説明

ボタンスイッチ部材及びボタンスイッチ

【課題】 着脱容易で、がたつきのなく安定したボタンスイッチ部材及びボタンスイッチを提供することをその目的とする。
【解決手段】 ボタンスイッチ80に設けられるボタンスイッチ部材50は、基体部51と、基体部51の一端近傍表面側に設けられ下ケース12に形成された円形開口部36よりプリンタ1の外部へ突出する操作部52と、基体部51の背面側に設けられ操作部52の操作によりスイッチ基板72のスイッチ78の被押圧部79を押圧する押圧部53と、基体部51の他端に設けられ下ケース12の軸受部38に支持される軸部55と、基体部51と角度を為すように軸部55に設けられ弾性変形した状態でプリンタ1の係止部材34に取り付けられる係止片56と、係止片56の弾性力により下ケース12の内側面19aの開口周縁部19cに当接する当接部57を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ等の電子機器に配置されるボタンスイッチ部材及びボタンスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
今日広く用いられているプリンタ等の電子機器には、電源の投入や停止、リセット命令等のユーザ命令を入力するための、例えば、押しボタン形式のボタンスイッチ部材を備えたボタンスイッチが装着されている。一般的に、ボタンスイッチ部材の多くは、プリンタ等の電子機器から脱落することがないようネジ等によって固定されている。
【0003】
例えば、ボタンスイッチとしては、例えば図9に示すようなものが挙げられる。ボタンスイッチ部材120は、長手方向一端に弾性部122が設けられ、長手方向他端には、操作部125が設けられている。基体部121の長手方向と直角方向には相対峙して弾性変形自在な弾性連結部123a、123bが設けられている。電子機器筺体にボタンスイッチ部材120を組み付ける際には、弾性連結部123a、123bを手で狭持し弾性変形させた状態で電子機器筺体133側に設けられた支持片131の案内溝に軸部124a、124bを介挿することで組み付けられる(図10参照)。これにより、ボタンスイッチ部材120は電子機器筺体133に着脱自在に取り付けられる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平06−290682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このボタンスイッチ部材120の場合には、操作部125の押圧時においては弾性部122に蓄積された弾性力により操作部125は押圧方向と逆向きに付勢され元の状態へ戻ろうとするものの、操作部125の非押圧時においては弾性部122には弾性力が蓄積されず、ボタンスイッチ部材120には付勢力が働かない。このため、弾性連結部123a,123bが支持片131側にある程度の力で付勢されていないと、電子機器筺体133の内壁136とスイッチ押圧部127との間に、隙間140が生じボタンスイッチにがたつきが生じる場合がある(図10参照)。
【0005】
また、このボタンスイッチ部材120の場合には、軸部124a、124bが電子機器筺体133側の案内溝へ組み込まれる構造であるため、組み込み時には弾性連結部123a、123bあるいは軸受部131自体が弾性変形自在でなければならない。すなわち、これら構成部材は弾性部材からなることが必須であり、構造が複雑になってしまう。また、仮に操作部125を大きな力で押圧した場合には最悪の場合、軸部124a、124b若しくは軸受部131が破損してしまう虞もある。
【0006】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、がたつきがなく、ボタン操作感覚性に優れたボタンスイッチ部材及びこのボタンスイッチ部材を備えたボタンスイッチを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記課題は、以下のような構成によって達成される。
