ペリクル用収納容器
【課題】 輸送中、ペリクルをしっかり保持できるペリクル用収納容器を提供する。
【解決手段】 ペリクル膜６と当該ペリクル膜６を支持する支持枠７とからなるペリクル５を輸送するためのペリクル用収納容器１であって、トレイ３と、その蓋となるカバー２と、トレイ３およびカバー２のいずれか一方の内側に形成される、支持枠７を載置する載置部４とを備え、載置部４は、載置部４を備えるトレイ３若しくはカバー２の開口方向に突出し、その突出する部位において支持枠７の高さ方向に段差を有すると共に、その段差の低い側に支持枠７の底面を載置する水平面４ｄを備えるペリクル用収納容器１とする。
【解決手段】 ペリクル膜６と当該ペリクル膜６を支持する支持枠７とからなるペリクル５を輸送するためのペリクル用収納容器１であって、トレイ３と、その蓋となるカバー２と、トレイ３およびカバー２のいずれか一方の内側に形成される、支持枠７を載置する載置部４とを備え、載置部４は、載置部４を備えるトレイ３若しくはカバー２の開口方向に突出し、その突出する部位において支持枠７の高さ方向に段差を有すると共に、その段差の低い側に支持枠７の底面を載置する水平面４ｄを備えるペリクル用収納容器１とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ペリクル膜とペリクル膜を支持する支持枠とからなるペリクルを輸送するためのペリクル用収納容器に関する。
【背景技術】
【０００２】
半導体回路パターンの製造工程の一部であるリソグラフィ工程で使用されるフォトマスク上に異物が付着すると、その異物のパターンが転写され、半導体チップの多くを不良品としてしまう危険性がある。このため、従来からフォトマスクの防塵を目的に、ペリクルが用いられている。
【０００３】
ペリクルは、一般的に、ニトロセルロース等の透明な高分子膜からなる厚さ約１０ミクロン程度のペリクル膜と、それを一方の周端面にて支持する厚さ数ミリ程度の支持枠とから構成されている。支持枠におけるペリクル膜と反対側の周端面には、フォトマスクに支持枠を固定するためのフィルム付きの粘着材が備えられている。粘着材は、ペリクルをフォトマスク上に配置した際にフォトマスクと支持枠との間に隙間ができないよう、均一の厚みをもって備え付けられている。
【０００４】
フォトマスクに支持枠を固定する際には、フォトマスクの上方にペリクル膜が配置されるようにペリクルをセッティングし、フィルムを剥がして粘着材を介して支持枠をフォトマスクに固定して、フォトマスク上に異物が入ることを防止するようにしている。
【０００５】
また、近年、ペリクルは、液晶表示体の製造工程におけるリソグラフィ工程で使用されるフォトマスクの防塵手段としても多用されてきている。液晶表示体は、シリコンウェハに比べて大きな面積を有することから、フォトマスクも大型化している。これに伴いペリクル膜も大型化してきており、１０００ｍｍ×１０００ｍｍ以上の大型ペリクル膜も多く使用されている。
【０００６】
ペリクルの輸送には、専用のペリクル用収納容器が用いられている。ペリクルの大型化に伴い、ペリクル用収納容器も大型のものが求められている。ペリクル用収納容器は一般的には樹脂製であるが、その大型化に伴い射出成形品から真空成形品に移行している。
【０００７】
また、ペリクル用収納容器が大型化すると、真空成形の成形残留応力およびそれ自体の自重による反りに代表される変形の問題が顕在化してくる。ペリクル用収納容器に変形が生じると、粘着材にその変形が転写される可能性が高くなる。すると、粘着材の厚さが場所によって不均一になり、フォトマスクとペリクルの支持枠との間に接着不良の箇所が生じ、フォトマスク上に異物が入る危険性が高まる。このような問題に鑑み、ペリクル用収納容器を構成しているトレイおよび蓋の少なくともいずれか一方を凹凸形状に成形し、強度を高めると同時に、トレイの内面側に突出させた載置部の水平面上にペリクルの支持枠を載置して、支持枠の底面に備えられた粘着材に均一な荷重をかけるようにする技術が知られている（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特開２００４−３６１７０５号公報（図１）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
しかし、載置部上部に形成された水平面に支持枠を単に載置するだけでは、輸送中にペリクルが動きやすいという問題がある。輸送中にペリクルが動くと、支持枠の底面に設けられた粘着材がめくれてしまい、ペリクルをフォトマスク上に正常に貼ることができなくなる。
【０００９】
本発明は、上記課題に鑑み、輸送中にペリクルをしっかり保持できるペリクル用収納容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
上記目的を達成するため、本発明は、ペリクル膜と当該ペリクル膜を支持する支持枠とからなるペリクルを輸送するためのペリクル用収納容器であって、トレイと、その蓋となるカバーと、トレイおよびカバーのいずれか一方の内側に形成される、支持枠を載置する載置部とを備え、載置部は、載置部を備えるトレイ若しくはカバーの開口方向に突出し、その突出する部位において支持枠の高さ方向に段差を有すると共に、その段差の低い側に支持枠の底面を載置する水平面を備えるペリクル用収納容器としている。
【００１１】
