説明

ホースクランプ装置

【課題】可動するホースの損傷を防止することができるとともに、コンパクトなホースクランプ装置を提供する。
【解決手段】建設機械におけるホースクランプ装置であって、前記ホースの外周面の一部が当接する平面部131Aと、前記平面部131Aにおける端部に設けた折曲部131Bとを有する固定板131と、前記固定板に対向して配置され、前記ホースの伸長方向と直交する方向に設けた平面部133Aと、この平面部における端部に形成された折曲部133Bとを有するカバー板133と、前記固定板側に設けたホース係合用の円弧状溝132Aと、前記第カバー板側に設けられ、前記カバー板の前記折曲部133B間に挿入される突条部132Bと、前記カバー板の前記折曲部の先端面に対して隙間をもって設けた縁部132Cとを有する弾性部材132とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械における油圧機器への圧油給排用の複数のホースをクランプするホースクランプ装置に係り、更に詳しくは、可動するホースを堅固に固定することができるホースクランプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建設機械においては、油圧源からの圧油を各油圧機器に供給し、また各油圧機器からの戻り油をタンクに回収するための圧油給排用の複数のホースを備えている。これらの圧油給排用の複数のホースは、クランプ装置によって、保持固定される。
【0003】
そのクランプ装置の一例として、ホースの外周面に対応する半円弧状のホース嵌合部が凹設されたゴム製の2個の挟持部材(弾性体)とこれらの挟持部材の外側に配置されるホルダとを備え、これら2個の挟持部材によって各ホースを径方向から挟込み、ホルダを締め付けることにより、各挟持部材の長さ方向に各ホースを整列させて保持するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】実開平5−81355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
圧油給排用の複数のホースは、この種のクランプ装置によって建設機械の固定部材側と可動部材側とに、それぞれ保持固定される場合がある。このようなホースの固定保持方策においては、建設機械の可動部材が可動すると、これに応働してホースは可動する。
【0006】
このようにホースが可動すると、ホースは、クランプ装置の端部で繰り返し曲げ作用を受けるため、長期間の使用により、クランプ装置を構成するゴム製の2個の挟持部材(弾性体)は劣化して、その弾性力が著しく低下する。このため、ホースが、クランプ装置を構成するホルダの端部に衝突を繰り返し、損傷を生じることがあるので、この点を改善することが望まれている。
【0007】
また、多数の油圧機器にそれぞれ圧油を供給しなければならない場合には、自ずとホースの本数が増加するが、これらのホースを並設するための幅方向の寸法が制限される場合には、複数のホース群を多段に積層せざるを得ないが、その高さ方向の寸法が大きくなってしまうので、この点についても改善することが望まれている。
【0008】
本発明は、上述した改善要求に基づいてなされたもので、可動するホースの損傷を防止することができるとともに、コンパクトなホースレイアウトを可能とするホースクランプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、建設機械における油圧機器への圧油給排用の複数のホースをクランプするホースクランプ装置であって、前記ホースの外周面の一部が当接する平面部、及び前記ホースとは反対側に向かうように前記平面部における前記ホースの伸長方向と直交する端部に設けた折曲部を有する固定板と、前記固定板の平面部に対向して配置され、前記複数のホースの配設方向に設けた平面部、及びこの平面部における前記ホースの配設方向と直交する端部の両方に前記固定板側に向かって折り曲げ形成された折曲部を有するカバー板と、ホース係合用の円弧状溝、前記カバー板の前記折曲部間に挿入される突条部、及び前記カバー板の前記折曲部の先端面に対向して設けた縁部を有し、前記突条部の高さが前記カバー板の前記折曲部の深さより大きく、前記縁部間の幅が前記突条部の幅より長く、前記折曲部間の幅と同程度である弾性部材と、前記固定板とカバー板との間に設けられるスペーサと、前記弾性部材を押圧するボルトとを備える。
【0010】
