説明

ボールエンドミル刃先部研磨機

【課題】構造が簡単で、操作性に優れたボールエンドミル刃先部研磨機を提供する。
【解決手段】ボールエンドミル刃先部研磨機10は研磨装置14の研磨装置本体22には研磨砥石30が設けられている。また、研磨装置14のスライド体38には第1ガイド体従動ローラーが設けられている。ボールエンドミル刃先部研磨機10のエンドミル回動取付装置48のエンドミル装着装置回動体には第1ガイド体が設けられ、この第1ガイド体の第1ガイド溝には前記第1ガイド体従動ローラーが収容されている。エンドミル装着装置回動体54に取り付けられたエンドミル装着装置70には第2ガイド体従動ローラーが設けられている。エンドミル装着装置回動体54には第2ガイド体シャフト98が接続され、第2ガイド体シャフト98には第2ガイド体従動ローラーが収容される第2ガイド溝106が形成された第2ガイド体104が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業界における曲面形状を製造する場合(一例として金型等の曲面形状を製造する場合)に工作機械の刃物として用いられるボールエンドミルの刃の刃先部を再研磨するボールエンドミル刃先部研磨機に関し、詳しくはボールエンドミルの刃の刃先部の表側面(外刃)及び裏側面(裏刃)を正確に再研磨することができるボールエンドミル刃先部研磨機に関する。
【背景技術】
【0002】
図14には従来から広く知られている2枚刃のボールエンドミル1が示されている。
このボールエンドミル1には刃2がボールエンドミル1の軸線方向に沿って螺旋状に2枚形成されている。これら刃2の先端の刃先部3を平面方向(図14矢印方向)から見ると刃先部3は先端3Aから後端3Bにかけて1/4円周状に形成されている。
前記ボールエンドミル1には螺旋状溝5,5がボールエンドミル1の軸線方向に沿って螺旋状に形成されている。前記刃2の表側面には外刃2Aが形成され、前記刃2の裏側面には裏刃2Bが形成されている。また、前記螺旋状溝5から裏刃2Bにかけては裏刃側立上面6が立ち上がって形成されている。
このような形状のボールエンドミル1を使用して切削加工を行うと実際に切削材料を切削する刃先部3の先端3Aから後端3Bには刃こぼれや磨耗部が生じ、刃先部3に刃こぼれや磨耗部が生じるとボールエンドミル1の切れ味か低下してしまい円滑な切削加工が困難になる。
そこで、コンピュータ制御装置を装備することにより三次元的曲線となっているボールエンドミル1の刃2の刃先部3を正確に再研磨することができるコンピュータ制御ボールエンドミル刃先部研磨機が提案されている。
しかし、このコンピュータ制御ボールエンドミル刃先部研磨機はコンピュータ制御装置が必要であるため、コンピュータ制御ボールエンドミル刃先部研磨機の価格が極めて高価になってしまうという不具合がある。
そこで、コンピュータ制御装置を備えなくても三次元的曲線になっているボールエンドミル1の刃先部3の外刃2Aと裏刃2Bを正確に再研磨することができるボールエンドミル刃先部研磨機が提案されている(特許文献1)。
しかし、このボールエンドミル刃先部研磨機はボールエンドミルの刃先部の裏刃を専用に研磨するボールエンドミル裏刃研磨装置とボールエンドミルの刃先部の外刃を専用に研磨するボールエンドミル外刃研磨装置がそれぞれ必要であるため、ボールエンドミル刃先部研磨機の構造が複雑、大型になると共に部品点数も多くなるという不具合がある。
また、ボールエンドミル刃先部研磨機の構造が複雑、大型になることにより操作性に問題がある。
【特許文献1】特願2006−8297
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記事実に鑑みなされたものでありボールエンドミルの刃先部の外刃と裏刃を簡単かつ正確に再研磨することができると共に構造が簡単で部品点数も抑えることができ、しかも操作性に優れたボールエンドミル刃先部研磨機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明は、ボールエンドミルの刃先部の裏刃及び外刃を研磨するボールエンドミル刃先部研磨機であって、基台に載置された研磨装置及びエンドミル回動取付装置と、
前記研磨装置を構成する研磨装置本体と、この研磨装置本体に配設された研磨砥石と、この研磨砥石をガイド可能な第1ガイド体と、
前記エンドミル回動取付装置を構成すると共にボールエンドミルが装着されたエンドミル装着装置を回動するエンドミル装着装置回動体と、前記エンドミル装着装置に取り付けられたボールエンドミルを軸回り方向に回転させる第2ガイド体と、を有してなることを特徴としている。
請求項2の発明は、ボールエンドミルの刃先部の裏刃及び外刃を研磨するボールエンドミル刃先部研磨機であって、基台に載置された研磨装置及びエンドミル回動取付装置と、
前記研磨装置を構成する研磨装置本体と、この研磨装置本体に配設された研磨砥石と、この研磨砥石をガイド可能な第1ガイド体と、
前記エンドミル回動取付装置を構成すると共にボールエンドミルが装着されたエンドミル装着装置を回動するエンドミル装着装置回動体と、前記エンドミル装着装置に取り付けられたボールエンドミルを軸回り方向に回転させると共に回転するボールエンドミルの刃先部を前記研磨砥石に当接すべくガイドする第2ガイド体と、を有してなることを特徴としている。
請求項3の発明は、ボールエンドミルの刃先部の裏刃及び外刃を研磨するボールエンドミル刃先部研磨機であって、基台に載置された研磨装置及びエンドミル回動取付装置と、
前記研磨装置を構成する研磨装置本体と、この研磨装置本体に配設された研磨砥石と、この研磨砥石をガイド可能な第1ガイド体と、
前記エンドミル回動取付装置を構成すると共にボールエンドミルが装着されたエンドミル装着装置を回動するエンドミル装着装置回動体と、前記エンドミル装着装置に取り付けられたボールエンドミルを軸回り方向に回転させると共に回転するボールエンドミルの研磨砥石当接部をボールエンドミルの中心線部分上にガイドする第2ガイド体と、を有してなることを特徴としている。
請求項4の発明は、ボールエンドミルの刃先部の裏刃及び外刃を研磨するボールエンドミル刃先部研磨機であって、基台に載置された研磨装置及びエンドミル回動取付装置と、
前記研磨装置を構成する研磨装置本体と、この研磨装置本体に配設された研磨砥石と、前記研磨装置本体を移動させることが可能であると共に第1ガイド体従動体が設けられたスライド体と、