このため、輸送中に、ペリクルがペリクル用収納容器内で動きにくくなり、ペリクルの支持枠底面に備えられている粘着材がめくれる危険性を低減することができる。さらに、載置部の形成により、当該載置部を形成したトレイ若しくはカバーの剛性が高まり、たわみ等の変形が生じにくい。段差は、載置部の突出部位において、載置部の内側が低くなるように設けられるようにしても、あるいは外側が低くなるように設けられても良い。
【００１２】
また、別の本発明は、先の発明における水平面を、突出する部位の外側に備えたペリクル用収納容器としている。特に、水平面を突出部位の外側に備えるようにすると、ペリクルの支持枠をその内側から支持できるので、ペリクル膜に対してその展張方向に力がかかるので、ペリクル膜が撓みにくくなる。
【００１３】
また、別の本発明は、先の発明における段差を、１ｍｍ以上で、かつ突出する部位とペリクル膜とを非接触とする高さとするペリクル用収納容器としている。段差を１ｍｍ以上で、かつ突出する部位とペリクル膜とを非接触とする高さに設定することによって、ペリクルの輸送中に、支持枠が段差を乗り越える危険性をより低くすることができる。
【００１４】
また、別の本発明は、先の各発明における載置部を、載置部が設けられているトレイ若しくはカバーと同じ材料で一体構成したペリクル用収納容器としている。このため、載置部を別体で製造し、カバー若しくはトレイに取り付ける場合に比べて、製造工程を簡略化できる。すなわち、カバー若しくはトレーを載置部としての凹凸を設けた状態で一体的に成形すれば良いので、容易に製造できる。また、載置部を設けたトレイ若しくはカバーに凹凸が形成されることにより、その剛性が高まり、たわみ等の変形が生じにくくなる。
【００１５】
本発明に係るペリクル用収納容器を構成するトレイおよびカバーの材料には、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂（アクリロニトリル、ブタジエンおよびスチレンの３種類の単量体からなる共重合体であり、以後、「ＡＢＳ樹脂」という。）の他、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂等を用いることができ、特に、ＡＢＳ樹脂を用いるのがより好ましい。ただし、上述の樹脂は一例に過ぎず、他の樹脂材料を採用しても良い。
【００１６】
本発明に係るペリクル用収納容器は、好適には真空成形にて製造される。ここで、「真空成形」とは、軟化状態の樹脂を金型に配置して、その樹脂と金型との間の空間を真空にすることによって、樹脂を金型に吸い付けて成形する方法をいい、金型への樹脂の供給方法は問わない。したがって、シート形状の樹脂を金型に配置したり、あるいは溶融状態の樹脂を金型に吐出しても良い。真空成形の例としては、雌型を用いるストレート法、雄型によるドレープ法、樹脂シートを半球状にふくらませてその中に雄型を入れて成形するエアスリップ法、エアスリップ法で用いられる雄型の代わりに雌型を用いるリバースドロー法、雌型上にクランプした樹脂シートをプラグで雌型に突き降ろし、樹脂シートを予張して真空にひく補助プラグ法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、真空成形以外に、樹脂側から金型方向にガス圧を及ぼして成形する圧空成形、当該圧空成形と真空成形の両方を組み合わせた圧空真空成形によって製造することもできる。また、真空成形、圧空成形、圧空真空成形以外の成形方法を採用しても良い。
【発明の効果】
【００１７】
本発明によれば、輸送中にペリクルをしっかり保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１８】
以下、本発明に係るペリクル用収納容器の好適な実施の形態について、図面を参照しながら詳述するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【００１９】
（第１の実施の形態）
図１は、第１の実施の形態に係るペリクル用収納容器１の分解斜視図である。また、図２は、図１に示すペリクル用収納容器１の斜視図である。図１に示すように、ペリクル用収納容器１は、トレイ３と、その蓋であるカバー２とを備えている。
【００２０】
図１において、載置部４は、トレイ３の一部として、トレイ３の開口部側に突出して形成されている。また、当該突出する部位は、トレイ３の外周方向を低くするように段差を有している。なお、図１において、載置部４はトレイ３の一部として設けられているが、カバー２とトレイ３によって形成される内部空間において固定される、トレイ３とは別体の載置部をトレイ３に備えても良い。
【００２１】
カバー２およびトレイ３は、元板の厚さが約３ｍｍのＡＢＳ樹脂を原料とし、真空成形用金型を用いた真空成形法により製造される。ただし、ＡＢＳ樹脂以外の樹脂を用いても良い。さらに、元板の厚みは３ｍｍに限定されず、３ｍｍより薄いあるいは３ｍｍを超える板状の樹脂を成形してもよい。
【００２２】
ペリクルを輸送する際には、トレイ３に備えられた載置部４にペリクルを載置して、その上からカバー２を被せ、カバー２とトレイ３を固定する。
【００２３】
図３は、図２に示すペリクル用収納容器１をＡ−Ａ線にて切断した際の断面図である。
【００２４】
カバー２は、トレイ３と対向する側に開口部を有する凹状のカバー本体２０を、当該カバー本体２０の外周縁部から水平方向に延びる外延部２１、外延部２１の周端部から上方に延びる外延部２２、外延部２２の周端部から外に向かって水平方向にわずかに延びる縁部２３とを備えている。
【００２５】