また、第2の発明は、第1の発明において、他の複数のホースをクランプするため、前記カバー板の上面に前記他の複数のホースを介して更に前記弾性部材、前記カバー板、及び前記スペーサを設ける。
【0011】
更に、第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記固定板の前記一方の折曲部に、取付ブラケットを設ける。
【0012】
また、第4の発明は、第1の発明において、前記固定板は、一方の複数のホースの外周面の一部が当接する第1の平面部と、前記一方のホースから離れる方向に向かうように前記平面部における前記ホースの配設方向と直交する端部の両方に設けた第1の折曲部とを有する第1の固定板と、前記第1の固定板と一体的に設けられ、他方の複数のホースの外周面の一部が当接する第2の平面部と、前記他方のホースから離れる方向に向かうように前記第2の平面部における前記ホースの配設方向と直交する端部の両方に設けた第2の折曲部とを有する第2の固定板とを備え、前記第1の折曲部の一方と前記第2の折曲部の一方とは、前記第1の平面部と第2の平面部とが反対側を向くように接続され、前記第1及び第2の固定板に、それぞれ各ホースをクランプするための前記弾性部材、前記カバー体をスペーサを介してボルトにより、それぞれ固定する。
【0013】
更に、第5の発明は、第4の発明において、前記他方のホースに対応する前記カバー板の側部に取付ブラケットを一体的に設ける。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カバー板における折曲部間に弾性部材の突条部を挿入した構成により、可動するホースを固定板側に堅固に固定保持することができるとともに、弾性部材の縁部により、ホースにおけるクランプ装置の端部での逃げを可能にしたので、クランプ装置の端部での応力が小さく抑えられ、ホースの損傷を防止することができる。その結果、ホースの長寿命化を図ることができる。
【0015】
更に、ホースの一方側に弾性部材を設ける構成としたので、その高さ方向の寸法を小さくすることができ、コンパクトなホースレイアウトを可能とするホースクランプ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明のホースクランプ装置の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明のホースクランプ装置の一実施の形態を備えた可動キャブ形式の建設機械を示す正面図である。この図1には、作業装置は省略してある。この図1において、1は建設機械としての無限軌道式の油圧ショベルを示すが、作業装置は省略してある。この油圧ショベル1は、自走可能な走行体2と、この走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された旋回体4と、この旋回体4の前側に俯仰動可能に設けられ、土砂の掘削作業等を行う作業装置とにより大略構成されている。
【0017】
作業装置は、旋回体4を構成する旋回フレーム4Aの前側にピン結合されたブームと、このブームの先端側にピン結合されたアームと、このアームの先端側にピン結合されたバケットと、これらを駆動するブームシリンダ、アームシリンダ、バケットシリンダとにより大略構成されている。
【0018】
また、旋回体4を構成する旋回フレーム4A上には、その旋回フレーム4Aの左前側に装設された可動式のキャブ5と、前記旋回フレーム4Aの後側に搭載されたエンジン、油圧ポンプ(いずれも図示せず)と、旋回フレーム4Aの後端部に取付けられたカウンタウエイト6と、前記エンジン等を覆うように旋回フレーム4A上に設けられた建屋カバー7等とが設けられている。
【0019】
可動式のキャブ5は、その背部に設けたリンク連結部8と、旋回フレーム4Aの前端部に設けた支持フレーム9と、支持フレーム9から前側に回動可能に延びてリンク連結部に連結した2本のリンクアーム10と、リンク連結部8と支持フレーム9との間に設けたシリンダ11との構成により、上,下方向に円弧を描くように揺動可能に支持されている。
【0020】
上述した可動式のキャブ5を備えた油圧ショベル1は、図1の2点鎖線で示すように、キャブ5を下降させた状態では、一般的な掘削作業等を行うことができる。一方、実線で示すように、シリンダ11によりキャブ5を上昇させた状態では、オペレータの目線を高くすることができ、例えばコンテナ等の箱状の容器が大型の場合でも、広い視界により内部を見ながら作業を行うことができる。
