説明

ベルトテンショナおよび組み立て方法

【構成】第1ベルトテンショナは、アーム(14、112、212)、ばねケース(16、114、214)、コイルばね(12、116、216)およびアームプレート(118、218)からなる。アーム(14、112、212)がアイドラプーリ(20、120、220)を支持し、このアームがフック部分(22、122、222)を有する。第1ばねシート(124)を有するばねケース(16、114、214)をアーム(14、112、212)内に設ける。ばねケース(16、114、214)内にばね(12、116、216)を設ける。アームプレート(118、218)は、第2ばねシート(132、232)を有する。アームプレート(118、218)とばねケース(16、114、214)との間でばね(12、116、216)を長手方向に圧縮する。ばね(12、116、216)にはトーションが発生し、ばね(12、116、216)の端部(18;128,130;230)が対応するばねシート(124、132)に対して着座し、アームプレート(118、218)がフック部分(22、122、222)の下に回転配置する。第1ベルトテンショナ(110、210)の組み立て方法では、アームプレート(118、218)を使用してばね(116、216)を長手方向に圧縮し、そしてアームプレート(118、218)を回転する。第2ベルトテンショナ(10、110、210)は、アーム(14、112、212)、ばねケース(16、114、214)、コイルばね(12、116、216)、アームプレート(118、218)およびピボットブッシュ(24、148,248)からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全体としてはテンショナ装置に関するもので、具体的には、ベルトテンショナおよびベルトテンショナの組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車工業では、ベルトが通常の磨耗により長さが変化するさい、あるいはスパン速度差によるスパン長さの変化により長さが変化するさい、ベルトに全体として一定の張力が作用するようにベルトテンショナを利用している。なお、ベルトは、エンジンの出力シャフトから一つの駆動プーリによって駆動し、かつそれぞれが自動車付属品を動かす駆動プーリを回転するものである。公知設計の場合、ベルトテンショナは、平巻きばねかヘリカルばねのいずれかと、ばねケースと、そしてアームとを有する。ばねの一端をばねケースに取り付け、そして他端をアームに取り付ける。ばねのトルク作用時に、アームがばねケースに対して回動する。このばねケースをエンジンに取り付け、そしてアイドラプーリをアームに取り付ける。ばねケースに対してアームを捻り、ばねに予め負荷をかける。次に、アーム上のアイドラプーリをベルトに係合する。ベルトスパンが長くなると、予め負荷をかけたばねからのトルクが作用し、アームのアイドラプーリが、ベルトに圧力をかけ、ベルトを張力状態に維持する。
【0003】
USP5,772,549に開示されている一つの公知構成の場合、ヘリカルばねは、ばねテンショナのアームの第1ねじ形路に第1端部をねじ込み、そしてばねケースの第2ねじ形路に第2端部をねじ込む。ばねには張力が作用しているため、アームがばねケースに対して回転できる状態で、ばねが各部品を保持する。アームの一部とばねケースの一部との間でばねの内側に円錐形ブッシュを設けているため、ばねケースに対するアームの回転がスムーズになる。この構成は、汚染しやすい上に、ばねの構成がモーメント荷重を発生する。
【0004】
一方、ベルトテンショナの一つの公知例の場合、1/2”や3/8”レバレッジやラチェットあるいは同種のレンチの場合にしばしば共通して見られるように、アイドラプーリの正方形孔に正方形のヘッドを係合して、アームをリフトしている(予め負荷をかけている)。また、別な公知例では、アイドラプーリをアームのポストに取り付けている。なお、この例では、ポストは、半径方向外側に、アイドラプーリのベアリングを超えて変形し、ラジアルリベット継ぎ手を形成してアームに対してアイドラプーリを保持する環状リムを有する。
【0005】
また、一つの公知方法の場合、第1セクションおよび第2セクションをもつ鋳型を使用してアームを注型し、そして第1セグメントおよび第2セグメントをもつ鋳型を使用してばねケースを注型している。この方法では、アイドラプーリのベアリングのアームシートからばねケースのエンジン搭載面までのベルトテンショナ路が、第1セグメントおよび第2セグメントの分割線に対応するばねケース上の線と交差している。
【特許文献1】USP5,772,549
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、依然として、改良ベルトテンショナが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の第1実施態様は、ベルトテンショナアーム、ベルトテンショナばねケース、ベルトテンショナコイルばねおよびアームプレートからなるベルトテンショナである。アームがアイドラプーリを支持するもので、フック部分を有する。このアーム内に設けたばねケースが、第1ばねシートを有する。このばねケースに設けたばねは、長手軸線と、長手方向に離間配置した第1端部および第2端部を有する。長手軸線の周りで回転できるアームプレートは、第2ばねシートを有する。アームプレートとばねケースとの間で、ばねを長手方向に圧縮する。ばねにはトーションが発生し、ばねケースの第1ばねシートに対して第1端部が回転着座し、アームプレートの第2ばねシートに対して第2端部が回転着座する。そして、アームのフック部分の下にアームプレートを回転配置するので、少なくとも長手方向圧縮ばね力によってベルトテンショナを固定できる。
【0008】
本発明の方法は、前記ベルトテンショナの組み立て方法であり、以下のいくつかのステップからなる。第1ステップで、アームにばねケースを設ける。第2ステップで、ばねケース内にばねを設ける。第3ステップで、アームプレートを使用してばねを長手方向に圧縮し、そしてばねにトーションが発生するまで、アームプレートを回転させる。この場合、第1端部が第1ばねシートに係合し、第2端部が第2ばねシートに係合し、そしてアームプレートがフック部分の内向き方向に長手方向に挿通する。第4ステップで、アームプレートを回転して第2端部のばねのトーションの一部を解放し、アームプレートをフック部分の下に回転係合する。第5ステップで、アームプレートを使用して、アームプレートがフック部分の下に取り込まれるまで、ばねの長手方向圧縮力の一部を解放する。
