説明

ボールねじ

【課題】 製品コストの低減化が容易に実現し得る安価なボールねじを提供する。
【解決手段】 ねじ軸10の螺旋溝12とナット20の螺旋溝22との間にボール30を配してねじ軸10とナット20間で回転動力を軸方向推力に変換するボールねじにおいて、ボール30は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる焼結体で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車用アクチュエータなどの各種産業機械に使用され、ねじ軸とナット間にボールを配して両者間で回転動力を軸方向推力に変換するボールねじに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ボールねじは、自動車用アクチュエータをはじめ、工作機械や半導体製造装置などの様々な産業機械に利用されている。この種のボールねじは、外周面に螺旋溝が刻設されたねじ軸と、内周面に螺旋溝が刻設されたナットと、ねじ軸の螺旋溝とナットの螺旋溝との間に配された複数のボールとで主要部が構成されている。
【0003】
このボールねじでは、ねじ軸の回転動力をボールを介してナットの軸方向推力に変換してそのナットを直動させたり、あるいは逆に、ナットの回転動力をボールを介してねじ軸の軸方向推力に変換してそのねじ軸を直動させるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平1−69961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されたボールねじでは、ねじ軸およびナットを例えばチタン等の金属で構成し、ボールを炭化珪素や窒化珪素などのセラミックスで構成することにより、セラミックス自体の反応性が低いことから、焼き付きが発生し難く、長寿命化が図れる点で好適である。
【0005】
しかしながら、特許文献1で開示されたボールねじを構成するボールは、窒化珪素などを素材とするセラミックスであることから、非常に高価であり、ボールねじのコストアップを招くという問題が生じる。その結果、セラミックス製のボールを使用したボールねじは実用化が困難であるというのが現状であった。
【0006】
そこで、本発明は前述の問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、製品コストの低減化が容易に実現し得る安価なボールねじを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、ねじ軸の螺旋溝とナットの螺旋溝との間にボールを配してねじ軸とナット間で回転動力を軸方向推力に変換するボールねじにおいて、ボールの材質をサイアロンとしたことを特徴とする。
【0008】
本発明に係るボールねじでは、ボールの材質をサイアロンとしたことにより、一般的なセラミックスを使用する場合よりもボールねじの低コスト化が図れる。
【0009】
本発明のボールは、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物(好ましくは残部焼結助剤および不純物)からなる焼結体で構成することが望ましい。このような組成でボールを構成すれば、安価で十分な耐久性を確保することが容易となる。
【0010】
また、本発明におけるボールは、ねじ軸およびナットと接触する面を含む領域に、内部よりも緻密性の高い層である緻密層が形成されていることが望ましい。これは、緻密層の断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率が7%以下となる。このようにすれば、ボールの耐久性をより一層向上させることができる。
【0011】
前述した緻密層の表面を含む領域に、緻密層内の他の領域よりもさらに緻密性の高い層である高緻密層が形成されていることが望ましい。これは、高緻密層の断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率が3.5%以下となる。このようにすれば、ボールの耐久性をさらに向上させることができる。
【0012】
本発明におけるナットおよびねじ軸は、それぞれの螺旋溝の表面硬度をHV680以上とすることが望ましい。このようにナットおよびねじ軸の表面硬度をHV680以上とすれば、前述の組成からなるボールと接触するナットおよびねじ軸の強度を確保することができてボールねじの疲労寿命を改善できる点で有効である。
【0013】
