説明

ペルオキシソーム増殖子活性化受容体デルタリガンドのチアゾール誘導体及びその製造方法

本発明は肥満、高脂血症、動脈硬化及び糖尿病の治療に使用できるペルオキシソーム増殖子活性化受容体δに活性を有する化合物で表される新規チアゾール誘導体と中間体及びこれらの合成方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は肥満、高脂血症、動脈硬化、及び糖尿病の治療に用いられるペルオキシソーム増殖子活性化受容体デルタ(Peroxisome Proliferator Activated Receptor δ:PPARδ)活性化リガンドである下記化学式Iの化合物で表される新規チアゾール誘導体と中間体及びこれを製造する方法に関するものである。
<化学式I>
【化1】


(式中、Aは、水素、R2または

である。)
【背景技術】
【0002】
核受容体中のペルオキシソーム増殖子活性化受容体(PPAR:Peroxisome Proliferator Activated Receptor)は、3種のサブタイプであるPPARα、PPARγ、PPARδが知られている(Nature, 1990, 347, p645-650., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1994, 91, p7335-7359)。PPARα、PPARγとPPARδは生体内の組織によって区別される機能を有し、発現部位も差異がみられる。PPARαは人間において主に心臓、腎臓、骨格筋、大腸から発現され(Mol. Pharmacol.1998, 53, p14-22., Toxicol. Lett. 1999, 110, p119-127., J. Biol. Chem. 1998, 273, p16710-16714)、ペルオキシソーム(peroxisome)とミトコンドリアのβ−酸化に関連している(Biol. Cell. 1993, 77, p67-76., J. Biol. Chem. 1997, 272, p27307-27312)。PPARγは骨格筋では弱く発現されるが、脂肪組織では多量に発現されて脂肪細胞の分化とエネルギーを脂肪の形態で貯蔵、そしてインスリンと糖の恒常性調節に関与しているものと知られている(Moll. Cell. 1999, 4, p585-594., p597-609., p611-617)。PPARδは人間を含む哺乳類とげっ歯類、ホヤ類のような脊椎動物などから進化的に保存されている。今まで発見されたものとしては、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)からはPPARβ(Cell 1992, 68, p879-887)と知られ、人間からはNUCI(Mol. Endocrinol. 1992, 6, p1634-1641)、PPARδ(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1994, 91, p7355-7359)、NUCI(Biochem. Biophys. Res. Commun. 1993, 196, p671-677)、FAAR(J. Bio. Chem. 1995, 270, p2367-2371)などと知られてきたが、最近PPARδとしてその呼称が統一された。人間におけるPPARδは染色体(chromosome)6p21.1-p21.2に存在するものと知られており、ネズミからはPPARδのmRNAが多様な部位の細胞から発見されるが、その量はPPARαやPPARγに比べて低く示される(Endocrinology 1996, 137, p354-366., J. Bio. Chem. 1995, 270, p2367-2371., Endocrinology 1996, 137, p354-366)。今までの研究によると、PPARδは生殖細胞の発現過程の中で重要な役割を果たすものと知られており(Genes Dev. 1999, 13, p1561-1574.)、中枢神経系(CNS)で神経細胞の分化(J. Chem. Neuroanat 2000, 19, p225-232)、消炎効果を通した傷の治癒(Genes Dev. 2001, 15, p3263-3277., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2003, 100, p6295-6296)などの生理的機能を行うことが研究されている。最近の研究によると、PPARδが脂肪細胞の分化及び脂肪の代謝作用に関連があるということが証明されたが(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2002, 99, p303-308., Mol. Cell. Biol. 2000, 20, p5119-5128)、これはPPARδが脂肪酸の分解過程においてβ−酸化(oxidation)に関連された核心遺伝子とエネルギー代謝に関連された遺伝子である脱共役タンパク質(uncoupling proteins:UCPs)の発現を活性化するものと明らかになった(Nature 2000, 406, p415-418., Cell 2003, 113, p159-170., PLoS Biology 2004, 2, p1532-1539)。また、PPARδを活性化すればHDLを高め、体重変化のない状態で第2型の糖尿病を改善させ(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2001, 98, p5306-5311., 2003, 100, p15924-15929)、動脈硬化疾患の関連遺伝子を抑制させて動脈硬化の治療も可能である(Science, 2003, 302, p453-457)。従って、PPARδを用いた脂肪代謝の調節は肥満、糖尿、高脂血症及び動脈硬化を治療且つ解決することに必要で重要な手がかりを提供することである。
【0003】
Apo−PPARδ LBDの結晶構造は既に知られていたPPARγの構造(Nature 1998, 395, p137-143)に基づいて結晶しているが、これら2つのPPARδとγ間のLBDの構造が類似し、特にリガンド−結合ポケット(pocket)のサイズがほぼ同じものであると報告された(Mol. Cell. 1999, 3, p397-403)。しかし、ポケット状の変化で選択的な合い異なるリガンドが結合するようになり、これからPPAR間の機能面において差異があるとみられる。PPARδ LBDの結晶構造をより詳しく調べてみれば、13個のα−らせん(helix)と4つの小さいβ−ストランドからなり、リガンド−結合ポケットはY字の形態でサイズはおおよそ1300Å3に至る。リガンド−結合ポケットの入口はおおよそ100Å2であり、周りは極性を有するアミノ酸環から構成されていることがみられる。このようなPPARδの結晶構造は天然脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(eicosapentaenoic acid, (EPA))と合成リガンドであるGW2433の結合実験からAF−2部位にあるY473アミノ酸がリガンドにあるカルボン酸と水素結合をする構造的位置にあることが明になった(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2001, 98, p13919-13924)。従って、大多数のPPARδ活性リガンドが構造的に一方部位に水素結合が容易にできる作用基からなっている点がこのような事実を裏付けている。つまり、PPARδに関連された助活性子(co-activator)の結合がAF−2ヘリックスとリガンド間に水素結合安定化のため非常によく保持されるという推測ができる。また、PPARδのリガンド−結合ポケット結晶構造から活性リガンドは他方に疎水性(hydrophobic)作用基が必要であることも明らかになった。結局、PPARδのリガンド−結合ポケットが大きいため、多様な形態のリガンドが作用でき、これによって活性化の程度が差異を現わすものと推測されている(Nature 1998, 391, p79-82)。
【0004】
PPARδの合成リガンドは他のPPARα、γに比べて選択性に優れるリガンド開発が割と多くは成されていない。初期に開発された選択的リガンドはメルク(Merk)社の研究陣が発表したL−631033(J. Steroid Biochem. Mol. Biol. 1997, 63, p1-8)であって、これは形態的に天然脂肪酸類の形態に基づいて側鎖を固定させることのできる作用基を導入して作られた。また、同研究陣からより効果的なL−165041リガンド(J. Med. Chem. 1996, 39, p2629-2654)を発表したが、これはロイコトリエン作動剤(leukotriene agonist)であって、既に知られていた化合物が人間のPPARδに活性物質としても作用したものである。この物質はhPPARδに対してPPARα、γより10倍の選択性を現わし、EC50値も530nMで作用するものと示された。しかし、げっ歯類についての実験ではPPARγに対する選択性が殆どなかった。なお、他のリガンドのL−796449とL−783483は親和度は著しく改善された反面(EC50=7.9nM)、他のhPPAR亜類(subtype)との選択性が殆どないものであった。グラクソスミスクライン(Glaxo-Smith-Kline)社の研究陣はPPARδリガンドポケットの結晶構造と類似したY型リガンドとしてPPARαの活性物質であるGW2433(Chem. Biol. 1997, 4, p909-918)を発表した。このリガンドは今まで開発されたリガンドとは違ってベンゼン環を含むY型の構造を探していてPPARδのリガンド−結合ポケットに空間的によく結合するリガンドとして報告された。しかし、このリガンドはhPPARαにも活性を示す二重−活性化リガンドであって、PPARδに対する選択性に劣るものであった。最近グラクソスミスクライン社から開発したPPARδの選択的リガンドのGW501516([2-メチル-4-[[[4-メチル-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,3-チアゾール-5-イル]メチル]スルファニル]フェノキシ]酢酸)は先に開発されたリガンドより優れる生理的効能を示した(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2001, 98, p5306-5311)。GW501516はPPARδに非常に良い親和度(1乃至10nM)を示し、PPARαやγに対しても1000倍以上の選択性を示した。従って、PPARδに関連されたこれからの実験でGW501516に基づいた実験が効果的であると思われる。しかし、今まで開発されたリガンドから得られたPPARδの活性度は全リガンド−結合ポケットの30乃至40%部位と結合して示した結果である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、PPARδの肥満、高脂血症、動脈硬化、及び糖尿に関する正確な効果を確認するためには、リガンド−結合ポケットと類似した形態を有し、高い選択性と活性を有する新しいリガンド及びこれのための経済的に有利な製造法の開発が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は肥満、高脂血症、動脈硬化、及び糖尿病の治療に用いられるペルオキシソーム増殖子活性化受容体δ(Peroxisome Proliferator Activated Receptor δ:PPARδ)活性化リガンドである下記化学式Iの化合物で表される新規チアゾール誘導体と中間体及びこれを製造する方法に関するものである。
<化学式I>
【化2】