前記エンドミル回動取付装置を構成すると共に回動可能に配設されたエンドミル装着装置回動体と、このエンドミル装着装置回動体に設けられてエンドミル装着装置回動体と共に回動すると共に前記第1ガイド体従動体をガイドすることが可能な第1ガイド体と、前記エンドミル装着装置回動体に取り付けられたエンドミル装着装置と、このエンドミル装着装置に取り付けられた第2ガイド体従動体と、前記エンドミル装着装置に取り付けられたボールエンドミルを軸回り方向に回転させると共に回転するボールエンドミルの研磨砥石当接部をボールエンドミルの中心線部分上に位置するように前記第2ガイド体従動体をガイドする第2ガイド体と、を有してなることを特徴としている。
請求項5の発明は、ボールエンドミルの刃先部の裏刃及び外刃を研磨するボールエンドミル刃先部研磨機であって、基台に載置された研磨装置及びエンドミル回動取付装置と、
前記研磨装置を3構成する研磨装置本体と、この研磨装置本体に配設された研磨砥石と、前記研磨装置本体を移動させることが可能であると共に第1ガイド体従動体が設けられたスライド体と、
前記エンドミル回動取付装置を構成すると共に回動可能に配設されたエンドミル装着装置回動体と、このエンドミル装着装置回動体に設けられてエンドミル装着装置回動体と共に回動する第1ガイド体と、この第1ガイド体に形成されると共に前記第1ガイド体従動体が案内される第1ガイド部と、前記エンドミル装着装置回動体に取り付けられたエンドミル装着装置と、このエンドミル装着装置に回転可能に取り付けられたエンドミルホルダーと、前記エンドミル装着装置に取り付けられた第2ガイド体従動体と、前記エンドミル装着装置回動体が回動すると回転する第2ガイド体シャフトと、この第2ガイド体シャフトに設けられた第2ガイド体に形成されて前記第2ガイド体従動体を案内すると共に前記エンドミルホルダーに固定されたボールエンドミルを軸回り方向に回転させながら回転するボールエンドミルの研磨砥石当接部をボールエンドミルの中心線部分上にガイドする第2ガイド部と、を有してなることを特徴としている。
請求項6の発明は、ボールエンドミルの刃先部の裏刃及び外刃を研磨するボールエンドミル刃先部研磨機であって、基台に載置された研磨装置及びエンドミル回動取付装置と、
前記研磨装置を構成する研磨装置本体と、この研磨装置本体に配設された研磨砥石と、前記研磨装置本体の正面側に固定されたスライドレールと、このスライドレールに沿ってスライド可能に設けられると共に前記研磨装置本体と連結されたスライド体と、このスライド体に取り付けられた第1ガイド体従動ローラーと、
前記エンドミル回動取付装置を構成すると共に前記基台に載置された第2ガイド体回転用歯車取付体と、この第2ガイド体回転用歯車取付体に回転可能に取り付けられた第2ガイド体回転用歯車と、前記第2ガイド体回転用歯車取付体の上方に回動可能に配設されたエンドミル装着装置回動体と、このエンドミル装着装置回動体の水平部に設けられると共にエンドミル装着装置回動体と共に回動する第1ガイド体取付台と、この第1ガイド体取台に取り付けられた第1ガイド体と、この第1ガイド体に形成されると共に前記第1ガイド体従動ローラーが収容される第1ガイド溝と、前記エンドミル装着装置回動体の垂直部に移動可能に取り付けられたエンドミル装着装置と、このエンドミル装着装置に回転可能に設けられたエンドミルホルダーと、前記エンドミルホルダーの基端部に取り付けられたウォーム歯車と、このウォーム歯車と噛み合って配設されると共にウォームケースとも連結されたウォームと、前記ウォームケースに固定されると共に一端部に第2ガイド体従動ローラーが設けられた第2ガイド体従動ローラー取付体と、前記第2ガイド体回転用歯車が回転すると回転する第2ガイド体シャフトと、この第2ガイド体シャフトに設けられた第2ガイド体に形成されて前記第2ガイド体従動ローラーを収容すると共に前記エンドミルホルダーに固定されたボールエンドミルを軸回り方向に回転させながら回転するボールエンドミルの研磨砥石当接部をボールエンドミルの中心線部分上にガイドする第2ガイド溝と、を有してなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、ボールエンドミルの刃先部の裏刃を専用に研磨するボールエンドミル裏刃研磨装置とボールエンドミルの刃先部の外刃を専用に研磨するボールエンドミル外刃研磨装置をそれぞれ備えていなくてもボールエンドミルの裏刃と外刃を正確に再研磨することができるので、ボールエンドミル刃先部研磨機の構造を簡潔、小型にできると共に部品点数を抑えることができるという優れた効果を有する。
また、本発明は、ボールエンドミル刃先部研磨機の構造が簡潔、小型であるので操作性を向上できるという優れた効果を有する。
さらに、本発明は、構造が簡潔、小型であるのでボールエンドミル刃先部研磨機の価格を抑えて提供することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
発明を実施するために最良の形態の例として以下のような実施例を示す。
【実施例1】
【0007】
図1〜図13には本発明に係わるボールエンドミル刃先部研磨機の一実施例が示されている。なお、この実施例では説明の都合上、図中矢印Aはボールエンドミル刃先部研磨機10の左右方向を示し(図において矢印A1は左方向、矢印A2は右方向)、図中矢印Bはボールエンドミル刃先部研磨機10の前後方向を示す(図において矢印B1は前方向、矢印B2は後方向)、図中矢印Cはボールエンドミル刃先部研磨機10の上下方向を示す(図において矢印C1は上方向、矢印C2は下方向)を示す。また、この実施例では図14に示されるように、刃2が2枚形成された2枚刃のボールエンドミル1の刃先部3の先端3Aから後端3Bを再研磨する場合を例に説明する。
図1に示されるように、このボールエンドミル刃先部研磨機10の基台12には研磨装置14が設けられている。この研磨装置14を構成する立上体載置台15は前記基台12に載置固定されている。
図2に示されるように、この立上体載置台15には立上体16が立設されている。この立上体16は図示しない前後方向用ハンドルを回すことにより立上体16を前記立上体載置台15に対して前後方向(矢印B1,B2方向)にスライドできるようになっている。
