ベルト動的張力計測装置および方法
稼動中のフロントエンド補機ベルト張力を、ハブ荷重トランスデューサとトルクトランスデューサを用いて計測するための方法と装置である。ハブ荷重トランスデューサは、同心的な複数のリングを備え、内側リングと外側リングの間に同一面となるように可変部材が配置される。ハブ荷重トランスデューサは、トルクを伝達しないアイドルプーリとともに用いられる。トルクトランスデューサは、ベルト受面と回転シャフトに連結された可変円筒部材を備える。トルクトランスデューサは、トルクを従動補機に伝達する。それは、エアコン用コンプレッサやパワーステアリングポンプなどの補機に用いられる。ハブ荷重トランスデューサとトルクトランスデューサからの信号は、ベルトと従動補機の間のベルトスパン張力とともに駆動効率を計算するのに用いられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトの動的張力計測のための装置および方法に関し、特にハブ荷重トランスデューサ(hubload transducer)およびトルクトランスデューサ(torque transducer)を用いた駆動効率計測のためのベルトの動的張力計測のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な歪み計測装置が知られている。それらは荷重が掛けられるとともに歪みゲージが取り付けられた可変部材(strainable member)を一般に備える。それらの中に、変形可能なビーム部材と撓みビーム部材を有する環状ゲージリングを備える装置がある。可撓性ビーム部材は複数の環状部を相互に連絡する。
【0003】
また、周知の装置の中には、双対ビーム検出部材があり、これは平行に離間した桁部材によって一体的に連結された離間した端部壁部材を備え、ビーム部材は1つの方向にのみ比較的撓み易いすなわち曲げられ易い。端部壁の一方は支持構造に通常取り付けられており、他方の端部壁はシャフトに有効にあるいは直接取り付けられる。
【0004】
この技術の代表はレトバーラ(Lehtovaara)に与えられた米国特許第6,216,547号明細書(2001年)であり、環状内側リング部と環状外側リング部を備え変形可能なビーム部材と撓みビーム部材を有する環状ゲージリングを備える荷重センサを開示する。可撓性ビーム部材は複数のリング部を相互に連絡する。
【0005】
また、2002年9月30日に出願された出願人の同時係属中の米国特許出願第10/262,035号も参考にでき、これは内側リングと外側リングの間に同一平面的に配置された変形可能なリングを備えるハブ荷重トランスデューサを開示する。
【0006】
また、他端がシャフトに連結された状態でプーリに連結された円筒形部材を備え、円筒形部材に取り付けられた歪みゲージを有するトルクロードを計測するためのプーリが知られている。
【0007】
この技術の代表は、日本国特許出願公開公報第2001099271号であり、他端がシャフトに連結された状態でプーリに連結され、円筒形部材に取り付けられた歪みゲージを有する円筒形部材を開示する。
【0008】
従来技術は、ハブ荷重トランスデューサおよびトルクトランスデューサを組み合わせ1つのシステムとして機能させることを教示しない。また、ハブ荷重トランスデューサは、撓みビーム部材と変形可能なビーム部材を備え比較的複雑である。従来のトルクトランスデューサは、円筒部を他の支持構造からの捩りに対して分離する手段に欠けている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
必要とされているのは、稼動中のベルトスパン張力をハブ荷重トランスデューサとトルクトランスデューサを用いて計測する方法と装置である。必要とされているのはベルト駆動効率をハブ荷重トランスデューサとトルクトランスデューサを用いて計測する方法と装置である。本発明はこれらの要求に合致する。
【0010】
本発明の第1の目的は、稼動中のベルトスパン張力とクランクシャフトトルクをハブ荷重トランスデューサとトルクトランスデューサを用いて計測する方法と装置を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、ベルト駆動効率をハブ荷重トランスデューサとトルクトランスデューサを用いて計測する方法と装置を提供することである。
【0012】
本発明のその他の目的は、本発明の以下の説明と添付された図面により指摘され明らかとされる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、稼動中のフロントエンド補機ベルト張力を、ハブ荷重トランスデューサとトルクトランスデューサを用いて計測するための方法と装置に関する。ハブ荷重トランスデューサは、同心的な複数のリングを備え、内側リングと外側リングの間に同一面となるように可変部材が配置される。ハブ荷重トランスデューサは、トルクを伝達しないアイドルプーリとともに用いられる。トルクトランスデューサは、ベルト受面と回転シャフトに連結された可変円筒部材を備える。トルクトランスデューサは、トルクを従動補機に伝達する。それは、エアコン用コンプレッサやパワーステアリングポンプなどの補機に用いられる。ハブ荷重トランスデューサとトルクトランスデューサからの信号は、ベルトと従動補機の間のベルトスパン張力とともに駆動効率を計算するのに用いられる。
【0014】
この明細書に組み込まれその一部を構成する添付図面は、本発明の好ましい実施形態を示し、説明とともに本発明の原理を説明するために用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、ハブ荷重トランスデューサの斜視図である。ハブ荷重トランスデューサは比較的コンパクトであり、プーリ内においてシャフト荷重すなわちシャフトの動的挙動を計測するのに用いられ得る。これにはハブ荷重の計測が含まれるので、結果としてベルトスパン張力が計測される。ハブ荷重は、ベルト伝動システムにおけるベルト張力によりプーリとそのシャフトに掛かる荷重である。
【0016】
トランスデューサ100は一般に、弧状内側部材すなわちハブリング101とセンサリング102、弧状外側部材すなわち外側リング103とを備える。ハブリング101は、トランスデューサを取付面に取り付けるための手段として機能するボア104を備える。ボルトなどのファスナは、ハブリング101にボア104を通して係合し、トランスデューサを取付面に連結する。ハブリング101は、トランスデューサを取付面に連結する確りとした手段を提供するために比較的リジッドである。ハブリング101は更に、ハブリングを取付面に取り付けるための一体的なシャフトを備えてもよい。ハブリング101は、連結部すなわち部材108によりセンサリング102に連結される。
【0017】
ハブリング101の各側面に設けられたアパーチャ120、121は、センサリング102の内周面122、123への通路(アクセス)を提供する。アパーチャ120、121を通した通路(アクセス)は、歪みゲージ302、303をセンサリング102に取り付けるために用いられる。アパーチャ120、121を使用するかは、スロット511の幅に依存する。アパーチャ120、121の採用は、スロット511の幅を、センサリング102がハブリングの横方向運動範囲の限界においてハブリング101にぎりぎり触れないところまで極小化でき、これによりトランスデューサの全体の直径を従来技術よりも小さくすることができる。例えば、スロット511が特に狭い場合、例えば約2mmよりも小さいとき、センサリング102への歪みゲージの取り付けのためのアクセスは極めて制限され、恐らくアパーチャ120、121が無ければ不可能であろう。
【0018】
センサリング102は、ハブリング101と外側リング103の間に連結される。センサリング102は、内側ハブリング101と外側リング103の弧状部と同心的に協働する弧状可変部材(arcuate strainable member)を備える。ハブリング、センサリング、外側リングの同心的な関係は、例えばプーリ内などの狭い場所での利用において、本発明に関わるトランスデューサを例えば60mmよりも小さい最小の直径にすることを可能にする。
【0019】
スロット510は、センサリング102と外側リング103の間に配置される。スロット511は、センサリング102と内側リング101の間に配置される。荷重が掛かった状態では、センサリング102は引き延ばされ、すなわちA−A方向に長軸を、B−B方向に短軸を持つ楕円形に変形する(図3参照)。スロット511の幅は、荷重が掛かった状態のときに、センサリング102のB−B方向へ必要とされる総体的変形量によって決定される。スロット511の幅は、センサリング102の厚さTの関数でもある。厚さ(T)は、最大設計荷重を含むセンサリングが晒される動的条件によって決定される。有限要素解析を用いて、厚さ(T)は予想される荷重条件の下で好適なダイナミックレンジを与えるように最適化される。
【0020】
図3に示されるように、少なくとも1つの歪みゲージがセンサリングに取り付けられる。ハブ荷重力ベクトルがベクトル600で表わされる。センサリング102は、ハブリングへのハブ荷重の作用により歪みゲージの位置において表面歪み(surface strain)が生じるのに十分な可撓性を有する。センサリング102は、弧状連結部材512を介して外側リング103と部分107に連結される。部分107と連結部108は、実質的にセンサリング102の互いに反対側に配置される。部材512におけるセンサリング102の外側リング103へ連結は、軸A−Aに沿ったハブ荷重力600を受けたときに、センサリング102の変形を増大させ、それによりセンサリング102における表面歪みを増大させる。ベクトル600は、特定の方向を持つものとして示されているが、トランスデューサは如何なる方向のベクトルを持つ荷重をも検出することができる。無論、総合的な感度は、ベクトル600とそれに対する歪みゲージの位置との間の空間的な関係に依存して影響されるであろう。このためトランスデューサの感度は、部分107と部材108に対してのベクトル600の方向、歪みゲージの位置、そしてセンサリング102の厚さに基づいて最適化される。
【0021】
各連結部材512は、トランスデューサに荷重が掛かっているとき、センサリング102とともに部分的に変形する。部材512は、トランスデューサ、より具体的にはセンサリング102により掛けられる動的荷重の関数である所定のバネ率(spring rate)を有する。この所定のバネ率は、次に各部材の弧状形状を決定する。
【0022】
稼動中センサリング102は振動と周期的荷重に常時曝されることが理解される。これは、センサリング102と外側リング103の間の連結部に応力を与える。これゆえに、部材512の弧状形状は、分配し分散させなければセンサリング102と外側リング103との間の連結部に存在し得たストレスライザー(stress risers)を低減することにより、トランスデューサの耐用年数を延ばす。これはさもなければストレスライザーにより連結部に起こり得た疲労クラックの可能性を最小のものとする。
【0023】
外側リング103に設けられたアパーチャ105、106は、センサリング102への歪みゲージ301、304の取り付けを容易にするために用いられる(図3参照)。アパーチャ105と106を通したアクセスは、センサリング102に歪みゲージ301、304を取り付けるために用いられる。アパーチャ105、106を利用するかは、スロット510の幅に依存する。アパーチャ105、106の採用はスロット510の幅を、センサリング102がセンサリングの横方向運動範囲の限界においてリング103にぎりぎり触れないところまで極小化でき、これによりトランスデューサの全体の直径を従来技術よりも小さくすることができる。例えば、スロット510が特に狭い場合、例えば約2mmよりも小さいとき、センサリング102への歪みゲージの取り付けのためのアクセスは極めて制限され、恐らくアパーチャ105、106が無ければ不可能であろう。
【0024】
ブラケット500は、歪みゲージ信号調整装置を受容するのに用いられてもよい。ブラケット500は外側リング103に取り付けられる。ブラケットは、外側リング103の一体的な部分として形成、すなわちキャスト(cast)されてもよい。
【0025】
外側リング103は、装置に構造的強度を与えるとともに、トランスデューサをベアリングやプーリへ係合するための手段を提供する。外側リング103は、プーリベアリング内に押入され、ベアリングはベルトに係合するプーリと係合する。外側リング103は、ベルト伝動システムにおけるトランスデューサの周りのプーリの回転運動を可能にするのに十分な剛性を有する。
【0026】
ハブリング101、センサリング102、外側リング103は実質的に同一平面内にある。より具体的には、各々のリングは他のリングの内側に同心的に入れ子になっている。リングを入れ子とすることは、本発明に関わる装置の厚さを最小限度まで減らし、それにより、例えば装備用のスペースが制限される現在の車両のフロントエンド補機駆動装置でのプーリ内におけるトランスデューサの使用を可能にする。本発明のトランスデューサは、ベルト伝動システムに現に存在するプーリに置き代えて用いることができるので、現在のシステムを殆んどあるいは全く変更せずに、装備取り付けのための部品を新たに追加することができる。トランスデューサは、シャフトの動的挙動すなわちテンショナアームの動的挙動を計測するために、テンショナプーリとテンショナアームの間、テンショナプーリシャフトにおいて用いることもできる。
【0027】
好ましい実施形態では、本発明のトランスデューサは、例えばアルミ、スチール、チタン、マグネシウムやこれらの組み合わせあるいは合金を含む金属など、1つの材料から機械成形されてもよい。装置はまた、トランスデューサにより掛けられる荷重に従って、プラスチック、セラミック、フェノール樹脂、粉末金属など適切な素材から、キャスト、切削、あるいは金型成形されてもよい。
【0028】
別の実施形態では、それは3つの部品、すなわち、接着剤やネジにより連結されたハブリング、センサリング、そして外側リングから構成されてもよい(図4a参照)。この実施形態では、ハブリングと外側リングは、セラミック素材からなり、センサリングは金属材料からなる。また別の実施形態では、特に低荷重のアプリケーションでは、ハブリングと外側リングはプラスチック素材からなる。プラスチックは、設計荷重に十分耐えるとともに、十分なモジュラスとそれが搭載されるエンジンの運転温度に対する十分な耐熱性を備えればよい。
【0029】