(式中、Aは、水素、R2または

であり;R1は、水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数1乃至4のアルキルオキシ基、炭素数1乃至4のアルキルチオオキシ基、炭素数1乃至4のアルキルアミン、フッ素原子、塩素原子であり;mは、0乃至4の整数であり;R2は、フェノール保護基として炭素数1乃至4の低級アルキル基、アリル基、アルキルシリルやアルキルアリールシリル基またはテトラヒドロピラニル基であり;R3は、互いに異なり水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンが置換もしくは無置換の炭素数1乃至4のアルキル基またはアルコキシ基であり;nは、0乃至5の整数であり;
4は、





または

であり;R5は、水素原子、ヒドロキシ基または炭素数1乃至4のアルキル基であり;
6は、炭素数1乃至4のアルキル基を有するカルボン酸保護基、アリル基、水素原子またはアルカリ金属であり;R11は、アリールアミノアルキル基、アルキルアミノアルキル基であり;R12は、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲンが置換もしくは無置換の炭素数1乃至4のアルキル基またはアルコキシ基であり;R13は、水素、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲンが置換もしくは無置換の炭素数1乃至4のアルキル基またはアルコキシ基であり;o、p及びqは、それぞれ独立に1乃至5の整数であり;rは、1乃至9の整数である。)
【0007】
本発明によるチアゾール誘導体化合物は下記の化学式VI、VII、及びIXのラセミ体または光学異性質体であるチアゾール誘導体化合物を含み、前記化学式IX化合物から製造できる化学式X化合物を含む。
【0008】
<化学式VI>
【化3】


(式中、R1乃至R5、m及びnは、化学式で定義した通りである。)
【0009】
<化学式VII>
【化4】


(式中、R1、R3乃至R5、m及びnは、化学式で定義した通りである。)
【0010】
<化学式IX>
【化5】


(式中、R1、R3乃至R5、m及びnは、化学式で定義した通りであり、R6aは、炭素数1乃至4のアルキル基を有するカルボン酸保護基またはアリル基である。)
【0011】
<化学式X>
【化6】


(式中、R1、R3乃至R5、m及びnは、化学式で定義した通りであり、R6bは、水素原子またはアルカリ金属である。)
【0012】
本発明による化学式Xのチアゾール誘導体化合物はペルオキシソーム増殖子活性化受容体δ(Peroxisome Proliferator Activated Receptor δ:PPARδ)に活性を有する特徴がある。
【0013】
本発明による新規な化合物は下記の反応式の経路を通じて製造できる。
【0014】
下記反応式に表されたように、化学式IIの4−ハロゲンフェノール類化合物を出発物質としてフェノール基をアルキルシリル基で保護して化学式III化合物を得て、これをリチウム置換反応の後、硫黄と化学式IVの化合物を反応させて化学式Vの化合物を得る。これを強塩基下において多様な親電子化合物との反応を通じて化学式VIの化合物を合成し、フェノールのシリル基脱保護反応を通じて化学式VIIの化合物を得る。他の方法としてはフェノール基をグリニャール試薬(Grignard reagent)で保護し、ハロゲンをリチウムで置換した後、硫黄と化学式IVの化合物を反応させてチオエーテルを形成する。これを分離せず、再び強塩基と反応した後、多様な親電子(electrophile)化合物(O=CR4−R5 or X3−CHR4R5)と順序に反応させて化学式VIIの化合物を単一工程で得られる。このように得られた化学式VIIの化合物は無機塩下において化学式VIIIのアルキルハロゲンアセテートと反応して化学式IXの化合物を合成した後、エステル加水分解反応を経て化学式Xの化合物が得られることを発見し、本発明を完成するにいたった。
【0015】
<反応式>
【化7】


(前記式中、R1は、水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数1乃至4のアルキルオキシ基、炭素数1乃至4のアルキルチオオキシ基、炭素数1乃至4のアルキルアミン、フッ素原子、塩素原子であり;
mは、0乃至4の整数であり;
2は、フェノール保護基であって、炭素数1乃至4の低級アルキル基、アリル基、アルキルシリルやアルキルアリールシリル基またはテトラヒドロピラニル基であり;
3は、互いに異なり水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンが置換もしくは無置換の炭素数1乃至4のアルキル基またはアルコキシ基であり;
nは、0乃至5の整数であり;
4は、





