説明

ボンデッドシールからの金属部材の分離回収方法、およびボンデッドシールの製造方法

【課題】本発明は、金属部材と金属部材に密着されたフッ素ゴムシール材とを有するボンデッドシールから、フッ素ゴムシール材を剥離除去し、金属部材を分離回収する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】金属部材と金属部材に密着されたフッ素ゴムシール材とを有するボンデッドシールを、超臨界状態もしくは亜臨界状態の流体、又は、含フッ素溶剤に曝露すること、および、フッ素ゴムシール材を剥離除去することを含む金属部材の分離回収方法を提供する。フッ素ゴムシール材はパーフルオロフッ素ゴムを含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボンデッドシールからの金属部材の分離回収方法、およびボンデッドシールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1(特表2001−509647号公報)に示されるように、半導体を製造する際には、真空チャンバーが用いられている。真空チャンバーは、ウエハを出し入れするための出入り口を有しており、出入り口には、出入り口を開閉する弁体が取り付けられている。かかる弁体には、エラストマー製のシール材が使用されている。このようなシール材は、例えば、弁体の本体に形成された溝に挿入されており、継続使用により破損した場合には、新しいシール材に交換されている。しかし、このような交換可能なシール材は、溝内で転動してそのシール性能が低下し、その結果、十分な真空を実現できなくなる場合や、使用中に脱落する場合がある、という問題があった。このため、近年、特に重要な箇所においては、シール材が、使用中に転動または脱落しないように、接着剤によって金属部材に強固に接着されているボンデッドシールが用いられている。特に半導体製造においては、シール材として、耐熱性、耐腐食ガス性および耐プラズマ性に優れるフルオロエラストマー製のシール材、いわゆるフッ素ゴムシール材が好適に用いられている。
【0003】
このようなボンデッドシールは、シール材の破損を考慮して、定期的に交換される。使用済みのボンデッドシールを、シール材と金属部材とに分別することができれば、廃棄コストの削減、およびリサイクルが可能になるので好ましい。特に、金属部材に汎用されている金属であるアルミニウムは製造に多量の電力を必要とするので、これをリサイクルできれば、環境への負荷の軽減の効果は多大である。しかし、ボンデッドシールの使用上の必要性から、シール材は金属部材に強固に接着されているので、物理的な手段によって、シール材と金属部材とを分別することはできない。また、フルオロエラストマーは耐溶媒性に優れるので、フルオロエラストマーを溶解除去することができないばかりでなく、フルオロエラストマーに覆われた接着剤層に溶媒を到達させることも困難である。このため、従来、このようなフッ素ゴムシール材を有するボンデッドシールは、金属部材とシール材とに分別されることなく、産業廃棄物として処分されている。したがって、使用済みの、フッ素ゴムシール材を有するボンデッドシールを、シール材と金属部材とに分別することができる方法、すなわち金属部材の分離回収方法の開発が望まれていた。
【0004】
接着剤を用いて接着された被着体を剥離する方法として、特許文献2(国際公開第2004/092292号パンフレット)には、ポリビニルブチラール樹脂からなるガラス用中間膜を接着層として使用した合わせガラスを、水の存在下、室温〜60℃、15〜25MPaの超臨界状態の二酸化炭素中で3〜24時間保持することによって、ガラスと接着層とを分離する方法が開示されている。しかしながら、フッ素ゴムシール材が金属部材に接着剤で固着された部材から、フッ素ゴムシール材を剥離除去して金属部材を回収・再利用することは示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、金属部材にフッ素ゴムシール材が固着されたボンデッドシールを、フッ素ゴムシール材と金属部材とに分別することができる方法、ひいては金属部材の分離回収方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、金属部材にフッ素ゴムシール材が固着された弁体からフッ素ゴムシール材を除去して、新たなフッ素ゴムシール材と組み合わせて使用可能なフッ素ゴムシール材非含有弁体を製造する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の金属部材の分離回収方法は、
金属部材と金属部材の少なくとも一つの表面に密着されたフッ素ゴムシール材とを有するボンデッドシールを、超臨界状態もしくは亜臨界状態の流体、又は、含フッ素溶剤に曝露すること、および
フッ素ゴムシール材を剥離除去することを含む。
第2発明の分離回収方法は、第1発明の金属部材の分離回収方法であって、
フッ素ゴムシール材がパーフルオロフッ素ゴムを含有する。
パーフルオロフッ素ゴムを含有するシール材は耐熱性、耐腐食ガス性および耐プラズマ性に非常に優れる一方で、ボンデッドシールからの剥離除去が困難である。しかし、本発明の方法によれば、このようなシール材も剥離除去が可能であり、それによって金属部材の分離回収することができる。
第3発明のボンデッドシールの製造方法は、第1発明または第2発明の金属部材の分離回収方法によって得られた金属部材に、接着剤によって、フッ素ゴムシール材を密着することを含む。
この製造方法によれば、ボンデッドシールを低コスト、かつ小さな環境負荷で製造することができる。
第4発明のフッ素ゴムシール材非含有弁体の製造方法は、金属部材と、金属部材に接着層を介して接着されたフッ素ゴムシール材とを有する弁体から、フッ素ゴムシール材非含有弁体を製造する方法であって、上記「金属部材に接着層を介して接着されたフッ素ゴムシール材とを有する弁体」を超臨界状態もしくは亜臨界状態の流体、又は、含フッ素溶剤に曝露する工程と、前記フッ素ゴムシール材を剥離除去する工程とを含む。
この製造方法によれば、弁体の金属部材を再使用できるため、コスト削減、環境負荷低減が実現できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、金属部材と金属部材の少なくとも一つの表面に密着されたフッ素ゴムシール材とを有するボンデッドシールから、フッ素ゴムシール材を剥離除去し、金属部材を分離回収することが可能になる。
また、本発明によれば、低コスト、かつ小さな環境負荷でボンデッドシールを製造することが可能になる。
また、本発明によれば、使用済み弁体からフッ素ゴムシール材を剥離除去することにより、再度使用可能な、フッ素ゴムシール材を含まない弁体(弁体用金属部材)を、低コスト、かつ小さな環境負荷で提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ボンデッドシールおよびボンデッドシールが適用されるチャンバーを示す図である。
【図2】ボンデッドシールの部分拡大図である。
【図3】本発明の実施例におけるボンデッドシールの概観図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)金属部材の分離回収方法
本発明の実施形態に係る金属部材の分離回収方法は、