また別の実施形態では、センサリングと外側リングは、ハブリングがセンサリングにネジあるいは接着剤により取り付けられた機械成形された単一の部品でもあってもよい。この実施形態では、センサリングと外側リングは例えば金属材料からなり、ハブリングは例えばセラミック素材からなる。ハブリングは、荷重が比較的低いアプリケーションではプラスチック素材であってもよい。プラスチックは、十分なモジュラスとそれが搭載されるエンジンの運転温度に対する十分な耐熱性を備えればよい。
【0030】
図2は、トランスデューサの斜視図である。トランスデューサ100は、プーリ200の中に入れられた状態で示される。ベアリングあるいは複数のベアリング205は、外側リング103の外側に押し付けられ、外側リング103とプーリ200の間の環状空間を埋める。ブラケット500は、トランスデューサ100にファスナ501、502によって取り付けられる。プーリ200は、従来この分野で知られているどのようなベルト支持形状(belt bearing profile)を持つものであってもよい。
【0031】
図3は、トランスデューサ・センサリングの平面図である。センサリング102は、歪みゲージ301、302、303、304がそこにフルブリッジの構成で取り付けられた状態で示される。歪みゲージは、電線401、402、403、404により連結される。電線402と403は、計器のリード線との連結のためにブラケット500へと導かれる。歪みゲージ301と304は、アパーチャ105、106を通してセンサリング102に取り付けられてもよい。歪みゲージ302と303は、アパーチャ120、121を通してセンサリング102に取り付けられる。歪みゲージは、力のベクトル軸A−Aが歪みゲージ間の想像線(imaginary line)B−Bに垂直となるように向きが合わせられる。歪みゲージのフルブリッジの構成は、大まかに図12および図14に示される通りである。
【0032】
図4Aは、ハブ荷重トランスデューサの平面図である。これはここ以外の場所で示されるように、別体のハブリング101、センサリング102、外側リング103を用いた実施形態である。センサリング102は、外側リング103にネジ203、204を用いて締結される。ハブリング101は、ネジ201、202を用いてセンサリング102に締結される。リングを締結する他の手段としては、溶接、接着、リベット留や、この分野で知られている他の適切な手段などが含まれる。ネジ201、202、203、204は、ハブ荷重の軸線A−Aに対して図示されるような向きに配置される。
【0033】
図4Bは、図4Aの線4B−4Bでの断面図である。ネジ201、204は、センサリング102を外側リング103に連結した状態で示される。ブラケット500は、ここ以外の場所で示されるように、歪みゲージの電線を計器のリード線に連結する手段を提供する。
【0034】
図4Cは、図4Bの4C−4Cにおける則面図である。ネジ203、204は、外側リング103をセンサリング102に連結した状態で示される。
【0035】
図5は、トランスデューサの分解斜視図である。ベアリング205は、トランスデューサ100の外側リング103に押し付けられる。プーリ200は、ベアリング205に押し付けられる。アパーチャ120と121は、センサリング102に歪みゲージを取り付けるためのアクセスを提供する。
【0036】
図6は、自動調心部の部分平面図である。トランスデューサの感度を最適化するためには、センサリングがハブ荷重ベクトル600の影響を受けやすいよう配置されることが望ましく、すなわちベクトル600が軸線A−Aと一直線になり、それにより歪みゲージが軸線B−Bに沿って配列されるように配置されることが望ましい(図3参照)。これは自動調心部材700を用いることにより達成される。
【0037】
より具体的には、偏心的な自動調心部材700がリングボア104の内側に配置される。限定的ではなく例示的に、偏心部材700は、ボア104の中に押入され嵌め合わされる。また部材700が単に弧状内側部材101の一部分、すなわち弧状内側部材がトランスデューサの幾何学的中心とは直列しない中心705を持つボア701を備えてもよいことも理解されるであろう。
【0038】
偏心部材700は、ボア701を備える。ボア701の中心705は、偏心部材の幾何学的中心704から一定距離離れて偏心的に配置される。偏心部材の幾何学的中心704は、トランスデューサの幾何学的中心とセンサリングの幾何学的中心とも一致する。ベアリング702は、ボア701の中に押入される。ボルトなどの締結部材(fastening member)703は、ベアリング702を挿通し、ベアリング702を、それによってトランスデューサを取付面(図示せず)に取り付ける。ベアリング702の作用により、トランスデューサは自由に締結部材703の周りに回転可能である。
【0039】
代表的な状況におけるトランスデューサに作用するハブ荷重ベクトル600が図示される。ハブ荷重は張力が掛かっているベルトBTによって発生する。典型的な配置では、ベクトル600は、初めボア中心705から距離(D)だけ横方向にオフセットされている。ハブ荷重600が掛かると、直ちに部材700の自動調心特性がトランスデューサを適正に位置決めするように作動する。より具体的には、距離(D)は偏心部材700に作用するトルクを発生するレバーアームとして働く。トルクは、偏心部材700、そしてそれによりトランスデューサ100とセンサリング102をベクトル600が中心705と直列するまでベアリングの周りに回転させ、それにより自動調心トルクを除去し、釣合い状態を取り戻す。自動調心におけるこの作動の仕方は、ベクトル600の方向に関わらず適用される。
【0040】
図7は、自動調心部の部分平面図である。ベクトル600は、ボア中心705と直列している。この方向付けは、歪みゲージ301、302、303、304が最適な検出位置にあることをもたらし、すなわち、図3に示されるように軸線B−Bに沿って整列される。
【0041】
トランスデューサは、図6、7に示されたような自動調心部材700があってもなくても作動できることが理解できる。自動調心部材700の利用は、トランスデューサに必要とされる感度と運転条件による。これは更に稼動中のベクトル600の変動範囲にある程度依存する。トランスデューサの感度は、荷重ベクトル600とともに、歪みゲージのアライメントに相関する。例えば、もし本発明のトランスデューサが、ベクトル600の向きの範囲が狭いアイドラとともに用いられるならば、自動調心部材の必要性はあまり重要でないであろう。一方、トランスデューサが、テンショナアームの運動により生じる比較的大きな変動範囲を有するテンショナにおいて用いられる場合、自動調心部材の使用はトランスデューサに要求される感度を維持するのに有利である。
【0042】
図8は、ベルト補機伝動装置の概略図である。マルチリブドベルトの展開とともに、エアコン用補機、パワーステアリング用補機、オルタネータや、ウオータポンプを含む全ての補機を駆動するための単独多軸掛けベルトの実施と使用が自動車産業によって広く採用されている。ここで説明される伝動装置は、ベルト(B)のマルチリブド側と背面側の両方を利用する。これは、そうしなければ各補機を駆動するのに求められる多数のベルトの必要性を除去し、前後方向へのエンジンの寸法全体を縮小する。ベルト伝動装置の代表的な配置が図8に示される。より具体的には、プーリは、オルタネータ“AL”、パワーステアリングポンプ“PA”、ノントルク(non-torque)すなわちトルク荷重の受け渡しをしないテンショナアイドラ“IDL”、ウオータポンプ“WP”、クランクシャフト“CR”、エアコン用コンプレッサ“AC”として示される。プーリ間の各々のベルトスパンは、PAからIDLが“1”、IDLからWPが“2”、WPからCRが“3”、CRからACが“4”、ACからALが“5”、ALからPAが“6”として示される。この説明の目的のために、ハブ荷重トランスデューサは、テンショナIDLに取り付けられている。トルクトランスデューサは、AC、AL、PA、WPに取り付けられている。トルクは各補機とCRにおいて受け渡しされる。
【0043】
運転時ベルト張力動的計測(operating belt tension dynamic measurement)とは、エンジンとベルトが作動中に計測が行われることを意味する。これは、エンジンとベルトが作動されていない間に実行されるいわゆるベルト張力静的計測(belt tension static measurement)に対するものである。張力計を用いた静的な計測の場合、各ベルトスパンに振動を起こすことにより、この分野で周知のスパン振動周波数計測手法(span vibration frequency measurement technique)を用いて、各ベルトスパンの張力を推定することができる。
【0044】
ここに図1〜7に示されるように、ハブ荷重トランスデューサは、アイドラ(IDL)プーリに据え付けられる。アイドラ(IDL)プーリでは、荷重(トルク)は受け渡しされない。一般的な単独多軸掛けベルト補機伝動システムは、ベルト経路を決めるためあるいはベルト張力制御のために、少なくとも1つのアイドラプーリを備える。アイドラプーリがテンショナに取り付けられる場合、それは「自動張力制御装置(automatic tension control)」と呼ばれる。一方、アイドラプーリがネジジャッキ組立体(jackscrew assembly)に取り付けられる場合、それは「固定中心張力制御装置(fixed center tension control)」と呼ばれる。
【0045】
原理的には、プーリの両側のベルトスパン張力は、プーリによりトルクの受け渡しがなされない場合、初期取付張力から変化しない。ハブ荷重トランスデューサによってトルクが受け渡しされることはないので、ハブ荷重トランスデューサの両側におけるスパン張力は、
T1=T2=H/[2sin(θ/2)] (1)
として計算できる。ここでHはハブ荷重トランスデューサにより計測されるベルトハブ荷重力であり、θはこのプーリにおけるベルトの巻付け角の大きさである。ベルト巻付け角は、レイアウトの幾何形状から直接計測される。トランスデューサにより計測されたハブ荷重力Hは、「基線張力計測値(baseline tension measurement)」として参照される。図1〜7のために示されるように、ハブ荷重トランスデューサに設けられた歪みゲージは、この分野で周知の計器、例えば信号調整/増幅装置とオシロスコープあるいはハブ荷重力をニュートンで表示するデジタルメータに送られる信号を生成する。歪みゲージ信号調整/増幅装置の代表例は、URL http://www.iotech.com/catalog/daq/catdbk43.htmlに表示されるIOテック(IO Tech)社製歪みゲージモジュールDBK43A(商標)8チャンネル歪みゲージモジュールである。
【0046】
ハブ荷重トランスデューサとは異なり、トルクトランスデューサはトルクを伝えるとともに計測することができる。トルクが、プーリ(例えばウオータポンプWP用のプーリ)により伝えられる場合、トルクトランスデューサにおける張力の差は、
T3−T2=2×Q/D (2)
となる。ここで、Qはトルクトランスデューサで計測されるN・mでのトルクであり、Dはトルクトランスデューサにおけるプーリのメートルでのピッチ円直径である。一般に、トルクトランスデューサは、最大摩擦許容力(maximum friction capacity)を得るためにマルチリブドプーリに接続されている。トルクトランスデューサにより計測されたトルク値は、「増加張力計測値(incremental tension measurement)」として参照される。
【0047】
ベルト伝動における効率(η)は、
η=([P出力]/[P入力])×100%
で定義される。ここでP入力はパワー入力でありP出力はパワー出力である。これらは各々以下のように定義される。
P入力=QCR×ωCR
P出力=(QAC×ωAC)+(QAL×ωAL)+(QPA×ωPA)+(QWP×ωWP)
【0048】
トルクQCR、QAC、QAL、QPA、QWPは、対応する各シャフトにおいて直接トルクトランスデューサによって計測される。RPMでの回転速度も、対応する各シャフトにおいて計測される。従動ベルトプーリシステムの比較的高い効率により、準エネルギー保存状態が略達成される。したがって、必要とされるトルクトランスデューサの総数は、トルクコンポーネントの総数から1引いた数でよい。
【0049】
システム内に摩擦損失がないと仮定した理想状態において、エネルギーの保存は全パワー入力が全パワー出力に等しいことを要求する。
QCR・ωCR=QAC・ωAC+QAL・ωAL+QPA・ωPA+QWP・ωWP
ここで、ωは回転速度を表わし、ラジアン/秒の次元単位を有する。
【0050】
ベルトと各プーリの間に滑りがないと仮定すると、
ωCR×DCR=ωAC×DAC
ωCR×DCR=ωAL×DAL
ωCR×DCR=ωPA×DPA
ωCR×DWP=ωAC×DWP
【0051】
滑り無しの等式を用いてエネルギー保存の式を解くと、クランクシャフトトルクQCRは、コンポーネントのトルクにより以下のように表わされる。
QCR=QAC×DCR/DAC+QAL×DCR/DAL
+QPA×DCR/DPA+QWP×DCR/DWP (3)
【0052】
なお、式(2)、(3)を用いるとき、駆動トルクと従動トルクは、それぞれ“+”と“−”で示される。駆動トルクは、クランクシャフトダンパトルクであり、従動トルクは個々のコンポーネント、例えばエアコン用コンプレッサ、オルタネータなどのトルクである。クランクシャフトトルクは、式(3)を用いて計算される。スパン1とスパン2における基線張力は、基線張力式(1)を用いて計算される。隣接するスパンの張力、例えばスパン3から6は、増加張力式(2)を用いてトルクトランスデューサ計測値を用いて計算される。
【0053】
以下の仮の値はランダムに選択されたもので、限定的なものではなく、単に計算手順を説明する目的のために与えられたものである。
クランクシャフトダンパ、ピッチ円直径 DCR=200[mm]
ACにおいて計測されたトルク、 QAC=−30[N・m]
ピッチ円直径 DAC=180[mm]
ALにおいて計測されたトルク、 QAL=−20[N・m]
ピッチ円直径 DAL=60[mm]
PAにおいて計測されたトルク、 QPA=−15[N・m]
ピッチ円直径 DPA=150[mm]
WPにおいて計測されたトルク、 QWP=−5[N・m]
ピッチ円直径DWP=100[mm]
前述したように、“+”符号は駆動トルクを示し、“−”符号は従動補機トルクを示す。
【0054】
式(3)は駆動トルク(クランクシャフトトルク)を計算するのに以下のように用いられる。
QCR=200/180×30+200/60×20
