説明

ベンズイミダゾール誘導体、並びにその医薬組成物及び使用

本発明はベンズイミダゾール誘導体、並びにその医薬組成物及び使用に関する。具体的に一般式(I)で表されるベンズイミダゾール誘導体、その立体異性体、薬学的に許容可能な塩、またはその溶媒和物に関する。
【化1】


(式中、R1、R2、R3、R4、R5及びnは本明細書に記載通りである)。また本発明は、これらの化合物を含有する医薬組成物、これらの化合物の作製方法、並びに消化性潰瘍、潰瘍出血、及び胃酸関連疾患を予防及び/又は治療する薬剤の調製におけるこれらの化合物の使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬化合物の技術分野に属し、具体的にはベンズイミダゾール誘導体、その立体異性体、溶媒和物、又は薬学的に許容可能な塩に関する。本発明は、これらの化合物を含む医薬組成物、これらの化合物を作製する方法、並びに消化性潰瘍、潰瘍出血、及び胃酸関連疾患の予防及び/又は治療の薬剤の製造におけるこれらの化合物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
消化器系の疾患はよく見られる疾患であり、中でも消化性潰瘍の罹患率は総人口の約10%〜12%を占める。胃酸が消化性潰瘍の主な原因である。初期の治療法としては主に胃酸を中和して症状を緩和する制酸薬(例えば、炭酸水素ナトリウム、水酸化アルミニウム等)が用いられた。1970年代以来、H2受容体遮断薬、プロトンポンプ阻害薬等の胃酸分泌抑制薬の発見が消化性潰瘍の治療に新しい時代をもたらした。これらの薬物は、壁細胞の頂上膜を構成する細胞内細管及び細胞質中の細管小胞にあるH+,K+−ATP酵素の阻害を不可逆的に誘導することにより、効果的に胃液分泌を阻害し、速やかな効果発見及び高い潰瘍治癒率という特徴があるため、外科手術の割合が大幅に低減された。
【0003】
特許文献1は、式Aの化合物、すなわちオメプラゾールを開示している。
【化1】

【0004】
オメプラゾールは最初に市販されたプロトンポンプ阻害薬であり、抗潰瘍薬市場においてH2受容体拮抗薬と競り合い、徐々に有利になり、その独特な治療効果により1996年には一番の売れ筋の薬物となり、数年間連続で首位をキープした。オメプラゾールに続いて、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、及びエソメプラゾールを含む多くの新しいプロトンポンプ阻害薬が相次いで市販された。
【0005】
特許文献2は、式Bの化合物、すなわちラベプラゾールを開示している。
【化2】

【0006】
ラベプラゾールは1997年に日本、2001年に中国に市販された。その胃酸分泌抑制活性はin vitroにおいてオメプラゾールの2〜10倍であり、より迅速且つ顕著な治療効果を示す。ラベプラゾールは速やかに活性化され、5分以内に最大の酸抑制効果に達成することができるが、その作用持続時間はオメプラゾールより短い。
【0007】
特許文献3は、以下の化合物81を開示している:
【化3】

【0008】
しかしながら、プロトンポンプ阻害薬は最も強い効果に達するのに比較的に長い時間がかかる。通常の治療用量では、最大の酸抑制効果に達するのに3〜5日間もかかる。また、これらの薬物は他の薬物と大きな相互作用を有し、薬物動態における個体差も大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4255431号
【特許文献2】欧州特許第0268956号
【特許文献3】英国特許第2174988号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、速やかに効果が発現できる、優れた酸抑制効果が有する且つ他の薬物との相互作用と個体差がより小さい新しいプロトンポンプ阻害薬の開発が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、大量の実験により、胃酸分泌に対して良好な阻害効果を有するプロトンポンプ阻害薬群を見出した。
【0012】
一態様では、本発明は、一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、溶媒和物または薬学的に許容可能な塩である。
【0013】
【化4】

【0014】
(式中、R1、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立した水素原子、C1~6アルキル、C1~6アルコキシル、C1~6アルコキシル−C1~6アルキル、C1~6アルコキシル−C1~6アルコキシル、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルコキシル、C1~6アルキルアミノ、ジ(C1~6アルキル)アミノ、C1~6アルキルカルボニル、C1~6アルキルカルボニルオキシ、C1~6アルキルオキシカルボニル、フェニル、フェニル−C1~6アルキル、フェニル−C1~6アルコキシル、又はフェノキシであり、
5は式
【0015】
【化5】

【0016】
を表し、
6及びR7はそれぞれ独立した水素原子、ハロゲン原子、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルコキシ−C1~6アルキル、C1~6アルコキシ−C1~6アルコキシ、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルコキシ、C1~6アルキルアミノ、ジ(C1~6アルキル)アミノ、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C1~6アルキル、カルボキシ、カルボキシ−C1~6アルキル、アミノ、アミノ−C1~6アルキル、C1~6アルキルカルボニル、C1~6アルキルカルボニルオキシ、C1~6アルキルオキシカルボニル、アミノスルホニル、カルバモイル、又はC1~6アルキルカルバモイルであり、
環A及び環Bはそれぞれ独立した1〜3個の酸素原子、硫黄原子、及び/又は窒素原子を有する5〜7員の単環であり、該単環は任意の1〜4個のR8で置換されてもよく、
8は水素原子、ハロゲン原子、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルコキシ−C1~6アルキル、C1~6アルコキシ−C1~6アルコキシ、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルコキシ、C1~6アルキルアミノ、ジ(C1~6アルキル)アミノ、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C1~6アルキル、カルボキシ、カルボキシ−C1~6アルキル、アミノ、アミノ−C1~6アルキル、C1~6アルキル−カルボニル、C1~6アルキル−カルボニルオキシ、C1~6アルキル−オキシカルボニル、アミノスルホニル、カルバモイル、C1~6アルキル−カルバモイル、又はC1~6アルキルホルミルアミノであり、
nは1又は2であるが、
ただし、環Aは
【0017】
【化6】

【0018】
ではなく、
ただし、環Aが
【0019】
【化7】

【0020】
である場合、R8はハロゲン原子ではない)
【0021】
この態様の1つの実施形態では、本発明は、一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、溶媒和物または薬学的に許容可能な塩である。
【0022】
【化8】

【0023】
(式中、R1、R2、及びR3がそれぞれ独立した水素原子、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルコキシ−C1~4アルキル、C1~4アルコキシ−C1~4アルコキシ、ハロC1~4アルキル、又はハロC1~4アルコキシであり、
4が水素原子であり、
5が式
【0024】
【化9】

【0025】
を表し、
6及びR7がそれぞれ独立した水素原子、フッ素原子、塩素原子、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルコキシ−C1~4アルコキシ、フルオロ−C1~4アルキル、フルオロ−C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アミノスルホニル、カルバモイル、又はC1~4アルキル−カルバモイルであり、
環A及び環Bがそれぞれ独立した1〜2個の酸素原子、硫黄原子、及び/又は窒素原子を有する5〜7員の単環であり、該単環は任意の1〜2個のR8で置換されてもよく、
8が水素原子、フッ素原子、塩素原子、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルコキシ−C1~4アルキル、C1~4アルコキシ−C1~4アルコキシ、フルオロ−C1~4アルキル、又はフルオロ−C1~4アルコキシであり、
nが1であり、
ただし、環Aは
【0026】
【化10】

【0027】
ではなく、
ただし、環Aが
【0028】
【化11】

【0029】
である場合、R8はハロゲン原子ではない。)
【0030】
この態様の別の実施形態では、本発明は、一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、溶媒和物または薬学的に許容可能な塩である。
(式中、R1、R2及びR3がそれぞれ独立した水素原子、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルコキシ−C1~4アルキル、C1~4アルコキシ−C1~4アルコキシ、ハロC1~4アルキル、又はハロC1~4アルコキシであり、
4が水素原子であり、
5が式
【0031】
【化12】

【0032】
を表し、
6及びR7がそれぞれ独立した水素原子であり、
環Aが1個の酸素原子を有する5員環であり、
nが1である。)
【0033】
この態様の別の1つの実施形態では、本発明は、一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、溶媒和物または薬学的に許容可能な塩である。
(式中、R1がC1~4アルキル又はハロC1~4アルキルであり、
2がC1~4アルコキシ、C1~4アルコキシ−C1~4アルキル、C1~4アルコキシ−C1~4アルコキシ、又はハロC1~4アルコキシであり、
3及びR4がそれぞれ独立した水素原子であり、
5が式
【0034】
【化13】

【0035】
を表し、
6及びR7がそれぞれ独立した水素原子であり、
環Aが1個の酸素原子を有する5員環であり、
nが1である。)
【0036】
この態様の別の1つの実施形態では、本発明は、一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、溶媒和物または薬学的に許容可能な塩である。
【0037】
【化14】

【0038】
(式中、R1、R2及びR3がそれぞれ独立した水素原子、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、メトキシメトキシ、2−メトキシエトキシ、3−メトキシプロポキシ、エトキシメトキシ、2−エトキシエトキシ、3−エトキシプロポキシ、プロポキシメトキシ、メトキシメチル、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、エトキシメチル、2−エトキシエチル、3−エトキシプロピル、プロポキシメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2−ジフルオロエトキシ、又は2,2,2−トリフルオロエトキシであり、
4が水素原子であり、
5
【0039】
【化15】

【化16】

【0040】
を表し、
nが1である。)
【0041】
この態様の別の実施形態では、本発明は、一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、溶媒和物または薬学的に許容可能な塩である。
【0042】
【化17】

【0043】
(式中、R1、R2及びR3がそれぞれ独立した水素原子、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、メトキシメトキシ、2−メトキシエトキシ、3−メトキシプロポキシ、エトキシメトキシ、2−エトキシエトキシ、3−エトキシプロポキシ、プロポキシメトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2−ジフルオロエトキシ、又は2,2,2−トリフルオロエトキシであり、
4が水素原子であり、
5
【0044】
【化18】

【化19】

【0045】
を表し、
nが1である。)
【0046】
この態様の別の実施形態では、本発明は、一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、溶媒和物または薬学的に許容可能な塩である。
【0047】
【化20】

【0048】
(式中、R1が水素原子、メチル、又はメトキシであり、
2がメトキシ、3−メトキシプロポキシ、又は2,2,2−トリフルオロエトキシであり、
3が水素原子、メチル、又はメトキシであり、
4が水素原子であり、
5
【0049】
【化21】

