説明

ホッパー装置及び遊技機

【課題】複雑な機構的構成を必要とせず、効率的に、貯留メダルに付着した塵や装置内部の埃を除去する。
【解決手段】回転板30を支持する支持板11に塵落とし穴18を設け、回転リール6Aが全て回転停止しておりかつ駆動モータ50が駆動停止中に、スタート操作又は精算操作がされないまま一定時間が経過した場合には、駆動モータ50を予め設定された駆動態様に基づいて一定期間駆動させる。一定期間の駆動が終了する前に、遊技開始操作又は精算操作がされた場合には、予め設定された駆動態様での駆動モータの駆動を中止させる。駆動モータ50が予め設定された駆動態様で駆動している間は、回転板30が回転してもメダルを払い出さないように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に用いられるホッパー装置であって回転板を用いてメダルを払い出すホッパー装置と、このホッパー装置を内蔵する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンなどのメダル遊技機においては、筐体内部にメダルを払い出すためのホッパー装置が設けられており、投入したメダルをホッパー装置に貯留し、入賞時には貯留されているメダルを払い出すようにしている。従って、長時間遊技を行うと、投入されるメダルと一緒に塵などがホッパー内部に入り込むこともあり、逆に、長時間遊技を行わない場合にも、ホッパー内部に埃などが溜まる場合もある。このような塵や埃は、ホッパー装置の円滑な稼働の妨げになり、故障の原因にもなるため、極力除去すべきものである。
かかるホッパー内のゴミ対策として、ホッパー内部のメダルを送り出す回転板の支持板に塵落とし用の穴を設けることが行われている。そのほかにも、遊技機のメダルの払出口にブラシ状の払拭部材を設けて払い出しメダルの塵を払拭する技術(特許文献1)や、回転板の下方にファンを設けて塵を飛ばしたり吸い取ったりする技術(特許文献2)が考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−230740号公報(図3)
【特許文献2】特開2009−142549号公報(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、塵落とし穴だけではホッパー内のメダルに付着した塵の除去までは容易に行えず、既存の装置に新たな構造を付加させるのはコスト面において好ましくない。
そこで、本願発明は、従来装置に大がかりな改変を加えることなく、効率的に、貯留メダルに付着した塵や装置内部の埃を除去することが可能なホッパー装置及びこのホッパー装置を備えた遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、各請求項に記載の発明は以下のような構成を有する。
なお、括弧内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1記載の発明は、遊技機(スロットマシンS)に内蔵されるホッパー装置(1)であって、メダル貯留部(20)と、前記メダル貯留部(10)に貯留されているメダルを受けて保持するメダル保持部(メダル孔31、底メダル搬送部32)を備えた回転板(30)と、前記回転板(30)を回転させるための駆動モータ(ホッパーモータ50)と、前記回転板(30)の底面と対向する支持板(11)を貫通して形成された塵落とし穴(18)と、前記回転板(30)のメダル保持部(31,32)に保持され前記回転凹部(12)内で前記回転板(30)とともに回転方向に移動しているメダルの進路を方向転換させ、前記回転凹部(13)の外側に排出させるためのメダル排出機構(40)と、前記駆動モータ(50)の作動を制御する制御部(ホッパー制御部75)とを備え、遊技機(S)の遊技を制御する遊技制御装置(主制御装置7A)が出力する払い出し信号に基づいて前記制御部(75)が前記駆動モータ(50)を駆動させ前記回転板(30)を回転させることによってメダルを払い出すホッパー装置(1)に係る。
【0006】
ここで、本発明における制御部(75)は、ホッパー装置(1)に設けられていてもよいし、遊技機の遊技制御装置(7A)に組み込まれていてもよい。
そして、本発明においては、前記制御部(75)は、前記駆動モータ(50)の駆動停止中に、前記遊技制御装置(7A)から払い出し信号を一定時間入力しない場合には、前記駆動モータ(50)を予め設定された駆動態様に基づいて一定期間駆動させ、前記駆動モータ(50)の予め設定された駆動態様に基づく一定期間の駆動が終了する前に、前記遊技制御装置(7A)から払い出し信号を入力した場合には、前記予め設定された駆動態様での駆動モータ(50)の駆動を中止させるように形成されているとともに、前記駆動モータ(50)が予め設定された駆動態様で駆動している間は、前記回転板(30)が回転しても前記メダル排出機構(40)からメダルが払い出されないように形成されていることを特徴とする。
【0007】
ここで「予め設定された駆動態様」とは、通常のメダル払い出し時とは異なる駆動モータ(50)の駆動パターンを含むものとするのが好ましく、駆動モータ(50)の回転数、回転時間、回転方向などを制御部(75)に予めプログラムしたものとすることができる。駆動態様は複数種類あってもよい。なお、「一定期間」とは、予め設定された駆動態様の駆動パターンが終了するまでの期間を意味するものである。
またここで、「回転板(30)が回転してもメダルが払い出さないように形成されている」とは、例えば、メダル排出機構(40)が、回転板(30)が逆回転(駆動モータ(50)が逆転駆動)する場合にはメダルが排出されないような構造を有している(メダルの進路を方向変換させるためのストッパーがそのように配置されている)ことや、メダルの進路を方向変換させるためのストッパーが出没自在になっておりストッパーが没入しているときにはメダルが排出口の方向に移動しないように形成されていることが含まれる。
【0008】
本発明におけるホッパー装置(1)は、遊技機の遊技制御装置(7A)から払い出し信号を入力した場合には、駆動モータ(50)を駆動させて回転板(30)を回転させ、メダルを払い出す。この際、払い出されたメダルを検知する検知部の検知信号をカウントすることにより、払い出し枚数を把握することができる。検知信号のカウント手段は、遊技制御装置(7A)に設けられていてもよいし、制御部(75)に設けられていてもよい。
一方、一定時間遊技制御装置(7A)から払い出し信号を入力しない場合には、駆動モータ(50)を予め定められた駆動態様で駆動させる。前記駆動態様には、回転板(30)が所定回数若しくは所定角度回転するだけ駆動モータ(50)を駆動させることや、駆動モータ(50)を逆転駆動させることや、正逆回転を繰り返すことや、駆動モータ(50)のON、OFFを繰り返すことが含まれる。なお、回転板(30)が所定角度回転するだけ駆動モータ(50)を駆動させることには、回転板(30)がメダルを払い出さない角度だけ回転するように駆動モータ(50)を駆動させることが含まれる。このような駆動を行うことにより、回転板(30)の上面に貯留されているメダルが撹拌され、メダルに付着した塵等が取り除かれ、塵落とし穴(18)から落下する。
