説明

ホース

【課題】低価格で、しかも流体の漏れを略完全になくすことができるホースとその製造方法を提供する。
【解決手段】ホース100は、外側から内側に向けて、外螺旋ワイヤ1と、外布2と、フィルム3と、外チューブ4と、フィルム5と、内チューブ6と、内螺旋ワイヤ9とを有する。ホース100によれば、円筒型の外チューブ4および内チューブ6を2重に配置することで、ホース100内を流れる流体の漏れを略完全になくすことができる。また、全体構造を簡単にでき、外チューブ4および内チューブ6として市販のものを利用できるため、低価格化を図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の流体を送るホースに係り、特に、フィルムとチューブとを適切に組み合わせて構成されるホースと、その製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
可撓性を保ちつつ耐久性の向上を図るため、中間の積層体を挟んで外周側と内周側に螺旋状のワイヤを備えるホースが知られている。
このような特許文献1には、内チューブ内に、内螺旋ワイヤとして機能する内チューブ芯を埋め込んだ構造のホースに関する発明が記載されている。
【特許文献1】特開2008−101634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した特許文献1のホースは、流体の漏れを略完全になくすことができ、内側を平坦面にすることにより乱流の発生を抑制できるという高い特性が要求され、比較的高価格でも売れる市場においてはニーズに応えている。
しかしながら、上述した特性は落ちてもよいが、低価格が要請される市場においては十分ではない。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、低価格で、しかも流体の漏れを略完全になくすことができるホースとその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した従来技術の問題点を解決し、上述した目的を達成するために、本発明の第1の観点に係るホースは、内螺旋ワイヤと、前記内螺旋ワイヤを内側に囲むように位置する第1のチューブと、前記第1のチューブの外周に隙間なく巻き付けられた第1のフィルムと、前記第1のフィルムを内側に囲むように位置する第2のチューブと、前記第2のチューブの外周に隙間なく巻き付けられた第2のフィルムと、前記第2のフィルムの外周に隙間なく巻き付けられた外布と、前記外布の外周に巻き付けられた外螺旋ワイヤとを有する。
【0006】
好適には、第1の観点の発明のホースは、前記第1のチューブは、ポリプロピレン、ポリエチレンまたはフッ素樹脂で形成されている。
好適には、第1の観点の発明のホースの前記第1のチューブは、前記第2のチューブに比べて強度が高い。
好適には、第1の観点の発明のホースの前記第1のチューブおよび前記第2のチューブは、複数の略同一形状の円筒型の部材を重ね合わせて形成され、前記第1のチューブは、前記第2のチューブに比べて重ね合わせる枚数が多い。
好適には、第1の観点の発明のホースは、前記内螺旋ワイヤと前記第1のチューブとが直接接合している。
【0007】
本発明のホース製造方法は、第1のチューブの内側に内螺旋ワイヤを挿入する第1の工程と、前記第1の工程を経た前記第1のチューブの外周に隙間なく第1のフィルムを巻き付ける第2の工程と、前記第2の工程を経た記第1のフィルムを第2のチューブの内側に挿入する第3の工程と、前記第3の工程を経た前記第2のチューブの外周に第2のフィルムを隙間なく巻き付ける第4の工程と、前記第4の工程を経た前記第2のフィルムの外周に外布を隙間なく巻き付ける第5の工程と、前記第5工程を経た前記外布の外周に外螺旋ワイヤを巻き付ける第6の工程とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、低価格で、しかも流体の漏れを略完全になくすことができるホースとその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るホースの構造の一例を示す図である。
【図2】図1に示すホースの断面を拡大して示した図である。
【図3】本発明のその他の実施形態に係るホースの構造を説明するための図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るホース100の構造の一例を示す図であり、鎖線で示した領域はホースの径方向の断面を示す。
図2は、図1に示すホース100の断面を拡大して示した図である。
【0011】
本実施形態に係るホース100は、外側から内側に向けて、外螺旋ワイヤ1と、外布2と、フィルム3と、外チューブ4と、フィルム5と、内チューブ6と、内螺旋ワイヤ9とを有する。
【0012】
外螺旋ワイヤ1は、本発明の外螺旋ワイヤの一例であり、外布2は本発明の外布の一例であり、フィルム3は本発明の第2のフィルムの一例であり、外チューブ4は本発明の第2のチューブの一例であり、フィルム5は本発明の第1のフィルムの一例であり、内チューブ6は本発明の第1のチューブの一例であり、内螺旋ワイヤ9は本発明の内螺旋ワイヤの一例である。
【0013】
外螺旋ワイヤ1は、外布2の外周に螺旋状に等間隔に巻き付けられている。
外螺旋ワイヤ1には、例えば亜鉛メッキ銅線やステンレス線などの金属製のワイヤや、樹脂製(プラスチック等)のワイヤを用いることができる。
外布2は、フィルム3の外周に隙間なく螺旋状に巻き付けられ、接着剤で接着されている。
フィルム3は、外チューブ4の外周に隙間なく巻き付けられ、接着剤で接着されている。
フィルム3の素材としては、例えば、例えばポリエステルやポリプロピレン、ポリアミド系繊維が用いられる。
【0014】
外チューブ4は、フィルム5を内側に囲むように位置する。
外チューブ4の材質としては、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニルなどの樹脂が用いられる。
【0015】
フィルム5は、内チューブ6の外周に隙間なく巻き付けられ、接着剤で接着されている。