工程1:金属部材と当該金属部材の少なくとも一つの表面に密着されたフッ素ゴムシール材とを有するボンデッドシールを、超臨界状態の二酸化炭素に曝露すること、および
工程2:当該シール材を剥離除去すること
を含む。
【0010】
(1.1)ボンデッドシール
本発明の方法により金属部材を分離回収する対象となる「ボンデッドシール」は、金属部材と、金属部材に強固に接合したフッ素ゴムシール材とを有するものであれば特に限定されないが、好ましくは、真空チャンバーの開口部を開閉するために用いられる弁体(valve body)である。
当該真空チャンバーは、例えば、半導体製造装置における真空チャンバーである。当該半導体製造装置における真空チャンバーの開口部は、好ましくは、ウエハを出し入れするための出入り口である。
当該ボンデッドシールは、金属部材と当該金属部材の少なくとも一つの表面に密着されたフッ素ゴムシール材とを有する、シール材一体型金属部品である。図1に当該ボンデッドシールの使用の一態様を示す。ボンデッドシール5は、例えば、プロセスチャンバー6とトランスファーチャンバー7との仕切り弁、および/またはロードロックチャンバーとトランスファーチャンバー7との仕切り弁として機能する弁体である。なお、図1において、ボンデッドシール5における、金属部材のシール材が接着されたシール側表面は、図示されていない。
図2に、ボンデッドシール5の部分拡大図を示す。ボンデッドシール5は、主として、金属部材51と、フッ素ゴムシール材(本明細書中、単にシール材と称する場合がある。)52とからなる。図2における金属部材51の上側の面が、金属部材51のシール側表面である。図2に示すように、金属部材51のシール側表面にフッ素ゴムシール材52が密着されている。本実施形態において、フッ素ゴムシール材52は、金属部材51のシール側表面に、接着剤で接着されることによって密着(固着)されている。
【0011】
(1.1.1)金属部材
本発明における「金属部材」の形状および材質は、ボンデッドシールに求められる性能等に応じて、適宜決定される。
金属部材は、例えば図2に示すように、シール側表面の外延近くに溝53を有していてもよい。当該溝53には、接着剤が塗られ、それにより、細長い形状に加工されたゴム製のシール材52が接着されている。当該溝53の形状は特に限定されない。また、別の態様として、金属部材は溝を有さずに、金属部材のシール側表面の平面部に接着剤が塗られ、それにより、細長い形状に加工されたゴム製のシール材が接着されていてもよい。
金属部材のシール側表面の接着剤の塗布部には、接着性を高めるために、物理的または化学的な方法により、表面エッチング処理が施されていてもよい。このように、接着性を高めた場合であっても、本発明の方法によれば、金属部材の分離回収、さらには再利用が可能である。
金属部材の材質としては、例えば、使用条件に合わせて、必要な機械的強度や耐久性を有する材料が用いられ、具体的には、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミ合金、ニッケル合金などの金属材料が挙げられる。
【0012】
(1.1.2)フッ素ゴムシール材
本発明における「フッ素ゴムシール材」とは、フッ素ゴムから形成されるシール材である。
【0013】
(1.1.2.1)フッ素ゴム
フッ素ゴムとしては、非パーフルオロフッ素ゴムおよびパーフルオロフッ素ゴムが挙げられる。耐熱性、耐腐食ガス性および耐プラズマ性の観点からは、パーフルオロフッ素ゴムが好ましい。パーフルオロフッ素ゴムを含有するシール材は耐熱性、耐腐食ガス性および耐プラズマ性に非常に優れる一方で、ボンデッドシールからの剥離除去が困難である。しかし、本発明の方法では、シール材を剥離除去して、金属部材の分離回収することができる。
【0014】
非パーフルオロフッ素ゴムとしては、ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/テトラフルオロエチレン(TFE)系フッ素ゴム、フルオロシリコーン系フッ素ゴム、またはフルオロホスファゼン系フッ素ゴムなどが挙げられ、これらをそれぞれ単独で、または本発明の効果を損なわない範囲で任意に組み合わせて用いることができる。
【0015】
ビニリデンフルオライド系フッ素ゴムとは、ビニリデンフルオライド45〜85モル%と、ビニリデンフルオライドと共重合可能な少なくとも1種の他の単量体55〜15モル%とからなる含フッ素エラストマー性共重合体をいう。好ましくは、ビニリデンフルオライド50〜80モル%と、ビニリデンフルオライドと共重合可能な少なくとも1種の他の単量体50〜20モル%とからなる含フッ素共重合体をいう。
【0016】
ビニリデンフルオライドと共重合可能な少なくとも1種の他の単量体としては、たとえばテトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、フッ化ビニルなどの含フッ素単量体、エチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテルなどの非フッ素単量体が挙げられる。これらをそれぞれ単独で、または、任意に組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)が好ましい。具体的なゴムとしては、VdF−HFP系ゴム、VdF−HFP−TFE系ゴム、VdF−CTFE系ゴム、VdF−CTFE−TFE系ゴムなどがある。
【0017】
テトラフルオロエチレン/プロピレン系フッ素ゴムとは、テトラフルオロエチレン45〜70モル%、プロピレン55〜30モル%からなり、さらにテトラフルオロエチレンとプロピレンの合計量に対して、架橋部位を与える単量体0〜5モル%含有する含フッ素共重合体をいう。架橋部位を与える単量体としては、たとえば特公平5−63482号公報、特開平7−316234号公報に記載されているようなパーフルオロ(6,6−ジヒドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセン)やパーフルオロ(5−ヨード−3−オキサ−1−ペンテン)などのヨウ素含有単量体、特開平4−505341号公報に記載されている臭素含有単量体、特開平4−505345号公報、特開平5−500070号公報に記載されているようなシアノ基含有単量体、カルボキシル基含有単量体、アルコキシカルボニル基含有単量体などが挙げられる。
【0018】
パーフルオロフッ素ゴムとしては、テトラフルオロエチレン(TFE)/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)からなるもの、テトラフルオロエチレン(TFE)/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/架橋部位を与える単量体からなるものなどが挙げられる。テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の組成は、50〜90モル%/10〜50モル%であることが好ましく、より好ましくは50〜80モル%/20〜50モル%であり、さらに好ましくは55〜70モル%/30〜45モル%である。また、架橋部位を与える単量体は、テトラフルオロエチレンとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の合計量に対して、0〜5モル%であることが好ましく、0〜2モル%であることがより好ましい。
【0019】
