説明

ペット管理システム

【課題】ペットの健康状態を、簡単にかつ容易に知ることができるペット管理システムを提供する。
【解決手段】ユーザの携帯電話からペットの虹彩の写真と健康状態に関するコメントを受信したときは(S31)、解析データベースの中に写真とコメントとを対応付けて格納する。そのユーザの過去の送信データを参照して(S32)、今回送信されてきた虹彩データを、解析データベースに格納されている過去に送信されてきた虹彩のデータと比較して、同一または類似のものを検索する。その画像に対応して記録されたコメントのうち、頻度の最も多いものを抽出して、それを「健康状態」と判断し(S33)、それに対応したアバターを選択して、携帯電話に送信する(S34、S35)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はペット管理システム関し、特に、ペットの健康状態を楽しく知ることができるペット管理システム関する。
【背景技術】
【0002】
従来、虹彩画像に基づいて、人間の生体認証および健康診断を同一システムで行う方法が、たとえば、特開2007−29333号公報(特許文献1)に記載されている。同公報によれば、人間の両眼の虹彩を撮影し、その画像データを眼部情報分析装置に転送し、画像解析を行って、これをカラー撮影データと赤外線撮影データとに分け、カラー撮影データに健康系データ解析処理を、赤外線撮影データに認証系解析処理を施している。
【0003】
なお、このように、虹彩データを用いて健康状態がわかるのは、虹彩には、身体組織やあらゆる器官の健康状態が現れるという虹彩学や虹彩診断の研究結果に基づくものである。
【特許文献1】特開2007−29333号公報(要約)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の虹彩データを用いたシステムは上記のように構成されていた。人間については、いろいろ研究されて虹彩と健康との関係がある程度わかっていたが、それ以外のペット等については、まだ、研究中であり、人間の場合のような虹彩データに基づいて、健康状態を知ることは不可能である。
【0005】
また、近年、ペット、特に犬については、家畜というより、「人」のパートナーとして育てられ、パートナーだけではない、「癒し」としてのコンパニオンや、家族の一員という位置づけになってきている。このような状態で、飼主は犬の健康を気遣うが、犬は人間と会話ができないため、その具体的な体調を知ることはできず、単に、客観的に、今日は元気だとか、食欲がないとか、元気がない、といった状態を知ることができるだけであった。
【0006】
この発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたもので、犬のようなペットの健康状態を、簡単にかつ容易に知ることができるペット管理システム、ペット管理サーバ、および、ペット管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るペット管理システムは、ペットの目の虹彩を撮影可能なカメラを有するペット側装置と、ペット側装置と交信可能なペット管理サーバとを含む。ペット側装置は、飼主にペットの健康状態を入力させる入力手段と、入力手段に入力されたペットの健康状態とともにカメラで撮影されたペットの虹彩の画像を送信する送信手段と、ペット管理サーバからの情報を受信する受信手段とを含む。ペット管理サーバは、ペット側装置と通信する通信手段と、通信手段で受信したペットの健康状態と、撮影されたペットの虹彩の画像データとを関連付けて格納するデータベースと、データベースを参照して、ペット側装置から送信されたデータに基づいて、ペットの健康状態を判断する判断手段と、判断手段の判断結果に基づいてペットの健康状態をペット側装置に送信する健康状態送信手段とを含む。
【0008】
好ましくは、ペット側装置は携帯電話である。
【0009】
さらに好ましくは、ペット管理サーバは、ペットに応じた複数のキャラクタデータを有し、ペット側装置は、ペット管理サーバにアクセスしてユーザに自分のペットに応じた所望のキャラクタデータを複数のキャラクタデータの中から選択させる選択手段を含む。
【発明の効果】
【0010】
この発明においては、ペット管理サーバは、データベースを参照して、ペット側装置から送信されたデータに基づいて、ペットの健康状態を判断し、判断結果に基づいてペットの健康状態をペット側装置に送信する。すなわち、過去において格納された虹彩データとそれに対応する健康状態を参照して、新たに送られてきたペットの虹彩が、過去のどの虹彩データに類似しているかを判断して、虹彩データに対応した健康状態をペット側装置に送信するため、飼主は、ペットの虹彩データを送信するだけで、健康状態を知ることができる。