一方、トレイ３は、カバー２と対向する側に開口部を有するトレイ本体３０と、その面内において開口部方向に突出する載置部４と、載置部４の外周縁部から水平方向に延びる外延部３１と、外延部３１の周端部から上方に延びる外延部３２と、外延部３２の周端部から外に向かって水平方向に延びる縁部３３とを備えている。外延部２１から縁部２３に至るクランク形状部分は、外延部３１の途中から縁部３３に至るクランク形状部分と同じ形状であり、カバー２側のクランク形状部分の下面がトレイ３側のクランク形状部分の上面と密着可能となっている。
【００２６】
カバー２とトレイ３の固定は、例えば、縁部２３と縁部３３をクリップで留める方法の他、外延部２１、外延部２２、縁部２３と外延部３１、外延部３２、縁部３３がそれぞれ接触する部分（一部または全部）において固定する任意の固定方法を採用できる。
【００２７】
載置部４は、トレイ３の内側において、トレイ本体３０の外周縁から垂直上方に立ち上がる垂直上方部４ａと、当該垂直上方部４ａから外方向水平に延出する第１水平延出部４ｂと、当該第１水平延出部４ｂから垂直上方部４ａよりも短い長さを垂直に下がる垂直下方部４ｃと、当該垂直下方部４ｃから外方向水平に延出する第２水平延出部４ｄと、当該第２水平延出部４ｄから垂直下方に延びて外延部３１に接合する垂直下方部４ｅとから構成されている。このように、載置部４の突出する部位は、第１水平延出部４ｂとその外側に配置され第１水平延出部４ｂよりも低い第２水平延出部４ｄという２つの水平面を備えている。
【００２８】
図４は、図３に示すペリクル用収納容器１に収納するペリクル５を図２に示すＡ−Ａ線で切断した際の断面図である。
【００２９】
ペリクル５は、ニトロセルロース等の材質からなる厚さ１０ミクロン以下のペリクル膜６を、四角枠形状の支持枠７の一方の端面（図４における上面）に展張して張り付けた構成を有している。支持枠７の高さは、約５ｍｍである。ただし、ペリクル膜５の材質および厚さならびに支持枠７の高さは、上記に限定されるものではない。
【００３０】
図４におけるＸで示される部分の拡大図に示すように、支持枠７におけるペリクル膜６と反対側の周端面（底面）には、粘着材８が備えられている。粘着材８の表面には、通常、薄い剥離シート（不図示）が貼られている。ペリクル５を使用する場合には、当該剥離シートを粘着材８から剥がして、粘着力を発揮し得る状態としてから、支持枠７をフォトマスクに貼り付けて固定する。
【００３１】
図５は、図３に示すペリクル用収納容器１内に、図４に示すペリクル５を収納した状態を示す図である。なお、カバー２の内側に設けられたペリクル５を固定する部位は、その図示を省略している。
【００３２】
ペリクル５は、その支持枠７の底面を載置部４の第２水平延出部４ｄ上に載置した状態にて収納される。ペリクル５の収納状態において、支持枠７の内側面は、垂直下方部４ｃの外面に接している。このように、載置部４は、支持枠７の底面および内側面と接しているので、ペリクル５の輸送中にペリクル５が横方向にずれにくくなる。ただし、垂直下方部４ｃの外面と支持枠７の内側面との間の関係は、密着している場合および適切なクリアランスを有する場合を含む。当該クリアランスは、ペリクル用収納容器１の製造上不可欠なもの、おかれる環境の温度に起因する膨張あるいは収縮を考慮したもの等を含む。また、垂直下方部４ｃは、正確に垂直の面ではなく、第１水平延出部４ｂから第２水平延出部４ｄに向かって外方向下方に傾斜する斜面とすることもできる。かかる場合でも、支持枠７の底面は、垂直下方部４ｃと第２水平延出部４ｄとの接合角部によって、ペリクル５がそれ以上内側にずれないようにすることができる。したがって、支持枠７の底面に備えられる粘着材８をめくれないように保持することが可能となる。
【００３３】
垂直下方部４ｃは、支持枠７の高さよりも短く形成されている。さもないと、第１水平延出部４ｂがペリクル膜６よりも上になってしまい、ペリクル５を収納することができなくなるからである。また、垂直下方部４ｃは、１ｍｍ以上の高さとするのがより好ましい。そうすることで、段差が１ｍｍ以上になり、輸送中の振動によっても、支持枠７が当該段差を乗り越える危険性は低くなる。また、垂直下方部４ｃは、支持枠７の高さよりも１ｍｍ以上短いほうが好ましい。そうすることで、ペリクル膜６と第１水平延出部４ｂとの上下方向の距離が１ｍｍ以上となるので、輸送中にペリクル膜６が下方に撓んでも、ペリクル膜６と第１水平延出部４ｂと接触するのを有効に防止できる。ただし、ペリクル膜６の撓みがほとんど生じないように載置部４を形成することにより、ペリクル膜６と第１水平延出部４ｂとの上下方向の距離を０〜１ｍｍ以下（０を含まない）としてもよい。
【００３４】
第２水平延出部４ｄは、支持枠７の底面を載置する面となるので水平の必要がある。しかし、第１水平延出部４ｂは、支持枠７等を載置する部分ではないので、必ずしも水平であることを要しない。
【００３５】
また、凹凸を有する載置部４をトレイ３に形成することによって、ペリクル５の載置という機能だけではなく、トレイ３の剛性を高め、ゆがみ、たわみ等の変形を生じにくくする効果も奏する。
【００３６】
（第２の実施の形態）
次に、本発明に係るペリクル用収納容器の第２の実施の形態について説明する。
【００３７】
第２の実施の形態にかかるペリクル用収納容器１は、先に説明した第１の実施の形態にかかるペリクル用収納容器１のカバー２と同一形態のカバーを備えている。なお、以後、第２の実施の形態以降の実施の形態の説明において、ペリクル用収納容器、トレイ、カバー、トレイ及びカバーの各構成部について共通する部分については、第１の実施の形態と同じ符号で示し、形態の異なる載置部については異なる符号で示す。
【００３８】
