説明

ベルト式無段変速機の油圧制御装置

【課題】ベルト式無段変速機が停止してプーリの回転が停止している場合であっても、油圧室に混入した空気を適切に排出し、油圧制御の応答性を向上させることができるベルト式無段変速機の油圧制御装置を提供する。
【解決手段】ベルト3が巻き掛けられたプーリ2の溝幅を変化させる際に作動油FLが給排される油圧室7dと、油圧室7dに作動油FLを供給するための供給油路8と、油圧室7dから作動油FLを排出するための排出油路9とを備えたベルト式無段変速機CVTの油圧制御装置において、排出油路9を、プーリ2の回転が停止している際に油圧室7d内で作動油FLに混入していた空気が作動油FLと分離して集積する部分7gと、油圧室7dの外部とを連通するように形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ベルト式無段変速機の油圧制御装置に関し、特に、ベルトを巻き掛けたプーリの溝幅を変化させるための油圧作動部の動作を制御する油圧制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ベルト式無段変速機は、ベルトを巻掛けたプーリの溝幅を変化させることにより、プーリの有効径すなわちベルトの巻き掛かり半径を変化させて、変速比を無段階に設定することのできる変速機である。そのようなベルト式無段変速機は、通常、駆動側(もしくは入力側)のプーリおよび従動側(もしくは出力側)のプーリが、それぞれ、固定シーブとその固定シーブに対して軸線方向に前後動する可動シーブとによって構成されている。そして、油圧により動作する油圧アクチュエータを用いて各プーリの可動シーブを前後動させ、それら各プーリの溝幅を変化させることにより、変速比を連続的にすなわち無段階に変更できるように構成されている。
【0003】
上記のような各プーリの可動シーブの動作を制御するための油圧制御装置の一例が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された無段変速機のコントロールバルブユニットは、無段変速機のケースに、高圧油路および低圧油路を有する通路形成部が形成されており、その通路形成部によってケースが上部室と下部室とに区画されている。上部室には動力伝達機構が収容されており、下部室には下側バルブボディおよび上側バルブボディが収容されている。そして、通路形成部には、高圧油路から延出して上部室まで貫通するブリード穴が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−98049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、ベルト式無段変速機の各プーリは固定シーブと可動シーブとから構成されていて、可動シーブを前後動させる油圧アクチュエータの油圧シリンダ(油圧室)が、通常、可動シーブの背面に、すなわち可動シーブの固定シーブに対向する面と反対側の面に設けられている。その油圧シリンダ内の作動油に空気が混入すると、油圧シリンダに圧油を供給しても空気が圧縮されるまでの間シリンダ内の油圧の上昇が鈍くなる。その結果、油圧アクチュエータの動作の応答時間が長くなり、ベルト式無段変速機の制御応答性が低下してしまう。そこで、可動シーブの油圧シリンダに対して作動油を給排する油路に、上記の特許文献1に記載されているようなブリード穴を設けることにより、油圧シリンダに給排される作動油に混入した空気を排出することが可能になる。
【0006】
上記のような従来一般的な構成のベルト式無段変速機においては、ベルト式無段変速機の運転中でプーリが回転している場合は、油圧シリンダ内の作動油が遠心力により油圧シリンダ内の外周側に偏在するようになる。そのため、油圧シリンダ内で作動油と混在していた空気は、反対に、油圧シリンダ内の内周側すなわち回転軸の近傍に偏在するようになる。一方、ベルト式無段変速機の運転停止時でプーリの回転が停止している場合には、可動シーブの油圧シリンダ内で作動油と混在していた空気は、作動油との比重の違いから作動油と分離して油圧シリンダ内の上方の外周部分に移動する。すなわち、プーリの回転が停止した場合は、油圧シリンダ内の上方の外周部分に空気が集積することになる。これに対して、上記の特許文献1に記載されているようなブリード穴が形成される給排用の油路は、通常は油圧シリンダが可動シーブすなわちプーリと共に回転する回転体であることから、プーリの回転軸の内部あるいは回転軸の近傍に設けられる。
【0007】
したがって、上記の特許文献1に記載されているようなブリード穴を設けることにより、プーリが回転している場合は、可動シーブの油圧シリンダ内で回転軸の近傍に偏在する空気を効果的に油圧シリンダから排出することができる。しかしながら、プーリの回転が停止した場合には、上記の特許文献1に記載されているようなブリード穴では、プーリの回転が停止した際に油圧シリンダ内の上方の外周部分に溜まる空気を容易に排出することができない。その結果、ベルト式無段変速機の運転を再開する際の油圧制御の応答性が低下してしまう可能性があった。