【0050】
を表し、
nが1である。)
【0051】
この態様の別の実施形態では、本発明は、一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、溶媒和物または薬学的に許容可能な塩である。
【0052】
【化22】

【0053】
(式中、R1がメチル、又はメトキシであり、
2がメトキシ、3−メトキシプロポキシ、又は2,2,2−トリフルオロエトキシであり、
3が水素原子、又はメチルであり、
4が水素原子であり、
5
【0054】
【化23】

【化24】

を表し、
nが1である。)
【0055】
この態様の別の実施形態では、本発明の化合物は、下記の構造式を有する。
【化25】

【0056】
(式中、
1、R2及びR3がそれぞれ独立した水素原子、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルコキシ−C1~4アルキル、C1~4アルコキシ−C1~4アルコキシ、ハロC1~4アルキル、又はハロC1~4アルコキシであり、
4が水素原子であり、
5が式
【0057】
【化26】

【0058】
を表し、
6及びR7がそれぞれ独立した水素原子であり、
環Aが1個の酸素原子を有する5員環であり、
nが1である。)
【0059】
この態様の別の実施形態では、本発明の化合物は、下記の構造式を有する。
【化27】

【0060】
(式中、
1がC1~4アルキル又はハロC1~4アルキルであり、
2がC1~4アルコキシ、C1~4アルコキシ−C1~4アルキル、C1~4アルコキシ−C1~4アルコキシ、又はハロC1~4アルコキシであり、
3及びR4がそれぞれ独立した水素原子であり、
5が式
【0061】
【化28】

【0062】
を表し、
6及びR7がそれぞれ独立した水素原子であり、
環Aが1個の酸素原子を有する5員環であり、
nが1である。)
【0063】
この態様の別の実施形態では、本発明の化合物は
(S)−2−[[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチル−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾール
または
(R)−2−[[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチル−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾール
であり、またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0064】
【表1−1】

【0065】
【表1−2】

【0066】
【表1−3】

【0067】
本発明では、「C1~6アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖、分岐状又は環状のアルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、2−メチルブチル、neo−ペンチル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、イソヘキシル、4−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、3,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、1−メチル−2−メチルプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、1−メチルシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を表す。これに対応して、本発明では、「C1~4アルキル」という用語は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖、分岐状又は環状のアルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチルを表す。
【0068】
本発明では、「C1~6アルコキシ」という用語は、式(C1~6アルキル)−O−(ここで、アルキルは上記の定義を有する)を有する一価の基を表す。代表的なC1~6アルコキシとしては、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、neo−ペントキシ、n−ヘキソキシ等が挙げられる。これに対応して、本発明では、「C1~4アルコキシ」という用語は、1個〜4個の炭素原子を有するアルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ等を表す。
【0069】
本発明では、「ハロゲン原子」という用語は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び/又はヨウ素原子を表す。
【0070】
本発明では、「ハロC1~6アルキル」及び「ハロC1~6アルコキシ」という用語における「ハロ」は、C1~6アルキル及びC1~6アルコキシの炭素原子上の1つ又は複数の水素原子がハロゲン原子に置換されていることを表す。
【0071】
本発明では、「1〜3個の酸素原子、硫黄原子及び/又は窒素原子を有する5〜7員の単環」という用語の例は、ピロール、ジヒドロピロール、ピロリジン、イミダゾール、4,5−ジヒドロイミダゾール、イミダゾリジン、ピラゾール、4,5−ジヒドロピラゾール、ピラゾリジン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、フラン、テトラヒドロフラン、ピリジン、ピペリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、4H−ピラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサシクロヘキサジエン、1,4−ジオキサシクロヘキサン、1,3−ジオキサシクロヘキサン、2H−1,2−オキサジン、4H−1,2−オキサジン、6H−1,2−オキサジン、2H−1,3−オキサジン、4H−1,3−オキサジン、5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、6H−1,3−オキサジン、2H−1,4−オキサジン、4H−1,4−オキサジン、モルホリン、オキサシクロヘプタン、オキサシクロヘプタトリエン、アザシクロヘプタトリエン、1,4−ジアザシクロヘプタトリエン等を含む。
【0072】
本発明では、「1個又は2個の酸素原子、硫黄原子、及び/又は窒素原子を有する5〜7員の単環」という用語の例は、上記「1個〜3個の酸素原子、硫黄原子、及び/又は窒素原子を有する5〜7員の単環」の実例の中から1個又は2個の酸素原子、硫黄原子、及び/又は窒素原子を有するものが選ばれる。
【0073】
本発明では、「有効用量」という用語は、被験者に化合物を投与する必要のある場合に、疾患の予防及び/又は治療が達成できる本発明の化合物の量を表す。
【0074】
別の態様では、本発明は、一般式(I)で表される化合物の作製方法を提供するが、この限りではない。
【0075】
本発明の化合物の作製方法には、式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との置換反応を行い、式(I’)で表される化合物を生成することと、式(I’)で表される化合物をm−クロロ−ペルオキシ安息香酸の存在下で反応させ、式(I)で表される化合物を得ることが含まれる。
【0076】
【化29】

【0077】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5及びnは前記の定義を有する)。
【0078】
反応方程式は下記のとおりである:
(1)R5
【化30】

【0079】
を表す場合、反応方程式は下記のとおりである:
【化31】

【0080】
反応プロセス:
手順1:式(II−a)の化合物の作製
原材料(IV−a)を無水エタノールに溶解させ、エチルキサントゲン酸カリウムを加えて撹拌し、溶媒を除去し、水及び濃塩酸を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせた後、水及び食塩水で洗浄し、乾燥させ、真空下で濃縮し、式(II−a)の化合物を得る。
【0081】
手順2:式(I’−a)の化合物の作製
式(II−a)の化合物及びNaOHをアセトン及び水に溶解させ、撹拌し、原材料(III)を加え、室温で撹拌し、濾過し、得られた残留物をアセトン及び水で洗浄し、乾燥させ、式(I’−a)の化合物を得る。
【0082】
手順3:式(I−a)の化合物の作製
式(I’−a)の化合物をジクロロメタンに溶解させ、撹拌し、m−クロロ−ペルオキシ安息香酸(m−CPBA)を加え、撹拌しながら反応させる。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウムに入れ、ジクロロメタンで抽出し、有機層を合わせた後、食塩水で洗浄し、乾燥させ、真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製し、式(I−a)の化合物を得る。
【0083】
(2)R5
【化32】

を表す場合、反応方程式は下記のとおりである:
【化33】

【0084】
反応プロセス:式(I−a)の化合物を作製する反応プロセスと同様。
【0085】
(3)R5
【化34】

を表す場合、反応方程式は下記のとおりである:
【化35】

【0086】
反応プロセス:式(I−a)の化合物を作製する反応プロセスと同様。
【0087】
環A、環B、R1、R2、R3、R4、R6、R7及びnは前記の定義を有する。
【0088】
上記の反応方程式に用いた原材料(IV−a)、原材料(IV−b)及び原材料(IV−c)は全て市販されているものか、あるいは当業者に既知の簡単な方法によって合成することができる。
【0089】
更なる態様では、本発明は、一般式(I’)で表される化合物、その立体異性体、溶媒和物、または薬学的に許容可能な塩を提供する:
【0090】
【化36】

【0091】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5及びnは前記の定義を有する)。
【0092】
更なる態様では、本発明は、一般式(II)で表される化合物、その立体異性体、溶媒和物、または薬学的に許容可能な塩を提供する:
HS−R5 (II)
(式中、R5は前記の定義を有するが、
【0093】
【化37】

及び
【化38】

は除外される)。
【0094】
本発明の化合物は、1つ又は複数の二重結合の移動により、異なる水素の結合点を有する互変異性体の形態で存在し得る。これら全ての互変異性体及びその混合物は本発明の範囲内である。例えば、本発明の式(I)、式(I’)又は式(II)に表される化合物、及びそれらを作製するプロセスにおいて使用される中間体に関しては、
5
【0095】
【化39】