【0009】
ベルトテンショナの一態様の第2実施態様は、ベルトテンショナアーム、ベルトテンショナばねケース、ベルトテンショナコイルばね、アームプレートおよびピボットブッシュからなるベルトテンショナである。アームが、アイドラプーリを支持する。アーム内にばねケースを設ける。このばねケース内にばねを設ける。アームプレートとばねケースとの間でばねを長手方向に圧縮する。ばねの周りを取り囲むピボットブッシュは、実質的に外側または内側にフレア加工した円錐形部分および実質的に直径が一定の円筒形部分を有する。
【0010】
本発明の態様および方法の実施態様の一つまたは二つ以上は、以下のようないくつかの作用効果をもつ。トーションが発生している長手方向圧縮ばね、アームのフック部分、ばねケースの第1ばねシート、およびアームプレートの第2ばねシートがあるため、組み立て工具を使用することなく、ベルトテンショナの組み立て、分解を実施できる。同じまたは異なる実施例では、ピボットブッシュに実質的に外側または内側にフレア加工した円錐形部分および実質的に直径が一定の円筒形部分を設けてあるため、当業者ならば理解できるように、(円錐形部分による)オフセット/減衰制御および(円筒形部分による)アラインメント案内を改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施態様の以下の説明を読めば、本発明の特徴および作用効果を理解できるはずである。
【0012】
図1、2および3に、本発明の一態様を示す。図1〜3に示した態様の第1実施態様は、ベルトテンショナヘリカルばね12、ベルトテンショナアーム14、およびベルトテンショナばねケース16で構成されるベルトテンショナ10の実施態様である。このベルトテンショナヘリカルばね12は、内側に突出する第1端部および第2端部を有する。ヘリカルばね12の第1端部18のみを図示してある。即ち、一つの実施例では、第2端部は第1端部18と実質的に同じである。ベルトテンショナアーム14は、アイドラプーリ20を支持するもので、第1フック部分22を有する。アーム14の第1フック部分22によってヘリカルばね12の第1端部18を保持する。ベルトテンショナばねケース16は第2フック部分を有する。アーム14の第1フック部分22のみを図示してある。即ち、一つの実施例では、ばねケース16の第2フック部分は、アーム14の第1フック部分22と機能が実質的に同じである。ばねケース16の第2フック部分によってヘリカルばね12の第2端部を保持するため、少なくとも長手方向の圧縮ばね力によってベルトテンショナ10を固定できる(ある実施例の場合には、これだけで固定できる)。なお、当業者ならば理解できるように、ばね中子(即ち、端部(tang))は向きが内向きであるため、自動的にモーメントがゼロのばね力が発生する。
【0013】
図1〜3に示した態様の第1実施態様の構成では、ヘリカルばね12の第1端部18および第2端部がそれぞれ実質的に半径方向内側に入り込んでいる。別な構成例では、ばねの内径を規定する長手軸線23の周りにヘリカルばね12を巻きつけ、ヘリカルばね12の第1端部18の先端をヘリカルばね12の内径よりも長手軸線23により近く設定する。
【0014】
図1〜3に示した態様の一つの実施例では、ヘリカルばね12が張力状態にある。なお、ヘリカルばね12の制御された軸方向ストレッチが、一実施例では、(後述する)アライメント制御ピボットブッシュに力を持続して作用させ、ばね張力が持続してピボットブッシュに力を加えるため、ピボットブッシュが使用時に磨り減り薄くなっても、減衰制御およびアライメント制御を持続して実施できる。図1〜3に示した態様の第1実施態様では、ヘリカルばね12は巻き上げると、回転して引っ張られる。このため、ヘリカルばね12は巻上げ時に短くなり、接触圧力が小さくなり、一つの実施例では、ピボットブッシュに接触する。一つの変形実施例では、これを最適化して、製品機能を改善する。図1〜3に示した態様の第1実施態様の別な応用例(鏡的コイル/フック構成)では、ヘリカルばね12は巻上げ時に回転して押出される。このため、軸方向力が強くなり、この強い力が、一つの実施例では、ピボットブッシュに作用し、当業者ならば理解できるように、所定レベルの位置非対称の減衰を可能にする。いずれの実施例でも、ヘリカルばね12は、ラウンドワイヤばねである。
【0015】
図1〜3に示した態様の第1実施態様の場合、ベルトテンショナ10は、ピボットブッシュ24をアーム14とばねケース16との間に設けるとともに、これらに接触させ、かつヘリカルばね12の周囲を囲むように構成する。一つの別な変形例では、ヘリカルばね12が張力状態にあり、ばねケース16がブロック面を持つ突起58を備え、アーム14がブロック面64をもつロック部分60を備えている。そして、これらロック部分60および突起58の少なくとも一つが、リード傾斜面(またはランプ面)62を備えている。従って、突起58のブロック面がロック部分60のブロック面64に係合するため、ヘリカルばね12それ自体の巻き戻し、あるいはベルトテンショナ10の分解が起きることはない。当業者ならば理解できるように、この実施例の場合、ベルトテンショナ10の組み立てを一回の動作で自己ロック方法によって実施できる。一つの実施例では、自己ロック方法で実質的に一貫してばねを位置決めできるため、ばねの遊びがなくなり、この遊びによってトルクがバラツクことはない。
【0016】
一つの別な実施例では、ピボットブッシュ24は、実質的に外側に、あるいは内側にフレア加工した円錐形部分26および実質的に直径が一定な円筒形部分28を有する。一つの構成例では、円筒形部分28よりもヘリカルばね12の第1端部18に近づけて円錐形部分26を設ける。また、別な構成例では、図示しないが、円筒形部分よりもばねの第2端部に近づけて円錐形部分を設ける。一つの応用例では、アーム14とばねケース16との半径方向の間に円錐形部分26および円筒形部分28を設けるとともに、これらに接触させる。この構成では、磨耗と荷重との関係を改善できる。円錐形部分26の水平部分が、面積が大きくなるとともに生じるオフセット変化を最小限に抑え、そして円錐形部分26の垂直部分が、当業者ならば理解できるように、円筒形部分28と連動してアライメントガイドの役目を果たす。