または

であり;R5は、水素原子、ヒドロキシ基または炭素数1乃至4のアルキル基であり;R6は、炭素数1乃至4のアルキル基を有するカルボン酸保護基、アリル基、水素原子またはアルカリ金属であり;R11は、アリールアミノアルキル基、アルキルアミノアルキル基であり;R12は、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲンが置換もしくは無置換の炭素数1乃至4のアルキル基またはアルコキシ基であり;R13は、水素、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲンが置換もしくは無置換の炭素数1乃至4のアルキル基またはアルコキシ基であり;o、p及びqは、それぞれ独立に1乃至5の整数であり;rは、1乃至9の整数である。)
【0016】
即ち、本発明の目的は肥満、高脂血症、動脈硬化、及び糖尿病の治療剤などで使用される化学式Xで表される新しいPPARδ活性化リガンドを提供することである。
【0017】
また、本発明は化学式IIとフェノール類保護基を反応させて製造された一般式IIIの化合物からハロゲン−リチウムの置換反応の後、硫黄(S)を反応させ、分離精製せず一般式IVの化合物を反応させ、化学式Vの化合物を製造した後、化学式Vの化合物と強塩基を反応させた後、多様な親電子(electrophile)化合物を反応させて化学式VIの化合物を製造する方法を提供するものである。
【0018】
また、本発明は化学式VIの化合物からフェノール保護基を除去する反応を通じて化学式VIIの化合物を製造する方法を提供するものである。
【0019】
なお、本発明は化学式IIのフェノール類化合物から特別な保護基の導入反応なくグリニャール試薬を用いてフェノール基を保護し、有機金属試薬でハロゲン−リチウムの置換反応をさせ、連続的に硫黄(S)と化学式IVの化合物を反応させてチオエーテル化合物を製造した後、直ちに強塩基と親電子化合物を反応させて化学式VIIの化合物を単一工程で得る便利な方法を提供するものである。
【0020】
また、本発明は化学式VIIの化合物とアルキルハロゲンアセテートを無機塩と反応させて化学式IXの化合物を製造する方法を提供するものである。
【0021】
また、本発明は化学式IXのエステル化合物を加水分解することによって化学式Xの化合物を製造する方法を提供するものである。
【0022】
また、本発明は化学式Xで表される化合物の中、2-[4-[1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]-3-フェニルプロピルチオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸、2-[4-[1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]-4-フェニルブチルチオ]-2-メチルフェノキシ] 酢酸、2-[4-[1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]-5-フェニルペンチルチオ]-2-メチルフェノキシ] 酢酸、2-[4-[1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]-6-フェニルヘキシルチオ]-2-メチルフェノキシチオ] 酢酸、2-[4-[1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]-8-フェニルオクチルチオ]-2-メチルフェノキシ] 酢酸、2-[4-[1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]-11-フェニルウンデシルチオ]-2-メチルフェノキシ] 酢酸、2-[4-[2-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)-1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]エチルチオ]-2-メチルフェノキシ] 酢酸、2-[4-[2-(4-シアノフェニル)-1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]エチルチオ]-2-メチルフェノキシ] 酢酸、2-[4-[1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]-2-(ナフタレン-3-イル)エチルチオ]-2-メチルフェノキシ] 酢酸、2-[4-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]エチルチオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸、2-[4-[1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]-2-(3,5-ジメトキシフェニル)エチルチオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸、2-[4-[1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]-2-(ペルフルオロフェニル)エチルチオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸、2-[4-[2-(4-ブロモフェニル)-1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]エチルチオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸、2-[4-[2-[2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]エチルチオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸、2-[4-[1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]-2-(2,6-ジフルオロフェニル)エチルチオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸、2-[4-[2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]エチルチオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸、2-[4-[1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]-2-(2,4-ジフルオロフェニル)エチルチオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸、2-[4-[1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]-2-(2,3,4-トリフルオロフェニル)エチルチオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸、2-[4-[2-(2-クロロ-5-フルオロフェニル)-1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]エチルチオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸、4-[3-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシ-1-[4-メチル-2-(4-トリフルオロメチル-フェニル]-チアゾール-5-イル]プロピルスルファニル]-2-メチル-フェノキシ]酢酸、4-[2-ヒドロキシ-1-[4-メチル-2-(4-トリフルオロメチル-フェニル]チアゾール-5-イル]-11-フェニル-ウンデシルスルファニル]-2-メチル-フェノキシ]酢酸、4-[2-ヒドロキシ-1-[4-メチル-2-(4-トリフルオロメチル-フェニル]-チアゾール-5-イル]-2-フェニル-エチルスルファニル]-2-メチル-フェノキシ]酢酸、2-[4-[2-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)-1-[2-[3-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]エチルチオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸、2-[4-[1-[2-[3-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]-2-(3,4,5-トリフルオロフェニル)エチルチオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸、2-[4-[1-[2-[3-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]-2-(2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)フェニル)エチルチオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸、2-[4-[1-[2-[3-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]-2-(2,6-ジフルオロフェニル)エチルチオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸、2-[4-[2-(2,6-ジクロロフェニル)-1-[2-[3-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]エチルチオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸、2-[4-[1-[2-[3-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]-2-(2,4-ジフルオロフェニル)エチルチオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸、2-[4-[2-(2-クロロ-5-フルオロフェニル)-1-[2-[3-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]エチルチオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸、2-[4-[2-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)-1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]エチルチオ]-2-メチルフェノキシ] 酢酸カリウム塩は新規化合物であり、これを製造するための一般式V、VI、VII、及びIXで表されるそれぞれの中間体も新規化合物である。
【0023】
従って、本発明は有用な新規化合物を提供する。
【0024】
1は、水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数1乃至4のアルキルオキシ基、炭素数1乃至4のアルキルチオオキシ基、炭素数1乃至4のアルキルアミン、フッ素原子、塩素原子を意味する。それぞれの置換体の位置はフェノール基を基準としてオルト−、メタ−の位置であり、置換基の数(m)は0乃至4つを意味する。
【0025】
2は、フェノール保護基であって、炭素数1乃至4の低級アルキル基、アリル基、トリメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジメチルシリルなどのアルキルシリルやアルキルアリールシリル基またはテトラヒドロピラニル基などのフェノール保護基などが挙げられる。これらの保護基の中、望ましくはtert−ブチル基、テトラヒドロピラニル基、シリル化保護基がよい。
【0026】
3は、互いに異なり、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンの置換もしくは無置換の炭素数1乃至4のアルキル基またはアルコキシ基を意味し、置換基の数(n)は、同種の置換基または2つ以上の異なる置換基が0乃至5つあることを意味する。
【0027】
4は、





