説明

ベルト定着用加熱ローラ、及びこれを備える定着装置、画像形成装置

【課題】加熱ローラ表面の磨耗を低減し、なおかつローラ表面の熱応答性を向上させ、耐久性及び性能の高い加熱ローラを提供する事を課題とする。
【解決手段】記録媒体1hを搬送するためのベルト1jを張架してなる加熱ローラ1dにおいて、前記加熱ローラ1dはアルミニウム製の芯金を有し、前記芯金厚さは0.8mm以下であって、前記加熱ローラ1d表面はアルマイト皮膜2aを有し、該アルマイト皮膜2aの厚みが10〜50μmであることを特徴とする加熱ローラ1dである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等の静電複写プロセスの画像形成に用いられるベルト定着用加熱ローラに関するものであり、更にはこれを備える定着装置、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を利用した画像形成装置においては、例えば像担持体である感光ドラムの表面に静電潜像を形成し、感光ドラム上の静電潜像を、現像剤であるトナー等によって現像して可視像化し、現像されたトナー像を転写装置により記録媒体(以下、記録紙と示す。)に転写し、記録紙上に転写されたトナー像を定着装置によって圧力や熱等を用いて定着して、排紙経路を通ってこの記録紙を装置外に排出している。
上記画像形成装置に備えられる定着装置には、対向するローラ、ベルト、もしくはそれらの組み合わせによりなる定着回転体が配置されており、これが搬送されてきた記録紙を挟みこんで、熱および圧力を加えて上記トナー像を記録紙上に定着している。
定着回転体としては、例えば加熱手段である加熱ヒータを内包した定着ベルトと、定着ベルトに当接する加圧ローラが配置されたものが使用されている(図1参照)。定着装置に到達したトナー転写済みの記録紙は、定着ベルトと加圧ローラのニップ部に入り、記録紙が定着ニップを通過する過程で、転写されたトナー像が加熱および加圧され定着する。
【0003】
従来より使用されている、上記のようなベルトを使用した定着回転体を備えた定着装置においては、当該ベルトに慣性が発生し、ベルトを支持するローラに対してベルトが独立して移動する場合がある。この場合、ローラに硬度が低い面が存在すると、ローラとベルトとの接触面において、摩擦抵抗によりこの硬度が低い側の面が摩耗し、磨耗粉が発生することがある。この磨耗紛がベルトと加熱ローラの間に入ると、熱の伝わりが悪くなり、温度制御が安定しなくなって画像の光沢ムラが発生するといった不具合が起こることがあった。
【0004】
上記のような不具合を解決するために、ベルトを張架する加熱ローラにおいて、その表面硬度を硬くし、また表面の摩擦係数を低減する事を目的として、加熱ローラ表面にフッ素樹脂をコーティングするものが知られている(特許文献1参照。)
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のように、加熱ローラ表面にフッ素樹脂コーティングを施した場合、フッ素樹脂は熱伝導性が悪いため、これを表面処理することにより加熱ローラの熱への応答性が悪化するという問題が生じてくる。
また、特許文献2では、肉厚1.75mmのアルミパイプ芯金をアルマイト処理した表面加熱ローラが開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−84604号公報
【特許文献2】特許2713698号公報
【特許文献3】特開2001−242732号公報
【特許文献4】特開2001−13805号公報
【特許文献5】特開2001−66933号公報
【特許文献6】特開2002−174988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のように、アルマイト処理を施した場合の問題点として、該アルマイト層が加熱時に変形し、ローラ形状としての振れが大きくなってしまうということがある。これにより、ベルトとの加熱ローラとの密着力が不安定になるため、ベルト表面までの熱の伝わり方にばらつきが現れ、熱応答性が悪化する。
そこで本発明は上記事情に鑑み、加熱ローラ表面の磨耗を低減し、なおかつローラ表面の熱応答性を向上させ、耐久性及び性能の高い加熱ローラを提供する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
1.記録媒体を搬送するためのベルトを張架してなる加熱ローラにおいて、アルミニウム製の芯金を有し、前記芯金厚さは0.8mm以下であって、前記加熱ローラ表面は、アルマイト皮膜を有することを特徴とする加熱ローラである。
2.また、本発明の加熱ローラは、1.に記載の発明において、前記アルマイト皮膜の厚みは、10〜50μmであることを特徴とする。
【0009】