+200/150×15+200/100×5=+130[Nm]
式(2)を用いると、各ベルトスパンにおける増加張力は、以下のように計算される。
T34=2×130×1000/200=+1300[N]
T45=2×30×1000/180=−333[N]
T56=2×20×1000/60=−667[N]
T61=2×15×1000/150=−200[N]
T23=2×5×1000/100=−100[N]
【0055】
“1000”の項は、単に単位変換から導かれるものである。
すなわち、1.0N・m=1000.0N・mm
【0056】
テンショナアイドラIDLにおける巻付け角はθ=60°である。IDLにおいてハブ荷重トランスデューサにより計測されたハブ荷重はH=350[N]である。
【0057】
式(1)を用いて、スパン1とスパン2におけるベルト張力は、以下のように計算される。
T1=T2=H/[2×sin(θ/2)]=350[N]
【0058】
したがって、隣接するスパン張力は、以下のように計算される。
T3=T2+T23=350−100=250[N]
T4=T3+T34=250+1300=1550[N]
T5=T4+T45=1550−333=1217[N]
T6=T5+T56=1217−667=550[N]
T1=T6+T61=550−200=350[N]
【0059】
<トルクトランスデューサ>
図9は、トルクトランスデューサの断面図である。トルクセンサ1000は、シャフト1001に連結された状態で示される。シャフト1001は、従動されるAC、AL、WP、PAなどの補機へのパワー(トルク)入力、あるいはクランクシャフトCRKなどの駆動装置からのパワー出力(トルク)のための回転シャフトである。センサ1000は、ネジ留具1003を用いてトランスデューサをシャフト1001に締結するのに使用されるリング1002を備える。またリング1002は、変形可能な円筒体1005に留め付けられる。そして変形可能な円筒体1005は、ベルト係合リング1007に留め付けられる。ベルト係合リング1007はまた、ベルト係合部1008を備える。部分1008は、マルチリブドの輪郭として示されている。部分1008は、ベルト伝動システムに用いられるベルトに応じて、平らあるいは単一の溝(Vベルト)の輪郭であってもよい。
【0060】
変形可能な円筒体1005は、運転時のトルク荷重を受けたときに捩り変形できるように十分に薄い。円筒体1005は、運転時の荷重が掛かったときに破損することなしに歪むのに十分な可撓性を備えるとともに、トルクを伝達する機能を維持するのに十分な強度と靭性を備える素材であれば何であってもよい。利用できる素材には、アルミ、鉄、チタン、マグネシウム、合金やこれらの組み合わせを含む金属材料はもちろんのこと、プラスチックも含まれる。素材はシステムの運転に対する要求(operational requirements)に基づいて選択される。
【0061】
一方、リング1002、リング1007、そしてベルト係合部1008は、各々円筒体1005に比べ十分に剛性を備え、リング1002、リング1007、そしてベルト係合部1008における全ての歪みは、実質上円筒体1005における歪みに比べて取るに足らないほど小さい。トルクトランスデューサにおける全ての歪みは実質上円筒体1005に現れることが望ましい。これは歪みゲージにより検出される歪みを最大にして、それにより歪みゲージにおける抵抗の変化を最大にし、そして取り付けられた計器により検出される電圧変化を最適化する。
【0062】
低摩擦ベアリング1009が、リング1007とベルト係合部1008と円筒体1005の間に配置される。ベアリング1009は、リング1007がリング1002に対して捩り方向に固定されることを防止しながら、リング1007とベルト係合部1008を同時に径方向に支持し、それにより、全てのトルクが円筒体1005を通して伝達されるように制限する。ベアリング1009は、この技術分野で知られている適切な如何なる低摩擦ベアリングであってもよく、これにはボールベアリング、ニードルベアリング、ローラベアリングが含まれるがこれらに限定されるものではない。滑らかにされた低摩擦摺動面をベアリングの代わりに用いてもよい。
【0063】
図10は、トルクトランスデューサの別の実施形態の断面図である。本発明に関わるトルクトランスデューサで用いられる信号調整装置2002とスリップリング2001は、周知のものであり、例えば、ミシンガン・サエンティフィック社(Michigan Scientific Inc.)により提供される1つの部品ユニットは、部品番号、ショートS6/X/SG1(part no. Short S6/X/SG1)である。スリップリング2001は、アダプタ2012と協働する状態で示される。コンポーネントのシャフト2006は、キー2015を用いてアダプタ2012に連結されている。アダプタ2012は、ファスナ2011により変形可能な円筒体2009に連結される。ベアリング2003と2004は、歪が円筒体2009内に隔絶されるようにしながら、両端においてベルト受面2005を支持する。アダプタプレート2010は、ファスナ2016を用いてスリップリング/信号調整装置に円筒体2009を連結する。変形可能な円筒体2009の表面に貼着された歪みゲージの配置は、図12〜15に示される何れであってもよい。
【0064】
図11は、別の実施形態のトルクトランスデューサの断面図である。ハブ3002は、ボルト3005を用いてクランクシャフト3001に連結される。クランクシャフト3001は、自動車エンジン(図示せず)の一部である。ハブ3002は、変形可能な円筒部すなわち管状部3006を有する。歪みゲージは、ここで図12〜15に示されるように、管状部表面3007に貼着される。変形可能な管状部3006は、ボルト3013により外側リング3003に連結される。周知のスリップリングと信号調整装置3011は、ボルト3012により管状部3006に連結される。管状部3006と外側リング3003は、機械加工されてもよくあるいは単一のユニットとして製造されてもよく、それにより、ボルト3012、3013の必要性を除去し、そして全コンポーネントの重さを削減してもよい。
【0065】
ベアリング3004は、外側リング3003とハブ3002の間の環状空間3015に配置される。環状空間3015とベアリング3004は、環状部3006における捩り歪みを最適化するためにクランクシャフト3001から放射状に配置される。トルクが掛かると、ベアリング3004は、外側リング3003がハブ3002に対して僅かに回転させ、それにより掛かったトルクに比例して管状部3006を歪ませる。外側リング3003に対する十分に高いモジュラスは、歪みに関わる全てのトルクが実質的に管状部3006にのみに起こることを保証する。ベアリング3004は、荷重が掛かった状態において、管状部3006過度に変形すなわち捩られることがないように支持する。ベアリング3004には、シールドベアリングも含まれる。管状部3006と外側リング3003が単一のユニットである場合、ベアリング3004は圧入嵌合により取り付けられる。
【0066】
エラストマ部材3008が、外側リング3003とベルト受部材(belt bearing member)3009の間に配置される。エラストマ部材3008は、天然ゴムや合成ゴム、あるいはこれらの組み合わせの如何なるものでもよく、限定されるものではないがHNBRかつまたはEPDMを含む。部材3008は、この分野で周知の接着剤によって、あるいは環状空間3014内に圧縮されることにより、あるいはこれらの組み合わせにより、部材3009と外側リング3003との間に保持される。エラストマ部材3008の圧縮は、圧縮されていない厚さの20%〜70%の範囲内である。
【0067】
エラストマ部材3008は、クランクシャフトの回転とエンジンの作動により発生するクランクシャフトの振動を減衰する。このような方法での振動の減衰は、クランクシャフトにより駆動されるベルト伝動システムの摩損を低減し、それによりシステムコンポーネントの有効寿命を増大させ、車のフレームおよび乗り手に対する望ましくない騒音と振動の伝達を低減する。ベルト受部材3009は、マルチリブドベルトと係合するためのマルチリブド形状3010を有する。
【0068】
図10に示された形式の一体的なスリップリングと信号調整装置3011は、ハブ3002にボルト3012により連結される。本発明に関わるトルクトランスデューサは、十分にコンパクトであるため、現在クランクシャフトダンパによって要求されている容積と同じ大きさで使用できる。
【0069】
図12は、変形可能な部材に設けられたシングルフルブリッジ歪みゲージ装置(single full bridge strain gage installation)の模式図である。円筒体1005は、円筒の位置が0°と180°として示される「展開」された平面図として示される。回転軸はR−Rである。45°歪みゲージのペアT1C1とT2C2は、円筒体1005の外向きに配置される表面における位置0°と180°にある。用語“45°”は、軸A−Aに対する各歪みゲージの主軸方向の角度ついての位置関係に対応している。軸A−Aは、軸R−Rに対して角度90度で配置される。この角度の位置関係は、歪みゲージの軸が実質的に主歪み方向と一直線となることから、捩り歪みを検出する上で最大感度を与える。約40°〜50°の範囲の角度において、満足できる結果が得られる。図12〜15に示されたものも、管状部3006における歪みゲージの配置の代表例である。
【0070】
図13は、三相駆動(bipolar excitation)によるシングルフルブリッジ歪みゲージ装置(single full bridge strain gage installation)の模式図である。歪みゲージT1、T2、C1、C2の各々は役割に適した周知の抵抗からなる。図11に示すように、各々は円筒体1005の表面に接着される。円筒体1005の変形は、プーリ/センサの組み合わせにより伝達されるトルクに比例する。歪みゲージ信号調整装置と接続された器械モジュール(instrumentation module)への信号はS+とS−で表わされる。電圧源はP+とP−で表わされる。
【0071】
図14は、変形可能な部材に装置されたダブルブリッジ歪みゲージ装置の模式図である。円筒体1005は、「展開」された平面図として示され、円筒上の位置が円筒体1005の外側に位置する表面における0°、90°、180°、270°として示される。45°歪みゲージのペアは、T1C1が0°に、T2、C2が90°に、T3C3が180°に、T4C4が270°に配置される。歪みゲージT1、T2、T3、T4、C1、C2、C3、C4の各々は、役割に適した周知の抵抗からなる。各歪みゲージは、図13に示されるように、円筒体1005に接着され、プーリ/センサの組み合わせにより伝達されるトルクに直接比例する円筒体1005の歪みが計測される。図12において述べたように、用語“45°”は、各歪みゲージの主軸方向の軸A−Aに対する角度ついての位置関係に対応している。軸A−Aは、軸R−Rに対して角度90度で配置される。これは、歪みゲージの軸が実質的に主歪み方向と一直線となることから、捩り歪みを検出する上で最大感度を与える。約40°〜50°の範囲の角度において、満足できる結果が得られる。
【0072】
図15は、三相駆動(bipolar excitation)によるダブルブリッジ歪みゲージ装置の模式図である。ダブルブリッジ歪みゲージは、小さい歪みの検出に対して大きな感度を与える。歪みゲージ信号調整装置と接続された器械モジュール(instrumentation module)への信号はS+とS−で表わされる。電圧源はP+とP−で表わされる。
【0073】
本発明に関わるシステムとコンポーネントは、最小限の改造により既存の車両のフロントエンド補機駆動に使用することができる。ハブ荷重トランスデューサは、アイドルプーリ内に嵌め込まれる。トルクトランスデューサは、各々オリジナルの装具として、あるいは既存のトルク伝達補機プーリやクランクシャフトへ後から取り付けることができるため、大きな適応性を与える。
【0074】
図16は、試験用のベルト伝動システムの模式図である。この代表例としてのシステムでは、トランスデューサはP_Sプーリ、パワーステアリングプーリ、ALTプーリ、すなわちオルタネータプーリに取り付けられる。ハブ荷重トランスデューサは、アイドル(IDL)プーリに取り付けられる。ベルトは、クランクシャフトプーリCRKによりD方向に駆動される。もちろんユーザは、ハブ荷重トランスデューサとトルクトランスデューサを用いた(n−1)個のプーリを取り付けることも可能である。ここで(n)はプーリの総数である。
【0075】
図16における試験用システムに関するレイアウトデータは以下のとおりである。
【表1】
【表2】
【0076】
それぞれの張力は、以下の式を用いて計算される。
【数1】
【0077】
限定するものとしてではなく、説明の目的のためのサンプルとしての計算は、以下のようになる。
【数2】
【0078】
駆動効率を計算し、この量を特定するには回転速度が計測される必要がある。上記例に関し、クランクシャフトにおけるトルクは、計算されるのではなく、トルクトランスデューサを用いて直接計測されなければならず、
Qcr=+135[N・m]、クランクシャフトCRの回転速度=1000rpm
Qac=−30[N・m]、エアコンACの回転速度=1100rpm
Qal=−20[N・m]、オルタネータALの回転速度=3300rpm
Qpa=−15[N・m]、パワーステアリングPAの回転速度=1300mm
Qwp=−5[N・m]、ウオータポンプWPの回転速度=2000mm
である。
【0079】
駆動効率は、以下のように計算される。
η=abs([QAC×AC+QAL×AL+QPA×PA+QWP×WP]/[QCR×CR])×100%
=|(30×1100+20×3300+15×1300+5×2000)/135×1000)×100|
η=95.19%
【0080】
図17は、試験用のベルト伝動システムにおいて計測されたハブ荷重とトルクを示すグラフである。上で実行されたサンプルのベルトスパン張力計算は、タイムステップ23秒で行われる。トルクT1、T2、T3、T4は、各タイムステップで計算可能であり、タイムステップ23はランダムに選ばれる。曲線(A)は、アイドラハブ荷重である。曲線(B)はオルタネータトルクであり、曲線(C)はパワーステアリングポンプ(P/S)トルクである。各々の値は、この明細書に説明された器具類により、図16に示されるように計測される。
【0081】
