介して記憶装置に格納されたプログラムをサーバコンピュータから直接供給を受けるようにしてもよい。この場合、このサーバコンピュータの記憶装置も本発明の記録媒体に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態としての4連タンデム方式のフルカラー画像形成装置における作像・転写機構部を示す概略図である。
【図2】第1の実施形態としてのベルトスリップ計測装置の概略構成を示す斜視図である。
【図3】磁気検出の原理を示す概略図である。
【図4】ベルトスリップ計測装置の計測磁気パターンの第1例を示す模式図である。
【図5】第1例における磁気ヘッドを流れる電流値変化を示す模式図である。
【図6】ベルトスリップ計測装置の計測磁気パターンの第2例を示す模式図である。
【図7】図6における磁気ヘッドを流れる電流値変化を示す模式図である。
【図8】ベルト/ローラ上の磁気パターンの検出例を示す概略図である。
【図9】ベルトスリップ計測方法における流れを説明するフローチャートである。
【図10】ベルト/ローラ上の磁気パターンの移動速度の変動を計測時間に関連してプロットしたグラフ図である。
【図11】ベルトスリップ量を計測時間に関連してプロットしたグラフ図である。
【図12】第2の実施形態に係るベルトスリップ計測装置の概略構成を示す斜視図である。
【図13】撮像装置によるベルトの駆動状態を検出する計測パターン例を示す概略図である。
【図14】第2の実施形態によるベルトスリップ計測方法における流れを説明するフローチャートである。
【図15】第3の実施形態に係るベルトスリップ計測装置の概略構成を示す斜視図である。
【図16】駆動速度と計測に必要な分解能の関係をグラフで示す概略図である。
【図17】磁気パターンの記録原理を示す概略図である。
【図18】第4の実施形態に係るベルトスリップ計測装置の概略構成を示す斜視図である。
【図19】本実施形態のベルトスリップ計測装置を備えた画像形成装置の第1の実施形態を示す概略図である。
【図20】温湿度センサを備えた画像形成装置の第2の実施形態を示す概略図である。
【図21】用紙搬送時間検出センサを備えた画像形成装置の第3の実施形態を示す概略図である。
【図22】ベルトスリップに起因するベルト駆動速度の調整をどのように行うかを概念的に示す概略図である。
【符号の説明】
【0022】
1 感光体、2 中間転写ベルト、4 駆動ローラ、5 従動ローラ、7 ベルト(例えば、中間転写ベルト)、8 ローラ(例えば、駆動ローラ、従動ローラ)、9 9a 9b 磁気パターン、10 磁気ヘッドユニット、11 情処理報装置、14 位置検出パターン(画像パターン)、15 撮影装置、16 記録ヘッド、17 コイル、18 コア、19 スリップ量算出ユニット、20 スリップ量・ベルト駆動速度補正算出ユニット、21 温湿度センサ、22 ベルト駆動速度補正算出ユニット、23 用紙搬送時間検出センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式による4連タンデムフルカラー画像形成装置などに備えられている中間転写ベルトの駆動制御に対する評価方法の1つであるベルトスリップ計測方法、ベルトスリップ計測装置、そのベルトスリップ計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置においては、中間転写ベルトの駆動制御、他に感光体ベルトの駆動制御や、紙搬送ベルトの駆動制御など、高精度な搬送速度の安定性が必要な構成要素を多く内包している。これらの要素は、一定にベルトが駆動されているのが理想的であるが、駆動ローラの回転速度変動や、従動ローラとベルトの幾何公差などにより、局所的にベルトとローラ間でスリップが発生することが知られている。
例えば、特許文献1にはベルトを駆動する駆動ローラ、もしくは従動ローラの速度変動と、これによって駆動されているベルトの速度変動を同時に計測し、両者の計測値から差分を算出して、ベルトのスリップ量と時間を求める方法が提案されている。そして、この場合は計測方法として非接触のレーザドップラ計測装置などを用いることで、ベルトへの負荷をかけることなく微小な変動を捉えるようにしている。
【特許文献1】特開2000−131055公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の計測方法では、スリップの有無と発生時間は特定できても、発生部位や発生範囲は特定できず、スリップ発生メカニズム解明のための情報は得られない。つまり、スリップを低減するためのパラメータ設計に必要なデータを得にくいという欠点があった。
また、本出願人が先に提案したベルトスリップ計測装置及び計測方法等が存在しているが、その研究は特に透明もしくは半透明の素材を用いたベルトを対象とし、画像検出により計測を行っているため、ベルトを通してローラ上の画像パターンを検出する必要がある。
特に、中間転写ベルトと、各ローラ間の間で発生するベルトスリップを計測対象としている場合は、ベルトスリップが発生することにより、4つの色の重ね合わせ位置が不定期にずれてしまう現象が生じてしまうことが知られている。これを押え込むための情報として、ベルトスリップそのもののメカニズムを正確に捉えることが重要である。このようなベルトスリップは微小時間で発生し、ベルトスリップ量もごく微量である。また、色合わせでは、μm単位での位置合わせが必要なことから、微量のベルトスリップも正確に捉える必要がある。
実際、ベルトスリップはベルト全域に同時に発生するだけでなく、部分的、即ち局所的に発生するマイクロスリップ現象などがあると予想されている。つまり、ベルト端部でベルトとローラでの相対速度を検出すれば、発生しているスリップすべてを網羅できる訳ではない。そのため、スリップしている範囲・位置を正確に捉えることにより、ローラやベルトの幾何的なスリップメカニズム解明に繋がることが期待できる。
ベルトスリップ特性の計測にあたっては、その誤差要因として以下の項目が挙げられる。
1.ベルト駆動時の高さ変動
ベルト厚みの変動や、ローラ自体の偏芯などが発生すると、ローラ中心からベルト表面までの距離が変動することになる。