【0017】
一つの例では、ベルトテンショナ10は、さらに、アイドラプーリ20をアーム14によって支持する。この場合、ピボットブッシュ24は、(図3にドット30で示す)重心を有し、そしてアイドラプーリ20は、(点線32で示す)ベルト荷重面を有する。また、上記重心30はベルト荷重面32に近接配置する。一つの構成例では、重心30は、実質的にベルト荷重面32内に存在する。ブッシュが実質的にベルト荷重面内に重心をもつと、モーメント荷重が最小になる。
【0018】
一つの構成例では、ばねケース16がケースリム34を有し、そしてピボットブッシュ24の円錐形部分26をケースリム34に近接配置する。ピボットブッシュ24を半径方向の最も外側の位置に設けると、利用できる環状磨耗面を十分に利用できる。
【0019】
次に、図1〜3の態様の第1実施態様のベルトテンショナ10を組み立てる方法について説明する。この方法では、ヘリカルばね12を巻上げ時に回転して引っ張り、そしてばねケース16の第2フック部分を傾斜面にする。即ち、本発明の組み立て方法は、ステップa)、b)およびc)からなる。ステップa)で、ヘリカルばね12の第1端部18をアーム14に接触配置する。ステップb)で、ヘリカルばね12の第2端部をばねケース16に接触配置する。ステップc)で、アーム14およびばねケース16を相対的に捻り、第1端部18をアーム14の第1フック部分22の下に、そして第2端部をばねケース16の第2フック部分の下に取り込み、そしてヘリカルばね12に張力をかける。一つの変形例では、ばねケース16に突起58を形成し、そしてアーム14にロック部分60を形成することによって逆回転を防止する。このロック部分60はリーディング傾斜面62およびブロック面64を有する。ステップc)時に、突起58が傾斜面62を乗り越え、ロック部分60のブロック面64にそって下がる。この場合も、突起58がロック部分60のブロック面64に係合するため逆回転を起こらない。また、ばねケース16およびアーム14を所定距離引き離し、突起58がロック部分60のブロック64から離れると、逆方向に回転できるため、分解することができる。この変形例では、アーム14とばねケース16とが自動的にロックする。アームおよびばねケース上に自動ロック式中子があるため、素早く、強固な組み立てを担保できる。(アームに突起を設け、および/または突起に傾斜を付けるなどの自動ロック)を与える他の構成については、当業者ならば理解できるはずである。異なる変形例では、ファスナーを使用して、第1端部18および第2端部を長手方向に取り込んだ後、アーム14およびばねケース16を固定すると、逆回転および分解を防止できる。
【0020】
図1、2および3に示す態様の第2実施態様は、ベルトテンショナばね(例えば、ヘリカルばね12)、ベルトテンショナアーム14、ベルトテンショナばねケース16およびピボットブッシュ24からなるベルトテンショナ10である。このベルトテンショナばね(例えば、ヘリカルばね12)は第1端部18および第2端部を有する。ベルトテンショナアーム14は、ばね(例えば、ヘリカルばね12)の第1端部18に接触し、アイドラプーリ20を支持するものである。ベルトテンショナばねケース16は、ばね(例えば、ヘリカルばね12)の第2端部に接触する。ピボットブッシュ24がばね(例えば、ヘリカルばね12)の周囲を囲み、外側にフレア加工した円錐形部分26および実質的に直径が一定円筒形部分28を有する。
【0021】
図1〜3に示した態様の第2実施態様の一つの実施例では、円筒形部分28よりもばね(例えば、ヘリカルばね12)の第1端部18に近づけて円錐形部分26を配置する。図しない別な例では、円筒形部分よりもばねの第2端部18に近づけて円錐形部分を配置する。一つの構成例では、ばねとしてヘリカルばね12を使用する。図示しない別な構成例の場合、ばねとして、平巻きばねを使用する。図1〜3に示した態様の第2実施態様の一つの構成例では、円錐形部分26は、外側にフレア加工する。図示しない別な構成例では、円錐形部分は内側にフレア加工する。
【0022】
図1〜3に示した態様の第2実施態様を実施するさいには、アーム14とばねケース16との間に半径方向に円錐形部分26および円筒形部分28を設けるとともに、これらに接触させる。一つの変形例では、ベルトテンショナ10は、さらに、アイドラプーリ20をアーム14によって支持する。この場合、ピボットブッシュ24は、重心30を有し、アイドラプーリ20がベルト荷重面32を有し、この重心30をベルト荷重面32に近接配置する。一つの変形例では、重心30をベルト荷重面32内に実質的に設定し、モーメント荷重を減少させる。
【0023】
図1〜3に示した態様の第2実施態様の構成例では、ばねケース16がケースリム34を有し、円錐形部分26をケースリム34に近接配置する。図1〜3に示し実施態様の第2実施態様の別な構成例では、ベルトテンショナ10において、ばねケース16とピボットブッシュ24との間およびアーム14とピボットブッシュ24との間にギャップを実質的に設けない。このようにピボットブッシュ24を配置すると、当業者ならば理解できるように、ピボットブッシュ24が、ベルトテンショナ10に汚染物が侵入することを防止するシール装置として機能できる。
【0024】
図1〜3に示した態様の第1実施態様の実例、方法などは、図1〜3に示した態様の第2実施態様にも同じように応用することができる。
【0025】
図1〜3に示した態様の第3実施態様は、アイドラプーリ20およびベルトテンショナアーム14からなるベルトテンショナ10である。アイドラプーリ20のベアリング36は、長手方向軸線40をもつ取り付け孔38を有する。ベルトテンショナアーム14は、ポスト42を有する。このポスト42の場合、アイドラプーリ20のベアリング36の取り付け孔38内に装入し、ベアリング36を超えて長手方向に延長する。ポスト42の環状リム44は半径方向外側に、アイドラプーリ20のベアリング36上で変形し、半径方向リベット継ぎ手を形成する。環状リム44の下長手方向に設けたポスト42の非円形孔部分46が、ベルトテンショナのアームリフト工具(図示省略)に係合する。一つの構成例では、非円形孔部分46は、星形オリフィス(例えば、六角形の内部駆動系を対象とするISOスタンダード10664に規定されているオリフィス)であり、そして非円形ヘッドは、星形ヘッド(例えば、TORX(登録商標)ヘッド)である。図示しない別な構成例の場合、非円形孔部分の形状は、多角形、六角形、スロット形である。