試験用のシステムは、3つの荷重/不荷重周期に置かれる。0時点から約4秒の時点まで、オルタネータのトルクとアイドラのハブ荷重は略一定である。約2秒の時点では、荷重の増大に対応してパワーステアリングトルクは増大する。荷重は約11秒の時点まで略一定である。約4秒の時点から5秒の時点まで、オルタネータのトルクは低減する。5秒の時点では、オルタネータのトルクは一様となる9秒の時点まで安定的に増大する。約4秒の時点では、ハブ荷重は一様となる6秒の時点まで低減する。6秒の時点では、それは4秒の時点で計測された値まで急激に増大する。11秒の時点では、この周期が25秒の時点まで繰り返され、また再び37+秒の時点まで繰り返される。
【0082】
図18は、試験用のベルト伝動システムにおける各時点で計算された張力のグラフである。カーソルXは、23秒位置にあり、図16の結果との相互関係を示し説明する。曲線(A)はアイドラ張力T4である。曲線(B)はオルタネータ張力T3であり、曲線(C)パワーステアリングポンプ(P/S)張力T2である。ここで説明された計算は、好ましくは、この計算を実行するためのコンピュータプログラムを用いて実行される。コンピュータプログラムは周知の方法を用いて完成される。
【0083】
図17に示された各周期の進展は、図18において明瞭に観察される。例えば、アイドラがトルクを伝達しないことから、図16に示されるようにスパン3とスパン4におけるアイドラベルトスパン張力は、図17に示されるアイドラハブ荷重に対応する。スパン2(曲線(B))におけるベルト張力は、オルタネータトルクの関数である(図17参照)。スパン1(曲線(C))におけるベルト張力は、オルタネータトルクとパワーステアリングトルクの関数である(図17参照)。
【0084】
ここに説明されたシステムと方法は、ハブ荷重トランスデューサが嵌められたアイドルプーリを除いて(アイドルプーリはトルクを全く伝達しないことから)、全てのプーリにトルクトランスデューサを取り付けることに使用できることが理解されるであろう。
【0085】
ここでは、本発明の幾つかの形態について説明されたが、当業者にとっては、ここで説明された本発明の精神と範囲を逸脱することなく、その構成や構成部の関係を様々に変形することは容易である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】ハブ荷重トランスデューサの斜視図である。
【図2】ハブ荷重トランスデューサの斜視図である。
【図3】ハブ荷重トランスデューサ・センサリングの平面図である。
【図4A】ハブ荷重トランスデューサの平面図である。
【図4B】図4AのB−B線における断面図である。
【図4C】図4Bの4C−4Cにおける側面図である。
【図5】ハブ荷重トランスデューサの分解斜視図である。
【図6】ハブ荷重トランスデューサの自動調心部の部分平面図である。
【図7】ハブ荷重トランスデューサの自動調心部の部分平面図である。
【図8】ベルト補機伝動装置の模式図である。
【図9】トルクトランスデューサの断面図である。
【図10】別の実施形態のトルクトランスデューサの断面図である。
【図11】別の実施形態のトルクトランスデューサの断面図である。
【図12】可変部材に装着されたシングルフルブリッジ歪みゲージ装置の模式的回路図である。
【図13】三相駆動によるシングルフルブリッジ歪みゲージ装置の模式的回路図である。
【図14】可変部材に装着されたダブルフルブリッジ歪みゲージ装置の模式的回路図である。
【図15】三相駆動によるダブルフルブリッジ歪みゲージ装置の模式的回路図である。
【図16】試験用ベルト伝動システムの模式図である。
【図17】試験用ベルト伝動システムの各時点において計測されたハブ荷重とトルクを示すグラフである。
【図18】試験用ベルト伝動システムの各時点で計算されたコンポーネント張力のグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトの動的張力計測のための装置および方法に関し、特にハブ荷重トランスデューサ(hubload transducer)およびトルクトランスデューサ(torque transducer)を用いた駆動効率計測のためのベルトの動的張力計測のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な歪み計測装置が知られている。それらは荷重が掛けられるとともに歪みゲージが取り付けられた可変部材(strainable member)を一般に備える。それらの中に、変形可能なビーム部材と撓みビーム部材を有する環状ゲージリングを備える装置がある。可撓性ビーム部材は複数の環状部を相互に連絡する。
【0003】
また、周知の装置の中には、双対ビーム検出部材があり、これは平行に離間した桁部材によって一体的に連結された離間した端部壁部材を備え、ビーム部材は1つの方向にのみ比較的撓み易いすなわち曲げられ易い。端部壁の一方は支持構造に通常取り付けられており、他方の端部壁はシャフトに有効にあるいは直接取り付けられる。
【0004】
この技術の代表はレトバーラ(Lehtovaara)に与えられた米国特許第6,216,547号明細書(2001年)であり、環状内側リング部と環状外側リング部を備え変形可能なビーム部材と撓みビーム部材を有する環状ゲージリングを備える荷重センサを開示する。可撓性ビーム部材は複数のリング部を相互に連絡する。
【0005】
また、2002年9月30日に出願された出願人の同時係属中の米国特許出願第10/262,035号も参考にでき、これは内側リングと外側リングの間に同一平面的に配置された変形可能なリングを備えるハブ荷重トランスデューサを開示する。
【0006】
また、他端がシャフトに連結された状態でプーリに連結された円筒形部材を備え、円筒形部材に取り付けられた歪みゲージを有するトルクロードを計測するためのプーリが知られている。
【0007】
この技術の代表は、日本国特許出願公開公報第2001099271号であり、他端がシャフトに連結された状態でプーリに連結され、円筒形部材に取り付けられた歪みゲージを有する円筒形部材を開示する。
【0008】
従来技術は、ハブ荷重トランスデューサおよびトルクトランスデューサを組み合わせ1つのシステムとして機能させることを教示しない。また、ハブ荷重トランスデューサは、撓みビーム部材と変形可能なビーム部材を備え比較的複雑である。従来のトルクトランスデューサは、円筒部を他の支持構造からの捩りに対して分離する手段に欠けている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
必要とされているのは、稼動中のベルトスパン張力をハブ荷重トランスデューサとトルクトランスデューサを用いて計測する方法と装置である。必要とされているのはベルト駆動効率をハブ荷重トランスデューサとトルクトランスデューサを用いて計測する方法と装置である。本発明はこれらの要求に合致する。
【0010】
本発明の第1の目的は、稼動中のベルトスパン張力とクランクシャフトトルクをハブ荷重トランスデューサとトルクトランスデューサを用いて計測する方法と装置を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、ベルト駆動効率をハブ荷重トランスデューサとトルクトランスデューサを用いて計測する方法と装置を提供することである。
【0012】
本発明のその他の目的は、本発明の以下の説明と添付された図面により指摘され明らかとされる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、稼動中のフロントエンド補機ベルト張力を、ハブ荷重トランスデューサとトルクトランスデューサを用いて計測するための方法と装置に関する。ハブ荷重トランスデューサは、同心的な複数のリングを備え、内側リングと外側リングの間に同一面となるように可変部材が配置される。ハブ荷重トランスデューサは、トルクを伝達しないアイドルプーリとともに用いられる。トルクトランスデューサは、ベルト受面と回転シャフトに連結された可変円筒部材を備える。トルクトランスデューサは、トルクを従動補機に伝達する。それは、エアコン用コンプレッサやパワーステアリングポンプなどの補機に用いられる。ハブ荷重トランスデューサとトルクトランスデューサからの信号は、ベルトと従動補機の間のベルトスパン張力とともに駆動効率を計算するのに用いられる。
【0014】
この明細書に組み込まれその一部を構成する添付図面は、本発明の好ましい実施形態を示し、説明とともに本発明の原理を説明するために用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、ハブ荷重トランスデューサの斜視図である。ハブ荷重トランスデューサは比較的コンパクトであり、プーリ内においてシャフト荷重すなわちシャフトの動的挙動を計測するのに用いられ得る。これにはハブ荷重の計測が含まれるので、結果としてベルトスパン張力が計測される。ハブ荷重は、ベルト伝動システムにおけるベルト張力によりプーリとそのシャフトに掛かる荷重である。
【0016】
トランスデューサ100は一般に、弧状内側部材すなわちハブリング101とセンサリング102、弧状外側部材すなわち外側リング103とを備える。ハブリング101は、トランスデューサを取付面に取り付けるための手段として機能するボア104を備える。ボルトなどのファスナは、ハブリング101にボア104を通して係合し、トランスデューサを取付面に連結する。ハブリング101は、トランスデューサを取付面に連結する確りとした手段を提供するために比較的リジッドである。ハブリング101は更に、ハブリングを取付面に取り付けるための一体的なシャフトを備えてもよい。ハブリング101は、連結部すなわち部材108によりセンサリング102に連結される。
【0017】
ハブリング101の各側面に設けられたアパーチャ120、121は、センサリング102の内周面122、123への通路(アクセス)を提供する。アパーチャ120、121を通した通路(アクセス)は、歪みゲージ302、303をセンサリング102に取り付けるために用いられる。アパーチャ120、121を使用するかは、スロット511の幅に依存する。アパーチャ120、121の採用は、スロット511の幅を、センサリング102がハブリングの横方向運動範囲の限界においてハブリング101にぎりぎり触れないところまで極小化でき、これによりトランスデューサの全体の直径を従来技術よりも小さくすることができる。例えば、スロット511が特に狭い場合、例えば約2mmよりも小さいとき、センサリング102への歪みゲージの取り付けのためのアクセスは極めて制限され、恐らくアパーチャ120、121が無ければ不可能であろう。
【0018】
センサリング102は、ハブリング101と外側リング103の間に連結される。センサリング102は、内側ハブリング101と外側リング103の弧状部と同心的に協働する弧状可変部材(arcuate strainable member)を備える。ハブリング、センサリング、外側リングの同心的な関係は、例えばプーリ内などの狭い場所での利用において、本発明に関わるトランスデューサを例えば60mmよりも小さい最小の直径にすることを可能にする。
【0019】
スロット510は、センサリング102と外側リング103の間に配置される。スロット511は、センサリング102と内側リング101の間に配置される。荷重が掛かった状態では、センサリング102は引き延ばされ、すなわちA−A方向に長軸を、B−B方向に短軸を持つ楕円形に変形する(図3参照)。スロット511の幅は、荷重が掛かった状態のときに、センサリング102のB−B方向へ必要とされる総体的変形量によって決定される。スロット511の幅は、センサリング102の厚さTの関数でもある。厚さ(T)は、最大設計荷重を含むセンサリングが晒される動的条件によって決定される。有限要素解析を用いて、厚さ(T)は予想される荷重条件の下で好適なダイナミックレンジを与えるように最適化される。
【0020】
図3に示されるように、少なくとも1つの歪みゲージがセンサリングに取り付けられる。ハブ荷重力ベクトルがベクトル600で表わされる。センサリング102は、ハブリングへのハブ荷重の作用により歪みゲージの位置において表面歪み(surface strain)が生じるのに十分な可撓性を有する。センサリング102は、弧状連結部材512を介して外側リング103と部分107に連結される。部分107と連結部108は、実質的にセンサリング102の互いに反対側に配置される。部材512におけるセンサリング102の外側リング103へ連結は、軸A−Aに沿ったハブ荷重力600を受けたときに、センサリング102の変形を増大させ、それによりセンサリング102における表面歪みを増大させる。ベクトル600は、特定の方向を持つものとして示されているが、トランスデューサは如何なる方向のベクトルを持つ荷重をも検出することができる。無論、総合的な感度は、ベクトル600とそれに対する歪みゲージの位置との間の空間的な関係に依存して影響されるであろう。このためトランスデューサの感度は、部分107と部材108に対してのベクトル600の方向、歪みゲージの位置、そしてセンサリング102の厚さに基づいて最適化される。
【0021】
各連結部材512は、トランスデューサに荷重が掛かっているとき、センサリング102とともに部分的に変形する。部材512は、トランスデューサ、より具体的にはセンサリング102により掛けられる動的荷重の関数である所定のバネ率(spring rate)を有する。この所定のバネ率は、次に各部材の弧状形状を決定する。
【0022】
稼動中センサリング102は振動と周期的荷重に常時曝されることが理解される。これは、センサリング102と外側リング103の間の連結部に応力を与える。これゆえに、部材512の弧状形状は、分配し分散させなければセンサリング102と外側リング103との間の連結部に存在し得たストレスライザー(stress risers)を低減することにより、トランスデューサの耐用年数を延ばす。これはさもなければストレスライザーにより連結部に起こり得た疲労クラックの可能性を最小のものとする。
【0023】
外側リング103に設けられたアパーチャ105、106は、センサリング102への歪みゲージ301、304の取り付けを容易にするために用いられる(図3参照)。アパーチャ105と106を通したアクセスは、センサリング102に歪みゲージ301、304を取り付けるために用いられる。アパーチャ105、106を利用するかは、スロット510の幅に依存する。アパーチャ105、106の採用はスロット510の幅を、センサリング102がセンサリングの横方向運動範囲の限界においてリング103にぎりぎり触れないところまで極小化でき、これによりトランスデューサの全体の直径を従来技術よりも小さくすることができる。例えば、スロット510が特に狭い場合、例えば約2mmよりも小さいとき、センサリング102への歪みゲージの取り付けのためのアクセスは極めて制限され、恐らくアパーチャ105、106が無ければ不可能であろう。
