説明

ホゾ継ぎ具

丸太構造要素(2)を他の丸太構造要素(2)または他の対応する別の丸太構造要素(9)に切欠き固定するときに使用するためのホゾ継ぎ具(1)。ホゾ継ぎ具は、各丸太構想要素(2)の両末端部、およびホゾ継ぎ具に面するようにされた各末端構造要素(9)の末端部に取り付けられるようにされる。ホゾ継ぎ具(1)には、交差する丸太構造要素および末端構造要素の下部および/または上部に取り付けられたホゾ継ぎ具のそれぞれの対応する軸方向および横方向表面に着座するようにされた、横方向(4at、4bt、Tat、7bt)および軸方向(5at、5bt、6at、6bt)の傾斜表面が設けられる。したがって、壁に縦の力が増加すると、同じ壁のホゾ継ぎ連結の軸方向収縮が増加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホゾ継ぎ連結(切欠き固定)を備える構造に関し、さらに詳細には、ホゾ継ぎ連結の一方の(壁)側の丸太形状の構造要素と、ホゾ継ぎ連結の他の(隅)側の末端構造要素を含み、各ホゾ継ぎ連結が原理的に緩く、建築現場で固定される必要がある建築物要素に関する。さらに詳細には、本発明は、以後ホゾ継ぎ具と呼ばれる特殊なホゾ継ぎ末端具に関し、これは、各丸太形状の要素の両端部および各末端構造要素のホゾ継ぎ末端部、すなわち、組み立てられたときのホゾ継ぎ連結の末端構成部品に取り付けられるように作成される。
【背景技術】
【0002】
丸太で建築物を建造するのは古くからの伝統である。近年では、この伝統は、主に小屋/レジャー用建築物に関して支持されている。一般的に、ホゾ継ぎ連結を備える小屋はとりわけ美しく見える。しかし、この伝統的な建築物は問題がないとは言えない。
【0003】
実際の材木の小屋/建築物の切欠き固定に伴う欠点は、高級な品質の木材を必要とすることである。それらの木材は、今日希少であり、したがって建築物は高価になる。他の欠点は、特有の断熱特性である。現代の良好に絶縁された建築物に比べて断熱性が極めて低い。北欧の気候において、内部絶縁を設けない、切欠き固定建築物は年間を通じての使用に適さず、レジャー用途においても経済的ではない。
【0004】
第3の欠点は、木材丸太の建築物が最初の1年間で数パーセント(メートル高さあたりcm)沈降することであり、これはドアの固着を回避し、煙突や換気のための漏れのない屋根開口を維持しながら緊密なドアを維持する場合に重大な問題を招く。
【0005】
この背景に対して、そして、一般的に建築物の製造により広範囲の再生材料を使用する必要性を認識して、本物の木材に見えるが、内部の絶縁コアと木質または木質状の筐体または「殻」からなる構造要素を製造する試みが行われた。
【0006】
特許文献1は、切欠き固定用木材状要素について述べており、要素の各外側部は、連結の結果その外側が実質的に連続的な凸面に見えるような輪郭を描くいくつかの(例えば3)連結されたパネル要素によって構成される。これらの連結されたパネル要素の間に、パネルを相互に不変の一定した相互距離に保持する働きをするスペーサー要素が配置される。同じスペーサー要素は建築物全体にその必要な強度を与える働きをする。外側部分の間の空隙は断熱性材料、例えばポリウレタンで充填されることが意図される。要素の末端に切欠き固定用の窪みが設けられる。構造は、個々のパネルとスペーサーから各木材状要素を作成し組み立てることが比較的複雑な工程であるという欠点を有する。
【0007】
特許文献2は、長手溝を設け、スペーサーが溝の中に配置された外側の木質パネルを備える「木材要素」について述べている。この構造において、パネルとスペーサー間の空隙も発泡ポリウレタンなどの断熱性材料で充填されることが意図される。スペーサーにはいくつの位置に孔が配置され、完成された各要素の孔を通して(縦に)ロッド8を配置することができ、それによって該ロッドは壁の重量支持要素を構成することができる。上述の構造のように、この構造は相互に適合させることが必要な多くのコンポーネントを含む。したがって、1個の木材要素をその分離した部品から組み立てるのは完全な「パズル」である。
【0008】