2.ローラの表面速度変動
ローラと同一速度で回っていればベルトはスリップしていない。しかしローラを駆動するモータの速度変動や、ローラ自体の偏芯などにより、ローラの表面速度は一定とはならない。つまり、ベルト表面速度だけを検出しても、特に微小なスリップは検出できず、あくまでローラとの相対的な速度、もしくは位置のずれからのみ検出できることになる。
3.ベルトの蛇行現象
ベルトは駆動による送り方向とは垂直方向に蛇行する。一般的に低い周波数ではあるが、微小な位置計測などには影響を及ぼす。
そこで、本発明は上述した実情を考慮して、上述した誤差要因を踏まえた上で、これらに影響されず、高精度なベルトスリップ計測装置及びその計測方法、プログラム、記録媒体を提供することを目的とする。また、ベルトスリップに起因する画像劣化を低減した高品質画像を形成し得る画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ローラにより駆動されるベルトと、前記ローラと前記ベルトとの間で発生するスリップを計測するベルトスリップ計測方法であって、前記ベルト上に形成した磁気パターンと前記ローラ上に形成した磁気パターンとから、前記ベルト及び前記ローラの速度を算出する速度算出工程と、該速度算出工程により得られる前記ベルトと前記ローラの速度差からスリップ時間とスリップ量を算出するスリップ算出工程と、からなるベルトスリップ計測方法を特徴とする。
また請求項2に記載の発明は、ローラにより駆動されるベルトと、前記ローラと前記ベルトとの間で発生するスリップを計測するベルトスリップ計測方法であって、前記ベルト上に形成した画像パターンと前記ローラ上に形成した磁気パターンとから、前記ベルト及び前記ローラの速度を算出する速度算出工程と、該速度算出工程により得られる前記ベルトと前記ローラの速度差からスリップ時間とスリップ量を算出するスリップ算出工程と、からなるベルトスリップ計測方法を特徴とする。
また請求項3に記載の発明は、ローラにより駆動されるベルトと、前記ローラと前記ベルトとの間で発生するスリップを計測するベルトスリップ計測装置であって、前記ベルト上に形成した磁気パターンと、前記ローラ上に形成した磁気パターンをそれぞれ検出する磁気検出手段と、該磁気検出手段により検出された磁気データに基づいて、前記ベルトのスリップ量を算出する算出手段と、を備えるベルトスリップ計測装置を特徴とする。
また請求項4に記載の発明は、ローラにより駆動されるベルトと、前記ローラと前記ベルトとの間で発生するスリップを計測するベルトスリップ計測装置であって、前記ベルト上に形成した画像パターンを検出する画像検出手段と、前記ローラ上に形成した磁気パターンを検出する磁気検出手段と、前記画像検出手段により検出された画像データと前記磁気検出手段により検出された磁気データに基づいて、前記ベルトのスリップ量を算出する算出手段と、を備えるベルトスリップ計測装置を特徴とする。
また請求項5に記載の発明は、前記ベルト及び前記ローラ上のローラ軸方向に、少なくとも2個所以上のパターンを形成し、前記算出手段により、前記ローラ上における前記ベルトの挙動を計測する請求項3または請求項4に記載のベルトスリップ計測装置を特徴とする。
【0005】
また請求項6に記載の発明は、前記磁気パターンは磁気テープ構造である請求項3乃至請求項5の何れか1項に記載のベルトスリップ計測装置を特徴とする。
また請求項7に記載の発明は、前記磁気パターンは、磁性インキによるインクジェットによって形成される請求項3乃至請求項5の何れか1項に記載のベルトスリップ計測装置を特徴とする。
また請求項8に記載の発明は、前記磁気パターンは、前記ベルト及び前記ローラの駆動速度に応じたパターンである請求項3乃至請求項7の何れか1項に記載のベルトスリップ計測装置を特徴とする。
また請求項9に記載の発明は、前記磁気パターンを前記ベルト及び前記ローラの駆動速度に応じた磁気パターンに記録し直す記録ヘッドを備える請求項3乃至請求項7の何れか1項に記載のベルトスリップ計測装置を特徴とする。
また請求項10に記載の発明は、請求項3乃至請求項9の何れか1項に記載のベルトスリップ計測装置と、該ベルトスリップ計測装置により計測されたベルトスリップ量に応じて前記ベルトの駆動速度を最適化する補正を行うベルト駆動速度補正手段とを備える画像形成装置を特徴とする。
また請求項11に記載の発明は、前記ベルト駆動速度補正手段は、許容範囲を超えるベルトスリップ量が計測された際には画像形成を停止して、当該ベルトスリップ量に応じて前記ベルトの駆動速度を最適化する請求項10に記載の画像形成装置を特徴とする。
また請求項12に記載の発明は、温湿度センサと、温湿度変化に対するベルトスリップ量の変化を補正情報として格納する格納手段と、を備え、前記ベルト駆動速度補正手段は、画像形成における温湿度変化と、前記格納手段に格納された補正情報により、ベルト駆動速度を適正化する請求項10に記載の画像形成装置を特徴とする。
【0006】
また請求項13に記載の発明は、用紙突入時におけるベルトスリップ量を補正情報として格納する格納手段と、前記ベルトへの用紙搬送時間を検出する用紙搬送時間検出センサと、を備え、前記ベルト駆動速度補正手段は、画像形成における用紙突入時に、前記格納手段に格納された補正情報により、ベルト駆動速度を適正化する請求項10に記載の画像形成装置を特徴とする。
また請求項14に記載の発明は、前記ベルト駆動速度補正手段が、前記ローラを駆動する駆動モータの指令信号を変化させて前記ベルト駆動速度を適正化する請求項10乃至請求項13のいずれか1項に記載の画像形成装置を特徴とする。
また請求項15に記載の発明は、前記ベルト駆動速度補正手段が、前記ローラの間隔を変化させて前記ベルトの張力を調整することにより、前記ベルト駆動速度を適正化する請求項10乃至請求項13のいずれか1項に記載の画像形成装置を特徴とする。
また請求項16に記載の発明は、前記ベルト駆動速度補正手段が、前記ベルトスリップ計測装置により計測されたベルトスリップ量に応じて感光体の駆動速度を変化させることにより相対的に前記ベルト駆動速度を適正化する請求項10乃至請求項13のいずれか1項に記載の画像形成装置を特徴とする。