3.また、本発明の定着装置は、記録媒体を搬送するためのベルトと、前記ベルトを張架しなる定着ローラと、加熱ローラと、前記ベルトを介して前記定着ローラを押圧する加圧回転体とを備え、前記ベルトと前記加圧回転体の間に記録媒体を通過させ、該記録媒体上に転写されたトナー像を定着させる定着装置であって、1.又は2.に記載の加熱ローラを備えることを特徴とする。
4.また、本発明の定着装置は、3.に記載の発明において、前記ベルト外表面に接触し、ベルト面を押圧するテンションローラを備えることを特徴とする。
【0010】
5.また、本発明の画像形成装置は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体表面に均一に帯電を施す帯電手段と、帯電した該潜像担持体の表面に画像データに基づいて露光し、静電潜像を書き込む露光手段と、該潜像担持体表面に形成された静電潜像にトナーを供給し、可視像化する現像手段と、該潜像担持体表面の可視像を記録部材に転写する転写手段と、記録部材上の可視像を定着させる定着手段と、を備える画像形成装置において、 前記定着手段は、3.又は4.に記載の定着装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記課題を解決するための手段により、本発明、ベルトとの接触による摩耗が防止され、かつ熱応答性の高い加熱ローラを提供することができる。また、このような加熱ローラを備えることで、温度ムラ等の不具合が生じることなく、また定着性や光沢度の安定した画像を提供できる定着装置、及び画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下図面に基づき、本発明の詳細な構成を説明する。
図1は、本発明の定着装置1の構成を示す概略図である。
本発明において使用する定着装置1は、定着装置1内にベルトを張架する加熱ローラ1dを有するものであれば全て適用可能であるが、以下には、対向するローラとベルトに温度検知手段(サーミスタ)1kが当接している場合を例に説明する。
加圧ローラ1aは、アルミ又は鉄等の芯金上に、シリコンゴムなどの弾性層を設けてなり、表層にはPFAやPTFEの離型層を設けている。また、定着ベルト1jは、ニッケル、ポリイミドなどの基材にPFAやPTFEなどの離型層を有するもの、または、その中間にシリコンゴムなどの弾性層を設けたもので構成されている。また、定着ベルト1jは、定着ローラ1b及び加熱ローラ1dに掛け渡されており、外部から、テンションローラ1gにより適切な張力に保たれている。
【0013】
上述の定着ローラ1bは、金属の芯金にシリコンゴムを有したものである。また、本発明の主要部である加熱ローラ1dは、アルミ、又は、鉄の中空ローラであり、内部にハロゲンヒータ等の熱源1fを有していても良い。本実施例では、該中空ローラの芯金をアルミ製としている。
また、熱源1fとしては、本実施例ではハロゲンヒータを用いて被加熱部材を加熱しているが、例えば特許文献3又は特許文献4に記載されているように、誘導加熱方式を用いて被加熱部材を加熱する構成としても良い。
またさらに、本実施例では加熱回動部材として加熱ローラ1dを用いているが、例えば特許文献5に記載されているような、無端帯状の部材を用いることとしても良い。
なお、本実施例では、加熱源1fへの電力供給は商用電源から行っているが、他の形態として、補助電源を設け、当該補助電源から電力供給する構成とすることも可能である。この補助電源としては、例えば特許文献6に開示されているような、電気2重層コンデンサ(電気化学キャパシタ)を利用するのが好ましい。
【0014】
また、テンションローラ1gは、定着ベルト1jを傷つけないようにするため、表層の部材をフェルトやゴム等の弾性体としている。記録紙1hは、定着ローラ1bと加圧ローラ1aにより形成されるニップに向かって下方から進入し、このニップ部において、記録紙1h上のトナーは、所定の熱と圧力を与えられ、画像が定着させられた後、分離爪1cによりガイドされて、上方に搬送される。
【0015】
図2は、本発明の加熱ローラ1dの構成を示す断面図である。
本発明において、加熱ローラ1dは芯金の材質としてアルミニウムを使用し、さらにローラ肉厚を0.8mm以下としている。
近年、省エネルギーに対する要求から、ウォームアップ時間を短くすることが要望されており、このウォームアップ時間を短くするためには、加熱ローラの肉厚を薄くする事が有効である。
しかし、このように加熱ローラの肉厚を薄くした場合、ローラ軸方向に熱が伝わりにくくなるため、温度ムラが生じやすくなるという問題が生じてくる。このような問題点を解決するために、本発明の加熱ローラ1dは、ローラの構成材料としてアルミニウムを使用している。芯金材料に、熱伝導性のよいアルミを使用することで、熱伝導性悪化による温度ムラの発生を防止することができる。
上記のような構成とすることで、本発明の加熱ローラ1dを使用した場合は、そのウォームアップ時間が短縮でき、なお且つ、ローラ肉厚を薄くしたことによって生じる温度ムラの発生を抑制することができる。
【0016】
