説明

ベンジルフェニルシクロヘキサン誘導体およびその使用方法

ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLTに対して阻害効果を有する化合物が提供される。本発明は、SGLT阻害によって影響される疾患および状態の治療用の医薬組成物、該化合物の製造方法、合成中間体、および独立の、または他の治療薬と組み合わせた該化合物の使用方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本出願は、2007年12月13日に出願された米国仮出願第61/013,517号の利益を主張するものであり、該出願の開示は参照することにより本明細書に援用される。
【0002】
連邦政府後援の研究開発の下で行われた発明の権利に関する声明
適用なし
【背景技術】
【0003】
発明の背景
世界保健機関によると、世界中でおよそ1億5000万人の人々が糖尿病を患っている。糖尿病には2つの主要な型があり、膵臓がインスリンを産生できない1型糖尿病、および産生されたインスリンに体が適切に反応できない(インスリン抵抗性)2型糖尿病である。全糖尿病症例の約90%を占める2型糖尿病が、はるかに一般的である。両方の型の糖尿病において、インスリン作用またはインスリンに対する適切な反応の欠如は、血清グルコースレベルの上昇(高血糖)をもたらす。糖尿病と関連する重篤な合併症には、網膜症(視力障害または盲目をもたらす)、心血管疾患、腎障害、神経障害、潰瘍および糖尿病性足部疾患が含まれる。
【0004】
1型糖尿病を患う個人は、現在、インスリン療法が必要である。2型糖尿病の多くの症例は、食事と運動で治療されうる一方で、薬物療法もしばしば必要である。2型糖尿病を患う患者の約3分の1が必要としているインスリンに加えて、現在の抗糖尿病治療は、ビグアナイド(肝臓内のグルコース産生を減少させ、インスリンに対する感受性を増加させる)、スルホニル尿素およびメグリチナイド(インスリン産生を刺激する)、αグルコシダーゼ阻害剤(デンプン吸収およびグルコース産生を遅延させる)、ならびにチアゾリジンジオン(インスリン感受性を増加させる)を含む。これらの医薬はしばしば組み合わせて用いられるが、その場合でも適切な血糖コントロールを提供し得ず、または所望でない副作用を生じうる。該副作用は、乳酸アシドーシス(ビグアナイド)、低血糖症(スルホニル尿素)、ならびに浮腫および体重増加(チアゾリジンジオン)を含む。それゆえ、血糖コントロールの改善を提供し、これらの有害作用をもたらさない新規の抗糖尿病薬が非常に望まれる。
【0005】
糖尿病および関連疾患の治療介入についての1つの有望な標的は、腎臓のグルコース輸送系である。細胞のグルコース輸送は、促進性(「受動性」)グルコース輸送体(GLUT)またはナトリウム依存性(「能動性」)グルコース共輸送体(SGLT)のいずれかによって行われる。SGLT1は主に消化管刷子縁において見られるのに対し、SGLT2は腎近位尿細管に局在しており、報告によれば腎臓によるグルコース再取り込みの大部分に関与する。最近の研究では、腎臓のSGLTの阻害が、尿中に排出されるグルコース量の増加によって、高血糖を治療する有用な方法となりうることが示唆されている(Arakawa K, et al., Br J Pharmacol 132:578-86, 2001; Oku A, et al., Diabetes 48:1794-1800, 1999)。この治療方法の可能性は、SGLT2遺伝子の突然変異が家族性腎性糖尿の症例において生じるという最近の発見によってさらに支持されているが、該家族性腎性糖尿は正常血清グルコースレベルを有し、一般的な腎機能障害または他の疾患がない状態での尿中グルコース排出によって特徴付けられる、見かけ上は良性の症候群である(Santer R, et al., J Am Soc Nephrol 14:2873-82, 2003)。それゆえ、SGLT、特にSGLT2を阻害する化合物は、抗糖尿病薬として用いられる有望な候補である。これまでに、SGLTの阻害に有用であると説明されている化合物は、シクロヘキサン誘導体(例えばWO2006011469に記載されている誘導体など)、C−グリコシド誘導体(例えばUS6414126、US20040138439、US20050209166、US20050233988、WO2005085237、US7094763、US20060009400、US20060019948、US20060035841、US20060122126およびWO2006108842に記載されている誘導体など)、O−グリコシド誘導体(例えばUS6683056、US20050187168、US20060166899、US20060234954、US20060247179およびUS20070185197に記載されている誘導体など)、スピロケタール−グリコシド誘導体(WO2006080421に記載されている誘導体)、ならびにチオ−グルコピラノシド誘導体(例えばUS20050209309およびWO2006073197に記載されている誘導体など)を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLTに対して阻害効果を有する化合物を提供する。本発明は、SGLT阻害によって影響される疾患および状態の治療用の医薬組成物、該化合物の製造方法、合成中間体、および独立の、または他の治療薬と組み合わせた該化合物の使用方法も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1〜2は、本発明の化合物についての一般的合成スキームを提供する。
【図2】図1〜2は、本発明の化合物についての一般的合成スキームを提供する。
【0008】
【図3】図3〜8は、下記の実施例の化合物についてのより具体的な合成スキームを提供する。
【図4】図3〜8は、下記の実施例の化合物についてのより具体的な合成スキームを提供する。
【図5】図3〜8は、下記の実施例の化合物についてのより具体的な合成スキームを提供する。
【図6】図3〜8は、下記の実施例の化合物についてのより具体的な合成スキームを提供する。
【図7】図3〜8は、下記の実施例の化合物についてのより具体的な合成スキームを提供する。
【図8】図3〜8は、下記の実施例の化合物についてのより具体的な合成スキームを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な記載
定義
本明細書で用いられている用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードから選択される一価のハロゲンラジカルまたは原子を意味する。好ましいハロ基は、フルオロ、クロロおよびブロモである。
【0010】
本明細書で用いられている用語「適切な置換基」は、化学的かつ医薬的に許容される基、すなわち本発明の化合物の製造を有意に妨げることなく、また本発明の化合物の有効性を打ち消すことのない基を意味する。該適切な置換基は、通常、当業者によって選択されてよい。該適切な置換基は、ハロ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルコキシ、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルケニル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルケニル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルコキシ、C−Cヘテロシクロアルキル、(C−Cヘテロシクロアルキル)C−Cアルキル、(C−Cヘテロシクロアルキル)C−Cアルケニル、(C−Cヘテロシクロアルキル)C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、オキソ、スルファニル、C−Cアルキルスルファニル、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキル、ヘテロアラルキル、アラルコキシ、ヘテロアラルコキシ、ニトロ、シアノ、アミノ、C−Cアルキルアミノ、ジ−(C−Cアルキル)アミノ、カルバモイル、(C−Cアルキル)カルボニル、(C−Cアルコキシ)カルボニル、(C−Cアルキル)アミノカルボニル、ジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニル、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、(C−Cアルキル)スルホニル、およびアリールスルホニルからなる群から選択されてよい。適切な置換基としての上記の基は下記で定義されるが、ただし該適切な置換基はさらに任意に置換され得ないものとする。
【0011】
本明細書で単独または組み合わせにて用いられている用語「アルキル」は、特に示さない限り、表示された数の炭素原子を有する一価の飽和脂肪族炭化水素ラジカルを指す。該ラジカルは直鎖状または分枝鎖状であってよく、特に示す場合には、上記で定義した1〜3個の適切な置換基で任意に置換されている。アルキル基の実例は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、アミル、sec−ブチル、tert−ブチル、tert−ペンチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどを含み、これらに限定されない。好ましいアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピルおよびイソプロピルを含む。好ましい任意の適切な置換基は、ハロ、メトキシ、エトキシ、シアノ、ニトロおよびアミノを含む。
【0012】
本明細書で単独または組み合わせにて用いられている用語「アルケニル」は、特に示さない限り、表示された数の炭素原子および少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する一価の脂肪族炭化水素ラジカルを指す。該ラジカルはEまたはZ型の直鎖状または分枝鎖状であってよく、特に示す場合には、上記で定義した1〜3個の適切な置換基で任意に置換されている。アルケニル基の実例は、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブテニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、4−メチル−2−ペンテニル、1,3−ペンタジエニル、2,4−ペンタジエニル、1,3−ブタジエニルなどを含み、これらに限定されない。好ましいアルケニル基は、ビニル、1−プロペニルおよび2−プロペニルを含む。好ましい任意の適切な置換基は、ハロ、メトキシ、エトキシ、シアノ、ニトロおよびアミノを含む。
【0013】
本明細書で単独または組み合わせにて用いられている用語「アルキニル」は、特に示さない限り、表示された数の炭素原子および少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する一価の脂肪族炭化水素ラジカルを指す。該ラジカルは直鎖状または分枝鎖状であってよく、特に示す場合には、上記で定義した1〜3個の適切な置換基で任意に置換されている。アルキニル基の実例は、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ペンチニル、3−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニルなどを含み、これらに限定されない。好ましいアルキニル基は、エチニル、1−プロピニルおよび2−プロピニルを含む。好ましい任意の適切な置換基は、ハロ、メトキシ、エトキシ、シアノ、ニトロおよびアミノを含む。
【0014】
本明細書で単独または組み合わせにて用いられている用語「シクロアルキル」は、特に示さない限り、炭素環を形成する3個以上の炭素を有する一価の脂環式飽和炭化水素ラジカルを指し、特に示す場合には、上記で定義した1〜3個の適切な置換基で任意に置換されている。シクロアルキル基の実例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニルなどを含み、これらに限定されない。好ましい任意の適切な置換基は、ハロ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、シアノ、ニトロおよびアミノを含む。
【0015】
本明細書で単独または組み合わせにて用いられている用語「シクロアルケニル」は、特に示さない限り、炭素環を形成する3個以上の炭素および少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する一価の脂環式炭化水素ラジカルを指し、特に示す場合には、上記で定義した1〜3個の適切な置換基で任意に置換されている。シクロアルケニル基の実例は、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどを含み、これらに限定されない。好ましい任意の適切な置換基は、ハロ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、シアノ、ニトロおよびアミノを含む。
【0016】
本明細書で用いられている用語「アルキレン」、「アルケニレン」、「シクロアルキレン」および「シクロアルケニレン」は、特に示さない限り、それぞれ上記で定義したアルキル、アルケニル、シクロアルキルまたはシクロアルケニルラジカルからの水素原子の除去によって形成される二価の炭化水素ラジカルを指す。
【0017】
本明細書で用いられている用語「(C−C10シクロアルキレン)(C−Cアルキレン)」は、上記で定義したC−C10シクロアルキレンラジカルとC−Cアルキレンラジカルの結合によって形成される二価の炭化水素ラジカルを指す。
【0018】
本明細書で単独または組み合わせにて用いられている用語「アリール」は、特に示さない限り、炭素環を形成する6〜10個の炭素原子を有する一価の芳香族炭化水素ラジカルを指し、特に示す場合には、上記で定義した1〜3個の適切な置換基で任意に置換されている。アリール基の実例は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニルなどを含み、これらに限定されない。好ましいアリール基はフェニルおよびナフチルであり、ハロ、シアノ、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C−Cアルコキシ、ジフルオロメトキシおよびトリフルオロメトキシから選択される同一のまたは異なる適切な置換基によって任意に一置換または二置換されている。
【0019】
本明細書で単独または組み合わせにて用いられている用語「ヘテロシクロアルキル」は、特に示さない限り、上記で定義したシクロアルキル基であって、環内の1個以上の炭素がN、SおよびOから選択されるヘテロ原子によって置き換えられている基を指す。ヘテロシクロアルキル基の実例は、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニルなどを含み、これらに限定されない。
【0020】
本明細書で単独または組み合わせにて用いられている用語「ヘテロアリール」は、特に示さない限り、5〜10員の単環式または縮合二環式環を形成する2〜9個の炭素ならびにN、SおよびOから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する一価の芳香族ヘテロ環ラジカルを指し、特に示す場合には、上記で定義した1〜3個の適切な置換基で任意に置換されている。ヘテロアリール基の実例は、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ベンゾトリアジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、イソベンゾフリル、イソインドリル、インドリジニル、チエノピリジニル、チエノピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、イミダゾピリジン、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、インダゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピロリル、チアゾリル、フリル、チエニルなどを含み、これらに限定されない。5または6員の単環式ヘテロアリール環は:ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピロリル、チアゾリル、フリル、チエニルなどを含む。1〜4個のヘテロ原子を有する8〜10員の二環式ヘテロアリール環は:キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ベンゾトリアジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、イソベンゾフリル、イソインドリル、インドリジニル、チエノピリジニル、チエノピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、イミダゾピリジニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、インダゾリルなどを含む。好ましい任意の適切な置換基は、ハロ、シアノ、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C−Cアルコキシ、ジフルオロメトキシおよびトリフルオロメトキシから選択される1または2個の同一のまたは異なる置換基を含む。
【0021】
本明細書で単独または組み合わせにて用いられている用語「アルコキシ」および「アルキルオキシ」は、特に示さない限り、アルキル−O−の形態の脂肪族ラジカルを指すが、該アルキルは上記で定義した通りである。アルコキシ基の実例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、第3級ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、第3級ペントキシ、ヘキソキシ、イソヘキソキシ、ヘプトキシ、オクトキシなどを含み、これらに限定されない。好ましいアルコキシ基は、メトキシおよびエトキシを含む。
【0022】
本明細書で用いられている用語「ハロアルキル」は、特に示さない限り、1個以上のハロゲンで置換されている上記のアルキルラジカルを指す。ハロアルキル基の実例は、クロロメチル、ジクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリクロロエチルなどを含み、これらに限定されない。
【0023】
本明細書で用いられている用語「ハロアルコキシ」は、特に示さない限り、1個以上のハロゲンで置換されている上記のアルコキシラジカルを指す。ハロアルコキシ基の実例は、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシなどを含み、これらに限定されない。
【0024】
本明細書で用いられている用語「アラルキル」は、特に示さない限り、上記のアリール基で置換されている上記の1〜6個の炭素を有するアルキルラジカルを指す。
【0025】
本明細書で用いられている用語「ヘテロアラルキル」は、特に示さない限り、上記のヘテロアリール基で置換されている上記の1〜6個の炭素を有するアルキルラジカルを指す。
【0026】
本明細書で用いられている用語「アラルコキシ」は、特に示さない限り、上記のアリール基で置換されている上記の1〜6個の炭素を有するアルコキシラジカルを指す。
【0027】
本明細書で用いられている用語「ヘテロアラルコキシ」は、特に示さない限り、上記のヘテロアリール基で置換されている上記の1〜6個の炭素を有するアルコキシラジカルを指す。
【0028】
本明細書で用いられている用語「カルバモイル」は、特に示さない限り、−C(O)NH(R)の形態の一価のラジカルを指すが、ここでRは水素、上記で用語を定義したC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、またはアリールである。
【0029】
本明細書で単独または組み合わせにて用いられている用語「ジ−(C−Cアルキル)アミノ」および「ジ−(C−Cアルキル)アミノ」は、特に示さない限り、それぞれC−CアルキルまたはC−Cアルキルから独立して選択される2個の基で置換されているアミノ基を指す。
【0030】
本明細書で用いられている用語「治療すること」および「治療」は、該用語を適用している疾患もしくは状態、または該疾患もしくは該状態の1つ以上の症状の発症を遅延させ、その進行を遅延もしくは停止させ、またはそれらを緩和もしくは予防することを指す。
【0031】
本明細書で用いられている用語「投与すること」は、対象に対する経口投与、坐剤としての投与、局所的接触、静脈内、腹腔内、筋肉内、病巣内、鼻腔内もしくは皮下投与、またはミニ浸透圧ポンプなどの持続放出装置の埋め込みを意味する。投与はいずれかの経路によってなされ、非経口、および経粘膜的(例えば、経口、経鼻、膣内、直腸内、または経皮)投与を含む。非経口投与は、例えば、静脈内、筋肉内、細動脈内、皮内、皮下、腹腔内、心室内、および頭蓋内投与を含む。他の送達様式は、リポソーム製剤、静脈内注入、経皮パッチなどの使用を含み、これらに限定されない。
【0032】
本明細書で用いられている用語「プロドラッグ」は、投与後、いくつかの化学的または生理的プロセス(例えば、プロドラッグが、生理的pHへの到達、または酵素作用を通じて生物活性化合物へ変化させられるなど)を通じてインビボで生物活性化合物を放出する前駆体化合物を指す。プロドラッグ自体は、所望の生物活性を欠如していても有していてもよい。
【0033】
本明細書で用いられている用語「化合物」は、インビトロ合成またはインサイツもしくはインビボ産生などを含み、これらに限定されないいずれかの方法によって生じる分子を指す。
【0034】
用語「制御放出」、「持続放出(sustained release)」、「持続放出(extended release)」、および「持続放出(timed release)」は、薬物の放出が即時的ではない任意の薬物含有製剤を互換的に指すことを意図し、「制御放出」製剤については、経口投与が吸収プールへの薬物の即時放出をもたらさないことを意図する。該用語は、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Ed., Gennaro, Ed., Lippencott Williams & Wilkins (2003)」にて定義されている「非即時放出」と互換的に用いられている。該文献にて考察されているように、即時および非即時放出は、下記の式を参照することによって動力学的に定義されうる:
【数1】

【0035】
「吸収プール」は、特定の吸収部位にある投与された薬物の溶液を表し、k、kおよびkはそれぞれ(1)製剤からの薬物の放出、(2)吸収、および(3)排出についての一次速度定数である。即時放出剤形については、薬物放出についての速度定数kは吸収速度定数kよりもはるかに大きい。制御放出製剤については、反対、すなわち、k<<kであり、それゆえ剤形からの薬物放出速度が標的部位への薬物の送達における律速段階である。
【0036】
用語「持続放出(sustained release)」および「持続放出(extended release)」は、これらの通常の意味で用いられており、薬物の長時間の、例えば12時間以上にわたるゆっくりとした放出を提供し、必ずしもそうなるわけではないが、好ましくは、長時間にわたって実質的に一定の薬物の血液レベルをもたらす製剤を指す。
【0037】
本明細書で用いられている用語「遅延放出」は、胃を未変化で通過し、小腸で溶解する医薬製剤を指す。
【0038】
概要
本発明は、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT、好ましくはSGLT2に対する阻害効果を有する化合物を提供する。本発明のいくつかの化合物は、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT1に対する阻害効果も有する。本発明の化合物は、SGLTを阻害するこれらの能力のために、SGLT活性、特にSGLT2活性の阻害によって影響されるありとあらゆる状態および疾患の治療および/または予防に適切である。それゆえ、本発明の化合物は、疾患および状態、特に、1型および2型糖尿病、高血糖、糖尿病性合併症(網膜症、腎障害[例えば、進行性腎疾患]、神経障害、潰瘍、微小血管障害および大血管障害、ならびに糖尿病性足部疾患など)、インスリン抵抗性、代謝症候群(シンドロームX)、高インスリン血症、高血圧症、高尿酸血症、肥満症、浮腫、脂質異常症、慢性心不全、アテローム性動脈硬化症ならびに関連疾患を含み、これらに限定されない代謝障害の予防および治療に適切である。
【0039】
本発明は、本発明の化合物の医薬的に許容される塩およびプロドラッグも提供する。
【0040】
本発明は、本発明の化合物もしくは化合物の混合物、またはその医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの有効量を、医薬的に許容される担体中に含む医薬組成物をさらに提供する。
【0041】
本発明は、本発明の化合物の合成中間体および製造方法をさらに提供する。
【0042】
本発明は、SGLT阻害によって影響されうる疾患および状態の治療用の、独立の、または他の治療薬と組み合わせた本発明の化合物の使用方法も提供する。
【0043】
本発明は、SGLT阻害によって影響されうる疾患および状態の治療用薬剤の製造用の本発明の化合物の使用方法も提供する。
【0044】
詳細な実施態様
化合物および製造方法
1つの態様では、本発明は式I:
【化1】