【0024】
ブラケット500は、歪みゲージ信号調整装置を受容するのに用いられてもよい。ブラケット500は外側リング103に取り付けられる。ブラケットは、外側リング103の一体的な部分として形成、すなわちキャスト(cast)されてもよい。
【0025】
外側リング103は、装置に構造的強度を与えるとともに、トランスデューサをベアリングやプーリへ係合するための手段を提供する。外側リング103は、プーリベアリング内に押入され、ベアリングはベルトに係合するプーリと係合する。外側リング103は、ベルト伝動システムにおけるトランスデューサの周りのプーリの回転運動を可能にするのに十分な剛性を有する。
【0026】
ハブリング101、センサリング102、外側リング103は実質的に同一平面内にある。より具体的には、各々のリングは他のリングの内側に同心的に入れ子になっている。リングを入れ子とすることは、本発明に関わる装置の厚さを最小限度まで減らし、それにより、例えば装備用のスペースが制限される現在の車両のフロントエンド補機駆動装置でのプーリ内におけるトランスデューサの使用を可能にする。本発明のトランスデューサは、ベルト伝動システムに現に存在するプーリに置き代えて用いることができるので、現在のシステムを殆んどあるいは全く変更せずに、装備取り付けのための部品を新たに追加することができる。トランスデューサは、シャフトの動的挙動すなわちテンショナアームの動的挙動を計測するために、テンショナプーリとテンショナアームの間、テンショナプーリシャフトにおいて用いることもできる。
【0027】
好ましい実施形態では、本発明のトランスデューサは、例えばアルミ、スチール、チタン、マグネシウムやこれらの組み合わせあるいは合金を含む金属など、1つの材料から機械成形されてもよい。装置はまた、トランスデューサにより掛けられる荷重に従って、プラスチック、セラミック、フェノール樹脂、粉末金属など適切な素材から、キャスト、切削、あるいは金型成形されてもよい。
【0028】
別の実施形態では、それは3つの部品、すなわち、接着剤やネジにより連結されたハブリング、センサリング、そして外側リングから構成されてもよい(図4a参照)。この実施形態では、ハブリングと外側リングは、セラミック素材からなり、センサリングは金属材料からなる。また別の実施形態では、特に低荷重のアプリケーションでは、ハブリングと外側リングはプラスチック素材からなる。プラスチックは、設計荷重に十分耐えるとともに、十分なモジュラスとそれが搭載されるエンジンの運転温度に対する十分な耐熱性を備えればよい。
【0029】
また別の実施形態では、センサリングと外側リングは、ハブリングがセンサリングにネジあるいは接着剤により取り付けられた機械成形された単一の部品でもあってもよい。この実施形態では、センサリングと外側リングは例えば金属材料からなり、ハブリングは例えばセラミック素材からなる。ハブリングは、荷重が比較的低いアプリケーションではプラスチック素材であってもよい。プラスチックは、十分なモジュラスとそれが搭載されるエンジンの運転温度に対する十分な耐熱性を備えればよい。
【0030】
図2は、トランスデューサの斜視図である。トランスデューサ100は、プーリ200の中に入れられた状態で示される。ベアリングあるいは複数のベアリング205は、外側リング103の外側に押し付けられ、外側リング103とプーリ200の間の環状空間を埋める。ブラケット500は、トランスデューサ100にファスナ501、502によって取り付けられる。プーリ200は、従来この分野で知られているどのようなベルト支持形状(belt bearing profile)を持つものであってもよい。
【0031】
図3は、トランスデューサ・センサリングの平面図である。センサリング102は、歪みゲージ301、302、303、304がそこにフルブリッジの構成で取り付けられた状態で示される。歪みゲージは、電線401、402、403、404により連結される。電線402と403は、計器のリード線との連結のためにブラケット500へと導かれる。歪みゲージ301と304は、アパーチャ105、106を通してセンサリング102に取り付けられてもよい。歪みゲージ302と303は、アパーチャ120、121を通してセンサリング102に取り付けられる。歪みゲージは、力のベクトル軸A−Aが歪みゲージ間の想像線(imaginary line)B−Bに垂直となるように向きが合わせられる。歪みゲージのフルブリッジの構成は、大まかに図12および図14に示される通りである。
【0032】
図4Aは、ハブ荷重トランスデューサの平面図である。これはここ以外の場所で示されるように、別体のハブリング101、センサリング102、外側リング103を用いた実施形態である。センサリング102は、外側リング103にネジ203、204を用いて締結される。ハブリング101は、ネジ201、202を用いてセンサリング102に締結される。リングを締結する他の手段としては、溶接、接着、リベット留や、この分野で知られている他の適切な手段などが含まれる。ネジ201、202、203、204は、ハブ荷重の軸線A−Aに対して図示されるような向きに配置される。
【0033】
図4Bは、図4Aの線4B−4Bでの断面図である。ネジ201、204は、センサリング102を外側リング103に連結した状態で示される。ブラケット500は、ここ以外の場所で示されるように、歪みゲージの電線を計器のリード線に連結する手段を提供する。
【0034】
図4Cは、図4Bの4C−4Cにおける則面図である。ネジ203、204は、外側リング103をセンサリング102に連結した状態で示される。
【0035】
図5は、トランスデューサの分解斜視図である。ベアリング205は、トランスデューサ100の外側リング103に押し付けられる。プーリ200は、ベアリング205に押し付けられる。アパーチャ120と121は、センサリング102に歪みゲージを取り付けるためのアクセスを提供する。
【0036】
図6は、自動調心部の部分平面図である。トランスデューサの感度を最適化するためには、センサリングがハブ荷重ベクトル600の影響を受けやすいよう配置されることが望ましく、すなわちベクトル600が軸線A−Aと一直線になり、それにより歪みゲージが軸線B−Bに沿って配列されるように配置されることが望ましい(図3参照)。これは自動調心部材700を用いることにより達成される。
【0037】
より具体的には、偏心的な自動調心部材700がリングボア104の内側に配置される。限定的ではなく例示的に、偏心部材700は、ボア104の中に押入され嵌め合わされる。また部材700が単に弧状内側部材101の一部分、すなわち弧状内側部材がトランスデューサの幾何学的中心とは直列しない中心705を持つボア701を備えてもよいことも理解されるであろう。
【0038】
偏心部材700は、ボア701を備える。ボア701の中心705は、偏心部材の幾何学的中心704から一定距離離れて偏心的に配置される。偏心部材の幾何学的中心704は、トランスデューサの幾何学的中心とセンサリングの幾何学的中心とも一致する。ベアリング702は、ボア701の中に押入される。ボルトなどの締結部材(fastening member)703は、ベアリング702を挿通し、ベアリング702を、それによってトランスデューサを取付面(図示せず)に取り付ける。ベアリング702の作用により、トランスデューサは自由に締結部材703の周りに回転可能である。
【0039】
代表的な状況におけるトランスデューサに作用するハブ荷重ベクトル600が図示される。ハブ荷重は張力が掛かっているベルトBTによって発生する。典型的な配置では、ベクトル600は、初めボア中心705から距離(D)だけ横方向にオフセットされている。ハブ荷重600が掛かると、直ちに部材700の自動調心特性がトランスデューサを適正に位置決めするように作動する。より具体的には、距離(D)は偏心部材700に作用するトルクを発生するレバーアームとして働く。トルクは、偏心部材700、そしてそれによりトランスデューサ100とセンサリング102をベクトル600が中心705と直列するまでベアリングの周りに回転させ、それにより自動調心トルクを除去し、釣合い状態を取り戻す。自動調心におけるこの作動の仕方は、ベクトル600の方向に関わらず適用される。
【0040】
図7は、自動調心部の部分平面図である。ベクトル600は、ボア中心705と直列している。この方向付けは、歪みゲージ301、302、303、304が最適な検出位置にあることをもたらし、すなわち、図3に示されるように軸線B−Bに沿って整列される。
【0041】
トランスデューサは、図6、7に示されたような自動調心部材700があってもなくても作動できることが理解できる。自動調心部材700の利用は、トランスデューサに必要とされる感度と運転条件による。これは更に稼動中のベクトル600の変動範囲にある程度依存する。トランスデューサの感度は、荷重ベクトル600とともに、歪みゲージのアライメントに相関する。例えば、もし本発明のトランスデューサが、ベクトル600の向きの範囲が狭いアイドラとともに用いられるならば、自動調心部材の必要性はあまり重要でないであろう。一方、トランスデューサが、テンショナアームの運動により生じる比較的大きな変動範囲を有するテンショナにおいて用いられる場合、自動調心部材の使用はトランスデューサに要求される感度を維持するのに有利である。
【0042】
図8は、ベルト補機伝動装置の概略図である。マルチリブドベルトの展開とともに、エアコン用補機、パワーステアリング用補機、オルタネータや、ウオータポンプを含む全ての補機を駆動するための単独多軸掛けベルトの実施と使用が自動車産業によって広く採用されている。ここで説明される伝動装置は、ベルト(B)のマルチリブド側と背面側の両方を利用する。これは、そうしなければ各補機を駆動するのに求められる多数のベルトの必要性を除去し、前後方向へのエンジンの寸法全体を縮小する。ベルト伝動装置の代表的な配置が図8に示される。より具体的には、プーリは、オルタネータ“AL”、パワーステアリングポンプ“PA”、ノントルク(non-torque)すなわちトルク荷重の受け渡しをしないテンショナアイドラ“IDL”、ウオータポンプ“WP”、クランクシャフト“CR”、エアコン用コンプレッサ“AC”として示される。プーリ間の各々のベルトスパンは、PAからIDLが“1”、IDLからWPが“2”、WPからCRが“3”、CRからACが“4”、ACからALが“5”、ALからPAが“6”として示される。この説明の目的のために、ハブ荷重トランスデューサは、テンショナIDLに取り付けられている。トルクトランスデューサは、AC、AL、PA、WPに取り付けられている。トルクは各補機とCRにおいて受け渡しされる。
【0043】
運転時ベルト張力動的計測(operating belt tension dynamic measurement)とは、エンジンとベルトが作動中に計測が行われることを意味する。これは、エンジンとベルトが作動されていない間に実行されるいわゆるベルト張力静的計測(belt tension static measurement)に対するものである。張力計を用いた静的な計測の場合、各ベルトスパンに振動を起こすことにより、この分野で周知のスパン振動周波数計測手法(span vibration frequency measurement technique)を用いて、各ベルトスパンの張力を推定することができる。
【0044】
ここに図1〜7に示されるように、ハブ荷重トランスデューサは、アイドラ(IDL)プーリに据え付けられる。アイドラ(IDL)プーリでは、荷重(トルク)は受け渡しされない。一般的な単独多軸掛けベルト補機伝動システムは、ベルト経路を決めるためあるいはベルト張力制御のために、少なくとも1つのアイドラプーリを備える。アイドラプーリがテンショナに取り付けられる場合、それは「自動張力制御装置(automatic tension control)」と呼ばれる。一方、アイドラプーリがネジジャッキ組立体(jackscrew assembly)に取り付けられる場合、それは「固定中心張力制御装置(fixed center tension control)」と呼ばれる。
【0045】
原理的には、プーリの両側のベルトスパン張力は、プーリによりトルクの受け渡しがなされない場合、初期取付張力から変化しない。ハブ荷重トランスデューサによってトルクが受け渡しされることはないので、ハブ荷重トランスデューサの両側におけるスパン張力は、
T1=T2=H/[2sin(θ/2)] (1)
として計算できる。ここでHはハブ荷重トランスデューサにより計測されるベルトハブ荷重力であり、θはこのプーリにおけるベルトの巻付け角の大きさである。ベルト巻付け角は、レイアウトの幾何形状から直接計測される。トランスデューサにより計測されたハブ荷重力Hは、「基線張力計測値(baseline tension measurement)」として参照される。図1〜7のために示されるように、ハブ荷重トランスデューサに設けられた歪みゲージは、この分野で周知の計器、例えば信号調整/増幅装置とオシロスコープあるいはハブ荷重力をニュートンで表示するデジタルメータに送られる信号を生成する。歪みゲージ信号調整/増幅装置の代表例は、URL http://www.iotech.com/catalog/daq/catdbk43.htmlに表示されるIOテック(IO Tech)社製歪みゲージモジュールDBK43A(商標)8チャンネル歪みゲージモジュールである。
【0046】
ハブ荷重トランスデューサとは異なり、トルクトランスデューサはトルクを伝えるとともに計測することができる。トルクが、プーリ(例えばウオータポンプWP用のプーリ)により伝えられる場合、トルクトランスデューサにおける張力の差は、
T3−T2=2×Q/D (2)
となる。ここで、Qはトルクトランスデューサで計測されるN・mでのトルクであり、Dはトルクトランスデューサにおけるプーリのメートルでのピッチ円直径である。一般に、トルクトランスデューサは、最大摩擦許容力(maximum friction capacity)を得るためにマルチリブドプーリに接続されている。トルクトランスデューサにより計測されたトルク値は、「増加張力計測値(incremental tension measurement)」として参照される。
【0047】
ベルト伝動における効率(η)は、
η=([P出力]/[P入力])×100%
で定義される。ここでP入力はパワー入力でありP出力はパワー出力である。これらは各々以下のように定義される。
P入力=QCR×ωCR
P出力=(QAC×ωAC)+(QAL×ωAL)+(QPA×ωPA)+(QWP×ωWP)