【0021】
前述したシリンダ11には、可動式のキャブ5を上下駆動させるための給排用の複数のホース12が、支持フレーム9から設けられている。このホース12は、本発明に係るホースクランプ装置13によって、支持フレーム9と上側のリンク10とにそれぞれ固定されている。
【0022】
また、可動式のキャブ5には、作業装置を制御するための給排用の複数のホース14が、支持フレーム9からリンク10、及びリンク連結部8の部分を介してキャブ5内に架設されている。このホース14は、本発明に係るホースクランプ装置15によって、支持フレーム9とリンク連結部8とにそれぞれ固定されている。
【0023】
次に、前述した本発明のホースクランプ装置13の一実施の形態を、図2乃至図4を用いて説明する。
図2は本発明のホースクランプ装置13の一実施の形態を示す正面図、図3は図2に示す本発明のホースクランプ装置13の一実施の形態をIII−III矢視から見た側面図、図4は図2に示す本発明のホースクランプ装置13の一実施の形態の分解斜視図である。
【0024】
これらの図において、図1に示す符号と同符号のものは同一部分である。ホースクランプ装置13は、固定板131と、弾性部材132と、カバー板133とを備えている。固定板131は、ホース12の外周面が当接し、ホース12の伸長方向と直交する方向に延びる平面部131Aと、この平面部131Aにおけるホース伸長方向の一方側端部には、ホース12と反対側に向かう折曲部131Bと、平面部131Aにおけるホース伸長方向の他方側端部には、固定のための取付ブラケット131Cとを備えている。
【0025】
取付ブラケット131Cには、ボルト131Dを挿通するためのボルト挿通孔131Eが設けられている。これにより、ボルト131Dをボルト挿通孔131Eに挿通し、ボルト131Dを支持フレーム9又は上側のリンク10にねじ込めば、固定板131を支持フレーム9又は上側のリンク10にそれぞれ固定することができる。
【0026】
固定板131における平面部131Aの側部背面には、ねじ座131Fが固定されている。このねじ座131Fには、後述するカバー板132と弾性部材132とを固定板131側方向に押圧するためのボルトがねじ込まれる。
【0027】
弾性部材132は、ホース12における固定板131の平面部131Aと対向する位置に配置される。この弾性部材132は、図3に示すように、ホース12側の面にホース12の外周面と当接する複数の円弧状の溝132Aと、ホース12の反対側の面にホース12の伸長(配設)方向と直交する方向に設けた突条部132Bと、この突条部132Bにおけるホース側端部にホース12の伸長方向と直交する方向に設けた縁部132Cと、突条部132Bにおけるホース12の伸長方向と直交する方向の端部にそれぞれ設けたスペーサ挿通孔132Dとを備えている。スペーサ挿通孔132Dに挿入されるスペーサ134は、ボルト挿通孔を有する円筒状体である。
【0028】
弾性部材132の外側に設けられるカバー体133は、弾性部材132の突条部132Bの上面に当接する平面部133Aと、この平面部133Aにおけるホース伸長方向と直交する端部に固定板131の方向にそれぞれ折り曲げられ、弾性部材132の突条部132Bの上側端面が当接する折曲部133Bと、平面部133Aにおけるホース伸長方向と直交する端部にそれぞれ設けたボルト133Cの挿入孔133Dとを備えている。
【0029】
カバー体133の折曲部133B間に、弾性部材132の突条部132Bの上側端面を当接させる構成は、ホース12の伸長方向に作用する作用力による弾性部材132の移動を抑える機能を有している。また、カバー体133における平面部133Aの内面を、弾性部材132の突条部132Bの上面に当接させる構成は、カバー体133によって、弾性部材132の突条部132Bの上面に加えられた押しつけ力が、ホース12に確実に加えられる機能を有している。
【0030】
また、カバー体133における折曲部133Bのホース側の先端部は、弾性部材132の縁部132Cの外面に対して隙間Gをもって弾性部材132の縁部132Cの外面に対向している。前述した隙間及び弾性部材132の縁部132Cは、ホース12の可動時にホース12の可動を許容させるとともに、ホース12の可動時におけるカバー体133の折曲部133Bのホース側の先端部との当接を防止する機能を有している。
【0031】