特許文献3は、上述の文献と同じ使用を意図する、中空の円筒状プレハブ構造要素について記述している。ここでは、凸状の外側面が、必要な構造的一体性を備えるガラス繊維、金属、プラスチック、または成型木質製品から作られることを仮定している。したがって、外側パネルは天然木質材料からは作製されない。構造要素の上部側および下部側のフランジは、要素が頂部に配置される場合に重なり合うように配置され、それらには、ボルト等を要素に挿入して要素を相互に固定することができるように孔が設けられる。前述の構造のように、これもある間隔で要素に沿って配置されたスペーサー要素を含むが、ここではプレハブの要素自体が重量負荷の大部分を支持するように設計される。要素間の空隙は断熱性材料で充填されることが好ましい。この構造は前述のものよりも少ない部品から組み立てられる利点を有するが、他方、パネル全体は木質で作られない。
【0009】
特許文献4は、さらに他の切欠き固定を意図した製品について記述しており、その製品は側部パネルの長手溝によって側部パネルに取り付けられた、内部スペーサーを備える外側の木質パネルを構成するものである。この文献による木質パネルは、凸状外側表面を含まない。しかし、縁部はそれらの凸状表面の視覚的印象を与えるように面取りを行うことができる。
【0010】
特許文献5には、切欠き固定組み立てを意図した構造要素が説明されており、湾曲した本物の木質パネルの内部に、長期間安定して湾曲を保つパネルを保持し、組み立てられた建築物が沈降しないように、パネルにその縦方向の強度を与えるためのリブを備えて作成される。大量生産が容易なこの特許出願による構造要素は乱反射防止のコーティングも含む。
【0011】
本物の木材ではない構造要素の切欠き固定のための前記解決策の全ては、2個のホゾ継ぎ連結の間のあらゆる構造要素(丸太)が、同じホゾ継ぎ連結の反対側(外側)の建築物要素とは分離して製造される理由で、ホゾ継ぎ連結が緩い。例えば、前記ノルウェー国特許出願第20026234号による建築物を作るとき、各丸太要素を終端させる末端構造要素、好ましくは本物の木材およびホゾ継ぎ連結に面する輪郭の開口を有する末端構造要素が用いられ、該輪郭は、末端構造要素中の輪郭加工された開口および対応する丸太構造要素中の輪郭加工された開口に正確に適合するいわゆるホゾ継ぎ要素によって、ホゾ継ぎ連結の反対側の丸太構造要素と組み合わせられるようになる。
【0012】
緩いホゾ継ぎ連結は、それらが時間とともに意図せずに滑り出ないように、切欠き固定中の連結を固着または「固定」する必要がある。これを行うには多くの方法があり、最も重要な態様は、製造工程が単純で大量生産に適合することであり、また、組み立てが簡単で効率的であり、そのため、建築物の組み立てが効率的であることである。
【特許文献1】ノルウェー国特許第311583号
【特許文献2】スエーデン国公開公報第457456号
【特許文献3】米国特許第4,433,519号
【特許文献4】スエーデン国公開公報第440250号
【特許文献5】ノルウェー国特許出願第20026234号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、「緩い」ホゾ継ぎ連結で切欠き固定するとき、丸太構造要素と末端構造要素または他の丸太構造要素とを連結するためのシステムを提供することである。システムは、コンポーネントが容易に製造され、組み立てられて、それらの構造要素での建築物の組み立てが、建築現場で不要な時間を費やさないことを保証するものでなければならない。
【0014】
さらに本発明の他の目的は、システムを組み立てた後に、見える部品を含まないことである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、請求項1に定義したように、端ホゾ継ぎ具を提供することによって上述の目的を満たす。
【0016】
本発明の好ましい実施形態は独立請求項に開示される。
【0017】
理解を容易にする上で、以下で傾斜面を備える軸方向および横方向の突起について論じるとき、軸方向突起は横方向に傾斜した面を有し、横方向の突起は軸方向に傾斜した面を有することを特記すべきである。
【0018】