【0009】
また、「予め定められた駆動態様」で駆動モータ(50)が駆動している間は、メダル排出機構(40)からメダルが払い出されることはない。例えば、メダル排出機構(40)が、駆動モータ(50)の正転時にはメダルを払い出し、駆動モータ(50)の逆転時にはメダルを払い出さないように形成されている場合には、制御部(75)が駆動モータ(50)を逆転駆動させている間はメダルが払い出されることはない。また、メダル排出機構(40)が、出没自在なストッパーによりメダルの進路を変更するように形成されている場合には、制御部(75)がストッパーを没入させている間はメダルの進路が変更されずメダルが払い出されることはない。あるいは、回転板(30)がメダルを払い出さない角度だけ回転するように駆動モータ(50)を駆動させた場合にも、メダルが払い出されることはない。ただしこの場合には、当該駆動の後に逆転駆動で回転板(30)を元の位置に戻すのが好ましい。
【0010】
本発明によれば、駆動モータ(50)の非作動時間が一定時間を超えると、自動的に駆動モータ(50)が通常とは異なる駆動態様で駆動し、ホッパー内部の塵落としを行うことができる。そして、ホッパー内部の塵落としが行われている最中に、遊技機(S)の遊技制御装置(7A)からの払い出し信号を入力した場合には、すみやかに塵落とし作動を中断して、払い出し処理に移行することができる。
なお、本発明では、遊技機の遊技制御装置(7A)から払い出し信号を一定時間入力しない場合に駆動モータ(50)を予め定められた駆動態様で駆動させるものであるが、遊技機(S)の遊技制御装置(7A)から所定の遊技開始信号(例えば遊技メダルの投入信号やスタートスイッチの操作信号)を一定時間入力しない場合に、駆動モータ(50)を予め定められた駆動態様で駆動させるように形成してもよい。あるいは、払い出し信号又は遊技開始信号のいずれかを一定時間入力しない場合に、駆動モータ(50)を予め定められた駆動態様で駆動させるように形成してもよい。
【0011】
(請求項2)
請求項2記載の発明は、複数の図柄を変動表示及び停止表示可能な図柄表示装置と、前記図柄表示装置の図柄を変動開始させるためのスタートスイッチ(5C)と、メダルを貯留するとともに払い出すホッパー装置(1)と、前記図柄表示装置及びホッパー装置(1)の作動を制御する遊技制御装置(主制御装置7A)とを少なくとも備え、メダルの投入により前記スタートスイッチ(5C)の操作が可能となり、前記スタートスイッチ(5C)の操作後に前記図柄表示装置の図柄が予め定められた入賞の態様で停止した場合には、前記ホッパー装置から入賞に応じた枚数のメダルが払い出され、投入したメダルを予め定められた数の範囲内でクレジットとして遊技機内部に貯留した扱いにすることができるとともに、ベットスイッチ(5B)の操作に基づきクレジットとして貯留されているメダルの一部を投入メダルに代え、精算スイッチ(5E)の操作に基づいて前記クレジットとして貯留されているメダルの全てを前記ホッパー装置(1)から払い出すように形成された遊技機(S)に係る。
【0012】
ここで、「図柄表示装置」には、複数の図柄が表示された回転リール(6A)と回転リール(6A)を回転させるためのリールモータ(6B)を備え、回転リール(6A)の回転により図柄が変動表示されるようにしたリール装置(6)や、液晶画面に複数の図柄を変動表示及び停止表示させることができる液晶表示装置や、複数の図柄を表示したエンドレスベルトを複数のローラに掛け渡しローラを回転させることにより図柄が変動表示されるようにした装置が含まれる。
またここで、「図柄が予め定められた入賞の態様で停止」には、当選役を構成する図柄が所定の有効ライン上に所定の並びで停止することが含まれる。
【0013】
なお、遊技機(S)としては、上記構成の他に、図柄変動装置の図柄変動を停止させるためのストップスイッチ(5D)を備えていてもよい。
また本発明に係る遊技機は、請求項1に記載のホッパー装置(1)を備えた遊技機(S)である。すなわち、前記ホッパー装置(1)は、メダル貯留部(20)と、前記メダル貯留部(20)に貯留されているメダルを受けて保持するメダル保持部(31,32)を備えた回転板(30)と、前記回転板(30)を回転させるための駆動モータ(50)と、前記回転板(30)の底面と対向する支持板(11)を貫通して形成された塵落とし穴(18)と、前記回転板(30)のメダル保持部(31,32)に保持され前記回転凹部(12)内で前記回転板(30)とともに回転方向に移動しているメダルの進路を方向転換させ、前記回転凹部(12)の外側に排出させるためのメダル排出機構(40)とを備え、前記駆動モータ(50)が駆動し前記回転板(30)が回転することによってメダルを払い出すものである。
【0014】
そして、前記遊技制御装置(7A)は、前記図柄表示装置が作動停止しておりかつ前記ホッパー装置(1)の駆動モータ(50)が駆動停止している場合に、前記スタートスイッチ(5C)の操作又は精算スイッチ(5E)の操作が行われないまま一定時間が経過した場合には、前記駆動モータ(50)を予め設定された駆動態様に基づいて一定期間駆動させ、前記駆動モータ(50)の予め設定された駆動態様に基づく一定期間の駆動が終了する前に、メダルが投入された場合、又は前記ベットスイッチ(5B)が操作された場合、又は前記スタートスイッチ(5C)が操作された場合、又は前記精算スイッチ(5E)が操作された場合のいずれかに該当した場合には、前記予め設定された駆動態様での駆動モータ(50)の駆動を中止させ、前記駆動モータ(50)が予め設定された駆動態様で駆動している間は、前記回転板(30)が回転しても前記メダル排出機構(40)からメダルが払い出されないように形成されていることを特徴とする。
【0015】
ここで、「図柄表示装置が作動停止」しているとは、回転リール(6A)やベルトを回転させるための駆動装置が全て駆動停止している状態や、液晶画面の図柄が全て停止表示されている状態や液晶画面に図柄が表示されていない(図柄以外のものが表示されている)場合を含むものである。
本発明によれば、非遊技時間(正確には図柄表示装置の非作動時間)又はホッパー装置(1)の非作動時間のいずれかが一定時間を超えると、自動的に駆動モータ(50)が通常とは異なる駆動態様で駆動し、ホッパー内部の塵落としを行うことができる。そして、ホッパー内部の塵落としが行われている最中に、遊技を開始させるための何らかのアクションが行われた場合や、ホッパー装置(1)を作動させるためのアクションが行われた場合には、すみやかに塵落とし作動を中断して、遊技実行処理や払い出し処理に移行することができる。
【0016】