前記立上体16の正面側(図2右側)には上下方向(矢印C1,C2方向)に沿ってスライド可能な上下方向スライド移動体18が配設されている。この上下方向スライド移動体18の上端面には上下方向スライドハンドル18Aが設けられて上下方向スライドハンドル18Aを回すことにより前記上下方向スライド移動体18を上下方向にスライドできるようになっている。
また、前記上下方向スライド移動体18の正面側(図2右側)には左右方向(図1矢印A1,A2方向)にスライド可能な左右方向スライド移動体20が配設されている。この左右方向スライド移動体20の左端には左右方向スライドハンドル20Aが設けられて左右方向スライドハンドル20Aを回すことにより左右方向スライド移動体20を左右方向にスライドできるようになっている。
前記左右スライド移動体20の正面側(図2右側)には研磨装置本体22が取り付けられている。なお、前記左右方向スライド移動体20は前記上下方向スライド移動体18に取付手段(図示せず)を介して傾斜可能に取り付けられいる。従って、前記左右方向スライド移動体20を前記上下方向スライド移動体18に対して傾斜して取り付けることにより研磨装置本体22を基台12と平行になるように取り付けることもできるし(図1に示す状態)、あるいは基台12に対して傾斜した状態で取り付けることも自由にできるようになっている。
図3に示されるように、前記研磨装置本体22には左右方向に向って砥石取付シャフト28が回転可能に設けられている。この砥石取付シャフト28には円板状の研磨砥石30が着脱可能に装着されている。また、前記研磨装置本体22には砥石取付シャフト28を回転させるモータ32が載置されている。従って、前記研磨装置本体22のスイッチ(図示せず)をオンすると前記モータ32が駆動して前記砥石取付シャフト28、研磨砥石30が回転するようになっている。
図1に示されるように、前記立上体載置台15の正面側にはスライドレール取付体34が固定されている。このスライドレール取付体34の上板部34Aには図1左右方向に向って直線状のスライドレール36が載置固定されている。
図3に示されるように、このスライドレール36にはスライドレール36と嵌合してスライドレール36に沿って左右方向に直線的にスライドするスライド体38が設けられている。このスライド体38の先端部にはローラーシャフト40を介して第1ガイド体従動体としての第1ガイド体従動ローラー42が回転自在に取り付けられている。
また、前記スライド体38の先端部には一端部が前記研磨装置本体22と固定された研磨装置本体連結片44の他端部が固定されている。従って、スライド体38が図1左右方向にスライド移動すると研磨装置本体連結片44を介して前記研磨装置本体22も図1左右方向に移動するようになっている。
図1に示されるように、前記研磨装置14の横にはエンドミル回動取付装置48が基台12に設けられている。
このエンドミル回動取付装置48を構成する第2ガイド体回転用歯車取付体49は前記基台12に載置されている。この第2ガイド体回転用歯車取付体49には第2ガイド体回転用歯車50が回転可能に設けられている。なお、この実施例では第2ガイド体回転用歯車50は手動第2ガイド体回転用歯車50Aと自動第2ガイド体回転歯車50Bを備えている。これら手動第2ガイド体回転用歯車50Aと自動第2ガイド体回転用歯車50Bは回転自在に設けられている。
図1及び図6に示されるように、前記第2ガイド体回転用歯車取付体49には円筒状の回動体載置台52が配設され、この回動体載置台52の上にはエンドミル装着装置回動体54が図1矢印O,P方向に向って基台12と平行に回動可能に配設されている。
図6に示されるように、このエンドミル装着装置回動体54の水平部56の基端部56Aには前記回動体載置台52と独立した円盤状の第1ガイド体取付台58が載置固定されている。なお、この第1ガイド体取付台58の中心点は前記エンドミル装着装置回動体54の回動中心点と一致するように設定されている。
前記第1ガイド体取付台58の上面外周部には第1ガイド体固定体60が立設状態で固定されている。この第1ガイド体固定体60には図4に示される第1ガイド体としての裏刃研磨用第1ガイド体61と図5に示される第1ガイド体としての外刃研磨用第1ガイド体62を載置して固定できるようになっている。(なお、図1、図3、7においては第1ガイド体固定体60に裏刃研磨用第1ガイド体61を載置固定した状態を示す)。
図4に示されるように、裏刃研磨用第1ガイド体61には第1ガイド部としての裏刃研磨用第1ガイド溝61Aが形成されている。この裏刃研磨用第1ガイド溝61Aは前記第1ガイド体従動ローラー42がフィットした状態で収容されて裏刃研磨用第1ガイド溝61Aの一端部61Bから他端部61Cに向って案内されるようになっている。なお、この裏刃研磨用第1ガイド溝61Aの平面視形状は裏刃研磨用第1ガイド溝61Aに収容された前記第1ガイド体従動ローラー42が一端部61Bから他端部61Cまで案内されるとスライド体38、研磨装置本体22、研磨砥石30が図1矢印A2方向に直線移動して図10に示す研磨砥石30の中央下端点30Aがボールエンドミル1の刃先部3の先端3Aから後端3Bまでの裏刃側立上面6を通過できるようになっている。
また、図5に示されるように、外刃研磨用第1ガイド体62には第1ガイド部としての外刃研磨用第1ガイド溝62Aが形成されている。この外刃研磨用第1ガイド溝62Aには前記第1ガイド体従動ローラー42がフィットした状態で収容されて外刃研磨用第1ガイド溝62Aの一端部62Bから他端部62Cに向って案内されるようになっている。なお、この外刃研磨用第1ガイド溝62Aの平面視形状は1/4円周形状に形成されている。このため、前記エンドミル装着装置回動体54を図1矢印O方向に回動させた場合に前記第1ガイド体従動ローラー42が一端部62Bから他端部62Cまで案内されてもスライド体38、研磨装置本体22、研磨砥石30は図1左右方向に移動しないようになっている。
図6に示されるように、前記第1ガイド体取付台58の中央には公知の芯出タッチセンサー(図示せず)を取り付けることができる芯出センサー取付体64が設けられている。
図1に示されるように、前記エンドミル装着装置回動体54の水平部56の基端部56Aと前記手動第2ガイド体回転用歯車50Aとは連結シャフト(図示せず)で連結されている。従って、水平部56の基端部56Aを中心としてエンドミル装着装置回動体54を水平に図1矢印O方向、矢印P方向に回動させると前記手動第2ガイド体回転用歯車50Aは回転するようになっている。