図６は、第２の実施の形態に係るペリクル用収納容器１を、図２に示すＡ−Ａ線と同様の線で切ったときの断面図である。
【００３９】
載置部４０は、トレイ３の内側において、トレイ本体３０の外周縁から垂直上方に立ち上がる垂直上方部４０ａと、当該垂直上方部４０ａから外方向水平に延出する第２水平延出部４０ｂと、当該第２水平延出部４ｂから垂直上方に立ち上がる垂直上方部４０ｃと、当該垂直上方部４０ｃから外方向水平に延出する第１水平延出部４０ｄと、当該第１水平延出部４０ｄから垂直下方に延びて外延部３１に接合する垂直下方部４０ｅとから構成されている。このように、載置部４の突出する部位は、第２水平延出部４０ｂとその外側に配置され第２水平延出部４０ｂよりも高い第１水平延出部４０ｄという２つの水平面を備えており、第１の実施の形態における載置部４の形状と異なり、載置部４０の内側が低くなるように、段差が形成されている。
【００４０】
ペリクル５は、その支持枠７の底面が載置部４０の第２水平延出部４０ｂに接した状態にて収納される。ペリクル５の収納状態において、支持枠７の外側面は、垂直上方部４０ｃの内面に接している。このように、載置部４０は、支持枠７の底面および外側面と接しているので、ペリクル５の輸送中にペリクル５が横方向にずれにくくなる。ただし、垂直上方部４０ｃの内面と支持枠７の外側面との間の関係は、密着している場合および適切なクリアランスを有する場合を含む。当該クリアランスは、ペリクル用収納容器１の製造上不可欠なもの、おかれる環境の温度に起因する膨張あるいは収縮を考慮したもの等を含む。また、垂直上方部４０ｃは、正確に垂直の面ではなく、第２水平延出部４０ｂから第１水平延出部４０ｄに向かって外方向上方に傾斜する斜面とすることもできる。かかる場合でも、支持枠７の底面は、垂直上方部４０ｃと第１水平延出部４０ｄとの接合角部によって、ペリクル５がそれ以上外側にずれないようにすることができる。したがって、支持枠７の底面に備えられる粘着材８をめくれないように保持することが可能となる。垂直上方部４０ｃは、１ｍｍ以上の高さとするのがより好ましい。そうすることで、段差が１ｍｍ以上になり、輸送中の振動によっても、支持枠７が当該段差を乗り越える危険性は低くなる。
【００４１】
第２水平延出部４０ｂは、支持枠７の底面を載置する面となるので水平の必要がある。しかし、第１水平延出部４０ｄは、支持枠７等を載置する部分ではないので、必ずしも水平であることを要しない。
【００４２】
また、凹凸を有する載置部４０をトレイ３に形成することによって、ペリクル５の載置という機能だけではなく、トレイ３の剛性を高め、ゆがみ、たわみ等の変形を生じにくくする効果も奏する。
【００４３】
以上、本発明に係るペリクル用収納容器の各実施の形態について説明したが、本発明に係るペリクル用収納容器は上述の各実施の形態に限定されず、種々変形した形態にて実施可能である。
【００４４】
例えば、載置部４，４０をトレイ３と一体成形する他、別体で製造してトレイ３に固定するようにしても良い。また、上述の実施の形態では、ペリクル用収納容器１を通常の状態で置いた時に下になる方をトレイ３、上になる方をカバー２として説明したが、逆にしても良い。その場合、各載置部４，４０はカバー２に形成されることになる。
【産業上の利用可能性】
【００４５】
本発明は、ペリクルを輸送するための収納容器を製造あるいは使用する産業において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【００４６】
【図１】本発明の第１の実施の形態に係るペリクル用収納容器の分解斜視図である。
【図２】図１に示すペリクル用収納容器の斜視図である。
【図３】図２に示すペリクル用収納容器を、Ａ−Ａ線にて切断した際の断面図である。
【図４】図３に示すペリクル用収納容器に収納するペリクルを、図２に示すＡ−Ａ線と同様の線で切断した際の断面図である。
【図５】図３に示すペリクル用収納容器内に、図４に示すペリクルを収納した状態の断面図である。
【図６】本発明の第２の実施の形態に係るペリクル用収納容器を、図２に示すＡ−Ａ線と同様の線にて切断した際の断面図である。
【符号の説明】
【００４７】
１ ペリクル用収納容器
２ カバー
３ トレイ
４ 載置部
４ｂ 第１水平延出部
４ｄ 第２水平延出部（水平面）
５ ペリクル
６ ペリクル膜
７ 支持枠
８ 粘着材
４０ 載置部
４０ｂ 第２水平延出部（水平面）
４０ｄ 第１水平延出部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ペリクル膜とペリクル膜を支持する支持枠とからなるペリクルを輸送するためのペリクル用収納容器に関する。
【背景技術】
【０００２】
半導体回路パターンの製造工程の一部であるリソグラフィ工程で使用されるフォトマスク上に異物が付着すると、その異物のパターンが転写され、半導体チップの多くを不良品としてしまう危険性がある。このため、従来からフォトマスクの防塵を目的に、ペリクルが用いられている。
【０００３】
ペリクルは、一般的に、ニトロセルロース等の透明な高分子膜からなる厚さ約１０ミクロン程度のペリクル膜と、それを一方の周端面にて支持する厚さ数ミリ程度の支持枠とから構成されている。支持枠におけるペリクル膜と反対側の周端面には、フォトマスクに支持枠を固定するためのフィルム付きの粘着材が備えられている。粘着材は、ペリクルをフォトマスク上に配置した際にフォトマスクと支持枠との間に隙間ができないよう、均一の厚みをもって備え付けられている。
【０００４】