【0096】
を表す場合、イミダゾール環上の電子が解離するため、イミダゾール環がその互変異性体
【0097】
【化40】

【0098】
へと変換され得る。したがって、これらのうち1つを作製する場合、その互変異性体がそれに応じて同時に作製される。例えば、式(II−b)を作製する場合、式(II−c)がそれに応じて同時に作製され、式(I’−b)を作製する場合、式(I’−c)がそれに応じて同時に作製され、式(I−b)を作製する場合、式(I−c)がそれに応じて同時に作製される。上記の状況を伴う全ての本発明の化合物、及びそれらを作製するための中間体は同等とみなされ、本発明の範囲内である。
【0099】
本発明の化合物の全ての立体異性体は本発明に含まれる。本発明の化合物はキラル原子又は不斉中心を有し、したがってそれに応じて生成した鏡像異性体は本発明に含まれる。本発明の化合物は環状構造を有し、したがってそれに応じて生成したシストランス異性体も本発明に含まれる。炭素−炭素単結合の回転又は歪みによって生じる配座異性体も本発明に含まれる。
【0100】
更なる態様では、本発明は、一般式(I)で表される化合物の鏡像異性体の作製方法を提供する。当該方法には、一般式(I’)で表される化合物にキラル分割剤を加え、所望の化合物を得る方法が含まれている。
【0101】
上述のキラル分割剤は、例えば、D−(−)−ジエチルタートレート、L−(+)−ジエチルタートレート、D−(−)−ジメチルタートレート、L−(+)−ジメチルタートレート、D−(+)−ジ−p−トルオイル酒石酸、L−(−)−ジ−p−トルオイル酒石酸、D−(+)−ビベンゾイル酒石酸、L−(−)−ビベンゾイル酒石酸、(1S,2S)−(−)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン、(1R,2R)−(+)−1,2−ジフェニルエチレンジアミン、D−(−)−ジイソプロピルタートレート、L−(+)−ジイソプロピルタートレート、D−(+)−ジ−p−トルオイル酒石酸、L−(−)−ジ−p−トルオイル酒石酸、D−(+)−ビベンゾイル酒石酸、L−(−)−ビベンゾイル酒石酸、D(+)−リンゴ酸、(1S,2R)−(+)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール、(1R,2S)−(−)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール、2,4−ジクロロ−α−フェニルエチルアミン、D−ジ−p−アニソイル酒石酸、L−ジ−p−アニソイル酒石酸、R−(−)−o−クロロ−マンデル酸、S−(+)−o−マンデル酸、R−ビスフェノール、S−ビスフェノール、S−マンデル酸、R−マンデル酸、R−(+)−メチルベンジルアミン、S−(−)−フェニルエチルアミン、D−カンファースルホン酸、D−カンファースルホン酸、L−(−)カンファースルホン酸、D−ショウノウ酸、L−ショウノウ酸等を含む。
【0102】
本発明の化合物、その立体異性体、その薬学的に許容可能な塩は溶媒和物の形態であり得る。溶媒和物が水和物である場合、水和は作製プロセス中に行うか、又は元の無水生成物の吸湿性を利用して徐々に行うことができる。
【0103】
本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩は特に限定されず、無機酸付加塩、有機酸付加塩、アミノ酸塩、及び金属塩を含む。
【0104】
式(I)で表される化合物の塩に関しては、好ましい塩は、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、及びビスマス塩等の薬学的に許容可能なアルカリの添加によって形成される塩である。
【0105】
式(I’)で表される化合物の塩に関しては、好ましい塩は、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、エチレンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、アルギニン塩、アスパラギン酸塩、及びグルタミン酸塩等の薬学的に許容可能な酸の添加によって形成される塩である。
【0106】
本発明の化合物は、壁細胞の頂端膜を構成する細胞内細管及び細胞質中の細管小胞のH+,K+−ATP酵素を特異的に阻害し、これらの酵素の阻害を不可逆的に誘導することにより、効果的に胃液分泌を阻害することができ、したがって消化性潰瘍及び胃酸関連疾患、例えば胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、ゾリンジャー・エリソン症候群等の予防及び/又は治療に使用することができる。
【0107】
本発明の化合物は胃内のpH値を上昇させ、血小板凝集及び血漿凝固機能によって誘導される止血作用を助け、pHが5.0未満の胃酸中においての泥状血液の速やかな消化を回避することができるため、消化性潰瘍出血、非ステロイド性抗炎症薬によって引き起こされる急性胃粘膜傷害、及びストレス状態での潰瘍出血の予防及び/又は治療、全身麻酔又は大手術の患者並びに虚弱患者及び昏睡患者における胃酸の逆流に伴う誤嚥性肺炎の予防に使用することができる。
【0108】
更なる態様では、本発明は、被験者における消化性潰瘍、潰瘍出血、及び胃酸関連疾患の予防及び/又は治療における一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、溶媒和物、または薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。
【0109】
更なる態様では、本発明は、被験者における消化性潰瘍、潰瘍出血、及び胃酸関連疾患の予防及び/又は治療するための方法を提供する。当該方法には、被験者に一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、溶媒和物、または薬学的に許容可能な塩の予防及び/又は治療するための有効用量を投与することが含まれる。
【0110】
更なる態様では、本発明は、被験体における消化性潰瘍、潰瘍出血、及び胃酸関連疾患の予防及び/又は治療に使用される薬剤の製造における一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、溶媒和物、または薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。
【0111】
更なる態様では、本発明は、本発明の化合物、その立体異性体、溶媒和物、または薬学的に許容可能な塩と、1つ又は複数の薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0112】
この態様の1つの実施形態では、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物、その立体異性体、溶媒和物、または薬学的に許容可能な塩に加え、消化性潰瘍、潰瘍出血、及び胃酸関連疾患の予防及び/又は治療に有用な更なる他の有効成分を含む。本発明の医薬組成物に使用される他の活性成分は、以下のようなものであり得る:
1.抗菌剤、例えばアモキシシリン、アンピシリン、セファロチン、セファクロル、若しくはセフィキシム等のβ−ラクタム系抗生物質;エリスロマイシン若しくはクラリスロマイシン等のマクロライド類;テトラサイクリン若しくはドキシサイクリン等のテトラサイクリン類;ゲンタマイシン、カナマイシン、若しくはアミカシン等のアミノグリコシド類;ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、若しくはエノキサシン等のキノロン類;その他メトロニダゾール、ニトロフラントイン、若しくはクロロマイセチン等、又はビスマス塩を含有する医薬製剤、例えば酸性型のクエン酸ビスマス、次サリチル酸ビスマス、次炭酸ビスマス、次硝酸ビスマス、次没食子酸ビスマスの製剤;
2.制酸剤、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、及びアルミン酸マグネシウム等;
3.精神安定薬、例えばジアザシクロヘプタトリエン等を含む精神安定剤;
4.鎮痙薬、例えばビエタミベリン及びカミロフィン等:
5.抗コリン剤、例えばオキシフェニルエピミン及びフェノール尿素等;
6.局所麻酔薬、例えばテトラカイン及びプロカイン等;
7.非ステロイド性抗炎症薬、例えばインドメタシン、アスピリン、及びナプロキセン等;
8.ステロイド及びNitrite scavenger、例えばアスコルビン酸及びアミノスルホン酸等;
9.胃潰瘍の治療用の他の薬剤、例えばピレンゼピン等;
10.プロスタグランジン薬、例えば16,16−ジメチルPGE2等;
11.ヒスタミンH2拮抗薬、例えばシメチジン等。
【0113】
本発明の医薬組成物では、使用される「薬学的に許容可能な賦形剤」は、医薬調製の分野において一般的な任意の賦形剤であり得る。特定の賦形剤の選択は、特定の患者への投与方法、又は疾患のタイプ及び状態によって決まる。特定の投与方法に適宜な医薬組成物を調製する方法は、医薬分野の当業者に既知である。例えば、薬学的に許容可能な賦形剤は、一般的な薬学的に許容可能な希釈剤、担体、充填剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、吸収促進剤、界面活性剤、吸着担体及び潤滑剤等を含み得る。必要に応じて、香料、保存料及び甘味料等を医薬組成物に添加してもよい。
【0114】
本発明の医薬組成物は、当該技術分野で既知の任意の方法、例えば経口投与、噴霧吸入、直腸投与、鼻腔投与、膣内投与、若しくは局所投与、又は非経口投与;例えば皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、髄膜注射、心室内注射、胸骨内注射、若しくは頭蓋内注射、又は輸液による投与をすることができ、とりわけ好ましくは経口投与、筋肉内注射、腹腔内注射又は静脈内注射によって投与される。
【0115】
本発明の医薬組成物を経口投与に使用する場合、従来の固体製剤、例えば錠剤、カプセル、丸薬、顆粒剤等に調製するか;又は経口液体製剤、例えば経口液剤、経口懸濁剤、シロップ等に調製することができる。医薬組成物が経口製剤に調製する場合、適宜な充填剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤等を添加することができる。
【0116】
本発明の医薬組成物を注射投与に使用する場合、従来の注射剤、注射用無菌粉末、及び注射用濃縮液に調製することができる。医薬組成物が注射用製剤に調製する場合、医薬分野の従来の方法によって調製することができる。注射剤を調製する際に、添加剤は添加しなくてもよく、又は薬物の性質に応じて適宜な添加剤を添加してもよい。
【0117】
ヒトの医療に使用されるか又は獣医学に使用されるかを問わず、本発明の化合物は、経口投与については1mg〜3000mg、好ましくは5mg〜2000mg、より好ましくは5mg〜1500mgの一般式(I)で表される化合物の1日用量;注射投与については1mg〜1500mg、好ましくは5mg〜1000mgの一般式(I)で表される化合物の1日用量を有する。必要に応じて、本発明の化合物又は医薬組成物は、所望の効果を達成するために複数回に分けて投与してもよい。しかしながら、必要であれば、治療対象の種類及び体重、疾患の性質及び重症度、製剤のタイプ及び投与方法、並びに投与のサイクル及び間隔に応じて、上記の用量範囲に限らず投与できることが当業者には知られている。
【0118】
従来の技術に比べ、本発明の化合物は、CYP219代謝酵素の影響を受けないため、人での個体差が少なく;哺乳動物における胃酸分泌を大幅に阻害することができ、潜在的な毒性作用及び副作用を有さず、胃腸管への刺激を有さず;薬物間相互作用が少なく、安全かつ効果的であり、消化管潰瘍の治療及び/又は予防薬剤の製造に使用することができ、迅速な効果発現、強い効能、長い半減期、及び安定な酸抑制効果を有する。
【実施例】
【0119】
以下の実験例及び作製例は、本発明の化合物の有益な効果及び作製について更に説明するものであるが、本発明がこれらの実験例及び作製例に限定されることは意図されない。
【0120】
実施例1:2−[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル]メチルスルフィニル]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾール(化合物1)の作製
手順1:5−ニトロ−2,3−ジヒドロベンゾフランの作製
【0121】
【化41】

【0122】
2,3−ジヒドロベンゾフラン(5g、41.6mmol)を35mLの酢酸に溶解させ、1/4のHNO3(0.9mL、45.4mmol)を滴加した。反応の開始時に、これを70℃に加熱した後、残りのHNO3を添加した。0.5時間後、反応物を冷却し、氷水に入れた後、Na2CO3で中和した。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ、真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製し、生成物を得た(1g、14.6%)。
【0123】
手順2:5−アミノ−2,3−ジヒドロベンゾフランの作製
【化42】

【0124】
手順1で得られた生成物(1g、6.1mmol)、ラネーNi(0.1g)及びMeOH(10mL)を、反応が終了するまで、室温及び水素圧50PSIでの水素化に使用した。触媒を濾過によって除去し、濾液を真空下で濃縮して、生成物を得た(800mg、97.2%)。
【0125】
手順3:5−アセチルアミノ−2,3−ジヒドロベンゾフランの作製
【化43】

【0126】
手順2で得られた生成物(5.2g、38.5mmol)を、AcOH(20mL)及びAc2O(5mL)に溶解させ、60℃に加熱し、12時間反応させ、濃縮し、粗生成物を得た(6g、88.0%)。
【0127】
手順4:5−アセチルアミノ−6−ニトロ−2,3−ジヒドロベンゾフランの作製
【化44】

【0128】
手順3で得られた生成物(6.0g、33.9mmol)をAcOH(100mL)に溶解させた後、HNO3(1.9mL、47.5mmol)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した後、氷水に入れた。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥させ、濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製し、生成物を得た(7.0g、93.3%)。
【0129】
手順5:5−アミノ−6−ニトロ−2,3−ジヒドロベンゾフランの作製
【化45】

【0130】
手順4で得られた生成物(7.0g、31.5mmol)及び2mol/LのH2SO4溶液(200mL)を6時間加熱還流した。次いで、反応混合物を0℃まで冷却し、濾過し、水で洗浄し、真空下で濃縮し、乾燥させ、生成物を得た(4.0g、70%)。
【0131】
手順6:5,6−ジアミノ−2,3−ジヒドロベンゾフランの作製
【化46】

