説明

ベルト駆動装置及び画像形成装置

【課題】 無端ベルトの寄り量が大きい場合でも、画像不良を生じたり無端ベルトを損傷したりすることなく、短時間で寄りを補正することができるベルト搬送装置及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 第1の駆動ローラ32a及び第2の駆動ローラ32bのうち、中間転写ベルト31が寄っている側の駆動ローラを中間転写ベルト31から離間させるように第1の離間モータ39c及び第2の離間モータ39dを制御することで、幅方向における中間転写ベルト31の位置を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の支持部材に張架された無端ベルトの寄りを補正するベルト駆動装置及びこれを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置には、中間転写ベルト、定着ベルト、及び記録紙搬送ベルト等の無端ベルトが設けられ、これらの無端ベルトを駆動するためのベルト駆動装置が設けられている。ベルト駆動装置は、駆動ローラと従動ローラで支持された無端ベルトを、駆動ローラの回転駆動によって走行させる。
【0003】
無端ベルトは、無端ベルトの搬送方向に直交する方向(幅方向)に寄らずに搬送されるのが理想的である。しかし、各ローラの傾きや無端ベルトにおける左右の張力差、外部負荷の変動等、様々な要因により無端ベルトが幅方向に寄り、蛇行してしまうことが知られている。このような無端ベルトの蛇行を補正する技術としては、ステアリングローラを傾斜させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ステアリングローラを傾斜させるための構成が必要になり、装置の大型化及びコストアップを引き起こすという問題があった。
【0005】
そこで、同一軸線上に配置された2つの駆動ローラに無端ベルトを張架させ、それぞれのローラの回転速度を個別に制御することで、無端ベルトの蛇行を補正する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−282196号公報
【特許文献2】特開2006−030711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載の技術において、無端ベルトの寄り量が大きい場合に寄り量を短時間に補正するためには、2つの駆動ローラの速度差を大きくする必要がある。このように2つの駆動ローラの速度差を大きくすると、無端ベルトがねじれてしまい、無端ベルトにしわができて画像不良を生じたり、損傷したりする可能性がある。
【0008】
そこで、本発明は、無端ベルトの寄り量が大きい場合でも、画像不良を生じたり無端ベルトを損傷したりすることなく、短時間で寄りを補正することができるベルト搬送装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係るベルト駆動装置は、回転駆動される駆動ローラを含む複数のローラと、前記複数のローラに張架される無端ベルトと、前記駆動ローラを駆動することで前記無端ベルトを搬送する駆動手段と、前記無端ベルトの搬送方向に直交する幅方向における前記無端ベルトの位置を検知する検知手段と、を有するベルト駆動装置において、前記駆動ローラは、前記幅方向に並んで配置された第1の駆動ローラ及び第2の駆動ローラから構成され、前記第1の駆動ローラを前記無端ベルトから離間させる第1の離間手段と、前記第2の駆動ローラを前記無端ベルトから離間させる第2の離間手段とを更に有し、前記第1の駆動ローラ及び前記第2の駆動ローラのうち、前記無端ベルトが寄っている側の駆動ローラを前記無端ベルトから離間させるように前記第1の離間手段及び前記第2の離間手段を制御することで、前記幅方向における前記無端ベルトの位置を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の記載のベルト駆動装置を有し、記録紙にトナー像を形成する画像形成装置において、前記無端ベルトは、表