フォトマスクに支持枠を固定する際には、フォトマスクの上方にペリクル膜が配置されるようにペリクルをセッティングし、フィルムを剥がして粘着材を介して支持枠をフォトマスクに固定して、フォトマスク上に異物が入ることを防止するようにしている。
【０００５】
また、近年、ペリクルは、液晶表示体の製造工程におけるリソグラフィ工程で使用されるフォトマスクの防塵手段としても多用されてきている。液晶表示体は、シリコンウェハに比べて大きな面積を有することから、フォトマスクも大型化している。これに伴いペリクル膜も大型化してきており、１０００ｍｍ×１０００ｍｍ以上の大型ペリクル膜も多く使用されている。
【０００６】
ペリクルの輸送には、専用のペリクル用収納容器が用いられている。ペリクルの大型化に伴い、ペリクル用収納容器も大型のものが求められている。ペリクル用収納容器は一般的には樹脂製であるが、その大型化に伴い射出成形品から真空成形品に移行している。
【０００７】
また、ペリクル用収納容器が大型化すると、真空成形の成形残留応力およびそれ自体の自重による反りに代表される変形の問題が顕在化してくる。ペリクル用収納容器に変形が生じると、粘着材にその変形が転写される可能性が高くなる。すると、粘着材の厚さが場所によって不均一になり、フォトマスクとペリクルの支持枠との間に接着不良の箇所が生じ、フォトマスク上に異物が入る危険性が高まる。このような問題に鑑み、ペリクル用収納容器を構成しているトレイおよび蓋の少なくともいずれか一方を凹凸形状に成形し、強度を高めると同時に、トレイの内面側に突出させた載置部の水平面上にペリクルの支持枠を載置して、支持枠の底面に備えられた粘着材に均一な荷重をかけるようにする技術が知られている（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特開２００４−３６１７０５号公報（図１）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
しかし、載置部上部に形成された水平面に支持枠を単に載置するだけでは、輸送中にペリクルが動きやすいという問題がある。輸送中にペリクルが動くと、支持枠の底面に設けられた粘着材がめくれてしまい、ペリクルをフォトマスク上に正常に貼ることができなくなる。
【０００９】
本発明は、上記課題に鑑み、輸送中にペリクルをしっかり保持できるペリクル用収納容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
上記目的を達成するため、本発明は、ペリクル膜と当該ペリクル膜を支持する支持枠とからなるペリクルを輸送するためのペリクル用収納容器であって、トレイと、その蓋となるカバーと、トレイおよびカバーのいずれか一方の内側に形成される、支持枠を載置する載置部とを備え、載置部は、載置部を備えるトレイ若しくはカバーの開口方向に突出し、その突出する部位において支持枠の高さ方向に段差を有すると共に、その段差の低い側に支持枠の底面を載置する水平面を備えるペリクル用収納容器としている。
【００１１】
このため、輸送中に、ペリクルがペリクル用収納容器内で動きにくくなり、ペリクルの支持枠底面に備えられている粘着材がめくれる危険性を低減することができる。さらに、載置部の形成により、当該載置部を形成したトレイ若しくはカバーの剛性が高まり、たわみ等の変形が生じにくい。段差は、載置部の突出部位において、載置部の内側が低くなるように設けられるようにしても、あるいは外側が低くなるように設けられても良い。
【００１２】
また、別の本発明は、先の発明における水平面を、突出する部位の外側に備えたペリクル用収納容器としている。特に、水平面を突出部位の外側に備えるようにすると、ペリクルの支持枠をその内側から支持できるので、ペリクル膜に対してその展張方向に力がかかるので、ペリクル膜が撓みにくくなる。
【００１３】
また、別の本発明は、先の発明における段差を、１ｍｍ以上で、かつ突出する部位とペリクル膜とを非接触とする高さとするペリクル用収納容器としている。段差を１ｍｍ以上で、かつ突出する部位とペリクル膜とを非接触とする高さに設定することによって、ペリクルの輸送中に、支持枠が段差を乗り越える危険性をより低くすることができる。
【００１４】
また、別の本発明は、先の各発明における載置部を、載置部が設けられているトレイ若しくはカバーと同じ材料で一体構成したペリクル用収納容器としている。このため、載置部を別体で製造し、カバー若しくはトレイに取り付ける場合に比べて、製造工程を簡略化できる。すなわち、カバー若しくはトレーを載置部としての凹凸を設けた状態で一体的に成形すれば良いので、容易に製造できる。また、載置部を設けたトレイ若しくはカバーに凹凸が形成されることにより、その剛性が高まり、たわみ等の変形が生じにくくなる。
【００１５】
本発明に係るペリクル用収納容器を構成するトレイおよびカバーの材料には、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂（アクリロニトリル、ブタジエンおよびスチレンの３種類の単量体からなる共重合体であり、以後、「ＡＢＳ樹脂」という。）の他、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂等を用いることができ、特に、ＡＢＳ樹脂を用いるのがより好ましい。ただし、上述の樹脂は一例に過ぎず、他の樹脂材料を採用しても良い。
【００１６】