【0008】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、ベルト式無段変速機が停止してプーリの回転が停止している場合であっても、油圧作動部の油圧室に混入した空気を適切に排出し、油圧制御の応答性を向上させることができるベルト式無段変速機の油圧制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、ベルトが巻き掛けられたプーリの溝幅を変化させる際に作動油が給排される油圧室と、前記油圧室に前記作動油を供給するための供給油路と、前記油圧室から前記作動油を排出するための排出油路とを備えたベルト式無段変速機の油圧制御装置において、前記排出油路が、前記プーリの回転が停止している際に前記油圧室内で前記作動油に混入していた空気が前記作動油と分離して集積する部分と、前記油圧室の外部とを連通するように形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記排出油路が、その流路面積が前記供給油路の流路面積よりも狭くなるように形成された油路を含むことを特徴とするものである。
【0011】
そして、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記油圧室が、前記プーリと同軸で一体に回転する回転体として形成された油圧シリンダを含み、前記供給油路が、前記油圧シリンダ内の回転軸側の部分と、前記油圧シリンダの外部とを連通する油路を含み、前記プーリが回転している場合に、前記供給油路を、前記油圧シリンダ内の回転軸側の部分から前記油圧シリンダの外部への前記作動油および前記空気の排出が可能な状態にする油圧回路を更に備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、プーリの回転が停止した場合に、油圧作動部の油圧室内で混在していた作動油と空気とが、それらの比重の違いにより作動油が集積した層と空気が集積した層とに分離した際に、作動油と分離して集積した空気を、排出油路を通して容易に排出させることができる。すなわち、プーリの回転が停止した場合に、作動油に混ざって油圧室に入り込んでいた空気を、排出油路から油圧室の外部へ排出させること、すなわち油圧室内のエア抜きを容易に行うことができる。したがって、プーリの回転が開始される際には、油圧室内をエア抜きがされた状態にしておくことができ、油圧室内に空気が介在することによる油圧制御の応答性の低下を回避もしくは抑制することができる。例えば、この発明に係るベルト式無段変速機を車両に搭載した場合、車両発進時の油圧による変速制御や挟圧力制御の応答性を向上させることができる。
【0013】
また、請求項2の発明によれば、供給油路の流路面積よりも排出油路の流路面積の方が小さくなるように排出油路が形成される。流路面積が小さいことによりその分流体が流動し難くなるが、空気は作動油と比較して十分に粘性が低いので、作動油よりも十分に流速が速くなり、流路面積が狭く流動し難い排出油路においても、空気は作動油よりも容易に流動することができる。すなわち、この排出油路においては、作動油よりも空気を優先的に流動させることができ、したがって、油圧室から空気を効率良く速やかに排出させることができる。
【0014】
そして、請求項3の発明によれば、プーリが回転することにより、油圧シリンダ内で混在していた作動油と空気とが、遠心力により作動油が集積した層と空気が集積した層とに分離した場合に、油圧シリンダの回転軸側の部分に集積した空気を、供給油路を通して容易に排出させることができる。そして、プーリの回転が停止している場合は、上記のように、油圧シリンダ内で作動油と混在していた空気を、排出油路を通して容易に排出させることができる。したがって、プーリが回転している場合およびプーリの回転が停止している場合のいずれの場合においても、油圧シリンダ内で作動油に混入した空気が作動油と分離して集積する部分から、それら作動油および空気を油圧シリンダの外部へ排出させることができる。そのため、油圧シリンダ内に混入した空気を、常に、効率良く速やかに外部へ排出させることができ、油圧シリンダ内に空気が介在することによる油圧制御の応答性の低下を確実に回避もしくは抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明に係るベルト式無段変速機の油圧制御装置の構成の一例を示す断面図である。
【図2】図1に示すベルト式無段変速機の油圧制御装置の構成の変形例を示す断面図である。
【図3】図1に示すベルト式無段変速機の油圧制御装置の構成の他の変形例を示す断面図である。
【図4】この発明に係るベルト式無段変速機の油圧制御装置の他の構成例を示す断面図であって、(a)はプーリの回転が停止している場合の作動油の排出状態を説明するための図であり、(b)はプーリが回転している場合の作動油の排出状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