(1) 基体部と、
前記基体部の一端近傍表面側に設けられ、機器筺体に形成された開口より機器筐体外部へ突出する操作部と、
前記基体部の背面側に設けられ、前記操作部の操作によりスイッチ基板に設けられたスイッチの被押圧部を押圧する押圧部と、
前記基体部の他端に設けられ、前記機器筐体に設けられる軸受部に支持される軸部と、
前記基体部と角度を為すように前記軸部に設けられ、弾性変形した状態で前記機器筐体に取り付けられる係止片と、
前記係止片の弾性力により、前記機器筺体の内壁面に対して当接する当接部と、を、備えたボタンスイッチ部材。
(2) 前記基体部、前記操作部、前記押圧部、前記軸部、前記係止片、及び前記当接部は、一体成形されている(1)記載のボタンスイッチ部材。
(3) 基体部と、前記基体部の一端近傍表面側に設けられ、機器筺体に形成された開口より機器筐体外部へ突出する操作部と、前記基体部の背面側に設けられ、前記操作部の操作によりスイッチ基板に設けられたスイッチの被押圧部を押圧する押圧部と、前記基体部の他端に設けられ、前記機器筐体に設けられる軸受部に支持される軸部と、前記基体部と角度を為すように前記軸部に設けられ、弾性変形した状態で前記機器筐体に取り付けられる係止片と、前記係止片の弾性力により、前記機器筺体の内壁面に対して当接する当接部とを、それぞれ備えた複数のボタンスイッチ部材を備え、
前記複数のボタンスイッチ部材の係止片が接続板によって一体化されたボタンスイッチ部材。
(4) 前記基体部、前記操作部、前記押圧部、前記軸部、前記係止片、前記当接部及び前記係止板は、一体成形されている(3)記載のボタンスイッチ部材。
(5) (1)〜(4)の何れか一項に記載のボタンスイッチ部材を備えた電子機器。
(6) (1)〜(4)の何れか一項に記載のボタンスイッチ部材を備えたプリンタ。
(7) 基体部と、前記基体部の一端近傍表面側に設けられ、機器筺体に形成された開口より機器筐体外部へ突出する操作部と、前記基体部の背面側に設けられた押圧部と、前記基体部の他端に設けられ、前記機器筐体に設けられる軸受部に支持される軸部と、前記基体部と角度を為すように前記軸部に設けられ、弾性変形した状態で前記機器筐体に取り付けられる係止片と、前記係止片の弾性力により、前記機器筺体の内壁面に対して当接する当接部と、を備えたボタンスイッチ部材と、
前記ボタンスイッチ部材の前記操作部が挿通され前記機器筺体外部へ突出する開口部と、前記ボタンスイッチ部材の前記軸部を回動可能に支持する軸受部と、前記ボタンスイッチ部材の前記係止片を弾性変形した状態で係止する係止部材とを備えた前記機器筺体と、
前記操作部の操作により、前記押圧部により押圧される被押圧部を有するスイッチと、
前記スイッチの前記押圧部の操作に応じて信号を出力するスイッチ基板と、を備えたボタンスイッチ。
(8) (7)に記載のボタンスイッチを備えた電子機器。
(9) (7)に記載のボタンスイッチを備えたプリンタ。
【発明の効果】
【0008】
本発明のボタンスイッチ部材によれば、電子機器筺体内に弾性変形した状態で係止片が装着され、その付勢力により当接部が電子機器筺体内壁へ当接されるため、ボタンスイッチ部材ががたつきがなく取り付けられる。したがって、操作において不安感のないボタン操作感覚性に優れたボタンスイッチを提供することが可能である。
【0009】
また、本発明のボタンスイッチ部材は、電子機器筺体内壁側へ設けられた軸受部と支持部材との間に、ボタンスイッチ部材の軸部を嵌合させることにより取り付けられる。したがって、本発明のボタンスイッチによれば、従来のようにネジ等による締め付け工程を必要とせず、さらに回転軸近傍に複雑な構成を備えた弾性変形自在な弾性連結部等を設けることなく、ボタンスイッチ部材を容易に装着可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係るボタンスイッチ部材及びボタンスイッチの実施形態を説明する。
【0011】