、または

を示し、R5は、水素原子、ヒドロキシ基または炭素数1乃至4のアルキル基を示し、R6は、炭素数1乃至4のアルキル基(メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル基)を有するカルボン酸保護基、アリル基、水素原子またはアルカリ金属(Li、Na、K)であり;R11は、メチルピリジニルアミノエチル、メチルフェニルアミノエチル、t−ブチルフェニルアミノエチルなどのアリールアミノアルキル基、メチルアミノエチル、t−ブチルアミノエチル、エチルアミノプロピルなどのアルキルアミノアルキル基であり;R12は、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲンの置換もしくは無置換の炭素数1乃至4のアルキル基またはアルコキシ基であり;R13は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲンの置換もしくは無置換の炭素数1乃至4のアルキル基またはアルコキシ基であり;o、p及びqは、それぞれ独立に1乃至5の整数であり;rは、1乃至9の整数である。
【0028】
1は、ハロゲン原子であって、臭素原子(Br)とヨード原子(I)を意味する。
【0029】
2は、親核置換反応の離脱基を意味する。離脱基としては通常使用されるものがよく、具体的には塩素原子、臭素原子、ヨード原子のようなハロゲン原子とメタンスルホニルオキシ基(MsO-)、p−トルエンスルホニルオキシ基(TsO-)などが挙げられる。これらの離脱基の中、望ましくは塩素原子、臭素原子が良い。
【0030】
3は、離脱基を意味する。離脱基としては通常使用されるものがよく、具体的にはハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基(MsO-)、p−トルエンスルホニルオキシ基(TsO-)などが挙げられる。ここで、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨード原子などが挙げられる。これらの離脱基の中、望ましくはハロゲン原子がよく、さらに望ましくは塩素原子、臭素原子、ヨード原子が良い。
【0031】
4は、ハロゲン原子であって、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)とヨード原子(I)を意味する。
【0032】
本発明の製法において、原料や中間物質で使用される一般式I、III及び親電子化合物は公知の化合物であって、容易に入手可能であるものまたは文献に従って容易に製造できるものである。
【0033】
以下に、本発明の製造法について詳細に説明する。
【0034】
<工程A>化学式IIIで表される化合物の製造
化学式IIIで表される化合物を得るためには化学式IIで表される化合物とフェノール保護基で通常用いられる化合物を塩基の存在下において反応させればよい。
【0035】
この工程において使用される非プロトン性極性溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトニル、アセトン、エチルアセテート、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタンなどが挙げられる。エーテル類としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどが挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。この中でも使用される溶媒としては、非プロトン性極性溶媒が望ましく、さらに望ましいものはN,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム、ジクロロメタンである。
【0036】
使用される塩基としてはピリジン、トリエチルアミン、イミダゾール、N,N−ジメチルアミノピリジンなどのアミン類塩基を使用し、アルキルまたはアリルエーテル化保護基の反応は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどを塩基で使用する。この中でも望ましい塩基としてはイミダゾールと炭酸カリウムが良い。
【0037】
テトラヒドロピラニル保護基は3,4−ジヒドロ−2H−ピランをアルキルまたはアリルトリフェニルホスホニウムブロマイドと触媒反応させて得る。
【0038】
反応温度は使用される溶媒によって異なるが、通常は−10乃至80℃であり、望ましくは0℃から室温(25℃)で反応する。反応時間は反応温度と使用する溶媒によって異なるが、通常1時間から1日、望ましくは4時間以内で反応することが良い。
【0039】
<工程B>化学式Vで表される化合物の製造
化学式Vで表される化合物は一般式IIIからハロゲン−リチウム置換反応、硫黄導入反応及び化学式IVの化合物と順次に単一反応させて得る。
【0040】
この工程において使用される無水溶媒としてはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ヘプタンなどの単一溶媒と2つ以上の溶媒を配合した混合溶媒を使用する。この中でも最も望ましい溶媒はジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルとテトラヒドロフランの混合溶媒である。
【0041】
ハロゲン−金属置換反応に使用される金属試薬としては、リチウム金属、マグネシウム金属を使用し、または有機金属試薬であるn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムなどが挙げられる。この中でも有機金属試薬が望ましく、さらに望ましくはn−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムである。
【0042】
反応温度は使用される溶媒によって異なるが、通常は−100乃至25℃であり、望ましくはハロゲン−リチウム置換反応、硫黄導入反応は−75℃で施して室温まで温度を上げ、一般式III化合物との反応は室温(25℃)で反応を行なう。反応時間は反応温度と使用する溶媒によって異なるが、通常30分から4時間、望ましくは1時間以内で反応することが良い。
【0043】
<工程C>化学式VIで表される化合物の製造
化学式VIで表される化合物は、化学式V化合物からチオエーテルのアルファ−水素(α-proton)を強塩基で処理して親核反応物(nucleophile)を製造した後、多様な親電子化合物を反応させて得る。
【0044】
この工程において使用される無水溶媒としてはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ヘプタンなどの単一溶媒と2つ以上の溶媒を配合した混合溶媒を使用する。この中でも最も望ましい溶媒はジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルとテトラヒドロフランの混合溶媒である。
【0045】
アルファ−水素引き抜き反応に使用される強塩基試薬としては、ポタシウムtert−ブトキシド(t-BuOK)、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、及びtert−ブチルリチウムなどが使用され、この中でもtert−ブチルリチウムが最も望ましい。
【0046】
チオエーテル親核化合物と反応する親電子化合物(electrophile)は公知の化合物であって、容易に入手可能であるものまたは文献に従って容易に製造できる化合物であり、反応性の良いハロゲン、アルデヒド、ケトン基を含む化合物でこれを無水溶媒に溶かして付加し或いは直接付加して反応させる。
【0047】
反応温度は使用される溶媒によって異なるが、通常は−78乃至25℃であり、望ましくは強塩基によるアルファ−水素引き抜き反応は−75℃で施し、親電子化合物は−75℃で付加して室温(25℃)まで徐々に温度を上げながら反応する。反応時間は反応段階によって異なるが、強塩基によるアルファ−水素引き抜き反応は10乃至30分、親電子化合物との反応は30乃至90分間施す。
【0048】
<工程D>化学式VIIで表される化合物の製造
化学式VIIの化合物は化学式VIの化合物からフェノール保護基の除去反応で得られる。
【0049】
この工程において使用される極性溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトニル、アセトン、エチルアセテート、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタンなどが挙げられる。エーテル類としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどが挙げられる。アルコール類としては、メタノールエタノールなどが挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。この中でも使用される溶媒としては極性溶媒が良く、最も望ましいものはテトラヒドロフランである。
【0050】
フェノール保護基の脱保護方法では、メチル、エチル、tert−ブチル、ベンジル、アリルエーテル保護基の場合、ヨウ化トリメチルシリル、エタンチオアルコールナトリウム塩、ヨウ化リチウム、アルミニウムハロゲン化物、ホウ素ハロゲン化物、トリフルオロ酢酸などのルイス酸類が使用され、トリメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジメチルシリルなどのシリル化保護基は、フッ化テトラブチルアンモニウム(Bu4N+F-)、ハロゲン酸(フッ素酸、塩酸、臭素酸、ヨウ素酸)、フッ化カリウムなどのフッ素化物などを使用する。この中でもシリル化基の脱保護基反応の方法ではフッ素化物が望ましく、さらに望ましくはフッ化テトラブチルアンモニウムを使用することが良い。
【0051】
反応温度は使用する方法と溶媒によって異なるが、通常は0乃至120℃であり、望ましくは10℃乃至25℃で反応を行なう。反応時間は反応温度によって異なるが、通常30分から1日、望ましくは2時間以内で反応することが良い。
【0052】
<工程E>化学式VIIで表される化合物の製造
化学式VIIで表される化合物を得るためには化学式IIで表される化合物をグリニャール試薬(Grignard reagent)でフェノール基を保護し、有機金属試薬と硫黄(S)、化学式IVの化合物を反応させる。この後、分離工程なく強塩基と親電子化合物を付加して得られる。本<工程E>は5段階の反応を単一工程に簡便化させた非常に便利な方法を提示している。
【0053】
以下に、細部工程を説明する。
【0054】
<グリニャール試薬を用いたフェノール基保護反応:工程E−1>:
この工程において使用される無水溶媒としてはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ヘプタンなどの単一溶媒と2つ以上の溶媒を配合した混合溶媒を使用する。この中で望ましい溶媒はジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、またはジエチルエーテルとテトラヒドロフランの混合溶媒である。
【0055】
使用されるグリニャール試薬はメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチルマグネシウムクロライド(R2MgCl)またはアルキルマグネシウムブロマイド(R2MgBr)である。この中でも最も望ましいものはiso−プロピルマグネシウムクロライド((CH3)2CHMgCl)である。
【0056】
反応温度は使用される溶媒によって異なるが、通常は−20乃至40℃であり、望ましくは0℃から室温(25℃)で反応する。反応時間は反応温度と使用する溶媒によって異なるが、通常10分から60分、望ましくは10分から30分間反応する。
【0057】
<ハロゲン−リチウム置換反応及び硫黄(S)導入反応:
工程E−2とE−3>:
ハロゲン−リチウム置換反応で使用される有機金属試薬としてはn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムなどが挙げられる。この中でも望ましくはtert−ブチルリチウムが良い。
【0058】
硫黄(S)は粒子が細かい粉末形態のものが適当であり、これを無水テトラヒドロフラン溶媒に溶かして付加し或いは直接付加して反応させる。
【0059】
反応温度は使用される溶媒によって異なるが、通常は−78乃至25℃であり、望ましくはハロゲン−金属置換反応は−75℃で施し、硫黄導入反応は−75℃から出発して室温(25℃)で反応する。反応時間は反応段階に応じて、ハロゲン−金属置換反応は10分乃至30分、硫黄導入反応は30分乃至90分間反応する。
【0060】
<化学式IV化合物の付加反応:工程E−4>:
この工程において使用される化学式IVの5-ハロゲン化メチル-4-メチル-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]チアゾールは公知の方法(WO2003/106442)に従って合成する。化学式IVのハロゲンは塩素、臭素、ヨード原子が使用され、この中でも塩素原子の化合物が望ましい。
【0061】
反応温度は使用される溶媒によって異なるが、通常は−78乃至25℃で施し、望ましくは0℃乃至10℃で反応する。反応時間は通常10乃至120分で施し、望ましくは10分乃至60分以下で反応する。
【0062】
<多様な親電子化合物との反応:工程E−5>:
チオエーテルのアルファ−水素(α-proton)を塩基で処理して親核化合物(nucleophile)を製造することに使用される強塩基としては、ポタシウムtert−ブトキシド(t-BuO-K+)、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、及びtert−ブチルリチウムなどが使用され、この中でもtert−ブチルリチウムが最も望ましい。
【0063】
チオエーテル親核化合物と反応する親電子化合物は公知の化合物であって、容易に入手可能であるものまたは文献に従って容易に製造できる化合物であり、反応性の良いハロゲン、アルデヒド、ケトン基を含む化合物でこれを無水溶媒に溶かして付加し或いは直接付加して反応させる。
【0064】
反応温度は使用される溶媒によって異なるが、通常は−78乃至25℃であり、望ましくは強塩基によるアルファ−水素引き抜き反応は−75℃で施し、親電子化合物は−75℃で付加して室温(25℃)まで徐々に温度を上げながら反応する。反応時間は反応段階によって異なるが、強塩基によるアルファ−水素引き抜き反応は10乃至30分、親電子化合物との反応は30乃至90分間施す。
【0065】
<工程F>化学式IXで表される化合物の製造
化学式IXで表される化合物を得るためには化学式VIIで表される化合物とハロゲン化酢酸アルキルエステルを塩基の存在下において反応させればよい。
【0066】
ハロゲン化酢酸アルキルエステルは公知の化合物であって、容易に入手できるものであり、ハロゲンは塩素原子、臭素原子、ヨード原子などである。使用されたハロゲン化酢酸アルキルエステルの中で最も望ましいものはブロモ酢酸メチルエステルとまたはブロモ酢酸エチルエステルである。
【0067】
この工程において使用される溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトニル、アセトン、エタノール、メタノールなどの水溶性単一溶媒を使用し、或いは1乃至10%の水を混合した溶媒を使用する。この中でも使用される溶媒として最も望ましいものは1乃至5%水を混合したアセトンまたはジメチルスルホキシドである。
【0068】
使用される塩基としては反応に悪影響を与えないものであれば弱塩基でも強塩基でも特別な制限はなく、水素化ナトリウム、水素化リチウムなどのアルカリ金属水素化物、水素化カリウムなどのアルカリ土金属水素化物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物などの強塩基、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウムなどのアルカリ金属炭酸塩が挙げられる。使用される塩基としてはアルカリ金属炭酸塩が望ましく、さらに望ましいものは炭酸カリウムである。
【0069】
反応温度は使用する溶媒の沸騰点までなら特に制限はないが、副反応を抑制するために割と高温の反応は望ましくない。通常は0乃至60℃で反応する。反応時間は反応温度によって異なるが、通常30分から1日、望ましくは30分乃至90分間反応する。
【0070】
<工程G−1>化学式Xで表される化合物の製造
化学式Xで表される化合物は化学式IXの化合物から水溶性無機塩とアルコール溶液でカルボン酸エステルの加水分解を通じて製造する方法である。
【0071】
この工程において使用される溶媒としてはメタノール、エタノールのようなアルコール類であって、水と混合される水溶性溶媒を使用する。
【0072】
使用される塩基としてはカルボン酸アルカリ塩の形態に応じて、水素化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水素化物を0.1乃至3N程度の水溶液を作って使用する。一般式Xの化合物をカルボン酸の形態で得るために使用される酸としては酢酸または0.1乃至3Nの塩酸水溶液を使用することが良い。
【0073】
反応温度は副反応を抑制するために割と低温で反応することが望ましく、通常は0℃乃至室温で反応する。反応時間は反応温度によって異なるが、通常10分から3時間、望ましくは30分乃至1時間反応する。
【0074】
<工程G−2>化学式Xで表される化合物の製造
化学式Xで表される化合物は化学式IXの化合物から有機溶媒の下において、金属触媒と2−エチルヘキサノエートの金属塩を用いたアリルエステルの置換反応を通じて製造する方法である。
【0075】
この工程において使用される溶媒としてはクロロホルム、ジクロロメタン、エチルアセテートなどの無水有機溶媒を使用する。
【0076】
使用される金属触媒としては、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィンを使用し、使用される金属触媒の量は0.01から0.1当量の範囲で使用することが良い。
【0077】
反応温度は副反応を抑制するために割と低温で反応することが望ましく、通常は0℃乃至室温で反応する。反応時間は反応温度によって異なるが、通常10分から3時間、望ましくは30分乃至1時間反応する。
【0078】
このような塩の化合物は遠心分離を用いて純粋に分離される。前記得られた一般式Xの金属塩形態の化合物は工程G−1(加水分解工程)を用いて製造された塩形態の化合物より分離することが容易である。
【0079】
このようにして得られた一般式XのY型チアゾール化合物はPPARδ型蛋白質のリガンドとして重要な物質である。なお、この化合物はキラル炭素を有していて、それの立体異性体が存在し、一般式Xの化合物中、ラセミ体よりR-型またはS-型の異性体が有効な化合物と確認され、本発明の範囲は一般式X化合物、それの立体異性体、溶媒和物及びその塩を含む。
【発明の効果】
【0080】
上述のように、本発明による新規なチアゾール誘導体化合物はPPARδ活性化リガンドの特性があるものであって、心血管治療剤、コレステロール降下剤、糖尿病治療剤、及び肥満治療剤として用いられる可能性が非常に高い化合物であり、本発明による製造方法はチアゾール誘導体化合物の製造に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0081】
以下、実施例を通して本発明の方法をさらに詳細に説明する。但し、本発明が下記実施例に限られるものではない。
【0082】
<実施例1>4−ヨード−2−メチル−フェノキシ−tert-ブチルジメチルシラン(III)の製造:[工程A]
4-ヨード-2-メチルフェノール3.0g(12.8mmol)とイミダゾール1.74g(25.6mmol, 2.0当量)をジメチルホルムアミド45mlに完全に溶かす。tert−ブチルジメチルシリルクロライド2.12g(14.1mmol, 1.1当量)を徐々に加えて室温で4時間撹拌させる。反応完結の後、塩化アンモニウム水溶液とエチルアセテートを用いて抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥する。シリカゲルカラムを用いた精製の後、溶媒を減圧蒸留して表題化合物4.4g(収率:98%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ7.47 (d, 1H, J = 0.6 Hz), 7.35 (dd, 1H, J = 8.4, 2.3 Hz), 6.54 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 2.18 (s, 3H), 1.03 (s, 9H), 0.22 (s, 6H)
13C NMR (75.5 MHz, CDCl3) δ154.3, 139.9, 135.9, 132.3, 121.1, 83.9, 26.2, 18.7, 17.0, -3.8
【0083】
<実施例2>4−ブロモ−フェノキシ−tert-ブチルジメチルシラン(III)の製造:[工程A]
4-ブロモフェノール500mg(2.90mmol)とイミダゾール409mg(6.0mmol, 2.0当量)をジメチルホルムアミドに完全に溶かす。tert−ブチルジメチルシリルクロライド436mg(2.90mmol, 1.0当量)を徐々に加えて室温で4時間撹拌させる。反応完結の後、塩化アンモニウム水溶液とエチルアセテートを用いて抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥する。シリカゲルカラムを用いて精製した後、溶媒を減圧蒸留して表題化合物811mg(収率:97%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ7.32 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 6.72 (d, 2H, J = 10.0 Hz), 0.98 (s, 9H), 0.18 (s, 6H)
13C NMR (75.5 MHz, CDCl3) δ155.3, 132.7, 122.3, 114.0, 26.0, 18.6, -4.1
【0084】
<実施例3>5-[4-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシ)-3-メチル-フェニルスルファニルメチル]-4-メチル-2-[(4-トリフルオロメチル)フェニル]-チアゾール(V)の製造:[工程B]
窒素雰囲気下において、実施例1から製造された4-ヨード-2-メチル-フェノキシ-tert-ブチルジメチルシラン1.5g(4.32mmol)を無水テトラヒドロフラン120mlに溶かし、温度を−78℃に下げる。tert-ブチルリチウム2.54ml(1.7M-ヘキサン溶液、1.0当量)を徐々に添加する。10分間さらに撹拌した後、同じ温度で固体相の硫黄(S)138mg(4.32mmol, 1.0当量)を1回で添加する。反応物の温度が15℃になるまで40分間反応した後、同じ温度で一般式IIIの5-クロロメチル-4-メチル-2-[(4-トリフルオロメチル)フェニル]-チアゾール1.26g(4.32mmol, 1.0当量)を無水THF10mlに溶かして徐々に添加する。1時間ほどさらに反応させた後、塩化アンモニウム水溶液で反応を終結させ、エチルアセテートと塩水溶液を用いて有機溶媒を抽出し、硫酸マグネシウムで有機層を乾燥する。ろ過の後、溶媒を減圧蒸留し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製して表題化合物1.85g(収率:84%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ7.97 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 7.65 (d, 2H, J = 8.2 Hz), 7.17 (d, 1H, J = 1.8 Hz), 7.07 (dd, 1H, J = 8.2, 2.3 Hz), 6.67 (d, 1H, J = 8.3Hz), 4.10 (s, 2H), 2.20 (s, 3H), 2.15 (s, 3H), 1.00 (s, 9H), 0.20 (s, 6H)
13C NMR (75.5 MHz, CDCl3) δ163.4, 154.9, 151.8, 136.8, 132.6, 130.4, 129.6 (q, J = 32 Hz), 126.8, 126.2 (m), 125.2, 119.6, 33.0, 26.1, 18.7, 17.1, 15.2, -3.9
【0085】
<実施例4>5-[1-[3-メチル-4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)フェニルチオ)-3-フェニルプロピル]-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール(VI)の製造:[工程C]
窒素雰囲気下において、実施例3から製造された5-[4-(tert-ブチルジメチルシラニルオキシ)-3-メチル-フェニルスルファニルメチル]-4-メチル-2-[(4-トリフルオロメチル)フェニル]-チアゾール510mg(1.0mmol)を無水テトラヒドロフラン20mlに溶かす。反応溶液を−78℃に十分冷却し、tert-ブチルリチウム1.2ml(1.7M-ヘプタン溶液、2.0当量)を徐々に添加する。反応溶液が濃い青色を保持した状態で(2−ブロモエチル)ベンゼン137μl(1.0mmol)を入れ、反応温度を徐々に室温まで上げる。30分間さらに反応させた後、塩化アンモニウム水溶液で反応を終結させ、エチルアセテートと塩水溶液を用いて有機溶媒を抽出し、硫酸マグネシウムで有機層を乾燥する。ろ過の後、溶媒を減圧蒸留し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製して表題化合物388mg(収率:63%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ7.99 (d, 2H, J = 8.5 Hz), 7.67 (d, 2H, J = 8.2 Hz), 7.19 (m, 5H), 7.04 (d, 1H, J = 2.0 Hz), 6.96 (dd, 1H, J = 8.3, 2.4 Hz), 6.59 (d, 1H, J = 8.3 Hz), 4.19 (dd, 1H, J = 8.9, 6.0 Hz), 2.74 (m, 2H), 2.37 (m, 1H), 2.37 (m, 1H), 2.19 (m, 1H), 2.08 (s, 3H), 1.96 (s, 3H), 0.98 (s, 9H), 0.17 (s, 6H)
【0086】
<実施例5−34>
前記実施例4の方法で行って下記表1の化合物を製造し、表2に製造された化合物のNMRを示した。
【0087】
<表1>
【表1】