また請求項17に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のベルトスリップ計測方法をコンピュータに実行させるプログラムであることを特徴とする。
また請求項18に記載の発明は、請求項17に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ローラとベルトに形成した磁気パターンを連続検出して、その磁気パターン検出の電流変化を解析することで、それぞれの速度変動を同時に検出し、さらにスリップ量とその範囲を正確に捉えることができるので、ローラやベルトの幾何的なスリップメカニズム解明に役立つ。
また、そこから得られたパラメータを適正化することで、スリップ現象の発生しない、もしくは小さい画像形成装置設計が可能となるという効果が期待できる。特に同一計測方法でローラとベルトの速度を同時計測することで、計測誤差や計測器誤差を低減できるという効果を強調できる。
本発明によれば、検出されたベルトとローラの速度変動からベルトのスリップ量を算出することで、ベルトのスリップ発生時間/スリップ量という特性値を取得でき、より一層スリップメカニズム解明に役立つという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は本実施形態の4連タンデム方式のフルカラー画像形成装置における作像・転写機構部を示す概略図である。
この図1に示す作像・転写機構部は、感光体1、中間転写ベルト2、駆動ローラ4及び従動ローラ5を備えて構成される。
このような作像・転写機構部の動作としては、感光体1上に静電像が形成され、トナーによって可視像となる。このトナー像を感光体1と中間転写ベルト2の第1転写部3にて中間転写ベルト2に転写する。
中間転写ベルト2は駆動ローラ4及び従動ローラ5によって保持・駆動される。中間転写ベルト2に転写されたトナー像は移動して、第2転写部6にて用紙Pに転写され、用紙P上に画像を形成することになる。
図1の4連タンデムでは、感光体1が4つあり、各感光体1では異なる色画像を形成している(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)。この色画像が中間転写ベルト2上で重ね合わせられて、フルカラー画像を形成し、最終的に用紙Pに転写されることになる。
図2は第1の実施形態としてのベルトスリップ計測装置の概略構成を示す斜視図である。図2において、ベルトスリップ計測装置には計測対象のベルト7と、このベルト7を保持するローラ8を備え、ベルト7及びローラ8上にそれぞれ磁気パターン9a、9bを形成しておく。
さらに、ベルトスリップ計測装置はベルト7上及びローラ8上の各磁気パターン9a、9bを上方から検出する磁気ヘッドユニット(磁気検出手段)10を設置し、この磁気ヘッドユニット10から出力される磁気検出データを格納してベルト7のス六腑量を算出する情報処理装置(PC)11から構成されている。
【0009】
図3は磁気検出の原理を示す概略図である。図3に示すように、磁気パターン9が移動したときに、磁気ヘッドユニット10内のコア12に生じた磁界を打ち消すようにコイル13に流れる電流値を検出する。
図4はベルトスリップ計測装置の計測磁気パターンの第1例を示した模式図である。図5は図4の第1例における磁気ヘッドを流れる電流値変化を示す模式図である。図6はベルトスリップ計測装置の計測磁気パターンの第2例を示す模式図である。図7は図6の第2の例における磁気ヘッドを流れる電流値変化を示す模式図である。
図2及び図3を参照した場合、図4ないし図7において、ベルト7上の磁気パターン9とローラ8上の磁気パターン9の位置が合致していても、いなくとも、各々の電流変化位置は相関を持って変化する。このときの電流値が一定の変化をしていれば磁気パターン9が等速で動いていることを示し、不等速で動いた場合はこの電流値が変化する間隔が変わる。
磁気ヘッドユニット10には、コイル13としてベルト計測用コイルとローラ計測用コイルの2つが設けられている。また、情報処理11は、電流変化を電気的信号として入力可能な機能を付加させたパソコンなどを用いる。
図8はベルト/ローラ上の磁気パターンの検出例を示す概略図である。図8は、例えば、図2において、ベルト7がローラ8に対してスリップを起こし、ローラ8が先に進んでしまったような場合に前記電流値変化がどのように変化するかを示した例である。
点線で囲まれた部分においてベルト7上の磁気パターン9を検出した電流値変化がローラ8上のものより遅れており、すなわち、ローラ8上磁気パターン9の移動量よりもベルト7上磁気パターン9の移動量が遅いことを示している。
ローラ8及びベルト7上に形成する磁気パターン9は細かいほど、微小なスリップを検出することができる。 ローラ8及びベルト7上に形成する磁気パターン9は重ならず、一定間隔を空けて配置するようにして、各々の磁気の影響を受けないように考慮する必要がある。
【0010】
図9はベルトスリップ計測方法における流れを示したフローチャートである。
この場合、先ず、磁気パターン取り込み工程として、最初にスリップを検出する時間分、図2及び図3に示したベルト7とローラ8を駆動させた状態で、ベルト7及びローラ8に形成された磁気パターン9を連続して検出する(S1)。
磁気パターン取り込み工程にて取得したコア電流変化を対象に、磁気パターン位置抽出工程では、ベルト7及びローラ8上の磁気パターン位置を座標として抽出する(S2)。その位置座標を検出時間間隔で割ることで、各磁気パターンの移動速度をグラフ上にプロットする(図10参照)。本プロット工程を速度算出工程と呼ぶ(S3)。
前工程にてベルト7及びローラ8の時系列での速度が判明することから、両者の差が大きく生じているところが、スリップが発生した時間であり、速度差が各経過時間内でのスリップ量となる(図11参照)。
結果的に図11のグラフ上の、ハッチング領域の面積がスリップ量となる。本算出工程をスリップ算出工程と呼ぶ(S4)。
本処理工程を経ることで、スリップの発生した時間と、スリップ量を特性値化することができる。