この第3実施態様を実施するさい、ベルトテンショナのアームリフト工具としては、レンチ、例えばラチェットや同種のレンチを使用することができる。ポスト42に環状リム44があるため、半径方向リベット継ぎ手によって、(アイドラプーリ20のベアリング36の上で環状リム44を変形するだけで)アイドラプーリ20をポストに組み付けることができ、ボルトを使用する必要がない。また、環状リム44の下にポスト42の非円形孔部分46(例えば、星形オリフィス)があるため、例えば、TORX(登録商標)ヘッドまたは六角形ヘッドを備えたラチェットまたは同種のレンチを使用して、(例えば、ばねケース16を自動車エンジンに取り付けるさいに)既に組み立てられた状態にあるベルトテンショナ10のアーム14をリフト(回転)させることができる。このように、ポスト42を使用すると、アーム14をリフトするリフトラグ(lift−lug)形状およびアイドラプーリ20のベアリング36を固定する半径方向リベット継ぎ手の両者を設けるスペースを節約できる。
【0026】
図1〜3に示した態様のうち第1および/または第2実施態様の実例、方法などは、図1〜3に示した態様の第3実施態様にも同じように応用することができる。
【0027】
本発明の方法は、ベルトテンショナ10のアーム14およびばねケース16を製造する方法である。アーム14は、アイドラプーリ20のベアリング36を支持するベアリングシート48を有し、そしてピボットブッシュ24を支持するアーム対ブッシュ取り付け面50を有する。ばねケース16は、ベルトテンショナ取り付け面をもつ耳部(取り付け孔56を有するばねケースの突起部分)を有する(図1に、耳部の長手方向に向いた面を示してある)。本発明方法は、以下のステップからなる。第1ステップで、第1セクションおよび第2セクションを有するベルトテンショナアーム注型鋳型(図示省略)を準備する。なお、第1セクションは、ベアリングシート48を注型する第1表面部分およびアーム対ブッシュ取り付け面50を注型する第2表面部分を有する。第2ステップで、分割線にそって第1セクションおよび第2セクションを共に配置する。第3ステップで、既に配置した第1セクションおよび第2セクションを使用して、アーム14を注型する。第4ステップで、第1セグメントおよび第2セグメントを有するベルトテンショナのばねケース注型鋳型(図示省略)を準備する。なお、第1セグメントは、耳部のベルトテンショナ取り付け面を注型する表面部分を有する。第5ステップで、分割線にそって第1セクションおよび第2セクションを共に配置する。第6ステップで、既に配置した第1セグメントおよび第2セグメントを使用してばねケース16を注型する。なお、ベアリングシート48からベルトテンショナ取り付け面に至るベルトテンショナ10のベルトテンショナ路は、第1セクションおよび第2セクションの分割線に対応するアーム14上の線とは交差せず、また第1セグメントおよび第2セグメントの分割線に対応するばねケース16上の線とは交差しない。
【0028】
本発明方法を実施するさい、アーム注型ステップでは、既に配置されている第1セクションおよび第2セクションのみを使用する(即ち、他の鋳型セクションは使用しない)。また、同じ、あるいは異なる実施の態様では、ばねケース注型ステップで、既に配置されている第1セグメントおよび第2セグメントのみを使用する(即ち、他の鋳型セグメントは使用しない)。また、同じ、あるいは異なる実施の態様では、ベルトテンショナ取り付け面は、エンジンに接触した状態で取り付けることが可能である。
【0029】
なお、ベアリングシート48からベルトテンショナ取り付け面に至るベルトテンショナのベルトテンショナ路は、第1セクションおよび第2セクションの分割線に対応するアーム14上の線とは交差せず、また第1セグメントおよび第2セグメントの分割線に対応するばねケース16上の線とは交差しないように構成してあるため、オフセットおよびアラインメントへの注型作用を最小限に抑えることができる。
【0030】
一つの変形構成例では、分割線に交差するかどうかに応じて、ばねケース16の耳部のベルトテンショナ取り付け面を、ピボットブッシュ24に接触するばねケース16の表面と同じベルトテンショナばねケースの注型鋳型のセグメントに設定すると、ピボットブッシュ24に作用する曲げモーメントを小さくでき、従ってピンチに関係する磨耗を緩和できる上に、ハブ荷重を直線化できるため、アーム/プラー組み立てオフセットの蓄積を最小限に抑えることができる。
【0031】
図1〜3に示した態様のうち第1、第2および第3実施態様のうちいずれか一つ、あるいは二つ、あるいは全ての一つの設計例では、アーム10が第1端部キャップ52を有し、そしてばねケース16が第2端部キャップ54を有するとともに、例えば自動車またはヘビーデューティ燃焼エンジンに取り付けるための取り付け孔56を有する。ベルトテンショナ10の自動車以外への応用は、当業者次第である。
【0032】
図1〜3に示した態様および方法の実施態様のうち一つまたはそれ以上は、いくつかの作用効果を示す。ベルトテンショナのヘリカルばねの第1端部および第2端部を内側に突出させているため、面外荷重、または組み立て力からの結合がなくなる。また、実質的に外側または内側にフレア加工した円錐形部分および実質的に直径が一定の円筒形部分を有するピボットブッシュを使用しているため、(円錐形部分による)オフセット制御を改善でき、また(円筒形部分による)アライメント案内を改善できる。ベルトテンショナが、環状リムを有し、また環状リムの下に非円形孔部分を有するポストを有しているため、半径方向リベット継ぎ手によりアイドラプーリをポストに固定でき、またベルトテンショナアームのリフト工具によってポストの非円形孔部分へのアクセスが可能になり、アームをリフトでき、従ってアームをベルトに押し付けることができ、ベルトに張力を発生することになる。一つの実施例では、ピボットブッシュの重心を本質的にベルト加重面内に設定しているため、ブッシュ自体へのモーメント荷重が最小になる。同じまたは異なる実施例では、アームおよびばねケースにロックフックを設けるため、組み立てを迅速かつ耐久性よく実現でき、また係合が強固なため、タング移動からの残留トルククリープが最小になる。また、当業者ならば理解できるように、ベアリングシートからベルトテンショナ取り付け面に至るベルトテンショナのベルトテンショナ路は、第1セクションおよび第2セクションの分割線に対応するアーム上の線とは交差せず、また第1セグメントおよび第2セグメントの分割線に対応するばねケース上の線とは交差しないように構成してあるため、オフセットおよびアラインメントへの注型作用を最小限に抑えることができる。