本発明におけるナットは、切削加工により仕上げされ、真空浸炭焼入れにより表面硬化処理されてその最終的な表面硬度をショットピーニングによりHV700〜900とすることが望ましい。このように、ナットの螺旋溝を切削加工により形成すれば、効率よく低コストで高精度の溝加工が可能となる。また、真空浸炭焼入れを用いれば、その熱処理時に発生する表面異常層である粒界酸化層を極めて少なくすることができ、後処理であるショットピーニングに必要な処理時間を最小限に短縮することができる。さらに、その最終的な表面硬度をショットピーニングによりHV700〜900とすれば、螺旋溝の表面粗さの改善と共に表面硬さおよび表面の圧縮残留応力を高めることができる。その結果、寿命の向上が図れると共に所望の靭性を確保することができる。
【0014】
本発明におけるねじ軸は、転造加工のみで仕上げされ、高周波焼入れにより表面硬化処理されていることが望ましい。このようにねじ軸を転造加工のみで仕上げれば、螺旋溝加工が一工程で済むことから、研削仕上げ品よりも安価で量産性にも優れている点で有効である。また、ねじ軸は、その芯部まで硬化させるとボールねじの強靭性を失うことになるため、高周波焼入れにより未硬化部分を残存させて曲がりを矯正することを可能とする点で有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、ねじ軸の螺旋溝とナットの螺旋溝との間に配されたボールの材質をサイアロンとしたことにより、一般的なセラミックスを使用する場合よりもボールねじの低コスト化が図れ、安価なボールねじを提供でき、そのボールねじの長寿命化、軽量化が容易に図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係るボールねじの実施形態を以下に詳述する。
【0017】
図1に示す実施形態のボールねじは、外周面に螺旋溝12が刻設されたねじ軸10と、内周面に螺旋溝22が刻設されたナット20と、ねじ軸10の螺旋溝12とナット20の螺旋溝22との間に配された複数のボール30とで主要部が構成されている。
【0018】
このボールねじでは、ねじ軸10の回転動力をボール30を介してナット20の軸方向推力に変換してそのナット20を直動させたり、あるいは逆に、ナット20の回転動力をボール30を介してねじ軸10の軸方向推力に変換してそのねじ軸10を直動させる。
【0019】
この実施形態のボールねじを構成するねじ軸10およびナット20は例えばチタン等の金属で構成し、ボール30は窒化珪素などの一般的なセラミックスよりも安価なサイアロンで構成する。
【0020】
このサイアロンは、鋼に比べて比重が小さく、かつ耐食性が高いだけでなく、絶縁性を有するという特徴を備えている点で、ボールねじの軽量化が可能になると共に腐食による損傷、電食による短寿命化などを抑制することができる。特に、βサイアロンは、燃焼合成法を含む製造工程を採用することにより、鋼に比べて製造コストが高くなることなく使用できるものとして好適である。
【0021】
また、このβサイアロンをボールねじの構成部品であるボール30に使用する場合、十分な耐久性(転がり滑り疲労に対する耐久性)を安定して確保する必要がある。そこで、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体(βサイアロンを主成分とする焼結体)をボール30の素材に採用した。
【0022】
つまり、ねじ軸10の螺旋溝12とナット20の螺旋溝22との間に介在するボール30の素材を、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる焼結体から構成する。この残部不純物としては、原料に由来するもの、あるいは製造工程において混入するものを含む不可避的不純物を含む。
【0023】
本出願人は、βサイアロンを主成分とするボール30の耐久性と、βサイアロンの組成との関係を詳細に調査した。その結果、βサイアロンは、燃焼合成を含む製造工程を採用することにより、前述したzの値(以下、z値という)が0.1以上となる種々の組成を有するものが製造可能である。一般に、耐久性に大きな影響を与える硬度は、製造の容易なz値が4.0以下の範囲において、ほとんど変化しない。しかしながら、βサイアロンを主成分とする焼結体からなるボール30の耐久性とz値との関係を詳細に調査したところ、z値が3.5を超えるとボール30の耐久性が大幅に低下することが分かった。
【0024】
より具体的には、z値が0.1以上3.5以下の範囲においては、耐久性はほぼ同等で、ボールねじの運転時間が所定時間を超えると、ボール30の表面に剥離が発生する。これに対し、z値が3.5を超えるとボール30が摩耗しやすくなり、これに起因して耐久性が大幅に低下する。つまり、z値が3.5となる組成を境界として、βサイアロンからなるボール30の破損モードが変化し、z値が3.5を超えると耐久性が大幅に低下するという現象が明らかとなった。従って、βサイアロンからなるボール30において、安定して十分な耐久性を確保するためには、z値を3.5以下とする必要がある。
【0025】