つぎに、この発明を具体例を参照して説明する。図1には、この発明を、例えば車両に搭載されるベルト式無段変速機CVTに適用した例を示してある。このベルト式無段変速機CVTは、その基本的な構成や動作原理は公知のベルト式無段変速機と同様であり、駆動側(もしくは入力側)および従動側(もしくは出力側)の回転軸に対して、それぞれ、回転軸と一体の固定シーブおよび回転軸線方向に摺動可能に取り付けられた可動シーブによってベルト巻き掛け溝を形成する2つのプーリと、それら各プーリに巻き掛けられて各プーリ間で動力を伝達する伝動ベルトとを備えている。したがって、可動シーブを回転軸の回転軸線方向に前後動させてベルト巻き掛け溝の溝幅を連続的に変化させることができるようになっている。そして、プーリのベルト巻き掛け溝の溝幅を変化させてプーリに対する伝動ベルトの巻き掛かり半径を連続的に変化させることにより、変速比を連続的にすなわち無段階に変更することができるように構成されている。
【0017】
具体的には、図1に示すように、この発明におけるベルト式無段変速機CVTは、ケース1の内部に、上記のような駆動側および従動側の2つのプーリ2と、それら2つのプーリ2に巻き掛けられる伝動ベルト3とから構成される無段変速機構が収容されている。なお、この図1では、2つのプーリ2のうち、駆動側のプーリ2を代表的に示してある。
【0018】
プーリ2の回転軸4には、固定シーブ5が一体に形成されている。もしくは回転軸4に対して固定シーブ5が移動不可能なように固定されている。また、回転軸4に対して、可動シーブ6が回転軸4と一体回転しかつ回転軸4の回転軸線方向に摺動可能に取り付けられている。そして、これら固定シーブ5と可動シーブ6とは、固定シーブ5のテーパ面5aと可動シーブ6のテーパ面6aとが、プーリ2の回転軸線方向で互いに対向するように配置されていて、テーパ面5aとテーパ面6aとの間に、V字形状のベルト巻き掛け溝2aが形成されるようになっている。すなわち、これら固定シーブ5と可動シーブ6とにより、ベルト巻き掛け溝2aを有するプーリ2が構成されている。
【0019】
上記のように構成されたプーリ2が、ベルト式無段変速機CVTの駆動側および従動側の2ヶ所に平行に設置されていて、それら2つのプーリ2のベルト巻き掛け溝2aに、伝動ベルト3が巻き掛けられている。なお、この図1に示すベルト式無段変速機CVTは、図1における上側が鉛直方向の上方となるように、車両に搭載されて固定されている。したがって、車両の停車時にプーリ2の回転が停止している状態では、プーリ2の円周方向におけるいずれかの外周部分が、鉛直方向の上方に位置することになる。
【0020】
伝動ベルト3は、例えば、板片状の多数のエレメント3eを、帯状のリング3rにより環状に結束することにより構成されている。そして、その幅方向(図1での左右方向)における左右の両側面(いわゆるフランク面)が、断面を正面から見た状態でV字状に傾斜した面として形成されていて、プーリ2のベルト巻き掛け溝2aに嵌り込むようになっている。すなわち、伝動ベルト3は、ベルト巻き掛け溝2aが形成されたプーリ2に巻き掛けられるVベルトとして構成されている。
【0021】
また、可動シーブ6には、その可動シーブ6を回転軸線方向に前後動させ(図1での左右方向に動作させ)、固定シーブ5と可動シーブ6との間を接近・離隔させる油圧アクチュエータ7が設けられている。具体的には、可動シーブ6の背面6b側、すなわち可動シーブ6のテーパ面6aの反対側(図1での左側)の中心部には、内筒部6cが一体に形成されていて、この内筒部6cと回転軸4との嵌合部分がスプラインになっている。すなわち、回転軸4の内筒部6cとの嵌合部分がスプライン軸になっていて、スプラインの歯(図示せず)が形成されている。一方、内筒部6cの回転軸4との嵌合部分がスプライン穴になっていて、スプラインの溝(図示せず)が形成されている。
【0022】
回転軸4と内筒部6cとの嵌合部分には、所定のクリアランスが設定されていて、これにより、可動シーブ6は、回転軸4(すなわち固定シーブ5)に対して、周方向の相対回転が規制されるとともに、回転軸線方向の移動(摺動あるいは滑動)が可能となっている。なお、回転軸4と内筒部6cと間の所定の接触部分は、摺動可能にかつ液密が保持されるようにシールされている。また、回転軸4と内筒部6cとの嵌合部分に、ボール・スプラインを用いることも可能である。
【0023】
可動シーブ6の背面6b側の周縁部分には、外筒部6dが可動シーブ6と一体に形成されている。また、可動シーブ6の背面と対向する隔壁部材7aが回転軸4に一体回転するよう固定されている。さらに、隔壁部材7aの周縁部分には、その周縁部分からプーリ2の回転軸線方向で可動シーブ6側に延出する外郭部7bが隔壁部材7aと一体に形成されている。そしてこの外郭部7bは、その内周部分に可動シーブ6の外筒部6dを収容可能になっていて、外郭部7bと外筒部6dとの間の所定の接触部分は、摺動可能にかつ液密が保持されるようにシールされている。