【0132】
手順5で得られた生成物(2.5g、13.9mmol)及びPd/C(0.5g)をEtOH(50mL)に溶解させ、Parrの水素化装置内、室温及び水素圧50PSIで12時間水素化した。触媒を濾過によって除去し、生成物のエタノール溶液を直接次の反応に使用した。
【0133】
手順7:6−メルカプト−7H−2,3−ジヒドロベンゾフロ[5,6−d]イミダゾールの作製
【化47】

【0134】
手順6で得られた生成物(2.1g、13.9mmol)を無水エタノール(50mL)に溶解させ、エチルキサントゲン酸カリウム(3.3g、20.8mmol)を加え、5時間撹拌した。溶媒を除去し、水及び濃塩酸を加え、反応混合物をpH3に調整し、酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、水及び食塩水で洗浄し、乾燥させ、真空下で濃縮し、生成物を得た(1.5g、56%)。
【0135】
手順8:2−[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル]メチルスルホ]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾールの作製
【化48】

【0136】
手順7で得られた生成物(1.5g、7.8mmol)及びNaOH(0.78g、19.5mmol)を、アセトン(10mL)及び水(10mL)に溶解させ、撹拌し、2−(クロロメチル)−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン(1.79g、7.8mmol)を加え、室温で2時間撹拌し、濾過した。得られた残留物をアセトン及び水(v:v=1:1)で洗浄し、乾燥させ、生成物を得た(1.6g、53.3%)。
【0137】
手順9:化合物1の作製
【化49】

【0138】
手順8で得られた生成物(1.6g、4.16mmol)をジクロロメタン(20mL)に溶解させ、−78℃で撹拌し、m−クロロ過安息香酸m−CPBA(0.72g、4.16mmol)を1時間以内に3回に分けて添加し、30分間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO3に入れ、ジクロロメタンで抽出し、有機層を合わせた後、食塩水で洗浄し、乾燥させ、真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製し、生成物を得た(1.6g、95.8%)。
1H−NMR(CDCl3,600MHz)δ:2.03(2H,m)、2.14(3H,s)、3.32(3H,s)、3.25(2H,t)、3.57(2H,t)、4.08(2H,t)、4.61(2H,t)、4.72(1H,d)、4.77(1H,d)、6.73(2H,m)、7.42(1H,d)、8.30(1H,d)、12.22(1H,s)。
【0139】
手順10:化合物1のナトリウム塩の作製
【化50】

【0140】
手順9で得られた生成物(1.6g,4.0mmol)を0.1mol/LのNaOH溶液(20mL)に入れ、室温で1時間撹拌した。ジクロロメタンで希釈し、飽和食塩水で洗浄し、乾燥させ、真空下で濃縮し、生成物を得た(1.08g、63.5%)。
分子式:C20223NaO4S;分子量:423.46;MS:402(M+H+
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:1.95(2H,m)、2.11(3H,s)、3.25(3H,s)、3.27(2H,t)、3.46(2H,t)、4.08(2H,t)、4.55(2H,t)、4.63(1H,d)、4.75(1H,d)、6.87(1H,s)、6.91(1H,d)、7.45(1H,t)、8.20(1H,d)。
【0141】
実施例2:2−[(4−メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル)メチルスルフィニル]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾール(化合物2)の作製
手順1〜7は、実施例1の工手順1〜7を参照して行った。
【0142】
手順8:2−[(4−メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル)メチルスルホ]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾールの作製
【化51】

【0143】
実施例1の手順8を参照し、6−メルカプト−7H−2,3−ジヒドロベンゾフロ[5,6−d]イミダゾール(1.5g、7.8mmol)、NaOH(0.78g、19.5mmol)、アセトン(10mL)、水(10mL)、及び2−(クロロメチル)−4−メトキシ−3,5−ジメチルピリジン(1.45g、7.8mmol)を使用して、生成物を得た(1.51g、56.7%)。
【0144】
手順9:化合物2の作製
【化52】

【0145】
実施例1の手順9を参照し、2−[(4−メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル)メチルスルホ]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾール(1.42g、4.16mmol)、ジクロロメタン(20mL)、m−CPBA(0.72g、4.16mmol)を使用して、生成物を得た(1.38g、92.9%)。
1H−NMR(DMSO,600MHz)δ:2.21(6H,s)、3.18(2H,t)、3.69(3H,s)、4.34(1H,d)、4.43(2H,t)、4.70(1H,d)、6.75(1H,s)、7.27(1H,s)、8.22(1H,s)、12.20(1H,b)。
【0146】
手順10:化合物2のナトリウム塩の作製
【化53】

【0147】
実施例1の手順10を参照し、2−[(4−メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル)メチルスルフィニル]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾール(1.43g、4.0mmol)、0.1mol/LのNaOH溶液(20mL)を使用して、生成物を得た(1.0g、66.4%)。
分子式:C18183NaO3S;分子量:379.41;MS:358(M+H+
【0148】
実施例3:2−[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリジン−2−イル]メチルスルフィニル]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾール(化合物3)の作製
手順1〜7は、実施例1の手順1〜7を参照して行った。
【0149】
手順8:2−[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリジン−2−イル]メチルスルホ]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾールの作製
【化54】

【0150】
実施例1の手順8を参照し、6−メルカプト−7H−2,3−ジヒドロベンゾフロ[5,6−d]イミダゾール(1.5g、7.8mmol)、NaOH(0.78g、19.5mmol)、アセトン(10mL)、水(10mL)、2−(クロロメチル)−3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリジン(1.87g、7.8mmol)を使用して、生成物を得た(1.63g、52.8%)。
【0151】
手順9:化合物3の作製
【化55】

【0152】
実施例1の手順9を参照し、2−[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリジン−2−イル]メチルスルホ]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾール(1.64g、4.16mmol)、ジクロロメタン(20mL)、m−CPBA(0.72g、4.16mmol)を使用して、生成物を得た(1.55g、90.7%)。
【0153】
手順10:化合物3のナトリウム塩の作製
【化56】

【0154】
実施例1の手順10を参照し、2−[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリジン−2−イル]メチルスルフィニル]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾール(1.65g、4.0mmol)、0.1mol/LのNaOH溶液(20mL)を使用して、生成物を得た(1.1g、62.8%)。
分子式:C181533NaO3S;分子量:433.38;MS:412(M+H+
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:2.07(3H,s)、3.18(2H,t)、4.43(2H,t)、4.88(2H,m)、6.74(1H,s)、7.05(1H,d)、7.26(1H,s)、8.35(1H,d)。
【0155】
実施例4:2−[(3,4−ジメトキシピリジン−2−イル)メチルスルフィニル]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾール(化合物4)の作製
手順1〜7は、実施例1の手順1〜7を参照して行った。
【0156】
手順8:2−[(3,4−ジメトキシピリジン−2−イル)メチルスルホ]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾールの作製
【化57】

【0157】
実施例1の手順8を参照し、6−メルカプト−7H−2,3−ジヒドロベンゾフロ[5,6−d]イミダゾール(1.5g、7.8mmol)、NaOH(0.78g、19.5mmol)、アセトン(10mL)、水(10mL)、2−クロロメチル−3,4−ジメトキシピリジン(1.46g、7.8mmol)を使用して、生成物を得た(1.61g、60.2%)。
【0158】
手順9:化合物4の作製
【化58】

【0159】
実施例1の手順9を参照し、2−[(3,4−ジメトキシピリジン−2−イル)メチルスルホ]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾール(1.43g、4.16mmol)、ジクロロメタン(20mL)、m−CPBA(0.72g、4.16mmol)を使用して、生成物を得た(1.43g、95.4%)。
1H−NMR(CDCl3,600MHz)δ:3.32(2H,t)、3.88(3H,s)、3.92(3H,s)、4.64(3H,m)、4.85(1H,d)、6.84(2H,m)、7.59(1H,s)、8.24(1H,d)、11.60(1H,b)。
【0160】
手順10:化合物4のナトリウム塩の作製
【化59】

【0161】
実施例1の手順10を参照し、2−[(3,4−ジメトキシピリジン−2−イル)メチルスルホ]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾール(1.44g、4.0mmol)、0.1mol/LのNaOH溶液(20mL)を使用し、生成物を得た(0.98g、68.7%)。
分子式:C17163NaO4S;分子量:381.38;MS:360(M+H+
【0162】
実施例5:2−[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル]メチルスルフィニル]−3,6−ジヒドロイミダゾ[4,5−e]インダゾール(化合物5)の作製
手順1:5−アミノインダゾールの作製
【化60】

【0163】
実施例1の手順6を参照し、5−ニトロインダゾール(5.0g、30.7mmol)、Pd/C(1.2g)を使用して、生成物を得た(2.6g、62.6%)。
【0164】
手順2:5−アセチルアミノインダゾールの調製
【化61】

【0165】
実施例1の手順3を参照し、5−アミノインダゾール(5g、37.6mmol)、AcOH(20mL)及びAc2O(5mL)を使用し、濃縮して得た粗生成物を直接次の反応に使用した。
【0166】
手順3:4−ニトロ−5−アセチルアミノインダゾールの作製
【化62】

【0167】
実施例1の手順4を参照し、5−アセチルアミノインダゾール(6g、34.2mmol)、HNO3(2.0mL、48mmol)を使用して、生成物を得た(6.9g、91.7%)。
【0168】
手順4:4−ニトロ−5−アミノインダゾールの作製
【化63】

【0169】
実施例1の手順5を参照し、4−ニトロ−5−アセチルアミノインダゾール(6.9g、31.5mmol)、2mol/LのH2SO4溶液(200mL)を使用して、生成物を得た(4.0g、73.6%)。
【0170】
手順5:4,5−ジアミノインダゾールの作製
【化64】

【0171】
実施例1の手順6を参照し、4−ニトロ−5−アミノインダゾール(2.5g、14.0mmol)、Pd/C(0.25g)を使用して、生成物を得た(1.4g、65.5%)。
【0172】
手順6:2−メルカプト−1H,6H−イミダゾール[4,5−e]インダゾールの作製
【化65】