図1から図7は本発明に係るボタンスイッチ部材及びボタンスイッチの一実施形態を示したものであり、図1は本実施形態のボタンスイッチ部材を搭載したプリンタの斜視図であり、図2は、本実施形態のボタンスイッチ部分を拡大した斜視図であり、図3は、本実施形態のプリンタの分解斜視図であり、図4及び図5は、本実施形態のボタンスイッチを示す分解斜視図であり、図6及び図7は、本実施形態のボタンスイッチ部材及びその取り付け構造を示す断面図である。
【0012】
本実施形態のプリンタ1は、図1及び図3に示すように、印刷部や用紙搬送部等を備えた動作機器2と、この動作機器2の上部から動作機器2を覆う上ケース11と、動作機器2の正面側に配置され、奥行き方向にスライド自在な用紙カセット13と、動作機器2の底面側に配置され、廃液インクを回収する廃液タンク3と、廃液タンク3とともに動作機器2を底面側から覆う下ケース12と、動作機器2の正面部に位置する用紙カセット13の上部に回動可能に設置された排紙トレイ14と、動作機器2の正面両端部に位置するカバー15a、15bと、廃液タンク3の背後に位置する基板ユニット5と、基板ユニット5のコネクタ部を背面から覆うコネクタカバー6とから構成される。
【0013】
上ケース11は、下面を開放された略直方体形状を有しており、正面中央部には凹陥部9を有し、その両端すなわち上ケース11の正面両端には両対称に開口部16a、16bが形成されている。
【0014】
また、上ケース11の両側壁下部には複数の係合片8a、8bが立設され、係合片8a、8bの立設位置に相対応して下ケース12に設けられた係合凹溝7a、7bに係合片8a、8bが嵌合することによって、動作機器2が上ケース11及び下ケース12によって覆われている。以下、上ケース11と下ケース12を併せて装置ケース10と呼ぶ。
【0015】
用紙カセット13の両側壁には、動作機器2の正面開口部の開口部両内壁17a、17bに突設された図示せぬ係合片と係合可能な図示せぬ係合凹溝が形成されている。用紙カセット13は、係合片にガイドされながら係合凹溝の長手方向に沿ってプリンタ本体の奥行き方向にスライド可能であり、完全に係合がはずれた状態で、用紙カセット13がプリンタ1から取り外される。用紙カセット13は、プリンタ1から取り外された状態で、用紙の補充が行われる。
【0016】
廃液タンク3は、略直方体の箱状のタンクであり、例えば、電源投入によるプリンタ機構の初期化の段階において行われる印刷ヘッドのインク吸引やフラッシング動作等により生じる廃インクを回収するタンクである。この廃液タンク3は、下ケース12によってタンク底面が覆われるように動作機器2の底面に装着されている。
【0017】
本実施形態のプリンタ1では、動作機器2内の図示せぬ用紙搬送路に沿って画像等が印刷された用紙を外部へ排出する。この排出後の用紙を受け取るためのトレイとして、用紙カセット13の上部に排紙トレイ14が設けられている。この排紙トレイ14は、プリンタの操作時には用紙受取トレイとしてプリンタ正面部に開口状態に保たれるが(図1参照)、プリンタ操作停止時にはプリンタ上面に向かって回転軸を支軸としてほぼ直角に回動し(図3の矢印C方向)、プリンタの正面開口部を閉鎖することが可能である。このため、例えばプリンタ1を移動する場合に、排紙トレイ14が正面に張り出すことがないため持ち易くコンパクトにプリンタを移動可能であり、排紙トレイ14自体の破損を防止することが可能である。また、常時開口している場合と比較してプリンタの操作停止ごとに排紙トレイ14を閉鎖すれば、プリンタ1内部への埃等の混入を防止することができる。
【0018】
また、プリンタ1の正面両端にはインクカートリッジ収納部4a、4bを覆うカバー15a、15bが着脱可能に装着され、カバー15a、15bを開口することでインクカートリッジの交換が行われる。プリンタ1の背面部からは基板ユニット5のコネクタ部を覆うべくコネクタカバー6が装着されている。
【0019】