本発明に係るペリクル用収納容器は、好適には真空成形にて製造される。ここで、「真空成形」とは、軟化状態の樹脂を金型に配置して、その樹脂と金型との間の空間を真空にすることによって、樹脂を金型に吸い付けて成形する方法をいい、金型への樹脂の供給方法は問わない。したがって、シート形状の樹脂を金型に配置したり、あるいは溶融状態の樹脂を金型に吐出しても良い。真空成形の例としては、雌型を用いるストレート法、雄型によるドレープ法、樹脂シートを半球状にふくらませてその中に雄型を入れて成形するエアスリップ法、エアスリップ法で用いられる雄型の代わりに雌型を用いるリバースドロー法、雌型上にクランプした樹脂シートをプラグで雌型に突き降ろし、樹脂シートを予張して真空にひく補助プラグ法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、真空成形以外に、樹脂側から金型方向にガス圧を及ぼして成形する圧空成形、当該圧空成形と真空成形の両方を組み合わせた圧空真空成形によって製造することもできる。また、真空成形、圧空成形、圧空真空成形以外の成形方法を採用しても良い。
【発明の効果】
【００１７】
本発明によれば、輸送中にペリクルをしっかり保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１８】
以下、本発明に係るペリクル用収納容器の好適な実施の形態について、図面を参照しながら詳述するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【００１９】
（第１の実施の形態）
図１は、第１の実施の形態に係るペリクル用収納容器１の分解斜視図である。また、図２は、図１に示すペリクル用収納容器１の斜視図である。図１に示すように、ペリクル用収納容器１は、トレイ３と、その蓋であるカバー２とを備えている。
【００２０】
図１において、載置部４は、トレイ３の一部として、トレイ３の開口部側に突出して形成されている。また、当該突出する部位は、トレイ３の外周方向を低くするように段差を有している。なお、図１において、載置部４はトレイ３の一部として設けられているが、カバー２とトレイ３によって形成される内部空間において固定される、トレイ３とは別体の載置部をトレイ３に備えても良い。
【００２１】
カバー２およびトレイ３は、元板の厚さが約３ｍｍのＡＢＳ樹脂を原料とし、真空成形用金型を用いた真空成形法により製造される。ただし、ＡＢＳ樹脂以外の樹脂を用いても良い。さらに、元板の厚みは３ｍｍに限定されず、３ｍｍより薄いあるいは３ｍｍを超える板状の樹脂を成形してもよい。
【００２２】
ペリクルを輸送する際には、トレイ３に備えられた載置部４にペリクルを載置して、その上からカバー２を被せ、カバー２とトレイ３を固定する。
【００２３】
図３は、図２に示すペリクル用収納容器１をＡ−Ａ線にて切断した際の断面図である。
【００２４】
カバー２は、トレイ３と対向する側に開口部を有する凹状のカバー本体２０を、当該カバー本体２０の外周縁部から水平方向に延びる外延部２１、外延部２１の周端部から上方に延びる外延部２２、外延部２２の周端部から外に向かって水平方向にわずかに延びる縁部２３とを備えている。
【００２５】
一方、トレイ３は、カバー２と対向する側に開口部を有するトレイ本体３０と、その面内において開口部方向に突出する載置部４と、載置部４の外周縁部から水平方向に延びる外延部３１と、外延部３１の周端部から上方に延びる外延部３２と、外延部３２の周端部から外に向かって水平方向に延びる縁部３３とを備えている。外延部２１から縁部２３に至るクランク形状部分は、外延部３１の途中から縁部３３に至るクランク形状部分と同じ形状であり、カバー２側のクランク形状部分の下面がトレイ３側のクランク形状部分の上面と密着可能となっている。
【００２６】
カバー２とトレイ３の固定は、例えば、縁部２３と縁部３３をクリップで留める方法の他、外延部２１、外延部２２、縁部２３と外延部３１、外延部３２、縁部３３がそれぞれ接触する部分（一部または全部）において固定する任意の固定方法を採用できる。
【００２７】
載置部４は、トレイ３の内側において、トレイ本体３０の外周縁から垂直上方に立ち上がる垂直上方部４ａと、当該垂直上方部４ａから外方向水平に延出する第１水平延出部４ｂと、当該第１水平延出部４ｂから垂直上方部４ａよりも短い長さを垂直に下がる垂直下方部４ｃと、当該垂直下方部４ｃから外方向水平に延出する第２水平延出部４ｄと、当該第２水平延出部４ｄから垂直下方に延びて外延部３１に接合する垂直下方部４ｅとから構成されている。このように、載置部４の突出する部位は、第１水平延出部４ｂとその外側に配置され第１水平延出部４ｂよりも低い第２水平延出部４ｄという２つの水平面を備えている。
【００２８】
図４は、図３に示すペリクル用収納容器１に収納するペリクル５を図２に示すＡ−Ａ線で切断した際の断面図である。
【００２９】
ペリクル５は、ニトロセルロース等の材質からなる厚さ１０ミクロン以下のペリクル膜６を、四角枠形状の支持枠７の一方の端面（図４における上面）に展張して張り付けた構成を有している。支持枠７の高さは、約５ｍｍである。ただし、ペリクル膜５の材質および厚さならびに支持枠７の高さは、上記に限定されるものではない。
【００３０】
図４におけるＸで示される部分の拡大図に示すように、支持枠７におけるペリクル膜６と反対側の周端面（底面）には、粘着材８が備えられている。粘着材８の表面には、通常、薄い剥離シート（不図示）が貼られている。ペリクル５を使用する場合には、当該剥離シートを粘着材８から剥がして、粘着力を発揮し得る状態としてから、支持枠７をフォトマスクに貼り付けて固定する。
【００３１】