[式中、
【0045】
Aは酸素;NH;メチレン;または単結合を表し;
【0046】
Qは下記の式Q〜Q
【化2】

[式中、波線は分子の残部と結合する位置を表す]の1つから選択され;
【0047】
Zは酸素;硫黄;SO;SO;1,1−シクロプロピレン;カルボニル;またはメチレンを表し、該メチレンはハロ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−CシクロアルキルおよびC−Cシクロアルキルオキシから独立して選択される1〜2個の置換基で任意に置換されており;
【0048】
、RおよびRは各々独立して水素、ハロ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10シクロアルキル、C−C10シクロアルケニル、C−Cアルキルオキシ、C−C10シクロアルキルオキシ、シアノ、アミノもしくはニトロを表し、該アルキル、該アルケニル、該アルキニル、該シクロアルキルおよび該シクロアルケニル基もしくは部分は任意に部分的もしくは完全にフッ素化されていてよく、かつ、塩素、ヒドロキシ、C−CアルコキシおよびC−Cアルキルから選択される同一のもしくは異なる置換基によって一置換もしくは二置換されていてよく、かつ、該シクロアルキルおよび該シクロアルケニル基もしくは部分において、1もしくは2個のメチレン基はNR、O、S、CO、SOもしくはSOによって互いに独立して任意に置き換えられており、かつ、1もしくは2個のメチン基はNによって任意に置き換えられていてよく、または、
【0049】
およびRがフェニル環の2個の隣接するC原子に結合している場合、RおよびRは結合してC−Cアルキレン、C−Cアルケニレンもしくはブタジエニレンブリッジを形成してよく、これらは部分的もしくは完全にフッ素化されていてよく、かつ、塩素、ヒドロキシ、C−CアルコキシおよびC−Cアルキルから選択される同一のもしくは異なる置換基によって一置換もしくは二置換されていてよく、かつ、1もしくは2個のメチレン基はO、S、CO、SO、SOもしくはNRによって互いに独立して任意に置き換えられており、かつ、1もしくは2個のメチン基はNによって任意に置き換えられていてよく;
【0050】
は独立して水素、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10シクロアルキル、C−C10シクロアルケニル、C−Cアルキルオキシ、C−C10シクロアルキルオキシ、(C−Cアルキルオキシ)C−Cアルキルオキシ、C−Cシクロアルケニルオキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(C−Cアルケニル)C−Cアルキルオキシ、(C−Cアルキニル)C−Cアルキルオキシ、(アリール)C−Cアルキルオキシ、(ヘテロアリール)C−Cアルキルオキシ、(C−C10シクロアルキル)C−Cアルキル、(C−C10シクロアルキル)C−Cアルキルオキシ、(C−C10シクロアルケニル)C−Cアルキル、(C−C10シクロアルケニル)C−Cアルキルオキシ、(C−Cアルキルオキシ)C−Cアルキル、(C−Cシクロアルキルオキシ)C−Cアルキル、(C−Cシクロアルキルオキシ)C−Cアルケニル、(C−Cシクロアルキルオキシ)C−Cアルキニル、(C−Cシクロアルキルオキシ)C−Cアルキルオキシ、(C−Cアルキルアミノ)C−Cアルキル、ジ−(C−Cアルキルアミノ)C−Cアルキル、トリ−(C−Cアルキル)シリル−C−Cアルキル、トリ−(C−Cアルキル)シリル−C−Cアルケニル、トリ−(C−Cアルキル)シリル−C−Cアルキニル、トリ−(C−Cアルキル)シリル−C−Cアルキルオキシ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルケニル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルケニルオキシ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキニルオキシ、(C−Cシクロアルケニル)C−Cアルケニルオキシ、(C−Cシクロアルケニル)C−Cアルキニルオキシ、C−Cシクロアルキリデンメチル、(C−Cアルキル)カルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、(C−Cアルキル)アミノカルボニル、ジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニル、ヒドロキシカルボニル、(C−Cアルキルオキシ)カルボニル、C−Cアルキルアミノ、ジ−(C−Cアルキル)アミノ、(C−Cアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C−Cアルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、C−Cアルキルスルファニル、C−Cアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、C−C10シクロアルキルスルファニル、C−C10シクロアルキルスルフィニル、C−C10シクロアルキルスルホニル、C−C10シクロアルケニルスルファニル、C−C10シクロアルケニルスルフィニル、C−C10シクロアルケニルスルホニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニルまたはアリールスルホニルを表し、該アルキル、該アルケニル、該アルキニル、該シクロアルキルおよび該シクロアルケニル基または部分は任意に部分的または完全にフッ素化されていてよく、かつ、塩素、ヒドロキシ、C−CアルコキシおよびC−Cアルキルから選択される同一のまたは異なる置換基によって一置換または二置換されていてよく、かつ、該シクロアルキルおよび該シクロアルケニル基または部分において、1または2個のメチレン基はNR、O、S、CO、SOまたはSOによって互いに独立して任意に置き換えられており、かつ、1または2個のメチン基はNによって任意に置き換えられていてよく;
【0051】
およびRは各々独立して水素、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10シクロアルキル、C−CアルキルオキシもしくはC−C10シクロアルキルオキシを表し、該アルキル、該アルケニル、該アルキニル、該シクロアルキルおよび該シクロアルケニル基もしくは部分は任意に部分的もしくは完全にフッ素化されていてよく、かつ、塩素、ヒドロキシ、C−CアルコキシおよびC−Cアルキルから選択される同一のもしくは異なる置換基によって一置換もしくは二置換されていてよく、かつ、該シクロアルキルおよび該シクロアルケニル基もしくは部分において、1もしくは2個のメチレン基はNR、O、S、CO、SOもしくはSOによって互いに独立して任意に置き換えられており、かつ、1もしくは2個のメチン基はNによって任意に置き換えられていてよく、または、
【0052】
およびRがフェニル環の2個の隣接するC原子に結合している場合、RおよびRは任意に結合してC−Cアルキレン、C−Cアルケニレンもしくはブタジエニレンブリッジを形成してよく、これらは部分的もしくは完全にフッ素化されていてよく、かつ、塩素、ヒドロキシ、C−CアルコキシおよびC−Cアルキルから選択される同一のもしくは異なる置換基によって一置換もしくは二置換されていてよく、かつ、1もしくは2個のメチレン基はO、S、CO、SO、SOもしくはNRによって互いに独立して任意に置き換えられており、かつ、1もしくは2個のメチン基はNによって置き換えられていてよく;
【0053】
、R、RおよびR10は各々独立してヒドロキシ、(C−C18アルキル)カルボニルオキシ、(C−C18アルキル)オキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリール−(C−Cアルキル)カルボニルオキシ、(C−C10シクロアルキル)カルボニルオキシ、水素、ハロ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、(C−C10シクロアルキル)C−Cアルキル、(C−Cシクロアルケニル)C−Cアルキル、(アリール)C−Cアルキル、(ヘテロアリール)C−Cアルキル、C−Cアルキルオキシ、C−Cアルケニルオキシ、C−Cアルキニルオキシ、C−Cシクロアルキルオキシ、C−Cシクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキルオキシ、(C−Cシクロアルケニル)C−Cアルキルオキシ、(アリール)C−Cアルキルオキシ、(ヘテロアリール)C−Cアルキルオキシ、アミノカルボニル、ヒドロキシカルボニル、(C−Cアルキル)アミノカルボニル、ジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニル、(C−Cアルキルオキシ)カルボニル、(アミノカルボニル)C−Cアルキル、(C−Cアルキル)アミノカルボニル−(C−C)アルキル、ジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニル−(C−C)アルキル、(ヒドロキシカルボニル)C−Cアルキル、(C−Cアルキルオキシ)カルボニル−(C−C)アルキル、(C−Cシクロアルキルオキシ)C−Cアルキル、(C−Cシクロアルケニルオキシ)C−Cアルキル、(アリールオキシ)C−Cアルキル、(ヘテロアリールオキシ)C−Cアルキル、C−Cアルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、(アリール)C−Cアルキルスルホニルオキシ、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ、またはシアノを表し;該アルキル、該アルケニル、該アルキニル、該シクロアルキルおよび該シクロアルケニル基または部分は任意に部分的または完全にフッ素化されていてよく、かつ、塩素、ヒドロキシ、C−CアルコキシおよびC−Cアルキルから選択される同一のまたは異なる置換基によって一置換または二置換されていてよく、かつ、該シクロアルキルおよび該シクロアルケニル基または部分において、1または2個のメチレン基はNR、O、S、CO、SOまたはSOによって互いに独立して任意に置き換えられており;
【0054】
かつ、任意に、R10およびR11は各々が結合している炭素原子と一緒になって5〜7員の縮合シクロアルカンまたはシクロアルケン環を形成し得、該環は任意に部分的または完全にフッ素化されており、かつ、塩素、ヒドロキシ、C−CアルコキシおよびC−Cアルキルから選択される同一のまたは異なる置換基によって一置換または二置換されていてよく、かつ、該シクロアルキルおよびシクロアルケニル環において、1または2個のメチレン基はNR、O、S、CO、SOまたはSOによって互いに独立して任意に置き換えられており;
【0055】
11およびR12は各々独立して水素、ヒドロキシ、ハロ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10シクロアルキル、C−Cアルキルオキシ、C−Cアルケニルオキシ、C−CアルキニルオキシもしくはC−Cシクロアルキルオキシを表し、該アルキル、該アルケニル、該アルキニルおよび該シクロアルキル基もしくは部分は任意に部分的もしくは完全にフッ素化されていてよく、または、
【0056】
11およびR12はそれらが結合している炭素原子と任意に一緒になってC−Cスピロシクロアルカン環を形成してよく、任意に部分的もしくは完全にフッ素化されていてよく、かつ、塩素、ヒドロキシ、C−CアルコキシおよびC−Cアルキルから選択される同一のもしくは異なる置換基によって一置換もしくは二置換されていてよく;
【0057】
QがQであり、かつ、R11およびR12が共に水素である場合、R10もしくはR14の少なくとも1つはハロであり、もしくはR13は水素以外であり、またはRはC−Cアルキニル、C−C10シクロアルキルオキシ、C−Cシクロアルケニルオキシ、(C−C10シクロアルキル)C−Cアルキルオキシ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルケニルオキシ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキニルオキシ、(C−C10シクロアルケニル)C−Cアルキルオキシ、(C−Cシクロアルケニル)C−Cアルケニルオキシもしくは(C−Cシクロアルケニル)C−Cアルキニルオキシであり、または、
【0058】
QがQであり、かつ、R11が水素である場合、少なくともR10はハロであり、またはRはC−Cアルキニル、C−C10シクロアルキルオキシ、C−Cシクロアルケニルオキシ、(C−C10シクロアルキル)C−Cアルキルオキシ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルケニルオキシ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキニルオキシ、(C−C10シクロアルケニル)C−Cアルキルオキシ、(C−Cシクロアルケニル)C−Cアルケニルオキシもしくは(C−Cシクロアルケニル)C−Cアルキニルオキシであり、または、
【0059】
QがQであり、かつ、R11が水素である場合、少なくともR10はハロであり、もしくはR13は水素以外であり、またはRはC−Cアルキニル、C−C10シクロアルキルオキシ、C−Cシクロアルケニルオキシ、(C−C10シクロアルキル)C−Cアルキルオキシ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルケニルオキシ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキニルオキシ、(C−C10シクロアルケニル)C−Cアルキルオキシ、(C−Cシクロアルケニル)C−Cアルケニルオキシもしくは(C−Cシクロアルケニル)C−Cアルキニルオキシであり;
【0060】
13およびR14は各々独立して水素、ヒドロキシ、ハロ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10シクロアルキル、C−Cアルキルオキシ、C−Cアルケニルオキシ、C−CアルキニルオキシまたはC−Cシクロアルキルオキシを表し、該アルキル、該アルケニル、該アルキニルおよび該シクロアルキル基または部分は任意に部分的または完全にフッ素化されていてよく;
【0061】
15は独立して酸素またはCRを表し;
【0062】
は独立して水素、C−Cアルキルまたは(C−Cアルキル)カルボニルを表し、該アルキル基または部分は任意に部分的または完全にフッ素化されていてよく;かつ、
【0063】
およびRは各々独立して水素、ハロまたはC−Cアルキルを表し、該アルキル基は任意に部分的または完全にフッ素化されていてよい]
の化合物を提供する。
【0064】
フェニル基上の置換基の結合がフェニル環の中心付近で途切れている上記および下記で用いられている様式は、特に示さない限り、この置換基が水素原子を有するフェニル基の任意の位置に結合してよいことを意味する。
【0065】
本発明は、混合物または純粋もしくは実質的に純粋な形態にある式Iの化合物の全ての互変異性体および立体異性体を含む。本発明の化合物は炭素原子で不斉中心を有し得、それゆえ式Iの化合物はジアステレオマーもしくはエナンチオマー形態またはその混合物にて存在しうる。全ての立体配座異性体(例えば、シスおよびトランス異性体)ならびに全ての光学異性体(例えば、エナンチオマーおよびジアステレオマー)、該異性体のラセミ、ジアステレオマーならびに他の混合物、ならびに溶媒和物、水和物、同形体、多形体ならびに互変異性体は、本発明の範囲内に含まれる。本発明の化合物は、出発物質としてジアステレオマー、エナンチオマーまたはラセミ混合物を用いて製造されうる。さらに、ジアステレオマーおよびエナンチオマー生成物は、クロマトグラフィー、分別結晶法または当業者に周知の他の方法によって分離されうる。
【0066】
本発明は、式Iの化合物のプロドラッグも提供する。本発明の化合物のプロドラッグは、カルボン酸エステル、炭酸エステル、ヘミ−エステル、リンエステル(phosphorus esters)、ニトロエステル(nitro esters)、硫酸エステル、スルホキシド、アミド、カルバミン酸エステル、アゾ化合物、ホスファミド、グリコシド、エーテル、アセタール、およびケタールを含み、これらに限定されない。プロドラッグエステルおよび炭酸エステルは、例えば、当業者に周知の方法を用いて、式Iの化合物の1個以上のヒドロキシル基を、アルキル、アルコキシまたはアリール置換アシル化試薬と反応させることによって形成され得、炭酸メチル、酢酸エステル、安息香酸エステル、ピバル酸エステルなどが生成する。本発明の化合物のプロドラッグエステルの実例は、カルボキシル基を有する式Iの化合物であり、該カルボキシル基の遊離水素がC−Cアルキル、C−Cアルカノイルオキシメチル、1−((C−C)アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C−C)アルカノイルオキシ)−エチル、C−Cアルコキシカルボニルオキシメチル、1−((C−C)アルコキシカルボニルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C−C)アルコキシカルボニルオキシ)エチル、N−((C−C)アルコキシカルボニル)アミノメチル、1−(N−((C−C)アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3−フタリジル、4−クロトノラクトニル、γ−ブチロラクトン−4−イル、ジ−N,N−(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル(例えば、β−ジメチルアミノエチル)、カルバモイル−(C−C)アルキル、N,N−ジ(C−C)アルキルカルバモイル−(C−C)アルキルおよびピペリジノ−、ピロリジノ−またはモルホリノ(C−C)アルキルによって置き換えられている化合物を含み、これらに限定されない。オリゴペプチド修飾および生分解性ポリマー誘導体(例えば、「Int. J. Pharm. 115, 61-67, 1995」に記載されている誘導体など)は、本発明の範囲内に含まれる。適切なプロドラッグを選択し、製造する方法は、例えば下記の文献に提供されている:T. Higuchi and V. Stella, "Prodrugs as Novel Delivery Systems," Vol. 14, ACS Symposium Series, 1975; H. Bundgaard, "Design of Prodrugs," Elsevier, 1985; および"Bioreversible Carriers in Drug Design," ed. Edward Roche, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987。
【0067】
本発明は、式Iの化合物の医薬的に許容される塩およびそのプロドラッグも提供する。本発明の塩基性化合物の医薬的に許容される酸付加塩を製造する試薬として用いられうる酸は、無毒性酸付加塩、すなわち、薬理学的に許容されるアニオンを含む塩(塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、過リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、過クエン酸塩、酒石酸塩、酒石酸水素塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、糖酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩(1,1'−メチレン−ビス−2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸塩)など)を形成する酸である。本発明の酸性化合物の医薬的に許容される塩基性塩を製造する試薬として用いられうる塩基は、該化合物と無毒性塩基性塩、例えばアルカリ金属カチオン(カリウム、リチウムおよびナトリウムなど)ならびにアルカリ土類金属カチオン(カルシウムおよびマグネシウムなど)などの薬理学的に許容されるカチオン由来の塩、アンモニウムまたはN−メチルグルカミン(メグルミン)などの水溶性アミン付加塩、ならびに低級アルカノールアンモニウムならびに他の医薬的に許容される有機アミン(例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミン、t−ブチルアミン、t−オクチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ヒドロキシエチルアミン、モルホリン、ピペラジン、デヒドロアビエチルアミン、リジンおよびグアニジン)の塩基性塩を含み、これらに限定されない無毒性塩基性塩を形成する塩基である。
【0068】
本発明は、1個以上の原子が特定の原子質量または質量数を有する1個以上の原子によって置き換えられている同位体標識された式Iの化合物も含む。本発明の化合物に組み込まれうる同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、フッ素、硫黄、および塩素の同位体(H、H、13C、14C、15N、18O、17O、18F、35Sおよび36Clなど)を含み、これらに限定されない。同位体標識された式Iの化合物およびそのプロドラッグ、ならびに同位体標識された式Iの化合物の医薬的に許容される塩およびそのプロドラッグは、本発明の範囲内に含まれる。同位体標識された本発明の化合物は、化合物およびそれらのプロドラッグならびに代謝物の組織分布のアッセイにおいて有用である;該アッセイ用に好ましい同位体は、Hおよび14Cを含む。さらに、ある特定の状況では、重水素(H)などのより重い同位体での置換は、代謝安定性の増加を提供しうるが、これはインビボでの半減期の増加または必要用量の減少などの治療上の利点を提供する。同位体標識された本発明の化合物およびそのプロドラッグは、一般的に本明細書で記載されている方法に従って製造され得、同位体標識された試薬を同位体標識されていない試薬の代わりに用いることによって製造されうる。
【0069】
好ましい実施態様では、Aは酸素または単結合を表す。特に好ましい実施態様では、Aは単結合を表す。
【0070】
好ましい実施態様では、Zは酸素、硫黄、またはメチレンを表し、該メチレンはハロ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−CシクロアルキルおよびC−Cシクロアルキルオキシから独立して選択される1〜2個の置換基で任意に置換されている。特に好ましい実施態様では、Zはメチレンを表す。
【0071】
好ましい実施態様では、R、RおよびRは各々独立して水素、ハロ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10シクロアルキル、C−Cアルキルオキシ、またはシアノを表す。特に好ましい実施態様では、R、RおよびRは各々独立して水素、ハロまたはC−Cアルキルを表す。特に好ましい実施態様では、Rは水素、ハロまたはC−Cアルキルを表し、かつ、RおよびRは共に水素を表す。
【0072】
好ましい実施態様では、RはC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10シクロアルキル、C−Cアルキルオキシ、C−C10シクロアルキルオキシ、(C−C10シクロアルキル)C−Cアルキルオキシ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルケニルオキシ、または(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキニルオキシを表す。
【0073】
好ましい実施態様では、RおよびRは各々独立して水素、ハロ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10シクロアルキル、C−Cアルキルオキシ、またはシアノを表す。特に好ましい実施態様では、RおよびRは各々独立して水素、ハロまたはC−Cアルキルを表す。特に好ましい実施態様では、RおよびRは共に水素を表す。
【0074】
好ましい実施態様では、R、R、RおよびR10は各々独立してヒドロキシ、ハロ、C−Cアルキル、C−Cアルキルオキシ、(C−C)シクロアルキルオキシ、アリールオキシまたは(C−C)シクロアルキル−(C−C)アルキルオキシを表し、該アルキルおよび該シクロアルキル基または部分は部分的または完全にフッ素化されていてよい。特に好ましい実施態様では、R、R、RおよびR10は各々ヒドロキシを表す。
【0075】
好ましい実施態様では、R11は水素またはヒドロキシを表す。
【0076】
好ましい実施態様では、R12、R13およびR14は水素を表す。
【0077】
好ましい実施態様では、R15は酸素またはCRを表し、該Rおよび該Rは各々独立して水素またはハロを表す。
【0078】
上記のように、式IAはさらに他の好ましい実施態様を表す:
【化3】