フィルム5の素材としては、例えば、例えばポリエステルやポリプロピレン、ポリアミド系繊維が用いられる。
【0016】
内チューブ6は、内螺旋ワイヤ9を内側に囲むように位置する。
内チューブ6の材質としては、例えば、ある程度の可撓性を有する一体成形可能な材質であれば、流体の種類や性質に応じて適宜に選択可能である。例えばポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニルなどの樹脂、ポリエチレンまたはフッ素樹脂が用いられる。
内チューブ6は、外チューブ4に比べて強度が高く、破れにくい。具体的には、内チューブ6は外チューブ4に比べて厚い。
例えば、外チューブ4および内チューブ6は、複数の略同一形状の円筒型の部材を重ね合わせて形成され、内チューブ6は外チューブ4に比べて重ね合わせる枚数が多い。
【0017】
内螺旋ワイヤ9は、外螺旋ワイヤ1の長手方向のワイヤ間に位置するように螺旋状に等間隔に巻き付けられている。
内螺旋ワイヤ9には、例えば亜鉛メッキ銅線やステンレス線などの金属製のワイヤや、樹脂製(プラスチック等)のワイヤを用いることができる。
【0018】
外チューブ4および内チューブ6は、外螺旋ワイヤ1が巻きつけられる前は、例えば、円筒形をしているが、外螺旋ワイヤ1が巻きつけられて内螺旋ワイヤ9の螺旋状に隣接するワイヤの間に押し込まれることで、図2に示すように波形になる。
【0019】
次に、上述した構成を有するホース100の製造方法について説明する。
先ず、第1工程として、内チューブ6の内側に螺旋状の内螺旋ワイヤ9を挿入する。
次に、第2の工程として、上記第1の工程を経た内チューブ6の外周に隙間なくフィルム5を巻き付ける。
【0020】
次に、第3の工程として、上記第2の工程を経たフィルム5を外チューブ4の内側に挿入する。
次に、第4の工程として、上記第3の工程を経た外チューブ4の外周にフィルム3を隙間なく巻き付ける。
次に、第5の工程として、上記第4の工程を経たフィルム3の外周に外布2を隙間なく巻き付ける。
次に、第6の工程として、上記第5の工程を経た外布2に、内螺旋ワイヤ9の長手方向のワイヤ間に位置するように螺旋状に外螺旋ワイヤ1を等間隔に巻き付ける。これにより、図1および図2のホース100が得られる。
【0021】
以上説明したように、ホース100によれば、円筒型の外チューブ4および内チューブ6を2重に配置することで、ホース100内を流れる流体の漏れを略完全になくすことができる。
また、ホース100によれば、全体構造を簡単にでき、外チューブ4および内チューブ6として単純な形態の市販のものを利用できるため、低価格化を図れる。
【0022】
内チューブ6を導電性を持つ材料、例えば導電性樹脂などによって形成すれば、静電気に対する除電効果が得られ、引火点の低い流体、例えばトルエンやキシレン等の有機溶剤を通すことができる。
【0023】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の形態のみに限定されるものではなく、種々のバリエーションを含んでいる。
【0024】
例えば、外螺旋ワイヤ1と内螺旋ワイヤ9との間に挟まれる被覆部材は、外チューブ4と内チューブ6とが存在すればその構造は任意であり、積層するフィルムやチューブの種類、数等はホースの用途に応じて任意に変更可能である。
【0025】
外螺旋ワイヤ1および内螺旋ワイヤ9の断面構造も任意であり、例えば、図3に示すように内螺旋ワイヤ9の断面を流路側を平坦にした略三角形や半円の形状にしてもよい。これにより、内螺旋ワイヤ9内の流体の流れをスムーズにできる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、例えば、産業用のホースに適用できる。
【符号の説明】
【0027】
1…外螺旋ワイヤ
2…外布
3…フィルム
4…チューブ
5…フィルム
6…チューブ
9…内螺旋ワイヤ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
内螺旋ワイヤと、
前記内螺旋ワイヤを内側に囲むように位置する第1のチューブと、
前記第1のチューブの外周に隙間なく巻き付けられた第1のフィルムと、
前記第1のフィルムを内側に囲むように位置する第2のチューブと、
前記第2のチューブの外周に隙間なく巻き付けられた第2のフィルムと、
前記第2のフィルムの外周に隙間なく巻き付けられた外布と、
前記外布の外周に巻き付けられた外螺旋ワイヤと
を有するホース。
【請求項2】
前記第1のチューブは、ポリプロピレン、ポリエチレンまたはフッ素樹脂で形成されている
請求項1に記載のホース。
【請求項3】
前記第1のチューブは、前記第2のチューブに比べて強度が高い
請求項2に記載のホース。
【請求項4】
前記第1のチューブおよび前記第2のチューブは、複数の略同一形状の円筒型の部材を重ね合わせて形成され、
前記第1のチューブは、前記第2のチューブに比べて重ね合わせる枚数が多い
請求項3に記載のホース。
【請求項5】
前記内螺旋ワイヤと前記第1のチューブとが直接接合している
請求項4に記載のホース。
【請求項6】
第1のチューブの内側に内螺旋ワイヤを挿入する第1の工程と、
前記第1の工程を経た前記第1のチューブの外周に隙間なく第1のフィルムを巻き付ける第2の工程と、
前記第2の工程を経た記第1のフィルムを第2のチューブの内側に挿入する第3の工程と、
前記第3の工程を経た前記第2のチューブの外周に第2のフィルムを隙間なく巻き付ける第4の工程と、
前記第4の工程を経た前記第2のフィルムの外周に外布を隙間なく巻き付ける第5の工程と、
前記第5工程を経た前記外布の外周に外螺旋ワイヤを巻き付ける第6の工程と
を有するホース製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−57364(P2013−57364A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195908(P2011−195908)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(591067417)株式会社明治フレックス (5)
【Fターム(参考)】