【0173】
実施例1の手順7を参照し、4,5−ジアミノインダゾール(2.0g、13.5mmol)、エチルキサントゲン酸カリウム(3.2g、20.2mmol)を使用して、生成物を得た(1.5g、59.2%)。
【0174】
手順7:2−[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル]メチルスルホ]−3,6−ジヒドロイミダゾ[4,5−e]インダゾールの作製
【化66】

【0175】
実施例1の手順8を参照し、2−メルカプト−1H,6H−イミダゾール[4,5−e]インダゾール(1.5g、7.9mmol)、NaOH(0.78g、19.5mmol)、2−(クロロメチル)−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン(1.8g、7.9mmol)を使用して、生成物を得た(1.8g、59.4%)。
【0176】
手順8:化合物5の作製
【化67】

【0177】
実施例1の手順9を参照し、2−[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル]メチルスルホ]−3,6−ジヒドロイミダゾ[4,5−e]インダゾール(1.8g、4.7mmol)、m−CPBA(0.81g、4.7mmol)を使用して、生成物を得た(1.7g、92.8%)。
分子式:C192153S;分子量:399.47;MS:400(M+H+
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ:2.05(2H,m)、2.22(3H,s)、3.35(3H,s)、3.50(2H,t)、4.05(2H,t)、4.85(2H,dd)、6.69(1H,d)、7.86(1H,d)、7.52(1H,d)、8.33(1H,d)、8.72(1H,s)、12.89(1H,br.s)、13.29(1H,br.s)。
【0178】
実施例6:2−[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル]メチルスルフィニル]−6,7−ジヒドロ−1H−[1,4]ジオキシノ[2,3−f]ベンズイミダゾール(化合物6)の作製
手順1:6−アセチルアミノ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキサンの作製
【化68】

【0179】
6−アミノ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキサン(9g、60mmol)及び無水酢酸(150mL)を室温で3時間撹拌し、氷に入れ、ジクロロメタン(300mL)で抽出した。有機層を乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮し、生成物を得た(10.6g、91%)。
【0180】
手順2:6−アセチルアミノ−7−ニトロ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキサンの作製
【化69】

【0181】
0℃で、手順1で得られた生成物(12.5g、65mmol)を酢酸(100mL)に溶解させ、濃HNO3(100mL)を滴加し、室温で3時間撹拌した。反応混合物を氷水に入れ、NaOH溶液を加えpHが8〜9となるように調整し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮し、生成物を得た(13g、84%)。
【0182】
手順3:6−アミノ−7−ニトロ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキサンの作製
【化70】

【0183】
手順2で得られた生成物(13g、55mmol)に、2mol/LのH2SO4溶液(500mL)を加え、還流させながら6時間撹拌した。熱源を取り外し、反応混合物を0℃まで冷却し、濾過し、水で洗浄し、乾燥させ、真空下で濃縮し、生成物を得た(8.4g、79%)。
【0184】
手順4:6,7−ジアミノ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキサンの作製
【化71】

【0185】
手順3で得られた生成物(8.2g、42mmol)を無水メタノール(300mL)に溶解させ、10%Pd/C(0.8g)を水素ガス圧下で加え、18時間反応させた。触媒を濾過によって除去し、濾液を減圧濃縮し、酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、乾燥させ、真空下で濃縮し、生成物を得た(5g、72%)。
【0186】
手順5:7−メルカプト−6H−2,3−ジヒドロ[1,4]ジオキシノ[2,3−f]ベンゾ[d]イミダゾール
【化72】

【0187】
手順4で得られた生成物(5g、30mmol)を無水メタノール(300mL)に溶解させた。エチルキサントゲン酸カリウム(7.1g、45mmol)を加え、5時間撹拌した。溶媒を除去し、水及び濃塩酸を加え、反応混合物をpH3に調整し、酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせた後、水及び食塩水で洗浄し、乾燥させ、真空下で濃縮し、生成物を得た(4.3g、69%)。
【0188】
手順6:2−[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル]メチルスルホ]−6,7−ジヒドロ−1H−[1,4]ジオキシノ[2,3−f]ベンズイミダゾールの作製
【化73】

【0189】
手順5の生成物(4.3g、20.7mmol)及びNaOH(2.1g、51.8mmol)を、アセトン(20mL)及び水(20mL)に溶解させ、撹拌し、15〜20℃で2−(クロロメチル)−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン(5.5g、20.7mmol)及び水(20mL)の溶液を滴加した。25℃〜30℃で濾過した後、得られた残留物をアセトン及び水(v:v=1:1)で洗浄し、乾燥させ、生成物を得た(5g、60%)。
【0190】
手順7:化合物6の作製
【化74】

【0191】
手順6で得られた生成物(3g、7.5mmol)をジクロロメタン(200mL)に溶解させ、撹拌し、m−クロロ−過安息香酸m−CPBA(1.2g、7.5mmol)を−50℃で1.5時間以内に3回に分けて加えた。反応混合物を飽和NaHCO3に入れ、ジクロロメタンで抽出し、有機層を合わせた後、食塩水で洗浄し、乾燥させ、真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製し、生成物を得た(2.8g、89%)。
【0192】
手順8:化合物6のナトリウム塩の作製
【化75】

【0193】
手順7で得られた生成物(13g、55mmol)を0.1mol/LのNaOH溶液(20mL)に入れ、室温で1時間撹拌した。ジクロロメタンで希釈し、飽和食塩水で洗浄し、乾燥させ、真空下で濃縮し、分取HPLCによって精製し、生成物を得た(0.5g、39%)。
分子式:C20223NaO5S;分子量:439.46;MS:418(M+H+
1H−NMR(CDCl3,400MHz)δ:2.08(2H,m)、2.19(3H,s)、3.36(3H,s)、3.55(2H,t)、4.10(2H,t)、4.30(4H,t)、4.66(1H,d)、4.78(1H,d)、6.74(1H,d)、7.10(1H,s)、7.13(1H,s)、8.31(1H,d)。
【0194】
実施例7:2−[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル]メチルスルフィニル]−1H,5H−イミダゾ[5,4−f]ベンゾ[d]イミダゾール(化合物7)の作製
手順1:5,6−ジニトロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾールの作製
【化76】

【0195】
ベンズイミダゾール(5g、42.3mmol)を35mLの酢酸に溶解させ、1/4の濃HNO3(0.9mL、45.4mmol)を滴加した。初めに、反応物を70℃に加熱した後、残りのHNO3を添加した。30分後に、反応物を冷却し、氷水に入れ、Na2CO3で中和した。水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を乾燥させ、真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製し、生成物を得た(1.4g、15.7%)。
【0196】
手順2:5,6−ジアミノ−1H−ベンゾ[d]イミダゾールの作製
【化77】

【0197】
手順1で得られた生成物(2.5g、12mmol)及びPd/C(0.5g)をEtOH(50mL)に溶解させ、Parrの水素化装置内、室温及び水素ガス圧下で反応させた。触媒を濾過によって除去し、濾液を減圧濃縮した。酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、乾燥させ、真空下で濃縮し、生成物を得た(1.2g、66.7%)。
【0198】
手順3:2−メルカプト−1H,5H−イミダゾ[5,4−f]ベンゾ[d]イミダゾールの作製
【化78】

【0199】
手順2で得られた生成物(2g、13.4mmol)を無水エタノール(50mL)に溶解させた。エチルキサントゲン酸カリウム(3.2g、20mmol)を加え、5時間撹拌した。溶媒を除去し、水及び濃塩酸を添加し、反応混合物をpH3に調整し、酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、水及び食塩水で洗浄し、乾燥させ、真空下で濃縮し、生成物を得た(1.4g、53.4%)。
【0200】
手順4:2−[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル]メチルスルホ]−1H,5H−イミダゾ[5,4−f]ベンゾ[d]イミダゾールの作製
【化79】

【0201】
手順3で得られた生成物(1.3g、6.8mmol)及びNaOH(0.68g、17mmol)を、アセトン(10mL)及び水(10mL)に溶解させ、撹拌し、2−(クロロメチル)−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン(1.6g、6.8mmol)を加え、室温で撹拌した。濾過し、得られた残留物をアセトンと水(v:v=1:1)で洗浄し、乾燥させ、生成物を得た(1.4g、51.9%)。
【0202】
手順5:化合物7の作製
【化80】

【0203】
手順4で得られた生成物(1.4g、3.65mmol)をジクロロメタン(20mL)に溶解させ、−78℃で撹拌し、m−クロロ−過安息香酸m−CPBA(0.63g、3.65mmol)を1時間以内に3回に分けて添加した。反応混合物を飽和NaHCO3に加え、ジクロロメタンで抽出し、有機層を合わせ、食塩水で洗浄し、乾燥させ、真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製し、生成物を得た(1.3g、90.6%)。
分子式:C192153S;分子量:399.47;MS:400(M+H+
1H−NMR(CDCl3,500MHz)δ:1.98(2H,m)、2.17(3H,s)、3.25(3H,s)、3.48(2H,t)、4.10(2H,t)、4.53(1H,d)、4.80(1H,d)、6.94(1H,d)、7.65(2H,s)、8.08(1H,s)、8.28(1H,d)、12.9(1H,s)、13.2(1H,s)。
【0204】
実施例8:2−[(3,5−ジメチル−4−メトキシピリジン−2−イル)メチル−スルフィニル]−1H,5H−イミダゾ[5,4−f]ベンゾ[d]イミダゾール(化合物8)の作製
手順1〜3は、実施例7の手順1〜3を参照して行った。
【0205】
手順4:2−[(3,5−ジメチル−4−メトキシピリジン−2−イル)メチルスルホ]−1H,5H−イミダゾ[5,4−f]ベンゾ[d]イミダゾールの作製
【化81】

【0206】
実施例7の手順4を参照し、2−メルカプト−1H,5H−イミダゾ[5,4−f]ベンゾ[d]イミダゾール(1.3g、6.8mmol)、NaOH(0.68g、17mmol)、2−(クロロメチル)−4−メトキシ−3,5−ジメチルピリジン(1.3g、6.8mmol)を使用して、生成物を得た(1.5g、56.7%)。
【0207】
手順5:化合物8の作製
【化82】