なお、ホッパー装置(1)の非作動時間が一定時間を超えた場合には、遊技が行われている場合であっても、駆動モータ(50)が予め定められた駆動態様で駆動開始するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上のように構成されているので、従来装置に大がかりな改変を加えることなく、効率的に、貯留メダルに付着した塵や装置内部の埃を除去することが可能なホッパー装置及びこのホッパー装置を備えた遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態であって、スロットマシンの外観正面図である。
【図2】スロットマシンの前扉を開いた正面図である。
【図3】スロットマシンの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】ホッパー装置の斜視図である。
【図5】ホッパー装置の分解斜視図である。
【図6】本体部の平面図である。
【図7】回転凹部の平面図である。
【図8】塵落とし穴の拡大図である。
【図9】タイマーの計測時間を示すタイミングチャートである。
【図10】メダルを払い出さない角度の正回転を示す説明図である。
【図11】塵落とし処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】回転板と塵落とし穴の他の例を示す本体部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の好適な実施の形態を、メダル遊技機としてスロットマシンを例に、図面に基づき説明する。
(スロットマシンS)
スロットマシンSは、図1に示すように、箱形の筐体2の正面側に板状の前扉3を開閉自在に取り付け、筐体2の内部には、図2に示すように、3個のリールモータ6B(図3参照)と表面に複数の図柄(図示せず)が表示された3個の回転リール6Aを備えた図柄表示装置としてのリール装置6と、メダルを貯留するとともに払い出すためのホッパー装置1と、スロットマシンSの作動を制御するための制御装置7と、電源装置8を収納固定した構成となっている。
【0020】
前記前扉3は、特に図示しないヒンジを介して、筐体2の正面開口を開閉自在に取り付けられており、図1に示すように、高さ方向の中央部は、スロットマシンSの操作に関わる操作スイッチ等が設けられた操作部5となっている。そして、操作部5の上方には、回転リール6Aの図柄を正面側から視認可能な図柄表示窓60を有する正面パネル3Aが、操作部5の下方には、スロットマシンSの機種に応じたキャラクター等を表示した下パネル3Cがそれぞれ設けられている。また、正面パネル3Aの上方には上パネル3B設けられているとともに、下パネル3Cの下方であって前扉3の下部には、ホッパー装置1から払い出されたメダルを排出するメダル払い出し口3Eと、メダル払い出し口3Eから排出されたメダルを貯留可能な下皿3Dが形成されている。
【0021】
さらに、前扉3には、遊技に伴う種々の演出を行わせるための演出表示装置9が設けられている。演出表示装置9としては、上パネル3Bの周囲に配置されたランプ9A及び上パネル3Bに設けられた画像表示部9B、下皿3Cの奥壁に設けられたスピーカ9Cを有している。画像表示部9Bは、液晶表示装置やドットマトリックスを用いて文字図形動画等を表示するものである。
前記操作部5としては、メダルを投入するためのメダル投入口5A、クレジットとして貯留されているメダルを投入メダルに代えるためのベットスイッチ5B、回転リール6Aの回転を開始させるためのレバー状のスタートスイッチ5C、回転リール6Aの回転を個々に停止させるための3個のボタンスイッチからなるストップスイッチ5D、クレジットされているメダルを払い戻すための精算スイッチ5Eが設けられている。
【0022】
また、図2に示すように、前扉3の裏側には、前記メダル投入口5Aから投入されたメダルを検出するためのメダルセレクター4が内蔵されているとともに、メダルセレクター4がキャンセルしたメダルを下皿3Dに誘導するためのメダル通路3Fが設けられている。
前記制御装置7は、IC等の各種電子部品を搭載した制御基板と、この制御基板を収納するための基板ケースとから構成されている。前記制御基板としては、図3に示すように、メイン基板と、サブ基板とが設けられている。
前記メイン基板には、CPU、ROM、RAM、I/O等、種々の電子部品が備えられており、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、各種制御部として機能する。具体的には、メイン基板は、役抽選を行うとともに、リール装置6及びホッパー装置1の作動を制御するための主制御装置7Aを構成し、図3に示すように、ベットやクレジットの制御を行うメダル投入制御部70、複数の図柄の組み合わせから成る「役」について当選か否かの役抽選を行うための役抽選制御部71、リール装置6を制御するためのリール制御部72、入賞の有無を判定する入賞判定制御部73、ボーナスゲームなどの遊技状態の制御を行うための遊技状態制御部74、ホッパー装置1の作動を制御するためのホッパー制御部75として機能する。
【0023】
主制御装置7Aの入力側には、図3に示すように、メダルセンサ4A、ベットスイッチ5B、スタートスイッチ5C、ストップスイッチ5D、精算スイッチ5E、払い出しセンサ80の各パーツが接続されている。ここで、メダルセンサ4Aは、特に図示しないが、メダルセレクター4に内蔵された検知部であって、投入されたメダルを検知するためのものである。払い出しセンサ80については後述する。
主制御装置7Aの出力側には、図3に示すように、リールモータ6B、メダルキャンセル装置4B、数値表示部61、ホッパーモータ50の各パーツが接続されている。
ここで、メダルキャンセル装置4Bは、特に図示しないが、メダルセレクター4に内蔵されており、メダル投入口5Aから投入された遊技メダルをキャンセルするためのものである。具体的には、特に図示しないが、ソレノイドの通電によりメダルセレクター4のメダル誘導路に突出爪を突出させ、メダル通路を流下する遊技メダルをメダルセンサ4Aよりも上流側でメダル通路から排出させる。排出された遊技メダルは、前扉3の裏面に設けられたメダル通路3Fを落下してメダル払い出し口3Eから下皿3Dに払い戻される。
【0024】
数値表示部61は、図1に示すように、上パネル3Aの図柄表示窓60の下方に設けられた表示部であって、7セグメントLEDや液晶表示器を用いて、遊技回数や払い出し枚数やクレジット数などの遊技に関する数値を表示するためのものである。
前記サブ基板にも、特に図示しないが、CPU、ROM、RAM等の電子部品が搭載されており、メイン基板と同様に、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、各種制御部として機能する。具体的には、サブ基板は、メイン基板から信号を入力し、演出表示装置9の作動を制御するための副制御装置7Bを構成し、特に図示しないが、演出表示装置9を用いた演出を制御するための演出制御部として機能する。副制御装置7Bの出力側には、図3に示すように、ランプ9A、画像表示部9B、スピーカ9Cの各パーツが接続されている。
