説明

ボンディングツールおよびボンディング装置

【課題】簡単な構造により接合作用部と振動伝達部とを締結して安定した振動を接合作用部に伝達することができる接合体のボンディングツールおよびボンディング装置を提供することを目的とする。
【解決手段】振動伝達部11に形成された開口部に接合作用部13と締結部材14を挿入し、締結部材14に直交して設けられたねじ18を締め増して、開口部の振動伝達方向における一方の端部に形成された互いに対向する一対の内テーパ面16a、16bを互いに近接させることにより、締結部材14の外テーパ面14aを押圧して締結部材14を接合作用部13側に移動させる。これにより、接合作用部13は、締結部材14の当接面14bと開口部の振動伝達方向における他方の端部15aの間で押圧された状態で挟持されて振動伝達部11に締結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリップチップ等の接合体を基板等の被接合体にボンディングするボンディングツールおよびボンディング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フリップチップ等の接合体を基板等の被接合体にボンディングする方法として、ボンディングツールを用いた超音波接合によるボンディング方法が知られている。このボンディング方法は、接合体を被接合体に対して押圧した状態でボンディングツールにより接合体に振動を印加し、接合体の接合面(例えばフリップチップに形成されたバンプ等)と被接合体の被接合面(例えば基板上の電極等)との間に摩擦を生じさせて両者を接合するものである。
【0003】
ボンディングツールには、振動子から発せられる振動を接合体に伝達する振動伝達部が備えられており、この振動伝達部に装着された接合作用部を接合体に当接させて振動を印加している。接合作用部は複数の接合体に繰り返し振動及び押圧荷重を印加しており、ボンディングを繰り返すうちに接合体との接触部に磨耗が生じるため、定期的に新たなものに交換して使用される。従来、接合作用部の交換は、振動伝達部ごと交換するか、接合作用部が着脱自在に装着されている場合には接合作用部のみを着脱して交換していた(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3557940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接合作用部の交換に際して振動伝達部ごと交換すると、高価な振動伝達部が消耗部品として廃棄されることになるのでランニングコストが上昇する。接合作用部のみを交換する場合にはこのような問題は軽減されるが、振動子から発せられる振動を安定して接合作用部に伝達する必要があるため、接合作用部と振動伝達部との取り付け剛性を確保する締結手段の構造が複雑になっていた。
【0005】
そこで本発明は、簡単な構造により接合作用部と振動伝達部とを締結して安定した振動を接合作用部に伝達することができる接合体のボンディングツールおよびボンディング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、振動伝達部と、この振動伝達部に振動を付与する振動子と、この振動伝達部の振動伝達方向に直交して形成された開口部と、この開口部に挿入されて前記振動伝達部に締結される接合作用部と、前記開口部の前記振動伝達方向における一方の端部に形成された互いに対向する一対の内テーパ面と、この一対の内テーパ面と接面する外テーパ面を一方の端部に備えるとともに前記開口部に挿入された前記接合作用部に当接する当接面を他方の端部に備えた締結部材と、前記一対の内テーパ面を通って前記振動伝達部に形成されたねじ孔と、このねじ孔に螺入するねじとを備え、このねじを前記ねじ孔に螺入させて前記一対の内テーパ面を互いに近接させることにより、前記一対の内テーパ面で前記外テーパ面を押圧して前記締結部材を前記接合作用部側に移動させ、前記接合作用部を前記締結部材の当接面と前記開口部の前記振動伝達方向における他方の端部の間に挟持して前記振動伝達部に締結する。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記締結部材に形成された貫通