前記エンドミル装着装置回動体54の水平部56の側面前側にはエンドミル装着装置回動体54を手動で図1矢印O方向、矢印P方向に回動させる場合に使用する回動操作取手67が突設されている。
図1、図6、図9に示されるように、前記エンドミル装着装置回動体54の水平部56には連続して垂直部68が立ち上がり形成されている。この垂直部68にはエンドミル装着装置70が垂直部68に沿って図1左右方向(図矢印A1,A2方向)に移動可能なように取り付けられている。このエンドミル装着装置70は進退ハンドル71を回すことにより前記垂直部68に沿って図1左右方向(図矢印A1,A2方向)に進退させることができるようになっている。
図7に示されるように、前記エンドミル装着装置70を構成するケーシング72は四角柱状に形成されている。このケーシング72の上面の先端には目盛指示片73が固定されている。
図8に示されるように、前記ケーシング72には左右方向に方向に向って貫通孔72Aが形成されている。この貫通孔72Aにはベアリング74を介して円筒状のホルダー取付筒体75が回転可能に配設されている。このホルダー取付筒体75には前記ボールエンドミル1のシャンク部が挿入固定される筒状のエンドミルホルダー76が挿通状態で取り付けられるようになっている。図7に示されるように、このエンドミルホルダー76の先端部に形成された鍔部76Aの外周面には周方向に沿って1°刻みで360°にわたって目盛77が刻設されている。
図8に示されるように、前記エンドミルホルダー76の基端部にはウォーム歯車78が取り付けられている。このウォーム歯車78の上部にはエンドミルホルダー76と直交方向に交差した状態でウォーム79(想像線で示す)が噛み合って配設されている。
図7に示されるように、このウォーム79はウォームケース80に収容されている。前記ウォーム79にはウォームケース80から露出したエンドミルホルダー回転ハンドル81が連結されている。従って、このエンドミルホルダー回転ハンドル81を回転させることにより、ウォーム79、ウォーム歯車78を介して前記エンドミルホルダー76を回転できるようになっている。
なお、前記ウォームケース80はウォーム79と連結手段(図示せず)を介して連結され、前記ウォームケース80が回動するとウォーム79が回転するようになっている。
前記ウォームケース80の正面下部には第2ガイド体従動ローラー取付体84が固定されている。この第2ガイド体従動ローラー取付体84の先端部84Aにはシャフト85を介して第2ガイド体従動体としての第2ガイド体従動ローラー86が回転自在に取り付けられている。
図1及び図6に示されるように、前記手動第2ガイド体回転用歯車50Aの隣には手動第2ガイド体回転用歯車50Aと噛み合って手動第2ガイド体回転用歯車50Aの外周を回転しながら移動する移動歯車90が回転自在に設けられている。この移動歯車90の中心にはベベル歯車駆動シャフト92が立設され、このベベル歯車駆動シャフト92は前記エンドミル装着装置回動体54の水平部56を挿通して水平部56の上方に設けられたべベル歯車ボックス94に内設されたベベル歯車96と接続されている。このベベル歯車96には第2ガイド体シャフト98の基端部が接続されている。この第2ガイド体シャフト98の中間部はシャフト支持体100を挿通している。このシャフト支持体100は前記ケーシング72の下端面に固定されたシャフト支持体取付片102の一端部102Aと固定されている。
図7に示されるように、前記第2ガイド体シャフト98の先端部には円板状の第2ガイド体104が着脱可能に取り付けられている。この第2ガイド体104は裏刃2B及び外刃2Aを再研磨するために取り付けられたボールエンドミル1を軸回り方向(図7矢印R方向)に回転させるさせると共に回転するボールエンドミル1の研磨砥石30と当接する部分がボールエンドミル1の中心線上に位置するように(図10、図13参照)ガイドするためのガイド体である。
図7に示されるように、前記第2ガイド体104の内側面には前記第2ガイド体従動ローラー86がフィットした状態で収容される第2ガイド部としての第2ガイド溝106が曲線状に形成されている。
なお、この第2ガイド溝106の形状は前記ボールエンドミル1の裏刃2B又は外刃2Aを再研磨する場合にボールエンドミル1を軸回り方向(図7矢印R方向)に回転させることができると共に軸回り方向(図7矢印R方向)に回転するボールエンドミル1の裏刃2B又は外刃2Aと研磨砥石30の当接部がボールエンドミル1の中心線(図10、図13に示す中心線)と一致するように形成されている。
図6に示されるように、前記第2ガイド体シャフト98の先端部には円板状のシャフト固定体108が固定されている。このシャフト固定体108には第2ガイド体取付体109が着脱可能に設けられている。この第2ガイド体取付体109には嵌合孔(図示せず)が形成されており前記第2ガイド体104の嵌合突起(図示せず)が嵌入されるようになっている。
このため、第2ガイド体シャフト98が回転すると第2ガイド体104も回転し、前記エンドミル装着装置70を左右方向に進退させると第2ガイド体104も左右方向に進退できるようになっている。
前記エンドミル装着装置回動体54の水平部56の下端面には回動ストッパー当接片110が垂下した状態で固定されている。
前記基台12の後側には第1回動ストッパー取付体112が立設され、基台12の前側には第2回動ストッパー取付体114が立設されている。この第1回動ストッパー取付体112には回動ストッパー当接片110が当接可能な第1回動ストッパー116が進退調節可能に設けられ、第2回動ストッパー取付体114には回動ストッパー当接片110が当接可能な第2回動ストッパー118が進退調節可能に設けられている。従って、前記第1回動ストッパー116及び第2回動ストッパー118の進退寸法を調節することにより前記エンドミル装着装置回動体54の回動角度を調節できるようになっている。
なお、この実施例では前記第1回動ストッパー116及び第2回動ストッパー118の進退寸法を調節してエンドミル装着装置回動体54の回動角度を90°に設定している。また、この実施例では前記第1回動ストッパー112に前記回動ストッパー当接片110を当接させた位置が外刃2A、裏刃2Bを再研磨するためにエンドミル装着体70に取り付けられたボールエンドミル1の平面視中心線と研磨砥石30の中心線とが一致(図12参照)するようにように設定されている。