本発明を実施するとき、本発明によるホゾ継ぎ具は、通常その製造中に丸太構造要素および末端構造要素に恒久的に固定され、建築現場では緩いホゾ継ぎ具としては存在しないことになる。本明細書に用いられるとき、ホゾ継ぎ具および末端構造要素は全く異なる構造要素であることを強調すべきである。末端構造要素は典型的には丸太の末端の形状を有し、ホゾ継ぎ連結の外側に見ることができるが、ホゾ継ぎ具は通常合成材料で製造され、組み立ての後、見えないようにホゾ継ぎ連結に配置され、末端構造要素と丸太構造要素に恒久的に取り付けられる。
【0019】
ホゾ継ぎ具は典型的には適切な耐久性を備える高価な合成材料で製造される。ホゾ継ぎ具は、建築物の組み立てに続いて、太陽光に露出されず、したがって、紫外線によりもたらされる劣化に対する追加の保護を設ける必要はない。
【0020】
本発明によるホゾ継ぎ具が、内部プラスチック障壁層を備える外側の厚板またはパネルを含む丸太構造要素に取り付けられるとき、ホゾ継ぎ具は、各丸太構造要素の内部容積に対して連続的な散乱防止障壁を与えるように、プラスチック障壁層に溶接または他の方法で取り付けることが便利である。
【0021】
両方とも本発明によるホゾ継ぎ具を設けた、丸太構造要素を末端構造要素に切欠き固定する間、通常、ノルウェー特許出願第20026234号に記載されたような、組み立ての後ホゾ継ぎ連結内部に隠される補強部材が用いられることになる。補強部材は、末端構造要素と丸太構造要素の両方での軸方向の窪みの輪郭に緊密に適合する外形輪郭を有する。しかし、丸太構造要素、末端構造要素あるいは補強部材のいずれも、これらが第20036234号に記載のものと同じとすることができるので、本発明の部品を含まないことに留意すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下で、本発明を添付図面を参照してさらに詳細に説明する。
【0023】
図1は、一般に、ノルウェー国特許出願第20026234号に記載された種類または他の種類の切欠き固定用の丸太構造要素とすることのできる、丸太構造要素2の末端に搭載されたホゾ継ぎ具1を示す。ホゾ継ぎ具1は、ホゾ継ぎ要素10(図2)の輪郭に一致する輪郭を備える中央の軸方向開口3を有する。以下において、用語の横方向および軸方向が用いられるとき、これらの用語は、完全に対象のホゾ継ぎ具が取り付けられる丸太または末端構造要素の軸に関することを理解すべきである。図1bは原理的に図1aと同じものを示すが、図1aで隠れていたいくつかの表面を図1bでは見ることができ、逆も同じである。
【0024】
図1aおよび1bに示したホゾ継ぎ具1は、2個の上部の軸方向突起4a、4bを有する。これらの突起の内部の横方向表面は、突起4aと4bの間に下方にテーパーの付いた楔形状領域4sを相互に画定する、面が傾斜した表面4at、4btである。図1aおよび1bでは容易に見えないが、ホゾ継ぎ具は、対応する傾斜面表面7atおよび7btを備えて上方のテーパーの付いた楔形状領域7sを相互に画定する、類似のより低い軸方向突起7a、7bを有することを理解すべきである。突起7a、7bは突起4aおよび4bと同じ形状とサイズを有し、これらがホゾ継ぎ具1の中央を通る水平面の周りにおいて対称であることが好ましい。したがって、上方のテーパー付き楔形状領域7sは下方にテーパーの付いた楔形状領域4sと同じサイズおよび寸法を有することになる。
【0025】
さらに、ホゾ継ぎ具1は、丸太構造要素2の軸を中心にして相互に対称であり、その各々の側部が外方に面し、各々、丸太構造要素2に面する傾斜表面5atおよび5btを備えて上方へテーパーが付いた、上部の横方向突起5a、5bを有する。突起5aおよび5bの最も外側の末端または側部は、ホゾ継ぎ具の面末端表面8にある。ホゾ継ぎ具1が取り付けられる丸太構造要素2と傾斜表面5atおよび5btの間には、それぞれ下方にテーパーの付いた楔形状領域5asおよび5bsが画定される。これらは下部の軸方向突起7aおよび7bの寸法と形状に適合するようにした寸法と形状を有し、これらは完全に同一であるが上部軸方向突起4aおよび4bに関して反対方向であることが好ましい。
【0026】