【0024】
すなわち、可動シーブ6の背面6bおよび円筒部6cの外周面ならびに外筒部6dの内周面と、隔壁部材7aの内壁面7c(すなわち隔壁部材7aの背面6bとの対向面)および外郭部7bの内周面とによって、可動シーブ6を前後動させるための作動油FLが給排される油圧室7dが形成されている。したがって、この図1に示す油圧室7dは、プーリ2および回転軸4と同軸で、かつプーリ2と一体に回転する回転体として形成されている。
【0025】
そして、上記の油圧室7dに作動油FLを供給するための供給油路8、および、油圧室7dから作動油FLを排出するための排出油路9が設けられている。供給油路8は、回転軸4の中空部分に形成された油路8aと、その油路8aと回転軸4の外周部分とを貫通する油路8bと、可動シーブ6の内筒部6cの内周部分と外周部分との間を貫通して油路8bと油圧室7dとを連通する油路8cとから構成されている。そして、例えばオイルポンプやアキュムレータなどの油圧源(図示せず)で発生させられ、例えば圧力制御弁(図示せず)により所定の油圧に調圧された作動油FLが、供給油路8の油路8aおよび油路8bならびに油路8cを介して油圧室7dに供給されるようになっている。
【0026】
一方、排出油路9は、上記の油路8aとは別に回転軸4の中空部分に形成された油路9aと、その油路9aと回転軸4の外周部分とを貫通する油路9bと、隔壁部材7aの内壁面7cに沿うように形成されて油路9bと油圧室7dとを連通する後述の油路9cとから構成されている。そして、油圧室7d内の作動油FLが、油路9cおよび油路9bならびに油路9aを介して、油圧室7dの外部に排出される。なお、外部に排出された作動油FLは、例えば歯車の噛み合い部や軸受けなどの被潤滑部(図示せず)に供給され、あるいは、例えばオイルパン(図示せず)に回収される。
【0027】
したがって、供給油路8を介して油圧室7dに供給する油圧、および排出油路9を介して油圧室7dから排出させる油圧をそれぞれ制御することにより、可動シーブ6をプーリ2の回転軸線方向に前後動させることができる。例えば、可動シーブ6を固定シーブ5に対して接近・離間させることにより、プーリ2のベルト巻き掛かり半径を大小に変化させて、ベルト式無段変速機CVTの変速制御を行うことができる。あるいは、油圧室7dに作用する油圧を調整することにより、ベルト式無段変速機CVTの挟圧力制御を行うことができる。
【0028】
このように、油圧室7dを構成している可動シーブ6の背面6b、円筒部6cの外周面、外筒部6dの内周面、隔壁部材7aの内壁面7c、外郭部7bの内周面のうち、内筒部6cの外周面と隔壁部材7aの内壁面7cと外郭部7bの内周面とから構成される空間部分が油圧シリンダ7eとなっている。そして、可動シーブ6が、その背面6bと外筒部6dの内周面とを受圧面として、油圧シリンダ7e内の油圧に応じてその油圧シリンダ7e内を往復動するピストン7fとなっている。すなわち、それら内筒部6cの外周面と隔壁部材7aの内壁面7cと外郭部7bの内周面とから構成される油圧シリンダ7eと、背面6bと外筒部6dの内周面とから構成されるピストン7fとによって、可動シーブ6を回転軸線方向に前後動させる油圧作動部、すなわち上記の油圧アクチュエータ7が構成されている。前述したように、油圧室7dがプーリ2および回転軸4と同軸でかつプーリ2と一体に回転する回転体として形成されていることから、この油圧シリンダ7eも、同様に、プーリ2および回転軸4と同軸でかつプーリ2と一体に回転する回転体として形成されている。
【0029】
上記のような油圧アクチュエータ7に油圧として供給される作動油FLは、このベルト式無段変速機CVTの中で、昇圧および調圧と排圧とが繰り返されて循環させられる。その循環の過程においては、作動油FLは、例えば歯車やベアリング部分を潤滑する際に撹拌されたり、あるいはオイルポンプの運転が断続する際に空気を巻き込んだりする場合がある。そのため、油圧アクチュエータ7に供給される作動油FLには、不可避的に空気が混入する。
【0030】
前述したように、油圧アクチュエータ7の油圧室7d内すなわち油圧シリンダ7e内の作動油FLの中に空気が混入すると、油圧アクチュエータ7における油圧制御の応答性が低下し、ひいては、ベルト式無段変速機CVTの制御応答性が低下してしまう。従来のベルト式無段変速機では、可動シーブを動作させる油圧アクチュエータの油圧シリンダに対して作動油を給排する供給油路および排出油路が、通常、回転軸の近傍にすなわち油圧シリンダの内周側に開口するように設けられている。そのため、車両の走行時にベルト式無段変速機のプーリが回転している際に、油圧シリンダ内の作動油が遠心力によって油圧シリンダ内の外周側に移動し、それに伴って油圧シリンダ内で作動油と分離した空気がその油圧シリンダ内の内周側に移動して集積している場合は、油圧シリンダ内に混入した空気を効率良く排出することができる。しかしながら、車両が停車してベルト式無段変速機のプーリの回転が停止した際に、油圧シリンダ内で比重の違いによって作動油と分離した空気がその油圧シリンダ内の鉛直方向の上方に位置する外周部分に移動して集積した場合には、上記のように油圧シリンダの内周側に開口するように設けられた排出油路からでは、油圧シリンダ内の空気を速やかに排出させることが困難になり、それが油圧アクチュエータにおける油圧制御の応答性が低下する要因となっていた。