図10は磁気パターンの移動速度の変動を計測時間に関連してプロットしたグラフで示す図である。図11はベルトスリップ量を計測時間に関連してプロットしたグラフで示す図である。上述のごとく、図10及び図11において、ベルト及びローラの速度差が大きく生じているところが、スリップが発生した時間であり、速度差が各経過時間内でのスリップ量となる。
【0011】
図12は第2の実施形態としてのベルトスリップ計測装置の概略構成を示す斜視図である。図12に示すベルトスリップ計測装置は計測対象のベルト7に位置検出用パターン14を、ベルト7を保持するローラ8に、磁気パターン9をそれぞれ形成している。
ベルトスリップ計測装置は、さらに位置検出用パターン14を上方から検出する撮像装置15と、磁気パターン9を上方から検出する磁気ヘッドユニット10を設置し、撮像装置(情処理報装置)15から出力される画像データと、磁気ヘッドユニット10から出力される磁気検出データに基づいてベルト7のフリップ賞を算出する情処理報装置11から構成されている。
図13は撮像装置によるベルトの駆動状態を検出する計測パターン例を示す概略図である。図12を参照して、磁気検出によるローラ8の駆動状態を検出する方法は第1の実施の形態と同様である。撮像装置15によるベルトの駆動状態を検出する方法は、図13にあるような画像パターン(位置検出パターン)14が移動したときの撮像位置を取得することにより可能である。
【0012】
即ち、図12及び図13を参照して、任意の撮像時間間隔で取得された画像パターン14が一定のズレを示していれば、それはベルト7が等速で移動していることを示し、それが一定で無くなった場合はベルト7が速度変動を起こしたことを示している。
磁気パターン9による検出を行ったローラ8の移動速度結果と、画像パターン14による検出を行ったベルト7の移動速度結果に差異があれば、それがベルトスリップを起こしていることを示している。
ベルト7上に形成する画像パターン14は、前述した磁気パターンの場合と同様に、細かいほど微小なスリップを検出することができる。そのパターンは図13のような円形パターン以外でも、濃度分布として認識可能であれば良く、スリット状や色パターン等、多様な形式が考えられる。また、情処理報装置11は前述した機能に加え、画像情報を処理する機能が付加される。
本実施の形態は、ローラ8において形成した磁気パターン9とベルト7に形成した画像パターン14を連続検出して、それぞれのパターン変化を解析することで、それぞれの速度変動を同時に検出し、さらにスリップ量とその範囲を正確に捉えることができる。
そのため、ローラ8やベルト7の幾何的なスリップメカニズムの解明に役立ち、そこから得られたパラメータを適正化することで、スリップ現象の発生しない、もしくは小さい画像形成装置設計が可能となるという効果が期待できる。特に、同一計測方法でローラ8とベルト7の速度を同時計測することで、計測誤差や計測器誤差を低減できるという効果を強調できる。
【0013】
図14は第2の実施の形態によるベルトスリップ計測方法における流れを説明するフローチャートである。図12及び図14を参照して、ローラ8の移動速度とベルト7の移動速度が、各々同様の処理過程を経て、その結果を合わせてベルトスリップ量を算出する。
図12及び図14を参照して詳述すると、最初にスリップを検出する時間分、ベルト7とローラ8を駆動させた状態で、ベルト7上に及びローラ8上に形成された磁気パターン9及び位置検出パターン14を連続して検出する(磁気パターン取り込み工程)(S10及びS11)。
磁気パターン取り込み工程にて取得したコア電流変化を対象に、磁気パターン位置抽出工程及び位置検出パターン(画像パターン)位置抽出工程では、ベルト7及びローラ8上の磁気パターン位置及び位置検出パターン位置を座標として抽出する(S12及びS13)。
次に、速度算出工程(S14及びS15)にてベルト7及びローラ8の時系列での速度が判明することから、スリップ量算出工程(S16)では、第1の実施形態の場合と同様に、ローラ速度とベルト速度の両者の差が大きく生じているところが、スリップが発生した時間であり、速度差が各経過時間内でのスリップ量となる(図11参照)。
結果的に同じように図11のグラフ上の、ハッチング領域の面積がスリップ量となる。本処理工程を経ることでも、スリップの発生した時間と、スリップ量を特性値化することができる。
検出されたベルト7とローラ8の速度変動からベルト7のスリップ量を算出することで、ベルト7のスリップ発生時間/スリップ量という特性値を取得でき、より一層スリップメカニズム解明に役立つという効果を有する。
【0014】
図15は第3の実施形態としてのベルトスリップ計測装置の概略構成を示す斜視図である。図15において、計測対象のローラ8及びベルト7の、ローラ8軸上で、両端に、磁気パターン9a、9aが形成されており、これを検出する磁気ヘッドユニット10がそれぞれに設けられている。
磁気ヘッドユニット10によって検出された電流変化データは、情処理報装置11に送られ、それを解析することによってスリップ量を算出する。この第3の実施形態のスリップ計測装置では、上記2個所以上の計測ポイントにおいて、前述した方法を用いてベルト7のスリップ量を算出すると同時に、各ポイントにおけるベルト速度差を算出する。
上記計測装置によって、ベルト7の一方にスリップが発生し、左右に速度差が生じたことが計測されれば、ベルト7がローラ8に対して曲って送られている状態を検出していることになる。
第3の実施形態によるベルトスリップ計測装置においては、複数のパターン形成と磁気ヘッドユニットを備えることによって、ベルト7及びローラ8のローラ軸上2個所以上での速度変動及びスリップを同時に計測することができるので、ベルトのスリップだけでなく、ローラ8上でのベルト7そのものの挙動(例えば、曲がりなど)を捉えることができる。結果的にベルトスリップのメカニズム解明に繋がる情報を取得できるという効果が得られる。
なお、本実施形態における磁気パターン9(9a、9b)は、磁気テープをシール部材とした貼り込みや、インクジェットなどの作像装置を用いることにより形成することができる。また磁気パターン9は、等間隔でローラ8やベルト7の送り方向に必要な領域に形成する必要がある。これによって、容易に規則正しい磁気パターン9を形成することを可能とし、正確なベルトスリップ計測を行える。