さらに、ホゾ継ぎ具1は、丸太構造要素2の軸に関して対称でありその各々の側部が外方に面し、それぞれ丸太構造要素2に面する傾斜表面6atおよび6btを備えて下方へテーパーが付いた、下部の横方向突起6a、6bを有する。突起6aおよび6bの最も外側の末端または側部は、ホゾ継ぎ具の面末端表面8にある。ホゾ継ぎ具1が取り付けられる丸太構造要素2と傾斜表面6atおよび6btの間には、それぞれ上方にテーパーの付いた楔形状領域6asおよび6bsが画定される。これらは上部の軸方向突起4aおよび4bの寸法と形状に適合するようにした寸法と形状を有する。
【0027】
切欠き固定の間(図2も参照されたい)、図1aおよび1bに示したホゾ継ぎ具1は、他の反対方向のホゾ継ぎ具に隣接して近接して配置され、反対方向のホゾ継ぎ具の面末端表面8が相互に緊密に着座するように、他の丸太構造要素または末端構造要素に取り付けられる。
【0028】
突起5aおよび5bの寸法は、2個の反対方向のホゾ継ぎ具1が相互に面表面8で相互に緊密に接触して着座するとき、第1ホゾ継ぎ具の突起5aおよび第2ホゾ継ぎ具の横方向の逆向き突起5bが、下部の軸方向突起7a、7bの間の上方テーパー付き楔状領域7sに適合する寸法と形状を有する、上方テーパー付き楔状突起を相互に形成するような寸法である。
【0029】
上述のことから、1個のホゾ継ぎ具の楔状領域7sは、ホゾ継ぎ具が丸太構造要素または末端構造要素に取り付けられているかどうかにかかわらず、対になって取り付けられた反対方向のホゾ継ぎ具のホゾ継ぎ連結の一方の側の突起5aおよび5bを、交差する丸太および末端構造要素の最も近い下部に押し付け、代りに、交差する丸太および丸太構造要素の最も近い下部に押し付けることになる。このようにして、相互に着座する2個のホゾ継ぎ具の表面8は相互に押し付けられることになる。
【0030】
同様にして、第1ホゾ継ぎ具の突起5bおよび第2(隣接する)ホゾ継ぎ具の突起5aは、下部の軸方向突起7aおよび7bの間の上方テーパー付き楔状領域に適合する形状と寸法を有する、上方テーパー付き楔状突起を相互に形成することになる。
【0031】
さらに、これに対応して、2個の隣接する反対方向のホゾ継ぎ具1の第1の横方向突起6aと、第2ホゾ継ぎ具の横方向に逆向きの下部横方向突起6bは、上部軸方向突起4a、4bの間の下方テーパー付き楔状領域4sに適合する形状と寸法を有する、下方テーパー付き楔状突起を相互に形成する。
【0032】
切欠き固定建築物における丸太構造要素2または末端構造要素9に取り付けられた全てのホゾ継ぎ具1は、同じホゾ継ぎ連結の反対側の丸太構造要素2または末端構造要素9に取り付けられた対応するホゾ継ぎ具1に隣接し、反対方向である。さらに、図示した実施形態において、任意の軸方向上部突起4aまたは4bは、反対に向けられた対のホゾ継ぎ具1の交差に最も近い上部の領域6asおよび6bsに配置され、突起4aと4bは、反対に向けられた対のホゾ継ぎ具1の交差に最も近い上部の領域6asおよび6bsに、一対の隣接する横方向突起6a/6bを相互に収容する。同様に、任意の軸方向下部突起7aまたは7bは、反対に向けられた対のホゾ継ぎ具1の交差に最も近い下部の領域5asおよび5bsに配置され、突起7aと7bは、反対に向けられた対のホゾ継ぎ具の交差に最も近い下部に、一対の隣接する横方向突起5a/5bを相互に収容する。
【0033】
より一般的に、任意のホゾ継ぎ具の上部軸方向突起は、第1ホゾ継ぎ具の真上で交差する第2ホゾ継ぎ具の下部横方向突起の傾斜表面と連絡する傾斜表面を有することになる。同様に、任意のホゾ継ぎ具の下部軸方向突起は、第1ホゾ継ぎ具の真下で交差する第2ホゾ継ぎ具の上部横方向突起の傾斜表面と連絡する傾斜表面を有することになる。さらに、1個の同じホゾ継ぎ具上の任意の対の上部軸方向突起は、第1ホゾ継ぎ具の真上で交差する、2個の異なる反対に向けられたホゾ継ぎ具上の2個の隣接する横方向の下部突起を収容し、相互に押し付けることになる。同様に、1個の同じホゾ継ぎ具上の任意の対の上部軸方向突起は、第1ホゾ継ぎ具の真下で交差する、2個の異なる反対に向けられたホゾ継ぎ具上の2個の隣接する横方向の上部突起を収容し、相互に押し付けることになる。
【0034】