【0208】
実施例7の手順5を参照し、2−[(3,5−ジメチル−4−メトキシピリジン−2−イル)メチルスルホ)−1H,5H−イミダゾ[5,4−f]ベンゾ[d]イミダゾール(1.2g、3.65mmol)、m−CPBA(0.63g、3.65mmol)を使用して、生成物を得た(1.2g、89.4%)。
分子式:C171752S;分子量:355.41;MS:356(M+H+
1H−NMR(DMSO−d6,300MHz)δ:2.15(3H,s)、2.18(3H,s)、3.66(3H,s)、4.75(2H,dd)、7.58〜7.89(2H,m)、8.10(1H,s)、8.29(1H,s)、12.40(1H,s)、13.30(1H,br.s)。
【0209】
実施例9:2−[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリジン−2−イル]メチルスルフィニル]−1H,5H−イミダゾ[5,4−f]ベンゾ[d]イミダゾール(化合物9)の作製
手順1〜3は、実施例7の手順1〜3を参照して行った。
【0210】
手順4:2−[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリジン−2−イル]メチルスルホ]−1H,5H−イミダゾ[5,4−f]ベンゾ[d]イミダゾールの作製
【化83】

【0211】
実施例7の手順4を参照し、2−メルカプト−1H,5H−イミダゾ[5,4−f]ベンゾ[d]イミダゾール(1.3g,6.8mmol)、NaOH(0.68g、17mmol)、2−(クロロメチル)−3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリジン(1.6g、6.8mmol)を使用して、生成物を得た(1.5g、54.9%)。
【0212】
手順5:化合物9の作製
【化84】

【0213】
実施例7の手順5を参照し、2−[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリジン−2−イル]メチルスルホ]−1H,5H−イミダゾ[5,4−f]ベンゾ[d]イミダゾール(1.4g、3.65mmol)、m−CPBA(0.63g、3.65mmol)を使用して、生成物を得た(1.3g、88.6%)。
分子式:C1714352S;分子量:409.39;MS:410(M+H+
1H−NMR(DMSO−d6,300MHz)δ:2.16(3H,s)、4.80(2H,dd)、4.91(2H,t)、7.05(1H,d)、7.60〜7.79(2H,m)、8.25(1H,d)、8.26(1H,s)、12.3(1H,d)、13.3(1H,m)。
【0214】
実施例10:2−[(3,4−ジメトキシピリジン−2−イル)メチルスルフィニル]−1H,5H−イミダゾ[5,4−f]ベンゾ[d]イミダゾール(化合物10)の作製
手順1〜3は、実施例7の手順1〜3を参照して行った。
【0215】
手順4:2−[(3,4−ジメトキシピリジン−2−イル)メチルスルホ]−1H,5H−イミダゾ[5,4−f]ベンゾ[d]イミダゾールの作製
【化85】

【0216】
実施例7の手順4を参照し、2−メルカプト−1H,5H−イミダゾ[5,4−f]ベンゾ[d]イミダゾール(1.3g、6.8mmol)、NaOH(0.68g、17mmol)、2−クロロメチル−3,4−ジメトキシピリジン(1.3g、6.8mmol)を使用して、生成物を得た(1.5g、64.7%)。
【0217】
手順5:化合物10の作製
【化86】

【0218】
実施例7の手順5を参照し、2−(3,4−ジメトキシピリジン−2−イル)メチルスルホ−1H,5H−イミダゾ[5,4−f]ベンゾ[d]イミダゾール(1.2g、3.65mmol)、m−CPBA(0.63g、3.65mmol)を使用して、生成物を得た(1.2g、94.6%)。
分子式:C161553S;分子量:357.39;MS:358(M+H+
1H−NMR(DMSO−d6,300MHz)δ:3.75(3H,s)、3.88(3H,s)、4.66(2H,dd)、7.09(1H,s)、7.72(1H,s)、7.66(1H,s)、8.14(1H,s)、8.25(1H,s)、12.32(1H,s)、13.34(1H,br.s)。
【0219】
実施例11:6−[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル]メチルスルフィニル]−1,5−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−f]インダゾール(化合物11)の作製
手順1:5,6−ジニトロインダゾールの作製
【化87】

【0220】
実施例7の手順1を参照し、6−ニトロインダゾール(5g、30.7mmol)、35mLの酢酸、濃HNO3(3.6mL、181.6mmol)を使用して、生成物を得た(1.8g、28.6%)。
【0221】
手順2:5,6−ジアミノインダゾールの作製
【化88】

実施例7の手順2を参照し、5,6−ジニトロインダゾール(5.0g、24.0mmol)、10%Pd/C(1g)を使用して、生成物を得た(2.4g、66.7%)。
【0222】
手順3:6−メルカプト−1H,5H−イミダゾ[4,5−f]インダゾールの作製
【化89】

【0223】
実施例7の手順3を参照し、5,6−ジアミノインダゾール(2.4g、16.2mmol)、エチルキサントゲン酸カリウム(4.0g、25mmol)を使用して、生成物を得た(1.9g、62.8%)。
【0224】
手順4:6−[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル]メチルスルホ]−1,5−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−f]インダゾールの作製
【化90】

【0225】
実施例7の手順4を参照し、6−メルカプト−1H,5H−イミダゾ[4,5−f]インダゾール(1.3g、6.8mmol)、NaOH(0.68g、17mmol)、2−(クロロメチル)−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン(1.6g、6.8mmol)を使用して、生成物を得た(1.5g、57.5%)。
【0226】
手順5:化合物11の作製
【化91】

【0227】
実施例7の手順5を参照し、6−[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル]メチルスルホ]−1,5−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−f]インダゾール(1.5g、3.9mmol)、m−CPBA(0.63g、3.9mmol)を使用して、生成物を得た(1.4g、92.5%)。
分子式:C192153S;分子量:399.47;MS:400(M+H+
1H−NMR(CDCl3,500MHz)δ:1.98(2H,m)、2.17(3H,s)、3.25(3H,s)、3.49(2H,t)、4.09(2H,t)、4.71(1H,d)、4.80(1H,d)、6.93(1H,d)、7.52(1H,s)、8.07(1H,s)、8.18(1H,s)、8.28(1H,d)、12.83(1H,s);13.28(1H,s)。
【0228】
上記の方法を用いて以下の化合物も作製した:
【0229】
【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【0230】
実施例12:(S)−2−[[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチル−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾール(化合物29)の作製
【化92】

【0231】
2−[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル]メチルスルホ]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾール(実施例1の手順8で得られた化合物)(48g、125mmol)、トルエン(300mL)、D−(−)−酒石酸ジエチル(32.3mL、188mmol)、テトライソプロピルチタネート(22.2mL、75mmol)、及び脱イオン水(0.8mL、44mmol)の混合物を55℃で1時間撹拌し、10℃まで冷却し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(8.9mL、54mmol)を加えた後、クミルヒドロペルオキシド(23.3mL、137mmol)を反応溶液に滴加し、12時間撹拌した。アンモニア水(12.5%)で抽出し、水相を氷酢酸でpH=8に調整し、濾過し、水で洗浄し、乾燥させ、再結晶させ、生成物を得た(14g、28%)。
【0232】
実施例13:(R)−2−[[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチル−2−ピリジル]メチル]−スルフィニル]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾール(化合物30)の作製
CHIRALPAK AS−Hを分析カラムとして使用した(固定相としてシリカ表面をアミロース−トリ{(S)−α−トリルフェニルカルバメート}でコーティングした)。移動相はn−ヘキサン−エタノール−ジエチルアミン(50:50:0.1)(v/v/v)とした。化合物1の分割によって化合物29及び化合物30が得られた。
【0233】
実施例14:(R)−2−[[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチル−2−ピリジル]メチル]−スルフィニル]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾールナトリウム(化合物30のナトリウム塩)の作製
手順1:5−ニトロ−2,3−ジヒドロベンゾフランの作製
【化93】

【0234】
2,3−ジヒドロベンゾフラン(36g、0.3mol)を氷酢酸(100mL)に加え、65℃に加熱した後、濃硝酸(25mL、0.36mol)を滴加し、反応溶液の温度を65℃〜75℃に調節した。滴加終了後に更に30分間撹拌した。室温まで冷却し、濾過し、水で洗浄し、乾燥させ、生成物を得た(22g、44.4%)。
【0235】
手順2:5−アミノ−2,3−ジヒドロベンゾフランの作製
【化94】

【0236】
手順1で得られた生成物(15g、91mmol)、Pd/c(1.5g)、及び無水エタノール(50mL)の混合物を50℃及び2MPaの水素ガス下で3時間反応させ、濾過し、濃縮し、生成物を得た(11.2g、91.1%)。
【0237】
手順3:5−アミノ−6−ニトロ−2,3−ジヒドロベンゾフランの作製
【化95】

【0238】
室温で、無水酢酸(10.3mL、110mmol)を手順2で得られた生成物(12g、89mmol)と酢酸エチル(80mL)の溶液に滴加し、滴加終了後、更に無水酢酸(19mL)を加え、0.5時間撹拌した。次いで、濃硝酸(7.6mL、110mmol)を上記の反応溶液に滴加し、室温まで冷却し、濾過して固体を得た。この固体と塩酸(20mL)及び無水エタノール(40mL)の反応混合物を4時間還流させ、室温まで冷却し、濾過し、水で洗浄し、乾燥させ、生成物を得た(9.8g、61.3%)。
【0239】
手順4:2−メルカプト−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾールの作製
【化96】

【0240】
手順3で得られた生成物(36g、0.2mol)、Pd/C(3.6g)、及び無水エタノール(100mL)を水素化反応ケトルに加え、50℃、4MPaの水素ガス圧下で2時間反応させ、濾過した。
【0241】
濾液及びエチルキサントゲン酸カリウム(35.2g、0.22mol)の混合物を4時間還流させ、室温まで冷却し、濾過し、水及びエタノールで順に洗浄し、乾燥させ、生成物を得た(34g、88.5%)。
【0242】
手順5:2−[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチル−2−ピリジル]メチルスルホ]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾールの作製
【化97】

【0243】
2−クロロメチル−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン塩酸塩(26.6g、0.1mol)及び無水メタノール(100mL)の溶液を、手順4で得られた生成物(19.2g、0.1mol)、水酸化ナトリウム(8g、0.2mol)、及び無水メタノール(100mL)の混合物に滴加し、滴加終了後に更に3時間撹拌した。次いで濃縮し、濾過し、水で洗浄し、乾燥させ、再結晶させ、生成物を得た(27g、70.1%)。
【0244】
手順6:(R)−2−[[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチル−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾール(化合物30)の作製
【化98】