上述した機能を発揮させるために、前述した弾性部材132は、突条部132Bの高さがカバー板133の折曲部133Bの深さより大きく、縁部132C間の幅が突条部132Bの幅より長く、折曲部133B間の幅と同程度である横断面形状を有している。
【0032】
次に、上述した本発明のホースクランプ装置13の一実施の形態の組み付け、及びホースクランプ動作を、図1乃至図4を用いて説明する。
まず、ボルト131Dによって、固定板131を、図1に示す支持フレーム9、及び上側のリンク10に固定する。この固定された固定板131の平面部131A上に、複数のホース12を並置する。
【0033】
次に、並置されたホース12上に、スペーサ134を介して弾性部材132を載置し、この弾性部材132上に、カバー体133の折曲部133B間に弾性部材132の突条部132Bが挿入するように、カバー体133を更に載置する。
【0034】
この状態において、ボルト133Cを、カバー体133のボルト挿入孔133D、スペーサ134内に挿通し、ボルト133Cの先端を、固定板131のねじ座131Fにねじ込むことにより、カバー体133における平面部133Aの内面が、弾性部材132の突条部132Bの上面に当接して、弾性部材132を圧縮する。弾性部材132は、その突条部132Bの上面に作用した圧縮力に伴う復元力により、ホース12を固定板131の平面部131Aに密接させる。これにより、ホース12を固定板132に堅個に固定することができる。
【0035】
また、ホース12の可動により、ホース12には、その伸長方向の力が作用するが、この場合にも、この作用力に抗して、ホース12は固定板132に堅個に固定されている。更に、ホースの可動により、ホース12は、図2の紙面上、上下方向に移動するが、この場合にも、ホース12は弾性部材132の縁部132Cにより、その可動を許容されるとともに、ホース12の可動時におけるカバー体133の折曲部133Bのホース側の先端部との当接が防止されている。
【0036】
上述したように、本発明のホースクランプ装置の一実施の形態によれば、可動するホース12を、弾性部材132の突条部132Bにより、固定板131の平面部131Aに当接させたので、ホース12を堅固に固定保持することができるとともに、その弾性部材132における縁部132Cにより、ホース12におけるクランプ装置の端部は、カバー体133との衝突が抑えられので、ホース12の損傷を防止することができる。その結果、ホースの長寿命化を図ることができる。
【0037】
また、ホース12の一方側に弾性部材132を設ける構成としたので、そのホースクランプ装置における高さ方向の寸法を小さくすることができ、コンパクトなホースクランプ装置を提供することができる。
【0038】
更に、ホース12の可動により、弾性部材132には、ホース伸長方向の圧縮荷重が繰り返し作用するが、ホース12は前述したように、固定板131の平面部131Aに当接されるので、弾性部材132のホース伸長方向に作用する荷重を小さく抑えることができるので、弾性部材132の疲労劣化も小さく、それによる寿命低下をも防止することができる。
【0039】
なお、上述の実施の形態においては、スペーサ134を挿入する構成としたが、このシペーサ134を、固定板131の平面部131A上に、溶接等により予め固定しておくことも可能である。
【0040】
また、上述の実施の形態においては、並設した複数のホースを一平面上にクランプする場合について説明したが、図5に示すように、弾性部材132、及びカバー体133等を更に付設すれば、ホースを上下方向に多段配置することも可能である。
【0041】
この場合にも、上述した実施の形態と同様な効果が得られるとともに、多数のホースを堅固且つコンパクトにクランプすることができる。
【0042】
図6及び図7は、本発明のホースクランプ装置の他の実施の形態を示すもので、図6は本発明のホースクランプ装置15の一実施の形態を示す正面図、図7は図6に示す本発明のホースクランプ装置15の一実施の形態の分解斜視図である。これらの図において、図1乃至図4に示す符号と同符号のものは同一部分又は相当する部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0043】
この実施の形態は、上下方向に多段(この例では2段)に架設されるホース14をクランプする例を示すもので、前述した実施の形態と異なる点は、図2に示すホースクランプ装置に、もう1つのホースクランプ装置を反転しホース伸長方向にずらして設けて構成したものである。即ち、