【0025】
上記構成を有するスロットマシンSの作動の概略を説明する。
メダル投入制御部70は、メダルセンサ4Aのメダル検知信号又はベットスイッチ5Bの操作信号を受信して、スタートスイッチ5Cの操作を有効とする。ここで、スロットマシンSは、1回の遊技において最大3枚のメダルを掛ける(ベットする)ことができるとともに、メダル投入口5Aから投入されたメダルを最大50枚までクレジットとして貯留可能に形成されている。メダルがクレジットされている場合には、数値表示部61の所定位置に設けられたクレジット表示部にその数値が表示され、ベットスイッチ5Bを操作する度に1〜3の所定の数がクレジット表示部の表示から減算され、その枚数のメダルがベットされたものとみなされるようになっている。
【0026】
そして、スタートスイッチ5Cの操作信号に基づき、役抽選制御部71が役抽選を行う。なお、役抽選は、乱数発生回路(図示せず)の生成する乱数(あるいは乱数発生回路としてのループカウンタのカウント値)をスタートスイッチ5Cの操作信号受信のタイミングで読み取り、ROMに記憶された役抽選テーブルと照合することによって行われる。また、役には、メダルが払い出される小役と、次遊技をベットなしで行うことができる再遊技役と、小役の当選確率が高く設定されたボーナスゲームに移行する特別役とがある。
役抽選の後、スタートスイッチ5Cの操作信号に基づき、リール制御部72がリールモータ62を駆動させて回転リール6Aを回転開始させる。リール制御部72は、回転リール6Aの回転中は、各回転リール6Aに設けられたリールセンサ(図示せず)の検知信号に基づき、各回転リール6Aの図柄の現在位置を把握する。また、リール制御部72は、ストップスイッチ5Dの操作信号に基づき、リールモータ6Bの駆動を停止させて回転リール6Aを回転停止させる。この際、役抽選の結果がハズレの場合には停止図柄がいかなる入賞の態様にも揃わないよう、所定の役が当選している場合には当該当選役を構成する図柄が一定条件下で所定の表示態様に停止するよう、ストップスイッチ5Dの操作信号を受信してからリールモータの駆動を停止させるまでの時間を調整して、回転リール6Aの停止を制御する。
【0027】
そして、3個の回転リール6Aが全て停止したとき、各回転リール6Aの当選役を構成する図柄が当選役に応じた配列で表示された場合には、入賞判定制御部74が役に応じた処理を決定する。具体的には、小役の図柄が表示された(入賞した)場合には入賞した小役に対応するメダルの払い出しを、再遊技の図柄が表示された場合には再遊技を、特別役の図柄が表示された場合にはボーナスゲームへの移行を決定する。この決定に基づいて、ホッパー制御部74がホッパー装置1を作動させて役に応じた数のメダルを払い出したり、メダル投入制御部70が自動ベット処理を行ったり、遊技状態制御部73がボーナスゲームを開始させたりするようになっている。
【0028】
(ホッパー装置1)
ここで、ホッパー装置1の機構的構成について詳述する。
ホッパー装置1は、図2に示すように、メダルを送り出すための回転板30及びホッパーモータ50を備える本体部10と、本体部10の上方に設けられたメダル貯留部20とから構成されている。また、ホッパー装置1の正面部には、前記回転板30により送り出されたメダルを排出するためのメダル排出口17が形成されている。そして、ホッパーモータ50が正転駆動して前記回転板30が図6に示す白矢印方向(正転方向)に回転することにより、回転板30のメダル孔31に嵌ったメダルがメダル排出口17から一枚ずつ排出されるように形成されているものである。
【0029】
前記本体部10は、図5に示すように、上面が傾斜して形成された箱体である。本体部10の上面を構成する支持板11には、略円形の回転凹部12が形成されおり、この回転凹部12には、複数のメダル孔31を備えた回転板30が配置される。支持板11の下面には、回転板30を回転させるためのホッパーモータ50(図2参照)が固定されており、ホッパーモータ50の駆動軸と連動する回転軸51は支持板11から突出して回転凹部12の中心に位置している。回転板30は前記回転軸51に固定され、回転凹部12の内側で水平方向に回転可能となっている。
前記回転凹部12には、図5及び図6に示すように、回転凹部12を形成する周縁壁14の一部を切り欠いた切り欠き部15が形成されており、この切り欠き部15によって、回転凹部12の凹底面13と本体部10の正面にあるメダル排出口17が連通している。そして、切り欠き部15とメダル排出口17の間には、メダル排出機構40が設けられている。
【0030】
メダル排出機構40は、切り欠き部15とメダル排出口17を連通させる排出凹部41と、排出凹部41に設けられた固定ピン42及び可動ピン43とから構成されている。固定ピン42は、切り欠き部15の端部に設けられた円柱状の突起である。また、可動ピン43は、排出凹部41に形成された長穴から突出する円柱状の突起であり、固定ピン42との間にメダルMの直径よりも小さい隙間を保つ位置に配置されている。そして可動ピン43は、常時、前記した位置にあるように図示しないバネによって付勢されているとともに、固定ピン42との間隔がメダルの直径よりやや大きい距離となる位置まで、前記長穴に沿って移動することができるようになっている。つまり、固定ピン42と可動ピン43の間を、メダルが水平状態で通り抜けられるように形成されている。そして、本体部10の内側であって前記排出凹部41の近傍には、前記可動ピン43の下方に固定された検知片(図示せず)の移動を検出してメダルの通過を検知する払い出しセンサ80が設けられている。なお、排出凹部41には払出ガイド16が装着され、払出ガイド16と排出凹部41の隙間がメダル排出口17となる。
【0031】
前記回転凹部12の凹底面13には、図5及び図7に示すように、回転板30の回転中心(回転軸51)から外側に向かいながら逆転方向(ホッパーモータ14が逆転駆動したときに回転板30が回転する方向、図6の黒矢印方向)に湾曲したスリット状の塵落とし孔18が形成されている。塵落とし孔18は、支持板11を貫通しているとともに、凹底面14の下方側に複数個設けられ、この塵落とし孔18から塵や埃、煙草の灰などを本体部10の内部に落下させることができる。ここで、塵落とし孔18を図示したような形状にしてあるのは、回転中心から遠いほど、回転板30の移動速度が速くなることに鑑み、回転する回転板30に伴う塵の移動を考慮して、回転中心から遠いほど回転方向の孔幅が大きくなるようにするためである。具体的には、図8(A)に示すように、塵落とし孔18の、凹底面13の円周側における回転方向の孔幅w2は、凹底面13の中心側における回転方向の孔幅w1よりも大きくなるので、凹底面13の周辺部で塵等が高速で移動しても、塵落とし孔18を通り過ぎてしまうことなく落下できるのである。なお、塵落とし穴18は、図8(B)に示す向き、すなわち正転方向に湾曲して形成されていてもよい。