【0245】
手順5で得られた生成物(48g、125mmol)、トルエン(300mL)、L−(+)−酒石酸ジエチルエステル(32.3mL、188mmol)、テトライソプロピルチタネート(22.2mL、75mmol)、及び脱イオン水(0.8mL、44mmol)の混合物を55℃で1時間撹拌し、10℃まで冷却し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(8.9mL、54mmol)を加えた後、クミルヒドロペルオキシド(23.3mL、137mmol)を反応溶液に滴加し、12時間撹拌し、アンモニア水(12.5%)で抽出し、水相を氷酢酸でpH=8に調整し、濾過し、水で洗浄し、乾燥させ、再結晶させ、生成物を得た(14g、28%)。
【0246】
手順7:(R)−2−[[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチル−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾールナトリウムの作製
【化99】

【0247】
40℃で、手順6で得られた生成物(10g、25mmol)をアセトニトリル(50mL)に溶解させた後、水酸化ナトリウムの水溶液(2.1g、47%)を滴加した。滴加終了後に30分間撹拌し、室温まで冷却し、更に1時間撹拌し、0℃で2時間静置し、濾過し、エチルエーテルで洗浄し、真空下、40℃で乾燥させ、生成物を得た(9.5g、90.0%)。
分子式:C20223NaO4S;分子量:423.46;MS:402(M+H+
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:1.98(2H,m)、2.15(3H,s)、3.18(2H,t)、3.25(3H,s)、3.48(2H,t)、4.09(2H,t)、4.37(1H,d)、4.44(2H,t)、4.72(1H,d)、6.75(1H,s)、6.92(1H,d)、7.27(1H,s)、8.27(1H,d)。
【0248】
実験例1:幽門結紮ラットにおける本発明の化合物の胃酸抑制効果
1.実験材料
実験動物:6週齢のWistarラット、雄性、140g〜180g。
実験試料:構造式及び化学名を表1に示した本発明の化合物の一部。構造式を「背景技術」の項に示した化合物81を対照化合物として使用した。試験前に、これらの化合物を生理食塩水に溶解させた。
【0249】
2.実験方法
各群のラットを給水制限せずに48時間絶食させた後、エーテルで麻酔し、剣状突起下より腹部正中線で切開し胃壁を露出させた。縫合糸で幽門を結紮し、すぐに十二指腸より薬物を投与した。ここで、溶媒群には生理食塩水を2mL/kgで投与し、試料群には対応する試験試料を20mg/kgで投与した。動物を6時間後に処分し、腹壁を切開し、食道を横隔膜筋近傍で結紮し、全胃を摘出し、洗浄して血液を除去し、胃内容物を放出させ、胃酸の酸性度をpH試験紙で試験した後、胃内容物を3000rpmで10分間遠心分離した。上清の容量を計量した後1mLを取り、フェノールフタレインを指示薬として0.01mol/LのNaOH溶液で滴定し、NaOHの容量を記録し、胃液の総酸性度及び総酸分泌量を算出した。
胃液の総酸性度(mmol/L)=NaOH溶液の消費容量(mL)×0.01mol/L(NaOHの濃度)/1mL(上清の容量)×1000
1時間の総酸分泌量(mmol/時間)=総酸性度(mmol/L)×胃液容量(mL)/6時間/1000
【0250】
3.実験結果
実験結果は平均値±標準偏差の形で示し、データはt−検定で処理する。具体的な試験結果を表3に示す。
【0251】
【表3】

【0252】
4.結論
溶媒群に比べ、本発明の化合物1の群では、胃酸の酸性度及びpH値が顕著に増大され、胃液容量、胃液の総酸性度、総酸分泌量が減少又は顕著に減少され、本発明の化合物1が幽門結紮ラットにおける胃酸分泌に対する顕著な抑制効果を有する。化合物6の群及び化合物8の群では、幽門結紮ラットにおける胃酸分泌に対する抑制効果を示さない。
【0253】
5.実験例1を参照して、本発明の化合物を30mg/kgの用量で投与し、溶媒群には同じ容量の溶媒(2mL/kg)を投与した。試験結果を表4に示す。
【0254】
【表4】

【0255】
結論:本発明の化合物1、化合物29及び化合物30は、幽門結紮ラットにおける胃液のpH値を有意に増大させ、胃液の総酸性度及び総酸分泌量を有意に減少させ、且つ化合物30は胃液の総酸性度及び総酸分泌量を減少させる面においては化合物29よりも優れている。
【0256】
6.実験例1を参照して、本発明の化合物、対照の化合物81を20mg/kgの用量でそれぞれ投与し、溶媒群には同じ容量の溶媒(2mL/kg)を投与した。試験結果を表5に示す。
【0257】
【表5】

【0258】
結論:本発明の化合物1は、幽門結紮ラットにおける総酸性度を顕著に増大させ、対照の化合物81の群と比較して有意な差を有する。
【0259】
実験例2:ラットにおける逆流性食道炎に対する本発明の化合物の効果
1.実験方法:
雌雄が半分ずつのWistarラットを給水制限せずに26時間を絶食させ、1つの群につき6匹のラットで無作為に化合物1の群、化合物6の群、対照の化合物81の群、及びコントロール群に分けた。ラットをエーテルで麻酔し、腹壁を切開し、幽門を結紮し、腺胃と前胃との間の部分も結紮した。結紮後、すぐに十二指腸より薬物を投与した。試料群には試料を20mg/kgで投与し、コントロール群には同じ容量の溶媒を投与した。その後腹部を閉じた。ラットを絶食ケージに戻し、5時間絶食及び絶水した後、空気塞栓によって処分した。胃及び食道を一緒に摘出し、食道内を1%ホルムアルデヒドで1時間固定した後、食道の損傷を観察した。
【0260】
2.食道炎指数の観察
総食道面積に対する食道炎損傷面積の割合を食道炎指数として使用した。損傷なしを0点、1%〜25%の損傷面積を1点、25%〜50%の損傷面積を2点、50%〜75%の損傷面積を3点、75%を超える損傷面積又は穿孔を4点とした。
【0261】
3.分析方法及び結果
実験結果は平均値±標準偏差の形で示し、食道炎指数データはマンホイットニーU検定を行った。
【0262】
【表6】

【0263】
【表7】

【0264】
4.結論
コントロール群に比べ、本発明の化合物1の群では食道炎指数が有意に減少され(P<0.01)、本発明の化合物1が食道に対して優れた保護効果を有することが示された。対照の化合物81の群及び本発明の化合物6の群は、コントロール群に比べ、P>0.05であり、統計学的に有意性を示さず、対照の化合物81及び本発明の化合物6がラットにおける逆流性食道炎に対する保護効果を有しないことが示される。
【0265】
実験例3:ラットにおける本発明の化合物のin vivo薬物動態試験
1.実験材料
実験動物:雄性のWistarラット、1つの化合物につきラット6匹、体重180g〜220g、山東大学から購入した。
【表8】

実験試料:各々上記の実施例の方法に従って調製し、試験前に生理食塩水に溶解させた本発明の化合物1、化合物29及び化合物30。
【0266】
2.実験方法
投与:静注(I.V)に関しては、化合物1、化合物29、化合物30を5mg/kgの用量、2mL/kgの容量で投与した。胃内投与(P.O)に関しては、化合物1、化合物29、化合物30を5mg/kgの用量、2mL/kgの容量で投与した。投与前にラットを給水制限せずに12時間絶食させ、投与より4時間後に給餌した。
血液採取:薬物投与後0時間、0.083時間、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、8時間、24時間の各々のタイムポイントで、約150μLの全血を採取し、低温高速遠心機を用いて4℃及び8000rpmで6分間遠心分離し、分離した血漿を凍結し、冷蔵庫内に−80℃で保管した。
血漿試料の分析:化合物1、化合物29、化合物30に関しては、50μLの血漿を取り、120μLの内部標準溶液(トルブタミド、5ng/mLのMeOH溶液)を加え、1500rpmで2分間ボルテックス処理した後、14000rpmで5分間遠心分離し、上清を採取し、LC−MS/MSを用いて分析した。
計算式:絶対的バイオアベイラビリティF%=[AUC]INF(PO)×用量(IV)/[AUC]INF(IV)×用量(PO)
【0267】
3.実験結果
実験結果を表8及び表9に示す。
【0268】
【表9】

【0269】
【表10】

【0270】
ここで、AUCINFは薬物血中濃度−時間曲線下面積0→∞を表し、Cmaxはピーク薬物血中濃度を表し、Tmaxはピーク薬物血中濃度に到達する時間を表し、F%は絶対的バイオアベイラビリティを表し、CLはクリアランス速度を表し、Vssは見掛けの分布容量を表し、T1/2は半減期を表す。
【0271】
4.結論
化合物1、化合物29及び化合物30が優れたin vivo薬物動態特性を有することが表8及び表9から明らかである。
【0272】
調製例:本発明の化合物の腸溶コーティング錠剤の製造
錠剤コアの処方:
【0273】
【表11】

【0274】
分離コーティングの処方:
成分 質量百分率
胃溶性フィルムコーティングプレミックス(17B68966) 7.5%
エタノール 77.9%
精製水 14.6%
【0275】
腸溶性フィルムコーティングの処方:
成分 質量百分率
腸溶性フィルムコーティングプレミックス(94O680000) 7.6%
エタノール 92.4%
【0276】
製造方法:
(1)化合物30のナトリウム塩及びマンニトールを取り、個別に粉砕し、篩に通す;
(2)粉砕した化合物30のナトリウム塩及び酸化マグネシウムを処方に従って秤量し、混合し、篩に通す;
(3)マンニトールと架橋ポビドン(XL−10)又は架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムを処方に従って秤量し、均一に混合し、5%(w/w)のポビドンK30の無水エタノール溶液を加えて混合し、湿顆粒を造粒する;
(4)湿顆粒を乾燥する;
(5)整粒する;
(6)ステアリン酸マグネシウムと架橋ポビドン(XL−10)を加え、全体を均一に混合する;
(7)半完成品を検査する;
(8)打錠する;
(9)錠剤を乾燥する;
(10)分離コーティングをする;
(11)腸溶性コーティングをする;
(12)完成品を乾燥し、包装する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で表される化合物、その立体異性体、溶媒和物、または薬学的に許容可能な塩:
【化1】

(式中、
1、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立した水素原子、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルコキシ−C1~6アルキル、C1~6アルコキシ−C1~6アルコキシ、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルコキシ、C1~6アルキルアミノ、ジ(C1~6アルキル)アミノ、C1~6アルキルカルボニル、C1~6アルキルカルボニルオキシ、C1~6アルキルオキシカルボニル、フェニル、フェニルC1~6アルキル、フェニル−C1~6アルコキシル、又はフェノキシであり、
5は式
【化2】