この場合のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)としては、たとえばパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)などが挙げられ、これらをそれぞれ単独で、または任意に組合せて用いることができる。
【0020】
架橋部位を与える単量体としては、たとえば、一般式(1):
CX12=CX1−Rf1CHR12 (1)
[式(1)中、X1は、水素原子、フッ素原子またはメチル基、Rf1は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基またはパーフルオロポリオキシアルキレン基、R1は、水素原子またはメチル基、X2は、ヨウ素原子または臭素原子]
で表されるヨウ素または臭素含有単量体、一般式(2):
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)m(CF2n−X3 (2)
[式(2)中、mは、0〜5の整数、nは、1〜3の整数、X3は、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、臭素原子]
で表される単量体などが挙げられ、これらをそれぞれ単独で、または任意に組み合わせて用いることができる。
このヨウ素原子、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、臭素原子が、架橋点として機能することができる。
上記架橋部位を与える単量体としては、具体的には、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CN(CNVE)などが挙げられる。
【0021】
上記パーフルオロフッ素ゴムの具体例としては、国際公開第97/24381号パンフレット、特公昭61−57324号公報、特公平4−81608号公報、特公平5−13961号公報などに記載されているフッ素ゴムなどが挙げられ、具体的には、TFE/PMVE、TFE/PMVE/CNVEなどが挙げられる。
【0022】
(1.1.2.2)フッ素ゴムの製造方法
以上説明したフッ素ゴムは、常法により製造することができるが、得られる重合体は分子量分布が狭く、分子量の制御が容易である点、末端にヨウ素原子を導入することができる点から、フッ素ゴムの製造法として公知のヨウ素移動重合法が好ましい。たとえば、実質的に無酸素下で、ヨウ素化合物、好ましくはジヨウ素化合物の存在下に、前記単量体を加圧下で撹拌しながらラジカル重合開始剤の存在下、水媒体中での乳化重合、あるいは溶液重合を行なう方法が挙げられる。
【0023】
使用するヨウ素化合物の代表例としては、たとえば、一般式(3):
2xBry (3)
(式中、xおよびyはそれぞれ0〜2の整数であり、かつ1≦x+y≦2を満たすものであり、R2は炭素数1〜16の飽和もしくは不飽和のフルオロ炭化水素基またはクロロフルオロ炭化水素基、または炭素数1〜3の炭化水素基であり、酸素原子を含んでいてもよい)で示される化合物などを挙げることができる。このようなヨウ素化合物を用いて得られるフッ素ゴムの末端には、ヨウ素原子または臭素原子が導入される。
【0024】
上記一般式(3)で表されるヨウ素化合物としては、たとえば1,3−ジヨードパーフルオロプロパン、1,3−ジヨード−2−クロロパーフルオロプロパン、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,5−ジヨード−2,4−ジクロロパーフルオロペンタン、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサン、1,8−ジヨードパーフルオロオクタン、1,12−ジヨードパーフルオロドデカン、1,16−ジヨードパーフルオロヘキサデカン、ジヨードメタン、1,2−ジヨードエタン、1,3−ジヨード−n−プロパン、CF2Br2、BrCF2CF2Br、CF3CFBrCF2Br、CFClBr2、BrCF2CFClBr、CFBrClCFClBr、BrCF2CF2CF2Br、BrCF2CFBrOCF3、1−ブロモ−2−ヨードパーフルオロエタン、1−ブロモ−3−ヨードパーフルオロプロパン、1−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブタン、2−ブロモ−3−ヨードパーフルオロブタン、3−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、2−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、ベンゼンのモノヨードモノブロモ置換体、ジヨード置換体、ならびに(2−ヨードエチル)および(2−ブロモエチル)置換体などが挙げられ、これらの化合物は、単独で使用してもよく、相互に組み合せて使用することもできる。これらのなかでも、重合反応性、架橋反応性、入手容易性などの点から、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、ジヨードメタンなどが好ましい。
上記一般式(3)で表されるヨウ素化合物の添加量としては、フッ素ゴムの分子量を調整するために適宜変化させれば良いが、得られるフッ素ゴムの全重量の0.0001〜15重量%であればよい。
【0025】
前記ラジカル重合開始剤としては、従来からフッ素ゴムの重合に使用されているものであればよく、たとえば、有機および無機の過酸化物ならびにアゾ化合物がある。典型的な開始剤として過硫酸塩類、過酸化カーボネート類、過酸化エステル類などがあり、好ましい開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)が挙げられる。APSは単独で使用してもよく、またサルファイト類、亜硫酸塩類のような還元剤と組み合わせて使用することもできる。
【0026】
前記乳化重合に使用される乳化剤としては、広範囲なものが使用可能であるが、重合中におこる乳化剤分子への連鎖移動反応を抑制する観点から、フルオロカーボン鎖、またはフルオロポリエーテル鎖を有するカルボン酸の塩類が望ましい。乳化剤の使用量は、添加された水の約0.05〜2重量%が好ましく、とくに0.2〜1.5重量%が好ましい。
【0027】
重合圧力は、広い範囲で変化させることができる。一般には、0.5〜7MPaの範囲である。重合圧力は、高い程重合速度が大きくなるため、生産性の向上の観点から、0.7MPa以上であることが好ましい。
【0028】
本発明におけるフッ素ゴムシール剤が、架橋部位を与える単量体を含む架橋型フッ素ゴムから形成される場合、その架橋のために、架橋剤、および架橋助剤を用いてもよい。当該架橋剤としては、採用する架橋系によって適宜選定すればよい。架橋系としてはポリアミン架橋系、ポリオール架橋系、パーオキサイド架橋系、イミダゾール架橋系のいずれも採用できる。また、トリアジン架橋系、オキサゾール架橋系、チアゾール架橋系なども採用できる。
【0029】
当該架橋剤としては、ポリオール架橋系では、たとえば、ビスフェノールAF、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ジアミノビスフェノールAFなどのポリヒドロキシ化合物が挙げられ、パーオキサイド架橋系では、たとえば、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられ、ポリアミン架橋系では、たとえばヘキサメチレンジアミンカーバメート、N,N′−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミンなどのポリアミン化合物が挙げられ、トリアジン架橋系では、テトラフェニルスズ、トリフェニルスズなどの有機スズ化合物が挙げられる。