IA
【0079】
[式中、Rは水素、ハロまたはC−Cアルキルを表し;RはC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10シクロアルキル、C−Cアルキルオキシ、C−C10シクロアルキルオキシ、(C−C10シクロアルキル)C−Cアルキルオキシ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルケニルオキシ、または(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキニルオキシを表し;かつ、Qは下記の式Q1A〜Q4Aから選択され:
【化4】

【0080】
式中、R11は水素またはヒドロキシを表し、かつ、R15は酸素またはCRを表し、該Rおよび該Rは各々独立して水素またはハロを表し;R11が水素である場合、RはC−Cアルキニル、C−C10シクロアルキルオキシ、(C−C10シクロアルキル)C−Cアルキルオキシ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルケニルオキシ、または(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキニルオキシである]。いくつかの実施態様では、Qは式Q1A〜Q3Aからなる群から選択される。
【0081】
特に好ましい実施態様では、本発明の化合物は下記から選択される:
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

および
【化16】

【0082】
別の態様では、本発明は、式Iの化合物ならびにその医薬的に許容される塩、プロドラッグおよび/または同位体標識された化合物を含み、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリールおよびヘテロアリール基または部分は上記で定義した1〜3個の適切な置換基で任意に置換されている。
【0083】
他の態様では、本発明は式Iの化合物ならびにその医薬的に許容される塩およびプロドラッグのみならず、下記で中間体および中間体の製造に有用な工程を提供する。
【0084】
該工程は、図1および2のスキームに図示する下記の一般的製造方法に概要を示し、より詳細な具体例は、実施例を記載する下記の実験セクションに示す(図3〜8)。下記で論じる一般的製造方法に従うことにより、または変法もしくは代替法を利用することにより、本発明の化合物は当業者に周知の化学反応および手順を用いることによって容易に製造されうる。特に示さない限り、下記の一般的方法において基を表示する可変成分(例えば、R基)は、上記で定義した意味を有する。
【0085】
当業者であれば、各々記載された官能基を有する本発明の化合物は、下記の一般的方法のわずかな変法を用いて一般的に製造されることを認識できるであろう。各方法の範囲内で、反応条件に適切な官能基が用いられる。特定の反応を妨げうる官能基が必要に応じて保護形態にて存在し、該保護基の除去が適切な段階で当業者に周知の方法によって完了する。
【0086】
特定の場合には、本発明の化合物は他の本発明の化合物から、存在する官能基の同化、変換、交換などによって製造されうる。該同化は、加水分解、還元、酸化、アルキル化、アシル化、エステル化、アミド化および脱水を含み、これらに限定されない。該変換は、場合によっては「T. W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 4th Edition; Wiley: New York, (2007)」および「P.J. Kocienski, Protecting Groups, 3rd Edition; Georg Thieme Verlag: Stuttgart, (2005)」に開示されている方法による保護基の使用が必要でありうるが、両文献の内容は参照することによって本明細書に援用される。該方法は、所望の化合物の合成後または合成経路内の別の段階で開始されるであろうが、これは当業者であれば容易に理解できるであろう。
【0087】
別の態様では、下記で論じる一般的製造方法および当業者に周知の他の工程に従って、本発明は式Iの化合物、ならびにその医薬的に許容される塩およびプロドラッグの製造用に有用な合成中間体を提供する。
【0088】
本開示を通じて下記の略語および頭字語が用いられている場合、それらは下記の意味を有する:AcO、無水酢酸;AcOEt、酢酸エチル;AcOH、酢酸;AlBr、臭化アルミニウム;AlCl、塩化アルミニウム;BBr、三臭化ホウ素;BF・EtO、三フッ化ホウ素エーテル;n−BuLi、n−ブチルリチウム;s−BuLi、s−ブチルリチウム;t−BuLi、t−ブチルリチウム;t−BuOK、カリウムtert−ブトキシド;CaCl、塩化カルシウム;calc.、計算値;CDOD、メタノール−d;CDCl、クロロホルム−d;CFSOH、トリフルオロメタンスルホン酸;CHCl、塩化メチレン;CH、ヨウ化メチレン;CHCN、アセトニトリル;(COCl)、塩化オキサリル;DAST、三フッ化(ジエチルアミノ)硫黄;DCM、ジクロロメタン;DIAD、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート;DMAP、4−ジメチルアミノピリジン;DMEM、ダルベッコ変法イーグル培地;DMF、N,N−ジメチルホルムアミド;DMP、デス・マーチン・ペルヨージナン;DMSO、ジメチルスルホキシド;EA、酢酸エチル;eq、当量;ESI、エレクトロスプレーイオン化;Et、エチル;EtSiH、トリエチルシラン;EtOAc、酢酸エチル;EtOH、エタノール;FBS、ウシ胎児血清;h、時間;H、水素ガス;HSO、硫酸;Hepes、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸;H NMR、プロトン核磁気共鳴;HPLC、高速液体クロマトグラフィー;KCO、炭酸カリウム;KCrO、二クロム酸カリウム;KOH、水酸化カリウム;LC−ESI−MS、液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化質量分析;LC−MS、液体クロマトグラフィー質量分析;Me、メチル;MeOH、メタノール;MeSOH、メタンスルホン酸;Mg、マグネシウム;MgCl、塩化マグネシウム;min、分;MS、質量分析;MsOH、メタンスルホン酸;NaH、水素化ナトリウム;NaHCO、炭酸水素ナトリウム;NaOAc、酢酸ナトリウム;NaOH、水酸化ナトリウム;NaSO、硫酸ナトリウム;NHCl、塩化アンモニウム;Pd/C、パラジウム炭素;PE、石油エーテル;Ph、フェニル;POCl、オキシ塩化リン;PPh、トリフェニルホスフィン;R、保持因子;rt、室温;SOCl、塩化チオニル;TBAI、ヨウ化テトラブチルアンモニウム;TFA、トリフルオロ酢酸;THF、テトラヒドロフラン;TLC、薄層クロマトグラフィー;TMS、トリメチルシリル;Tris、トリスヒドロキシメチルアミノメタン(または2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジオール)。
【0089】
スキームIの一般的合成方法
【0090】
本発明の式Iの化合物は、スキームI(図1)に示した反応順序に従って都合よく製造されうる。
【0091】
スキームIに示すように、酸A1は、市販のものであっても標準的な文献的方法に従って製造したものであっても、塩化オキサリル、SOClまたはPOClなどのアシル化剤によって酸塩化物A2に変化させられる。酸塩化物A2は、AlClまたはAlBrなどのルイス酸の存在下、置換ベンゼンA3と反応し、ケトンA4を提供する。中間体A4の該ケトン基は、BF・EtOまたはTFAなどのルイス酸の存在下、EtSiHなどの還元剤によって選択的にメチレンに還元される。THFなどの溶媒中、適切な温度で、n−BuLi、s−BuLiもしくはt−BuLi、またはMgなどの活性化剤でA5を処理し、次いで中間体A6へ加えると、中間体A7を提供する。中間体A8は、BF・EtOまたはTFAなどのルイス酸の存在下、EtSiHなどの還元剤によってA7を処理することによって得られる。次いで、A8を酸化して中間体A9を形成し、それを脱保護することによって本発明の化合物A10を提供する。あるいは、中間体A9の酸化によってA11も製造されうる。
【0092】
スキームIIの一般的合成方法
【0093】
本発明の式Iの化合物は、スキームII(図2)に示した反応順序に従うことによっても都合よく製造されうる。
【0094】
スキームIIに示すように、酸A12は、市販のものであっても標準的な文献的方法に従って製造したものであっても、塩化オキサリル、SOClまたはPOClなどのアシル化剤によって酸塩化物A13に変化させられる。酸塩化物A13は、AlClまたはAlBrなどのルイス酸の存在下、置換ベンゼンA3と反応し、ケトンA14を提供する。中間体A14の該ケトン基は、BF・EtOまたはTFAなどのルイス酸の存在下、EtSiHなどの還元剤によって選択的にメチレンに還元され、次いで、脱保護により中間体A15を与える。A15をA16とカップリングすると、中間体A17を提供する。A17の酸化によって中間体A18が生成し、次いでそれを脱保護することによって本発明の化合物A19を提供する。
【0095】
医薬組成物および使用方法
本発明は、式Iの化合物もしくは化合物の混合物、またはその医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの有効量を医薬的に許容される担体中に含む医薬組成物をさらに提供する。
【0096】
本発明の化合物は、治療的投与用にさまざまな製剤に組み込まれうる。特に、本発明の化合物は、適切な医薬的に許容される担体もしくは希釈剤と一緒に、または別々に製剤化されることによって医薬組成物に製剤化され得、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤、糖衣錠、ゲル剤、スラリー、軟膏剤、溶液、坐剤、注射剤、吸入剤およびエアロゾルなどの固体、半固体、液体または気体形態にある製剤に製剤化されうる。それ自体、本発明の化合物の投与は、経口、頬側、非経口、静脈内、皮内(例えば、皮下、筋肉内)、経皮投与などを含むさまざまな方法にて達成されうる。さらに、化合物は全身的様式よりもむしろ局所的様式にて投与され得、例えば、デポーまたは持続放出製剤にて投与されうる。
【0097】
本発明の使用に適切な製剤は、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Ed., Gennaro, Ed., Lippencott Williams & Wilkins (2003)」に見られるが、該文献に記載の内容は参照することによって本明細書に援用される。本明細書に記載されている医薬組成物は、当業者に周知の様式、すなわち、通常の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠形成(dragee-making)、微粒子化(levigating)、乳化、カプセル化、封入または凍結乾燥工程によって製造されうる。下記の方法および賦形剤は例示する目的のためにのみ示し、決して発明を限定する目的で示しているわけではない。
【0098】
1つの好ましい実施態様では、本発明の化合物は送達用に、持続放出(sustained-release)、制御放出、持続放出(extended-release)、持続放出(timed-release)または遅延放出製剤、例えば、治療薬を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスに製造される。さまざまな型の持続放出物質が確立され、当業者に周知である。現在の持続放出製剤は、フィルムコーティング錠剤、多粒子またはペレット系、親水性または親油性物質を用いたマトリックス技術およびポア形成賦形剤を有するワックスベース錠剤を含む(例えば、Huang, et al. Drug Dev. Ind. Pharm. 29:79 (2003); Pearnchob, et al. Drug Dev. Ind. Pharm. 29:925 (2003); Maggi, et al. Eur. J. Pharm. Biopharm. 55:99 (2003); Khanvilkar, et al., Drug Dev. Ind. Pharm. 228:601 (2002);およびSchmidt, et al., Int. J. Pharm. 216:9 (2001)を参照のこと)。持続放出送達系は、それらの設計に依存して、数時間または数日間にわたって、例えば、4、6、8、10、12、16、20、24時間またはそれ以上にわたって化合物を放出しうる。通常、持続放出製剤は、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)などのポリマー性ビニルピロリドン;カルボキシビニルなどの親水性ポリマー;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの疎水および/または親水コロイド;ならびにカルボキシポリメチレンなどの天然または合成ポリマーを用いて製造されうる。
【0099】
持続放出(sustained or extended-release)製剤は、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化亜鉛、および粘土を含むミネラルなどの天然成分を用いることによっても製造されうる(米国特許第6,638,521号を参照のこと。その内容は参照することによって本明細書に援用される)。本発明の化合物の送達に用いられうる持続放出製剤の例は、米国特許第6,635,680号;第6,624,200号;第6,613,361号;第6,613,358号、第6,596,308号;第6,589,563号;第6,562,375号;第6,548,084号;第6,541,020号;第6,537,579号;第6,528,080号および第6,524,621号に記載されている製剤を含むが、そのそれぞれは参照することによって本明細書に援用される。特に興味深い制御放出製剤は、米国特許第6,607,751号;第6,599,529号;第6,569,463号;第6,565,883号;第6,482,440号;第6,403,597号;第6,319,919号;第6,150,354号;第6,080,736号;第5,672,356号;第5,472,704号;第5,445,829号;第5,312,817号および第5,296,483号に記載されている製剤を含むが、そのそれぞれは参照することによって本明細書に援用される。当業者であれば、他の適用可能な持続放出製剤を容易に認識することができるであろう。
【0100】
本発明の化合物は、経口投与用に、当該技術分野で周知の医薬的に許容される担体と組み合わせることによって容易に製剤化されうる。該担体は、化合物が、治療される患者による経口摂取用に、錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、乳剤、親油性および親水性懸濁液、液体、ゲル剤、シロップ、スラリー、懸濁液などに製剤化されることを可能にする。経口用の医薬製剤は、化合物を固体賦形剤と混合することによって得られうるが、必要であれば、適切な助剤を加えた後に、生じた混合物を任意に粉砕し、顆粒の混合物を処理することによって、錠剤または糖衣錠コアを得る。適切な賦形剤は、具体的には、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖などの充填剤;例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、バレイショデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などのセルロース製剤である。必要であれば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤を加えてよい。
【0101】
経口的に用いられうる医薬製剤は、ゼラチン製の押し込み型カプセル剤のみならず、ゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤でできたソフト密封カプセル剤を含む。該押し込み型カプセル剤は、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ならびに任意に安定剤と混合した活性成分を含みうる。ソフトカプセル剤においては、活性化合物は、脂肪油、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体に溶解または懸濁させてよい。さらに、安定剤が加えられてよい。経口投与用の全製剤は、該投与に適切な投与量になくてはならない。
【0102】
糖衣錠コアは、適切なコーティングをされて提供される。この目的のために、濃縮した糖溶液が用いられうるが、該溶液は任意にアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル(carbopol gel)、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒もしくは溶媒混合液を含みうる。同定のために、または異なる組み合わせの活性化合物用量を特徴付けるために、錠剤または糖衣錠コーティングに染料または色素が加えられてよい。
【0103】
化合物は、例えば、ボーラス注射または持続注入などの注射による非経口投与用に製剤化されうる。注射用に、化合物はそれらを植物油もしくは他の類似の油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸のエステルまたはプロピレングリコールなどの水性溶媒または非水溶媒に溶解、懸濁または乳化することによって製剤に製剤化されうる;必要であれば、可溶化剤、等張剤、懸濁剤、乳化剤、安定剤および防腐剤などの通常の添加剤が加えられてよい。好ましくは、本発明の化合物は水溶液中にて、好ましくはハンクス溶液、リンガー溶液、または生理食塩水緩衝液などの生理的に適合する緩衝液中にて製剤化されうる。注射用製剤は、単位剤形、例えば、防腐剤を加えたアンプルまたは多用量容器(multi-dose containers)にて存在しうる。組成物は油性または水性ビヒクル中にて懸濁液、溶液または乳液などの形態をとり得、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化剤(formulatory agents)を含みうる。
【0104】
非経口投与用の医薬製剤は、水溶性形態にある活性化合物の水溶液を含む。さらに、活性化合物の懸濁液は、適切な油性注射懸濁液として製造されうる。適切な親油性溶媒またはビヒクルは、ゴマ油などの脂肪油、もしくはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームを含む。水性注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの、懸濁液の粘性を増加させる物質を含みうる。任意に、懸濁液は、適切な安定剤または化合物の溶解度を増加させる薬剤も含み得、高濃縮溶液の製造を可能にする。あるいは、活性成分は、使用前に、適切なビヒクル、例えば、無菌パイロジェンフリー水と共に構成用の粉末形態にあってよい。
【0105】
全身投与は、経粘膜的または経皮的方法によってもなされうる。経粘膜的または経皮投与用に、透過しなければならない障壁に対して適切な浸透剤が製剤において用いられる。局所投与用に、薬剤は軟膏剤(ointments)、クリーム剤、軟膏剤(salves)、散剤およびゲル剤に製剤化される。1つの実施態様では、経皮送達剤はDMSOであってよい。経皮送達系は、例えばパッチを含みうる。経粘膜的投与用に、透過しなければならない障壁に対して適切な浸透剤が製剤において用いられる。該浸透剤は、当該技術分野で一般的に周知である。本発明において利用法が見出されうる経皮送達製剤の例は、米国特許第6,589,549号;第6,544,548号;第6,517,864号;第6,512,010号;第6,465,006号;第6,379,696号;第6,312,717号および第6,310,177号に記載されている製剤を含むが、そのそれぞれは参照することによって本明細書に援用される。
【0106】
頬側投与用に、組成物は、通常の様式にて製剤化された錠剤またはトローチ剤の形態をとりうる。
【0107】
前記の製剤に加えて、本発明の化合物はデポー製剤としても製剤化されうる。該長時間作用型製剤は、埋め込み(例えば皮下もしくは筋肉内に)または筋肉内注射によって投与されうる。それゆえ、例えば、化合物は適切なポリマー性もしくは疎水性物質(例えば、許容される油中の乳剤として)もしくはイオン交換樹脂と共に、または難溶性誘導体、例えば難溶性塩として製剤化されうる。
【0108】
医薬組成物は、適切な固体もしくはゲル相担体または賦形剤も含みうる。該担体または該賦形剤の例は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、さまざまな糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールなどのポリマーを含み、これらに限定されない。
【0109】
本発明における使用に適切な医薬組成物は、活性成分が治療上の有効量にて含まれる組成物を含む。本発明は、組み合わせの相手として有効量の他の治療薬、特に、抗糖尿病薬、脂質低下/脂質調節薬、糖尿病性合併症の治療薬、抗肥満薬、降圧薬、尿酸降下薬、および慢性心不全、アテローム性動脈硬化症または関連疾患の治療薬などの、SGLT阻害によって影響されうる疾患および状態の治療用に用いられる治療薬と混合した式Iの化合物を含む医薬組成物も意図する。化合物および/または組み合わせの相手の有効量は、当然ながら、治療される対象、苦痛の重症度および投与様式に依存するであろう。有効量の決定は、特に本明細書で提供されている詳細な開示を考慮すれば、十分に当業者の能力の範囲内である。一般的に、化合物の有効量は、最初に低用量または少量を投与し、次いで治療される対象において最小限の副作用のみを伴い、または有毒な副作用を伴わない所望の治療効果が観察されるまで、投与される用量または投与量を徐々に増加させることによって決定される。本発明の投与用の適切な用量および服薬スケジュールを決定する適用可能な方法は、例えば「Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, 11th Ed., Brunton, Lazo and Parker, Eds., McGraw-Hill (2006)」、および「Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Ed., Gennaro, Ed., Lippencott Williams & Wilkins (2003)」に記載されているが、これらは共に参照することによって本明細書に援用される。
【0110】
本発明は、疾患の予防および治療用の式Iの化合物の使用方法をさらに提供する。1つの実施態様では、本発明は、式Iの化合物もしくは化合物の混合物、またはその医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの有効量を、それを必要とする対象へ投与することを含む、1型および2型糖尿病、高血糖、糖尿病性合併症(網膜症、腎障害、神経障害、潰瘍、微小血管障害および大血管障害、痛風ならびに糖尿病性足部疾患など)、インスリン抵抗性、代謝症候群(シンドロームX)、高インスリン血症、高血圧症、高尿酸血症、肥満症、浮腫、脂質異常症、慢性心不全、アテローム性動脈硬化症ならびに関連疾患を治療する方法を提供する。別の実施態様では、本発明は、1型および2型糖尿病、高血糖、糖尿病性合併症、インスリン抵抗性、代謝症候群、高インスリン血症、高血圧症、高尿酸血症、肥満症、浮腫、脂質異常症、慢性心不全、アテローム性動脈硬化症ならびに関連疾患の治療用薬剤の製造用の式Iの化合物もしくは化合物の混合物、またはその医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用方法を提供する。
【0111】
本発明は、他の治療薬、特に、抗糖尿病薬、脂質低下/脂質調節薬、糖尿病性合併症の治療薬、抗肥満薬、降圧薬、尿酸降下薬、および慢性心不全、アテローム性動脈硬化症または関連疾患の治療薬などの上記の疾患および状態の治療用に用いられる治療薬と組み合わせた式Iの化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用も意図する。当業者であれば、下記で論じる他の治療薬が複数の治療上の使用方法を有しうること、および1つの特定のカテゴリーにおける薬剤のリストは本発明の化合物との併用療法においてその有効性を限定すると解釈されるべきでは決してないことは理解できるであろう。
【0112】