当業者であれば、楔状突起4および7が、対応する楔状領域6as/6bsおよび5as/5bsをそれぞれ完全に充填する必要がなく、また便利でもないことを理解することになる。楔状突起4および7の高さは、楔状領域5as、5bs、6as、6bsの高さよりも幾分か小さく、突起4または7が前記領域の底部に触れないことを保証することが好ましい。それによって、上記丸太構造要素および末端構造要素の重量によってホゾ継ぎ連結に加えられる全ての力を、傾斜表面が常に支持することが保証される。説明した突起の傾斜表面に加わる力が大きいほど、ホゾ継ぎ連結は相互に緊密に保持される。
【0035】
無論、より重い重量または力が加わるほど力は大きくなる。建築物の中の最も低いホゾ継ぎ連結は、上の壁全体の重量と上の屋根から壁に掛かるあらゆる重量の和によって決まる力によって相互に保持され、最上部のホゾ継ぎ連結は屋根の重量だけによって相互に保持されることになる。必要であれば、最上部のホゾ継ぎ連結はボルト等によって固定することができる。ボルトが最上部の丸太構造要素から基底壁に及んで展延し、壁位置が場所に保持されることを確実にする、ノルウェー国特許出願第20026234号による丸太構造要素が用いられる場合は、ボルトによって加えられる力が壁および屋根からの重量に加わる。
【0036】
図2は、各末端構造要素9に取り付けられた特別に設計されたホゾ継ぎ具1’を有する本発明による切欠き固定建築物の隅を示す。ホゾ継ぎ具1’には横方向突起5a、5b、6a、6bがない。したがって、末端構造要素9は固定されない限りホゾ継ぎ連結から軸方向に引き抜くことができる。図2は、末端構造要素9のための開放可能な取り付け機構を示し、末端構造要素9の孔12aおよび補強部材10の対応する孔12bに配置されるように構成された固定ピン11を含む。補強部材10は、通常丸太構造要素2または該丸太構造要素に取り付けられたホゾ継ぎ具に強固に取り付けられる。末端構造要素にそれらの修正されたホゾ継ぎ具1’を用いる目的は、建築物にいくつかの新しい部屋を拡張することを望む場合に、それによって末端構造要素を丸太構造要素に置き換えることのできる能力である。
【0037】
図3は、図2に比べて、丸太構造要素2で置き換えるために、そこへホゾ継ぎ連結から開放可能に取り付けられた末端構造要素を作製するように設計されたホゾ継ぎ具1”の異なる変形を示す。図2に示した実施形態とは対照的に、ホゾ継ぎ具1”には、必要なとき、その裏側に末端構造要素9(または丸太構造要素2)から開放されるように作られたブラケット13が設けられるので、ホゾ継ぎ具1”は末端構造要素を丸太構造要素に置き換える間、ホゾ継ぎ連結中に留まる。図3に示すように、組み立て状態での固定ピン11は末端構造要素をホゾ継ぎ具に固定する点で図2の実施形態と類似している。ブラケット13には固定ピン11を受容するのに十分大きな孔が設けられる。図3に補強部材は示されないが、それらの部材は本発明のこの変形で用いることもでき、図2に示した貫通孔が設けられることになる。さらに、縦の代りに水平または傾斜して挿入された固定ピンで、末端構造要素を一時的に特定のホゾ継ぎ具1’または1”に取り付けることも可能である。しかし、完成されたとき見えなくなるようにこれを取り付けることはさらに困難である。
【0038】
通常、補強部材10は合成材料(プラスチック)で製造されるが、木質、複合材料または金属から作製することもできる。丸太構造要素2が末端構造要素9と連結される建築物の外側隅で、付随する補強部材10は典型的にこれらの要素のひとつと、例えば5asまたは6as(または5bsまたは6bs)の領域で関連するホゾ継ぎ具に侵入し、開口3の内部の補強部材10に侵入することのできるネジ等で固定されることになる。それによって補強部材は組み立てまたはその後ホゾ継ぎ連結に関して位置ズレを起すことがない。ネジは窪みの中に皿穴埋めまたは配置して、軸方向突起4または7と、真下または真上の建築物要素に取り付けられた関連の交差するホゾ継ぎ具との干渉を避けなければならない。
【0039】