面にトナー像が形成された感光体から当該トナー像が転写される中間転写ベルト、記録紙上に転写されたトナー像を加熱定着させる定着器に設けられた定着ベルト、又は記録紙を搬送する記録紙搬送ベルトであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るベルト搬送装置及び画像形成装置によれば、無端ベルトの寄り量が大きい場合でも、画像不良を生じたり無端ベルトを損傷したりすることなく、短時間で寄りを補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】画像形成装置の全体構成を示す概略縦断面図である。
【図2】中間転写ベルトの駆動構成を示す図である。
【図3】画像形成装置のブロック図である。
【図4】画像形成装置の制御を示すフローチャートである。
【図5】画像形成動作時における中間転写ベルトの寄り制御(蛇行補正制御)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、画像形成装置の全体構成を示す概略縦断面図である。
【0014】
本実施形態に係る画像形成装置は、複数の画像形成部が並列に配され、且つ中間転写方式が採用されたカラー画像形成装置である。
【0015】
画像形成装置は、画像読取部1Rと、画像出力部1Pとを有する。画像読取部1Rは、原稿画像を光学的に読み取り、電気信号に変換して画像出力部1Pに送信する。画像出力部1Pは、4つ並設された画像形成部10a,10b,10c,10dと、給紙ユニット20と、中間転写ユニット30と、定着器40と、クリーニングユニット90と、フォトセンサ60と、制御ユニット80とを有する。
【0016】
各画像形成部10a〜10dは同じ構成を有する。各画像形成部10a〜10dでは、ドラム状の感光体、即ち、感光体ドラム11a,11b,11c,11dが回転自在に軸支され、矢印方向に回転駆動される。感光体ドラム11a〜11dの外周面に対向してその回転方向に一次帯電器12a〜12d、光学系13a〜13d、折り返しミラー16a〜16d、現像装置14a〜14d、及びクリーニング装置15a〜15dが配置されている。
【0017】
一次帯電器12a〜12dは、感光体ドラム11a〜11dの表面に均一な帯電量の電荷を与える。次いで、画像読取部1Rからの記録画像信号に応じて光学系13a〜13dにより変調されたレーザビームなどの光線が、折り返しミラー16a〜16dを介して感光体ドラム11a〜11dに照射され、感光体ドラム11a〜11dが露光される。これにより、感光体ドラム11a〜11d上に静電潜像が形成される。
【0018】
更に、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックといった4色の現像剤(以下、「トナー」という。)をそれぞれ収納した現像装置14a〜14dによって上記静電潜像を顕像化する。顕像化された可視画像を画像転写領域Ta,Tb,Tc,Tdにて中間転写ユニット30を構成する中間転写ベルト31に転写する。
【0019】
画像転写領域Ta〜Tdの下流側では、クリーニング装置15a〜15dは、中間転写ベルト31に転写されずに感光体ドラム11a〜11d上に残されたトナーを掻き落としてドラム表面の清掃を行う。以上に示したプロセスにより、各トナーによる画像形成が順次行われる。
【0020】
給紙ユニット20は、記録紙Pを収納するためのカセット21と、カセット21より記録紙Pを一枚ずつ送り出すためのピックアップローラ22と、給紙ローラ対23と、給紙ガイド24と、レジストローラ対25とを有する。給紙ローラ対23は、ピックアップローラ22から送り出された記録紙Pを搬送するためのローラ対である。レジストローラ対25は、各画像形成部の画像形成タイミングに合わせて記録紙Pを二次転写領域Teへ送り出すためのローラ対である。
【0021】
次に、中間転写ユニット30について詳細に説明する。
【0022】