本発明の化合物と組み合わせた使用に適切な抗糖尿病薬の例は、インスリンおよびインスリン模倣薬、スルホニル尿素(アセトヘキサミド、カルブタミド、クロロプロパミド、グリベンクラミド、グリボルヌリド、グリクラジド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリソキセピド、グリブリド、グリクロピラミド、トラザミド、トルシクラミド、トルブタミドなど)、インスリン分泌エンハンサー(JTT−608、グリブゾールなど)、ビグアナイド(メトホルミン、ブホルミン、フェンホルミンなど)、スルホニル尿素/ビグアナイド併用(グリブリド/メトホルミンなど)、メグリチナイド(レパグリニド、ナテグリニド、ミチグリニドなど)、チアゾリジンジオン(ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、イサグリタゾン、ネトグリタゾン、リボグリタゾン、バラグリタゾン、ダルグリタゾン、CLX−0921など)、チアゾリジンジオン/ビグアナイド併用(ピオグリタゾン/メトホルミンなど)、オキサジアゾリジンジオン(YM440など)、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)−γアゴニスト(ファルグリタザール、メタグリダセン、MBX−2044、GI262570、GW1929、GW7845など)、PPAR−α/γデュアルアゴニスト(ムラグリタザール、ナベグリタザール、テサグリタザール、ペリグリタザール、JTT−501、GW−409544、GW−501516など)、PPAR−α/γ/δパンアゴニスト(PLX204、GlaxoSmithKline 625019、GlaxoSmithKline 677954など)、レチノイドX受容体アゴニスト(ALRT−268、AGN−4204、MX−6054、AGN−194204、LG−100754、ベキサロテンなど)、αグルコシダーゼ阻害剤(アカルボース、ミグリトールなど)、インスリン受容体チロシンキナーゼの刺激剤(TER−17411、L−783281、KRX−613など)、トリペプチジルペプチダーゼII阻害剤(UCL−1397など)、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(シタグリプチン、ビルダグリプチン、デナグリプチン、サクサグリプチン、NVP−DPP728、P93/01、P32/98、FE99901、TS−021、TSL−225、GRC8200、米国特許第6,869,947号;第6,727,261号;第6,710,040号;第6,432,969号;第6,172,081号;第6,011,155号に記載されている化合物など)、タンパク質チロシンホスファターゼ−1B阻害剤(KR61639、IDD−3、PTP−3848、PTP−112、OC−86839、PNU−177496、「Vats, R.K., et al., Current Science, Vol. 88, No. 2, 25 January 2005, pp. 241-249」に記載されている化合物など)、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤(NN−4201、CP−368296など)、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、フルクトース1,6−ビスホスファターゼ阻害剤(CS−917、MB05032など)、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤(AZD−7545など)、イミダゾリン誘導体(BL11282など)、肝糖新生阻害剤(FR−225659など)、D−カイロイノシトール、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3阻害剤(「Vats, R.K., et al., Current Science, Vol. 88, No. 2, 25 January 2005, pp. 241-249」に記載されている化合物など)、インクレチン模倣薬(エクセナチドなど)、グルカゴン受容体アンタゴニスト(BAY−27−9955、NN−2501、NNC−92−1687など)、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、GLP−1類似体(リラグルチド、CJC−1131、AVE−0100など)、GLP−1受容体アゴニスト(AZM−134、LY−315902、GlaxoSmithKline 716155など)、アミリン、アミリン類似体およびアゴニスト(プラムリンチドなど)、脂肪酸結合タンパク質(aP2)阻害剤(米国特許第6,984,645号;第6,919,323号;第6,670,380号;第6,649,622号;第6,548,529号に記載されている化合物など)、β−3アドレナリン作動性受容体アゴニスト(ソラベグロン、CL−316243、L−771047、FR−149175など)、ならびに他のインスリン感受性エンハンサー(レグリキサン、ONO−5816、MBX−102、CRE−1625、FK−614、CLX−0901、CRE−1633、NN−2344、BM−13125、BM−501050、HQL−975、CLX−0900、MBX−668、MBX−675、S−15261、GW−544、AZ−242、LY−510929、AR−H049020、GW−501516など)を含む。
【0113】
本発明の化合物と組み合わせた使用に適切な糖尿病性合併症の治療薬の例は、アルドースレダクターゼ阻害剤(エパルレスタット、イミレスタット、トルレスタット、ミナルレスタット、ポナルレスタット、ゾポルレスタット、フィダレスタット、アスコルビン酸ガモレナート、ADN−138、BAL−ARI8、ZD−5522、ADN−311、GP−1447、IDD−598、リサレスタット、ゼナレスタット、メトソルビニル、AL−1567、M−16209、TAT、AD−5467、AS−3201、NZ−314、SG−210、JTT−811、リンドルレスタット、ソルビニルなど)、終末糖化産物(AGE)形成の阻害剤(ピリドキサミン、OPB−9195、ALT−946、ALT−711、ピマゲジンなど)、AGE破壊剤(ALT−711など)、スロデキシド、5−ヒドロキシ−1−メチルヒダントイン、インスリン様増殖因子−I、血小板由来増殖因子、血小板由来増殖因子類似体、上皮増殖因子、神経増殖因子、ウリジン、タンパク質キナーゼC阻害剤(ルボキシスタウリン、ミドスタウリンなど)、ナトリウムチャネルアンタゴニスト(メキシレチン、オキシカルバゼピンなど)、核内因子κB(NF−κB)阻害剤(デクスリポタムなど)、脂質ペルオキシダーゼ阻害剤(メシル酸チリラザドなど)、N−アセチル化−α−結合−酸−ジペプチダーゼ阻害剤(GPI−5232、GPI−5693など)、およびカルニチン誘導体(カルニチン、レバセカミン(levacecamine)、レボカルニチン、ST−261など)を含む。
【0114】
本発明の化合物と組み合わせた使用に適切な尿酸降下薬の例は、尿酸合成阻害剤(アロプリノール、オキシプリノールなど)、尿酸排泄促進薬(プロベネシド、スルフィンピラゾン、ベンズブロマロンなど)および尿アルカリ化剤(炭酸水素ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウムなど)を含む。
【0115】
本発明の化合物と組み合わせた使用に適切な脂質低下/脂質調節薬の例は、ヒドロキシメチルグルタリル補酵素Aレダクターゼ阻害剤(アシテメート、アトルバスタチン、ベルバスタチン、カルバスタチン、セリバスタチン、コレストロン、クリルバスタチン、ダルバスタチン、フルバスタチン、グレンバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ニスバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、リトナビル、ロスバスタチン、サキナビル、シンバスタチン、ビサスタチン、SC−45355、SQ−33600、CP−83101、BB−476、L−669262、S−2468、DMP−565、U−20685、BMS−180431、BMY−21950、米国特許第5,753,675号;第5,691,322号;第5,506,219号;第4,686,237号;第4,647,576号;第4,613,610号;第4,499,289号に記載されている化合物など)、フィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、フェノフィブラート、ベザフィブラート、ベクロブラート、ビニフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、エトフィブラート、ニコフィブラート、ピリフィブラート、ロニフィブラート、シムフィブラート、テオフィブラート、AHL−157など)、PPAR−αアゴニスト(GlaxoSmithKline 590735など)、PPAR−δアゴニスト(GlaxoSmithKline 501516など)、アシル補酵素A:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤(アバシミベ、エフルシミベ、エルダシミベ、レシミビデ、NTE−122、MCC−147、PD−132301−2、C1−1011、DUP−129、U−73482、U−76807、TS−962、RP−70676、P−06139、CP−113818、RP−73163、FR−129169、FY−038、EAB−309、KY−455、LS−3115、FR−145237、T−2591、J−104127、R−755、FCE−27677、FCE−28654、YIC−C8−434、CI−976、RP−64477、F−1394、CS−505、CL−283546、YM−17E、447C88、YM−750、E−5324、KW−3033、HL−004など)、プロブコール、甲状腺ホルモン受容体アゴニスト(リオチロニン、レボチロキシン、KB−2611、GC−1など)、コレステロール吸収阻害剤(エゼチミベ、SCH48461など)、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2阻害剤(リラプラディブ、ダラプラディブなど)、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質阻害剤(CP−346086、BMS−201038、米国特許第5,595,872号;第5,739,135号;第5,712,279号;第5,760,246号;第5,827,875号;第5,885,983号;第5,962,440号;第6,197,798号;第6,617,325号;第6,821,967号;第6,878,707号に記載されている化合物など)、低密度リポタンパク質受容体活性化剤(LY295427、MD−700など)、リポキシゲナーゼ阻害剤(WO97/12615、WO97/12613、WO96/38144に記載されている化合物など)、カルニチンパルミトイル−トランスフェラーゼ阻害剤(エトモキシルなど)、スクアレンシンターゼ阻害剤(YM−53601、TAK−475、SDZ−268−198、BMS−188494、A−87049、RPR−101821、ZD−9720、RPR−107393、ER−27856、米国特許第5,712,396号;第4,924,024号;第4,871,721号に記載されている化合物など)、ニコチン酸誘導体(アシピモックス、ニコチン酸、ニコチナミド、ニコモール、ニセリトロール、ニコランジルなど)、胆汁酸金属イオン封鎖剤(コレスチポール、コレスチラミン、コレスチラン、コレセベラム、GT−102−279など)、ナトリウム/胆汁酸共輸送体阻害剤(264W94、S−8921、SD−5613など)、およびコレステロールエステル輸送タンパク質阻害剤(トルセトラピブ、JTT−705、PNU−107368E、SC−795、CP−529414など)を含む。
【0116】
本発明の化合物と組み合わせた使用に適切な抗肥満薬の例は、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(シブトラミン、ミルナシプラン、ミルタザピン、ベンラファキシン、デュロキセチン、デスベンラファキシンなど)、ノルエピネフリン−ドーパミン再取り込み阻害剤(ラダファキシン、ブプロピオン、アミネプチンなど)、セロトニン−ノルエピネフリン−ドーパミン再取り込み阻害剤(テソフェンシンなど)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリンなど)、選択的ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(レボキセチン、アトモキセチンなど)、ノルエピネフリン放出刺激剤(ロリプラム、YM−992など)、食欲抑制剤(アンフェタミン、メタンフェタミン、デキストロアンフェタミン、フェンテルミン、ベンズフェタミン、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、ジエチルプロピオン、マジンドール、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェニルプロパノールアミンなど)、ドーパミンアゴニスト(ER−230、ドプレキシン、メシル酸ブロモクリプチンなど)、H−ヒスタミンアンタゴニスト(インペンタミン、チオペラミド、シプロキシファン、クロベンプロピット、GT−2331、GT−2394、A−331440など)、5−HT2c受容体アゴニスト(1−(m−クロロフェニル)ピペラジン(m−CPP)、ミルタザピン、APD−356(ロルカセリン)、SCA−136(バビカセリン)、ORG−12962、ORG−37684、ORG−36262、ORG−8484、Ro−60−175、Ro−60−0332、VER−3323、VER−5593、VER−5384、VER−8775、LY−448100、WAY−161503、WAY−470、WAY−163909、MK−212、BVT.933、YM−348、IL−639、IK−264、ATH−88651、ATHX−105など(例えば、「Nilsson BM, J. Med. Chem. 2006, 49:4023-4034」を参照のこと))、β−3アドレナリン作動性受容体アゴニスト(L−796568、CGP12177、BRL−28410、SR−58611A、ICI−198157、ZD−2079、BMS−194449、BRL−37344、CP−331679、CP−331648、CP−114271、L−750355、BMS−187413、SR−59062A、BMS−210285、LY−377604、SWR−0342SA、AZ−40140、SB−226552、D−7114、BRL−35135、FR−149175、BRL−26830A、CL−316243、AJ−9677、GW−427353、N−5984、GW−2696など)、コレシストキニンアゴニスト(SR−146131、SSR−125180、BP−3.200、A−71623、A−71378、FPL−15849、GI−248573、GW−7178、GI−181771、GW−7854、GW−5823など)、抗うつ薬/アセチルコリンエステラーゼ阻害剤併用(ベンラファキシン/リバスチグミン、セルトラリン/ガランタミンなど)、リパーゼ阻害剤(オーリスタット、ATL−962など)、抗てんかん剤(トピラメート、ゾニサミドなど)、レプチン、レプチン類似体およびレプチン受容体アゴニスト(LY−355101など)、ニューロペプチドY(NPY)受容体アンタゴニストおよび修飾因子(SR−120819−A、PD−160170、NGD−95−1、BIBP−3226、1229−U−91、CGP−71683、BIBO−3304、CP−671906−01、J−115814など)、毛様体神経栄養因子(アキソキンなど)、甲状腺ホルモン受容体−βアゴニスト(KB−141、GC−1、GC−24、GB98/284425など)、カンナビノイドCB1受容体アンタゴニスト(リモナバン、SR147778、SLV319など(例えば、「Antel J et al., J. Med. Chem. 2006, 49:4008-4016」を参照のこと))、メラニン濃縮ホルモン受容体アンタゴニスト(GlaxoSmithKline 803430X、GlaxoSmithKline 856464、SNAP−7941、T−226296など(例えば、「Handlon AL and Zhou H, J. Med. Chem. 2006, 49:4017-4022」を参照のこと))、メラノコルチン−4受容体アゴニスト(PT−15、Ro27−3225、THIQ、NBI55886、NBI56297、NBI56453、NBI58702、NBI58704、MB243などを含む(例えば、「Nargund RP et al., J. Med. Chem. 2006, 49:4035-4043」を参照のこと))、選択的ムスカリン受容体Mアンタゴニスト(テレンゼピン、ピレンゼピンなど)、オピオイド受容体アンタゴニスト(ナルトレキソン、メチルナルトレキソン、ナルメフェン、ナロキソン、アルビモパン、ノルビナルトルフィミン、ナロルフィンなど)、ならびにその組み合わせを含む。
【0117】
本発明の化合物と組み合わせた使用に適切な降圧薬および慢性心不全、アテローム性動脈硬化症または関連疾患の治療薬の例は、ビモクロモル、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリルなど)、ニュートラルエンドペプチダーゼ阻害剤(チオルファン、オマパトリラト、MDL−100240、ファシドトリル、サムパトリラト、GW−660511、ミキサンプリル、SA−7060、E−4030、SLV−306、エカドトリルなど)、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト(カンデサルタンシレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタンメドキソミル、テルミサルタン、バルサルタン、タソサルタン、エノールタソサルタンなど)、エンドセリン変換酵素阻害剤(CGS35066、CGS26303、CGS−31447、SM−19712など)、エンドセリン受容体アンタゴニスト(トラクリア、シタクスセンタン、アンブリセンタン、L−749805、TBC−3214、BMS−182874、BQ−610、TA−0201、SB−215355、PD−180988、BMS−193884、ダルセンタン、TBC−3711、ボセンタン、テゾセンタン、J−104132、YM−598、S−0139、SB−234551、RPR−118031A、ATZ−1993、RO−61−1790、ABT−546、エンラセンタン、BMS−207940など)、利尿剤(ヒドロクロロチアジド、ベンドロフルメチアジド、トリクロルメチアジド、インダパミド、メトラゾン、フロセミド、ブメタニド、トルセミド、クロルサリドン、メトラゾン、シクロペンチアジド、ヒドロフルメチアジド、トリパミド、メフルシド、ベンジルヒドロクロロチアジド、ペンフルチジド、メチクロチアジド、アゾセミド、エタクリン酸、トラセミド、ピレタニド、メチクラン、カンレノ酸カリウム、スピロノラクトン、トリアムテレン、アミノフィリン、シクレタニン、LLU−α、PNU−80873A、イソソルビド、D−マンニトール、D−ソルビトール、フルクトース、グリセリン、アセタゾラミド、メタゾラミド、FR−179544、OPC−31260、リキシバプタン、コニバプタンなど)、カルシウムチャネルアンタゴニスト(アムロジピン、ベプリジル、ジルチアゼム、フェロジピン、イスラジピン、ニカルジピン、ニモジピン、ベラパミル、S−ベラパミル、アラニジピン、エフォニジピン、バルニジピン、ベニジピン、マニジピン、シルニジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ニフェジピン、ニルバジピン、フェロジピン、プラニジピン、レルカニジピン、イスラジピン、エルゴジピン、アゼルニジピン、ラシジピン、バタニジピン、レミルジピン、ジルチアゼム、クレンチアゼム、ファスジル、ベプリジル、ガロパミルなど)、血管拡張性降圧薬(インダパミド、トドララジン、ヒドララジン、カドララジン、ブドララジンなど)、β遮断薬(アセブトロール、ビソプロロール、エスモロール、プロパノロール、アテノロール、ラベタロール、カルベジロール、メトプロロールなど)、交感神経抑制薬(アモスラロール、テラゾシン、ブナゾシン、プラゾシン、ドキサゾシン、プロプラノロール、アテノロール、メトプロロール、カルベジロール、ニプラジロール、セリプロロール、ネビボロール、ベタキソロール、ピンドロール、テルタトロール、ベバントロール、チモロール、カルテオロール、ビソプロロール、ボピンドロール、ニプラジロール、ペンブトロール、アセブトロール、チリソロール、ナドロール、ウラピジル、インドラミンなど)、α−2−アドレナリン受容体アゴニスト(クロニジン、メチルドパ、CHF−1035、グアナベンズ酢酸塩、グアンファシン、モクソニジン、ロフェキシジン、タリペキソールなど)、中枢作用性降圧薬(レセルピンなど)、血小板凝集阻害剤(ワルファリン、ジクマロール、フェンプロクモン、アセノクマロール、アニシンジオン、フェニンジオン、キシメラガトランなど)、および抗血小板薬(アスピリン、クロピドグレル、チクロピジン、ジピリダモール、シロスタゾール、イコサペント酸エチル、サルポグレラート、ジラゼプ、トラピジル、ベラプロストなど)を含む。
【0118】
さらに、別の態様では、本発明は、式Iの化合物もしくは化合物の混合物、またはその医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの有効量、および組み合わせの相手として上記の治療薬の群から選択される少なくとも1つのメンバーを医薬的に許容される担体中に含む医薬組成物を提供する。
【0119】
本発明の治療薬は、疾患もしくは状態(高血糖など)の発症もしくは進行を予防もしくは遅延させるために予防的に投与され得、または長時間にわたって所望の効果(血清グルコースの所望のレベルなど)を達成するために治療的に投与されうる。
【0120】
本発明の化合物は、独立にまたは組み合わせの相手と共に、その医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグの形態にて、または化合物および/もしくは組み合わせの相手が治療上の有効量にて適切な担体または賦形剤と混合されている医薬組成物の形態にてヒト患者、家畜、例えばネコまたはイヌなどの対象へ投与されうる。結果的に、式Iの化合物もしくは化合物の混合物、またはその医薬的に許容される塩もしくはプロドラッグ、およびそれと共に組み合わせられる付加的な活性薬剤は、単一製剤、例えばカプセル剤もしくは錠剤にて、または同一もしくは異なっていてよい2つに分離した製剤、例えば、各薬剤の選択された用量数を含むキットの形態にて存在しうる。
【0121】
化合物の適切な投与量は、選択される投与経路および組成物の製剤、特に患者反応などの要因に従って変動するであろう。個々の患者が要求すれば、投与量は長期間にわたって増加または減少させてよい。患者は最初に低用量を与えられ得、次いで患者が耐えられる有効投与量まで用量を増加させうる。典型的には、成人用に有効な投与量は、経口経路によって投与される場合は1〜2000mg、好ましくは1〜200mgであってよく、静脈内経路によって投与される場合は0.1〜100mg、好ましくは1〜30mgであってよく、各場合において投与は1日当たり1〜4回である。本発明の化合物が別の治療薬と組み合わせて投与される場合、組み合わせの相手の有効な投与量は通常推奨用量の20%〜100%であってよい。
【0122】
投与量および投与間隔は、治療効果を維持するのに十分な活性化合物の血漿レベルを提供するように個々に調整されうる。好ましくは、治療上効果的な血清レベルは1日1回の投与によって達成されるであろうが、有効な1日複数回の投与スケジュールも本発明に含まれる。局所投与または選択的取り込みの場合、薬物の効果的な局所濃度は血漿濃度と関連していなくてもよい。当業者であれば、必要以上の実験をすることなく治療上効果的な局所投与量を最適化することができるであろう。
【0123】
本明細書内で引用される全出版物および特許出願は、参照することによって本明細書に援用されるが、これは個々の出版物または特許出願が参照することによって援用されることを具体的かつ個々に示すことによってなされる。本明細書で引用される任意の参考文献と本明細書の教示の間の任意の矛盾は、後者を支持することにより解決される。同様に、当該技術分野において認識されている単語または語句の定義と、本明細書内で提供されている単語または語句の定義の間の任意の矛盾は、後者を支持することにより解決される。前述の発明は、明確に理解する目的のために図面および実施例によって多少詳しく記載されているが、当業者であれば、本発明の教示を考慮して、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく特定の変化および修飾がそれになされうることを容易に理解できるであろう。本発明は、具体的な実施例によってより詳細に記載されるであろう。
【実施例】
【0124】
下記の実施例は、説明の目的のために提供され、いかなる方法によっても本発明を限定する意図はない。当業者であれば、さまざまな重要ではないパラメータに変化または修飾がなされ得、本質的に同一の結果を生じることを容易に認識するであろう。
【0125】
下記の実施例で示す化合物の名称は、ChemDraw Ultra version 10.0にて実行したCambridgeSoft社製のStruct=Nameアルゴリズムを用いて表示した構造から得た。特に示さない限り、下記の実施例にて合成された化合物の構造は、次の手順を用いて確認した:
【0126】
(1)エレクトロスプレーイオン化ガスクロマトグラフィー質量スペクトル(MS ESI)は、HP-5 MSカラム(0.25μmコーティング;30m x0.25mm)付きのAgilent 6890ガスクロマトグラフを備えたAgilent 5973N質量分析計で得られた。イオン源は230℃に維持し、25〜500amuの範囲で3.09秒/スキャンでスペクトルをスキャンした。
【0127】
(2)高圧液体クロマトグラフィー質量スペクトル(LC−MS)は、4成分ポンプ(quaternary pump)、254nmに設定した可変波長検出器、XB-C18カラム(4.6x50mm、5μm)、およびエレクトロスプレーイオン化Finnigan LCQイオントラップ質量分析計を備えたFinnigan Surveyor HPLCを用いて得られた。イオン源内のイオン数に従う可変イオン時間を用いて、スペクトルを80〜2000amuの範囲でスキャンした。溶出液はB:アセトニトリルおよびD:水であった。流速1.0mL/分にて8分間かけて10%から90%Bへのグラジエント溶出を行い、最終的に90%Bで7分間保持する。全実施時間は15分である。
【0128】
(3)所定の1次元NMR分光法を、400MHzまたは300MHzのVarian Mercury-Plus分光計で実施した。試料をQingdao Tenglong Weibo Technology Co., Ltd.から入手した重水素化溶媒中に溶解し、5mm ID NMRチューブへ移した。スペクトルは293Kで得た。Hスペクトルについて、化学シフトはppmスケールで記録し、DMSO−d6は2.49ppm、CDCNは1.93ppm、CDODは3.30ppm、CDClは5.32ppm、およびCDClは7.26ppmなど、適切な溶媒シグナルを基準とした。
【実施例1】
【0129】
本実施例は、図3に提供されている方法に従って、化合物5(R=Et)の製造を例証するものである。化合物番号は、図に提供されている番号と一致する。一般的方法は、本発明の他の化合物に適用できる。
【0130】
(1R,2R,3S,4R,5R,6S)−4−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトラオールの製造
【化17】