【0088】
<表2>
【表2】







【0089】
<実施例35>4-[1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]-6-フェニルヘキシルチオ]-2-メチルフェノール(VII)の製造:[工程D]
前記実施例7から製造された5-[1-[3-メチル-4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)フェニルチオ]-6-フェニルヘキシル]-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール394mg(0.6mmol)をテトラヒドロフラン10mlに完全に溶かす。室温でテトラブチルアンモニウムフロライド(TBAF)1.5ml(1M-テトラヒドロフラン溶液、2.5当量)を徐々に添加する。30分間反応した後、塩化アンモニウム水溶液とエチルアセテートを用いて抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥する。ろ過の後、溶媒を減圧蒸留し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製して表題化合物306mg(収率:94%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ7.98 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 7.66 (d, 2H, J = 8.2 Hz), 7.19 (m, 5H), 7.09 (d, 1H, J = 1.5 Hz), 6.93 (dd, 1H, J = 7.8, 1.9 Hz), 6.57 (d, 1H, J = 8.2 Hz), 4.20 (dd, 1H, J = 9.1, 5.9 Hz), 2.58 (t, 2H, J = 7.5 Hz), 2.18 (s, 3H), 2.04 (m, 1H), 1.97 (s, 3H), 1.85 (m, 1H), 1.60 (m, 2H), 1.39 (m, 4H)
【0090】
<実施例36−38>
前記実施例35の方法で行って下記表3の化合物を製造し、表4に製造された化合物のNMRを示した。
【0091】
<表3>
【表3】

【0092】
<表4>
【表4】

【0093】
<実施例39>一般式IIの化合物から4-[2-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)-1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]エチルチオ]-2-メチルフェノール(VII)の製造:[工程E]
窒素雰囲気下において、4-ヨード-2-メチルフェノール585mg(2.5mmol)を無水テトラヒドロフラン35mlに溶かし、温度を0℃に保持させる。イソプロピルマグネシウムクロライド1.3ml(2M-エーテル溶液、1.0当量)を徐々に添加し、10分間反応させる。反応溶液を−78℃に十分冷却した後、tert-ブチルリチウム3.0ml(1.7M-ヘプタン溶液、2.0当量)を徐々に滴加し、20分間さらに反応させる。固体相の硫黄80mg(2.5mmol, 1.0当量)を一回で添加し、この反応物の温度が15℃になるまで反応をさせる。40分後、同じ温度で一般式IVの5-クロロメチル-4-メチル-2-[(4-トリフルオロメチル)フェニル]-チアゾール730mg(2.5mmol, 1.0当量)を無水THF3mlに溶かして徐々に添加する。20分くらいさらに反応させ、再び反応物を−78℃に十分冷却する。次いで、tert-ブチルリチウム3.0ml(1.7M-ヘプタン溶液、2.0当量)を徐々に滴加して反応液が青色に変わると同じ温度で2-クロロ-6-フルオロベンジルブロマイド345μl(2.5mmol)を添加した後、反応物の温度を徐々に室温まで上げながら反応する。20分後、塩化アンモニウム水溶液30mlを加えて反応を終結させる。有機層を分離して硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を減圧蒸留して除去する。残渣をヘキサン/エチルアセテート(v/v=3/1)でシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製して表題化合物1.12g(収率:83%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ7.97 (d, 2H, J = 8.1 Hz), 7.64 (d, 2H, J = 8.2 Hz), 7.14 (m, 3H), 6.98 (dd, 1H, J = 8.2, 2.1 Hz), 6.90 (m, 1H), 6.55 (d, 1H, J = 8.3 Hz), 4.74 (dd, 1H, J = 8.7, 6.8 Hz), 3.40 (m, 2H), 2.18 (s, 3H), 1.85 (s, 3H)
【0094】
<実施例40−41>
前記実施例39の方法で行って下記表5の化合物を製造し、表6に製造された化合物のNMRを示した。
【0095】
<表5>
【表5】