【0030】
オキサゾール架橋系、イミダゾール架橋系、チアゾール架橋系に使用する架橋剤としては、たとえば一般式(4):
【化1】

(式中、R3は−SO2−、−O−、−CO−、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基または単結合手であり、R4およびR5は一方が−NH2であり他方が−NHR6、−NH2、−OHまたは−SHであり、R6は水素原子、フッ素原子または一価の有機基であり、好ましくはR4が−NH2でありR5が−NHR6である)
で示されるビスジアミノフェニル系架橋剤、ビスアミノフェノール系架橋剤、ビスアミノチオフェノール系架橋剤、一般式(5):
【化2】

で示されるビスアミドラゾン系架橋剤、一般式(6)または(7):
【化3】

(式中、Rf2は炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基)、
【化4】

(式中、nは1〜10の整数)
で示されるビスアミドキシム系架橋剤などが挙げられる。これらのビスアミノフェノール系架橋剤、ビスアミノチオフェノール系架橋剤またはビスジアミノフェニル系架橋剤などは、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基と反応し、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環を形成し、架橋物を与える。
【0031】
とくに好ましい架橋剤としては、複数個の3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル基、または3−アミノ−4−メルカプトフェニル基を有する化合物、もしくは一般式(8):
【化5】

(式中、R3、R4、R5は前記と同じ)
で示される化合物が挙げられ、具体的には、たとえば2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(一般名:ビス(アミノフェノール)AF)、2,2−ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、テトラアミノベンゼン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)メタン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)エーテル、2,2−ビス(3,4−ジアミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−フェニルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−[3−アミノ−4−(N−メチルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−[3−アミノ−4−(N−エチルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−[3−アミノ−4−(N−プロピルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−[3−アミノ−4−(N−パーフルオロフェニルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−[3−アミノ−4−(N−ベンジルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどである。
前記架橋剤の添加量は、フッ素ゴム100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部である。架橋剤が、0.01重量部未満であると、架橋度が不足するため、フッ素ゴムシール材の性能が損なわれる傾向があり、10重量部をこえると、架橋密度が高くなりすぎるため架橋時間が長くなる傾向があることに加え、経済的にも好ましくない。
【0032】
架橋助剤としては、ポリオール架橋系の架橋助剤、パーオキサイド架橋系の架橋助剤などが使用できる。ポリオール架橋系の架橋助剤としては、各種の4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、環状アミン、1官能性アミン化合物など、通常エラストマーの架橋に使用される有機塩基が使用できる。具体例としては、たとえば、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム塩;ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、トリブチルアリルホスホニウムクロリド、トリブチル−2−メトキシプロピルホスホニウムクロリド、ベンジルフェニル(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドなどの4級ホスホニウム塩;ベンジルメチルアミン、ベンジルエタノールアミンなどの一官能性アミン;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデク−7−エンなどの環状アミンなどが挙げられる。
【0033】
パーオキサイド架橋系の架橋助剤としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリス(ジアリルアミン−s−トリアジン)、トリアリルホスファイト、N,N−ジアリルアクリルアミド、ヘキサアリルホスホルアミド、N,N,N′,N′−テトラアリルテトラフタラミド、N,N,N′,N′−テトラアリルマロンアミド、トリビニルイソシアヌレート、2,4,6−トリビニルメチルトリシロキサン、トリ(5−ノルボルネン−2−メチレン)シアヌレートなどが挙げられる。これらの中でも、架橋性、架橋物の物性の点から、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が好ましい。これらの架橋助剤の添加量は、フッ素ゴム100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部である。架橋助剤が、0.01重量部未満であると、架橋時間が実用に耐えないほど長くなる傾向があり、10重量部をこえると、架橋時間が短くなり過ぎることに加え、成形品の圧縮永久歪も低下する傾向がある。
【0034】
(1.1.2.3)その他の添加物(充填材)
本発明におけるフッ素ゴムシール材は、さらに、強度、硬度、シール性の点から、カーボンブラック、金属酸化物などの無機フィラー、エンジニアリング樹脂粉末などの有機フィラーなどの充填材を含有することが好ましい。具体的には、金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどが挙げられ、有機フィラーとしては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどのイミド構造を有するイミド系フィラー;ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオキシベンゾエート、有機顔料としても用いられるイソインドリノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アンスラキノン系顔料などを挙げることができるが、これらの中でも、耐熱性、耐プラズマ性の点から、酸化アルミニウム、ポリイミドが好ましい。