5(R=Et)
【0131】
(1)グリニャール試薬の製造
【0132】
アルゴン雰囲気下、Mg粉末(0.216g、8.98mmol、1.2当量)を三つ口フラスコに入れ、次いで4−ブロモ−1−クロロ−2−(4−エチルベンジル)ベンゼン8(0.769g、2.49mmol)の乾燥THF溶液の一部(6mL)を加え、1,2−ジブロモエタン(10mol%)を加えた。混合物を加熱還流した。反応を開始した後(発熱反応で、Mgを消費する)、2−(4−エチルベンジル)−4−ブロモ−1−クロロベンゼン8(1.539g、4.99mmol)の乾燥THF溶液の残りの溶液(14mL)を滴加した。次いで、大部分のMgが消費されるまで、混合物を穏やかに還流しながらさらに1時間反応させた。
【0133】
(2)2の製造
【化18】

2(R=Et)
【0134】
室温(約25℃)でアルゴン雰囲気下、上記のグリニャール試薬を(4R,5S,6R)−4,5,6−トリス(ベンジルオキシ)−3−(ベンジルオキシメチル)シクロヘクス−2−エノン1(2g、3.74mmol、1当量)の乾燥THF(20mL)溶液に滴加し、次いで3時間以上反応させた。NHCl(飽和水溶液)を混合物に加え、反応をクエンチした。混合物を酢酸エチル(20mL×3)で抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濾液を蒸発乾燥させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液、石油エーテル:酢酸エチル=20:1)で精製し、目的化合物2(2.428g、3.17mmol、収率84.8%)の黄色油状物を得た。H−NMR(400MHz,CDCl):δ7.42(1H,s),7.28−7.41(17H,m),7.04−7.254(8H,m),5.83(1H,s),4.74(1H,d,J=11.2Hz),4.39−4.64(7H,m),4.33(1H,d,J=12.4Hz),4.23(1H,s),4.08(2H,s),4.03(1H,d,J=12.8Hz),3.70−3.73(2H,m),2.93(1H,s),2.58(2H,q,J=7.6Hz),1.19(3H,t,J=7.6Hz);MS(ESI):765[M+H],782[M+HO],787[M+Na]
【0135】
(3)3(R=Et)の製造
【化19】

3(R=Et)
【0136】
−20℃でアルゴン雰囲気下、トリエチルシラン(1mL、7.44mmol、3当量)および三フッ化ホウ素エーテル(0.44mL、4.96mmol、2当量)をこの順序で2(1.9g、2.48mmol、1当量)のCHCl溶液に加え、次いで温度−20℃に維持しながら4時間以上反応させた。NaCl(飽和水溶液)を加えて反応をクエンチした。混合物をCHCl(20mL×3)で抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濾液を蒸発乾燥させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液、石油エーテル:酢酸エチル=20:1)で精製し、目的化合物(1.67g、2.23mmol、89.9%)の黄色油状物を得た。H−NMR(400MHz,CDCl):δ7.26−7.40(16H,m),7.15−7.25(7H,m),7.04−7.06(4H,m),6.85−6.87(2H,m),5.89(1H,s),4.85−4.98(3H,m),4.75−4.77(1H,m),4.45−4.56(4H,m),4.32(1H,d,J=10.8Hz),3.97−4.09(4H,m),3.74(1H,t,J=10.4Hz),3.62−3.65(1H,m),3.54−3.57(1H,m),2.63−2.71(1H,m),2.59(2H,q,J=7.6Hz),1.21(3H,t,J=7.6Hz);MS(ESI)749[M+H],766[M+HO]
【0137】
(4)4(R=Et)の製造
【化20】

4(R=Et)
【0138】
0℃でアルゴン雰囲気下、ボランジメチルスルフィド錯体(2M、THF溶液)(1.678mL、3.34mmol、10当量)を3(250mg、0.334mmol、1当量)の乾燥THF(10mL)溶液に加え、次いで温めて1時間還流した。混合物を0℃にてNaOH(3M、HO溶液、1mL、3.34mmol、10当量)で処理し、次いで室温(30℃以上)にて30%H(0.11mL、3.34mmol、10当量)で処理し、室温(〜25℃)で一晩反応させた。NHCl(飽和水溶液)を混合物に加え、反応をクエンチした。混合物を酢酸エチル(10mL×3)で抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濾液を蒸発乾燥させた。残渣を分取TLCによって精製し、目的化合物4(108.8mg、0.142mmol、42.5%)の白色固形物を得た。H−NMR(400MHz,CDCl) δ7.29−7.40(15H,m),7.12−7.24(7H,m),7.03−7.07(4H,m),6.74(2H,d,J=6.8Hz),4.94(1H,d,J=10.8Hz),4.91(2H,s),4.46−4.58(4H,m),4.01−4.13(2H,m),3.83−3.93(3H,m),3.68−3.73(2H,m),3.52−3.62(2H,m),2.74(1H,t,J=10.8Hz),2.59(2H,q,J=7.6Hz),1.89−1.96(1H,m),1.19(3H,t,J=7.6Hz);MS(ESI)767[M+H],784[M+HO],789[M+Na]
【0139】
(5)5(R=Et)の製造
【化21】

5(R=Et)
【0140】
4(12mg、1.57×10−2mmol、1当量)のTHF:CHOH=2:1(9mL)溶液を、1,2−ジクロロベンゼン(1%mol)およびPd/C(10%質含有(quality containing)、12mg、100%質比率(quality ratio))で処理し、室温(30℃以上)でH雰囲気下、2時間以上撹拌した。反応をLC−MSによってモニターし、反応終了を確認した。混合物を濾過し、濾液を蒸発乾燥させた。残渣を分取HPLCによって精製し、目的化合物5(2.82mg、0.69×10−2mmol、収率43.9%)を白色固形物として得た。H−NMR(400MHz,CDOD) δ7.33(1H,d,J=8.0Hz),7.07−7.17(6H,m),4.05(2H,s),3.91(2H,d,J=3.2Hz),3.65(1H,t,J=10.4Hz),3.39−3.49(2H,m),3.31(1H,t,J=8.8Hz),2.51−2.62(3H,m),2.53(1H,m),1.19(3H,t,J=8.0Hz);MS(ESI):407[M+H],424[M+NH,448[M+H+CHCN],813[2M+H],(ESI):405[M−H],451[M+HCOO]
【0141】
下記の工程は、US2006/0063722A1に開示された手順に基づいて行った。
【0142】
(6)(5−ブロモ−2−クロロフェニル)(4−エチルフェニル)メタノン7の製造
【化22】

7(R=Et)
【0143】
市販の5−ブロモ−2−クロロ安息香酸(410g、1.74mol)を溶解した700mLのCHClの磁気撹拌した懸濁液を含む2Lの丸底フラスコに、塩化オキサリル(235g、1.85mol)を加え、次いで1.5mLのDMFを加えた。結果として生じたHClを捕捉するために、フラスコにチューブを取り付け、撹拌したKOH水溶液の表面上にガスを流した。2時間後にガスの活発な放出が終わった時、均一な反応溶液を一晩撹拌し、その後ロータリーエバポレーターを用いて真空下で揮発性物質を除去した。結果として生じた油状物は、その後の排気の間に凝固した。5−ブロモ−2−クロロベンゾイルクロリドの粗生成物を530mLのエチルベンゼンに溶解させた後、黄色溶液を−3℃まで冷却し、その後AlCl(257g、1.93mol)の〜30g分量を60分以上かけて加え、温度が10℃を超えないようにした。60%のAlClを加えた後に放出され始めた多量のHClガスを、撹拌した濃NaOH溶液上にガスを流すことによって捕捉した。反応溶液をより濃縮した場合、磁気撹拌機はAlClの添加終了の際に撹拌を維持することができなかった。1時間撹拌後、浴槽が〜15℃まで温まった時、浴槽を除去した。4時間後20℃で、濃いシロップを氷上(1.5kg)へ注いだ。次いで、撹拌した懸濁液が冷却した時点でHO(1L)を加え、その後1N HClで4回抽出し、1M KOHで3回抽出し、食塩水で2回抽出し、その後NaSOで乾燥した。最初にロータリーエバポレーターを用い、次いで1Torrで60℃に加熱することによって揮発性物質を除去した。結果として生じたダーク油のH−NMR分析によって、残渣がオルト/パラ異性体の1:14の混合物であることが分かった。ヘキサンに溶解し、次いでシリカゲルパッドを通して濾過することによって、大部分の色を除去した。溶離液の濃縮によって、560gを得た(99%の(5−ブロモ−2−クロロフェニル)(4−エチルフェニル)メタノン/(5−ブロモ−2−クロロフェニル)(2−エチルフェニル)メタノンの14:1の混合物)。
【0144】
(7)4−ブロモ−1−クロロ−2−(4−エチルベンジル)ベンゼン8の製造
【化23】

8(R=Et)
【0145】
EtSiH(400g、3.45mol)および〜7%の異性体のケトンを含む(5−ブロモ−2−クロロフェニル)(4−エチルフェニル)メタノン(534g、1.65mol)を溶解した30℃で300mLのTFA撹拌溶液に、CFSOH(1.5g、0.01mol)を加えた。数分以内に温度が上昇すると、溶液が激しく還流した。注意:この穏やかな発熱反応は、外部の氷浴で冷却する必要がある。1時間後、反応が90%終了したことがHPLCによって分かった。さらにEtSiH(20g)を加え、70℃で一晩加熱した後、反応が>95%終了したことがHPLC分析によって分かった。冷却した時点で、揮発性物質を減圧下でバルブトゥバルブ(bulb to bulb)蒸留によって除去した。結果として生じた〜1Lの淡灰色の油状物を、1LのHOへ注いだ。混合物をヘキサンで3回抽出し、合わせた有機層をHOで3回、NaCO水溶液で2回、および食塩水で2回洗浄し、その後NaSOで乾燥した。ロータリーエバポレーターを用いて濃縮した後、〜1Lの透明な淡い琥珀色の油状物が残った。この物質をさらに濃縮し、蒸留ヘッドの温度が75℃に達するまで蒸留によって(EtSi)O(450mL)を除去し、残渣を冷却した。残渣のHNMR分析によって、ジアリールメタンと(EtSi)Oの〜8:1の混合物が含まれていることが分かった。この混合物の結晶化は、85%EtOH:HO(1.2L)の勢いよく撹拌した冷却(10℃)混合液に生成物を注ぐことによって達成した。数時間撹拌後、結晶を濾過によって収集し、冷却した1:1のEtOH/HOで洗浄し、真空下で乾燥した。4−ブロモ−1−クロロ−2−(4−エチルベンジル)ベンゼン(500g)は、〜1%(EtSi)Oを含む低融点の固体として得られ、さらに精製することなく用いた。
【実施例2】
【0146】
本実施例は、(1R,2R,3S,4R,5R,6S)−4−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトラオール(9)の製造を例証するものである。
【化24】


【0147】
化合物9は、実施例1に記載した方法と類似の方法によって製造した:H−NMR(400MHz,CDOD):δ7.32(1H,d,J=8.0)、7.11−7.16(4H,m),6.79(2H,d,J=6.8Hz),3.96−4.02(4H,m),3.91(1H,d,J=3.2Hz),3.63(1H,t,J=10.4Hz),3.39−3.47(2H,m),3.32(1H,t,J=8.8Hz),2.54(1H,t,J=10.4Hz),1.53(1H,tt,J=3.2,10.4Hz),1.36(3H,t,J=7.2Hz);MS(ESI):423[M+H],440[M+NH,845[2M+H],862[2M+NH,(ESI):467[M+HCOO]
【実施例3】
【0148】
本実施例は、(1R,2R,3S,4R,5R,6S)−4−(4−クロロ−3−(4−シクロプロピルベンジル)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトラオール(10)の製造を例証するものである。
【化25】

10
【0149】
化合物10は、実施例1に記載した方法と類似の方法によって製造した:H NMR(400MHz,CDCl):δ7.33(1H,d,J=8.0Hz),7.16−7.12(2H,m),7.09(2H,d,J=8.0Hz),6.96(2H,d,J=8.0Hz),4.04(2H,s),3.91(2H,d,J=3.2Hz),3.65(1H,t,J=10.6Hz),3.48(1H,t,J=10.0Hz),3.42(1H,t,J=10.0Hz),3.32(1H,t,J=9.0Hz),2.54(1H,t,J=10.8Hz),1.87−1.82(1H,m),1.57−1.51(1H,m,),0.94−0.89(2H,m),0.64−0.60(2H,m);
MS(ESI):419[M+H],436[M+NH
【実施例4】
【0150】
本実施例は、(1R,2R,3S,4R,5R,6S)−4−(4−クロロ−3−(4−プロピルベンジル)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトラオール(11)の製造を例証するものである。
【化26】

11
【0151】
化合物11は、実施例1に記載した方法と類似の方法によって製造した:H NMR(400MHz,CDCl):δ7.35(1H,d,J=8.4Hz),7.20(1H,d,J=1.6Hz),7.16−7.13(3H,m),7.08(2H,d,J=8.0Hz),4.07(2H,s),3.93(2H,d,J=3.2Hz),3.67(1H,t,J=10.4Hz),3.49(1H,t,J=10.4Hz),3.43(1H,t,J=10.4Hz),3.33(1H,t,J=9.0Hz),2.58−2.53(3H,m),1.67−1.58(2H,m),1.58−1.52(1H,m),0.94(3H,t,J=7.2Hz);MS(ESI):438[M+NH
【実施例5】
【0152】
本実施例は、(1R,2R,3S,4R,5R,6S)−4−(4−クロロ−3−(4−シクロヘキシルベンジル)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトラオール(12)の製造を例証するものである。
【化27】

12
【0153】
化合物12は、実施例1に記載した方法と類似の方法によって製造した:H NMR(400MHz,CDCl):δ7.34(1H,d,J=8.0Hz),7.19(1H,d,J=2.0Hz),7.15−7.12(3H,m),7.09(2H,d,J=8.4Hz),4.05(2H,s),3.92(2H,d,J=3.2Hz),3.66(1H,t,J=10.6Hz),3.48(1H,t,J=10.0Hz),3.43(1H,t,J=10.2Hz),3.32(1H,t,J=9.0Hz),2.55(1H,t,J=10.6Hz),2.48−2.42(1H,m),1.84−1.81(4H,m),1.76−1.73(1H,m),1.57−1.50(1H,m),1.47−1.36(4H,m),1.34−1.22(1H,m);MS(ESI):478[M+NH
【実施例6】
【0154】
本実施例は、(1R,2S,3S,6R)−4−(4−クロロ−3−(4−(3−シクロプロピルプロプ−2−イニルオキシ)ベンジル)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘクス−4−エン−1,2,3−トリオール(13)の製造を例証するものである。
【化28】

13
【0155】
H−NMR(400MHz,CDOD):δ7.27−7.31(2H,m),7.20−7.23(1H,m),7.09(2H,d,J=8.8Hz),6.82−6.84(2H,m),5.83−5.84(1H,m),4.02(2H,dd,J=14.8Hz),3.83−3.86(1H,m),3.48−3.65(3H,m),2.36(1H,b),0.72−0.77(2H,m),0.57−0.60(2H,m);MS(ESI):472[M+NH,479[M+Na],(ESI):499[M+HCOO]
【実施例7】
【0156】
本実施例は、図4に概略を示した合成方法を用いた(2S,3S,4R,5R,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサノン(15)の製造を例証するものである。
【化29】

15
【0157】
(1R,2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)−2−(ベンジルオキシメチル)−6−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)シクロヘキサノール(4、R=Et)(1.0g、1.3mmol)の無水CHCl(20mL)溶液にデス・マーチン試薬(MW424.5、白色粉末、1.5当量)を0℃で加え、次いで混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を1N NaOHでクエンチし、分離し、水層をCHClで抽出した。有機層を合わせて、NaSOで乾燥し、濾過した。濾液を蒸発乾燥させ、残渣を分取TLCによって精製し、化合物14(0.92g、白色固形物、純度95%、収率92.3%)を得た。H−NMR(400MHz,CDCl):δ7.29−7.37(14H,m),7.13−7.23(5H,m),7.03−7.08(4H,dd,J=8.4Hz),6.97−6.99(2H,m),6.76(2H,d,J=7.6Hz),4.91−4.95(3H,m),4.64(1H,d,J=10.8Hz),4.50−4.57(3H,m),3.91−4.14(6H,m),3.74−3.76(3H,m),2.80(1H,d,J=8.4Hz),2.58(2H,dd,J=7.6Hz),1.20(3H,t,J=7.6);MS(ESI):765[M+H],782[M+HO],787[M+Na]
【0158】
14(0.92g、純度95%、1.20mmol、1当量)のTHF:CHOH(2:1)(12mL)溶液を1,2−ジクロロベンゼン(0.354g、0.3mL、2.41mmol、2当量)およびPd/C(10%、74mg、8重量%)で処理し、室温(約25℃)でH雰囲気下、4時間以上撹拌した。LC−MSによって反応を終了までモニターした。混合物を濾過し、濾液を蒸発乾燥させた。残渣(黄色油状物)を分取HPLCによって精製し、化合物15(450mg、白色固形物、純度98%、収率92.6%)を得た。H−NMR(400HMz,CDOD):δ7.34(1H,d,J=8.0Hz),6.99−7.12(6H,m),4.05(2H,s),3.98(1H,dd,J=2.8,10.8Hz),3.88(1H,dd,J=5.6,11Hz),3.77−3.81(2H,m),3.57−3.67(2H,m),2.65−2.79(1H,m),2.59(2H,d,J=7.6,15.2Hz),1.20(3H,t,J=7.6Hz);MS(ESI):405[M+H],422[M+NH,(ESI):403[M−H],449[M+HCOO]
【実施例8】
【0159】
(1R,2R,3S,4S,5R,6R)−4−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)−5−メトキシシクロヘキサン−1,2,3−トリオール(16)の製造
【化30】