一方、前述したように、βサイアロンは、燃焼合成を含む製造工程により安価に製造することができる。しかし、z値が0.1未満では、燃焼合成の実施が困難となることが分かった。そのため、βサイアロンを主成分とする焼結体からなるボール30を安価に製造するためには、z値を0.1以上とする必要がある。
【0026】
なお、ボール30は、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部焼結助剤および不純物からなる焼結体で構成してもよい。このように焼結助剤の採用により、容易に焼結体の気孔率を低下させることが可能となり、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなるボール30を容易に提供できる。
【0027】
この焼結助剤としては、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、珪素(Si)、チタン(Ti)、希土類元素の酸化物、窒化物、酸窒化物のうち少なくとも一種類以上を採用することができる。また、焼結助剤は、焼結体のうち20質量%以下とすることが好ましい。
【0028】
また、ボール30は、ねじ軸10の螺旋溝12およびナット20の螺旋溝22と接触する面を含む領域に、内部よりも緻密性の高い層である緻密層を形成することが好ましい。このボール30の緻密性は、耐久性に大きく影響する。ここで、緻密性の高い層とは、焼結体において空孔率の低い(密度の高い)層であって、例えば、以下のような手段により調査することができる。
【0029】
まず、ボール30の表面に垂直な断面においてボール30を切断し、その断面を鏡面ラッピングする。その後、鏡面ラッピングされた断面を光学顕微鏡の斜光(暗視野)にて、例えば50〜100倍程度で撮影し、300DPI(Dot Per Inch)以上の画像として記録する。このとき、白色の領域として観察される白色領域は、空孔率の高い(密度の低い)領域に対応する。従って、白色領域の面積率が低い領域は、その面積率が高い領域に比べて緻密性が高い。
【0030】
そして、画像処理装置を用いて記録された画像を輝度閾値により2値化処理した上で白色領域の面積率を測定し、その面積率により、撮影された領域の緻密性を知ることができる。つまり、この実施形態におけるボール30では、接触面を含む領域に内部よりも白色領域の面積率の低い層である緻密層が形成されている。なお、撮影は、ランダムに5箇所以上で行ない、面積率はその平均値で評価することが好ましい。ボール30の内部における白色領域の面積率は、例えば15%以上である。
【0031】
ボール30の耐久性を一層向上させるためには、緻密層が100μm以上の厚みを有していることが好ましい。このようにすれば、緻密層の断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率が7%以下となる。白色領域の面積率が7%以下となる程度に緻密層の緻密性を向上させることで、ボール30の耐久性がより一層向上させることができる。
【0032】
さらに、緻密層の表面を含む領域に、その緻密層内の他の領域よりもさらに緻密性の高い層である高緻密層を形成することが好ましい。緻密性のさらに高い高緻密層が緻密層の表面を含む領域に形成されることにより、ボール30の耐久性がさらに向上する。このようにすれば、高緻密層の断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率が3.5%以下となる。白色領域の面積率が3.5%以下となる程度に高緻密層の緻密性を向上させることで、ボール30の耐久性をさらに向上させることができる。
【0033】
このボール30の製造では、図2に示すように、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンの粉体を準備するβサイアロン粉体準備工程が実施される。このβサイアロン粉体準備工程においては、例えば燃焼合成法を採用した製造工程により、安価にβサイアロンの粉体を製造することができる。
【0034】
次に、βサイアロン粉体準備工程において製造されたβサイアロンの粉体に、焼結助剤を添加して混合する混合工程が実施される。この混合工程は、焼結助剤を添加しない場合、省略することができる。
【0035】
次に、βサイアロンの粉体またはβサイアロンの粉体と焼結助剤との混合物を、ボール30の概略形状に成形する成形工程が実施される。具体的には、βサイアロンの粉体またはβサイアロンの粉体と焼結助剤との混合物に、プレス成形、鋳込み成形、押し出し成形、転動造粒などの成形手法を適用することにより、ボール30の概略形状に成形された成形体が作製される。
【0036】