【0032】
回転板30は、図5及び図6に示すように、メダルの直径よりも僅かに大きい内径を有する8個のメダル孔31を有し、メダル孔31の周囲には傾斜部35が形成されて、隣接するメダル孔31どうしの間には陵部36が形成されている。傾斜部35によって回転板30の上方に貯留されているメダルをメダル孔31にスムーズに誘導することができ、陵部36によって回転板30の回転中に回転板30の上方に貯留されているメダルを撹拌することができる。
また、回転板30の裏面には、メダル孔31に嵌ったメダルMを保持するとともに回転板30の側方に排出するメダル保持部としての底メダル搬送部32が形成されている。底メダル搬送部34は、回転板30の裏面に形成された底面視歯車型の凸面部であり、図6に示すように、中心側の円周部がメダル孔31の一部を構成し外周側が開放するメダル嵌入溝33と、メダル嵌入溝33の開放部を平面視逆転方向に湾曲させて延設した突起34を有している。なお、底メダル搬送部34の高さ(厚さ)は、メダル1枚の厚さよりもやや大きい寸法に形成されている。
【0033】
前記メダル貯留部20は、図4及び図5に示すように、上方に開放する収納部21を有する箱体であり、側面部には、オーバーフロー開口22が形成されている。オーバーフロー開口22は、収納部21に規定量以上に貯留されたメダルをオーバーフローガイド23を介して収納部21から排出するためのものであり、オーバーフローしたメダルは、筐体2においてホッパー装置1の側方に隣接設置されるサブタンク90(図2参照)に転送される。メダル貯留部20の底部には、メダル貯留部20を本体部10に装着したとき前記回転板30と中心が合致する開口部24(図5参照)が形成されており、収納部21に投入されたメダルは、前記開口部24から回転板30の上方に貯留される。収納部21に貯留されているメダルは、回転板30のメダル孔31に嵌り込み、メダル孔31の内部には複数のメダルが水平方向に積み重なって収納される。
【0034】
(ホッパー装置1の作動)
上記構成を有するホッパー装置1の正転作動時及び逆転作動時のメダルの動きについて、図6をもとに説明する。
まず、回転板30のメダル孔31に嵌っているメダルのうち、最底部にあるメダルは、メダル孔31が回転板30の上方側に位置しているときには、メダル嵌入溝33に保持されてメダル孔31の内部に収まっている。一方、メダル孔31が回転板30の下方側に位置しているときには、メダル嵌入溝33からこぼれ落ちて(あるいは回転板30が回転している場合には遠心力によりメダル嵌入溝33から飛び出して)、メダル孔31から外れ、回転凹部12の周縁壁14に当接した状態となる。
【0035】
ホッパーモータ50を正転駆動させ、回転板30を正転方向に回転させた場合は、回転凹部12の下方でメダル孔31からはみ出して周縁壁14に当接しているメダルは、底メダル搬送部32の突起34の外側湾曲部34bに押されて、周縁壁14に沿って回転方向に転動していく。そして、図6に実線で示すように、排出凹部41の付近まで転動してきたメダルは、固定ピン42及び可動ピン42に当接して回転方向への移動を阻止されるものの、回転板30の回転に伴い突起34の外側湾曲部34bでさらに押圧されるため、図6に二点差線で示すように、可動ピン43を押圧して固定ピン42と可動ピン43との間の隙間を押し広げる。すなわち、外側湾曲部34bと可動ピン43が、メダルの進路を変更する役割を果たす。そして、メダルの直径部分が固定ピン42及び可動ピン43の間を通過すると、可動ピン43は付勢力により元の位置に復帰するため、メダルはメダル排出口17の方向にはじき飛ばされる。なお、メダルが排出されたメダル孔31には、上方に積み重なっているメダルが落下して、メダル嵌入溝33に保持されつつ回転板30とともに移動する。
【0036】
一方、ホッパーモータ50を逆転駆動させ、回転板30を逆転方向に回転させた場合には、回転凹部12の下方でメダル孔31からはみ出して周縁壁14に当接しているメダルは、突起34の内側湾曲部34aに押されて、周縁壁14に沿って回転方向に転動し、メダル孔31が傾斜の上方側に移動するにつれて内側湾曲部34aにすくい上げられるようにメダル孔31の内部に収納される。そして、排出凹部41の付近まで運ばれてきたメダルは、外側湾曲部34bに沿ってメダル嵌入溝33からこぼれ落ちるが、固定ピン42及び可動ピン43によって回転方向への移動を阻止されず、進路が変更されないので、外側湾曲部34bと内側湾曲部34aとの間に位置したまま周縁壁14に沿って回転方向に移動し続ける。
【0037】
このように、ホッパー装置1は、ホッパーモータ50を逆転作動させたときには、メダルを払い出すことがないようになっている。すなわち、メダル排出機構40は、ホッパーモータ50を逆転作動させることにより払い出し不能状態となるように形成されている。そして、本実施の形態では、このメダルを払い出さない逆転作動を用いて、非遊技時に、メダル貯留部20の内部や回転板30と支持板11の間に溜まった塵等を塵落とし穴18から効率的に排除させるための塵落とし処理を行うようになっている。
(ホッパー制御部75)
次に、上記したホッパー装置1の作動を制御するホッパー制御部75について詳述する。
【0038】
ホッパー制御部75は、図3に示すように、駆動信号出力部76、タイマー77、枚数カウンタ78を備えている。駆動信号出力部76はホッパーモータ50を駆動させる駆動信号を出力するものであり、タイマー77は所定の非遊技時間を計測するためのものであり、枚数カウンタ78は払い出しセンサ40の検知信号をカウントするためのものである。
具体的には、駆動信号出力部76は、入賞判定制御部73からの払い出し決定信号、及びクレジットされている場合の精算スイッチ5Eの操作信号に基づいて、ホッパーモータ50を正転駆動させるための正転信号を出力し、枚数カウンタ78が払い出しに係る枚数のカウントを終了するとホッパーモータ50を駆動停止させるための駆動停止信号を出力する。一方、タイマー77から所定のタイムアップ信号を入力した場合には、所定の駆動パターンに基づく塵落とし作動を行うことができるようになっているが、これについては後述する。
【0039】
タイマー77は、パルスカウンタなどの計時手段であって、スロットマシンSの非遊技時間もしくはホッパー装置1の非作動時間を計測するためのものである。タイマー77としては、特に図示しないが、リール装置6の待機時間yをカウントするタイマーAと、ホッパーモータ14の非作動時間xをカウントするタイマーBが設けられている。タイマーAは、図9(A)に示すように、リール装置6が待機中となったとき、すなわち回転リール6Aが全て回転停止したときからタイムカウントを開始し、所定時間y1が経過したとき、及びy1経過後の所定時間y2が経過したとき、さらに図示しないが、y2経過後の所定時間y3が経過したときにタイムアップ信号を出力する。タイマーBは、図9(B)に示すように、ホッパーモータ14の駆動がONからOFFになったとき、正確には枚数カウンタ78が所定枚数のメダルのカウントを終了してホッパーモータ14が駆動停止したときからタイムカウントを開始し、所定時間x1が経過したとき、及びx1経過後の所定時間x2が経過したとき、さらに図示しないが、x2経過後の所定時間x3が経過したときにタイムアップ信号を出力する。このようにして、タイマー77は、非遊技状態又は非作動状態が続く限りタイムカウントを行い、予めセットされた所定時間毎にタイムアップ信号を出力する。そして、タイムカウント中に遊技が開始された場合、具体的には、スタートスイッチ5Cの操作信号を入力した場合には、タイムカウントを終了してカウントをリセットする。