下ケース12の正面下部一端には、図3に示すように、円形開口部36,37が設けられている。この円形開口部36,37には、図2に詳細に示すように、それぞれボタンスイッチ部材50及び電源スイッチ73が取り付けられ、全体でボタンスイッチ80を構成している。
【0020】
以下、図4から図7を参照しながら、ボタンスイッチ部材50及びボタンスイッチ部材50を備えたボタンスイッチ80について詳細に説明する。
【0021】
図4は、本実施形態のボタンスイッチ80を示す分解斜視図である。
ボタンスイッチ80は、下ケース内側面19aと、下ケース内側面19a及び下ケース内底面19b上に設けられた軸受部38と、下ケース内底面19b上に設けられた係止部材34と、下ケース12の側壁19aに開口した円形開口部36,37と、ボタンスイッチ部材50と、スイッチ基板72と、電源スイッチ73と、を有している。以下、ボタンスイッチ部材50を中心に、ボタンスイッチ80の各部材について説明する。
【0022】
ボタンスイッチ部材50は、ABS等の樹脂材料から構成され、板状の基体部51に、操作部52と、押圧部53と、軸部55と、係止片56と、当接部57とが一体形成されたものである。
【0023】
図6に示すように、板状の基体部51の一側面(表面側)からは、略円筒形状の操作部52が突設されている。操作部52の上方にあたる基体部51の表面側上端部には、操作部52よりも小さな略円筒形状の当接部57が基体部51から突設されている。一方、基体部51の裏面側、具体的には操作部52の裏側には、板状の押圧部53が操作部52と逆方向に突設されている。押圧部53は、図6に示すように、上端部の途中から下端部に下がっていくにつれて基体部51からの突出長さが大きくなっていき、下端部付近は緩やかな曲線を描く曲線部分を有しており、この曲線部分が押圧面58を構成している。
【0024】
基体部51の下端部には、図4に示すように、端部55a,55aが基体部51の幅方向両端から(プリンタ1の幅方向)突出するように配置された軸部55が設けられている。そして、軸部55には、ほぼ基体部51と略直角をなすように板形状の係止片56が設けられている。
【0025】
下ケース12は、図5,図6に示すように、クランク形状を有しており、下ケース内側面19aと下ケース19bは略直角に交わっている。この下ケース内側面19aと下ケース内底面19bの交わる角近傍には、軸受部38が設けられており、この軸受部38の後方には係止部材34が下ケース内底面19b上に設けられている。
【0026】
軸受部38は、ボタンスイッチ部材50の軸部55を支える軸受であり、後方側に開口した側面視コの字形状の溝38aを有している。
一方、係止部材34は、プリンタ正面側の一部が削られて構成される段差部39を有している。
【0027】
ボタンスイッチ部材50は、図4〜図6に示すように、軸部55の端部55aを軸受部38の溝38aに嵌め込むとともに、係止片56の端部56aを係止部材34の段差部39に係合した状態で下ケース12に取り付けられる。この状態で、ボタンスイッチ部材50の操作部52は、円形開口部36内に挿通されており、操作部52の操作面54が円形開口部36の正面側開口からプリンタ1の外方に突出する。これにより、ユーザは、操作面54を操作可能な状態となる。
【0028】
ここで、ボタンスイッチ部材50は、軸部55が軸受部38に嵌め込まれ、係止片56の端部56aが段差部39に係合すると、係止片56が自然状態から撓んで弾性変形した状態となる。図6に示す一点破線で描かれた係止片56は、自然状態の係止片56を示しており、取り付けた状態で上方に付勢されていることがわかる。これにより、ボタンスイッチ部材50は、係止片56の弾性変形による弾性力F1によって軸部55を支軸として基体部51が内側面19a側に付勢され、操作部57の上部に位置する当接部57が、円形開口部36近傍の内側周縁部19cに押し付けられる。
【0029】