中間転写ベルト31は、中間転写ベルト31に駆動を伝達する駆動ローラ32と、従動ローラ33と、二次転写対向ローラ34との間に張架されている。従動ローラ33は、ばね(図示せず)の付勢によって中間転写ベルト31に適度なテンションを与えるテンションローラとして、中間転写ベルト31の回動に従動するローラである。そして、駆動ローラ32と従動ローラ33の間に一次転写平面Aが形成される。
【0023】
駆動ローラ32は、金属ローラの表面に数mm厚のゴム(ウレタン又はクロロプレン)をコーティングしてベルトとのスリップを防いでいる。駆動ローラ32は、パルスモータ(不図示)によって回転駆動される。
【0024】
各感光体ドラム11a〜11dと中間転写ベルト31とが対向する画像転写領域Ta〜Tdには、中間転写ベルト31の裏に一次転写用帯電器35a,35b,35c,35dが配置されている。一方、二次転写対向ローラ34に対向して二次転写ローラ36が配置され、中間転写ベルト31とのニップによって二次転写領域Teを形成する。二次転写ローラ36は、中間転写ベルト31に対して適度な圧力で加圧されている。
【0025】
また、中間転写ベルト31の二次転写領域Teの下流には、中間転写ベルト31の画像形成面をクリーニングするためのクリーニングユニット90が配置される。クリーニングユニット90は、中間転写ベルト31上のトナーを除去するためのクリーニングブレード91と、廃トナーを収納する廃トナーボックス92とを備えている。
【0026】
定着器40は、内部にハロゲンランプヒーターなどの熱源を備えた上ベルトユニット41aと、その上ベルトユニット41aに加圧される下ベルトユニット41bとを有する。上ベルトユニット41aと下ベルトユニット41bは、不図示の着脱モータにより離間することが可能である。下ベルトユニット41bにも熱源を備える場合がある。
【0027】
また、定着器40は、上下のベルトユニット41a,41bのニップ部へ記録紙Pを導くための搬送ガイド53と、定着器40の熱が外部へ放射されることを防ぐための上下のカバー51a,51bとを備える。更に、上下のベルトユニット41a,41bから排出されてきた記録紙Pを装置外部に導き出すための内排紙ローラ対50及び外排紙ローラ対94と、記録紙P積載する排紙トレイ93とを備える。定着器40は、ニップ部で記録紙Pを挟持搬送して記録紙上の画像を加熱定着する。
【0028】
次に、画像形成装置の動作について説明する。
【0029】
制御ユニット80内のCPU(不図示)により画像形成動作開始信号が発せられると、ユーザにより選択された記録紙サイズなどに応じて給紙ユニット20等から給紙する給紙動作を開始する。例えば、図1において、先ず、ピックアップローラ22によりカセット21aから記録紙Pが一枚ずつ送り出される。
【0030】
そして、給紙ローラ対23によって記録紙Pが給紙ガイド24の間を案内されてレジストローラ対25まで搬送される。そのとき、レジストローラ対25は回転駆動を停止しており、記録紙Pの先端はそのニップ部に突き当たる。その後、画像形成部10a〜10dが画像の形成を開始するタイミングに合わせてレジストローラ対25が回転を始める。記録紙Pと、画像形成部10a〜10dより中間転写ベルト31上に転写されたトナー画像とが二次転写領域Teにおいて一致するように、そのタイミングが設定されている。
【0031】
一方、画像形成動作開始信号が発せられると、上記プロセスにより中間転写ベルト31の回転方向の一番上流における感光体ドラム11d上に形成されたトナー画像が、一次転写用帯電器35dにより一次転写領域Tdの中間転写ベルト31に転写される。転写されたトナー像は次の一次転写領域Tcまで搬送される。そこでは各画像形成部間をトナー像が搬送される時間だけ遅延して画像形成が行われており、前画像の上にレジストを合わせて、その次のトナー像が転写される。
【0032】
以下も同様の工程が繰り返され、結局4色のトナー像が中間転写ベルト31上において転写される。その後、記録紙Pが二次転写領域Teに進入し、中間転写ベルト31に接触すると、記録紙Pの通過タイミングに合わせて二次転写ローラ36に高電圧を印加する。これにより、前述したプロセスにより中間転写ベルト31上に形成された4色のトナー画像が記録紙Pの表面に転写される。
【0033】