【0040】
枚数カウンタ78は、入賞判定制御部73からの払い出し決定信号に基づいて、払い出しセンサ40の検知信号をカウントし、払い出しに係る枚数のカウントを終了したときには駆動信号出力部76にカウントアップ信号を出力する。
(ホッパー内部の塵落とし処理)
次に、上記したホッパー制御部75によるホッパー内部の塵落とし処理について説明する。塵落とし処理は、非遊技時においてホッパーモータ50を予め定められた駆動パターンでメダルを払い出すことなく作動させる処理である。この処理は、プログラムとしてROMに格納されている所定の駆動パターンを実行することにより行われる。
【0041】
まず、塵落とし処理実行時の回転板30の回転パターンとして、逆転と、メダルを払い出さない角度αの正転が設定されている。「メダルを払い出さない角度α」とは、具体的には、図10に示すように、回転板30の突起34-1が1個のメダルM1を排出したときの(より正確には、払い出しセンサ40が最後の払い出しメダルを検知したことによりホッパーモータ50が停止したときの)回転板30の位置P(二点鎖線で表示)から、突起34-1の回転方向後ろ側に隣接した突起34-2がメダルM2を排出する直前の位置まで移動した場合の回転板30の位置S(実線で表示)までの、回転板30の回転角度である。角度αは、ホッパー装置1のメダル排出部の構造によっても異なるが、本実施の形態では、メダル孔1個分(すなわち45°)回転板30が回転するとメダルが排出されるので、角度αはその半分以下の角度(すなわち22.5°以下)とするのが好ましい。この角度は、メダル孔の数によって変わってくるのは言うまでもない。例えばメダル孔が6個の場合には30°以下、メダル孔が4個の場合には45°以下とするのが好ましい。
【0042】
ホッパーモータ50の駆動パターンとしては、以下の3パターンが設けられている。
パターンA:回転板30を所定回数(3回、5回など)逆転させる。この駆動パターンによれば、メダルは払い出されることなく、メダルに付着した塵を遠心力で取り除くことができる。また、回転板30は通常とは異なる方向に移動するため、底部に滞留した塵などが撹拌されて落ちやすくなる。
パターンB:回転板30を所定回数(1回、1/2回など)逆転させた後にメダルが払い出されない角度αだけ正転させる作動を、所定ラウンド繰り返す。この駆動パターンによれば、回転方向が一瞬変わることにより、撹拌の効果がアップする。
【0043】
パターンC:逆転でホッパーモータ50のON、OFFを所定回数繰り返す。この駆動パターンによれば、収納部21内部のメダルが小刻みに揺さぶられて塵落としの効果がアップする。
ここで、回転板30の回転数や回転角度は、ホッパーモータ50の回転数や駆動時間により把握することができる。そして、ホッパーモータ50の駆動により回転板30の挙動が上記したようなパターンとなるよう、モータの回転数や回転時間が予めプログラムされており、駆動信号出力部76はそれらのプログラムに従ってホッパーモータ50の駆動を制御することとなる。
【0044】
なお、回転パターンや駆動パターンは上記した3パターンに限られず、例えば、短時間の正逆回転を所定回数繰り返すなど、種々のパターンを設けることができる。また、回転速度を、通常のメダル払い出し時よりも遅くしたり速くしたりしてもよい。要は、通常のメダル払い出し時と異なる駆動態様でホッパーモータ50が駆動するようなパターンであればよい。
さらに、上記したA〜Cの駆動パターンの実行タイミングも、図9に示したタイマー77のタイムカウントに合わせてプログラムされている。一の例を挙げると、x1及びy1の経過時にパターンCを実行し、x2及びy2の経過時にパターンAを実行し、x3及びy3(図示していない)の経過時にパターンBを実行するように設定することができる。他の例としては、x1経過後であってかつy1が経過したz1のタイミングでパターンAを実行し、x2経過後であってかつy2が経過したz2のタイミングでパターンBを実行するように設定することができる。このほかにも、種々のパターンが想定されるので、適宜設定すればよい。
【0045】
塵落とし処理の流れを、図11のフローに基づき説明する。
まず、図11のステップ100において、回転リール6Aが全て停止したか、あるいはメダルの払い出しが終了したか否かが判断される。回転リール6Aが全て停止しておらず、あるいはメダルの払い出しが終了していない場合には、次のステップ101でそのまま作動が続行される。つまり、リール制御部72による回転リール6Aの回転処理、ホッパー制御部75によるホッパーモータ50の駆動処理が行われる。一方、回転リール6Aが全て停止し、あるいはメダルの払い出しが終了したと判断した場合にはステップ102でタイマー77がタイムカウントを開始する。
【0046】
そして、次のステップ103に進み、スタート操作又は精算操作の有無が判断される。ここで、「スタート操作」とは、スタートスイッチ5Cが有効になってからのスタートスイッチ5Cの操作のことである。つまり、ベットがされていない場合や遊技制限時間(いわゆるウエイト時間)が経過していない場合や、所定のエラーの場合など、スタートスイッチ5Cの操作が有効化していないときにスタートスイッチ5Cを操作しても、このステップの判断はYesにならない。また、「精算操作」とは、クレジットを払い戻すための精算スイッチ5Eの操作のことである。つまり、クレジットが無い場合に精算スイッチ5Eを操作しても、このステップの判断はYesにならない。なお、ここで精算操作の有無を判断するのは、メダルをクレジットしたまま長時間遊技が中断されていた場合に対処するためである。
【0047】
ステップ103においてNoと判断された場合、すなわちスタート操作も精算操作も行われない場合には、次のステップ104において、所定時間が経過したか否かが判断される。ここでいう「所定時間」とは、タイマー77(タイマーA及びB)のタイムアップ信号の出力によって塵落とし処理を実行するように設定された時間であり、前述した実行タイミングの一の例の場合なら図9のx1又はy1である。所定時間が経過していない場合にはステップ103に戻り、所定時間が経過した場合には、次のステップ105に進む。