これらの充填材の添加量は、フッ素ゴム100重量部に対して、1〜50重量部であることが好ましく、5〜20重量部であることがより好ましい。充填材の添加量が、1重量部未満であると、ほとんど充填材としての効果が期待できない傾向があり、50重量部をこえると、非常に高硬度となり、シール材として適さない傾向にある。
また、加工助剤、顔料、水酸化カルシウムのような金属水酸化物などを本発明の目的を損なわない限り使用してもよい。
【0035】
(1.1.3)接着剤
本発明における「接着剤」としては、ボンデッドシールとシール材との強い接着の観点から架橋接着剤が好ましい。
架橋接着剤としては、シランカップリング剤等の金属有機化合物、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のほか、一般にゴム用として市販されている物が使用できる。
【0036】
シランカップリング剤架橋接着剤としては、アミノ基含有シランカップリング剤、ビニル基含有シランカップリング剤及びメタクリロイロキシ基含有シランカップリング剤などが挙げられ、 アミノ基含有シランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどが、ビニル基含有シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシランビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシランビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が、メタクリロイロキシ基含有シランカップリング剤としては、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0037】
エポキシ樹脂架橋接着剤としては、エポキシ樹脂とアミン系硬化剤とを配合してなる架橋接着剤などが挙げられる。エポキシ樹脂としてはノボラック型エポキシ樹脂が挙げられ、なかでもクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。アミン系硬化剤としては、モノアミン、ジアミン、トリアミンが挙げられ、芳香族アミンが好ましく、なかでも芳香族ジアミンであることがより好ましい。芳香族ジアミンとしては、例えば、メタフェニレンジアミン〔MPDA〕、メチレンジアニリン〔DDM〕、ジアミノジフェニルスルホン〔DDS〕、4−クロロ−o−フェニレンジアミン〔MOCA〕等が挙げられる
【0038】
接着方法としては、例えば、接着剤を塗布し、室温で風乾後、さらに120〜200℃で5〜20分間の焼付けを行うことができる。その後、フッ素ゴムシール材を接合して、例えば140〜200℃で3〜60分間プレスして架橋形成を行ったのち、さらに160〜300℃で2〜20時間かけて架橋させて、フッ素ゴムと金属部材を接着する方法が例示できる。
【0039】
(1.1.4)製造方法
本発明の金属部材の分離回収方法により金属部材を分離回収する対象となるボンデッドシールは、上述のように、金属部材のシール側表面に接着剤が塗布され、塗布された接着剤の形状に加工されたフッ素ゴムシール材が、接着剤の上に載置されて金属部材に接着されることによって得られる。フッ素ゴムシール材の成形は、通常の成形条件によって成形すればよく、例えば、本発明におけるフッ素ゴムシール材が、架橋部位を与える単量体を含むフッ素ゴムから形成される場合、前記フッ素ゴム等の成分を金型に入れ、加圧下において120〜250℃で1〜120分間保持することによって、プレス架橋を行い、続いて120〜320℃の炉中で0〜48時間保持することによってオーブン架橋を行う方法などを挙げることができる。
好ましくは、金属部材のシール側表面に下記で詳細説明する接着剤を塗布し、その上に前記フッ素ゴム等の成分を載置し、金型を用いてプレス成形により圧力と熱とを加えて、金属部材への接着とともにフッ素ゴムシール材を形成させる。
【0040】
(1.2)工程1(超臨界状態または亜臨界状態の流体への曝露)
前記ボンデッドシールの、超臨界状態または亜臨界状態の流体への曝露は、以下の工程を含む。なお、超臨界状態または亜臨界状態の流体のシール剤への浸透性を向上させるために、工程1を実施する前に、シール材に物理的および化学的処理を行ってもよい。例えば、シール材の表面をスクラッチして溝を設ける処理を行ってもよい。
工程1a:前記ボンデッドシールと超臨界状態または亜臨界状態の流体を圧力容器中に 封入する。
工程1b:前記圧力容器内を加熱、および加圧する。
工程1c:加熱および加圧を所定時間維持する。
工程1d:脱圧する。
【0041】
(1.2.1)超臨界状態または亜臨界状態の流体
超臨界状態または亜臨界状態の流体としては、超臨界状態または亜臨界状態の二酸化炭素、若しくは、超臨界状態または亜臨界状態の水およびアルコールが用いられてもよい。また、これら以外にも、超臨界状態または亜臨界状態の酸素、窒素、二酸化窒素、エタン、プロパン等が用いられてもよい。このように種種の物質が用いられてもよいが、取扱いやコストの観点から、および、不燃性で臨界温度と臨界圧力が低いことから、本発明の実施形態で用いられる二酸化炭素が好ましい。
なお、超臨界状態の流体とは、臨界点以上の温度・圧力下においた流体のことであり、また、亜臨界状態の流体とは、本明細書においては、臨界温度をTc、臨界圧力をPcとした場合に、Tc/2以上の温度・Pc/2以上の圧力においた流体をさす。
以下、二酸化炭素を例として説明する。
【0042】
(1.2.2)工程1a
工程1aは、例えば、前記ボンデッドシールを圧力容器に入れ、圧力容器を密封した後、圧力容器内の気体を二酸化炭素に置換することによって実施することができる。
シール材の剥離を補助するために、前記ボンデッドシールと一緒に有機溶媒を圧力容器に入れてもよい。当該有機溶媒としては、例えば、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素;および、塩化メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;および、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール;および、ジエチルエーテル、テトラヒドロブタン、アセトアルデヒドジエチルエーテル等のエーテル;および、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;および、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル等が挙げられる。当該有機溶媒の使用量は、通常、超臨界流体(例えば、超臨界二酸化炭素)100重量%に対し、0〜30重量%である。
有機溶媒としては、取り扱いの容易さから、アルコールが好ましい。