【0011】
その結果、犬のようなペットの健康状態を、簡単にかつ容易に知ることができるペット管理システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態について説明する。図1は、この発明の一実施の形態に係るペット管理システムの全体構成を示すブロック図である。図1を参照して、ペット管理システム10は、インターネットのようなネットワーク20に接続されたカメラ機能を備えた携帯電話11,12と、ペット管理サーバ30とを含む。ペットの飼主(以下、「ユーザ」という場合もある)は携帯電話11,12を用いてペット管理サーバ30にアクセスしてペットの健康状態を知ることができる。
【0013】
図2は、携帯電話11,12の概略構成を示すブロック図である。図2を参照して、携帯電話11,12は、携帯電話全体を制御するCPU13と、カメラ14と、通信部15と、液晶ディスプレイのような表示部16と、通話部17、文字入力部18とを含む。
【0014】
図3はペット管理サーバ30の構成を示すブロック図である。図3を参照して、ペット管理サーバ30は、ペット管理サーバ30全体を制御するCPU31と、ネットワーク20に接続するための通信部32と、データを格納するハードディスク33と、キーボードやマウスのような入力部37と、プリンタなどの印字部38と、ディスプレイのような表示部39とを含む。ハードディスク33には、解析データベース34,キャラクタデータベース35、および、診断データベース36が含まれている。
【0015】
ここで、解析データベース34は、ユーザによって送信されてきたペットの虹彩写真(虹彩データ)と、同時に送信されてきた、ペットの健康状態に関するコメントデータとを関連付けて格納するデータベースである。キャラクタデータベース35は、ペットの種類ごとのキャラクタデータを格納するデータベースであり、後に説明するように、顔データ、目データ、鼻データ、耳データ等をパーツとして複数格納しており、ユーザは自分のペット用のデータとしてこれらのパーツを選択することができる。
【0016】
なお、キャラクタデータベース35は、ユーザが選択したキャラクタデータをそのユーザのペットの基本キャラクタデータとして格納するとともに、ペットの健康状態に応じて、全体の印象は変わらないが、各パーツの一部または全部が若干異なるサブキャラクタデータもあわせて作成の上、格納する。
【0017】
診断データベース36は、特開2007−29333号公報に記載のように、ペットの目の虹彩データに基づいて、ペットの病気等をデータベースは、ペットの虹彩とペットの健康状態との関係を獣医学的に検証したデータベースである。
【0018】
この実施の形態においては、ユーザは、自分のペットについてアバターの登録が可能である。図4は、ユーザが携帯電話11を用いてアバターの登録をペット管理サーバ30上で行う場合のCPU31の動作を示すフローチャートであり、図5は携帯電話11の表示部16に表示される具体的な内容を示す図である。ここでは、ペットとして犬を飼っているものとする。まず、ユーザはペット管理サーバ30にアクセスして、図示のない、アバター登録画面(犬アバター作成サービス画面)に進む。そこでは、自分の飼っている犬の種類を入力するよう促される(ステップS11、以下、ステップを省略する)。ここで、たとえば、「ダックスフンド」を入力する。次いで、パーツの選択画面が表示される。犬種に応じて、顔全体、目、鼻、耳、口等の各パーツが複数、キャラクタデータベース35に格納されており、ユーザに、複数のパーツの中から所望のパーツを、文字入力部18を用いて選択させる。選択されたパーツは、解析データベース34内の、ユーザごとの登録箇所に登録される。したがって、文字入力部18は選択手段として作動する。
【0019】
図5(A)は、ユーザがダックスフンドについて、顔、目を選択した状態を示す図である。ここでは、喜んでいる場合、ウインクしている場合、眠い場合の目のパーツが選択可能に表示されている。なお、パーツの具体的な選択は、携帯電話11のプッシュボタンを用いる。
このように選択した後に、図5(B)に示すように登録を行う。このようにして登録されたものが基本キャラクタデータである。
【0020】
次に、このような登録が行われた後に、ユーザがペット管理サーバにアクセスする場合について説明する。図6はこの場合の携帯電話11のCPU13とペット管理サーバ30のCPU31が行う動作を示すフローチャートであり、図7はこの場合の携帯電話11の表示部16の表示例を示す図である。