すなわち、本実施形態のボタンスイッチ部材50は、下ケース12に対し、軸受部38と、係止部材34と、円形開口部36近傍の内側周縁部19cによって三点支持され、がたつきなく固定される。このように、本実施形態のボタンスイッチ部材50は、例えばネジ等を使用せずとも、軸受部38に軸部55を組み付けるとほぼ同時に、段差部39に係止片56を係合させることにより、ほぼワンタッチでがたつきの無くボタンスイッチ部材50を組み付けることができる。
【0030】
次に、スイッチ基板72の付設位置について説明する。
図4、図5に示すように、長方形状のスイッチ基板72は、下ケース12の底面から略円筒形状に立設された支持棒31、33の一端に設けられた係合部41、42がスイッチ基板72の係合穴75、77に嵌合し、同じく下ケース12の底面から略中空円筒形状に立設された支持棒32に係合穴76を介してネジ71で固定されている。
【0031】
スイッチ基板72には、プリンタ1の電源のON/OFFを制御する電源スイッチ73が取り付けられている。スイッチ基板72は、の電源スイッチ73が円形開口部37に挿通された状態で取り付けられる。
【0032】
また、スイッチ基板72の底面側には、ボタンスイッチ部材50の動作に応じた信号を生成するスイッチ(例えば、リセットスイッチ等)78が設けられている。このスイッチ78は、ボタンスイッチ部材50の押圧面58により押圧可能な被押圧部79が前方側に設けられている。このスイッチ78は、操作部52の操作面54がユーザにより押圧されて、軸部55を軸として基体部51全体が傾いたときに、押圧部53の押圧面58によって被押圧部79が押圧されるように、押圧面58の回転軌跡上に位置決めされている。
【0033】
次に、操作面54を外部から押圧した場合のボタンスイッチ部材50の動作について詳細に説明する。
図7に示すように、操作面54を外部から力F2で押圧するとボタンスイッチ部材50は軸部55を支軸として矢印f2の方向に回転付勢され、回転軌跡上に配置された被押圧部79を押圧する。被押圧部79が押圧されると、スイッチ78は閉回路状態となり、スイッチ基板72の接続片74を介して基板ユニット5へ電気信号が伝達される。このとき係止片56は、ボタンスイッチ部材50の組み付け時に持たせた撓み具合よりも大きく撓んだ状態となり、ボタンスイッチ部材50の組み付け時に生じていた弾性力よりも大きな弾性力を生じるため、操作面54の押圧を停止するとボタンスイッチ部材50はf1方向に回転付勢され、組み付け時状態に戻ることが可能となる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態のボタンスイッチ80は、主としてボタンスイッチ部材50により構成され、このボタンスイッチ部材50は、基体部51と、基体部51の一端近傍表面側に設けられ、下ケース12に形成された円形開口部36よりプリンタ1の外部へ突出する操作部52と、基体部51の背面側に設けられ、操作部52の操作によりスイッチ基板72に設けられたスイッチ78の被押圧部79を押圧する押圧部53と、基体部51の他端に設けられ、下ケース12に設けられる軸受部38に支持される軸部55と、基体部51と角度を為すように軸部55に設けられ、弾性変形した状態でプリンタ1の係止部材34に取り付けられる係止片56と、係止片56の弾性力により下ケース12の内側面19aの開口周縁部19cに対して当接する当接部57とを備えている。
【0035】
本実施形態のボタンスイッチ80によれば、係止片56が弾性変形した状態で装着され、その付勢力により当接部57が下ケース12の開口周縁部19cへ当接されるため、ボタンスイッチ部材50をがたつきがなく、脱落しにくい状態で下ケース12に確実に取り付けることが可能となる。したがって、ボタン操作時にがたつきによりリニアな操作感が得られないといった問題の生じることのないボタン操作感覚性に優れたボタンスイッチ部材50及びこのボタンスイッチ部材50を備えたボタンスイッチ80を提供することができる。
【0036】
また、本実施形態のボタンスイッチ80は、ボタンスイッチ部材50が基体部51、操作部52、押圧部53、軸部55、係止片56、及び当接部57は、一体成形されたコンパクトな形状を有している。したがって、プリンタ1全体に対するボタンスイッチ80の占有部分を小さくすることができプリンタの小型化に寄与することが可能である。