【0033】
図4〜9は、本発明の第2態様を示す図である。図4〜9に示した態様の第1実施態様は、ベルトテンショナアーム112、ベルトテンショナばねケース114、ベルトテンショナコイルばね116およびアームプレート118を有するベルトテンショナ110の実施態様である。アーム112は、アイドラプーリ120を支持するもので、フック部分122を有する。アーム112に設けたばねケース114は、第1ばねシート124を有する。ばねケース114に設けたばね116は、長手軸線126を有するとともに、長手方向に離間した第1端部128および第2端部130を有する。長手方向軸線126を中心として回転できるアームプレート118は、第2ばねシート132を有する。ばね116は、アームプレート118とばねケース114との間で長手方向に圧縮できる。ばね116は、トーションを受け、第1端部128が回転してばねケース114の第1ばねシートに着座し、第2端部130が回転してアームプレート118の第2ばねシート132に着座し、(アームプレート118の第2ばねシート132などのアームプレート118の少なくとも一部を意味する)アームプレート118が回転してアーム112のフック部分122の下に位置する。
【0034】
図4〜9の態様の第1実施態様の構成例では、第2端部130は、実質的に半径方向外側に延長する第2端部である。一つの変形例では、ばねケース114は、第1ばねシート124を構成する半径方向内側に突出する突起138を有する壁部分136を備えた半径方向外側環状壁134を有する。一つの変形例では、アームプレート118は、半径方向外側に延長し、次に円周方向または接線方向に延長し、次に長手方向に延長するアームプレート部分140を有し、このアームプレート部分140が第2ばねシート132を構成する。一つの実施例では、壁部分136は、円周方向に離間した凹部端部144を有する半径方向内向きの対向凹部142を有し、そしてばねケース114は、長手方向軸線126を中心とするばねの回転を制限する半径方向内向きの凹部142内に設けたタブ146を有する。なお、この実施例の場合、テンショナをより強いFEAD(フロントエンドアクセサリードライブ)の形で装着できるテンショナの本体から突出する突起部を用いて、ばねの回転を制限する。
【0035】
図4〜9の態様の第1実施態様の一つの構成例では、図7に示したテーパ加工アーム112とばねケース114とのジョイント構成により、長手方向に圧縮したばね116がベルトテンショナ110を長手方向下向きに分解することはなく、またアームプレート118の第2ばねシート132をアーム112のフック部分122の下に設けているため、長手方向に圧縮したばね116がベルトテンショナ110を長手方向上向きに分解することはない。
【0036】
図4〜9の態様の第1実施態様の一つの構成例によるベルトテンショナ110の場合、アーム112とばねケース114との間で、これらに接触させてピボットブッシュ148を設けるとともに、このピボットブッシュ148によってばね116の周りを取り囲む。一つの変形例では、ピボットブッシュ148は、外向きまたは内向きにフレア加工した円錐形部分150および実質的に直径が一定の円筒形部分152を有する。一つの変形例では、ばね112とばねケース114との間においてこれらに接触させた状態で、円錐形部分150および円筒形部分152を半径方向に設ける。一つの実施例では、ベルトテンショナ110は、アイドラプーリ120をアーム112によって支持する。この場合、ピボットブッシュ148は重心154を有し、そしてアイドラプーリ120がベルト荷重面156を有し、このベルト荷重面156に重心154を近接配置する。一つの設計例では、重心154は、ベルト荷重面156内に実質的に位置する。一つの構成例では、ばねケース114がケースリム158を有し、そして円錐形部分150をこのケースリム158に近接配置する。一つの使用例では、ピボットブッシュ148を、かなりの軸方向長さをもつ半径方向の最も外側に配置する。この場合、ばねケース114の半径方向外壁134がピボット-ブッシュ界面として作用する。こうすると、アラインメント/オフセット/減衰制御ピボットブッシュ148の表面積および磨耗面積が最大限になる。また、ピボットブッシュ148の閉じ込め率、シール率が大きく改善することになる。ピボットブッシュ148が磨耗すると、ばね力が荷重をほぼ一定に持続維持するため、当業者ならば理解できるように、オフセット/平行制御および持続的な減衰を長期間維持できる。
【0037】
図4〜9の態様の第1実施態様の一つの展開例では、ばね116は円錐形コイルばね(特殊なパッケージサイズで必要なトルクを担保する)を有し、そして長手軸線126から第2端部130近傍のばね116までの第1距離を、長手軸線126から第1端部128近傍のばね116までの第2距離よりも長く設定する。同じあるいは異なる実施例では、ベルトテンショナ110は、さらに、ベルトテンショナ110を取り付ける取り付けボルト160を有する。この場合、アームプレート118およびばねケース114それぞれは、中心孔162を有し、ベルトテンショナ110の装着時に、取り付けボルト160が、各中心孔162を挿通して、ばねケース114のみに接触する。一つの変形例では、ばねケース114はアーム112を超えて長手方向に延長し、そしてばねケース114は、ばねケース114の中心孔162から半径方向に離間した長手方向に突出するアラインメント取り付けピン164を有する。一つの構成例では、ばね116としてラウンドワイヤばねを使用する。異なる構成例では、図示しないが、ばねとしてヘリカルばねを使用し、長手軸線からばねまでの距離をばねの長手方向長さにそって実質的に一定にする。図4および図7に場合によって使用するO-リングシール166を示す。一つの構成例では、コニカルばねおよびテーパ加工テンショナ本体が、汚染物を自然に吐き出す作用をもつ。
【0038】