また、前記第1回動ストッパー取付体112及び第2回動ストッパー取付体114には前記回動ストッパー当接片110が第1回動ストッパー116及び第2回動ストッパー118に当接したことを感知するセンサー120がそれぞれ設けられている。
図9に示されるように、前記垂直部68の上面とエンドミル装着装置70のケーシング72の上面に跨るようにエンドミル装着装置70の図1左右方向の進退距離を測定するダイヤルゲージ122が取り付けられている。従って、このダイヤルゲージ122を見ることにより前記エンドミル装着装置70の図1左右方向への進退寸法を正確に測ることができるようになっている。
図1及び図9に示されるように、前記エンドミル回動取付装置48の後方の基台12には自動回動制御装置124が設けられている。この自動回動制御装置124は前記エンドミル装着装置回動体54を自動で図1矢印O,P方向に回動させるための装置である。
図1に示される前記自動第2ガイド体回転歯車50Bの後方には自動第2ガイド体回転用歯車50Bと噛み合って自動第2ガイド体回転用歯車50Bの外周を回転しながら移動する移動歯車(図示せず)が回転自在に設けられている。この移動歯車(図示せず)は前記基台12に内蔵された駆動装置(モータ等)と連結された自動第2ガイド体回転用歯車50Bが駆動装置が駆動することにより回転すると自動第2ガイド体回転用歯車50Bの外周を回転しながら移動するようになっている。
従って、前記自動回動制御装置124を操作することにより、手動で前記エンドミル装着装置回動体54を図1矢印O,P方向に回動させないでも自動で前記エンドミル装着装置回動体54を図1矢印O,P方向に回動でるようになっている。
なお、自動で前記エンドミル装着装置回動体54を図1矢印O,P方向に回動させる場合は前記センサー120が回動ストッパー当接片110が第1回動ストッパー116及び第2回動ストッパー118に当接したことを感知するようになっている。
【0008】
実施例のボールエンドミル刃先部研磨機10の作用について説明する。
最初に、ボールエンドミル刃先部研磨機10を使用してボールエンドミル1の刃先部3の裏刃2Bを手動で再研磨する場合について説明する。
まず、前記エンドミル装置装置回動体54を回動させて回動ストッパー当接片110を第1回動ストッパー116に当接させてエンドミルホルダー76にボールエンドミル1を取り付ける。この時、ボールエンドミル1は図10、図11に示すように一方の刃2が手前側に他方の刃2が後側に位置する状態にしてエンドミルホルダー76を軽く締める。
次に、芯出センサー取付体64の上に公知の芯出タッチセンサー(図示せず)を載置して前記研磨砥石30の中央下端30Aと前記ボールエンドミル1の刃先部3の先端3Aが対応できるようにボールエンドミル1を位置決めする。そして、位置決めが終了したらエンドミルホルダー76をきつく締めてボールエンドミル1を固定する。また、前記芯出タッチセンサーを芯出センサー取付体64から取り外す。
そして、ダイヤルゲージ122の目盛を見ながらボールエンドミル1の刃先部3の後端3B部分の半径分の寸法K1(図12参照)(例えば、前記ボールエンドミル1の刃先部3の後端3B部分の直径寸法が50mmの場合は25mm)だけエンドミル装着装置70を図1左方向(矢印A1方向)に前進させて、ボールエンドミル1の刃先部3の中心点X(図12参照)と回動中心点を一致させる。これにより、前記エンドミル装着装置回動体54を図1矢印O方向に回動させた場合、ボールエンドミル1の刃先部3は中心点X(図12参照)で回動する状態になる。
次に、前記研磨装置本体22を図1右方向(矢印A2方向)に前進させて前記研磨砥石30の中央下端点30Aと前記ボールエンドミル1の刃先部3の先端3Aを当接させる(図10に示す状態)。
そして、前記第1ガイド体取付体60に裏刃研磨用第1ガイド体61を載置すると共に前記第1ガイド体従動ローラー42を裏刃研磨用第1ガイド溝61Aの一端部61Bに収容してから裏刃研磨用第1ガイド体61を前記第1ガイド体取付体60に固定する。
そして、前記研磨装置本体22のスイッチをオンにして研磨砥石30を高速回転させて、前記回動体操作取手67を持って前記エンドミル装着装置回動体54を図1矢印O方向に回動する。
このエンドミル装着装置回動体54の図1矢印O方向の回動により手動第2ガイド体回転用歯車50Aが回転し、手動第2ガイド体回転用歯車50Aに噛み合っている移動歯車90は手動第2ガイド体回転用歯車50Aの外側を回転しながら移動する。これにより、ベベル歯車駆動シャフト92、ベベル歯車96、第2ガイド体シャフト98を介して第2ガイド体104が図7矢印T方向に回転する。
従って、第2ガイド体104が図7矢印T方向に回転すると第2ガイド溝106に収容されている第2ガイド体従動ローラー86は第2ガイド溝106に案内されるため第2ガイド体従動ローラー取付体84を介してウォームケース80は図7矢印U方向に回動する。このウォームケース80の図7矢印U方向の回動によりウォーム79が回転して、エンドミルホルダー76が図7矢印R方向に回転するので、ボールエンドミル1も軸回り方向(図7矢印R方向)に回転すると共にボールエンドミル1と研磨砥石30との当接部がボールエンドミル1の中心線上に位置するようにガイドされる(図10参照)。
一方、前記エンドミル装着装置回動体54の図1矢印O方向の回動により裏刃研磨用第1ガイド体61も図7矢印V方向に回動するため裏刃研磨用第1ガイド溝61Aに収容されている第1ガイド従動ローラー42は裏刃研磨用第1ガイド溝61Aの一端部61Bから他端部61Cに向って案内されるため、スライド体38、研磨装置本体22は右方向(図1矢印A2方向)に向って直線移動するので研磨砥石30の中央下端点30Aがボールエンドミル1の刃先部3の先端3Aから後端3Bまでの裏刃側立上面6を移動する。
従って、ボールエンドミル1の刃先部3の先端3Aから後端3Bにかけての裏刃2Bは、前記エンドミル装着装置回動体54の矢印O方向の回動と前記ボールエンドミル1の軸回り方向(矢印R方向)の回転と前記研磨砥石30の図1矢印A2方向の移動を同時に行うことにより正確に再研磨される。