図５は、図３に示すペリクル用収納容器１内に、図４に示すペリクル５を収納した状態を示す図である。なお、カバー２の内側に設けられたペリクル５を固定する部位は、その図示を省略している。
【００３２】
ペリクル５は、その支持枠７の底面を載置部４の第２水平延出部４ｄ上に載置した状態にて収納される。ペリクル５の収納状態において、支持枠７の内側面は、垂直下方部４ｃの外面に接している。このように、載置部４は、支持枠７の底面および内側面と接しているので、ペリクル５の輸送中にペリクル５が横方向にずれにくくなる。ただし、垂直下方部４ｃの外面と支持枠７の内側面との間の関係は、密着している場合および適切なクリアランスを有する場合を含む。当該クリアランスは、ペリクル用収納容器１の製造上不可欠なもの、おかれる環境の温度に起因する膨張あるいは収縮を考慮したもの等を含む。また、垂直下方部４ｃは、正確に垂直の面ではなく、第１水平延出部４ｂから第２水平延出部４ｄに向かって外方向下方に傾斜する斜面とすることもできる。かかる場合でも、支持枠７の底面は、垂直下方部４ｃと第２水平延出部４ｄとの接合角部によって、ペリクル５がそれ以上内側にずれないようにすることができる。したがって、支持枠７の底面に備えられる粘着材８をめくれないように保持することが可能となる。
【００３３】
垂直下方部４ｃは、支持枠７の高さよりも短く形成されている。さもないと、第１水平延出部４ｂがペリクル膜６よりも上になってしまい、ペリクル５を収納することができなくなるからである。また、垂直下方部４ｃは、１ｍｍ以上の高さとするのがより好ましい。そうすることで、段差が１ｍｍ以上になり、輸送中の振動によっても、支持枠７が当該段差を乗り越える危険性は低くなる。また、垂直下方部４ｃは、支持枠７の高さよりも１ｍｍ以上短いほうが好ましい。そうすることで、ペリクル膜６と第１水平延出部４ｂとの上下方向の距離が１ｍｍ以上となるので、輸送中にペリクル膜６が下方に撓んでも、ペリクル膜６と第１水平延出部４ｂと接触するのを有効に防止できる。ただし、ペリクル膜６の撓みがほとんど生じないように載置部４を形成することにより、ペリクル膜６と第１水平延出部４ｂとの上下方向の距離を０〜１ｍｍ以下（０を含まない）としてもよい。
【００３４】
第２水平延出部４ｄは、支持枠７の底面を載置する面となるので水平の必要がある。しかし、第１水平延出部４ｂは、支持枠７等を載置する部分ではないので、必ずしも水平であることを要しない。
【００３５】
また、凹凸を有する載置部４をトレイ３に形成することによって、ペリクル５の載置という機能だけではなく、トレイ３の剛性を高め、ゆがみ、たわみ等の変形を生じにくくする効果も奏する。
【００３６】
（第２の実施の形態）
次に、本発明に係るペリクル用収納容器の第２の実施の形態について説明する。
【００３７】
第２の実施の形態にかかるペリクル用収納容器１は、先に説明した第１の実施の形態にかかるペリクル用収納容器１のカバー２と同一形態のカバーを備えている。なお、以後、第２の実施の形態以降の実施の形態の説明において、ペリクル用収納容器、トレイ、カバー、トレイ及びカバーの各構成部について共通する部分については、第１の実施の形態と同じ符号で示し、形態の異なる載置部については異なる符号で示す。
【００３８】
図６は、第２の実施の形態に係るペリクル用収納容器１を、図２に示すＡ−Ａ線と同様の線で切ったときの断面図である。
【００３９】
載置部４０は、トレイ３の内側において、トレイ本体３０の外周縁から垂直上方に立ち上がる垂直上方部４０ａと、当該垂直上方部４０ａから外方向水平に延出する第２水平延出部４０ｂと、当該第２水平延出部４ｂから垂直上方に立ち上がる垂直上方部４０ｃと、当該垂直上方部４０ｃから外方向水平に延出する第１水平延出部４０ｄと、当該第１水平延出部４０ｄから垂直下方に延びて外延部３１に接合する垂直下方部４０ｅとから構成されている。このように、載置部４の突出する部位は、第２水平延出部４０ｂとその外側に配置され第２水平延出部４０ｂよりも高い第１水平延出部４０ｄという２つの水平面を備えており、第１の実施の形態における載置部４の形状と異なり、載置部４０の内側が低くなるように、段差が形成されている。
【００４０】
ペリクル５は、その支持枠７の底面が載置部４０の第２水平延出部４０ｂに接した状態にて収納される。ペリクル５の収納状態において、支持枠７の外側面は、垂直上方部４０ｃの内面に接している。このように、載置部４０は、支持枠７の底面および外側面と接しているので、ペリクル５の輸送中にペリクル５が横方向にずれにくくなる。ただし、垂直上方部４０ｃの内面と支持枠７の外側面との間の関係は、密着している場合および適切なクリアランスを有する場合を含む。当該クリアランスは、ペリクル用収納容器１の製造上不可欠なもの、おかれる環境の温度に起因する膨張あるいは収縮を考慮したもの等を含む。また、垂直上方部４０ｃは、正確に垂直の面ではなく、第２水平延出部４０ｂから第１水平延出部４０ｄに向かって外方向上方に傾斜する斜面とすることもできる。かかる場合でも、支持枠７の底面は、垂直上方部４０ｃと第１水平延出部４０ｄとの接合角部によって、ペリクル５がそれ以上外側にずれないようにすることができる。したがって、支持枠７の底面に備えられる粘着材８をめくれないように保持することが可能となる。垂直上方部４０ｃは、１ｍｍ以上の高さとするのがより好ましい。そうすることで、段差が１ｍｍ以上になり、輸送中の振動によっても、支持枠７が当該段差を乗り越える危険性は低くなる。
【００４１】