【0031】
そこで、この発明におけるベルト式無段変速機CVTの油圧制御装置は、車両が走行中であるか停車中であるかに関わらず、すなわちプーリ2が回転している場合およびプーリ2が回転を停止している場合のいずれにおいても、常に、油圧アクチュエータ7の油圧室7d(すなわち油圧シリンダ7e)内に混入した空気を効率良く速やかに排出させることができるように構成されている。すなわち、この発明におけるベルト式無段変速機CVTの油圧制御装置においては、上記のように油圧室7dから作動油FLを排出する排出油路9が、プーリ2の回転が停止している際に油圧室7d内で作動油FLに混入していた空気が作動油FLと分離して集積する部分と、油圧室7dの外部とを連通するように構成されている。
【0032】
具体的には、この発明における排出油路9を構成する油路9a,9b,9cのうち、油路9cが、油圧室7d内の全周にわたる外周側の部分7gと、油路9bすなわち油圧室7dの外部とを連通するように構成されている。より具体的には、油圧室7dを構成する隔壁部材7aの内壁面7cに、被覆部材7hが取り付けられている。この被覆部材7hは、内壁面7cに対峙した形状に形成されていて、内壁面7cを全周にわたって覆うように隔壁部材7aに固定されている。この被覆部材7hと内壁面7cとの間には、所定距離の間隙が設けられていて、その間隙が油圧室7d内の全周にわたる外周側の部分7gと、油路9bとの連通部分とで開口するように、被覆部材7hの形状が設定されている。したがって、上記のように内壁面7cと被覆部材7hとの間に形成される間隙によって、油圧室7d内の全周にわたる外周側の部分7gと油路9bとを連通する前述の油路9cが構成されている。
【0033】
この図1に示すベルト式無段変速機CVTは、前述したように、図1における上側が鉛直方向の上方となるように車両に搭載されている。そのため、例えば車両の停車時にベルト式無段変速機CVTの運転が停止し、それに伴いプーリ2の回転が停止している状態では、プーリ2の円周方向におけるいずれかの外周部分、すなわち図1において上側に示されているプーリ2の外周側の部分が、鉛直方向の上方に位置することになる。したがって、プーリ2と同軸で一体に回転する油圧室7dも、プーリ2の回転が停止している状態では、同様に、図1において上側に示されている油圧室7dの外周側の部分7gが、鉛直方向の上方に位置することになる。
【0034】
上記のようにプーリ2の回転が停止している状態では、油圧室7d内の作動油FLおよびその作動油FLに混入している空気には重力が作用し、そのため作動油FLと空気との比重の違いから作動油FLが鉛直方向の下方(すなわち図1での下側)に移動し、空気が鉛直方向の上方(すなわち図1での上側)に移動する。すなわち、油圧室7d内で、作動油FLと空気が分離し、空気が鉛直方向の上方、つまり図1において上側に示されている油圧室7dの外周側の部分7gに集積する。したがって、プーリ2の回転が停止している状態では、油圧室7dの外周側の空気が集積する部分(すなわち、図1に示す状態では部分7g)が、油路9cによって油路9bおよび油路9aに連通させられる。すなわち、プーリ2の回転が停止している状態では、油圧室7dの外周側の空気が集積する部分と油圧室7dの外部とが、排出油路9を介して連通されるように構成されている。そのため、プーリ2の回転が停止し、油圧室7d内に混入していた空気が作動油FLと分離して、油圧室7d内の鉛直方向の上方に位置する外周側の部分に集積した状態であっても、上記のように構成された排出油路9を通して、油圧室7dから空気を速やかに排出させることができる。
【0035】
なお、上記の排出油路9は、その流路面積が、前述の供給油路8の流路面積よりも狭くなるように形成されている。例えば、排出油路9の平均的な流路面積が、供給油路8の平均的な流路面積よりも狭くなっている。あるいは、排出油路9における各位置の流路面積の最小値が、供給油路8における各位置の流路面積の最小値よりも小さくなるように、それら排出油路9および供給油路8が形成されている。
【0036】
したがって、排出油路9の流路面積が小さいことにより、その分だけ作動油FLは排出油路9内を流動し難くなるが、空気は作動油FLと比較して十分に粘性が低いので、排出油路9内では、空気は作動油FLよりも十分に流速が速くなる。そのため、排出油路9内では、空気は作動油FLよりも容易に流動することができる。したがって、この排出油路9においては、作動油FLよりも空気を優先的に流動させることができ、そのため、油圧室7dから空気を効率良く速やかに排出させることができる。
【0037】