を表し、
6及びR7はそれぞれ独立した水素原子、ハロゲン原子、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルコキシ−C1~6アルキル、C1~6アルコキシ−C1~6アルコキシ、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルコキシ、C1~6アルキルアミノ、ジ(C1~6アルキル)アミノ、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C1~6アルキル、カルボキシ、カルボキシ−C1~6アルキル、アミノ、アミノ−C1~6アルキル、C1~6アルキルカルボニル、C1~6アルキルカルボニルオキシ、C1~6アルキルオキシカルボニル、アミノスルホニル、カルバモイル、又はC1~6アルキルカルバモイルであり、
環A及び環Bはそれぞれ独立した1〜3個の酸素原子、硫黄原子、及び/又は窒素原子を有する5〜7員の単環であり、該単環は任意で1〜4個のR8で置換され、
8は水素原子、ハロゲン原子、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C1~6アルコキシ−C1~6アルキル、C1~6アルコキシ−C1~6アルコキシ、ハロC1~6アルキル、ハロC1~6アルコキシ、C1~6アルキルアミノ、ジ(C1~6アルキル)アミノ、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C1~6アルキル、カルボキシ、カルボキシ−C1~6アルキル、アミノ、アミノ−C1~6アルキル、C1~6アルキルカルボニル、C1~6アルキルカルボニルオキシ、C1~6アルキルオキシカルボニル、アミノスルホニル、カルバモイル、C1~6アルキルカルバモイル、又はC1~6アルキルホルミルアミノであり、
nは1又は2であるが、
ただし、環Aは
【化3】

ではなく、
ただし、環Aが
【化4】

である場合、R8はハロゲン原子ではない)。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物、その立体異性体、溶媒和物、または薬学的に許容可能な塩:
(式中、
1、R2、及びR3がそれぞれ独立した水素原子、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルコキシ−C1~4アルキル、C1~4アルコキシ−C1~4アルコキシ、ハロC1~4アルキル、又はハロC1~4アルコキシであり、
4が水素原子であり、
5が式
【化5】

を表し、
6及びR7がそれぞれ独立した水素原子、フッ素原子、塩素原子、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルコキシ−C1~4アルコキシ、フルオロ−C1~4アルキル、フルオロ−C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アミノスルホニル、カルバモイル、又はC1~4アルキルカルバモイルであり、
環A及び環Bがそれぞれ独立した1個又は2個の酸素原子、硫黄原子、及び/又は窒素原子を有する5〜7員の単環であり、該単環は任意で1個又は2個のR8で置換され、
8が水素原子、フッ素原子、塩素原子、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルコキシ−C1~4アルキル、C1~4アルコキシ−C1~4アルコキシ、フルオロ−C1~4アルキル、又はフルオロ−C1~4アルコキシであり、
nが1であり、
ただし、環Aは
【化6】

ではなく、
ただし、環Aが
【化7】

である場合、R8はハロゲン原子ではない。)。
【請求項3】
請求項2に記載の化合物、その立体異性体、溶媒和物、または薬学的に許容可能な塩:
(式中、
1、R2、及びR3がそれぞれ独立した水素原子、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルコキシ−C1~4アルキル、C1~4アルコキシ−C1~4アルコキシ、ハロC1~4アルキル、又はハロC1~4アルコキシであり、
4が水素原子であり、
5が式
【化8】

を表し、
6及びR7がそれぞれ独立した水素原子であり、
環Aが1個の酸素原子を有する5員環である。)。
【請求項4】
請求項2に記載の化合物、その立体異性体、溶媒和物、また薬学的に許容可能な塩:
(式中、
1がC1~4アルキル又はハロC1~4アルキルであり、
2がC1~4アルコキシ、C1~4アルコキシ−C1~4アルキル、C1~4アルコキシ−C1~4アルコキシ、又はハロC1~4アルコキシであり、
3及びR4がそれぞれ独立した水素原子であり、
5が式
【化9】

を表し、
6及びR7がそれぞれ独立した水素原子であり、
環Aが1個の酸素原子を有する5員環である。)。
【請求項5】
請求項2に記載の化合物、その立体異性体、溶媒和物、また薬学的に許容可能な塩:
(式中、
1、R2及びR3がそれぞれ独立した水素原子、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、メトキシメトキシ、2−メトキシエトキシ、3−メトキシプロポキシ、エトキシメトキシ、2−エトキシエトキシ、3−エトキシプロポキシ、プロポキシメトキシ、メトキシメチル、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、エトキシメチル、2−エトキシエチル、3−エトキシプロピル、プロポキシメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2−ジフルオロエトキシ、又は2,2,2−トリフルオロエトキシであり、
4が水素原子であり、
5
【化10】

【化11】

【化12】

を表す。)。
【請求項6】
請求項5に記載の化合物、その立体異性体、溶媒和物、また薬学的に許容可能な塩:
(式中、
1、R2及びR3がそれぞれ独立した水素原子、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、メトキシメトキシ、2−メトキシエトキシ、3−メトキシプロポキシ、エトキシメトキシ、2−エトキシエトキシ、3−エトキシプロポキシ、プロポキシメトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2−ジフルオロエトキシ、又は2,2,2−トリフルオロエトキシであり、
4が水素原子であり、
5
【化13】

【化14】

を表す。)。
【請求項7】
請求項6に記載の化合物、その立体異性体、溶媒和物、また薬学的に許容可能な塩:
(式中、
1が水素原子、メチル、又はメトキシであり、
2がメトキシ、3−メトキシプロポキシ、又は2,2,2−トリフルオロエトキシであり、
3が水素原子、メチル、又はメトキシであり、
4が水素原子であり、
5
【化15】

を表す)。
【請求項8】
請求項7に記載の化合物、その立体異性体、溶媒和物、また薬学的に許容可能な塩:
(式中、
1がメチル、又はメトキシであり、
2がメトキシ、3−メトキシプロポキシ、又は2,2,2−トリフルオロエトキシであり、
3が水素原子、又はメチルであり、
4が水素原子であり、
5
【化16】

を表す。)。
【請求項9】
請求項1に記載の化合物、その立体異性体、溶媒和物、また薬学的に許容可能な塩であって、前記化合物が、
2−[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル]メチルスルフィニル]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾール、
2−[(4−メトキシ−3,5−ジメチルピリジン−2−イル)メチルスルフィニル]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾール、
2−[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリジン−2−イル]メチルスルフィニル]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾール、
2−[(3,4−ジメトキシピリジン−2−イル)メチルスルフィニル]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾール、
2−[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル]メチルスルフィニル]−3,6−ジヒドロイミダゾ[4,5−e]インダゾール、
2−[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル]メチルスルフィニル]−6,7−ジヒドロ−1H−[1,4]ジオキシノ[2,3−f]ベンゾ[d]イミダゾール、
2−[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル]メチルスルフィニル]−1H,5H−イミダゾ[5,4−f]ベンゾ[d]イミダゾール、
2−[(3,5−ジメチル−4−メトキシピリジン−2−イル)メチルスルフィニル]−1H,5H−イミダゾ[5,4−f]ベンゾ[d]イミダゾール、
2−[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ピリジン−2−イル]メチルスルフィニル]−1H,5H−イミダゾ[4,5−f]ベンゾ[d]イミダゾール、
2−(3,4−ジメトキシピリジン−2−イル)メチルスルフィニル−1H,5H−イミダゾ[5,4−f]ベンゾ[d]イミダゾール、及び
6−[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル]メチルスルフィニル]−1,5−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−f]インダゾールから選択される。
【請求項10】
前記化合物が以下の式の構造を有する、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩:
【化17】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5及びnは請求項1で定義された意味を有する。)。
【請求項11】
請求項10に記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩:
(式中、
1、R2及びR3がそれぞれ独立した水素原子、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルコキシ−C1~4アルキル、C1~4アルコキシ−C1~4アルコキシ、ハロC1~4アルキル、又はハロC1~4アルコキシであり、
4が水素原子であり、
5が式
【化18】

を表し、
6及びR7が独立して水素原子であり、
環Aが1個の酸素原子を有する5員環である。)。
【請求項12】
請求項10に記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩:
(式中、
1がC1~4アルキル又はハロC1~4アルキルであり、
2がC1~4アルコキシ、C1~4アルコキシ−C1~4アルキル、C1~4アルコキシ−C1~4アルコキシ、又はハロC1~4アルコキシであり、
3及びR4がそれぞれ独立した水素原子であり、
5が式
【化19】

を表し、
6及びR7がそれぞれ独立した水素原子であり、
環Aが1個の酸素原子を有する5員環である。)。
【請求項13】
請求項10に記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩:
前記化合物が、
(S)−2−[[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチル−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾール、又は
(R)−2−[[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチル−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]−6,7−ジヒドロ−3H−ベンゾフロ[5,6−d]イミダゾールである。
【請求項14】
有効量の請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物、その立体異性体、溶媒和物、また薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項15】
消化性潰瘍、潰瘍出血、及び胃酸関連疾患の予防及び/又は治療に用いられる薬剤の製造における請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物、その立体異性体、溶媒和物、または薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項16】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物を作製する方法であって、式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との置換反応を行い、式(I’)で表される化合物を生成し、式(I’)で表される化合物がm−クロロ−ペルオキシ安息香酸存在下で、式(I)で表される化合物を得ることを含む、方法。
【化20】

【化21】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5及びnは請求項1〜13のいずれか一項で定義された意味を有する)。
【請求項17】
式(I’)で表される化合物、その立体異性体、溶媒和物、または薬学的に許容可能な塩。
【化22】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5及びnは請求項1で定義された意味を有する)
【請求項18】
請求項10〜13のいずれか一項に記載の化合物を作製する方法であって、一般式(I’)で表される化合物にキラル分割剤を加え、所望の化合物を得ることを含む、方法。
【請求項19】
一般式(II)で表される化合物、その立体異性体、溶媒和物、または薬学的に許容可能な塩:
HS−R5 (II)
(式中、R5は請求項1で定義された意味を有する。)。

【公表番号】特表2013−518826(P2013−518826A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551473(P2012−551473)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【国際出願番号】PCT/CN2011/000181
【国際公開番号】WO2011/095057
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(512202749)シュエンジュウ・ファーマ・カンパニー・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】