第２水平延出部４０ｂは、支持枠７の底面を載置する面となるので水平の必要がある。しかし、第１水平延出部４０ｄは、支持枠７等を載置する部分ではないので、必ずしも水平であることを要しない。
【００４２】
また、凹凸を有する載置部４０をトレイ３に形成することによって、ペリクル５の載置という機能だけではなく、トレイ３の剛性を高め、ゆがみ、たわみ等の変形を生じにくくする効果も奏する。
【００４３】
以上、本発明に係るペリクル用収納容器の各実施の形態について説明したが、本発明に係るペリクル用収納容器は上述の各実施の形態に限定されず、種々変形した形態にて実施可能である。
【００４４】
例えば、載置部４，４０をトレイ３と一体成形する他、別体で製造してトレイ３に固定するようにしても良い。また、上述の実施の形態では、ペリクル用収納容器１を通常の状態で置いた時に下になる方をトレイ３、上になる方をカバー２として説明したが、逆にしても良い。その場合、各載置部４，４０はカバー２に形成されることになる。
【産業上の利用可能性】
【００４５】
本発明は、ペリクルを輸送するための収納容器を製造あるいは使用する産業において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【００４６】
【図１】本発明の第１の実施の形態に係るペリクル用収納容器の分解斜視図である。
【図２】図１に示すペリクル用収納容器の斜視図である。
【図３】図２に示すペリクル用収納容器を、Ａ−Ａ線にて切断した際の断面図である。
【図４】図３に示すペリクル用収納容器に収納するペリクルを、図２に示すＡ−Ａ線と同様の線で切断した際の断面図である。
【図５】図３に示すペリクル用収納容器内に、図４に示すペリクルを収納した状態の断面図である。
【図６】本発明の第２の実施の形態に係るペリクル用収納容器を、図２に示すＡ−Ａ線と同様の線にて切断した際の断面図である。
【符号の説明】
【００４７】
１ ペリクル用収納容器
２ カバー
３ トレイ
４ 載置部
４ｂ 第１水平延出部
４ｄ 第２水平延出部（水平面）
５ ペリクル
６ ペリクル膜
７ 支持枠
８ 粘着材
４０ 載置部
４０ｂ 第２水平延出部（水平面）
４０ｄ 第１水平延出部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ペリクル膜と当該ペリクル膜を支持する支持枠とからなるペリクルを輸送するためのペリクル用収納容器であって、
トレイと
その蓋となるカバーと、
上記トレイおよび上記カバーのいずれか一方の内側に形成される、上記支持枠を載置する載置部とを備え、
上記載置部は、上記載置部を備える上記トレイ若しくは上記カバーの開口方向に突出し、その突出する部位において上記支持枠の高さ方向に段差を有すると共に、その段差の低い側に上記支持枠の底面を載置する水平面を備えることを特徴とするペリクル用収納容器。
【請求項２】
前記水平面は、前記突出する部位の外側に備えられていることを特徴とする請求項１に記載のペリクル用収納容器。
【請求項３】
前記段差は、１ｍｍ以上で、かつ前記突出する部位と前記ペリクル膜とを非接触とする高さとすることを特徴とする請求項１または２に記載のペリクル用収納容器。
【請求項４】
前記載置部は、前記載置部が設けられている前記トレイ若しくは前記カバーと同じ材料で一体構成されていることを特徴とする請求項１から３のいずれか１項に記載のペリクル用収納容器。
【請求項１】
ペリクル膜と当該ペリクル膜を支持する支持枠とからなるペリクルを輸送するためのペリクル用収納容器であって、
トレイと
その蓋となるカバーと、
上記トレイおよび上記カバーのいずれか一方の内側に形成される、上記支持枠を載置する載置部とを備え、
上記載置部は、上記載置部を備える上記トレイ若しくは上記カバーの開口方向に突出し、その突出する部位において上記支持枠の高さ方向に段差を有すると共に、その段差の低い側に上記支持枠の底面を載置する水平面を備えることを特徴とするペリクル用収納容器。
【請求項２】
前記水平面は、前記突出する部位の外側に備えられていることを特徴とする請求項１に記載のペリクル用収納容器。
【請求項３】
前記段差は、１ｍｍ以上で、かつ前記突出する部位と前記ペリクル膜とを非接触とする高さとすることを特徴とする請求項１または２に記載のペリクル用収納容器。
【請求項４】
前記載置部は、前記載置部が設けられている前記トレイ若しくは前記カバーと同じ材料で一体構成されていることを特徴とする請求項１から３のいずれか１項に記載のペリクル用収納容器。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００７−４７２３８（Ｐ２００７−４７２３８Ａ）
【公開日】平成１９年２月２２日（２００７．２．２２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−２２９１２６（Ｐ２００５−２２９１２６）
【出願日】平成１７年８月８日（２００５．８．８）
【出願人】（０００１９０１１６）信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年２月２２日（２００７．２．２２）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年８月８日（２００５．８．８）
【出願人】（０００１９０１１６）信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Ｆターム（参考）】
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