上記のように、図1では、この発明における排出油路9が、油圧室7dの内壁を構成する隔壁部材7aの内壁面7cと被覆部材7hとの間に、油圧室7dの全周にわたって形成した隙間状の油路9cにより構成された例を示しているが、この発明における排出油路9は、例えば、複数の管状の油路によって構成することもできる。その例を次の図2に示してある。なお、図2において、上述した図1に示す構成と同様の部分については、図1と同様の符号を付けてその説明を省略する。
【0038】
図2において、油圧室7d内の内壁面7cに、油圧室7dの内周側から外周側へ向かう複数の管状油路9dが取り付けられている。それら複数の管状油路9dは、例えば金属や樹脂製の細い管材によって形成されていて、一方の開口端部が油路9bと連通し、他方の開口端部が油圧室7d内の外周側の部分7gで開口するように、それぞれ、内壁面7cに固定されている。そして、それら複数の管状油路9dは、プーリ2の回転中心を起点として放射状に、かつ内壁面7cの円周方向で等間隔に、それぞれ配置されている。そのため、プーリ2の回転が停止した際には、いずれかの管状油路9dの開口端部が、油圧室7dの外周側の空気が集積する部分(すなわち、図2に示す状態では部分7g)で開口するようになっている。
【0039】
したがって、プーリ2の回転が停止している状態では、油圧室7dの外周側の空気が集積する部分が、管状油路9dによって油路9bおよび油路9aに連通させられる。すなわち、プーリ2の回転が停止している状態では、油圧室7dの外周側の空気が集積する部分と油圧室7dの外部とが、排出油路9を介して連通されるように構成されている。そのため、この図2に示す例においても、前述の図1に示す例の場合と同様に、プーリ2の回転が停止して、油圧室7d内の鉛直方向の上方に位置する外周側の部分に空気が集積した状態であっても、上記のような管状油路9dにより構成された排出油路9を通して、油圧室7dから空気を速やかに排出させることができる。
【0040】
また、前述の図1に示す例の場合と同様に、この図2に示す上記のような管状油路9dにより構成された排出油路9も、その流路面積が、供給油路8の流路面積よりも狭くなるように形成されている。したがって、この管状油路9dにより構成された排出油路9においても、作動油FLよりも空気を優先的に流動させることができ、そのため、油圧室7dから空気を効率良く速やかに排出させることができる。
【0041】
図3には、この発明における供給油路8の一部と排出油路9の一部とを兼用させた例を示してある。なお、この図3においても、上述した図1に示す構成と同様の部分については、図1と同様の符号を付けてその説明を省略する。
【0042】
図3において、供給油路8が、回転軸4の中空部分に形成された油路10と、その油路10と回転軸4の外周部分とを貫通する油路8bと、可動シーブ6の内筒部6cの内周部分と外周部分との間を貫通して油路8bと油圧室7dとを連通する油路8cとから構成されている。また、排出油路9が、上記の油路10と、その油路10と回転軸4の外周部分とを貫通する油路9bと、隔壁部材7aの内壁面7cに沿うように形成されて油路9bと油圧室7dとを連通する油路9cとから構成されている。
【0043】
そして、供給油路8における油路10と油路8bとの間に、逆止弁11が設けられている。すなわち、油路10と油路8bとが、逆止弁11を介して互いに連通されている。この逆止弁11は、油路10から油路8bに向けて作動油FLが流れる場合に開き、これとは反対方向の作動油FLの流れを阻止するように閉じる一方向弁である。また、排出油路9における油路10と油路9bとの間に、逆止弁12が設けられている。すなわち、油路10と油路9bとが、逆止弁12を介して互いに連通されている。この逆止弁12は、上記の逆止弁11と同様に、油路9bから油路10に向けて作動油FLが流れる場合に開き、これとは反対方向の作動油FLの流れを阻止するように閉じる一方向弁である。
【0044】
したがって、この図3に示す例では、供給油路8および排出油路9のそれぞれの一部分を油路10によって共通化することにより、油圧室7dに対した作動油を給排するための油路の構成を簡素化することができる。さらに、上記のように供給油路8および排出油路9の一部分を油路10で兼用することにより、それら供給油路8および排出油路9に対して作動油を供給するもしくは排出させるための制御弁が1つだけで済むことになり、そのため、この油圧アクチュエータ7を制御するための油圧回路の構成を簡素化することができる。
【0045】
上記の図1,図2,図3に示す例のように、この発明では、プーリ2の可動シーブ6を動作させる油圧アクチュエータ7の排出油路9を、プーリ2の回転が停止している際に油圧室7d内で作動油FLに混入していた空気がその作動油FLと分離して集積する部分と油圧室7dの外部とを連通するように構成することにより、プーリ2の回転が停止して、油圧室7d内の鉛直方向の上方に位置する外周側の部分に空気が集積した状態であっても、油圧室7d内に混入した空気を速やかに排出させることができる。それに対して、次の図4に示す例は、プーリ2の回転が停止している場合に加えて、プーリ2が回転している場合も、油圧室7d内に混入した空気を適切に排出させることができるように構成した例である。なお、この図4においても、上述した図1に示す構成と同様の部分については、図1と同様の符号を付けてその説明を省略する。