【0037】
また、本実施形態のボタンスイッチ80においては、例えばネジ等を使用せずとも、軸受部38に軸部55を組み付けるとほぼ同時に、段差部39に係止片56を係合させることにより、ほぼワンタッチでがたつきの無くボタンスイッチ部材50を組み付けることができる。したがって、ボタンスイッチ部材50の装着が容易であり、プリンタ1の製造時の組立工程を短縮することができる。また、本実施形態のボタンスイッチ80においては、ボタンスイッチ部材50に弾性変形自在な弾性連結部等を軸部55の両端に設けることなく、ボタンスイッチ部材50を容易に装着することが可能である。
【0038】
また、本実施形態におけるボタンスイッチ80は、基体部と軸部との間に弾性変形可能な複雑な構造を有する弾性部材を必要とせず、簡易な構造を有している。したがって、操作部52が大きな力で押圧された場合でも軸部や軸受部が破損する虞は少なく、ボタンスイッチ80を安定して長期間にわたり使用することができる。
【0039】
また、ボタンスイッチ50と下ケース12が異なる材質で構成されている場合には、プリンタ1のリサイクル時に分解作業が必要となるが、ボタンスイッチ部材50を取り外すときには、係止片56の端部56aを係止部材34の段差部39からずらしてやるだけで、ボタンスイッチ部材50を取り外すことができる。したがって、本実施形態によれば、ボタンスイッチ50を下ケース12から容易に取り外しできるため、材料分別のための分解作業も短時間で行うことができる。
【0040】
なお、本実施形態では、ボタンスイッチ部材50の材質例として寿命が長くリサイクル性に優れたABS樹脂を挙げたが、ABS樹脂に限ることなく他の樹脂材を採用してもよい。
【0041】
なお、上記説明では、一つの操作部52を有するボタンスイッチ部材50について説明を行ったが、複数のボタンスイッチ部材50を一体化し、複数の操作部を有するボタンスイッチ部材として構成しても良い。
【0042】
図8は、本実施形態の変形例の一つである複数個のボタンスイッチを一体成型したボタンスイッチ部材100の斜視図である。
【0043】
本変形例のボタンスイッチ部材100は、弾性部材からなる係止片96a、96b、96cと、板状の基体部91a、91b、92c、と、当接部97a,97b、97c、と、基体部と係止片とをほぼ垂直に保つための軸部95a、95b,95c、と、操作部92a,92b、92cと、押圧部93a、93b、93c,とをそれぞれ有するボタンスイッチ部材100a,100b,100cを備え、各ボタンスイッチ部材100a,100b,100cが接続板101,102によって接続されて、全体として一体と成って形成されている。
【0044】
このように、本変形例のボタンスイッチ100によれば、例えば、三つの押しボタン部を有する電子機器を組み立てる場合でも実際には一つの構成部品として組み立てることができるため大幅に組立工程を短縮することができる。また電子機器のリサイクル時に分解作業が必要となる場合でも、本発明に係るボタンスイッチ100は電子機器から容易に取り外しが可能なため分解作業工程も容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施形態のボタンスイッチ部材を搭載したプリンタの斜視図である。
【図2】本実施形態のボタンスイッチ部分を拡大した斜視図である。
【図3】本実施形態のプリンタの分解斜視図である。
【図4】本実施形態のボタンスイッチを示す分解斜視図である。
【図5】本実施形態のボタンスイッチを示す分解斜視図である。
【図6】本実施形態のボタンスイッチを示す断面図である。
【図7】本実施形態のボタンスイッチを示す断面図である。
【図8】本実施形態の変形例に係り、複数個のボタンスイッチを一体成型したボタンスイッチの斜視図である。
【図9】従来のボタンスイッチ部材を示す斜視図である。