第5パラグラフで説明したベルトテンショナ110の組み立て方法は、ステップa)〜e)からなる。ステップa)で、アーム112内にばねケース114を設ける。ステップb)で、ばねケース114内にばね116を設ける。ステップc)で、アームプレート118を使用して、ばね116を長手方向に圧縮し、ばね116にトーションが作用するまで、アームプレート118を回転する。この場合、第1端部128が第1ばねシート124に係合し、第2端部130が第2ばねシート132に係合し、そして(アームプレート118の第2ばねシート132などの少なくともアームプレート118の一部を意味する)アームプレート118がフック部分122の内側長手方向に通過する。ステップd)で、アームプレート118を回転し、第2端部130のばね116内のトーションの一部を解放して、フック部分122の下で(アームプレート118の少なくとも一部を意味する)アームプレート118を回転係合させる。ステップe)で、アームプレート118を使用して、(アームプレート118の少なくとも一部を意味する)アームプレート118がフック部分122の下に取り込まれるまで、ばね116の長手方向圧縮力の一部を解放する。
【0039】
図4〜9の態様の第1実施態様の一つの応用例では、ベルトテンショナ110を組み立てる場合、ばね116は、トーション圧縮状態(巻き上げ)にあり、かつ長手方向に圧縮状態にある。(図4に示したのとは逆方向にばね116を巻いた)図4〜9の態様の第1実施態様の別な応用例では、ベルトテンショナ110を組み立てた場合、ばねは、トーション膨張(巻き戻し)状態にあり、かつ長手方向に圧縮状態にある。
【0040】
一つの展開例では、第2パラグラフの方法は、組み立て状態にあるベルトテンショナ110を分解する方法であり、さらにステップf)〜j)からなる。ステップf)では、アームプレート118を使用して、ばね116の長手方向圧縮力を強くする。ステップg)では、アームプレート118を回転させ、アームプレート118が回転してフック部分122から外れるまで、ばね116のトーションを強くする。ステップh)では、アームプレート118を使用して、ばね116の長手方向圧縮力およびトーションのすべてを解放する。ステップi)では、ばねケース114からばね116を取り外す。ステップj)で、アーム112からばねケース114を取り外す。
【0041】
別な展開例では、第3パラグラフの方法は、組み立て状態にあるベルトテンショナ110を取り付ける方法で、アームプレート118およびばねケース114それぞれに中心孔162を設け、さらにステップf)〜j)からなる方法である。ステップf)では、ねじを形成した取り付けボルト160を準備する。ステップg)で、ねじを形成した孔(図示省略)を備え、ばねケース114の中心孔162をエンジンの取り付け孔に実質的に同軸関係でアライメントしたエンジン(図示省略)に対して、組み立て状態にあるベルトテンショナのばねケース114を設ける。ステップh)で、アームプレート118およびばねケース114の中心孔162に取り付けボルト160を挿通する。ステップi)で、取り付けボルト160と取り付け孔のねじを係合する。
【0042】
図4〜9の態様の第2実施態様は、ベルトテンショナアーム112、ベルトテンショナばねケース114、ベルトテンショナコイルばね116、アームプレート118およびピボットブッシュ148で構成したベルトテンショナ110である。アーム112は、アイドラプーリ120を支持するものである。このアーム112内に、ばねケース114を設ける。ばねケース114内にばね116を装着する。このばね116は、アームプレート118とばねケース114との間で長手方向に圧縮される。ばね116の周りを取り囲むピボットブッシュ148は、実質的に外側または内側にフレア加工した円錐形部分150および実質的に直径が一定の円筒形部分152を有する。
【0043】
図4〜9の態様の第1実施態様の実施、構成などは、図4〜9の態様の第2実施態様にも適用することができる。
【0044】
次に図10について説明すると、この図は、本発明の第2態様の変形例を示す図である。図10に示した態様の第1実施態様は、図4〜9に示し、かつ以上説明してきた態様の第1実施態様と同じであり、また図10に示したベルトテンショナ210を組み立てる方法も、図4〜9に示し、かつ以上説明してきたベルトテンショナ110の組み立て方法と同じである。図10に示した態様の第1実施態様では、(アームプレート218の外周268の一部などのアームプレート218の少なくとも一部を意味する)アームプレート218を、アーム212のフック部分222の下に回転配置する。
【0045】
図10の態様の一つの実施態様の場合、アームプレート218は、周りに切欠き270(図10に3つの切欠きを示してある)を形成した外周部268を有する。同じまたは異なる実施例では、フック部分222(一つの切欠き270に対して一つのフック部分222)は、第1の外周範囲をもち、そして外周切欠き270が第2の外周範囲をもち、そして第2の外周範囲を第1の外周範囲よりも大きく設定する。同じまたは異なる実施例では、アームプレート218の外周268の半径方向内側にアームプレート218の第2ばねシート232を設ける。
【0046】
図4〜9の態様の第1実施態様の実施、構成などは、図10の態様の第1実施態様に同様に適用できる。なお、アームプレート218および118、ばね216および116の第2端部230および130、およびアーム212および112のフック部分222および122の違いを考慮する必要がある。図10の態様においては、ばねケース214、ピボットブッシュ248およびアイドラプーリ220も図示されている。
【0047】
図4〜9の態様および方法の実施態様の一つまたはそれ以上は、以下の作用効果をもつ。一つの実施例では、長手方向にトーション圧縮したばね、アームのフック部分、ばねケースの第1ばねシート、およびアームプレートの第2ばねシートがあるため、組み立てファスナを使用することなく、ベルトテンショナの組み立ておよび分解を実現できる。同じまたは異なる実施例では、実質的に外側または内側にフレア加工した円錐形部分および実質的に直径が一定の円筒形部分をもつピボットブッシュがあるため、当業者ならば理解できるように、(円錐形部分による)オフセット/減衰制御および(円筒形部分による)アラインメント案内を改善できる。
【0048】
以上の本発明の態様および方法のいくつかの実施態様の説明は、例示を目的するものである。従って、本発明を厳密な意味で開示してきた正確な形態およびステップに限定するものではなく、以上の開示から多くの変更などが可能である。即ち、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって定義されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】アイドラプーリを有する本発明のベルトテンショナの第1態様を示す展開図である。