【0046】
図4において、この図4に示すベルト式無段変速機CVTの構成、およびその無段変速機構内における供給油路8や排出油路9などの油圧系統の構成は、前述の図1に示す構成と同様である。すなわち、この図4に示す例は、前述の図1に示すベルト式無段変速機CVTの供給油路8および排出油路9に対して、それぞれ、油圧供給系統13および油圧排出系統14が設けられている。
【0047】
具体的には、供給油路8の油路8aに、油路15を介して油圧供給系統13の油路13aが連通されている。油路13aの一方の端部には、切替弁16を介して油圧供給源17が連通されている。切替弁16は、油圧供給源17と油路13aとの間を連通させる状態と、油圧供給源17と油路13aとの間を遮断する状態とを選択的に切り替えることが可能な電磁切替弁である。油圧供給源17は、例えばオイルポンプやアキュムレータなど、この油圧供給系統13に油圧を供給する部分であり、この図4の例では、オイルポンプが設けられた例を示している。
【0048】
また、油路13aの他方の端部には、切替弁18を介して油圧排出部19が連通されている。切替弁18は、上記の切替弁16と同様に、油圧排圧部19と油路13aとの間を連通させる状態と、油圧排出部19と油路13aとの間を遮断する状態とを選択的に切り替えることが可能な電磁切替弁である。油圧排出部17は、例えばオイルパンや、あるいは歯車やベアリングなどの被潤滑部であって、この油圧供給系統13の油圧を外部へドレンする部分である。この図4の例では、オイルポンプが設けられた例を示している。
【0049】
一方、排出油路9の油路9aに、油路20を介して油圧排出系統14の油路14aの一方の端部が連通されている。そして、油路14aの他方の端部には、切替弁21を介して前述の油圧排出部19が連通されている。切替弁21は、上記の切替弁16,18と同様に、油圧排出部19と油路14aとの間を連通させる状態と、油圧排出部19と油路14aとの間を遮断する状態とを選択的に切り替えることが可能な電磁切替弁である。
【0050】
したがって、この図4に示す例では、上記の各切替弁16,18,21の切り替え位置をそれぞれ制御することにより、油圧室7d内の作動油FLおよび空気を排出油路9から外部へ排出させる状態と、油圧室7d内の作動油FLおよび空気を供給油路8から外部へ排出させる状態とに、選択的に切り替えることができる。
【0051】
すなわち、図4の(a)に示すように、油圧供給系統13の切替弁16を油圧供給源17と油路13aとの間を遮断する状態に、切替弁18を油圧排出部19と油路13aとの間を遮断する状態に、そして油圧排出系統14の切替弁21を油圧供給源17と油路14aとの間を連通させる状態にそれぞれ制御することにより、油圧室7d内の作動油FLおよび空気を排出油路9から外部へ排出させる状態にすることができる。したがって、プーリ2の回転が停止した際に、この図4の(a)に示す状態となるよう、各油圧系統13,14の各切替弁16,18,21の切り替え位置をそれぞれ制御することにより、プーリ2の回転が停止し、油圧室7d内に混入していた空気が作動油FLと分離して集積する部分(すなわち部分7g)から空気を速やかに排出させることができる。
【0052】
それに対して、図4の(b)に示すように、油圧供給系統13の切替弁16を油圧供給源17と油路13aとの間を遮断する状態に、切替弁18を油圧排出部19と油路13aとの間を連通させる状態に、そして油圧排出系統14の切替弁21を油圧供給源17と油路14aとの間を遮断する状態にそれぞれ制御することにより、油圧室7d内の作動油FLおよび空気を、排出油路8ではなく、供給油路9から外部へ排出させる状態にすることができる。したがって、プーリ2が回転している際に、この図4の(b)に示す状態となるよう、各油圧系統13,14の各切替弁16,18,21の切り替え位置をそれぞれ制御することにより、プーリ2が回転し、油圧室7d内に混入していた空気が作動油FLと分離して、油圧室7d内における回転軸4の近傍に集積する部分7iから空気を速やかに排出させることができる。
【0053】
以上のように、この発明に係るベルト式無段変速機の油圧制御装置によれば、プーリ2の回転が停止した場合に、油圧アクチュエータ7の油圧室7d内で混在していた作動油FLと空気とが、それらの比重の違いにより作動油FLが集積した層と空気が集積した層とに分離した際に、作動油FLと分離して集積した空気を、排出油路9を通して容易に排出させることができる。すなわち、プーリ2の回転が停止した場合に、作動油FLに混ざって油圧室7dに入り込んでいた空気を、排出油路9から油圧室7dの外部へ速やかに排出させることができる。したがって、その後プーリ2の回転が開始される際には、油圧室7d内をエア抜きがされた状態にしておくことができ、油圧室7d内に空気が介在することによる油圧制御の応答性の低下を回避もしくは抑制することができる。