16
【0160】
(1)4−((1R,2S,3R,4R,5S,6R)−2,3,4−トリス(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−6−メトキシシクロヘキシル)−2−(4−エチルベンジル)−1−クロロベンゼンの製造:
【0161】
(1R,2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)−2−(ベンジルオキシメチル)−6−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)シクロヘキサノール(4、R=Et、2g、2.61mmol)の無水THF(10mL)溶液に、NaH(157g、1.5当量、油中にて60%含有)を0℃で加えた。同一温度で1時間撹拌後、TBAI(0.1当量)およびCHI(760mg、2当量)を反応混合物に加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。飽和NHCl水溶液を加えて反応をクエンチし、生じた混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、濾液を蒸発乾燥させた。残渣(黄色油状物、2.05g)をTHF:CHOH=2:1溶液に溶解し、1,2−ジクロロベンゼン(1%mol比)およびPd/C(10%、1/1重量比)で処理し、室温でH雰囲気下、2時間以上撹拌した。LC−MSによって反応を終了までモニターした。混合物を濾過し、濾液を蒸発乾燥させ、分取HPLCによって精製し、目的化合物16(987mg、白色固形物、収率90.0%)を得た。H−NMR(400MHz,CDCOCD):δ7.32−7.34(2H,m),7.22(1H,dd,J=2.4,8.0Hz),7.12(4H,dd,J=8.4Hz),4.15(2H,s),3.93−3.98(1H,m),3.70−3.75(1H,m),3.65−3.67(1H,m),3.54−3.60(2H,m),3.37(1H,t,J=10.4Hz),3.30(1H,t,J=8.8Hz),2.84(3H,s),2.52−2.65(3H,m),1.51−1.58(1H,m),1.17(3H,t,J=7.2Hz);MS(ESI):421[M+H],438[M+NH,841[2M+H],858[2M+NH,(ESI):465[M+HCOO]
【実施例9】
【0162】
((1S,2R,3R,4S,5R,6R)−3−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロキシシクロヘキシル)メチルアセテート(17)の製造
【化31】

17
【0163】
(1R,2R,3S,4R,5R,6S)−4−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトラオール(5、R=Et,1g、2.46mmol)およびDMAP(触媒量)のCHCl(10mL)溶液にAcO(377mg、1.5当量)を0℃で滴加し、次いでピリジン(292mg、1.5当量)を滴加し、混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を3N HClで洗浄し、有機層を合わせて、NaSOで乾燥し、濾過し、濾液を蒸発乾燥させた。残渣を分取HPLCによって精製し、目的化合物(566mg、白色固形物、収率50.4%)を得た。H−NMR(400MHz,CDOD):δ7.32(1H,d,J=8.4Hz),7.06−7.14(6H,m),4.37(2H,ddd,J=2.0,10.8,16.8Hz),4.04(2H,s),3.57(1H,t,J=10.8Hz),3.40−3.47(1H,m),2.49−2.60(3H,m),2.04(3H,s),1.60−1.66(1H,m),1.18(3H,t,J=8.0Hz);MS(ESI):449[M+H],466[M+NH,897[2M+H],(ESI):492[M+HCOO],941[2M+HCOO]
【実施例10】
【0164】
(4aR,5R,6R,7S,8S,8aR)−8−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)−2,2−ジメチルヘキサヒドロ−4H−ベンゾ[d][1,3]ダイオキシン−5,6,7−トリオール(18)の製造。
【化32】

18
【0165】
(1R,2R,3S,4R,5R,6S)−4−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトラオール(5、R=Et、1g、2.46mmol)のMeOH(80mL)およびアセトン(20mL)溶液に1N HCl(5mL)を滴加し、一晩撹拌し、次いで混合物を蒸発乾燥させた。残渣を分取HPLCによって精製し、目的化合物(864mg、白色固形物、収率75.3%)を得た。H−NMR(400MHz,CDCOCD):δ7.26−7.29(2H,m),7.10−7.16(5H,m),3.74−4.21(6H,m),3.46−3.51(1H,m),3.35−3.37(1H,m),2.56−2.66(3H,m),1.72−1.75(1H,m),1.28(3H,s),1.18(3H,t,J=7.6Hz),1.13(3H,s);MS(ESI):447[M+H],488[M+H+CHCN],910[2M+NH,491[M+HCOO],937[2M+HCOO]
【実施例11】
【0166】
(1S,2R,3R,4S,5R,6R)−4−(アセトキシメチル)−6−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトライルテトラアセテート(19)の製造。
【化33】

19
【0167】
化合物19は、実施例20に記載した化合物5(R=Et)から製造した。H−NMR(400MHz,CDCl):δ7.29(1H,d,J=8.4Hz),7.30−7.12(6H,m),5.27−5.38(3H,m),5.20(1H,t,J=9.6Hz),4.03−4.06(3H,m),3.93−3.96(1H,m),2.98(1H,t,J=11.6),2.61(2H,q,J=7.6Hz),2.14−2.20(1H,m),2.08(3H,s),2.06(3H,s),2.00(3H,s),1.66(6H,s),1.21(3H,t,J=7.6Hz);MS(ESI):617(M+H),934[M_NH,(ESI):661[M+HCOO]
【実施例12】
【0168】
本実施例は、図5に概略を示した合成方法を用いた(1R,2R,3R,4S,5S)−1−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)−5−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3,4,5−ペンタオール(22、R=Et)の製造を提供する。
【化34】

22(R=Et)
【0169】
化合物22は、実施例1に記載した方法と類似の方法によって製造した。H−NMR(400MHz,CDOD):δ7.45(1H,s),7.32−7.33(2H,m),7.05−7.10(4H,m),4.05(2H,s),3.86(1H,t,J=9.6Hz),3.67(1H,d,J=9.2Hz),3.54−3.57(2H,m),3.31−3.35(2H,m),2.57(2H,q,J=8.0Hz),2.00(1H,d,J=15.2Hz),1.81(1H,d,J=15.2Hz),1.18(3H,t,J=8.0Hz)。
【実施例13】
【0170】
(1R,2R,3R,4S,5S)−1−(3−(4−エチルベンジル)フェニル)−5−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3,4,5−ペンタオール(23)の製造。
【化35】

23
【0171】
化合物23は、実施例12に記載した方法と類似の方法によって製造した。H−NMR(400MHz,CDOD):δ7.39(1H,s),7.29−7.31(1H,m),7.21−7.25(1H,m),7.03−7.11(5H,m),3.92(2H,s),3.88(1H,t,J=9.2Hz),3.72(1H,d,J=9.6Hz),3.56(1H,d,J=10.4Hz),3.32−3.35(1H,m),2.58(2H,q,J=7.6Hz),2.02(1H,d,J=15.2Hz),1.82(1H,d,J=15.2Hz),1.18(3H,t,J=7.6Hz)。
【実施例14】
【0172】
本実施例は、図6に概略を示した(1R,2S,3R,4R,5S,6R)−4−(4−クロロ−2−(4−エチルベンジル)フェノキシ)−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトラオール(29)の製造を例証するものである。
【化36】

29
【0173】
(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)(4−エチルフェニル)メタノン
【化37】

24
【0174】
室温でアルゴン雰囲気下、2−メトキシ−5−クロロ安息香酸(2.0g、10.5mmol)の乾燥CHCl(10mL)溶液を撹拌した。塩化オキサリル(2.0g、15.8mmol)を反応混合物に滴加し、次いでDMF(0.04mL)を滴加した。一晩撹拌後、ロータリーエバポレーターを用いて揮発性物質を蒸発させ、室温でアルゴン雰囲気下、残渣を乾燥CHCl(10mL)に溶解した。−5℃まで冷却後、エチルベンゼン(2.57mL、21mmol)を加え、次いで反応温度を−5℃〜0℃に維持しながらAlCl(2.80g、21mmol)を分割して(portionwise)加えた。反応混合物を室温で4時間撹拌し、次いで氷水へ注ぎ、CHCl(50mL×2)で抽出した。次いで、有機層を1N HCl(50mL)、1N NaOH(50mL)、水(50mL)および食塩水(50mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥した。濾液を濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(PE:EA=10:1)によって精製し、目的化合物(1.944g)を得た。
【0175】
4−クロロ−2−(4−エチルベンジル)フェノール
【化38】

25
【0176】
EtSiH(2.26mL、14.2mmol)および(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)(4−エチルフェニル)メタノン(1.944g、7.08mmol)を溶解した10mLのTFAの撹拌した0℃の溶液に、温度を約0℃に維持しうる速度でCFSOH(30μL)を加えた。添加終了後、混合物を室温まで温め、室温で一晩撹拌した。減圧下で揮発性物質を蒸発させた後、残渣を酢酸エチルおよび水に分配した。有機層を分離し、水、NaCO水溶液、食塩水で洗浄し、次いでNaSOで乾燥し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(PE:EA=10:1)によって精製し、目的化合物(1.659g)を得た。
【0177】
((1S,2S,3R,6R)−4−(ベンジルオキシメチル)−6−(4−クロロ−2−(4−エチルベンジル)フェノキシ)シクロヘクス−4−エン−1,2,3−トリイル)トリス(オキシ)トリス(メチレン)トリベンゼン(27)
【化39】

27
【0178】
アルゴン気流中、室温で4−クロロ−2−(4−エチルベンジル)フェノール(345mg、1.400mmol)のTHF(6mL)溶液に、(1S,4R,5S,6S)−4,5,6−トリス(ベンジルオキシ)−3−(ベンジルオキシメチル)シクロヘクス−2−エノール(0.5g、0.933mmol)およびトリフェニルホスフィン(367mg、1.400mmol)を加えた。そこへ、同一温度でDIAD(0.276mL、1.400mmol)を加えた。反応混合物を48時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、得られた残渣を分取LC−MSによって精製し、157mgの((1S,2S,3R,6R)−4−(ベンジルオキシメチル)−6−(4−クロロ−2−(4−エチルベンジル)フェノキシ)シクロヘクス−4−エン−1,2,3−トリイル)トリス(オキシ)トリス(メチレン)トリベンゼン(27)を得た。
【0179】
(1S,2S,3R,4S,5R,6R)−3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)−2−(ベンジルオキシメチル)−6−(4−クロロ−2−(4−エチルベンジル)フェノキシ)シクロヘキサノール(28)
【化40】

28
【0180】
((1S,2S,3R,6R)−4−(ベンジルオキシメチル)−6−(4−クロロ−2−(4−エチルベンジル)フェノキシ)シクロヘクス−4−エン−1,2,3−トリイル)トリス(オキシ)トリス(メチレン)トリベンゼン(27、150mg、0.196mmol)の撹拌した0℃のTHF溶液に、BHOEt(2M、0.98mL、1.962mmol)を滴加した。0℃で2時間撹拌後、混合物を25℃まで温め、一晩撹拌した。0℃で反応混合物にH(30%、4.2mL)を加え、次いでNaOH水溶液(1M、3.93mL、3.93mmol)を加えた。添加終了後、反応混合物を25℃まで温め、3時間撹拌した。希HCl(1N、10mL)を加えることによって反応をクエンチし、酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。有機層を水および食塩水で洗浄し、その後、無水NaSOで乾燥した。残渣を分取TLC(EA:PE=1:8 v/v)によって精製し、59mgの(1S,2S,3R,4S,5R,6R)−3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)−2−(ベンジルオキシメチル)−6−(4−クロロ−2−(4−エチルベンジル)フェノキシ)シクロヘキサノール(28)を得た。
【0181】
(1R,2S,3R,4R,5S,6R)−4−(4−クロロ−2−(4−エチルベンジル)フェノキシ)−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトラオール(29)
【化41】

29
【0182】
(1S,2S,3R,4S,5R,6R)−3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)−2−(ベンジルオキシメチル)−6−(4−クロロ−2−(4−エチルベンジル)フェノキシ)シクロヘキサノール(28、55mg、0.070mmol)を含むフラスコに、14mLのTHFおよびメタノール(1:1)を加えた。反応混合物に、55mgのPd/C(10%)を一度に(in one portion)加えた。混合物をHで5回脱気し、得られた懸濁液をH雰囲気下、周囲温度で3時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濃縮し、残渣を分取LC−MSによって精製し、25mgの(1R,2S,3R,4R,5S,6R)−4−(4−クロロ−2−(4−エチルベンジル)フェノキシ)−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトラオール(29)を得た。H−NMR(DO):δ7.22〜7.2(1H,d,J=9.2Hz),7.17〜7.11(4H,q),7.08〜7.06(1H,dd),6.92〜6.91(1H,d,J=3.2Hz),4.11〜4.08(1H,t J=9.2Hz),4.01(2H,s),3.92〜3.91(2H,m),3.69〜3.665(1H,dd,J=10.8,8.8Hz),3.46〜3.39(2H,m),3.35〜3.30(1H,m),2.66〜2.58(2H,q),1.52〜1.46(1H,tt),1.24〜1.19(3H,t)。
【実施例15】
【0183】
(1R,2S,3R,4R,5S,6R)−4−(2−(4−エチルベンジル)フェノキシ)−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトラオール(30)の製造。
【化42】

30
【0184】
化合物30は、実施例14に記載した方法と類似の方法によって製造した。H−NMR(DO):δ7.24〜7.22(1H,d,J=8Hz),7.17〜7.08(5H,m),7.02〜6.99(1H,d,J=7.2Hz),6.83〜6.79(1H,t,J=7.2Hz),4.14〜4.09(1H,t,J=9.2Hz),4.03(2H,s),3.94〜3.87(2H,m),3.68〜3.63(1H,dd,J=10.8,9.2Hz),3.46〜3.38(2H,m),3.34〜3.30(1H,m),2.62〜2.56(2H,q),1.53〜1.46(1H,tt),1.22〜1.18(3H,t)。
【実施例16】
【0185】
(1R,2S,3R,4R,6R)−4−(3−(4−エチルベンジル)フェニル)−4−フルオロ−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3−トリオール(31)の製造
【化43】

2(R=Et) 31
【0186】
−78℃でAr雰囲気下、2(30mg)のCHCl(1mL)溶液にDAST(7μL)を加えた。2時間後、混合物にMeOH(0.5mL)を加え、次いでそれを室温まで温めた。残渣に飽和NaCl水溶液(5mL)を加え、混合物を酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を蒸発させ、残渣をMeOH/THF(1:1、5mL)に溶解し、次いでH雰囲気下、Pd/C 10%(10mg)で処理した。4時間後、分取HPLCによって化合物31(1.4mg)を単離した。H−NMR(300MHz):δ7.18−7.01(8H,m),3.90−3.86(3H,m),3.77−3.72(1H,m),3.61−3.31(3H,m),2.62−2.54(2H,q,J=7.5Hz),2.45−2.60(2H,m),1.53(1H,m),1.20−1.17(3H,t,J=7.6Hz);MS(ESI):375[M+H],392[M+HO],416[M+CHCN+H]
【実施例17】
【0187】
(1R,2S,3S,6S)−4−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)−6−(フルオロメチル)シクロヘクス−4−エン−1,2,3−トリオール(33)の製造
【化44】