図16は駆動速度と計測に必要な分解能の関係をグラフで示す概略図である。
図1に示したような画像形成装置において、その画像品質に影響するベルトの速度変動は、ベルトの駆動速度によって変わってくる。
すなわち、本発明のベルトスリップ計測に必要な計測性能も変わってくるのは当然であり、図16に示すように、画像形成装置に必要なローラ/ベルトの駆動速度に比例して、計測に必要な分解能も変化する。高速駆動になればなるほど、高分解能でベルトスリップ計測を行う必要がある。
反対に、低速駆動の場合はその分解能が低くても十分に計測要件を満たすことがあり得る。すなわち、その駆動速度に応じた分解能の磁気パターンとすることで、オーバースペックにならず、ベルトの駆動速度によらない常に同一な条件での計測が可能となる。また、その磁気パターンを任意に形成可能とすることで、多様な駆動機構のベルトスリップ計測を最適な環境で行うことできる。
【0015】
図17は磁気パターンの記録原理を示す概略図である。図17において、記録ヘッド16のコイル17に流れる電流によってコア18が磁化され、ローラまたはベルト表面の磁性体が磁化される。
記録時における記録ヘッド16または記録対象物(ローラまたはベルト)の移動量を可変とすることで、任意の分解能を有する磁気パターンを形成することができる。
例えば、図15のベルトスリップ計測装置において、ベルトスリップ計測を可能とするソフトウエアを、情処理報装置11に記録媒体として搭載する。このようにすると、多数の計測システムを構築するような場合でもその構築を容易にする。
図18は本発明によるベルトスリップ計測装置の第4の実施形態の概略構成を示す斜視図である。図18に示す構成では、画像形成装置内にベルトスリップ計測装置を搭載したものである。
ベルト7上の磁気パターン9は画像形成上において問題とならない端部に生成し、ベルトスリップ計測装置は磁気ヘッドユニット10とスリップ量算出ユニット19から構成される。それらユニットは一体化されても良い。
【0016】
図19は本発明によるベルトスリップ計測装置を備えた画像形成装置の第1の実施形態を示す概略図である。図18の画像形成装置はこのような構成を有しており、ベルトスリップ計測装置にて得られたスリップ量から中間転写ベルトの駆動速度を安定すべく各種の補正情報が算出される。
ここで、画像形成装置は感光体1上に静電像が形成され、トナーによって可視像となる。このトナー像を感光体1と中間転写ベルト2の第1転写部3にて中間転写ベルト2に転写する。
中間転写ベルト2は駆動ローラ4及び従動ローラ5によって保持・駆動される。中間転写ベルト2に転写されたトナー像は移動して、第2転写部6にて用紙Pに転写され、用紙P上に画像を形成することになる。なお、図中10は磁気ヘッドユニット、20はスリップ量・ベルト駆動速度補正演算ユニット(ベルト駆動速度補正手段)を示している。
ベルトスリップが発生した場合には、そのスリップ量によるベルト駆動速度の変動を抑えるように機能し、画像形成する際にそのフィードバックを繰り返し行うことでベルト駆動速度の変動を最小限に留めることができる。
また、スリップによるベルト駆動速度の変動が画像品質上において許容し得ない場合には、画像形成装置を停止して出力エラーとしてユーザに示すとともに、ベルト駆動における設定を再設定する。
即ち、スリップ量が連続的に微小量増減していくような場合にはフィードバックを掛けながら許容値を超えないようにベルト駆動速度を調整し続ければ良いし、何らかの外的要因等で急激なスリップ量変化を発生して画像品質として問題であれば画像形成装置を停止して大幅な調整を行えば良い。
第1の実施形態の画像形成装置においては、画像形成を行う毎にベルトスリップによる駆動速度の変動を抑えることで、それに起因する色ずれ等の画像劣化を低減して高品質な画像形成を実現し得る効果を有する。
また、ベルトスリップによる許容不能な画像劣化をもたらした場合に、その状況を提示するとともにベルトスリップによる駆動速度の変動を抑えることで、それに起因する色ずれ等の画像劣化を低減して高品質な画像形成を実現し得る効果を有する。
【0017】
図20は温湿度センサを備えた本発明による画像形成装置の第2の実施形態を示す概略図である。図20の画像形成の部分は図19の画像形成の部分と同じであるので説明は省略する。
図20において、ベルトスリップ計測装置によって得られた温湿度変化に対するベルトスリップ量変化を補正情報として格納する格納手段としても機能するベルト駆動速度補正演算ユニット22と、温湿度センサ21とを備え、このベルト駆動速度補正演算ユニット22により画像形成における温湿度変化に応じて前記補正情報にてベルト駆動速度を適正化するようにしている。
ベルトスリップを発生させる外的要因の1つとして温湿度変化を想定した場合に、予め温湿度変化とスリップ量の関係を前述したベルトスリップ計測装置にて捉えておき、その情報を画像形成装置内に格納しておけば、図20に示すようにベルトスリップ計測装置を画像形成装置内に搭載しなくとも温湿度センサ21による情報と合わせて現状のスリップ量を予測してベルト駆動速度の調整を可能とし得る。
したがって、画像形成装置の第2の実施形態によれば、外的要因である温湿度変化で生じたベルトスリップの影響による色ずれ等の画像劣化を低減して高品質な画像形成を実現し得る効果を有する。
【0018】
図21は用紙搬送時間検出センサを備えた本発明による画像形成装置の第3の実施形態を示す概略図である。図21の画像形成の部分は図19の画像形成の部分と同じであるので説明は省略する。
図21では、ベルトスリップ計測装置によって得られた用紙突入時におけるベルトスリップ量を補正情報として格納する格納手段としても機能するベルト駆動速度補正演算ユニット22と、前記ベルトへの用紙搬送時間を検出する用紙搬送時間検出センサ23を備え、画像形成における用紙突入時に前記補正情報にてベルト駆動速度を適正化する。
ベルトスリップを発生させる外的要因の1つとして用紙突入におけるショックジターを想定した場合に、予め用紙突入時のスリップ量を前述したベルトスリップ計測装置にて捉えておき、その情報を画像形成装置内に格納しておく。