しかし、上記のように加熱ローラ1dにアルミニウムを使用した場合、アルミニウムは従来使用していた鉄等の材質と比較して柔らかいため、定着ベルト1jと当該加熱ローラ1dとの周速差によって、削れてしまうという問題がある。
上記のような、ベルトとの摩擦による加熱ローラの磨耗という問題を解決するため、従来より加熱ローラ1d表面をコーティングするという手段がとられてきた。
このコーティング処理としては、例えばフッ素樹脂コーティングや、あるいはアルマイト処理といった方法がある。
【0017】
しかし、上記コーティング処理のうち、フッ素樹脂コーティングの場合は、以下のような問題がある。
従来の加熱ローラ1dは、その肉厚が1.0〜2.0mmと厚いため、加熱ローラの熱容量が大きく、従って加熱した場合の温度勾配が緩やかであった。即ち、元来その熱応答性が悪いために、コーティング材料としてフッ素樹脂を使用した場合と、アルマイト処理したものとで、その差が明確とならなかった。
これに対し、本発明の加熱ローラ1dは、その肉厚が薄いため、加熱されたローラは急峻な温度勾配をもち、表層の熱伝導性の差が顕著にあらわれる。このように、その表層の熱伝導性の差が顕著に現れる加熱ローラに、前記したフッ素樹脂をコートした場合、フッ素樹脂の熱伝導性の悪さに起因した熱応答性悪化の影響が大きく現れてくる。
熱応答性が悪くなると、特にウォームアップの早い加熱ローラの場合、温度を一定に保とうと制御しても温度リップルが大きくなる為、画像の定着性や光沢度が安定しなくなるという不具合がある。
【0018】
そこで、本発明の加熱ローラ1dは、その表面処理としてアルマイト処理を行う。なお、本発明におけるアルマイト処理は、一般に行われているように、硫酸あるいは蓚酸等の電解液中で、陽極側にアルミ製品、陰極側に鉛板を設置して、電流を流すことにより、その処理加工を行う。また、このようにして得られるアルマイトは、電気の通った微細な孔が無数に空いているため、必要に応じて高温、高圧の水蒸気や熱湯中で処理し、この細孔を塞ぐ処理を施すことがある(封孔処理)。このように細孔を塞ぐ処理を施すことで、得られたアルマイトを腐食しにくくいものとする事ができる。
このように加熱ローラ1dにアルマイト処理を施したものは、先に述べた削れを防止することができる一方で、表層に施す材質を構成材質と同じアルミニウムとしているため、ローラ肉厚を0.8mm以下としていても、フッ素樹脂コーティングの場合のように加熱ローラ1dの熱応答性が劣化することがなく、良好な画像を得る事ができる。
【0019】
このように、本発明の加熱ローラ1dは、その表面にアルマイト処理を施すことで、定着ベルト1jと加熱ローラ1dとの周速差に起因する削れ等の摩耗を防止することができ、かつ熱応答性の劣化のない構成としている。
特に、本発明の定着装置1は、その定着ベルト表面にテンションローラ1gを配し、これによりベルト1jの張力を適切な状態に保っているが、テンションローラ1gを設けたことで、その押圧により定着ベルト1jと加熱ローラ1dの接触面積(巻き付き量)が多くなり、上述した加熱ローラ1dと定着ベルト1jとの接触により生ずる摩耗がより起こりやすくなる。
しかし、本発明の加熱ローラ1dは、このようなローラ表面の摩耗の起こりやすい構成の定着装置1に備えられても、アルマイト処理を施されていることで、従来の加熱ローラと比べ削れ防止の機能が向上させられているため、ローラ表面の削れが防止され、良好な画像品質を維持することができる。
【0020】
なお、本発明における加熱ローラに施すアルマイト皮膜の厚みは、10〜50μmである。上記アルマイト層の厚さを50μm以上とすると、特に薄肉の加熱ローラの場合は、加熱時に変形が生じてしまい、ローラ形状としての振れが大きくなってしまう。ローラ形状の振れが大きくなると、ベルトとの密着力が不安定になり、ベルト表面までの熱の伝わり方にばらつきが現れ、熱応答性が悪化する。一方、上記アルマイト層を10μm以下とした場合は、耐久性に対し不利となってしまう。
なお、上記アルマイト層の厚みは、アルマイト処理時にかける電流とその処理時間により、上述の範囲内の厚さとなるように制御する。
【0021】
上記のように、アルマイト層の厚さを所定値内とすることで、本発明の定着ローラ1dは、ローラ形状の変形を防止し、定着ベルト1jとの密着性を保つことができる。これにより、ベルト表面の温度の不安定化を防止することができる。
本発明の定着装置1は、上記したような加熱ローラ1dを備えることで、画像不良を発生することなく、また定着性や光沢度の安定した画像を提供できる定着装置とすることができる。
【0022】
以下に、本発明の定着装置1を定着手段として備える画像形成装置について説明する。
図3は、本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図中符号100は複写装置本体、200はそれを載せる給紙テーブル、300は複写装置本体100上に取り付けるスキャナ、400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。