【図2】アイドラプーリを見下ろす方向から見た、図1の組み立て状態にあるベルトテンショナの平面図である。
【図3】図2の3−3線に沿って見た、図2の組み立て状態にあるベルトテンショナの横断面図である。
【図4】アイドラプーリを有する本発明のベルトテンショナの第2態様を示す展開図である。
【図5】図4のベルトテンショナのばねケース示す上面図である。
【図6】図4の組み立て状態にあるベルトテンショナを示す上面図である。
【図7】図6の7−7線に沿って見た、図6の組み立て状態にあるベルトテンショナの横断面図である。
【図8】図4の組み立て状態にあるベルトテンショナを示す底面図である。
【図9】図4の組み立て状態にあるベルトテンショナを示す斜視図である。
【図10】アイドラプーリを有する本発明のベルトテンショナの第2態様の変形例を示す展開図である。
【符号の説明】
【0050】
14、112、212:ベルトテンショナアーム、
20、120、220:アイドラプーリ、
22、122、222:フック部分、
16、116、214:ベルトテンショナばねケース、
12、116、214:ベルトテンショナコイルばね、
118、218:アームプレート、
132、232:第2ばねシート、
130、230:第2端部、
136:壁部分、
124:第1ばねシート、
138:突起、
126:長手軸線、
24、148、248:ピボットブッシュ、
30、154:重心、
34、158:ケースリム、
26、150:円錐形部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)アイドラプーリ(20、120、220)を支持するもので、フック部分(22、122、222)を有するベルトテンショナアーム(14、112、212)、
b)アーム(14、112,212)内に設けられ、第1ばねシート(124)を有するベルトテンショナばねケース(16、114、214)、
c)ばねケース(16、114、214)内に設けられ、長手軸線(23、126)および長手方向に離間配置した第1端部および第2端部(18;128、130;230)を有するベルトテンショナコイルばね(12、116、214)、および
d)長手軸線(126)の周りで回転でき、第2ばねシート(132、232)を有するアームプレート(118、218)を有し、ばね(12、116、216)が、アームプレート(118、218)とばねケース(16、114、214)との間で長手方向に圧縮され、ばね(12、116、216)にトーションが作用し、ばねケース(114、214)の第1ばねシート(124)に対して第1端部(128)が回転着座し、アームプレート(118、218)の第2ばねシート(132、232)に対して第2端部(130、230)が回転着座し、そしてアーム(112、212)のフック部分(122、222)の下にアームプレート(118、218)が回転配置され、少なくとも長手方向の圧縮ばね力によってベルトテンショナを固定したことを特徴とするベルトテンショナ。
【請求項2】
アーム(112、212)のフック部分(122、222)の下にアームプレート(118、218)の第2ばねシート(132、232)を回転配置し、そして第2端部(130)が実質的に半径方向外側に延長する第2端部であり、好ましくは、アームプレート(118)が、まず半径方向外側に延長し、円周または接線方向に延長してから、長手方向に延長し、アームプレート(140)が第2ばねシート(132)を形成する請求項1記載のベルトテンショナ。
【請求項3】
ばねケース(114、214)が、第1ばねシート(124)を形成する半径方向内向きの突起(138)を有する壁部分(136)を有する半径方向外側の環状壁(134)を有し、壁部分(136)が、好ましくは、円周方向に離間配置した凹部端部(144)を有する半径方向内向き対向凹部(142)を有し、そしてばねケース(114、214)が、好ましくは、半径方向内向き凹部(142)内に設けられて長手軸線(126)を中心とするばねの回転を制限するタブ(146)を有する請求項1または2記載のベルトテンショナ。
【請求項4】
アーム(14、112、212)とばねケース(16、114、214)との間に、これらと接触させた状態で設けられ、ばね(12、116、216)の周囲を取り囲むピボットブッシュ(24、148、248)をもち、ピボットブッシュ(24、148、248)が、好ましくは、実質的に外側または内側にフレア加工した円錐形部分(26、150)および実質的に直径が一定の円筒形部分(28、152)を有し、これら円錐形部分および円筒形部分を、アーム(14、112、212)とばねケース(16、114、214)との間にこれらに接触させて設けたことを特徴とするとともに、好ましくはアイドラプーリ(20、120、22)をアーム(14、112、212)によって支持し、ピボットブッシュ(24、148、248)が重心(30、154)を有し、アイドラプーリ(20、120、220)がベルト荷重面(32、156)を有し、重心(30、154)をベルト荷重面に近接配置するとともに、ベルト荷重面(32、156)内に実質的に位置させ、ばねケース(16、114、214)が、好ましくは、ケースリム(34、158)を有し、円錐形部分(26、150)をケースリム(34、158)に近接配置した請求項1〜3のいずれかに記載のベルトテンショナ。
【請求項5】
ばね(12、116、216)がコニカルコイルバネを有し、長手軸線(23、126)から第2端部(130、230)近傍のばね(12、116、216)までの第1距離を、長手軸線(23、126)から第1端部(18、128)近傍のばね(12、116、216)までの第2距離よりも大きく設定し、および/またはベルトテンショナ(110、210)を取り付ける取り付けボルト(160)の分だけ設定し、アームプレート(118、218)およびばねケース(114、214)がそれぞれ中心孔(162)を有し、そしてベルトテンショナ(110、210)を取り付けた場合、取り付けボルト(160)がそれぞれの中心孔(162)を挿通し、ばねケース(114、214)のみに接触する請求項1〜4のいずれかに記載のベルトテンショナ。
【請求項6】