これによって、図21に示すようにベルトスリップ計測装置を画像形成装置内に搭載しなくとも、第2転写部6から所定の距離に配置された用紙搬送時間を検出する用紙搬送時間検出センサ22で用紙通過を把握することで用紙突入までの時間を予測することが可能であり、その情報と合わせて現状のスリップ量を予測してベルト駆動速度の調整を可能とし得る。
【0019】
図22はベルトスリップに起因するベルト駆動速度の調整をどのように行うかを概念的に示す概略図である。図22には画像形成装置内のどの部分を調整してベルトスリップに起因するベルト駆動速度の調整を行うかを概念的に示している。画像形成装置の構成は図19の画像形成部分と同じであるので全体構成の説明は省略する。
その調整方法として、第1に駆動ローラ4を回転させる駆動モータ(図示せず)の速度指令値を調整することが挙げられる。スリップが発生することによって生じるベルト駆動速度の低下を、モータ回転速度を上げて調整するものである。
第2に、例えば所定の従動ローラ5の位置を変化させてベルト張力を調整することが挙げられる。ベルトの張り具合を変化させてその駆動速度を変えてやるものであるが、この場合には予めローラ位置とベルト駆動速度の関係を把握しておくことが必要である。ローラの位置変化量は微小と考えられるため、PZT(圧電変換器)等の手段により高精度に行うことが可能である。
第3に、感光体1の駆動速度を調整することが挙げられる。感光体1を駆動している駆動モータ(図示せず)の回転速度を変化させて実施する。これは、ベルト駆動速度がスリップの影響で変動したままであるが、ベルト2との相対的な速度が一定であるように感光体1の駆動速度を変化させて第1転写部3で色ずれを発生させないようにするものである。
ただし、このさいには全ての感光体1の駆動速度を正確に変化させる必要がある。この画像形成装置においては、ベルトスリップによる駆動速度の変動を、感光体駆動速度を調整することでベルト上におけるトナー位置への影響を低減し、色ずれ等の画像劣化を低減した高品質な画像形成を実現し得る効果を有する。
本発明は画像形成装置の中間転写ベルトと、この駆動ローラ及び従動ローラに関連して説明したが、本発明は全般的なベルトのスリップ状態の検出手段及びその低減手段としても応用可能である。
【0020】
なお、本発明は、上述した実施形態の各機能をプログラム化し、予めROMのような記録媒体に書き込んでおくようにする。そして、ネットワーク対応周辺機器や外部認証サーバにROMを装着して、そのプログラムをマイクロプロセッサで実行することによって、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
また、この場合、記録媒体から読み出されて実行された状態が上述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体も本発明を構成することになる。
また、上記したようなベルトスリップ計測方法を実行するプログラムは、半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリ等)、光媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD等)、磁気媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等いずれの形態の記録媒体で提供されてもよい。あるいは、ネットワーク等の通信網を介して記憶装置に格納されたプログラムをサーバコンピュータから直接供給を受けるようにしてもよい。この場合、このサーバコンピュータの記憶装置も本発明の記録媒体に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態としての4連タンデム方式のフルカラー画像形成装置における作像・転写機構部を示す概略図である。
【図2】第1の実施形態としてのベルトスリップ計測装置の概略構成を示す斜視図である。
【図3】磁気検出の原理を示す概略図である。
【図4】ベルトスリップ計測装置の計測磁気パターンの第1例を示す模式図である。
【図5】第1例における磁気ヘッドを流れる電流値変化を示す模式図である。
【図6】ベルトスリップ計測装置の計測磁気パターンの第2例を示す模式図である。
【図7】図6における磁気ヘッドを流れる電流値変化を示す模式図である。
【図8】ベルト/ローラ上の磁気パターンの検出例を示す概略図である。
【図9】ベルトスリップ計測方法における流れを説明するフローチャートである。
【図10】ベルト/ローラ上の磁気パターンの移動速度の変動を計測時間に関連してプロットしたグラフ図である。
【図11】ベルトスリップ量を計測時間に関連してプロットしたグラフ図である。
【図12】第2の実施形態に係るベルトスリップ計測装置の概略構成を示す斜視図である。
【図13】撮像装置によるベルトの駆動状態を検出する計測パターン例を示す概略図である。
【図14】第2の実施形態によるベルトスリップ計測方法における流れを説明するフローチャートである。
【図15】第3の実施形態に係るベルトスリップ計測装置の概略構成を示す斜視図である。
【図16】駆動速度と計測に必要な分解能の関係をグラフで示す概略図である。
【図17】磁気パターンの記録原理を示す概略図である。
【図18】第4の実施形態に係るベルトスリップ計測装置の概略構成を示す斜視図である。
【図19】本実施形態のベルトスリップ計測装置を備えた画像形成装置の第1の実施形態を示す概略図である。
【図20】温湿度センサを備えた画像形成装置の第2の実施形態を示す概略図である。
【図21】用紙搬送時間検出センサを備えた画像形成装置の第3の実施形態を示す概略図である。
【図22】ベルトスリップに起因するベルト駆動速度の調整をどのように行うかを概念的に示す概略図である。
【符号の説明】
【0022】