複写装置本体100には、潜像担持体としての感光体40の周囲に帯電、現像、クリーニング等の電子写真プロセスを実行する各手段を備えた画像形成手段18を、4つ並列にしたタンデム型画像形成装置20が備えられている。タンデム型画像形成装置20の上部には、画像情報に基づいて感光体40をレーザー光により露光し潜像を形成する露光装置21が設けられている。また、タンデム型画像形成装置20の各感光体40と対向する位置には、無端状のベルト部材からなる中間転写ベルト10が設けられている。中間転写ベルト10を介して感光体40と相対する位置には、感光体40上に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト10に転写する一次転写手段62が配置されている。
また、中間転写ベルト10の下方には、中間転写ベルト10上に重ね合わされたトナー像を、給紙テーブル200より搬送されてくる転写紙に一括転写する二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22は、2つのローラ23間に、無端ベルトである二次転写ベルト24を掛け渡して構成され、中間転写ベルト10を介して支持ローラ16に押し当てて配置し、中間転写ベルト10上のトナー像を転写紙に転写する。二次転写装置22の脇には、転写紙上の画像を定着する、本発明に係る定着装置1が設けられている。定着装置1は、無端ベルトである定着ベルト1jに、加圧ローラ1aを押し当てて構成する。
上述した二次転写装置22は、画像転写後の転写紙をこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えている。もちろん、二次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
なお、図示例では、二次転写装置22および定着装置1の下に、上述したタンデム画像形成装置20と平行に、転写紙の両面に画像を記録すべく転写紙を反転する反転装置28を備える。
【0023】
画像形成手段18の現像装置4には、上記のトナーを含んだ現像剤を用いる。現像装置4は、現像剤担持体が現像剤を担持、搬送して、感光体40との対向位置において交互電界を印加して感光体40上の潜像を現像する。交互電界を印加することで現像剤を活性化させ、トナーの帯電量分布をより狭くすることができ、現像性を向上させることができる。
【0024】
また、上記現像装置4は、感光体40と共に一体に支持され、画像形成装置本体に対し着脱自在に形成されるプロセスカートリッジとすることができる。このプロセスカートリッジは、この他に帯電手段、クリーニング手段を含んで構成してもよい。
【0025】
上記の画像形成装置の動作は以下の通りである。
初めに、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする、または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。
そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動して後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動し、第一走行体33および第二走行体34を走行する。そして、第一走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第二走行体34に向け、第二走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読み取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
【0026】
また、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで支持ローラ14、15、16の1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写ベルト10を回転搬送する。同時に、個々の画像形成手段18でその感光体40を回転して各感光体40上にそれぞれ、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写ベルト10の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。
【0027】
一方、不図示のスタートスイッチを押すと、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。
または、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト10と二次転写装置22との間にシートを送り込み、二次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を記録する。