特別の目的のため、およびホゾ継ぎ連結の優れた強度を得るために、特別に設計された補強部材10、および繊維強化複合材料または金属などの他の材料を用いることができる。これは、例えば、建築物の上部が建築物の下部に比べて拡大され、したがってかなりオーバーハングを呈する場合に関連する。したがって、大量の力が建築物の拡大された部分の第1丸太構造要素の下部支持部分からではなく、外部で支持しなければならない。それらのオーバーハングは、伝統的なノルウェーの柱状食料貯蔵家屋(スタッバー)では全く一般的である。補強部材の使用は、同品で支持される下部のホゾ継ぎ連結(建築物の拡大されない部分の)内部に到達するのに十分な長さの補強部材を使用することが実際的であるので、補強部材用に異なる材料を使用することに加え、他の長さの補強部材を用いることも有意義である。
【0040】
本明細書に説明される、異なる突起の形状を正確にすることが重要ではないことを強調すべきである。重要なことは、該突起による各ホゾ継ぎ具には軸方向と横方向の両方の表面が設けられ、組み立てられた建築物の各ホゾ継ぎ具は、上部および下部の最も近いホゾ継ぎ具に垂直な方向を有するので、任意のホゾ継ぎ具の下部の軸方向突起の傾斜表面は、上部の最も近いホゾ継ぎ具の上部横方向突起の傾斜表面に対して着座し、逆も同じであることである。結果は、建築現場で、LEGO(登録商標)と同様に組み立ての容易な構造システムとなる。さらに本発明によるホゾ継ぎ具は、主として原寸大の小屋および家屋のために意図されるが、玩具用建築物システムに非常に良好に適合することになると理解すべきである。
【0041】
前述において、本発明は、特に好ましくは製造中に恒久的に丸太構造要素または末端構造要素に取り付けられる分離したホゾ継ぎ具に関する。しかし、丸太構造要素/末端構造要素のかなりの長さに及んで展延する「ホゾ継ぎ具」を製造することも可能である。切欠き固定の後、ホゾ継ぎ具の内部に配置されるホゾ継ぎ具の部分が上述の機能を有する場合は、それらはホゾ継ぎ具が可視または隠れた軸方向の拡大を有しているかにかかわらず、本発明に含まれる。
【0042】
通常、ホゾ継ぎ具は、比較的剛性があり、変化する条件の下でその形状を維持するが、ある程度の可撓性を有する合成材料から作られる。ホゾ継ぎ具が取り付けられる丸太構造要素は、通常、湿度および温度の変化に依存しないで、保管中にそれらを曲げまたは捩るあらゆる張力を保持しない「死んだ」材料である。これは年間を通じての時期および天候条件にかかわらず容易で問題の無い組み立てに寄与する。高密度ポリエチレンの射出成型によって製造されるホゾ継ぎ具が最も好ましい。
【0043】
製造に関して、さらに使用者の便宜のためにホゾ継ぎ具は高度の対称性を有することが望ましい。したがって、上部の軸方向突起(4a、4b)は縦面の周りにおいて相互に対称であり下部の軸方向突起(7a、7b)は同じ縦面の周りにおいて相互に対称であることが好ましい。
【0044】
さらに、上部の軸方向突起(4a、4b)は水平面の周りで下部の軸方向突起(7a、7b)と対称であることが好ましい。また、上部の横方向突起(5a、5b)は縦面の周りで相互に対称であり、下部の横方向突起(6a、6b)は同じ縦面の周りで下部の横方向突起(6a、6b)と相互に対称であることが好ましい。
【0045】
図面において、協働する表面4s、5as、5bs、6as、および7sは全て突起上の側部表面として示される。いくつかの協働表面は窪みの形で設けることもできることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1a】本発明によるホゾ継ぎ具を搭載した丸太構造要素の斜視図である。
【図1b】図1と同じ建築物要素であるが異なる角度から見た斜視図である。
【図2】本発明の変形によるホゾ継ぎ具が丸太および末端構造要素に取り付けられた、組み立て中の建築物の隅の斜視図である。
【図3】図2に示したものと異なる本発明の変形によるホゾ継ぎ具を用いて切欠き固定された、組み立て中の建築物の隅の斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
1 ホゾ継ぎ具
2 丸太構造要素
6a、6b 横方向突起
7a,7b 突起
9 末端構造要素
11 固定ピン
13 ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