1 感光体、2 中間転写ベルト、4 駆動ローラ、5 従動ローラ、7 ベルト(例えば、中間転写ベルト)、8 ローラ(例えば、駆動ローラ、従動ローラ)、9 9a 9b 磁気パターン、10 磁気ヘッドユニット、11 情処理報装置、14 位置検出パターン(画像パターン)、15 撮影装置、16 記録ヘッド、17 コイル、18 コア、19 スリップ量算出ユニット、20 スリップ量・ベルト駆動速度補正算出ユニット、21 温湿度センサ、22 ベルト駆動速度補正算出ユニット、23 用紙搬送時間検出センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラにより駆動されるベルトと、前記ローラと前記ベルトとの間で発生するスリップを計測するベルトスリップ計測方法であって、前記ベルト上に形成した磁気パターンと前記ローラ上に形成した磁気パターンとから、前記ベルト及び前記ローラの速度を算出する速度算出工程と、該速度算出工程により得られる前記ベルトと前記ローラの速度差からスリップ時間とスリップ量を算出するスリップ算出工程と、からなることを特徴とするベルトスリップ計測方法。
【請求項2】
ローラにより駆動されるベルトと、前記ローラと前記ベルトとの間で発生するスリップを計測するベルトスリップ計測方法であって、前記ベルト上に形成した画像パターンと前記ローラ上に形成した磁気パターンとから、前記ベルト及び前記ローラの速度を算出する速度算出工程と、該速度算出工程により得られる前記ベルトと前記ローラの速度差からスリップ時間とスリップ量を算出するスリップ算出工程と、からなることを特徴とするベルトスリップ計測方法。
【請求項3】
ローラにより駆動されるベルトと、前記ローラと前記ベルトとの間で発生するスリップを計測するベルトスリップ計測装置であって、前記ベルト上に形成した磁気パターンと、前記ローラ上に形成した磁気パターンをそれぞれ検出する磁気検出手段と、該磁気検出手段により検出された磁気データに基づいて、前記ベルトのスリップ量を算出する算出手段と、を備えることを特徴とするベルトスリップ計測装置。
【請求項4】
ローラにより駆動されるベルトと、前記ローラと前記ベルトとの間で発生するスリップを計測するベルトスリップ計測装置であって、前記ベルト上に形成した画像パターンを検出する画像検出手段と、前記ローラ上に形成した磁気パターンを検出する磁気検出手段と、前記画像検出手段により検出された画像データと前記磁気検出手段により検出された磁気データに基づいて、前記ベルトのスリップ量を算出する算出手段と、を備えることを特徴とするベルトスリップ計測装置。
【請求項5】
前記ベルト及び前記ローラ上のローラ軸方向に、少なくとも2個所以上のパターンを形成し、前記算出手段により、前記ローラ上における前記ベルトの挙動を計測することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のベルトスリップ計測装置。
【請求項6】
前記磁気パターンは磁気テープ構造であることを特徴とする請求項3乃至請求項5の何れか1項に記載のベルトスリップ計測装置。
【請求項7】
前記磁気パターンは、磁性インキによるインクジェットによって形成されることを特徴とする3乃至請求項5の何れか1項に記載のベルトスリップ計測装置。
【請求項8】
前記磁気パターンは、前記ベルト及び前記ローラの駆動速度に応じたパターンであることを特徴とする請求項3乃至請求項7の何れか1項に記載のベルトスリップ計測装置。
【請求項9】
前記磁気パターンを前記ベルト及び前記ローラの駆動速度に応じた磁気パターンに記録し直す記録ヘッドを備えることを特徴とする請求項3乃至請求項7の何れか1項に記載のベルトスリップ計測装置。
【請求項10】
請求項3乃至請求項9の何れか1項に記載のベルトスリップ計測装置と、該ベルトスリップ計測装置により計測されたベルトスリップ量に応じて前記ベルトの駆動速度を最適化する補正を行うベルト駆動速度補正手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記ベルト駆動速度補正手段は、許容範囲を超えるベルトスリップ量が計測された際には画像形成を停止して、当該ベルトスリップ量に応じて前記ベルトの駆動速度を最適化することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
温湿度センサと、温湿度変化に対するベルトスリップ量の変化を補正情報として格納する格納手段と、を備え、前記ベルト駆動速度補正手段は、画像形成における温湿度変化と、前記格納手段に格納された補正情報により、ベルト駆動速度を適正化することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項13】
用紙突入時におけるベルトスリップ量を補正情報として格納する格納手段と、前記ベルトへの用紙搬送時間を検出する用紙搬送時間検出センサと、を備え、前記ベルト駆動速度補正手段は、画像形成における用紙突入時に、前記格納手段に格納された補正情報により、ベルト駆動速度を適正化することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記ベルト駆動速度補正手段は、前記ローラを駆動する駆動モータの指令信号を変化させて前記ベルト駆動速度を適正化することを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記ベルト駆動速度補正手段は、前記ローラの間隔を変化させて前記ベルトの張力を調整することにより、前記ベルト駆動速度を適正化することを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記ベルト駆動速度補正手段は、前記ベルトスリップ計測装置により計測されたベルトスリップ量に応じて感光体の駆動速度を変化させることにより相対的に前記ベルト駆動速度を適正化することを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項17】
請求項1または請求項2に記載のベルトスリップ計測方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項18】
請求項17に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