なお、成形体が焼結されると成形体の硬度が極めて高くなり、加工が困難となるため、焼結後に、例えば成形体の大幅な加工を行なって仕上げ加工を行うと、製造コストの上昇を伴う。そこで、成形体の焼結前に成形体の加工を行なって、仕上げ工程などにおける焼結後の成形体の加工量を抑制することにより、製造コストを抑制する。特に、異常層を除去するために焼結後に比較的大きな加工量が必要となる加圧焼結法と異なり、この実施形態の製法では、βサイアロンからなる成形体を1MPa以下の圧力下で焼結する工程が採用されるため、異常層を除去するための加工量が抑制されており、製造コストを抑制するメリットは極めて大きい。
【0037】
次に、成形体の表面を加工することにより、その成形体が焼結後に所望の形状により近い形状になるよう成形される焼結前加工工程が実施される。具体的には、グリーン体加工などの加工手法を適用することにより、成形体が焼結後に所望の形状により近い形状になるように成形される。この焼結前加工工程は、成形工程において成形体が成形された段階で、焼結後に所望の形状に近い形状が得られる状態である場合には省略できる。
【0038】
次に、成形体を昇温して焼結させることにより、ボール30の概略形状を有する焼結体を作製する焼結工程が実施される。この焼結工程は、常圧中で行なわれる常圧焼結法により実施してもよいが、耐久性を低下させる欠陥の発生を抑制する目的で、熱間静水圧焼結法(Hot Isostatic Press;HIP)やガス圧焼結法(Gas Pressured Sintering;GPS)などの加圧焼結法などの焼結法により実施してもよい。なお、加熱方法としては、ヒータ加熱の他、マイクロ波やミリ波による電磁波加熱を用いることができる。
【0039】
ここで、前述した熱間静水圧焼結法やガス圧焼結法などの加圧焼結法は、通常10MPa以上の圧力下で焼結を行なう方法である。この製法によれば、ボール30の気孔率が低下し、密度の高いボール30を製造できる反面、製造コストの上昇を招来し、さらに、ボール30の表層部に材質が変質した異常層が形成されるため、仕上げ加工でその異常層を除去する必要が生じ、製造コストが上昇する。ただし、加圧焼結法を採用しない場合、気孔率が増加して欠陥が発生し、耐久性が低下する。
【0040】
そこで、本出願人は、βサイアロンからなる成形体を1MPa以下の圧力下で焼結してボール30を製造することにより、ボール30の表面に形成される接触面を含む領域に、内部よりも緻密性の高い緻密層を形成可能であることを見出した。この製法では、βサイアロンを主成分とする成形体が1MPa以下の圧力下で焼結される工程を含むことにより、加圧焼結の採用に伴う製造コストの上昇を抑制しつつ、接触面を含む領域に緻密層を形成することができる。その結果、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体からなるボール30を安価に製造できる。
【0041】
なお、成形体が焼結される工程は、βサイアロンの分解を抑制するため、0.01MPa以上の圧力下で行なうことが好ましく、低コスト化を考慮すると大気圧以上の圧力下で行なうことがより好ましい。また、製造コストを抑制しつつ緻密層を形成するためには、成形体が焼結される工程は1MPa以下の圧力下で行なうことが好ましい。
【0042】
また、成形体が焼結される工程では、1550℃以上1800℃以下の温度域で成形体が焼結される。成形体が焼結される温度が1550℃未満では、焼結による緻密化が進みにくく、1800℃を超えると、βサイアロン結晶粒の粗大化による焼結体の機械的特性の低下が懸念される。この成形体が焼結される温度域は、1600℃以上1750℃以下が好ましい。
【0043】
さらに、成形体が焼結される工程では、不活性ガス雰囲気中または窒素と酸素との混合ガス雰囲気中において成形体が焼結される。不活性ガス雰囲気中において成形体が焼結されることにより、βサイアロンの分解や組織変化を抑制することができる。また、窒素と酸素との混合ガス雰囲気中において成形体が焼結されることにより、βサイアロン焼結体の窒素および酸素の含有量を制御することができる。なお、不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素などが採用可能であるが、製造コスト低減の観点から、窒素を採用することが好ましい。
【0044】
次に、焼結工程において作製された焼結体に対して仕上げ加工を実施することにより、ボール30を完成させる仕上げ工程が実施される。具体的には、焼結工程において作製された焼結体の表面を研磨することにより、ボール30が完成する。
【0045】
焼結された成形体の表面が加工され、その表面を含む領域が除去される工程において、除去される成形体の厚みは150μm以下である。その結果、接触面を含む領域に高緻密層が形成される。このように、焼結された成形体の表面が加工され、その接触面を含む領域が除去される工程、例えば仕上げ工程が実施される場合、除去される成形体の厚みを150μm以下とすることにより、ボール30の接触面に高緻密層を残存させることができる。なお、高緻密層をより確実に残存させるためには、除去される焼結された成形体の厚みは、100μm以下とすることが好ましい。