孔を前記ねじが貫通する。
【0008】
請求項3記載の発明は、荷重と振動を印加して接合体を被接合体に接合するボンディング装置であって、振動伝達部と、この振動伝達部に振動を付与する振動子と、この振動伝達部の振動伝達方向に直交して形成された開口部と、この開口部に挿入されて前記振動伝達部に締結される接合作用部と、前記開口部の前記振動伝達方向における一方の端部に形成された互いに対向する一対の内テーパ面と、この一対の内テーパ面と接面する外テーパ面を一方の端部に備えるとともに前記開口部に挿入された前記接合作用部に当接する当接面を他方の端部に備えた締結部材と、前記一対の内テーパ面を通って前記振動伝達部に形成されたねじ孔と、このねじ孔に螺入するねじと、前記接合体と前記被接合体を接合させる接合ステージと、この接合ステージ上で前記接合体に荷重を印加する荷重印加手段とを備え、前記ねじを前記ねじ孔に螺入させて前記一対の内テーパ面を互いに近接させることにより、前記一対の内テーパ面で前記外テーパ面を押圧して前記締結部材を前記接合作用部側に移動させ、前記接合作用部を前記締結部材の当接面と前記開口部の前記振動伝達方向における他方の端部の間に挟持して前記振動伝達部に締結する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、接合作用部と振動伝達部を簡単な構造で着脱自在に締結させているので、接合作用部の交換の際の作業性がよく、接合作用部の振動伝達部に対する位置決めも容易である。また、接合作用部を振動伝達方向で挟持して締結しているので、安定した振動が接合作用部に伝達される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態におけるボンディング装置の全体構成図、図2は本発明の一実施の形態におけるボンディングツールの斜視図、図3は本発明の一実施の形態におけるボンディングツールの側面図、図4は本発明の一実施の形態におけるボンディングツールの締結部分の平面図、図5は本発明の一実施の形態におけるボンディングツールの締結部分の分解斜視図、図6(a)、(b)は本発明の一実施の形態におけるボンディングツールの締結部分に作用する押圧力の説明図、図7は本発明の一実施の形態におけるボンディング動作を示すフローチャート、図8は本発明の一実施の形態における予備動作を示すフローチャートである。
【0011】
まず、ボンディング装置の全体構成について、図1乃至図3を参照して説明する。図1において、移動テーブル1上には、被接合体としての基板2が保持されている。基板2は、図示しない搬送機構により移動テーブル1上に搬入されて所定の位置に位置決めされる。また、移動テーブル1上には、接合体としての電子部品Pが格納されたトレイ等からなる電子部品P収納部3と平板状の弾性体4が載置されている。
【0012】
移動テーブル1の上方には、ボンディングツール10が配設されている。図2において、ボンディングツール10は、長尺棒状の振動伝達部11と、この振動伝達部の一方の端部に取り付けられた振動子12と、振動伝達部11に着脱自在に装着された接合作用部13から構成されている。振動伝達部11の両側部にはそれぞれ2個のブラケット11aが形成されており、各ブラケット11aにはねじ孔11bが形成されている。
【0013】
図3において、接合作用部13の下端に形成された電子部品Pの吸着部13aの下面に吸着孔13bが形成されている。この吸着孔13bは、接合作用部13の内部に形成された通気路13cと振動伝達部11の内部に形成された通気路11cを介して、振動伝達部11の上面に形成された吸引孔11dと連通している。
【0014】
接合作用部13には、振動伝達部11に装着する際の上下方向の装着位置を位置決めす
るストッパー13dが形成されており、このストッパー13dにより接合作用部13の振動伝達部11に対する装着位置が位置決めされた状態で、上記の通気路13cと通気路11cが連通するようになっている。
【0015】