丸太構造要素(2)を他の丸太構造要素(2)または対応する別の丸太構造要素(9)に切欠き固定するためのホゾ継ぎ具(1)であって、前記ホゾ継ぎ具は、各丸太構造要素(2)の両末端部およびホゾ継ぎ連結に面するようにされた各末端構造要素(9)の末端部に取り付けられ、前記ホゾ継ぎ具(1)には、横方向(4at、4bt、7at、7bt)および軸方向(5at、5bt、6at、6bt)の傾斜表面が設けられて、壁上の増加する縦力が同じ壁のホゾ継ぎ連結の軸方向収縮を増加させるように、交差する丸太構造要素と末端構造要素の下部および/または上部に取り付けられたホゾ継ぎ具の表面にそれぞれ対応する軸方向および横方向の表面に対して着座することを特徴とするホゾ継ぎ具。
【請求項2】
横方向に傾斜する表面(4at、4bt)を有する2個の上部軸方向突起(4a、4b)および横方向に傾斜する表面(7at、7bt)を有する2個の下部軸方向突起(7a、7b)、軸方向に傾斜する表面(5at、5bt)を有する2個の上部横方向突起(5a、5b)および軸方向に傾斜する表面(6at、6bt)を有する2個の下部横方向突起(6a、6b)を設けることを特徴とする請求項1に記載のホゾ継ぎ具。
【請求項3】
実質的に楔状領域(4s)が、上部横方向傾斜表面(4at、4bt)の間で、相互に接触して相互に末端表面(8)に隣接して配置され、主として2個のホゾ継ぎ具(1)の2個の下部横方向突起(6a、6b)の形状に一致する形状と寸法によって画定されることを特徴とする請求項2に記載のホゾ継ぎ具。
【請求項4】
実質的に楔状領域(7s)が、下部横方向傾斜表面(7at、7bt)の間で、相互に接触して相互に末端表面(8)に隣接して配置され、主として2個のホゾ継ぎ具(1)の2個の上部横方向突起(5a、5b)の形状に一致する形状と寸法によって画定されることを特徴とする請求項2に記載のホゾ継ぎ具。
【請求項5】
実質的に楔形状の領域(それぞれ5as、5bs)が、上部軸方向傾斜表面(それぞれ5at、5bt)と、対応する丸太構造要素(2)または末端構造要素(9)の間に画定され、その形状と寸法が一般に下部楔状突起(7a、7b)の任意の1個に一致することを特徴とする請求項2に記載のホゾ継ぎ具。
【請求項6】
前記上部軸方向突起(4a、4b)が縦面の周りにおいて相互に対称であり、下部軸方向突起(7a、7b)が同じ縦面の周りにおいて相互に対称であることを特徴とする請求項2に記載のホゾ継ぎ具。
【請求項7】
前記上部軸方向突起(4a、4b)が水平面の周りにおいて下部軸方向突起(7a、7b)と対称であることを特徴とする請求項6に記載のホゾ継ぎ具。
【請求項8】
上部横方向突起(5a、5b)が縦面の周りにおいて相互に対称であり、下部横方向突起(6a、6b)が同じ縦面の周りにおいて相互に対称であることを特徴とする請求項2に記載のホゾ継ぎ具。
【請求項9】
前記ホゾ継ぎ具(1)が、丸太構造要素(2)または末端構造要素(9)に恒久的に取り付けられる手段を含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のホゾ継ぎ具。
【請求項10】
前記ホゾ継ぎ具(1)が、丸太構造要素(2)または末端構造要素(9)に一時的に取り付けられる手段を含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のホゾ継ぎ具。
【請求項11】
前記ホゾ継ぎ具(1)が、ブラケット(13)および固定ピン(11)によって丸太構造要素(2)または末端構造要素(9)に取り付けられるように配置されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のホゾ継ぎ具。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−530830(P2007−530830A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504904(P2007−504904)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【国際出願番号】PCT/NO2005/000099
【国際公開番号】WO2005/093183
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(505243629)
【Fターム(参考)】