ステップ105において、予め設定された駆動パターンに基づいて、ホッパーモータ50が塵落とし駆動を開始する。そして、次のステップ106において、遊技開始操作又は精算操作の有無が判断される。ここで、「遊技開始操作」とは、遊技を開始するために必要な操作であって、メダルの投入、ベットスイッチ5Bの操作、スタートスイッチ5Cの操作のいずれかとすることができる。メダルの投入はメダルセンサ4Aの検知信号により判断し、ベットスイッチ5Bの操作は、クレジットが1以上(又は規定数以上)ある場合にベットスイッチ5Bが操作された場合に有効である。
【0048】
ステップ106でNoと判断された場合には、次のステップ107において、所定の駆動パターンを終了したか否かが判断される。ステップ107で所定の駆動パターンを終了していない場合にはステップ106に戻り、所定の駆動パターンを終了した場合には、次のステップ108においてホッパーモータ50が塵落とし駆動を停止する。そして、次のステップ110に進む。
ステップ110において、所定時間が経過したか否かが判断される。ここでいう「所定時間」は、上述した一の例の場合なら図9のx2又はy2(あるいはx3又はy3)である。所定時間が経過していない場合には次のステップ111に進み、スタート操作又は精算操作の有無が判断される。ステップ111がNoの場合にはステップ110に戻る。一方、ステップ110で所定時間が経過したと判断された場合には、ステップ105に戻る。このようにして、一回の塵落とし駆動処理が実行された後も、スタート操作が行われず(つまり回転リール6Aが回転開始せず)クレジット精算も行われない(つまりホッパー装置1が作動しない)まま所定時間が経過すると、再び塵落とし駆動処理の実行が繰り返されることとなる。また、この場合、前回行われた塵落とし駆動処理とは異なるパターンの処理が行われるようにすることもできる。
【0049】
前記ステップ106でYesと判断された場合、すなわち所定の駆動パターンでホッパーモータ50を作動させている間に、メダルが投入され、又はベットスイッチ5Bが操作され、又はスタートスイッチ5Cが操作され、又は精算スイッチ5Eが操作された場合には、ステップ109に進む。そして、ステップ106でホッパーモータ50は塵落とし駆動を中止(つまりメダルを払い出さない駆動パターンを中止)する。そして、ステップ112に進む。このように、塵落とし駆動中には、スタート操作だけでなく、遊技開始操作が行われた場合にも塵落とし駆動を中止させるようにしたのは、ベットの後にはすぐにスタート操作が行われる蓋然性が高いところ、ステップ103又はステップ111では、ホッパーモータ50は通常状態であるのに対し、ステップ106ではホッパーモータ50が通常とは異なる駆動態様で駆動しておりかつメダルを払い出さない状態となっていることから、駆動中のホッパーモータ50をいちはやく停止させて通常の待機状態に戻しておくのが好ましいからである。
【0050】
前記ステップ111でYesと判断された場合にも、ステップ112に進む。ステップ112においてタイマー77がタイムカウントを終了しカウントをリセットする。そして、次のステップ113において、遊技実行処理又は払い出し処理が行われる。すなわち、ベット後にスタートスイッチ5Cが操作された場合には回転リール6Aが回転開始し、精算スイッチ5Eが操作された場合にはホッパーモータ50が駆動してメダルを払い出す。前記ステップ106から109の流れでメダル投入又はベットスイッチ5Bの操作により塵落とし処理を中止した場合、ステップ113の処理はスタートスイッチ5Cの操作を待って行われる。そして、塵落とし処理を終了する。
【0051】
なお、上記ステップ103及びステップ111において、メダル投入又はベットスイッチ5Bの操作の有無を判断するようにしてもよい。
以上のように、本実施の形態によれば、非遊技時に、ホッパー装置1をメダル払い出し不能状態で作動させることにより、メダル貯留部20に貯留されたメダルを撹拌しつつ、回転板30の回転に伴う遠心力を与えて塵を落とし、回転板30の下方に設けた塵落とし穴18から落下させるようにしたので、非遊技時間を有効活用してホッパー内の清掃ができる。また、塵落とし処理時には、通常の駆動態様と異なる駆動態様でホッパーモータ50を駆動させるようにしてあるので、メダルに付着した塵や回転凹部12に滞留している埃などを効果的に取り除くことができる。さらに、非遊技時間の経過に応じて塵落とし処理の駆動パターンを変化させることができるので、ホッパー内のメダルの動きが多様化して塵落としの効果を上げることができる。加えて、塵落とし処理中に遊技開始操作が行われた場合や精算操作が行われた場合には処理を中止するので、遊技の妨げやクレジット精算の妨げになることもない。
【0052】
ところで、上記した実施の形態では、塵落とし孔18の形状をビーンズ型にすることによって、回転凹部12の底部に溜まったゴミを排出しやすくしてあったが、塵落とし補助のための構造はこのようなものに限られない。例えば、図13に示すように、回転板30の裏面に正転方向に湾曲して形成された突条36を設け、回転凹部12の下方側に円形の塵落とし穴18を複数個設けるとともに、回転凹部12の中心付近の上側にも塵落とし穴18を設ける。そして、回転板30の回転に伴い突条36が凹底面13を回転することにより、塵落とし穴18に塵を誘導するように形成することができる。突条36は逆転方向に湾曲させてもよい。ただ、本実施の形態における塵落とし処理は、ホッパー装置1がこのような特別な構造を有していなくても、メダル払い出し不能状態にすることが可能でありかつ塵落とし孔18さえ設けられていれば、十分に塵の除去効果を発揮することができるものである。すなわち、従来の装置に改変を加えないでプログラムの交換だけで対応できるというメリットがある。
【0053】
また、上記した実施の形態では、塵落とし処理における駆動パターンとして、逆転と、メダルを払い出さない角度の正転とを設けてあったが、ホッパー装置1のメダル排出機構が、メダルを払い出すことなく回転板30を正転方向に連続回転させることができる構造になっている場合には、駆動パターンに新たな作動を加えることができる。例えば、回転凹部12の凹底部13に設けた出没突起によってメダルを排出凹部41に誘導し、出没突起が突出しているときにはメダルが払い出され、出没突起が没入している場合にはメダルが払い出されないように形成してある場合には、塵落とし処理の実行中に、出没突起を没入させておき、メダルを払いださないで回転板30を正転方向に回転させたり、ホッパーモータ50に正転駆動でON、OFFを繰り返す作動を行わせることができる。なお、この場合でも、収納部21の内部のメダルを効率よく撹拌するため、逆転駆動もパターンに加えるのが好ましい。
【0054】