図1において、ボンディングツール10は、昇降駆動部20の下部に取り付けられており、振動伝達部11の各ブラケット11aが昇降駆動部20の昇降ブロック20aに図示しないねじにより螺着されている。このとき、昇降ブロック20aに設けられた吸引パッド21が振動伝達部11の上面に形成された吸引孔11dに密着する。
【0016】
図3において、振動子12から振動伝達部11に付与される振動は、振動伝達部11の長尺方向に伝達する縦波であり、振動伝達部11には、振動が最大となる腹の位置αと振動しない節の位置βが発生する。従って、振動を電子部品Pに効果的に印加するために、接合作用部13はこの腹の位置α近傍に締結される。
【0017】
また、ボンディングツール10のブラケット11aのねじ孔11bは節の位置βに形成されており、昇降ブロック20aに取り付ける際に振動の節の位置βでねじ留めするようになっている。これにより、振動の減衰やボンディングツールの振動によるねじの緩み等を防止している。
【0018】
図1において、制御部22は、移動テーブル1のテーブル駆動部5、昇降駆動部20、吸引パッド21内を真空吸引する真空発生源23と接続されており、これらの駆動を制御する。すなわち、真空発生源23の駆動を制御して、吸着部13aに電子部品Pを真空吸着させる。また、テーブル駆動部5及び昇降駆動部20の駆動を制御して、移動テーブル1をボンディングツール10に対して相対的に上下移動及び水平移動させて電子部品Pと基板2の位置合わせを行う。
【0019】
また、制御部22は、振動子12の振動子駆動部24の駆動を制御する。振動子駆動部24に対して駆動指令値を送出し、振動子駆動部24はこの駆動指令値に基づいた電力を発生して振動子12を駆動させる。これにより、振動子12は駆動指令値に応じた超音波出力で振動伝達部11に締結された接合作用部13に対して振動を印加する。このときの駆動電圧Vおよび駆動電流Iは計測部25によって検出されて制御部22にフィードバックされる。
【0020】
さらに、制御部22は昇降駆動部20に対して荷重指令値を送出し、昇降駆動部20はこの荷重指令値に応じた荷重でボンディングツール10下降させ、吸着部13aに吸着された電子部品Pを位置合わせされた基板2に対して押圧する。この押圧荷重と振動を同時に電子部品Pに印加することにより電子部品Pと基板2が接合される。
【0021】
制御部22は、上記の接合動作の他に、電子部品Pを吸着しない状態の接合作用部13の吸着部13aを移動テーブル1上の弾性体4に当接させ、これに荷重及び振動を印加する予備動作を予め設定されたタイミングで実行させる。この予備動作によりボンディング装置に擬似的な接合動作を行わせる。
【0022】
このように、移動テーブル1は、接合体と被接合体を接合させる接合ステージとなっている。また、テーブル駆動部5及び昇降駆動部20は、接合ステージとボンディングツール10を相対的に上下移動及び水平移動させて位置合わせを行う位置合わせ手段となっている。また、昇降駆動部20は、接合ステージ上で接合体に荷重を印加する荷重印加手段となっている。また、弾性体4は、接合作用部13の下端部(吸着部13a)を当接させる弾性部材からなる被当接部となっている。また、制御部22は、予め設定されたタイミングで接合作用部13の下端部(吸着部13a)を被当接部(弾性体4)に当接させて荷
重と振動を印加する予備動作を制御する制御手段となっている。
【0023】
制御部22には、記憶部26、操作・入力部27、表示部28が接続されている。記憶部26は、ボンディング動作、予備動作などの各種動作プログラムや、電子部品Pの品種毎のボンディング条件などのボンディング実行用データを記憶する。操作・入力部27は、駆動指令値や荷重指令値などのボンディング装置の操作入力や記憶部26に記憶されるデータ入力を行う。表示部28は、操作・入力部27によるデータ入力時の案内画面の表示やボンディング装置における作業状況の表示等を行う。
【0024】
次に、接合作用部13と振動伝達部11の締結部の構成について、図4及び図5を参照して説明する。図4は、振動伝達部11に接合作用部13が締結された状態を示す平面図である。接合作用部13は、締結部材14と並列して振動伝達部11に形成された開口部15に挿入されている。
【0025】