【0028】
画像転写後のシートは、二次転写装置22で搬送して、定着装置1へと送り込み、定着装置1で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
一方、画像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写ベルトクリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成装置20による再度の画像形成に備える。
【0029】
表1に、加熱ローラの芯金及び表層面厚みと、加熱ローラの耐摩耗性、熱応答性、及びウォームアップに要する時間との関係を示す。
表1に示すように、加熱ローラの芯金厚みが0.8mm以上であった場合は、ウォームアップ時間を長く要し、さらにその熱応答性は表面層をフッ素樹脂コートとしてもアルマイト被膜としても、差がみられなかった。
一方、芯金厚みを0.6mmとすると、ウォームアップ時間は一律に短縮されたが、熱応答性については、フッ素樹脂をコートした場合とアルマイト処理を施した場合とで差が見られた。表1から、フッ素樹脂をコートした場合では熱応答性の改善がみられなかったが、一方アルマイト処理を施した場合は、熱応答性が良好となった。
なお、アルマイト被膜の厚みは、10μm以下であると、耐摩耗性に劣るようになり、また50μm以上であると、熱応答性が劣るようになる。
即ち、アルマイト被膜の厚みは、10μm以下であると、被膜層厚が薄すぎるために耐久性が低下し、また層厚が深すぎると、加熱時に被膜層が変形し、ベルトとの密着が不安定となる。しかし、アルマイト被膜の層厚を本発明の範囲内とすることにより、耐摩耗性、及び熱応答性の双方に優れた加熱ローラとすることができる。
【0030】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の定着装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の加熱ローラの構成を示す断面図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0032】
1 定着装置
1a 加圧ローラ
1b 定着ローラ
1c 分離爪
1d 加熱ローラ
1f ヒータ
1g テンションローラ
1h 記録紙
1j 定着ベルト
1k サーミスタ
2a 加熱ローラ
2b アルマイト層
4 現像装置
10 中間転写ベルト(中間転写体)
18 画像形成手段
21 露光装置
25 定着装置
40 感光体(潜像担持体)
22 二次転写装置
62 一次転写手段
100 複写装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送するためのベルトを張架してなる加熱ローラにおいて、
前記加熱ローラは、アルミニウム製の芯金を有し、前記芯金厚さは0.8mm以下であって、
前記加熱ローラ表面は、アルマイト皮膜を有する
ことを特徴とする加熱ローラ。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱ローラにおいて、
前記アルマイト皮膜の厚みは、10〜50μmである
ことを特徴とする加熱ローラ。
【請求項3】
記録媒体を搬送するためのベルトと、前記ベルトを張架しなる定着ローラと、加熱ローラと、前記ベルトを介して前記定着ローラを押圧する加圧回転体とを備え、
前記ベルトと前記加圧回転体の間に記録媒体を通過させ、該記録媒体上に転写されたトナー像を定着させる定着装置において、
前記定着装置は、請求項1又は2に記載の加熱ローラを備える
ことを特徴とする定着装置。
【請求項4】
請求項3に記載の定着装置において、
前記定着装置は、前記ベルト外表面に接触し、該ベルト面を押圧するテンションローラを備える
ことを特徴とする定着装置。
【請求項5】
潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体表面に均一に帯電を施す帯電手段と、帯電した該潜像担持体の表面に画像データに基づいて露光し、静電潜像を書き込む露光手段と、該潜像担持体表面に形成された静電潜像にトナーを供給し、可視像化する現像手段と、該潜像担持体表面の可視像を記録部材に転写する転写手段と、記録部材上の可視像を定着させる定着手段と、を備える画像形成装置において、
前記定着手段は、請求項3又は4に記載の定着装置である
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−146032(P2006−146032A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−338693(P2004−338693)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】