【実施例1】
【0046】
以下、本発明の実施例1について説明する。種々のz値を有するβサイアロン焼結体からなる試験片を作製し、z値と耐久性との関係を調査する試験を行なった。試験の手順は以下のとおりである。
【0047】
まず、試験の対象となる試験片の作製方法について説明する。はじめに、燃焼合成法でz値を0.1〜4の範囲で作製したβサイアロンの粉末を準備し、実施形態において図2に基づいて説明した製造方法と同様の方法で、z値が0.1〜4である試験片を作製した。具体的な作製方法は以下のとおりである。まず、サブミクロンに微細化されたβサイアロン粉末と、焼結助剤としての酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、AKP30)および酸化イットリウム(H.C.Starck社製、Yttriumoxide grade C)とをボールミルを用いて湿式混合により混合した。その後、スプレードライヤーにて造粒を実施し、造粒粉を製造した。その造粒粉を金型で円筒状に成形し、さらに冷間静水圧成形(CIP)で加圧を行ない、円筒状の成形体を得た。
【0048】
引き続き、その成形体に対して1次焼結として常圧焼結を行なった後、圧力200MPaの窒素雰囲気中でHIP処理することで、焼結円筒体を製造した。次に、その焼結円筒体の外周面にラッピング加工を行ない、直径φ40mmの円筒状の試験片とした。また、比較のため、窒化珪素からなる試験片、すなわちz値が0である試験片もβサイアロンからなる試験片と同様の方法で作製した(比較例A)。
【0049】
次に、試験条件について説明する。上述のように作製された試験片に対し、別途準備された軸受鋼(JIS規格SUJ2)製の相手試験片(直径φ40mmの円筒状、焼入硬化済み)を、両者の軸が平行になるように、外周面において最大接触面圧Pmax:2.5GPaで接触させた。そして、試験片を回転数:3000rpmで軸周りに回転させると共に、相手試験片を試験片に対する滑り率が5%となるように軸回りに回転させた。そして、潤滑:タービン油VG68(清浄油)のパット給油、試験温度:室温の条件の下で回転を継続する転がり滑り疲労試験(2円筒試験)を行なった。そして、振動検出装置により運転中の試験片の振動を監視し、試験片に破損が発生して振動が所定値を超えた時点で試験を中止すると共に、運転開始から中止までの時間を試験片の寿命として記録した。また、試験中止後、試験片の破損状態を確認した。
【表1】

【0050】
表1に本実施例の試験結果を示す。表1においては、各実施例および比較例における寿命が、比較例A(窒化珪素)における寿命を1とした寿命比で表されている。また、破損形態は、試験片の表面に剥離が発生した場合「剥離」、剥離が発生することなく表面が摩耗して試験が中止された場合「摩耗」と記載されている。
【0051】
表1を参照して、z値が0.1以上3.5以下となっている本発明の実施例A〜Hでは、窒化珪素(比較例A)と比較して遜色ない寿命を有している。また、破損形態も窒化珪素の場合と同様に「剥離」となっている。これに対し、z値が3.5を超え、本発明の範囲外となっている比較例Bでは、寿命が大幅に低下するとともに、試験片に摩耗が観察される。すなわち、z値が3.8である比較例Bでは、最終的には試験片に剥離が発生しているものの、試験片における摩耗が影響し、寿命が大幅に低下したものと考えられる。さらに、z値が4である比較例Cにおいては、極めて短時間に試験片の摩耗が進行し、耐久性が著しく低下している。
【0052】
以上のように、z値が0.1以上3.5以下の範囲においては、βサイアロン焼結体からなる試験片の耐久性は、窒化珪素の焼結体からなる試験片とほぼ同等である。これに対し、z値が3.5を超えると試験片が摩耗しやすくなり、これに起因して耐久性が大幅に低下する。さらに、z値が大きくなると、βサイアロンからなる試験片の破損原因が「剥離」から「摩耗」に変化し、耐久性が著しく低下することが明らかとなった。このように、z値を0.1以上3.5以下とすることにより、安価でありながら、十分な耐久性を安定して確保することが可能なβサイアロン焼結体を提供可能であることが確認された。
【0053】
なお、表1を参照して、z値が3を超える3.5の実施例Hにおいては、試験片には僅かな摩耗が発生しており、寿命も実施例A〜Gに比べて低下している。このことから、十分な耐久性をより安定して確保するためには、z値は3以下とすることが望ましいといえる。
【0054】
また、上記実験結果より、窒化珪素からなるボール30と同等以上の耐久性(寿命)を得るには、z値は2以下とすることが好ましく、1.5以下とすることが、より好ましい。一方、燃焼合成を採用した製造工程によるβサイアロン粉体の作製の容易性を考慮すると、十分に自己発熱による反応が期待できるz値である0.5以上とすることが好ましい。
【実施例2】