なお、他方の刃2の刃先部3の裏刃2Bを再研磨する場合はエンドミルホルダー回転ハンドル81を回し、エンドミルホルダー76の鍔部76Aの目盛77とケーシング72に固定された目盛指示片73を見ることによりエンドミルホルダー76を正確に180°回転させてボールエンドミル1の他方の刃2を手前側にして一方の刃2の裏刃2Bを再研磨した場合と同じ手順を行うことにより他方の刃2の裏刃2Bも正確に再研磨することができる。
【0009】
なお、この実施例では左右方向スライド移動体20を上下方向スライド体18に基台12と平行に取り付けたことにより研磨装置本体22、研磨砥石30を基台12と平行に取り付けた状態(図10に示すようにボールエンドミル1の中心線と研磨砥石30が垂直状態)でボールエンドミル1の裏刃2Bを再研磨した場合を示したが、裏刃2Bのしゃくりの状態等によっては左右方向スライド移動体20を上下方向スライド体18に傾斜させて取り付けて研磨装置本体22、研磨砥石30を傾斜させた状態にしてボールエンドミル1の刃先部3の裏刃2Bを再研磨するようにしてもよいことは勿論である。
【0010】
次に、前記ボールエンドミル刃先部研磨機10を使用してボールエンドミル1の刃2の刃先部3の外刃2Aを再研磨する場合について説明する。なお、前記裏刃2Bを再研磨する場合の作用と同一の作用は省略する。
まず、前記エンドミル装置装置回動体54を回動させて回動ストッパー当接片110を第1回動ストッパー116に当接させてエンドミルホルダー76にボールエンドミル1を取り付ける。この時、ボールエンドミル1は図10、図11に示すように一方の刃2が手前側に他方の刃2が後側に位置する状態にしてエンドミルホルダー76を軽く締める。
次に、芯出センサー取付体64の上に公知の芯出タッチセンサー(図示せず)を載置して前記研磨砥石30の中心線と前記ボールエンドミル1の刃先部3の先端3Aが一致するようにボールエンドミル1を位置決めする(図12に示す状態)。そして、位置決めが終了したらエンドミルホルダー76をきつく締めてボールエンドミル1を固定する。
そして、前記ボールエンドミル1の刃2が形成されている刃先部3の半径分の寸法だけエンドミル装着装置70を図1左方向(矢印A1方向)に前進させて、ボールエンドミル1の刃先部3の中心点Xと回動中心点を一致させる。
次に、前記研磨装置本体22を傾斜させてボールエンドミル1の外刃2Aの二番角2A1の傾斜角度に研磨砥石30の側面30Bの傾斜角度が対応するようにして研磨装置本体22を固定する。そして、前記研磨装置本体22を図1右方向(矢印A2方向)に前進させて図13に示されるように前記研磨砥石30の側面30Bと前記ボールエンドミル1の外刃2Aの二番角2A1を当接させる。
そして、前記第1ガイド体取付体60に外刃研磨用第1ガイド体62を載置すると共に前記第1ガイド体従動ローラー42を外刃研磨用第1ガイド溝62Aの一端部62Bに収容してから外刃研磨用第1ガイド体62を前記第1ガイド体取付体60に固定する。
そして、前記研磨装置本体22のスイッチをオンにして研磨砥石30を高速回転させて、前記回動体操作取手67を持って前記エンドミル装着装置回動体54を図1矢印O方向に回動する。
このエンドミル装着装置回動体54の図1矢印O方向の回動によりボールエンドミル1が図7矢印R方向に回転する回転すると共にボールエンドミル1と研磨砥石30との当接部がボールエンドミル1の中心線上に位置するようにガイドされる(図13参照)。
一方、前記エンドミル装着装置回動体54の図1矢印O方向の回動により外刃研磨用第1ガイド体62も矢印V方向(図7参照)に回動するため外刃研磨用第1ガイド溝62Aに収容されている第1ガイド従動ローラー42は外刃研磨用第1ガイド溝62Aの一端部62Bから他端部62Cに向って案内されるが、この外刃研磨用第1ガイド溝62Aの平面視形状は1/4円周形状に形成されている。このため、前記エンドミル装着装置回動体54を図1矢印O方向に回動させて前記第1ガイド体従動ローラー42が一端部62Bから他端部62Cまで案内されてもスライド体38、研磨装置本体22、研磨砥石30は図1左右方向に移動しない。
この結果、ボールエンドミル1の刃先部3の先端3Aから後端3Bにかけての外刃2Aはエンドミル装着装置回動体54の矢印O方向の回動とボールエンドミル1の軸回り方向(矢印R方向)の回転によって正確に再研磨される。
なお、他方の刃2の刃先部3の外刃2Aを再研磨する場合はエンドミルホルダー回転ハンドル81を回してボールエンドミル1を180°回転させてから一方の刃2の外刃2Aを再研磨した場合と同じ手順を行うことにより他方の刃2の外刃2Aも正確に再研磨することができる。
【0011】
なお、実施例ではボールエンドミル1の外刃2Aの再研磨に際し再研磨中に研磨砥石30がぶれて再研磨に支障が生じることを確実に防止する目的で第1ガイド従動ローラー42を外刃研磨用第1ガイド溝62Aの一端部62Bから他端部62Cに向って案内されるようにしたが再研磨中に前記研磨砥石30が確実にぶれるおそれがなければ外刃研磨用ガイド体62を使用しなくてもよい。
【0012】
従って、本発明のボールエンドミル刃先部研磨機10はボールエンドミル1の刃先部3の裏刃2Bを専用に研磨するボールエンドミル裏刃研磨装置とボールエンドミル1の刃先部3の外刃2Aを専用に研磨するボールエンドミル外刃研磨装置をそれぞれ備えていなくてもボールエンドミル1の裏刃2Bと外刃2Aを正確に再研磨することができるので、ボールエンドミル刃先部研磨機10の構造を簡潔、小型にできると共に部品点数を抑えることができる。
また、本発明のボールエンドミル刃先部研磨機10は構造が簡潔で小型であるのでボールエンドミル刃先部研磨機10の操作性を向上することができる。
さらに、本発明のボールエンドミル刃先部研磨機10は、コンピュータ制御装置を使用せず、また構造が簡潔、小型であるので価格を抑えて提供することができる。
【0013】
従って、本発明のボールエンドミル刃先部研磨機10は再研磨するボールエンドミル1の刃先部3の形状に応じた裏刃研磨用第1ガイド溝61Aが形成された裏刃研磨用第1ガイド体61、第2ガイド溝106が形成された第2ガイド体104を用意すればボールエンドミル1の刃先部3の裏刃2B、外刃2Aを正確に再研磨することができる。
【0014】
なお、実施例では第1ガイド体としての裏刃研磨用第1ガイド体61には第1ガイド部としての裏刃研磨用第1ガイド溝61Aを形成し、第1ガイド体としての外刃研磨用第1ガイド体62には第1ガイド部としての外刃研磨用第1ガイド溝62Aを形成したが、第1ガイド体従動体としての第1ガイド体従動ローラー42を案内できれば裏刃研磨用第1ガイド体61及び外刃研磨用第1ガイド体62に形成するのは裏刃研磨用第1ガイド溝61A、外刃研磨用第1ガイド溝62Aのような溝でなくてもよい。