図5は、図4の分解斜視図である。図5において、振動伝達部11には、その長尺方向すなわち振動伝達方向に直交する開口部15が振動伝達部11の上下面に貫通して形成されている。開口部15は振動伝達方向における一方の端部(本実施の形態においては振動子12から離れた方の端部)16は内テーパ状に形成されており、一対の内テーパ面16a、16bが平面視してハ字型に対向している。この一対の内テーパ面16a、16bが交差する箇所には、振動伝達方向に伸びるスリット16cが振動伝達部11の上下面に貫通して形成されている。
【0026】
また、振動伝達部11には振動伝達方向に直交して水平方向にねじ孔17が形成されており、このねじ孔17は、振動伝達部11の一方の側面11eから内テーパ面16a、16bを通って他方の側面11fに貫通している。なお、ねじ孔17は必ずしも側面11fまで貫通しなくてもよい。
【0027】
締結部材14は五角柱に形成されており、外テーパ面14aを備えるとともに、この外テーパ面14aの反対側に当接面14bを備えている。この外テーパ面14aは、締結部材14が振動伝達部11に挿入された際に内テーパ面16a、16bと接面するように形成されている。さらに締結部材14には、当接面14bに平行して水平方向に貫通孔14cが形成されている、この貫通孔14cは、締結部材14が振動伝達部11に挿入された際にねじ孔17と連通するようになっている。
【0028】
図4に示すように、締結部材14は、その外テーパ面14aが一対の内テーパ面16a、16bに接面するように開口部15に挿入される。締結部材14の当接面14bは接合作用部13の一方の端面13eと接面し、この接合作用部13の他方の端面13fは開口部15の他方の端部(本実施の形態においては振動子12に近い方の端部)に形成された端面15aと接面している。ねじ孔17には、振動伝達部11の一方の側面11eと内テーパ面16aの間にねじ18の径よりも若干大きめの孔が形成され、内テーパ面16bと他方の側面11fの間に雌ねじが螺刻されており、この雌ねじと螺合する雄ねじが螺刻されたねじ18が、振動伝達部11の一方の側面11eから他方の側面11fに向けて螺入されている。
【0029】
次に、接合作用部13を振動伝達部11に締結する方法について、図6(a)、(b)を参照して説明する。図6(b)は図6(a)のA−A断面図である。図6(a)において、ねじ孔17に螺入されたねじ18を更に締め増すと、一対の内テーパ面16a、16bが、スリット16cの縮み代で確保された弾性により互いに近接する方向に移動し、一対の内テーパ面16a、16bの間で外テーパ面14aが力Fで押圧される。力Fの働く方向と外テーパ面14aは斜角をなしているので、外テーパ面14aには接合作用部13
側に向く分力F2が作用し、締結部材14は接合作用部13側に移動する。これにより、接合作用部13は、一方の端面13eの側から締結部材14により力F3で押圧されるとともに他方の端面13f側から反作用力F4で押圧された状態で挟持される。このとき、図6(a)、(b)に示すように、接合作用部13は、その一方の端面13eの略全体が締結部材14の当接面14bに押接されるとともに他方の端面13fの略全体が開口部15の端面15aに押接されているため、振動伝達方向に微振動する接合作用部13が緩むことなく強固に締結される。
【0030】
接合作用部13の交換等の際には、ねじ18を緩めると、近接していた内テーパ面16a、16bが弾性により元の位置に復元し、外テーパ面14aを押圧していた力Fが解消する。これにより、締結部材14が内テーパ面16a、16b側に移動して接合作用部13の両端面13e、13bに作用していた押圧力F3、F4が解消し、接合作用部13を振動伝達部11から容易に離脱させることができる。
【0031】
なお、図6(b)に示すように、締結部材14の貫通孔14cの振動伝達方向の径Dは振動伝達部11のねじ孔17の径dより長く形成されており、締結部材14が、接合作用部13又は内テーパ面16a、16b側へ移動する際のストロークを確保している。
【0032】