ローラにより駆動されるベルトと、前記ローラと前記ベルトとの間で発生するスリップを計測するベルトスリップ計測方法であって、前記ベルト上に形成した磁気パターンと前記ローラ上に形成した磁気パターンとから、前記ベルト及び前記ローラの速度を算出する速度算出工程と、該速度算出工程により得られる前記ベルトと前記ローラの速度差からスリップ時間とスリップ量を算出するスリップ算出工程と、からなることを特徴とするベルトスリップ計測方法。
【請求項2】
ローラにより駆動されるベルトと、前記ローラと前記ベルトとの間で発生するスリップを計測するベルトスリップ計測方法であって、前記ベルト上に形成した画像パターンと前記ローラ上に形成した磁気パターンとから、前記ベルト及び前記ローラの速度を算出する速度算出工程と、該速度算出工程により得られる前記ベルトと前記ローラの速度差からスリップ時間とスリップ量を算出するスリップ算出工程と、からなることを特徴とするベルトスリップ計測方法。
【請求項3】
ローラにより駆動されるベルトと、前記ローラと前記ベルトとの間で発生するスリップを計測するベルトスリップ計測装置であって、前記ベルト上に形成した磁気パターンと、前記ローラ上に形成した磁気パターンをそれぞれ検出する磁気検出手段と、該磁気検出手段により検出された磁気データに基づいて、前記ベルトのスリップ量を算出する算出手段と、を備えることを特徴とするベルトスリップ計測装置。
【請求項4】
ローラにより駆動されるベルトと、前記ローラと前記ベルトとの間で発生するスリップを計測するベルトスリップ計測装置であって、前記ベルト上に形成した画像パターンを検出する画像検出手段と、前記ローラ上に形成した磁気パターンを検出する磁気検出手段と、前記画像検出手段により検出された画像データと前記磁気検出手段により検出された磁気データに基づいて、前記ベルトのスリップ量を算出する算出手段と、を備えることを特徴とするベルトスリップ計測装置。
【請求項5】
前記ベルト及び前記ローラ上のローラ軸方向に、少なくとも2個所以上のパターンを形成し、前記算出手段により、前記ローラ上における前記ベルトの挙動を計測することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のベルトスリップ計測装置。
【請求項6】
前記磁気パターンは磁気テープ構造であることを特徴とする請求項3乃至請求項5の何れか1項に記載のベルトスリップ計測装置。
【請求項7】
前記磁気パターンは、磁性インキによるインクジェットによって形成されることを特徴とする3乃至請求項5の何れか1項に記載のベルトスリップ計測装置。
【請求項8】
前記磁気パターンは、前記ベルト及び前記ローラの駆動速度に応じたパターンであることを特徴とする請求項3乃至請求項7の何れか1項に記載のベルトスリップ計測装置。
【請求項9】
前記磁気パターンを前記ベルト及び前記ローラの駆動速度に応じた磁気パターンに記録し直す記録ヘッドを備えることを特徴とする請求項3乃至請求項7の何れか1項に記載のベルトスリップ計測装置。
【請求項10】
請求項3乃至請求項9の何れか1項に記載のベルトスリップ計測装置と、該ベルトスリップ計測装置により計測されたベルトスリップ量に応じて前記ベルトの駆動速度を最適化する補正を行うベルト駆動速度補正手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記ベルト駆動速度補正手段は、許容範囲を超えるベルトスリップ量が計測された際には画像形成を停止して、当該ベルトスリップ量に応じて前記ベルトの駆動速度を最適化することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
温湿度センサと、温湿度変化に対するベルトスリップ量の変化を補正情報として格納する格納手段と、を備え、前記ベルト駆動速度補正手段は、画像形成における温湿度変化と、前記格納手段に格納された補正情報により、ベルト駆動速度を適正化することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項13】
用紙突入時におけるベルトスリップ量を補正情報として格納する格納手段と、前記ベルトへの用紙搬送時間を検出する用紙搬送時間検出センサと、を備え、前記ベルト駆動速度補正手段は、画像形成における用紙突入時に、前記格納手段に格納された補正情報により、ベルト駆動速度を適正化することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記ベルト駆動速度補正手段は、前記ローラを駆動する駆動モータの指令信号を変化させて前記ベルト駆動速度を適正化することを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記ベルト駆動速度補正手段は、前記ローラの間隔を変化させて前記ベルトの張力を調整することにより、前記ベルト駆動速度を適正化することを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記ベルト駆動速度補正手段は、前記ベルトスリップ計測装置により計測されたベルトスリップ量に応じて感光体の駆動速度を変化させることにより相対的に前記ベルト駆動速度を適正化することを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項17】
請求項1または請求項2に記載のベルトスリップ計測方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項18】
請求項17に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2006−171029(P2006−171029A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−359180(P2004−359180)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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