また、シール材の剥離を補助するために、前記ボンデッドシールと一緒に界面活性剤を圧力容器に入れてもよい。界面活性剤としては、例えば、イオン性の有機塩、イオン性の無機塩、キレート化合物、低分子量有機化合物等が挙げられる。また、シール材の剥離を補助するために、前記ボンデッドシールと一緒に水を圧力容器に入れてもよい。但し、水は酸化力が高いため、回収する金属部材を再利用する場合には、反応性が高い水を添加することによって、回収したい金属部材表面が変質・変色してしまう可能性があり、また、フッ素ゴム、パーフルオロゴムが過度に分解されることによって、腐食性の分解物が生成することも考えられ、好ましくない場合もある。
【0043】
(1.2.3)工程1b
工程1bにおける加熱は、通常、所定の温度まで圧力容器を加熱する。ここで、所定の温度とは、二酸化炭素が超臨界状態になる温度以上であればよいが、温度が高すぎるとシール剤が分解して金属部材の腐食が生じるおそれがあるので、通常、40〜250℃、好ましくは40〜100℃である。
工程1bにおける加圧は、通常、所定の圧力まで、圧力容器内の圧力を上昇させる。ここで所定の圧力とは、二酸化炭素が超臨界状態になる圧力以上であればよいが、圧力が高すぎると装置の耐久性および安全性の問題が生じるおそれがあるので、通常、10〜100MPa、好ましくは20〜50MPaである。加圧は、例えば、加熱の後、二酸化炭素を圧入することによって実施することができる。
【0044】
(1.2.4)工程1c
工程1cでは、工程1bにおける所定温度、および所定圧力を、通常、5〜600分、好ましくは10〜300分維持する。
【0045】
(1.2.5)工程1d
工程1dにおける脱圧は、密封を解除することにより、速やかに行ってもよい。また、所望により、ボンデッドシールを室温環境下に放置するなどによって冷却してもよい。
当該工程1により、フッ素ゴムシール材が金属部材から剥離する。なお、続く工程2に移行する前に、当該工程1を複数回繰り返してもよい。
【0046】
(1.3)工程1’(含フッ素溶剤への曝露)
本発明の金属部材の分離回収方法では、ボンデッドシール(5)を、含フッ素溶剤に曝露してもよい。当該含フッ素溶剤としては、水素原子の全てがフッ素原子で置換されたパーフルオロ系溶剤が好ましい。パーフルオロ系溶剤の具体例としては、パーフルオロトリ−n−ブチルアミン、パーフルオロトリエチルアミンなどのパーフルオロ三級アミン;パーフルオロ置換テトラヒドロフラン、パーフルオロベンゼン、フロリナートFC−77(住友スリーエム株式会社製、C818とC816Oの混合物)、デムナムソルベント(ダイキン工業株式会社製、主成分:C614)、R−318(ダイキン工業株式会社製、主成分:C48Cl2)、フロリナートFC−43(住友スリーエム株式会社製、主成分:(C493N)等が挙げられるが、取扱いの観点から、パーフルオロトリ−n−ブチルアミン、フロリナートFC−77、C48Cl2が好ましい。また、パーフルオロ系溶剤以外の含フッ素溶剤としては、パーフルオロアルカン、HFC(ハイドロフルオロカーボン)、HFE(ハイドロフルオロエーテル)、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)などが挙げられ、具体的には、HFE−7100(住友スリーエム株式会社製、主成分:C49OCH3)、HFE−7200(住友スリーエム株式会社製、主成分:C49OC25)、バートレルXF(デュポン株式会社製、主成分:C5210)等を挙げることができる。
【0047】
上記含フッ素溶剤を用いるフッ素ゴムシール材の除去方法における、ボンデッドシールを含フッ素溶剤に曝露する方法としては、含フッ素溶剤に浸漬する方法、含フッ素溶剤の蒸気に曝露する方法、含フッ素溶剤を噴霧する方法等が挙げられる。
フッ素ゴムシール材を上記含フッ素溶剤に浸漬する場合、その浸漬条件は、使用される溶剤の種類およびフッ素ゴムシール材の組成などにより、適宜決めればよいが、好ましい条件としては、室温〜250℃(より好ましくは室温〜200℃)で、1〜100時間浸漬することが好ましく、室温〜100℃、48〜70時間浸漬することがより好ましい。さらに、高圧下で処理することが好ましい。
【0048】
(1.4)工程2(シール材の剥離除去)
通常、前記工程1により、フッ素ゴムシール材が金属部材から完全に剥離しているので、ほとんど物理的な力を加えずに、フッ素ゴムシール材をボンデッドシールから除去し、ボンデッドシールの金属部材を分離回収することができる。工程2は、工程1又は1’の後に実施してもよく、工程1又は1’と並行して実施してもよい。なお、工程1又は1’の実施条件によっては、工程1又は1’において特に人為的に除去を行わなくても、フッ素ゴムシール材が金属部材から分離している場合がある。このような場合も、工程2を実施したとみなされる。
なお、工程1又は1’の実施条件によっては、フッ素ゴムシール材が金属部材から分離していても、フッ素ゴムシール材の断片が金属部材に付着している場合がある。このような場合、工程2において、物理的および化学的方法を用いて、金属部材の表面のフッ素ゴムシール材の断片を除去してもよい。そのような方法として、例えば、フッ素ゴムシール材の断片を摘んで除去する方法や、金属部材を超音波洗浄することでフッ素ゴムシール材の断片を除去する方法がある。超音波洗浄に使用する溶媒としては、水、エタノール、上記含フッ素溶剤等が使用できる。
工程2で得られる金属部材には、実質的に接着剤成分やフッ素ゴムシール材の残存が無く、またその使用上の観点からは、新しく製造された金属部材と実質的に同じ性質を有する。
【0049】
(2)ボンデッドシールの製造(再生)方法
本発明のボンデッドシールの製造(再生)方法は、
上述した本発明の分離回収方法によって得られた金属部材に、接着剤によって、フッ素ゴムシール材を接着することを含む。
ここで、本発明の分離回収方法によって得られた金属部材は、実質的に接着剤成分やフッ素ゴムシール材の残存が無く、その使用上の観点からは、新しく製造された金属部材と実質的に同じ性質を有する。従って、金属部材への接着剤によるフッ素ゴムシール材への接着は、上述したボンデッドシールの製造方法と同様に実施することができる。
かくして得られたボンデッドシールは、繰り返して金属部材を回収し、ボンデッドシールを製造(再生)することができる。この繰り返し回数は、製造されたボンデッドシールが、その使用上の観点から、新しく製造されたボンデッドシールと実質的に同じ性質を有する限り制限されないが、通常、1〜5回である。
【0050】
(3)フッ素ゴムシール材非含有弁体の製造方法
本発明のフッ素ゴムシール材非含有弁体の製造方法は、金属部材と、前記金属部材に接着層を介して接着されたフッ素ゴムシール材とを有する弁体から、フッ素ゴムシール材非含有弁体を製造する方法であって、前記弁体を超臨界状態または亜臨界状態の流体、又は含フッ素溶剤に曝露する工程と、前記フッ素ゴムシール材を剥離除去する工程を含むことを特徴とする。金属部材、フッ素ゴムシール材、弁体としては、上記のものが使用できる。また、超臨界状態または亜臨界状態の流体、又は含フッ素溶剤に曝露する工程、フッ素ゴムシール材を剥離除去する工程も上記の工程と同様とすることができる。
本発明のフッ素ゴムシール材非含有弁体の製造方法によれば、フッ素ゴムシール材を固着して、金属部材と、前記金属部材に接着層を介して接着されたフッ素ゴムシール材とを有する弁体を新たに製造することができる、再生されたフッ素ゴムシール材装着用の非含有弁体(金属部材)が得られる。このため、廃棄コストの削減、およびリサイクルが可能になるので好ましい。特に、金属部材がアルミニウムである場合には、製造に多量の電力を必要とするので、これをリサイクルできれば、環境への負荷の軽減の多大な効果が得られる。