このように、接合作用部13は、単一の部材である締結部材14を用いて、1個のねじ18を締め増ししたり緩めたりすることにより振動伝達部11に着脱が可能であるので、接合作用部13の交換の際の着脱が容易であり作業性がよい。また、接合作用部13は、1個のねじ18を締め増しするだけで締結部材14の当接面14bと開口部15の端面15aの間に位置決めされるので、接合作用部13の振動伝達部11に対する精度の良い位置決めを容易に行うことができる。さらに、接合作用部13を振動伝達方向に押圧した状態で挟持して振動伝達部11に締結しているので、振動伝達方向に微振動する接合作用部13が緩むことなく安定した振動が伝達される。
【0033】
本実施の形態のボンディングツールおよびボンディング装置は以上のように構成される。次に、このボンディング装置におけるボンディング動作工程について、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0034】
ボンディング動作を開始すると、先ず、移動テーブル1上に基板2を搬入し、所定の位置に位置決めをする(ST1)。また、電子部品P供給部3に格納された電子部品Pを接合作用部13の吸着部13aに吸着する(ST2)。次に、移動テーブル1を移動させ、移動テーブル1上の基板2の電子部品P実装箇所と接合作用部13に吸着された電子部品Pとの位置合わせを行う(ST3)。位置合わせが完了すると、接合作用部13を下降させて電子部品Pを基板2に当接させ、荷重と振動を印加して両者を接合する(ST4)。このST4は、接合体に荷重と振動を印加して被接合体に接合する接合工程となっている。
【0035】
その後、上記ST2〜ST4の動作を繰り返して継続し、基板2の全ての電子部品P実装箇所に電子部品Pの実装を終えると、新たな基板2を搬入して基板の入れ替えを行う(ST5)。このように、上記ST1〜ST5の動作を繰り返し行い、所定の基板に電子部品Pを接合し終えるとボンディング動作が終了する。
【0036】
このボンディング動作において、所定のタイミングで予備動作が行われる。次にボンディング動作における予備動作工程について、図8のフローチャートを参照して説明する。
【0037】
予備動作を開始すると、先ず、移動テーブル1を移動させ、移動テーブル1上の弾性体4と接合作用部13との位置合わせを行う(ST6)。位置合わせが完了すると、接合作
用部13を下降させ、吸着部13aを平板状の弾性体4に当接させて荷重を印加する(ST7)。この荷重印加動作に並行して振動を印加する(ST8)。この振動印加動作はインターバルをおいて数回行われる。荷重及び振動印加動作が終了すると、接合作用部13を上昇させて吸着部13aを弾性体4から離脱させ(ST9)、予備動作が終了する。この予備動作が終了すると、上記のボンディング動作が再開される。
【0038】
予備動作は、上記のボンディング動作の動作開始後、最初の電子部品Pを基板2に接合する前段階で行われるが、その他にも、ボンディング装置の故障やメンテナンスの際に稼動を中断した後の再稼動開始直後や、上記ST4における荷重及び振動の印加により損耗した接合作用部13を新たな接合作用部13に交換した直後や、ST5における基板2の入れ替え直後のタイミングで行われる。接合作用部13の交換を含む上記のようなタイミングで予備動作を行うことにより、ボンディング品質が安定しない状態で電子部品Pが基板2に接合されて物理的接合や電気的接合等の信頼性に問題のある製品が製造されるという不具合を未然に防止する。
【0039】
なお、ST7及びST8において、弾性体4の上面と吸着部13aは、荷重が印加された状態で擦れ合うので、弾性体4をゴムや樹脂等の比較的柔らかい弾性部材で構成して吸着部13aの損耗を抑制するようにしている。また、弾性体4は平板状のものに限られず、高さがあるものや上面に凹凸があるもの等様々な形状のものを使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のボンディングツールおよびボンディング装置によれば、接合作用部と振動伝達部を簡単な構造で着脱自在に締結させているので、接合作用部の交換の際の作業性がよく、接合作用部の振動伝達部に対する位置決めも容易であり、また、接合作用部を振動伝達方向に押圧して締結しているので、安定した振動が接合作用部に伝達されるという利点を有しているので、フリップチップ等の接合体を基板等の被接合体にボンディングする分野に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施の形態におけるボンディング装置の構成図