【0188】
−78℃でAr雰囲気下、3(R=Et)(122mg)のCHCl(5mL)溶液にBBr(0.33mL)を滴加した。2時間撹拌後、混合物に飽和NaHCO水溶液(1mL)を加え、次いで室温まで温め、酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥し、濃縮し、分取HPLCによって精製し、18mgの化合物32を得た。H−NMR(400MHz):δ7.33−7.30(2H,m),7.25−7.23(1H,m),7.10(4H,s),5.85(1H,d),4.58(2H,s),4.51−4.49(1H,m),4.12−4.01(2H,q,J=15.2Hz),3.89−3.85(1H,dd,J=4,10.4Hz),3.68−3.53(3H,m),2.63−2.57(2H,q,J=7.6Hz),1.23−1.19(3H,t,J=7.6Hz);MS(ESI):406[M+HO]
【0189】
−78℃でAr雰囲気下、32(11mg)のCHCl(2mL)溶液をDAST(3当量、0.02mL)で処理した。2時間後、混合物にMeOH(0.5mL)を加え、次いで室温まで温めた。残渣に飽和NaCl水溶液(5mL)を加え、水溶液部分を酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を蒸発させ、残渣を分取HPLCによって精製し、1.8mgの化合物33を得た。1H−NMR(400MHz) δ7.30−7.08(7H,m),5.85(1H,m),4.59−4.57(1H,m),4.54(2H,s),4.13−4.03(2H,q,J=15.2Hz),3.90−3.86(1H,dd,J=4,10.4Hz),3.70−3.58(3H,m),2.60−2.55(2H,q,J=7.6Hz),1.22−1.18(3H,t,J=7.6Hz);MS(ESI):391[M+H];408[M+HO]
【実施例18】
【0190】
本実施例は、図7に概略を示した(1R,2R,3S,4S,6R)−4−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)−5−メチレンシクロヘキサン−1,2,3−トリオール(35)の製造を例証するものである。
【0191】
実施例18および19において、合成した化合物の構造は下記の手順を用いて確認した:H NMRデータは、Varian Mercury 300分光計を用いて300MHzで得、化学シフトは内部のTMSを基準とした。Shimadzu LC-10AD vpシリーズHPLCポンプおよび二波長UV検出器、Gilson 215オートサンプラー、Sedex 75c蒸発光散乱(ELS)検出器、PE/Sciex API 150EX質量分析計からなる計測装置を用いて、液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化質量分析(LC−ESI−MS)を行った。ELS検出器は温度40℃、ゲイン設定7、N圧を3.3atmに設定した。ターボイオンスプレー源(Turbo IonSpray source)はAPI 150を利用し、イオンスプレー電圧を5kV、温度を300℃、オリフィス電圧およびリング電圧をそれぞれ5Vおよび175Vとした。陽イオンをQ1にて160〜650m/zの範囲でスキャンした。各試料について、Phenomenex Gemini 5μm C18カラムに5.0μLを注入した。移動相は、HPLCグレードの水(A)およびHPLCグレードのアセトニトリル(B)の両方に0.05%のギ酸が含まれ、下記のグラジエントを用いて流速2mL/分で行った:0.00分、95%A、5%B;4.00分、0%A、100%B;5.80分、0%A、100%B;6.00分、95%A、5%B;7.00分、95%A、5%B。
【0192】
(2R,3R,4R,5S,6S)−3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)−2−(ベンジルオキシメチル)−6−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)シクロヘキサノン(14)の製造:
【0193】
tert−ブタノール(28.2μL、296μMol)のジクロロメタン(4mL)溶液に、デス・マーチン・ペルヨージナン[1,1,1−トリス(アセチルオキシ)−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3−(1H)−オン](116mg、274μMol)を加え、生じた混合物をアルゴン雰囲気下、室温で10分間撹拌した。混合物にアルコール4(R=Et、異性体の混合物)のジクロロメタン(2mL)溶液を加え、室温で3時間撹拌した。混合物を4mLの酢酸エチルで希釈し、1.5:1:1の飽和亜硫酸ナトリウム:飽和炭酸水素ナトリウム:食塩水の水溶液(3.5mL)で1時間勢いよく撹拌した。相を分離し、水相を酢酸エチル(3mL)で再抽出した。合わせた有機相を食塩水(2mL)で洗浄し、乾燥させ(無水NaSO)、濾過し、蒸発させた。展開溶媒としてジクロロメタンを用いた分取TLCによって、91mg(52%)の化合物14を白色固形物として得た。H NMR(300MHz,CDCl) δ7.35−6.90(m,25H),6.80(m,2H),4.96(m,3H),4.55(m,4H),4.11(m,3H),3.94(m,2H),3.79(m,3H),3.47(s,1H),2.83(m,1H),2.62(q,J=7.8Hz,2H),1.16(t,J=7.5Hz,3H)。LC−ESI−MS m/z 766(M+H),788(M+Na)。
【0194】
((1S,2R,3R,4R,6S)−4−(ベンジルオキシメチル)−6−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)−5−メチレンシクロヘキサン−1,2,3−トリイル)トリス(オキシ)トリス(メチレン)トリベンゼン(34):
【0195】
窒素ブランケット下、バイアル中の0.5mLの無水THFに、シクロ−ジブロモジ−μ−メチレン[μ−(テトラヒドロフラン)]三亜鉛[Nysted試薬](179mg、151μL、78μmol、20重量%のTHF懸濁液)を加え、生じた混合物を−78℃まで冷却した。この混合物に、(2R,3R,4R,5S,6S)−3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)−2−(ベンジルオキシメチル)−6−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)シクロヘキサノン(14、40mg、52μmol)の0.5mL無水THF溶液を、次いでTiCl(78μL、78μmol、1M、DCM溶液)を滴加様式にて加えた。混合物を−78℃で20分間撹拌し、次いで冷却槽を除去し、混合物を室温で3時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2mL)を加え、生じた混合物を30分間撹拌した。混合物を酢酸エチル(2×4mL)に抽出し、有機層を食塩水(2mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、蒸発させた。分取TLC(8:1 H/EtOAc)によって、25mg(63%)の化合物34を得た。H NMR(300MHz,CDCl) δ7.34−6.99(m,25H),6.63(m,2H),5.14(s,1H),4.90(m,1H),4.53(m,5H),4.2(m,3H),3.78(m,3H),3.60(m,2H),3.47(s,1H),3.35(m,1H),2.56(q,J=7.8Hz,2H),2.42(m,1H),1.16(t,J=7.5Hz,3H)。LC−ESI−MS m/z 764(M+H),786(M+Na)。
【0196】
(1R,2R,3S,4S,6R)−4−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)−5−メチレンシクロヘキサン−1,2,3−トリオール(35):
【0197】
−78℃で窒素ブランケット下、バイアル中の((1S,2R,3R,4R,6S)−4−(ベンジルオキシメチル)−6−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)−5−メチレンシクロヘキサン−1,2,3−トリイル)トリス(オキシ)トリス(メチレン)トリベンゼン(34、24mg、31.4mmol)の無水DCM(0.8mL)の溶液に、BCl(1M、DCM溶液、0.25mL)を15分以上かけて滴加した。生じた混合物を−78℃で30分間撹拌し、−20℃までゆっくりと温めた。生じた混合物を−20℃でさらに30分間撹拌した。この時点で、LC−MSは反応が終了したことを表した。溶液を−78℃まで冷却し、メタノール(1mL)をゆっくりと加えた。得られた溶液を室温まで温め、減圧下で濃縮した。残渣を0.5mLの1:1のDCM:MeOHに溶解し、分取TLCプレートに乗せ、15:1(DCM:MeOH)に展開し、9mg(71%)の化合物35を白色固形物として得た。H NMR(300MHz,CDCl) δ7.29−6.89(m,7H),4.80(s,1H),4.28(s,1H),3.95(m,4H),3.64(m,2H),3.51(m,3H),3.22(m,1H),2.58(q,J=7.2Hz,2H),2.25(m,1H),1.18(t,J=7.5Hz,3H)。LC−ESI−MS m/z 425(M+Na)。
【実施例19】
【0198】
本実施例は、図8に概略を示した(4S,5S,6R,7R,8R)−4−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)−8−(ヒドロキシメチル)スピロ[2.5]オクタン−5,6,7−トリオール(37)の製造を例証するものである。
【0199】
(4R,5R,6R,7S,8S)−5,6,7−トリス(ベンジルオキシ)−4−(ベンジルオキシメチル)−8−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)スピロ[2.5]オクタン(36):
【0200】
−10℃で窒素雰囲気下、((1S,2R,3R,4R,6S)−4−(ベンジルオキシメチル)−6−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)−5−メチレンシクロヘキサン−1,2,3−トリイル)トリス(オキシ)トリス(メチレン)−トリベンゼン(34、25mg、32.7μmol)の勢いよく撹拌した無水トルエン(2mL)溶液に、2Mのジメチル亜鉛溶液(146μL、291μmol)を滴加し、15分間撹拌した。ジヨードメタン(47μL、583μmol)を滴加し、生じた混合物を一晩撹拌した。40%の生成物形成が観察された。さらなるジメチル亜鉛(48時間以上かけて2バッチにて18当量以上)およびジヨードメタン(48時間以上かけて2バッチにて35当量)を加えると、反応の96時間後、反応の80%が終了した。飽和NHCl溶液(1mL)を加え、混合物を30分間撹拌した。混合物を水(1mL)で希釈し、酢酸エチル(3×1mL)に抽出した。合わせた有機抽出物を10%硫酸(1.5mL)、飽和NaHCO(1.5mL)および食塩水(1.5mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、蒸発させた。分取TLC(9:1 ヘキサン:酢酸エチル)によって85%の化合物36を得、次の反応に直接用いた。
【0201】
(4S,5S,6R,7R,8R)−4−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)−8−(ヒドロキシメチル)スピロ[2.5]オクタン−5,6,7−トリオール(37):
【0202】
(4R,5R,6R,7S,8S)−5,6,7−トリス(ベンジルオキシ)−4−(ベンジルオキシメチル)−8−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)スピロ[2.5]オクタン(36、20mg、25.7μmol)を溶解したTHF(0.2mL)およびメタノール(0.8mL)の混合溶液に、1,2−ジクロロベンゼン(58μL、515μmol)を加え、次いで14mgのパラジウムチャコール(10%)を加えた。混合物を1気圧の水素下で40分間撹拌した。混合物を6mLシリンジ内のセライトの小型パッドを通して濾過し、セライトパッドをメタノール(1mL)で洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を分取TLCプレート(8:1のDCM:EtOH)で精製し、4mg(37%)の化合物37を白色固形物として得た。H NMR(300MHz,CDCl) δ7.27−6.85(m,7H),4.01(s,2H),3.80(m,2H),3.63(m,H),3.35(d,J=5.1Hz,2H),3.02(d,J=11.1hz,1H),2.62(q,J=7.5Hz,2H),2.06(m,1H),1.21(t,J=7.5Hz,3H),0.40(m,1H),0.29(m,1H),0.076(m,1H),−0.326(m,1H)。LC−ESI−MS m/z 418(M+H),440(M+Na)。
【実施例20】
【0203】
本実施例は、化合物5(R=Et)の大規模な製造を例証するものである。
【0204】
(1R,2R,3S,4R,5R,6S)−4−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトラオールの製造
【化45】

5(R=Et)
【0205】
(1)(4R,5S,6R)−4,5,6−トリス(ベンジルオキシ)−3−(ベンジルオキシメチル)シクロヘクス−2−エノンの製造
【化46】

【0206】
室温でアルゴン雰囲気下、(3S,4S,5S,2R)−5−ヒドロキシ−5−[(フェニルメトキシ)メチル]−2,3,4−トリス(フェニルメトキシ)シクロヘキサン−1−オン(580.0g、1.051mol)の無水塩化メチレン(3.6L)溶液に、無水トリフルオロ酢酸(331.1g、222mL、1.577mol)を加え、次いでピリジン(149.7g、153mL、1.892mol)を加えた。混合物を室温で24時間撹拌し、氷水(1.0L)を加えることによってクエンチした。有機層を分離し、水層を塩化メチレン(3×2L)で抽出した。合わせた有機層を炭酸水素ナトリウム(飽和水溶液 3×0.5L)、食塩水(飽和水溶液 3×1.0L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して黄色油状物(476.7g、純度90%、収率85%)を得た。H NMR(CDCl,400MHz):δ7.26−7.48(m,20H),6.26(s,1H),5.15(d,J=11.2Hz,1H),5.05(d,J=10.8Hz,1H),4.95(d,J=10.8Hz,1H),4.77−4.81(m,2H),4.72(d,J=11.2Hz),4.55(S,2H),4.40−4.42(m,1H),4.31(d,J=16Hz,1H),4.03−4.13(m,3H)。
【0207】
(2)(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)マグネシウムブロミドの製造
【化47】

【0208】
アルゴン雰囲気下、三つ口フラスコにマグネシウム粉末(34.7g、1.446mol)を入れ、次いで2−(4−エチルベンジル)−4−ブロモ−1−クロロベンゼン(122.5g、0.398mol)の無水テトラヒドロフラン溶液の一部(0.4L)、および1,2−ジブロモエタン(2.89g、1.34mL、0.015mol)を加えた。混合物を加熱還流し、反応開始(発熱反応で、マグネシウムを消費する)後、2−(4−エチルベンジル)−4−ブロモ−1−クロロベンゼン(245.0g、0.796mol)の無水テトラヒドロフラン溶液の残り(0.81L)を滴加した。次いで、大部分のマグネシウムが消費されるまで、穏やかに還流しながら混合物をさらに1時間反応させた。
【0209】
(3)(1R,4R,5S,6R)−4,5,6−トリス(ベンジルオキシ)−3−(ベンジルオキシメチル)−1−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)シクロヘクス−2−エノールの製造
【化48】

【0210】
室温(約25℃)でアルゴン雰囲気下、前記のステップから得られたグリニャール試薬を、(4R,5S,6R)−4,5,6−トリス(ベンジルオキシ)−3−(ベンジルオキシメチル)シクロヘクス−2−エノン(476.7g、純度90%、0.893mol)の無水テトラヒドロフラン(1.0L)溶液に滴加し、混合物を3時間撹拌した。塩化アンモニウム(飽和水溶液、100mL)を加え、混合物を酢酸エチル(3×1L)で抽出した。有機層を食塩水(3×0.5L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、黄色油状物(614g、収率90%)を得た。(1R,4R,5S,6R)−4,5,6−トリス(ベンジルオキシ)−3−(ベンジルオキシメチル)−1−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)シクロヘクス−2−エノールの粗生成物を、次のステップに直接用いた。MS(ESI)(m/z):782(M+18),787(M+23)
【0211】
(4)((1R,2S,3S,6R)−6−ベンジルオキシメチル)−4−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)シクロヘクス−4−エン−1,2,3−トリイル)トリス(オキシ)トリス(メチレン)トリベンゼンの製造
【化49】

【0212】
−20℃でアルゴン雰囲気下、トリエチルシラン(167.9g、229.7mL、1.446mol、2当量)および三フッ化ホウ素エーテル(205.2g、204.1mL、1.446mol、2当量)を、(1R,4R,5S,6R)−4,5,6−トリス(ベンジルオキシ)−3−(ベンジルオキシメチル)−1−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)シクロヘクス−2−エノール(614.0g、粗生成物、〜0.723mol、1当量)の塩化メチレン(2.6L)溶液に連続的に加え、混合物を−20℃で1時間以上撹拌した。塩化アンモニウム(飽和水溶液、100mL)を加え、混合物を塩化メチレン(3×1L)で抽出し、有機層を食塩水(3×0.5L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を還流した無水エタノール/イソプロピルエーテル中の再結晶化によって精製し、白色固形物(513g、純度95%、収率95%)を得た。
【0213】
(5)(1R,2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)−2−(ベンジルオキシメチル)−6−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)シクロヘキサノールの製造
【化50】

【0214】
0℃でアルゴン雰囲気下、ボラン−テトラヒドロフラン錯体(1M、テトラヒドロフラン溶液)(1.31L、1.302mol、2当量)を、((1R,2S,3S,6R)−6−ベンジルオキシメチル)−4−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)シクロヘクス−4−エン−1,2,3−トリイル)トリス(オキシ)トリス(メチレン)トリベンゼン(513g、純度95%、0.651mol、1当量)および水素化ホウ素リチウム(7.1g、2M、テトラヒドロフラン溶液、0.326mol、0.5当量)の無水テトラヒドロフラン(5L)溶液に加え、高圧反応ステンレス鋼容器に入れ、混合物を約70〜80℃まで加熱すると、反応器内の圧力が約2〜2.5atmに達した。混合物をこの温度で40分間撹拌した。反応容器を室温まで冷却し、内容物を三つ口フラスコに移し、−20℃まで冷却した。水酸化ナトリウム(78.1g、3M水溶液、1.953mol、3当量)の冷却(0℃)溶液を加え、次いで30%過酸化水素(442.8g、438.4mL、1.953mol、20当量)を加え、混合物を一晩かけて室温まで温めた。反応混合物を1N塩酸でpH6まで酸性化し、減圧下で溶媒を除去した。残渣に水(5L)を加え、酢酸エチル(3×2L)で抽出した。有機層を食塩水(3×1L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をエチルエーテル/n−ヘキサン(v/v=1:10、10mL/g(粗生成物))中の再結晶化によって精製し、白色固形物(314.7g、純度95%、収率60%)を得た。
【0215】
(6)(1R,2R,3S,4R,5R,6S)−4−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトラオールの粗生成物の製造
【化51】

【0216】
(1R,2S,3R,4R,5S,6R)−3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)−2−(ベンジルオキシメチル)−6−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)シクロヘキサノール(60g、純度98%、0.077mol、1当量)のテトラヒドロフラン:メタノール(v/v=2:1)(600mL)溶液に、1,2−ジクロロベンゼン(21.5g、16.54mL、0.82mol、2当量)、パラジウム炭素(10%、4.8g)を加え、室温(約25℃)で水素気圧下、4時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を蒸発乾燥させ、黄色油状物(純度80%)を得た。
【0217】
(7)(1S,2R,3R,4S,5R,6R)−4−(アセトキシメチル)−6−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトライルテトラアセテート(19)の製造
【化52】

【0218】
無水酢酸(78.8g、72.9mL、0.77mol、10当量)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(99.5g、134.1mL、0.77mol、10当量)、および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP、0.47g、3.85mmol、0.05当量)を、上記(1R,2R,3S,4R,5R,6S)−4−(3−(4−エチルベンジル)−4−クロロフェニル)−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトラオール(0.077mol、純度80%)の粗油の塩化メチレン(300mL)溶液に0℃でゆっくりと加え、混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を1N塩酸でpH6まで酸性化し、有機層を1N塩酸(3×200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を沸騰エタノール/酢酸エチル(v/v=3:1、15mL/g(粗生成物))中で再結晶化した。最初の固体が〜58℃で現れ、混合物を58℃で2時間撹拌した。混合物を2時間以上かけて室温まで冷却し、白色固形物(42.2g、純度99.4%、2ステップで収率88.7%)を得た。
【0219】
(8)(1R,2R,3S,4R,5R,6S)−4−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトラオールの製造
【化53】

【0220】
(1S,2R,3R,4S,5R,6R)−4−(アセトキシメチル)−6−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトライルテトラアセテート(98g、>99%、0.158mol、1当量)の撹拌したメタノール(1L)溶液に、水酸化ナトリウム(粉末、12.6g、0.315mol、2当量)を加え、混合物を一晩還流した。混合物を1N塩酸でpH6まで酸性化し、揮発性物質を減圧下で除去した。残渣を酢酸エチル(3L)に溶解し、水(1L)で洗浄し、次いで食塩水(1L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、白色の泡を得た。該泡を還流下のエタノール/水(v/v=1:3、20mL/g(粗生成物))中で2回再結晶化し、白色固形物(58g、純度99.3%、収率90%)を得た。
【実施例21】
【0221】
本実施例は、1−(4−(2−クロロ−5−((1R,2S,3R,4R,5S,6R)−2,3,4,6−テトラヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル)ベンジル)フェニル)エタノン(39)の製造を例証するものである。
【0222】
(1S,2R,3R,4S,5R,6R)−4−(アセトキシメチル)−6−(3−(4−アセチルベンジル)−4−クロロフェニル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトライルテトラアセテート(38)の製造
【化54】

【0223】
(1S,2R,3R,4S,5R,6R)−4−(アセトキシメチル)−6−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトライルテトラアセテート(19)(300mg、48.7μmol)の勢いよく撹拌した酢酸(5mL)溶液に、KCr(172mg、0.58mmol)を加え、混合物を125℃で22時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を飽和NaHCO(3×10mL)で洗浄し、次いで食塩水(20mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、濃縮した。分取TLC(2:1 ヘキサン:酢酸エチル)によって100mgの目的化合物を得た。MS(ESI):631[M+H],648[M+HO]
【0224】
1−(4−(2−クロロ−5−((1R,2S,3R,4R,5S,6R)−2,3,4,6−テトラヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル)ベンジル)フェニル)エタノン(39)の製造
【化55】

【0225】
(1S,2R,3R,4S,5R,6R)−4−(アセトキシメチル)−6−(3−(4−アセチルベンジル)−4−クロロフェニル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトライルテトラアセテート(38)(300mg、47.6μmol)のMeOH(5mL)溶液に、水酸化ナトリウム(29mg、72μmol)を加え、還流下で1.5時間撹拌した。混合物を1N塩酸でpH6まで酸性化し、溶媒を減圧下で除去した。残渣を分取HPLCによって精製し、30mgの目的化合物を得た。H−NMR(400MHz,CDOD):δ7.90(2H,d,J=8.4Hz),7.35(3H,m),7.22(H,d,J=1.6Hz),7.18(1H,d,J=8.4,1.6Hz),4.17(2H,s),3.91(2H,d,J=3.2Hz),3.66(1H,t,J=10.4Hz),3.49−3.40(2H,m),3.30(1H,m),2.57−2.52(4H,m),1.55−1.50(1H,m);MS(ESI):421[M+H],443[M+Na],(ESI):465[M+HCOO]
【実施例22】
【0226】
(1R,2R,3S,4R,5R,6S)−4−(4−クロロ−3−(4−(1−ヒドロキシエチル)ベンジル)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトラオール(40)の製造
【化56】

【0227】
過剰な水素化ホウ素ナトリウムによる(1S,2R,3R,4S,5R,6R)−4−(アセトキシメチル)−6−(3−(4−アセチルベンジル)−4−クロロフェニル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトライルテトラアセテート(38)の還元によって化合物40を製造し、分取HPLCによって精製し、0.6mgの透明なフィルムを得た。MS(ESI):445[M+Na],(ESI):467[M+HCOO]
【実施例23】
【0228】
本発明の化合物のSGLT阻害効果は、下記の手順によって証明した。
【0229】
ヒトSGLT2発現ベクターの製造
【0230】
ヒトSGLT2を発現している全長のcDNAクローン(GenScript Corporation)を、pEAK15発現ベクターのHind IIIおよびNot I部位にサブクローニングした。cDNA挿入を持つクローンは、制限分析によって同定した。
【0231】
ヒトSGLT2を安定に発現している細胞株の製造
【0232】
ヒトSGLT2を含むプラスミドをNsi Iで線状にし、アガロースゲル電気泳動によって精製した。リポフェクタミン2000トランスフェクション試薬(Invitrogen Corporation)を用いて、DNAをHEK293.ETN細胞にトランスフェクトし、5%CO雰囲気下、10%ウシ胎児血清(FBS)を含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中、37℃で24時間培養した。トランスフェクタントは、ピューロマイシン(Invitrogen Corporation)を補充した同一の増殖培地中にて2週間培養して選択した。ピューロマイシン耐性細胞を回収し、未使用の96ウェルプレートに播種し(1ウェル当たり単一細胞)、細胞が集密的になるまでピューロマイシンの存在下で培養した。下記のメチル−α−D−[U−14C]グルコピラノシド取り込みアッセイにて、ピューロマイシン耐性クローンのSGLT2活性を評価した。最も高いシグナル−バックグラウンド比を示すクローンを、メチル−α−D−[U−14C]グルコピラノシド取り込みアッセイに用いた。
【0233】
ヒトSGLT1発現細胞の製造
【0234】
pDream2.1発現ベクターに乗った全長のヒトSGLT1のcDNAをGenScript Corporationから入手し、アンピシリンを含むルリア−ベルターニ(LB)培地を用いて大腸菌DH5α内で増殖させた。QIAGENプラスミドMidiキット(QIAGEN Inc.)を用いてプラスミドDNAを分離した。リポフェクタミン2000トランスフェクション試薬を用いて、メーカー推奨のプロトコールに従って、ヒトSGLT1発現プラスミドDNAをCOS−7細胞(American Type Culture Collection)にトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を、10%ジメチルスルホキシド(DMSO)を含むDMEM中にて−80℃で保存した。
【0235】
メチル−α−D−[U−14C]グルコピラノシド取り込みアッセイ
【0236】
SGLT1またはSGLT2を発現している細胞を、96ウェルScintiPlateシンチレーティングプレート(PerkinElmer, Inc.)上の10%FBSを含むDMEM中に播種し(1ウェル当たり100μlの培地中に1x10細胞)、アッセイ前に5%CO雰囲気下、37℃で48時間インキュベートした。細胞を、150μlのナトリウム緩衝液(137mM NaCl、5.4mM KCl、2.8mM CaCl、1.2mM MgCl、10mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン/N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N'−エタンスルホン酸[Tris/Hepes]、pH7.2)またはナトリウムを含まない緩衝液(137mM N−メチル−グルカミン、5.4mM KCl、2.8mM CaCl、1.2mM MgCl、10mM Tris/Hepes、pH7.2)のいずれかで2回洗浄した。40μCi/mlのメチル−α−D−[U−14C]グルコピラノシド(Amersham Biosciences/GE Healthcare)および25%ヒト血清を含むナトリウム緩衝液またはナトリウムを含まない緩衝液の各50μl中の試験化合物を、96ウェルプレートの1ウェルごとに加え、2時間(SGLT1アッセイ)または1.5時間(SGLT2アッセイ)振盪しながら37℃でインキュベートした。150μlの洗浄緩衝液(137mM N−メチルグルカミン、10mM Tris/Hepes、pH7.2)で細胞を2回洗浄し、TopCountシンチレーションカウンター(PerkinElmer, Inc.)を用いてメチル−α−D−[U−14C]グルコピラノシド取り込みを定量化した。ナトリウム依存性グルコピラノシド取り込みは、ナトリウム緩衝液を用いて得られた値からナトリウムを含まない緩衝液で得られた値を引くことによって見積もった(3回測定した平均値)。
第1表
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】