【0055】
以下、本発明の実施例2について説明する。本発明のボール30の断面における緻密層および高緻密層の形成状態を調査する試験を行なった。試験の手順は以下のとおりである。
【0056】
はじめに、燃焼合成法で作製した組成がSiAlONであるβサイアロンの粉末(株式会社イスマンジェイ製、商品名メラミックス)を準備し、実施形態において図2に基づいて説明した製造方法と同様の方法で、一辺が約10mmの立方体試験片を作製した。具体的な製造方法は次のとおりである。まず、サブミクロンに微細化されたβサイアロン粉末と、焼結助剤としての酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、AKP30)および酸化イットリウム(H.C.Starck社製、Yttriumoxide grade C)とをボールミルを用いて湿式混合により混合した。その後、スプレードライヤーにて造粒を実施し、造粒粉を製造した。その造粒粉を金型で所定の形状に成形し、さらに冷間静水圧成形(CIP)で加圧を行ない、成形体を得た。引き続き、その成形体を圧力0.4MPaの窒素雰囲気中で1650℃に加熱して焼結することで、立方体試験片を製造した。
【0057】
その後、その試験片を切断し、切断された面をダイヤモンドラップ盤でラッピングした後、酸化クロムラップ盤による鏡面ラッピングを実施することにより、立方体の中心を含む観察用の断面を形成した。そして、その断面を光学顕微鏡(株式会社ニコン製、マイクロフォト−FXA)の斜光で観察し、倍率50倍のインスタント写真(フジフイルム株式会社製 FP−100B)を撮影した。その後、得られた写真の画像を、スキャナーを用いて(解像度300DPI)パーソナルコンピュータに取り込んだ。そして、画像処理ソフト(三谷商事株式会社製 WinROOF)を用いて輝度閾値による2値化処理を行なって(本実施例での2値化分離閾値:140)、白色領域の面積率を測定した。
【0058】
次に、試験結果について説明する。図3は、試験片の観察用の断面を光学顕微鏡の斜光で撮影した写真である。また、図4は、図3の写真の画像を、画像処理ソフトを用いて輝度閾値により2値化処理した状態を示す一例である。また、図5は、図3の写真の画像を、画像処理ソフトを用いて輝度閾値により2値化処理する際に、画像処理を行なう領域(評価領域)を示す図である。図3において、写真上側が試験片の表面側であり、上端が表面である。
【0059】
図3および図4を参照して、本発明のボール30と同様の製造方法により作製された本実施例における試験片は、表面を含む領域に内部よりも白色領域の少ない層が形成されていることがわかる。そして、図5に示すように、撮影された写真の画像を試験片の最表面からの距離に応じて3つの領域(最表面からの距離が150μm以内の領域、150μmを超え500μm以内の領域、500μmを超え800μm以内の領域)に分け、領域毎に画像解析を行なって白色領域の面積率を算出したところ、表2に示す結果が得られた。表2においては、図5に示した各領域を1視野として、無作為に撮影された5枚の写真から得られる5視野における白色領域の面積率の、平均値と最大値とが示されている。
【表2】

【0060】
表2を参照して、本実施例における白色領域の面積率は、内部において18.5%であったのに対し、表面からの深さが500μm以下である領域においては3.7%、表面からの深さが150μm以下の領域においては1.2%となっていた。このことから、本発明のボール30と同様の製造方法により作製された本実施例における試験片は、表面を含む領域に内部よりも白色領域の少ない緻密層および高緻密層が形成されていることが確認された。
【実施例3】
【0061】
以下、本発明の実施例3について説明する。本発明のボール30の耐久性を確認する試験を行なった。試験の手順は以下のとおりである。
【0062】
まず、試験の対象となる試験片の作製方法について説明する。はじめに、燃焼合成法で作製した組成がSiAlONであるβサイアロンの粉末(株式会社イスマンジェイ製、商品名メラミックス)を準備し、実施形態において図2に基づいて説明した製造方法と同様の方法で直径φ40mmの円筒状の試験片を作製した。具体的な製造方法は次のとおりである。まず、サブミクロンに微細化されたβサイアロン粉末と、焼結助剤としての酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、AKP30)および酸化イットリウム(H.C.Starck社製、Yttriumoxide grade C)とをボールミルを用いて湿式混合により混合した。その後、スプレードライヤーにて造粒を実施し、造粒粉を製造した。その造粒粉を金型で円筒状に成形し、さらに冷間静水圧成形(CIP)で加圧を行ない円筒状の成形体を得た。
【0063】