【0021】
図6および図7を参照して、ユーザは携帯電話11のカメラ14を用いて、犬の虹彩を撮影するとともに(図7(A))、そのときの、自分が感じたペットの印象、たとえば、すごく元気、元気がない、眠そう、おなかが減っている、体調が悪い、等のコメントを文字入力部18を用いて入力する(S21)。このようにして入力された犬の虹彩の画像データと、コメントは、たとえば、メールとしてネットワーク20を介してペット管理サーバ30に送信される(S22)。したがって、文字入力部18は入力手段として機能し、通信部15は送受信手段として機能する。
【0022】
ペット管理サーバ30は、このメールを通信部32で受信して(S31)、ハードディスク33の解析データベース34の中に虹彩の写真と健康状態に関するコメントとを対応付けて格納する。次に、CPU31は、解析データベース34内のそのユーザの過去の送信データを参照して(S32)、今回送信されてきた虹彩写真を、解析データベース34に格納されている過去に送信されてきた虹彩写真と比較して、同一または類似のものを抽出する。そして、その画像に対応して記録されたコメントのうち、頻度の最も多いものを抽出して、それを「健康状態」と判断する(S33)。このとき、抽出されたデータが、送信されてきたコメントと一致しているか否かも判断する。一致しておれば、送信されてきたコメントデータをそのまま送信してもよい。不一致であれば、「貴方が思っているのと違って、僕は、○○なんだよ」というようなメッセージを送信してもよい。
【0023】
次に、その健康状態に応じたアバターをキャラクタデータベース35を参照して抽出し(S34)、そのアバターをユーザの携帯電話11に送信する(S35)。
【0024】
ユーザは、このデータを受信し、自分のペットの健康状態を知ることができる(S23,S24)。図7(B)は、携帯電話11の表示部16に表示された、送信されてきたアバターとコメントとを示す画像の一例である。ここでは、ペットが元気であると判断されたため、ペットが元気な状態を示すアバターと、「今日はご機嫌!散歩行きたい」というメッセージが表示されている。したがって、通信部32は、通信手段および健康状態送信手段として機能し、CPU31は判断手段として機能する。
【0025】
なお、この画像は、ペットが体調不良や病気であると判断されたときは、それに応じて、上記したサブキャラクタで表されたアバター、およびメッセージが送信される。ここで、サブキャラクタとは、上記したように、基本キャラクタのパーツの一部等が若干異なるキャラクタデータで表されたアバターであり、たとえば、「目」であれば、への字、まん丸、片目閉じ(ウインク)、両目閉じ(眠い)、点(目が点で表される、唖然とした表情)等がある。
【0026】
耳としては、ピンと立った状態(びっくりしたとき)、片折れ(お茶目な状態)、両折れ(いじけた状態、または、謝っている様子)などがある、口としては、直線、への字、丸形、舌がだらりと垂れている状態、舌でぺろりとなめている状態等がある。
【0027】
これらの表示は、基本キャラクタとして選択されてもよいが、ペットの健康状態等にも関連付けられている。なお、この関連付けは、ユーザが自分で選択できるようにしてもよいし、ユーザの選択により、CPU31が自動的に設定するようにしてもよい。
【0028】
具体的には、基本キャラクタ以外に、ペットの状態を体調多少悪い、体調悪い、病気等の3段階程度に分けて判断し、それぞれに、サブキャラクタを設け、それを表示するようにする。
【0029】
なお、上記実施の形態においては、ペットの健康状態を過去の履歴に基づいて判断する場合について説明したが、これに限らず、ペットの虹彩とペットの健康状態との関係を示すデータが診断データベース36に充実した時はこのデータベースを用いてペットの健康状態を判断してもよい。また、この場合は、ペットの健康状態に応じて、食事や生活に関するアドバイスをするようにしてもよい。なお、このようなデータは、診断データベース36に格納しておけばよい。ペットの健康状態と、食事や生活に関するアドバイスとは、すでに知られているものがあるため、解析データベース34内の過去の履歴から、ペットの病気等がわかれば、その病名に基づいて食事や生活に関するアドバイスを抽出してもよい。
【0030】
この場合の携帯電話11の表示部16に表示されたアドバイス例を図8に示す。(A)は呼吸器の状態を表すブレス系の診断アドバイスの例であり、(B)はメンタル系の状態を表すストレスに対するアドバイスの例である。