[式中、
Aは酸素;NH;メチレン;および単結合からなる群から選択され;
Qは式Q〜Q
【化2】

からなる群から選択され;
Zは酸素;硫黄;SO;SO;1,1−シクロプロピレン;カルボニル;およびメチレンからなる群から選択され、該メチレンはハロ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−CシクロアルキルおよびC−Cシクロアルキルオキシから独立して選択される1〜2個の置換基で任意に置換されており;
、RおよびRは水素、ハロ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10シクロアルキル、C−C10シクロアルケニル、C−Cアルキルオキシ、C−C10シクロアルキルオキシ、シアノ、アミノおよびニトロからなる群から各々独立して選択され、該アルキル、該アルケニル、該アルキニル、該シクロアルキルおよび該シクロアルケニル基または部分は任意に部分的または完全にフッ素化されており、かつ、塩素、ヒドロキシ、C−CアルコキシおよびC−Cアルキルからなる群から選択される同一のまたは異なる置換基によって任意に一置換または二置換されており、かつ、該シクロアルキルおよび該シクロアルケニル基または部分において、1または2個のメチレン基はNR、O、S、CO、SOまたはSOによって互いに独立して任意に置き換えられており、かつ、1または2個のメチン基はNによって任意に置き換えられており、またはRおよびRがフェニル環の2個の隣接するC原子に結合している場合、RおよびRは任意に結合してC−Cアルキレン、C−Cアルケニレンまたはブタジエニレンブリッジを形成し、これらは任意に部分的または完全にフッ素化されており、かつ、塩素、ヒドロキシ、C−CアルコキシおよびC−Cアルキルから選択される同一のまたは異なる置換基によって任意に一置換または二置換されており、かつ、1または2個のメチレン基はO、S、CO、SO、SOまたはNRによって互いに独立して任意に置き換えられており、かつ、1または2個のメチン基はNによって任意に置き換えられていてよく;
は水素、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10シクロアルキル、C−C10シクロアルケニル、C−Cアルキルオキシ、C−C10シクロアルキルオキシ、(C−Cアルキルオキシ)C−Cアルキルオキシ、C−Cシクロアルケニルオキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(C−Cアルケニル)C−Cアルキルオキシ、(C−Cアルキニル)C−Cアルキルオキシ、(アリール)C−Cアルキルオキシ、(ヘテロアリール)C−Cアルキルオキシ、(C−C10シクロアルキル)C−Cアルキル、(C−C10シクロアルキル)C−Cアルキルオキシ、(C−C10シクロアルケニル)C−Cアルキル、(C−C10シクロアルケニル)C−Cアルキルオキシ、(C−Cアルキルオキシ)C−Cアルキル、(C−Cシクロアルキルオキシ)C−Cアルキル、(C−Cシクロアルキルオキシ)C−Cアルケニル、(C−Cシクロアルキルオキシ)C−Cアルキニル、(C−Cシクロアルキルオキシ)C−Cアルキルオキシ、(C−Cアルキルアミノ)C−Cアルキル、ジ−(C−Cアルキルアミノ)C−Cアルキル、トリ−(C−Cアルキル)シリル−C−Cアルキル、トリ−(C−Cアルキル)シリル−C−Cアルケニル、トリ−(C−Cアルキル)シリル−C−Cアルキニル、トリ−(C−Cアルキル)シリル−C−Cアルキルオキシ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルケニル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルケニルオキシ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキニルオキシ、(C−Cシクロアルケニル)C−Cアルケニルオキシ、(C−Cシクロアルケニル)C−Cアルキニルオキシ、C−Cシクロアルキリデンメチル、(C−Cアルキル)カルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、(C−Cアルキル)アミノカルボニル、ジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニル、ヒドロキシカルボニル、(C−Cアルキルオキシ)カルボニル、C−Cアルキルアミノ、ジ−(C−Cアルキル)アミノ、(C−Cアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C−Cアルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、C−Cアルキルスルファニル、C−Cアルキルスルフィニル、C−Cアルキルスルホニル、C−C10シクロアルキルスルファニル、C−C10シクロアルキルスルフィニル、C−C10シクロアルキルスルホニル、C−C10シクロアルケニルスルファニル、C−C10シクロアルケニルスルフィニル、C−C10シクロアルケニルスルホニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニルおよびアリールスルホニルからなる群から選択されるメンバーであり、該アルキル、該アルケニル、該アルキニル、該シクロアルキルおよび該シクロアルケニル基または部分は任意に部分的または完全にフッ素化されており、かつ、塩素、ヒドロキシ、C−CアルコキシおよびC−Cアルキルから選択される同一のまたは異なる置換基によって任意に一置換または二置換されており、かつ、該シクロアルキルおよび該シクロアルケニル基または部分において、1または2個のメチレン基はNR、O、S、CO、SOまたはSOによって互いに独立して任意に置き換えられており、かつ、1または2個のメチン基はNによって任意に置き換えられており;
およびRは水素、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10シクロアルキル、C−CアルキルオキシおよびC−C10シクロアルキルオキシからなる群から各々独立して選択され、該アルキル、該アルケニル、該アルキニル、該シクロアルキルおよび該シクロアルケニル基もしくは部分は任意に部分的もしくは完全にフッ素化されており、かつ、塩素、ヒドロキシ、C−CアルコキシおよびC−Cアルキルから選択される同一のもしくは異なる置換基によって任意に一置換もしくは二置換されており、かつ、該シクロアルキルおよび該シクロアルケニル基もしくは部分において、1もしくは2個のメチレン基はNR、O、S、CO、SOもしくはSOによって互いに独立して任意に置き換えられており、かつ、1もしくは2個のメチン基はNによって任意に置き換えられており、または、
およびRがフェニル環の2個の隣接するC原子に結合している場合、RおよびRは任意に結合してC−Cアルキレン、C−Cアルケニレンもしくはブタジエニレンブリッジを形成し、これらは任意に部分的または完全にフッ素化されており、かつ、塩素、ヒドロキシ、C−CアルコキシおよびC−Cアルキルから選択される同一のもしくは異なる置換基によって任意に一置換もしくは二置換されており、かつ、1または2個のメチレン基はO、S、CO、SO、SOもしくはNRによって互いに独立して任意に置き換えられており、かつ、1もしくは2個のメチン基はNによって任意に置き換えられており;
、R、RおよびR10はヒドロキシ、(C−C18アルキル)カルボニルオキシ、(C−C18アルキル)オキシカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリール−(C−Cアルキル)カルボニルオキシ、(C−C10シクロアルキル)カルボニルオキシ、水素、ハロ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、(C−C10シクロアルキル)C−Cアルキル、(C−Cシクロアルケニル)C−Cアルキル、(アリール)C−Cアルキル、(ヘテロアリール)C−Cアルキル、C−Cアルキルオキシ、C−Cアルケニルオキシ、C−Cアルキニルオキシ、C−Cシクロアルキルオキシ、C−Cシクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキルオキシ、(C−Cシクロアルケニル)C−Cアルキルオキシ、(アリール)C−Cアルキルオキシ、(ヘテロアリール)C−Cアルキルオキシ、アミノカルボニル、ヒドロキシカルボニル、(C−Cアルキル)アミノカルボニル、ジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニル、(C−Cアルキルオキシ)カルボニル、(アミノカルボニル)C−Cアルキル、(C−Cアルキル)アミノカルボニル−(C−C)アルキル、ジ−(C−Cアルキル)アミノカルボニル−(C−C)アルキル、(ヒドロキシカルボニル)C−Cアルキル、(C−Cアルキルオキシ)カルボニル−(C−C)アルキル、(C−Cシクロアルキルオキシ)C−Cアルキル、(C−Cシクロアルケニルオキシ)C−Cアルキル、(アリールオキシ)C−Cアルキル、(ヘテロアリールオキシ)C−Cアルキル、C−Cアルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、(アリール)C−Cアルキルスルホニルオキシ、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ、およびシアノからなる群から各々独立して選択され;該アルキル、該アルケニル、該アルキニル、該シクロアルキルおよび該シクロアルケニル基または部分は任意に部分的または完全にフッ素化されており、かつ、塩素、ヒドロキシ、C−CアルコキシおよびC−Cアルキルから選択される同一のまたは異なる置換基によって任意に一置換または二置換されており、かつ、該シクロアルキルおよび該シクロアルケニル基または部分において、1または2個のメチレン基はNR、O、S、CO、SOまたはSOによって互いに独立して任意に置き換えられており;
かつ、任意に、R10およびR11は各々が結合している炭素原子と一緒になって5〜7員の縮合シクロアルカンまたはシクロアルケン環を形成し得、該環は任意に部分的または完全にフッ素化されており、かつ、塩素、ヒドロキシ、C−CアルコキシおよびC−Cアルキルから選択される同一のまたは異なる置換基によって一置換または二置換されていてよく、かつ、該シクロアルキルおよびシクロアルケニル環において、1または2個のメチレン基はNR、O、S、CO、SOまたはSOによって互いに独立して任意に置き換えられており;
11およびR12は水素、ヒドロキシ、ハロ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10シクロアルキル、C−Cアルキルオキシ、C−Cアルケニルオキシ、C−CアルキニルオキシもしくはC−Cシクロアルキルオキシからなる群から各々独立して選択され、該アルキル、該アルケニル、該アルキニルおよび該シクロアルキル基もしくは部分は任意に部分的もしくは完全にフッ素化されており、または、
11およびR12はそれらが結合している炭素原子と任意に一緒になってC−Cスピロシクロアルカン環を形成し、該環は任意に部分的もしくは完全にフッ素化されており、かつ、塩素、ヒドロキシ、C−CアルコキシおよびC−Cアルキルから選択される同一のもしくは異なる置換基によって任意に一置換もしくは二置換されており;
(i)QがQであり、かつ、R11およびR12が共に水素である場合、R10もしくはR14の少なくとも1つはハロであり、もしくはR13は水素以外であり、またはRはC−Cアルキニル、C−C10シクロアルキルオキシ、C−Cシクロアルケニルオキシ、(C−C10シクロアルキル)C−Cアルキルオキシ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルケニルオキシ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキニルオキシ、(C−C10シクロアルケニル)C−Cアルキルオキシ、(C−Cシクロアルケニル)C−Cアルケニルオキシもしくは(C−Cシクロアルケニル)C−Cアルキニルオキシであり;
(ii)QがQであり、かつ、R11が水素である場合、少なくともR10はハロであり、またはRはC−Cアルキニル、C−C10シクロアルキルオキシ、C−Cシクロアルケニルオキシ、(C−C10シクロアルキル)C−Cアルキルオキシ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルケニルオキシ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキニルオキシ、(C−C10シクロアルケニル)C−Cアルキルオキシ、(C−Cシクロアルケニル)C−Cアルケニルオキシもしくは(C−Cシクロアルケニル)C−Cアルキニルオキシであり;
(iii)QがQであり、かつ、R11が水素である場合、少なくともR10はハロであり、もしくはR13は水素以外であり、またはRはC−Cアルキニル、C−C10シクロアルキルオキシ、C−Cシクロアルケニルオキシ、(C−C10シクロアルキル)C−Cアルキルオキシ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルケニルオキシ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキニルオキシ、(C−C10シクロアルケニル)C−Cアルキルオキシ、(C−Cシクロアルケニル)C−Cアルケニルオキシもしくは(C−Cシクロアルケニル)C−Cアルキニルオキシであり;
13およびR14は水素、ヒドロキシ、ハロ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10シクロアルキル、C−Cアルキルオキシ、C−Cアルケニルオキシ、C−CアルキニルオキシおよびC−Cシクロアルキルオキシからなる群から各々独立して選択され、該アルキル、該アルケニル、該アルキニルおよび該シクロアルキル基または部分は任意に部分的または完全にフッ素化されており;
15は酸素およびCRからなる群から選択され;
各Rは独立して水素、C−Cアルキルおよび(C−Cアルキル)カルボニルからなる群から選択され、該アルキル基または部分は任意に部分的または完全にフッ素化されており;かつ、
およびRは水素、ハロおよびC−Cアルキルからなる群から各々独立して選択され、該アルキル基は任意に部分的または完全にフッ素化されている]
の化合物およびその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
Aが酸素または単結合である、請求項1の化合物。
【請求項3】
Aが単結合である、請求項1の化合物。
【請求項4】
Zが酸素、硫黄、およびメチレンからなる群から選択され、該メチレンがハロ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−CシクロアルキルおよびC−Cシクロアルキルオキシから独立して選択される1〜2個の置換基で任意に置換されている、請求項1の化合物。
【請求項5】
Zがメチレンである、請求項4の化合物。
【請求項6】
、RおよびRが水素、ハロ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10シクロアルキル、C−Cアルキルオキシ、およびシアノからなる群から各々独立して選択される、請求項1の化合物。
【請求項7】
、RおよびRが水素、ハロおよびC−Cアルキルからなる群から各々独立して選択される、請求項6の化合物。
【請求項8】
が水素、ハロおよびC−Cアルキルからなる群から選択され、かつ、RおよびRが各々水素である、請求項6の化合物。
【請求項9】
がC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10シクロアルキル、C−Cアルキルオキシ、C−C10シクロアルキルオキシ、(C−C10シクロアルキル)C−Cアルキルオキシ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルケニルオキシ、および(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキニルオキシからなる群から選択される、請求項1の化合物。
【請求項10】
およびRが水素、ハロ、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10シクロアルキル、C−Cアルキルオキシ、およびシアノからなる群から各々独立して選択され、特に好ましい実施態様では、RおよびRが共に水素を表す、請求項1の化合物。
【請求項11】
およびRが水素、ハロおよびC−Cアルキルからなる群から各々独立して選択される、請求項10の化合物。
【請求項12】
およびRが各々水素である、請求項11の化合物。
【請求項13】
、R、RおよびR10がヒドロキシ、ハロ、C−Cアルキル、C−Cアルキルオキシ、(C−C)シクロアルキルオキシ、アリールオキシおよび(C−C)シクロアルキル−(C−C)アルキルオキシからなる群から各々独立して選択され、該アルキルおよび該シクロアルキル基または部分が任意に部分的または完全にフッ素化されている、請求項1の化合物。
【請求項14】
、R、RおよびR10が各々ヒドロキシである、請求項13の化合物。
【請求項15】
11が水素およびヒドロキシからなる群から選択される、請求項1の化合物。
【請求項16】
式IA:
【化3】

IA
[式中、
は水素、ハロおよびC−Cアルキルからなる群から選択されるメンバーであり;
はC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10シクロアルキル、C−Cアルキルオキシ、C−C10シクロアルキルオキシ、(C−C10シクロアルキル)C−Cアルキルオキシ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルケニルオキシ、および(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキニルオキシからなる群から選択されるメンバーであり;かつ、
Qは式Q1A〜Q4A
【化4】

から選択されるメンバーであり、
11は水素およびヒドロキシからなる群から選択されるメンバーであり;かつ、
15は酸素およびCRからなる群から選択されるメンバーであり、該Rおよび該Rは各々独立して水素およびハロからなる群から選択されるメンバーであり;
11が水素である場合、RはC−Cアルキニル、C−C10シクロアルキルオキシ、(C−C10シクロアルキル)C−Cアルキルオキシ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルケニルオキシ、または(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキニルオキシである]
を有する、請求項1の化合物。
【請求項17】
QがQ1A、Q2AおよびQ3Aからなる群から選択されるメンバーである、請求項16の化合物。
【請求項18】
(1R,2R,3S,4R,5R,6S)−4−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトラオール;
(1R,2R,3S,4R,5R,6S)−4−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトラオール;
(1R,2R,3S,4R,5R,6S)−4−(4−クロロ−3−(4−シクロプロピルベンジル)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトラオール;
(1R,2R,3S,4R,5R,6S)−4−(4−クロロ−3−(4−プロピルベンジル)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトラオール;
(1R,2R,3S,4R,5R,6S)−4−(4−クロロ−3−(4−シクロヘキシルベンジル)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトラオール;
(1R,2S,3S,6R)−4−(4−クロロ−3−(4−(3−シクロプロピルプロプ−2−イニルオキシ)ベンジル)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘクス−4−エン−1,2,3−トリオール;
((1S,2R,3R,4S,5R,6R)−3−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロキシシクロヘキシル)メチルアセテート;
(1R,2S,3R,4R,5S,6R)−4−(2−(4−エチルベンジル)フェノキシ)−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトラオール;
(1R,2R,3S,4S,6R)−4−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)−5−メチレンシクロヘキサン−1,2,3−トリオール;
(4S,5S,6R,7R,8R)−4−(4−クロロ−3−(4−エチルベンジル)フェニル)−8−(ヒドロキシメチル)スピロ[2.5]オクタン−5,6,7−トリオール;
1−(4−(2−クロロ−5−((1R,2S,3R,4R,5S,6R)−2,3,4,6−テトラヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル)ベンジル)フェニル)エタノン;および
(1R,2R,3S,4R,5R,6S)−4−(4−クロロ−3−(4−(1−ヒドロキシエチル)ベンジル)フェニル)−6−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−1,2,3,5−テトラオール、
からなる群から選択される、請求項1の化合物。
【請求項19】
同位体標識されている請求項1の化合物。
【請求項20】
請求項1の化合物のプロドラッグエステル。
【請求項21】
医薬的に許容される担体および請求項1の化合物を含む医薬組成物。
【請求項22】
請求項1の化合物の治療上の有効量を、それを必要としている対象に投与することを含む、SGLTによって媒介される疾患または状態の治療方法。
【請求項23】
請求項1の化合物の治療上の有効量を、それを必要としている対象に投与することを含む、糖尿病の治療方法。
【請求項24】
該糖尿病が1型糖尿病である、請求項23の方法。
【請求項25】
該糖尿病が2型糖尿病である、請求項23の方法。
【請求項26】
該化合物が第2の治療薬と組み合わせて投与される、請求項23の方法。
【請求項27】
該第2の治療薬が抗糖尿病薬、脂質低下/脂質調節薬、糖尿病性合併症の治療薬、抗肥満薬、降圧薬、尿酸降下薬、および慢性心不全、アテローム性動脈硬化症または関連疾患の治療薬から選択される、請求項26の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−506469(P2011−506469A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538165(P2010−538165)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/086472
【国際公開番号】WO2009/076550
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(509275172)セラコス・インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】THERACOS, INC.
【Fターム(参考)】