さらに、上記した実施の形態では、ホッパー制御部75をスロットマシンSの主制御装置7Aに設けてあるが、ホッパー制御部75を主制御装置7Aから独立した別基板として、例えばホッパー装置1に配置してもよい。この場合、ホッパー制御部75は、主制御装置7Aから払い出し信号(入賞による払い出しと精算スイッチ5Eによる払い戻しの双方を含む)を一定時間入力しない場合に、塵落とし処理を実行させるようにしてもよい。具体的には、図11のステップ100において払い出し作動が終了した場合にステップ102でタイマー77がタイムカウントを開始し、ステップ103及び111で主制御装置7Aから払い出し信号を受信したか否かを判断し、所定時間が経過したら塵落とし処理を実行させ、106で払い出し信号を受信した場合には塵落とし処理を中止するものである。このように形成した場合には、遊技は行っているがホッパー装置1からはメダルが払い出されない場合にも、塵落とし処理が行われることとなる。また、このように形成した場合には、本発明に係るホッパー装置を、クレジット機能を有していない遊技機(つまりベットスイッチ、精算スイッチがない)に用いた場合でも、塵落とし処理を行わせることができる。
【0055】
もちろん、ホッパー制御部75を主制御装置7Aに設けた場合でも、上記した実施の形態と同様に、非遊技時間に基づいて塵落とし処理を実行させてもよいし、ホッパー制御部75を主制御装置7Aに設けてある場合に、前記したホッパーモータ50の非作動時間に基づく塵落とし処理を実行させるようにしてもよい。
このほか、スロットマシンSの電源をON、OFFする際に、所定のパターンの塵落とし処理を実行させたり、ホールの営業時間外や夜間などに、待機電力でホッパーモータ50を一定時間作動させて塵落とし処理を実行させるようにしてもよい。
なお、本発明は、スロットマシン以外のメダル遊技機にも応用できる。例えば、図柄表示装置として液晶表示装置やベルトにより図柄の変動表示及び停止表示を行うようにした遊技機に用いてもよい。
【符号の説明】
【0056】
S スロットマシン(遊技機)
1 ホッパー装置 2 筐体
3 前扉 5 操作部
5A メダル投入口 5B ベットスイッチ
5C スタートスイッチ 5D ストップスイッチ
5E 精算スイッチ
6 リール装置(図柄表示装置) 6A 回転リール
7 制御装置 7A 主制御装置(遊技制御装置)
8 電源装置 9 演出表示装置
10 本体部 11 支持板
12 回転凹部 13 凹底面
14 周縁壁 17 メダル排出口
18 塵落とし穴
20 メダル貯留部 21 収納部
30 回転板 31 メダル孔
32 底メダル搬送部(メダル保持部)33 メダル嵌入溝
40 メダル排出機構 41 排出凹部
42 固定ピン 43 可動ピン
50 ホッパーモータ 51 回転軸
60 図柄表示窓 61 数値表示部
75 ホッパー制御部(制御部) 76 駆動信号出力部
77 タイマー 78 枚数カウンタ
80 払い出しセンサ 90 サブタンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機に内蔵されるホッパー装置であって、
メダル貯留部と、
前記メダル貯留部に貯留されているメダルを受けて保持するメダル保持部を備えた回転板と、
前記回転板を回転させるための駆動モータと、
前記回転板の底面と対向する支持板を貫通して形成された塵落とし穴と、
前記回転板のメダル保持部に保持され前記回転凹部内で前記回転板とともに回転方向に移動しているメダルの進路を方向転換させて、前記回転凹部の外側に排出させるためのメダル排出機構と、
前記駆動モータの作動を制御する制御部とを備え、
遊技機の遊技を制御する遊技制御装置が出力する払い出し信号に基づいて前記制御部が前記駆動モータを駆動させ前記回転板を回転させることによってメダルを払い出すホッパー装置において、
前記制御部は、前記駆動モータの駆動停止中に、前記遊技制御装置から払い出し信号を一定時間入力しない場合には、前記駆動モータを予め設定された駆動態様に基づいて一定期間駆動させ、
前記駆動モータの予め設定された駆動態様に基づく一定期間の駆動が終了する前に、前記遊技制御装置から払い出し信号を入力した場合には、前記予め設定された駆動態様での駆動モータの駆動を中止させ、
前記駆動モータが予め設定された駆動態様で駆動している間は、前記回転板が回転しても前記メダル排出機構からメダルが払い出されないように形成されていることを特徴とするホッパー装置。
【請求項2】
複数の図柄を変動表示及び停止表示可能な図柄表示装置と、前記図柄表示装置の図柄を変動開始させるためのスタートスイッチと、メダルを貯留するとともに払い出すホッパー装置と、前記図柄表示装置及びホッパー装置の作動を制御する遊技制御装置とを少なくとも備え、
メダルの投入により前記スタートスイッチの操作が可能となり、
前記スタートスイッチの操作後に前記図柄表示装置により表示される図柄が予め定められた入賞の態様で停止した場合には、前記ホッパー装置から入賞に応じた枚数のメダルが払い出され、
投入したメダルを予め定められた数の範囲内でクレジットとして遊技機内部に貯留した扱いにすることができるとともに、ベットスイッチの操作に基づいてクレジットとして貯留されているメダルの一部を投入メダルに代え、精算スイッチの操作に基づいて前記クレジットとして貯留されているメダルの全てを前記ホッパー装置から払い出すように形成された遊技機において、
前記ホッパー装置は、メダル貯留部と、前記メダル貯留部に貯留されているメダルを受けて保持するメダル保持部を備えた回転板と、前記回転板を回転させるための駆動モータと、前記回転板の底面と対向する支持板を貫通して形成された塵落とし穴と、前記回転板のメダル保持部に保持され前記回転凹部内で前記回転板とともに回転方向に移動しているメダルの進路を方向転換させて、前記回転凹部の外側に排出させるためのメダル排出機構とを備え、前記駆動モータが駆動し前記回転板が回転することによってメダルを払い出すものであって、
前記遊技制御装置は、前記図柄表示装置が作動停止しておりかつ前記ホッパー装置の駆動モータが駆動停止している場合に、前記スタートスイッチの操作又は前記精算スイッチの操作が行われないまま一定時間が経過した場合には、前記駆動モータを予め設定された駆動態様に基づいて一定期間駆動させ、
前記駆動モータの予め設定された駆動態様に基づく一定期間の駆動が終了する前に、遊技を開始するためにメダルが投入された場合、又は前記ベットスイッチが操作された場合、又は前記スタートスイッチが操作された場合、又は前記精算スイッチが操作された場合のいずれかに該当した場合には、前記予め設定された駆動態様での駆動モータの駆動を中止させ、
前記駆動モータが予め設定された駆動態様で駆動している間は、前記回転板が回転しても前記メダル排出機構からメダルが払い出されないように形成されていることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−10721(P2012−10721A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147099(P2010−147099)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】