【0051】
(4)変形例
(4.1)変形例1
本発明の実施形態に係る金属部材の分離回収方法では、フッ素ゴムシール材が、金属部材のシール側表面に接着剤で接着されることによって密着されているが、フッ素ゴムシール材が、金属部材のシール側表面に接着剤を用いずに密着されてもよい。例えば、フッ素ゴムシール材の表面を有機溶剤等で溶解して金属部材のシール側表面に接着させる方法や、フッ素ゴムシール材を金属部材のシール側表面に圧着させる方法によって、密着されてもよい。なお、フッ素ゴムシール材を金属部材のシール側表面に圧着させる方法を採用する場合、密着効果を向上させるために、金属部材のシール側表面を圧着前に表面処理してもよい。
【0052】
(4.2)変形例2
本発明の実施形態に係る金属部材の分離回収方法では、超臨界状態の二酸化炭素以外に、亜臨界状態の二酸化炭素、若しくは、超臨界状態または亜臨界状態の水およびアルコールが用いられてもよい。また、これら以外にも、超臨界状態または亜臨界状態の酸素、窒素、二酸化窒素、エタン、プロパン等が用いられてもよい。このように種種の物質が用いられてもよいが、取扱いやコストの観点から、および、不燃性で臨界温度と臨界圧力が低いことから、本発明の実施形態で用いられる二酸化炭素が好ましい。
【0053】
(4.3)変形例3
本発明の金属部材の分離回収方法では、ボンデッドシールを超臨界状態もしくは亜臨界状態の流体、又は、含フッ素溶剤へ曝露する工程の後に、シール材を剥離除去する工程2に移行しても良く、工程2に移行する前に、ボンデッドシールを電気炉等で加熱処理する工程を行ってもよい。この工程では、ボンデッドシールを、接着剤またはシール材に含まれる成分が分解する温度まで加熱することによって、続く工程2において、シール材が剥離除去しやすくなる場合がある。
【実施例】
【0054】
以下に、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0055】
<試験片の調製>
製造例1(フルオロエラストマーの合成)
着火源をもたない内容積6リットルのステンレススチール製オートクレーブに、純水2リットル、乳化剤としてC715COONH420g、pH調整剤としてリン酸水素二ナトリウム・12水塩0.18gを仕込んだ。続いて、系内を窒素ガスで充分に置換し脱気した。こののち、600rpmで撹拌しながら、80℃に昇温し、テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)の混合ガス(TFE/PMVE=29/71モル比)を、内圧が1.17MPa・Gになるように仕込んだ。ついで、過硫酸アンモニウム(APS)の186mg/mlの濃度の水溶液2mlを窒素圧で圧入して反応を開始した。
重合の進行により内圧が、1.08MPa・Gまで降下した時点で、I(CF24I4gを圧入した。ついでTFE22.0gおよびPMVE20.0gをそれぞれ自圧にて圧入し、昇圧、降圧を繰り返した。TFEおよびPMVEの合計仕込量が430g、511g、596gおよび697gに達した時点でICH2CF2CF2OCF=CF2をそれぞれ1.5gずつ圧入した。また反応開始後12時間毎に20mg/mlのAPS水溶液2mlを窒素ガスで圧入した。
重合反応の開始から45時間後、TFEおよびPMVEの合計仕込み量が、860gになった時点で、オートクレーブを冷却し、未反応モノマーを放出して固形分濃度30.0重量%の水性分散体を得た。
この水性分散体をビーカーに入れ、ドライアイス/メタノール中で凍結させ凝析を行い、解凍後、凝析物を水洗、真空乾燥してゴム状重合体850gを得た。この重合体のムーニー粘度ML(1+10)(100℃)は55であった。
19F−NMR分析の結果、この重合体のモノマー単位組成は、TFE/PMVE=64.0/36.0(モル%)であり、元素分析から得られたヨウ素含有量は0.34重量%であった。
【0056】
製造例2(末端にカルボキシル基を有するシアノ基含有含フッ素エラストマーの合成)
着火源をもたない内容積3リットルのステンレススチール製オートクレーブに、純水1リットル、乳化剤として

を10g、pH調整剤としてリン酸水素二ナトリウム・12水塩0.09gを仕込んだ。続いて、系内を窒素ガスで充分に置換し脱気したのち、600rpmで撹拌しながら、50℃に昇温した。この状態で、テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)の混合ガス(TFE/PMVE=25/75モル比)を、内圧が0.78MPa・Gになるように仕込んだ。ついで、過硫酸アンモニウム(APS)の527mg/mlの濃度の水溶液10mlを窒素圧で圧入して反応を開始した。
重合の進行により内圧が、0.69MPa・Gまで降下した時点で、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CN(CNVE)3gを窒素圧にて圧入した。ついで圧力が0.78MPa・Gになるように、TFE4.7gおよびPMVE5.3gをそれぞれ自圧にて圧入した。以後、反応の進行にともない同様にTFE、PMVEを圧入し、0.69〜0.78MPa・Gのあいだで、昇圧、降圧を繰り返した。TFEとPMVEの合計量が70g、130g、190gおよび250gとなった時点でそれぞれCNVE3gを窒素圧で圧入した。
重合反応の開始から19時間後、TFEおよびPMVEの合計仕込み量が、300gになった時点で、オートクレーブを冷却し、未反応モノマーを放出して固形分濃度21.2重量%の水性分散体1330gを得た。
この水性分散体のうち1196gを水3588gで希釈し、3.5重量%塩酸水溶液2800g中に、撹拌しながらゆっくりと添加した。添加後5分間撹拌した後、凝析物をろ別した。得られたポリマーをさらに2kgのHCFC−141b中にあけ、5分間撹拌し、再びろ別した。この後このHCFC−141bによる洗浄、ろ別の操作をさらに4回繰り返した。こののち、60℃で72時間真空乾燥させ、240gのポリマーを得た。
19F−NMR分析の結果、この重合体のモノマー単位組成は、TFE/PMVE/CNVE=56.6/42.3/1.1(モル%)であった。
【0057】
製造例3[架橋可能なフッ素ゴム組成物(A)の調製]
製造例1で得られたフルオロエラストマーと、架橋剤であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC、日本化成(株)製)と、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25B、日油(株)製)と、充填材であるポリイミド樹脂粉末UIP−S(宇部興産(株)製)とを重量比100/2/1/15で混合した。この混合物をオープンロールにて混練して、架橋可能なフッ素ゴム組成物(A)を得た。
【0058】
製造例4[架橋可能なフッ素ゴム組成物(B)の調製]