次に、記録紙Pは搬送ガイド53によって上ベルトユニット41a、下ベルトユニット41bのニップ部まで正確に案内される。そして、上ベルトユニット41a、下ベルトユニット41bの熱及びニップの圧力によってトナー画像が記録紙Pの表面に定着される。その後、内排紙ローラ対50及び外排紙ローラ対94により搬送され、記録紙Pは機外に排出され、排紙トレイ93に積載される。
【0034】
図2は、中間転写ベルトの駆動構成を示す図である。
【0035】
図2(a)において、中間転写ベルト31を駆動するための駆動ローラ32は、第1の駆動ローラ32a及び第2の駆動ローラ32bに分割して構成される。第1の駆動ローラ32aの軸には、第1の駆動ローラ32aの回転速度を検知するための第1の速度センサ37aが設けられている。また、第2の駆動ローラ32bの軸には、第2の駆動ローラ32bの回転速度を検知するための第2の速度センサ37bが設けられている。速度センサ37a及び37bは、ロータリーエンコーダで構成されている。
【0036】
第1のモータ39aは第1の駆動ローラ32aを駆動するためのモータであり、第2のモータ39bは第2の駆動ローラ32bを駆動するためのモータである。従動ローラ33は、中間転写ベルト31の回動に従動して回転する。
【0037】
中間転写ベルト31の幅方向における位置(寄り量)は、複数の発光部と受光部が中間転写ベルト31の搬送方向に直交する方向に並べて配置された寄り量センサ38で検知される。寄り量センサ38からの検知結果に基づき、基準位置からの中間転写ベルト31のずれ量が寄り量として検知され、この寄り量に基づき、第1の駆動ローラ32a及び第2の駆動ローラ32bの速度が制御される。
【0038】
第1の駆動ローラ32aによる中間転写ベルト31の送り出し方向Daと、第2の駆動ローラ32bによる中間転写ベルト31の送り出し方向Dbとが非平行となるように、各駆動ローラ32a及び32bが配置されている。図2に示されるように、いずれの駆動ローラの軸も中間転写ベルト31の搬送方向に直交する方向(幅方向)に対して角度θだけ傾けて設けられている。第1の駆動ローラ32a及び第2の駆動ローラ32bに角度をつけるのは、中間転写ベルト31を搬送する力と同時に、駆動ローラ軸に対して外側に寄せる力(寄り力)を発生させるためである。
【0039】
仮に、第1の駆動ローラ32aの回転速度Vaに対して第2の駆動ローラ32bの回転速度Vbを速くすると、第2の駆動ローラ32b側の寄り力が第1の駆動ローラ32a側の寄り力に対して大きくなる。このため、図2のB方向に中間転写ベルト31が寄っていくことになる。逆に、回転速度Vbに対して回転速度Vaを速くすると、第1の駆動ローラ32aの寄り力が第2の駆動ローラ32b側の寄り力に対して大きくなるため、図のA方向に中間転写ベルト31が寄っていくことになる。
【0040】
本実施形態では、中間転写ベルト31の搬送速度(プロセス速度)を246mm/sとする。中間転写ベルト31が図2のA方向に寄っている場合は、第1の駆動ローラ32aを244mm/sで、第2の駆動ローラ32bを246mm/sで回転させる。一方、中間転写ベルト31が図2のB方向に寄っている場合は、第1の駆動ローラ32aを246mm/sで、第2の駆動ローラ32bを244mm/sで回転させる。いずれの方向にも寄っていない場合は、第1の駆動ローラ32a及び第2の駆動ローラ32bのいずれも246mm/sで駆動する。
【0041】
このように、第1の駆動ローラ32a及び第2の駆動ローラ32bに速度差を与えることで、中間転写ベルト31に対して幅方向に寄り力を発生させ、中間転写ベルト31の寄り(蛇行)を補正することができる。
【0042】
なお、図2(b)に示されるように、第1の駆動ローラ32a及び第2の駆動ローラ32bは、それぞれ独立して、後述する第1の離間モータ39c及び第2の離間モータ39dにより中間転写ベルト31から離間する構成になっている。
【0043】
図3は、画像形成装置のブロック図である。
【0044】