【0031】
また、過去の診断履歴の推移をデータベースに格納し、それを、ユーザの携帯電話11から閲覧可能としてもよい。この場合の表示部16への表示例を図9に示す。ここでは、過去6ヶ月の診断履歴の推移が、病気の系統ごとに格納されている。ここでは、ブレス系、ホルモン系、消化器系、ストレス系に分けられている。ブレス系は上記したように呼吸器の状態を示し、ホルモン系は、肝機能の状態を示し、消化器系は消化器系の状態示し、ストレス系はメンタル系の状態を示す。
【0032】
なお、上記実施の形態においては、携帯電話を用いてペット管理サーバにアクセスする例について説明したが、これに限らず、カメラ機能を備え、インターネットのようなネットワークに接続可能な任意の携帯機器を用いて接続してもよい。
【0033】
また、上記実施の形態においては、携帯可能なカメラを用いた例について説明したが、これに限らず、固定カメラを給餌位置等に設けて、定期的にペットの目の状態を撮影し、これを、ペット管理サーバを介して飼主の携帯端末にアバターを用いて通知するようにしてもよい。そうすれば、飼主が旅行中でも、ペットの健康状態を容易に知ることができる。
【0034】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の一実施の形態に係るペット管理システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図3】ペット管理サーバの構成を示すブロック図である。
【図4】ペットのアバターを登録する処理手順を示すフローチャートである。
【図5】ペットのアバターを登録する場合の携帯電話に表示される内容を示す図である。
【図6】携帯電話でペットの目の虹彩を撮影してペット管理サーバへ送信した時の処理を示すフローチャートである。
【図7】携帯電話でペットの目の虹彩を撮影してペット管理サーバへ送信した時の携帯電話に表示される内容を示す図である。
【図8】診断アドバイスを受ける場合の携帯電話における表示例を示す図である。
【図9】診断履歴を受ける場合の携帯電話における表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
10 ペット管理システム、11,12 携帯電話、13,31 CPU、14 カメラ、15 通信部、16 表示部、17 通話部、18 文字入力部、20 ネットワーク、30 ペット管理サーバ、32 通信部、33 ハードディスク、34 解析データベース、35 キャラクタデータベース、36 診断データベース、37 入出力装置、38 印字部、39 表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットの目の虹彩を撮影可能なカメラを有するペット側装置と、前記ペット側装置と交信可能なペット管理サーバとを含むペット管理システムであって、
前記ペット側装置は、
飼主にペットの健康状態を入力させる入力手段と、
前記入力手段に入力されたペットの健康状態とともに前記カメラで撮影されたペットの虹彩の画像を送信する送信手段と、
前記ペット管理サーバからの情報を受信する受信手段とを含み、
前記ペット管理サーバは、
前記ペット側装置と通信する通信手段と、
前記通信手段で受信したペットの健康状態と、撮影されたペットの虹彩の画像データとを関連付けて格納するデータベースと、
前記データベースを参照して、前記ペット側装置から送信されたデータに基づいて、ペットの健康状態を判断する判断手段と
前記判断手段の判断結果に基づいてペットの健康状態を前記ペット側装置に送信する健康状態送信手段とを含む、ペット管理システム。
【請求項2】
前記ペット側装置は携帯電話である、請求項1に記載のペット管理システム。
【請求項3】
前記ペット管理サーバは、ペットに応じた複数のキャラクタデータを有し、
前記ペット側装置は、前記ペット管理サーバにアクセスしてユーザに自分のペットに応じた所望のキャラクタデータを前記複数のキャラクタデータの中から選択させる選択手段を含む、請求項1または2に記載のペット管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−35424(P2010−35424A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198152(P2008−198152)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(508232770)
【出願人】(508232781)
【Fターム(参考)】