アームプレート(218)が、外周切欠き(270)を形成した外周(268)を有することを特徴とするとともに、アームプレート(218)の外周(268)の少なくとも一部をアーム(212)のフック部分(222)の下に回転配置し、フック部分(222)が好ましくは第1外周範囲を有し、外周切欠き(270)が好ましくは第2外周範囲を有し、この第2外周範囲を第1外周範囲よりも広く設定し、および/またはアームプレート(218)の第2ばねシート(232)をアームプレート(218)の外周(268)の半径方向内向きに配置した請求項1〜5のいずれかに記載のベルトテンショナ。
【請求項7】
ベルトテンショナが、アイドラプーリ(20、120、220)を支持し、かつフック部分(22、122、222)を有するベルトテンショナアーム(14、112、212);第1ばねシート(124)を有するベルトテンショナばねケース(16、114、214);長手軸線(23、126)を有するとともに、長手方向に離間配置した第1端部および第2端部(18;128、130;230)を有するベルトテンショナコイルばね(12、116、216);および長手軸線(126)を中心にして回転でき、かつ第2ばねシート(132、232)を有するアームプレート(118、218)からなり、組み立てたときに、ばねケース(16、114、214)がアーム(14、112、212)内に配置され、ばね(12、116、216)がばねケース(16、114、214)内に配置され、アームプレート(118、218)とばねケース(16、114、214)との間においてばねが長手方向に圧縮され、ばね(12、116、216)にトーションが発生し、第1端部(128)がばねケース(114、214)の第1ばねシート(124)に対して回転着座し、第2端部(130、230)がアームプレート(118、218)の第2ばねシート(132、232)に対して回転着座し、そしてアームプレートがアーム(112、212)のフック部分(122、222)の下に回転配置されるベルトテンショナの組み立て方法において、以下のステップからなることを特徴とするベルトテンショナの組み立て方法:
a)アーム(14、112、212)内にばねケース(16、114、214)を設けるステップ、
b)ばねケース(16、114、214)内にばね(12、116、216)を設けるステップ、
c)アームプレート(118、218)を使用してばね(12、116、216)を長手方向に圧縮し、そしてばねにトーションが発生するまで、アームプレート(118、218)を回転させるステップで、第1端部(128)が第1ばねシート(124)に係合し、第2端部(130、230)が第2ばねシート(132、232)に係合し、そしてアームプレート(118、218)がフック部分(122、22)の内向き方向に長手方向に挿通するステップ、
d)アームプレート(118、218)を回転して第2端部(130、230)のばね(12、116,216)のトーションの一部を解放し、アームプレート(118、218)をフック部分(122、222)の下に回転係合するステップ、および
e)アームプレート(118、218)を使用して、アームプレート(118、218)がフック部分(122、222)の下に取り込まれるまで、ばね(12、116、216)の長手方向圧縮力の一部を解放するステップ。
【請求項8】
請求項7記載の方法であって、組み立てられたベルトテンショナを分解する方法において、以下のステップからなることを特徴とする分解方法:
f)アームプレート(118、218)を使用してばね(12、116、216)の長手方向圧縮力を強くするステップ、
g)アームプレート(118、218)を回転して、アームプレート(118、218)が回転してフック部分(122、222)から外れるまで、ばね(12、116,216)のトーションを強くするステップ、
h)アームプレート(118、218)を使用してばね(12、116、216)の長手方向圧縮力およびトーションのすべてを解放するステップ、
i)ばねケース(16、114、214)からばね(12、116、216)を取り外すステップ、および
j)アーム(14、112、212)からばねケース(16、114、214)を取り外すステップ。
【請求項9】
a)アイドラプーリ(20、120、220)を支持するベルトテンショナアーム(14、112、212);
b)アーム(14、112、212)内に設けたベルトテンショナばねケース(16、114、214);
c)ばねケース(16、114、214)内に設けたベルトテンショナコイルばね(12、116、216);
d)アームプレート(118、218)およびばねケース(16、114、214)の間でばね(12、116、216)が長手方向に圧縮されるアームプレート(118、218);および
e)ばね(12、116、216)の周りを取り囲み、かつ実質的に外側または内側にフレア加工した円錐形部分(26、150)および実質的に直径が一定の円筒形部分(28、152)を有するピボットブッシュ(24、148、248)を有することを特徴とするベルトテンショナ。
【請求項10】
アーム(14、112、212)とばねケース(16、114,214)との間において、これらに接触させた状態で、円錐形部分(26、150)および円筒形部分(28、152)を半径方向に設けたことを特徴とするとともに、好ましくは、アーム(14、112、212)によってアイドラプーリ(20、120、220)支持し、ピボットブッシュ(24、148、248)が重心(30、154)を有し、アイドラプーリ(20、120、220)がベルト荷重面(32、156)を有し、そして重心(130、154)をベルト荷重面に近接配置するとともに、好ましくは、ベルト荷重面(32、156)内に実質的に位置させた請求項9記載のベルトテンショナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−519424(P2009−519424A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545637(P2008−545637)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/046271
【国際公開番号】WO2007/070276
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(390023766)デイコ プロダクツ,エルエルシー (18)
【Fターム(参考)】