次に、その成形体に対して焼結後の加工代が所定の寸法となるようにグリーン加工を行ない、引き続き、その成形体を圧力0.4MPaの窒素雰囲気中で1650℃に加熱して焼結することで、焼結円筒体を製造した。次に、その焼結円筒体の外周面に対してラッピング加工を行ない、直径φ40mmの円筒状の試験片とした。ここで、焼結円筒体に対するラッピング加工により除去される焼結円筒体の厚み(加工代)を8段階に変化させ、8種類の試験片を作製した(実施例A〜H)。一方、比較のため、窒化珪素および焼結助剤からなる原料粉末を用いて加圧焼結法により焼結した焼結円筒体に対して、前述と同様にラッピング加工を行ない、直径φ40mmの円筒状の試験片を作製した(比較例A)。ラッピング加工による加工代は0.25mmとした。
【0064】
次に、試験条件について説明する。前述のように作製された試験片に対し、別途準備された軸受鋼(JIS規格SUJ2)製の相手試験片(直径φ40mmの円筒状、焼入硬化済み)を、両者の軸が平行になるように、外周面において最大接触面圧Pmax:2.5GPaで接触させた。そして、試験片を回転数:3000rpmで軸周りに回転させると共に、相手試験片を試験片に対する滑り率が5%となるように軸回りに回転させた。そして、潤滑:タービン油VG68(清浄油)のパット給油、試験温度:室温の条件の下で回転を継続する転がり滑り疲労試験(2円筒試験)を行なった。そして、振動検出装置により運転中の試験片の振動を監視し、試験片に破損が発生して振動が所定値を超えた時点で試験を中止すると共に、運転開始から中止までの時間をその試験片の寿命として記録した。なお、試験数は実施例、比較例ともに8個ずつとし、その平均寿命を算出した上で、比較例Aに対する寿命比で耐久性を評価した。
【表3】

【0065】
表3に本実施例の試験結果を示す。表3を参照して、実施例の試験片の寿命は、その製造コスト等を考慮するといずれも良好であるといえる。そして、加工代を0.5mm以下とすることにより試験片の表面に緻密層を残存させた実施例D〜Gの試験片の寿命は、比較例Aの寿命の2〜3倍程度となっていた。さらに、加工代を0.15mm以下とすることにより試験片の表面に高緻密層を残存させた実施例A〜Cの試験片の寿命は、比較例Aの寿命の5倍程度となっていた。このことから、本発明のボール30は、耐久性において優れているものと考えられる。そして、本発明のボール30は、加工代を0.5mm以下として、表面に緻密層を残存させることにより寿命が向上し、加工代を0.15mm以下として、表面に高緻密層を残存させることにより寿命がさらに向上すると考えられる。
【0066】
次に、このボールねじを構成するねじ軸10およびナット20は、それぞれの螺旋溝12,22の表面硬度をHV680以上としている。
【0067】
このように、ねじ軸10の螺旋溝12およびナット20の螺旋溝22の表面硬度をHV680以上とすることにより、前述の組成からなるボール30と接触する螺旋溝12,22の耐摩耗性を向上させることができ、ボールねじの疲労寿命を改善することで有効である。
【0068】
この螺旋溝12,22の表面硬度がHV680よりも小さいと、ねじ軸10の螺旋溝12およびナット20の螺旋溝22が摩耗し易く、ボールねじの疲労寿命を改善することが困難となる。
【0069】
ナット20は、切削加工により仕上げされ、真空浸炭焼入れにより表面硬化処理され、その最終的な表面硬度をショットピーニングによりHV700〜900としている。このナット20は、例えばタッピング工具による切削加工後に真空浸炭による熱処理が施され、その後、後述するショットピーニングが行われる。
【0070】
このように、ナット20の螺旋溝22を切削加工により仕上げれば、効率よく低コストで高精度の溝加工が可能となる。また、真空浸炭焼入れを用いれば、通常のガス浸炭に比べて、その熱処理時に発生する表面異常層である粒界酸化層を極めて少なくすることができ、後処理であるショットピーニングに必要な処理時間を最小限に短縮することができる。なお、真空浸炭焼入れとは、一般的なガス浸炭焼入れとは異なり、真空炉を用いた浸炭処理である。
【0071】
さらに、その最終的な表面硬度をショットピーニングによりHV700〜900とすれば、熱処理によるスケールを削除でき、螺旋溝22の表面粗さの改善と共に表面硬さおよび表面の圧縮残留応力を高めることができる。その結果、寿命の向上が図れると共に所望の靭性を確保することができる。なお、表面硬度がHV700よりも小さいと、寿命を向上させることが困難となり、逆に、表面硬度がHV900よりも大きいと、靭性の低下が懸念される。
【0072】
前述した表面の圧縮残留応力は、−500〜−1500MPaの範囲が好ましい。この圧縮残留応力が−500MPaよりも小さいと、充分な寿命向上が図れず、逆に、圧縮残留応力が−1500MPaよりも大きいと、処理時間に比例した応力増大が見込めず、処理時間が長くなってコスト高騰を招く。
【0073】