【図10】従来のボタンスイッチを示す断面図である。
【符号の説明】
【0046】
10・・・プリンタ筐体、11・・・上ケース、12・・・下ケース、13・・・用紙カセット、14・・・排紙トレイ、50,100・・・ボタンスイッチ部材、52・・・操作部、53・・・押圧部、54・・・操作面、55・・・軸部、56・・・係止片、57・・当接部、80・・・ボタンスイッチ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体部と、
前記基体部の一端近傍表面側に設けられ、機器筺体に形成された開口より機器筐体外部へ突出する操作部と、
前記基体部の背面側に設けられ、前記操作部の操作によりスイッチ基板に設けられたスイッチの被押圧部を押圧する押圧部と、
前記基体部の他端に設けられ、前記機器筐体に設けられる軸受部に支持される軸部と、
前記基体部と角度を為すように前記軸部に設けられ、弾性変形した状態で前記機器筐体に取り付けられる係止片と、
前記係止片の弾性力により、前記機器筺体の内壁面に対して当接する当接部と、を、備えたボタンスイッチ部材。
【請求項2】
前記基体部、前記操作部、前記押圧部、前記軸部、前記係止片、及び前記当接部は、一体成形されている請求項1記載のボタンスイッチ部材。
【請求項3】
基体部と、前記基体部の一端近傍表面側に設けられ、機器筺体に形成された開口より機器筐体外部へ突出する操作部と、前記基体部の背面側に設けられ、前記操作部の操作によりスイッチ基板に設けられたスイッチの被押圧部を押圧する押圧部と、前記基体部の他端に設けられ、前記機器筐体に設けられる軸受部に支持される軸部と、前記基体部と角度を為すように前記軸部に設けられ、弾性変形した状態で前記機器筐体に取り付けられる係止片と、前記係止片の弾性力により、前記機器筺体の内壁面に対して当接する当接部とを、それぞれ備えた複数のボタンスイッチ部材を備え、
前記複数のボタンスイッチ部材の係止片が接続板によって一体化されたボタンスイッチ部材。
【請求項4】
前記基体部、前記操作部、前記押圧部、前記軸部、前記係止片、前記当接部及び前記係止板は、一体成形されている請求項3記載のボタンスイッチ部材。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載のボタンスイッチ部材を備えた電子機器。
【請求項6】
請求項1〜4の何れか一項に記載のボタンスイッチ部材を備えたプリンタ。
【請求項7】
基体部と、前記基体部の一端近傍表面側に設けられ、機器筺体に形成された開口より機器筐体外部へ突出する操作部と、前記基体部の背面側に設けられた押圧部と、前記基体部の他端に設けられ、前記機器筐体に設けられる軸受部に支持される軸部と、前記基体部と角度を為すように前記軸部に設けられ、弾性変形した状態で前記機器筐体に取り付けられる係止片と、前記係止片の弾性力により、前記機器筺体の内壁面に対して当接する当接部と、を備えたボタンスイッチ部材と、
前記ボタンスイッチ部材の前記操作部が挿通され前記機器筺体外部へ突出する開口部と、前記ボタンスイッチ部材の前記軸部を回動可能に支持する軸受部と、前記ボタンスイッチ部材の前記係止片を弾性変形した状態で係止する係止部材とを備えた前記機器筺体と、
前記操作部の操作により、前記押圧部により押圧される被押圧部を有するスイッチと、
前記スイッチの前記押圧部の操作に応じて信号を出力するスイッチ基板と、を備えたボタンスイッチ。
【請求項8】
請求項7に記載のボタンスイッチを備えた電子機器。
【請求項9】
請求項7に記載のボタンスイッチを備えたプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−150871(P2006−150871A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347883(P2004−347883)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】