制御ユニット80は、CPU81と、ROM82と、RAM83とを有する。CPU81は、画像形成装置全体を制御する制御回路である。ROM82には、画像形成装置で実行する各種処理を制御するための制御プログラムが格納されている。RAM83は、CPU81が動作するためのシステムワークメモリであり、また画像データを一時記憶するための画像メモリとしても機能する。操作部55には、ユーザが画像形成装置への操作入力を行うための各種キーと、タッチパネルディスプレイが設けられている。
【0045】
CPU81は、第1の速度センサ37a、第2の速度センサ37b、及び寄り量センサ38から受信する信号に基づいて、第1の搬送モータ39a及び第2の搬送モータ39bを制御する。また、第1の離間モータ39cは、第1の駆動ローラ32aを中間転写ベルト31から離間するためのモータであり、第2の離間モータ39dは、第2の駆動ローラ32bを中間転写ベルト31から離間するためのモータである。
【0046】
寄り量センサ38の検知結果に基づき、中間転写ベルト31の基準位置からの寄り量が所定量(本実施形態では5mm)以下であれば、寄り量が小さいため、各駆動ローラ32a及び32bに速度差を設けることで寄りを補正する。
【0047】
一方、装置内の部品の交換やジャム処理等で中間転写ベルト31の寄りが所定量(5mm)を超えてしまう可能性がある。寄り量が所定量(5mm)を超える場合、短時間で寄りを戻すためには各駆動ローラ32a及び32bに大きな速度差を設定する必要がある。大きな速度差を設定して寄りを補正しようとすると、中間転写ベルト31にしわができたり、損傷したりする。
【0048】
そこで、寄り量が所定量(5mm)を超える場合は、第1の離間モータ39c又は第2の離間モータ39dを駆動して、中間転写ベルト31が寄っている側の駆動ローラを中間転写ベルト31から離間する。このように制御することで、中間転写ベルト31は1つの駆動ローラのみから駆動を受けることになるため、2つの駆動ローラの速度差によるしわ等の発生を防止できる。すなわち、中間転写ベルト31の寄り量が大きい場合でも、しわにより画像不良を生じたり無端ベルトを損傷したりすることなく、短時間で寄りを補正することができる。
【0049】
図4は、画像形成装置の制御を示すフローチャートである。
【0050】
このフローチャートを実行するためのプログラムは、ROM82に記憶されており、CPU81により読み出されることにより実行される。
【0051】
まず、CPU81は、操作部55上のスタートキーをユーザが押下することによる画像形成要求がなされたかどうかを判断する(S401)。画像形成要求があった場合、CPU81は、第1のモータ39a及び第2のモータ39bを駆動して、第1の駆動ローラ32a及び第2の駆動ローラ32bの回転速度を246mm/sまで加速する(S402)。第1の駆動ローラ32a及び第2の駆動ローラ32bの回転速度の制御は、それぞれ第1の速度センサ37a及び第2の速度センサ37bからの検知信号を参照しながら実行される。
【0052】
次に、CPU81は、寄り量センサ38からの出力に基づき、中間転写ベルト31の寄りが発生しているかどうかを判断する(S403)。中間転写ベルト31の寄りが発生していると判断された場合、CPU81は、図5のフローチャートで後述する中間転写ベルト31の寄り制御を実行する(S404)。
【0053】
ステップS403で中間転写ベルト31の寄りが発生していないと判断された場合、又はステップS404で中間転写ベルト31の寄り制御が行われた場合、CPU81は、画像形成動作を終了するかどうかを判断する(S405)。ここでは、最終ページの画像形成が完了した場合に、CPU81は画像形成動作を終了すると判断する。
【0054】
ステップS405において、画像形成動作を終了しないと判断された場合は、前述のステップS403に戻る。画像形成動作を終了すると判断された場合は、CPU81は、第1のモータ39a及び第2のモータ39bの駆動を停止して、第1の駆動ローラ32a及び第2の駆動ローラ32bの回転を停止し(S406)、このフローを終了する。
【0055】
図5は、画像形成動作時における中間転写ベルトの寄り制御(蛇行補正制御)を示すフローチャートである。