【図2】本発明の一実施の形態におけるボンディングツールの斜視図
【図3】本発明の一実施の形態におけるボンディングツールの側面図
【図4】本発明の一実施の形態におけるボンディングツールの締結部分の平面図
【図5】本発明の一実施の形態におけるボンディングツールの締結部分の分解斜視図
【図6】(a)本発明の一実施の形態におけるボンディングツールの締結部分に作用する押圧力の説明図(b)本発明の一実施の形態におけるボンディングツールの締結部分に作用する押圧力の説明図
【図7】本発明の一実施の形態におけるボンディング動作を示すフローチャート
【図8】本発明の一実施の形態における予備動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0042】
1 移動テーブル
2 基板
4 弾性体
5 テーブル駆動部
10 ボンディングツール
11 振動伝達部
12 振動子
13 接合作用部
13a 吸着部
14 締結部材
14a 外テーパ面
14b 当接面
14c 貫通孔
15 開口部
15a 端面
16 端部
16a、16b 内テーパ面
17 ねじ孔
18 ねじ
20 昇降駆動部
22 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動伝達部と、この振動伝達部に振動を付与する振動子と、この振動伝達部の振動伝達方向に直交して形成された開口部と、この開口部に挿入されて前記振動伝達部に締結される接合作用部と、前記開口部の前記振動伝達方向における一方の端部に形成された互いに対向する一対の内テーパ面と、この一対の内テーパ面と接面する外テーパ面を一方の端部に備えるとともに前記開口部に挿入された前記接合作用部に当接する当接面を他方の端部に備えた締結部材と、前記一対の内テーパ面を通って前記振動伝達部に形成されたねじ孔と、このねじ孔に螺入するねじとを備え、
このねじを前記ねじ孔に螺入させて前記一対の内テーパ面を互いに近接させることにより、前記一対の内テーパ面で前記外テーパ面を押圧して前記締結部材を前記接合作用部側に移動させ、前記接合作用部を前記締結部材の当接面と前記開口部の前記振動伝達方向における他方の端部の間に挟持して前記振動伝達部に締結することを特徴とするボンディングツール。
【請求項2】
前記締結部材に形成された貫通孔を前記ねじが貫通することを特徴とする請求項1記載のボンディングツール。
【請求項3】
荷重と振動を印加して接合体を被接合体に接合するボンディング装置であって、振動伝達部と、この振動伝達部に振動を付与する振動子と、この振動伝達部の振動伝達方向に直交して形成された開口部と、この開口部に挿入されて前記振動伝達部に締結される接合作用部と、前記開口部の前記振動伝達方向における一方の端部に形成された互いに対向する一対の内テーパ面と、この一対の内テーパ面と接面する外テーパ面を一方の端部に備えるとともに前記開口部に挿入された前記接合作用部に当接する当接面を他方の端部に備えた締結部材と、前記一対の内テーパ面を通って前記振動伝達部に形成されたねじ孔と、このねじ孔に螺入するねじと、前記接合体と前記被接合体を接合させる接合ステージと、この接合ステージ上で前記接合体に荷重を印加する荷重印加手段とを備え、
前記ねじを前記ねじ孔に螺入させて前記一対の内テーパ面を互いに近接させることにより、前記一対の内テーパ面で前記外テーパ面を押圧して前記締結部材を前記接合作用部側に移動させ、前記接合作用部を前記締結部材の当接面と前記開口部の前記振動伝達方向における他方の端部の間に挟持して前記振動伝達部に締結することを特徴とするボンディング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−53181(P2007−53181A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−236281(P2005−236281)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】