【0096】
<表6>
【表6】

【0097】
<実施例42>2-[4-[1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]-4-フェニルブチルチオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸エチルエステル(IX)の製造:[工程F]
2-メチル-4-[1-[4-メチル-2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)チアゾール-5-イル]-4-フェニル-ブチルスルファニル]フェノール205mg(0.4mmol)と5%の水を含むアセトン10ml、炭酸カリウム127mg(0.92mmol, 2.3当量)を室温でよく混ぜる。ブロモ酢酸エチルエステル67μl(0.6mmol, 1.5当量)を付加し、4時間激しく撹拌する。反応終結の後、塩水溶液とエチルアセテートを用いて抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥する。ろ過した後、溶媒を減圧蒸留し、残渣をヘキサン/エチルアセテート(v/v=5:1)溶媒でシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製をして表題化合物230mg(収率:96%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ7.98 (d, 2H, J = 8.2 Hz), 7.66 (d, 2H, J = 8.5 Hz), 7.19 (m, 6H), 7.01 (dd, 1H, J = 8.4, 2.2 Hz), 6.52 (d, 1H, J = 8.4), 4.59 (s, 2H), 4.23 (m, 3H), 2.63 (t, 2H, J = 8.4 Hz), 2.19 (s, 3H), 2.08 (m, 1H), 2.02 (s, 3H), 1.90 (m, 1H), 1.73 (m, 2H), 1.27 (t, 3H, J = 7.2 Hz)
13C NMR (75.5 MHz, CDCl3) δ168.9, 163.3, 156.9, 151.2, 141.8, 137.8, 137.1, 137.0, 133.8, 131.6 (q, J= 33 Hz), 128.6, 128.6, 128.3, 126.5, 126.2, 126.0 (q, J = 4 Hz), 124.6, 111.5, 65.7, 61.6, 47.5, 37.3, 35.6, 29.6, 16.3, 15.2, 14.3
【0098】
<実施例43>2-[4-[2-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)-1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]エチルチオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸アリルエステル(IX)の製造:[工程F]
前記実施例37の4-(2-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)-1-(2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-4-メチルチアゾール-5-イル)エチルチオ)-2-メチルフェノール200mg(0.37mmol)を5%の水を含むアセトン10ml、炭酸カリウム102mg(0.74mmol, 2当量)を室温でよく混ぜる。ブロモ酢酸アリルエステル73mg(0.40mmol, 1.1当量)を付加し、4時間激しく撹拌する。反応終結の後、塩水溶液とエチルアセテートを用いて抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥する。ろ過の後、溶媒を減圧蒸留し、残渣をヘキサン/エチルアセテート(v/v=5:1)溶媒でシリカゲルカラムクロマトグラフィでの精製をして表題化合物221mg(収率:94%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.60-7.76 (m, 3H), 7.11-7.17 (m, 4H), 6.90 (m, 1H), 6.55 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 5.89 (m, 1H), 5.34 (m, 1H), 5.24 (m, 1H), 4.79 (dd, 1H, J = 8.8, 6.6 Hz), 4.68 (m, 2H), 4.59 (s, 2H), 3.38 (m, 2H), 2.20 (s, 3H), 1.90 (s, 3H)
【0099】
<実施例44−67>
前記実施例42の方法で行って下記表7の化合物を製造し、表8に製造された化合物のNMRを示した。
【0100】
<表7>
【表7】







【0101】
<表8>
【表8】





【0102】
<実施例68>2-[4-[1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]-3-フェニルプロピルチオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸(X)の製造:[工程G]
2-[4-[1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]-3-フェニルプロピルチオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸エチルエステル178mg(0.3mmol)とエタノール15mlをよく混ぜた後、3N−水酸化ナトリウム水溶液1.0mlを添加する。室温で20分撹拌した後、反応が終結されると2N−HClでpHを2.0に合わせる。エタノールを減圧蒸留して80%程度取り除き、塩水溶液とエチルアセテートを用いて抽出した後、ろ過の後に溶媒を減圧蒸留し、LH−20カラムクロマトグラフィで精製し表題化合物166mg(収率:99%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ7.98 (d, 2H, J = 8.1 Hz), 7.68 (d, 2H, J = 8.3 Hz), 7.26 (m, 3H), 7.12 (m, 3H), 6.99 (dd, 1H, J = 8.4, 2.2 Hz), 6.55 (d, 1H, J = 8.5 Hz), 4.64 (s, 1H), 4.20 (dd, 1H, J = 8.9, 6.1 Hz), 3.85 (s, 2H), 2.73 (m, 2H), 2.38 (m, 1H), 2.20 (m, 1H), 2.17 (s, 3H), 1.89 (s, 3H)
【0103】
<実施例69>2-[4-[2-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)-1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]エチルチオ]-2-メチルフェノキシ] アセテートカリウム塩(X)の製造:[工程G]
2-[4-[2-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)-1-[2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4-メチルチアゾール-5-イル]エチルチオ]-2-メチルフェノキシ]酢酸アリルエステル200mg(0.31mmol)とパラジウムテトラキストリフェニルホスフィン18mg(0.015mmol, 0.05当量)を無水ジクロロメタン10mlに溶かした後に常温で撹拌する。2-エチルヘキサン酸カリウム塩56mg(0.31mmol, 1.0当量)を無水ジクロロメタン1mlに溶かした後、これを反応溶液に徐々に添加する。常温で1時間撹拌した後、遠心分離して溶媒を取り除く。ジクロロメタン10ml、ノルマルヘキサン10mlで生成された固体を洗い乾燥して表題化合物179mg(収率:91%)を得た。
1H NMR (300 MHz, D2O) δ 7.96 (d, 2H, J = 8.1 Hz), 7.66 (d, 2H, J = 8.3 Hz), 7.17 (m, 5H) 6.91 (m, 1H), 6.56 (d, 1H, J = 8.5 Hz), 4.79 (dd, 1H, J = 8.5, 6.9 Hz), 4.66 (s, 2H), 3.39 (m, 2H), 2.18 (s, 3H), 1.87 (s, 3H)
【0104】
<実施例70−97>
前記実施例68の方法で行って下記表9の化合物を製造し、表10に製造された化合物のNMRを示した。また、R6bがアルカリ金属(ナトリウム、カリウム)である場合のNMRスペクトルもR6bが水素である化合物と同一であった。
【0105】
<表9>
【表9】







【0106】
<表10>
【表10】






【0107】
<試験例1>活性及び細胞毒性試験
トランスフェクションアッセイ(Transfection assay)を通じて開発した物質に対するPPARδ活性を確認してみて、追加的にPPARsのサブタイプのPPARαとPPARγに対する選択性実験と、MTTアッセイを通じた毒性実験を行った。
【0108】
<トランスフェクションアッセイ>
CV−1細胞を用いてアッセイを行い、細胞培養は5%の二酸化炭素が含まれた37℃培養器で10%FBS、DBS(delipidated)と1%ペニシリン/ストレプトマイシンを入れたDMEM培地を用いて96ウエル−プレートで行った。実験は細胞接種、トランスフェクション、化合物処理、結果確認の4段階に分けて行った。CV−1細胞を96ウエル−プレートに5000cell/wellで接種し、24時間後にトランスフェクションした。全長(full length)のPPARsプラスミドDNAとルシフェラーゼ活性(Luciferase activity)を有していてPPARsの活性を確認することができるReporter DNA、 Transfection効率情報を提供してくれるβ-galactosidase DNAをTransfection Reagentを用いて行った。本発明の開発化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶かし、mediaを用いて多様な濃度で細胞に処理した。24時間インキュベータで培養した後、lysis bufferを用いて細胞を溶解し、Luminometerとmicroplate readerを用いてルシフェラーゼとβ-galactosidase活性を測定した。測定されたluciferase値はβ-galactosidase値を用いて補正し、この値を用いてグラフを描き、EC50値を求めた。
【0109】
本発明による実施例47乃至97の化合物のEC50値は大部分50nM以下であり、PPARαとPPARγに対する選択性も10000倍以上であった。
【0110】
<MTTアッセイ>
本発明による実施例47乃至97の化合物に対する細胞毒性テストはMTTアッセイを用いて施した。MTTは水に溶解される黄色い物質であって、生きている細胞に流入される場合、ミトコンドリアにある脱水素酵素によって水に溶解されない紫色の結晶に変性される。この物質をジメチルスルホキシドに溶解させた後、550nmで吸光度を測定すれば細胞毒性を確認することができる。実験方法は次の通りである。
【0111】
先ず、CV−1細胞を96ウエル−プレートに5000cell/wellで接種した。24時間5%の二酸化炭素が含有された加湿の37℃培養器で培養した後、本発明化合物を多様な濃度で処理した。24時間培養し、MTT試薬を入れた。15分程度培養した後、生成された紫色の結晶をジメチルスルホキシドに溶解させた後、microplate readerを用いて吸光度を測定し、これより細胞毒性を確認した。
【0112】
実験結果、大部分の本発明化合物は90μMでも細胞毒性がなかった。
【0113】
【表11】