【0056】
このフローチャートは、図4のステップS404に対応する処理である。また、このフローチャートを実行するためのプログラムは、ROM82に記憶されており、CPU81により読み出されることにより実行される。
【0057】
まず、CPU81は、寄り量センサ38からの出力に基づき、図2におけるA方向の寄りが発生しているかどうかを判断する(S501)。A方向の寄りが発生している場合は、CPU81は、第1の駆動ローラ32aの回転速度を244mm/sまで減速するよう、第1のモータ39aを制御する(S502)。
【0058】
次に、CPU81は、寄り量センサ38からの出力に基づき、基準位置からの寄り量が5mm以上であるかどうかを判断する(S503)。基準位置からの寄り量が5mm未満である場合は、後述のステップS505に進む。
【0059】
基準位置からの寄り量が5mm以上である場合は、CPU81は、第1の離間モータ39cを駆動して第1の駆動ローラ32aを中間転写ベルト31から離間する(S504)。これは、前述のように、しわにより画像不良を生じたり無端ベルトを損傷したりすることを防止するためである。
【0060】
次に、CPU81は、寄り量センサ38からの出力に基づき、基準位置からの寄り量が1mm未満に収まるまで待機する(S505)。基準位置からの寄り量が1mm未満に収まると、CPU81は、第1のモータ39aを駆動して、第1の駆動ローラ32aの回転速度を246mm/sまで加速する(S506)。
【0061】
その後、CPU81は、第1の駆動ローラ32aが中間転写ベルト31から離間しているかどうかを判断する(S507)。離間している場合は、CPU81は、第1の離間モータ39cを駆動して第1の駆動ローラ32aを中間転写ベルト31当接させ(S508)、図4のフローチャートのステップS405に進む。
【0062】
一方、ステップS501において、A方向ではなくB方向の寄りが発生していると判断された場合は、CPU81は、第2の駆動ローラ32bの回転速度を244mm/sまで減速するよう、第2のモータ39bを制御する(S509)。
【0063】
次に、CPU81は、寄り量センサ38からの出力に基づき、基準位置からの寄り量が5mm以上であるかどうかを判断する(S510)。基準位置からの寄り量が5mm未満である場合は、後述のステップS512に進む。
【0064】
基準位置からの寄り量が5mm以上である場合は、CPU81は、第2の離間モータ39dを駆動して第2の駆動ローラ32bを中間転写ベルト31から離間する(S511)。これは、前述のように、しわにより画像不良を生じたり無端ベルトを損傷したりすることを防止するためである。
【0065】
次に、CPU81は、寄り量センサ38からの出力に基づき、基準位置からの寄り量が1mm未満に収まるまで待機する(S512)。基準位置からの寄り量が1mm未満に収まると、CPU81は、第2のモータ39bを駆動して、第2の駆動ローラ32bの回転速度を246mm/sまで加速する(S513)。
【0066】
その後、CPU81は、第2の駆動ローラ32bが中間転写ベルト31から離間しているかどうかを判断する(S514)。離間している場合は、CPU81は、第2の離間モータ39dを駆動して第2の駆動ローラ32bを中間転写ベルト31当接させ(S515)、図4のフローチャートのステップS405に進む。
【0067】
なお、上記の説明では無端ベルトとして中間転写ベルトを例に挙げたが、定着ベルト及び記録紙搬送ベルト等の画像形成装置内に設けられるベルトについて、同様の蛇行補正制御を行っても構わない。このとき、いずれの無端ベルトの駆動についても、ベルト駆動装置としての制御ユニット80が制御するようにすればよい。
【0068】
また、本発明は第1の駆動ローラ32aの軸と第2の駆動ローラ32bの軸とを非平行にする構成に限られず、第1の駆動ローラ32a及び第2の駆動ローラ32bを円錐台形状にしてもよい。各駆動ローラ32a及び32bを円錐台形状にし、各駆動ローラ32a及び32bの中間転写ベルト31の送り出し方向を非平行にすることで、同様の効果を奏することができる。