2つの固定板131(第1及び第2の固定板131)のうち、他方の固定板131を一方の固定板131に対して反転させるとともに、ホース14の伸長方向にずらした状態で一体構成にし、これらの固定板131にそれぞれ弾性部材132、及びカバー体133等を設けて、上下多段に架設される一方の複数のホース14及びを他方の複数のホース14をそれぞれクランプするようにしたものである。
【0044】
なお、この実施の形態においては、ねじ座を兼ねるスペーサ134が、図7に示すように、下側のカバー板133の内面、及び他方の固定板131(図5中の左側の固定板131)に固定されており、また、弾性部材132はスペーサ挿通孔を有せず、スペーサ134間に配置され、更に、図6における下側のカバー板133の側部に取付ブラケット131Cを一体的に設けて構成している。
【0045】
次に、上述した本発明のホースクランプ装置15の他の実施の形態の組み付け、及びホースクランプ動作を、図5および図6を用いて説明する。
まず、ボルト131Dによって、カバー板133を、その折曲部133Bが外向きとなるように、支持フレーム9、及びリンク連結部8に固定する。この固定されたカバー板133に、その折曲部133B間に弾性部材132の突条部132Bが嵌り込むように、弾性部材132を載置する。
【0046】
次に、弾性部材132の各円弧状の溝132Aに、ホース14を載置した後、一方の固定板131(図6中の右側の固定板131)をボルト133Cによって、スペーサ134に固定する。これにより、下側の複数のホース14をクランプすることができる。
【0047】
次に、前述した図2に示した実施の形態と同様に、他方の固定板131(図6中の左側の固定板131)の平面部131Aに複数のホース14を並置する。
【0048】
次に、並置されたホース12上に、弾性部材132を載置し、この弾性部材132上に、カバー体133の折曲部133B間に弾性部材132の突条部132Bが挿入するように、カバー体133を更に載置する。
【0049】
この状態において、ボルト133Cを、カバー体133のボルト挿入孔133Dを介して、スペーサ134内にねじ込むことにより、カバー体133における平面部133Aの内面が、弾性部材132の突条部132Bの上面に当接して、弾性部材132を圧縮する。弾性部材132は、その突条部132Bの上面に作用した圧縮力に伴う復元力により、ホース14を他方の固定板131の平面部131Aに密接させる。これにより、ホース14を他方の固定板131に堅個に固定することができる。
【0050】
この実施の形態によれば、前述した実施の形態と同様に、可動するホース14を、弾性部材132の突条部132Bにより、固定板131の平面部131Aに当接させたので、ホース14を堅固に固定保持することができるとともに、その弾性部材132における縁部132Cにより、ホース14におけるクランプ装置の端部は、カバー体133との衝突が抑えられので、ホース14の損傷を防止することができる。その結果、ホースの長寿命化を図ることができる。
【0051】
また、ホース14の一方側に弾性部材132を設ける構成としたので、そのホースクランプ装置における高さ方向の寸法を小さくすることができ、コンパクトなホースクランプ装置を提供することができる。
【0052】
更に、ホース14の可動により、弾性部材132には、ホース伸長方向の圧縮荷重が繰り返し作用するが、ホース14は前述したように、固定板131の平面部131Aに当接されるので、弾性部材132のホース伸長方向に作用する荷重を小さく抑えることができるので、弾性部材132の疲労劣化も小さく、それによる寿命低下をも防止することができる。
【0053】
また、2つの固定板131を、反転させるとともに、ホース14の伸長方向にずらした状態で一体構成にし、これらの固定板131のそれぞれ弾性部材132、及びカバー体133等を設けて、上下多段に架設される多数のホース14をクランプするようにしたので、ホース交換時における分解、組立性が良好であり、その作業性を向上させることができる。
【0054】
なお、上述した実施の形態においては、可動式のキャブへの給排用のホースをクランプする場合について説明したが、建設機械の本体とこれに俯仰可能に装設される、例えば、多関節アームを有する作業機械との間に架設されるホースをクランプする場合にも、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明のホースクランプ装置の一実施の形態を備えた可動キャブ形式の建設機械を示す正面図である。