また、ショットピーニングは、高比重および高硬度なスチールビーズを使用し、粒径40〜60μm、ショット圧0.4MPa、処理時間60secで行われる。なお、スチールビーズ以外にセラミックスビーズやガラスビーズを使用することも可能である。また、ショット後の面粗さは、平均で処理前のRa1.05μmに対して、Ra0.89μmと改善され、高速回転においても騒音・振動などの発生を抑制することができる。
【0074】
一方、ねじ軸10は、転造加工のみで仕上げされ、高周波焼入れにより表面硬化処理されている。一般的に、ねじ軸は丸棒状のねじ軸素材の表面に旋削で螺旋溝を形成した後に研削して仕上げる方法があるが、例えばロールダイスを用いた転造加工では、互いに平行に配置された二つのダイスを回転させ、それら両ダイス間に丸棒状のねじ軸素材を通すことにより螺旋溝12を形成する。このようにねじ軸10を転造加工のみで仕上げれば、螺旋溝加工が一工程で済むことから、研削仕上げ品よりも安価で量産性にも優れている点で有効である。
【0075】
また、ねじ軸10は、その芯部まで硬化させるとボールねじの強靭性を失うことになるため、高周波焼入れにより未硬化部分を残存させて曲がりを矯正することを可能とする点で有効である。高周波焼入れは、加熱効率がよく、作業時間が短く、部分焼入れが可能であり、焼入れ歪みが少ない利点を有する。
【0076】
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係るボールねじの実施形態を示す断面図である。
【図2】実施形態におけるサイアロン部材の製造方法を説明するための工程図である。
【図3】試験片の観察用の断面を光学顕微鏡の斜光で撮影した写真である。
【図4】図3の写真の画像を、画像処理ソフトを用いて輝度閾値により2値化処理した状態を示す一例である。
【図5】図3の写真の画像を、画像処理ソフトを用いて輝度閾値により2値化処理する際に、画像処理を行なう領域(評価領域)を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
10 ねじ軸
12 螺旋溝
20 ナット
22 螺旋溝
30 ボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ軸の螺旋溝とナットの螺旋溝との間にボールを配してねじ軸とナット間で回転動力を軸方向推力に変換するボールねじにおいて、前記ボールの材質をサイアロンとしたことを特徴とするボールねじ。
【請求項2】
前記ボールは、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部不純物からなる焼結体で構成されている請求項1に記載のボールねじ。
【請求項3】
前記ボールは、Si6−ZAl8−Zの組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とし、残部焼結助剤および不純物からなる焼結体で構成されている請求項1に記載のボールねじ。
【請求項4】
前記ボールは、前記ねじ軸およびナットと接触する面を含む領域に、内部よりも緻密性の高い層である緻密層が形成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載のボールねじ。
【請求項5】
前記緻密層の断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率が7%以下である請求項4に記載のボールねじ。
【請求項6】
前記緻密層の表面を含む領域に、前記緻密層内の他の領域よりもさらに緻密性の高い層である高緻密層が形成されている請求項4又は5に記載のボールねじ。
【請求項7】
前記高緻密層の断面を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域として観察される白色領域の面積率が3.5%以下である請求項6に記載のボールねじ。
【請求項8】
前記ナットおよびねじ軸は、それぞれの螺旋溝の表面硬度をHV680以上とした請求項1〜7のいずれか一項に記載のボールねじ。
【請求項9】
前記ナットは、切削加工により仕上げされ、真空浸炭焼入れにより表面硬化処理されてその最終的な表面硬度をショットピーニングによりHV700〜900とした請求項1〜8のいずれか一項に記載のボールねじ。
【請求項10】
前記ねじ軸は、転造加工のみで仕上げされ、高周波焼入れにより表面硬化処理されている請求項1〜8のいずれか一項に記載のボールねじ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−2040(P2010−2040A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163572(P2008−163572)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】