【0069】
以上で説明したように、本実施形態では、第1の駆動ローラ32a及び第2の駆動ローラ32bのうち、中間転写ベルト31を寄らせる側とは反対側の駆動ローラを中間転写ベルト31から離間させる。このように制御することで、無端ベルトの寄り量が大きい場合でも、画像不良を生じたり無端ベルトを損傷したりすることなく、短時間で寄りを補正することができる。
【符号の説明】
【0070】
31 中間転写ベルト(無端ベルトに対応)
32a 第1の駆動ローラ
32b 第2の駆動ローラ
33 従動ローラ
37a 第1の速度センサ
37b 第2の速度センサ
38 寄り量センサ(検知手段に対応)
39a 第1の搬送モータ(第1の駆動手段に対応)
39b 第2の搬送モータ(第2の駆動手段に対応)
39c 第1の離間モータ(第1の離間手段に対応)
39d 第2の離間モータ(第2の離間手段に対応)
80 制御ユニット(ベルト駆動装置に対応)
81 CPU(制御手段に対応)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動される駆動ローラを含む複数のローラと、
前記複数のローラに張架される無端ベルトと、
前記駆動ローラを駆動することで前記無端ベルトを搬送する駆動手段と、
前記無端ベルトの搬送方向に直交する幅方向における前記無端ベルトの位置を検知する検知手段と、を有するベルト駆動装置において、
前記駆動ローラは、前記幅方向に並んで配置された第1の駆動ローラ及び第2の駆動ローラから構成され、
前記第1の駆動ローラを前記無端ベルトから離間させる第1の離間手段と、前記第2の駆動ローラを前記無端ベルトから離間させる第2の離間手段とを更に有し、
前記第1の駆動ローラ及び前記第2の駆動ローラのうち、前記無端ベルトが寄っている側の駆動ローラを前記無端ベルトから離間させるように前記第1の離間手段及び前記第2の離間手段を制御することで、前記幅方向における前記無端ベルトの位置を制御する制御手段と、
を有することを特徴とするベルト駆動装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記検知手段の検知結果に基づき、前記無端ベルトの基準位置からの寄り量が所定量以上の場合は、前記第1の駆動ローラ及び前記第2の駆動ローラのうち、前記無端ベルトが寄っている側の駆動ローラを前記無端ベルトから離間させるように前記第1の離間手段及び前記第2の離間手段を制御し、前記寄り量が所定量未満の場合は、前記第1の駆動ローラ及び前記第2の駆動ローラに速度差を与えることで、前記幅方向における前記無端ベルトの位置を制御することを特徴とする請求項1に記載のベルト駆動装置。
【請求項3】
前記第1の駆動ローラが前記無端ベルトを送り出す方向と、前記第2の駆動ローラが前記無端ベルトを送り出す方向とは非平行であり、
前記制御手段は、前記検知手段の検知結果に基づき、前記第1の駆動ローラ及び前記第2の駆動ローラに速度差を与えることで、前記幅方向における前記無端ベルトの位置を制御することを特徴とする請求項1に記載のベルト駆動装置。
【請求項4】
前記第1の駆動ローラ及び前記第2の駆動ローラは、それぞれ円錐台形状であることを特徴とする請求項1記載のベルト駆動装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のベルト駆動装置を有し、記録紙にトナー像を形成する画像形成装置において、
前記無端ベルトは、表面にトナー像が形成された感光体から当該トナー像が転写される中間転写ベルト、記録紙上に転写されたトナー像を加熱定着させる定着器に設けられた定着ベルト、又は記録紙を搬送する記録紙搬送ベルトであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−128117(P2012−128117A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278555(P2010−278555)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】