【0054】
また、例えば、上述の図4に示すように、油圧供給系統13と油圧排出系統14とによる油圧回路を構成することにより、プーリ2が回転する際に、油圧室7dの油圧シリンダ7e内で混在していた作動油FLと空気とが、遠心力により作動油FLが集積した層と空気が集積した層とに分離した場合に、油圧シリンダ7e内の回転軸4側の部分7iに集積した空気を、供給油路8を通して容易に排出させることができる。そして、プーリ2の回転が停止している場合は、上記のように、油圧シリンダ7e内で作動油FLと混在していた空気を、排出油路9を通して容易に排出させることができる。したがって、プーリ2が回転している場合およびプーリ2の回転が停止している場合のいずれの場合であっても、油圧シリンダ7e内で作動油FLに混入した空気が作動油FLと分離して集積する部分から、それら作動油FLおよび空気を油圧シリンダ7eの外部へ排出させることができる。そのため、油圧シリンダ7e内に混入した空気を、常に、効率良く速やかに外部へ排出させることができ、油圧シリンダ7e内に空気が介在することによる油圧制御の応答性の低下を確実に回避もしくは抑制することができる。
【0055】
なお、上述した各具体例では、プーリ2がベルト式無段変速機CVTの駆動側のプーリであるのかもしくは従動側のプーリであるのか、すなわち、この発明におけるベルト式無段変速機の油圧制御装置が、駆動側のプーリを対象とするものか、もしくは従動側のプーリを対象とするものか、具体的に区別して説明していないが、この発明におけるベルト式無段変速機の油圧制御装置は、駆動側のプーリおよび従動側のプーリの両方を対象とすることができ、あるいは、駆動側のプーリおよび従動側のプーリのいずれか一方を対象としてもよい。例えば、この発明におけるベルト式無段変速機が、車両に搭載される変速機であって、駆動側のプーリで変速比を設定する変速比制御を実行し、従動側のプーリで伝動ベルトに対するプーリの挟圧力を設定する挟圧力制御を実行するように構成されたものであった場合、駆動側のプーリを対象としてこの発明におけるベルト式無段変速機の油圧制御装置を適用することにより、車両の発進時における変速制御の応答性を向上させることができる。また、従動側のプーリを対象としてこの発明におけるベルト式無段変速機の油圧制御装置を適用することにより、車両の発進時におけるベルトの挟圧力制御を良好に実行し、ベルトの滑りを適切に防止することができる。
【符号の説明】
【0056】
2…プーリ、 3…ベルト、 4…回転軸、 5…固定シーブ、 6…可動シーブ、 6b…背面、 6c…内筒部、 6d…外筒部、 7…油圧アクチュエータ、 7a…隔壁部材、 7b…外郭部、 7c…内壁面、 7d…油圧室、 7e…油圧シリンダ、 7f…ピストン、 7h…被覆部材、 8,8a,8b,8c…供給油路、 9,9a,9b,9c…排出油路、 13…油圧供給系統、 14…油圧排出系統、 FL…作動油、 CVT…ベルト式無段変速機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトが巻き掛けられたプーリの溝幅を変化させる際に作動油が給排される油圧室と、前記油圧室に前記作動油を供給するための供給油路と、前記油圧室から前記作動油を排出するための排出油路とを備えたベルト式無段変速機の油圧制御装置において、
前記排出油路が、前記プーリの回転が停止している際に前記油圧室内で前記作動油に混入していた空気が前記作動油と分離して集積する部分と、前記油圧室の外部とを連通するように形成されていることを特徴とするベルト式無段変速機の油圧制御装置。
【請求項2】
前記排出油路は、その流路面積が前記供給油路の流路面積よりも狭くなるように形成された油路を含むことを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機の油圧制御装置。
【請求項3】
前記油圧室は、前記プーリと同軸で一体に回転する回転体として形成された油圧シリンダを含み、
前記供給油路は、前記油圧シリンダ内の回転軸側の部分と、前記油圧シリンダの外部とを連通する油路を含み、
前記プーリが回転している場合に、前記供給油路を、前記油圧シリンダ内の回転軸側の部分から前記油圧シリンダの外部への前記作動油および前記空気の排出が可能な状態にする油圧回路を更に備えている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のベルト式無段変速機の油圧制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−145172(P2012−145172A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4369(P2011−4369)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】