【0048】
トルクQCR、QAC、QAL、QPA、QWPは、対応する各シャフトにおいて直接トルクトランスデューサによって計測される。RPMでの回転速度も、対応する各シャフトにおいて計測される。従動ベルトプーリシステムの比較的高い効率により、準エネルギー保存状態が略達成される。したがって、必要とされるトルクトランスデューサの総数は、トルクコンポーネントの総数から1引いた数でよい。
【0049】
システム内に摩擦損失がないと仮定した理想状態において、エネルギーの保存は全パワー入力が全パワー出力に等しいことを要求する。
QCR・ωCR=QAC・ωAC+QAL・ωAL+QPA・ωPA+QWP・ωWP
ここで、ωは回転速度を表わし、ラジアン/秒の次元単位を有する。
【0050】
ベルトと各プーリの間に滑りがないと仮定すると、
ωCR×DCR=ωAC×DAC
ωCR×DCR=ωAL×DAL
ωCR×DCR=ωPA×DPA
ωCR×DWP=ωAC×DWP
【0051】
滑り無しの等式を用いてエネルギー保存の式を解くと、クランクシャフトトルクQCRは、コンポーネントのトルクにより以下のように表わされる。
QCR=QAC×DCR/DAC+QAL×DCR/DAL
+QPA×DCR/DPA+QWP×DCR/DWP (3)
【0052】
なお、式(2)、(3)を用いるとき、駆動トルクと従動トルクは、それぞれ“+”と“−”で示される。駆動トルクは、クランクシャフトダンパトルクであり、従動トルクは個々のコンポーネント、例えばエアコン用コンプレッサ、オルタネータなどのトルクである。クランクシャフトトルクは、式(3)を用いて計算される。スパン1とスパン2における基線張力は、基線張力式(1)を用いて計算される。隣接するスパンの張力、例えばスパン3から6は、増加張力式(2)を用いてトルクトランスデューサ計測値を用いて計算される。
【0053】
以下の仮の値はランダムに選択されたもので、限定的なものではなく、単に計算手順を説明する目的のために与えられたものである。
クランクシャフトダンパ、ピッチ円直径 DCR=200[mm]
ACにおいて計測されたトルク、 QAC=−30[N・m]
ピッチ円直径 DAC=180[mm]
ALにおいて計測されたトルク、 QAL=−20[N・m]
ピッチ円直径 DAL=60[mm]
PAにおいて計測されたトルク、 QPA=−15[N・m]
ピッチ円直径 DPA=150[mm]
WPにおいて計測されたトルク、 QWP=−5[N・m]
ピッチ円直径DWP=100[mm]
前述したように、“+”符号は駆動トルクを示し、“−”符号は従動補機トルクを示す。
【0054】
式(3)は駆動トルク(クランクシャフトトルク)を計算するのに以下のように用いられる。
QCR=200/180×30+200/60×20
+200/150×15+200/100×5=+130[Nm]
式(2)を用いると、各ベルトスパンにおける増加張力は、以下のように計算される。
T34=2×130×1000/200=+1300[N]
T45=2×30×1000/180=−333[N]
T56=2×20×1000/60=−667[N]
T61=2×15×1000/150=−200[N]
T23=2×5×1000/100=−100[N]
【0055】
“1000”の項は、単に単位変換から導かれるものである。
すなわち、1.0N・m=1000.0N・mm
【0056】
テンショナアイドラIDLにおける巻付け角はθ=60°である。IDLにおいてハブ荷重トランスデューサにより計測されたハブ荷重はH=350[N]である。
【0057】
式(1)を用いて、スパン1とスパン2におけるベルト張力は、以下のように計算される。
T1=T2=H/[2×sin(θ/2)]=350[N]
【0058】
したがって、隣接するスパン張力は、以下のように計算される。
T3=T2+T23=350−100=250[N]
T4=T3+T34=250+1300=1550[N]
T5=T4+T45=1550−333=1217[N]
T6=T5+T56=1217−667=550[N]
T1=T6+T61=550−200=350[N]
【0059】
<トルクトランスデューサ>
図9は、トルクトランスデューサの断面図である。トルクセンサ1000は、シャフト1001に連結された状態で示される。シャフト1001は、従動されるAC、AL、WP、PAなどの補機へのパワー(トルク)入力、あるいはクランクシャフトCRKなどの駆動装置からのパワー出力(トルク)のための回転シャフトである。センサ1000は、ネジ留具1003を用いてトランスデューサをシャフト1001に締結するのに使用されるリング1002を備える。またリング1002は、変形可能な円筒体1005に留め付けられる。そして変形可能な円筒体1005は、ベルト係合リング1007に留め付けられる。ベルト係合リング1007はまた、ベルト係合部1008を備える。部分1008は、マルチリブドの輪郭として示されている。部分1008は、ベルト伝動システムに用いられるベルトに応じて、平らあるいは単一の溝(Vベルト)の輪郭であってもよい。
【0060】
変形可能な円筒体1005は、運転時のトルク荷重を受けたときに捩り変形できるように十分に薄い。円筒体1005は、運転時の荷重が掛かったときに破損することなしに歪むのに十分な可撓性を備えるとともに、トルクを伝達する機能を維持するのに十分な強度と靭性を備える素材であれば何であってもよい。利用できる素材には、アルミ、鉄、チタン、マグネシウム、合金やこれらの組み合わせを含む金属材料はもちろんのこと、プラスチックも含まれる。素材はシステムの運転に対する要求(operational requirements)に基づいて選択される。
【0061】
一方、リング1002、リング1007、そしてベルト係合部1008は、各々円筒体1005に比べ十分に剛性を備え、リング1002、リング1007、そしてベルト係合部1008における全ての歪みは、実質上円筒体1005における歪みに比べて取るに足らないほど小さい。トルクトランスデューサにおける全ての歪みは実質上円筒体1005に現れることが望ましい。これは歪みゲージにより検出される歪みを最大にして、それにより歪みゲージにおける抵抗の変化を最大にし、そして取り付けられた計器により検出される電圧変化を最適化する。
【0062】
低摩擦ベアリング1009が、リング1007とベルト係合部1008と円筒体1005の間に配置される。ベアリング1009は、リング1007がリング1002に対して捩り方向に固定されることを防止しながら、リング1007とベルト係合部1008を同時に径方向に支持し、それにより、全てのトルクが円筒体1005を通して伝達されるように制限する。ベアリング1009は、この技術分野で知られている適切な如何なる低摩擦ベアリングであってもよく、これにはボールベアリング、ニードルベアリング、ローラベアリングが含まれるがこれらに限定されるものではない。滑らかにされた低摩擦摺動面をベアリングの代わりに用いてもよい。
【0063】
図10は、トルクトランスデューサの別の実施形態の断面図である。本発明に関わるトルクトランスデューサで用いられる信号調整装置2002とスリップリング2001は、周知のものであり、例えば、ミシンガン・サエンティフィック社(Michigan Scientific Inc.)により提供される1つの部品ユニットは、部品番号、ショートS6/X/SG1(part no. Short S6/X/SG1)である。スリップリング2001は、アダプタ2012と協働する状態で示される。コンポーネントのシャフト2006は、キー2015を用いてアダプタ2012に連結されている。アダプタ2012は、ファスナ2011により変形可能な円筒体2009に連結される。ベアリング2003と2004は、歪が円筒体2009内に隔絶されるようにしながら、両端においてベルト受面2005を支持する。アダプタプレート2010は、ファスナ2016を用いてスリップリング/信号調整装置に円筒体2009を連結する。変形可能な円筒体2009の表面に貼着された歪みゲージの配置は、図12〜15に示される何れであってもよい。
【0064】
図11は、別の実施形態のトルクトランスデューサの断面図である。ハブ3002は、ボルト3005を用いてクランクシャフト3001に連結される。クランクシャフト3001は、自動車エンジン(図示せず)の一部である。ハブ3002は、変形可能な円筒部すなわち管状部3006を有する。歪みゲージは、ここで図12〜15に示されるように、管状部表面3007に貼着される。変形可能な管状部3006は、ボルト3013により外側リング3003に連結される。周知のスリップリングと信号調整装置3011は、ボルト3012により管状部3006に連結される。管状部3006と外側リング3003は、機械加工されてもよくあるいは単一のユニットとして製造されてもよく、それにより、ボルト3012、3013の必要性を除去し、そして全コンポーネントの重さを削減してもよい。
【0065】
ベアリング3004は、外側リング3003とハブ3002の間の環状空間3015に配置される。環状空間3015とベアリング3004は、環状部3006における捩り歪みを最適化するためにクランクシャフト3001から放射状に配置される。トルクが掛かると、ベアリング3004は、外側リング3003がハブ3002に対して僅かに回転させ、それにより掛かったトルクに比例して管状部3006を歪ませる。外側リング3003に対する十分に高いモジュラスは、歪みに関わる全てのトルクが実質的に管状部3006にのみに起こることを保証する。ベアリング3004は、荷重が掛かった状態において、管状部3006過度に変形すなわち捩られることがないように支持する。ベアリング3004には、シールドベアリングも含まれる。管状部3006と外側リング3003が単一のユニットである場合、ベアリング3004は圧入嵌合により取り付けられる。
【0066】
エラストマ部材3008が、外側リング3003とベルト受部材(belt bearing member)3009の間に配置される。エラストマ部材3008は、天然ゴムや合成ゴム、あるいはこれらの組み合わせの如何なるものでもよく、限定されるものではないがHNBRかつまたはEPDMを含む。部材3008は、この分野で周知の接着剤によって、あるいは環状空間3014内に圧縮されることにより、あるいはこれらの組み合わせにより、部材3009と外側リング3003との間に保持される。エラストマ部材3008の圧縮は、圧縮されていない厚さの20%〜70%の範囲内である。
【0067】
エラストマ部材3008は、クランクシャフトの回転とエンジンの作動により発生するクランクシャフトの振動を減衰する。このような方法での振動の減衰は、クランクシャフトにより駆動されるベルト伝動システムの摩損を低減し、それによりシステムコンポーネントの有効寿命を増大させ、車のフレームおよび乗り手に対する望ましくない騒音と振動の伝達を低減する。ベルト受部材3009は、マルチリブドベルトと係合するためのマルチリブド形状3010を有する。
【0068】
図10に示された形式の一体的なスリップリングと信号調整装置3011は、ハブ3002にボルト3012により連結される。本発明に関わるトルクトランスデューサは、十分にコンパクトであるため、現在クランクシャフトダンパによって要求されている容積と同じ大きさで使用できる。
【0069】
図12は、変形可能な部材に設けられたシングルフルブリッジ歪みゲージ装置(single full bridge strain gage installation)の模式図である。円筒体1005は、円筒の位置が0°と180°として示される「展開」された平面図として示される。回転軸はR−Rである。45°歪みゲージのペアT1C1とT2C2は、円筒体1005の外向きに配置される表面における位置0°と180°にある。用語“45°”は、軸A−Aに対する各歪みゲージの主軸方向の角度ついての位置関係に対応している。軸A−Aは、軸R−Rに対して角度90度で配置される。この角度の位置関係は、歪みゲージの軸が実質的に主歪み方向と一直線となることから、捩り歪みを検出する上で最大感度を与える。約40°〜50°の範囲の角度において、満足できる結果が得られる。図12〜15に示されたものも、管状部3006における歪みゲージの配置の代表例である。
【0070】
図13は、三相駆動(bipolar excitation)によるシングルフルブリッジ歪みゲージ装置(single full bridge strain gage installation)の模式図である。歪みゲージT1、T2、C1、C2の各々は役割に適した周知の抵抗からなる。図11に示すように、各々は円筒体1005の表面に接着される。円筒体1005の変形は、プーリ/センサの組み合わせにより伝達されるトルクに比例する。歪みゲージ信号調整装置と接続された器械モジュール(instrumentation module)への信号はS+とS−で表わされる。電圧源はP+とP−で表わされる。
【0071】
図14は、変形可能な部材に装置されたダブルブリッジ歪みゲージ装置の模式図である。円筒体1005は、「展開」された平面図として示され、円筒上の位置が円筒体1005の外側に位置する表面における0°、90°、180°、270°として示される。45°歪みゲージのペアは、T1C1が0°に、T2、C2が90°に、T3C3が180°に、T4C4が270°に配置される。歪みゲージT1、T2、T3、T4、C1、C2、C3、C4の各々は、役割に適した周知の抵抗からなる。各歪みゲージは、図13に示されるように、円筒体1005に接着され、プーリ/センサの組み合わせにより伝達されるトルクに直接比例する円筒体1005の歪みが計測される。図12において述べたように、用語“45°”は、各歪みゲージの主軸方向の軸A−Aに対する角度ついての位置関係に対応している。軸A−Aは、軸R−Rに対して角度90度で配置される。これは、歪みゲージの軸が実質的に主歪み方向と一直線となることから、捩り歪みを検出する上で最大感度を与える。約40°〜50°の範囲の角度において、満足できる結果が得られる。
【0072】
図15は、三相駆動(bipolar excitation)によるダブルブリッジ歪みゲージ装置の模式図である。ダブルブリッジ歪みゲージは、小さい歪みの検出に対して大きな感度を与える。歪みゲージ信号調整装置と接続された器械モジュール(instrumentation module)への信号はS+とS−で表わされる。電圧源はP+とP−で表わされる。
【0073】
本発明に関わるシステムとコンポーネントは、最小限の改造により既存の車両のフロントエンド補機駆動に使用することができる。ハブ荷重トランスデューサは、アイドルプーリ内に嵌め込まれる。トルクトランスデューサは、各々オリジナルの装具として、あるいは既存のトルク伝達補機プーリやクランクシャフトへ後から取り付けることができるため、大きな適応性を与える。