製造例2で得られた末端にカルボキシル基を有するシアノ基含有含フッ素エラストマーと、ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンスのポリマー・ケミストリー編、Vol.20、2381〜2393頁(1982)に記載の方法で合成した架橋剤である2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−フェニルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(AFTA−Ph)と、充填材であるカーボンブラック(Cancarb社製 Thermax N−990)とを重量比100/2.83/20で混合した。この混合物をオープンロールにて混練して、架橋可能なフッ素ゴム組成物(B)を得た。
【0059】
製造例5[接着試験片(1)の作製]
製造例3で得られた架橋可能なフッ素ゴム組成物(A)と、A5052製弁体とを用いて、160℃で7分間プレスして架橋形成を行ったのち、さらに180℃のエアーオーブン中で4時間かけてオーブン架橋し、フッ素ゴムと金属部材が一体化したボンデッドシールを得た。このボンデッドシールの概観図を図3に示す。このとき予め弁体のゴムと接着する部分は、サンドブラスト(#100)で表面を荒らした。この後に接着剤として3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学(株)製 KBM903)を刷毛で塗布し、室温で風乾後、さらに160℃で10分間の焼付けを行った。得られたボンデッドシールを小片(厚さ10mm、幅10mm、長さ35mm)に切断し、接着試験片(1)を作製した。
【0060】
製造例6[接着試験片(2)の作製]
特開2008−308509に従い、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量:218g/eq)に対し、アミン系硬化剤(ジアミノジフェニルスルホン、三井東圧化学(株)製)をエポキシ当量1g/egに対し、1H+g/egとなる割合で配合した。さらに、上記エポキシ樹脂と上記アミン系硬化剤との合計質量が3%となるようメチルエチルケトン[MEK]に溶かして、接着剤を調整した。予めゴムと接着する部分をブラスト(#100)で表面を荒らしたA5052製弁体に、該接着剤を刷毛で塗布した。これを室温で風乾後、さらに180℃で10分間の焼付けを行い、製造例4で得られた架橋可能なフッ素ゴム組成物(B)を用いて、180℃で30分間プレスして架橋形成を行った。こののち、さらに290℃のエアーオーブン中で18時間かけてオーブン架橋し、フッ素ゴムと金属部材が一体化したボンデッドシールを得た。このボンデッドシールの概観図を図3に示す。得られたボンデッドシールを小片(厚さ10mm、幅10mm、長さ35mm)に切断し、接着試験片(2)を作製した。
【0061】
<実施例1〜3>
(1)超臨界状態の二酸化炭素での処理
小型圧力容器(内径30mm、高さ80mm)に上記で調製した2種の試験片を各l個装入した。但し、表1の量のエタノールも入れた。小型圧力容器の扉を閉め、二酸化炭素のボンベ圧で2回置換し系中の酸素を放逐した。小型圧力容器を予め表1の温度に加温したウォータ−バス(又はオイルバス)に浸し30分間放置した。但し、実施例2においては、急激な温度変化を避けるため120℃への加熱は、60℃に加温したオイルバスに小型圧力容器を浸して、オイルバスを約25分かけて120℃まで昇温させることにより実施した。二酸化炭素を表1の圧力まで圧入した。所定温度と圧力を保ったまま60分間静置した。その後、恒温槽に浸けたまま圧力を速やかに解放し、常圧まで脱圧した。小型圧力容器をウォータ−バス(又はオイルバス)から取り出し、室温まで冷却した後、容器を開け、試験片を取り出した。
【表1】

【0062】
(2)剥離試験
シート片をピンセットで引っ張ることにより剥離できるかどうか試験した。結果を表2に示す。表2において、「試験片1」は、製造例5で得られた接着試験片(1)であり、「試験片2」は、製造例6で得られた接着試験片(2)である。
【表2】

【0063】
<実施例4〜9>
(1)含フッ素溶剤での処理
含フッ素溶剤としてR−318(ダイキン工業(株)製、主成分:C48Cl2)を用い、製造例5、6で得られた2種の試験片の溶剤浸漬処理を行った。但し、実施例5、7、9においては、予め試験片を300℃のエアーオーブン中で24時間焼成し、室温まで冷却してから浸漬処理を実施した。小型圧力容器に上記2種の試験片を各1個装入し、試験片が浸る量のR−318を入れた。小型圧力容器の扉を閉め、加温したオイルバスに浸して30分間放置した後、表3の条件温度にて所定時間静置した。その後、小型圧力容器をオイルバスから取り出し、室温まで冷却した後、容器を開けて試験片を取り出した。
【表3】

【0064】
(2)剥離試験
シート片をピンセットで引っ張ることにより剥離できるかどうか試験した。結果を表4に示す。表4において、「試験片1」は、製造例5で得られた接着試験片(1)であり、「試験片2」は、製造例6で得られた接着試験片(2)である。
【表4】

【符号の説明】
【0065】
5 ボンデッドシール
51 金属部材
52 フッ素ゴムシール材(シール材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】
【特許文献1】特表2001−509647号公報
【特許文献2】国際公開第2004/092292号パンフレット
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によれば、真空チャンバーの出入り口を開閉する弁体について、使用済み弁体からフッ素ゴムシール材を剥離除去することにより、再度使用可能な、フッ素ゴムシール材を含まない弁体(弁体用金属部材)を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属部材(51)と前記金属部材の少なくとも一つの表面に密着されたフッ素ゴムシール材(52)とを有するボンデッドシール(5)を、超臨界状態もしくは亜臨界状態の流体、又は、含フッ素溶剤に曝露すること、および
前記フッ素ゴムシール材を剥離除去すること
を含む金属部材の分離回収方法。
【請求項2】
前記フッ素ゴムシール材がパーフルオロフッ素ゴムを含有する請求項1に記載の金属部材の分離回収方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の金属部材の分離回収方法によって得られた前記金属部材に、接着剤によって、フッ素ゴムシール材を密着すること
を含むボンデッドシールの製造方法。
【請求項4】
金属部材(51)と、前記金属部材に接着層を介して接着されたフッ素ゴムシール材(52)とを有する弁体(5)から、フッ素ゴムシール材非含有弁体を製造する方法であって、前記弁体(5)を超臨界状態もしくは亜臨界状態の流体、又は、含フッ素溶剤に曝露する工程と、前記フッ素ゴムシール材を剥離除去する工程とを含む、フッ素ゴムシール材非含有弁体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−177472(P2012−177472A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−13103(P2012−13103)
【出願日】平成24年1月25日(2012.1.25)
【特許番号】特許第4985881号(P4985881)
【特許公報発行日】平成24年7月25日(2012.7.25)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】