【図2】本発明のホースクランプ装置の一実施の形態を示す正面図である。
【図3】図2に示す本発明のホースクランプ装置の一実施の形態をIII−III矢視から見た側面図である。
【図4】図2に示す本発明のホースクランプ装置の一実施の形態の分解斜視図である。
【図5】本発明のホースクランプ装置の他の実施の形態を示す正面図である。
【図6】本発明のホースクランプ装置の更に他の実施の形態を示す正面図である。
【図7】図6に示す本発明のホースクランプ装置の更に他の実施の形態の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
12,14 ホース
13,15 ホースクランプ装置
131 固定板
131A 平面部
131B 折曲部
131C 取付ブラケット
132 弾性部材
132A 円弧状の溝
132B 突条部
132C 縁部
133 カバー板
133A 平面部
133B 折曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械における油圧機器への圧油給排用の複数のホースをクランプするホースクランプ装置であって、
前記ホースの外周面の一部が当接する平面部、及び前記ホースとは反対側に向かうように前記平面部における前記ホースの伸長方向と直交する端部に設けた折曲部を有する固定板と、
前記固定板の平面部に対向して配置され、前記複数のホースの配設方向に設けた平面部、及びこの平面部における前記ホースの配設方向と直交する端部の両方に前記固定板側に向かって折り曲げ形成された折曲部を有するカバー板と、
ホース係合用の円弧状溝、前記カバー板の前記折曲部間に挿入される突条部、及び前記カバー板の前記折曲部の先端面に対向して設けた縁部を有し、前記突条部の高さが前記カバー板の前記折曲部の深さより大きく、前記縁部間の幅が前記突条部の幅より長く、前記折曲部間の幅と同程度である弾性部材と、
前記固定板とカバー板との間に設けられるスペーサと、
前記弾性部材を押圧するボルトとを備えた
ことを特徴とするホースクランプ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のホースクランプ装置において、
他の複数のホースをクランプするため、前記カバー板の上面に前記他の複数のホースを介して更に前記弾性部材、前記カバー板、及び前記スペーサを設けたことを特徴とするホースクランプ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のホースクランプ装置において、
前記固定板の前記一方の折曲部に、取付ブラケットを設けたことを特徴とするホースクランプ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のホースクランプ装置において、
前記固定板は、一方の複数のホースの外周面の一部が当接する第1の平面部と、前記一方のホースから離れる方向に向かうように前記平面部における前記ホースの配設方向と直交する端部の両方に設けた第1の折曲部とを有する第1の固定板と、
前記第1の固定板と一体的に設けられ、他方の複数のホースの外周面の一部が当接する第2の平面部と、前記他方のホースから離れる方向に向かうように前記第2の平面部における前記ホースの配設方向と直交する端部の両方に設けた第2の折曲部とを有する第2の固定板とを備え、
前記第1の折曲部の一方と前記第2の折曲部の一方とは、前記第1の平面部と第2の平面部とが反対側を向くように接続され、前記第1及び第2の固定板に、それぞれ各ホースをクランプするための前記弾性部材、前記カバー体をスペーサを介してボルトにより、それぞれ固定した
ことを特徴とするホースクランプ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のホースクランプ装置において、
前記他方のホースに対応する前記カバー板の側部に取付ブラケットを一体的に設けたことを特徴とするホースクランプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−38275(P2010−38275A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202415(P2008−202415)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】