【0074】
図16は、試験用のベルト伝動システムの模式図である。この代表例としてのシステムでは、トランスデューサはP_Sプーリ、パワーステアリングプーリ、ALTプーリ、すなわちオルタネータプーリに取り付けられる。ハブ荷重トランスデューサは、アイドル(IDL)プーリに取り付けられる。ベルトは、クランクシャフトプーリCRKによりD方向に駆動される。もちろんユーザは、ハブ荷重トランスデューサとトルクトランスデューサを用いた(n−1)個のプーリを取り付けることも可能である。ここで(n)はプーリの総数である。
【0075】
図16における試験用システムに関するレイアウトデータは以下のとおりである。
【表1】
【表2】
【0076】
それぞれの張力は、以下の式を用いて計算される。
【数1】
【0077】
限定するものとしてではなく、説明の目的のためのサンプルとしての計算は、以下のようになる。
【数2】
【0078】
駆動効率を計算し、この量を特定するには回転速度が計測される必要がある。上記例に関し、クランクシャフトにおけるトルクは、計算されるのではなく、トルクトランスデューサを用いて直接計測されなければならず、
Qcr=+135[N・m]、クランクシャフトCRの回転速度=1000rpm
Qac=−30[N・m]、エアコンACの回転速度=1100rpm
Qal=−20[N・m]、オルタネータALの回転速度=3300rpm
Qpa=−15[N・m]、パワーステアリングPAの回転速度=1300mm
Qwp=−5[N・m]、ウオータポンプWPの回転速度=2000mm
である。
【0079】
駆動効率は、以下のように計算される。
η=abs([QAC×AC+QAL×AL+QPA×PA+QWP×WP]/[QCR×CR])×100%
=|(30×1100+20×3300+15×1300+5×2000)/135×1000)×100|
η=95.19%
【0080】
図17は、試験用のベルト伝動システムにおいて計測されたハブ荷重とトルクを示すグラフである。上で実行されたサンプルのベルトスパン張力計算は、タイムステップ23秒で行われる。トルクT1、T2、T3、T4は、各タイムステップで計算可能であり、タイムステップ23はランダムに選ばれる。曲線(A)は、アイドラハブ荷重である。曲線(B)はオルタネータトルクであり、曲線(C)はパワーステアリングポンプ(P/S)トルクである。各々の値は、この明細書に説明された器具類により、図16に示されるように計測される。
【0081】
試験用のシステムは、3つの荷重/不荷重周期に置かれる。0時点から約4秒の時点まで、オルタネータのトルクとアイドラのハブ荷重は略一定である。約2秒の時点では、荷重の増大に対応してパワーステアリングトルクは増大する。荷重は約11秒の時点まで略一定である。約4秒の時点から5秒の時点まで、オルタネータのトルクは低減する。5秒の時点では、オルタネータのトルクは一様となる9秒の時点まで安定的に増大する。約4秒の時点では、ハブ荷重は一様となる6秒の時点まで低減する。6秒の時点では、それは4秒の時点で計測された値まで急激に増大する。11秒の時点では、この周期が25秒の時点まで繰り返され、また再び37+秒の時点まで繰り返される。
【0082】
図18は、試験用のベルト伝動システムにおける各時点で計算された張力のグラフである。カーソルXは、23秒位置にあり、図16の結果との相互関係を示し説明する。曲線(A)はアイドラ張力T4である。曲線(B)はオルタネータ張力T3であり、曲線(C)パワーステアリングポンプ(P/S)張力T2である。ここで説明された計算は、好ましくは、この計算を実行するためのコンピュータプログラムを用いて実行される。コンピュータプログラムは周知の方法を用いて完成される。
【0083】
図17に示された各周期の進展は、図18において明瞭に観察される。例えば、アイドラがトルクを伝達しないことから、図16に示されるようにスパン3とスパン4におけるアイドラベルトスパン張力は、図17に示されるアイドラハブ荷重に対応する。スパン2(曲線(B))におけるベルト張力は、オルタネータトルクの関数である(図17参照)。スパン1(曲線(C))におけるベルト張力は、オルタネータトルクとパワーステアリングトルクの関数である(図17参照)。
【0084】
ここに説明されたシステムと方法は、ハブ荷重トランスデューサが嵌められたアイドルプーリを除いて(アイドルプーリはトルクを全く伝達しないことから)、全てのプーリにトルクトランスデューサを取り付けることに使用できることが理解されるであろう。
【0085】
ここでは、本発明の幾つかの形態について説明されたが、当業者にとっては、ここで説明された本発明の精神と範囲を逸脱することなく、その構成や構成部の関係を様々に変形することは容易である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】ハブ荷重トランスデューサの斜視図である。
【図2】ハブ荷重トランスデューサの斜視図である。
【図3】ハブ荷重トランスデューサ・センサリングの平面図である。
【図4A】ハブ荷重トランスデューサの平面図である。
【図4B】図4AのB−B線における断面図である。
【図4C】図4Bの4C−4Cにおける側面図である。
【図5】ハブ荷重トランスデューサの分解斜視図である。
【図6】ハブ荷重トランスデューサの自動調心部の部分平面図である。
【図7】ハブ荷重トランスデューサの自動調心部の部分平面図である。
【図8】ベルト補機伝動装置の模式図である。
【図9】トルクトランスデューサの断面図である。
【図10】別の実施形態のトルクトランスデューサの断面図である。
【図11】別の実施形態のトルクトランスデューサの断面図である。
【図12】可変部材に装着されたシングルフルブリッジ歪みゲージ装置の模式的回路図である。
【図13】三相駆動によるシングルフルブリッジ歪みゲージ装置の模式的回路図である。
【図14】可変部材に装着されたダブルフルブリッジ歪みゲージ装置の模式的回路図である。
【図15】三相駆動によるダブルフルブリッジ歪みゲージ装置の模式的回路図である。
【図16】試験用ベルト伝動システムの模式図である。
【図17】試験用ベルト伝動システムの各時点において計測されたハブ荷重とトルクを示すグラフである。
【図18】試験用ベルト伝動システムの各時点で計算されたコンポーネント張力のグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのアパーチャを備える外側リング部材と、
少なくとも1つのアパーチャを備えるハブ部材と、
弧状センサ部材とを備え、
前記弧状センサ部材が前記外側リング部材と前記ハブ部材の間に連結され、前記弧状センサ部材が、応力を分散させるために弧状形状を有する連結部材により前記外側リング部材に連結され、
前記外側リング部材と前記ハブ部材が同一平面上にある
ことを特徴とするトランスデューサ。
【請求項2】
更に、少なくとも1つの歪みゲージが前記弧状センサ部材の面に設けられたことを特徴とする請求項1に記載のトランスデューサ。
【請求項3】
前記弧状センサ部材と、前記外側リング部材と、前記ハブ部材とが同一平面上にあることを特徴とする請求項1に記載のトランスデューサ。
【請求項4】
前記内側リング部材が取付面に前記ハブ部材を連結する手段を構成することを特徴とする請求項1に記載のトランスデューサ。
【請求項5】
前記外側部材と前記ハブ部材が同心的に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のトランスデューサ。
【請求項6】
アパーチャを備えた外側部材と、
アパーチャを備えた内側ハブ部材と、
弧状可変部材とを備え、
前記弧状可変部材が、第1の位置において前記外側部材に連結され、第2の位置において前記内側ハブ部材に連結され、
前記第1の位置と前記第2の位置が実質的に前記弧状可変部材の互いに反対側に配置され、
前記外側部材と前記内側ハブ部材が同一面上にある
ことを特徴とするトランスデューサ。
【請求項7】
更に、少なくとも1つの歪みゲージが前記弧状可変部材の各側面に設けられたことを特徴とする請求項6に記載のトランスデューサ。
【請求項8】
前記弧状可変部材と前記外側部材と前記内側ハブ部材が同一面上にあることを特徴とする請求項6に記載のトランスデューサ。
【請求項9】
前記内側ハブ部材が、ファスナを受容するボアを構成することを特徴とする請求項6に記載のトランスデューサ。
【請求項10】
前記外側部材と前記内側ハブ部材が同心的に配置されていることを特徴とする請求項6に記載のトランスデューサ。
【請求項11】
前記弧状可変部材が、応力を分散させるために弧状形状を有する連結部材により前記外側部材に連結されることを特徴とする請求項6に記載のトランスデューサ。
【請求項12】
アパーチャを備えた弧状外側部材と、
アパーチャを備えた弧状内側部材と、
弧状可変部材とを備え、
前記弧状可変部材が前記弧状外側部材と前記弧状内側部材との間に連結され、
少なくとも1つの歪みゲージが前記弧状可変部材の面に設けられ、
前記弧状外側部材と前記弧状内側部材が同一面上にあり、
前記弧状内側部材が、トランスデューサの中心からオフセットされたボアを備え、前記トランスデューサがそれにより偏心的に前記トランスデューサの中心の周りに回転可能である
ことを特徴とするトランスデューサ。
【請求項13】
前記弧状可変部材と前記弧状外側部材と前記弧状内側部材が同一平面上にあることを特徴とする請求項12に記載のトランスデューサ。
【請求項14】
前記弧状内側部材がボアを構成することを特徴とする請求項12に記載のトランスデューサ。
【請求項15】
前記弧状外側部材と前記内側部材が同心円的に配置されることを特徴とする請求項12に記載のトランスデューサ。
【請求項16】
更に、前記弧状可変部材と前記外側リングとの間に弧状連結部材を備えることを特徴とする請求項12に記載のトランスデューサ。
【請求項17】
更に、ファスナを係合するための前記オフセットされたボア内に配置されるベアリングを備えることを特徴とする請求項12に記載のトランスデューサ。
【請求項18】
面と第1部分と第2の部分を備え、前記第1の部分がシャフトに連結可能であり、前記第2の部分がベルト受部に連結される円筒形可変部材と、
前記面におけるトルクによる歪みを実質的に隔絶するために、前記ベルト受部と前記円筒可変部材との間に配置される低摩擦ベアリングと、
前記面に取り付けられた少なくとも1つの歪みゲージとを備え、前記歪みゲージが前記トルクによる歪みに比例する信号を生成する
ことを特徴とするトルクトランスデューサ。
【請求項19】
更に、前記信号を受け取るために、前記円筒可変部材に係合されたスリップリングと、
前記歪みゲージと前記スリップリングとの間に電気的に設けられた信号調整装置と
を備えることを特徴とした請求項18に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項20】
前記低摩擦ベアリングがボールベアリングであることを特徴とする請求項18に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項21】
前記ベルト受部がマルチリブド形状を備えることを特徴とする請求項18に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項22】
更に、フルブリッジ回路構成とされ、前記面に取り付けられた複数の歪みゲージを備えることを特徴とする請求項18に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項23】
更に、前記面に取り付けられ、前記歪みゲージと協働するように連結された第2の歪みゲージを備えることを特徴とする請求項18に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項24】
歪みゲージの軸が、円筒可変部材回転軸(R−R)に対して約40〜50度の範囲の角度で配置されることを特徴とする請求項18に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項25】
更に、前記ベルト受部と円筒可変部材の間に配置されるダンピング部材を備えることを特徴とする請求項18に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項26】
前記ダンピング部材が、エラストマ材料からなることを特徴とする請求項25に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項27】
稼動中のベルト伝動システムにおけるベルトの動的張力を計測する方法であって、
ベルトを原動プーリと従動プーリの周りに係合させるステップと、
前記ベルトと前記従動プーリを前記原動プーリとともに駆動するステップと、
ハブ荷重トランスデューサを用いてアイドルプーリのハブ荷重を計測するステップと、
トルクトランスデューサを用いて従動プーリの従動プーリトルクを計測するステップと、
従動プーリ回転速度を計測するステップと、
計測された前記従動プーリトルクと計測された前記ハブ荷重を用いて、ベルトスパン張力を計算するステップと
を備えることを特徴とするベルトの動的張力を計測する方法。
【請求項28】
更に、プーリの総数が(n)であるとき、(n−1)個のプーリに、前記ハブ荷重トランスデューサと複数の前記トルクトランスデューサを取り付けるステップを備える請求項27に記載の方法。
【請求項29】
更に、前記従動プーリトルクと原動回転速度を用いて駆動効率を計算するステップを備える請求項27に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面と第1部分と第2の部分を備え、前記第1の部分がシャフトに連結可能であり、前記第2の部分がベルト受部に連結される円筒形可変部材と、
前記面におけるトルクによる歪みを実質的に隔絶するために、前記ベルト受部と前記円筒可変部材との間に配置される低摩擦ベアリングと、
前記面に取り付けられた少なくとも1つの歪みゲージとを備え、前記歪みゲージが前記トルクによる歪みに比例する信号を生成する
ことを特徴とするトルクトランスデューサ。
【請求項2】
更に、前記信号を受け取るために、前記円筒可変部材に係合されたスリップリングと、
前記歪みゲージと前記スリップリングとの間に電気的に設けられた信号調整装置と
を備えることを特徴とした請求項1に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項3】