[産業上利用可能性]
【0114】
本発明は肥満、高脂血症、動脈硬化及び糖尿病の治療に使用できるペルオキシソーム増殖子活性化受容体δ(Peroxisome Proliferator Activated Receptor δ:PPARδ)活性化リガンドである新規なチアゾール誘導体と中間体及びこれを製造する方法を提供するものであって、新しいPPARδ活性リガンドのチアゾール誘導体化合物を提供することに有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式Iのラセミ体または光学異性質体であるチアゾール誘導体。
<化学式I>
【化1】


(式中、Aは、水素、R2または

であり;
1は、水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数1乃至4のアルキルオキシ基、炭素数1乃至4のアルキルチオオキシ基、炭素数1乃至4のアルキルアミン、フッ素原子、塩素原子であり;mは、0乃至4の整数であり;R2は、フェノール保護基としての炭素数1乃至4の低級アルキル基、アリル基、アルキルシリルやアルキルアリールシリル基またはテトラヒドロピラニル基であり;R3は、互いに異なり水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンが置換もしくは無置換の炭素数1乃至4のアルキル基またはアルコキシ基であり;nは、0乃至5の整数であり;
4は、





または

であり;R5は、水素原子、ヒドロキシ基または炭素数1乃至4のアルキル基であり;
6は、炭素数1乃至4のアルキル基を有するカルボン酸保護基、アリル基、水素原子またはアルカリ金属であり;R11は、アリールアミノアルキル基、アルキルアミノアルキル基であり;R12は、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲンが置換もしくは無置換の炭素数1乃至4のアルキル基またはアルコキシ基であり;R13は、水素、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲンが置換もしくは無置換の炭素数1乃至4のアルキル基またはアルコキシ基であり;o、p及びqは、それぞれ独立に1乃至5の整数であり;rは、1乃至9の整数である。)
【請求項2】
下記化学式VIのラセミ体または光学異性質体である請求項1に記載のチアゾール誘導体。
<化学式VI>
【化2】


(式中、R1乃至R5、m及びnは、化学式Iで定義した通りである。)
【請求項3】
下記化学式VIIのラセミ体または光学異性質体である請求項1に記載のチアゾール誘導体。
<化学式VII>
【化3】


(式中、R1、R3乃至R5、m及びnは、化学式Iで定義した通りである。)
【請求項4】
下記化学式IXのラセミ体または光学異性質体である請求項1に記載のチアゾール誘導体。
<化学式IX>
【化4】


(式中、R1、R3乃至R5、m及びnは、化学式Iで定義した通りであり、R6aは、炭素数1乃至4のアルキル基を有するカルボン酸保護基またはアリル基である。)
【請求項5】
下記化学式Xのラセミ体または光学異性質体である請求項1に記載のチアゾール誘導体。
<化学式X>
【化5】


(式中、R1、R3乃至R5、m及びnは、化学式Iで定義した通りであり、R6bは、水素原子またはアルカリ金属である。)
【請求項6】
a)下記化学式IIの4−ハロゲンフェノール類化合物とフェノール基を保護するアルキルシリル基を塩基の存在下において反応させ、下記化学式IIIの化合物を製造する段階;
b)化学式IIIの化合物をハロゲン−リチウム置換反応の後、硫黄と下記化学式IVの化合物と反応させて下記化学式Vの化合物を製造する段階;
c)化学式Vの化合物を強塩基と親電子化合物と反応させて下記化学式VIの化合物を製造する段階;と
を特徴とするチアゾール誘導体の製造方法
<化学式II>
【化6】


<化学式III>
【化7】


<化学式IV>
【化8】


<化学式V>
【化9】


<化学式VI>
【化10】


(式中、X1は、臭素原子、ヨード原子を示し、X2は、塩素原子、臭素原子、ヨード原子、または親核置換反応に反応性の良い離脱基を意味し、残りは、化学式Iの置換体の定義と同一である。)
【請求項7】
d)化学式VIの化合物のフェノール保護基であるシリル基を脱保護して化学式VIIの化合物を製造する段階をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のチアゾール誘導体の製造方法。
<化学式VI>
【化11】


<化学式VII>
【化12】


(式中、R1乃至R5、m及びnは、化学式Iで定義した通りである。)
【請求項8】
下記化学式IIの4−ハロゲンフェノール類化合物をグリニャール(Grignard)試薬と反応させた後、次いで有機金属試薬でハロゲンをリチウムに置換した後、硫黄と化学式IVの化合物と反応させてチオエーテル化合物を形成し、これを分離せず、強塩基と反応した後、親電子化合物と反応させて化学式VIIの化合物を製造する段階を特徴とするチアゾール誘導体の製造方法。
<化学式II>
【化13】


<化学式IV>
【化14】


<化学式VII>
【化15】


(式中、X1は、臭素原子、ヨード原子を示し、X2は、塩素原子、臭素原子、ヨード原子、または親核置換反応に反応性の良い離脱基を意味し、R1、R3乃至R5、m及びnは、化学式Iで定義したものと同一である。)
【請求項9】
e)化学式VIIの化合物と化学式VIIIのアルキルハロゲンアセテートを無機塩の下において化学式IXの化合物を製造する段階をさらに含むことを特徴とする請求項7または8に記載のチアゾール誘導体の製造方法。
<化学式VII>
【化16】


<化学式VIII>
【化17】


<化学式IX>
【化18】


(式中、R1、R3乃至R5、m及びnは、化学式Iで定義したものと同一であり、R6aは、炭素数1乃至4のアルキル基を有するカルボン酸保護基またはアリル基であり、X4は、塩素原子、臭素原子またはヨード原子である。)
【請求項10】
化学式IXの化合物を水溶性無機塩とアルコール溶液でカルボン酸エステルを加水分解して化学式Xの化合物を製造する段階をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のチアゾール誘導体の製造方法。
<化学式IX>
【化19】


<化学式X>
【化20】


(式中、R1、R3乃至R5、m及びnは、化学式Iで定義したものと同一であり、R6aは、炭素数1乃至4のアルキル基を有するカルボン酸保護基またはアリル基であり、R6bは、水素原子またはアルカリ金属である。)
【請求項11】
化学式IXの化合物を有機溶媒でパラジウムテトラキストリフェニルホスフィン触媒と金属塩を用いたアリルエステルの塩置換反応を行い、化学式Xの化合物を製造する段階をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のチアゾール誘導体の製造方法。
【化21】


(式中、R1、R3乃至R5、m及びnは、化学式Iで定義したものと同一であり、Mはアルカリ金属である。)
【請求項12】
前記化学式Iで表されるチアゾール誘導体を有効成分とする糖尿病治療剤。
【請求項13】
前記化学式Iで表されるチアゾール誘導体を有効成分とする肥満症予防及び治療剤。
【請求項14】
前記化学式Iで表されるチアゾール誘導体を有効成分とする動脈硬化症予防及び治療剤。
【請求項15】
前記化学式Iで表されるチアゾール誘導体を有効成分とする高脂血症の予防及び治療剤。
【請求項16】
前記化学式Iで表されるチアゾール誘導体を有効成分とする健康食品補助剤、健康飲料、食品添加物、機能性化粧品及び動物用飼料組成物。
【請求項17】
前記化学式Iで表されるチアゾール誘導体を有効成分とするペルオキシソーム増殖子活性化受容体δ(Peroxisome Proliferator Activated Receptor δ:PPARδ)活性化剤組成物。


【公表番号】特表2008−531554(P2008−531554A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556978(P2007−556978)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【国際出願番号】PCT/KR2006/000663
【国際公開番号】WO2006/091047
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(507287250)
【Fターム(参考)】