同様に、実施例では第2ガイド体104に第2ガイド部としての第2ガイド溝106を形成したが第2ガイド体従動体としての第2ガイド体従動ローラー86を案内できれば第2ガイド体104に形成するのは第2ガイド溝106のような溝でなくてもよい。
また、実施例では第2ガイド部としての第2ガイド溝106の形状は前記ボールエンドミル1の裏刃2B又は外刃2Aを再研磨する場合にボールエンドミル1を軸回り方向(図7矢印R方向)に回転させることができると共に軸回り方向(図7矢印R方向)に回転するボールエンドミル1の裏刃2B又は外刃2Aと研磨砥石30の当接部がボールエンドミル1の中心線(図10、図13に示す中心線)と一致するように形成したが、この一致は前記ボールエンドミル1と研磨砥石30の当接部がボールエンドミル1の中心線と完全一致する場合に限定されるものでなく、前記ボールエンドミル1と研磨砥石30の当接部がボールエンドミル1の中心線部分に位置すればよい。
なお、実施例ではボールエンドミル1の刃先部3の裏刃2Bと外刃2Aの両方を再研磨した場合を示したが、作業者は必要に応じて裏刃2Bだけ、又は外刃2Aだけを選択して再研磨してもよいことは勿論である。
また、実施例では2枚刃のボールエンドミル1の刃先部3を再研磨する場合について説明したが、再研磨するボールエンドミル1は2枚刃に限定されるものではなく、4枚刃、6枚刃等のボールエンドミルでもよいことは勿論である。
なお、実施例で示した裏刃2B、外刃2Aの再研磨手順は実施例に示した手順に限定されるものでないことは勿論である。
また、実施例では手動で前記エンドミル装着装置回動体54を図1矢印O方向に回動して行った場合を説明したが、前記自動回動制御装置124を操作して自動で前記エンドミル装着装置回動体54を図1矢印O方向に回動して再研磨作業を行うようにしてもよいことは勿論である。
なお、ボールエンドミルのメーカー等によってボールエンドミルの刃先部の刃の形状が一般的なボールエンドミルの刃先部の刃の形状と大きく相違する場合は当該ボールエンドミルの刃先部の形状に合った裏刃研磨用第1ガイド体61、外刃研磨用第1ガイド体62、第2ガイド体104を、用意すればボールエンドミルの裏刃、外刃を正確に再研磨することができる。
また、実施例では切削加工を行ったことにより切れ味が低下したボールエンドミル1の刃先部3を再研磨する場合を例にして説明したが、本発明のボールエンドミル刃先部研磨機10はボールエンドミルの刃先部を研磨することによりボールエンドミルを新たに製造する場合に使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例のボールエンドミル刃先部研磨機を正面少し斜めから見た概略全体斜視図である。
【図2】実施例のボールエンドミル刃先部研磨機の研磨装置の左側面図である。
【図3】実施例のボールエンドミル刃先部研磨機の研磨装置の全体斜視図である。
【図4】実施例のボールエンドミル刃先部研磨機の裏刃研磨用第1ガイド体の平面図である。
【図5】実施例のボールエンドミル刃先部研磨機の外刃研磨用第1ガイド体の平面図である。
【図6】実施例のボールエンドミル刃先部研磨機のエンドミル回動取付装置の正面図である。
【図7】実施例のボールエンドミル刃先部研磨機のエンドミル回動取付装置を前方斜めから見た斜視図である。
【図8】実施例のボールエンドミル刃先部研磨機のエンドミル装着装置の概略縦断面図である
【図9】実施例のボールエンドミル刃先部研磨機のエンドミル回動取付装置を後方斜めから見た斜視図である。
【図10】実施例のボールエンドミル刃先部研磨機のエンドミル回動取付装置に装着されたボールエンドミルの側面図である。
【図11】実施例のボールエンドミル刃先部研磨機のエンドミル回動取付装置に装着されたボールエンドミルの正面図である。
【図12】実施例のボールエンドミル刃先部研磨機のエンドミル回動取付装置に装着されたボールエンドミルと研磨砥石との関係を示す概略平面図である。
【図13】外刃を再研磨する場合の研磨砥石とボールエンドミルの刃先部の取付状態を示す概略図である。
【図14】2枚刃のボールエンドミルの全体斜視図である。
【符号の説明】
【0016】
10 ボールエンドミル刃先部研磨機
12 基台
14 研磨装置
15 立上体載置台
22 研磨装置本体
28 砥石取付シャフト
30 研磨砥石
34 スライドレール取付体
36 スライドレール
38 スライド体
42 第1ガイド体従動ローラー
44 研磨装置本体連結片
48 エンドミル回動取付装置
49 第2ガイド体回転用歯車取付体
50 第2ガイド体回転用歯車
52 回動体載置台
54 エンドミル装着装置回動体
56 水平部
58 第1ガイド体取付台
60 第1ガイド体固定体
61 裏刃研磨用第1ガイド体
61A 裏刃研磨用第1ガイド溝
62 外刃研磨用第1ガイド体
62A 外刃研磨用第1ガイド溝
68 垂直部
70 エンドミル装着装置
72 ケーシング
75 ホルダー取付筒体
76 エンドミルホルダー
78 ウォーム歯車
79 ウォーム
80 ウォームケース
84 第2ガイド体従動ローラー取付体
86 第2ガイド体従動ローラー
90 移動歯車
92 ベベル歯車駆動シャフト
98 第2ガイド体シャフト
100 シャフト支持体
102 シャフト支持体取付片
104 第2ガイド体
106 第2ガイド溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールエンドミルの刃先部の裏刃及び外刃を研磨するボールエンドミル刃先部研磨機であって、基台に載置された研磨装置及びエンドミル回動取付装置と、
前記研磨装置を構成する研磨装置本体と、この研磨装置本体に配設された研磨砥石と、この研磨砥石をガイド可能な第1ガイド体と、
前記エンドミル回動取付装置を構成すると共にボールエンドミルが装着されたエンドミル装着装置を回動するエンドミル装着装置回動体と、前記エンドミル装着装置に取り付けられたボールエンドミルを軸回り方向に回転させる第2ガイド体と、を有してなることを特徴とするボールエンドミル刃先部研磨機。
【請求項2】
ボールエンドミルの刃先部の裏刃及び外刃を研磨するボールエンドミル刃先部研磨機であって、基台に載置された研磨装置及びエンドミル回動取付装置と、