前記低摩擦ベアリングがボールベアリングであることを特徴とする請求項1に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項4】
前記ベルト受部がマルチリブド形状を備えることを特徴とする請求項1に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項5】
更に、フルブリッジ回路構成とされ、前記面に取り付けられた複数の歪みゲージを備えることを特徴とする請求項1に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項6】
更に、前記面に取り付けられ、前記歪みゲージと協働するように連結された第2の歪みゲージを備えることを特徴とする請求項1に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項7】
歪みゲージの軸が、円筒可変部材回転軸(R−R)に対して約40〜50度の範囲の角度で配置されることを特徴とする請求項1に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項8】
更に、前記ベルト受部と円筒可変部材の間に配置されるダンピング部材を備えることを特徴とする請求項1に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項9】
前記ダンピング部材が、エラストマ材料からなることを特徴とする請求項8に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項10】
稼動中のベルト伝動システムにおけるベルトの動的張力を計測する方法であって、
ベルトを原動プーリと従動プーリの周りに係合させるステップと、
前記ベルトと前記従動プーリを前記原動プーリとともに駆動するステップと、
ハブ荷重トランスデューサを用いてアイドルプーリのハブ荷重を計測するステップと、
トルクトランスデューサを用いて従動プーリの従動プーリトルクを計測するステップと、
従動プーリ回転速度を計測するステップと、
計測された前記従動プーリトルクと計測された前記ハブ荷重を用いて、ベルトスパン張力を計算するステップと
を備えることを特徴とするベルトの動的張力を計測する方法。
【請求項11】
更に、プーリの総数が(n)であるとき、(n−1)個のプーリに、前記ハブ荷重トランスデューサと複数の前記トルクトランスデューサを取り付けるステップを備える請求項10に記載の方法。
【請求項12】
更に、前記従動プーリトルクと原動回転速度を用いて駆動効率を計算するステップを備える請求項10に記載の方法。
【請求項1】
少なくとも1つのアパーチャを備える外側リング部材と、
少なくとも1つのアパーチャを備えるハブ部材と、
弧状センサ部材とを備え、
前記弧状センサ部材が前記外側リング部材と前記ハブ部材の間に連結され、前記弧状センサ部材が、応力を分散させるために弧状形状を有する連結部材により前記外側リング部材に連結され、
前記外側リング部材と前記ハブ部材が同一平面上にある
ことを特徴とするトランスデューサ。
【請求項2】
更に、少なくとも1つの歪みゲージが前記弧状センサ部材の面に設けられたことを特徴とする請求項1に記載のトランスデューサ。
【請求項3】
前記弧状センサ部材と、前記外側リング部材と、前記ハブ部材とが同一平面上にあることを特徴とする請求項1に記載のトランスデューサ。
【請求項4】
前記内側リング部材が取付面に前記ハブ部材を連結する手段を構成することを特徴とする請求項1に記載のトランスデューサ。
【請求項5】
前記外側部材と前記ハブ部材が同心的に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のトランスデューサ。
【請求項6】
アパーチャを備えた外側部材と、
アパーチャを備えた内側ハブ部材と、
弧状可変部材とを備え、
前記弧状可変部材が、第1の位置において前記外側部材に連結され、第2の位置において前記内側ハブ部材に連結され、
前記第1の位置と前記第2の位置が実質的に前記弧状可変部材の互いに反対側に配置され、
前記外側部材と前記内側ハブ部材が同一面上にある
ことを特徴とするトランスデューサ。
【請求項7】
更に、少なくとも1つの歪みゲージが前記弧状可変部材の各側面に設けられたことを特徴とする請求項6に記載のトランスデューサ。
【請求項8】
前記弧状可変部材と前記外側部材と前記内側ハブ部材が同一面上にあることを特徴とする請求項6に記載のトランスデューサ。
【請求項9】
前記内側ハブ部材が、ファスナを受容するボアを構成することを特徴とする請求項6に記載のトランスデューサ。
【請求項10】
前記外側部材と前記内側ハブ部材が同心的に配置されていることを特徴とする請求項6に記載のトランスデューサ。
【請求項11】
前記弧状可変部材が、応力を分散させるために弧状形状を有する連結部材により前記外側部材に連結されることを特徴とする請求項6に記載のトランスデューサ。
【請求項12】
アパーチャを備えた弧状外側部材と、
アパーチャを備えた弧状内側部材と、
弧状可変部材とを備え、
前記弧状可変部材が前記弧状外側部材と前記弧状内側部材との間に連結され、
少なくとも1つの歪みゲージが前記弧状可変部材の面に設けられ、
前記弧状外側部材と前記弧状内側部材が同一面上にあり、
前記弧状内側部材が、トランスデューサの中心からオフセットされたボアを備え、前記トランスデューサがそれにより偏心的に前記トランスデューサの中心の周りに回転可能である
ことを特徴とするトランスデューサ。
【請求項13】
前記弧状可変部材と前記弧状外側部材と前記弧状内側部材が同一平面上にあることを特徴とする請求項12に記載のトランスデューサ。
【請求項14】
前記弧状内側部材がボアを構成することを特徴とする請求項12に記載のトランスデューサ。
【請求項15】
前記弧状外側部材と前記内側部材が同心円的に配置されることを特徴とする請求項12に記載のトランスデューサ。
【請求項16】
更に、前記弧状可変部材と前記外側リングとの間に弧状連結部材を備えることを特徴とする請求項12に記載のトランスデューサ。
【請求項17】
更に、ファスナを係合するための前記オフセットされたボア内に配置されるベアリングを備えることを特徴とする請求項12に記載のトランスデューサ。
【請求項18】
面と第1部分と第2の部分を備え、前記第1の部分がシャフトに連結可能であり、前記第2の部分がベルト受部に連結される円筒形可変部材と、
前記面におけるトルクによる歪みを実質的に隔絶するために、前記ベルト受部と前記円筒可変部材との間に配置される低摩擦ベアリングと、
前記面に取り付けられた少なくとも1つの歪みゲージとを備え、前記歪みゲージが前記トルクによる歪みに比例する信号を生成する
ことを特徴とするトルクトランスデューサ。
【請求項19】
更に、前記信号を受け取るために、前記円筒可変部材に係合されたスリップリングと、
前記歪みゲージと前記スリップリングとの間に電気的に設けられた信号調整装置と
を備えることを特徴とした請求項18に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項20】
前記低摩擦ベアリングがボールベアリングであることを特徴とする請求項18に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項21】
前記ベルト受部がマルチリブド形状を備えることを特徴とする請求項18に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項22】
更に、フルブリッジ回路構成とされ、前記面に取り付けられた複数の歪みゲージを備えることを特徴とする請求項18に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項23】
更に、前記面に取り付けられ、前記歪みゲージと協働するように連結された第2の歪みゲージを備えることを特徴とする請求項18に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項24】
歪みゲージの軸が、円筒可変部材回転軸(R−R)に対して約40〜50度の範囲の角度で配置されることを特徴とする請求項18に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項25】
更に、前記ベルト受部と円筒可変部材の間に配置されるダンピング部材を備えることを特徴とする請求項18に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項26】
前記ダンピング部材が、エラストマ材料からなることを特徴とする請求項25に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項27】
稼動中のベルト伝動システムにおけるベルトの動的張力を計測する方法であって、
ベルトを原動プーリと従動プーリの周りに係合させるステップと、
前記ベルトと前記従動プーリを前記原動プーリとともに駆動するステップと、
ハブ荷重トランスデューサを用いてアイドルプーリのハブ荷重を計測するステップと、
トルクトランスデューサを用いて従動プーリの従動プーリトルクを計測するステップと、
従動プーリ回転速度を計測するステップと、
計測された前記従動プーリトルクと計測された前記ハブ荷重を用いて、ベルトスパン張力を計算するステップと
を備えることを特徴とするベルトの動的張力を計測する方法。
【請求項28】
更に、プーリの総数が(n)であるとき、(n−1)個のプーリに、前記ハブ荷重トランスデューサと複数の前記トルクトランスデューサを取り付けるステップを備える請求項27に記載の方法。
【請求項29】
更に、前記従動プーリトルクと原動回転速度を用いて駆動効率を計算するステップを備える請求項27に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面と第1部分と第2の部分を備え、前記第1の部分がシャフトに連結可能であり、前記第2の部分がベルト受部に連結される円筒形可変部材と、
前記面におけるトルクによる歪みを実質的に隔絶するために、前記ベルト受部と前記円筒可変部材との間に配置される低摩擦ベアリングと、
前記面に取り付けられた少なくとも1つの歪みゲージとを備え、前記歪みゲージが前記トルクによる歪みに比例する信号を生成する
ことを特徴とするトルクトランスデューサ。
【請求項2】
更に、前記信号を受け取るために、前記円筒可変部材に係合されたスリップリングと、
前記歪みゲージと前記スリップリングとの間に電気的に設けられた信号調整装置と
を備えることを特徴とした請求項1に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項3】
前記低摩擦ベアリングがボールベアリングであることを特徴とする請求項1に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項4】
前記ベルト受部がマルチリブド形状を備えることを特徴とする請求項1に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項5】
更に、フルブリッジ回路構成とされ、前記面に取り付けられた複数の歪みゲージを備えることを特徴とする請求項1に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項6】
更に、前記面に取り付けられ、前記歪みゲージと協働するように連結された第2の歪みゲージを備えることを特徴とする請求項1に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項7】
歪みゲージの軸が、円筒可変部材回転軸(R−R)に対して約40〜50度の範囲の角度で配置されることを特徴とする請求項1に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項8】
更に、前記ベルト受部と円筒可変部材の間に配置されるダンピング部材を備えることを特徴とする請求項1に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項9】
前記ダンピング部材が、エラストマ材料からなることを特徴とする請求項8に記載のトルクトランスデューサ。
【請求項10】
稼動中のベルト伝動システムにおけるベルトの動的張力を計測する方法であって、
ベルトを原動プーリと従動プーリの周りに係合させるステップと、
前記ベルトと前記従動プーリを前記原動プーリとともに駆動するステップと、
ハブ荷重トランスデューサを用いてアイドルプーリのハブ荷重を計測するステップと、
トルクトランスデューサを用いて従動プーリの従動プーリトルクを計測するステップと、
従動プーリ回転速度を計測するステップと、
計測された前記従動プーリトルクと計測された前記ハブ荷重を用いて、ベルトスパン張力を計算するステップと
を備えることを特徴とするベルトの動的張力を計測する方法。
【請求項11】
更に、プーリの総数が(n)であるとき、(n−1)個のプーリに、前記ハブ荷重トランスデューサと複数の前記トルクトランスデューサを取り付けるステップを備える請求項10に記載の方法。
【請求項12】
更に、前記従動プーリトルクと原動回転速度を用いて駆動効率を計算するステップを備える請求項10に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2006−526782(P2006−526782A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−514956(P2006−514956)
【出願日】平成16年5月26日(2004.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/016474
【国際公開番号】WO2004/109247
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(504005091)ザ ゲイツ コーポレイション (103)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年5月26日(2004.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/016474
【国際公開番号】WO2004/109247
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(504005091)ザ ゲイツ コーポレイション (103)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]