前記研磨装置を構成する研磨装置本体と、この研磨装置本体に配設された研磨砥石と、この研磨砥石をガイド可能な第1ガイド体と、
前記エンドミル回動取付装置を構成すると共にボールエンドミルが装着されたエンドミル装着装置を回動するエンドミル装着装置回動体と、前記エンドミル装着装置に取り付けられたボールエンドミルを軸回り方向に回転させると共に回転するボールエンドミルの刃先部を前記研磨砥石に当接すべくガイドする第2ガイド体と、を有してなることを特徴とするボールエンドミル刃先部研磨機。
【請求項3】
ボールエンドミルの刃先部の裏刃及び外刃を研磨するボールエンドミル刃先部研磨機であって、基台に載置された研磨装置及びエンドミル回動取付装置と、
前記研磨装置を構成する研磨装置本体と、この研磨装置本体に配設された研磨砥石と、この研磨砥石をガイド可能な第1ガイド体と、
前記エンドミル回動取付装置を構成すると共にボールエンドミルが装着されたエンドミル装着装置を回動するエンドミル装着装置回動体と、前記エンドミル装着装置に取り付けられたボールエンドミルを軸回り方向に回転させると共に回転するボールエンドミルの研磨砥石当接部をボールエンドミルの中心線部分上にガイドする第2ガイド体と、を有してなることを特徴とするボールエンドミル刃先部研磨機。
【請求項4】
ボールエンドミルの刃先部の裏刃及び外刃を研磨するボールエンドミル刃先部研磨機であって、基台に載置された研磨装置及びエンドミル回動取付装置と、
前記研磨装置を構成する研磨装置本体と、この研磨装置本体に配設された研磨砥石と、前記研磨装置本体を移動させることが可能であると共に第1ガイド体従動体が設けられたスライド体と、
前記エンドミル回動取付装置を構成すると共に回動可能に配設されたエンドミル装着装置回動体と、このエンドミル装着装置回動体に設けられてエンドミル装着装置回動体と共に回動すると共に前記第1ガイド体従動体をガイドすることが可能な第1ガイド体と、前記エンドミル装着装置回動体に取り付けられたエンドミル装着装置と、このエンドミル装着装置に取り付けられた第2ガイド体従動体と、前記エンドミル装着装置に取り付けられたボールエンドミルを軸回り方向に回転させると共に回転するボールエンドミルの研磨砥石当接部をボールエンドミルの中心線部分上に位置するように前記第2ガイド体従動体をガイドする第2ガイド体と、を有してなることを特徴とするボールエンドミル刃先部研磨機。
【請求項5】
ボールエンドミルの刃先部の裏刃及び外刃を研磨するボールエンドミル刃先部研磨機であって、基台に載置された研磨装置及びエンドミル回動取付装置と、
前記研磨装置を3構成する研磨装置本体と、この研磨装置本体に配設された研磨砥石と、前記研磨装置本体を移動させることが可能であると共に第1ガイド体従動体が設けられたスライド体と、
前記エンドミル回動取付装置を構成すると共に回動可能に配設されたエンドミル装着装置回動体と、このエンドミル装着装置回動体に設けられてエンドミル装着装置回動体と共に回動する第1ガイド体と、この第1ガイド体に形成されると共に前記第1ガイド体従動体が案内される第1ガイド部と、前記エンドミル装着装置回動体に取り付けられたエンドミル装着装置と、このエンドミル装着装置に回転可能に取り付けられたエンドミルホルダーと、前記エンドミル装着装置に取り付けられた第2ガイド体従動体と、前記エンドミル装着装置回動体が回動すると回転する第2ガイド体シャフトと、この第2ガイド体シャフトに設けられた第2ガイド体に形成されて前記第2ガイド体従動体を案内すると共に前記エンドミルホルダーに固定されたボールエンドミルを軸回り方向に回転させながら回転するボールエンドミルの研磨砥石当接部をボールエンドミルの中心線部分上にガイドする第2ガイド部と、を有してなることを特徴とするボールエンドミル刃先部研磨機。
【請求項6】
ボールエンドミルの刃先部の裏刃及び外刃を研磨するボールエンドミル刃先部研磨機であって、基台に載置された研磨装置及びエンドミル回動取付装置と、
前記研磨装置を構成する研磨装置本体と、この研磨装置本体に配設された研磨砥石と、前記研磨装置本体の正面側に固定されたスライドレールと、このスライドレールに沿ってスライド可能に設けられると共に前記研磨装置本体と連結されたスライド体と、このスライド体に取り付けられた第1ガイド体従動ローラーと、
前記エンドミル回動取付装置を構成すると共に前記基台に載置された第2ガイド体回転用歯車取付体と、この第2ガイド体回転用歯車取付体に回転可能に取り付けられた第2ガイド体回転用歯車と、前記第2ガイド体回転用歯車取付体の上方に回動可能に配設されたエンドミル装着装置回動体と、このエンドミル装着装置回動体の水平部に設けられると共にエンドミル装着装置回動体と共に回動する第1ガイド体取付台と、この第1ガイド体取台に取り付けられた第1ガイド体と、この第1ガイド体に形成されると共に前記第1ガイド体従動ローラーが収容される第1ガイド溝と、前記エンドミル装着装置回動体の垂直部に移動可能に取り付けられたエンドミル装着装置と、このエンドミル装着装置に回転可能に設けられたエンドミルホルダーと、前記エンドミルホルダーの基端部に取り付けられたウォーム歯車と、このウォーム歯車と噛み合って配設されると共にウォームケースとも連結されたウォームと、前記ウォームケースに固定されると共に一端部に第2ガイド体従動ローラーが設けられた第2ガイド体従動ローラー取付体と、前記第2ガイド体回転用歯車が回転すると回転する第2ガイド体シャフトと、この第2ガイド体シャフトに設けられた第2ガイド体に形成されて前記第2ガイド体従動ローラーを収容すると共に前記エンドミルホルダーに固定されたボールエンドミルを軸回り方向に回転させながら回転するボールエンドミルの研磨砥石当接部をボールエンドミルの中心線部分上にガイドする第2ガイド溝と、を有してなることを特徴とするボールエンドミル刃先部研磨機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−213072(P2008−213072A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52141(P2007−52141)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(506019197)
【Fターム(参考)】